(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】電子素子実装用基板、および電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20221024BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20221024BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H01L23/02 G
H01L23/12 Z
H05K1/02 C
(21)【出願番号】P 2020557780
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2019046377
(87)【国際公開番号】W WO2020111125
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】P 2018222619
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】浦 健一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 まどか
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-169164(JP,A)
【文献】特開2004-119881(JP,A)
【文献】特開2014-030155(JP,A)
【文献】特開2007-128987(JP,A)
【文献】特開2015-216142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
H01L23/00-23/04
H01L23/06-23/26
H05K 1/00- 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、
前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、
前記枠体の内壁から外部に向かって貫通した流路と、
前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を備え、
前記流路は、前記電極パッドよりも上方または下方に位置して
おり、
前記枠体は、前記基板の第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した第1枠体と、
前記第1枠体の第2上面に、前記実装領域を囲んで位置した第2枠体と、を有しており、
前記電極パッドは、前記基板と前記第1枠体との間の内壁に位置した前記流路よりも上方で、かつ、前記第1枠体の上面または前記第2枠体の内表面に位置しており、
前記流路は、前記第2枠体の第3上面まで連続しており、前記第2枠体の前記第3上面に位置した前記流路は、平面透視において前記電極パッドと離れて位置している、電子素子実装用基板。
【請求項2】
第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、
前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、
前記枠体の内壁から外部に向かって貫通した流路と、
前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を備え、
前記流路は、前記電極パッドよりも上方または下方に位置しており、
前記枠体は、前記基板の第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した第1枠体と、
前記第1枠体の第2上面に、前記実装領域を囲んで位置した第2枠体と、を有しており、
前記電極パッドは、前記基板の上面または前記第1枠体の内表面に位置しており、
前記第2枠体は、前記電極パッドよりも上方において、内壁から外部へと貫通した流路を有しており、
前記流路は、前記第2枠体の第3上面まで連続しており、前記第2枠体の前記第3上面に位置した前記流路は、平面透視において前記電極パッドと離れて位置している、電子素子実装用基板。
【請求項3】
第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、
前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、
前記枠体の内壁から外部に向かって貫通した流路と、
前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を備え、
前記流路は、前記電極パッドよりも上方または下方に位置しており、
前記流路が複数位置しており、
それぞれの前記流路は断面視において、前記基板の下面からの高さが異なる、電子素子実装用基板。
【請求項4】
第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、
前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、
前記枠体の内壁から外部に向かって貫通した流路と、
前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を備え、
前記流路は、前記電極パッドよりも上方または下方に位置しており、
前記枠体は、前記基板の第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した第1枠体と、
前記第1枠体の第2上面に、前記実装領域を囲んで位置した第2枠体と、を有しており、
前記電極パッドは、前記基板と前記第1枠体との間の内壁に位置した前記流路よりも上方で、かつ、前記第1枠体の上面または前記第2枠体の内表面に位置しており、
平面透視において、前記基板、前記第1枠体および前記第2枠体のそれぞれの角部が重なっており、前記角部は切欠きを有しているとともに、前記流路の端部は前記切欠きに位置している、電子素子実装用基板。
【請求項5】
第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、
前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、
前記枠体の内壁から外部に向かって貫通した流路と、
前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を備え、
前記流路は、前記電極パッドよりも上方または下方に位置しており、
前記枠体は、前記基板の第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した第1枠体と、
前記第1枠体の第2上面に、前記実装領域を囲んで位置した第2枠体と、を有しており、
前記電極パッドは、前記基板の上面または前記第1枠体の内表面に位置しており、
前記第2枠体は、前記電極パッドよりも上方において、内壁から外部へと貫通した流路を有しており、
平面透視において、前記基板、前記第1枠体および前記第2枠体のそれぞれの角部が重なっており、前記角部は切欠きを有しているとともに、前記流路の端部は前記切欠きに位置している、電子素子実装用基板。
【請求項6】
平面透視において、前記電極パッドは、前記第2枠体よりも内側に位置しており、
前記実装領域は、前記電極パッドよりも内側に位置している請求項
1、2、4、および5のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
【請求項7】
平面透視において、前記電極パッドと前記流路とが重ならずに位置している請求項1~
6のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
【請求項8】
前記流路が複数位置しており、
それぞれの前記流路は同じ形状である請求項1~7のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
【請求項9】
前記流路は、平面透視において前記基板の角部と重なる位置に、端部を有する請求項1~
3、および6~8のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
【請求項10】
前記流路は、平面透視および/または断面視において、折れ曲がった部位を有しており、
前記部位が曲面を有している請求項1~9のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
【請求項11】
前記第2枠体は、複数の層を有しており、
前記流路は、少なくとも複数の層のうち下から1層目より上方に位置していることを特徴とする請求項
2または5に記載の電子素子実装用基板。
【請求項12】
第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を有する電子素子実装用基板と、
前記実装領域に実装され、前記電極パッドと接続導体を介して電気的に接続された電子素子と、を備えており、
前記電子素子実装用基板は、側面視において、前記接続導体と重ならない内壁から、外部へと貫通した流路を有して
おり、
前記枠体は、前記第1上面に電極パッドを有する第1枠体と、前記第1枠体の第2上面に、前記電極パッドおよび前記実装領域を囲んで位置した第2枠体と、を有しており、
前記流路は、前記第2枠体の第3上面まで連続している電子装置。
【請求項13】
