(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】外科用器具の言語選択のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/068 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
A61B17/068
(21)【出願番号】P 2020517848
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(86)【国際出願番号】 IB2018057314
(87)【国際公開番号】W WO2019064149
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-16
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラインバック・リチャード・エル
(72)【発明者】
【氏名】パルフェット・レイモンド・イー
(72)【発明者】
【氏名】オーバーマイヤー・マーク・ディー
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-147050(JP,A)
【文献】国際公開第2011/122516(WO,A1)
【文献】特開2005-144183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0228530(US,A1)
【文献】特表2016-518915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/03 - 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
ハンドル組立体であって、
言語パラメータを記憶するように構成された第1のメモリ、及び
前記第1のメモリから前記言語パラメータを取得するために前記第1のメモリに連結された制御回路、を備える、ハンドル組立体と、
前記ハンドル組立体に取り外し可能に接続可能な交換式構成要素であって、複数の言語でテキストフレーズを記憶するように構成された第2のメモリを備える、交換式構成要素と、を備え、
前記制御回路は、前記第2のメモリから、前記言語パラメータに対応する言語で前記テキストフレーズを取得するように構成されている、外科用器具。
【請求項2】
ディスプレイを更に備え、前記制御回路は、前記ディスプレイに、前記第2のメモリから取得された前記テキストフレーズを表示させるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記制御回路は、前記ディスプレイに、前記ディスプレイ上に表示された画像上のオーバーレイとして前記テキストフレーズを表示させるように構成されている、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記テキストフレーズは、前記ディスプレイ上に表示されるように、前記制御回路によって決定された画像タイプに対応する、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記交換式構成要素はシャフト組立体を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記制御回路は、前記交換式構成要素が前記ハンドル組立体に接続されると、前記第2のメモリに通信可能に連結される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
交換式モジュールが取り外し可能に接続可能な外科用器具のハンドル組立体であって、前記交換式モジュールは、複数の言語でテキストフレーズを記憶するように構成された補助メモリを備え、前記ハンドル組立体は、
言語パラメータを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリから前記言語パラメータを取得するために前記メモリに連結された制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記補助メモリから、前記言語パラメータに対応する言語で前記テキストフレーズを取得するように構成されている、ハンドル組立体。
【請求項8】
ディスプレイを更に備え、前記制御回路は、前記ディスプレイに、前記補助メモリから取得された前記テキストフレーズを表示させるように構成されている、請求項7に記載のハンドル組立体。
【請求項9】
前記制御回路は、前記ディスプレイに、前記ディスプレイ上に表示された画像上のオーバーレイとして前記テキストフレーズを表示させるように構成されている、請求項8に記載のハンドル組立体。
【請求項10】
前記テキストフレーズは、前記ディスプレイ上に表示されるように、前記制御回路によって決定された画像タイプに対応する、請求項8に記載のハンドル組立体。
【請求項11】
前記交換式モジュールはシャフト組立体を含む、請求項7に記載のハンドル組立体。
【請求項12】
前記制御回路は、前記交換式モジュールが前記ハンドル組立体に接続されると、前記補助メモリに通信可能に連結される、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項13】
交換式構成要素が取り外し可能に接続可能なハンドル組立体を備える外科用器具を操作する方法であって、
前記ハンドル組立体の第1のメモリから言語パラメータを取得することと、
前記言語パラメータに対応する言語で前記交換式構成要素の第2のメモリからテキストフレーズを取得することと、
前記言語パラメータに対応する前記言語で前記テキストフレーズを表示することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記テキストフレーズは、前記テキストフレーズに関連付けられた画像上のオーバーレイとして表示される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記交換式構成要素はシャフト組立体を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
画像が表示されるべきであると判定することを更に含み、前記第2のメモリから取得された前記テキストフレーズは、前記言語パラメータ及び前記画像の両方に対応する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用器具に関し、また様々な状況においては、組織を切断及びステープル留めするように設計された外科用ステープル留め及び切断器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープル留め及び切断器具においては、器具のディスプレイ及び他の構成要素を制御して、器具を使用する臨床医に警告を提供し、器具の電源を切断し、外科用器具の動作状態に基づいてその他のこうした動作を行うことは有用であり得る。外科用器具の動作状態(すなわち、器具が切断、ステープル留め、クランプ、関節運動、又は他のそのような動作をとっているか否か)は、センサによって検出された器具の状態に応じて様々なプロセスを実行するように構成された制御回路に通信可能に連結され得る1つ又は2つ以上のセンサによって検出することができる。状況によっては、外科用器具が経験しているエラーを臨床医に警告するために、臨床医に警告を提供することが有用であり得る。他の状況では、器具が外科用ステープル留め及び切断操作を完了したときに器具の電源を切断することが有用であり得る。更に他の状況では、臨床医が切断の進行状況を観察できるようにするため、ナイフの位置をその発射ストロークの過程で表示することが有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、外科用器具であって、ハンドル組立体であって、言語パラメータを記憶するように構成された第1のメモリ、及び第1のメモリから言語パラメータを取得するために第1のメモリに連結された制御回路、を備える、ハンドル組立体と、ハンドル組立体に取り外し可能に接続可能な交換式構成要素であって、複数の言語でテキストフレーズを記憶するように構成された第2のメモリを備える、交換式構成要素と、を備え、制御回路は、第2のメモリから、言語パラメータに対応する言語でテキストフレーズを取得するように構成されている、外科用器具。
【0004】
別の態様では、交換式モジュールが取り外し可能に接続可能である外科用器具のハンドル組立体であって、交換式モジュールは、複数の言語でテキストフレーズを記憶するように構成された補助メモリを備え、ハンドル組立体は、言語パラメータを記憶するように構成されたメモリと、メモリから言語パラメータを取得するためにメモリに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、補助メモリから、言語パラメータに対応する言語でテキストフレーズを取得するように構成されている、ハンドル組立体。
【0005】
別の態様では、交換式構成要素が取り外し可能に接続可能なハンドル組立体を備える外科用器具を操作する方法であって、ハンドル組立体の第1のメモリから言語パラメータを取得することと、言語パラメータに対応する言語で交換式構成要素の第2のメモリからテキストフレーズを取得することと、言語パラメータに対応する言語でテキストフレーズを表示することと、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に記載される態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかしこれらの態様は、構成及び動作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面と共に参照することによってより深く理解され得る。
【
図1】本開示の一態様による、動作可能に結合された交換式シャフト組立体を有する外科用器具の斜視図である。
【
図2】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の一部の分解組立図である。
【
図3】本開示の一態様による、交換式シャフト組立体の一部の分解組立図である。
【
図4】本開示の一態様による、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの分解図である。
【
図5A】本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図5B】本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図6】本開示の一態様による、ハンドル組立体、電源組立体、並びにハンドル組立体及び交換式シャフト組立体の間のインタフェースを示す、
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図7】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された制御回路を示す。
【
図8】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
【
図9】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
【
図10】本開示の一態様による、センサ機構を備える制御モータ駆動回路構成を備える、
図1の外科用器具の絶対位置決めシステムの図である。
【
図11】本開示の一態様による、制御回路基板組立体及びセンサ機構の各要素の相対的な整合を示す、絶対位置決めシステム用のセンサ機構の分解斜視図である。
【
図12】本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える位置センサの図である。
【
図13】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内に把持された組織に対する発射部材ストロークを示す、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図14】本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
【
図15】本開示の一態様に従って実行された、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットしたダイアグラムを示す。
【
図16】本開示の一態様による、明確にするためにその一部分が省略された、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、外科用器具のエンドエフェクタの一部分の部分斜視図である。
【
図17】本開示の一態様による、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、
図16のエンドエフェクタの別の斜視図である。
【
図18】本開示の一態様による、細長いシャフト組立体態様を示す、
図16のエンドエフェクタの分解組立斜視図である。
【
図19】本開示の一態様による、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、
図16のエンドエフェクタの上面図である。
【
図20】本開示の一態様による、第1の関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、
図16のエンドエフェクタの別の上面図である。
【
図21】本開示の一態様による、第2の関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、
図16のエンドエフェクタの別の上面図である。
【
図22】本開示の一態様による、従来の外科用ステープル/締結具カートリッジ及び高周波(RF)カートリッジと共に使用するように構成された交換式外科用道具組立体に連結されたハンドル組立体を含む外科用システムの斜視図である。
【
図23】本開示の一態様による、
図22の外科用システムの分解斜視組立図である。
【
図24】本開示の一態様による、そのエンドエフェクタが関節運動位置にある、
図22交換式外科用道具組立体の一部分の上部断面図である。
【
図25】本開示の一態様による、オンボード回路基板構成及びRF発振器を加えた構成の斜視図である。
【
図26】本開示の一態様による、交換式シャフト組立体及びハンドル組立体を含む外科用器具のブロック図を示す。
【
図27】本開示の一態様による、表示言語を設定するためのプロセスのフロー図を示す。
【
図28】本開示の一態様による、テキストオーバレイを含まない画像を示す表示画面又はその一部分の正面図を示す。
【
図29】本開示の一態様による、テキストオーバレイを含む画像を示す表示画面又はその一部分の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本願の出願人は、本願と同時出願であり、それぞれ参照により対応する全体が本願に組み込まれる以下の特許出願を所有する。
2017年9月29日に出願された発明者Richard L Leimbachらによる「SYSTEMS AND METHODS FOR PROVIDING ALERTS ACCORDING TO THE OPERATIONAL STATE OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題された代理人整理番号END8312USNP/170177、
2017年9月29日に出願された発明者Richard L Leimbachらによる「SYSTEMS AND METHODS OF DISPLAYING A KNIFE POSITION FOR A SURGICAL INSTRUMENT」と題された代理人整理番号END8313USNP/170178、
2017年9月29日に出願された発明者Richard L Leimbachらによる「SYSTEMS AND METHODS OF INITIATING A POWER SHUTDOWN MODE FOR A SURGICAL INSTRUMENT」と題された代理人整理番号END8314USNP/170179、
2017年9月29日に出願された発明者Tony C.Seibelらによる「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」と題された代理人整理番号END8316USDP/170181D、
2017年9月29日に出願された発明者Tony C.Seibelらによる「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」と題された代理人整理番号END8317USDP/170182D、
2017年9月29日に出願された発明者Tony C.Seibelらによる「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」と題された代理人整理番号END8318USDP/170183D、
2017年9月29日に出願された発明者Tony C.Seibelらによる「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」と題された代理人整理番号END8319USDP/170184D、
2017年9月29日に出願された発明者Richard L Leimbachらによる「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題された代理人整理番号END8320USNP/170176M。
【0008】
開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の理解を提供するために、特定の態様が示され説明される。1つの実施例で示される又は説明される特徴は、他の実施例の特徴と組み合わされてもよく、修正形態及び変形形態は、本開示の範囲内にある。
【0009】
用語「近位」及び「遠位」は、外科用器具のハンドルを操作する臨床医に対する用語であり、「近位」は臨床医により近い部分を指し、「遠位」は、臨床医からより遠い部分を指す。外科用器具は様々な向き及び位置で使用され得るので、便宜上、図面に関して使用される空間的な用語「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」は、限定及び/又は絶対的であることを意図していない。
【0010】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科的処置を行うための、例示的な装置及び方法が提供される。しかし、そのような装置及び方法は、例えば開腹外科手術を含む、他の外科的処置及び用途に使用することができる。外科用器具は、自然開口部を通して、又は組織内に形成された切開又は穿刺穴を通して挿入することができる。器具の作用部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、体内に直接に挿入することができ、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを前進させることが可能な作用通路を有するアクセスデバイスを通じて挿入することができる。
【0011】
いくつかの態様では、外科用器具は、以下で更に詳細に説明するように、切断(例えば、
図1及び22のような)、ステープル留め(例えば、
図1のような)、電気外科手術(例えば、
図22のような)、及び/又は超音波手術を行うことのできる装置を含むことができる。超音波外科用器具に関する更なる詳細は、その開示全体が参照により本明細書に援用される「METHOD OF BALANCING ASYMMETRIC ULTRASONIC SURGICAL BLADES」と題する米国特許第6,283,981号、「CURVED ULTRASONIC WAVEGUIDE HAVING A TRAPEZOIDAL CROSS SECTION」と題する米国特許第6,309,400号、及び「BALANCED ULTRASONIC WAVEGUIDE INCLUDING A PLURALITY OF BALANCE ASYMMETRIES」と題する米国特許第6,436,115号で見出すことができる。
【0012】
図1~
