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特許7163370生体力学的な負荷を変更するための人工知能支援
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】生体力学的な負荷を変更するための人工知能支援
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20221024BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20221024BHJP
   A61B 5/11 20060101ALN20221024BHJP
【FI】
A63B71/06 T
A61B5/00 102C
A61B5/11 230
【請求項の数】 46
(21)【出願番号】P 2020512080
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2018061232
(87)【国際公開番号】W WO2018202731
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】1706907.1
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519392878
【氏名又は名称】アトー-ギア ホールディング べスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【弁理士】
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エドワード ステイサム
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック フレーデリク ヤン ルチェス
(72)【発明者】
【氏名】ユルヘン ヨハンネス アドリアヌス ファン デン ベルフ
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-000522(JP,A)
【文献】特表2016-508787(JP,A)
【文献】特開2013-013667(JP,A)
【文献】特表2016-528943(JP,A)
【文献】特開2009-254788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0067584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
A61B 5/00
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーがアクションを実行するためのモーション調整指示を生成するように構成されたシステムであって、該システムは、
前記ユーザーの目標生体力学的負荷分布を取得するように構成された目標モジュールと、
監視されたモーションデータを取得するために、前記ユーザーのモーションを監視するように構成されたセンサー配列と、
前記監視されたモーションデータに基づいて、および前記ユーザーの身体の計算力学モデルを使用して、前記身体の複数の部分に加えられる力の大きさの値を計算することにより、前記監視されたモーションデータにしたがって、前記ユーザーの監視生体力学的負荷分布を計算するように構成された監視モジュールであって、生体力学的負荷分布は、前記ユーザーの前記モーションの結果として前記身体に加えられる力の前記ユーザーの身体の部分内の分布を表すデータを含む、監視モジュールと、
前記目標生体力学的負荷分布からの前記監視生体力学的負荷分布の偏差の減少に対応する前記ユーザーの前記モーションに対する目標調整を計算するように構成された調整モジュールと、
前記目標調整にしたがってモーション調整指示を生成するように構成された指示モジュールと
を備える、システム。
【請求項2】
前記モーション調整指示を前記ユーザーに提供するように構成されたユーザーインターフェースをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザーインターフェースが、リアルタイムで前記ユーザーにモーション調整指示を提供するように構成されているように構成された、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサー配列は、少なくとも1つの圧力センサーを備え、移動中に地面によって足にかかる接地力の結果として、前記ユーザーの足の1つ以上の領域にかかる圧力を監視するように構成され、前記監視されたモーションデータは、前記監視された圧力を表すデータを含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記センサー配列は、さらに、前記ユーザーの足の線形加速度および回転速度を監視するように構成された慣性測定ユニットを備え、前記監視されたモーションデータは、前記監視された線形加速度と回転速度を表すデータを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサー配列は、前記アクションの実行中に、前記ユーザーの身体の1つ以上の監視された部分の速度と向きを監視するように構成されたセンサーを備える、請求項1ないしのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記調整モジュールは、前記目標生体力学的負荷分布に対する前記監視生体力学的負荷分布の調整を表すように、前記目標調整を計算するように構成される、請求項1ないしのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記指示モジュールは、前記ユーザーの前記モーションを定義する1つ以上のパラメーターを識別するように構成され、さらに、前記目標調整に基づいて、前記目標調整をもたらすように前記アクションを実行する際に、前記ユーザーが変更を実行できるように、前記1つ以上のパラメーターのうちの少なくとも1つの値の変更を計算することにより、前記モーション調整指示を生成するように構成される、請求項1ないしのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサー配列は、複数の慣性測定ユニットを備え、前記慣性測定ユニットの各々は、前記ユーザーの身体または衣服の一部に取り付けることができ、取り付けられている部分の線形加速度と回転速度を監視するように構成され、前記監視されたモーションデータは、前記複数の慣性測定ユニットのそれぞれからの前記監視された線形加速度および回転速度を表すデータを含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
生理学的客観データに対応するユーザー入力を受信するように構成されたユーザー入力デバイスをさらに備え、前記目標モジュールは、前記ユーザー入力デバイスから受信した生理学的客観データにしたがって、前記目標生体力学的負荷分布を計算することにより、前記目標生体力学的負荷分布を取得するように構成されている、請求項1ないしのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、ユーザーが前記アクションの実行スタイルを変更できるように構成された、プログラムされたプロセッサベースのシステムであり、
前記システムは、さらに、
ログファイルにセンサー値を記録するためのストレージデバイスと、
前記ユーザーが直接影響を与えることができるパラメーターを変更する指示を決定するように構成された人工知能アドバイスモジュールと、
前記指示を前記ユーザーに出力するための少なくとも1つの出力デバイスと、
を備え、
前記人工知能アドバイスモジュールは、身体の生体力学的負荷分布を含む測定のプロファイルに関して現在の身体的状態を計算し、前記ユーザーに出力される指示を計算するために、それを使用し、前記指示は、次の時間インターバルで少なくとも1つのパラメーター変更を試みるよう前記ユーザー要求し、前記ユーザーが、測定の目標プロファイルによって記述される特定の身体的状態を達成することを支援するために、前記次の時間インターバルの後の後続の指示は身体的状態がどのように変化したかに依存する、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ユーザーが、前記目標プロファイルに向けて進行中の最適な利益を生み出すために変更しようとする次のパラメーターのゴールを決定するために各時間インターバルの後に計算を実行するように構成される人工知能アドバイスモジュールをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記指示モジュールは、前記アクションの実行中にパフォーマンスへの影響を推定し、前記モーション調整指示を調整するために、それを使用するように構成される、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記目標調整を計算するため、および/または、前記モーション調整指示を生成するために、機械学習を使用するように構成された人工知能アドバイスモジュールを含む、請求項11ないし13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記生体力学的負荷分布を計算することは、前記ユーザーの両足以外の前記ユーザーの身体の部分に伝達される力を計算することを含む、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記センサー配列は、さらに、前記ユーザーの片足又は両足の速度を測定するように構成された慣性測定ユニットを備え、前記監視モジュールは、前記ユーザーの身体のその他の部分に伝達される力を計算し、前記生体力学的負荷分布を計算するため、前記ユーザーの片足又は両足にかかるインパルスまたは力を計算するために前記測定された速度を使用するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記監視モジュールは、前記ユーザーが前記アクションを実行する間、前記ユーザーの体全体の力の分布を計算するために前記監視されたモーションデータを使用するように構成される、請求項1ないし16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記分布は、前記ユーザーの筋骨格系全体の力の分布である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記監視モジュールは、前記センサー配列により直接的に監視されるものと異なる前記身体の部分にかかる力を計算するように構成される、請求項1ないし18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記ユーザーの身体を数学モデルとして表し、そのモデルにしたがって生体力学的力分布と前記監視されたモーションデータとの関係を計算することにより、前記かかる力が計算される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
アクションを実行するユーザーのためのモーション調整指示を生成するコンピューター実装方法であって、該コンピューター実装方法は、
前記ユーザーの目標生体力学的負荷分布を取得するステップと、
センサー配列を使用して、監視されたモーションデータを取得するために前記ユーザーのモーションを監視するステップと、
前記監視されたモーションデータに基づいて、および前記ユーザーの身体の計算力学モデルを使用して、前記身体の複数の部分に加えられる力の大きさの値を計算することにより、前記監視されたモーションデータにしたがって、前記ユーザーの監視生体力学的負荷分布を計算するステップであって、生体力学的負荷分布は、前記ユーザーの前記モーションの結果として前記身体に加えられる力の前記ユーザーの身体の部分内の分布を表すデータを含む、ステップと、