第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を有する電子素子実装用基板と、
前記実装領域に実装され、前記電極パッドと接続導体を介して電気的に接続された電子素子と、を備えており、
前記電子素子実装用基板は、側面視において、前記接続導体と重ならない内壁から、外部へと貫通した流路を有しており、
前記流路が複数位置しており、
それぞれの前記流路は断面視において、前記基板の下面からの高さが異なる電子装置。
【請求項14】
前記流路が複数位置しており、
それぞれの前記流路は断面視において、前記基板の下面からの高さが異なる請求項
12に記載の電子装置。
【請求項15】
前記流路が複数位置しており、
それぞれの前記流路は同じ形状である請求項
12~
14のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項16】
前記流路は、平面透視において前記基板の角部に端部を有する請求項
12~
15のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項17】
前記流路は、平面透視および/または断面視において、折れ曲がった部位を有しており、
前記
部位が曲面を有している請求項
12~
16のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項18】
平面透視において、前記基板、前記第1枠体および前記第2枠体のそれぞれの角部が重なっており、前記角部は切欠きを有しているとともに、前記流路の端部は前記切欠きに位置している請求項
12に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子素子等が実装される電子素子実装用基板、電子装置および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
絶縁層と配線層を含み、凹部を有する基板を備えた電子素子実装用基板が知られている。また、このような電子素子実装用基板は凹部から外部へ連通する流路を含む構造が知られている。(特開2007-128987号公報参照)。
【0003】
電子素子実装用基板は、その凹部に電子素子が実装され蓋体などで封止された電子装置を作製した後、電子装置内部の空気を例えば窒素等の適宜選択した基体に入れ替えるために流路からエアーの注入/排出を行う場合がある。近年、電子素子の端子はファイン化が進んでおり、電子素子と電子素子実装用基板とを電気的に接合するワイヤの径も小さくなっている。そのため、電子装置の流路を用いてエアーの注入/排出をする工程においてエアーの勢いでワイヤが撓み、隣接するワイヤ間のショートが発生する懸念があった。また、エアーの注入/排出の工程におけるエアーの圧力により、ワイヤと電子素子実装用基板の電極パッドとの接合強度の劣化が懸念されていた。
【0004】
また、流路はエアーの注入/排出をする場合の他に、電子装置を作成時において蓋体などを接合する工程において電子装置内部に水蒸気等がたまらないように排出だけを行う(エアーの注入排出を意図的に行わない)場合もある。この工程において、エアーを意図的に排出しないため、例えば流路内壁の高さ位置が電極の高さ位置と同一またはその近傍にあるとダスト等が流路から入った場合において、ダストが電極近傍に位置したまま、次の工程を迎えてしまう。その後、電子装置を外部機器に搭載した後、電子装置に外部から振動などが加わった場合、その電極近傍に位置したダストが移動し電極間をショートさせ動作不良を起こすことが懸念されていた。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つの態様に係る電子素子実装用基板は、第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、前記枠体の内壁から外部に向かって貫通した流路と、前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を備え、前記流路は、前記電極パッドよりも上方または下方に位置している。
【0006】
本開示の1つの態様に係る電子装置は、第1上面に電子素子が実装される実装領域を有する基板と、前記基板の前記第1上面に、前記実装領域を囲んで位置した枠体と、前記基板の前記第1上面または前記枠体の内表面に位置した電極パッドと、を有する電子素子実装用基板と、前記実装領域に実装され、前記電極パッドと接続導体を介して電気的に接続された電子素子と、を備えており、前記電子素子実装用基板は、側面視において、前記接続導体と重ならない内壁から、外部へと貫通した流路を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)は本開示の第1の実施形態に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図1(b)は
図1(a)のX1-X1線に対応する縦断面図である。
【
図2】
図2(a)は本開示の第2の実施形態に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図2(b)は
図2(a)のX2-X2線に対応する縦断面図である。
【
図3】
図3(a)は本開示の第2の実施形態のその他の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図3(b)は
図3(a)のX3-X3線に対応する縦断面図である。
【
図4】
図4(a)は本開示の第3の実施形態の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図4(b)は
図4(a)のX4-X4線に対応する縦断面図である。
【
図5】
図5は本開示の第4の実施形態の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図である。
【
図6】
図6(a)および(b)は本開示の第4の実施形態のその他の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の蓋体を省略した外観を示す上面図である。
【
図7】
図7(a)は本開示の第4の実施形態のその他の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図7(b)は
図7(a)のX7-X7線に対応する縦断面図である。
【
図8】
図8(a)は本開示の第4の実施形態のその他の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図8(b)は
図8(a)のX8-X8線に対応する縦断面図である。
【
図9】
図9(a)は本開示の第4の実施形態のその他の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図9(b)は
図9(a)のX9-X9線に対応する縦断面図である。
【
図10】
図10(a)は本開示の第5の実施形態の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図10(b)は
図10(a)のX10-X10線に対応する縦断面図である。
【
図11】
図11(a)は本開示の第5の実施形態の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図11(b)は
図11(a)のX11-X11線に対応する縦断面図である。
【
図12】
図12(a)は本開示の第6の実施形態の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図12(b)は
図12(a)のX12-X12線に対応する縦断面図である。
【
図13】
図13(a)は本開示の第6の実施形態のその他の態様に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図13(b)は
図13(a)のX13-X13線に対応する縦断面図である。
【
図14】
図14(a)および(b)は本開示の第6の実施形態のその他の態様に係る電子素子実装用基板を示す上面図である。
【
図15】
図15(a)および(b)は本開示の第6の実施形態のその他の態様に係る電子素子実装用基板を示す上面図である。
【
図16】
図16は本開示の第7の実施形態の態様に係る電子素子実装用基板を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<電子素子実装用基板および電子装置の構成>
以下、本開示のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、電子素子実装用基板に電子素子が実装された構成を電子装置とする。また、電子素子実装用基板の上面側に位置するようにまたは電子装置を囲んで設けられた筐体または部材を有する構成を電子モジュールとする。電子素子実装用基板、電子装置および電子モジュールは、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方とする。電子素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の撮像素子、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、圧力、気圧、加速度、ジャイロ等のセンサー機能を有する素子、または集積回路等のことを指す。
【0009】
(第1の実施形態)