図4は、再使用されてもよく又はされなくてもよい、切断及び締結用のモータ駆動式外科用器具10を示す。図示した実施例では、外科用器具10は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドル組立体14を備えるハウジング12を含む。ハウジング12は、1つ若しくは2つ以上の外科的タスク又は処置を行うように構成されたエンドエフェクタ300が動作可能に結合されている、交換式シャフト組立体200に動作可能に取り付けられるように構成されている。本開示によると、様々な形態の交換式シャフト組立体が、ロボット制御された外科用システムと関連させて効果的に使用され得る。したがって、「ハウジング」という用語は、交換式シャフト組立体を作動させるために利用できる少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は動作可能に支持する、ロボットシステムのハウジング又は類似部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指してもよい。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフト組立体は、その全体が参照により本明細書に援用される「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」と題する米国特許第9,072,535号に開示される、様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法と共に用いられてもよい。
【0013】
図1は、本開示の一態様による、動作可能に結合された交換式シャフト組立体200を有する外科用器具10の斜視図である。ハウジング12はエンドエフェクタ300を含み、エンドエフェクタ300は、外科用ステープルカートリッジ304を動作可能に支持するように構成された外科用切断及び締結装置をその中に備える。ハウジング12は、交換式シャフト組立体と接続して使用するように構成されていてもよく、交換式シャフト組立体は、様々なサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように適合されたエンドエフェクタを含み、様々なシャフト長さ、サイズ及び種類を有する。ハウジング12は、様々な交換式シャフト組立体と共に用いられてもよく、交換式シャフト組立体は、様々な外科的用途及び処置に関連して用いるように適合されたエンドエフェクタ構成に対して、高周波(RF)エネルギー、超音波エネルギー、及び/又は運動などの、他の運動及びエネルギー形態を印加するように構成された組立体を含む。エンドエフェクタ、シャフト組立体、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、組織を締結するために任意の好適な締結具を利用できる。例えば、中に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフト組立体のエンドエフェクタに着脱可能に挿入及び/又は装着され得る。
【0014】
ハンドル組立体14は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互接続され得る一対の相互接続可能なハンドルハウジングセグメント16、18を備え得る。ハンドルハウジングセグメント16、18は協働して、臨床医によって把持及び操作され得るピストルグリップ部分19を形成する。ハンドル組立体14は複数の駆動システムを動作可能に支持し、駆動システムは、ハンドル組立体に動作可能に取り付けられた交換式シャフト組立体の対応部分に、制御運動を生成及び適用するように構成されている。ディスプレイはカバー45の下方に設けられてもよい。
【0015】
図2は、本開示の一態様による、
図1の外科用器具10の一部分の分解組立図である。ハンドル組立体14は、複数の駆動システムを動作可能に支持するフレーム20を含んでもよい。フレーム20は、閉鎖駆動システム30を動作可能に支持することができ、閉鎖駆動システム30は、交換式シャフト組立体200に対して閉鎖及び開放運動を適用することができる。閉鎖駆動システム30は、フレーム20によって枢動可能に支持される閉鎖トリガ32などのアクチュエータを含んでもよい。閉鎖トリガ32は、枢動ピン33によってハンドル組立体14に枢動可能に結合されて、閉鎖トリガ32が臨床医によって操作されることを可能にする。臨床医がハンドル組立体14のピストルグリップ部分19を把持する場合に、閉鎖トリガ32は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと枢動できる。
【0016】
ハンドル組立体14及びフレーム20は発射駆動システム80を動作可能に支持してもよく、発射駆動システム80は、それに取り付けられた交換式シャフト組立体の対応する部分に対して発射運動を適用するように構成されていてもよい。発射駆動システム80は、ハンドル組立体14のピストルグリップ部分19に設置された電気モータ82を用いてもよい。電気モータ82は、例えば約25,000RPMの最大回転スピードを有するブラシ付きDCモータであってもよい。その他の構成では、モータとしては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又はその他の任意の好適な電気モータを挙げてもよい。電気モータ82は、取り外し可能な電源パック92を備え得る電源90によって給電されてもよい。取り外し可能な電源パック92は、遠位ハウジング部分96に取り付けるように構成された、近位ハウジング部分94を備えてもよい。近位ハウジング部分94及び遠位ハウジング部分96は、その中で複数の電池98を動作可能に支持するように構成される。電池98はそれぞれ、例えば、リチウムイオン(LI)又は他の好適な電池を含んでもよい。遠位ハウジング部分96は、制御回路基板100に取り外し可能かつ動作可能に取り付けられるように構成され、制御回路基板100は電気モータ82に動作可能に結合されている。直列に接続されたいくつかの電池98は、外科用器具10に給電することができる。電源90は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。カバー45の下方に位置するディスプレイ43は、制御回路基板100に電気的に結合されている。ディスプレイ43を暴露させるために、カバー45を取り除いてもよい。
【0017】
電気モータ82は、長手方向に移動可能な駆動部材120上にある駆動歯122の組又はラックと噛合係合して装着されるギヤ減速機組立体84と動作可能にインタフェースする、回転式シャフト(図示せず)を含み得る。長手方向に移動可能な駆動部材120は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための、その上に形成された駆動歯122のラックを有する。
【0018】
使用の際、電源90によって提供される電圧極性によって電気モータ82を時計方向に動作させることができるが、電池によって電気モータに印加される電圧極性は、電気モータ82を反時計方向に動作させるために反転させることができる。電気モータ82が一方向に回転されると、長手方向に移動可能な駆動部材120は、遠位方向「DD」に軸方向駆動されることになる。電気モータ82が反対の回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材120は、近位方向「PD」に軸方向駆動されることになる。ハンドル組立体14は、電源90によって電気モータ82に印加される極性を反転させるように構成され得るスイッチを含むことができる。ハンドル組立体14は、長手方向に移動可能な駆動部材120の位置、及び/又は長手方向に移動可能な駆動部材120が動かされている方向を検出するように構成されたセンサを含んでもよい。
【0019】
電気モータ82の作動は、ハンドル組立体14上に枢動可能に支持される発射トリガ130によって制御され得る。発射トリガ130は、非作動位置と作動位置との間を枢動してもよい。
【0020】
図1に戻ると、交換式シャフト組立体200はエンドエフェクタ300を含み、エンドエフェクタ300はその中に、外科用ステープルカートリッジ304を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル302を備える。エンドエフェクタ300は、細長いチャネル302に対して枢動可能に支持されるアンビル306を含んでもよい。交換式シャフト組立体200は、関節継手270を含んでもよい。エンドエフェクタ300及び関節継手270の構成及び動作は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0263541号、題「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION LOCK」に記載されている。交換式シャフト組立体200は、ノズル部分202、203から構成される近位ハウジング又はノズル201を含んでもよい。交換式シャフト組立体200は、シャフト軸SAに沿って延びる閉鎖管260を含んでもよく、閉鎖管260はエンドエフェクタ300のアンビル306を閉鎖及び/又は開放するために利用され得る。
【0021】
図1に戻ると、前述の参考文献である米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている方法で、例えば、閉鎖トリガ32の作動に応じて、閉鎖管260を遠位方向(方向「DD」)に並進させてアンビル306が閉鎖される。アンビル306は、閉鎖管260を近位方向に並進させることによって開かれる。アンビル開位置において、閉鎖管260は、その近位位置へと動かされる。
【0022】
図3は、本開示の一態様による、交換式シャフト組立体200の一部分の別の分解組立図である。交換式シャフト組立体200は、スパイン210内部で軸方向移動するように支持される発射部材220を含んでもよい。発射部材220は、遠位切断部分又はナイフバー280に取り付けるように構成された中間発射シャフト222を含む。中間発射シャフト222は、その遠位端に、ナイフバー280の近位端282にあるタブ284を受容するように構成された長手方向スロット223を含んでもよい。長手方向スロット223及び近位端282は、それらの間の相対移動が可能なように構成されてもよく、スリップ継手286を備えることができる。スリップ継手286は、ナイフバー280を動かさずに、又は少なくとも実質的に動かさずに、発射部材220の中間発射シャフト222が、エンドエフェクタ300を関節継手270の周りに関節運動させることを可能にし得る。いったんエンドエフェクタ300が適切に配向されたら、長手方向スロット223の近位側壁がタブ284に接触するまで、中間発射シャフト222を遠位方向に前進させて、ナイフバー280を前進させ、細長いチャネル302内に配置されたステープルカートリッジを発射することができる。スパイン210は内部に細長い開口部又は窓213を有して、スパイン210の中への中間発射シャフト222の組み付け及び挿入を容易にしている。いったん中間発射シャフト222が挿入されたら、頂部フレームセグメント215がシャフトフレーム212と係合されて、中間発射シャフト222及びナイフバー280を中に囲い込んでもよい。発射部材220の動作は、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出すことができる。スパイン210は、発射部材220と、スパイン210の周りに延びる閉鎖管260とを摺動可能に支持するように構成され得る。スパイン210は、関節運動ドライバ230を摺動可能に支持してもよい。
【0023】
交換式シャフト組立体200は、関節運動ドライバ230を発射部材220に選択的かつ取り外し可能に結合させるように構成されたクラッチ組立体400を含み得る。クラッチ組立体400は、発射部材220の周りに位置付けられるロックカラー又はロックスリーブ402を含み、ロックスリーブ402は、ロックスリーブ402が関節運動ドライバ230を発射部材220に結合する係合位置と、関節運動ドライバ230が発射部材220に動作可能に結合されない係合解除位置との間で回転され得る。ロックスリーブ402がその係合位置にある場合は、発射部材220の遠位方向移動によって、関節運動ドライバ230を遠位方向に動かすことができ、それに対応して、発射部材220の近位方向移動によって、関節運動ドライバ230を近位方向に動かすことができる。ロックスリーブ402がその係合解除位置にある場合は、発射部材220の移動は関節運動ドライバ230に伝達されず、その結果、発射部材220を関節運動ドライバ230とは無関係に動かすことができる。ノズル201は、米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている様々な方式で、関節駆動システムと発射駆動システムとを動作可能に係合及び係合解除させるために用いることができる。
【0024】
交換式シャフト組立体200は、スリップリング組立体600を備えることができ、スリップリング組立体600は、例えば、エンドエフェクタ300に及び/若しくはエンドエフェクタ300から電力を伝え、並びに/又は、エンドエフェクタ300に及び/若しくはエンドエフェクタ300から信号を通信するように構成することができる。スリップリング組立体600は、ノズル部分202、203内に画定されたスロットの内部に配置された近位コネクタフランジ604及び遠位コネクタフランジ601を備え得る。近位コネクタフランジ604は第1の面を備えることができ、遠位コネクタフランジ601は、第1の面に隣接して配置され、第1の面に対して移動可能である第2の面を備えることができる。遠位コネクタフランジ601は、シャフト軸SA-SA(
図1)を中心に、近位コネクタフランジ604に対して回転することができる。近位コネクタフランジ604は、その第1の面に画定される、複数の同心の、又は少なくとも実質的に同心の導体602を備えることができる。コネクタ607は、遠位コネクタフランジ601の近位側に装着することができ、複数の接点を有してもよく、各接点は、導体602のうちの1つに対応し、それと電気的に接触している。かかる構成により、近位コネクタフランジ604と遠位コネクタフランジ601とが、それらの間の電気的接触を維持したまま相対回転することが可能になる。近位コネクタフランジ604は、例えば、導体602をシャフト回路基板と通信させることができる、電気コネクタ606を含み得る。少なくとも一事例では、複数の伝導体を含むワイヤハーネスが、電気コネクタ606とシャフト回路基板との間に延び得る。電気コネクタ606は、シャーシ取り付けフランジに画定されたコネクタ開口部を通って近位に延びてもよい。スリップリング組立体600に関する更なる詳細が、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出され得る。
【0025】
交換式シャフト組立体200は、ハンドル組立体14に固定可能に取り付けられている近位部分と、長手方向軸を中心に回転可能である遠位部分とを含み得る。回転可能な遠位シャフト部分は、スリップリング組立体600を中心にして近位部分に対して回転させることができる。スリップリング組立体600の遠位コネクタフランジ601は、回転可能な遠位シャフト部分内に位置付けることができる。
【0026】
図4は、本開示の一態様による、
図1の外科用器具10のエンドエフェクタ300の一態様の分解図である。エンドエフェクタ300は、アンビル306及び外科用ステープルカートリッジ304を含んでもよい。アンビル306は、細長いチャネル302に結合されてもよい。アンビル306から延びるピン152を受容するように、細長いチャネル302内にアパーチャ199を画定することができて、細長いチャネル302及び外科用ステープルカートリッジ304に対してアンビル306を開位置から閉位置まで枢動させることができる。発射バー172が、エンドエフェクタ300の中へと長手方向に並進するように構成される。発射バー172は、1つの中実部分から構築されてもよく、又は鋼板のスタックを含む積層材料を含んでもよい。発射バー172は、Iビーム178と、その遠位端にある切断縁部182とを備える。発射バー172の遠位方向に突出する端部は、Iビーム178に取り付けることができて、アンビル306が閉位置にある場合に、細長いチャネル302内に配置された外科用ステープルカートリッジ304から間隔を空けてアンビル306を配置する手助けをすることができる。Iビーム178は、Iビーム178を発射バー172によって遠位方向に前進させながら組織を切るための鋭利な切断縁部182を含んでもよい。動作時に、Iビーム178は、外科用ステープルカートリッジ304を発射してもよい。外科用ステープルカートリッジ304は、ステープルドライバ192上に載置された複数のステープル191を、対応する上向きに開いたステープルキャビティ195内に保持する成形されたカートリッジ本体194を含むことができる。楔形スレッド190は、Iビーム178によって遠位方向に駆動され、外科用ステープルカートリッジ304のカートリッジトレイ196上を摺動する。Iビーム178の切断縁部182がクランプされた組織を切る間に、楔形スレッド190はステープルドライバ192を上向きにカム駆動して、ステープル191を追い出して変形させてアンビル306と接触させる。
【0027】
Iビーム178は、発射の間に、アンビル306に係合する上部ピン180を含むことができる。Iビーム178は、カートリッジ本体194、カートリッジトレイ196、及び細長いチャネル302の一部分に係合するために、中央ピン184及び底部フット186を含んでもよい。外科用ステープルカートリッジ304が細長いチャネル302内に配置される場合、カートリッジ本体194内に画定されたスロット193を、カートリッジトレイ196内に画定された長手方向スロット197、及び細長いチャネル302内に画定されたスロット189と位置合わせすることができる。使用時は、Iビーム178は、位置合わせされた長手方向スロット193、197、及び189を通って摺動することができ、
図4に示されるように、Iビーム178の底部フット186は、スロット189の長さに沿って細長いチャネル302の底面に沿って通っている溝に係合することができ、中央ピン184は、長手方向スロット197の長さに沿ってカートリッジトレイ196の上面に係合することができ、上部ピン180は、アンビル306に係合することができる。発射バー172が遠位方向へと前進して、外科用ステープルカートリッジ304からステープルを発射し、及び/又はアンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間に捕捉された組織を切開する際に、Iビーム178は、アンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間の間隔を空けるか、又はそれらの相対移動を制限することができる。発射バー172及びIビーム178を近位方向へと後退させ、それによりアンビル306が開かれ、ステープル留めされ切られた2つの組織部分を解放することが可能になる。
【0028】
図5A~
図5Bは、本開示の一態様による、2枚の図面に及ぶ、
図1の外科用器具10の制御回路700のブロック図である。主に
図5A~5Bを参照すると、ハンドル組立体702は、モータドライバ715によって制御可能であり、外科用器具10の発射システムによって使用可能なモータ714を含んでもよい。様々な形態において、モータ714は、約25,000RPMの最大回転速度を有する、ブラシ付きDC駆動モータであってよい。別の構成において、モータ714はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータドライバ715は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)719を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ714は、制御電力を外科用器具10に供給するためにハンドル組立体14に解放可能に取り付けられた電源組立体706により給電されてもよい。電源組立体706は、外科用器具10に給電するための電源として使用され得る、直列に接続された複数の電池を備えてもよい。特定の状況下では、電源組立体706の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源組立体706に別個に連結可能であり得るリチウムイオン電池であってよい。
【0029】
シャフト組立体704は、シャフト組立体704と電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間に、インタフェースを介して安全コントローラ及び電力管理コントローラ716と通信可能である、シャフト組立体コントローラ722を含むことができる。例えば、インタフェースは、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間にシャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との間の電気通信を可能にするために、対応するシャフト組立体電気コネクタとの連結係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第1のインタフェース部分725、及び、対応する電源組立体電気コネクタとの連結係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第2のインタフェース部分727を備え得る。インタフェースを介して1つ又は2つ以上の通信信号を送信して、取り付けられて交換式シャフト組立体704の1つ又は2つ以上の電力要件を電力管理コントローラ716に送信することができる。それに応じて、電力管理コントローラは、取り付けられたシャフト組立体704の電力要件に従って、以下に更に詳細に記載されているように、電源組立体706の電池の電力出力を変調し得る。コネクタは、ハンドル組立体702の、シャフト組立体704及び/又は電源組立体706への機械的連結係合の後に活性化して、シャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との電気的通信を可能にすることができるスイッチを備えることができる。
