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特許7163425超音波距離測定装置、超音波距離測定方法及びコントローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】超音波距離測定装置、超音波距離測定方法及びコントローラ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/524 20060101AFI20221024BHJP
   G01S 7/52 20060101ALI20221024BHJP
   G01S 7/521 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
G01S7/524 R
G01S7/52 F
G01S7/521 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021004169
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022084500
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】202011356761.2
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521021281
【氏名又は名称】鴻富錦精密電子(煙台)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廖 英郎
(72)【発明者】
【氏名】唐 学用
(72)【発明者】
【氏名】葉 佳倫
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-002436(JP,A)
【文献】特開2003-337171(JP,A)
【文献】特許第2772647(JP,B2)
【文献】特許第2693628(JP,B2)
【文献】特開昭62-140064(JP,A)
【文献】米国特許第05414676(US,A)
【文献】米国特許第04330876(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52 - G01S 7/64
G01S 15/00 - G01S 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波送受波器と、超音波送受信チャンネルと、コントローラと、を備える超音波距離測定装置であって、
前記超音波送受波器は、リング状に配列された複数のアレイを含み、各アレイは、前記リングの外側に第1の超音波を送信し、前記第1の超音波は、目標物体に接触する時に、前記目標物体により反射され、前記目標物体により反射された第1の超音波は、第2の超音波と定義され、前記超音波送受波器は、前記第2の超音波をさらに受信するために用いられ、
前記超音波送受信チャンネルは、前記超音波送受波器に電気的に接続されており、前記超音波送受波器が前記第1の超音波を送信する又は前記第2の超音波を受信するように、自身の動作モードを切り替え、
前記コントローラは、前記超音波送受信チャンネルに電気的に接続されて、前記複数のアレイにおいて前記第1の超音波を送信するアレイの数及び前記第1の超音波の発散形態を調整することで、前記超音波送受信チャンネルを介して前記超音波送受波器のうちの1つ又は複数のアレイが前記第1の超音波を送信するように制御し、且つ前記第1の超音波の送信時間及び前記第2の超音波の受信時間に基づいて前記目標物体の距離情報を取得し、前記発散形態には、フォーカスと発散という2つの形態を有することを特徴とする超音波距離測定装置。
【請求項2】
複数の第1の超音波は、同一の焦点にフォーカスされることを特徴とする請求項1に記載の超音波距離測定装置。
【請求項3】
前記1つ又は複数のアレイは、発散している第1の超音波を送信し、前記発散している第1の超音波がカバーする距離測定範囲は、前記目標物体が位置する範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波距離測定装置。
【請求項4】
超音波距離測定装置に適用される超音波距離測定方法であって、
前記超音波距離測定装置は、リング状に配列された複数のアレイを含む超音波送受信器を備え、前記超音波距離測定方法は、