図1を参照して本開示の第1の実施形態に係る電子素子実装用基板1、並びにそれを備えた電子装置20について説明する。なお、本実施形態では
図1では電子装置20を示している。
【0010】
電子素子実装用基板1は、第1上面20aに電子素子10が実装される実装領域4を有する基板2aを有する。基板2aの第1上面21に、実装領域4を囲んで位置した枠体2dを有する。電子素子実装用基板1は、枠体2dの内壁から、外部に向かって貫通した流路6を有している。基板2aの第1上面20aまたは枠体の内表面に位置した電極パッド3を有する。流路6は、電極パッド3よりも上方または下方に位置している。なお、枠体2dは、第1枠体2bと第2枠体2cを有していてもよい、枠体2dの内壁は段差を有していてもよく、その段差を境界として、第1枠体2bと第2枠体2cとすることができる。段差とは、第1枠体2bは、第2枠体2cよりも内側に突出しており、その第1枠体2bの上面である第2上面22に電極パッド3が位置していてもよい。
【0011】
ここで、実装領域4とは少なくとも1つ以上の電子素子10が実装される領域であり、例えば後述する電極パッド3の最外周の内側、蓋体が実装される領域、またはそれ以上等、適宜定めることが可能である。また、実装領域4に実装される部品は電子素子10に限らず、例えば電子部品であってもよく、電子素子10または/および電子部品の個数は指定されない。
【0012】
以下、基板2a、第1枠体2bおよび第2枠体2cを合わせたものを基体2と称する。
【0013】
図1に示す例では、基板2a、枠体2d(第1枠体2bおよび第2枠体2c)からなる基体2は複数の絶縁層で構成されているが、例えばモールドで形成された構成、金型等の押圧で形成された構成またはその他、1層のみの構成等であってもよい。基体2を構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂が含まれる。
【0014】
基体2を形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等が含まれる。基板2を形成する絶縁層の材料として使用される樹脂としては例えば、熱可塑性の樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が含まれる。フッ素系樹脂としては例えば、四フッ化エチレン樹脂が含まれる。
【0015】
基体2は、
図1に示すように7層の絶縁層から形成されていてもよいし、6層以下または8層以上の絶縁層から形成されていてもよい。絶縁層が6層以下の場合には、電子素子実装用基板1の薄型化を図ることができる。また、絶縁層が8層以上の場合には、電子素子実装用基板1の剛性を高めることができる。
【0016】
電子素子実装用基板1は例えば、最外周の1辺の大きさは0.3mm~10cmであり、平面視において電子素子実装用基板1が四角形状あるとき、正方形であってもよいし長方形であってもよい。また例えば、電子素子実装用基板1の厚みは0.2mm以上である。
【0017】
電子素子実装用基板1は、枠体2d(第1枠体2bの第2上面22または第2枠体2c)の内表面に位置した電極パッド3を有する。ここで、電極パッド3は、例えば電子素子10と電気的に接続されるパッドを指している。
【0018】
また、電子素子実装用基板1の基体2の上面、側面または下面には、外部回路接続用電極が設けられていてもよい。外部回路接続用電極は、基体2と外部回路基板、あるいは電子装置20と外部回路基板とを電気的に接続していてもよい。
【0019】
さらに基体2の上面または下面には、電極パッド3または/および外部回路接続用電極以外に、絶縁層間に形成される電極、内部配線導体および内部配線導体同士を上下に接続する貫通導体が設けられていてもよい。これら電極、内部配線導体または貫通導体は、基体2の表面に露出していてもよい。この電極、内部配線導体または貫通導体によって、電極パッド3または/および外部回路接続用電極はそれぞれ電気的に接続されていてもよい。
【0020】
電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体は、基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等が含まれる。また、銅(Cu)のみからなっていてもよい。また、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体は、複数の層が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等が含まれる。
【0021】
電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体の露出表面に、さらにめっき層を有していてもよい。この構成によれば、外部回路接続用の電極、導体層および貫通導体の露出表面を保護して酸化を低減することができる。また、この構成によれば、電極パッド3と電子素子10と、をワイヤ等の接続導体13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5μm~10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5μm~3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
【0022】
電子素子実装用基板1の第1枠体2bは、基板2aと第1枠体2bとの間に、第1枠体の内壁から、外部に向かって貫通した流路6を有している。
【0023】
電子素子実装用基板は、その凹部に電子素子が実装され蓋体などで封止された電子装置を作製した後、電子装置内部の空気を例えば窒素等の適宜選択した基体に入れ替えるために流路からエアーの注入/排出を行う場合がある。近年、電子素子の端子はファイン化が進んでおり、電子素子と電子素子実装用基板とを電気的に接合するワイヤの径も小さくなっている。そのため、電子装置の流路を用いてエアーの注入/排出をする工程においてエアーの勢いでワイヤが撓み、隣接するワイヤ間のショートが発生する懸念があった。また、エアーの注入/排出の工程におけるエアーの圧力により、ワイヤと電子素子実装用基板の電極パッドとの接合強度の劣化が懸念されていた。
【0024】
これに対し、本実施形態では電子素子実装用基板1は基板2aと第1枠体2bとの間であって、第1枠体2bの内壁から、外部に向かって貫通した流路6を有している。言い換えると、流路6の開口部の一端は断面視において電極パッド3よりも下方に位置している。これにより、流路6を用いてエアーの注入/排出をする工程において、エアーが直接ワイヤ13に当たることを低減させることが可能となる。よって、エアーの勢いでワイヤ13が撓み、隣接するワイヤ間のショートが発生することを低減させることが可能となる。よって、電子装置20の歩留まり低下を低減させることが可能となる。
【0025】
また、流路はエアーの注入/排出をする場合の他に、電子装置を作製時において蓋体などを接合する工程において電子装置内部に水蒸気等がたまらないように排出だけを行う(エアーの注入排出を意図的に行わない)場合もある。この工程において、エアーを意図的に排出しないため、例えば流路が電極と同一またはその近傍にあるとダスト等が流路から入った場合において、ダストが電極近傍に位置したまま、次の工程を迎えてしまう。その後、電子装置を外部機器に搭載した後、電子装置に外部から振動などが加わった場合、その電極近傍に位置したダストが移動し電極間をショートさせ動作不良を起こすことが懸念されていた。
【0026】
これに対し、本実施形態では流路6の開口部の一端は断面視において電極パッド3よりも下方に位置していることで、流路6から入ったダストが電極パッド3近傍に付着し難くなる。よって、電子装置20が外部から振動が加わった場合でも、ダストが複数の電極パッド3の間に付着し複数の電極パッド3間のショートを発生させることを低減させることが可能となる。よって、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。
【0027】
電子素子実装用基板1は、電極パッド3は第2枠体2cよりも内側に位置しており、実装領域4は電極パッド3よりも内側に位置している。言い換えると、電子素子実装用基板1は電極パッド3と実装領域4に実装される電子素子10とは上面視で重なっておらず、さらに、電極パッド3は第1枠体2bの第2上面22に位置している。これにより、電極パッド3の下方であって、上面視で流路6の端部が電極パッド3の端部よりも内側に位置させることが可能なる。よって、本実施形態の効果をより向上させることが可能となる。また、電極パッド3が第1枠体2bの第2上面22に位置していることで、実装領域4に実装される電子素子10の上面と電極パッド3との断面視における位置が同程度の高さ位置とすることが可能となる。よって、ワイヤ13の長さを短くすることが可能となる。これにより、電気特性の向上が可能となる。さらに、ワイヤ13の長さが短いことで流路6を用いたエアーの注入/排出をする工程において、ワイヤ13の撓み量を低減させることが可能となる。よって、隣り合う電極パッド3同士のワイヤ13同士が接触することを低減させることが可能となり、本実施形態の効果を向上させることが可能となる。
【0028】
第1枠体2bと第2枠体2cは上面視で重なって位置していてもよいし、第1枠体2bまたは第2枠体2cの枠体の内縁は上面視で第2枠体2cまたは第1枠体2bの内縁よりも内側に位置していてもよい。これらどのような場合においても、第1枠体2bの第2上面22または上方に電極パッド3が位置し、第1枠体2bの第2上面22と基板2aとの間に流路6の端部が位置していることで本実施形態の効果を奏することは可能となる。