前記目標生体力学的負荷分布からの前記監視生体力学的負荷分布の偏差の減少に対応する前記ユーザーの前記モーションに対する目標調整を計算するステップと、
前記目標調整にしたがってモーション調整指示を生成するステップと、
を含む、コンピューター実装方法。
【請求項22】
前記モーション調整指示を前記ユーザーに提供するステップをさらに含む。請求項21に記載のコンピューター実装方法。
【請求項23】
前記監視生体力学的負荷分布を計算するステップは、前記監視されたモーションデータに基づいて、および前記身体の計算力学モデルを使用して、前記ユーザーの身体の複数の部分に加えられる力の大きさと方向の値を計算するステップを含む、請求項21または22に記載のコンピューター実装方法。
【請求項24】
前記アクションは移動であり、前記目標調整の指標は、該移動の歩行を変更するための指示を含む、請求項21から23のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項25】
前記目標調整は、前記監視生体力学的負荷分布の前記目標生体力学的負荷分布への調整を表すように計算される、請求項21から24のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項26】
前記モーション調整指示を生成するステップは、前記ユーザーの前記モーションを定義する1つ以上のパラメーターを識別するステップと、前記目標調整に基づいて、前記目標調整をもたらすように前記アクションを実行する際に、前記ユーザーが変更を実行できるように、前記1つ以上のパラメーターのうちの少なくとも1つの値の変更を計算するステップと、を含む、請求項21から25のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項27】
前記監視されたモーションデータは、前記アクションの実行中の前記ユーザーの身体の1つ以上の監視された部分の速度および方向の指標を含む、請求項21から26のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項28】
前記身体の1つ以上の監視された部分は、前記ユーザーの片方または両方の足を含み、監視された足の各々に対する前記監視されたモーションデータは、歩行サイクルの立脚期における足の速度と方向の指標を含む、請求項27に記載のコンピューター実装方法。
【請求項29】
前記監視されたモーションデータは、移動中に地面によってその足に加えられた接地力の結果として、前記監視された足の1つ以上の領域に加えられた圧力の指標をさらに含む、請求項28に記載のコンピューター実装方法。
【請求項30】
前記目標生体力学的負荷分布を取得するステップは、ユーザー入力デバイスから生理学的客観データを受信するステップと、前記生理学的客観データにしたがって前記目標生体力学的負荷分布を計算するステップと、を含む、請求項21ないし29のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項31】
理学的客観データは、パフォーマンスの改善、負傷リスクの低減、および、健康とフィットネスの改善のうちのいずれかを含む前記ユーザーの主要目標に対応する、請求項21から30のいずれかに記載のコンピューター実装方法。
【請求項32】
前記健康とフィットネスの改善は、筋力、筋肉の緊張、ホルモン生成、カロリー燃焼、減量、関節可動性、前記ユーザーの持久力または心血管の健康のうちのいずれかの改善を含む、請求項31に記載のコンピューター実装方法。
【請求項33】
前記コンピューター実装方法は、前記ユーザーの生理学的および生体力学的負荷データを取得するステップをさらに含み、前記目標生体力学的負荷分布を取得するステップは、パラメーター値の測定値セットとして目標生体力学的負荷分布を定義するために、前記生理学的客観データ並びに前記生理学的および生体力学的負荷データを使用するステップを含む、請求項30ないし32のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項34】
実行されている前記アクションの結果として発生する前記ユーザーの負傷の推定確率を示す負傷リスクパラメーターを計算するステップと、前記負傷リスクパラメーターにしたがって前記モーション調整指示を生成するステップと、をさらに含む、請求項21ないし33のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項35】
前記コンピューター実装方法は、前記ユーザーの負傷感受性データを取得するステップであって、該負傷感受性データは、生体力学的負荷が最小化される前記ユーザーの身体の1つ以上の負傷を受けやすい部分の指標を含む、ステップをさらに含み、前記目標生体力学的負荷分布を取得するステップは、前記ユーザーの前記モーションの結果として前記1つ以上の負傷を受けやすい部分にかかる力を最小化するように、前記目標生体力学的負荷分布を計算するステップを含む、請求項21から34のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項36】
前記身体の示された部分は、負傷を受けやすい関節または筋肉に対応する、請求項31に記載のコンピューター実装方法。
【請求項37】
前記コンピューター実装方法は、前記ユーザーの目標身体部分データを取得するステップをさらに含み、前記目標身体部分データは、生体力学的負荷を最大化する前記ユーザーの身体の1つ以上のトレーニング目標部分の指標を含み、前記目標生体力学的負荷分布を取得するステップは、前記ユーザーの前記モーションの結果として前記1つ以上のトレーニング目標部分に加えられる力を最大化するように、前記目標生体力学的負荷分布を計算するステップを含む、請求項21ないし36のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項38】
前記身体の示された部分は、筋肉の成長の適応を刺激するために、特定の解剖学的構造に運動またはストレスを加えるように前記目標生体力学的負荷分布が計算されるように、活動におけるパフォーマンスを改善すること、または、特定の筋肉群を従事させることを通して、カロリー消費を改善することが期待される関節または筋肉に対応する、請求項37に記載のコンピューター実装方法。
【請求項39】
標生体力学的負荷は、筋肉群または関節の疲労の発症を減らし、および、前記アクションに関する前記ユーザーの持久力を向上させるために、前記ユーザーの前記モーションの結果として前記ユーザーの身体の1つ以上の部分に加えられる力を均等に分散するように計算される、請求項21から38のいずれかに記載のコンピューター実装方法。
【請求項40】
前記ユーザーが前記アクションを実行している地形および環境条件の指標を含む環境データを取得するステップをさらに含み、前記目標調整の計算は、前記環境データにしたがって実行される、請求項21ないし39のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項41】
前記コンピューター実装方法は、ユーザーによる前記アクションの実行スタイルの変更を支援するのに適しており、前記コンピューター実装方法は、
前記センサー配列からのセンサー値をログファイルに記録するステップと、
前記ユーザーが直接影響を与えることができるパラメーターを変更するための指示を決定するステップと、
前記ユーザーに前記指示を出力するステップと、
をさらに含み、
前記ユーザーの身体の生体力学的負荷分布を含む測定のプロファイルに関して前記ユーザーの現在の身体状態を計算するステップと、
前記ユーザーに出力される指示を計算するために、それを使用するステップと、
をさらに含み、
前記指示は、前記ユーザーが、次の時間インターバルで少なくとも1つのパラメーターの変更を試みることを要求し、前記ユーザーが、測定の目標プロファイルによって記述された特定の身体的状態を達成するのを支援するために、前記次の時間インターバルの後の後続の指示は、身体状態がどのように変化したかに依存する、請求項21ないし40のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項42】
前記目標プロファイルに向けて進行中の最適な利益を生み出すために、前記ユーザーが変更を試みるべき次のパラメーターのゴールを決定するために、各時間インターバルの後に計算を実行するステップを含む、請求項41に記載のコンピューター実装方法。
【請求項43】
前記アクションの実行中にパフォーマンスへの影響を推定するステップと、前記指示を調整するために、それを使用するステップと、をさらに含む、請求項41または42に記載のコンピューター実装方法。
【請求項44】
前記アクションは、スポーツ活動または運動の形式であり、ランニングに関連している、請求項41ないし43のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項45】
前記目標調整を計算するために、および/または、前記モーション調整指示を生成するために、機械学習を使用するステップを含む、請求項21ないし44のいずれか1項に記載のコンピューター実装方法。
【請求項46】
コンピューターによって実行されると、該コンピューターを、
ーザーの目標生体力学的負荷分布を取得し、
センサー配列からのデータを使用して、監視されたモーションデータを取得するための前記ユーザーのモーションを監視し、
前記監視されたモーションデータに基づいて、および前記ユーザーの身体の計算力学モデルを使用して、前記身体の複数の部分に加えられる力の大きさの値を計算することにより、前記監視されたモーションデータにしたがって、前記ユーザーの監視生体力学的負荷分布を計算し、生体力学的負荷分布は、前記ユーザーの前記モーションの結果として前記身体に加えられる力の前記ユーザーの身体の部分内の分布を表すデータを含み、
前記目標生体力学的負荷分布からの前記監視生体力学的負荷分布の偏差の減少に対応する前記ユーザーの前記モーションに対する目標調整を計算し、
前記目標調整にしたがって、モーション調整指示を生成するように構成するコンピューター実行可能コードを格納するように構成されたコンピューター可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーのモーション調整指示を生成するシステムおよび方法に関する。本発明は、スポーツ活動や運動形態、たとえば、ランニングなど、アクションに適用可能である。ここで人は、通常、そのスポーツ活動や運動形態に合わせてテクニックを変更することを援助してもらうためにコーチを雇う。
【背景技術】
【0002】