【0030】
インタフェースは、例えば、ハンドル組立体702に収められたメインコントローラ717を通して、通信信号の経路指定を行うことにより、電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との1つ又は2つ以上のこのような通信信号の伝達を容易にすることができる。他の状況下では、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間、インタフェースは、ハンドル組立体702を介した電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との間の直接線の通信を容易にし得る。
【0031】
メインコントローラ717は、Texas Instrumentsの商標名ARM Cortexとして知られるものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってよい。一態様では、メインコントローラ717は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0032】
安全コントローラは、やはりTexas Instrumentsの商標名Hercules ARM Cortex R4として知られている、TMS570及びRM4xなど、2つのコントローラベースファミリを備える安全コントローラプラットフォームであってよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0033】
電源組立体706は、電力管理回路を含んでよく、電力管理回路は、電力管理コントローラ716、電力変調器738、及び電流感知回路736を含み得る。シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間に、電力管理回路は、シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池の電力出力を変調するように構成され得る。電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電源組立体706の電力出力を監視して、電池の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するように用いられ得るため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。電力管理コントローラ716及び/又はシャフト組立体コントローラ722はそれぞれ、多数のソフトウェアモジュールを記憶可能な1つ若しくは2つ以上のプロセッサ、及び/又はメモリユニットを備えることができる。
【0034】
外科用器具10(
図1~
図4)は、ユーザに感覚フィードバックを提供するための装置を含み得る、出力装置742を備えてもよい。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インタフェースは、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成することができる。出力装置742は代わりに、電源組立体706と一体化することができる。このような状況下では、シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている一方で、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との間の通信はインタフェースを介して成し遂げられ得る。
【0035】
制御回路700は、電動外科用器具10の動作を制御するように構成された回路セグメントを備える。安全コントローラセグメント(セグメント1)は、安全コントローラ、及びメインコントローラ717セグメント(セグメント2)を備える。安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717は、加速度セグメント、ディスプレイセグメント、シャフトセグメント、エンコーダセグメント、モータセグメント、及び電力セグメントなどの1つ又は2つ以上の追加の回路セグメントと相互作用するように構成されている。回路セグメントのそれぞれは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてよい。メインコントローラ717もまた、フラッシュメモリに連結される。メインコントローラ717は、シリアル通信インタフェースもまた備える。メインコントローラ717は、例えば、1つ若しくは2つ以上の回路セグメント、電池、及び/又は複数のスイッチに連結された、複数の入力を備える。セグメント化回路は、例えば、電動外科用器具10内のプリント回路基板組立体(printed circuit board assembly、PCBA)など、任意の好適な回路によって実装されてもよい。プロセッサという用語は、本明細書で使用するとき、任意のマイクロプロセッサ、プロセッサ、1つ若しくは複数のコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(central processing unit、CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上に組み込んだ、他の基本コンピューティングデバイスを含むと理解されるべきである。メインコントローラ717は、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラム可能装置である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。制御回路700は、本明細書で記載される1つ又は2つ以上のプロセスを実装するように構成されてもよい。
【0036】
加速度セグメント(セグメント3)は加速度計を備える。加速度計は、電動外科用器具10の移動又は加速度を検出するように構成されている。加速度計からの入力は、スリープモードとの間での遷移、電動外科用器具の配向の識別、及び/又は外科用器具が落下したときの識別に使用されてもよい。いくつかの例では、加速度セグメントは安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結される。
【0037】
ディスプレイセグメント(セグメント4)は、メインコントローラ717に連結されたディスプレイコネクタを備える。表示コネクタは、メインコントローラ717を、ディスプレイの1つ又は2つ以上の集積回路ドライバを通して、ディスプレイに連結している。ディスプレイの集積回路ドライバは、ディスプレイと一体化されてよく、かつ/又はディスプレイとは別個に配置されてよい。ディスプレイは、例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、及び/又は任意の他の好適なディスプレイなど、任意の好適なディスプレイを含んでもよい。いくつかの例では、ディスプレイセグメントは安全コントローラに連結される。
【0038】
シャフトセグメント(セグメント5)は、外科用器具10(
図1~
図4)に結合されている、交換式シャフト組立体200(
図1及び
図3)用の制御部、及び/又は、交換式シャフト組立体200に結合されたエンドエフェクタ300用の1つ若しくは2つ以上の制御部を備える。シャフトセグメントは、メインコントローラ717をシャフトPCBAに連結するように構成された、シャフトコネクタを備える。シャフトPCBAは、強誘電性ランダムアクセスメモリ(FRAM)、関節運動スイッチ、シャフト解放ホール効果スイッチ、及びシャフトPCBA EEPROMを有する低電力マイクロコントローラを備える。シャフトPCBA EEPROMは、交換式シャフト組立体200及び/又はシャフトPCBAに固有の、1つ若しくは2つ以上のパラメータ、ルーチン、及び/又はプログラムを含む。シャフトPCBAは交換式シャフト組立体200に連結されてもよく、かつ/又は、外科用器具10と一体であってもよい。いくつかの例では、シャフトセグメントは、第2のシャフトEEPROMを備える。第2のシャフトEEPROMは、電動外科用器具10と連係され得る1つ若しくは2つ以上のシャフト組立体200及び/又はエンドエフェクタ300に対応する複数のアルゴリズム、ルーチン、パラメータ、及び/又は他のデータを含む。
【0039】
位置エンコーダセグメント(セグメント6)は、1つ又は2つ以上の磁気式角度回転位置エンコーダを備える。1つ又は2つ以上の磁気回転位置エンコーダは、外科用器具10(
図1~
図4)のモータ714、交換式シャフト組立体200(
図1及び
図3)、及び/又はエンドエフェクタ300の回転位置を識別するように構成されている。いくつかの例では、磁気式角度回転位置エンコーダは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてよい。
【0040】
モータ回路セグメント(セグメント7)は、電動外科用器具10(
図1~
図4)の移動を制御するように構成されたモータ714を備える。モータ714は、1つ又は2つ以上のHブリッジ電界効果トランジスタ(FET)及びモータコントローラを備えるHブリッジドライバによってメインコントローラ717に連結される。Hブリッジドライバはまた、安全コントローラにも連結される。モータ電流センサは、モータの電引き込み電流を測定するため、モータと直列に連結している。モータ電流センサは、メインコントローラ717及び/又は安全コントローラと信号通信している。いくつかの例では、モータ714は、モータ電磁干渉(EMI)フィルタに連結されている。
【0041】
モータコントローラは、第1のモータフラグ及び第2のモータフラグを制御して、モータ714のステータス及び位置をメインコントローラ717に示す。メインコントローラ717は、パルス幅変調(PWM)高信号、PWM低信号、方向信号、同期信号及びモータリセット信号をモータコントローラに、バッファを介して供給する。電力セグメントは、セグメント電圧を回路セグメントのそれぞれに提供するように構成される。
【0042】
電力セグメント(セグメント8)は、安全コントローラ、メインコントローラ717、及び追加の回路セグメントに連結された電池を備える。電池は、電池コネクタ及び電流センサによってセグメント化回路に連結されている。電流センサは、セグメント化回路の合計引き込み電流を測定するように構成されている。いくつかの例では、1つ又は2つ以上の電圧変換器が、所定の電圧値を1つ又は2つ以上の回路セグメントに提供するように構成されている。例えば、いくつかの例では、セグメント化回路は、3.3V電圧変換器及び/又は5V電圧変換器を備えてもよい。ブースト変換器は、例えば最大13Vなど、既定量までのブースト電圧を提供するように構成されている。ブースト変換器は、電力集約的な動作の間、追加の電圧及び/又は電流を提供し、電圧低下又は低電力状態を防止するように構成されている。
【0043】
複数のスイッチは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されている。スイッチは、外科用器具10(
図1~
図4)、及びセグメント化回路の動作を制御し、及び/又は外科用器具10の状態を示すように構成されてもよい。緊急離脱ドアスイッチ、及び緊急離脱用のホール効果スイッチは、緊急離脱ドアのステータスを示すように構成される。例えば、左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、及び右側関節運動中央スイッチなど、複数の関節運動スイッチは、交換式シャフト組立体200(
図1及び
図3)及び/又はエンドエフェクタ300(
図1及び
図4)の関節運動を制御するように構成されている。左側反転スイッチ及び右側反転スイッチは、メインコントローラ717に連結される。左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、及び左側反転スイッチを備える左側スイッチは、左側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、右側関節運動中央スイッチ、及び右側反転スイッチを備える右側スイッチは、右側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。発射スイッチ、クランプ解放スイッチ、及びシャフト係合スイッチは、メインコントローラ717に連結されている。
【0044】
任意の好適な機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、又は固体スイッチを用いて、任意の組み合わせで、複数のスイッチを実装してよい。例えば、スイッチは、外科用器具10(
図1~
図4)に関連付けられた構成要素の動きによって、又は物体の存在によって操作されるリミットスイッチであってもよい。このようなスイッチを用いて、外科用器具10と関連した様々な機能を制御することができる。制限スイッチは、一組の接触部と機械的につながったアクチュエータからなる、電気機械装置である。対象体がアクチュエータと接触すると、装置はその接触部を操作して、電気的接続を作成する、又は破壊する。その丈夫さ、取り付けの容易さ、及び動作の信頼性により、制限スイッチは様々な用途及び環境で用いられる。制限スイッチは、対象体の有無、通過、配置、及び移動の終了を判定することができる。他の実装形態においては、スイッチは、とりわけホール効果装置、磁気抵抗性(MR)装置、巨大磁気抵抗性(GMR)装置、磁力計などの、磁場の影響下にて稼働する、固体スイッチであってもよい。他の実装形態では、スイッチは、とりわけ光センサ、赤外線センサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、例えばトランジスタ(例えば、FET、接合FET、金属酸化物半導体FET(MOSFET)、バイポーラなど)などの固体装置であってもよい。他のスイッチは、とりわけ、無線スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、慣性センサを含んでもよい。
【0045】
図6は、本開示の一態様により、ハンドル組立体702と電源組立体706との間のインタフェース、及びハンドル組立体702と交換式シャフト組立体704との間のインタフェースを示す、
図1の外科用器具の制御回路700の別のブロック図である。ハンドル組立体702は、メインコントローラ717、シャフト組立体コネクタ726、及び電源組立体コネクタ730を備えることができる。電源組立体706は、電源組立体コネクタ732、電力管理コントローラ716を備え得る電力管理回路734、電力変調器738、及び電流感知回路736を含むことができる。電源組立体コネクタ730、732はインタフェース727を形成する。交換式シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間、電力管理回路734は、交換式シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池707の電力出力を変調するように構成され得る。例えば、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電池707の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するため、電源組立体706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。シャフト組立体704は、不揮発性メモリ721及びシャフト組立体コネクタ728に連結され、シャフト組立体704をハンドル組立体702に電気的に接続する、シャフト組立体コントローラ722を備える。シャフト組立体コネクタ726、728は、インタフェース725を形成する。メインコントローラ717、シャフト組立体コントローラ722、及び/又は電力管理コントローラ716は、本明細書で記載されるプロセスの1つ又は2つ以上を実装するように構成することができる。
【0046】
外科用器具10(
図1~
図4)は、ユーザに感覚フィードバックを与える出力装置742を備えてもよい。このような装置は、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インタフェース727は、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成され得る。出力装置742は電源組立体706と一体化されてもよい。交換式シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている間に、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との通信が、インタフェース725を介して成し遂げられ得る。外科用器具10(
図1~
図4)の動作を制御するための制御回路700(
図5A、
図5B及び
図6)について説明したので、ここで本開示は、外科用器具10(
図1~
図4)の様々な構成及び制御回路700に移る。
【0047】
図7は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)の態様を制御するように構成された制御回路800を示す。制御回路800は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路800は、少なくとも1つのメモリ回路804に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ802(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるコントローラを備えることができる。メモリ回路804は、プロセッサ802によって実行されると、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ802に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ802は、当該技術分野で既知の多くのシングルコア又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つであってよい。メモリ回路804は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含むことができる。プロセッサ802は、命令処理ユニット806及び演算ユニット808を含んでよい。命令処理ユニットは、メモリ回路804から命令を受信するように構成されてもよい。
【0048】
図8は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路810を示す。組み合わせ論理回路810は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路810は、外科用器具10と関連付けられたデータを入力814において受信し、組合せ論理812によってデータを処理し、出力816を提供するように構成された組み合わせ論理回路812を含む有限状態マシンを含み得る。
【0049】
図9は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)の態様を制御するように構成された順序論理回路820を示す。順序論理回路820又は組み合わせ論理回路822は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路820は、有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路820は、例えば、組み合わせ論理回路822、少なくとも1つのメモリ回路824、及びクロック829を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路820は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路820は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理回路822は、外科用器具10と関連付けられたデータを入力826において受信し、組み合わせ論理回路822によってデータを処理し、出力828を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ802と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路810及び順序論理回路820の組み合わせを含むことができる。
