(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】心房封止及び経中隔アクセスのための折り畳み式医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20221024BHJP
A61F 2/06 20130101ALI20221024BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61F2/06
(21)【出願番号】P 2020506959
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(86)【国際出願番号】 US2018045989
(87)【国際公開番号】W WO2019032816
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コイル、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】グッドマン、ダニエル
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/087504(WO,A1)
【文献】特表2014-530647(JP,A)
【文献】特表2014-519858(JP,A)
【文献】特開2009-000497(JP,A)
【文献】特表2009-520535(JP,A)
【文献】特表2009-514626(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0005740(US,A1)
【文献】国際公開第2016/049991(WO,A1)
【文献】中国実用新案第200980690(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61F 2/04-2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中隔孔を閉塞するための折り畳み式の医療デバイスであって、
編組繊維から形成され、予め設定された展開形態及び折畳形態を有し、かつ、近位端部及び遠位端部を含む管状部材であって、前記展開形態において、前記近位端部に近位円板状部分を有し、前記遠位端部に遠位円板状部分を有し、かつ、前記近位円板状部分及び前記遠位円板状部分間に円筒状部分を有
し、前記編組繊維の自由ワイヤ端部が前記近位円板状部分から近位側に延出し、前記医療デバイスの近位端から延びて前記近位円板状部分を貫通する開口部を画定する、該管状部材と、
前記円筒状部分内に少なくとも部分的に配置されたガスケットであって、
前記自由ワイヤ端部によって画定された前記開口部の少なくとも一部に延在し、貫通可能かつ再封止可能に寸法決め及び構成された、該ガスケットと、
を含むことを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の医療デバイスであって、
前記管状部材は、単一層の編組繊維から形成されることを特徴とする医療デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の医療デバイスであって、
前記管状部材は、単一層の編組繊維をそれ自体の上に折り返して二重の層にした二重層の編組繊維から形成されることを特徴とする医療デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の医療デバイスであって、
前記管状部材の前記近位端部または前記遠位端部の少なくとも一方に設けられた固定機構をさらに含むことを特徴とする医療デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の医療デバイスであって、
前記ガスケットは、1以上の縫合糸を使用して前記円筒状部分に固定されることを特徴とする医療デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の医療デバイスであって、
前記ガスケットは、自己封止材料から構成されることを特徴とする医療デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の医療デバイスであって、
前記ガスケットは、その表面に、抗血栓性コーティングを有することを特徴とする医療デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の医療デバイスであって、
前記ガスケットは、均一な密度を有することを特徴とする医療デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の医療デバイスであって、
前記ガスケットは、不均一な密度を有することを特徴とする医療デバイス。
【請求項10】
中隔孔を閉塞するための折り畳み式の医療デバイスであって、
編組繊維から形成され、予め設定された展開形態及び折畳形態を有し、かつ、近位端部及び遠位端部を有する管状部材であって、前記展開形態において、前記近位端部に少なくとも1つの近位閉塞面
材を有し、前記遠位端部に少なくとも1つの遠位閉塞面
材を有し、かつ、前記近位閉塞面
材及び前記遠位閉塞面
材間に管状部分を有
し、前記編組繊維の自由ワイヤ端部が前記近位閉塞面材から近位側に延出し、前記医療デバイスの近位端から延びて前記近位閉塞面材を貫通する開口部を画定する、該管状部材と、
前記管状部分内に少なくとも部分的に配置されたガスケットであって、