【0029】
電子素子実装用基板1の第1枠体2bは、複数の層を有しており、断面視において流路6の厚みは、少なくとも複数の層の1層分の厚みであってもよい。これにより、よりスムーズにエアーの注入/排出が可能となる。よって、出力を大きくすることなくエアーの注入/排出を行うことが可能となるため、ワイヤ13の撓み量を小さくすることが可能となり、また、ダストの混入を低減させることが可能となる。
【0030】
<電子装置の構成>
図1に電子装置20の例を示す。電子装置20は、電子素子実装用基板1と、電子素子実装用基板1の上面に実装された電子素子10を備えている。
【0031】
電子装置20は、電子素子実装用基板1と、電子素子実装用基板1の基板2aの実装領域4に実装された電子素子10を有している。電子素子10の一例としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の撮像素子、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、圧力、気圧、加速度、ジャイロ等のセンサー機能を有する素子、または集積回路等である。なお、電子素子10は、接着材を介して、基板2aの第1上面21に配置されていてもよい。この接着材は、例えば、銀エポキシまたは熱硬化性樹脂等が使用される。
【0032】
電子素子10と電子素子実装用基板1とは例えばワイヤ13で電気的に接続されていてもよい。
【0033】
電子装置20は、電子素子10を覆うとともに、電子素子実装用基板1の上面に接合された蓋体12を有していてもよい。
【0034】
蓋体は、例えば電子素子10がCMOS、CCD等の撮像素子、またはLEDなどの発光素子である場合ガラス材料等の透明度の高い部材が用いられる。また蓋体は例えば、電子素子10が集積回路等であるとき、金属製材料、セラミック材料または有機材料が用いられていてもよい。
【0035】
蓋体は、蓋体接続部材14を介して電子素子実装用基板1と接合していてもよい。蓋体接続部材14を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分からなるろう材等がある。
【0036】
ここで流路6はエアーを注入/排出する工程または蓋体12を接合する工程が終わった後は、例えば樹脂等で外部に位置する端部を埋めていてもよい。これにより、エアーを注入/排出する工程または蓋体12を接合する工程以降に流路からダストが混入することを低減させることが可能となる。またこのとき、流路6の内壁に金属層を塗布しておくことで例えばろう材等を用いて封止を行うことも可能である。
【0037】
また、流路6は電子装置20を作製する工程の後も開放していてもよい。これにより、電子装置20が外部機器に接続され、実際に使用者が使用する段階で例えば気圧の変動または温度の変動などによる電子装置20内部の水分の量を調節することが可能となる。
【0038】
電子装置20が
図1に示すような電子素子実装用基板1を有することで、流路6にエアーを注入/排出する工程において隣り合うワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させることが可能となる。その結果、電子装置20の歩留まり低下が可能となる。また、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なり、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。
【0039】
<電子モジュールの構成>
本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20は、電子装置20と電子装置20の上面または電子装置20上に位置した筐体32とを有した電子モジュール31を構成していてもよい。なお、以下に示す例では説明のため撮像モジュールを例に説明する。ここで、電子装置20の上面に位置した筐体32とは、例えば電子装置20自体が筐体32で覆われている場合なども、筐体32の一部が電子装置20上に位置しているため、本構成に含まれる。
【0040】
電子モジュール31は筐体32(レンズホルダー等)を有していてもよい。筐体32を有することでより気密性の向上または外部からの応力が直接電子装置20に加えられることを低減することが可能となる。筐体32は、例えば樹脂または金属材料等から成る。また、筐体32がレンズホルダーであるとき筐体32は、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなるレンズが1個以上組み込まれていてもよい。また、筐体32は、上下左右の駆動を行う駆動装置等が付いていて、電子素子実装用基板1の表面に位置するパッド等と半田などの接合材を介して電気的に接続されていてもよい。
【0041】
なお、筐体32は上面視において4方向または下面側の少なくとも一つの辺において開口部が設けられていてもよい。そして、筐体32の開口部から外部回路基板が挿入され電子素子実装用基板1と電気的に接続していてもよい。また筐体32の開口部は、外部回路基板が電子素子実装用基板1と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて電子モジュール31の内部が気密されていてもよい。
【0042】
電子モジュール31が電子素子実装用基板1を有することで、電子装置20が振動し、ダストが移動することで発生する誤作動を低減させることが可能となり、電子モジュール31が作動する際に動作不良を起こすことを低減させることが可能となる。
【0043】
<電子素子実装用基板および電子装置の製造方法>
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、多数個取り配線基板を用いた基体2の製造方法である。
【0044】
(1)まず、基体2(基板2a、第1枠体2bおよび第2枠体2c)を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体である基体2を得る場合には、Al2O3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、ドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0045】
なお、基体2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法、インジェクションモールド法または金型等での押圧等で成形することによって基体2を形成することができる。また、基体2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって基体2を形成できる。
【0046】
(2)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。ここで第1枠体2bと第2枠体2cに開口部を形成する。また、基体2がノッチ等を有する場合、基体2となるグリーンシートの所定の箇所に、ノッチ等を同様に形成してもよい。また、この工程において、第1枠体2bまたは第2枠体2cとなるグリーンシートに金型またはレーザー等を用いて流路6となる貫通孔を形成してもよい。
【0047】
(3)次に基体2の各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧する。このことにより各絶縁層となるグリーンシートを積層し、基体2(電子素子実装用基板1)となるセラミックグリーンシート積層体を作製してもよい。なお、この時適宜切欠き部等となる部分を金型などで作製してもよい。
【0048】
(4)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)~(3)の工程で得られたセラミックグリーンシートまたセラミックグリーンシート積層体に電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体、内部貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、基体2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。
【0049】
また、基体2が樹脂から成る場合には、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体および貫通導体は、スパッタ法、蒸着法等によって作製することができる。また、表面に金属膜を設けた後に、めっき法を用いて作製してもよい。
【0050】
(5)次にグリーンシートの所定の位置に、金型、パンチング、またはレーザー等を用いて分割溝を設けてもよい。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。
【0051】
(6)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500℃~1800℃の温度で焼成して、基体2(電子素子実装用基板1)が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、基体2(電子素子実装用基板1)となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体および貫通導体となる。