【0050】
態様は、製造物品として実装されてもよい。製造物品は、1つ又は2つ以上の態様の様々な動作を行うための論理、命令、及び/又はデータを格納するように構成されたコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。例えば、製造物品は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサによって実行するために好適なコンピュータプログラム命令を含む磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又はファームウェアを含んでもよい。
【0051】
図10は、本開示の一態様による、
図1の外科用器具10(
図1~
図4)の絶対位置決めシステム1100のダイアグラムであり、絶対位置決めシステム1100は、センサ機構1102を備える制御モータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム1100用のセンサ機構1102は、変位部材1111の位置に対応する固有の位置信号を提供する。
図2~
図4を簡単に参照すると、一態様では、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯122のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材120(
図2)を表す。他の態様では、変位部材1111は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材220(
図3)を表す。更に別の態様では、変位部材1111は、発射バー172(
図4)又はIビーム178(
図4)を表し、これらの各々が駆動歯のラックを含むように適合され構成され得る。それに応じて、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、駆動部材120、発射部材220、発射バー172、Iビーム178、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具10の任意の移動可能な部材を総称して指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材120は、発射部材220、発射バー172、及びIビーム178に結合される。したがって、絶対位置決めシステム1100は、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材120の直線変位を追跡することによって、Iビーム178の直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材1111は、直線変位を測定するために好適な任意のセンサに連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材120、発射部材220、発射バー172、又はIビーム178、又は組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結され得る。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又は固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0052】
電気モータ1120は、変位部材1111上の駆動歯の組又はラックと噛合係合で装着されるギヤ組立体1114と動作可能にインタフェースをとる、回転可能なシャフト1116を含んでもよい。センサ素子1126は、センサ素子1126の1回転が、変位部材1111のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギヤ組立体1114に動作可能に結合されてもよい。ギヤリング及びセンサの機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続部によって回転アクチュエータに連結することができる。電源1129は、絶対位置決めシステム1100に電力を供給し、出力インジケータ1128は、絶対位置決めシステム1100の出力を表示することができる。
図2において、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するように、その上に形成された駆動歯122のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材120を表す。変位部材1111は、長手方向に移動可能な発射部材220、発射バー172、Iビーム178、又はこれらの組合せを表す。
【0053】
位置センサ1112と関連付けられたセンサ素子1126の1回転は、変位部材1111の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材1111に連結されたセンサ素子1126の1回転後に、変位部材1111が点「a」から点「b」まで移動する、長手方向の直線距離である。センサ機構1102は、位置センサ1112が変位部材1111のフルストロークに対して1回又は2回以上の回転を完了する結果をもたらすギヤの減速を介して接続されてもよい。位置センサ1112は、変位部材1111のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0054】
位置センサ1112の2回又はそれ以上の回転に対する固有の位置信号を適用するために、一連のスイッチ1122a~1122n(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、又はギヤ減速機と共に用いられてもよい。スイッチ1122a~1122nの状態は、コントローラ1104にフィードバックされ、コントローラ1104は、論理を適用して、変位部材1111の長手方向直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を決定する。位置センサ1112の出力1124は、コントローラ1104に提供される。センサ機構1102の位置センサ1112は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、アナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0055】
絶対位置決めシステム1100は、モータ1120が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推測する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、リセット(ゼロ又はホーム)位置への変位部材1111の後退又は前進なしで、器具の電源投入時点で、変位部材1111の絶対位置を提供する。
【0056】
コントローラ1104は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、コントローラ1104は、プロセッサ1108及びメモリ1106を含む。電気モータ1120は、ギヤボックス及び関節運動又はナイフシステムに対する機械的連結部を有するブラシ付きDCモータであってもよい。一態様では、モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバを、絶対位置決めシステム1100で使用するために容易に代用することができる。絶対位置決めシステム1100のより詳細な説明は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/130,590号、題「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に記載されている。
【0057】
コントローラ1104は、変位部材1111及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密な制御を提供するようにプログラムされてもよい。コントローラ1104は、コントローラ1104のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質を、測定による応答と釣り合わせる好適な同調された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0058】
絶対位置決めシステム1100は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれらを実装するようにプログラムされてもよい。電源1129は、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は、電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のパルス幅変調(PWM)が挙げられる。位置センサ1112で測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数可)1118が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)1118としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/628,175号に記載されるものなどのセンサ機構を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステム1100はデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステム1100の出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステム1100は、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。コントローラ1104は、制御回路700であってもよい(
図5A~
図5B)。
【0059】
モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941ドライバ1110は、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として具体的に設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。ドライバ1110は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。ブートストラップコンデンサは、NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を提供するために用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバを、絶対位置決めシステム1100で使用するために容易に代用することができる。
【0060】
センサ機構1102用の絶対位置決めシステム1100の態様を実装するための全般的なアーキテクチャについて説明したので、ここで、絶対位置決めシステム1100のセンサ機構1102の一態様について説明するために、本開示は
図11及び
図12を参照する。
図11は、一態様による、回路1205及びセンサ機構1102の各要素の相対的な配列を示す、絶対位置決めシステム1100用のセンサ機構1102の分解斜視図である。絶対位置決めシステム1100用のセンサ機構1102は、位置センサ1200と、磁石1202のセンサ素子と、変位部材1111のフルストローク毎に1回転する磁石ホルダ1204と、ギヤの減速を提供するギヤ組立体1206と、を備える。
図2を簡単に参照すると、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯122のラックを備える、長手方向に移動可能な駆動部材120を表し得る。
図11を参照すると、ギヤ組立体1206、磁石ホルダ1204、及び磁石1202を支持するために、ブラケット1216などの構造要素が提供されている。位置センサ1200は、ホール素子などの磁気感知要素を備え、磁石1202に近接して定置されている。磁石1202が回転するにつれて、位置センサ1200の磁気感知要素は、1旋回にわたって磁石1202の絶対角度位置を判定する。
【0061】
センサ機構1102は、例えば、全磁場を測定するか磁場のベクトル成分を測定するかに応じて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁場検出に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0062】
ギヤ組立体は、噛合係合し3:1のギヤ比接続を提供する第1のギヤ1208及び第2のギヤ1210を備える。第3のギヤ1212は、シャフト1214の周りを回転する。第3のギヤ1212は、変位部材1111(又は
図2に示すように120)と噛合係合しており、変位部材1111が遠位方向Dに前進するにつれて第1の方向に回転し、変位部材1111が近位方向Pに後退するにつれて第2の方向に回転する。第2のギヤ1210もまた、シャフト1214の周りに回転し、したがって、シャフト1214の周りの第2のギヤ1210の回転は、変位部材1111の長手方向並進に対応する。したがって、遠位方向D又は近位方向Pのいずれかにおける変位部材1111のフルストロークの1つが、第2のギヤ1210の3回転、及び第1のギヤ1208の1回転に対応する。磁石ホルダ1204は、第1のギヤ1208に結合されているので、磁石ホルダ1204は、変位部材1111の各フルストロークに対して完全に1回転する。
【0063】
位置センサ1200は、アパーチャ1220を画定する位置センサホルダ1218によって支持されており、アパーチャ1220は、位置センサ1200を、下にある磁石ホルダ1204内部で回転している磁石1202に正確に整列させて収容するのに好適である。固定具が、ブラケット1216及び回路1205に結合されており、磁石1202が磁石ホルダ1204と共に回転する間、静止したままである。ハブ1222が、第1のギヤ1208及び磁石ホルダ1204と嵌合するように設けられている。シャフト1214に結合された第2のギヤ1210及び第3のギヤ1212も示されている。
【0064】
図12は、本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える、絶対位置決めシステム1100用の位置センサ1200の図である。位置センサ1200は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ1200は、コントローラ1104と連係して絶対位置決めシステム1100を提供する。位置センサ1200は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(
図15及び
図16)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dを含む。また、高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238がチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照操作のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、SPIインタフェース1234などの標準的なシリアル通信インタフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4x4x0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0065】
ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、回転磁石1202(
図11)の真上に配置されている。ホール効果は、周知の効果であり、便宜上、本明細書では詳細に説明されないが、一般に、ホール効果は、導体内の電流を横断する電気導体と、電流に直交する磁場との間の電圧差(ホール電圧)を生成する。ホール係数は、誘導電場と、電流密度に印加磁場を掛けたものとの比として定義される。その値は、電流を構成する電荷キャリアの種類、個数、及び特性に依存するので、ホール係数は、導体を作る材料の特徴を示す。AS5055位置センサ1200において、ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、磁石1202の絶対位置を、磁石1202の1回転にわたる角度で示す電圧信号を発生させることが可能である。この角度値は固有の位置信号であり、CORDICプロセッサ1236によって計算され、レジスタ又はメモリ内にAS5055位置センサ1200のオンボードで記憶される。一回転にわたる磁石1202の位置を示す角度値は、様々な技術で、例えば電源投入時に、又はコントローラ1104によって要求されたときに、コントローラ1104に与えられる。
【0066】
AS5055位置センサ1200は、コントローラ1104に接続されているときは、動作するために少数の外部構成要素のみを必要とする。単一の電源を使用する単純な用途には、6本のワイヤ、すなわち電力用に2本のワイヤ、及びコントローラ1104とのSPIインタフェース1234用に4本のワイヤ1240が必要とされる。割り込みをコントローラ1104に送信して、新たな有効な角度が読み込まれ得ることを知らせるために、7番目の接続が加えられてもよい。電源投入時に、AS5055位置センサ1200は、1回の角度測定を含むすべての電源投入シーケンスを実施する。このサイクルの完了は、INT出力1242として示され、角度値は、内部レジスタに記憶される。この出力が設定されると、AS5055位置センサ1200は一時停止してスリープモードに移る。コントローラ1104は、SPIインタフェース1234を介してAS5055位置センサ1200から角度値を読み取ることによって、INT出力1242におけるINT要求に応答することができる。角度値がコントローラ1104によって読み取られると、INT出力1242が再びクリアされる。また、コントローラ1104によるSPIインタフェース1234によって「角度読取り」コマンドを位置センサ1200に送信すると、チップが自動的に電源投入され、別の角度測定が開始される。コントローラ1104が角度値の読み取りを完了すると、直ちに、INT出力1242がクリアされ、新たな結果が角度レジスタに記憶される。角度測定の完了は、再び、INT出力1242及びステータスレジスタの対応するフラグを設定することによって示される。
【0067】
AS5055位置センサ1200の測定原理により、単一の角度測定のみが、各電源投入シーケンス後のごく短い時間で(~600μs)実施される。1つの角度の測定が完了すると、直ちに、AS5055位置センサ1200は一時停止して電源オフ状態に移行する。デジタル平均化による角度値のオンチップフィルタリングは、複数回の角度測定を必要とし、その結果、電源投入時間がより長くなり、低電力用途には望ましくないので、このオンチップフィルタリングは実施されない。角度のジッターは、コントローラ1104内でいくつかの角度サンプルを平均化することによって低減され得る。例えば、4つのサンプルを平均化すると、ジッターは、6dB(50%)低減する。
【0068】
図13は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2502内部で把持された組織2526に対するIビーム2514発射ストロークを示す、外科用器具10(
図1~
図4)のエンドエフェクタ2502の断面図である。エンドエフェクタ2502は、
図1~
図4に示す外科用器具10と共に動作するように構成されている。エンドエフェクタ2502は、アンビル2516及び細長いチャネル2503を備え、ステープルカートリッジ2518が、細長いチャネル2503内に位置決めされている。発射バー2520は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸2515に沿って遠位及び近位に並進可能である。エンドエフェクタ2502が関節運動していないとき、エンドエフェクタ2502は、器具のシャフトと一直線になっている。切刃2509を含むIビーム2514は、発射バー2520の遠位側部分に例示されている。楔形スレッド2513は、ステープルカートリッジ2518内に位置決めされている。Iビーム2514が遠位に並進すると、切刃2509は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置決めされた組織2526に接触し、それを切断し得る。また、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に押し、楔形スレッド2513をステープルドライバ2511に接触させる。ステープルドライバ2511は、ステープル2505内に上昇させられて、ステープル2505を、組織を通って、ステープル2505を形状決めするアンビル2516内に画定されたポケット2507内へ前進させ得る。
