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特許7163426物品を保管または取り出す方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】物品を保管または取り出す方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/06 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
B65G1/06 M
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021006779
(22)【出願日】2021-01-20
(62)【分割の表示】P 2017555481の分割
【原出願日】2016-04-20
(65)【公開番号】P2021088465
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】62/150,786
(32)【優先日】2015-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509196718
【氏名又は名称】オペックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】デュウィット、ローバート、アール.
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-123350(JP,A)
【文献】特開2016-175711(JP,A)
【文献】国際公開第2012/155169(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/046379(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品取り扱いシステムであって、
1若しくはそれ以上の物品を受け取るための複数の送達先領域であって、通路によって離間された、第1群の送達先領域と、第2群の送達先領域とを有するものである、前記複数の送達先領域と、
前記複数の送達先領域に物品を搬送するように前記通路内で独立して動作可能な複数の搬送車であって、
前記複数の搬送車の各々は、垂直方向および第1の水平方向に動作可能であるとともに、当該搬送車に物品を積載し、かつ当該搬送車から物品を排出するために、前記第1の水平方向を横断する第2の水平方向に動作可能な積み替え機構を有するものであり、
前記複数の送達先領域の各々は前記複数の搬送車によって搬送された複数の物品を集積するように構成されているものである、
前記複数の搬送車と、
前記複数の搬送車に物品を積載し、当該物品を前記送達先領域に搬送するための投入ステーションと、
前記複数の送達先領域に沿って前記通路内に配置され、前記複数の搬送車を前記複数の送達先領域に案内するように構成された案内軌道と、
前記複数の搬送車が前記投入ステーションで停止するように前記複数の搬送車の動作を制御するコントローラであって、当該制御により前記複数の搬送車への物品の積載が容易になるものである、前記コントローラと、
前記複数の送達先領域から物品を選択的に取り出して、前記複数の送達先領域から離れる方向に当該物品を移動するように独立して動作可能な複数の物品取り出し車であって、前記複数の物品取り出し車の各々は、前記複数の送達先領域の1つから物品を当該物品取り出し車に積載するための積載機構を有するものであり、前記積み替え機構は、前記積載機構とは異なる構成を有するものである、前記複数の物品取り出し車と
を有する、物品取り扱いシステム。
【請求項2】
請求項1記載の物品取り扱いシステムにおいて、前記案内軌道は前記通路内に垂直ループを有し、前記複数の搬送車は、前記投入ステーションと前記複数の送達先領域との間の前記垂直ループに沿って循環するものである、物品取り扱いシステム。
【請求項3】
請求項2記載の物品取り扱いシステムにおいて、前記複数の搬送車は、前記垂直ループに沿って同時に循環するものである、物品取り扱いシステム。
【請求項4】
請求項記載の物品取り扱いシステムにおいて、当該システムは前記案内軌道から分離された第2の軌道を有し、前記複数の物品取り出し車は前記案内軌道の外側で動作するものであり、前記第2の軌道は前記複数の物品取り出し車を案内するように構成されているものである、物品取り扱いシステム。
【請求項5】
請求項4記載の物品取り扱いシステムにおいて、前記第2の軌道は前記案内軌道とは異なる構成を有するものである、物品取り扱いシステム。
【請求項6】
請求項4記載の物品取り扱いシステムにおいて、前記複数の搬送車の各々は2対の対向する車輪を有し、前記案内軌道は前記対向する車輪の第1の対を案内する前部軌道と、前記対向する車輪の第2の対を案内する後部軌道とを有するものである、物品取り扱いシステム。
【請求項7】
請求項6記載の物品取り扱いシステムにおいて、前記通路は前記前部軌道と前記後部軌道との間に形成されているものであり、前記複数の搬送車は、前記複数の送達先領域に物品を搬送するために前記通路内で移動自在なものである、物品取り扱いシステム。
【請求項8】
請求項1記載の物品取り扱いシステムにおいて、前記案内軌道は、前記複数の搬送車を垂直上方に案内する垂直部分を含むものである、物品取り扱いシステム。
【請求項9】
請求項1記載の物品取り扱いシステムにおいて、前記複数の搬送車の各々は、略水平方向に物品を支持する実質的に水平な支持部を有するものである、物品取り扱いシステム。
【請求項10】
送達先領域に物品を搬送し、当該送達先領域から物品を取り出す方法であって、
垂直ループに沿って配置された第1の複数の送達先領域と第2の複数の送達先領域との間の通路内で独立して動作可能な複数の搬送車を駆動する工程であって、
前記複数の搬送車は前記第1および第2の複数の送達先領域に物品を搬送するものであり、
前記第1および第2の複数の送達先領域の各々は複数の物品を受け取るように構成されており、
前記複数の搬送車を駆動する工程は、前記通路内に配置された案内軌道に沿って前記複数の搬送車を垂直方向および第1の水平方向に駆動する工程を有するものである、
前記複数の搬送車を駆動する工程と、
前記複数の搬送車に物品を積載する工程であって、
投入ステーションで前記複数の搬送車の各々を停止する工程と、
前記複数の搬送車の各々が前記投入ステーションで停止した際、1若しくはそれ以上の物品を前記複数の搬送車の各々に積載するために当該搬送車の積み替え機構を動作させる工程と、
を有する、前記積載する工程と、
前記複数の搬送車の各々の前記積み替え機構を動作させることにより、複数の物品を前記第1および第2の複数の送達先領域で前記第1の水平方向を横断する第2の水平方向に排出して、当該複数の物品を前記第1および第2の複数の送達先領域に集積する工程と、
独立して動作可能な複数の物品取り出し車を制御して、前記複数の送達先領域に集積された複数の物品を選択的に取り出す工程であって、この工程は、前記積載機構とは異なる構成を有する積み替え機構を動作させる工程を有する、前記取り出す工程と、
前記選択的に取り出された物品を前記複数の送達先領域から離れる方向に移動するために前記複数の物品取り出し車を移動させる工程と
を有する、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記複数の搬送車を駆動する工程は、前記複数の搬送車が前記垂直方向から前記第1の水平方向に駆動される際に、前記複数の搬送車を水平方向に維持する工程を有する、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記複数の搬送車を駆動する工程は、垂直脚部と水平脚部とを有するループに沿って循環するように前記複数の搬送車を駆動する工程を有する、方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、前記複数の物品取り出し車を移動させる工程は、前記複数の物品取り出し車を前記案内軌道から離れる方向に移動させる工程を有する、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記複数の物品取り出し車を移動させる工程は、前記案内軌道から分離された第2の軌道に沿って前記複数の物品取り出し車を移動させる工程を有する、方法。
【請求項15】
請求項10記載の方法において、
前記複数の搬送車の各々は、2対の対向する車輪を有し、前記案内軌道は前記対向する車輪の第1の対を案内する前部軌道と、前記対向する車輪の第2の対を案内する後部軌道とを有するものであり、
前記通路は前記前部軌道と前記後部軌道との間に形成されているものであり、
前記複数の搬送車を駆動する工程は、前記複数の送達先領域に物品を搬送するために前記複数の搬送車を前記通路内で駆動する工程を有する、
方法。
【請求項16】
請求項10記載の方法において、前記複数の搬送車を駆動する工程は、当該搬送車を垂直上方に駆動する工程を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2015年4月21日付で出願された米国特許出願第62/150,786号の優先権を主張するものである。前述の出願の開示は、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、物品を保管または取り出すための物品取り扱いシステムに関する。より具体的には、本発明は、軌道に沿って配置された複数の送達先領域を含む物品取り扱いシステムに関し、前記軌道は、前記送達先領域に物品を搬送および/または前記送達先領域から物品を搬送する複数の車を案内する。
【背景技術】
【0003】
物品の保管および取り出しは、特に各種物品数が増加するにつれて手間と時間がかかる。例えば、多くの企業では数万点もの異なる物品を保管し、これらを取り出す必要がある。例えば、大きな製造企業では、製造中の製品用だけでなく製造工程中に使用されるコンポーネント用に各種部品を正確かつタイムリーに保管する必要がある。必要なコンポーネントの取り出しが遅れた場合、製造工程全体に遅れが生じるおそれがある。
【0004】
同様に、小売企業、例えばオンライン小売企業では、顧客に販売される物品を高速かつ正確にピッキングし(picking:選び取り)、注文の品が確実かつ迅速に発送されるようにする必要がある。そのようなオンライン企業は、多くの場合、数万の物品を在庫として保管し、それらをすぐに取り出して顧客に配送できるようにしておかなければならない。そのような場合に製品の保管および取り出しを人的作業に頼るシステムでは、必要な製品をピッキングするための時間が長びく傾向があり、過失(すなわち、誤った物品の取り出し)が生じる率も高まる傾向がある。そのため、物品を自動的に保管し取り出して注文フルフィルメント(注文の履行)の効率を改善するように設計された自動システムがますます必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上を踏まえ、システムは物品を取り扱う方法および装置を提供する。一観点によれば、システムは、複数の保管位置と、物品を送達し若しくは前記保管位置から物品を取り出す複数の送達車とを含む。軌道は、前記送達車を前記保管位置へ案内する。前記システムは、保管すべき物品ごとに決定された情報に基づいて前記送達車の動作を制御するコントローラを含むこともできる。また、前記軌道は、前記ピッキング車が連続した経路に沿って水平方向から高さ方向へと方向を変えて移動できるよう、複数の相互連結された垂直部分および水平部分を含むことができる。さらに、前記ピッキング車は、当該車が水平な移動方向から垂直な移動方向へ方向転換する際、当該車上の物品の配向(向き)が一定に保たれるよう駆動可能である。