多くの形式の運動にはスポーツ活動が含まれており、1つの例がランニングである。トレーニング中の全体的な機械的負荷を評価し、トレーニング効果を最適化するために次のトレーニングセッションで試行するトレーニングの種類に関するアドバイスを与えるシステムがある(例えば、米国特許8348809号)。しかしながら、そのようなシステムは、行われた累積作業に基づいて推奨を行い、ユーザーがランニングのスタイルを変更するのを援助しない。人々が走ることを選択するのには、多くの異なる理由がある。ランナーは負傷してランニング活動を減らすことを望まないし、競争するランナーはパフォーマンスを改善したいと思う。ランニングにはさまざまなスタイルがあり、ランナーは、一般的に、パフォーマンスや負傷のリスクにどのように影響するかを認識せずにスタイルを採用するランニングスタイルは、人が、ランニング中の体の位置、足と関節の配置、および、例えば、靴、インソールまたは膝装具などの装備の種類などを制御できる多くの要因によって決まる。ユーザーが直接制御できる典型的な例は、ケイデンス、歩長、足のどの部分が最初に接触するか、柔らかい着地のための膝の屈曲、着陸前の筋肉の事前緊張、前方または後方への傾き、垂直振動(バウンス)、バランス(より多くの時間を過ごす、および/または、左足または右足を強く押す)、腹部の筋肉の緊張など骨盤の回転とコア筋肉の活動である。ランナーは、多くの場合、スタイルのこれらすべての側面を認識しておらず、通常、彼らが望む利益を得るためにどの側面を変更すべきかを知らない。したがって、ランニング中のパフォーマンスを改善したり、負傷のリスクを減らしたい場合は、彼らは、通常、人間のコーチまたはパーソナルトレーナーから助けを得る。コーチは、通常、走っている人を観察し、能力を評価するためのテストを実行できる。そして、その後、次のランニングセッションでランニングテクニックを改善するために、その人が何をすべきかについてアドバイスを提供する。このアドバイスは、多くの場合、経験と直感に基づいている。しかし、その人が、複数のセンサーを搭載した専用のトレッドミルで走っており、そして、コーチはランナーと並んでいる場合、そのコーチはランナーに、ケイデンス(歩/分)、心拍数、酸素消費量、および、プラットフォームの衝撃力などの身体的指標に基づいて、提案をフィードバックすることができる。しかしながら、人がトラック、道路または歩道を走っている場合、コーチが、ランナーが、全体的なパフォーマンスを見る、および、走ったあとのその人へのインタビューによること以外のスタイルで、小さな変更を加えることに成功しているかどうかを評価するのは難しい。その人が「フィールドにおいて」自然なランニング環境で走っているとき、コーチは、瞬時的にパラメーターを測定できず、あるいは、ランニング中に修正提案をフィードバックすることはできない。したがって、活動を実行中のボディにおける力の分布における特定の変化を達成するために、人にスタイルやテクニックを変える方法を教える理想的には活動中に、指示を与えることができ、そして、進捗状況を測定および監視することができるポータブル機器を持つことが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、ユーザーがアクションを実行する場合、モーション調整指示を生成するように構成されたシステムが提供される。システムは、ユーザーの目標生体力学的負荷分布(target biomechanical load distribution)を取得するように構成された目標モジュールと、監視されたモーションデータを取得するために、ユーザーのモーションを監視するように構成されたセンサー配列と、監視されたモーションデータにしたがって、ユーザーの監視生体力学的負荷分布を計算するように構成された監視モジュールと、目標生体力学的負荷分布から、監視生体力学的負荷分布の偏差の減少に対応するユーザーのモーションに対する目標調整を計算するように構成された調整モジュールと、目標調整にしたがってモーション調整指示を生成するように構成された指示モジュールとを備える。
【0004】
有利なことに、システムには、ユーザーがそのアクションを実行している間、ユーザーの体に適用される力を推測または推定するアクションを実行するユーザーの体の一部のモーション、そして、それらの力がどのように体全体、特に、ユーザーの筋骨格系に分配されるか、の指標または尺度を含む監視対象のモーションデータを使用する機能がある。システムは、この推論または目標生体力学的負荷分布を考慮してユーザーの生体力学的負荷分散である体全体の分布力の推定を使用できる。それは、ユーザーが、彼らが、その結果、経験豊富な負荷分散が、目標生体力学的負荷分布に向けて修正されるアクションを実行するマナーに加えることができる変更を識別するために何らかの方法で有益であると計算または決定されたものを達成することを望む身体を通して力の特定または所定の分布を表すことができる。システムは、モーション調整指示の形式で、ユーザーへの実行方法において、識別された変更を提供することができる。
【0005】
したがって、システムは、ユーザーが、アクションまたは特定のエクササイズの実行の監視プロパティに基づいて、指示を受け取ることを可能にする。そして、生体力学的負荷分布が、アクションの実行から生じるものが、目標生体力学的負荷分布と等しくなる、または、それに近くなるために、ユーザーに実行方法を変更する指標を示すことを可能にする。
【0006】
モーション調整指示は、その指示がユーザーに目標調整を達成する方法、たとえば、アクションを実行する方法を意識的に変更する方法を知らせるように、目標調整から導出することができる。
【0007】
モーション調整指示が目標調整の指標を含むという意味で、目標調整にしたがって、モーション調整指示を生成することができる。目標生体力学的負荷分布に向けてそれらがアクションを実行した結果、生体力学的負荷分散を達成または進行または修正するために、アクションの実行にどのような変更を加える必要があるかについて、このように、ユーザーに指示するように、指標は詳細化される。他の実施形態では、指標は本質的にもっと基本的なものである可能性があり、ユーザーのモーションの1つ以上のパラメーターがユーザーを目標生体力学的負荷分布に近づけるモーションの変化に対応する値の範囲内または範囲外であることを示す単純なインジケーターを含むことができる。
【0008】
指標はさまざまな形式、たとえば、口頭、テキストまたは音声メッセージ、たとえば、ユーザーが調整できるアクションの実行のパラメータのいずれかでありえる。いくつかの実施形態では、この指標は、1つ以上のLEDを点灯することにより、または、デジタルディスプレイに表示されるアイコンまたはメッセージによってユーザーに提供される視覚的指標を含むことができる。
【0009】
モーション調整指示は、したがって、目標調整を明示的に示す方法で、または暗黙的にそれを示す方法でアクションの実行方法をどのように適応させるかをユーザーに示すことができる。例えば、目標調整が、ユーザーが自分の足が地面に衝突する速度を減少させることを含む場合、システムが、ユーザーは、速度を落とすための信号として解釈する色付きLEDの照明の形で、ユーザーがランニング速度を下げる必要がある暗黙的なインジケータを提供することができる。他の例では、ユーザーに速度を遅くするように指示する、または、足の衝撃レベルが大きすぎるため、減らす必要があることをより明確に説明するテキストメッセージを配信することにより、同じ目標調整を、より明示的に示すことができる。
【0010】
このシステムは、ユーザーが、彼らがその活動中の体内の力、モーメント、および、トルクのいずれかの分布に特定の変更を加えるために、・スポーツ活動に使用するテクニックを変更するのを支援するインタラクティブな指示を提供するウェアラブルシステムおよび装置として実装できる。
【0011】
コーチングシステムと考えられるこのシステムは、通常、ユーザーがスポーツ活動または運動を行っている間、多くの生理学的要素および/または生体力学的パラメーターを測定または導出できる装置で実装され、ユーザーからの入力を許可し、ユーザーにフィードバックを提供することができる。
【0012】
通常使用されるアルゴリズムを、何らかの形の組み込みコンピューティングデバイスである人工知能アドバイスモジュールにおいて実装できる。いくつかの実施形態では、アクション、スポーツ活動、または、運動の形式はランニングに関連している。しかしながら、システムが使用されるアクションは、他の多くのタイプの活動のいずれかであることが理解される。システムは、センサー配列から監視モーションデータを取得し、活動から生じる生体力学的負荷分散をその活動に対応する測定または監視されたモーションに基づいて計算できるユーザーアクションに関連してモーション調整指示を生成できる能力がある。
【0013】
いくつかの実施形態では、システムはさらに、モーション調整指示をユーザーに提供するように構成されたユーザー・インタフェースを備える。このユーザーインターフェースは、視覚的、聴覚的、触覚的、または、モーション調整指示を示すことができる他の形式の情報またはユーザーへの信号のいずれかを提供するデバイスを備える。このようなユーザーインターフェースは、ウェアラブルまたは人に取り付け可能である。それは、アクションの実行中に着用またはユーザーに取り付けられるように、ユーザーの身体や衣服である。これにより、彼らがアクションを実行している間、指示に応じて、ユーザーがアクションの実行を調整できるように、パフォーマンス調整時のフィードバックの方法でモーション調整指示を提供できる。
【0014】
いくつかの実施形態では、このシステムは、外部ユーザーインターフェイスまたは情報配信デバイスを介して、ユーザーにモーション調整指示を提供するように構成できる。例えば、このシステムは、受信デバイスにデータを送信するように構成された無線送信機や無線機たとえば、Bluetooth(登録商標)インターフェイスなどのデータ接続を含むことができる。送信されたデータは、モーション調整指示を含むことができる。このようなデータを指示を受信してユーザーに提示するように構成できるスマートフォンなどのコンピューティングデバイスに送信するようにシステムを構成できる。これらの実施形態は、活動を実行している間、ユーザーに、ほぼ瞬時に、または「ライブ」でモーション調整指示フィードバックを提供するのに有利であるが、いくつかの実施形態は、モーション調整指示を含むデータを保存するように構成でき、また、システムによって処理される他のデータも、データまたは指示を後で、またはアクションが実行された後にレビューするために、システムの一部または外部のストレージデバイス内に含むことができる。
【0015】
好適な実施形態では、しかしながら、ユーザーインターフェイスは、モーション調整モーションをリアルタイムでユーザーに提供するように構成される。リアルタイムという用語は、データが事実上すぐに利用できるように、ミリ秒オーダーのタイムスケール、たとえば、50ミリ秒以下で、データの処理または表示に関するものであることが理解される。そして、有利に、おおもとのプロセスへのフィードバックとして利用可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、監視モジュールは、監視対象のモーションデータに基づいて、また、身体の計算力学モデル(computational mechanical model)を使用して、ユーザーの身体の複数の部分に加えられる力の大きさと方向との値を計算することにより監視生体力学的負荷分布を計算するように構成される。
【0017】
この方法では、システムは、アクションを実行する際の、例えば、加えられる力または圧力、または、センサーが取り付けられている身体部分の線形または回転速度または加速度など、特定の側面の測定値またはユーザーのモーションの特定のプロパティを使用することができる。これは、数学モデルとして、そのモデルにしたがって生体力学的力分布と監視されたモーションデータの間の関係を計算する、ユーザーの体を表すことによって、センサーによって直接監視されるものとは異なることができる、体の各部にかかる力または負荷を計算するためである。
【0018】
いくつかの実施形態では、センサー配列は、少なくとも1つの圧力センサーを含み、そして歩行中に地面から足にかかる接地力の結果として、ユーザーの足の1つ以上の領域に加えられた圧力を監視するように構成されている。また、監視されたモーションデータは、監視された圧力を表すデータを含む。
【0019】
