(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】相互に連通する少なくとも2つの消弧領域を備えるスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 9/44 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
H01H9/44 Z
H01H9/44 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021023798
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】10 2020 104 258.2
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514122166
【氏名又は名称】シャルトバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001346
【氏名又は名称】弁理士法人MM&A
(72)【発明者】
【氏名】クロイツポイントナー、コルビニアン
(72)【発明者】
【氏名】イグナトフ、アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲシュケ、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ヨハネス
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実公昭43-013156(JP,Y1)
【文献】実開昭54-069371(JP,U)
【文献】特開平03-182020(JP,A)
【文献】特開2016-146333(JP,A)
【文献】国際公開第2018/184727(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/30 - 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な複数の接点(2、3、4)と、
前記接点と関連付けられた消弧チャンバと
を有するスイッチ装置(1)であって、
前記消弧チャンバは、
第1消弧領域(5)と、
前記第1消弧領域と直接隣り合って配置された第2消弧領域(6)と
を備え、
前記第1消弧領域及び前記第2消弧領域は、隔壁(13)により互いに空間的に離間され、
前記スイッチ装置(1)は、前記接点を開いた際に発生するスイッチングアーク(20)が、2つの前記消弧領域の一方における発生位置から、前記スイッチ装置のアーク放出手段により常に移動されて消弧されると共に、2つの前記消弧領域の他方は、消弧に利用されないように構成される
ことを前提とし、
前記第1消弧領域(5)及び前記第2消弧領域(6)の間の前記隔壁(13)は、少なくとも1つの放出用開口部(8、19)を有し、
前記放出用開口部は、前記第1消弧領域と前記第2消弧領域とを連通し、これにより、前記スイッチングアークにより生成されるプラズマが、前記スイッチングアークが消弧される一方の前記消弧領域から、消弧に使用されていない他方の前記消弧領域に移動可能とな
り、
前記スイッチ装置(1)は、電流方向に応じて2つの前記消弧領域(5、6)の一方が用いられる双方向のスイッチ装置として構成される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置(1)において、
2つの前記消弧領域(5、6)のそれぞれは、
前記スイッチングアークの発生位置に最も近い第1端(9)と、
前記第1端(9)と反対側に位置し、前記アーク放出手段の作用の結果として、前記スイッチングアークが向かう第2端(10)と、
前記第1端(9)及び前記第2端(10)とを互いに結ぶ第1側面(11)と、
前記第1側面(11)と反対側に位置し、前記第1端(9)及び前記第2端(10)とを互いに結ぶ第2側面(12)と
を含む空間を規定し、
前記隔壁(13)は、前記空間のそれぞれの第3側面を形成すると共に、前記第1端(9)、前記第2端(10)、前記第1側面(11)及び前記第2側面(12)を互いに結び、
前記空間は、前記隔壁(13)と反対側の第4側壁(14)をさらに有する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置(1)において、
前記放出用開口部(8)は、前記第1側面(11)及び前記第2側面(12)の一方又は両方の側において前記隔壁(13)に形成される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチ装置(1)において、