前記自由ワイヤ端部によって画定された前記開口部の少なくとも一部に延在し、貫通可能かつ再封止可能に寸法決め及び構成された、該ガスケットと、
を含むことを特徴とする医療デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の医療デバイスであって、
前記ガスケットは、1以上の縫合糸を使用して前記管状部分に固定されることを特徴とする医療デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載の医療デバイスであって、
前記ガスケットは、自己封止材料から構成されることを特徴とする医療デバイス。
【請求項13】
請求項10に記載の医療デバイスであって、
前記ガスケットは、その表面に、抗血栓性コーティングを有することを特徴とする医療デバイス。
【請求項14】
中隔孔を閉塞するための折り畳み式の医療デバイスを作製する方法であって、
編組された管状部材の近位端部を、前記管状部材の遠位端部に向けて折り返して、内層及び外層を有し、かつ自由ワイヤ端部を有する構造体を形成するステップと、
1以上の
円筒形のマンドレルを使用して、前記近位端部に近位円板状部分を有し、前記遠位端部に遠位円板状部分を有し、かつ前記近位円板状部分及び前記遠位円板状部分間に円筒状部分を有
し、前記自由ワイヤ端部が前記近位円板状部分から近位側に延出し、前記医療デバイスの近位端から延びて前記近位円板状部分を貫通する開口部を画定するように
前記マンドレルの周囲に前記近位円板状部分、前記近位円板状部分、及び前記遠位円板状部分を配置して、前記構造体を形成するステップと、
前記構造体の前記自由ワイヤ端部を固定するステップと、
前記円筒状部分内にガスケットを導入するステップ
であって、前記ガスケットは、前記自由ワイヤ端部によって画定された前記開口部の少なくとも一部に延在するように配置される、該ステップと、
前記ガスケットを前記円筒状部分に固定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
送達デバイスと結合可能に寸法決め及び構成された少なくとも1つの固定機構を、前記医療デバイスに取り付けるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2017年8月10日出願の米国仮特許出願第62/543、663号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の開示内容は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、折り畳み式の医療デバイス、並びにその作製方法及び使用方法に関する。特に、本開示は、卵円孔開存または中隔孔を封止し、かつ、その後の医療処置または治療のための繰り返される経中隔アクセスを可能にする、折り畳み式医療デバイスに関する。本開示の折り畳み式医療デバイスは、封止機能及びアクセス機能の両方を提供する医療デバイスであり、円筒状部分と、その内部に配置された、貫通可能かつ再封止可能なガスケットとを含む。このようなガスケットを含む本開示の折り畳み式医療デバイスの作製方法及び使用方法も開示される。
【背景技術】
【0003】
多種多様な血管内医療デバイスが、患者の体内の様々な医療処置に使用される。カテーテル及びガイドワイヤなどの特定の血管内医療デバイスは、一般に、流体または別の医療デバイスを、血管系内の選択部位などの患者の体内の特定の部位に送達するために単純に使用される。しばしばより複雑で折り畳み式の別の血管内医療デバイスが、特定の疾患の治療に使用される。そのような血管内医療デバイスには、例えば、血管閉塞の除去、中隔欠損の治療、弁置換、ステント導入などに使用される医療デバイスが含まれる。このようなより複雑で折り畳み式の血管内医療デバイスの多くは、その少なくとも一部が、ニチノール編組管状部材などの編組管状部材で構成されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、中隔孔を閉塞するための折り畳み式の医療デバイスに関する。本開示の医療デバイスは、(i)編組繊維から形成され、予め設定された展開形態及び折畳形態を有し、かつ、近位端部及び遠位端部を含む管状部材であって、展開形態において、近位端部に近位円板状部分を有し、遠位端部に遠位円板状部分を有し、かつ、近位円板状部分及び遠位円板状部分間に円筒状部分を有する、該管状部材と、(ii)円筒状部分内に少なくとも部分的に配置されたガスケットであって、貫通可能かつ再封止可能に寸法決め及び構成された、該ガスケットと、を含む。
【0005】
また、本開示は、中隔孔を閉塞するための別の折り畳み式の医療デバイスに関する。本開示の医療デバイスは、(i)編組繊維から形成され、予め設定された展開形態及び折畳形態を有し、かつ、近位端部及び遠位端部を有する管状部材であって、展開形態において、近位端部に少なくとも1つの近位閉塞面を有し、遠位端部に少なくとも1つの遠位閉塞面を有し、かつ、近位閉塞面及び遠位閉塞面間に管状部分を有する、該管状部材と、(ii)管状部分内に少なくとも部分的に配置されたガスケットであって、貫通可能かつ再封止可能に寸法決め及び構成された、該ガスケットと、を含む。
【0006】