ユーザーによるウォーキング、ジョギング、または、ランニングを含む移動を伴う実行されたアクションの場合、地面を通して、または、ユーザーの足が地面に接触している間の1つ以上の時間または瞬間に、足にかかる接地力を測定または監視するために、監視生体力学的負荷分布の計算の目的のために有利であり得る。このコンテキストにおいて、地面との接触は、通常、通常、ユーザーは、靴などの履物やトレーナーを着用するため、直接接触するのではなく、間接的になる。したがって、移動中に、通常、地面、または、靴特に、履物の底やトレーナーを通してユーザーがアクションを実行している表面と間接的に接触する。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも1つの圧力センサーが配置または取り付けられている。または、ユーザーの履物の底に配置または取り付けられるように構成されている。例えば、センサー配列は、ユーザーの足の1つ以上のそれぞれの場所に対応する1つ以上の位置にある1つ以上の圧力センサーを含むインナーソールを含むことができる。そのような実施形態では、センサーの配置が、履物の内底とユーザーの足の間の、ただし、センサーが配置されている履物内の多くの場所における圧力または加えられた力を測定することができる。この力または圧力のデータを、例えば、体のさまざまな部分にかかる、ユーザーの足から伝わる、および、ユーザーの足と地面の間の影響または接触期間から生じる力を計算するために、使用できる。
【0021】
いくつかの実施形態では、センサー配列はさらに、ユーザーの足の線形加速度(linear acceleration)と回転速度を監視するように構成された慣性測定ユニットを備え、そして、監視対象のモーションデータは、監視された線形加速度と回転速度を表すデータを含む。
【0022】
好ましい実施形態では、センサー配列は、慣性測定ユニットを使用して、線形および/または角速度、および/または、ユーザーの足などユーザーの身体の一部の加速度を測定または監視するように構成されており、また、線形および角度の測定ごとに、1、2、または、3つの空間軸において、そのように構成することができる。いくつかの実施形態では、慣性測定ユニット(IMU)がセンサー配列に含まれており、ユーザーの足または履物に取り付け可能である。例えば、IMUは、システムの他の部分と電子通信状態になるように構成でき、また、ユーザーの履物用のインナーソールまたはソールインサートの一体部分として提供することができる、または、ユーザーの履物に固定するためのクリップを含むことができる、または、固定するのに適した形状を持っている、または、ユーザーの履物内の凹部内に配置されるに適応することができる。
【0023】
したがって、いくつかの好ましい実施形態では、IMUは、ユーザーの足の速度を測定できるようにするために、たとえば、歩行サイクルのストライクフェーズやスタンスフェーズ中に、アクションを実行するユーザーの片足または両足に提供される。それは、インパルス、または、歩行サイクル中にユーザーの足にかかる力の計算に使用できる、それによって、ユーザーの体の他の部分に伝達される力を計算し、サイクルのこれらの部分で発生する生体力学的負荷分布を計算する。
【0024】
いくつかの実施形態では、センサー配列は、アクションの実行中に、ユーザーの体の1つ以上の監視対象部分の速度と向きを監視する。
【0025】
この方法では、いくつかの実施形態は、センサーを取り付けることができるユーザーの人物のあらゆる部分のモーションを監視するセンサーを含み得る。例えば、ユーザーの足に取り付けられたセンサーに加えて、または、代替として、モーションセンサーは、例えば、ユーザーの腕、手、頭、または胴体に取り付ける、または、それらのモーションを監視するように構成されているセンサー配列で提供されることがあり得る。システムは、所定の身体部分に関連付けることができる検出されたモーションのパターンに基づいて使用中に取り付けられている身体の一部を識別するように構成されることができる。身体の他の部分からの測定値は、たとえば、身体の周りに分散された複数のモーションセンサーからのデータ、体の全体的な動きおよび/またはそのさまざまな部分を表すデータのコレクションを使用して、照合に使用できる。これは、監視生体力学的負荷分布を計算するために、ユーザーの体の計算モデルと組み合わせて使用できる。
【0026】
したがって、異なる実施形態において、センサー配列は、センサータイプの異なる組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態は、ユーザーの足にかかる圧力を監視する圧力センサを含むことができる。そして、これらの実施形態は、足に取り付け可能なオプションのIMUを備えてもよい。いくつかの実施形態は、ユーザーの体の異なる部分に配置できる複数のIMUを用いる足圧センサーを備えてもよい。いくつかの実施形態は、足圧センサーなしの複数のIMUを含むことができる。これらのセンサータイプの組み合わせのそれぞれを含むセンサー配列は、監視生体力学的負荷分布を計算できる。
【0027】
通常、調整モジュールは、監視生体力学的負荷分布の調整を、目標生体力学的負荷分布に向けて表すために、目標調整を計算するように構成されている。
【0028】
有利には、したがって、システムは調整に基づいて、目標生体力学的負荷分布に含まれる値に向かって監視生体力学的負荷分布に含まれるように力を表す1つ以上の値を修正するために計算されたモーション調整指示を行うことができる。
【0029】
通常、指示モジュールは、ユーザーのモーションを定義する1つ以上のパラメーターを識別するように構成される。さらに、目標調整に基づいて、目標調整をもたらすようにアクションを実行する際にユーザーが変更を実行できるように1つ以上のパラメーターの少なくとも1つの値の変更を計算することによりモーション調整指示を生成するように構成されている。
【0030】
言い換えると、指示は、ユーザーが意識的に制御できるように実行されているアクションのパラメータを識別できることがあり得、そして、アクションの結果の生体力学的負荷分布の値を、目標生体力学的負荷分布の値に近づけるように、調整可能であり得る。ステップの長さであるランニング中の歩幅、および、歩行サイクルのストライク段階で移動方向に対する足のピッチである横軸に関する足の向きなどのパラメーターは、ユーザーが制御できるパラメータの例である。したがって、計算された目標調整をそのようなパラメーターの調整に関連付けることにより、指示モジュールは、ユーザーが生体力学的負荷分散を変更または改善できる方法を使用して、アクションを実行するとき、それに応じてこれらのパラメータ調整を行うことにより、目標に向かって、このようなパラメーター調整を行うための1つ以上の指示を含むモーション調整指示を生成できる。
【0031】
いくつかの実施形態では、センサー配列は、複数の慣性測定ユニットを備えている。ここで各慣性測定ユニットは、ユーザーの体の一部または衣服に取り付け可能である。各IMUは、それが取り付けられている部品の線形加速度と回転速度を監視するように構成でき、そして、監視対象のモーションデータは、複数の慣性測定ユニットのそれぞれから、監視された線形加速度と回転速度を表現するデータを含むことができる。
【0032】
目標生体力学的負荷分布は、いくつかの方法で取得できる。いくつかの実施形態では、目標生体力学的負荷分布は、ユーザーが達成したい生理学的目標に関連することができる。したがって、システムは、生理学的客観データに対応するユーザー入力を受信するように構成されるユーザー入力デバイスをさらに備えることができる。そして、目標モジュールは、入力デバイスから受信した生理学的客観データにしたがって、生体力学的負荷分布を計算することにより目標生体力学的負荷分布を取得するように構成される。
【0033】
したがって、目標生体力学的負荷分布は、ある程度、体の特定の部分など、アクションの実行から生じる力の最小化または最大化を希望する対象に関して、そのユーザーは生理学的目標を入力することができることにおいて、ユーザー構成可能である。システムは、その目的を達成するために、その例では、指定された身体部分の負荷の分布を最大化または最小化することにより、目標生体力学的負荷分布を計算することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本願システムは、ユーザーがアクションの実行スタイルを変更できるように構成された、プログラムされたプロセッサベースのシステムであるこのシステムは、さらに、センサー値をログファイルに記録するためのストレージデバイスと、ユーザーが直接影響できるパラメータを変更する指示を決定するために配置される人工知能アドバイスモジュールと、前記指示を前記ユーザーに出力するための少なくとも1つの出力デバイスとを含む。ここで、人工知能のアドバイスモジュールは、体の生体力学的負荷分布を含む測定のプロファイルに関して現在の身体的状態を計算し、そして、それを使用して、ユーザーに出力される指示を計算する。ここで、この指示では、次の時間間隔において、ユーザーが少なくとも1つのパラメーターを変更しようとする必要があり、次の時間間隔の後の後続の指示は、ユーザーが、メジャーの目標プロファイルによって記述された特定の身体的状態を達成できるようにするために、身体的状態がどのように変化したかに依存する。
【0035】
システムは、1つの目的専用に設定することができる、または、パフォーマンスの向上、負傷のリスクの低減または健康とフィットネスの改善など、主要な目的の選択をユーザーに提供することができる。選択した目的に対して、システムは、より詳細な目的の選択を提供することができる。ランニングパフォーマンスについては、例としては、高速化や長距離化能力がある。負傷のリスクを減らすために、足と足首やヒップと背中などおよび負傷の種類など、軟組織または硬組織などの回避すべき、体の特定の領域をオプションで選択できる。それ以外の場合、全体的な最小リスクが目的になることができる。
【0036】
健康とフィットネスのために、目標の例としては、体重を減らすこと、筋肉の緊張、ホルモン刺激、関節可動性、ランニング以外の他の活動に対する心血管の健康または持久力があり得る。したがって、一部の実施形態では、ユーザーは、自動コーチングシステムの主な目的を定義する。
【0037】
ユーザーは、身長、重量、年齢、性別または特定の傷害の履歴などの人体測定データを入力するオプションがあり得る。いずれもコーチングシステムの有効性を改善するために使用できる。
【0038】
このシステムは、通常、センサー、ユーザーがランニングまたは別のアクションを実行中に一連のパラメーターを測定するため、それを可能にするエレクトロニクスとソフトウェアアルゴリズムを含む。
【0039】
使用中において、通常、ユーザーは通常のランニングスタイルを用いてベースライン・ランを行うように指示される。ラン中に、システムは、センサーからの読み取り値から得られる複数の生理学的および/または生体力学的パラメーターに対するベースラインデータを収集する。ユーザーは通常、これらのパラメータの一部を直接制御できることを認識する。
【0040】
ベースライン・ランの最後に、システムは通常、個々の生理学的な値のセットおよび/またはベースライン・ランの測定から導出される生体力学的パラメータであるベースライン「プロファイル」を構築する。プロファイルの重要なコンポーネントは、その活動に関与している解剖学的構造または身体の一部により経験する機械的なトルクと力の分布を示す「生体力学的負荷分散」である。ユーザーは、通常、生体力学的負荷分布にどのように影響するかを知らない、または、ランニング中にこのディストリビューションに注意していない。
【0041】