前記超音波送受信器のうちの1つ又は複数のアレイが第1の超音波を1つ又は複数の検出点に送信するように制御するステップであって、前記リング状に配列された複数のアレイにおいて前記第1の超音波を送信するアレイの数及び前記第1の超音波の発散形態を調整し、前記第1の超音波を1つ又は複数の検出点に送信するように制御し、前記第1の超音波が目標物体に接触したときに前記目標物体によって反射され、前記目標物体によって反射される第1の超音波は、第2の超音波と定義されるステップと、
前記超音波送受信器が前記第2の超音波を受信するように制御するステップと、
前記第1の超音波の送信時間と前記第2の超音波の受信時間とに基づいて、前記目標物体の距離情報を取得するステップと、を備え、
前記発散形態には、フォーカスと発散という2つの形態を有することを特徴とする超音波距離測定方法。
【請求項5】
前記超音波送受信器のうちの1つ又は複数のアレイが第1の超音波を送信するように制御するステップは、
複数のアレイが第1の超音波を送信するように制御するステップであり、前記第1の超音波を送信する起動されたアレイとフォーカスしようとする検出点との間の距離に基づいて、前記起動されたアレイの送信遅延時間をそれぞれ取得し、前記送信遅延時間に基づいて前記起動されたアレイが前記第1の超音波を順次に送信するように制御することを含むことを特徴とする請求項4に記載の超音波距離測定方法。
【請求項6】
前記送信遅延時間に基づいて前記起動されたアレイが前記第1の超音波を順次に送信するように制御するステップは、
前記送信遅延時間に基づいて、前記起動されたアレイがフォーカスされた又は発散された第1の超音波を順次に送信するように制御することを含むことを特徴とする請求項5に記載の超音波距離測定方法。
【請求項7】
前記第1の超音波の送信時間と前記第2の超音波の受信時間とに基づいて、前記目標物体の距離情報を取得するステップは、
フォーカスされた前記第1の超音波の送信時間及び前記第2の超音波の受信時間に基づいて前記目標物体の距離情報を取得する、又は、
発散された前記第1の超音波の送信時間及び前記第2の超音波の受信時間に基づいて前記目標物体の距離情報を取得する、又は、
第1の距離測定期間では、フォーカスされた第1の超音波の送信時間と、前記第2の超音波の受信時間とに基づいて第1の距離測定情報を取得し、第2の距離測定期間では、発散する第1の超音波の送信時間と、前記第2の超音波の受信時間とに基づいて第2の距離測定情報を取得し、前記第1の距離測定情報と前記第2の距離測定情報とに基づいて前記目標物体の距離情報を取得することを含むことを特徴とする請求項6に記載の超音波距離測定方法。
【請求項8】
前記超音波送受信器のうちの1つ又は複数のアレイが第1の超音波を送信するように制御するステップは、複数のアレイが第1の超音波を送信するように制御するステップであり、前記超音波送受信器が前記第2の超音波を受信するように制御するステップは、
前記第1の超音波を送信する起動されたアレイと検出点との間の距離に基づいて、前記第1の超音波を送信する起動されたアレイの受信遅延時間をそれぞれ取得し、前記受信遅延時間に応じて前記起動されたアレイが前記第2の超音波を順次に受信するように制御することを含むことを特徴とする請求項4に記載の超音波距離測定方法。
【請求項9】
超音波距離測定装置に適用されるコントローラであって、
前記超音波距離測定装置は、リング状に配列された複数のアレイを含む超音波送受信器を備え、
前記コントローラは、送信制御モジュールと、データ処理モジュールと、を備え、
前記送信制御モジュールは、前記複数のアレイにおいて第1の超音波を送信するアレイの数及び前記第1の超音波の発散形態を調整することで、前記超音波送受信器のうちの1つ又は複数のアレイが1つ又は複数の第1の超音波を送信するように制御し、前記第1の超音波は、前記目標物体に接触する時に前記目標物体により反射され、前記目標物体により反射される第1の超音波は、第2の超音波と定義され、前記発散形態には、フォーカスと発散という2つの形態を有し、
前記データ処理モジュールは、前記送信制御モジュールに電気的に接続され、前記超音波送受信器が前記第2の超音波を受信するように制御し、且つ前記第1の超音波の送信時間及び前記第2の超音波の受信時間に基づいて、前記目標物体の距離情報を取得することを特徴とするコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波距離測定技術分野に関し、特に、超音波距離測定装置、この超音波距離測定装置に適用される超音波距離測定方法、及びこの超音波距離測定装置に適用されるコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波距離測定装置は、単一の超音波プローブを備えている。この超音波プローブは、超音波を送信する。超音波距離測定装置は、超音波が戻ってくる時間に基づいて、対象物(目標物体)までの距離を算出することができる。