(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】随時自由に選択可能な双眼鏡接眼レンズの観察ビーム経路の放射の一部をアウトカップリングする装置
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
G02B21/00
(21)【出願番号】P 2020517962
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2018074361
(87)【国際公開番号】W WO2019063276
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】102017217378.5
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502303382
【氏名又は名称】カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コシュミエーダー、インゴ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン、ディートリヒ
(72)【発明者】
【氏名】リンク、ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、ローター
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/065688(WO,A1)
【文献】特開2011-164447(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10356154(DE,A1)
【文献】特開平9-266919(JP,A)
【文献】特開2007-47465(JP,A)
【文献】特開平11-231227(JP,A)
【文献】特開2013-174824(JP,A)
【文献】特開2011-7871(JP,A)
【文献】特開平7-35986(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19622357(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
随時自由に選択可能な双眼鏡接眼レンズの観察ビーム経路の放射の一部をアウトカップリングするための装置であって、回転軸が観察ビーム経路の軸に平行である回転可能な支持ユニットが、双眼鏡接眼レンズを有するハウジングに配置され、3つの光学要素が前記支持ユニット上にオフセットして配置され、外側の光学要素および中央の光学要素はそれぞれ、観察ビーム経路のうちの一つに配置され、前記支持ユニットの回転後、前記中央の光学要素および他の外側の光学要素はそれぞれ観察ビーム経路のうちの一つに配置され、2つの前記外側の光学要素は、それらが観察ビーム経路のうちの一つに配置されている場合に、観察放射の一部が共通の記録ビーム経路にアウトカップリングされるように、ビーム分割効果を有し、かつ前記支持ユニット上に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記3つの光学要素がオフセットして配置され、前記回転可能な支持ユニットが、+/-90°の回転範囲を有し、かつその終端位置に当接位置またはラッチ位置を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転可能な支持ユニットに直接的または間接的に係合するレバーの形態の作動要素が、前記回転可能な支持ユニットに配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記回転可能な支持ユニットに配置された電動式駆動装置に接続されたスイッチの形態の作動要素が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記回転可能な支持ユニットの動作機構
は、前記回転可能な支持ユニットがそれ自体で2つの終端位置のうちの1つに移動するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記支持ユニットがプレートであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
ビームスプリッタキューブまたは平行平面板がビーム分割効果を有する光学要素として使用されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
ビーム分割効果を有する光学要素が、観察放射の一部を共通の記録ビーム経路にアウトカップリングし、アウトカップリングされる放射の割合は最大80