このベースラインプロファイルを使用し、主な目的にしたがって、その後、システムは、ユーザーが主要な目的を満たすために近づく必要がある目標プロファイルを計算する。したがって、目標プロファイルは、ユーザーの能力および、彼らが達成したいことを考慮に入れることができる。例えば、ユーザーが負傷をしやすいことを示している場合、目標プロファイルには、負傷を受けやすい関節や筋肉の負荷が最小限に抑えられる生体力学的負荷分布が含まれる。パフォーマンスを最大化することが目的の場合、負荷は、活動のパフォーマンスの改善または運動が期待される関節または筋肉で最大化される、または、筋肉の成長などの適応を刺激するために、特定の解剖学的構造にストレスをかける。目的が体重を減らすことである場合、カロリー消費を改善する可能性が高い特定の筋肉グループで負荷が最大化される。目的が持久力の向上である場合、疲労の開始を減らすために、いずれかの筋肉グループまたは関節において生体力学的負荷がより均等に分散される。
【0042】
システムは通常、戦略を使用して、問題のアクションの実行またはランニングのスタイルを変更して、ユーザーが目標プロファイルに近づくのを助けるために一連の指示を計算する。システムは通常、ユーザーに、ユーザーが直接制御できるパラメータの変更に集中するよう指示する。システムは、現在のユーザープロファイルを目標プロファイルに近づける可能性がある、順序付けられたパラメーター変更のプログラムを計算できる。システムは、ユーザーにパラメータを通知することができる。ユーザーは変更を試み、このパラメーターの望ましい値である、ゴールにする必要がある。このゴールは、複数のパラメーターの変更を含むことができるが、ユーザーが直接理解し、影響を与えることができるものである場合のみである。
【0043】
ラン中は、システムは通常、一定期間のデータを記録し、このデータを使用して、ベースラインプロファイルに関しては、同じパラメータと生体力学的負荷分散メトリックを使用する現在のプロファイルを導き出す。この期間は、ランニング内のインターバルにすることも、ランニングの合計期間にすることもできる。期間の終わりに、システムは、ユーザーにフィードバックを提供し、その期間がランニング内のインターバルである場合、ユーザーは、現在のランニング中にすぐに調整できる。ユーザーがゴール値に到達した場合、ランニングの十分な期間の特定の範囲内で、システムは通常、プログラムに従い、彼らは変化を試みるべき次のパラメータ、および、次のランニング期間のこのパラメータ用ゴール値をユーザーに通知する。
【0044】
ランニング期間のゴールをユーザーに通知するこのサイクルは、進捗を確認し、次のランニング期間の新しいゴールをフィードバックすることは、現在のプロファイルが目標プロファイルに十分に近づくまで続けるように構成することができる。プロファイルの近さは、加重平方差の合計などのメトリックによって計算できる。ここで、重み付けでは、パラメータ測定の精度および主要な目的に対するパラメーターの重要性を考慮することができる。
【0045】
ユーザーが複数回試行してもランニング期間のゴールを達成できない場合、現在のコーチング戦略が失敗したと判断することができる。この場合、システムは通常、ベースラインプロファイルと現在のプロファイルを使用して、順序付けられたパラメーター変更の新しいプログラムを計算するために、異なるコーチング戦略を使用する。システムはユーザーに、変更を試みるべきであり、次のランニング期間のゴール値であるパラメータを通知することができ、その後、新しいプログラムにしたがって増分変更を行う。
【0046】
ゴールを達成しようとしながら、プロファイルは、センサー測定の分析が、ユーザーが負傷するリスクが高いことを示唆することにおいて、ユーザーにとって「安全でない」ものになる可能性がある。さらに、パフォーマンスを維持するか、いくつかの変更を増やす場合、ランナーを「非効率」にできるため、パフォーマンスが大幅に低下する。したがって、各期間の後、システムは、現在のプロファイルは「安全でない」または「非効率的」であるかどうかをチェックするように構成することができる。もしそうであれば、現在の戦略は、終了することができる。通常、システムは、次に、発生した可能性のある生理学的変化を考慮して、新しいコーチング戦略を導き出すことができるように、ユーザーが通常のランニングスタイルを使用して新しいベースライン・ランを行うことを提案する。
【0047】
このアプローチには、可能な変形がある。例えば、一部の実施形態では、各期間の終わりに、システムは、ベースラインプロファイルと現在のプロファイルを使用でき、ユーザーを目標プロファイルに近づけ、各パラメーターの変更が最適な効果を生み出すことが期待されるように、パラメータ変更の順序を再計算する。システムは通常、変化を試みるべき次のパラメーターおよび、次のランニング期間のこのパラメータ用のゴール値を、ユーザーに通知する。このアプローチでは、プログラムは変更されるのではなく、ユーザーが段階的な変更のゴールの1つを達成できなかった場合のみ継続的に改善される。
【0048】
システムのいくつかの実施形態の重要な側面は、通常は、ユーザーのプロファイルを記述する多くのパラメータを測定できるが、ユーザーに、ランニングのスタイルを変えることによって、直接影響を与えることができるパラメーターのみを含む特定の増分ゴールを与えることができることである。このシステムは、人間のコーチが必要ないという点で監視されていないが、コーチングのアドバイスは、以前の研究から収集したベストプラクティスを反映することができる。
【0049】
さらに、別の重要な側面は、システムは、センサーから直接および派生した測定値を使用し、これを先行研究の結果に関連付けることによる、負傷のリスク、または、コーチング期間中のパフォーマンスの低下を継続的に評価することができることである。負傷のリスクまたはパフォーマンスの低下に関するこの継続的な評価、生体力学的負荷分布の再計算、および、活動中にライブフィードバックを提供するオプションは、したがって、人間のコーチが達成できるものを超えている。
【0050】
いくつかの好ましい実施形態では、このシステムは、目標プロファイルに向かって進行中に、ユーザーが最適な利益を生み出すために変更を試みる必要がある次のパラメータのゴールを決定するために、各時間間隔の後に計算を実行するように構成された人工知能アドバイスモジュールをさらに備えている。
【0051】
指示モジュールは通常、アクションの実行中のパフォーマンスへの影響を推定し、それを使用して、モーション調整指示を調整するように構成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、このシステムは、機械学習を使用して目標調整を計算し、および/または、モーション調整指示を生成するように構成された人工知能アドバイスモジュールをさらに備えることができる。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、ユーザーがアクションを実行するためのモーション調整指示を生成するコンピュータ実装方法が提供される。この方法は、ユーザーの目標生体力学的負荷分布を取得するステップと、センサー配列を使用して、監視対象のモーションデータを取得するためのユーザーのモーションを監視するステップと、監視されたモーションデータにしたがって、ユーザーの監視生体力学的負荷分布を計算するステップと、目標生体力学的負荷分布から、監視生体力学的負荷分布の偏差の減少に対応する、ユーザーのモーションに対する目標調整を計算するステップと、目標調整にしたがって、モーション調整指示を生成するステップとを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、この方法は、モーション調整指示をユーザーに提供することをさらに含む。
【0055】
ユーザーのモーションの結果として、身体にかかる力のユーザーの身体の一部内の生体力学的負荷分布は、分布を表すデータを含むことができる。したがって、この分布は、ユーザーの体の異なる部分またはその内部の解剖学的構造に加えられる力の大きさおよび方向を表す値のセットであることができる。また、これらの力の関係を表すデータも含むことができる。
【0056】
通常、監視生体力学的負荷分布の計算は、監視対象のモーションデータに基づいて、身体の計算力学モデルを使用して、ユーザーの身体の複数の部分に加えられる力の大きさおよび方向の値を計算することを含む。
【0057】
この方法は、ユーザーが実行するさまざまなアクションに関するモーション調整指示を生成するために使用されることが想定される。特に、アクションは、通常、移動であり、目標調整の指標は、移動の歩行を変更する指示を含む。したがって、生成された指示は、目標生体力学的負荷分布に近づくようにさせるために、生体力学的負荷分布のためにどのように、ユーザーは自分の歩行を変更できるかの指標を含むことができる。
【0058】
したがって、通常、目標調整は、目標生体力学的負荷分布に向けて、監視生体力学的負荷分布の調整を表すように計算される。モーション調整指示の生成は、ユーザーのモーションを定義する1つ以上のパラメーターを識別すること、および、目標調整に基づいて、目標調整をもたらすようにアクションを実行する際にユーザーが変更を実行できるように、値、1つ以上のパラメーターのうちの少なくとも1つへの変更を計算することを含むことができる。言い換えると、この方法は、好ましくは、目標生体力学的負荷分布に近いか、等しくなるようにするために、ユーザーが実行するとき、または、アクションの実行から生じる体全体またはその一部を通して、生体力学的負荷分散を引き起こしたとき、指示を提供することを含む。
【0059】
通常、監視対象のモーションデータは、アクションの実行中のユーザーの体の1つ以上の監視対象部品の速度および/または方向の指標を含む。例えば、1つ以上のユーザーの身体部位の速度または速度を測定または監視することにより、例えば、ユーザーの身体の計算力学モデルで収集されたデータを使用して、生体力学的負荷分布を、そのような記録されたモーションデータをモデルを使用して体内に分布する合力に関連付けることにより監視することができる。
【0060】
特にランニングやウォーキングに関連するアクションまたはあらゆる形態の移動の場合、特にユーザーの足のモーションを監視することは、有利であり得る。したがって、好ましい実施形態では、体の1つ以上の監視対象部分には、ユーザーの片方または両方の足が含まれ、監視対象の各足の監視対象モーションデータは、歩行サイクルの立脚期中の足の速度または向きの指標を含む。歩行サイクルの他の段階でも同様にデータを収集できるが、特定の足が地面に(通常は間接的に)接触している場合、スタンス段階で、ユーザーの足のモーションを監視することが最も有利な場合がある。
【0061】
モーションデータに加えて、あるいは、その代替として、ランニングまたはウォーキングの地面または地面のユーザーの足の間に働く力または圧力を示すデータは、監視生体力学的負荷分布の計算に使用できる。したがって、監視されたモーションデータは、さらに、歩行中に地面によって足にかかる接地力の結果として、監視対象の足の1つ以上の領域にかかる圧力の指標を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、目標生体力学的負荷分布を取得することは、ユーザー入力デバイスから生理学的客観データを受信すること、および、生理学的客観データにしたがって、目標生体力学的負荷分布を計算することを含む。
【0063】
生理学的目的は、パフォーマンスの改善、負傷リスクの低減、および、健康とフィットネスの改善のいずれかを含む、ユーザーの主要な目的に対応することができる。健康とフィットネスの改善は、筋力、筋肉の緊張、ホルモン産生、発熱、減量、関節可動性、ユーザーの持久力または心血管の健康のいずれかの改善を含むことができる。
【0064】
この方法はさらに、ユーザーの生理学的および生体力学的負荷データの取得を含むことができる。そして目標生体力学的負荷分布の取得は、生理学的客観データ、および、パラメータ値のメジャーのセットとして機械的負荷分布により目標を定義する生理学的および生体力学的負荷データの使用を含むことができる。
【0065】