また、本開示は、中隔孔を閉塞するための折り畳み式の医療デバイスを作製する方法に関する。本開示の方法は、(i)編組された管状部材の近位端部を、管状部材の遠位端部に向けて折り返して、内層及び外層を有し、かつ自由ワイヤ端部を有する構造体を形成するステップと、(ii)1以上のマンドレルを使用して、近位端部に近位円板状部分を有し、遠位端部に遠位円板状部分を有し、かつ近位円板状部分及び遠位円板状部分間に円筒状部分を有するように、構造体を形成するステップと、(iii)構造体の自由ワイヤ端部を固定するステップと、(iv)円筒状部分内にガスケットを導入するステップと、(v)ガスケットを円筒状部分に固定するステップと、を含む。
【0007】
また、本開示は、中隔孔を閉塞するための折り畳み式の医療デバイスを作製する別の方法に関する。本開示の方法は、(i)編組された管状部材を1以上のマンドレル上に導入して、近位端部に近位円板状部分、遠位端部に遠位円板状部分、それらの間に円筒状部分を有し、近位端部に自由ワイヤ端部が配置され、かつ遠位端部に自由ワイヤ端部が配置された構造体を形成するステップと、(ii)構造体の近位端部及び遠位端部において、自由ワイヤ端部を固定するステップと、(iii)円筒状部分内にガスケットを導入するステップと、(iv)ガスケットを円筒状部分に固定するステップと、を含む。
【0008】
本開示の上記及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明、特許請求の範囲、及び添付の図面を参照することよりより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】近位円板状部分、遠位円板状部分、及び円筒状部分を含む、本開示の構造体の斜視図である。
【
図1A】近位円板状部分、遠位円板状部分、及び円筒状部分を含む本開示の構造体の斜視図であり、近位円板状部分及び遠位円板状部分は互いに異なるサイズを有している。
【
図2】
図1の構造体をその近位端から示した図である。
【
図3】貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む、本開示の折り畳み式医療デバイスの斜視図である。
【
図4】
図3の折り畳み式医療デバイスをその近位端から示した図である。
【
図5】近位端部及び遠位端部上に自由ワイヤ端部を含む、本開示の折り畳み式医療デバイスの斜視図である。
【
図6】
図5の折り畳み式医療デバイスにおいて、近位端部及び遠位端部に位置する自由ワイヤ端部がトリミングされた状態を示す図である。
【
図7A】貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む折り畳み式の医療デバイスを作製する方法を説明するためのフロー図である。
【
図7B】貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む折り畳み式の医療デバイスを作製する方法を説明するためのフロー図である。
【
図8A】貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む折り畳み式の医療デバイスを作製する方法を説明するためのフロー図である。
【
図8B】貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む折り畳み式の医療デバイスを作製する方法を説明するためのフロー図である。
【
図9A】患者の中隔壁を横断するアクセスを提供する方法を説明するためのフロー図である。
【
図9B】患者の中隔壁を横断するアクセスを提供する方法を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
今日使用されている多くの心臓手術は、特定の医療デバイス及び/または1以上の種類の心臓治療を送達または提供するために、経中隔アプローチを用いている。治療対象の患者が卵円孔開存を有しておらず、所望のアクセスのために中隔孔穿孔が必要とされる場合、手術後にその患者の中隔に孔が残り、この中隔孔を適切に処置しなければ、望ましくない血液または血液凝固クロスオーバーが発生する恐れがある。さらに、患者が将来、経中隔アクセスを必要とする追加の手術を受ける場合、それに伴い、追加の穿孔が必要となる。したがって、中隔孔穿孔または卵円孔開存を封止することができ、かつ、追加の穿孔を必要としないか、またはアクセスポイントを有していない閉塞デバイスによってアクセスが妨げられないように、追加の手術のための将来の経中隔アクセスを可能にする医療デバイスを患者に提供することは有益である。
【0011】
本開示は、送達カテーテルまたは他の適切な医療送達デバイスを介して既存の卵円孔開存または中隔孔などに導入し、心房壁の封止機能と、追加の手術のための経中隔アクセス機能との両方を提供するために適所に留置することができる折り畳み式の医療デバイスに関する。すなわち、本開示の折り畳み式の医療デバイスは、血塊が心房壁を横断して移動するのを防止するための所望の封止機能を提供することに加えて、当該医療デバイスの開口ルーメン内に配置された貫通可能かつ再封止可能なガスケット部材によって、中隔壁を横断するためのアクセスポイントまたは「入口(ポータル)」を提供する。ガスケット部材による、この貫通可能かつ再封止可能なアクセスポイントは、患者に追加の治療を提供するために、ニードル、カテーテル、または他の医療デバイスを通過させることを可能にする。アクセスポイントまたは入口をガイドワイヤまたは他の医療ツールによって開くことが可能となることによって、本開示の医療デバイスは、例えば、心房細動、僧帽弁置換または修復、左心耳閉鎖などの様々な心臓手術に特に好適に使用することができる。
【0012】
貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む本開示の折り畳み式の医療デバイスは、多くの利点をユーザに提供する。本開示の折り畳み式の医療デバイスは、該デバイスを所望の位置に確実に固定すると共に、中隔孔の穿孔を毎回行わずに、様々な時点において様々な手術のために使用することができる経路を形成する。さらに、本開示の医療デバイスは、エンドユーザの個人差に対応するために、(折り畳んだ状態で)約8F~約27Fの様々なサイズに形成することができ、かつ、(展開した状態で)約4ミリメートル~約40ミリメートルのサイズの本明細書に記載された閉塞面を含むことができる。
【0013】
本開示の折り畳み式の医療デバイスは、血液の流れを実質的に遮断するように通常構成された複数のワイヤを含む編組繊維(braided fabric)から形成された、1層以上の管状部材から作製される。管状部材は、一般に、編まれた金属ワイヤまたはストランドから形成され、これらは、下記でより詳細に説明するように、所望の形状に形成した後にヒートセットされる。編まれた金属ワイヤは、ワイヤ間で所定の相対配向を有する複数の従来のワイヤである。ワイヤは、本質的に平行な2組の略螺旋状のスタンドを画定し、一方の組のストランドは、他方の組のストランドとは反対の「ハンド(hand)」すなわち回転方向を有する。このような螺旋状ワイヤは、金属繊維業界では管状編組(tubular braid)として知られている略管状の金属織維を画定する。
【0014】
ワイヤのピッチ(すなわち、ワイヤの巻回と管状編組の軸との間に規定される角度)、及び金属繊維のピック(すなわち、単位長さあたりのワイヤの交差数)は、特定の用途に要求される剛性/強度を増加/減少/最適化するために、本明細書の開示に基づいて当業者に知られているように調節することができる。本開示の折り畳み式の医療デバイスを作製するために使用される金属繊維ワイヤは、弾性を有し、かつ所望の形状を実質的に設定するために熱処理することができる材料から作製されることが望ましい。この目的に適した材料としては、当分野ではエルジロイ(Elgeloy)と呼ばれるコバルトベースの低熱膨張合金、へインズ・インターナショナル社(Haynes International)からハステロイ(Hastelloy)という商品名で市販されているニッケルベースの高温高強度超合金、インターナショナル・ニッケル社(International Nickel)からインコネル(Incoloy)という商品名で販売されているニッケルベースの熱処理可能な合金、及び、様々なグレードのステンレス鋼が挙げられる。ワイヤに適した材料を選択する際の重要な要素は、ワイヤが所定の熱処理を受けたときに、その成形プロセスによって生じる適切な量の変形を保持することである。
【0015】
望ましい材料の種類の1つは、形状記憶合金である。形状記憶合金は、温度誘発相変化を有する傾向があり、該合金をその遷移温度以上に加熱して該合金の相変化を誘発することにより固定することができるという好適な構造を有する。この形状記憶合金は、冷却されると、熱処理中の形状を「思い出し」、そのようにすることから制約されない限り、その形状を維持する傾向がある。
【0016】
本開示で使用するのに特に望ましい形状記憶合金は、ニッケル及びチタンのほぼ化学量論的な合金であるニチノールであり、これは、所望の特性を達成するために少量の他の金属を含み得る。ニッケルチタン合金は非常に弾性が高く、一般に、「超弾性」または「擬弾性」と呼ばれている。これらの合金の弾性は、医療デバイスが、変形形態すなわち折畳形態で送達カテーテルを通過した後、患者の体内で展開するために展開形態に復帰することを助ける。ニチノールは、本開示の折り畳み式の医療デバイスを作製するために特に望ましい合金である。
【0017】
本開示の折り畳み式の医療デバイスを作製するために使用される金属ワイヤには、約0.051~0.203ミリメートル(約0.002~0.008インチ)の直径、例えば、約0.051~0.127ミリメートル(約0.002~0.005インチ)の直径を有するワイヤが含まれ得る。このワイヤは、いくつかの実施態様では、約0.076~0.089ミリメートル(約0.003~0.0035インチ)の直径を有し、いくつかの別の実施態様では、約0.076ミリメートル(約0.003インチ)の直径を有する。特定の一実施形態では、このワイヤは、約0.152ミリメートル(約0.006インチ)の直径を有する。ワイヤメッシュ繊維(または管状編組)のワイヤ数は、約36~144の範囲、望ましくは約72~144の範囲であり、いくつかの実施形態では144であり得る。ワイヤメッシュのピック数は、約30~100の範囲、例えば、約50~80の範囲、または70であり得る。上述のように、ワイヤメッシュ繊維のワイヤ直径及びワイヤ数は、作製される折り畳み式の医療デバイスの剛性、強度、及び柔軟性に影響を及ぼす傾向がある。ワイヤサイズの様々な他の実施形態及び組み合わせが、本開示の範囲内で考えられる。
【0018】
本開示の特定の一実施形態では、貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む折り畳み式の医療デバイスは、編組繊維の近位端部をその遠位端部に向けて折り返して内層及び外層を有する構造体に形成した管状部材(例えば、編組ニチノール管など)から作製される。この実施形態では、編組繊維の折り返しにより、自由ワイヤ端部を1組のみ有する二重層構造体が形成される。すなわち、折り返しに起因して、この二重層構造体の一方の端部は平滑であり、自由ワイヤ端部を有していない。また、単一層構造体または二重層構造体に形成され、その近位端部及び遠位端部の両方に自由ワイヤ端部を有する別の実施形態が、以下に開示及び説明される。