【0052】
(7)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の基体2(電子素子実装用基板1)に分断する。この分断においては、基体2(電子素子実装用基板1)の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に(5)の工程で分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法がある。また、(5)の工程を行わずスライシング法等により基体2(電子素子実装用基板1)の外縁となる箇所に沿って切断する方法もあるなお、上述した多数個取り配線基板を複数の基体2(電子素子実装用基板1)に分割する前もしくは分割した後に、それぞれ電解または無電解めっき法を用いて、電極パッド3、外部接続用パッドおよび露出した配線導体にめっきを被着させてもよい。
【0053】
(8)次に、電子素子実装用基板1に電子素子10を実装する。電子素子10はワイヤ13で電子素子実装用基板1と電気的に接合させる。またこのとき、電子素子10または電子素子実装用基板1に接着材等を設け、電子素子実装用基板1に固定しても構わない。また、電子素子10を電子素子実装用基板1に実装した後、蓋体12を蓋体接合部材14で接合してもよい。なおこの時、蓋体12を接合した後、流路6を用いて電子装置20内部に適宜選択したエアーを注入/排出を行ってもよい。
【0054】
以上(1)~(7)の工程のようにして電子素子実装用基板1を作製し、電子素子10を実装することで、電子装置20を作製することができる。なお、上記(1)~(8)の工程順番は加工可能な順番であれば指定されない。また上記した工程以外でも例えば3Dプリンター等を用いることでも作製することが可能となる。
【0055】
(第2の実施形態)
図2および
図3を参照して本開示の第2の実施形態に係る電子素子実装用基板1、並びにそれを備えた電子装置20について説明する。なお、本実施形態では
図2および
図3に電子装置20を示している。
【0056】
電子素子実装用基板1は、上面に電子素子10が実装される実装領域4を有する基板2aを有する。基板2aの第1上面21に、実装領域4を囲んで位置する第1枠体2bを有する。基板2aの第1上面21または第1枠体2bの第2上面22に位置した電極パッド3を有する。第1枠体2bの第2上面22に、電極パッド3および実装領域4を囲んで位置した第2枠体2cを有する。第2枠体2cは、電極パッド3よりも上方において、第2枠体2cの内壁から外部に向かって貫通した流路6を有している。
【0057】
ここで、電子モジュール31の構造、電子装置20の構造、並びに電子素子実装用基板1を構成する基体2(基板2a、第1枠体2b、第2枠体2c)、電極パッド3の材料・被膜、電子素子10、およびその他、基体2の基本的な材料/条件/構成は第1の実施形態と類似であるため説明は省略する。以下、第2の実施形態における特徴部分について説明をする。
【0058】
電子素子実装用基板1は基板2aの第1上面21または第1枠体2bの第2上面22に位置した電極パッド3を有する。電子素子実装用基板1は
図2に示す例のように第1枠部2aの上面に電極パッド3が位置していてもよいし、
図3に示す例のように基板2aの第1上面21に位置していてもよい。電子素子実装用基板1は
図2に示す例のように第1枠部2aの上面に電極パッド3が位置していることで、実装領域4に実装される電子素子10の上面と電極パッド3との断面視における位置が同程度の高さ位置とすることが可能となる。また、電子素子実装用基板1は
図3に示す例のように基板2aの第1上面21に位置していることで、基体2の構造が容易となり歩留まりが向上するとともに、ワイヤ13の高さを低く抑えることが可能となり、低背化が可能となる。
【0059】
電子素子実装用基板1は、第1枠体2bの第2上面22に、電極パッド3および実装領域4を囲んで位置した第2枠体2cを有する。ここで、第2枠体2cは電極パッド3が第1枠体2bの第2上面22に位置している時は、
図2に示すようにその内縁は第1枠体2bの内縁よりも上面視において外側に位置していることを示す。また、第2枠体2cは電極パッド3が基板2aの第1上面21に位置している時は、
図3に示すようにその内縁は第1枠体2bの内縁と上面視において重なる位置に位置していてもよいし、その内縁は第1枠体2bの内縁よりも上面視において内側に位置していてもよい。
【0060】
電子素子実装用基板1は、第2枠体2cは、電極パッド3よりも上方において、第2枠体2cの内壁から外部に向かって貫通した流路6を有している。
【0061】
電子素子実装用基板は、その凹部に電子素子が実装され蓋体などで封止された電子装置を作製した後、電子装置内部の空気を例えば窒素等の適宜選択した基体に入れ替えるために流路からエアーの注入/排出を行う場合がある。近年、電子素子の端子はファイン化が進んでおり、電子素子と電子素子実装用基板とを電気的に接合するワイヤの径も小さくなっている。そのため、電子装置の流路を用いてエアーの注入/排出をする工程においてエアーの勢いでワイヤが撓み、隣接するワイヤ間のショートが発生する懸念があった。また、エアーの注入/排出の工程におけるエアーの圧力により、ワイヤと電子素子実装用基板の電極パッドとの接合強度の劣化が懸念されていた。
【0062】
これに対し、本実施形態では電子素子実装用基板1は電極パッド3が基板2aまたは第1枠体2bの第2上面22に位置しており、第2枠体2cの内壁から外部に向かって貫通した流路6を有している。言い換えると、流路6の開口部の一端は断面視において電極パッド3よりも上方に位置している。これにより、流路6を用いてエアーの注入/排出をする工程において、エアーが直接ワイヤ13に当たることを低減させる、またはエアーがワイヤ13に当たる面積を低減させることが可能となる。よって、エアーの勢いでワイヤ13が撓み、隣接するワイヤ間のショートが発生することを低減させることが可能となる。よって、電子装置20の歩留まり低下を低減させることが可能となる。さらに、本実施形態の構造であると、電極パッド3とワイヤ13との接合部に応力がかかることを低減させることが可能となる。よって、エアーからの応力で電極パッド3とワイヤ13との接合強度が低下することを低減させることが可能となる。
【0063】
また、流路はエアーの注入/排出をする場合の他に、電子装置を作成時において蓋体などを接合する工程において電子装置内部に水蒸気等がたまらないように排出だけを行う(エアーの注入排出を意図的に行わない)場合もある。この工程において、エアーを意図的に排出しないため、例えば流路が電極と同一またはその近傍にあるとダスト等が流路から入った場合において、ダストが電極近傍に位置したまま、次の工程を迎えてしまう。その後、電子装置を外部機器に搭載した後、電子装置に外部から振動などが加わった場合、その電極近傍に位置したダストが移動し電極間をショートさせ動作不良を起こすことが懸念されていた。
【0064】
これに対し、本実施形態では流路6の開口部の一端は断面視において電極パッド3よりも上方に位置していることで、流路6から入ったダストが電極パッド3近傍に付着し辛くなる。よって、電子装置20が外部から振動が加わった場合でも、ダストが複数の電極パッド3の間に付着し複数の電極パッド3間のショートを発生させることを低減させることが可能となる。よって、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。
【0065】
電子素子実装用基板1の、電極パッド3は第2枠体2cよりも内側に位置しており、実装領域4は電極パッド3よりも内側に位置している。言い換えると、電子素子実装用基板1の電極パッド3と実装領域4に実装される電子素子10とは上面視で重なっておらず、さらに、電極パッド3は第1枠体2bの第2上面22に位置している。これにより、電極パッド3の上方であって、上面視で流路6の端部が電極パッド3の端部よりも内側に位置させることが可能なる。電子素子実装用基板1は
図2に示す例のように第1枠部2aの上面に電極パッド3が位置していることで、実装領域4に実装される電子素子10の上面と電極パッド3との断面視における位置が同程度の高さ位置とすることが可能となる。さらに、ワイヤ13の長さが短いことで流路6を用いたエアーの注入/排出をする工程において、ワイヤ13の撓み量を低減させることが可能となる。よって、隣り合う電極パッド3同士のワイヤ13同士が接触することを低減させることが可能となり、本実施形態の効果を向上させることが可能となる。
【0066】
また、電子素子実装用基板1は
図3に示す例のように基板2aの第1上面21に位置していることで、基体2の構造が容易となり歩留まりが向上するとともに、ワイヤ13の高さを低く抑えることが可能となり、低背化が可能となる。さらに、ワイヤ13の高さを低く抑えることが可能となることで、流路6とワイヤ13とが断面視で同程度の高さとなる部分の面積を低減させることが可能となる。よって、エアーの注入/排出においてワイヤ13に直接あたる面積を低減させることが可能となり、本実施形態の効果をより向上させることが可能となる。
【0067】
電子素子実装用基板1の第2枠体2cは、複数の層を有しており、流路6は、少なくとも複数の層のうち下から1層目より上方に位置していてもよい。これにより、断面視において電極パッド3からの距離をより大きくすることが可能となる。よって、流路6を用いてエアーの注入/排出をする工程において、エアーが直接ワイヤ13に当たることを低減させる、またはエアーがワイヤ13に当たる面積を低減させることが可能となる。したがって、本実施形態の効果をより向上させることが可能となる。