%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項9】
前記共通の記録ビーム経路が、前記観察ビーム経路と90°の角度をなすことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記共通の記録ビーム経路が、画像データを記録するためのカメラを有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
2つの前記外側の光学要素の間に配置された前記中央の光学
要素は、前記観察ビーム経路の放射が前記中央の光学要素によって影響を受けないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
2つの前記外側の光学要素の間に配置された前記中央の光学
要素がビーム減衰効果を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記共通の記録ビーム経路の反対側に、データ、画像または情報をインカップリングするためのディスプレイが設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項14】
前記観察ビーム経路にそれぞれ配置されたビーム分割効果を有する光学要素が、データ、画像または情報をインカップリングするために使用されることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
スペクトル依存型フィルタが、前記観察ビーム経路および/または前記記録ビーム経路に配置され、かつビーム経路に選択的に挿入可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
スペクトル依存型フィルタが、電動式駆動装置を有するフィルタホイー
ル上に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項17】
固定絞りおよび/または可変絞りが、前記観察ビーム経路および/または前記記録ビーム経路に配置され、かつビーム経路に選択的に挿入可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
固定絞りおよび/または可変絞りが、電動式駆動装置を有するホイー
ル上に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項19】
3つの光学部品が、対応する必要な光学的に有効な表面を有する一体型ブロックとして具体化されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
ビーム分割効果を有する光学要素が、観察放射の一部を共通の記録ビーム経路にアウトカップリングし、アウトカップリングされる放射の割合は最大50%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双眼鏡接眼レンズを有する光学機器の写真記録または共同観察装置に使用されるビーム経路を、構造的な変化を必要とせずに、随時自由に選択し、かつ変更することができる技術的解決策に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、拡大ステージまたは照明変形のための変更装置に関連する多数の解決策が先行技術から利用可能であるが、双眼鏡接眼レンズを有する光学機器の記録のために使用される観察ビーム経路を選択する解決策は、広く知られていない。
【0003】
このために、特許文献1には、顕微鏡用の双眼鏡筒が記載されており、双眼鏡筒の上面には、カメラなどの追加の器具を取り付けるためのネックが設けられている。部分的に透過性の鏡面を有する偏向プリズムによって、主ビーム経路はネックの方向と双眼鏡筒の方向とに分割される。従って、この解決策では、検出ビーム経路は、観察ビーム経路からアウトカップリングされるのではなく、既に以前に主ビーム経路からアウトカップリングされている。このため、光学ユニットおよびトリプルミラーが設けられている。
【0004】
顕微鏡筒の操作タイプを観察位置、記録位置、および同時観察記録位置の間で切り替えるための変更装置が、特許文献2により既知である。このために、3つの光学要素、即ち、全反射する第1の要素、部分的に透過性の第2の要素、および第3の光学要素として光路長を補償する補償要素が設けられている。第1および第2の要素は、互いに変位可能に配置された別個のガイドキャリッジに固定されている。所望の操作位置に応じて、光学要素は、ガイドロッドに沿って直線的に変位することにより、ビーム経路内外に駆動される。
【0005】