【0019】
単一の自由ワイヤ端部を含むこの二重層構造体が形成されると、この二重層構造体は、1以上のマンドレル上に導入され、ヒートセット及び/または熱処理され、その端部が所望の形状に形成される。本開示の多くの実施形態では、二重層構造体は、マンドレルによって、近位端部に近位円板状部分を有し、遠位端部に遠位円板状部分を有し、それらの間に幾何学的形状部分(「ウエスト」と称する場合もある)を有するように形成される。上述のように、この二重層構体造は、一般に、近位端部に1組の自由ワイヤ端部(編組構造体の開放端)を有する。多くの実施形態では、近位円板状部分と遠位円板状部分との間の幾何学的形状部分は、円筒状部分であり得る。近位円板状部分と遠位円板状部分は、互いに同一のサイズであってもよいし、互いに実質的に同一のサイズであってもよいし、または、互いに異なるサイズであってもよい。あるいは、他の実施形態では、それらの間に幾何学的形状部分を有する近位端部及び遠位端部は、円板状以外の幾何学的形状であってもよい。近位端部及び遠位端部の正確な幾何学的形状は、それらの両方が閉塞面及び確実な嵌合を提供する限り、重要ではない。本明細書に開示及び説明される実施形態の多くは、それらの間に円筒状部分を有する近位円板状部分及び遠位円板状部分を指すが、これらの部分は、作製される医療デバイスに、意図する利益を提供する任意の適切な幾何学的形状に形成することができる。いくつかの実施形態では、近位端部及び遠位端部は、個々のユーザのコンピュータ断層撮影スキャンまたは他のスキャン若しくは手法に基づいて、個々のユーザ用にカスタマイズすることができる。
【0020】
マンドレル及び適当な熱処理プロセスを使用して、近位端部に近位円板状部分、遠位端部に遠位円板状部分、及びそれらの間に円筒状部分を有する構造体が形成されると、この構造体の近位端部に存在する自由ワイヤ端部は、編組繊維がほどけないことを確実にするために、固定機構を使用して固定される。自由ワイヤ端部の固定は、例えば、自由ワイヤ端部に生体適合性のセメント系有機材料を、溶接、はんだ付け、ろう付け、熱収縮チュービング、コーティング、接着、結束、または、固定することなどの、当分野で既知の様々な方法または固定機構を用いて行うことができる。1つの望ましい実施形態では、自由ワイヤ端部は、1以上の材料を自由ワイヤ端部上でリフローし、次いで硬化させることによって固定することができる。適切なリフロー材料としては、例えば、熱可塑性材料が挙げられ、ウレタン及びポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標))が望ましい材料である。多くの実施形態では、自由ワイヤ端部は、形成された孔内またはその孔の周囲に追加の構成要素が導入され、最終的にその構造体から作製される医療デバイスの送達を容易にできるように固定及び形成される。すなわち、自由ワイヤ端部は、形成された孔内にナットを導入することができるように固定及び形成され得る。これにより、医療デバイスの送達のために、適切な送達デバイスをナットに取り付けることが可能となる。いくつかの実施形態では、ナット、または別のリング、または他の構成要素、または自由ワイヤ端部は放射線不透過性の材料で作製(またはコーティング)され、これにより、手術中に医療デバイスを配置するとき、医療デバイスの誘導を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、ナットまたは他の構成要素は、材料をリフローする前に、形成された開口または孔に導入してもよく、これにより、材料のリフローにより、自由ワイヤ端部を固定し、ナットまたは他の構成要素を適所に固定することができる。他の実施形態では、自由ワイヤ端部は、平坦な端部を形成するために、トリミングされるか、または、完全に除去され得る。
【0021】
ここで
図1を参照すると、近位端部4と、遠位端部6とを含む折り畳み式の医療デバイス2が示されている。近位端部4は、近位円板状部分8と、コーティング10によって固定された自由ワイヤ端部12とを有する。遠位端部6は、遠位円板状部分14を有する。近位円板状部分8と遠位円板状部分14との間に、円筒状部分16が配置されている。近位円板状部分8及び遠位円板状部分14は、
図1ではそれぞれ円板状に形成されているが、上述のように、近位円板状部分8及び遠位円板状部分14は、任意の適切な幾何学的形状に形成することができる。
【0022】
ここで
図1Aを参照すると、近位端部4と、遠位端部6とを含む折り畳み式の医療デバイス2が示されている。近位端部4は、近位円板状部分8と、コーティング10によって固定された自由ワイヤ端部12とを有する。遠位端部6は、遠位円板状部分14を有する。近位円板状部分8と遠位円板状部分14との間に、円筒状部分16が配置されている。近位円板状部分8と遠位円板状部分14とは、互いに異なるサイズを有する。
【0023】
次に
図2を参照すると、
図1の構造体の近位端図が示されている。医療デバイス2は、近位端部4と、遠位端部6とを含む。近位端部4は、近位円板状部分8と、コーティング10によって固定された自由ワイヤ端部12とを有する。遠位端部6は、ワイヤ端部が存在しない連続表面を有する遠位円板状部分14を有する。近位端部4はさらに、自由ワイヤ端部12内に配置された、医療デバイス2に別の医療デバイス(図示しない)を取り付けるためのナット18を有する。