【0068】
電子素子実装用基板1の第2枠体2cは、複数の層を有しており、断面視において流路6の厚みは、少なくとも複数の層の1層分の厚みであってもよい。これにより、よりスムーズにエアーの注入/排出が可能となる。よって、出力を大きくすることなくエアーの注入/排出を行うことが可能となるため、ワイヤ13の撓み量を小さくすることが可能となり、また、ダストの混入を低減させることが可能となる。
【0069】
<電子素子実装用基板および電子装置の製造方法>
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法の一例について説明する。本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法は基本的には第1の実施形態に記載の製造方法と類似である。本実施形態の電子素子実装用基板1の製造方法としては、第1の実施形態に記載の工程において電極パッド3を設ける位置が異なる点と、流路6となる部分を作成する箇所を変更することで、作製することができる。
【0070】
(第3の実施形態)
図4を参照して本開示の第3の実施形態に係る電子素子実装用基板1、並びにそれを備えた電子装置20について説明する。なお、本実施形態では
図4電子装置20を示している。
【0071】
電子素子実装用基板1は、電子装置20は、電子素子実装用基板1と電子素子実装用基板1の実装領域4に実装され、電極パッド3とワイヤ13を介して電気的に接続された電子素子10を有している。電子素子実装用基板1は上面に電子素子10が実装される実装領域4を有する基板2aを有する。電子素子実装用基板1は基板2aの第1上面21に、実装領域4を囲んで位置するとともに、上面に電極パッド3を有する第1枠体2bを有する。電子素子実装用基板1は第1枠体2bの第2上面22に、電極パッド3および実装領域4を囲んで位置した第2枠体2cを有する。電子素子実装用基板1は電子素子実装用基板1の内壁に、側面視おいて、ワイヤ13と重ならない位置に、外部に向かって貫通した流路6を有している。
【0072】
ここで、電子素子実装用基板1を構成する基体2(基板2a、第1枠体2b、第2枠体2c)、電極パッド3の材料・被膜、電子素子10、およびその他、基体2の基本的な材料/条件/構成は第1の実施形態と類似であるため説明は省略する。以下、第3の実施形態における特徴部分について説明をする。
【0073】
電子装置20は電子素子実装用基板1の内壁に、側面視において、ワイヤ13と重ならない位置に、外部に向かって貫通した流路6を有している。
【0074】
電子装置は、電子装置内部の空気を例えば窒素等の適宜選択した基体に入れ替えるために流路からエアーの注入/排出を行う場合がある。近年、電子素子の端子はファイン化が進んでおり、電子素子と電子素子実装用基板とを電気的に接合するワイヤの径も小さくなっている。そのため、電子装置の流路を用いてエアーの注入/排出をする工程においてエアーの勢いでワイヤが撓み、隣接するワイヤ間のショートが発生する懸念があった。また、エアーの注入/排出の工程におけるエアーの圧力により、ワイヤと電子素子実装用基板の電極パッドとの接合強度の劣化が懸念されていた。
【0075】
これに対し、本実施形態では電子素子実装用基板1は電子素子実装用基板1の内壁に、側面視において、ワイヤ13と重ならない内壁から、外部に向かって貫通した流路6を有している。これにより、流路6を用いてエアーの注入/排出をする工程において、エアーが直接ワイヤ13に当たることを低減させることが可能となる。よって、エアーの勢いでワイヤ13が撓み、隣接するワイヤ間のショートが発生することを低減させることが可能となり、電子装置20の歩留まり低下を低減させることが可能となる。さらに、本実施形態の構造であると、電極パッド3とワイヤ13との接合部に応力がかかることを低減させることが可能となる。よって、エアーからの応力で電極パッド3とワイヤ13との接合強度が低下することを低減させることが可能となる。また、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なり、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。
【0076】
ここで流路6はエアーを注入/排出する工程または蓋体12を接合する工程が終わった後は、例えば樹脂等で外部に位置する端部を埋めていてもよい。これにより、エアーを注入/排出する工程または蓋体12を接合する工程以降に流路からダストが混入することを低減させることが可能となる。またこの時、流路6の内壁に金属層を塗布しておくことで例えばろう材等を用いて封止を行うことも可能である。
【0077】
また、流路6は電子装置20を作製する工程の後も開放していてもよい。これにより、電子装置20が外部機器に接続され、実際に使用者が使用する段階で例えば気圧の変動または温度の変動などによる電子装置20内部の水分の量を調節することが可能となる。
【0078】
<電子素子実装用基板および電子装置の製造方法>
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法の一例について説明する。本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法は基本的には第1の実施形態に記載の製造方法と類似である。本実施形態の電子素子実装用基板1の製造方法としては、第1の実施形態に記載の工程において流路6となる部分を作成する箇所を変更することで、作製することができる。もしくは、第1実施形態の電子素子10を実装する工程において、ワイヤ13の高さを側面視で流路6と重ならない位置の高さになるように調整することでも作製することが可能となる。
【0079】
(第4の実施形態)
図5~
図9を参照して本開示の第4の実施形態における電子装置20、および電子素子実装用基板1について説明する。なお、第4実施形態は上述した第1~第3の実施形態のいずれにも展開できる内容であり、それぞれの構成の組み合わせは、矛盾をきたさない範囲であれば各実施形態で対応可能である。
【0080】
本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1~第3の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、平面透視で電極パッド3と流路6とが重ならない位置に位置している点、流路6が平面透視で折れ曲がった形状をしている点である。
【0081】
図5および
図6に示す例では、電極パッド3と流路6とは重ならずに位置している。言い換えると、流路6の一端の近傍(仮想垂線上)に電極パッド3は位置していない構造である。このような構成であっても、本開示の効果を奏することが可能であり、流路6にエアーを注入/排出する工程において隣り合うワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させること、および、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。よって、電子素子実装用基板1の歩留まりを向上させつつ、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。また、
図5および
図6に示す例のように流路6の一端の近傍(仮想垂線上)に電極パッド3は位置していない構造であると、仮に流路6からダストが入ってきた場合においても流路6の一端が電極パッド3から離れて位置していることで、ダストが電極パッド3に付着または複数の電極パッド3間をショートさせるように付着することを低減させることが可能となる。よって、本開示の効果をより向上させることが可能となる。また、流路6の一端の近傍(仮想垂線上)に電極パッド3は位置していない構造であることで、エアーの注入/排出時にエアーが電極パッド3に当たることを低減させることが可能となる。これにより、電極パッド3の表面がエアーに含まれる微細なダストで傷がつき表面を被膜していためっき被膜が剥離することを低減させることが可能となる。よって、めっき被膜が剥離した箇所から電極パッド3が劣化・腐食することを低減させることが可能となる。
【0082】
図6に示す例では、流路6は、平面透視において、折れ曲がった形状を有しており、折れ曲がった箇所が曲面を有している。また、
図7~
図9は流路6が折れ曲がった形状を有している場合の各箇所の断面図の参考図である。これにより、流路6の外部側の端部からダストが入った場合においても、流路6の折れ曲がった個所でダストをトラップすることが可能となり、流路6の内側の端部または電子装置20の内部までダストが移動することを低減させることが可能となる。したがって、ダストが電極パッド3に付着または複数の電極パッド3間をショートさせるように付着することを低減させることが可能となる。よって、本開示の効果をより向上させることが可能となる。また、
