(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】有機発光素子及び有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20221024BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221024BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221024BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20221024BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20221024BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20221024BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20221024BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20221024BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/26 Z
H05B33/28
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/04
G09F9/30 365
G09F9/30 349E
G09F9/30 309
G09F9/30 339Z
(21)【出願番号】P 2020524373
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 CN2019101954
(87)【国際公開番号】W WO2021012343
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】201910675996.9
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517333336
【氏名又は名称】武漢華星光電半導体顕示技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS SEMICONDUCTOR DISOLAY TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】305 Room,Building C5 Biolake of Optics Valley,No.666 Gaoxin Avenue,.Wuhan East Lake High-tech Development Zone Wuhan,Hubei 430079 China
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】申 九林
(72)【発明者】
【氏名】厳 国春
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-146387(JP,A)
【文献】特表2017-529649(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/26
H05B 33/28
H05B 33/12
H05B 33/22
H05B 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板層と、
前記基板層上に設けられたアノードと、
前記アノード上に設けられたピクセル定義層であって、間隔をおいて設けられたバンプ及び開口を有し、前記開口から前記アノードが露出しているピクセル定義層と、
前記ピクセル定義層に設けられた発光機能層と、
前記発光機能層上に設けられた偏光層であって、少なくとも一部が前記開口内に設けられている偏光層と、
前記偏光層上に設けられており、前記偏光層に接触し、前記偏光層及び前記発光機能層を封止するのに用いられる封止層と、を含む
有機発光素子であって、
前記偏光層は、順次設けられた、第1無機層と、第1偏光層と、第2無機層と、第2偏光層とを含み、
前記第1無機層は前記発光機能層及び前記ピクセル定義層上に設けられており、前記第1偏光層及び前記第2偏光層は前記開口に対応して設けられており、
前記第1偏光層の前記アノード上への投影と、前記第2偏光層の前記アノード上への投影が部分的に重なり、
前記第1偏光層の前記アノード上への投影面積は、前記第2偏光層の前記アノード上への投影面積よりも小さく、
前記有機発光素子は前記バンプ上に設けられたスペーサをさらに含んでおり、前記第1無機層は前記スペーサ上に設けられており、
前記スペーサは前記ピクセル定義層の前記開口を取り囲んでおり、
前記スペーサの底部縁は、前記ピクセル定義層の頂部縁と接しており、前記スペーサの前記底部縁の内角は、前記ピクセル定義層の底部縁の内角以下であることを特徴とする有機発光素子。
【請求項2】
前記第1偏光層は前記開口内に設けられており、前記第2無機層は前記第1偏光層及び前記第1無機層上を被覆していることを特徴とする請求項
1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記第1偏光層は円偏光層であり、前記第2偏光層は直線偏光層であることを特徴とする請求項
2に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記発光機能層は、前記アノード上に設けられた有機発光層及びカソードを含んでおり、前記カソードは、前記有機発光層及び前記ピクセル定義層の前記バンプ上に被覆されており、前記第1無機層は前記カソードを完全に被覆していることを特徴とする請求項
1に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記ピクセル定義層の厚さと前記スペーサの厚さとの合計は、前記アノードの厚さと、前記発光機能層の厚さと、前記第1偏光層の厚さと、前記第2偏光層の厚さとの合計以上であることを特徴とする請求項
1に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記第1偏光層及び前記第2偏光層の形状はいずれも、上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、或いは、前記第1偏光層の形状は上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、前記第2偏光層の形状は上辺が長く、下辺が短い多角形であることを特徴とする請求項
3に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記第1偏光層は第1光配向液晶層であり、前記第2偏光層は染料を含んだ第2光配向液晶層であることを特徴とする請求項
3に記載の有機発光素子。
【請求項8】
有機発光素子と、前記有機発光素子上に設けられたカバープレートとを含む有機発光表示装置であって、前記有機発光素子は、
基板層と、
前記基板層上に設けられたアノードと、
前記アノード上に設けられたピクセル定義層であって、間隔をおいて設けられたバンプ及び開口を有し、前記開口から前記アノードが露出しているピクセル定義層と、
前記ピクセル定義層に設けられた発光機能層と、
前記発光機能層上に設けられた偏光層であって、少なくとも一部が前記開口内に設けられている偏光層と、
前記偏光層上に設けられており、前記偏光層に接触し、前記偏光層及び前記発光機能層を封止するのに用いられる封止層と、を含
み、
前記偏光層は、順次設けられた、第1無機層と、第1偏光層と、第2無機層と、第2偏光層とを含み、
前記第1無機層は前記発光機能層及び前記ピクセル定義層上に設けられており、前記第1偏光層及び前記第2偏光層は前記開口に対応して設けられており、
前記第1偏光層の前記アノード上への投影と、前記第2偏光層の前記アノード上への投影が部分的に重なり、
前記第1偏光層の前記アノード上への投影面積は、前記第2偏光層の前記アノード上への投影面積よりも小さく、
前記有機発光素子は前記バンプ上に設けられたスペーサをさらに含んでおり、前記第1無機層は前記スペーサ上に設けられており、
前記スペーサは前記ピクセル定義層の前記開口を取り囲んでおり、
前記スペーサの底部縁は、前記ピクセル定義層の頂部縁と接しており、前記スペーサの前記底部縁の内角は、前記ピクセル定義層の底部縁の内角以下であることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項9】
前記第1偏光層は前記開口内に設けられており、前記第2無機層は前記第1偏光層及び前記第1無機層上を被覆していることを特徴とする請求項
8に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第1偏光層は円偏光層であり、前記第2偏光層は直線偏光層であることを特徴とする請求項
9に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記発光機能層は、前記アノード上に設けられた有機発光層及びカソードを含んでおり、前記カソードは、前記有機発光層及び前記ピクセル定義層の前記バンプ上に被覆されており、前記第1無機層は前記カソードを完全に被覆していることを特徴とする請求項
8に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記ピクセル定義層の厚さと前記スペーサの厚さとの合計は、前記アノードの厚さと、前記発光機能層の厚さと、前記第1偏光層の厚さと、前記第2偏光層の厚さとの合計以上であることを特徴とする請求項
8に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記第1偏光層及び前記第2偏光層の形状はいずれも、上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、或いは、前記第1偏光層の形状は上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、前記第2偏光層の形状は上辺が長く、下辺が短い多角形であることを特徴とする請求項
10に記載の有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ技術の分野に関するものであり、特に有機発光素子及び有機発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の有機発光表示装置は、偏光板と、外付けタッチモジュールと、カバープレートと、バックプレートと、スポンジ等の機能性フィルム層とを含む。非屈曲性の有機発光表示装置の全体厚さは1000μm~1500μmの範囲にあり、全体的な厚さが比較的大きいものとなっていた。屈曲可能な有機発光表示装置の全体厚さは約500μmで、全体的な厚さが大きく、且つ折り曲げるのには不利であった。
【0003】
このため、従来技術における課題を解決することのできる有機発光素子及びその製造方法並びに有機発光表示装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の有機発光表示装置は、偏光板と、外付けタッチモジュールと、カバープレートと、バックプレートと、スポンジ等の機能性フィルム層とを含む。非屈曲性の有機発光表示装置の全体厚さは1000μm~1500μmの範囲にあり、全体的な厚さが比較的大きいものとなっていた。屈曲可能な有機発光表示装置の全体厚さは約500μmで、全体的な厚さが大きく、且つ折り曲げるのには不利であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術課題を解決するために、本発明の目的は有機発光素子及び有機発光表示装置を提供することであり、当該有機発光素子及び有機発光表示装置により、前記有機発光素子の偏光機能の内蔵化を実現することができ、前記有機発光素子の厚みが減少し、且つ前記有機発光素子を折り曲げるのに有利となる。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態は有機発光素子を提供する。前記有機発光素子は、基板層と、アノードと、ピクセル定義層と、発光機能層と、偏光層と、封止層とを含む。前記アノードは前記基板層上に設けられている。前記ピクセル定義層は前記アノード上に設けられており、前記ピクセル定義層は間隔をおいて設けられたバンプ及び開口を有しており、前記開口から前記アノードが露出している。前記発光機能層は前記ピクセル定義層に設けられており、且つ前記偏光層の少なくとも一部は前記開口内に設けられている。前記偏光層は前記発光機能層上に設けられている。前記封止層は、前記偏光層上に設けられており、前記偏光層及び前記発光機能層を封止するのに用いられる。
【0007】
本発明に係る一実施形態において、前記偏光層は、順次設けられた、第1無機層と、第1偏光層と、第2無機層と、第2偏光層とを含み、前記第1無機層は前記発光機能層及び前記ピクセル定義層上に設けられており、前記第1偏光層及び前記第2偏光層は前記開口に対応して設けられている。
【0008】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層は前記開口内に設けられており、前記第2無機層は前記第1偏光層及び前記第1無機層上を被覆している。
【0009】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層は円偏光層であり、前記第2偏光層は直線偏光層である。
【0010】
本発明に係る一実施形態において、前記発光機能層は、前記アノード上に設けられた有機発光層及びカソードを含んでおり、前記カソードは、前記有機発光層及び前記ピクセル定義層の前記バンプ上に被覆されており、前記第1無機層は前記カソードを完全に被覆している。
【0011】
本発明に係る一実施形態において、前記有機発光素子は前記バンプ上に設けられたスペーサをさらに含んでおり、前記第1無機層は前記スペーサ上に設けられている。
【0012】
本発明に係る一実施形態において、前記ピクセル定義層の厚さと前記スペーサの厚さとの合計は、前記アノードの厚さと、前記発光機能層の厚さと、前記第1偏光層の厚さと、前記第2偏光層の厚さとの合計以上である。
【0013】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層の前記アノード上への投影と、前記第2偏光層の前記アノード上への投影が部分的に重なる。
【0014】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層及び前記第2偏光層の形状はいずれも、上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、或いは、前記第1偏光層の形状は上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、前記第2偏光層の形状は上辺が長く、下辺が短い多角形である。
【0015】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層は第1光配向液晶層であり、前記第2偏光層は染料を含んだ第2光配向液晶層である。
【0016】
本発明に係る一実施形態において、前記スペーサの底部縁の内角は、前記ピクセル定義層の底部縁の内角以下である。
【0017】
本発明の一実施形態は有機発光表示装置をさらに提供する。前記有機発光表示装置は、有機発光素子と、前記有機発光素子上に設けられたカバープレートとを含む。前記有機発光素子は、基板層と、アノードと、ピクセル定義層と、発光機能層と、偏光層と、封止層とを含む。前記アノードは前記基板層上に設けられている。前記ピクセル定義層は前記アノード上に設けられており、前記ピクセル定義層は間隔をおいて設けられたバンプ及び開口を有しており、前記開口から前記アノードが露出している。前記発光機能層は前記ピクセル定義層に設けられており、且つ前記偏光層の少なくとも一部は前記開口内に設けられている。前記偏光層は前記発光機能層上に設けられている。前記封止層は、前記偏光層上に設けられており、前記偏光層及び前記発光機能層を封止するのに用いられる。
【0018】
本発明に係る一実施形態において、前記偏光層は、順次設けられた、第1無機層と、第1偏光層と、第2無機層と、第2偏光層とを含み、前記第1無機層は前記発光機能層及び前記ピクセル定義層上に設けられており、前記第1偏光層及び前記第2偏光層は前記開口に対応して設けられている。
【0019】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層は前記開口内に設けられており、前記第2無機層は前記第1偏光層及び前記第1無機層上を被覆している。
【0020】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層は円偏光層であり、前記第2偏光層は直線偏光層である。
【0021】
本発明に係る一実施形態において、前記発光機能層は、前記アノード上に設けられた有機発光層及びカソードを含んでおり、前記カソードは、前記有機発光層及び前記ピクセル定義層の前記バンプ上に被覆されており、前記第1無機層は前記カソードを完全に被覆している。
【0022】
本発明に係る一実施形態において、前記有機発光素子は前記バンプ上に設けられたスペーサをさらに含んでおり、前記第1無機層は前記スペーサ上に設けられている。
【0023】
本発明に係る一実施形態において、前記ピクセル定義層の厚さと前記スペーサの厚さとの合計は、前記アノードの厚さと、前記発光機能層の厚さと、前記第1偏光層の厚さと、前記第2偏光層の厚さとの合計以上である。
【0024】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層の前記アノード上への投影と、前記第2偏光層の前記アノード上への投影が部分的に重なる。
【0025】
本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層及び前記第2偏光層の形状はいずれも、上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、或いは、前記第1偏光層の形状は上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、前記第2偏光層の形状は上辺が長く、下辺が短い多角形である。
【発明の効果】
【0026】
従来技術と比較して、上記の技術課題を解決するために、本発明の実施形態における前記偏光層は前記発光機能層上に設けられており、前記封止層は前記偏光層上に設けられていて、前記偏光層及び前記発光機能層を封止するのに用いられる。これにより、前記有機発光素子の偏光機能の内蔵化を実現して、前記有機発光素子の厚みを減少させ、且つ前記有機発光素子を折り曲げるのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態における有機発光素子の構造を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における有機発光素子の構造を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における有機発光素子のスペーサを示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態における有機発光素子のスペーサを示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態における有機発光素子のスペーサを示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における有機発光表示装置の構造を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態における有機発光表示装置の構造を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態における有機発光表示装置の構造を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態における有機発光素子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態における有機発光素子の製造方法を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態における有機発光素子の製造方法を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態における有機発光素子の製造方法を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態における有機発光素子の製造方法を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態における有機発光素子の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下における各実施形態の説明は、添付の図面を参照して行われており、本発明で実施可能な特定の実施形態を例示している。
【0029】
本発明における上述の及びその他の目的、特徴及び利点をより明らかにするために、以下において本発明の好ましい実施形態を挙げ、添付の図面と併せて詳述する。また、本発明で用いられている、例えば、上、下、頂、底、前、後、左、右、内、外、側層、周囲、中央、水平、横方向、垂直、縦方向、軸方向、径方向、最上層又は最下層等の方向を示す用語は、添付の図面における方向を示すものにすぎない。従って、これら方向を示す用語は、本発明を説明し及び理解する上で用いられるものであり、本発明を限定するものではない。
【0030】
図中、構造が類似するユニットは、同一の符号で示されている。
【0031】
図1を参照されたい。
図1は、本発明の一実施形態で提供される有機発光素子の構造を示す図である。
【0032】
本発明の実施形態に係る有機発光素子100は、基板層110と、アノード120と、ピクセル定義層130と、発光機能層150と、偏光層と、封止層190とを含む。前記アノード120は前記基板層110上に設けられている。前記ピクセル定義層130は前記アノード120上に設けられており、前記ピクセル定義層130は間隔をおいて設けられたバンプ131及び開口132を有しており、前記開口132から前記アノード120が露出している。前記発光機能層150は前記ピクセル定義層130に設けられている。前記偏光層は前記発光機能層150上に設けられており、前記偏光層の少なくとも一部は前記開口132内に設けられている。前記封止層190は前記偏光層上に設けられており、前記偏光層及び前記発光機能層150を封止するのに用いられる。これにより、前記有機発光素子100の偏光機能の内蔵化を実現して、前記有機発光素子100の厚みを減少させ、且つ前記有機発光素子100を折り曲げるのに有利となる。
【0033】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記偏光層は、順次設けられた、第1無機層170と、第1偏光層162と、第2無機層180と、第2偏光層164とを含む。前記第1無機層170は前記発光機能層150及び前記ピクセル定義層130上に設けられており、前記第1偏光層162及び前記第2偏光層164は前記開口132に対応して設けられている。前記第1偏光層162は前記開口132内に設けられており、前記第2無機層180は前記第1偏光層162及び前記第1無機層170上を被覆している。本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層162は円偏光層であり、前記第2偏光層164は直線偏光層である。
【0034】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記発光機能層150は、前記アノード120上に設けられた有機発光層152及びカソード154を含む。前記カソード154は、前記有機発光層152及び前記ピクセル定義層130の前記バンプ131上を被覆しており、前記第1無機層170は前記カソード154を完全に被覆している。
【0035】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記有機発光素子100は前記バンプ131上に設けられたスペーサ140をさらに含んでおり、前記第1無機層170は前記スペーサ140上に設けられている。本発明に係る一実施形態において、前記ピクセル定義層130の厚さと前記スペーサ140の厚さとの合計は、前記アノード120の厚さと、前記発光機能層150の厚さと、前記第1偏光層162の厚さと、前記第2偏光層164の厚さとの合計以上である。
【0036】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層162の前記アノード120上への投影と、前記第2偏光層164の前記アノード120上への投影が部分的に重なる。前記第1偏光層162及び前記第2偏光層164の形状はいずれも、上辺が長く、下辺が短い逆台形である。本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層162は第1光配向液晶層であり、前記第2偏光層162は染料を含んだ第2光配向液晶層である。具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層162の前記アノード120上への投影面積は、前記第2偏光層164の前記アノード120上への投影面積と異なる。前記第1偏光層162の前記アノード120上への投影面積は、前記第2偏光層164の前記アノード120上への投影面積よりも小さい。
【0037】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記第1無機層170及び前記第2無機層180の材料は、例えば、SiNx、SiOx又はSiONxが含まれる。前記第1無機層170及び前記第2無機層180は他の透明な無機層であってもよく、その材料としては、例えば、アルミナ等が含まれる。前記第1無機層170及び前記第2無機層180の厚さの範囲は、0.1μm~1μmである。前記封止層190は無機層であってもよい。封止層190は3層又は多層の構造であってもよい。前記第1偏光層162及び前記第2偏光層164の厚さの範囲は、0.3μm~3μmである。
【0038】
本発明に係る一実施形態において、前記有機発光層152は、前記ピクセル定義層130の前記開口132内に設けられている。前記第1発光機能層152は、例えば、発光作用を有する赤色発光層、緑色発光層又は青色発光層である。
【0039】
本発明に係る一実施形態において、前記ピクセル定義層130の厚さの範囲は、4μm~10μmである。
【0040】
図1を参照して、本発明に係る一実施形態において、前記有機発光素子100は、例えばトップエミッションの有機発光素子である。本実施形態では、前記ピクセル定義層130の厚さを4~10μmまで厚くすることで、偏光機能を内蔵化した前記有機発光素子100が得られる。このようにして、2層の偏光層(即ち、前記第1偏光層162及び前記第2偏光層164)をピクセル内部に配置し、配向させた後に、偏光機能が実現される。
【0041】
図2を参照されたい。
図2は、本発明の一実施形態で提供される有機発光素子の構造を示す図である。
【0042】
本発明の実施形態に係る有機発光素子100は、基板層110と、アノード120と、ピクセル定義層130と、発光機能層150と、偏光層と、封止層190とを含む。前記アノード120は前記基板層110上に設けられている。前記ピクセル定義層130は前記アノード120上に設けられており、前記ピクセル定義層130は間隔をおいて設けられたバンプ131及び開口132を有しており、前記開口132からアノード120が露出している。前記発光機能層150は前記ピクセル定義層130に設けられている。前記偏光層は前記発光機能層150上に設けられており、前記偏光層の少なくとも一部は前記開口132内に設けられている。前記封止層190は、前記偏光層上に設けられており、前記偏光層及び前記発光機能層150を封止するのに用いられる。これにより、前記有機発光素子100の偏光機能の内蔵化を実現して、前記有機発光素子100の厚みを減少させ、且つ前記有機発光素子100を折り曲げるのに有利となる。
【0043】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記偏光層は、順次設けられた、第1無機層170と、第1偏光層162と、第2無機層180と、第2偏光層164とを含む。前記第1無機層170は前記発光機能層150及び前記ピクセル定義層130上に設けられており、前記第1偏光層162及び前記第2偏光層164は前記開口132に対応して設けられている。前記第1偏光層162は前記開口132内に設けられており、前記第2無機層180は前記第1偏光層162及び前記第1無機層170上を被覆している。本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層162は円偏光層であり、前記第2偏光層164は直線偏光層である。
【0044】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記発光機能層150は、前記アノード120上に設けられた有機発光層152及びカソード154を含む。前記カソード154は前記有機発光層152及び前記ピクセル定義層130の前記バンプ131上を被覆しており、前記第1無機層170は前記カソード154を完全に被覆している。
【0045】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記有機発光素子100は前記バンプ131上に設けられたスペーサ140をさらに含んでおり、前記第1無機層170は前記スペーサ140上に設けられている。本発明に係る一実施形態において、前記ピクセル定義層130の厚さと前記スペーサ140の厚さとの合計は、前記アノード120の厚さと、前記発光機能層150の厚さと、前記第1偏光層162の厚さと、前記第2偏光層164の厚さとの合計以上である。前記スペーサ140の底部縁の内角は、前記ピクセル定義層130の底部縁の内角以下である。
【0046】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層162の前記アノード120上への投影面積は、前記第2偏光層164の前記アノード120上への投影面積と異なる。前記第1偏光層162の前記アノード120上への投影面積は、前記第2偏光層164の前記アノード120上への投影面積よりも小さい。
【0047】
具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層162の前記アノード120上への投影と、前記第2偏光層164の前記アノード120上への投影が部分的に重なる。前記第1偏光層162の形状は、上辺が長く、下辺が短い逆台形であり、前記第2偏光層164の形状は、上辺が長く、下辺が短い多角形である。具体的には、前記多角形の側部は、複数の異なる方向の線分からなる。本発明に係る一実施形態において、前記第1偏光層162は第1光配向液晶層であり、前記第2偏光層162は染料を含んだ第2光配向液晶層である。具体的には、本発明に係る一実施形態において、前記第1無機層170及び前記第2無機層180の材料は、例えば、SiNx、SiOx又はSiONxが含まれる。前記第1無機層170及び前記第2無機層180は他の透明な無機層であってもよく、その材料としては、例えば、アルミナ等が含まれる。前記第1無機層170及び前記第2無機層180の厚さの範囲は、0.1μm~1μmである。前記封止層190は無機層であってもよい。封止層190は3層又は多層の構造であってもよい。前記第1偏光層162及び前記第2偏光層164の厚さの範囲は、0.3μm~3μmである。
【0048】
本発明に係る一実施形態において、前記有機発光層152は、前記ピクセル定義層130の前記開口132内に設けられている。前記第1発光機能層152は、例えば、発光作用を有する赤色発光層、緑色発光層又は青色発光層である。
【0049】
本発明に係る一実施形態において、前記ピクセル定義層130の厚さの範囲は4μm~10μmであり、及び/又は前記各スペーサの厚さの範囲は1.5μm~10μmである。
【0050】
図2を参照して、本発明に係る一実施形態において、前記有機発光素子100は、例えばトップエミッションの有機発光素子である。本実施形態では、前記スペーサ104の形状及び厚さを変更することで、偏光機能を内蔵化した前記有機発光素子100が得られる。このようにして、2層の偏光層(即ち、前記第1偏光層162及び前記第2偏光層164)をピクセル内部に配置し、配向させた後に、偏光機能が実現される。
【0051】
図3乃至
図5を参照すると、本発明に係る一実施形態において、前記スペーサ140の形状及び位置については様々な設計案がある。本発明に係る一実施形態において、各々のスペーサ140の形状はクレーター状(
図4)又は台形柱状(
図3及び
図4)であり、前記スペーサ140は前記ピクセル定義層130の前記開口132を取り囲んでいる。
【0052】
本発明に係る一実施形態において、前記各スペーサ140の底部縁は、前記ピクセル定義層130の頂部縁と接しており(
図4)、又は接していない(
図3)。
図4を参照して、本発明に係る一実施形態において、前記各スペーサ140の前記底部縁と前記ピクセル定義層130の前記頂部縁とが接している場合、前記各スペーサ140の前記底部縁の内角∠Aは、前記ピクセル定義層130の底部縁の内角∠B以下であり、前記各スペーサ140の前記底部縁と前記ピクセル定義層130の前記底部縁が同じ側に配置されているため、前記有機発光素子100は良好な発光効率を有するようになる。
【0053】
図3及び
図4を参照すると、本発明に係る一実施形態において、前記各スペーサ140の形状はクレーター状に類似しており、ピクセル134の四方を取り囲んでいる。前記各スペーサ140は、ちょうど1つのピクセル134を囲んでいるか、1つのピクセル134よりも略大きい。前記各スペーサの厚さの範囲として、1.5μm~10μmの間で厚くすることができる。本発明に係る一実施形態において、
図4のようなピクセル134の配置状態に限定されない。
図5を参照して、本発明に係る一実施形態において、前記各スペーサ140の形状は1つの台形柱の形状に類似しており、前記各スペーサ140はちょうど1つのピクセル134を囲んでいる。
【0054】
図6を参照して、本発明に係る一実施形態は有機発光表示装置10をさらに提供する。前記有機発光表示装置10は、上述のような有機発光素子100と、前記有機発光素子100上に設けられたカバープレート12とを含む。 前記有機発光表示装置10は、内蔵型のタッチディスプレイパネル11を含む。前記内蔵型タッチディスプレイパネル11は、上述のような有機発光素子100を含む。前記カバープレート12は、例えば、ハードコート層(hard coating layer)である。前記ハードコート層は、前記内蔵型のタッチディスプレイパネル11上に設けられている。
【0055】
図7を参照すると、本発明に係る一実施形態において、有機発光表示装置10は、順次設けられている、スポンジ層13と、第1光学接着層(first optically clear adhesive layer、first OCA layer)14と、バックプレート15と、第2光学接着層16と、前記内蔵型タッチディスプレイパネル11と、第3光学接着層17と、カバープレート18と、基材(base film)19と、前記ハードコート層12とを含む。本実施形態の前記有機発光表示装置10は、前記内蔵型タッチディスプレイパネル11を含む。前記内蔵型タッチディスプレイパネル11は、例えば、direct on TFE (DOT)技術やインセル型タッチパネル(incell touch panel、ITP)技術によって得られたものである。DOT技術はon-cell方式の技術であり、封止層(TFE)上に低温プロセスを直接施すことでタッチセンサを完成させるため、さらなる1層のオーバーコート層は不要となり、層数を直接減少させ、且つ厚さも対応するように減少させることができる。本実施形態の前記有機発光表示装置10は、従来の有機発光表示装置と比較して、光学接着層を2層減少させることができ、全体の表面硬度が大幅に改善されている。
【0056】
図8を参照すると、本発明に係る一実施形態において、有機発光表示装置10は、順次設けられている、スポンジ層13と、第1光学接着層14と、バックプレート15と、第2光学接着層16と、前記内蔵型タッチディスプレイパネル11と、前記ハードコート層12とを含む。本実施形態の前記有機発光表示装置10では、偏光機能を有し且つタッチ機能を内蔵化した前記内蔵型タッチディスプレイパネル11上に前記ハードコート層12を直接塗布しており、即ち、TFE又はDOTのタッチ層上に直接塗布するため、前記有機発光表示装置10全体の表面硬度をさらに向上させることができる。
【0057】
図9乃至
図14を参照して、本発明に係る一実施形態は有機発光素子100の製造方法を提供し、当該製造方法は以下のステップを含む。
【0058】
図9を参照されたい。ステップS1、基板層110を提供する。
【0059】
ステップS2、前記基板層110上にアノード120を形成する。
【0060】
ステップS3、前記アノード120上にピクセル定義層130を形成する。前記ピクセル定義層130は間隔をおいて設けられたバンプ131及び開口132を有しており、前記開口132から前記アノード120が露出する。
【0061】
ステップS4、前記ピクセル定義層130上に発光機能層150を形成する。
【0062】
ステップS5、前記発光機能層150上に偏光層を形成し、且つ前記偏光層の少なくとも一部は前記開口132内に設けられる。本発明に係る一実施形態において、前記発光機能層150は、前記アノード120上に設けられた有機発光層152及びカソード154を含む。前記カソード154は、前記有機発光層152及び前記ピクセル定義層130の前記バンプ131上に被覆され、前記第1無機層170は前記カソード154を完全に被覆する。前記有機発光層1152は、例えば、発光作用を有する赤色発光層、緑色発光層又は青色発光層である。
【0063】
図10を参照されたい。ステップS6、第1無機層170を提供する。
【0064】
具体的には、前記第1無機層170は前記発光機能層150上に設けられる。
【0065】
図11を参照されたい。ステップS7、偏光層である第1偏光層162を提供する。
【0066】
具体的には、前記第1偏光層162は前記第1無機層170上に設けられる。前記第1偏光層162は第1光配向液晶層である。前記第1偏光層162の厚さの範囲は、0.3μm~3μmである。前記第1偏光層162は前記開口132内に設けられる。
【0067】
具体的には、第1液晶層が固定点でピクセル内部に注入され、第1液晶層の厚さの範囲は、0.3μm~3μmである。続いて、第1液晶層は光配向を経て、前記第1偏光層162を形成する。
【0068】
図12を参照されたい。ステップS8、第2無機層180を提供する。
【0069】
具体的には、前記第2無機層180は、前記第1無機層170及び前記第1偏光層162上に設けられる。
【0070】
図13を参照されたい。ステップS9、偏光層である第2偏光層164を提供する。
【0071】
具体的には、前記第2偏光層164は前記第2無機層180上に設けられる。前記第2偏光層164は染料を含んだ第2光配向液晶層である。前記第2偏光層164の厚さの範囲は、0.3μm~3μmである。
【0072】
具体的には、染料を含んだ第2液晶層が固定点でピクセル内部に注入され、第2液晶層の厚さの範囲は、0.3μm~3μmである。続いて、第2液晶層は光配向を経て、前記第2偏光層164を形成する。前記第2液晶層の光配向方向と前記第1液晶層の光配向方向とが異なるため、前記第2液晶層に直線偏光層としての機能を持たせる必要がある。
【0073】
図14を参照されたい。ステップS10、封止層190を提供する。
【0074】
具体的には、前記偏光層上に封止層190を形成する。前記封止層190は、前記偏光層及び前記発光機能層152を封止するのに用いられる。
【0075】
本発明の実施形態では、有機発光素子、その製造方法及び有機発光表示装置が提供されている。本発明の実施形態において、前記偏光層は前記発光機能層上に設けられており、前記封止層は前記偏光層上に設けられていて、前記偏光層及び前記発光機能層を封止するのに用いられる。これにより、前記有機発光素子の偏光機能の内蔵化を実現して、前記有機発光素子の厚みを減少させ、且つ前記有機発光素子を折り曲げるのに有利となる。
【0076】
1以上の実施形態について本発明を開示及び説明したが、本分野の技術者であるならば、本明細書及び添付の図面を閲読及び理解することで、同等の変形及び変更に想到する場合がある。本発明はこれら変更及び変形を全て含み、且つ特許請求の範囲によってのみ限定される。特に、上述の構成要件のもたらす様々な機能に関して、これら構成要件を説明するための用語の意図は、たとえ本明細書中の例示的な実施形態において、その機能をもたらすものとして開示されているものと構造上異なる場合であっても、当該構成要件の指定機能をもたらすことのできる任意の構成要件(例えば、機能的に同等である)と対応付けることにある(別段の断りがない限り)。また、本明細書における特徴は、既にいくつかの実施形態の内の1つについてのみ開示されているが、これら特徴は、所定の又は特定の応用において期待され及び有利である他の実施形態中の1つ又は複数の他の特徴と組み合わせることができる。さらに、用語「包含する」、「有する」、「含有する」又はその活用形が、特定の実施形態又は特許請求の範囲で用いられている場合、これら用語は、用語「含む」と同様に含むことを表す。
【0077】
上述は本発明における好ましい実施形態にすぎず、本分野の通常の技術者であるならば、本発明の原理から逸脱しない限りにおいて、若干の改善及び変更を施すことができ、これら改善及び変更も本発明の保護範囲に属するものであるとみなされることに留意されたい。