この方法は、いくつかの実施形態では、負傷のリスクの軽減または低減を伴う。そのような実施形態では、本方法は、実行されるアクションの結果として発生するユーザーの負傷の推定確率を示す傷害リスクパラメータを計算することをさらに含むことができ、さらに、負傷リスクパラメータにしたがってモーション調整指示を生成することを含むことができる。例えば、そのようなデータは、体の特定の部分は、一定の確率で負傷を受けやすいことを示すシステムによって取得されることができる。そして、この確率は、その身体の部分に与えられた生体力学的力に関連する、またはそれに基づくことができる。したがって、目標生体力学的負荷分布は、特に影響を受けやすい地域に作用する生体力学的負荷を軽減するために計算することができる、または、1つ以上の負傷しやすい身体の部分の負傷の全体的な確率を最小限に抑えるために目標生体力学的負荷分布内の分布を調整することができる。
【0066】
したがって、この方法は、ユーザーの傷害感受性データ、生体力学的負荷を最小限に抑える必要があるユーザーの体のもう1つの負傷をしやすい部分の指標を含む傷害感受性データを取得することをさらに含むことができる。そのような実施形態では、目標生体力学的負荷分布の取得は、ユーザーのモーションの結果として、1つ以上の負傷しやすい部分に加えられる力を最小限に抑えるために目標生体力学的負荷分布を計算することを含むことができる。通常、体の示された部分は、負傷をしやすい関節または筋肉に対応している。
【0067】
アクションを実行するユーザーは、アクションの実行中に、より高いまたは比較的高レベルの身体運動にしたがう身体体の特定の部分を目標にしたい場合がある。一部の実施形態は、ユーザーの目標身体部分データ、生体力学的負荷を最大化する必要があるユーザーの体の1つ以上のトレーニングパーツの指標を含む目標身体部分データを取得することをさらに含む、この方法によりこれに対応することができる。目標生体力学的負荷分布の取得は、ユーザーのモーションの結果として1つ以上のトレーニングパーツにかかる力を最大化するために、目標生体力学的負荷分布を計算することを含むことができる。
【0068】
活動のパフォーマンスを改善するために、ユーザーは特定のトレーニング目標身体部分を指定できる。したがって、体の示された部分は、筋肉の成長など適応を刺激するために特定の解剖学的構造に運動またはストレスをかけるため、または、特定の筋肉群に従事することにより、カロリー消費を改善するために、目標生体力学的負荷分布が計算されるように、活動のパフォーマンスを改善することが期待される関節または筋肉に対応することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、筋肉群または関節の疲労の発症を減らし、アクションに関連するユーザーの持久力を向上させまるために、ユーザーのモーションの結果として、ユーザーの体の1つ以上の部分に作用する力を均等に分配するために、目標の生体力学的負荷が計算される。
【0070】
状況によっては、ユーザーは、ランニングテクニックなどのテクニックに影響を与える状況でのウォーキングやランニングなどの活動を実行できる。この例としては、上り坂、下り坂ランニングまたは不均一な地形の横断がある。アクションのパフォーマンスに影響する条件のその他の例は、草や砂などの柔らかい表面、コンクリートやアスファルトなどのより硬い表面、風の強い環境で、または極端な温度でアクションを実行する、したがって、いくつかの実施形態では、これらの場合、ベースラインプロファイル、目標プロファイル、および、増分ゴールは、これらの外部条件がランナーまたは他のタイプのユーザーに及ぼす影響を反映するように適応させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、この方法は、ユーザーがアクションを実行している地形および/または環境条件の指標を含む環境データを取得することをさらに含む。目標調整の計算は、その後、目標環境データにしたがって実行できる。
【0071】
いくつかの実施形態では、このメソッドは、ユーザーによるアクションの実行スタイルの変更を支援するのに適している。この方法はさらに、センサー配列からのセンサー値をログファイルに記録すること、ユーザーが直接影響を与えることができるパラメーターを変更するための指示を決定すること、そして、前記ユーザーに前記指示を出力することを含み、さらに、ユーザーの身体の生体力学的負荷分布が含まれる測定のプロファイルに関して、ユーザーの現在の身体状態を計算し、それを使用して、ユーザーに出力される指示を計算することを含む。ここで、この指示では、ユーザーが、次の時間間隔と、身体的な状態がどのように変化したかによって異なる次の時間間隔の後の後続の指示において、ユーザーが、メジャーの目標プロファイルによって記述される特定の身体的状態を達成できるようにするために、少なくとも1つのパラメーターを変更することを試みる。
【0072】
いくつかの実施形態では、この方法は、目標プロファイルに向かって進行中にユーザーが最適な利益を生み出すために変更を試みる必要がある次のパラメータのゴールを決定するために、各インターバルの後に計算を実行することを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、この方法は、アクションを実行し、それを使用して指示を調整する間に、パフォーマンスの影響を推定することをさらに含む。
【0074】
通常、アクションはスポーツ活動または運動の一種である。多くの実装では、アクションは実行に関連している。
【0075】
いくつかの実施形態では、本方法は、目標調整を計算するため、および/または、モーション調整指示を生成するために、機械学習を使用することを含む。本発明の第3の態様によれば、コンピューターによって実行されると、コンピューターが、ユーザーの目標生体力学的負荷分布を取得し、センサー配列からのデータを使用して、監視対象のモーションデータを取得するためのユーザーのモーションを監視し、監視されたモーションデータにしたがって、ユーザーの監視生体力学的負荷分布を計算し、目標生体力学的負荷分布から、監視生体力学的負荷分布の偏差の減少に対応するユーザーのモーションに対する目標調整を計算し、目標調整にしたがってモーション調整指示を生成するように構成されるコンピュータの実行可能コードを保存するように構成されたコンピューター読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
図1図1は、本発明による、圧力センサを備えた靴の中敷を含むシステム例の一部を示している。
図2図2は、本発明による例示的なシステムを示すボックス図である。
図3図3は、本発明による例示的な方法で使用することができる人間の脚のリンクセグメントモデルの図である。
図4図4は、本発明による例で使用することができる単一要素の自由体モデルの図である。
図5図5は、本発明による例で使用することができる、ユーザーの足首/足の解剖学的モデルの図である。
図6図6には、ユーザーの体に取り付けたIMUおよびユーザーの足に取り付けられた地面反力(GRF)センサーを含む本発明によるシステムを示す写真が含まれている。
図7図7は、本発明によれば、定期的なインターバルでサンプルシステムによって測定されるユーザーの身体的な状態を表すプロファイルの例である。
図8図8は、本発明の例によって提供されるコーチングプロセスの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0077】
最初の例では、システムは、GPS位置センサーとジャイロスコープと加速度計とを組み合わせて足センサーからのデータを使用する。傷害リスク評価および/またはパフォーマンス評価を改善するために、心拍数モニターなどのセンサーも追加できる。システムの概略図を図2に示す。
【0078】
コンピュータプロセッサ、メモリと電源は、ユーザーの靴に取り付けられた小さなモジュール内に含まれている。モジュールは、コーチングシステムに指示を入力するために使用されるリモートコンピューターとワイヤレスで通信できる。通常、このリモートコンピューターは「スマートフォン」、タブレットまたはパソコンであることができる。代替的に、入力および出力デバイスは、ワイヤレスリンクによって靴モジュールと直接通信できる。ユーザーがランニングしている間、データはシューモジュールに保存するか、または、オプションで、リモートコンピューターに送信することができ、ランニング後、データ分析とユーザーへのコーチング指示の提示のために、データをリモートコンピューターに読み出すことができる。または、ワイヤレスで接続された外部デバイスと組み合わせた靴モジュールは、ランニング中に、定期的にユーザーにフィードバックと指導の指示を提供できるこのシステムは、生理学的および/または生体力学的パラメータを導き出すために、リアルタイムの測定とモデルを使用する。特に、システムは、身体の異なる位置での機械的な力とトルク/モーメントの瞬時の数値表現を計算できる。これは「生体力学的負荷分散」であり、外部センサー測定から、個々の関節の力とモーメントの観点において、身体の機械モデルを使用して負荷を導出することにより計算される。本システムは、歩幅全体で定期的に、力とモーメントの測定と再計算を続ける。さまざまな場所での相対的な生体力学的負荷分布の1つの測定は、体の各位置の力またはモーメントのすべての計算値に対して、ストライド期間の平均を決定することにより取得される。最大、最小、中央値、ストライド期間にわたる範囲または標準偏差などの代替的測定が可能である。逆ダイナミクスの原理はよく知られている(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Inverse_dynamicsを参照)。ここで、体肢はリンクセグメントモデルと力によって近似され、モーメントは、手足のモーションと、床反力など外力の測定値から計算される。さまざまなセグメントまたは解剖学的構造が受ける力は、人に取り付けられた多数のセンサーからの測定値、および、ラボベースの測定および逆ダイナミクスからの多数の人々のデータから導出された統計的相関パラメーターから計算することもできる。この第1の実施形態では、インソールに埋め込まれ、空間的に分布した圧力センサーからの測定値は、足首関節が受ける力、そして、ランニングのスタンスフェーズ中の関節について、どの筋肉群がモーメント/トルクを発揮するために最も積極的に関与しているかを計算するために使用され、この実施形態では、肢の動きの直接測定がないため、手足の位置は、足の圧力測定から推定する必要があり、次の例は、これを実現する方法を示している。
【0079】
図4は、単一のセグメントに作用する力とモーメントを示している。ボトムアップ逆ダイナミクス手順では、遠位関節の力とモーメント、質量とともに、セグメントの寸法と加速は、運動方程式を使用して、近位関節の力とモーメントを決定するために使用される。この近位関節の等しいおよび反対の反力とモーメントは、体により近い次のセグメントの遠位端の力とモーメントとして使用される。ランニングのスタンスフェーズでは、足が地面に接触し、リンクセグメントチェーンの最初の外力である地面反力が発生する足の遠位端の力とモーメントを決定するために、足のより解剖学的な表現が必要である。これを図5に示す。
【0080】