図6に示す例では、流路6の折れ曲がった個所は曲面を有している。これにより、例えばエアーの注入/排出をする工程において、折れ曲がった個所を有していても、エアーによって飛ぶ屑等が折れ曲がった個所で停滞せずに、よりスムーズにエアーの注入/排出または屑の排出が可能となる。これにより、出力を大きくすることなくエアーの注入/排出を行うことが可能となるため、ワイヤ13の撓み量を小さくすることが可能となり、また、ダストの混入を低減させることが可能となる。よって、ワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させること、および、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。また、流路6の折れ曲がった個所は曲面を有していることで、例えば基体2がセラミック材料からなるとき流路6をセラミックグリーンシートで作製する工程においてセラミックグリーンシートにクラックが発生することを低減させることが可能となる。よって、電子素子実装用基板1の工程歩留まりを向上させることが可能となる。また、基体2を作成する工程で発生した微細なクラックが、電子装置20を使用している間に進行することで内部配線にマイグレーションが発生し電子装置20の誤作動が発生することを低減させることが可能となる。また、流路6の折れ曲がった個所は曲面を有していることで、エアーの注入/排出の工程において、エアー圧力による応力集中を緩和することが可能となる。よって、基体2にクラックが発生することを低減させることが可能となる。
【0083】
ここで、平面透視における流路6の折れ曲がり部は、
図5および
図6では2か所位置しているが、1か所または3か所以上であってもよい。折れ曲がり部が3か所以上あることで折れ曲がり部においてダストをトラップする効果をより向上させることが可能となる。また、折れ曲がり部が1か所であることで、流路6を作製する工程における第1枠体2bまたは第2枠体2cに係るストレスを低減させることが可能となり、微細なクラックの発生を低減させることが可能となる。
【0084】
図6に示す例では、流路6は、平面透視において第1枠体2bまたは第2枠体2cの角部に端部を有している。このような構成であっても、本開示の効果を奏することが可能であり、流路6にエアーを注入/排出する工程において隣り合うワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させること、および、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。よって、電子素子実装用基板1の歩留まりを向上させつつ、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。また、例えば基体2がセラミック材料からなるとき流路6をセラミックグリーンシートで作製する工程において流路6の第1枠体2bまたは第2枠体2c側の端部において、セラミックグリーンシートにクラックが発生することを低減させることが可能となる。よって、電子素子実装用基板1の工程歩留まりを向上させることが可能となる。また、基体2を作成する工程で発生した微細なクラックが電子装置20を使用している間に進行することで内部配線にマイグレーションが発生し電子装置20の誤作動が発生することを低減させることが可能となる。
【0085】
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法の一例について説明する。本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法は基本的には第1~第3の実施形態に記載の製造方法と類似である。本実施形態の電子素子実装用基板1の製造方法としては、第1の実施形態に記載の工程において流路6となる部分を作成する際に金型の形状および打ち抜く位置を変更することで作製することが可能となる。
【0086】
(第5の実施形態)
図10および
図11を参照して本開示の第5の実施形態における電子装置20、および電子素子実装用基板1について説明する。なお、第5実施形態は上述した第1~第3の実施形態のいずれにも展開できる内容であり、それぞれの構成の組み合わせは各実施形態で対応可能である。
【0087】
本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1~第3の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、流路6の端部が第2枠体2cの第3上面23に位置している点、流路6が断面視で折れ曲がった形状をしている点である。
【0088】
図10および
図11に示す例では、流路6は、第2枠体2cの第3上面23まで連続している。このような構成であっても、本開示の効果を奏することが可能であり、流路6にエアーを注入/排出する工程において隣り合うワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させること、および、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。また、流路6の外部側の端部が第2枠体2cの第3上面23まで連続していることで、電子装置20を作製する工程において蓋体12を接合する工程と同じ工程でエアーの注入/排出および流路6の封止が可能となる。よって、電子装置20を作製する工程を簡略化することができる。また、工程を簡略化することで電子素子実装用基板1または電子装置20を移載/ハンドリングの回数を低減させることが可能となり、その間におけるダストの発生及びダストが流路6から混入することを低減させることが可能となる。よって、本開示の効果をより向上させることが可能となる。
【0089】
図11に示す例では、流路6は、断面視において、折れ曲がった形状を有しており、折れ曲がった箇所が曲面を有している。これにより、流路6の外部側の端部からダストが入った場合においても、流路6の折れ曲がった個所でダストをトラップすることが可能となり、流路6の内側の端部または電子装置20の内部までダストが移動することを低減させることが可能となる。したがって、ダストが電極パッド3に付着または複数の電極パッド3間をショートさせるように付着することを低減させることが可能となる。また、流路6の折れ曲がった個所は曲面を有している。これにより、例えばエアーの注入/排出をする工程において、折れ曲がった個所を有していても、エアーが折れ曲がった個所でエアーの流れが折り曲がったところでも停滞することなく、よりスムーズにエアーの注入/排出が可能となる。これにより、エアー出力を大きくすることなくエアーの注入/排出を行うことが可能となるため、ワイヤ13の撓み量を小さくすることが可能となり、また、ダストの混入を低減させることが可能となる。
【0090】
ここで、断面視における流路6の折れ曲がり部は、
図10および
図11では1か所位置しているが、2か所以上であってもよい。折れ曲がり部が2か所以上あることで折れ曲がり部においてダストをトラップする効果をより向上させることが可能となる。また、流路6の折れ曲がり部は第4実施形態のように、平面透視における折れ曲がり部も併せて有し、立体的に複雑な形状となっていてもよい。このばあい、よりダストのトラップの効果を向上させることが可能となる。
【0091】
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法の一例について説明する。本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法は基本的には第1~第3の実施形態に記載の製造方法と類似である。本実施形態の電子素子実装用基板1の製造方法としては、第1の実施形態に記載の工程において流路6となる部分を作成する際に金型の形状および打ち抜く位置を変更することで作製することが可能となる。また、Z軸方向に延びる流路6については、例えば貫通導体を作製する工程と同様に、基体2の各絶縁層を金型等で貫通孔を設けた複数の絶縁層を積層することで作製することが可能となる。また、このような基体2を作製する方法としては3Dプリンターを用いることでより容易に作成することも可能となる。
【0092】
(第6の実施形態)
図12~
図15を参照して本開示の第6の実施形態における電子装置20、および電子素子実装用基板1について説明する。ここで、
図12および
図13は本実施形態における電子装置20を示しており、
図14および
図15は本実施形態における電子素子実装用基板1を示している。なお、第6実施形態は上述した第1~第3の実施形態のいずれにも展開できる内容であり、それぞれの構成の組み合わせは各実施形態で対応可能である。
【0093】
本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1~第3の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、流路6が複数位置している点、複数の流路6の断面視における位置が異なる点、流路6の形状が異なる点である。
【0094】
図12~
図15に示す例では、流路6は複数位置している。このような構成であっても、本開示の効果を奏することが可能であり、流路6にエアーを注入/排出する工程において隣り合うワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させること、および、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。よって、電子素子実装用基板1の歩留まりを向上させつつ、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。また、電子素子実装用基板1が複数の流路6を有していることで、たとえばエアーの注入/排出を一度に行うことが可能となる。よって、電子装置20を作製する工程を簡略化することができ、ダストなどが混入することを低減させることが可能となる。また、工程を簡略化することで電子素子実装用基板1または電子装置20を移載/ハンドリング/回転などの回数を低減させることが可能となり、その間におけるダストの発生及びダストが流路6から混入することを低減させることが可能となる。よって、本開示の効果をより向上させることが可能となる。