【0024】
自由ワイヤ端部を構造体に固定した後、ガスケットが、円筒状部分の少なくとも一部に導入される。ガスケットは、円筒状部分の少なくとも一部を実質的に塞ぎ、所望の封止機能を提供することができる実質的に緊密な嵌合を構造体内に提供するように寸法決め及び構成される。ガスケットは、該ガスケットが円筒状部分の全長を占めるように、または円筒状部分の一部のみを占めるように、円筒状部分に導入される。すなわち、ガスケットは、円筒状部分の全長を完全に塞いでもよいし、そうでなくてもよい。加えて、ガスケットは、固定された自由ワイヤ端部によって形成された開口部の一部または全部に延在して塞いでもよいし、そうでなくてもよい。すなわち、ガスケットは、円筒状部分の全部または一部、及び自由ワイヤ端部の固定によって形成された開口部の一部または全部に延在して塞いでもよいし、そうでなくてもよい。
【0025】
ガスケットは、構造体の円筒状部分内に導入され、構造体を貫通するアクセスと、封止機能(及び穿孔後の再封止機能)とを提供する。すなわち、ガスケットは、液体が通過できないように構造体を封止し、それと同時に、ニードル、カテーテル、またはイントロデューサなどの別の医療デバイスが、円板状部分または円筒状部分の封止機能を損なうことなく通過することができる貫通可能な入口を提供する。ニードルなどの別の医療デバイスは、ガスケットが該ガスケットを再封止する時点で、円筒状部分から引き出してもよい。
【0026】
ガスケットは、単一の材料から構成してもよいし、多部品または多成分ガスケットとして、1以上の材料から構成してもよい。ガスケットは、単層から構成してもよいし、または複数層から構成してもよい。いくつかの実施形態では、ガスケットは、全体にわたって均一な密度を有し得る。一方、他の実施形態では、ガスケットの密度は、ガスケットが様々な密度の領域を含むように、領域によって異なるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、ガスケットの全体または1以上の部分は、組織凝塊または血塊の形成を阻止するために、その表面に1以上の抗血栓性コーティングを有する。加えて、ガスケットは、任意選択で、別の医療デバイスによる貫通を容易にするために、1以上の事前に切設されたスリットを有し得る。
【0027】
本開示で使用されるガスケットは、一般に、自己封止材料または自己修復材料から形成される。すなわち、ガスケットは、一般に、貫通可能であり、かつ貫通解除後に再封止または再閉鎖される1以上の材料から形成される。ガスケットの形成には、例えば、ポリマー、シリコーン系材料、軟質熱可塑性樹脂などの、様々な適切な材料を使用することができる。ガスケットを形成するために使用される正確な材料は、本明細書に記載された所望の貫通可能かつ再封止可能な特性を提供する限り、重要ではない。
【0028】
ガスケットが、構造体の円筒状部分の少なくとも一部分の内部の所望の位置に配置されると、ガスケットは、その位置で安定化及び固定され、これにより、ガスケットが所望の位置に留まり、構造体内で実質的に移動しないことを確実にすることができる。1つの具体的な実施形態では、ガスケットは、1以上の縫合糸を、編組繊維の管状部材、及びガスケットを貫通して導入することによって、構造体内で安定化及び固定され、これにより、編組繊維及びガスケットは縫合され一体化される。ガスケットの安定化及び固定には、任意の数の縫合糸を使用することができる。ガスケットを安定化及び固定する他の手段、例えば、ボンディング、接着なども、本開示に従って用いることができる。
【0029】
次に
図3を参照すると、本開示の一実施形態による折り畳み式の医療デバイス20が示されている。折り畳み式の医療デバイス20は、近位端部4と、遠位端部6とを含む。近位端部4は、近位円板状部分8と、コーティング10によって固定された自由ワイヤ端部12とを有する。遠位端部6は、遠位円板状部分14を有する。近位円板状部分8と遠位円板状部分14との間に、円筒状部分16が配置されている。円筒状部分16内に、ガスケット22が配置されている。ガスケット22は、縫合糸23によって、円筒状部分16に取り付けられる。
【0030】
次に
図4を参照すると、
図3の折り畳み式の医療デバイス20の近位端図が示されている。折り畳み式の医療デバイス20は、近位円板状部分8と、円筒状部分16内に配置されたガスケット22とを含む。
【0031】
本開示の別の実施形態では、上述のような貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む折り畳み式の医療デバイスは、編組繊維から形成された管状部材の単一層(例えば、編組ニチノール管など)、または編組繊維から形成された管状部材の二重層(別の管状部材の内側の1つの管状部材)から、折り返しをしないで形成される。すなわち、この別な実施形態では、編組繊維から形成された管状部材は、上述のように、まず、二重層構造体を形成するために、それ自体の上に折り返さない。この別の実施形態では、一方の組は近位端部に位置し、他方の組は遠位端部に設置する2組の自由ワイヤ端部(編組繊維の2つの開放端)を含む、単一層または二重層構造体が形成される。2組の自由ワイヤ端部を含む、編組繊維のこの単一層または二重層構造体は、まず、1以上のマンドレル上に導入され、次いで、ヒートセット及び/または熱処理され、これにより、上述のような所望の構造体に形成される。例えば、一実施形態では、編組繊維の単一層または二重層構造体は、近位端部の近位円板状部分、遠位端部の遠位円板状部分、及びそれらの間の円筒状部分を含むように、1以上のマンドレル上に形成されてもよい。