安定状態のランニング(加速なし)のスタンスフェーズ中、人は、支持足の下のインソールに埋め込まれた空間的に分布した圧力センサーがある片足で体を支えている。インソールに埋め込まれた空間的に分布した圧力センサーを介して、床反力Ry3が測定される。圧力中心(COP)は、インソールの中の圧力センサーの既知の位置から計算され、そのモデルは、すべての圧力がこの計算されたポイントを介して作用することを想定している。足圧センサー測定からCOPを介して作用する合計力を導き出すことができる。しかし、その人の利用可能な人体計測データと多数の人々の統計から、足セグメントのCOMの質量と位置を推測する必要がある。足の角度は、スタンス段階で代表的なランナーの集団における、圧力とCOPの伝播を用いて、(運動解析システムで測定した)角度の相関を使用して、足の残りの部分に対して、COPの圧力と位置から推測される。同様に、足首の速度と加速度を推定できる。これは、たとえば、Mann他(Mann et al,「Reliability and validity of pressure and temporal parameters recorded using a pressure-sensitive insole during running」,Gait & posture 39(1), August 2013 https://www.researchgate.net/publication/256927941)に用いられた同様の統計的アプローチにしたがうものである。精度を高めるために統計的な推定を行う必要がなく角回転を決定するため、足首関節の下に(存在する場合は靴の上に)取り付けられた慣性測定ユニット(IMU)から測定を行うこともできる。
【0081】
特定の例では、人に対して、特定の時点で、COPは足首関節から0.03mである。圧力測定から計算されたCOPを介して作用する力(Ry3)は686.7Nである。足のサイズは、感知インソールのサイズおよびセンサーの位置からわかる。したがって、多数の人々の平均統計から導出されたスケーリング係数、および、その人の人体計測データに基づいて、重心は、足首関節から0.05mの位置に作用すると推定される。その人の体重は70kgであり、そして、多数の人々の平均人体計測データに基づいて、足の質量は1kgである。図5でキャプチャした時間内の位置において、足が、地面において平らで、a=0、および、定常状態でのランニングにおいて、加速度a=0である。したがって、運動方程式の適用は、
【数1】
である。
【0082】
この例では正味筋肉モーメントMpは負である。それは、足底屈筋群が、足首の角度を維持するために必要なモーメント/トルクを生成して活動していることを示す。これは、力が、腓腹筋ヒラメ筋、アキレス腱や足底筋膜などの腱の筋肉群が含まれる総称して「ふくらはぎ」と呼ばれる解剖学的構造によって経験または発揮されることを意味する。
【0083】
足セグメント3の近位(足首)端に対して計算された力とモーメントは、次に、生体力学的チェーンすなわち、セグメント2の膝/下腿の次のセグメントへの入力として使用され、等しい反応成分と反対の反応成分を計算するために使用される。足の質量、長さとCOMは、その人の利用可能な人体計測データおよび多数の人々の統計から推定される。膝の角度は、センサーの測定値および、多数のランナーを使用したモーションキャプチャシステムによって取得された運動データ(kinematic data)への相関の使用してその人の利用可能な人体計測データから推定できる。したがって、かかとの位置、速度と加速度、脚の長さと膝の角度の瞬間的な推定値を用いて、運動方程式を解いて、膝関節の力とモーメントを取得できる。この場合、結果として生じる筋肉モーメントは、大腿四頭筋の筋肉群がどれだけ活発に活動するかを示す。任意には、足首関節の下に取り付けられた(存在するならが、靴の上)慣性測定ユニット(IMU)からの追加測定は、足の位置を決定するために使用でき、したがって、膝角度の相関推定を改善する。
【0084】
フットマウントセンサーからのデータ、大勢のランナーにおいて運動学的研究から確立された人体計測データと相関を使用するこのプロセスは、リンクされているすべてのセグメントの力とモーメントを推定するために使用される。これらの推定の精度は、四肢セグメントが足から遠く離れているほどさらに減少するが、次の実施形態のようにIMUセンサをさらに追加することにより精度を向上させることができる。
【0085】
第二の実施形態では、接地力を測定する足圧センサーに加えて、四肢の位置をより直接的に推定するために、IMUセンサーは体の他の部分に接続されている。多数のランナーからの測定を使用して統計的相関を使用する必要はない。「Kim et al "Estimation of Individual Muscular Forces of the Lower Limb during Walking Using a Wearable Sensor System" Hindawi Journal of Sensors Volume 2017, Article ID 6747921 https://doi.org/10.1155/2017/6747921」において、IMUは、図6に示すように体に取り付けられ、そして、筋力を推定できるようにするために、四肢の位置と加速度を推定するのに使用される。
【0086】
第3の実施形態では、IMUセンサーのみが身体運動学を決定するために使用され、足圧センサーは使用されていない。IMUセンサーの数と配置により、いかに正確に、生体力学的負荷分布を決定できるかが決まり、多数のランナーとの統計相関モデリングが、床反力を推定するために必要である。このアプローチは、例えばスキージャンプにも適用されている(Logar and Munih、2015、Sensors 2015、15、11258-11276;https://doi.org/10.3390/s150511258)。
【0087】
上記の実施形態のいずれかについて、システムは、特定の瞬間におけるランナーの身体的状態を表す「プロファイル」を計算できる。典型的なプロファイルを図7に示す。さらなる生理学的パラメーターは、適切な追加センサーが装着されている場合に取得できる。例えば、血中酸素濃度は、皮膚の毛細血管を通る光透過を使用するSpO2モニターで推定でき、呼吸数は、胸部に装着したIMU、または胸部ストラップに埋め込まれたひずみゲージを使用して測定できる。ユーザーが制御できる生体力学的パラメーターは、コーチングの指示で使用できるが、ほとんどのパラメータはシステムでしか測定できず、ユーザーが直接制御することはできない。
【0088】
生体力学的負荷分布は、いかに関節が負荷を受けるか、そして、いかに筋肉と腱が負荷を受けるかを示す。関節負荷は一般にセグメント力に関連しており、また、筋肉/腱の負荷は一般にセグメントモーメントに関連している。したがって、その分布は、硬い筋肉がどのように機能しているか、そして、負傷の潜在的なリスクなどどの構造が追加の負荷と関連する影響にさらされているかを示すことができる。
【0089】
一方、ユーザーは通常、ケイデンス、歩長、足のどの部分が地面と最初に接触するか、膝の屈曲、腹部の筋肉などの特定の筋肉の事前緊張、前方または後方に傾くこと、骨盤回転の程度、ランニング中のバウンスを減らす、または、彼らが各足に費やす相対時間あるいは、各足をどれだけ強く押すかを調整することを変更するために、ランニングスタイルの側面を変更できる。彼らは、回内、衝動、連絡時間、飛行時間または安定性のような生理学的および/または生体力学的パラメーターを変えることがより困難または不可能であることに気付くであろう。さらに、彼らが正常に変更を加えた場合、彼らには、生体力学的負荷分布の変更に成功したかどうかはわからない。したがって、効果的なコーチングを提供するために、システムは、ユーザーが直接制御できるランニングスタイルの要素を含む指示を提供する。これは、ランニングスタイルに影響するランニングシューズや他のタイプの衣類の選択にも拡張される可能性がある。
【0090】
センサーの配列と、生体力学的負荷分布を決定するために使用される方法に関係なく、本システムは、ユーザーに、多数の人々の平均に依存するシステムではなく、高さ、手足の寸法、体重と性別など独自の人体計測データを入力するオプションを提供する。このデータは、メトリックをスケーリングしてユーザーにより関連するようにするために使用される。例えば、歩幅は、ユーザーの身長または脚の長さの要因になるようにスケーリングされる。
【0091】
システムは、さらに、ユーザーに、過去の負傷とその発生時のデータを入力するオプションを提供する。
【0092】
本システムは、特定の主要な目的のためにセットアップされているか、または、システムは、ユーザーがランニング中の活動の主な目的を選択できるようにする。例えば、パフォーマンスの目標は、速度を向上させること、またはより長い距離を実現することである。負傷のリスクを減らすために、主な目的は、足と足首またはヒップと背中など身体の特定の部分の負傷、および、軟組織または硬組織などの回避すべき傷害のタイプのリスクを減らすことである。健康とフィットネスの目標は、体重を減らすこと、筋緊張の改善、関節可動性、たとえば、他の活動に対する心血管の健康または持久力であり得る。
【0093】
したがって、本システムは、ユーザーから、コーチング活動を開始する前に、人間のコーチがリクエストすることの同様の情報を取得する。
【0094】
本システムは、通常のランニングスタイルを使用してランニングするようにユーザーに指示する。ランニング中に、システムはセンサー出力を監視および記録し、生理学的および/または生体力学的パラメータの測定値を導出する。特に、本システムは、運動学的生体力学モデルを使用したセンサー測定から推定された身体全体の生体力学的負荷分布を計算する。したがって、ランニング後、システムは、生体力学的負荷分散が含まれるユーザーの「ベースラインプロファイル」を構成する一連のメトリックを取得した。これらのメトリックは、ストライキインデックス(足のどの部分が地面と最初に接触するか)、ケイデンス(1分あたりのステップ数)、歩長、バランス(最も使用される足)、安定性(地面に接触したときの足の安定性)、衝撃(地面に当たったときに足が受ける力の割合と大きさ)、接触時間(各ステップ中に足が地面に接触し続ける時間)、回内運動(地面を打つ力を分散するために転がるときの足の内向きの動き)、垂直振動(ランニング中の垂直運動の測定)、飛行時間(足がステップ間で空中にいる時間)も含むことができる。これらの指標は平均、記録期間中の最大値または最小値または分散として表すことができる。
【0095】
システムは、ベースラインプロファイルと同じメトリックを含む「目標プロファイル」を計算し、そして、ユーザーを主目的に近づけるような値を持っており、事前の調査に基づいてユーザーが達成できることが期待されている。主な目的がパフォーマンスの改善である場合、これにより、負傷のリスクと先行研究の結果が増加する可能性があり、過去の傷害の履歴が、パフォーマンス目標を達成するために、負傷の全体的なリスクが最小化されるように、目標プロファイルを計算するのに使用される。負傷のリスクを減らすことが主な目的である場合、目標プロファイルは、同様のパフォーマンスプロファイルを維持するために計算されるが、以前の負傷の履歴および傷害リスクに関する事前調査を考慮に入れることにより、負傷のリスクを減らす。ユーザーが体重を減らすか、筋肉の緊張を改善することが主な目的である場合、過去の負傷の過去の履歴および負傷のリスクに関する過去の調査に基づいてけがのリスクを最小限に抑えながら、目標プロファイルは、より高いカロリー燃焼をもたらすと予想される筋肉群ユーザーが強化または調子を整えたいホルモン産生または筋肉グループを運動させる、生理学的および/または生体力学的活動の変化を反映する。生体力学的負荷分布を計算する機能は、筋肉群など特定の解剖学的構造を評価できるようにするために重要であり、体がストレスを受けている場所を見つける。システム計算では、生理学的および/または生体力学的指標をパフォーマンス、負傷のリスクと健康上の要因に関連する公開されている研究を利用する。(たとえば、「Foot strike patterns and collision forces in habitually barefoot versus shod runners」;Lieberman, Venkadesan, Werbel, Daoud, D'Andrea, Davis, Ojiambo Mang'Eni & Pitsiladis;Nature 463, 531-535 2010,「The effect of shoe type and fatigue on strike index and spatiotemporal parameters of running」;Mann, Malisoux, Urhausen, Statham, Meijer, Theisen;Gait Posture. 2015 Jun; 42(1): 91-5 2015,「Biomechanics, Load Analysis and Sports Injuries in the Lower Extremities」;Nigg;Sports Medicine, Volume 2, Issue 5, pp 367-379 1985、を参照)。