【0095】
図12に示す例のように、流路6が複数位置しているとき、それぞれの流路6は平面透視において向かい合うように位置していてもよい。この構造において、エアーの注入/排出の際の流速を早くすることで、蓋体12と基板2aと第1枠体2bと第2枠体2cからなる空間を減圧することが可能となる。よって、蓋体12と基板2aと第1枠体2bと第2枠体2cからなる空間のダスト除去が容易となる。これにより、本開示の効果をより向上させることが可能となる。
【0096】
図13に示す例では、流路6が複数位置しており、それぞれの流路6は断面視において、基板2aの下面からの高さが異なっている。複数の流路6が断面視において基板2aの下面からの高さが異なっていることで、例えばエアーの注入/排出のとき、エアーの注入を基板2aの下面からの高さが高い流路6で行い、排出を基板2aの下面からの高さが低い流路6で行うことでエアーを注入する際に混入したダストを、エアーを排出のための吸引の力で少なくとも基板2aの第1上面21に落とすことが可能となる。よって、ダストが電極パッド3の近傍に位置することを低減させることが可能となり、ダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。よって、電子素子実装用基板1の歩留まりを向上させつつ、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。
【0097】
また、これらの流路6を用いてエアーの注入/排出を行うにおいて、それぞれの流路の基板2aの下面からの高さがことなっていることで、基板2a、第1枠体2bおよび第2枠体2cで形成される凹部の上面から下面までの全体の空気を入れ替えが容易となる。これにより、エアーの注入/排出の出力を大きくすることなく、かつ、その時間を小さくすることが可能となるため、ワイヤ13の撓み量を小さくすることが可能となり、また、ダストの混入を低減させることが可能となる。よって、ワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させること、および、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。
【0098】
図12および
図13に示す例では、流路6が複数位置しており、それぞれの流路6は同じ形状を有している。このような構成であることで、流路6を用いてエアーの注入/排出を行うにおいて、エアーの流れを作りやすくなる。よって、エアーの注入/排出の出力を大きくすることなく、かつその時間を小さくすることが可能となるため、ワイヤ13の撓み量を小さくすることが可能となり、また、ダストの混入を低減させることが可能となる。よって、ワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させること、および、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。
【0099】
【0100】
図14(a)および
図15に示す例では、複数の流路6は上面視で第1枠体2bまたは第2枠体2cの内壁側の端部よりも外部側の端部のほうが大きくなっている。このような構成であることで、流路6の外部側の端部からダストが混入し難くなる。よって、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。なお
図15に示す例のように、流路6が第1枠体2bと基板2aの間に位置している時、流路6は第1枠体2bの内壁近傍で直線部分を有していてもよい。これにより、ダストの混入をより低減させることが可能となり、流路6からはいったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させる効果を向上させることが可能なる。
【0101】
図14(b)に示す例では、複数の流路6は上面視で第2枠体2cの内壁側の端部よりも外部側の端部のほうが小さくなっている。これにより、流路6を用いて注入したエアーを広範囲に拡販させることが可能となり、流路6の内側端部周辺ではエアーの勢いを低減させることが可能となる。よって、ワイヤ13の撓み量を小さくすることが可能となる。よって、ワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させることが可能なる。なお、流路6が第1枠体2bと基板2aの間に位置している時、流路6は第1枠体2bの内壁近傍で直線部分を有していてもよい。これにより、流路6を用いて注入したエアーを広範囲に拡販させることが可能となり、流路6の内側端部周辺ではエアーの勢いを低減させることが可能となり、さらに電極パッド3から流路6の端部を離すことが可能となる。よって、ワイヤ13の撓み量を小さくすることが可能となるとともに、流路6から入ったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。
【0102】
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法の一例について説明する。本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置20の製造方法は基本的には第1~第3の実施形態に記載の製造方法と類似である。本実施形態の電子素子実装用基板1の製造方法としては、第1の実施形態に記載の工程において流路6となる部分を作成する際に、打ち抜く金型の形状を変える、および複数個所打ち抜くことで作製することが可能となる。
【0103】
(第7の実施形態)
図16を参照して本開示の第7の実施形態における電子素子実装用基板1について説明する。なお、第7実施形態は上述した第1~第3の実施形態のいずれにも展開できる内容であり、それぞれの構成の組み合わせは各実施形態で対応可能である。
【0104】
本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1~第3の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、基体2が切欠き7を有しており流路6の端部は切欠き7に位置している点である。
【0105】
図16に示す例では、平面透視において、基板2a、第1枠体2bおよび第2枠体2cの角部がそれぞれ重なっており、角部は切欠き7を有しいるとともに、流路6の端部は切欠き7に位置している。このような構成であっても、本開示の効果を奏することが可能であり、流路6にエアーを注入/排出する工程において隣り合うワイヤ13が接触しショートが発生することを低減させることができる。また、流路6から入ったダストが複数の電極パッド3間に位置しショートすることを低減させることが可能なる。よって、電子素子実装用基板1の歩留まりを向上させつつ、電子装置20の誤作動を低減させることが可能となる。
【0106】
流路6の開口部はエアーを注入/排出するために一定の大きさが必要である。しかしながら、流路6を作製する工程または/および電子素子実装用基板1を移動させる工程等においてその開口にダストが詰まる懸念があった。また、電子素子実装用基板1の移動の際に使用される機具が開口部周辺に接することにより開口部がつぶされる懸念があった。これに対し、流路6の端部が切欠き7に位置していることで、切欠き7に流路6の端部を保護する役割を持たせることが可能となる。これにより、流路6の開口にダストが詰まることを低減させることが可能となる。また、流路6が切欠き7の端部に位置していることで、電子素子実装用基板1の移動の際に使用される機具が開口部周辺に接することを低減させることが可能となる。これらのことから流路6の外側の端部の開口の面積を確保することが可能となり、流路6を用いてエアーの注入/排出を行う際の不具合を低減させることが可能となる。
【0107】
図16に示す例では、切欠き7は基体2の角部に位置しているが、切欠き7は基体2の各辺に位置していてもよい。この場合においても流路6の外側の端部が切欠き7に位置していることで上述した効果を奏することが可能となる。
【0108】
なお、本開示は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形は可能である。また、例えば、各図に示す例では、電極パッド3の形状は上面視において矩形状であるが、円形状やその他の多角形状であってもかまわない。また、本実施形態における電極パッド3の配置、数、形状および電子素子の実装方法などは指定されない。なお、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものでない。また、各実施形態同士の組み合わせも可能である。
【符号の説明】
【0109】
1・・・・電子素子実装用基板
2・・・・基体
2a・・・基板
2b・・・第1枠体
2c・・・第2枠体
2d・・・枠体
3・・・・電極パッド
4・・・・実装領域
6・・・・流路
7・・・・切欠き
10・・・電子素子
12・・・蓋体
13・・・接続導体(ワイヤ)
14・・・枠体接続部材
20・・・電子装置
32・・・筐体
31・・・電子モジュール