前記放出用開口部(8)は、前記第1側面(11)及び前記第2側面(12)の両方の側において前記隔壁(13)に形成される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項5】
請求項2に記載のスイッチ装置(1)において、
前記放出用開口部(8)は、前記第1端(9)に面すると共に前記第2端(12)から離れた位置の前記隔壁(13)の部分に形成される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項6】
請求項2に記載のスイッチ装置(1)において、
前記第2端(10)に又は前記第2端(10)の近傍に複数の消弧要素(15、16)が設けられ、
前記スイッチングアーク(20)は、前記アーク放出手段により前記消弧要素に移動されて消弧される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項7】
請求項6に記載のスイッチ装置(1)において、
前記放出用開口部(19)は、前記スイッチ装置(1)の前記第2端(10)の側において、前記消弧要素(15、16)とカバー又はハウジング壁(17)との間で前記隔壁(13)に形成される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載のスイッチ装置(1)において、
前記放出用開口部(19)は、前記第1側面(11)及び前記第2側面(1)の間において、実質的に2つの前記消弧領域(5、6)の幅全体に亘り延在し、前記隔壁(13)は、前記消弧要素(15、16)の高さで実質的に終端する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記スイッチ装置(1)は、閉塞型のデザインである
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項10】
請求項9に記載のスイッチ装置(1)において、
前記スイッチ装置(1)内には、前記スイッチングアーク(20)用及び/又は前記スイッチングアーク(20)により生成されたプラズマ用の専用の外部排出開口部は設けられず、
その一方、前記スイッチ装置(1)は、密閉されておらず、例えば、前記スイッチ装置のハウジング(7)における隙間を介して環境に対する圧力補償が可能である
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本願独立請求項1の前提部に記載したスイッチ装置に関する。一般的なスイッチ装置は、開閉可能な複数の接点と、接点に関連付けられた消弧チャンバとを有する。消弧チャンバは、第1消弧領域と、第1消弧領域と直接隣り合って配置された第2消弧領域とを有する。第1消弧領域及び第2消弧領域は、隔壁により空間的に互いに離間される。スイッチ装置は、接点を開いた際に発生するスイッチングアークが、2つの消弧領域の一方における発生位置から、スイッチ装置のアーク放出手段により常に移動されて消弧されると共に、2つの消弧領域の他方は、消弧に利用されないように構成される。
【背景技術】
【0002】
本願独立請求項1の前提部に記載のスイッチ装置は、米国特許第5004874号明細書から公知である。同特許では、電流方向に応じて、2つの消弧領域の一方が用いられ、他方の消弧領域が用いられない双方向コンタクタが開示されている。
【0003】
本願独立請求項1の前提部に記載のスイッチ装置は、様々な領域で用いられる。一般に、スイッチ装置には、小型化及び軽量化の傾向が存在する。隣接する部品に対するダメージを避けるため、及びより厳格となる安全基準に適合するため、スイッチオフ動作の際にスイッチングアークによりスイッチ装置内で発生したプラズマが外部に漏れることを防止することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米国特許第5004874号明細書から公知のスイッチ装置は、閉塞したコンタクタである。しかしながら、コンパクトな構成において閉塞した公知のコンタクタでは、定格のスイッチング容量(rated switching capacity)が比較的限定されている。高いスイッチング容量では、比較的多量のプラズマがハウジング内で発生し、過度の高圧力を発生させる。この高圧力は、対応する大きな変形なしに、スイッチ装置を破損に導く。
【0006】
本発明の目的は、コンパクトな構成で高いスイッチング容量を実現するのと同時に、スイッチングアークによりハウジング内で発生したプラズマが外部に漏れないことを確保する一般的なスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該目的は、本願独立請求項1の特徴部により実現される。従って、本願独立請求項1の前提部に記載のスイッチ装置において、本発明の目的は、第1消弧領域及び第2消弧領域の間の隔壁が、少なくとも1つの放出用開口部(overflow opening)を有し、この放出用開口部が、第1消弧領域及び第2消弧領域を連通させて、スイッチングアークにより生成されたプラズマが、スイッチングアークが消弧される一方の消弧領域から、消弧に利用されない他方の消弧領域に移動させることで実現される。
【0008】
本発明に係る有利な実施形態は、本願従属請求項の主題である。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、
2つの消弧領域のそれぞれは、
スイッチングアークの発生位置に最も近い第1端と、
前記第1端と反対側に位置し、アーク放出手段の作用によりスイッチングアークが向かう第2端と、
前記第1端と前記第2端とを結ぶ第1側面と、
前記第1側面と反対側に位置し、前記第1端と前記第2端とを結ぶ第2側面と
を含む空間を規定し、
前記隔壁は、前記空間それぞれの第3側面を形成すると共に、前記第1端、前記第2端、前記第1側面及び前記第2側面を結び、
前記空間は、前記隔壁と反対側の第4側壁をさらに有する。
【0010】
従って、コンパクトな構成が実現される。前記第1側面と前記第2側面との距離は、消弧領域の幅を規定する。前記第1端と前記第2端との距離は、消弧領域の高さを規定する。前記隔壁とそれぞれの前記第4側面との距離は、消弧領域の奥行きを規定する。第1消弧領域の第1端、第2端及び第2側面は、第2消弧領域のそれぞれの端及び側面の位置に対応する。そのことは、例えば、第1消弧領域の第1側面は、第2消弧領域の第1側面の位置と一致すること、又は、第1消弧領域の第1側面は、隔壁によってのみ第2消弧領域の第1側面から分離されることを意味する。第1消弧領域におけるスイッチングアークの移動方向は、アーク放出手段により決定されるものであり、第2消弧領域において消弧されるスイッチングアークの移動方向と実質的に平行である。換言すると、スイッチングアークが第1消弧領域又は第2消弧領域のいずれで消弧されるかにかかわらず、アーク放出手段は、スイッチングアークが、生成地点から常に同一方向に移動することを確保する。この点に関し、「実質的に平行」とは、ずれが15°以下、好ましくは10°以下、さらに好ましくは5°以下であることを意味する。より好ましくは、完全な平行である。
【0011】
また、アーク放出手段は、スイッチングアークの移動方向が、隔壁に対して実質的に平行となるように構成されることが好ましい。この点に関し、「実質的に平行」とは、ずれが15°以下、好ましくは10°以下、さらに好ましくは5°以下、さらに好ましくは0°であることを意味する。
【0012】
また、アーク放出手段は、スイッチングアークの長手方向の伸張が、隔壁に対して実質的に平行となるように構成されることが好ましい。この実施形態は、コンパクトな構成にも寄与する。この点に関し、「実質的に平行」とは、ずれが15°以下、好ましくは10°以下、さらに好ましくは5°以下、さらに好ましくは0°であることを意味する。
【0013】
各消弧領域の側面は、側壁により形成されることが好ましい。
【0014】
本発明の別の好適な実施形態によれば、前記放出用開口部は、前記第1側面及び/又は前記第2側面の側において前記隔壁に形成される。前記放出用開口部は、前記第1側面及び/又は前記第2側面の外側に配置されることが好ましい。幅方向に見た際の隔壁の中央部分は、少なくとも前記第1端の近傍において放出用開口部を有さないことが好ましい。また、幅方向に見た際の隔壁の中央部分は、少なくとも、前記第2端に好適に配置される消弧要素と、前記第1端との間では、放出用開口部を有さないことが好ましい。幅方向に見たときに放出用開口部がない隔壁の中央領域は、前記第1側面及び前記第2側面における幅の少なくとも70%を占めることが好ましい。これにより、2つの消弧領域の間を効果的に分離し易くなる。
【0015】
第1側面及び第2側面の両方の側において隔壁に放出用開口部が形成されることが好ましい。これにより、プラズマ及び非イオン化エアを対照的に分布させることが可能となる。
【0016】
本発明のさらに好適な実施形態において、前記放出用開口部は、前記第1端に面すると共に前記第2端から離れた位置の前記隔壁の部分に形成される。これにより、2つの消弧領域を効果的に分離し、放出用開口部を介して有利な流れを導くことが可能となる。
【0017】
本発明のさらに好適な実施形態において、2つの消弧領域のそれぞれには、消弧要素が配置され、これらの消弧要素に対して、アーク放出手段によりスイッチングアークが移動されて消弧される。消弧要素は、前記第2端において又は前記第2端の近傍に配置されることが好ましい。消弧要素は、隔壁から突出し、又は各消弧領域において隔壁と反対側の第4側面と隔壁との間で延在することが好ましい。
【0018】
放出用開口部が、前記消弧要素と、前記隔壁内の前記第2端における前記スイッチ装置のカバー又はハウジング壁との間で形成されると利点がある。その場合、上述した放出用開口部に加えて、追加的な放出用開口部とすることが好ましい。これにより、プラズマは、追加的な放出用開口部を介して、使用中の消弧領域から不使用中の消弧領域に移動可能となる。プラズマにより生じる背圧は、放出用開口部により減少又は消滅され、スイッチングアークがさらに延びることを可能とし、その結果、より高いスイッチオフ容量を実現する。前記放出用開口部は、前記第1側面及び前記第2側面の間において、実質的に2つの前記消弧領域の幅全体に亘り延在し、前記隔壁は、前記消弧要素の高さ(レベル)で実質的に終端することが好ましい。この実施形態では、2つの消弧領域の間において有利な流れ又はガスの入替えを可能とする。この点に関し、第1側面及び第2側面の間において、実質的に2つの消弧領域の幅全体に亘るとは、それぞれの消弧領域の幅の少なくとも80%、好ましくは90%、さらに好ましくは100%を意味する。
【0019】
本発明は、スイッチ装置が閉塞型のデザインであるとき特に有利である。
【0020】
好ましい実施形態によれば、スイッチ装置内には、スイッチングアーク用及び/又は前記スイッチングアークにより生成されたプラズマ用の専用の外部排出開口部は設けられない。その一方、前記スイッチ装置は、密閉されておらず、例えば、前記スイッチ装置のハウジングにおける隙間を介して環境に対する圧力補償が可能である。
【0021】
本発明のさらに別の好適な実施形態によれば、前記スイッチ装置は、電流方向に応じて2つの前記消弧領域の一方が用いられる双方向のスイッチ装置として構成される。本発明に係るスイッチ装置は、コンタクタであることが好ましい。
【0022】
本発明の一実施形態は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンパクトな構成で高いスイッチング容量を実現することと同時に、スイッチングアークによりハウジング内で発生したプラズマが外部に漏れないことを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るスイッチ装置を、ハウジングの前側及びハウジングの左壁を省略して示す斜視図である。
【
図2】
図1の本発明に係るスイッチ装置を、ハウジングの前側を省略して示す正面図である。
【
図3】
図1及び
図2の本発明に係るスイッチ装置を、
図2におけるIII-III線の断面で示す図である。
【
図4】
図1~
図3の本発明に係るスイッチ装置を、
図1~
図3の左側について、左側のハウジング壁を省略して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の例において、同一の部品には、同一の参照符号が付される。図面に示される参照符号が、当該図面との関係で詳細に説明されない場合、当該参照符号に対応するものの説明は、その前又はその後になされる。
【0026】
図1は、本発明に係るスイッチ装置1の斜視図を示す。本発明の特徴又は構成要素を示すため、読者に面するハウジングの正面側と、ハウジングの左壁は、
図1では省略されている。同様の理由により、
図2の正面において、ハウジングの前面は省略されている。
【0027】
スイッチ装置1は、2つの固定接点2、3を有し、これらの接点は、接点ブリッジ4により互いに電気的に接続可能である。接点ブリッジ4の駆動手段は、本発明において重要ではないため、詳細な説明を省略する。2つの固定接点2、3は、本発明に係るスイッチ装置1のハウジング7から横方向に延在し、これにより、スイッチ装置1の接続接点を同時に形成する。
【0028】
接点が開く際、スイッチングアーク20が発生し、接点ブリッジ4側におけるその基点は、適切に構成されたアーク放出手段により反対側の固定接点に飛び移る。そして、アーク放出手段は、2つの固定接点2、3の上方の消弧チャンバにスイッチングアーク20を移動させて消弧させる。消弧チャンバは、隔壁13により、前側の第1消弧領域5と、後ろ側の第2消弧領域6とに分割される。網羅性のため、本実施形態に係るスイッチ装置は、双方向のスイッチ装置としていることに留意されたい。接点が開く際、第1固定接点2と接点ブリッジ4との間及び第2固定接点3と接点ブリッジ4との間でスイッチングアークが発生する。接点ブリッジ4の特別な構成及びこれに対応するアーク放出手段のデザインのため、2つのスイッチングアークの一方の基点は、接点ブリッジ4からそれぞれ反対側の固定接点に飛び移る。これにより、それぞれ別のスイッチングアークの消弧に導く。残っているスイッチングアーク20は、電流方向に応じて、隔壁13の前側又は後ろ側に位置する。従って、第1消弧領域5又は第2消弧領域6の一方は、スイッチングアークの消弧に使用される。換言すると、2つの消弧領域の他方は、スイッチオフ動作の間、使用されない。
【0029】
消弧チャンバの2つの消弧領域5、6は、略直方体状であり、2つの固定接点2、3の上方から始まる。従って、2つの固定接点2、3は、それぞれの消弧領域の下方の第1端9を形成する。詳細を示していないが、アーク放出手段は、消弧領域の第1端9から始まるスイッチングアーク20を、それぞれの消弧領域の対向する第2端10まで移動させるように構成される。第2端10は、ハウジングの上面17により形成される。
図2の左側のハウジング壁は、2つの消弧領域の第1側面11を形成し、
図2の右側のハウジング壁は、2つの消弧領域の対向する第2側面12を形成する。隔壁13は、2つの消弧領域それぞれの第3側面を形成する。さらに、消弧領域5、6それぞれは、隔壁13と反対側に第4側面14を有する。
図3及び
図4に示すように、第4側面14は、ハウジングの前面又はハウジングの後面により形成される。
【0030】
2つの消弧領域5、6それぞれは、スイッチングアークが案内されて消弧する複数の消弧要素を有する。消弧要素は、隔壁13の上端から突出し、又は隔壁13とこれに対向するハウジングの側面との間で延在する。図示している実施形態において、これらの消弧要素は、一方においてシンプルな消弧プレート15でり、他方において円筒状の永久磁石16である。永久磁石16のそれぞれは、保護スリーブ内に配置され、スイッチングアークを自らに引き付けると同時に、消弧要素又は消弧磁石として作用する。
図1では、前側の消弧領域5の消弧プレート15及び永久磁石16のみを明確に図示していることに留意されたい。
図4に示すように、後ろ側の第2消弧領域6も、対応する消弧要素15、16を有している。
【0031】
スイッチングアーク20は、消弧要素15、16に向かう途中で消弧しない場合、消弧要素15、16によって消弧されるため、2つの消弧領域5、6により用いられる実際の消弧スペースは、消弧要素15、16の高さ(レベル)で終端する。ハウジング側では、ハウジングリブ18が消弧要素15、16の上方に設けられる。ハウジングリブ18は、ハウジングの上部から、2つの消弧領域5、6の奥行き全体に亘って内側を延在する。ハウジングリブは、消弧要素15、16の上方においてアークが再点火することを防止する。
【0032】
図面から容易にわかるように、本発明に係るスイッチ装置1は、閉塞したスイッチ装置である。スイッチング容量を増加させつつコンパクトな全体構成を維持するため、本発明に係るスイッチ装置は、2つの消弧領域5、6の間の中央の隔壁13において放出用開口部8を有する。そのような2つの放出用開口部8は、隔壁13の下部において、すなわち、2つの消弧領域5、6の下側の第1端9において横方向に配置される。下側端及びそれぞれの側壁11、12に接近することにより、少なくともスイッチングアークの一方向の伝搬又は変位に関しては、2つの消弧領域5、6を効果的に分離することが可能となる。同時に、放出用開口部8は、2つの消弧領域5、6の間におけるガスの入替えを可能とする。これにより、スイッチングアークによりハウジング内で発生したプラズマが外部に漏れることを防止することに寄与する。
【0033】
消弧要素15、16とハウジングの上面17との間には、追加の放出用開口部19が設けられる。この開口部19は、実質的に、2つの消弧領域5、6の幅全体に亘って延在し、これにより、隔壁13は、2つの消弧要素15、16の高さ(レベル)で実質的に終端する。追加の放出用開口部19は、上述した肯定的な効果を増加させる。
【符号の説明】
【0034】
1 スイッチ装置
2 固定接点
3 固定接点
4 接点ブリッジ
5 第1消弧領域
6 第2消弧領域
7 ハウジング
8 放出用開口部
9 消弧領域の第1端
10 消弧領域の第2端
11 消弧領域の第1側面
12 消弧領域の第2側面
13 隔壁、又は消弧領域の第3側面
14 消弧領域の第4側面
15 消弧要素
16 消弧磁石
17 ハウジングの上面
18 ハウジングリブ
19 追加の放出用開口部
20 スイッチングアーク