どちらの解決策も、アウトカップリングに使用する観察ビーム経路を選択することができず、使用する観察ビーム経路を変更するようにもなっていない。
しかしながら、立体観察機器の記録に使用されるコンポーネントの多くは、2つの観察ビーム経路のうちの1つを使用している。この構成によれば、2つの観察ビーム経路間を切り替えることができないように、観察ビーム経路が機械的に設定される。後者は、この固定の特定のチャネルがユーザの優位眼に対応しない場合、この眼の視覚的な印象が観察者の主観的なビューを決定するため、不利である。対応しない場合、ユーザは、記録された画像の印象が視覚的に知覚されるものに対応しないという印象を持つ。
【0006】
ここに組み込まれたコンポーネントのいくつかは、システム内の異なる統合、例えば、観察ビーム経路に対して0°または180°の統合を可能にし、その結果、セットアップのこの段階で、2つの観察ビーム経路のいずれをアウトカップリングに使用するかを決定することができる。この段階でシステムを個人の要求に一致させることは確かに可能であるが、この決定の後、セットアップは、再度事前に決定され、再度再構築しないと変更することができない。
【0007】
実体顕微鏡における光学要素用の交換装置は、特許文献3に記載されている。この回転可能な変更装置を用いると、1対の光学要素がそれぞれ実体顕微鏡の両方の観察ビーム経路に挿入可能であり、各対の要素の間隔はステレオチャネルのステレオ基準に対応する。この発明によれば、複数の光学要素が、変更装置の中心の周りに互いに隣接して円形に配置されており、変更装置の中心は、変更装置上のステレオチャネルのステレオ基準に関して横方向に変位されている。従って、5つの光学要素の配置により、例えば、「立体観察」、「50%立体観察および50%記録」、「100%記録及び単一チャネル観察」のように記載することができる3つの作業位置を設定することができる。ここで提案される解決策では、記録のためにアウトカップリングを変更(50%または100%)したり、オフに切り替えたりする可能性があるが、アウトカップリングに使用する観察ビーム経路の選択は提供されていない。さらに、ここで提案された切り替えにはかなりの構造空間が必要であり、これは、光学設計や機械構造に利用できる構造空間を制限する。これは、システム全体の改良容積の増加につながり、これは、そのようなシステムの使い勝手に悪影響を与える。
【0008】
単純な作動機構の形でのユーザによる2つの観察ビーム経路間の切り替えは、既知の解決策のいずれによっても提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第2631118号明細書
【文献】独国特許出願公開第19622357号明細書
【文献】独国特許発明第10356154号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明は、双眼鏡接眼レンズを有する光学機器の写真記録または他の同様のアウトカップリングに使用されるビーム経路を、構造的な変更を必要とすることなく、随時自由に選択または変更することを可能にする技術的解決策を開発する問題に対処する。選択は簡単で、かつ双眼鏡接眼レンズを通して観察しながらも可能である必要がある。
【0011】
この問題は、随時自由に選択可能な双眼鏡接眼レンズの観察ビーム経路の放射の一部をアウトカップリングするための提案された装置によって解決され、回転軸が観察ビーム経路の軸に平行である回転可能な支持ユニットが、双眼鏡接眼レンズを有するハウジングに配置され、3つの光学要素が支持ユニット上にオフセットして配置され、外側の光学要素および中央の光学要素はそれぞれ、観察ビーム経路のうちの一つに配置され、支持ユニットの回転後、中央の光学要素および他の外側の光学要素はそれぞれ観察ビーム経路のうちの一つに配置され、2つの外側の光学要素は、それらが観察ビーム経路のうちの一つに配置されている場合に、観察放射の一部が共通の記録ビーム経路にアウトカップリングされるように、ビーム分割効果を有し、かつ支持ユニット上に配置されている。
【0012】
本発明によれば、問題は独立請求項の特徴によって解決されるが、好ましい展開および実施形態は従属請求項の主題である。
本発明によれば、アウトカップリングに使用される観察ビーム経路は、支持ユニットを回転させることによって変更され、その回転は機械的であるか、または電動式とすることができる。
【0013】
ビーム分割効果を有する光学要素は、観察放射の一部を共通の記録ビーム経路にアウトカップリングし、アウトカップリングされる放射の割合は、最大80%、好ましくは最大50%である。
【0014】