【0096】
計算では、メトリックの変化に伴う生理学的および/または生体力学的負荷における変更も考慮される。負傷のリスクを減らすために、目標プロファイルは、負荷を最小限に抑えるために選択される、または、ユーザーが脆弱になる可能性のある特定の負傷を悪化させる生体力学的チェーンのセクションのロードを回避する。
【0097】
目標プロファイルを決定したら、システムは、プロファイルをベースラインから目標プロファイルに変更するために、ユーザーが制御できることが期待されている変更の順序を計算する。変更の順序を確立するために、システムは、選択したスキル分類にしたがってパラメータが分類され、コーチングまたはスキル習得の方法論にしたがって順序付けられる、考えられる多くのコーチング戦略の1つを採用する。そのようなコーチング戦略の例、そして、コーチングに対する階層的アプローチの原則は、次のWeb参照文献にある。
http://www.teachpe.com/sports_psychology/teaching.php
http://neuroscience.uth.tmc.edu/s3/chapter01.html
http://www.humanneurophysiology.com/motorunit.htm
http://www.aworkoutroutine.com/exercise-order/、
http://www.ptonthenet.com/articles/the-functional-continuum-3251
http://www.ideafit.com/fitness-library/functional-exerc-ise-progression
https://www.strengthandconditioningresearch.com/perspectives/strength-endurance-continuum/
【0098】
これらのコーチング戦略は通常、経験と特定の研究に基づいて、階層的なルールベースのアプローチを使用する。しかしながら、別のアプローチは、望ましい身体的状態を達成するようにユーザーに指示する最も効果的な方法を見つけるために、機械学習の原則を使用することである。多数のランナーからの指示と効果に関するデータを編集することにより、時間の経過とともにシステムを使用し、公開された戦略に依存するのではなく、新しい戦略を開発できる。および、目標プロファイルの計算方法を、それは達成できない状況を避けるために改良することができる。
【0099】
オーダーを計算すると、次に、システムは、ランニングスタイルの最初の側面を変更するために、地形、周囲および環境条件を考慮して自動的に調整することができるゴール値に向かって1つ以上のパラメーターに影響を与えるように、ユーザーにランニングを試行するよう指示する。ユーザーが特定のパラメーターに注目している間、本システムは、これらのパラメータに関するフィードバックを音声で、目に見えるまたは振動のフィードバックを提供し、ユーザーが、負傷のリスクを高めたり、パフォーマンスを低下させる可能性がある増分変更を大きくしすぎている場合警告を提供する。その試みが成功した場合、システムは、変更の順序における次の態様を変更するようユーザーに指示し、ユーザーの現在のプロファイルが、目標プロファイルに十分近くなるまで、順序を下に移動する(パラメータ値の加重平方差の合計などの距離メトリックを使用)。ユーザーが段階的なゴールを達成できない場合、本システムは、別のランニングインターバルで試行を繰り返すように勧める。ユーザーが所定の回数試行しても特定の増分ゴールを達成できない場合、コーチング戦略が機能しておらず、システムが戻り、取得したデータを使用して、パラメータに代替分類を使用すること、または、異なるコーチングまたはスキル習得の方法論を含むことができるコーチング戦略を変更する。その後、システムは、次の段階的な変更を行うようユーザーに指示する前に、変更の新しい順序を準備する。ユーザーが1つ以上のパラメーターの変更に集中している間、他のすべての生理学的および/または生体力学的パラメーターは、所定のしきい値を超えて負傷のリスクを高める可能性が高い(「安全でない」)または、変更によってパフォーマンスが低下する可能性がある(「非効率的」)変更が発生したかどうかを確認するためにチェックされる。その場合、現在のプロファイルが、「安全でない」または「非効率的」であるか考慮され、コーチングセッションが終了し、ユーザーに、変更しようとするのをやめるために指示され、次のランニングインターバルのために、ユーザーが快適だと感じるランニングスタイルを使用してランニングする。システムは、このランニング中に、新しい「ベースラインプロファイル」を形成するためにデータを収集し、新しい「目標プロファイル」、および、すべてのコーチングセッション中に取得されたデータを考慮した変更の順序を計算する。この全体的なプロセスは、図8のフローチャートで説明されている。「プロファイル」は、生理学的なコレクションおよび/または、その人の身体的状態を定量化する生体力学的負荷分布を含む生体力学的パラメータ値である。ユーザーが理解できるゴールは、ユーザーが直接影響を与えることができるパラメーターを含む。
【0100】
地形と環境条件は、どのようにランナーが実行するかに影響し、これを、いつベースラインパラメータが記録されるか、およびいつ増分ゴールが、以下の例で提案されているように設定されるかに考慮することができる。システムが高い周囲温度を測定する、または、インターネットなどの別のソースから温度を取得するとき、身体への追加の熱応力を考慮するため速度/強度のゴール値が低下する(たとえば、「Reductions in Cardiac Output, Central Blood Volume, and Stroke Volume with Thermal Stress in Normal Men during Exercise;Rowell, Marx, Bruce, Conn and Kusu」;Journal of Clinical Investigation Vol. 45, No. 11, 1966、または、「Effect of Thermal Stress on Cardiac Function; Wilson and Crandall」;Exerc Sport Sci Rev. 39(1): 12-17 2011)。システムが風向に関するデータ、および、ユーザーの走行方向を取得する場合システムが、例えば、風に向かって走るのに必要な追加の努力について説明する速度ゴールを調整する。GPSデータを介して、システムは、ユーザーが上り坂を走っているかどうかを検出でき、傾斜を登るのに必要な余分な労力を考慮して、ストライドの長さのゴール値を減らす。バランスゴール値は、上り坂の足に比べて耐えなければならない下り坂の足の余分な負荷を考慮して、傾斜を横切って走っているユーザーを考慮して調整できる。
【0101】
特定の例では、システムの動作を、膝の負傷の歴史をシステムに宣言した、負傷のリスクを減らしたいランナーについて説明する。先行研究では、一般的に、高ケイデンス、短いストライドの長さと中または前足のストライクインデックスは、膝の負傷のリスクを減らす。したがって、ベースラインプロファイルが最適でない場合、目標プロファイルは、これらのパラメーターへの変更を含む。「ケイデンス」は、それはユーザーの制御下にあり、コーチングの順序が高い可能性が高い単純なスキルパラメーターの典型である。それで、事前の調査から収集したコーチング戦略を使用して、システムは、ケイデンス、ストライドの長さとストライクインデックスの増分変化のプログラムを計算する。研究(たとえば、「Excessive progression in weekly running distance and risk of running-related injuries: an association which varies according to type of injury」;Nielsen, Parner, Nohr, Sorensen, Lind, Rasmussen;J Orthop Sports Phys Ther. 44(10): 739-47 2014、または、「Muscle activity and tibial shock during the initial transition from shod to barefoot running」;Gutierrez and Olin;International Society of Biomechanics Congress 2011、または、「Barefoot-simulating footwear associated with metatarsal stress injury in 2 runners」;Giuliani, Masini, Alitz, Owens;Orthopedics. 7; 34(7): e320-3 2011)は、ランニングスタイルを大きく変える試みは、負傷のリスク増加の主な原因であることを示している。そのため、コーチングシステムは小さな増分変更を推奨する。したがって、膝の負傷の病歴を持つそのようなユーザーは、通常、最初にシステムから「ケイデンスを5%増加させる」という指示が与えられる。次のランニングインターバルにおいて、(代わりに、「ケイデンスを増加させ、同じ走行速度を維持しながら歩幅を5%短縮」と聞かれる。ただし、組み合わせのゴールは、ユーザーの進歩に役立つ場合にのみ与えられる。)彼らが達成しようとしているものに向かって、指示が与えられる。ユーザーがこのゴールを達成した場合、システムは現在のプロファイルを目標プロファイルと比較し、近い場合には、次の変更に移動する。ユーザーが現在、かかとの近くを打っている場合、システムはユーザーに、次のランニングインターバルのために「足の接触点を中足と足の指に向かって移動しようとしろ」などと、指示を出す。ユーザーがすべてのゴールを達成した場合、システムは現在のプロファイルを目標プロファイルと比較し、そして、十分近い場合、ユーザーが、生体力学的負荷プロファイルを正常に達成しており、膝および関連する解剖学的構造への負荷が軽減されている。したがって、人間のコーチの介入なしで、システムは、一連の制御された増分を介してユーザーをガイドし、コーチング活動の主な目的により近づける方法で、ランニングスタイルの変更に役立つ変更をする。したがって、システムは、確立された指導原則に従う、監視なしの自動コーチングを提供し、さらに、負傷やパフォーマンスのリスクに影響を与える可能性のある要因のライブ監視とフィードバックを提供する。センサー、計算機とアルゴリズムは、身体的な状態を監視でき、身体の現在の生体力学的負荷分布を推定することができ、それを、ユーザーが実行できる指示を計算するために使用することができる人工知能のアドバイスモジュールを構成する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8