【0032】
マンドレル及び適切な熱処理プロセスを使用して、近位端部に近位円板状部分、遠位端部に遠位円板状部分、及びそれらの間に円筒状部分を有する構造体を形成した後、近位端部及び遠位端部に存在する自由ワイヤ端部は、近位端部及び遠位端部でほどけないことを確実にするために、上述のように固定される。構造体の近位端部及び遠位端部のそれぞれに、互いに同一のまたは異なる固定技術を用いることができる。
【0033】
自由ワイヤ端部が構造体の近位端部及び遠位端部に固定された後、上述のように、ガスケットが円筒状部分の少なくとも一部に導入される。ガスケットは、円筒状部分の少なくとも一部を実質的に塞ぎ、所望の封止機能を提供することができる実質的に緊密な嵌合を構造体内に提供するように寸法決め及び構成される。
【0034】
次に
図5を参照すると、この別の実施形態に従って形成された折り畳み式の医療デバイス24が示されており、ここでは、編組繊維の単一層が使用されている。折り畳み式の医療デバイス24は、近位端部26と、遠位端部28とを含む。近位端部26は、近位円板状部分30と、コーティング32によって固定された自由ワイヤ端部34とを有する。遠位端部28は、遠位円板状部分36と、コーティング38によって固定された自由ワイヤ端部40とを有する。近位円板状部分30と遠位円板状部分36との間に、円筒状部分42が配置されている。円筒状部分42内に、ガスケット44が配置されている。ガスケット44は、縫合糸46によって、円筒状部分42に取り付けられる。
【0035】
上述のように、本開示のいくつかの実施形態では、折り畳み式の医療デバイス上の自由ワイヤ端部は、作製される折り畳み式の医療デバイスの全体的な輪郭を減少させるために、トリミングするか、または、完全に削除してもよい。このことは、折り畳み式の医療デバイスの全体的なサイズが問題となるいくつかの実施形態では、有益であり得る。このようなトリミングは、トリミング後に残った構造体がほどけて分解しない限り、当業者に既知の任意の手段によって達成することができる。ここで
図6を参照すると、近位端部及び遠位端部の両方の自由ワイヤ端部がトリミングされた、本開示の折り畳み式の医療デバイスの一実施形態が示されている。折り畳み式の医療デバイス50は、近位端部52と、遠位端部54とを含む。近位端部52は近位円板状部分56を含み、遠位端部54は遠位円板状部分58を含む。近位円板状部分56と遠位円板状部分58との間に、円筒状部分60が配置されている。円筒状部分60内には、ガスケット62が配置されている。ガスケット62は、縫合糸64によって、円筒状部分60に取り付けられる。
【0036】
図7A及び
図7Bは、一実施形態による、中隔孔を閉塞するための貫通可能かつ再封止可能なガスケット(例えば、
図3に示すガスケット22など)を含む折り畳み式の医療デバイス(例えば、
図3に示す折り畳み式の医療デバイス20など)を作製する方法100を説明するためのフロー図である。方法100は、編組された管状部材の第1の端部(例えば、近位端部)を、編組された管状部材の第2の端部(例えば、遠位端部)に向けて折り返して、内層、外層、及び自由ワイヤ端部を有する構造体を形成するステップ102を含む。方法100はさらに、(例えば、マンドレルを使用して)構造体の近位端部に近位円板状部分、構造体の遠位端部に遠位円板状部分、及びそれらの間に円筒状部分を有するように構造体を形成するステップ104を含む。方法100はさらに、構造体の自由ワイヤ端部を固定するステップ106を含む。方法100はさらに、任意選択で、固定された自由ワイヤ端部を所望の長さにトリミングするステップ108を含む。方法100はさらに、円筒状部分内にガスケットを導入するステップ110と、任意選択で、ガスケットを円筒状部分に固定するステップ112とを含む。そして、方法100は、任意選択で、医療送達デバイスと結合させるための固着機構を構造体に取り付けるステップ114を含む。
【0037】
図8A及び
図8Bは、一実施形態による、中隔孔を閉塞するための貫通可能かつ再封止可能なガスケット(例えば、
図5に示すガスケット44など)を含む折り畳み式の医療デバイス(例えば、
図5に示す折り畳み式の医療デバイス24など)を作製する方法200を説明するためのフロー図である。方法200は、編組された管状部材を1以上のマンドレル上に導入するステップ202と、近位端部に近位円板状部分、遠位端部に遠位円板状部分、それらの間に円筒状部分を有する構造体であって、構造体の近位端部に自由ワイヤ端部が配置され、構造体の遠位端部に自由ワイヤ端部が配置された構造体を形成するステップ204とを含む。方法200はさらに、構造体の近位端部及び遠位端部において、自由ワイヤ端部を固定するステップ206を含む。方法200はさらに、任意選択で、固定された自由ワイヤ端部を所望の長さにトリミングするステップ208を含む。方法200はさらに、円筒状部分内にガスケットを導入するステップ210と、任意選択で、ガスケットを円筒状部分に固定するステップ212とを含む。そして、方法200は、任意選択で、医療送達デバイスと結合させるための固着機構を構造体に取り付けるステップ214を含む。
【0038】