本発明によれば、回転可能な支持ユニット上に配置された光学要素は、共通の検出ビーム経路の反対側に配置された追加のディスプレイによってデータをインカップリングするためにも使用することができる。インカップリングおよびアウトカップリングは、ここでは互いに独立して行われるが、組み合わせることもできる。
【0015】
さらに、提案された装置は、観察ビーム経路および/または記録ビーム経路にそれぞれ配置され、個々のビーム経路に選択的に挿入可能な、スペクトル依存型フィルタおよび/または固定絞りまたは可変絞りを追加することができる。
【0016】
提案された技術的解決策は、特に、双眼鏡接眼レンズの自由に選択可能な観察ビーム経路から記録ビーム経路に画像データをアウトカップリングするために提供される。しかしながら、本発明による装置は、観察用ビーム経路の1つのビーム分割が必要であり、かつアウトカップリングに使用される観察用ビーム経路が可変でなければならない双眼鏡接眼レンズを有する全ての光学系に適している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】双眼鏡接眼レンズの左側の観察ビーム経路からのアウトカップリングのための解決策の概略図を示す図である。
【
図2】双眼鏡接眼レンズの右側の観察ビーム経路からのアウトカップリングのための解決策の概略図を示す図である。
【
図3】双眼鏡接眼レンズの左側の観察ビーム経路からのアウトカップリングおよび左側の観察ビーム経路へのインカップリングのための解決策の概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を、例示的な実施形態に基づいて以下により詳細に説明する。この点において、提案されている装置は、随時自由に選択可能な双眼鏡接眼レンズの観察ビーム経路の放射の一部をアウトカップリングする。
【0019】
本発明によれば、このために、回転可能な支持ユニットが、双眼鏡接眼レンズを有するハウジング内に配置され、回転可能な支持ユニットの回転軸が観察ビーム経路の軸と平行である。例えば、プレートとして具体化されたこの支持ユニット上には、3つの光学要素がオフセットして配置されている。外側および中央の光学要素はそれぞれ、観察ビーム経路のうちの一つに配置され、支持ユニットの回転後、中央および他の外側の光学要素はそれぞれ観察ビーム経路のうちの一つに配置される。ここで、2つの外側の光学要素は、それらが観察ビーム経路のうちの一つに配置されている場合に、観察放射の一部が共通の記録ビームにアウトカップリングされるように、ビーム分割効果を有し、かつ支持ユニット上に配置されている。
【0020】
本発明によれば、プレートを回転させることにより選択された観察ビーム経路にビーム分割光学要素を旋回させ、他の観察ビーム経路に光学効果のない光学要素を旋回させることにより、記録ビーム経路をアウトカップリングするために2つの観察ビーム経路のうちの一つを簡単かつ迅速に選択することが可能である。
【0021】
第1の有利な実施形態は、例えば、プレートとして具体化された回転可能な支持ユニットに関するものであり、支持ユニットの外縁部には、3つの光学要素が90°オフセットされて配置されている。ここで、外側および中央の光学要素は、それぞれ観察ビーム経路のうちの一つに配置され、プレートを90°回転させた後、中央および他の外側の光学要素は、それぞれ観察ビーム経路のうちの一つに配置される。
【0022】
従って、これにより、回転可能なプレートの回転範囲は+/-90°となる。回転可能なプレートは、その終端位置において、当接位置またはラッチ位置を有する。ここで、2つの終端位置は、操作者に触覚的に明確に認識可能である必要がある。
【0023】
スイッチ機構は、初期の移動の後、回転可能なプレートがそれ自体で2つの(安定した)終端位置のうちの1つに移動するように、即ち、調整範囲が双安定に設計されるように、有利な方法で具体化することができる。
【0024】
プレートは3つの光学要素によってのみ占有されるので、好ましくは、円形のプレートの占有されていない表面を切り落とすことができ、それによって、必要な構造空間の実質的な減少を可能にする。
【0025】
回転範囲が+/-90°と小さいので、手動回転が可能になる。このために、回転可能なプレートに直接的または間接的に係合するレバーの形態の作動要素が設けられる。レバーと回転可能なプレートとの間の間接的な接続として、チェーン、ケーブル、またはプッシュロッドが考えられる。ここで、どの観察ビーム経路が現在そこからアウトカップリングされているかは、レバーの位置によって認識可能である。
【0026】
好ましい変形形態によれば、回転可能なプレートに配置された電動式駆動装置に接続されたスイッチの形態の作動要素が設けられる。
第一に、これには、人間工学的に好ましいポイントにスイッチを配置することができるという利点がある。第二に、2つのアウトカップリングの変動間の切り替えが十分に迅速に行われる場合、これは、試験対象物の立体記録を生成する可能性がある。このために、両方の観察ビーム経路から連続的にアウトカップリングされた画像データがデータ記憶装置に記録およびファイリングされ、各画像は、一対の立体画像の一部としてマーク付けされる。この変形形態では、どの観察ビーム経路が現在アウトカップリングされているかを認識可能であることも好ましい。この場合、これは、スイッチまたは別のディスプレイの位置によって行わせることができる。
【0027】
第2の有利な実施形態は、ビームスプリッタキューブとして具体化され、かつガラス、プラスチック、または別の光学的に透明な材料から構成され得る、ビーム分割効果を有する要素に関する。
【0028】
別の実施形態の変形形態では、ビーム分割効果を有する要素は、平行平面板として具体化される。
この場合、ビームのミスアライメントがないため、好ましくは、この実施形態は、ビームスプリッタキューブである。しかしながら、非常に重要な応用では、アウトカップリングに使用されない観察ビーム経路において光学効果のない光学要素を使用することが絶対に必要である。
【0029】
光学系全体でのビームのミスアライメントが許容できる場合は、平行平面板の使用が可能である。
それらの実施形態の変形形態とは無関係に、観察ビーム経路から共通の記録ビーム経路にアウトカップリングされる放射の割合は、最大で80%、好ましくは最大で50%である。
【0030】
特に有利な実施形態によれば、共通の記録ビーム経路は、観察ビーム経路と90°の角度を成す。
共通の記録ビーム経路は、好ましくは、画像データを記録するためのカメラを有し、記録ビーム経路は、技術的および/または人間工学的理由により、1つまたは複数のミラー要素によってさらに曲げられ、かつさらなる光学要素を含み得る。
【0031】
第3の有利な実施形態は、2つの外側の光学要素の間に配置された、光学的効果のない中央の光学コンポーネントに関する。
光学効果のないこの光学要素は、2つの観察ビーム経路間の異なる光路長を独占的に補償する。
【0032】
好ましくは、ビーム分割効果を有する要素に対応する方法で、この光学要素は、キューブまたは平行平面板として具体化される。
平行平面板としての実施形態の場合、光学効果のない光学要素も、平行平面板として具体化されるか、または関連する品質の低下を考慮して、省略される可能性がある。
【0033】
特に有利な一変形形態では、2つの外側の光学要素の間に配置された中央の光学コンポーネントは、ビーム減衰効果を有する。
そのため、両方の観察ビーム経路の光学像の印象を互いに一致させることが可能である。ここで、減衰は、アウトカップリングの割合比率に正確に対応する必要はないが、明るさの視覚的印象には比較的大きな許容範囲があるため、より小さくすることも、より大きくすることもできる。
【0034】
このために、
図1は、双眼鏡接眼レンズの左側の観察ビーム経路からの画像データをアウトカップリングするための解決策の概略図を示している。
この場合、
図1の上図は、光学観察軸に垂直な断面図を示している。
【0035】
本発明による装置において、双眼鏡接眼レンズ(図示せず)を有するハウジング1内に配置されているのは、回転可能なプレート4であり、プレート4の回転軸5は、双眼鏡接眼レンズの2つの観察ビーム経路2および3の軸に平行である。この場合、プレート4の可能な回転運動は、矢印6で示されている。3つのガラスキューブ7、8および9は、プレート4上にオフセットして配置され、ガラスキューブ7および9は、それぞれ観察ビーム経路2および3のうちの一つに配置される。
【0036】
観察ビーム経路2に配置されたガラスキューブ7は、ビームスプリッタキューブとして具体化され、観察ビーム経路2の放射の一部を共通の記録ビーム経路10にアウトカップリングする。観察ビーム経路3に配置されたガラスキューブ9は、光学的効果を有していない。
【0037】
図1の下図は、観察ビーム経路によって広がる平面に対して上方から垂直に見たアウトカップリングの概略図を示している。
観察ビーム経路2の放射2‘の一部は、観察ビーム経路2に配置されたビームスプリッタキューブ7によって、記録ビーム10‘として記録ビーム経路10にアウトカップリングされる。ビームスプリッタキューブ7は、放射10‘が左に90°の角度で記録ビーム経路10にアウトカップリングされるように、プレート4に配置されている。観察ビーム経路3の放射3‘は、観察ビーム経路3に配置されたガラスキューブ9による影響を受けない。放射2‘、3‘、および10‘の図に使用されている矢印の太さは、エネルギーフラックスを同時に例示的に示している。
【0038】
図1とは対照的に、
図2は、左からの観察ビーム経路からではなく、双眼鏡接眼レンズの右からの観察ビーム経路からの画像データのアウトカップリングの解決策の概略図を示している。
【0039】
このために、プレート4は反時計回りに90°回転されている。この回転によって、
・ビームスプリッタキューブ7が、観察ビーム経路2の外に旋回され、
・ガラスキューブ9が、観察ビーム経路3から観察ビーム経路2に旋回され、
・ビームスプリッタキューブ8が、観察ビーム経路3に旋回される。
【0040】
図2の上図は、光学観察軸に沿った断面図を示している。
本発明による装置において、双眼鏡接眼レンズ(図示せず)を有するハウジング1内に配置されているのは、回転可能なプレート4であり、プレート4の回転軸5は、双眼鏡接眼レンズの2つの観察ビーム経路2および3の軸に平行である。この場合、プレート4の可能な回転運動は、矢印6で示されている。3つのガラスキューブ7、8および9は、プレート4上にオフセットして配置され、ガラスキューブ8および9は、それぞれ観察ビーム経路2および3のうちの一つに配置される。
【0041】
観察ビーム経路2に配置されたガラスキューブ9は光学的効果を有さないが、観察ビーム経路3に配置されたガラスキューブ8は、ビームスプリッタキューブとして具体化され、かつ観察ビーム経路3の放射の一部を共通の記録ビーム経路10にアウトカップリングする。
【0042】
図2の下図は、観察ビーム経路によって広がる平面に対して上方から垂直に見たアウトカップリングの概略図を示している。
観察ビーム経路3の放射3‘の一部は、観察ビーム経路3に配置されたビームスプリッタキューブ8によって、記録ビーム10‘として記録ビーム経路10にアウトカップリングされる。ビームスプリッタキューブ8は、放射10‘が左に同様に90°の角度で記録ビーム経路10にアウトカップリングされるように、プレート4に配置されている。観察ビーム経路2の放射2‘は、観察ビーム経路2に配置されたガラスキューブ9による影響を受けない。放射2‘、3‘、および10‘の図に使用されている矢印の太さは、ここでもエネルギーフラックスを同時に例示的に示している。
【0043】
光路は一般に可逆的であるため、記載されているすべてのアウトカップリングの変形形態では、情報を光学系にインカップリングするために使用することもできる。
装置を専用で使用する場合、光エネルギーが観察者に向かって偏向されるようにビームスプリッタを180°回転させる必要がある。
【0044】
さらに、第4の有利な実施形態によれば、データ、画像、または情報をインカップリングするためのディスプレイが、共通の記録ビーム経路の反対側に追加で配置される。インカップリングおよびアウトカップリングは、ここでは互いに独立して行われるが、組み合わせることもできる。
【0045】
この変形形態では、観察ビーム経路にそれぞれ配置され、かつ記録放射のアウトカップリングを実現するビーム分割効果を有する光学要素が、データ、画像、または情報のインカップリングに使用されることが特に有利である。
【0046】
このディスプレイにより、任意の所望の情報を観察ビーム経路の1つに供給することができる。
光エネルギーの一部のみがビームスプリッタによって観察者の方向に偏向され、残りの部分はビーム分割要素を結像方向に通過するため、記録ビーム経路において画像データを記録している間、情報の供給が一時的にオフされていることが認識可能であり、ここで、スイッチオフは画像記録と同期させることができる。これにより、記録すべき画像への供給された情報の可能性のある重畳が防止される。
【0047】
さらに、例えば、どの観察ビーム経路が現在アウトカップリングされており、どの観察ビーム経路に供給されているかを、ディスプレイによって示すことができる。これは、観察ビーム経路間の切り替えが電動式であり、位置がこの情報を示すレバーが設けられていれば、常に認識可能である。
【0048】
この点に関して、
図3は、双眼鏡接眼レンズの左側の観察ビーム経路からのアウトカップリング/左側の観察ビーム経路へのフィードインのための本発明の解決策の概略図を示す。
【0049】
アウトカップリングおよびフィードインの概略図は、
図1および
図2の下図に対応している。この図では、視線は、観察ビーム経路によって広がる平面上に上方から垂直に向けられている。
【0050】
観察ビーム経路2の放射2‘の一部は、観察ビーム経路2に配置されたビームスプリッタキューブ7によって、記録ビーム10‘として記録ビーム経路10にアウトカップリングされる。ビームスプリッタキューブ7は、放射10‘が左に90°の角度で記録ビーム経路10にアウトカップリングされるように、プレート4に配置されている。観察ビーム経路3の放射3‘は、観察ビーム経路3に配置されたガラスキューブ9による影響を受けない。
【0051】
ディスプレイ11によって生成された情報は、ビームスプリッタキューブ7によって、放射11‘として観察ビーム経路2に供給される。この場合、ビームスプリッタキューブ7のスプリッタ層は、観察ビーム経路2からの放射2‘のアウトカップリング、および観察ビーム経路2への放射11‘の供給の両方を行う。
【0052】
ディスプレイ11によって生成された放射11‘はまた、観察ビーム経路3に配置されたガラスキューブ9による影響を受けない。
放射2‘、3‘、10‘、11‘の説明に使用されている矢印の太さは、ここでもエネルギーフラックスを同時に例示的に示している。観察ビーム経路2に供給される放射11‘は、破線として示されている。
【0053】
図3に示す本発明の解決策の概略図は、双眼鏡接眼レンズの右側の観察ビーム経路からのアウトカップリング/右側の観察ビーム経路へのフィードインにも同様に当てはまる。アウトカップリングおよびフィードインは、観察ビーム経路3から、かつ観察ビーム経路3に生じるので、これらの機能は、ビームスプリッタキューブ8のスプリッタ層によって行われる。
【0054】
さらなる有利な実施形態によれば、双眼鏡接眼レンズの選択可能な観察ビーム経路から画像データをアウトカップリングするための本発明の装置は、観察ビーム経路に配置され、かつ/または記録ビーム経路に配置され、ビーム経路に選択的に挿入可能なスペクトル依存型フィルタを追加することができる。スペクトル依存型フィルタは、このために、電動式駆動装置を有するフィルタホイールまたは同様のものの上に好ましくは配置される。
【0055】
スペクトル依存型フィルタを使用して、波長固有の観察状況を生成し、関連する画像記録を記録することができる。この場合、記録ビーム経路では観察ビーム経路とは異なるスペクトル特性を生成することも可能である。スペクトル依存型フィルタの電動式調整による擬似マルチスペクトル、即ち連続的な記録を実現することも可能である。
【0056】
さらに、本発明の装置は、同様に観察ビーム経路および/または記録ビーム経路に配置され、かつ選択的にビーム経路に挿入可能な固定絞りおよび/または可変絞りを追加することができる。固定絞りおよび/または可変絞りはまた、好ましくは、電動式駆動装置を有するホイールまたは同様のものの上に配置される。
【0057】
この場合、固定の段階的に調整可能な直径または連続的に調整可能な虹彩絞りの両方が絞りとして提供され、それによって、観察状況および関連する記録の被写界深度を変化させることができる。
【0058】
絞りが記録ビーム経路にのみ配置されている場合、被写界深度は記録ビーム経路に対してのみ変化させることができる。しかし、この場合、視覚的観察と記録画像との間の同一性は排除される。これらの絞りは、画像記録の露出を制御するためにも使用することができる。このために、絞りは操作が簡単である必要がある。
【0059】
最後の有利な実施形態によれば、3つの光学部品は、対応する必要な光学的に有効な表面を有する一体型ブロックとして具体化することができる。一体型ブロックが全体として回転する場合、回転可能なプレートはここで省略することができる。
【0060】
この変形形態では、境界面の損失を回避することができ、位置合わせの複雑さが大幅に軽減されるという利点がある。
本発明による解決策により、随時自由に選択可能である双眼鏡接眼レンズの観察ビーム経路の放射の一部をアウトカップリングすることができる装置が提供される。双眼鏡接眼レンズを備えた光学機器の写真記録用に使用されるビーム経路は、構造上の変更を必要とせずに、自由に選択および変更することができる。
【0061】
選択は、本解決策で実現するのに非常に簡単であり、双眼鏡接眼レンズを通して観察しながらも可能であり、そのため、操作者は両眼接眼レンズから視線をそらす必要がない。
提案された解決策は、眼科機器からの画像データをアウトカップリングするために提供されることが好ましいが、それは、観察ビーム経路のうちの1つのビーム分割が必要であり、かつアウトカップリングに使用される観察ビーム経路が可変でなければならない双眼鏡接眼レンズを有する全ての光学系に使用することができる。
【0062】
3つの光学要素のみの本発明による配置、および光学効果のない光学要素のこのように関連する複数の使用により、非常にコンパクトな装置が可能になる。
従来技術から既知の同様の調整装置と比較して、本解決策は、実質的により小さい構造空間を必要とする。これは、例えば、スリットランプの場合のように、ユーザが器具を通過して自分の対象物を見ることができる必要があるような器具にとって特に有利である。
【0063】
さらに、アウトカップリングに使用される観察ビーム経路の非常に簡単かつ迅速な変更が、回転調整によって可能であるということが特に有利である。