【0069】
例示的なIビーム2514の発射ストロークは、エンドエフェクタ2502と並べられてチャート2529によって例示されている。例示的な組織2526もまた、エンドエフェクタ2502と並べられて示されている。発射部材ストロークは、ストローク開始位置2527及びストローク終了位置2528を含み得る。Iビーム2514の発射ストロークの間、Iビーム2514は、ストローク開始位置2527からストローク終了位置2528まで遠位に前進し得る。Iビーム2514は、ストローク開始位置2527の1つの例示的な場所で示されている。Iビーム2514の発射部材ストロークチャート2529は、5つの発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525を例示する。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、遠位に前進し始め得る。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に移動させ始め得る。しかしながら、第1の領域にある間、切刃2509は、組織に接触しない場合があり、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に接触しない場合がある。静止摩擦が克服された後、第1の領域2517内のIビーム2514を駆動する力は、実質的に一定であり得る。
【0070】
第2の発射部材ストローク領域2519では、切刃2509は、組織2526に接触して切断し始め得る。また、楔形スレッド2513は、ステープル2505を駆動するためにステープルドライバ2511に接触し始め得る。Iビーム2514を駆動する力は、上昇し始め得る。図示のように、最初に遭遇する組織は、アンビル2516がステープルカートリッジ2518に対して枢動する方式のため、圧縮され得る、及び/又はより薄くなり得る。第3の発射部材ストローク領域2521では、切刃2509は、組織2526と連続的に接触及び切断し得、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に繰り返し接触し得る。Iビーム2514を駆動する力は、第3の領域2521内で一定であり得る。第4の発射ストローク領域2523によって、Iビーム2514を駆動する力は、低下し始め得る。例えば、第4の発射領域2523に対応するエンドエフェクタ2502の部分の組織は、アンビル2516の枢動点により近い組織よりも圧縮されない場合があり、切断するために少ない力を必要とする。また、切刃2509及び楔形スレッド2513は、第4の領域2523にある間、組織2526の端に到達し得る。Iビーム2514が第5の領域2525に到達すると、組織2526は、完全に切断され得る。楔形スレッド2513は、組織の端又はその近くで1つ又は2つ以上のステープルドライバ2511に接触し得る。Iビーム2514を第5の領域2525を通して前進させる力は、低減され得、いくつかの例では、第1の領域2517内のIビーム2514を駆動する力と同様であり得る。発射部材のストロークの終わりに、Iビーム2514は、ストローク終了位置2528に到達し得る。
図18の発射部材のストローク領域2517、2519、2521、2523、2525の位置決めは、単なる一例である。いくつかの例では、異なる領域は、例えば、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間の組織の位置決めに基づいて、エンドエフェクタの長手方向軸2515に沿った異なる位置で開始してもよい。
【0071】
上で議論したように、及び
図10~
図13を参照すると、エンドエフェクタ2502内に捕捉された組織をステープル留め及び/又は切開するために、外科用器具10(
図1~
図4)のハンドル組立体内部に配置された電気モータ1122を利用して、Iビーム2514を含む、シャフト組立体の発射システムを、シャフト組立体のエンドエフェクタ2502に対して前進及び/又は後退させることができる。Iビーム2514は、所望の速度で、又は所望の速度の範囲内で前進又は後退させられ得る。コントローラ1104は、Iビーム2514の速度を制御するように構成され得る。コントローラ1104は、例えば、電圧及び/若しくは電流などの、電気モータ1122に供給される電源の様々なパラメータ、並びに/又は電気モータ1122の他の動作パラメータ若しくは外部影響に基づいて、Iビーム2514の速度を予測するように構成され得る。コントローラ1104はまた、電気モータ1122に供給される電流及び/若しくは電圧の以前の値、並びに/又は、速度、加速度、及び/若しくは位置など、システムの以前の状態に基づいて、Iビーム2514の現在の速度を予測するように構成され得る。コントローラ1104は、本明細書に記載される絶対位置決めセンサシステムを利用して、Iビーム2514の速度を感知するように構成され得る。コントローラは、Iビーム2514の予測速度と、Iビーム2514の感知速度とを比較して、電気モータ1122への電力が、Iビーム2514の速度を増加させるために増加させるべきか否か、かつ/又はIビーム2514の速度を低下させるために減少させるべきか否かを決定するように構成され得る。更に、電気モータ1122によって駆動される外科用器具10に関しては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」と題する米国特許第8,210,411号に見出すことができる。センサ機構を含む外科用器具10に関する更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」と題する米国特許第7,845,537号で見出すことができる。
【0072】
Iビーム2514に作用する力は、様々な技術を使用して決定され得る。Iビーム2514の力は、モータ2504の電流を測定することによって決定され得、モータ2504の電流は、遠位に前進するときのIビーム2514が受ける負荷に基づく。Iビーム2514の力は、歪みゲージを、駆動部材120(
図2)、発射部材220(
図2)、Iビーム2514(Iビーム178、
図20)、発射バー172(
図2)上に、及び/又は切断縁部2509の近位端上に配置することによって決定されてもよい。Iビーム2514の力は、所定の経過期間T
1後にモータ2504の現在の設定速度に基づく予測速度で移動するIビーム2514の実際の位置を監視し、Iビーム2514の実際の位置を、期間T
1終了時のモータ2504の現在の設定速度に基づくIビーム2514の予測位置と比較することによって決定されてもよい。したがって、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予期される位置未満である場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも大きい。逆に、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予期される位置を超過する場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも小さい。Iビーム2514の実際の位置と予期される位置との間の差は、公称力からのIビーム2514上の力の偏差に比例する。こうした技術は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/628,075号に記載される。
【0073】
図14は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具2500のブロック図を示す。一態様では、外科用器具2500は、Iビーム2514などの変位部材1111の遠位並進を制御するようにプログラムされている。外科用器具2500は、アンビル2516、Iビーム2514(鋭い切断縁部2509を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ2518を備え得るエンドエフェクタ2502を備える。エンドエフェクタ2502、アンビル2516、Iビーム2514、及びステープルカートリッジ2518は、例えば、
図1~
図13に関して本明細書に記載されるように構成されてもよい。
【0074】
図10~
図12に示し、
図14の位置センサ2534として表されるように、Iビーム2514などのライナー変位部材1111の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム1100、センサ機構1102、及び位置センサ1200によって測定できる。Iビーム2514が長手方向に移動可能な駆動部材120に連結されているため、Iビーム2514の位置は、位置センサ2534を使用する長手方向に移動可能な駆動部材120の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム2514の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ2534によって達成され得る。
図5A及び
図5Bに記載される制御回路700などの制御回路2510は、
図10~
図12に関連して記載されるように、Iビーム2514などの変位部材1111の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路2510は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばIビーム2514を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/計数回路2531は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路2510に提供して、位置センサ2534によって測定されたIビーム2514の位置をタイマー/カウンタ回路2531の出力と相関させ、その結果、制御回路2510は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム2514の位置を判定することができる。タイマー/計数回路2531は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0075】
制御回路2510は、モータ設定値信号2522を生成してもよい。モータ設定値信号2522は、モータコントローラ2508に提供されてもよい。モータコントローラ2508は、本明細書で説明するように、モータ2504にモータ駆動信号2524を提供してモータ2504を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ2504は、
図1、
図5B、
図10に示すモータ82、714、1120などのブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ2504の速度は、モータ駆動信号2524に比例してもよい。いくつかの例では、モータ2504はブラシレス直流(DC)電気モータであってもよく、モータ駆動信号2524は、モータ2504の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるパルス幅変調(PWM)信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ2508は省略されてもよく、制御回路2510がモータ駆動信号2524を直接生成してもよい。
【0076】
モータ2504は、エネルギー源2512から電力を受信することができる。エネルギー源2512は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源2512であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ2504は、伝達装置2506を介してIビーム2514に機械的に連結され得る。伝達装置2506は、モータ2504をIビーム2514に連結するための1つ若しくは2つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を感知し得る。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ2534は、Iビーム2514が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路2510に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路2510は、パルスを追跡してIビーム2514の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム2514の運動を示す他の信号を提供することができる。また、一部の実施例では、位置センサ2534は省略されてもよい。モータ2504がステップモータである場合、制御回路2510は、モータ2504が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム2514の位置を追跡することができる。位置センサ2534は、エンドエフェクタ2502内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0077】
制御回路2510は、1つ又は2つ以上のセンサ2538と通信することができる。センサ2538は、エンドエフェクタ2502上に位置付けられ、外科用器具2500と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ2538は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ2502の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備え得る。センサ2538は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。
【0078】
1つ又は2つ以上のセンサ2538は、クランプ留め状態の間のアンビル2516における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0079】
センサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖管260によってアンビル2516に印加される閉鎖力を検出するために、閉鎖管260(
図3)とアンビル2516との間の相互作用点に位置することができる。アンビル2516に対して及ぼされる力は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に捕捉された組織切片が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に印加される閉鎖力を検出するために、閉鎖駆動システム30(
図2)に沿った様々な相互作用点に配置されてもよい。
図5A~
図5Bに記載されるように、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、クランプ動作中に、プロセッサによってリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路2510は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、分析時間ベースの情報を提供し、アンビル2516に印加される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0080】
モータ2504によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ2536を用いることができる。Iビーム2514を前進させるのに必要な力は、モータ2504によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路2510に提供される。
【0081】
図1~13に関連して、かつ
図14を参照して本明細書で開示される器具の物理的性質を用いて、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェア内でシミュレートするように制御回路2510を構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ2502内のIビーム2514を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具2500は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラを含むがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってもよい。外科用器具2500は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、パルス幅変調(PWM)電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの、物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0082】
外科用器具2500の実際の駆動システムは、ギヤボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム2514を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフト組立体の、例えば変位部材及び関節運動ドライバを操作する電気モータ2504である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ2504に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0083】
外科用器具2500の態様を詳細に説明する前に、例示的態様が、適用又は使用において、添付の図面及び明細書に示される部品の構造及び構成の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な態様は、他の態様、変形形態、及び修正形態に実装されるか又は組み込まれてもよく、様々な方式で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的態様を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。また、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ若しくは2つ以上を、以下に記載される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ若しくは2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。
【0084】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ2502を備える外科用器具2500を対象とする。例えば、モータ2504は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ2502は、枢動可能なアンビル2516と、使用のために構成される場合は、アンビル2516の反対側に配置されたステープルカートリッジ2518とを備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に組織を把持してもよい。器具2500を使用する準備が整った場合、臨床医は、例えば器具2500のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ2504は、変位部材をエンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に配置された切断要素を有するIビーム2514は、ステープルカートリッジ2518とアンビル2516との間の組織を切断することができる。
【0085】
様々な実施例で、外科用器具2500は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、Iビーム2514などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路2510を備えてもよい。制御回路2510は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路2510は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0086】
いつくかの実施例では、制御回路2510は、最初に、モータ2504を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具2500の応答に基づいて、制御回路2510は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ2504に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路2510は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路2510は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ2504を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0087】
図15は、本開示の一態様に従って実行された、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットしたダイアグラム2580を示す。ダイアグラム2580は2つの軸を含む。横軸2584は経過時間を示す。縦軸2582は、ストローク開始位置2586とストローク終了位置2588との間のIビーム2514の位置を示す。横軸2584上で、制御回路2510は、t
0において発射信号を受信し初期モータ設定を提供し始めてもよい。変位部材ストロークの開ループ部分は、t
0~t
1で経過し得る初期期間である。
【0088】
第1の実施例2592は、厚い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に配置された場合の外科用器具2500の応答を示す。変位部材ストロークの開ループ部分の間、例えば、t0~t1の初期期間中に、Iビーム2514は、ストローク開始位置2586から位置2594まで横断してもよい。制御回路2510は、位置2594が、T1後の(例えば、閉ループ部分内の)例2592の傾きによって示される選択された一定速度(Vslow)にてIビーム2514を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定してもよい。制御回路2510は、Iビーム2514の位置を監視し、モータ設定値信号2522及び/又はモータ駆動信号2524を調節してVslowを維持することによって、Iビーム2514を速度Vslowまで駆動できる。
【0089】
第2の実施例2590は、薄い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に配置された場合の外科用器具2500の応答を示す。t0~t1の初期期間(例えば、開ループ期間)の間に、Iビーム2514は、ストローク開始位置2586から位置2596まで横断してもよい。制御回路は、位置2596が、選択された一定速度(Vfast)で変位部材を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定してもよい。例2590の組織は例2592の組織よりも薄いので、Iビーム2514の動きに対する抵抗がより小さくなり得る。その結果、Iビーム2514は、初期期間中に、ストロークのより大きな部分を横断し得る。また、いくつかの実施例では、より薄い組織(例えば、初期期間中に変位部材ストロークのより大きい部分を横断する)は、初期期間後の、より速い変位部材速度に対応し得る。
【0090】
図16~
図21は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2300が、どのように関節継手2270を中心に細長いシャフト組立体2200に対して関節運動させ得るのかを示す、外科用器具2010のエンドエフェクタ2300を示す。
図16は、明確にするためにその一部分が省略された、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、エンドエフェクタ2300の一部分の部分斜視図である。
図17は、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の斜視図である。
図18は、細長いシャフト組立体2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の分解組立斜視図である。
図19は、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。
図20は、第1の関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。
図21は、第2の関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、
図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。
【0091】
ここで
図16~21を参照すると、エンドエフェクタ2300は、組織を切断及びステープル留めするように適合されており、外科用ステープルカートリッジ2304をその中に動作可能に支持するように構成された細長いチャネル2302の形態をなす第1のジョーを含んでいる。エンドエフェクタ2300は、細長いチャネル2302上でそれに対して移動するように支持されるアンビル2310の形態をなす第2のジョーを更に含む。細長いシャフト組立体2200は、関節運動ロック2810を用いる関節運動システム2800を含む。関節運動ロック2810は、様々な関節運動位置に外科用エンドエフェクタ2300を選択的にロックするように構成されて、操作され得る。かかる構成は、関節運動ロック2810がそのロック解除状態にあるときに、外科用エンドエフェクタ2300がシャフト閉鎖管260に対して回転、すなわち関節運動することを可能にする。特に
図18を参照すると、細長いシャフト組立体2200はスパイン210を含んでおり、スパイン210は、(1)その中に発射部材220を摺動可能に支持し、(2)スパイン210の周りに延びる閉鎖管260(
図16)を摺動可能に支持するように構成されている。シャフト閉鎖管260は、二重枢動閉鎖スリーブ組立体271によって閉鎖管260に枢動可能に取り付けられるエンドエフェクタ閉鎖スリーブ272に取り付けられている。
【0092】
スパイン210はまた、近位関節運動ドライバ230を摺動可能に支持する。近位関節運動ドライバ230は、関節運動ロック2810と動作可能に係合するように構成された遠位端231を有する。関節運動ロック2810は、本明細書に開示される様々な方式でスパイン210に取り付けられるシャフトフレーム2812を更に備えている。シャフトフレーム2812は、その中で遠位関節運動ドライバ2820の近位部分2821を移動可能に支持するように構成されている。遠位関節運動ドライバ2820は、それに加えられた関節運動制御運動に応答して、シャフト軸SA-SAから横方向に偏位しかつシャフト軸SA-SAに対して平行である関節運動作動軸AAAに沿って、遠位方向DD及び近位方向PDに選択的に長手方向に移動するように、細長いシャフト組立体2200内で移動可能に支持されている。
【0093】
図17及び18では、シャフトフレーム2812は、枢動ピン2818をその上に形成された遠位端部分2814を含んでいる。枢動ピン2818は、エンドエフェクタ装着組立体2390の枢動ベース部分2395に形成された枢動穴2397内に枢動可能に受容されるように適合されている。エンドエフェクタ装着組立体2390は、ばねピン2393又は同等のものによって、細長いチャネル2302の近位端部2303に取り付けられている。枢動ピン2818は、シャフト軸SA-SAに対して横方向の関節運動軸B-Bを画定して、シャフトフレーム2812に対する関節運動軸B-Bを中心としたエンドエフェクタ2300の枢動移動(すなわち、関節運動)を促進する。
【0094】
図18に示されるように、リンクピン2825が遠位関節運動ドライバ2820の遠位端部2823上に形成され、かつクロスリンク2900の近位端部2902の穴2904内に受容されるように構成されている。クロスリンク2900は、シャフト軸SA-SAを横断して延びており、遠位端部分2906を含んでいる。遠位リンク穴2908がクロスリンク2900の遠位端部分2906を通して設けられ、エンドエフェクタ装着組立体2390の枢動ベース部分2395の底部から延びるベースピン2398をその中に枢動可能に受容するように構成されている。ベースピン2398は、関節運動軸B-Bに平行なリンク軸LAを画定する。
図17及び20は、非関節運動位置にある外科用エンドエフェクタ2300を示す。細長いチャネル2302によって画定されるエンドエフェクタ軸EAは、シャフト軸SA-SAと整列される。「と整列される」という用語は、シャフト軸SA-SAと「同軸状に整列される」か又はシャフト軸SA-SAと平行であることを意味し得る。遠位関節運動ドライバ2820が近位方向PDへ移動することにより、クロスリンク2900が、
図19に示すように関節運動軸B-Bを中心として時計回りCW方向に外科用エンドエフェクタ2300を引き込むことになる。遠位関節運動ドライバ2820が遠位方向DDへ移動することにより、クロスリンク2900が、
図21に示すように関節運動軸B-Bを中心として反時計回りCCW方向に外科用エンドエフェクタ2300を移動させることになる。
図21に示されるように、クロスリンク2900は湾曲形状を有しており、これにより、外科用エンドエフェクタ2300がその方向に関節運動されると、クロスリンク2900を枢動ピン2818の周りで湾曲させることが可能となる。外科用エンドエフェクタ2300がシャフト軸SA-SAのいずれかの側で完全関節運動位置にあるとき、エンドエフェクタ軸EAとシャフト軸SA-SAとの間の関節運動角度2700は約65度である。したがって、シャフト軸の当該いずれかの関節運動の範囲は、1度(1°)から65度(65°)である。
【0095】
図19は、一態様による、直線姿勢をなす、すなわちシャフト軸SAとして示す長手方向に対してゼロの角度θ
0をなす関節継手2270を示している。
図20は、一態様による、シャフト軸SAとエンドエフェクタ軸EAとの間に規定される第1の角度θ
1をなして一方向に関節運動した、
図19の関節継手2270を示している。
図21は、シャフト軸SAとエンドエフェクタ軸EAとの間に規定される第2の角度θ
2をなして別の方向に関節運動した、
図19の関節継手2270を示している。
【0096】
図16~21の外科用エンドエフェクタ2300は、本明細書で説明した様々なタイプ及び構成の発射部材220を用いた外科用切断及びステープル留めデバイスを備えている。しかしながら、外科用エンドエフェクタ2300は、組織を切断及び/又はステープル留めしない他の形態の外科用エンドエフェクタを備えてもよい。中央支持部材2950がスパイン210に対して枢動可能にまた摺動可能に支持されている。
図18では、中央支持部材2950はスロット2952を含んでおり、このスロットは、スパイン210から突出するピン2954をその中に受容するように適合されている。これにより、中央支持部材2950は、外科用エンドエフェクタ2300が関節運動されるときに、ピン2954に対して枢動及び並進することが可能となる。枢動ピン2958は中央支持部材2950の下側から突出して、エンドエフェクタ装着組立体2390のベース部分2395に設けられた対応する枢動穴2399内に枢動可能に受容されるようになっている。中央支持部材2950は、それを通じて発射部材220を受容するためのスロット2960を更に含む。中央支持部材2950は、発射部材220が外科用エンドエフェクタ2300の関節運動に適応するように屈曲するときに、発射ビームに側方支持をもたらすように働く。
【0097】
外科用器具は、エンドエフェクタ2300が方向付けられる角度を決定するように更に構成され得る。様々な態様では、センサ機構1102の位置センサ1112は例えば、とりわけ、1つ又は2つ以上の磁気センサ、アナログ回転センサ(電位差計など)、アナログホール効果センサの配列を備えてもよく、アナログホール効果センサは、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力するものである。一態様では、
図16~21に示される態様の関節継手2270は、エンドエフェクタ2300の角度位置すなわち関節運動角度を決定し、それに対応する固有の位置信号を提供するように構成された関節運動センサ機構を更に備えることができる。
【0098】
関節運動センサ機構は、上記で説明し、
図10~12に示されるセンサ機構1102と同様であり得る。この態様では、関節運動センサ機構は、位置センサと、関節継手2270に動作可能に結合された磁石と、を備えることができ、それにより、関節継手2270の回転と一致する様式で回転する。磁石は、例えば、枢動ピン2818に結合することができる。位置センサは、ホール効果センサなどの1つ又は2つ以上の磁気感知素子を含み、関節継手2270内又はそれに隣接して磁石に近接して配置される。したがって、磁石が回転すると、位置センサの磁気感知素子は、磁石の絶対角度位置を決定する。磁石が関節継手2270に結合されると、位置センサに対する磁石の角度位置は、エンドエフェクタ2300の角度位置に対応する。したがって、関節運動センサ機構は、エンドエフェクタが関節運動するときのエンドエフェクタの角度位置を決定することができる。
【0099】
別の態様では、外科用器具は、関節運動ドライバ230(
図3)の絶対位置を監視することによって、エンドエフェクタ2300が間接的に位置付けられる角度を決定するように構成される。関節運動ドライバ230の位置が、エンドエフェクタ2300が既知の方法で方向付けられる角度に対応するため、関節運動ドライバ230の絶対位置を追跡し、次いでエンドエフェクタ2300の角度位置に並進させることができる。この態様では、外科用器具は、関節運動ドライバ230の絶対直線位置を決定し、それに対応する固有の位置信号を提供するように構成された関節運動センサ機構を備える。いくつかの態様では、関節運動センサ機構又は関節運動センサ機構に動作可能に結合されたコントローラは、固有の位置信号からエンドエフェクタ2300の角度位置を並進又は計算するように更に構成される。
【0100】
この態様における関節運動センサ機構は、同じく、上記で説明し、
図10~
図12に示されるセンサ機構1102と同様であり得る。変位部材1111に関して
図10に示される態様と同様の一態様では、関節運動センサ機構は、位置センサと、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230のフルストローク毎に1回転する磁石と、を備える。位置センサは、ホール効果センサなどの1つ又は2つ以上の磁気感知素子を備え、磁石に近接して定置されている。したがって、磁石が回転すると、位置センサの磁気感知素子は、1回転にわたって磁石の絶対角度位置を判定する。
【0101】
一態様では、位置センサに関連付けられたセンサ素子の1回転は、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230の長手方向の直線変位d1と等価である。換言すれば、d1は、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230に結合されたセンサ素子が1回転した後の、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230が点「a」から点「b」まで移動した長手方向の直線距離である。関節運動センサ機構は、ギヤ減速機を介して連結されてもよく、これにより、位置センサは、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230のフルストロークに対して1回転のみすることになる。換言すれば、d1は、関節運動ドライバ230のフルストロークに等しくなり得る。位置センサは、次に、関節運動ドライバ230の絶対位置に対応する固有の位置信号を、
図10に示すそれらの態様におけるようにコントローラ1104に送信するように構成されている。固有の位置信号を受信すると、コントローラ1104は、次いで、論理を実行して、例えば、エンドエフェクタ2300の予め計算された角度位置の値を返すルックアップテーブルを照会すること、関節運動ドライバ230の直線位置を入力として利用してアルゴリズムによってエンドエフェクタ2300の角度位置を計算すること、又はその分野で既知であるような任意の他の方法を実行することにより、関節運動ドライバ230の直線位置に対応するエンドエフェクタの角度位置を決定するように構成されている。
【0102】
様々な態様において、例えば、全磁場を測定するか磁場のベクトル成分を測定するかによって分類される磁気センサなど、任意の個数の磁気感知素子が関節運動センサ機構に用いられてよい。利用される磁気感知素子の数は、関節運動センサ機構によって感知される所望の分解能に対応する。換言すれば、使用される磁気感知素子の数が多いほど、関節運動センサ機構によって感知することができる、関節運動の程度がより細かくなる。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁場検出に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0103】
一態様では、関節運動センサ機構の様々な態様の位置センサは、変位部材1111の位置を追跡するための
図12に示す位置決めシステムと同様の方法で実装されてもよい。一態様では、関節運動センサ機構は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサは、コントローラと連係して、直接的又は間接的にエンドエフェクタ2300の絶対角度位置を決定するための絶対位置決めシステムを提供している。位置センサは、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(
図11)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dを有している。また、高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238がチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照操作のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁場情報が、SPIインタフェース1234など標準的なシリアル通信インタフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4x4x0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0104】
図1~
図4及び
図10~
図12を参照すると、関節継手2270の位置、及びIビーム178(
図4)の位置は、絶対位置決めシステム1100から絶対位置フィードバック信号/値によって決定することができる。一態様において、関節運動角度θは、外科用器具10の駆動部材120に基づいて測定することができる。上で説明したように、長手方向に移動可能な駆動部材120(
図2)の移動は、絶対位置決めシステム1100によって追跡されることができ、例えば、関節運動駆動部がクラッチ組立体400(
図3)によって発射部材220(
図3)に動作可能に結合されると、絶対位置決めシステム1100は実質的に、駆動部材120を介して関節運動システムの移動を追跡することができる。関節運動システムの移動を追跡した結果として、外科用器具のコントローラは、例えばエンドエフェクタ2300などのエンドエフェクタの関節運動角度θを追跡することができる。様々な状況において、結果として、関節運動角度θは、駆動部材120の長手方向変位の関数として決定することができる。駆動部材120の長手方向変位は、絶対位置決めシステム1100によって提供される絶対位置信号/値に基づいて正確に決定することができるため、関節運動角度θは、長手方向変位の関数として決定することができる。
【0105】
別の態様では、関節運動角度θは、関節継手2270にセンサを配置することによって決定することができる。センサは、上述のように駆動部材120の長手方向変位ではなく、関節継手2270の絶対回転を測定するように適合された方法で、絶対位置決めシステム1100を使用して関節継手2270の回転を感知するように構成され得る。例えば、センサ機構1102は、位置センサ1200と、磁石1202と、関節継手2270の回転を感知するように適合された磁石ホルダ1204と、を備える。位置センサ1200は、ホール要素などの1つ又は2つ以上の磁気検出要素を備え、磁石1202に近接して定置されている。
図12に記載される位置センサ1200は、関節継手2270の回転角度を測定するように適合され得る。したがって、磁石1202が回転すると、位置センサ1200の磁気感知素子は、関節継手2270上に位置する磁石1202の絶対角度位置を判定する。この情報は、関節継手2270の関節運動角度を計算するためにコントローラ1104に提供される。したがって、エンドエフェクタ2300の関節運動角度は、関節継手2270の絶対回転を測定するように適合された絶対位置決めシステム1100によって決定され得る。
【0106】
一態様では、Iビーム178の発射率、つまり速度は、エンドエフェクタ2300の関節運動角度の関数として変化し、発射駆動システム80上の発射に対する力、具体的には、本明細書で論じられる発射駆動システム80の他の構成要素の中でも、Iビーム178の発射に対する力を低下させることができる。エンドエフェクタ2300の関節運動角度の関数としてIビーム178の可変発射力に適合させるために、モータ82に可変モータ制御電圧を印加してモータ82の速度を制御することができる。モータ82の速度は、Iビーム178の発射力を、エンドエフェクタ2300の関節運動角度に基づく異なる最大閾値と比較することによって制御できる。電気モータ82の速度は、例えばモータ82に印加される電圧、電流、パルス幅変調(PWM)、又はデューティサイクル(0~100%)を調節することによって変化させることができる。
【0107】
図22及び
図23は、様々な異なる外科的処置を実施するために使用することのできるモータ駆動式外科用器具10を示す。外科用器具10は、1つ又は2つ以上の電極を備え得るエンドエフェクタ3602を備えることができる。エンドエフェクタ3602は、電流が組織内に導入され得るように、組織に対して配置することができる。外科用器具10は、単極性動作又は双極性動作用に構成することができる。単極性動作の間、電流は、エンドエフェクタ3602上の活性(又はソース)電極により組織に導入することができ、リターン電極を介して戻すことができる。リターン電極は接地パッドであってよく、患者の身体の上で別個に配置されていてよい。双極性動作の間、電流は、それぞれエンドエフェクタの活性電極により組織に導入され、リターン電極により組織から戻され得る。
【0108】
エンドエフェクタ3602は、第1のジョー3604及び第2のジョー部材3608を備え得る。ジョー部材3604、3608のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電極を有することができる。ジョー部材3604、3608のうち少なくとも1つは、ジョー部材3604、3608の間隔が、第1の位置の間隔よりも小さくなる位置に組織を受容するために、対向するジョーから隔置された位置から移動可能であり得る。この移動可能なジョーの動きにより、その間に保持された組織が圧縮され得る。組織を通じて流れる電流によって発生する熱が、ジョーの移動によって達成される圧縮と組み合わさって、組織内及び/又は組織間に止血封止を形成してもよく、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用となり得る。外科用器具10は、エンドエフェクタ3602を通って延在可能なナイフ部材3628を備えてもよい。ナイフ部材3628は、組織を切除するように組織及び電極に対して移動可能であり得る。
【0109】
外科用器具10はまた、ステープル留め装置などの組織を一体にクランプするための機構、及び/又は組織ナイフなどの組織を切断するための機構を含んでもよい。電気外科用器具10は、治療を受けている組織に近接してエンドエフェクタ3602を配置するためのシャフトを含んでもよい。シャフトは、直線状であっても曲線状であってもよく、屈曲可能であっても屈曲不能であってもよい。直線状の屈曲可能なシャフトを含む電気外科用器具10では、シャフトは、シャフトの制御された屈曲を可能にするための1つ又は2つ以上の関節継手を有してもよい。こうした継手によって、治療されている組織に直線状の非屈曲式シャフトを有する電気外科用装置を用いて容易にアクセスできないときに、電気外科用器具10のユーザが、シャフトに対してある角度をなして組織と接触するようにエンドエフェクタを配置することが可能となり得る。
【0110】
電気外科用装置によって印加される電気エネルギーは、ハンドル組立体3500と連通している発振器3400によって器具へと伝達することができる。電気エネルギーは、高周波(「RF」)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、200キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲であり得る電気エネルギーの一形態である。印加中、電気外科用器具は、組織を通じて低周波数RFエネルギーを伝送することができ、これはイオン撹拌又は摩擦、即ち抵抗加熱を生じさせ、これによって組織の温度を増加させることができる。罹患組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が作り出されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高レベルの正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は成形しながら、同時に血管を封止するために有用である。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成されかつ熱に接触した際に収縮する、結合組織に対して特に良好に作用する。
【0111】
RFエネルギーは、EN 60601-2-2:2009+A11:2011,Definition 201.3.218-HIGH FREQUENCYに記載される周波数範囲であり得る。例えば、モノポーラRF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限され得る。しかしながら、バイポーラRF用途において、周波数は、ほぼどのような周波数であってもよい。200kHz超の周波数は、典型的には、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、モノポーラ用途に使用され得る。神経筋刺激の可能性が許容可能なレベルにまで緩和されたことをリスク分析が示す場合、より低い周波数がバイポーラ用途に使用され得る。高周波数漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために、5MHz超の周波数は、通常使用されない。しかしながら、より高い周波数は、バイポーラ用途の場合には使用され得る。一般に、10mAが、組織への熱効果の下側閾値であると認識されている。
【0112】
図示した構成において、外科用器具10は、ハンドル組立体3500に動作可能に結合された交換式外科用道具組立体3600を備える。別の外科用システムの態様では、交換式外科用道具組立体3600は、更に、ロボット制御又は自動外科用システムの道具駆動組立体と共に効果的に使用され得る。例えば、本明細書で開示される外科用道具組立体3600は、様々なロボットシステム、器具、構成要素及び方法、例えば、限定されないが、参照によって全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されるものと共に使用されてもよい。
【0113】
図示した態様において、ハンドル組立体3500は、臨床医により把持及び操作することが可能なピストルグリップ部分を含むハンドルハウジング3502を備えることができる。以下で簡潔に論じるように、ハンドル組立体3500は、様々な制御運動を生成して交換式外科用道具組立体3600の対応する部分に適用するように構成された複数の駆動システムを動作可能に支持する。
図22に示すように、ハンドル組立体3500は、複数の駆動システムを動作可能に支持するハンドルフレーム3506を更に含むことができる。例えば、ハンドルフレーム3506は、一般的に3510として指定される「第1の」、又は閉鎖駆動システムを動作可能に支持することができ、これを用いて、交換式外科用道具組立体3600に開閉運動を適用することができる。少なくとも1つの形態では、閉鎖駆動システム3510は、ハンドルフレーム3506により枢動可能に支持される閉鎖トリガ3512形態のアクチュエータを含んでもよい。かかる機構により、臨床医が閉鎖トリガ3512を操作することが可能になり、その結果、臨床医がハンドル組立体3500のピストルグリップ部分504を把持すると、閉鎖トリガ3512を、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと容易に枢動させることができる。使用中、閉鎖駆動システム3510を作動させるために、臨床医は閉鎖トリガ3512をピストルグリップ部分に向けて押し下げる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A SENSOR SYSTEM」と題する米国特許出願公開第2015/0272575号で更に詳細に説明されているように、臨床医が閉鎖トリガ3512を完全に押し下げて完全閉鎖ストロークを達成すると、閉鎖駆動システム3510は、閉鎖トリガ3512を完全に押し下げられた位置又は完全に作動した位置にロックするように構成される。臨床医が閉鎖トリガ3512をロック解除して非作動位置へ付勢することを所望する場合、臨床医が単に閉鎖解放ボタン組立体3518を始動させると、これにより閉鎖トリガを非作動位置に戻すことが可能となる。閉鎖解放ボタン組立体3518はまた、閉鎖トリガ3512の位置を追跡するために、ハンドル組立体3500内のマイクロコントローラと連通する様々なセンサと相互作用するように構成されてもよい。閉鎖解放ボタン組立体3518の構成及び動作に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。
【0114】
少なくとも1つの形態では、ハンドル組立体3500及びハンドルフレーム3506は、取り付けられた交換式外科用道具組立体の対応する部分に発射運動を適用するように構成されている、本明細書で発射駆動システム3530と呼ばれる別の駆動システムを動作可能に支持していてもよい。米国特許出願公開第2015/0272575号でより詳細に説明されているように、発射駆動システム3530は、ハンドル組立体3500のピストルグリップ部分内に位置する電気モータ3505を用いることができる。様々な形態において、モータ3505は、例えば、約25,000RPMの最大回転数を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成において、モータ3505はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータ3505は、一形態では着脱可能なパワーパックを備え得る電源3522によって給電されてもよい。パワーパックは、その中にある複数のリチウムイオン(「LI」)電池又は他の好適な電池を支持してもよい。直列で接続され得る多数の電池を、外科用器具10のための電源3522として使用してよい。加えて、電源3522は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0115】
電気モータ3505は、長手方向に移動可能な駆動部材3540を、モータの極性に応じて、遠位方向及び近位方向にて軸方向に駆動させるように、構成される。例えば、モータ3505がある回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材は、遠位方向「DD」へと軸方向に駆動されることになる。モータ3505が反対の回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材3540は近位方向「PD」へと軸方向に駆動されることになる。ハンドル組立体3500は、電源3522によって電気モータ3505に印加される極性を逆転させるか、あるいは別の方法でモータ3505を制御するように構成され得るスイッチ3513を含むことができる。ハンドル組立体3500はまた、駆動部材の位置及び/又は駆動部材が移動される方向を検出するように構成されている、1つ又は複数のセンサ(図示せず)を含むことができる。モータ3505の作動は、閉鎖トリガ3512に隣接し、ハンドル組立体3500上で枢動可能に支持される発射トリガ(図示せず)により制御可能である。発射トリガは、非作動位置と作動位置との間で枢動されてよい。発射トリガは、バネ若しくはその他の付勢構成により非作動位置へと付勢されてよく、これにより、臨床医が発射トリガを解放する場合に、それがバネ若しくは付勢構成により非作動位置へと枢動する、又は別の方法で戻されてよい。少なくとも1つの形態では、発射トリガは、閉鎖トリガ3512の「機外」に配置され得る。米国特許出願公開第2015/0272575号で論じられているように、ハンドル組立体3500には、発射トリガの不注意による作動を防ぐために、発射トリガ安全ボタン(図示せず)が設けられていてもよい。閉鎖トリガ3512が非作動位置にある場合、安全ボタンはハンドル組立体3500の中に入っており、ここで臨床医は、これに容易にアクセスすることができず、またこれを発射トリガの作動を防ぐ安全位置と発射トリガが発射され得る発射位置との間で移動させることはできない。臨床医が閉鎖トリガを押し下げる際に、安全ボタン及び発射トリガが下方に枢動し、次に、臨床医による操作が可能になる。
【0116】
少なくとも1つの形態では、長手方向に移動可能な駆動部材3540は、モータと連係する対応する駆動ギヤ機構(図示せず)との噛合係合のために、その上に形成された歯のラックを有してよい。これらの特徴に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。しかし、少なくとも1つの構成において、長手方向に移動可能な駆動部材は、不注意によるRFエネルギーからその構成を保護するために絶縁されている。少なくとも1つの形態はまた、モータ3505を使用できない場合に臨床医が長手方向に移動可能な駆動部材を手動で後退させることが可能なように構成された、手動作動式の「緊急離脱」組立体を含む。緊急離脱組立体は、解放式ドア3550の下でハンドル組立体3500内に格納されたレバー又は緊急離脱ハンドル組立体を含んでもよい。レバーは、駆動部材内の歯とラチェット係合するように、手動で枢動するように構成されてもよい。したがって、臨床医は、緊急離脱ハンドル組立体を使用して駆動部材3540を手動で後退させ、駆動部材を近位方向「PD」にラチェットさせることができる。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,608,045号、表題「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」は、本明細書で開示した様々な交換式外科用道具組立体のいずれか1つと共に使用可能でもある、緊急離脱機構、並びに他の構成要素、機構、及びシステムを開示している。
【0117】
図22に示すように、少なくとも1つの構成において、交換式外科用道具組立体3600は、その上にノズル組立体3612を動作可能に支持する道具シャーシを備える、道具フレーム組立体3610を含む。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SURGICAL INSTRUMENT WITH AXIALLY MOVABLE CLOSURE MEMBER」と題する米国特許出願第15/635,631号で更に詳細に論じられているように、道具シャーシ及びノズル組立体3612は、道具シャーシに対するシャフト軸SAを中心とした外科用エンドエフェクタ3602の回転を促進する。このような回転移動は、
図22の矢印Rにより示される。交換式外科用道具組立体3600は、近位閉鎖管3622を動作可能に支持し、外科用エンドエフェクタ3602に連結されたスパイン組立体3630(
図3及び24を参照)を有している。様々な状況において、組み立てを容易にするために、スパイン組立体3630は、スナップ機構、接着剤、溶接などにより互いに相互接続された、上部スパインセグメント及び下部スパインセグメントから作製可能である。組み立てられた形態において、スパイン組立体3630は、道具シャーシ内に回転可能に支持される近位端を含む。1つの構成では、例えば、スパイン組立体3630の近位端は、道具シャーシ内で支持されるように構成されたスパインベアリング(図示せず)に取り付けられる。このような構成により、道具シャーシへのスパイン組立体3630の回転可能な取り付けが容易になり、その結果、スパイン組立体がシャフト軸SAを中心に道具シャーシに対して選択的に回転可能となる。
【0118】
図示した態様において、交換式外科用道具組立体3600は、第1のジョー3604及び第2のジョー3608を備える外科用エンドエフェクタ3602を含む。1つの構成において、第1のジョーは、その中に従来の(機械式)外科用ステープル/締結具カートリッジ304(
図4)、又は高周波(RF)カートリッジ3606(
図22及び
図23)を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル3614を備える。第2のジョー3608は、細長いチャネル3614に対して枢動可能に支持されるアンビル3616を備える。アンビル3616は、閉鎖駆動システム3510を作動させることにより、細長いチャネル3614内で支持される外科用カートリッジに向かうように、及びそれから遠ざかるように、開位置と閉位置との間を選択的に移動されてもよい。図示した構成において、アンビル3616は、シャフト軸SAを横断する枢動軸を中心とした選択的枢動移動のために、細長いチャネル3614の近位端部分に枢動可能に支持される。閉鎖駆動システム3510の作動により、関節運動コネクタ3618に取り付けられた、近位閉鎖部材又は近位閉鎖管3622の遠位軸移動がもたらされ得る。近位閉鎖管3622を作動させることにより、遠位閉鎖管セグメント3620の遠位移動がもたされ、最終的に閉鎖運動がアンビル3616に適用される。
【0119】
少なくとも1つの構成では、RFエネルギーは、従来のRF発振器3400により、供給リード3402を通って外科用道具組立体3600に供給される。少なくとも1つの構成では、供給リード3402は、オンボード回路基板3654上のセグメント化RF回路3656に取り付けられた、対応する雌型コネクタ3410にプラグ接続されるように構成された、雄型プラグ組立体3406を含む。
図25を参照されたい。このような構成により、ノズル組立体3612を回転させることによって、発振器3402から供給リード3400を巻き上げることなく、シャフト軸SAを中心とした道具シャーシに対するシャフト及びエンドエフェクタ3602の回転移動が容易になる。オンボードのオン/オフ電源スイッチ3420が、RF発振器のオンとオフとを切り替えるために、掛留組立体3624及び道具シャーシ上に支持されている。道具組立体3600がハンドル組立体3500又はロボットシステムに動作可能に結合されているとき、オンボードのセグメント化RF回路3656は、コネクタ3668、及び一部の構成ではハウジングコネクタ(図示せず)を介してマイクロプロセッサ3560と通信する。
図22に示すように、ハンドル組立体3500は、封止の進捗、ステープル留め、ナイフ位置、カートリッジの状態、組織、温度などに関する情報を閲覧するために表示画面3430を更に含むことができる。
図25でも分かるように、スリップリング組立体3652は、ステープル留めに関連する活動のための複数の狭い導電体3662及びRF用に使用されるより広い導電体3664を含み得る可撓性シャフト回路ストリップ又は組立体3646を含む、遠位コネクタ3658とインタフェースする近位コネクタ3666を含む。
図24及び
図25に示すように、可撓性シャフト回路ストリップ3646は、ナイフバー3626を形成する積層板又はバー3636の間の中心で支持される。こうした構成により、エンドエフェクタ3602の関節運動中におけるナイフバー3626及び可撓性シャフト回路ストリップ3646の十分な撓曲が促進されながらも、ナイフ部材3628がクランプされた組織を貫いて遠位方向に前進することが可能となるのに十分な剛性が維持される。
【0120】
少なくとも1つの構成では、細長いチャネル3614は、細長いチャネル3614の近位端から細長いチャネル3614の底部の遠位位置まで延在する、凹部内に支持されたチャネル回路3642を含む。チャネル回路3642は、電気的接触のために、可撓性シャフト回路ストリップ3646の遠位接触部分3644と接触する近位接触部分を含む。少なくとも1つの構成では、チャネル回路3642の遠位端は、細長いチャネル3614の壁のうちの1つに形成される対応する壁凹部内に受容され、細長いチャネル3614の壁の上縁部上で折り畳まれてこれに取り付けられる。一連の対応する露出接点が、チャネル回路3642の遠位端に提供される。それに対応して、カートリッジ3606は、遠位マイクロチップに取り付けられ、カートリッジ3606の本体の遠位端部分に固定される可撓性カートリッジ回路を含むことができる。可撓性カートリッジ回路の端部は、カートリッジ3606のデッキ表面の縁部上で折り畳まれ得、チャネル回路3642の露出接点と電気接触するように構成された露出接点を含む。したがって、RFカートリッジ3606が細長いチャネル3614に設置されると、RFカートリッジ3606の電極及び遠位マイクロチップが給電され、可撓性カートリッジ回路と、可撓性チャネル回路3642と、可撓性シャフト回路3646と、スリップリング組立体3652との間の接触を介してオンボード回路基板3654と通信する。RFカートリッジ3606と通信及び/又は相互作用する、外科用器具10のRFカートリッジ3606並びに対応する回路及びセンサ機構に関する更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号で見出すことができる。
【0121】
図26は、本開示の一態様による、交換式シャフト組立体7002及びハンドル組立体7004を含む外科用器具7000のブロック図を示す。様々な態様において、外科用器具7000は、ハンドル組立体7004に取り外し可能に又は交換可能に接続された交換式構成要素又はモジュールを含む。モジュールは、例えば、
図1、5A~6、及び22~23に関連して更に詳細に論じられる交換式シャフト組立体7002を含むことができる。外科用器具7000のハンドル組立体7004は、言語パラメータ7014を含むデータを記憶するように構成されたレジスタ又はメモリ7012(「第1のメモリ」とも称される)に連結されたコントローラ7010を含む。交換式構成要素(例えば、シャフト組立体7002)は、複数の異なる言語でテキストフレーズ7008を含むデータを記憶するように構成されたレジスタ又はメモリ7006(「第2のメモリ」又は「補助メモリ」とも称される)を含む。交換式シャフト組立体7002及びハンドル組立体7004は、交換式シャフト組立体7002がハンドル組立体7004に連結されるとシャフト組立体メモリ7006とハンドル組立体コントローラ7010との間の電気通信を可能にするインタフェースを画定する電気コネクタの対応する組立体をそれぞれ含むことができ、これによりハンドル組立体コントローラ7010がシャフト組立体メモリ7006にアクセス又はクエリすることが可能となる。
【0122】
言語パラメータ7014は、シャフト組立体メモリ7006に記憶された特定の言語に対応する値を有するフラグ又は他の変数である。様々な態様では、言語パラメータ7014は、ユーザインタフェースを介して臨床医によって設定されてもよく、又は外科用器具10と関連して予めプログラムされてもよい。テキストフレーズ7008は、例えば、テキストフレーズ7008のそれぞれの画像タイプ及び言語に従って配列されたルックアップテーブルとして、シャフト組立体メモリ7006に記憶され得る。画像タイプは、外科用器具7000のディスプレイ7030上に表示され得る特定の画像又は画像のセットに対応する値を有するフラグ又は他の変数である。したがって、シャフト組立体メモリ7006は、m×n個のエントリのアレイとして表すことができ、テキストm,nは、m番目の言語パラメータ及びn番目の画像タイプに対応するテキストフレーズである。したがって、個々のフレーズは、言語パラメータ7014の値及び画像タイプの値を考慮して、テキストフレーズ7008のアレイから取得することができる。テキストフレーズ7008は、テキスト文字列、テキストを表示する画像、又は任意の他のこうしたフォーマットで記憶することができる。
【0123】
図27は、本開示の一態様による、表示言語を設定するためにコントローラ7010によって実行されるプロセス7100のフロー図を示す。以下の
図27の説明においては
図26も参照されたい。プロセス7100は、最初にモジュールがハンドル組立体7004に接続されているか否かを検出する(7102)。モジュールは、ハンドル組立体7004に取り外し可能に接続された、外科用器具7000の交換式構成要素(例えば、シャフト組立体7002)である。モジュールがハンドル組立体7004に接続されていない場合、プロセス7100は「いいえ」の分岐に沿って進み、ループバックしてモジュールの接続の監視を継続する。他の態様では、プロセス7100が「いいえ」の分岐に沿って進む場合、プロセス7100は単に終了して、コントローラ7010は次の手順に適切なプロセス又はアルゴリズムを実行する。一態様では、プロセス7100は、接続されているモジュールに応答して生成される信号を受信することによって、いつモジュールがハンドル組立体7004に接続したかを検出することができる(7102)。
【0124】
プロセス7100が、モジュールがハンドル組立体7004に接続されていることを検出した場合(7102)、プロセス7100は、「はい」の分岐に沿って進み、次に、画像が表示されるべきか否かを判定する(7104)。画像を表示させるプロセスは、多種多様な理由のために、外科用器具7000によって開始され得る。本明細書で使用するとき、「画像」とは、静止画像及び動画像の両方を集合的に指す。例えば、外科用器具7000は、例えば、外科用器具7000の使用方法に関する指示、外科用器具7000によって検出されたエラー若しくは警報に関連する警告、又は外科用器具7000の動作状態の更新を提供するために、ディスプレイ7030上に画像を表示させることができる。画像は、シャフト組立体メモリ7006から取得可能な、それに関連付けられたテキストを有することができる。いかなる画像も現在表示されるように設定されていない場合、続いてプロセス7100は「いいえ」の分岐に沿って進み、ループバックして、画像が表示されるべきか否かの監視を継続する。他の態様では、プロセス7100が「いいえ」の分岐に沿って進む場合、プロセス7100は単に終了して、コントローラ7010は次の手順に適切なプロセス又はアルゴリズムを実行する。一態様では、プロセス7100は、ディスプレイ7030上に画像又は複数の画像を表示させる工程を少なくとも部分的に含む、開始されている二次プロセスに応答して生成される信号を受信することによって、画像が表示されるべきと判定することができる(7104)。
【0125】
プロセス7100が、画像が表示されるべきだと判定した場合(7104)、プロセス7100は、「はい」の分岐に沿って進み、続いて画像及び画像に対する言語が適切なテキストを取得するために、シャフト組立体メモリ7006に言語パラメータ7014及び表示されるべき画像のタイプをクエリする(7106)。言語パラメータ7014は、例えば、コントローラ7010によってハンドル組立体メモリ7012から取得され得る。様々な態様では、表示されるべき画像のタイプは、例えば、コントローラ7010によってハンドル組立体メモリ7012から取得されてもよく、又は画像が表示されるべきであることを示す信号と並行してコントローラ7010によって受信されてもよい。プロセス7100が、言語パラメータ7014及び画像タイプに対応するテキストフレーズが存在しないと判定した場合(7108)、続いてプロセス7100は「いいえ」の分岐に沿って進んでエラーを返す(7110)。エラーに応答して、コントローラ7010は、表示されるべきエラーがあることをアラートに示させるか、又は
図28に示されるように対応するテキストなしでベース画像7032を表示させることができる。プロセス7100が、言語パラメータ7014及び画像タイプに対応するテキストフレーズがシャフト組立体メモリ7006中に存在すると判定した場合(7108)、続いてプロセス7100は、「はい」の分岐に沿って進み、言語パラメータ7014に対応する言語で特定のテキストフレーズを返す(7112)。コントローラ7010は、続いて、ディスプレイ7030に、ベース画像7032を含む合成画像7034と、取得されたテキストフレーズを含むオーバーレイ7036とを表示させることができる。
図29は、英語でのオーバーレイ7036上のテキストフレーズを示しているが、テキストフレーズは任意の数の言語で記憶され得る。
【0126】
本明細書で説明される外科用器具の言語選択を制御するための機能又はプロセスは、
図5A~6に関連して説明された制御回路700、
図7~9で説明された回路800、810、820、
図10及び
図12に関連して説明されたコントローラ1104、並びに/又は
図14で説明された制御回路2510などの、本明細書に説明された処理回路のうちのいずれかによって実行され得る。
【0127】
電動外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。いくつかの態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。本開示の一部は、コンピュータメモリに格納されたデータ上で動作する命令として、表されてもよい。アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、記憶、伝達、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をとることができる物理量の操作を指す。これらの信号は、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字と称され得る。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、またこれらの量に適用される好都合な標識であるに過ぎない。
【0128】
一般に、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる、本明細書で説明する様々な態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができる。結果として、「電気回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)電気回路、及び/又は、通信デバイス(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学電気機器)を形成する電気回路を含む。これらの態様はアナログ形態若しくはデジタル形態、又はこれらの組み合わせで実装することができる。
【0129】
前述の説明は、1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含み得る、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用による、装置及び/又はプロセスの態様を説明している。このようなブロック図、フローチャート、又は実施例における各機能及び/又は動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は実質上これらの任意の組み合わせにより、個別に、かつ/又は集合的に実装することができる。一態様では、本明細書に記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、回路、レジスタ並びに/又はソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理、及び/又はハードウェアとソフトウェア構成要素論理ゲートとの組合せ、又は他の統合された形式、を介して実装されてもよい。その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台又は2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台又は2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが、当業者には理解されよう。
【0130】
開示される主題のメカニズムは、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される特定の種類の信号搬送媒体に関係なく用いられる。信号搬送媒体の例としては以下:記録可能型の媒体、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信論理、受信論理など)が挙げられる。
【0131】
これらの態様の前述の説明は、記載及び説明を目的として提示されている。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。これら態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な態様を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0132】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0133】
実施例1.外科用器具であって、ハンドル組立体であって、言語パラメータを記憶するように構成された第1のメモリ、及び第1のメモリから言語パラメータを取得するために第1のメモリに連結された制御回路と、を備える、ハンドル組立体と、ハンドル組立体に取り外し可能に接続可能な交換式構成要素であって、複数の言語でテキストフレーズを記憶するように構成された第2のメモリを備える、交換式構成要素と、を備え、制御回路は、第2のメモリから、言語パラメータに対応する言語でテキストフレーズを取得するように構成されている、外科用器具。
【0134】
実施例2.ディスプレイを更に備え、制御回路は、ディスプレイに、第2のメモリから取得されたテキストフレーズを表示させるように構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0135】
実施例3.制御回路は、ディスプレイに、ディスプレイ上に表示された画像上のオーバーレイとしてテキストフレーズを表示させるように構成されている、実施例2に記載の外科用器具。
【0136】
実施例4.テキストフレーズは、ディスプレイ上に表示されるように、制御回路によって決定された画像タイプに対応する、実施例2又は3に記載の外科用器具。
【0137】
実施例5.交換式構成要素はシャフト組立体を備える、実施例1~4のうち少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0138】
実施例6.制御回路は、交換式構成要素がハンドル組立体に接続されると、第2のメモリに通信可能に連結される、実施例1~5のうち少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0139】
実施例7.交換式モジュールが取り外し可能に接続可能な外科用器具のハンドル組立体であって、交換式モジュールは、複数の言語でテキストフレーズを記憶するように構成された補助メモリを備え、ハンドル組立体は、言語パラメータを記憶するように構成されたメモリと、メモリから言語パラメータを取得するためにメモリに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、補助メモリから、言語パラメータに対応する言語でテキストフレーズを取得するように構成されている、ハンドル組立体。
【0140】
実施例8.ディスプレイを更に備え、制御回路は、ディスプレイに、補助メモリから取得されたテキストフレーズを表示させるように構成されている、実施例7に記載のハンドル組立体。
【0141】
実施例9.制御回路は、ディスプレイに、ディスプレイ上に表示された画像上のオーバーレイとしてテキストフレーズを表示させるように構成されている、実施例8に記載のハンドル組立体。
【0142】
実施例10.テキストフレーズは、ディスプレイ上に表示されるように、制御回路によって決定された画像タイプに対応する、実施例8又は9に記載のハンドル組立体。
【0143】
実施例11.交換式モジュールはシャフト組立体を備える、実施例7~10のうち少なくとも1つに記載のハンドル組立体。
【0144】
実施例12.制御回路は、交換式モジュールがハンドル組立体に接続されると、補助メモリに通信可能に連結される、実施例7~11のうち少なくとも1つに記載の外科用器具。
【0145】
実施例13.交換式構成要素が取り外し可能に接続可能なハンドル組立体を備える外科用器具を操作する方法であって、ハンドル組立体の第1のメモリから言語パラメータを取得することと、言語パラメータに対応する言語で交換式構成要素の第2のメモリからテキストフレーズを取得することと、言語パラメータに対応する言語でテキストフレーズを表示することと、を含む、方法。
【0146】
実施例14.テキストフレーズは、テキストフレーズに関連付けられた画像上のオーバーレイとして表示される、実施例13に記載の方法。
【0147】
実施例15.交換式構成要素はシャフト組立体を備える、実施例13又は14に記載の方法。
【0148】
実施例16.画像が表示されるべきであると判定することを更に含み、第2のメモリから取得されたテキストフレーズは、言語パラメータ及び画像の両方に対応する、実施例13~15のうち少なくとも1つに記載の方法。
【0149】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
ハンドル組立体であって、
言語パラメータを記憶するように構成された第1のメモリ、及び
前記第1のメモリから前記言語パラメータを取得するために前記第1のメモリに連結された制御回路、を備える、ハンドル組立体と、
前記ハンドル組立体に取り外し可能に接続可能な交換式構成要素であって、複数の言語でテキストフレーズを記憶するように構成された第2のメモリを備える、交換式構成要素と、を備え、
前記制御回路は、前記第2のメモリから、前記言語パラメータに対応する言語で前記テキストフレーズを取得するように構成されている、外科用器具。
(2) ディスプレイを更に備え、前記制御回路は、前記ディスプレイに、前記第2のメモリから取得された前記テキストフレーズを表示させるように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記制御回路は、前記ディスプレイに、前記ディスプレイ上に表示された画像上のオーバーレイとして前記テキストフレーズを表示させるように構成されている、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記テキストフレーズは、前記ディスプレイ上に表示されるように、前記制御回路によって決定された画像タイプに対応する、実施態様2に記載の外科用器具。
(5) 前記交換式構成要素はシャフト組立体を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
【0150】
(6) 前記制御回路は、前記交換式構成要素が前記ハンドル組立体に接続されると、前記第2のメモリに通信可能に連結される、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 交換式モジュールが取り外し可能に接続可能な外科用器具のハンドル組立体であって、前記交換式モジュールは、複数の言語でテキストフレーズを記憶するように構成された補助メモリを備え、前記ハンドル組立体は、
言語パラメータを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリから前記言語パラメータを取得するために前記メモリに連結された制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記補助メモリから、前記言語パラメータに対応する言語で前記テキストフレーズを取得するように構成されている、ハンドル組立体。
(8) ディスプレイを更に備え、前記制御回路は、前記ディスプレイに、前記補助メモリから取得された前記テキストフレーズを表示させるように構成されている、実施態様7に記載のハンドル組立体。
(9) 前記制御回路は、前記ディスプレイに、前記ディスプレイ上に表示された画像上のオーバーレイとして前記テキストフレーズを表示させるように構成されている、実施態様8に記載のハンドル組立体。
(10) 前記テキストフレーズは、前記ディスプレイ上に表示されるように、前記制御回路によって決定された画像タイプに対応する、実施態様8に記載のハンドル組立体。
【0151】
(11) 前記交換式モジュールはシャフト組立体を含む、実施態様7に記載のハンドル組立体。
(12) 前記制御回路は、前記交換式モジュールが前記ハンドル組立体に接続されると、前記補助メモリに通信可能に連結される、実施態様7に記載の外科用器具。
(13) 交換式構成要素が取り外し可能に接続可能なハンドル組立体を備える外科用器具を操作する方法であって、
前記ハンドル組立体の第1のメモリから言語パラメータを取得することと、
前記言語パラメータに対応する言語で前記交換式構成要素の第2のメモリからテキストフレーズを取得することと、
前記言語パラメータに対応する前記言語で前記テキストフレーズを表示することと、を含む、方法。
(14) 前記テキストフレーズは、前記テキストフレーズに関連付けられた画像上のオーバーレイとして表示される、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記交換式構成要素はシャフト組立体を含む、実施態様13に記載の方法。
【0152】
(16) 画像が表示されるべきであると判定することを更に含み、前記第2のメモリから取得された前記テキストフレーズは、前記言語パラメータ及び前記画像の両方に対応する、実施態様13に記載の方法。