(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】トライアル頸部装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/32 20060101AFI20221024BHJP
A61B 17/78 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A61F2/32
A61B17/78
(21)【出願番号】P 2020519090
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2018074409
(87)【国際公開番号】W WO2019068427
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-06-29
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー・アンドリュー
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102007032014(DE,B3)
【文献】特開2013-094331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0241625(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02796267(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/32
A61B 17/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
股関節置換術で使用するためのトライアル頸部であって、
近位端と、
ブローチの近位端に接続可能な遠位端と、
前記遠位端と前記近位端との間で前記トライアル頸部の頸部軸に沿って延在する本体部分と、を備え、
前記トライアル頸部の前記近位端は、トライアル頭部の対応する雌コネクタに接続するための雄コネクタを含み、前記雄コネクタは、前記頸部軸に実質的に平行に延在する複数の接続部材を備え、前記接続部材は、1つ以上の細長いスロットによって分離され、前記接続部材は、前記雄コネクタを前記トライアル頭部の前記雌コネクタに挿入する際に、前記頸部軸に向かって内側に弾性的に偏向可能であり、
前記雄コネクタの前記スロット又は各スロット
は、前記頸部軸から離れる方向への前記接続部材の過剰な偏向を防止するために、前記スロットによって分離された前記接続部材間のインターロックを形成する少なくとも1つのキンクを含む、トライアル頸部。
【請求項2】
前記本体部分は、前記トライアル頸部の前記遠位端と前記近位端との間で前記頸部軸に沿って延在する複数のアームを有するフレームを備え、前記雄コネクタの各接続部材は、前記本体部分の1つ以上のそれぞれのアームの近位端と一体的に形成されている、請求項1に記載のトライアル頸部。
【請求項3】
各細長いスロットが、前記フレームの前記アームの間に位置する1つ以上の窓に通じている、請求項2に記載のトライアル頸部。
【請求項4】
前記雄コネクタは、ちょうど2つの接続部材を備え、前記本体部分の前記フレームは、ちょうど4つのアームを含み、各接続部材は、前記アームのうちの2つと一体的に形成されている、請求項2又は請求項3に記載のトライアル頸部。
【請求項5】
前記本体部分の中央部分は、前記フレームの前記アームの間で視認可能である、請求項2~4のいずれか一項に記載のトライアル頸部。
【請求項6】
前記トライアル頸部の前記遠位端は、前記ブローチの前記近位端に接続可能な遠位に面する下面を有する基部を備え、前記本体部分の前記フレームの前記アームが、前記基部から前記トライアル頸部の前記近位端に向かって近位方向に延在する、請求項2~5のいずれか一項に記載のトライアル頸部。
【請求項7】
前記本体部分の前記アームは、前記基部と一体的に形成されている、請求項6に記載のトライアル頸部。
【請求項8】
前記基部及び前記フレームの前記アームが、前記雄コネクタの前記接続部材の前記頸部軸に向かう前記弾性偏向のための
ヒンジを形成する、請求項7に記載のトライアル頸部。
【請求項9】
前記少なくとも1つのキンクが、ジグザグ形状のインターロックを形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載のトライアル頸部。
【請求項10】
3D印刷によって製造されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のトライアル頸部。
【請求項11】
股関節置換術のための外科用キットであって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の1つ以上のトライアル頸部であって、前記トライアル頸部のうちの少なくとも2つが、異なるサイズであ
るか、又は、異なる頸部オフセットを有する、1つ以上のトライアル頸部と、
1つ以上の前記ブローチと、
1つ以上の前記トライアル頭部と、を備える、外科用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股関節置換術で使用するためのトライアル頸部に関する。本発明はまた、股関節置換術のための外科用キットにも関する。本発明は更に、股関節置換術において整形外科用インプラントの頸部を試験するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
股関節置換術は、股関節を人工関節インプラントに置換する外科的手技である。股関節の全置換は、患者の寛骨臼内に寛骨臼カップインプラントを設置することと、患者の大腿骨内にプロテーゼを設置することと、を含む。プロテーゼは、典型的には、大腿骨の髄管内に受容されるステムと、寛骨臼又は寛骨臼カップインプラント内に受容される軸受面を有する頭部と、を含む。プロテーゼは、典型的には、ステムの近位端と頭部との間に延在する頸部も含む。
【0003】
股関節置換術の成功には、寛骨臼カップインプラント及びプロテーゼ自体の正確な位置決め及び整列が必要である。生じる恐れがある不適切なサイズの寛骨臼カップインプラント及び/又はプロテーゼの位置ずれ及び/又は選択により、プロテーゼの動きが制限され、かつ/又は寛骨臼カップインプラントの軸受面及び頭部の軸受面の摩耗及び断裂が促進される。この正確な位置決め及びアライメントを達成するために、様々な要因が関与する。これらの要因のうちの少なくともいくつかは、プロテーゼの頸部に関する。これらの要因には、例えば、頸部の長さ、及びステムに対する頸部の角度配向(オフセット)が含まれ得る。
【0004】
股関節置換術は、通常、寛骨臼カップインプラント及びプロテーゼの様々な構成要素を試験することを伴う。この一部として、様々なサイズのブローチを使用して大腿骨の髄管を準備することができる。ブローチが大腿骨に挿入されると、トライアル頸部及びトライアル頭部もまた、その種類(例えば、頸部のサイズ及びオフセットの観点において)の頸部及び頭部を有するプロテーゼが患者に適切であるかどうかを評価するために、ブローチに取り付けられてもよい。
【0005】
ブローチ、トライアル頸部、及びトライアル頭部の選択された組み合わせが正確に位置付けられ、整列されたことに外科医が満足した後、それらを取り外してインプラント自体と交換することができる。
【0006】
米国特許第8,449,619号は、第1の部分と第2の部分とを含む外科用装置を記載している。第1及び第2の部分は、協働する第1及び第2の構成体によって互いに解放可能に接続される。第1の構成体は、第1の部分上に形成されてもよい。第2の構成体は、第2の部分上に形成され、第1の部分上の第1の構成体と係合する弾性アームを含む。弾性アームは、第2の部分と一体的に形成されていてもよい。
【0007】
米国特許出願公開第2006/241625(A1)号は、第1の部分と第2の部分とを含む外科用装置を記載している。第1及び第2の部分は、協働する第1及び第2の構成体によって互いに解放可能に接続される。第1の構成体は、第1の部分上に形成されてもよい。第2の構成体は、第2の部分上に形成され、第1の部分上の第1の構成体と係合する弾性アームを含む。弾性アームは、第2の部分と一体的に形成されていてもよい。
【0008】
国際公開第1992/003993(A1)号は、モジュール式トライアル股関節置換システムを記載している。
【0009】
米国特許出願公開第2010/241239(A1)号は、モジュール式インプラント接続部分を保護する装置及び方法を記載している。ガードは、外側側壁と、モジュール式インプラント接続部分を覆う空洞を画定する内側側壁と、を含む。ガードで覆われたモジュール式インプラント接続部は、他のモジュール式インプラント構成要素の試験適合を容易にし、ガードの周囲の組織のリーミングを可能にすることができる。
【0010】
欧州特許出願第1 435 223(A1)号は、長骨の管内におけるキャビティに嵌合して関節形成術を行う際の試行の整復を行うことを補助する、関節形成術を行う際に使用するための試行品を記載している。試行品は、ステム部分と、ステム部分に対して複数の選択可能な位置においてステム部分に固定的に接続された頸部部分とを含む。
【0011】
米国特許出願公開第2004/267372(A1)号は、股関節全形成術のために股関節プロテーゼを試験するために用いられるモジュール式トライアル頸部セグメントを記載している。モジュール式トライアル頸部セグメントは、股関節全形成術の股関節プロテーゼを試験するために用いられるのが好ましいが、必ずしも必要なわけではない。トライアル頸部セグメントは、ステム又はブローチに取り付け可能なマウントと、マウント及び/又はブローチに対して様々な頸部オフセットを提供するための、マウント上で並進可能な頸部と、を含む。頸部オフセットは、単一の運動平面における頸部の移動によって変化する。これは、作業寸法が小さい低侵襲性関節形成術における本発明の使用を容易にする。設計は、インプラントの頸部領域の生体力学を複製する。マウント及び摺動可能な頸部は、単一の装置内で最終プロテーゼを試験するための複数の頸部オフセット及び/又は頸部長さを提供する。
【0012】
米国特許出願公開第2005/143828(A1)号は、モジュール式整形外科用インプラントと共に使用するためのスリーブ及び方法を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載される。従属請求項からの特徴の組み合わせは、独立請求項の特徴と適宜組み合わせることができ、請求項に明示的に記載されるものだけに限定されない。
【0014】
本発明の一態様によれば、股関節置換術で使用するためのトライアル頸部が提供され、このトライアル頸部は、
近位端と、
ブローチの近位端に接続可能な遠位端と、遠位端と近位端との間でトライアル頸部の頸部軸に沿って延在する本体部分と、を備え、
トライアル頸部の近位端は、トライアル頭部の対応する雌コネクタに接続するための雄コネクタを含み、雄コネクタは、頸部軸に実質的に平行に延在する複数の接続部材を備え、接続部材は、1つ以上の細長いスロットによって分離され、接続部材は、雄コネクタをトライアル頭部の雌コネクタに挿入する際に、頸部軸に向かって内側に弾性的に偏向可能であり、雄コネクタのスロット又は各スロットは、頸部軸から離れる方向への接続部材の過剰な偏向を防止するために、スロットによって分離された接続部材間のインターロックを形成する少なくとも1つのキンクを含む。
【0015】
本発明の別の態様によれば、股関節置換術において整形外科用インプラントの頸部を試験する方法が提供され、この方法は、
ブローチを患者の大腿骨の髄管に挿入することと、
トライアル頸部の遠位端をブローチの近位端に接続することであって、トライアル頸部が、
遠位端と、
近位端と、遠位端と近位端との間でトライアル頸部の頸部軸に沿って延在する本体部分と、を備え、
トライアル頸部の近位端は、トライアル頭部の対応する雌コネクタに接続するための雄コネクタを含み、雄コネクタは、頸部軸に実質的に平行に延在する複数の接続部材を備え、接続部材は、1つ以上の細長いスロットによって分離され、接続部材は、頸部軸に向かって内側に弾性的に偏向可能であり、
雄コネクタのスロット又は各スロットは、頸部軸から離れる方向への接続部材の過剰な偏向を防止するために、スロットによって分離された接続部材間のインターロックを形成する少なくとも1つのキンクを含む、ことと、
接続部材をトライアル頭部の雌コネクタに挿入することによって、トライアル頭部をトライアル頸部の雄コネクタに接続することであって、これにより、トライアル頭部の近位端の雄コネクタの接続部材は、頸部軸に向かって内側に弾性的に偏向される、ことと、を含む。
【0016】
雄コネクタの複数の弾性的に偏向可能な接続部材は、トライアル頸部をトライアル頭部に取り付けるのに便利で確実な方法を提供することができる。少なくとも1つのキンクによって形成される所与のスロットによって分離された接続部材間のインターロックは、頸部軸から離れる方向への接続部材の過剰な偏向を防止することができる。
【0017】
本体部分は、トライアル頸部の遠位端と近位端との間で頸部軸に沿って延在する複数のアームを有するフレームを含んでもよい。この構成は、十分な構造強度を保持しながら、本体部分に軽量構造を提供することができる。
【0018】
雄コネクタの各接続部材は、本体部分の1つ以上のそれぞれのアームの近位端と一体的に形成され得る。雄コネクタの各細長いスロットは、フレームのアームの間に位置する1つ以上の窓に通じていてもよい。フレームのアーム自体が弾性的に偏向可能であってもよく、前述の接続部材を前述のように偏向させることを可能にする。
【0019】
雄コネクタは、ちょうど2つの接続部材を有してもよい。本体部分のフレームは、ちょうど4つのアームを有してもよい。このような実施例では、各接続部材は、2つのアームと一体的に形成されてもよい。
【0020】
本体部分の中央部分は、フレームのアームの間で視認可能であり得る。これは、トライアル頭部又はブローチの様々な構成要素の外科医に対する視認性を改善することができる。
【0021】
トライアル頸部の遠位端は、ブローチの近位端に接続可能な遠位に面する下面を有する基部を含み得る。本体部分のアームは、基部からトライアル頸部の近位端に向かって近位方向に延在してもよい。本体部分のアームは、基部と一体的に形成されてもよい。基部は、アームのための安定したプラットフォームを提供することができる。一部の実施例では、基部及びフレームのアームは、前述のように、雄コネクタの接続部材を頸部軸に向かう弾性偏向のための生体ヒンジを形成してもよい。
【0022】
少なくとも1つのキンクは、ジグザグ形状のインターロックを形成し得る。
【0023】
トライアル頸部は、3D印刷によって製造されていてもよい。3D印刷は、細長いスロット及び本体部分のフレームのアームなどの、トライアル頭部の比較的複雑な特徴部に適している。
【0024】
本発明の更なる態様によれば、股関節置換術のための外科用キットが提供され、このキットは、
トライアル頸部のうちの少なくとも2つが、異なるサイズであり、かつ/又は異なる頸部オフセットを有する、前述の種類の1つ以上の試験頸部と、
1つ以上の前述のブローチと、1つ以上の前述のトライアル頭部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施形態を、あくまで実例として、添付図面を参照しながら以下に説明する。なお、図中、同様の参照符合は同様の要素を示す。
【
図1】本発明の実施形態による、相互接続されたトライアル頸部及びブローチを示す。
【
図2】本発明の実施形態による、
図1のトライアル頸部及びブローチの別の図を示す。
【
図3】本発明の実施形態による、
図1のトライアル頸部及びブローチの更なる図を示す。
【
図4】本発明の実施形態による、
図1のトライアル頸部及びブローチの別の図を示す。
【
図5】本発明の実施形態によるトライアル頸部を示す。
【
図6】本発明の実施形態による、
図5のトライアル頸部の別の図を示す。
【
図7】本発明の実施形態による、
図5のトライアル頸部の更なる図を示す。
【
図8】本発明の実施形態による、
図5のトライアル頸部の別の図を示す。
【
図9】本発明の実施形態による、
図5のトライアル頸部の更なる図を示す。
【
図10】本発明の実施形態による、
図5のトライアル頸部の別の図を示す。
【
図11】本発明の実施形態による、
図5のトライアル頸部の更なる図を示す。
【
図12】本発明の実施形態による、
図5のトライアル頸部の別の図を示す。
【
図13】本発明の実施形態による、相互接続された
図1のトライアル頸部及びブローチの断面を示す。
【
図14】本発明の更なるの実施形態によるトライアル頸部を示す。
【
図15】本発明の更なる実施形態による、
図14のトライアル頸部と共に使用するためのブローチを示す。
【
図16】本発明の実施形態による、
図15のブローチに接続された
図14のトライアル頸部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【0027】
図1~
図13は、本発明の実施形態によるトライアル頸部30の種々の図を示す。
図1~
図4及び
図13では、トライアル頸部30は、ブローチ10に接続されて示されているが、
図5~
図12では、トライアル頸部30は隔離されて示されている。
【0028】
トライアル頸部30は、近位端を有する。近位端は、股関節置換術の試験段階で使用するために、トライアル頭部(図示せず)に接続可能であってもよい。当該技術分野において既知であるように、トライアル頭部は、患者の寛骨臼内に(又は、試験プロセスの一部として寛骨臼内に配置されるトライアルカップ内に)挿入するための軸受面を含み得る。トライアル頸部30はまた、遠位端を有している。トライアル頸部30の遠位端は、
図1~
図4及び
図13から分かるように、ブローチ10の近位端12に接続可能である。
【0029】
トライアル頸部30は、本体部分も含む。本体部分は、トライアル頸部30の遠位端と近位端との間に延在する。本体部分は、トライアル頸部30の頸部軸5(
図7の点線を参照)に沿って延在してもよい。
【0030】
トライアル頸部30の本体部分は、実質的に中空であってもよい。これは、トライアル頸部30の重量を低減することができ、トライアル頸部30を構成するために必要とされる材料の量を低減することによって製造コストを削減することができる。トライアル頸部30は、金属射出成形(MIM)、積層造形方法、又は3D印刷を使用して製造され得る。3D印刷は、トライアル頸部30の比較的複雑な特徴部に適しており、以下により詳細に記載される。トライアル頸部30は、ステンレス鋼(例えば、17/4ステンレス鋼)から製造され得ることが想定される。
【0031】
トライアル頸部30の本体部分は、複数のアーム32を有するフレームを含んでもよい。本実施形態では、フレームは4つのアーム32を有し、各アーム32は、頸部軸5に沿って見たときに、トライアル頸部30のそれぞれの角部に位置する。アーム32は、頸部軸5に沿って、トライアル頸部30の遠位端と近位端との間に延在してもよい。例えば、
図7から分かるように、アーム32は頸部軸5に実質的に沿って延在してもよいが、頸部軸5に対して完全に平行に配向される必要はない。
【0032】
本実施形態では、アーム32はそれぞれ、トライアル頸部30の遠位端に位置する基部36から近位方向に延在する。アーム32は、基部36と一体的に形成されてもよい。基部36は、トライアル頸部30及びブローチ10が互いに正しく接続されているときに、ブローチ10の近位に面する表面14と係合して面一に着座する、遠位に面する下面37を含む。遠位に面する下面37は、一部の実施例では、複数の溝を有してもよい。これらの溝は、製造中に、トライアル頸部30の基部36と3D印刷機のビルドプレートとの間の表面接触を低減することができる。これを行うことにより、3Dプリンタから部品を取り外すために必要な作業量を低減することができ、それにより、製造コストを削減することができる。トライアル頸部30のブローチ10への接続は、以下により詳細に記載される、いくつかの更なる特徴部を使用して実装されてもよい。
【0033】
本発明の実施形態によれば、本体部分の中央部分は、フレーム32のアーム間で視認可能であり得、これにより、トライアル頸部30又はブローチ10の様々な構成要素の外科医への視認性を改善することができる。これは、フレームのアーム32のそれぞれの隣接する対の間に位置し、またそれによって画定される、多数の窓40を使用して実装されてもよい。例えば、本実施形態では、フレームは、
・内側窓40Aを画定する2つの内側に位置するアーム32と、
・外側窓40Bを画定する2つの外側に位置するアーム32と、
・上記内側に位置するアーム32のうち前方に位置するものと、上記外側に位置するアーム32のうち前方に位置するものとによって画定される前方窓40Cと、
・上記内側に位置するアーム32のうち後方に位置するものと、上記外側に位置するアーム32のうち後方に位置するものとによって画定される後方窓40Dと、を含む。
【0034】
内側、外側、前方、及び後方窓40A~Dは、本体部分の中央部分を、それぞれ、内側、外側、前方、及び後方の視点から視認することを可能にし得る。
【0035】
上記の窓40A~Dの位置は、トライアル頸部30が患者の右脚部の股関節置換術に使用されることを想定している。患者の左脚部の股関節置換術で使用されるトライアル頸部30であれば、窓は異なる配向になることが理解されるであろう。具体的には、前方窓40Cは後方窓になり、後方窓40Dは前方窓になる。
【0036】
本実施形態では、トライアル頸部30の近位端は、トライアル頭部の対応する雌コネクタに接続するための雄コネクタを含む。雄コネクタは、実質的に円筒形であってもよい。雄コネクタは、その近位端において、その遠位端よりも狭くなるようにわずかにテーパ形状を有してもよい(図示されるように、実質的に円錐台形の外面を形成する)。トライアル頭部の雌コネクタの内側面は、トライアル頸部30とトライアル頭部とが互いに接続されるとき、トライアル頸部30の雄コネクタの形状と一致するように成形されてもよい。
【0037】
雄コネクタは、図示されるように、複数の接続部材34、例えば、2つの接続部材34A、34Bを含む。各接続部材34は、頸部軸5に対して実質的に平行に延在する。接続部材34はそれぞれ、実質的に中空の本体部分のフレームの1つ以上のアーム32の近位端から近位方向に延在してもよく、それらのアーム32と一体的に形成されてもよい。例えば、図では、接続部材34Aの第1の部材は、内側窓40Aを画定するフレームの2つのアーム32と一体的に形成され、内側窓40Aを画定するフレームの2つのアーム32から近位方向に延在し、一方で、接続部材34Bの第2の部材は、外側窓40Bを画定するフレームの2つのアーム32と一体的に形成され、外側窓40Bを画定するフレームの2つのアーム32から近位方向に延在することが分かる。
【0038】
図示される例は、2つの接続部材34A、34Bを含むが、そのような接続部材が3つ以上提供され得ることが想定される。例えば、雄コネクタは、それぞれがフレームのアーム32のそれぞれ1つと一体的に形成され、かつフレームのアーム32のそれぞれ1つから近位方向に延在する4つの接続部材34を含んでもよい。
【0039】
各接続部材34は、細長いスロットによって雄コネクタの各隣接接続部材34から分離されてもよい。2つの接続部材34A、34Bを含む本実施形態では、雄コネクタは、それらを分離する単一の細長いスロット50を有する。しかしながら、この種類の細長いスロットが3つ以上提供され得ることが想定される。例えば、雄コネクタが、上述のように4つの接続部材34を含む場合、雄コネクタは、外側に位置する接続部材から内側に位置する接続部材を分離する第1のスロットと、後方に位置する接続部材から前方に位置する接続部材を分離するための第2の細長いスロットと、を含んでもよい。
【0040】
図7に見られるように、細長いスロット50は、頸部軸5に実質的に沿って延在してもよい。本発明の一実施形態によれば、接続部材34A、34Bは、雄コネクタをトライアル頭部の雌コネクタに挿入する際に、頸部軸5に向かって内側に弾性的に偏向可能であり得る。細長いスロット50は、接続部材34間に空間を提供して、この内側への偏向を行うことができる。接続部材34の弾力的な内向きの偏向は、雄コネクタの頸部軸5に垂直な方向への寸法を低減することができ、雄コネクタをトライアル頭部の雌コネクタ内に受容することができる。雌コネクタ内に受容されると、雄コネクタの弾性的に偏向された接続部材34は、頸部軸5に垂直な方向に外向きに付勢し、雌コネクタの内側面に対して付勢して、トライアル頸部30からトライアル頭部が取り外されるのを阻止してもよい。図に見られるように、雄コネクタの近位端は、接続部材34のトライアル頭部の雌コネクタへの初期挿入を補助するためにテーパ状(例えば面取り)にされてもよい。
【0041】
一部の実施例では、接続部材34の外側面は、図示される突出部42などの1つ以上の接続機構を含んでもよい。これらの更なる接続機構は、トライアル頸部30の雄コネクタとトライアル頭部の雌コネクタとの間の接続をより確実にするために、トライアル頭部の雌コネクタの対応する接続機構と係合してもよい。
【0042】
上述したように、接続部材34A、34Bはそれぞれ、実質的に中空の本体部分のフレームのアーム32のうちの1つ以上から近位方向に延在してもよい。この点において、アーム32自体が弾性的に偏向可能であり得ることが想定される。これは、接続部材34の弾力的な偏向に関連するレバーアームを長くすることができ、トライアル頸部30の堅牢な構造を保持しながら、それらをより偏向し易くさせることができる。例えば、本実施形態では、接続部材34Aに関連付けられたレバーアームは、内側窓40Aを画定する2つのアーム32が延在する基部36の一部と接続部材34Aとの間に延在し、一方で、接続部材34Bに関連付けられたレバーアームは、外側窓40Bを画定する2つのアーム32が延在する基部36の一部と接続部材34Bとの間に延在する。
【0043】
フレームのアーム32の偏向によって接続部材34A、34Bの正確な内側への偏向を可能にするために、各細長いスロット50は、アーム32の間に位置する窓40のうちの1つ以上に通じていてもよい。例えば、本実施形態では、スロット50は、トライアル頸部30の前方側の前方窓40Cに通じ、スロット50はまた、トライアル頸部30の後方側の後方窓40Dに通じている。雄コネクタが、上述のように4つの接続部材34及び2つのスロットを含む場合、スロットの一方が、図示されるように、前方窓40C及び後方窓40Dに通じていてもよいことが想定される。その一方で、スロットの他方は、トライアル頸部30の内側にある内側窓40Aに通じていてもよく、また、トライアル頸部30の外側の外側窓40B通じていてもよいことが想定される。
【0044】
このように、基部36、フレームのアーム32及び接続部材34の上述の構成は、雄コネクタの接続部材34を頸部軸5に向かって弾性的に偏向させるための生体ヒンジを形成することができる。
【0045】
本発明の実施形態によれば、雄コネクタのスロット50又は各スロット50は、1つ以上のキンク52を含んでもよい。各キンク52
は、頸部軸5から離れる方向への接続部材34の過剰な偏向を防止するために、そのスロット50によって分離された接続部材34間のインターロックとして機能し得る。例えば、
図7を参照すると、キンク52は、スロット50のいずれかの側壁上に位置するキンク52の部分が互いに引っ掛かることになるので、接続部材34が(頸部軸5に対して外側に)互いから離れすぎて偏向されることを防止し得ることが
分かる。
【0046】
本実施例では、トライアル頸部30は、2つの接続部材34及び単一のスロット50を含み、スロットは、キンク52を有する。この例では、キンク52が、主に外側又は内側方向への接続部材34の過剰な偏向を防止するように作用することが理解されるであろう。雄コネクタが、上述したように4つの接続部材34及び2つのスロットを含む場合、前方窓40C及び後方窓40Dに通じるスロットの1つのキンク52が、主に上記のように外側方向又は内側方向に接続部材34の過剰な偏向を防止することができることが想定される。その一方で、内側窓40A及び外側窓40Bに通じるスロットのうちの1つのキンク52は、主に前方方向又は後方方向への接続部材34の過剰な偏向を防止することができることが想定される。
【0047】
本実施形態では、キンク52は、ジグザグ形状(例えば、Z字形)のインターロックを形成する。具体的には、キンク52によって形成される「Z」字形のインターロックの外側部分は、頸部軸5に実質的に沿って延在してもよく、一方で、「Z」形状のインターロック部の中間部分は、「Z」及び頸部軸5の外側部分に対して角度(例えば45度)で延在してもよい。しかしながら、キンク52は、異なる形状を有するインターロックを形成し得ることが想定される。例えば、キンク52は蟻継ぎ状のインターロックを形成してもよく、このインターロックでは、スロット50の第1の側の蟻継ぎ形状の部材が、第1の側とは反対側のスロット50の第2の側の対応する形状の開口部に受容される。
【0048】
前述したように、トライアル頸部30の遠位端は、ブローチ10に接続可能である。ブローチ10は、先端部16を有する遠位端を含んでもよい。ブローチ10は、近位に面する表面14を有する近位端12を有してもよい。股関節置換手術の技術分野において既知であるように、ブローチは、複数の歯18又は他の切断縁部を有する外側面を有してもよい。これらは、大腿骨インプラントのステムを受容するために大腿骨の髄管を準備するときに外科医によって使用され得る。
【0049】
次に、トライアル頸部30のブローチ10への接続の例について説明する。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、トライアル頸部30は、トライアル頸部30がブローチ10に接続されているときにブローチ10の表面に係合する(例えば、これに対して付勢する)ように構成された弾性保持部材を含む。弾性保持部材は、ブローチ10からトライアル頸部30が取り外されるのを阻止することができる。
【0051】
この実施形態におけるトライアル頸部30は、ボア39を含む。ボア39は、トライアル頸部30の遠位端の遠位に面する下面37上に位置する開放端部を有する。ボア39は、トライアル頸部30をブローチ10に接続するためにブローチの対応するスピゴット20を受容するように構成される。スピゴット20は、ブローチ10の近位端の近位に面する表面14から近位に延在する。本実施形態では、上述の弾性保持部材は、ボア39の側壁上に位置し、ボア39の軸に向かって内側に付勢される弾性保持指部44を備える。弾性保持部材は、スピゴット20がボア39内に受容されたとき、ボア39からスピゴット20が取り外されることを阻止し、それによってブローチ10からトライアル頸部30が取り外されることを阻止するように、スピゴット20と係合する(例えば、それに対して付勢する)ように構成される。
【0052】
保持指部44は、ボア39の側壁と一体的に形成されてもよい(これにより、ボア39の側壁及び弾性保持指部44は、生体ヒンジを形成する)。これは、弾性保持指部44の強度及び堅牢性を増大させることができ、別個の部品の組み立てを必要とせずに、トライアル頸部30を単一の部品で形成することを可能にする。前述のように、トライアル頸部30は、3D印刷を使用して製造されてもよい。
【0053】
前述したように、トライアル頸部30の本体部分は、多数のアーム32を有するフレームを含んでもよく、この配置は、本体部分の中央部分をアーム32の間で視認することを可能にし得る。本発明の一実施形態によれば、弾性保持部材は、本体部分の内側に位置してもよく、フレームのアーム32の間で視認可能であってもよい。例えば、図を参照すると、トライアル頸部30をブローチ10に接続する前に、弾性保持指部44が、少なくとも内側窓40A及び外側窓40Bを通して視認可能であることが分かる(例えば、
図8及び
図9を参照されたい)。一部の実施例では、ボア39の近位端は、本体部分の中央部分に通じていてもよい。そのような実施例では、ボア39の内部は、前方窓40C及び後方窓40D(並びに内側窓40A及び外側窓40D)を通して視認可能であり、これにより、弾性保持指部44はまた、前方窓40C及び後方窓40Dを通して視認可能であってもよい。
【0054】
弾性保持部材(例えば、弾性保持指部44)及び/又は本体部分のフレームのアーム32の間のボア39の内部などの接続機構を表示する機能は、トライアル頸部30とブローチ10とを一緒に接続するために使用される機構の外科医による検査を支援することができる。これにより、例えば、外科医は、スピゴット20がボア39に入る際にスピゴットを視認し、またスピゴット20がボア39内に完全に受容されたときにスピゴット20及び/又はボア39を検査することができ、これらの部品間の接続が正確に行われることを確認することを可能にする。トライアル頸部30とブローチ10との不正確な接続(例えば、遠位に面する下面37と近位に面する表面14との間、又はボア39の内側に骨片が存在することに起因して)は、そうしなければトライアル頸部30の位置ずれをもたらす恐れがある。
【0055】
本実施形態では、ボア39は、本体部分の中央部分に位置するボス38内に位置する。ボス38は、トライアル頸部30の遠位端(例えば基部36)から近位に延在してもよい。図から分かるように、ボス38は、フレームのアーム32の間で視認可能である。弾性保持指部44は、ボス38の側面にU字形スロット46を形成することによって提供されてもよい。ボス38は、一部の実施形態では、ボア39の一方の側(例えば、
図9及び
図13で分かるように、弾性保持指部44を組み込む側とは反対側のボア39の側)に通じていてもよい。これは、トライアル頸部30及びブローチ10の接続特徴部の外科医に対する視認性を更に改善することができる。例えば、
図9及び
図13から、ボア39の内部は、内側窓40A及びボス38の側面の開口部を通して視認可能であり得、外科医が骨片又は他の材料の存在についてボア39の内部を検査すること、及び/又はスピゴット20がボア39に入る際にスピゴット20を視認することを可能にすることが理解され得る。
【0056】
図13で分かるように、ブローチ10の近位端12から延在するスピゴット20は、ノッチ21を含む側壁を有してもよい。ノッチ21は、弾性保持部材に面している。一部の実施形態では、ノッチ21は、スピゴット20がボア39内に受容されたときに弾性保持部材を受容するように構成されてもよい。これは、弾性保持部材をスピゴット20の側壁に対して単純に付勢する実施例に比べ、トライアル頸部30とブローチ10との間のより確実な接続を提供することができる。
【0057】
一部の実施形態では、ブローチ10のスピゴット20は、トライアル頸部30がブローチ10に正確に接続されるとき、スピゴット20の近位端の表面が、ボア39の第2の(近位)開口端が形成されるトライアル頸部30の表面と面一になるような寸法であってもよい。例えば、スピゴット20は、トライアル頸部30の遠位端の遠位に面する下面37が、ブローチ10の近位端の近位に面する表面14上に完全に着座されると、上述の表面が面一になるような大きさ及び形状であってもよい。このようにして、外科医は、上述の表面を検査してそれらが面一であることを検証することによって、トライアル頸部30とブローチ10との正確な接続を確認してもよい。外科医は、フレームのアーム32間のこれらの表面を視覚的に検査することができ、かつ/又はそれらの間の接合部の上で指を走らせて、それらが実際に面一であるかどうかを感じることができる。これらの表面が面一でない場合、これは、例えば、スピゴット20がボア39内に完全に挿入されていないことを意味し得る(例えば、ボア39内又は遠位に面する下面37と近位に面する表面14との間に位置する骨片又は他の材料は、これを防止することができる)。
【0058】
本実施形態では、トライアル頸部30がブローチ10に正確に接続されている場合に面一である前述の表面は、スピゴット20の近位端に位置する面取り面23と、ボス38の近位端に位置する角度付けされた(例えば面取りされた)表面31とを含む(
図13を参照)。図から分かるように、面取り面23の角度は、ボス38の近位端に位置する傾斜面31の角度と一致するように選択されてもよい。
【0059】
一部の実施例では、スピゴット20の近位端は、ブローチタイプの証印19(例えば、ブローチのサイズ)を含んでもよい。証印19は、エンボス加工又はデボス加工されたテキストを含んでもよい。証印19は、例えば、英数字の証印であってもよい。本体部分の中央部分はフレームのアーム32の間で視認可能であるため、証印19は、トライアル頸部30がブローチ10に接続されたときに、フレームのアーム32の間で視認可能であり得る。このようにして、外科医には、トライアル頸部30を視認している間、ブローチ10に関する情報が好都合に提供されてもよい。
【0060】
その中央部分がフレームのアーム32の間で視認可能であるトライアル頸部30の本体部分の構成は、外科医に有用な情報を提供するように証印が配置され得る追加の表面(すなわち、中央部分に位置する表面)を提供することができる。トライアル頸部30の少なくとも1つの証印は、フレームのアーム32の間で視認可能であり得、外科医がトライアル頸部30を検査するときに外科医がそれらを視認することを可能にする。少なくとも1つの証印は、トライアル頸部30のタイプ、サイズ、又は角度オフセットを示してもよく、英数字の証印であってもよい。スピゴット20上に配置された証印19と同様に、トライアル頸部30の少なくとも1つの証印は、エンボス加工又はデボス加工されたテキストを含んでもよい。例えば、
図1、
図2、
図6及び
図7で分かるように、証印48は、ボス38の外側壁上に配置されてもよい。本実施例では、証印48は、前方窓40Cを通して視認可能であるが、他の実施例では、窓40のうちの別の窓を通して視認可能であるボス38上の位置に配置されてもよい。また、1つ以上のこのような証印が、本体部分の中央部分の他の場所、例えば、アーム32のうちの1つの内向きの側壁、又は基部36の近位に面する表面上に配置され得ることも想定される。
【0061】
以下に記載されるように、トライアル頸部30は、股関節置換術での使用の前及び/又は後に、それを洗浄するのを助ける機構を含んでもよい。例えば、上述の窓40は、中央部分(例えば、ボス38、ボア39の近位に面する入口、基部36の近位に面する表面)に位置する任意の特徴部が効果的に洗浄されることを可能にするように、洗浄液を本体部分の中央部分に到達させるための容易なアクセスを提供することができる。
【0062】
一部の実施形態では、トライアル頸部30の近位端は、開口部33を含み得る。開口部33は、図示されるように、接続部材34の間に位置してもよい。開口部33は、接続部材34の内向き表面(すなわち、頸部軸5に面する接続部材34の表面)によって画定されてもよい。開口部33は、本体部分の中央部分と流体連通していてもよい。これは、洗浄液を本体部分の中央部分に到達させるための更なる経路を提供し、トライアル頸部30の洗浄性を更に改善することができる。
【0063】
開口部33は更に、本体部分の中央部分を介して、本体部分のアーム32の間の少なくとも1つの窓40と流体連通してもよい。このようにして、複数の経路を設け、洗浄液を本体部分の中央部分に出入りさせ、トライアル頸部30をより容易に洗浄することができる。例えば、開口部33を通って本体部分に入る洗浄液は、その後、その洗浄機能を実行した窓40のうちの1つ以上を通って本体部分から出ることができる(又はその逆)。
【0064】
一部の実施形態では、ブローチ10のスピゴット20を受容するためのトライアル頸部30の遠位端に位置するボア39は、トライアル頸部の近位端に位置する開口部33と同軸であり、これと流体連通してもよい。再び、これは、トライアル頸部30の中央部分へ、及びそこから流れる洗浄液用の追加の経路を設けることによって、トライアル頸部30の洗浄性を更に改善することができる。また、例えば、スピゴット20を視認するために、及び/又はボア39が骨片などの望ましくない物体を含まないことを確認するために、近位端における開口部33を通してボア39を見ることができることも有用であり得る。
【0065】
一部の実施例では、トライアル頸部30の基部36は、線印43を備えていてもよい。線印43は、基部36の外側面上に配置されてもよい。線印43は、エンボス加工されたマーキング又はデボス加工されたマーキングを含む。線印43は、実質的に直線状であってもよく、頸部軸5に対して実質的に横断方向に延在してもよい。線印43は、大腿骨切除平面の位置を示すために使用されてもよい。例えば、切除平面は、トライアル頸部30と、複数の異なるサイズのブローチ10と、を備える外科用キットにおける、次のサイズのブローチ10の切除平面に対応してもよい。
【0066】
一部の実施形態では、トライアル頸部30自体は、ブローチ10の対応するボア15と係合する(挿入する)ために、そこから遠位に延在するスピゴット35を有してもよい。スピゴット35は、トライアル頸部30の基部36の遠位に面する下面37から遠位に延在してもよい。ブローチ10の対応するボア15は、ブローチ10の近位端に位置してもよい。ボア15の近位開口部は、ブローチの近位に面する表面14内に位置してもよい。使用中、スピゴット35及び対応するボア15は係合し、ブローチ10のスピゴット20がボア39内に受容されるときに、頸部軸5を中心としたトライアル頸部30の望ましくない回転を防止することができる。
【0067】
本明細書に記載されるように、本発明の実施形態によるトライアル頸部30は、ブローチ10からトライアル頸部30を取り外すのを阻止するためにブローチ10に接続されるときに、ブローチ10の表面と係合するように構成された弾性保持部材を含んでもよい。図に関連して、前述されているように、弾性保持部材は、ボア39の側壁上に配置された弾性保持指部44を備えてもよく、弾性保持指部44は、ボア39の軸に向かって内側に付勢されて、スピゴット20がボア39内に受容されたときに、スピゴット20と係合する。しかしながら、弾性保持部材が他の形態をとり得ることが想定される。
【0068】
例えば、ブローチ10のスピゴット20と係合するために弾性保持部材を弾性保持指部44として提供する代わりに、弾性保持部材は、トライアル頸部30がブローチ10に接続されるときに、ブローチ10の対応するボア15の側壁と係合するために、スピゴット35上に提供されてもよい。一部の実施例では、スピゴット35は、複数のそのような弾性保持部材を含んでもよいことが想定される。弾性保持部材は、スピゴット35の長さの少なくとも一部に沿って延在する細長い指部を備えてもよい。弾性保持部材は、1つ以上の細長いスロットによって分離されてもよい。弾性保持部材は、スピゴット35をブローチ10の対応するボア35に挿入する際に、スピゴット35の中心軸に向かって内側に弾性的に偏向可能であってもよい。一旦、対応するボア15に挿入されると、スピゴット35の弾性保持部材は、ボア15の内側側壁と係合し(例えば、外向きに付勢)、それによってボア15内にスピゴット35を保持して、ブローチ10からトライアル頸部30が取り外されるのを阻止することができる。
【0069】
したがって、スピゴット35は、前述のトライアル頭部の雌コネクタに挿入されるトライアル頸部30の近位端における雄コネクタの接続部材34と同様に構成され得ることが理解されるであろう。スピゴット35の弾性保持部材は、スピゴット35の基部から遠位に延在してもよく、また、スピゴット35の基部と一体的に形成されてもよい。スピゴット35の基部及び弾性保持部材は、生体ヒンジを形成してもよい。
【0070】
上記の2種類の弾性保持部材は、両方とも、本発明の実施形態によるトライアル頸部30内に含まれてもよいことが想定される。したがって、トライアル頸部30が、ブローチ10のボア15の内面と係合するための、そのスピゴット35上の1つ以上の弾性保持部材、及び/又はブローチ10のスピゴット20と係合するための1つ以上の弾性保持部材(例えば指部44)を含み得ることが想定される。
【0071】
本明細書に記載される種類のトライアル頸部30は、股関節置換術のための外科用キットの一部を備えることができる。例えば、外科用キットは、上記の種類の1つ以上のトライアル頸部30を含んでもよく、トライアル頸部30の少なくとも2つは異なるサイズであり、かつ/又は異なる頸部オフセットを有する。外科用キットはまた、例えば、異なるサイズの1つ以上のブローチを含んでもよい。外科用キットは、1つ以上のトライアル頭部を更に含んでもよく、このトライアル頭部は、やはり異なるサイズであってもよい。
【0072】
股関節置換術は、上記の種類のトライアル頸部30、ブローチ10及びトライアル頭部の使用を含み得る。トライアル頸部30、ブローチ10及びトライアル頭部の組み合わせは、所与のサイズ、頸部オフセット、前傾の量などを有する大腿骨インプラント試験するのに使用されてもよい。異なるサイズ、オフセット、前傾量などを有する1つ以上のトライアル頸部30、ブローチ10及びトライアル頭部を有する外科用キットを提供することにより、本明細書に記載される種類のトライアル頸部30を含むキットを使用して、後続の処置で使用される大腿骨インプラントの正確な構成を決定することができる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、股関節置換術における整形外科用インプラントの頸部を試験するための方法は、大腿骨の頸部及び頭部を除去することと、髄管へのアクセスを獲得することと、次いで、リーマー及び/又はブローチなどのツールを使用して髄管、及び管への近位入口を成形して、インプラントのステムを受容することと、を含み得る。試験プロセスを実行するために、上述した種類のブローチ10を髄管に挿入してもよく、次いで、外科医が、置換股関節において使用されるインプラントの正確な構成(サイズ、オフセット、前傾量など)を決定しながら、上述の種類のトライアル頸部30及び/又はトライアル頭部の1つ以上の組み合わせをブローチ10に取り付けることができる。
【0074】
トライアル頸部30が、その近位端に位置する上述の種類の雄コネクタを含む場合、試験プロセスは、雄コネクタを1つ以上のトライアル頭部の対応する雌コネクタに挿入することを含んでもよい。前述したように、雄コネクタの接続部材をトライアル頭部(複数可)の雌コネクタに挿入すると、雄コネクタの接続部材34は、頸部軸5に向かって内側に弾性的に偏向される。
【0075】
トライアル頸部30が、上述の種類の1つ以上の弾性保持部材を含む場合、これらの弾性保持部材は、外科医がトライアル頸部30をブローチ10に接続するとき、ブローチ10からトライアル頸部30が取り外されるのを阻止するために、ブローチ10の表面と係合してもよい。上述したように、1つ以上の弾性保持部材は、トライアル頸部30のボア39内に位置する1つ以上の弾性保持指部44として、及び/又はトライアル頸部30の遠位端から遠位に延在するスピゴット35の長さの少なくとも一部に沿って延在する1つ以上の細長い指部として実装されてもよい。
【0076】
トライアル頸部30が、頸部軸5に沿って延在する複数のアーム32を有するフレームを有する、上述の種類の本体部分を含む場合、試験プロセスは、トライアル頸部30のブローチ10への正確な接続を検証するために、フレームのアーム32間のトライアル頸部30の接続特徴部の少なくとも一部を見ることを含み得る。接続特徴部は、前述のように、トライアル頸部30の本体部分の中央部分に配置されてもよい。この試験プロセスのこの部分において外科医が見る接続特徴部は、例えば、
・ボス38(例えば、ボス38の側壁上の傾斜面31、及び/又は外側方向に位置する開口部)、
・ボア39(例えば、本体部分の中央部分に位置するボア39の近位開口端)、
・スピゴット20(例えば、スピゴット20の近位端に位置する面取り面23)、
・ノッチ21、及び/又は
・弾性保持指部44のうち1つ以上を含んでもよい。
【0077】
試験プロセスはまた、例えば、大腿骨の髄管に現在挿入されているブローチ10の種類を決定するために、スピゴット20の近位端上に位置する証印19を見ることを含み得る。外科医は、上述のように、フレームのアーム32を通して証印を見ることができる。試験プロセスはまた、例えば、ブローチ10に現在接続されているトライアル頸部30のタイプ、サイズ、又は角度オフセットを決定するために、本体部分(例えば、上述の証印48)の中央部分内のトライアル頸部30の表面上に位置する証印を見ることを含み得る。
【0078】
上記のとおり、股関節置換術で使用されるトライアル頸部30は、遠位端と近位端との間で頸部軸5に沿って延在する実質的に中空の本体部分を有してもよい。これにより、トライアル頸部30の重量が低減され、処置中の取り扱いがより容易になる。
【0079】
試験が完了した後、トライアル頭部(複数可)、トライアル頸部(複数可)30及びブローチ(複数可)10を除去して、試験プロセス中に決定される適切なインプラントを設置することができる。
【0080】
トライアル頭部(複数可)、トライアル頸部(複数可)30及びブローチ(複数可)10が使用された後、股関節置換術は、それらを洗浄することを更に含み得る。上述の種類の各トライアル頸部30の洗浄中、トライアル頸部の特徴部、例えば
・窓(複数可)40、
・窓40のうちの1つ以上を流体連通してもよい本体部分の中央部分と流体連通している開口部33、及び/又は
・ボア39
は、前述のように、洗浄プロセスを補助してもよい。これらの利点は、股関節置換術の前に、トライアル頸部30の洗浄中に同様に生じ得ることが想定される。
【0081】
図14は、本発明の別の実施形態によるトライアル頸部30を示す。
図15は、
図14のトライアル頸部30と共に使用するためのブローチ10を示す。
図16は、本発明の実施形態による、
図15のブローチ10に接続された
図14のトライアル頸部を示す。
【0082】
この実施形態のトライアル頸部30は、
図1~
図13に関連して上述した実施形態と共通の多数の特徴部を共有し得る。以下の
図14~
図15の説明から理解されるであろうように、本実施形態は、トライアル頸部30がブローチ10に接続されるという点で、
図1~
図13に関して上述した実施形態とは異なる。
【0083】
トライアル頸部30は、近位端及び遠位端を含む。前述したように、トライアル頸部30の本体部分は、遠位端と近位端との間で延在してもよい。また、本体部分は、実質的に中空であってもよい。本実施形態では、上述したように、本体部分は、多数のアーム32を有するフレームを含む。具体的には、この例では、フレームは、第1の実施形態に関連して説明されるように、内側窓40A、外側窓40B、前方窓40C、及び後方窓40Dを画定する4つのアーム32を有する。トライアル頸部30はまた、1つ以上のスロット50によって分離された多数の雄接続部材34を含んでもよい。これらのスロット50は、
図14に示されるような1つ以上のキンク52を含んでもよい。第1の実施形態に関して既に記載したように、この構成は、トライアル頸部30の近位端がトライアル頭部の雌接続部と接続されることを可能にすることができる。更に、接続部材34には突出部42が設けられてもよい。
【0084】
図14に示されるように、トライアル頸部30の遠位端は、アーム32が近位に延在し得る基部36を含んでもよい。トライアル頸部30の遠位端は、
図16に関連して以下でより詳細に説明されるように、ブローチ10の近位端に接続されてもよい。
【0085】
本実施形態では、基部36の遠位に面する下面37は、複数の溝を含む(これらは
図14及び
図16に見ることができる)。上記のとおり、この種類の溝は、製造中に基部36と3D印刷機のビルドプレートとの間の表面接触を低減することができ、部品を3Dプリンタから取り外すことを容易にし、これによって製造コストを削減することができる。
【0086】
本実施形態において、トライアル頸部30は、第1の実施形態に関連して上述したスピゴット35と同様であり得るスピゴット35を含む。具体的には、スピゴット35は、ブローチ10の対応するボア15(
図15を参照)内に受容されるように、トライアル頸部30の遠位に面する下面37から遠位に延在し得る。スピゴット35及びボア15は、第1の実施形態に関連して上述したものと同様に構成されてもよい。
【0087】
本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、トライアル頸部30はまた、トライアル頸部30の遠位に面する下面37から遠位に延在するスピゴット120を含む。このスピゴット120は、ブローチ10の対応するボア17内に受容され得る(
図15を参照)。本実施形態では、スピゴット35は、スピゴット120に対して外側に位置し、スピゴット120は、スピゴット35に対して内側に位置する。しかしながら、この配置は、スピゴット120がスピゴット35に対して外側に位置し、スピゴット35がスピゴット120に対して内側に位置するように逆転させることもできることが想定される。2つのスピゴット35、120を設けることは、トライアル頸部30がブローチ10に取り付けられている間に、頸部軸を中心としたトライアル頸部30の回転に対抗するように作用し得ることに留意されたい。
【0088】
図15で分かるように、本実施形態におけるブローチ10の近位に面する表面14は、凹部13を含んでもよい。ボア17は、凹部13の基部に位置してもよい。このようにして、ボア17へのスピゴット120の係合及び挿入は、外科医によってより容易に観察され得る。例えば、凹部は、トライアル頸部30の基部36がブローチ10の近位に面する表面14の完全に着座している場合でも、ボア17のリムを前方及び後方から見ることができる。
【0089】
本明細書に記載されるように、本発明の実施形態によれば、トライアル頸部30は、ブローチ10からトライアル頸部30が取り外されるのを阻止するためにブローチ10に接続されるときに、ブローチ10の表面と係合するように構成された弾性保持部材を含んでもよい。
図1~
図13に関連して上述した第1の実施形態と同様に、この種類の1つ以上の弾性保持部材が、ボア15の内側面と係合するために、スピゴット35上に提供されてもよいことが想定される。
【0090】
しかしながら、本実施形態では、
図14に示されるように、スピゴット120には、1つ以上の弾性保持部材124が設けられている。本実施形態では、スゴット120のみに弾性保持部材が設けられているが、トライアル頸部30とブローチ10との間の取り付けの固定性を改善するために、スピゴット35とスピゴット124の両方に、本明細書に記載される種類の弾力性保持部材が設けられていてもよいことが想定される。
【0091】
本実施形態では、スピゴット120は、2つの弾性保持部材124A、124Bを有する。弾性保持部材124は、1つ以上のスロットによって分離されてもよい。本実施形態では、弾性保持部材124A、124Bは、単一のスロット122によって分離される。3つ以上の弾性保持部材124が提供されるとき、2つ以上のスロットが更に存在してもよく、各スロットは、弾性保持部材のそれぞれの対を分離する。
【0092】
弾性保持部材124A、124Bの端部は、
図14に示されるように、全体としてスピゴット120よりもわずかに大きい直径を有してもよい。弾性保持部材124A、124Bの端部はまた、ブローチ10のボア17への挿入を補助するために面取りされてもよい。ボア17へのスピゴット120の挿入は、部材124A、124Bを共に付勢する。スピゴット120がボア17内に挿入されると、弾性保持部材124A、124Bは外向きに付勢されてボア17の内側面と係合し、それによってブローチ10からトライアル頸部30が取り外されるのを阻止する。
【0093】
スピゴット35の弾性保持部材と同様に、弾性保持部材124A、124Bは、スピゴット120の長さの少なくとも一部に沿って延在する細長い指部を備えてもよい。スピゴットは、単一の弾性保持部材、又は実際に2つを超える弾性保持部材を含み得ることが想定される。
【0094】
したがって、スピゴット120は、前述のトライアル頭部の雌コネクタに挿入されるトライアル頸部30の近位端における雄コネクタの接続部材34と同様に構成され得ることが理解されるであろう。スピゴット120の弾性保持部材は、スピゴット120の基部から遠位に延在してもよく、また、スピゴット120の基部と一体的に形成されてもよい。スピゴット120の基部及び弾性保持部材は、生体ヒンジを形成してもよい。
【0095】
図14~
図16と
図1~
図13との比較から、本実施形態では、スピゴット120及びボア17の配置は、一般に、スピゴット20及びボア39の配置に関して反転されることが理解されるであろう。したがって、本実施形態では、トライアル頸部30には、トライアル頸部30の構成を単純化することができる、
図1~
図13に示される種類のボス38を設ける必要はないことに留意されたい。ボス38がない場合、トライアル頸部30の本体部分の内部の他の部分は、例えば、前述したようなマーキング又は証印などの特徴部を見るために、改善された視認性を有し得ることに留意されたい。
【0096】
図15に示されるように、
図14に示されるトライアル頸部30と共に使用するためのブローチ10は、第1の実施形態に関連して上述したブローチ10と多くの点で類似していてもよい。例えば、ブローチ10は、先端部16を有する遠位端と、近位に面する表面14を有する近位端12とを含んでもよい。ブローチはまた、複数の歯18又は他の切断縁部を有する外側面を有してもよい。しかしながら、上述したように、トライアル頸部30の特徴部と接続するためにブローチ10に提供される特徴部は、第1の実施形態に関して上述した特徴部と異なってもよい。
【0097】
したがって、股関節置換術において整形外科用インプラントの頸部を試験するためのトライアル頸部及び方法について説明してきた。この方法は、ブローチを大腿骨の髄管に挿入することと、トライアル頸部の遠位端をブローチの近位端に接続することと、を含む。トライアル頸部は、トライアル頭部に接続可能な近位端を含む。トライアル頸部は、トライアル頸部の頸部軸に沿って遠位端と近位端との間に延在する本体部分を含む。近位端は、トライアル頭部の対応する雌コネクタに接続するための雄コネクタを含む。雄コネクタは、頸部軸に平行に延在する複数の接続部材を含む。接続部材は、1つ以上の細長いスロットによって分離された接続部材間のインターロックを形成する少なくとも1つのキンクを含むそのスロットによって分離される。接続部材は、弾性的に偏向可能である。
【0098】
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、特許請求される発明の範囲内で多くの変更/追加、及び/又は置換を行い得ることが理解されよう。
【0099】
〔実施の態様〕
(1) 股関節置換術で使用するためのトライアル頸部であって、
近位端と、
ブローチの近位端に接続可能な遠位端と、
前記遠位端と前記近位端との間で前記トライアル頸部の頸部軸に沿って延在する本体部分と、を備え、
前記トライアル頸部の前記近位端は、トライアル頭部の対応する雌コネクタに接続するための雄コネクタを含み、前記雄コネクタは、前記頸部軸に実質的に平行に延在する複数の接続部材を備え、前記接続部材は、1つ以上の細長いスロットによって分離され、前記接続部材は、前記雄コネクタを前記トライアル頭部の前記雌コネクタに挿入する際に、前記頸部軸に向かって内側に弾性的に偏向可能であり、
前記雄コネクタの前記スロット又は各スロットは、前記頸部軸から離れる方向への前記接続部材の過剰な偏向を防止するために、前記スロットによって分離された前記接続部材間のインターロックを形成する少なくとも1つのキンクを含む、トライアル頸部。
(2) 前記本体部分は、前記トライアル頸部の前記遠位端と前記近位端との間で前記頸部軸に沿って延在する複数のアームを有するフレームを備え、前記雄コネクタの各接続部材は、前記本体部分の1つ以上のそれぞれのアームの近位端と一体的に形成されている、実施態様1に記載のトライアル頸部。
(3) 各細長いスロットが、前記フレームの前記アームの間に位置する1つ以上の窓に通じている、実施態様2に記載のトライアル頸部。
(4) 前記雄コネクタは、ちょうど2つの接続部材を備え、前記本体部分の前記フレームは、ちょうど4つのアームを含み、各接続部材は、前記アームのうちの2つと一体的に形成されている、実施態様2又は実施態様3に記載のトライアル頸部。
(5) 前記本体部分の中央部分は、前記フレームの前記アームの間で視認可能である、実施態様2~4のいずれかに記載のトライアル頸部。
【0100】
(6) 前記トライアル頸部の前記遠位端は、前記ブローチの前記近位端に接続可能な遠位に面する下面を有する基部を備え、前記本体部分の前記フレームの前記アームが、前記基部から前記トライアル頸部の前記近位端に向かって近位方向に延在する、実施態様2~5のいずれかに記載のトライアル頸部。
(7) 前記本体部分の前記アームは、前記基部と一体的に形成されている、実施態様6に記載のトライアル頸部。
(8) 前記基部及び前記フレームの前記アームが、前記雄コネクタの前記接続部材の前記頸部軸に向かう前記弾性偏向のための生体ヒンジ(live hinge)を形成する、実施態様7に記載のトライアル頸部。
(9) 前記少なくとも1つのキンクが、ジグザグ形状のインターロックを形成する、実施態様1~8のいずれかに記載のトライアル頸部。
(10) 3D印刷によって製造されている、実施態様1~9のいずれかに記載のトライアル頸部。
【0101】
(11) 股関節置換術のための外科用キットであって、
実施態様1~10のいずれかに記載の1つ以上のトライアル頸部であって、前記トライアル頸部のうちの少なくとも2つが、異なるサイズであり、かつ/又は異なる頸部オフセットを有する、1つ以上のトライアル頸部と、
1つ以上の前記ブローチと、
1つ以上の前記トライアル頭部と、を備える、外科用キット。
(12) 股関節置換術における整形外科用インプラントの頸部を試験するための方法であって、
ブローチを患者の大腿骨の髄管に挿入することと、
トライアル頸部の遠位端を前記ブローチの近位端に接続することであって、前記トライアル頸部は、
前記遠位端と、
近位端と、
前記遠位端と前記近位端との間で前記トライアル頸部の頸部軸に沿って延在する本体部分と、を備え、
前記トライアル頸部の前記近位端は、トライアル頭部の対応する雌コネクタに接続するための雄コネクタを含み、前記雄コネクタは、前記頸部軸に実質的に平行に延在する複数の接続部材を備え、前記接続部材は、1つ以上の細長いスロットによって分離され、前記接続部材は、前記頸部軸に向かって内側に弾性的に偏向可能であり、
前記雄コネクタの前記スロット又は各スロットは、前記頸部軸から離れる方向への前記接続部材の過剰な偏向を防止するために、前記スロットによって分離された前記接続部材間のインターロックを形成する少なくとも1つのキンクを含む、ことと、
前記接続部材を前記トライアル頭部の前記雌コネクタに挿入することによって、前記トライアル頭部を前記トライアル頸部の前記雄コネクタに接続することであって、これにより、前記トライアル頭部の前記近位端の前記雄コネクタの前記接続部材は、前記頸部軸に向かって内側に弾性的に偏向される、ことと、を含む、方法。