本明細書に記載されたように、貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む本開示の折り畳み式の医療デバイスは、患者の体内の所望の位置に導入されて展開されると、中隔壁を横断するためのアクセスポイントまたは「入口(ポータル)」を提供する。本開示の例示的な一実施形態では、折り畳み式の医療デバイスは、既存の卵円孔開存または中隔孔に導入され、本明細書で説明されるように、折り畳み式の医療デバイスの遠位端部及び近位端部に配置された円板状部分(または他の閉塞面)、並びに、貫通可能かつ再封止可能なガスケットが、卵円孔開存または中隔孔を封止するように展開される。本明細書に記載されたような貫通可能かつ再封止可能なガスケットを含む折り畳み式の医療デバイスが展開されると、(本明細書に記載したようなさらなる治療のために)隔壁を横断するアクセスは、以下のようにして行われる。まず、ガスケットを配置し、ガスケットにガイドカテーテルまたは同様の送達デバイスを接触させる、続いて、ガイドカテーテルを通じて中隔孔穿孔ニードルまたはその同等物を前進させ、ガスケットをその全長にわたって貫通させる。中隔孔穿孔ニードルがガスケットを貫通して前進した後、ガイドカテーテルを、中隔孔穿孔ニードルに沿って、ガスケットを貫通して前進させる。次に、ガイドカテーテルからニードルを抜去する。これにより、ガイドカテーテル及び貫通可能かつ再封止可能なガスケットを通じた(すなわち、中隔壁を横断した)、折り畳み式の医療デバイスの経中隔アクセスが提供される。そして、追加の医療デバイス及び/または治療を、さらなる中隔孔穿孔を必要とせずに、ガイドカテーテルを介して、及び中隔壁を横断して導入または提供する。追加の医療デバイス及び/または治療を導入または提供した後、それらをガイドカテーテルから後退させ、次いで、ガスケットからガイドカテーテルを除去する。ガイドカテーテルを除去した後、貫通可能かつ再封止可能なガスケットは、それ自体を再封止して、さらなる経中隔アクセスを可能にしながら、所望の封止機能を提供する。
【0039】
図9A及び
図9Bは、患者の中隔壁を横断するアクセスを提供する方法300を説明するためのフロー図である。方法300は、2つの閉塞面と、貫通可能かつ再封止可能なガスケットとを含む折り畳み式の医療デバイスを既存の卵円孔開存または中隔孔に導入するステップ302と、折り畳み式の医療デバイスを展開して、卵円孔開存または中隔孔を封止するステップ304とを含む。方法300は、さらに、貫通可能かつ再封止可能なガスケットにガイドカテーテルを配置するステップ306と、貫通可能かつ再封止可能なガスケットにガイドカテーテルを接触させるステップ308とを含む。方法300はさらに、中隔孔穿孔ニードルをガイドカテーテル及びガスケットを通じて前進させるステップ310を含む。方法300は、さらに、ガイドカテーテルを中隔孔穿孔ニードルに沿って前進させるステップ312と、ガイドカテーテルから中隔孔穿孔ニードルを抜去して、中隔壁を横断するアクセスを提供するステップ314とを含む。いくつかの実施形態では、ステップ306、308、310、312及び314は、ステップ302及び304とは別個の方法において完了することができる。つまり、同じ手術者または別の手術者によって、別々の手技で完了させることができる。
【0040】
本開示の様々な実施形態がある程度の具体性をもって記載されているが、当業者であれば、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に対して様々な変更を行うことができるであろう。全ての方向についての言及(例えば、上方、下方、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、頂部、底部、上側、下側、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、本開示の理解を補助することを目的として特定する目的のためにのみ使用されており、とりわけ、本開示における位置、向き、または使用について、制限を設けるものではない。結合についての言及(例えば、取り付けられた、結合された、接続された等)は、広義に解釈され、構成要素の結合部間の中間部材や、構成要素間の相対的な移動を含んでもよい。したがって、結合についての言及は、2つの構成要素が、互いに直接的に結合され、互いに固定された関係であることを必ずしも暗示しない。上記の説明に含まれた、または添付の図面に示された全ての事項は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を限定することは意図していない。詳細または構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の主旨から逸脱しない範囲で行うことができる。
【0041】
参照により本明細書に組み込まれていると述べられた全ての特許、刊行物、または他の開示資料の全体または一部は、本開示に記載された既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない範囲においてのみ、本明細書に組み込まれる。したがって、また必要な程度で、本明細書に明示的に記載された開示内容は、参照により本明細書に組み込まれたいずれの矛盾する資料にも優先する。参照により本明細書に組み込まれると述べられたが、本明細書に記載された既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾するいずれの資料またはその一部の、組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれる。