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特許7163396エネルギービームの中央縦軸に関して粉末流を調整するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】エネルギービームの中央縦軸に関して粉末流を調整するための装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/342 20140101AFI20221024BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20221024BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20221024BHJP
【FI】
B23K26/342
B23K26/34
B23K26/21 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020543160
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019053541
(87)【国際公開番号】W WO2019158580
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】102018202203.8
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(73)【特許権者】
【識別番号】516386144
【氏名又は名称】テヒニシュ ウニヴェルズィテート ドレスデン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リーデ ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュックナー フランク
(72)【発明者】
【氏名】へムシック リコ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルナー ロビン
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/114965(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0199564(US,A1)
【文献】米国特許第05396333(US,A)
【文献】特開2016-221538(JP,A)
【文献】米国特許第6046426(US,A)
【文献】特開2015-196265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
B33Y 10/00 - 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギービーム、特に粉末堆積溶接用に設計された加工ヘッド用のレーザビームの中央縦軸に対して粉末流を調整するための装置であって、
前記粉末流は、前記加工ヘッド(5)のワークピースに面する側に配置された、環状ギャップノズル(1)が形成された粉末フィードにより供給され、
前記環状ギャップノズルは、前記ワークピースの方向に円錐形状となるように具現された、環状に配置された複数のノズル、又は傾斜しかつ出口開口部が互いに向き合う、対向配置された少なくとも2つのノズルで形成され、前記エネルギービーム(4)のエネルギーで溶融した粉末材料が堆積される面の上方に配置された領域(3)で、粉末材料(2)の粒子が、複数の方向から鋭角をなして合流するように設計され、
前記エネルギービーム(4)は、溶融した前記粉末材料が堆積される平面に対して位置合わせされ、
前記エネルギービーム(4)の中央縦軸、特にレーザビームの光軸に対して、前記エネルギービーム(4)の中央縦軸に垂直な平面で、2次元的又は3次元的に前記粉末フィードの位置合わせをするためのデバイスが、前記加工ヘッド(5)に設けられ、
放射源(6)から出発した電磁放射は、前記粉末材料の粒子が合流する前記領域(3)に、側方から線状ビーム(6.1)として向けられ、
2次元光検出器アレイ(7)は、前記線状ビーム(6.1)に垂直な平面に設けられ、
前記光検出器アレイ(7)は、電磁放射の強度を空間的に分解してキャプチャするように設計されており、電子評価部(8)に接続されており、
前記電子評価部(8)は、指定可能な閾値を超える強度が前記光検出器アレイ(7)によってキャプチャされた被照射領域(9)の形状、大きさ及び/又は長さを、空間的に分解された方法で確認するように設計されており、
前記被照射領域(9)は、調整時の低減したパワーのレーザビーム(4)が照射された粉末の粒子表面から、前記ワークピースの表面に向かって加速された粉末粒子の方向に位置する、レーザビーム(4)により加熱された粒子が発散的に移動する前記被照射領域(9)の部分領域まで延び
前記エネルギービーム(4)は、調整中に、粉末堆積溶接と比べて低減されたパワーで動作することができ、当該パワーは前記エネルギービーム(4)との相互作用領域で粒子を加熱するのに十分であるが、粉末材料の粒子の溶融が回避されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記放射源(6)は、波長区間内の電磁放射を放射し、及び/又は波長区間に対して透明なバンドパスフィルタが前記被照射領域(9)と前記検出器アレイ(7)との間に配置され、それぞれの波長区間が好ましくは、700nmから1200nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギービーム(4)として用いられるレーザビームの波長が前記波長区間の外側にあり、前記線状ビーム(6.1)の波長が前記波長区間内にあることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記放射源(6)が前記線状ビーム(6.1)とともに前記検出器アレイ(7)が配置された平面に対して平行に移動可能であり、移動中の強度の空間的に分解されたキャプチャ及び評価が、少なくとも前記領域(3)の中心領域において、対応して設計された前記電子評価部(8)を用いて行われることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記電子評価部(8)は、前記粉末フィードの2次元位置合わせのための前記デバイスを用いた手動調整に使用することができる光学及び/又は音響表示ユニットを有し、及び/又は、
前記電子評価部(8)は、前記粉末フィードの2次元位置合わせのための前記デバイスの制御された自動調整が得られるように設計されている、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記電子評価部(8)は、前記被照射領域(9)内でキャプチャされた、設定可能な強度閾値を超えた個々のキャプチャ画像点の数を確認及び評価するように設計されており、及び/又は
前記被照射領域(9)内で検出された前記画像点を用いたパターン認識を、好ましくは最適なパターンを考慮して、行うことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記エネルギービーム(4)の中央縦軸に対する前記粉末フィードの2次元位置合わせのための前記デバイスは、互いに垂直に整列した2つの方向に互いに独立して移動可能な2つのプラットフォームで形成され、これに前記粉末フィード、及び/又は、
エネルギービーム(4)をその中央縦軸に平行にシフトさせる光学ユニットが固定され、及び/又は、
エネルギービーム(4)の中央縦軸に対する前記粉末フィードの3次元位置合わせのための前記デバイスは、移動可能な前記プラットフォームに対して垂直な向きの付加的な移動可能性を有する、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記2つのプラットフォームは、それぞれ駆動装置、好ましくはリニアドライブ、特に好ましくはステッパモータによって移動可能であり、前記電子評価部(8)によって制御され得ることを特徴とする請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の装置に関する。粉末堆積溶接は、例えば、特定の有利な特性を有するコーティングを得るために、または部品上の摩耗に起因する材料の除去を補償するために、ワークピースの表面にコーティングを形成することができる方法である。しかしながら、粉末堆積溶接法を使用して、3次元の部品または輪郭を形成することもできる。
【0002】
粉末状の、一般的に金属材料が使用され、エネルギービームのエネルギー、ほとんどの場合はレーザビームのエネルギーで溶融されるため、当該材料が凝固した後、複数のコーティングで、コーティングまたは3次元輪郭を上下に形成することができる。
【0003】
粉末材料はコストがかかるため、粉末の損失を回避し、搬送する粉末材料を最大利用することが望まれる。
【0004】
通常、粉末搬送装置と、粉末フィードと、エネルギービームとしてのレーザビームに影響を与える光学部品と、が収容された加工ヘッドが用いられる。
【0005】
ここで、エネルギービームは、通常、加工ヘッドを通って中央に向けられ、材料が堆積される面に垂直に向けられる。有効性の理由から、粉末材料は、エネルギービームの影響範囲内に全ての側面から供給され、可能であれば外部から同時に供給される。エネルギービームを囲む環状フィードが好ましい。
【0006】
この目的のために、粉末状の材料が、複数の環状に配置されたノズル又は互いに向き合って配置されたノズルであるである環状ギャップを介して、固化した材料による実際の材料堆積が行われる面よりも上方に配置された領域に供給されるように、粉末フィードが設計される。
【0007】
この目的のために、通常、環状ギャップノズルが使用され、これは、固化された材料による実際の材料堆積が行われる平面方向に円錐形状となるように具現化される。環状に配置された複数のノズルは、円錐形状に応じて傾斜するように配向され得る。また、斜めに傾斜して配置され、粉末フィードで出口開口部が対向する少なくとも2つの対向するノズルを用いてもよい。
【0008】
その結果、このようにして搬送された粉末はノズルから流出し、粉末の粒子はいくつかの方向から互いに向かい、鋭角をなしてある領域に流入する。この領域は、材料が堆積される表面の上方に配置される。この領域では、個々の粒子におけるエネルギー放射の吸収の結果として相互作用が生じ、その結果、溶融温度よりも高い温度まで部分的に加熱され、生成された溶接プール内で、液体材料が、材料が堆積される表面に衝突し、そこで固化する。
【0009】
エネルギービームと粉末の相互作用領域では、粉末は予熱され、エネルギービームにより生成された溶接プールに吸収される。レーザビームの位置は、溶接プールの位置に相関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
相互作用が生じる、エネルギービームの影響のある領域への、そのような同心円状の粉末供給を行う場合、対称的な関係が維持されることが重要である。これは、特にエネルギービームの中央縦軸の位置合わせ(アライメント)に適用される。レーザビームの場合、これは光軸である。中央縦軸は、前記領域の中心又は中央に配置されるべきである。供給された粉末材料の粒子が合流する領域の中心からのエネルギービームの中央縦軸の横方向の変位が小さい場合であっても、堆積された材料の品質の低下や付着の問題が、発生する。加えて、この変位により、供給された粉末のより少ない割合が、溶接プール内に吸収され、したがって材料の堆積に使用されることができるため、コーティングまたは堆積の速度を低下させるという不利な効果をもたらす。その結果、粉末の損失が発生するため、それらを回避することが望ましい。
【0011】
図1および図2は、どのようにして粉末フィードが中心に置かれ(図1)、どのようにしてエネルギービーム4の中央縦軸に対する粉末フィードのオフセットが起こり得るかを断面図において概略的な形で示している。この影響は、特に領域3で見られる。図2は、粉末フィードの、右側への横方向オフセットの影響を示している。ここで、エネルギービーム4は、搬送されてきた粉末の粒子を、右側よりも早い時点で左側に衝突させる。従って、領域3に搬送される粉末の加熱は、図1に従った中央供給の場合よりも著しく不均一である。さらに、エネルギービームによって予熱された、より少数の粒子が、溶接プールに含まれている。
【0012】
これまでのところ、この問題は、調整中の手動による影響と、オペレータによる視覚的および主観的な評価によって対処されてきたので、誤差を排除することができず、特に、より長い期間にわたって、またはプロセス条件が変化した場合に比較可能な調整結果を得ることができなかった。
【0013】
従って、本発明の目的は、特に客観的かつ比較可能な方法で実行することができる改善された調整の可能性を提供することであり、これは自動化された方法に使用されることも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する装置によって、本発明にしたがって達成される。本発明の有利な実施形態および展開は、従属請求項に記載された特徴によって実現することができる。
【0015】
エネルギービーム、特に粉末堆積溶接用に設計された加工ヘッド用レーザビームの中央縦軸に対して粉末流を調整する本発明に係る装置において、前記粉末流は、加工ヘッドのワークピースに面する側に配置された、環状ギャップノズルが形成された粉末フィードにより実現され、前記環状ギャップノズルは、ワークピースの方向に円錐形状となるように具現され、環状に配置された複数のノズル、又は傾斜しかつ出口開口部が互いに向き合う、対向配置された少なくとも2つのノズルで形成され、エネルギービームのエネルギーで溶融した粉末材料が堆積される面の上方に配置された領域内で、粉末材料の粒子が、複数の方向から鋭角をなして合流するように設計される。
【0016】
エネルギービームは、溶融した粉末材料が堆積される平面に対して位置合わせされる。位置合わせは好ましくは前記平面に垂直である。
【0017】
エネルギービームの中央縦軸、特にレーザビームの光軸に対して、エネルギービームの中央縦軸に垂直な平面内で、2次元的に粉末フィードの位置合わせするためのデバイスが、加工ヘッドに設けられる。
【0018】
放射源から出発した電磁放射は、粉末材料の粒子が合流する領域に、側方から線状ビームとして向けられる。好ましくはカメラシステムであり得る光検出器アレイは、線状ビームに対して垂直な平面内に配置される。
【0019】
光検出器アレイは、電磁放射の強度を空間的に分解してキャプチャするために設計され、電子評価部に接続される。この場合、電子評価部は、指定可能な閾値を超える強度が光検出器アレイによってキャプチャされた被照射領域の形状、サイズ及び/又は長さを、空間的に分解された方法で確認するように設計される。
【0020】
被照射領域は、調整時に低減したパワーのエネルギービームが照射された粉末の粒子表面から、ワークピースの表面に向かって加速された粉末粒子の方向に位置する、エネルギービームにより加熱された粒子が発散的に移動する被照射領域の部分領域まで延びている。この評価可能な領域は、粉末材料の粒子の動きに関して、焦点面の領域における集束レーザビームと同様に設計される。この粒子は、少なくとも集束電磁放射と同様に移動する。それらは、焦点面およびその近傍において最小断面積を形成するが、当該断面積は焦点面に衝突する前に減少し、焦点面の後に発散の結果として再び増加する。この断面積は焦点面からの距離の増加と共に二次的に増加する。
【0021】
被照射領域は、粒子が異なる方向から合流し、そして互いに発散的に離れて移動しない領域と少なくとも同じ大きさ、好ましくはそれよりも大きくあるべきであり、及び/又は光検出器アレイでキャプチャすることができる大きさの領域であるべきである。
【0022】
放射源は、波長区間内の電磁放射を放出すべきであり、及び/又は、波長区間において透明なバンドパスフィルタが、被照射領域と検出器アレイとの間に配置されるべきである。各波長区間は、好ましくは700nmから1200nmの範囲であり、特に好ましくは715nmから780nmまでの範囲である。これにより、検出時の散乱や反射の影響を回避又は大幅に低減することができる。エネルギービームとして使用されるレーザビームの波長は、また、前記波長区間の外側にするべきである。線形ビームの波長は、前記波長区間内にするべきである。
【0023】
調整の間、エネルギービームは、低減されたパワーで、好ましくは粉末堆積溶接に使用されるパワーの最大50%で、特に好ましくは前記パワーの最大15%で動作する。ここで、パワーは、有利には、エネルギービームから粒子に伝達されるエネルギーの結果として、エネルギービームの放射源として選択された波長区間からの電磁放射又はバンドパスフィルタが設計された波長区間からの電磁放射が、エネルギービームの影響を受ける粒子によって放出される程度まで粉末粒子を加熱するのに必要な大きさで選択されるべきである。調整中の粒子の融解は避けるべきである。
【0024】
線状ビームを有する放射源は、特に有利には、検出器アレイが配置される平面に平行に移動可能であるべきである。移動中の強度の、空間的に分解されたキャプチャ及び評価は、対応して設計された電子評価部を用いて、少なくとも粉末材料の粒子が合流する領域の中心の領域において行われるべきである。これはまた、エネルギービームの、粉末堆積溶接のために正確に調整された位置及び位置合わせの中心である。もちろん、前記放射源の移動中に他の位置でもキャプチャを行うことができ、その結果、空間的に分解してキャプチャされた強度の評価が行われるべき中心の望ましい位置を、より正確に確認することができる。この中心位置では、検出器アレイを用いてキャプチャされた被照射領域の広がりが最小となる。
【0025】
電子評価部は、粉末フィードの2次元位置合わせのためのデバイスの手動調整に使用することができる光学、及び/又は音響表示ユニットであってもよい。この場合、正確な調整のためにこのデバイス上でどの方向にどの程度の動きが必要かを、オペレータに示すことができる。単独でまたはこれに加えて、電子評価部は、粉末フィードの2次元位置合わせのためのデバイスの制御された自動調整が得られるように設計されることができる。この目的のためには、エネルギービームの中央縦軸に対する粉末フィードの2次元又は3次元位置合わせのためのデバイスが、互いに垂直に整列した2つの方向に互いに独立して移動可能な2つのプラットフォームで形成され、これに粉末フィード及び/又はエネルギービームをその中央縦軸に平行なシフトさせる光学ユニットが固定されると有利である。2つのプラットフォームは、それぞれ駆動装置、好ましくはリニア駆動装置、特に好ましくはステッパモータによって移動可能であるべきであり、電子評価部によって制御可能であるべきである。電子評価部は、最適な調整を達成することができるように、それに応じて各駆動装置に影響を与えることができる。
【0026】
また、プラットフォームは、3次元調整のために上述した方向に垂直な軸方向(Z軸方向)に第3駆動を用いて移動可能であることが好ましい。
【0027】
また、電子評価部は、被照射領域内でキャプチャされた個々のキャプチャ画像点の強度値や設定可能な強度閾値を超えたキャプチャ画像点の数を確認及び評価するように設計されることもできる。被照射領域全体または被照射領域の一部の領域において、画像点の数を、超えたり下回ったりすることは、必要な調整を行うためのステートメントとして使用することができる。調整の間、粉末材料がそこから出てくる1つまたは複数のノズルを有する粉末フィードと、各エネルギービームの中央縦軸との相対運動は、この目的のために設計されたデバイスによって行われる。原則として、粉末フィードの位置は、堆積溶接のための最適な条件を達成するために、特に加工ヘッド上の粉末フィードの並進運動によって適合される。
【0028】
単独で又はこれに加えて、被照射領域内でキャプチャされた画像点でパターン認識を行うことができる。これは、好ましくは最適なパターンを考慮して行われ得る。最適パターンは、例えば、良好な、特に最適な調整を伴う較正中に得られ、パターン認識および評価のためのメモリに記憶され得る。
【0029】
また、電子評価部は、加工ヘッドで行われた調整を検証するためのデータを記憶する、本発明と共に使用することができるメモリを有してもよい。
【0030】
被照射領域内の画像点をキャプチャする際、検出器アレイでキャプチャされた測定信号の同時キャプチャとその後の評価とが行われる各時間(露光時間)を、十分な精度が達成されるように選択することができる。被照射領域において取り込まれた最大の強度を有する画像点を考慮して、評価可能なキャプチャのための各時間を、自動的に順応させることができる。
【0031】
調整を行う際には、すべての工程パラメータを一定に保つか、パラメータの変化を考慮に入れるべきである。これは、例えば、粉末材料と共に粉末フィードを通して供給され得るガス流の体積流及び/又は流速に関する。このガス流は、粉末フィードに有利な影響を有し、必要に応じて保護ガスとして作用することもできる。
【0032】
線形ビームは、既に説明した可能な平行移動を除いて、調整中にその位置合わせを変化されてはならない。これは、線状ビームを放射する放射源の電力にも適用され、適切な場合には、この目的のために使用されるビーム成形要素及びビーム偏向要素にも適用される。
【0033】
レーザ放射源は、線状ビームを放射するために有利に使用することができる。
【0034】
必要な設置スペースを低減するために、線状ビームを反射して偏向する要素上に線状ビームを向けてもよい。説明したように、反射された線状ビームは、次に、粒子が合流する被照射領域に向けられる。
【0035】
反射素子は、検出器アレイと、測定信号が検出器アレイによってキャプチャされる被照射領域との間に、単独でまたは追加的に、同様に配置することができ、この反射素子によって、被照射領域の画像がそれに応じて偏向され、対応して配置および配向された検出器アレイに向けられる。
【0036】
偏向が生じる反射面を有する反射素子は、好ましくは、45°の角度で配向され得る。
【0037】
周知のように、一つ以上の粉末ノズルは、粉末を堆積させるとき、特にレーザ粉末堆積溶接(LPD)の間、プロセス結果に重要な影響を有する。しかし、ノズル出口を出た後の粒子流の評価は、独立した試験系でのみ可能であった。しかしながら、本発明によれば、エネルギービームの位置及び位置合わせに関連した粉末流の客観的、かつ可能性としては自動化可能な測定が、処理装置内で可能となる。
【0038】
粉末堆積溶接の分野領域における他の擾乱は、レーザ放射と粒子流の軸の幾何学的偏差である。一定かつ方向に依存しない粉末材料の堆積のためには、ノズルをレーザ光学ユニットまたはエネルギービームの中央縦軸に同軸に整列させることが必要であり、その結果、粉末は、エネルギー放射、特にレーザ放射の影響下の特定の領域に、円錐形にまたは2つの反対方向から入ることができ、材料堆積のためのエネルギービームのエネルギーで面上に溶融することができる。
【0039】
しかし、特に現在のLPDシステムでは、この設定は、調整ユニットと呼ばれるものを手動で設定することによって行われる。自動位置合わせの目的で、メカトロニクス調整システムが、本発明を用いて設計および製造され得る。これは、エネルギービームの中央縦軸、特にレーザビームの光軸に対する粉末フィードのノズル位置の調節可能な調整を可能にする。これにより、従来行われてきた手動補正と同様に主観的な影響を受けることなく、エネルギービームの中央縦軸に対する粉末流の位置ずれを補正することができる。
【0040】
測定システムと組み合わせて、エネルギービームの影響領域に供給される粉末流の位置合わせの自動補正を、少なくとも1つのノズルを用いて、確認された許容限界内の画像分析により行うことができる。
【0041】
ユーザによって確認される基準に従って、粒子-ビーム相互作用を最大化し、画像処理アルゴリズムを用いて粒子およびエネルギービームの同軸位置合わせを達成することが可能である。エネルギービームに対する粒子の位置合わせを自動的かつ幾何学的に計算することができる。その後、変位装置を用いて自動または手動調節を行うことができる。この高精度化は、繰り返しによりさらに向上させることができる。
【0042】
このようにして、粉末適用装置のその場変位(例えば、粉末材料がそこから出てエネルギービームの影響領域に入る1つ以上のノズルの移動、又はエネルギービームの断面領域の適合)を行うことができる。
【0043】
粉末適用システムの摩耗を補償するために、新しいノズルシステムを較正することが可能である。
【0044】
本発明はまた、プロセス開発のために、エネルギービーム-粒子相互作用の確認された特性マップ、材料依存性および形状依存性の特徴を完全に自動的に記録することによって、品質管理/摩耗監視および研究のための測定に使用することができる。
【0045】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、正確に調整されたレーザビームを用いて、粉末フィードの1つのノズルの異なる方向から出た、又は2つのノズルから出た粉末材料の粉末が合流する領域に対する粉末材料の供給の断面を示す概略図である。
図2図2は、不正確に調整されたレーザビームを用いて、粉末フィードの1つのノズルの異なる方向から出た、または2つのノズルから出た粉末材料の粉末が合流する領域に対する粉末材料の供給の断面を示す概略図である。
図3図3は、レーザ堆積溶接装置と統合型測定装置のために設計されたセットアップを例示する概略図である。
図4図4は、粉末材料が粉末フィードのノズルの異なる方向から合流する領域の、光学アレイでキャプチャされた画像を示しており、それぞれ供給される粉末流のレーザビームに対する位置合わせが異なる。
図5図5は、2次元検出器アレイの装置の斜視図であり、当該装置は粉末フィードのノズルの異なる方向から粉末材料の粒子が合流する領域をキャプチャすることができ、当該領域は線形ビームで照射される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1および図2は、環状ギャップノズル1を通る粉末材料のフィード(供給装置)を概略的に示す。環状ギャップノズル1は、ワークピース(表示されない)および領域3の方向に円錐状に先細りになっている。しかしながら、互いに対向して配置され、互いに角度をなして傾斜している2つのギャップノズルがあってもよい。
【0048】
環状ギャップノズル1は、その全長にわたって一定のギャップ幅を有する。粉末は、環状ギャップノズル1からのガス流によりワークピース方向に加速される。環状ギャップ1から出た粒子は、異なる方向から領域3で合流し、粒子の移動方向が発散的に変化する前に、特定の経路に沿って少なくともほぼ平行に移動する。領域3には、エネルギービーム4の一例としてレーザビームとの相互作用領域もある。その光軸または中央縦軸を一点鎖線で示す。
【0049】
相互作用領域では、粒子はレーザビームのエネルギーによって加熱され、通常、堆積溶接プロセスで材料が堆積されるときに、粒子はそこで部分的に溶融される。粒子が合流し、レーザビームと相互作用し、互いに平行に移動する領域3は、材料が堆積される表面の上方に位置する。
【0050】
図1は、正確に調整された、レーザビームと環状ギャップノズル1からの粉末フィードとの位置合わせを示しており、レーザビームの光軸が正確に領域3の中央を通って案内される。
【0051】
図2に示す例では、レーザビームの光軸が横方向にずれており、領域3及び相互作用領域に非対称条件が生じている。これにより、領域3内の粒子が不均一に加熱され、その結果、各表面に材料が不均一に堆積する。これはまた、単位面積当たりの粉末の堆積速度を減少させる。したがって、図2のより右側に位置する粒子の一部は、十分に加熱および溶融されないか、または溶接プールに衝突しないので、これらの粒子は、材料堆積に使用することができず、または当該材料が堆積された領域における堆積品質が不十分となる。
【0052】
2次元光検出器アレイ(ここでは示されていない)によってキャプチャされた、供給された粉末流に対してレーザビームを正確に調整するための領域9の画像が、図1に別途示されているが、対称関係は維持されている。
【0053】
図2の左端には、供給された粉末ストリームに対するレーザビームの不正確な調整のための領域9の画像が概略的に示されており、これは2次元光検出器アレイ(ここでは示されていない)で検出することができるが、非対称関係が維持されている。
【0054】
図4は、光検出器アレイ7としてのカメラでキャプチャされ、電子評価装置で評価され、調整に使用される領域9の実際の画像を示している。中央に示されているキャプチャ画像は、例えば、完全に正しい調整の場合に得られたものである。他のすべてのキャプチャ画像については、最適な目標調整からの偏差が多少あり、このことは形状、サイズ、及び/又はz軸方向の長さから見ることができる。
【0055】
調整が正しくない場合は、湾曲画像及び/又は非対称画像をキャプチャし、評価において考慮することができる。このような湾曲画像及び/又は非対称画像は、特に2つの外側ギャップに見られる。
【0056】
図3は、レーザビーム4を成形するための光学部品と光学部品のための保護素子(表示されない)とが収容されている、加工ヘッド5を備えたレーザ粉末溶着溶接のためのセットアップの完全な例を概略的な形態で示している。加工ヘッド5は、電子制御装置10によって少なくとも2自由度で移動させ、キャリア13上に配置可能なワークピース(表示されない)の規定領域を被覆することができる。粉末コンベヤ11からライン12を介して粉末がガス流により加工ヘッドに供給され、その中で環状ギャップノズル1に供給される。粉末は、図1及び図2に示すように、環状ギャップノズル1から流出する。
【0057】
この例は、測定ユニット14を含み、その中に光検出器アレイ7および放射源6が収容される。光検出器アレイ7は、電子評価部8に接続されている。
【0058】
放射源6および場合によって反射素子は、放射源6によって放射された線状ビーム6.1が領域9に向けられるように、測定ユニット14内に配置される。線状ビーム6.1は、線状ビーム(6.1)に対して垂直に向けられた平面、すなわちデカルト座標系の場合にはz軸方向に向けられる。
【0059】
光検出器アレイ7の高感度な面は、それに平行に向けられる平面内に配向または配置される。これは、領域9と光検出器アレイ7との間のビーム経路において、説明の一般的な部分で示したように、領域9と光検出器アレイ7との間に反射素子が配置されている場合には必ずしもそうではない。反射素子は、領域9と放射源6との間に配置することもできる。その結果、必要な設置スペースを削減することができる。
【0060】
光検出器アレイ8の上流には、715nmから780nmの間の波長に対して透明なバンドパスフィルタを配置することができる。
【0061】
線状ビーム6.1は、760nmの波長を有する電磁放射で放射することができる。
【0062】
レーザビーム4は、1064nmの波長を有することができる。調整中は、通常、レーザ堆積溶接中の通常の動作パワーの最大15%で動作する。これは、キャプチャ時に領域9に配置された粉末状物質の粒子を、バンドパスフィルタが透過する波長域の電磁放射を放出する温度に加熱するのに十分であり、光検出器アレイ7では、光検出器アレイ7の分解能に対応する画像点の空間的に分解したキャプチャが可能である。ここでは、指定可能な強度閾値を超える画像点のみが調整に使用される。
【0063】
それぞれが画像と対応する、光検出器アレイ7でキャプチャされた測定信号は、電子評価部8に供給される。
【0064】
図示しない形態では、領域9の画像を連続的に取り込むことができ、加工ヘッド5、放射源6、又は測定ユニット14の間で並進相対運動を行うことができる。これらは互いに対して並進運動をすることができる。ここで、線状ビーム6.1は、その放射方向に対して垂直に移動し、その過程で領域9全体を一方から他方に貫通する。このようにして、この面内で領域の広がりが最も小さい、領域9の中心を、どのような場合でも照射することができる。評価時の調整には、少なくとも光検出器アレイ7で領域9の中心がキャプチャされた領域9の画像を用いる。
【0065】
図3は、レーザビーム4の中央縦軸に対する粉末フィードの2次元位置合わせのためのデバイスを示していない。このような粉末フィードは、加工ヘッド5に配置することができ、説明の一般的な部分と同様に設計することができ、調整中に操作することもできる。
【0066】
図5は、領域9の照射及び光検出器アレイ7による測定信号のキャプチャを示すことを意図している。線状ビーム6.1は、放射源6、特にレーザ放射源から放射され、z軸に対して平行に整列して領域9内に放射される。受光面が線状ビーム6.1の出射方向に平行に配向された光検出器7では、領域9の画像が空間分解されてキャプチャされ、空間分解されてキャプチャされた測定信号が光検出器7から電子評価部8に送信されて、概略の説明で示した調整のための評価を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5