一方、この超音波距離測定装置では、超音波プローブの超音波を送信する端面の曲率が超音波の焦点(集合点)を決定し、送信した超音波の焦点位置が制限されると、広域距離情報を同時に取得することができない。一方、対象物が焦点から遠いときに、超音波距離測定装置に戻ってきた超音波が伝播過程において発散し、超音波距離測定装置の解像度の低下を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題に鑑みて、本願発明は、距離測定速度が向上し、検出範囲が広く、検出可能な範囲を調整できるような超音波距離測定装置、超音波距離測定方法及びコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る超音波距離測定装置は、超音波送受波器と、超音波送受信チャンネルと、コントローラと、を備え、
前記超音波送受波器は、リング状に配列された複数のアレイを含み、各アレイは、前記リングの外側に第1の超音波を送信し、前記第1の超音波が目標物体に接触する時に、前記目標物体により反射され、前記目標物体により反射された第1の超音波は、第2の超音波と定義され、前記超音波送受波器は、前記第2の超音波をさらに受信するために用いられ、
前記超音波送受信チャンネルは、前記超音波送受波器に電気的に接続されており、前記超音波送受波器が前記第1の超音波を送信する又は前記第2の超音波を受信するように、自身の動作モードを切り替え、
前記コントローラは、前記超音波送受信チャンネルに電気的に接続されて、前記超音波送受信チャンネルを介して、前記超音波送受波器のうちの1つ又は複数のアレイが前記第1の超音波を送信するように制御し、且つ前記第1の超音波の送信時間及び前記第2の超音波の受信時間に基づいて前記目標物体の距離情報を取得する。
【0005】
また、本発明に係る超音波距離測定方法は、超音波距離測定装置に適用され、
前記超音波距離測定装置は、リング状に配列された複数のアレイを含む超音波送受信器を備え、前記超音波距離測定方法は、
前記超音波送受信器のうちの1つ又は複数のアレイが第1の超音波を1つ又は複数の検出点に送信するように制御し、前記第1の超音波が目標物体に接触した時に前記目標物体によって反射され、前記目標物体によって反射される第1の超音波は、第2の超音波と定義されるステップと、
前記超音波送受信器が前記第2の超音波を受信するように制御し、且つ前記第1の超音波の送信時間と前記第2の超音波の受信時間とに基づいて、前記目標物体の距離情報を取得するステップと、を備える。
【0006】
さらに、本発明に係るコントローラは、超音波距離測定装置に適用され、
前記超音波距離測定装置は、リング状に配列された複数のアレイを含む超音波送受信器を備え、
前記コントローラは、送信制御モジュールと、データ処理モジュールと、を備え、
前記送信制御モジュールは、前記超音波送受信器のうちの1つ又は複数のアレイが1つ又は複数の第1の超音波を送信するように制御し、前記第1の超音波が前記目標物体に接触する時に前記目標物体により反射され、前記目標物体により反射される第1の超音波は、第2の超音波と定義され、
前記データ処理モジュールは、前記送信制御モジュールに電気的に接続され、前記超音波送受信器が前記第2の超音波を受信するように制御し、且つ前記第1の超音波の送信時間及び前記第2の超音波の受信時間に基づいて、前記目標物体の距離情報を取得する。
【発明の効果】
【0007】
上記の超音波距離測定装置は、リング状に配列された複数のアレイを含む超音波送受波器を設けることで、超音波を一回送受信する過程において、広い範囲(360°範囲)の目標物体(対象物)の距離情報(又は位置情報)を得ることができ、超音波距離測定装置の距離測定速度の向上に有利である。また、第1の超音波を送信するアレイの数は調整可能(1つ又は複数)であり、一回の超音波の送受信中に、検出可能な範囲を調整できるので、超音波距離測定装置の検出方式は実際の検出ニーズに適合し、検出方式はより柔軟である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る超音波距離測定装置及び目標物体の概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る超音波距離測定装置のブロック構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態における超音波距離測定方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施形態における各アレイの送信遅延を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る超音波送受波器がフォーカスされた第1の超音波を送信する時の模式図である。
図6】一変更例における超音波送受波器が発散された第1の超音波を送信する時の模式図である。
図7】本発明の実施形態における各アレイの受信遅延を示す模式図である。
図8】本発明の実施形態における超音波送受波器が第2の超音波を受信する時の模式図である。
図9】本発明の実施形態に係る2つの距離測定期間によって目標物体の距離情報を取得する時の模式図である。
図10】一変更例に係る3つの距離測定期間によって目標物体の距離情報を取得する時の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、超音波距離測定装置10は、環境に存在する目標物体20の距離情報を取得することに用いられる。本実施形態では、超音波距離測定装置10は、超音波を送信する。目標物体20に超音波が接触すると、目標物体20で反射される。超音波距離測定装置10は、超音波を送信する及び受信する時の時間差に応じて、既知の超音波の音速を組み合わせて、環境に存在する目標物体20から超音波距離測定装置10までの距離dを得ることができる。
【0010】
超音波距離測定装置10は、通常、他のスマートデバイスの中に、距離測定の機能モジュールとして組み込まれている。例えば、超音波距離測定装置10は、乗り物や他のキャリアに組み込まれて、地図を構築するのに使われる又は運転中に走行チャンネルに障害物が存在するか否か、及び障害物の具体的な距離を監視することができる。
【0011】
図2に示すように、超音波距離測定装置10は、超音波送受信器11と、超音波送受信チャンネル12と、コントローラ13と、を備え、超音波送受信チャンネル12は、超音波送受信器11とコントローラ13とにそれぞれ電気的に接続される。
【0012】
超音波送受波器11は、複数のアレイ111を含む。複数のアレイ111は1つのキャリア上に設けられてもよい。複数のアレイ111は、リング状に配列される。各アレイ111は、リングの円心から離れる方向に1列の第1の超音波を送信する。全てのアレイ111が第1の超音波を同時に送信する際に、360°の距離測定範囲をカバーすることができる。
【0013】
第1の超音波は、目標物体20に到達すると、目標物体20によって反射される。本実施例では、目標物体20により反射される第1の超音波を第2の超音波と定義する。超音波送受波器11におけるアレイは、第2の超音波も受信する。
【0014】
第1の超音波を1回送信し且つ第2の超音波を1回受信する期間を1つの距離測定期間として定義する。各距離測定期間において、実際の距離測定ニーズに応じて、第1の超音波を送信するアレイ111の数を制御することができる。距離測定範囲が小さい場合、より少ない数のアレイ111に第1の超音波を送信させるように制御する。距離測定範囲が大きい場合、より多くの数のアレイ111に第1の超音波を送信させるように制御する。また、フィールドのサイズに応じて、起動されたアレイの遅延時間を制御して、送信する超音波のフォーカス位置を調整して、精確な距離測定に対する需要を満たすことができる。
【0015】
超音波送受信チャンネル12は、超音波送信チャンネル122と、超音波受信チャンネル121と、超音波送信チャンネル122及び超音波受信チャンネル121にそれぞれ電気的に接続される送信/受信切り替えユニット123と、を含む。超音波送信チャンネル122及び超音波受信チャンネル121は、それぞれ順次電気的に接続される送信ビーム成形モジュールと、ディジタル・アナログ変換モジュールと、増幅器とを含む。超音波送信チャンネル122と超音波受信チャンネル121との増幅器は、送信/受信切り替えユニット123に電気的に接続される。コントローラ13は、互いに電気的に接続された送信制御モジュール131とデータ処理モジュール132とを備える。送信制御モジュール131は、超音波送信チャンネル122に電気的に接続され、データ処理モジュール132は、超音波受信チャンネル121に電気的に接続される。
【0016】
送信制御モジュール131は、コマンドを出力し、超音波送信チャンネル122が超音波送信信号を生成するように制御する。送受信切換ユニット123は、送信状態に切り替わると、超音波送信チャンネル122が送信した超音波送信信号を対応する1つ又は複数のアレイ111に送信し、当該1つ又は複数のアレイ111が第1の超音波を送信するように制御する。目標物体20で反射された第2の超音波が1つ又は複数のアレイ111により受信されると、送受信切換ユニット123は、受信状態に切り換わり、受信された第2の超音波は、超音波受信チャンネル121により、データ処理モジュール132が認識可能な信号の種類に変換される。データ処理モジュール132は、第1の超音波の送信時間と、第2の超音波の受信時間とに基づいて、目標物体20の距離情報を取得することができる。
【0017】
本発明の実施形態は、上記の超音波距離測定装置10に適用される超音波距離測定方法をさらに提供する。具体的には、超音波距離測定方法は、上記のコントローラ13に適用される。
【0018】
図3に示すように、本発明の超音波距離測定方法は、以下のステップを備える。
【0019】
ステップS1では、超音波送受波器のうちの1つ又は複数のアレイが第1の超音波を送信するように制御する。第1の超音波は、目標物体に接触すると、目標物体により反射される。目標物体により反射される第1の超音波を、第2の超音波と定義する。
【0020】
ステップS2では、超音波送受波器が第2の超音波を受信するように制御し、且つ第1の超音波の送信時間及び第2の超音波の受信時間に基づいて、目標物体の距離情報を取得する。
【0021】
また、上記のステップS1において、超音波送受信器11が送信する第1の超音波は、主にフォーカスされた第1の超音波及び発散している第1の超音波という2つの形態を有する。
【0022】
なお、図4に示すように、本実施形態では、1つの距離測定期間において、超音波送受信11における複数のアレイ111が第1の超音波を送信する。超音波送受波器11がフォーカスされた形態の第1の超音波を送信する場合、各々のアレイ111が送信する第1の超音波の焦点は、リングの外にある。
【0023】
コントローラ13は、第1の超音波を送信する複数のアレイ111の各々と目標物体20との間の距離に応じて、第1の超音波を送信するアレイ111の各々の送信遅延時間をそれぞれ取得し、この送信遅延時間に基づいて、複数のアレイ111が第1の超音波を順次に送信するように制御してもよい。
【0024】
引き続き図4を参照すると、本実施形態では、1つの距離測定期間において、超音波送受信器11における5つのアレイ(それぞれアレイE、E、E、E及びEである)が第1の超音波を送信する。1つの距離測定期間において、アレイE、E、E、E及びEは、同時に目標物体20上の1つの検出点21に焦点を合わせる必要がある。
【0025】
検出点21とアレイE、E、E、E及びEとの間の距離は、それぞれTx_path1、Tx_path2、Tx_path3、Tx_path4及びTx_path5と定義される。アレイE、E、E、E及びEの送信遅延時間は、それぞれτTx1、τTx2、τTx3、τTx4及びτTx5と定義される。図5から分かるように、検出点21とアレイE、E、E、E及びEとの間の距離は、同じではないが、各アレイが送信する第1の超音波の伝搬速度cは同一である。すると、送信遅延時間τTx1、τTx2、τTx3、τTx4及びτTx5の値を設定することによって、アレイE、E、E、E及びEが送信する第1の超音波を検出点に同時に到達させる(検出点21に近いアレイは、送信遅延時間が長く、第1の超音波を遅く送信する。検出点21から遠いアレイは、送信遅延時間が短く、第1の超音波を早く送信する)。
【0026】
図5に示すように、平面直角座標系を構築し、平面直角座標系のY軸は、第1の超音波の焦点F1と複数のアレイが構成したリングの円心とをつなぐ直線である。平面直角座標系のX軸は、Y軸に対して垂直であり、複数のアレイからなるリングの外周に接触し、第1の超音波を送信するアレイに近い直線である。X軸とY軸との交点座標は(0,0)と定義され、焦点F1の座標は(0,R)と定義され、第1の超音波を送信するアレイ111の座標は(Xn,Zn)と定義され、1≦n≦5であり、且つnは整数である。
【0027】
ここで、送信遅延時間は、下記式(1)により算出される。
【0028】
【数1】
【0029】
なお、図6に示すように、一変更例において、超音波送受波器11は、発散形態の第1の超音波を送信する。発散している第1の超音波を送信する場合、第1の超音波の焦点F2は、各々のアレイ111によって構成されるリングの円心にある。
【0030】
Y軸が焦点F2を通る直線であり、X軸がY軸に直交し、且つ複数のアレイで構成されるリングと接する、第1の超音波を送信するアレイに近い直線である平面直角座標系が確立される。X軸とY軸との交点座標を(0,0)と定義し、焦点F2の座標を(0,-R)と定義し、第1の超音波を送信するアレイ111の座標を(Xn,Zn)と定義し、1≦n≦5、且つnは整数である。
【0031】
ここで、この変更例における送信遅延時間は、下記の式(2)により算出される。
【0032】
【数2】
【0033】
目標物体20は、受信した第1の超音波に基づいて、第2の超音波を反射する。第2の超音波は、第1の超音波を送信するアレイ111により受信される。
【0034】
ステップS2では、受信した第2の超音波をフォーカスする。コントローラ13は、第1の超音波を送信する複数のアレイ111の遅延時間、イメージング空間の座標及び起動されたアレイの距離に基づいて、第1の超音波を送信する各々のアレイ111が第2の超音波を受信する時の受信遅延時間をそれぞれ取得する。受信遅延時間に基づいて、複数のアレイ111が第2の超音波を順次に受信するように制御する。
【0035】
また、図7に示すように、本実施形態では、1つの距離測定期間において、超音波送受信器11における5つのアレイ(それぞれアレイE、E、E、E及びEである)が第2の超音波を受信する。1つの距離測定期間において、コントローラ13は、第2の超音波から変換された識別可能な信号を同時に受信し、超音波の検出点22は、イメージングエリアのうちの1つの点である。イメージングエリアは、多くの検出点をカバーしており、その位置は、応用フィールドに応じて決定されてもよい。遅延時間は、検出点と各受信アレイとの距離を計算することによって、第2の超音波が検出点22からアレイE、E、E、E及びEに戻る距離を、それぞれRx_path1、Rx_path2、Rx_path3、Rx_path4及びRx_path5として求めることができる。アレイE、E、E、E及びEの受信遅延時間を、それぞれτRx1、τRx2、τRx3、τRx4及びτRx5と定義する。図7から分かるように、検出点22とアレイE、E、E、E及びEとの間の距離は同じではないが、第2の超音波の伝搬速度cは同じである。これにより、各アレイE、E、E、E及びEが第2の超音波を受信するまでの時間も異なる。
【0036】
また、アレイE、E、E、E及びEは、第2の超音波を受信するまでの時間は同じではないが、受信遅延時間τRx1、τRx2、τRx3、τRx4及びτRx5の値を設定することで、コントローラ13に第2の超音波を同時に受信させ、同時に到達した第2の超音波を累積することによって、フォーカスされた第2の超音波を受信するステップを完成する。このようなステップは、撮影中の全ての検出点がフォーカスされた第2の超音波を受信することを完成するまで、一つ一つ繰り返していく。
【0037】
図8に示すように、図6に示した方法で、平面直角座標系を構築し、距離測定範囲内(破線枠範囲)のいずれかの検出点の座標を(X,Z)と定義すると、受信遅延時間は下記の式(3)、(4)、(5)により算出される。
【0038】
【数3】
【0039】
【数4】
【0040】
【数5】
【0041】
ステップS1では、1つの距離測定期間において、全てのアレイ111が発散している第1の超音波を送信するように制御すると、超音波距離測定装置10の距離測定範囲が360°となり、距離測定速度の向上に寄与するが、この場合、空間解像度が向上する必要がある。ステップS1では、1つの距離測定期間においてアレイ111がフォーカスされた第1の超音波を送波すると、より遠くの目標物体が視認され、且つ空間解像度は著しく向上するが、この場合は距離測定範囲が比較的に小さい。
【0042】
本実施形態では、目標物体20の距離情報は、複数の距離測定期間において取得される。各距離測定期間は、異なる形態の第1の超音波を送信するようにアレイを制御する。各距離測定期間で得られた距離測定情報を総合して、目標物体20の距離情報を取得し、超音波距離測定装置が発散及びフォーカスされた第1の超音波を同時に取得する効果を奏することができる。
【0043】
なお、図9に示すように、本実施形態では、第1の距離測定期間において、全てのアレイ111が発散している第1の超音波を送信し、且つ受信した第2の超音波から第1の距離測定情報d1を算出するように制御する。第2の距離測定期間において、全てのアレイ111が複数のフォーカスされた(隣接して配列された複数のアレイ111の間でそれぞれフォーカスする)第1の超音波を送信し、且つ受信した第2の超音波から第2の距離測定情報d2を算出するように制御する。第1の距離測定情報d1と第2の距離測定情報d2とに対して平均値を取ると、目標物体20の距離dを得ることができる。ただし、第2の距離測定期間と第3の距離測定期間とは、フォーカスしている第1の超音波を送信するが、フォーカスの位置が異なる。
【0044】
図10に示すように、1つの変更例において、第1の距離測定期間において、全てのアレイ111が発散している第1の超音波を送信し、且つ受信した第2の超音波から第1の距離測定情報d1を計算して取得するように制御する。第2の距離測定期間において、全てのアレイ111が複数のフォーカスされた(隣接して配列された複数のアレイ111の間でそれぞれフォーカスする)第1の超音波を送信し、且つ受信した第2の超音波から第2の距離測定情報d2を算出するように制御する。第3の距離測定期間において、全てのアレイ111が複数のフォーカスされた第1の超音波を送信し、且つ受信した第2の超音波に基づいて第3の距離測定情報d3を算出するように制御する。第1の距離測定情報d1、第2の距離測定情報d2、及び第3の距離測定情報d3に対して平均値を取ると、目標物体20の距離dが得られる。
【0045】
この変更例において、フォーカスされた第1の超音波を送信する期間を長くすることで、目標物体20の距離dの精度をより向上させることが可能となる。
【0046】
他の実施形態では、より多くの距離測定期間を設けて、フォーカスを合わせた第1の超音波を送信することによって、より多くの距離測定情報を取得し、より多くの距離測定情報に対して平均値をとって、目標物体20の距離dを得ることができる。
【0047】
本実施形態に係る超音波距離測定装置10、超音波距離測定方法及びコントローラ13は、第1の局面では、超音波送受信器がリング状に配列された複数のアレイ111を備えることで、超音波を一回送受信する過程においてより広い範囲(360°範囲)の目標物体20の距離情報(又は位置情報)を得ることができるので、超音波距離測定装置10の距離測定速度の向上に有利である。また、第1の超音波を送信するアレイ111の数は調整可能である(1つ又は複数である)。これにより、一回の超音波の送受信過程において、検出可能な範囲を調整でき、超音波距離測定装置10の検出方式を実際の検出ニーズにマッチすることができ、検出方式がより柔軟となる。
【0048】
第2の局面では、送信遅延時間を設けることにより、フォーカスされた第1の超音波を取得することができる。これにより、同一の距離測定期間において送信される第1の超音波が目標物体20に同時に集合するので、第1の超音波のエネルギーが密集になり、空間解像度の向上に有利である。また、フォーカスされた第1の超音波をより遠い距離まで投射することができ、より遠くの目標物体20を検出することができる。
【0049】
第3の局面では、受信遅延時間を設けることにより、フォーカスされた第2の超音波を取得することができる。これにより、同一の距離測定期間において受信される第2の超音波がアレイ111に同時に集合するので、第2の超音波のエネルギーが密集になり、空間解像度の向上に有利である。よって、コントローラ13が最終的に算出した距離情報は、より正確である。
【0050】
第4の局面では、送信遅延時間を設けることによって、発散した第1の超音波を得ることができ、発散した第1の超音波は、一つの距離測定期間における超音波距離測定装置10の距離測定範囲を著しく拡大することができる。従って、ある一つの特定範囲の検出を完了する必要がある場合、超音波距離測定装置10の一つの距離測定期間での距離測定範囲を拡大することで、距離測定回数を減らすことができ、すなわち距離測定速度の向上に有利である。
【0051】
第5の局面では、超音波距離測定装置10により、異なる距離測定期間において、異なる形態(フォーカス又は発散)の第1の超音波が送信される。これにより、異なる距離測定期間でそれぞれ異なる距離測定情報を取得することができる。上記の異なる距離測定期間において得られた異なる距離測定情報は、目標物体20の距離情報を算出するために用いられる。上記の検出方法を用いて、第1の超音波のフォーカスと発散する状態での有益な効果を同時に得ることができる。つまり、超音波距離測定装置10は、高解像度及びより正解な距離情報を取得できるとともに、距離測定速度が著しく向上する。
【0052】
以上の実施形態は、本発明の技術的な態様を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するものではなく、より良い実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は、本発明の技術的な態様を修正又は同等に置換して得られた態様も、本発明の技術的な態様の精神的及び範囲から逸脱しないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0053】
10 超音波距離測定装置
11 超音波送受波器
111、E、E、E、E、E アレイ
12 超音波送受信チャンネル
121 超音波受信チャンネル
122 超音波送信チャンネル
123 送信/受信切り替えユニット
13 コントローラ
131 送信制御モジュール
132 データ処理モジュール
20 目標物体
d 距離
S1、S2 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10