【0006】
別の観点によれば、本発明は物品を保管し、取り出す方法を提供する。この方法は、複数の物品を複数の保管位置に保管し、前記複数の保管位置から物品を取り出す工程を含む。前記取り出された物品は、積み替え位置へ搬送される。前記方法は、複数のピッキング車(picking vehicle)を軌道に沿って制御または駆動する工程も含む。前記軌道は、相互接続された水平および垂直な部分を有することができる。当該軌道はループを形成でき、そのループは高さ方向に配置されたループにできる。前記ピッキング車を制御する工程は、1若しくはそれ以上のピッキングステーションと前記積み替え位置との間で軌道に沿って前記ピッキング車を循環させる工程を有することができる。前記ピッキング車を循環させる工程は、前記積み替え位置の1つへ前記ピッキング車の1つを駆動する工程と、前記取り出された物品の1つを前記積み替え位置から前記ピッキング車に移動させる工程とを含むことができる。前記ピッキング車は、次いで前記積み替え位置から前記ピッキングステーションの1つへ駆動することができる。前記ピッキングステーションでは、前記物品を前記ピッキング車からピッキングできるよう、前記ピッキング車を停止させることができる。物品がピッキングされた後、前記ピッキング車は、前記積み替え位置の1つに前記ピッキングステーションを離れて前進させることができる。任意選択的に、前記ピッキング車は、前記第1の連結脚部から前記下方脚部へと前記ピッキング車が運行する際、前記ピッキング車の水平状態が維持されるように制御される。
【0007】
さらに別の観点によれば、本発明は、保管および取り出しシステムを含む物品取り扱いシステムを提供し、前記保管および取り出しシステムは、物品を保管する複数の保管位置と、前記保管位置から物品を取り出して1若しくはそれ以上の積み替え位置に前記物品を移動させるように動作可能な、物品保管および取り出し手段とを有する。前記システムは、さらに、積み替え位置との間で物品を移動させるように動作可能なピッキング手段を含む。任意選択的に、前記ピッキング手段は、投入・排出ステーションと前記積み替え位置の1つとの間で物品を搬送する複数のピッキング車を含むことができる。前記ピッキング手段は、前記ピッキング車を前記積み替え位置の1つに隣接した領域に駆動することにより、前記ピッキング車と前記積み替え位置との間で物品が移動されるように、前記ピッキング車を制御する手段を含むこともできる。前記ピッキング車は、当該車が前記投入・排出ステーションへ駆動されて当該投入・排出ステーションで待機するように制御され、それにより、前記ピッキング車上の前記物品の1つの取り出しが可能となる。任意選択的に、各ピッキング車は、当該車を駆動する手段を駆動するモーターを有することができる。
【0008】
さらに別の観点によれば、本発明は物品取り扱いシステムを提供し、この物品取り扱いシステムは、複数の積み替え位置に物品を移動させる保管および取り出しシステムと、前記積み替え位置から物品を移動、および前記積み替え位置に物品を移動させる投入・排出システムとを含む。任意選択的に、前記保管および取り出しシステムは、物品を保管する複数の保管位置を含む。前記保管および取り出しシステムは、前記保管位置から物品を取り出して1若しくはそれ以上の前記積み替え位置へと前記物品を搬送するよう動作可能な、独立して動作可能な複数の移動自在な保管および取り出し車を含むこともできる。任意選択的に、前記投入・排出システムは、物品を搬送する複数のピッキング車を含む。前記投入・排出システムは、前記ピッキング車を案内するピッキング軌道を含むこともできる。任意選択的に、前記軌道はループを有する。前記送達車の1つから物品が取り出し可能な前記軌道上の場所に沿って、投入・排出ステーションを設けることもできる。また、前記ピッキング車は、任意選択的に、前記投入・排出ステーションと前記1若しくはそれ以上の積み替え位置との間で前記ループに沿って循環させることができる。また、任意選択的に、前記ピッキング車は、前記任意選択的で移動自在な保管および取り出し車と異なる態様で構成できる。前記システムは、前記ピッキング車が、積み替え位置の1つに隣接する前記ピッキング軌道に沿って駆動されて当該ピッキング車と前記積み替え位置との間で物品を移動させるように前記ピッキング車の動作を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の好適な実施例に関する以上の要約および以下の詳細な説明は、以下の添付の図面と併せて読むと最もよく理解される。
図1図1は、保管および取り出し装置および多数の保管ビン(storage bins)の斜視図である。
図2図2は、図1に示した装置の別の斜視図であり、前記保管ビンの多くは取り除かれている。
図3図3は、図1に示した装置の別の斜視図であり、前記保管ビンの多くは取り除かれている。
図4図4は、図1に示した装置の側面図である。
図5図5は、図1に示した装置の平面図である。
図6図6は、図1に示した装置の一部の部分斜視図であり、当該装置のピッキング部分から当該装置の保管部分への前記ビンの移動の詳細を例示したものである。
図7図7は、図1の装置の車の拡大斜視図である。
図8図8は、図1の装置の車の代替実施形態の拡大斜視図である。
図9図9は、図1に例示した装置の軌道の一部の拡大部分図で、開および閉位置にあるゲートの細部を示したものである。
図10図10は、図9に例示した送達車の車輪の拡大図であり、図1に例示した装置の前記軌道と関連付けて示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで図全体を参照し、特に図1を参照すると、物品を保管または取り出すシステムは全般的に10と示されている。このシステム10は、ピッキングシステム100および保管および取り出しシステム400を含む。前記保管および取り出しシステム400は、SARシステム400と呼ばれ、物品が保管され、取り出される多数の保管位置を含む。このSARシステム400は、必要に応じて物品を取り出し、その物品を積み替え位置375などの送達先領域へ搬送する。当該ピッキングシステム100は、前記積み替え位置から物品を取り出しピッキングステーション310へ搬送する複数の車200を含み、前記ピッキングステーション310で、オペレータが注文に含まれる注文フルフィルメント用の物品またはその他の物品をピッキングする(選び取る)。物品がピッキングされると、前記ピッキング車は、前記ピッキングステーションを離れて積み替え位置に戻るよう駆動され、前記SARシステムへと物品を戻し、および/またはさらに別の物品を取り出す。これにより、複数のピッキング車が前記ピッキングシステム100を循環して積み替え位置との間で物品を移動させるとともに、前記SARシステム400は、絶えず前記積み替え位置と前記保管位置との間で物品を移動させる。
【0011】
以下の説明において、前記ピッキングシステム100および前記SARシステム400は、1若しくはそれ以上の積み替え位置375などの送達先領域を介して相互作用しあう別個のシステムである。後述する特定のSARシステム400は、単に必要に応じて選択可能な多数の一意の物品を整理し、これを体系的に格納し取り出すため利用できるSARシステムの一例である。
【0012】
図1~10に例示して後述する実施形態では、システムが、ビン(bin)またはトートと呼ばれる容器に種々の物品を保存する。前記容器は、各容器が同じサイズになるよう均一な寸法を有するものとして示されている。ただし、当該システムは、必要に応じて種々のサイズの容器を使用するよう構成できることを理解すべきである。また、一部の応用では、物品が別個のビンまたはトート内で搬送されるのではなく直接移動されるよう、物品を事前梱包することができる。そのため、以下の説明において、容器またはビンまたはトートは、前記ピッキングシステム100または前記SARシステム400により搬送され若しくは移動されるものとして説明されているが、ビンまたはトートを使わず直接物品の搬送または移動が可能であることを理解すべきである。
【0013】
ピッキングシステム
前記ピッキングシステム100は、物品を前記SARシステム400から取り出し、1若しくはそれ以上のピッキングステーション310に搬送するように設計されており、それにより、物品は必要に応じてピッキングされ注文が履行される。前記ピッキングシステム100は、軌道110のループおよび1若しくはそれ以上のピッキングステーション310を含み、1若しくはそれ以上の積み替え位置375は、前記軌道110のループに沿って配置される。ピッキング車200は、前記軌道110のループを循環して前記ピッキングステーション310に物品を送達し、前記積み替え位置375との間で物品を移動させる。
【0014】
前記ピッキング車200は、それぞれ半自律的な車であり、前記軌道110に沿って自らを駆動するため、それぞれ車載電源および車載モーターを有する。これらの車は、当該車に物品を積載し降ろすための積み降ろし機構210も含む。
【0015】
当該システム10には多数の車200が含まれるため、これらの車が互いに衝突しないよう、各々の位置決めが制御される。一実施形態において、当該システム10は中央コントローラ350を使用し、この中央コントローラ350は、各ピッキング車200の位置を追跡し、前記軌道上の進行を制御する制御信号を各ピッキング車に提供する。また、前記中央コントローラ350は、前記軌道上の種々の要素、例えばゲート180の動作も制御する。あるいは、以下さらに説明するように、前記ピッキング車200で前記ゲートを作動させることもできる。
【0016】
ピッキング軌道
現在の例において、前記ピッキング軌道110は、上方レール135および下方レール140を含む。複数の垂直脚部130は、上方脚部と下方脚部140との間に延長する。搬送中、前記ピッキング車は、前記ピッキングステーション310から前記上方レール135へと、一対の垂直脚部130A、130Bを上方へ移動する(後述するように、前記軌道には前部軌道とそれに平行な対向軌道とが含まれるため、前記ピッキング車は実際には2対のレール上を移動する)。前記ピッキング車は、次に前記上方レールに沿って移動し、次いで垂直脚部130C、130Dにより形成された第2の列を降下する。現在の例において、積み替え位置375は、前記第2の列の頂部に位置する。適宜、前記ピッキング車200は前記積み替え位置375で停止し、その積み替え位置との間でトート15を移動させる。
【0017】
前記ピッキング車は、次に垂直脚部130C、130Dに沿って下方へ移動し、任意選択的に、当該垂直脚部に沿って配置された積み替え位置で停止する。物品を移動したのち、前記ピッキング車は、水平な下方脚部140に達するまで、前記垂直脚部を下降する。前記ピッキング車は、次いで前記下方レールに沿って移動し、前記ピッキングステーション310へ戻る。
【0018】
図1~3からわかるように、前記軌道110は前部軌道115および後部軌道120を含む。これら前部軌道115および後部軌道120は、協動して前記軌道上で前記ピッキング車を案内する互いに平行な軌道である。図7~8に示すように、各前記ピッキング車は、4つの車輪220、すなわち2つの前輪および2つの後輪を含む。前記前輪220は前記前部軌道に乗り、前記後輪は前記後部軌道に乗る。前記軌道に関する説明では、前記前部および後部軌道115、120は、互いに同様に構成された対向軌道で、前記ピッキング車の前後輪220を支持するものであることを理解すべきである。そのため、前部または後部軌道の一部に関する説明は、対向しあうこれら前部または後部軌道にも適用される。
【0019】
以下、図9~10を参照しながら前記ピッキング軌道110をさらに詳しく説明していく。前記軌道110は、外壁152と、この外壁から離間されこの外壁に平行な内壁154とを含む。当該軌道は、前記内壁と前記外壁との間に延長する後壁160も有する。図9~10からわかるように、前記内壁および前外記壁152、154、および前記後壁は経路を形成する。前記ピッキング車の前記車輪220は、この経路に乗る。
【0020】
前記軌道は、駆動面156および一対の案内面152、158の双方を含む。前記駆動面は、その突出部により前記ピッキング車と噛合し、当該車が前記軌道に沿って移動できるようにする。前記案内面152、158は、前記ピッキング車を案内し、当該車を前記駆動面156と動作可能な噛合状態に保つ。現在の例において、前記駆動面156は一連の歯から形成されており、以下さらに説明するように前記ピッキング車の車輪に噛合するラックを形成している。前記案内面158は、このラック156に隣接した略平坦な面である。このラック156は、当該軌道のほぼ半分にわたり延長しており、前記案内面158は、当該軌道の残りの半分にわたり延長している。図9~10に示すように、当該ラック156は、当該軌道の前記内壁154上に形成されている。それに対向する外壁152は、前記内壁の前記案内面158に平行な略平坦な案内面である。
【0021】
上述したように、当該軌道は、前記水平な上方および下方レール135、140間に延長した複数の垂直脚部130A、130B、130C、130Dを含む。交差点170は、前記上方レール135と前記垂直脚部130Bが交差する点に形成され、第2の交差点は、前記上方レール135と前記垂直脚部130Cが交差する点に形成される。同様に、前記垂直脚部130Bおよび130Cと前記下方脚部140が交差する点にも交差点が形成される。
【0022】
各交差点は、湾曲した内側の分岐部材と、略直線状の外側の分岐部材とを含む。レール130Bの前記交差点は、レール130Cの前記交差点と鏡対称である。図9において、前記交差点は、垂直脚部130Cが水平な上方脚部135と交差している前記軌道部分を例示している。前記垂直脚部と前記下方レールとの交差点には、上下逆向きである点を除き、同様な交差点が実装されている。
【0023】
図4および9を参照すると、交差点170A、170B、170C、170Dは、枢動自在なゲート180を含む。各ゲート180は、滑らかで湾曲した内輪(インナーレース)と、前記軌道の前記駆動面156の前記歯に対応した歯を有する平坦な外輪(アウターレース)とを有する。このゲート180は、第1の位置と第2の位置との間で枢動する。当該ゲート180は、前記第1の位置では閉じた状態になり、当該ゲートの直線状の外輪184が、当該交差点の直線状の外側の分岐部材に位置合わせされる(図9のゲート180Cを参照)。また、当該ゲート180は、前記第2の位置では開いた状態になり、当該ゲートの湾曲した内輪182が、当該交差点の湾曲した分岐部材に位置合わせされる(図9のゲート180Bを参照)。
【0024】
そのため、前記閉位置では、当該ゲートが下方へ枢動し、当該ゲートの前記外輪184が前記駆動面156に位置合わせされる。この位置では、前記ピッキング車が前記湾曲部を下降することを当該ゲートが妨げるため、当該車は引き続き当該交差点を直進する。これと対照的に、開位置まで枢動すると、当該ゲートは前記ピッキング車が当該交差点を直進するのを妨げる。その代わり、当該ゲートの前記湾曲した内輪182が前記内側の分岐部材172の前記湾曲した表面と位置合わせされて、前記ピッキング車は当該交差点を曲がる。すなわち、当該ゲートが閉じている場合、車は、当該交差点の位置に応じ前記上方レール130または前記下方レールに沿って、当該交差点を直進する。当該ゲートが開いている場合、前記ゲートは、当該交差点の位置に応じて、垂直レールから水平レールへ、または水平レールから垂直レールへと前記ピッキング車を方向付ける。
【0025】
図9~10からわかるように、前記ゲートの前記枢動点から見た遠端はフレア(末広がり)形状をしているため、当該ゲートが開いた際、前記湾曲した内輪の形状が前記内側の分岐部材の湾曲した外形に合うようになっている。その結果、当該ゲートは全体にL字状の構成を有する。当該ゲートのこのフレア形状の端部を受容するため、前記内側の分岐部材の前記駆動面156は、ノッチまたは凹部を有する。当該ゲートが閉じた状態の場合、このノッチは、当該ゲートの前記外輪184が、前記外側の分岐部材176の前記駆動面と平行に平坦に延在できるよう「逃げ」を創出する。
【0026】
前記ゲート180は、前記中央コントローラ350から受信される信号により制御できる。具体的には、各ゲートは、開位置から閉位置へ、またはその逆に前記ゲートを動かすアクチュエータと接続可能である。このアクチュエータとしては、当該ゲートを動かすよう動作できる種々の制御可能な要素のいずれを使用してもよい。例えば、前記アクチュエータは、直線的に移動自在なピストンを有したソレノイドとすることができる。
【0027】
あるいは、前記ピッキング車200上のアクチュエータで前記ゲート180を制御することもできる。具体的にいうと、前記ゲートは、前記車載アクチュエータに応答する受動型アクチュエータを含むことができる。前記車載アクチュエータが前記ゲートのアクチュエータに係合すると、そのゲートは第1の位置から第2の位置へと動く。例えば、前記ピッキング車が前記水平レール上にとどまるよう前記ゲートが第1の位置にある場合、前記ピッキング車200のゲートアクチュエータが前記ゲートのアクチュエータに係合すると、前記ゲート180は、当該車が前記垂直レール130に沿って曲がり下方へ移動するよう、第2の位置へと上方に枢動する。
【0028】
前記ピッキング車200が前記ゲートを通過したのち、そのゲートは、前記車載ゲートアクチュエータにより作動されて前記第1の位置に戻るまで前記第2の位置に保たれるよう構成できる。あるいは、前記ピッキング車が前記交差点を通過したのち、前記ゲート180が自動的に前記第1の位置に戻るようにもできる。
【0029】
以上の説明では、前記軌道110が車を上方へ駆動するための単一の列と、前記ピッキング車が前記下方レール140へと下方に移動するための単一の列とを含む。そのような構成では、前記積み替え位置375の1つで物品の積み降ろしに遅延が生じると、遅延しているピッキング車の後方にある軌道上のピッキング車すべての進行が妨げられる。そのため、ピッキング車が下方へ移動できる複数の列を当該システムが含むよう、ピッキング軌道を拡張することが望ましい。
【0030】
前記付加的な列は、前記SARシステム400の通路470へと前記ピッキング軌道110を拡張することになる。また、前記積み替え位置375を伸長して、前記ピッキング軌道の下方への列がどちらも当該積み替え位置に隣接するようにできる。このようにすると、前記中央コントローラ350は、前記ピッキング軌道上でゲートの動作を制御して、前記ピッキング車が第1の下行列を下降するか、第2の下行列を下降するかを決定できる。また、前記SARシステム400は、前記ピッキング車が取り出すべき前記トートの位置決めを制御することにより、当該トートを前記ピッキング車に積載できるよう前記積み替え位置の長手方向に沿った適切な場所に位置付けるようにできる。
【0031】
同様に、前記ピッキング軌道110を延長して複数の上行列を導入し、前記ピッキング軌道上のピッキングステーション310または投入ステーション360の数を増やすようにできる。2若しくはそれ以上の上行列を導入したシステムでは、一定数のゲートが含まれ、前記中央コントローラは、それらのゲートを制御してどの列に各ピッキング車を送るかを制御することができる。
【0032】
ピッキング車
ここで図7~8を参照し、前記ピッキング車200の細部を詳しく説明していく。各送達車は、車載電源を含む駆動システムを搭載した半自律的な車である。各ピッキング車は、配達すべき物品の積み降ろしを行う機構を含むことができる。任意選択的に、各ピッキング車は、前記ピッキング車が選択的に方向を変えられるよう前記ゲート180を選択的に作動させるゲートアクチュエータ230を含むこともできる。
【0033】
前記ピッキング車200には、前記ピッキング車と前記積み替え領域375間で物品を移動させる種々の機構210のいずれを実装してもよい。また、その積み替え機構210は、特定用途に特にカスタマイズしたものであってよい。図7に示した実施形態において、前記積み降ろし機構210は、トートまたは他の物品を搬送するプラットフォームを形成した複数の略水平のコンベアベルトを有する。これらのコンベアベルトは両面仕立てである。これらのベルトを第1の方向へ駆動すると、ベルト上の物品は当該車の後端へ向かって動き、これらのベルトを第2の方向へ駆動すると、ベルト上の物品は当該車の前端へ向かって動く。このコンベア210は、前記コントローラ350から受信される信号に応答して動作可能であり、回転して物品を駆動し、前記ピッキング車200から降ろし若しくは当該車上に引き上げる。
【0034】
当該車の底面に取り付けられたコンベアモーター255が、前記コンベアベルト212を駆動する。具体的には、前記コンベアベルト212は、当該車の前縁部で前方ローラー213の周囲に巻かれ、当該車の後縁部で後方ローラーの周囲に巻かれる。前記コンベアモーター255は、前記前方ローラー213と連結されこれを駆動することにより、前記コンベアベルトを操作する。
【0035】
あるいは、図8を参照すると、積み替え機構210′は、保管位置190に保管された物品に係合してその物品を前記ピッキング車に引き載せるよう構成された移動自在なバーを有する。より具体的にいうと、前記ピッキング車は、保管位置100にあるトート15へ向かって動くよう構成された移動自在な要素を含むことができる。前記移動自在な要素は、前記トート15に係合すると、前記保管位置100から離れる方向へ移動されて前記トートを前記ピッキング車200に引き載せる。
【0036】
図8を参照すると、現在の例では、前記積み降ろし機構210′は移動自在なロッドまたはバー212を有するようにできる。このバー212は、前記ピッキング車200の幅にわたり延長し、両端が、当該車の側部に沿って延長する駆動チェーン214と接続される。モーターが前記チェーンを駆動し、選択的に当該チェーンを保管位置へ向かって、または保管位置から離れる方向へ移動させる。例えば、前記ピッキング車がトート15を取り出すため積み替え位置375に近づくに伴い、前記チェーンは、前記バーが前記トート底部のグルーブ(溝)またはノッチに係合するよう前記積み替え位置へ向かって前記ロッドを駆動する。前記チェーンは、次いで前記バー212が前記積み替え位置375から離れる方向へ動くよう逆移動する。前記バーは前記トートの前記ノッチに係合しているため、前記バーが前記積み替え位置375から離れる方向へ動くと、当該バーは前記トートを前記ピッキング車に引き載せる。このように、前記積み降ろし機構210′は、積み替え位置から物品を取り出すよう動作可能である。同様に、積み替え位置100へと物品を移動させるため、前記積み降ろし機構210′の前記チェーン214は、前記物品が前記積み替え位置に移動するまで、その積み替え位置へと前記バー212を駆動する。前記チェーンは、引き続き前記バー212を前進させ、当該バーが下方へ移動したのち前記ピッキング車へ向かって後退させることにより、当該バーと前記トート15との係合が外れて前記トート15がリリースされるようにする。
【0037】
また、前記積み替え位置375は前記ピッキング軌道110の前部または前記ピッキング軌道110の後部へ向かうように配置できるため、当該システムは、前記軌道の前部側または前記軌道の後部側で積み替え位置375へ向かって物品を移動させるよう動作可能である。具体的にいうと、図8に示すように、前記積み降ろし機構210は、互いに離間された2本のバー212を含む。一方のバーは、前記前部軌道115に隣接した積み替え位置でトートに係合するよう動作可能であり、第2のバーは、前記後部軌道120に隣接した積み替え位置でトートに係合するよう動作可能である。
【0038】
前述のように、各ピッキング車は、当該車が前記ピッキング軌道上を移動する際に方向を変更できるよう、第1の位置から第2の位置へと前記ゲートを作動させるゲートアクチュエータを含むこともできる。当該アクチュエータは、前記ゲート180上の対応する要素に係合するよう構成された種々の要素のいずれであってもよい。このゲートアクチュエータは、第1の位置と第2の位置との間で選択的に移動可能である。前記第1の位置において、前記ゲートアクチュエータは、前記ゲートまたは前記軌道上の他の係合要素と係合しないよう位置付けられる。前記第2の位置において、前記ゲートアクチュエータ230は、前記軌道上の対応する要素に係合して前記ゲートを作動させるよう動作可能である。
【0039】
前記ピッキング車200は、4つの車輪220を含み、これらは当該車を前記ピッキング軌道110に沿って搬送するため使用される。これらの車輪220は、前記車輪のうち2つが当該車の前縁部に沿って配置され、前記車輪のうち2つが当該車の後縁部に沿って配置されるよう、互いに平行で離間された2本の車軸215に取り付けられる。
【0040】
図10を参照すると、各車輪は、内側の遊動ローラー224と、前記軌道の前記駆動面156と協動する外側の歯車222とを有する。前記遊動ローラー224は、前記車軸に対して自由回転し、前記外側の歯車は、取り付け先の車軸に対し固定されている。そのため、前記車軸を回転させると前記歯車222が回転するよう作用する。また、前記遊動ローラーは、前記軌道の前記上壁152と前記下壁154との間の距離よりやや小さい直径を有するようサイズ調整されている。これにより、当該遊動ローラーは前記軌道内で自由回転できる一方、各車輪の前記歯車222が確実に持続して前記軌道の駆動面(すなわち歯)156と動作可能に噛合するようにする。そのため、当該車が水平方向に移動中、前記ローラーが当該車の重量を担う一方、前記歯車222は前記軌道の前記駆動面156と協動し前記ピッキング軌道に沿って当該車を駆動する。
【0041】
当該車には、前記車輪220を駆動する車載モーターが含まれる。より具体的にいうと、この駆動モーターは、前記車軸215を回転させるよう当該車軸に動作可能に接続されており、それにより当該車軸は、前記車輪の前記歯車222を回転させる。現在の例では、当該駆動システムは、各歯車が同期された態様で駆動されるよう構成されている。具体的にいうと、各歯車222は、前記車軸の1つの端部に、当該車軸に対する当該歯車の回転を実質的に妨げる態様で、連結されている。これにより、各車軸は、それに取り付けられた2つの歯車を同期した態様で駆動する。また、この場合、双方の車軸は同期した態様で駆動されるため、4つの歯車すべてが同期した態様で駆動される。
【0042】
前記車軸を同期的に駆動するため使用できる機構には様々なものがある。例えば、一対の駆動モーターを使って前記車軸を駆動でき、それら駆動モーターを同期させることができる。あるいは、単一の駆動モーターを使って双方の車軸を駆動できる。各車軸は、当該車軸に対し回転しないよう当該車軸に強固に連結されたタイミングプーリを含むことができる。同様に、タイミングプーリにはモーター軸を連結できる。前記車軸の前記タイミングプーリを前記モーターに連結する前記駆動ベルトは、前記駆動モーターの回転が前記車軸の回転に精確に伝わるようにするタイミングベルトであってよい。単一のタイミングベルトを使っても双方の車軸を同期的に駆動できるが、一対のタイミングプーリを前記モーター軸に連結し、各タイミングプーリを、それに対応した前記車軸の1つのタイミングプーリに連結することもできる。
【0043】
前記駆動モーターは、当該モーターの回転を検出することにより当該車が移動した距離を決定するよう動作可能なセンサーを含むことができる。前記歯車222は前記車軸と強固に連結されており、当該車軸は前記駆動モーターと同期的に連結されているため、当該車が前方へ移動する距離は、前記駆動モーターの回転に対応した距離に相関するよう厳密に制御できる。そのため、決定された経路に沿って車が移動した距離は、当該車のモーター回転に対応した距離に依存する。
【0044】
前記駆動モーターの回転を検出するため、前記モーターは、当該駆動モーターの回転量を検出するセンサーを含むことができる。例えば、そのセンサー252はホールセンサーなどのセンサーとしてよい。前記センサーは前記モーターの回転を検出して前記中央プロセッサ350に信号を送信すると、当該中央プロセッサ350は、指定された経路に関する既知の情報と、前記モーターについて前記センサーが検出した回転とに基づき、前記指定された経路に沿って前記ピッキング車が移動した距離を決定する。
【0045】
前記ピッキング車200は、当該車の駆動に必要な電力を供給する前記レール上の接触子などの外部電源により供電できる。ただし現在の例において、前記ピッキング車は、前記駆動モーターおよび前記積み降ろし機構210を駆動するモーターの双方に必要な電力を供給する車載電源を含む。また現在の例では、前記電源は充電式である。この電源は充電池などの電源を含むことができるが、現在の例では、前記電源は1若しくはそれ以上のウルトラキャパシタで構成される。ウルトラキャパシタは、再充電時、非常に高い電流に対応できる。大電流を使うと、ウルトラキャパシタは、数秒以下など非常に短時間で再充電できる。
【0046】
前記ピッキング車は、前記電源を再充電するための1若しくはそれ以上の接触子を含む。現在の例では、前記ピッキング車に、ブラシが外方へ付勢されるようにしたバネ式の銅ブラシなど複数のブラシが含まれる。これらのブラシは、以下さらに説明するように、充電レールと協動して前記電源を再充電する。
【0047】
例えば、前記水平な下方レール140の下に、一対の充電レールを設けることができる。これらの充電レールは、電源に接続された導電性のストリップ(帯状体)である。前記ピッキング車200の前記充電接触子は、この導電性のストリップに係合して前記ウルトラキャパシタを再充電する。具体的にいうと、前記ブラシの前記付勢要素が前記充電接触子へ向かって外方へ当該ブラシを付勢する。前記充電接触子を通じて流れる電気は低電圧源からの大電流であり、これにより前記ウルトラキャパシタを数秒以下で再充電できる。また、前記ウルトラキャパシタが提供する電源は数分間しかもたない場合があるため、前記ピッキング車は、前記下方レール140上を移動するたび再充電を行う。
【0048】
各ピッキング車は、物品が当該車に積まれていることを検出する積載物センサーを含むことができる。前記センサーにより、物品が確実かつ適切に当該車上に配置される。例えば、前記積載物センサーとしては、重量変化を検出する力検出器または物品の存在を検出する赤外センサーなどがある。
【0049】
以上の説明において、前記ピッキング車は、前記軌道の歯と相互作用することにより当該車を当該軌道上で案内する駆動歯車を有する。また、以下動作に関する項でさらに説明するように、前記ピッキング車の位置は、当該車が移動した距離に関する情報に基づいて制御できる。そのような応用では、前記ピッキング車の駆動車輪を同期させることが望ましい。ただし、一部の応用では、それに代わる制御システムを使用してもよい。例えば、前記ピッキング車の位置は、前記軌道に沿って配置されたセンサーからの信号、または前記軌道に沿って配置されたインジケータに基づいて制御できる。そのような場合、前記ピッキング車は、上記と異なり非同期的な駆動機構を使用するよう構成することができる。
【0050】
以下さらに説明するように、前記ピッキング車は、さらに、前記中央プロセッサ350から受信された信号に応答して当該車の動作を制御するプロセッサを含む。また、前記ピッキング車は、前記軌道上での移動中に前記中央プロセッサと絶え間なく通信できるよう、無線送受信機を含む。あるいは、一部の応用では、前記軌道に沿って複数のセンサーまたはインジケータを配置することが望ましい可能性がある。前記ピッキング車は、前記センサーの信号および/または前記インジケータを感知するリーダーのほか、当該センサーまたはインジケータに応答して前記ピッキング車の動作を制御する中央プロセッサを含むことができる。
【0051】
ピッキングステーション
前述のように、前記ピッキングシステム10は、前記ピッキング車200が前記積み替え位置375から物品を取り出し、その物品を前記ピッキングステーション310に搬送するよう構成される。ここで図1~6を参照し、前記ピッキングステーション310について詳しく説明していく。
【0052】
動作形態の1つにおいて、当該システム10は、受注履行に必要な物品を取り出すため使用される。前記注文は内部注文、例えば別部門での製造工程に必要な部品等であってよく、または受注し顧客に配送すべき顧客注文であってよい。どちらの場合も、前記保管および取り出しシステム400は保管領域から物品を取り出し、その物品を前記積み替え位置375に送達する。
【0053】
前記ピッキング車は前記積み替え位置375から物品を取り出して前記ピッキングステーション310に送達し、オペレータが必要な数の物品をトートからピッキングできる(選び取れる)ようにする。また一部の場合には、自動化された機構を使って、前記ピッキングステーションでピッキング車から物品を自動的にピッキングできる。例えば、アームまたは他の機械的な装置が、その腕部をトート内に伸ばして当該トートから物品を自動的に選択して当該物品を取り出し、または前記装置が前記ピッキング車上のトートまたは容器全体を取り出すようにできる。そのため、説明または請求項において、オペレータが物品をピッキングすると記載している場合、そのオペレータとは人間の作業者であっても機械的なオペレータであってもよいことを理解すべきである。
【0054】
物品がトートからピッキングされたのち、前記ピッキング車は、注文で必要とされている次の物品が前記ピッキングステーション310へと送られるよう前進する。当該システムは、前記オペレータが注文で必要とされている必要な物品をピッキングできるよう、この態様で続行する。
【0055】
現在の例において、前記ピッキングステーション310は、前記オペレータがより容易に前記トート15から物品を取り出せるようにするため、前記ピッキング車が上方へ移動して前記内容物を前記オペレータに提示できるよう構成される。図1を参照すると、前記ピッキングステーションにおいて前記軌道は、オペレータから遠ざかるよう上方へ曲がる湾曲した部分315を含む。これにより、前記ピッキング車は上方へ移動したのち、オペレータが前記トートから物品を取り出しやすい高さで停止する。オペレータが前記トートから物品を取り出したのち、前記ピッキング車は当該オペレータから離れる方向へ移動する。例えば図1に示すように、オペレータが人間の作業者である場合、前記軌道は、前記トートが前記作業者から離れる方向へ、水平な上方レール135へ向かって水平方向に移動するよう構成できる。
【0056】
また、前記システムは、前記ピッキング車の動作を制御して前記ピッキングステーション310で前記ピッキング車を傾けることにより、オペレータが前記トートから物品を取り出しやすくする。例えば、前記ピッキング車が前記ピッキングステーションに近づくに伴い、前記コントローラ350は後輪セット(すなわち連結脚部110Bにある車輪)が前輪セット(すなわち連結脚部110Aにある車輪)の停止後も駆動され続けるよう前記ピッキング車を制御できる。これにより、前記ピッキング車の後方縁部が上昇する(オペレータの視点から)。オペレータが前記トートから物品をピッキングすると、前記ピッキング車の前輪セット(当該オペレータに対しての)が最初に駆動されることで前記ピッキング車を元の角度配向に戻す。元の角度配向になると、当該四輪は同期的に駆動される。あるいは、前記ピッキング車が前記ピッキングステーションで水平に保たれたまま、ある機構により前記トートの縁部を上昇させて前記トートの後方縁部を上方へ傾けることにより、内容物をオペレータに提示するようにできる。このように、前記ピッキング車または前記トートのどちらか一方を操作して、前記トートの縁部を上昇させ、前記ピッキングステーションにおけるオペレータに内容物を提示することができる。
【0057】
前記ピッキングステーション310に複数の物品を含めれられるようにすると、当該ピッキングステーションの効率を改善できる。例えば、前記ピッキングステーションには、オペレータを支援する情報を表示するモニター(監視装置)を含めることができる。前記ピッキング車が前記ピッキングステーションに近づくに伴い、当該システム10は、情報、例えば注文用に前記トートから何個の物品をピッキングする必要があるかを表示できる。また、オペレータは複数の注文について物品をピッキングする場合があるため、当該システムは、各注文について物品を何個ピッキングすべきかに加え、どの注文について物品をピッキングすべきかを表示できる。また、当該システムは、オペレータが適切な数の物品を前記トートからピッキングした後、何個の物品を前記トート内に残すべきかなどの情報も表示できる。
【0058】
前記システムは、オペレータが物品をピッキングした後、前記ピッキング車が前記ピッキングステーションから離れる方向へ自動的に前進できるよう、物品がトートから取り出されたことを感知するセンサーを含むこともできる。同様に、当該システムは手動で作動可能なアイテム、例えば、オペレータが適切な数の物品をトートからピッキングしてから作動させるボタンを含むこともできる。オペレータが前記ボタンを作動させたのち、当該システムは前記ピッキングステーションから離れる方向へ前記トートを前進させる。
【0059】
現在の例において、前記ピッキングステーション310は、前記SARシステム400のアレイの一端に配置される。ただし、複数のピッキングステーションを当該SARシステムの周囲に実装することが望ましい場合もある。例えば、第2のピッキングステーションを有する第2のピッキングシステムを、前記SARシステム400の反対端に沿って配置することもできる。あるいは、前記SARシステム400が複数の列を有し、ある数のピッキングシステムが前記SARシステムの一端に沿って配置されるようにもできる。
【0060】
そのため、前記軌道の構成は単一のピッキングステーションに限定されないことを理解すべきである。例えば、図1に示すピッキングステーション310の上方に、第2のピッキングステーションを配置することができる。そのような構成では、前記上方のピッキングステーションが垂直軌道130A、130Bの上部と交差する軌道を有する。それら垂直軌道130A、130B上のゲートは、前記ピッキングステーションへと前記ピッキング車を選択的に方向付ける。例えば、上述のゲート180と同様なゲートが第1の位置にあるときは前記上方のピッキングステーションへとピッキング車を方向付ける一方、当該ゲートが第2の位置にあるときは車が前記垂直レールを引き続き上昇できるよう、当該ゲートを動作可能にできる。また、前記垂直レール130A、130Bは、前記第1のピッキングステーションを通らずに前記下方レール135まで延長する垂直な部分を含むことができる。2つのゲートを前記下方レール135との交差点に配置して、第1の位置では、当該ゲートが、前記第1のピッキングステーション310へと前記ピッキング車を方向付け(図1に示す)、第2の位置では、当該ゲートが、前記第1のピッキングステーションを迂回して前記垂直レール130A、130Bへと前記ピッキング車を方向付けるようにできる。
【0061】
以上の説明では、前記システムについて、受注履行に使用されるある数の個別の物品を取り出す上で使用されるものと説明した。1若しくはそれ以上のトートがオペレータに提示されると、そのオペレータは前記トートから物品をピッキングし、例えばそれらの物品を出荷用の容器内に配置して、物品を集める。あるいは、前記システムは、複数の物品を集めるのではなく、当該システムから離れる方向へ物品を搬送する1若しくはそれ以上のバッファコンベアを実装できる。オペレータは、ピッキングされた物品を適切な順序で前記バッファコンベア上に配置し、そのコンベアは、それらの物品を当該システムから離れる方向へ搬送する。
【0062】
オペレータが前記ピッキング車の1つから前記適切な物品を取り出すと、前記ピッキング車は前記ピッキングステーション310から離れる方向へ移動する。具体的には、前記車載コントローラが前記駆動モーターを開始する信号を送信する。前記駆動モーターが前記車軸を回転させると、当該車軸が前記車輪220の前記歯車222を回転させる。前記歯車222は前記垂直レールの前記駆動面156と噛合して、前記ピッキング車を上方へ駆動する。具体的には、前記歯車および前記駆動面が噛合しあい、ラックピニオン機構として動作して、前記車輪の回転運動を前記軌道110上の直線運動に変換する。
【0063】
前記ピッキング車が前記ピッキングステーションから離れる方向へ移動するに伴い、前記システムは、前記ピッキング車が次の物品を取り出し、搬送中の物品を移動させるべき積み替え位置375を決定する。前記ピッキング車が前記軌道110の頂部に達する前に、前記システムがどの積み替え位置に前記ピッキング車を方向付けるべきかを決定できない場合、前記ピッキング車は、単に前記軌道を周回して前記工程を再開できる。
【0064】
前記中央コントローラ350は、物品用に適切な積み替え位置375を決定すると、前記ピッキング車の動作を制御して必要に応じ前記軌道上の前記ゲートを作動させ、前記適切な積み替え位置へと前記ピッキング車を方向付ける。前記ピッキング車は前記適切な積み替え位置375で停止し、前記ピッキング車200上の物品が当該ピッキング車から降ろされる。また、前記ピッキング車が前記積み替え位置で停止している間に、別の物品を当該ピッキング車に積むことができる。あるいは、前記積み替え位置375で物品を降ろした後、前記ピッキング車は、異なる積み替え位置に移動して停止したのち当該ピッキング車に物品を載せることもできる。
【0065】
前記ピッキング車は異なる積み替え位置で物品を積み降ろしできるが、現在の例では、物品を降ろし、同じ積み替えステーションで停止している間に次の物品をピッキングする。さらに、後述するように、現在の例では、前記ピッキング車が第1の物品を降ろすため停止している間、その第1の物品の荷降ろし中に、第2の物品が前記ピッキング車に積まれる。
【0066】
図9を参照すると、前記ピッキング車の先行車軸の車輪(すなわちレール130B上を移動中の車輪)が前記上方レール135との交差点170に近づくに伴い、前記垂直レール130B頂部の前記ゲート180Bは開いたままで、前記垂直レール130C頂部の前記ゲート180Cは閉位置で保たれている。そのため、前記開いたゲート130Bにより、前記車輪は前記上方レール135に乗り上げて、前記ゲート180Cの前記外輪184Cへと運行することができる。これにより、前記閉位置にあるゲート180Cが前記駆動面156と協動して、前記ピッキング車の前記先行車軸が前記垂直軌道130Cを通過できるようにする直線状の駆動面を提供する。
【0067】
前記先行車軸が前記閉じたゲート180Cを通過すると、前記ゲート180Bは閉位置へと枢動し、前記ゲート180Cは開位置へと枢動する。前記後部車軸の車輪は、次いで前記閉じたゲート180Bの外輪184Bの上を運行する。前記ゲート180Cの内輪182Cが、次に前記後部車軸の車輪を下方の垂直脚部130Cへと方向付ける。同時に、垂直脚部130Dの頂部にゲートはないため、前記先行車軸の車輪は、前記後続車軸の車輪が脚部130Cを下降するとともに垂直脚部130Dを下降する。前記ピッキング車が脚部130Cおよび130Dの底部の交差点に近づくに伴い、前記脚部130Bおよび130Cの底部における各ゲートが、上の説明と同様に、ただし左右逆に操作される。
【0068】
以上の説明では、前記ゲート180Bの動作は垂直脚部130B頂部にある単一ゲートとして説明し、前記ゲート180Cは垂直脚部130C頂部にあるものとして説明した。ただし、上述したように、前記ピッキング軌道110は前部軌道115と、それに対向し前記前部軌道の実質的な鏡像である後部軌道120を有することを理解すべきである。そのため、実際には、垂直脚部130A、130B、130C、および130Dは、それぞれ2つある。同様に、ゲートも、双方の垂直脚部130Bの頂部と、双方の垂直脚部130Cの頂部とにある。以上の説明で垂直脚部130Bの頂部のゲート180Bが開いていると記載している場合は、実際には、2つのゲートが開いていることを意味しており、すなわち前部軌道115の垂直脚部130Bの頂部のゲートと、後部軌道120の垂直脚部130Bの頂部のゲートとが開いている。同様に、以上の説明で垂直脚部130Bの頂部のゲート180Bが閉じていると記載している場合は、実際には、2つのゲートが閉じていることを意味しており、すなわち前部軌道115の垂直脚部130Bの頂部のゲート130Bと、後部軌道120の垂直脚部130Bの頂部のゲート180Bとが閉じている。これと同じことが、垂直脚部130Cの頂部の前記ゲート180Cに関する説明にも言える。
【0069】
上述した当該システムの利点の1つは、前記ピッキング車が水平移動(前記上方または下方レールに沿った)から垂直移動(前記垂直脚部130A、130B、130C、130Dを下降する)へと移行しても、当該車の向きが実質的に変わらないことである。具体的にいうと、車の水平移動中、前記2つの歯車付き前輪220は、前記前部軌道115の前記水平な上方または下方レール135または140と協動し、前記2つの歯車付き後輪220は、それに対応する前記後部軌道120の前記水平な上方または下方レール135または140と協動する。前記ピッキング車がゲートを通過し、列に進入するに伴い、前記2つの歯車付き前輪は、前記前部軌道115の一対の垂直脚部130と噛合し、前記2つの歯車付き後輪は、それに対応する前記後部軌道120の一対の垂直脚部と噛合する。なお、水平方向に対する前記ピッキング車の向きが変わらないという記載は、前記軌道に沿った前記ピッキング車の移動に言及していることに注意すべきである。前記ピッキング車は、前記ピッキングステーションで水平方向に対して傾くとしても、前記軌道110に沿って当該車が移動する際、水平方向に対して略一定の向きが保たれると見なされる。
【0070】
前記ピッキング車が、前記水平なレールから前記垂直な列に移動する際、または高さ方向から水平方向へ移行する際、前記軌道は、4つの歯車付き車輪すべてが同じ高さに位置付けられるようにする。これにより、前記ピッキング車は、前記軌道上を移動する際、水平移動と垂直移動との間で移行しても傾斜することがない。
【0071】
トラフィック制御
本システムは、複数の車200を含むため、それらの車が互いに衝突しないよう、異なる車の動作を制御する。以下の説明では、これをトラフィック制御と呼ぶ。
【0072】
このトラフィック制御には、種々の方法論を使用できる。例えば、このトラフィック制御は分散されたシステムであってよく、その場合、各ピッキング車は周囲の車に対する自らの位置を監視し、前記車載コントローラは、適宜、当該車を制御する。そのようなシステムの一例では、各ピッキング車に搭載された近接センサーを利用する。ある車の近接センサーが前方の事前定義された距離内に車を検出すると、後続車である当該車の前記車載コントローラは、当該車を制御して減速または停車させる。同様に、車が後方の事前定義された距離内に別の車を検出すると、先行車である当該車は、前方の事前定義された距離内にさらに別の車を検出しない限り、加速する。これにより、前記ピッキング車は、前記近接センサーからのフィードバックに基づき、当該車の速度を独立して制御することができる。
【0073】
当該システムは、トラフィック制御に分散システムを使用する場合もあるが、現在の例では、集中システム(一元化されたシステム)を使ってトラフィック制御を行う。具体的には、前記中央コントローラ350が各ピッキング車200の位置を追跡し、各ピッキング車の周囲の車に対する位置と、各ピッキング車用の経路とに基づいて、各ピッキング車にトラフィック制御信号を提供する。
【0074】
現在の例では、前記中央コントローラ350がトラフィックコントローラとして動作し、前記軌道110上を移動中の前記ピッキング車と絶えず通信する。各ピッキング車に対し、前記中央コントローラは移動可能な距離を決定し、その情報を当該車に通信する。例えば、前記軌道上で車Bが車Aに後続しており、車Aが点Aに位置している場合、車Bは、点Aの直前の点までは車Aに衝突することなく安全に移動することができる。車Aが前記軌道上をさらに点Bまで前進すると、車Bは、点Bの直前の点まで、車Aに衝突することなく安全に移動できる。
【0075】
前記ピッキング車は、前記中央コントローラと絶えず通信して当該車の位置を示す情報を提供することにより、前記中央コントローラが、前記軌道を前進する各ピッキング車に関する安全な距離を絶え間なく更新できるようにする。
【0076】
以上の説明は、前記軌道における種々の車の位置に基づいた安全なゾーンの決定に限定されるが、安全なゾーンの決定は、トラフィックに影響を及ぼす他の要因に基づいてもよい。例えば、車について安全な距離を計算する場合、前記中央コントローラは、当該車と次のゲートとの間の距離に加え、当該車が向かう積み替え位置までの距離を考慮する。
【0077】
以上からわかるように、前記ピッキング車と前記中央コントローラとの間の通信の頻度を増やすと、前記軌道上のトラフィックの流れの効率が増す。また、安全な距離を計算するため使用した上記の変数については、各ピッキング車の前方にある前記軌道の形状に関する情報を使って、安全な距離が計算される。例えば、前記中央コントローラは、車の前方の経路が横方向の運動か、上り方向の運動(すなわち垂直上方への運動)か、または下り方向の運動(すなわち垂直下方への運動)かを決定する。
【0078】
トラフィック制御における問題の1つは、交差点170での合流に関するものである。この問題は、復路である前記レール140へと車が合流する必要がある場合に生じる。2台の車が衝突する程度近い距離で交差点に到着する予定である場合は、それらの車のうち一方を優先させて先に交差点を通過させ、他方を待機または減速させる必要がある。これは特に、当該システムが、上述のように第1のピッキングステーションの上方に配置された第2のピッキングステーションを実装する場合にあてはまる。
【0079】
トラフィック合流を制御する方法の1つは、車が別の車と衝突せずに交差点を通過するだけの時間を当該車が有するようにする上で十分大きな次の空間領域を決定する工程に基づいたものである。すなわち、第1の車が交差点に近づいており、当該第1の車と第2の車との間の空間領域が当該第1の車を通過させるには不十分であると決定された場合、当該第1の車は、自らが前記交差点を通過する上で十分大きな空間領域が生じるまで、前記交差点で待機する。
【0080】
保管および取り出しシステム
上述のように、前記ピッキングシステム100は、ピッキング軌道110を循環し、当該ピッキング軌道110に沿って配置された1若しくはそれ以上の積み替え位置で物品を降ろして受け取る複数のピッキング車を有する。それらのピッキング車は、次いでオペレータが必要な物品をピッキングできるよう、取り出された前記物品をピッキングステーションへ搬送する。
【0081】
前記保管および取り出しシステム(SAR)400は、複数の保管位置から物品を取り出して当該物品を前記積み替え位置375に搬送し、そこでピッキング車により当該物品がピッキングされる。また、このSARシステム400は、前記ピッキング車200から物品を取り出し、その物品を前記保管位置で保管する。これにより、当該SARシステム400は、数千(または可能性として数百万)の保管位置との間での物品の保管および取り出しを扱い、それらの物品を前記積み替え位置の1つへ搬送する。当該SARシステム400を前記ピッキングシステム100から分離すると、種々のSARシステムのいずれも前記ピッキングシステム100と組み合わせられるようになる。そのSARシステムは、単に、前記保管位置から前記積み替え位置に物品を搬送し、前記積み替え位置から前記保管位置に物品を戻すよう構成するだけでよい。
【0082】
前記ピッキングステーションは任意のSARシステム400と連携して動作するよう動作可能であるため、SARシステムの構成は多様であってよいことを理解すべきである。したがって、以下の説明は実施例であり、前記ピッキングシステム100と連携して使用できる種々のSARシステムを限定することを意図したものではないことを理解すべきである。
【0083】
以下、図1~6を参照し、前記SARシステム400について詳しく説明していく。例示したSAR 400は、複数の保管位置を有する1若しくはそれ以上の保管棚410を実装している。現在の例において、前記保管棚は、略水平方向の列の高さ方向のアレイを有する。水平方向の各行に沿って複数の保管位置が配置され、それらの行は互いに高さ方向に離間される。また、現在の例において、SAR 400は、2つの平行な保管棚410Aおよび410Bを伴って例示される。これらの保管棚410A、410Bは互いに離間されて、前記棚間に通路420を生じる。
【0084】
以下の説明では保管棚410Aについて詳述する。保管棚410Bは棚410Aと実質的に同様に構成されることを理解すべきである。
【0085】
前記保管棚410Aは、複数の垂直支持部450に連結された複数の水平支持部440を有する。具体的にいうと、棚410は4つの垂直支持部450で形成される。各行は、一対の平行な水平支持部440により形成される。各水平支持部の各端部は、前記垂直支持部の1つと連結される。また、各水平支持部440は、ビン(bin)またはトート15の行に支持部を提供する。例えば、トート15の各行を支持するため棚が提供される。各棚は、一対の平行な水平支持部440により支持される。
【0086】
図1に示すように、横架材460が水平方向に延長して前記水平支持部を横断し、前記垂直部材を相互連結して安定した剛性棚410を形成している。図5に示すように、通路470は棚410Aと410B間に形成される。
【0087】
現在の例において、前記SARシステム400は、前記複数の保管位置から物品を保管し取り出す複数のシャトル500を含む。具体的にいうと、前記シャトル500は棚410Aと棚410B間の前記通路470に配置される。それらのシャトル500は、各水平支持部440上に形成された軌道内で運行する。例えば、前記軌道は各支持部の外縁部に形成でき、または前記軌道は各支持部の上縁部に形成できる。
【0088】
現在の例において、各シャトル500は一対の車軸を有する車を有し、各車軸に一対の車輪が取り付けられる。これにより、図5に示すように、シャトルの2つの車輪は棚410Aの水平支持部440により指示され、当該シャトルの2つの車輪は、それに対向する棚410Bの水平支持部により指示される。
【0089】
ただし、前記積み替え位置375は前記SARシステム400内の種々の位置に配置できる。図1~6に例示した実施形態では、積み替え位置が各棚410Aおよび410Bの各行の端部に配置されている。これにより、各行は、それに対応した棚410A端部の積み替え位置と、それに平行な棚410B端部の積み替え位置とを有する。
【0090】
各シャトル500は、各々の行に沿って前後に移動して、中央コントローラ350により受信されるコマンドに応答してトートを保管し、トートを取り出す。具体的にいうと、各シャトルは、前記行内または前記行端部の積み替え位置でシャトルから保管位置へとトート15を移動させる積み替え機構を含む。同様に、この積み替え機構は、前記行の前記保管位置の1つから前記シャトルに、または前記行端部の前記積み替え位置の1つからトートを積載するよう動作可能である。
【0091】
前記シャトル500用の前記積み替え機構は、トートを移動させる種々の機構のいずれも含むことができる。例えば、当該積み替え機構は、前記シャトルから前記トートへ向かって伸長しそのトートに係合してこれを当該シャトル上に引き込む入れ子式アームを含むことができる。同様に、前記シャトルから保管位置へトートを移動させるため、前記入れ子式アームはトートに係合したのち伸長して前記保管位置へ向かって当該トートを駆動する。前記トートが保管位置に達すると、前記アームは前記トートから係合解除して前記シャトルに引き込まれる。あるいは、前記シャトル500は、他種の積み替え機構、例えば前記トートを載せる略水平面を形成した逆行可能なコンベアを含むことができる。そのコンベアを第1の方向へ駆動すると、前記トートは前記第1の棚410Aの行内の保管位置へ向かって排出され、当該コンベアを第2の方向へ駆動すると、前記トートは前記第2の棚410Bの平行な行内の保管位置へ向かって後方へ排出される。同様に、積み替え機構を各保管位置に設けて、前記シャトルとの間で前記トートを押し出し若しくは引き込むことができる。例えば、前記シャトルコンベアで保管位置へ向かってトートを駆動したのち、前記保管棚上の積み替え機構で前記トートを前記シャトルから完全に当該棚に引き載せることができる。同様に、前記シャトルが保管位置にある場合、前記棚上の前記積み替え機構により、トートが前記シャトルの前記コンベアに係合するまで前記シャトルへ向かって前記トートを押し出すこともできる。前記トートが前記シャトルに係合したら、前記シャトル上の前記コンベアを駆動して前記トートを前記シャトルに引き載せる。
【0092】
このように、種々の積み替え機構を使って、前記シャトルと前記保管位置間で前記トートを移動できることが理解されるであろう。前記積み替え機構は、前記シャトル、前記棚、またはその双方に取り付け可能である。前記シャトルと前記保管位置間のトート積み替えのほか、前記積み替え機構は、前記シャトルと前記積み替え位置間375でもトートを移動させるよう動作可能である。
【0093】
受注を履行するため、前記中央コントローラ350は、取り出すべき各物品の位置を決定したのち、各前記保管位置から前記物品を取り出すよう適切な前記シャトル500に指示し、前記行の端部の前記積み替え位置へと前記物品を移動させる。前記中央コントローラは、次いで上記に対応する数のピッキング車200を制御して各前記積み替え位置へとピッキング車を駆動し、そこで注文用の物品が移動される。ピッキング車200は、物品をピッキングすべき前記積み替え位置375に到達する際、その積み替え位置に隣接した前記ピッキング軌道110上で停止できる。
【0094】
前記積み替え位置375において、前記システムは、前記積み替え位置と前記ピッキング車200間で物品を移動させる。前記物品は、前記ピッキング車から前記積み替え位置へ、または前記積み替え位置から前記ピッキング車へと移動される。当該システム10の通常の動作では、積み替え位置における前記ピッキング車の停止中に、ある物品が前記ピッキング車から前記積み替え位置へ移動され、別の物品が前記積み替え位置から前記ピッキング車へ移動される。
【0095】
より具体的にいうと、現在の例において、前記物品はトート15に入った状態で移動される。車が前記ピッキングステーション310から離れる方向へ搬送されるに伴い、前記中央コントローラは、前記ピッキング軌道110上の2つの積み替え位置に隣接した点へと前記ピッキング車を方向付ける。例えば、図1、4~5を参照すると、前記ピッキング軌道100は、垂直レール130Cおよび130Dが積み替え位置375Aおよび375Bととの間に位置付けられるよう、SAR棚410Aと410B間の通路470内に延長する。前記SARシステム400は、前記ピッキング車により取り出すべきトートが前記平行な積み替え位置にある間に前記積み替え位置の1つが空くよう、トートの流れを制御する。例えば、図5では、前記ピッキング車上のトート15Aは、積み替え位置375Aへ移動される予定であり、積み替え位置375Aはトート375Aを受容できるよう空いている。また、積み替え位置375Bのトート15Bは、前記ピッキング車へ移動される予定である。図6に示すように、積み替え位置375Aおよび375Bは当該SARシステム400において平行な行の端部にあるため、これら2つの積み替え位置は実質的に同じ高さにあり、前記ピッキング車は、これらの積み替え位置に隣接している間どちらの積み替え領域との間でもトートを移動させることができる。
【0096】
前記ピッキング車と前記積み替え位置間でのトートの積み替えは順次行える(すなわち、トート15Aが前記ピッキング車から積み替え位置375Aへと降ろされたのち、トート15Bが空になった前記ピッキング車へと積み替え位置375Bから積載される)。ただし、当該システムの動作は、トートを前記ピッキング車へ移動する一方で、トートを前記ピッキング車から降ろすことにより迅速化できる。トートの同時移動を容易にするため、積み替え機構が積み替え位置に設けられ、別個の積み替え機構が前記ピッキング車に設けられる。例えば、前記積み替え位置の積み替え機構は、積み替え位置375Bから前記ピッキング車へ向かってトート15Bを押し出すプッシャー要素であってよい。例えば、前記積み替え位置における1若しくはそれ以上のローラーまたはベルトで、前記ピッキング車へ向かってトートを駆動できる。例えば、前記積み替え機構は、前記積み替え位置における複数のローラー、またはそれらローラー間に設けられたベルトを含むことができる。トートを移動させるため、前記ローラーまたはベルトは前記ローラー間から上方へ延出し、前記トートの底部に係合する。前記ローラーまたはベルトは、次いで前方へ駆動され、前記ピッキング車へ向かって前記トートを駆動する。また、前記ピッキング車の停止中に、トート15Aを載せた前記コンベアベルト210が作動される。前記コンベアベルト210を前方へ駆動することで、トート15Aは前記ピッキング車から積み替え位置375Aへと降ろされる。積み替え機構、例えば上述のポップアップローラーまたはベルトは、前記トート15Aに係合してこれを前記積み替え位置へと駆動する。また、前記コンベアベルト210を前方へ駆動することで、トート15Aが排出されている間にトート15Bが前記ピッキング車へと駆動される。これにより、第2のトートが前記ピッキング車から排出されている間に、1つの積み替え位置から前記ピッキング車にトートを載せることができる。このように、第1のトートの排出および第2のトートの取り出しにかかる移動時間は大幅に短縮される。
【0097】
図1~6に示すように、現在の例において、前記積み替え位置は、前記積み替え位置375の長手方向に沿ってトートを搬送するコンベアを含む。例えば、前記積み替え位置は、ローラーコンベア用の一連の細長いローラーとして例示されている。当該システムは、それらのローラーを駆動して前記積み替え位置での前記トートの動きを制御する駆動機構を含む。
【0098】
図6を参照すると、前記ピッキング車と前記積み替え位置間のトートの流れが例示されている。また、前記積み替え位置上でのトートの流れも例示されている。前述のように、図6は、積み替え位置375Aと375B間における前記ピッキング軌道110上のピッキング車200Aを例示している。図6において、前記ピッキング車220Aと前記積み替え位置間のトート15A、15Bの移動は、まだ始まっていない。この第1のピッキング車220Aの下では、第2のピッキング車220Bが、前記ピッキング軌道上の積み替え位置375Cと375D間で停止している。前記トートの移動は一部終わっている。トート15Cは、部分的に前記ピッキング車220B上にあり、部分的に前記積み替え位置375C上に排出されている。また、トート15Dは、部分的に前記ピッキング車220Bに積まれており、一部はまだ前記積み替え位置375D上にある。積み替え位置375Cの下では、トート15Eが積み替え位置375E上にある。トート15Eは、ピッキング車220Cから排出済みで、前記ピッキング車220Cは積み替え位置375Eから離れる方向へすでに駆動されている。また、トート15Eを後方へ(すなわち前記ピッキングシステム100から離れる方向へ)駆動するよう前記積み替え位置375Eのローラーが作動済みである。前記トート15Eが前記ローラーコンベアの後端へ向かって駆動されると、前記シャトルの1つに前記トートを移動させるために当該ローラーコンベアが停止する。
【0099】
以上の説明では、物品を前記ピッキング車に移動させるよう物品が前記シャトルから移動されてくるステージング(staging)位置として、前記積み替え位置を説明した。ただし、一定の用途において、前記積み替え位置は、物品を前記シャトルから前記ピッキング車に直接移動されるよう、前記シャトルが前記ピッキング軌道に横付けする前記SARシステム上の位置とすることもできる。例えば、図5に示すように、例示されたSARシステム400は、前記ピッキングステーションの前記前部軌道115と前記後部軌道120間の空間に位置合わせされた通路内で動作するシャトル500を含む。その代わり、前記SARシステム400は、図5で棚が示された場所に位置合わせされた通路に前記シャトル500が配置されるよう構成することができる。これにより、シャトル500が前記ピッキングシステム100に隣接した行の端部へと駆動されると、当該シャトル500は前記ピッキング軌道に隣接し、トートを前記ピッキング車から前記シャトルに若しくはその逆に直接移動されるよう位置付けられる。このように、用語「積み替え位置」は、図1~6に示したステージング領域、または前記ピッキング軌道上で停止したピッキング車によりトートを直接移動するため移動可能な保管および取り出し装置、例えばシャトル500を配置できる位置のどちらか一方を含むことを理解すべきである。
【0100】
以上に照らし、前記以下の説明では、4つの別個の保管位置に保管された4つの別個の物品の受注を履行するため前記システムが実施できる一連の工程の一例について記述する。前記システム10は、前記4つの物品の各々に4つのピッキング車200の1つを次のように割り当てる。
【0101】
前記中央コントローラ350は、注文に含まれる各物品を前記SARシステム400が取り出すのにかかる理論的時間を計算する。具体的にいうと、注文に含まれる物品ごとに、前記中央コントローラは、シャトル500が物品を取り出して前記積み替え位置375の1つにその物品を移動させるためにかかる前記理論的時間を計算する。注文の各物品について前記推定値決定されると、前記中央コントローラ350は、それらの物品に一連のピッキング車を割り当て、前記ピッキング車が種々の積み替え位置から前記物品を取り出して望ましい順序で若しくはほぼ同時に戻るよう試みる。
【0102】
例えば、4つの物品を含む注文の場合、その第1の物品は、前記積み替え位置の1つから最も遠い保管位置に保管されており、最後の物品は前記積み替え位置の1つに最も近く、第2および第3の物品はその間にある場合がある。適宜、前記第4の物品は最初にピッキング準備が整うため、第1の車が、前記第4の物品を取り出すよう割り当てられる。第2および第3の車は前記注文の前記第2および第3の物品に割り当てることができ、第4の車は、最後に準備が整う物品である前記注文の前記第1の物品に割り当てることができる。これにより、当該システムは、前記注文の物品を搬送する一連の連続した車として前記ピッキング車が前記ピッキングステーションに戻る尤度を改善するため、車割り当てのシーケンスを制御して物品を取り出す。また、これにより前記ピッキング車の前の前記ピッキング車が積み替え位置との間で物品を積み替えている間に、前記ピッキング車が待機しなければならない時間が最小限に抑えられる。さらに、物品を取り出すためピッキング車が行かなければならない前記積み替え位置の位置も、物品が前記ピッキング車に割り当てられる順序に影響を及ぼすことを理解すべきである。例えば、注文に含まれる2つの物品が1つの行の端部から同様な距離の保管位置に保管されている場合、第1のピッキング車は、前記保管棚410でより低い行にある積み替え位置からの物品取り出しに割り当てられる。このようにすると、第2のピッキング車が前記第1のピッキング車の後方で待機しなければならない可能性が低くなり、これは前記第1のピッキング車が、前記軌道100上において前記第2のピッキング車が目的とする積み替え位置より遠くにある物品を取り出すためである。
【0103】
一部の用途では、注文について要求された厳密なシーケンス(すなわち第1の物品が最初で、第2の物品が次など)で前記ピッキング車が前記ピッキングステーションに到着するよう、前記ピッキング車のシーケンスを制御することが望ましい。ただし、多くの用途では、注文の物品を有する連続した車のシーケンスで前記ピッキング車が到着する(すなわち4車間に他の注文の物品を伴った車が割り込むことなく、一連の4つの車が注文の物品を含む)ようにすれば十分である。
【0104】
上記の説明では受注を履行する車が一連の車として戻るようにするための一連の車への取り出しタスク割り当てについて説明したが、前記ピッキングステーションは、前記オペレータが1より多くの注文用の物品を同時にピッキングできるよう構成できることを理解すべきである。そのため、前記システムは、前記ピッキング車が複数の注文用の物品とともに戻るよう、ピッキング車の流れと取り出しのタイミングとをさらに改善することができる。本質的には、ただ1つの注文の物品を考慮してその注文用の物品取り出しにピッキング車を割り当てたのち、次の注文用の物品取り出しにピッキング車を割り当てるよりも、前記システムは、2つの注文の物品をまとめて考慮して、複数の注文(例えば、2つまたは3つ)のすべての物品について、それらの物品が単一注文用であり適宜車を割り当てる場合と同様に、ピッキング車およびシャトル500を割り当てることができる。前記ピッキング車が物品を伴って戻る際、前記システムは、それがどの注文の物品かについて、例えば前記ピッキングステーションのディスプレイにインジケータを提供して、前記オペレータにプロンプトを行う。
【0105】
物品が取り出された保管位置にその物品を戻すよりも、前記システムは当該車が取り出すべき次の物品がある行で空いた保管位置を検索することができる。次に、前記ピッキング車は前記物品をその行の前記積み替え位置に降ろし、前記シャトルが当該行の空いた保管位置にその物品を戻すことができる。前記中央コントローラは、次いでその新しい保管位置の位置を記憶し、必要に応じて前記物品を取り出せるようにする。これにより、前記システムは、物品が保管位置に戻される際、前記SARシステム400における物品の保管位置を絶えず再割り当てすることができる。取り出すべき次の物品の近くに、空いた保管位置がある尤度を改善するため、現在の例では、保管すべき物品より保管位置の方が多くなるよう保管位置のアレイが割り当てられる。例えば、各棚410A、410Bの各行は、1若しくはそれ以上の空の保管位置を有することができる。ただし、物品の出し入れに伴い、1行内の空の保管位置の数は変動する可能性がある。
【0106】
前記SARシステム400はモジュール式であってよく、そのため、前記棚410Aの左側または前記棚410Bの右側に追加部分を取り付けることにより、必要に応じて拡張可能である。次に、棚410Aまたは410Bと前記新たな棚との間で第2のシャトルセットを操作することができる。また、別のピッキングシステム100を設け、その第2のピッキングシステムが棚410Aまたは410Bと前記新たな棚との間で物品を移動させるようにもできる。
【0107】
また、前記システムは、付加的なピッキングシステム100を追加して拡張することもできる。例えば、上述したシステム10では、単一のピッキングシステム100が前記SARシステム400の一端に提供された。第2のピッキングステーションは、この第2のピッキングステーションが前記棚410A、410B間の前記通路に位置合わせされるよう、前記SARシステム400の反対端に追加することができる。これにより、物品を前記シャトルで取り出して当該行の第1の端部へ駆動し、前記第1のピッキングシステムへと移動させるか、またはシャトルを当該行の反対端へ駆動し、物品を前記第2のピッキングシステムへと移動させるようにできる。さらに、第2のピッキングステーションが追加された場合、物品は各行のどちらの端部のピッキングシステムへも移動可能になり、各行上を2つのシャトルが動作するようシャトル数を増やすことができる。すなわち、1行内の第1のシャトルは前記第1のピッキングシステムへ向かって物品を搬送し、同じ行内の第2のシャトルは前記第2のピッキングシステムへ向かって物品を搬送する。各行の各シャトルは独立して動作可能であるが、複数のシャトルが行内に設けられた場合、前記中央コントローラは2つのシャトルが衝突しないようそれらシャトルの動作を制御する。
【0108】
さらに、以上では、前記SARシステムが2次元アレイで保管位置のアレイを有し、前記SARシャトル500がXおよびY方向へ水平方向に前後移動すると説明しているが、前述のように、当該SARシステム400は多数の異なる構成が可能である。例えば、前記SARシステム400は水平方向および/または高さ方向に延長する軌道を含むことができ、それにより複数のSAR車が3次元の保管位置アレイから物品を取り出せるようになる。そのようなシステムでは、前記ピッキング車が軌道に沿って移動して物品を取り出したのち、複数の積み替え位置の1つへと駆動される。前記3次元の保管位置アレイの周囲に配置された1若しくはそれ以上のピッキングステーションは、上述のように前記積み替え位置から物品を取り出し、それらの物品をピッキングステーションへ駆動する。
【0109】
当業者であれば、本発明の要旨を変更しない範囲で上記実施形態を変更または修正できることが理解されるであろう。例えば、上記の説明では、前記システムにおいて、前記ピッキング車と前記中央コントローラとの間で無線通信が使用される。代替実施形態では、前記軌道上に通信線を設置でき、前記ピッキング車は、配線接続された通信リンク経由で前記中央コントローラと通信することができる。
【0110】
物品の保管
投入ステーション360は、新たな物品を前記システムで保管するため、または受注履行に物品が使われる際に前記保管位置の在庫を補充するため、設けることができる。前記システム10で物品を在庫として保管するには、種々の機構を使用できる。ただし、現在の例では、コンベアまたはローラーコンベアの形態をした投入ステーション360を前記ピッキングシステム100に実装できる。この投入システム360を図1、4、および5に例示する。
【0111】
前記投入ステーション360は、前記ピッキング軌道110に沿って配置される。この投入ステーションは、新しい物品を前記ピッキング車に積載する機構と、空のトートを前記ピッキング車から排出する機構とを含むことができる。例えば、図5に示すように、前記投入ステーションは前記後部軌道120に隣接した投入コンベア360Aと、前記前部軌道115に隣接した排出コンベア360Bとを含む。これらのコンベア360A、360Bは、それぞれ前記ピッキング軌道110上のピッキング車200へ向かって若しくはこれから離れる方向へ物品を駆動するよう動作可能である。例えば、各コンベア360A、360Bは、ローラーコンベアを形成する複数の細長い円筒形の平行なローラーを有することができる。駆動機構、例えば摩擦ベルトは、前記中央コントローラから受信される信号に応答して前記ローラーを選択的に駆動する。これにより、トート15が空であるか、または補充を必要としている場合、前記ピッキング車が前記投入ステーションへと駆動され、そこで前記トートが前記ピッキング車から排出されて、新しいトートがそのピッキング車に積載される。
【0112】
物品の在庫を補充し、または新しい物品を前記システムに投入するため、前記物品はトートに入れられ、前記投入ステーション360に搬送される。例えば、一連のコンベアまたは他の積み替え装置は、協動して、保管すべき物品を有して供給されたトートを前記SARシステム400へと駆動することができる。前記中央コントローラは、前記投入ステーションへ搬送される各トートを追跡し、当該システムからどの物品がどのトートに入っているかわかるようにする。これにより、前記トートがその後前記SARシステム400に保管されたとき、当該システムはどの物品がどの保管位置にあるかがわかる。
【0113】
前記中央コントローラは、前記ピッキング車および前記投入ステーション360の動作を制御して、物品を収容したトートを自動的にトートの流れへと挿入することにより、当該システムの在庫を補充し、または当該システムに新しい物品を追加する。例えば、前記中央コントローラ350は、各トート内の物品を追跡するため、トートが空になったとき、またはトートが少数の物品を有するため在庫を補充すべきときに、それがわかる。同様に、トートに保管された物品が期限を過ぎると、当該システムは、前記トートを当該システムから排出して古くなった物品を廃棄すべき旨を決定する。
【0114】
トートが空である、または収容物品が期限を過ぎているなどのため、当該トートを当該システムから排出すべきである旨を前記中央コントローラが決定すると、当該トートを搬送中のピッキング車は前記投入ステーション360へ送られる。前記投入ステーションにおいて、前記トートは前記ピッキング車から排出される。例えば、前記ピッキング車上のコンベアが作動されて、前記トートを前記排出コンベア上へと駆動する。例として図5を参照すると、前記ピッキング車200Fが前記投入ステーションに搬送されている。このピッキング車200Fのコンベアおよび排出コンベアが、次に作動される。このピッキング車のコンベアはトート15Fを駆動して当該ピッキング車から降ろし、前記排出コンベアは、当該排出コンベアに沿って前記ピッキング車から離れる方向へ前記トート15Fを駆動する。トート15Fが前記ピッキング車から排出されるのと同時に、物品を有する新たなトートが前記ピッキング車200Fに載せられるが、これは前記積み替え位置375でトートが並行して排出およびピッキングされる前述の態様と同様である。
【0115】
以上の説明において、前記システムは、物品を含むトートを前記ピッキング車に積載する前記投入ステーションで在庫補充され、そのピッキング車は、次いで前記積み替え位置の1つへと運行し、前述のように前記新たなトートを前記SARシステムへと移動させる。また、新しいトートを前記システムに挿入して物品を在庫補充するのではなく、前記ピッキング車上のトートに物品を挿入してそのトートを在庫補充できることを理解すべきである。例えば、空のトートまたは空の仕切りを有したトートが前記ピッキングステーションに搬送されたとき、そのトートを前記投入ステーションに搬送することができる。前記投入ステーションでは、トートから物品をピッキングする代わりに、オペレータ(人間または機械の)が前記トートに物品を入れる。次に前記ピッキング車が前記積み替え位置の1つへ前記トートを搬送し、前記トートは上記と同じ態様で前記SARシステム400に保管される。前記投入ステーションは、コンベアまたは前記軌道110外部の他機構と連動して、前記投入領域に物品を積載する。
【0116】
さらに、物品をトートに入れて前記システムの在庫を補充する代わりに、物品を別個の容器、例えば段ボールカートンで保管して取り出すことができ、または物品を容器に収容せず直接保管することができる。そのような場合、物品または容器はトートに挿入されず、前記ピッキング車に直接積載されて物品の在庫が補充される。
【0117】
前記投入ステーションは前記中央コントローラ350と通信し、かつ、前記中央コントローラ350から制御可能である。例えば、前記投入ステーションは、当該システムに保管すべき新規物品上の識別アイテム、例えばバーコードをスキャンするスキャナまたは他の投入機構を含むことができる。あるいは、オペレータが前記投入ステーションで物品を識別し、オペレータインターフェース、例えばキーボードまたはタッチスクリーンを介して当該システムに識別情報を入力できる。これにより、当該システムが新しい在庫物品を自動的に識別でき、あるいはオペレータが手動で当該システムに情報を入力でき、または自動および手動データ入力の組み合わせを使用できる。
【0118】
以上の説明では、単一の入力ステーションを有するものとして前記システムを記述した。ただし、複数の投入ステーションを前記システム10に沿って組み込むことが望ましい場合も考えられる。複数の投入ステーションを使うと、在庫補充物品または新規追加物品の供給速度を高めることができる。また、前記投入ステーションは、異なるタイプの物品を処理するよう構成することができる。このようにすると、特定のカテゴリーの物品を効率的に処理するよう各投入ステーションを構成できる。
【0119】
さらに、別個の投入ステーションを含める代わりに、新規物品を保管し若しくは物品在庫を補充する投入ステーションとして、前記ピッキングステーション310を使用することができる。さらに、前記ピッキングシステムは、ピッキングおよび在庫補充システムではなく、在庫補充システムとして構成できる。具体的にいうと、前記ピッキングステーション310は前記ピッキング軌道110から排除でき、前記システムが1若しくはそれ以上の投入ステーション360を使って前記SARシステム400の在庫を補充し、または前記SARシステムに新規物品を積載することができる。さらに、前記投入ステーション360は、投入ステーションであるだけでなく、ピッキングステーションとしても動作できる。受注履行の際、トートは前記ピッキング車から排出できる。次に前記トートは、前記トートから物品がピッキングされる位置へ搬送できる。あるいは、物品がトート内で保管されず直接移送される構成では、送達車から物品を排出することにより物品がピッキングされる。
【0120】
したがって、本発明は本明細書に説明した特定の実施形態に限定されず、添付の請求項に記載した本発明の要旨に含まれるすべての変更形態を含むよう意図されていると理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10