(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】無線指紋の配列に基づく無線マップの更新
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20221024BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S5/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021036962
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517222096
【氏名又は名称】ヘーレ グローバル ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】パベル イワノフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリ ヤーッコ ユリウス ヌルミネン
(72)【発明者】
【氏名】ラウリ アールネ ヨハンネス ウィロラ
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-015562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0255430(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0253957(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0343639(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0133148(US,A1)
【文献】特開2009-055138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の装置によって実行される方法であって、前記方法は、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータの取得または保持するステップと、
モバイルデバイスの利用可能なトラックデータを取得または保持するステップであって、前記トラックデータは、前記サイトの上のトラックに沿って移動するときに前記モバイルデバイスの1つ以上のセンサによってキャプチャされたセンサデータと、前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、を含む、ステップと、
前記現在の無線マップデータと、前記センサデータおよび前記無線信号観測データを含む前記トラックデータとに基づいて、前記トラックの上の前記観測位置を推定するステップと、
前記推定された観測位置の各々を、前記トラックに対する無線指紋の配列を決定するために、前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のそれぞれのセットと関連付けるステップであって、無線指紋の前記配列の各無線指紋は、それぞれの推定された観測位置と、前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のそれぞれのセットとを表す、ステップと、
前記サイトのための更新された無線マップを決定するために、前記無線指紋の配列を提供または使用するステップと、
の少なくとも1つの反復を含む、方法。
【請求項2】
1つ以上の装置によって実行される方法であって、前記方法は、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータの取得または保持するステップと、
無線指紋の配列を取得するステップであって、無線指紋の前記配列の各無線指紋は、前記サイトの上のトラックの上のモバイルデバイスのそれぞれの推定された観測位置と、前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされたそれぞれの無線信号観測結果のセットとを表し、前記それぞれの推定された観測位置は、前記現在の無線マップデータおよび、前記トラックに沿って移動するときに前記モバイルデバイスの少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたセンサデータを含むトラックデータと、前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、を含む、前記現在の無線マップデータおよびトラックデータとに基づいて推定される、ステップと、
前記無線指紋の配列に基づいて前記サイトのための更新された無線マップを決定するステップと、
の少なくとも1つの反復を含む、方法。
【請求項3】
前記更新された無線マップを決定する前記ステップは、
無線指紋の前記配列における各無線指紋を、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つに関連付けるステップと、
前記それぞれのグリッド・ポイントまたは前記それぞれの無線ノードに関連付けられた無線指紋に基づいて、前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
前記それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、前記それぞれのグリッド・ポイントまたは前記それぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づいて、前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは
前記更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
前記各無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、前記グリッド・システムの各グリッド・ポイントまたは前記更新された無線マップ内の各無線ノードのうちの少なくとも1つに対する各無線モデルを含めるステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定する前記ステップは、
前記各無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて前記各無線ノードの位置を推定するステップと、
前記各無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて前記各無線ノードの無線カバレージモデルを決定するステップと、
前記各
グリッド・ポイントに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、前記
グリッド・ポイントで観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの標示を決定するステップと、
前記
グリッド・ポイントに関連付けられた無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、前記各
グリッド・ポイントで観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の標示を決定するステップと、
無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の変動の標示を、前記各グリッド・ポイントに関連付けられた無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、前記それぞれのグリッド・ポイントにおいて観測可能であると予想されるものを決定するステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の無線モデル品質基準は、
所定数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられること、
互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置を表す所定の数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられること、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットを表す所定の数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられること、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットと、互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置との両方を表す所定の数よりも多い無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられること、
前記それぞれの無線モデルに関連する無線指紋の所定の数または割合がより小さく、潜在的な外れ値であると判定されること、
前記それぞれの無線モデルに関連する無線指紋は、異なるトラックに対する無線指紋の所定数以上の配列に由来すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの所定の無線指紋品質基準を満たす前記配列の無線指紋の無線指紋のみが、前記更新された無線マップを決定するために使用され、および、少なくとも1つの所定の無線信号観測結果品質基準を満たす前記トラックデータに含まれる前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のみが、前記推定された観測位置を推定するために使用される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、
前記サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの所定の数または割合に対するそれぞれの無線モデルが、前記現在の反復の前記更新された無線マップに含まれること、
所定数の反復が完了すること、
前記現在の反復のための前記更新された無線マップが、所定の無線マップ品質基準を満たすこと、
のうちの少なくとも1つまで繰り返される、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記現在の反復の前記更新された無線マップが、前記方法の少なくとも1つのさらなる反復において、現在の無線マップとして取得されるか、または利用可能に保持される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記トラックデータは、前記トラックに沿って移動するときに、前記モバイルデバイスの少なくとも1つの基準位置を表すか、または決定することを可能にする基準位置データをさらに含む、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記無線信号観測結果の各セットは、各観測された無線信号について、
受信信号強度のそれぞれの標示、
信号対雑音比のそれぞれの標示、
無線ノードのそれぞれの識別子
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記センサデータが慣性または運動センサデータであり、および
前記モバイルデバイスの前記1つ以上のセンサが、ジャイロスコープ、速度センサ、加速度計、コンパス、気圧計の慣性または運動センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
プロセッサによって実行されたときに、装置に請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された手段を含む装置。
【請求項14】
前記装置が、モバイルデバイスまたはモバイルデバイスのためのモジュール、または、サーバまたはサーバのためのモジュール、または、サーバクラウドの一部のうちの1つである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
1つ以上のサーバおよび1つ以上のモバイルデバイスを備えるシステムであって、前記1つ以上のサーバおよび前記1つ以上のモバイルデバイスは、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法を実行するために協働するように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非GNSSベースの測位の分野に関し、例えば、無線指紋の配列に基づいて非GNSSベースの測位システムのための無線マップを更新する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球測位システム(GPS)やガリレオ(Galileo)システムのような全地球測位システム(GNSS)の衛星信号は、屋内で十分な信号受信ができるほど強く壁や屋根を貫通しないため、主に屋外で使用される衛星信号ベースの測位技術は屋内測位に使用される場合に満足できる性能を発揮するのに適していないのが普通である。したがって、これらの位置決め技術は、屋外および屋内でのシームレスで均等かつ正確なナビゲーション体験を可能にするような性能を屋内で発揮することができない。
【0003】
したがって、屋内および屋外測位のためのいくつかの専用非GNSSベース無線測位システムが、過去数年間に開発され、商業的に配備されてきた。例は、地上ベースのGPS的近距離ビーコン、超音波位置決めシステム、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))低エネルギー(BLE)ベース位置決めシステム、セルラネットワークベース位置決めシステムおよび無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)ベース位置決めシステムである擬似衛星(スードライト)に基づくシステムを含む。
【0004】
このような非GNSSベースの無線測位システム(例えば、自己完結型測位システム)は、設置ステージ、訓練ステージ、および測位ステージの少なくとも3つのステージに分割されてもよい。
【0005】
設置ステージでは、専用の測位サポート無線ノード(例えば、Bluetooth(登録商標)ビーコン)を、測位システムが提供される環境に設置することができる。代替的にまたは追加的に、非GNSSベースの無線測位システムは、測位サポート無線ノードとして、WLANアクセスポイントまたはセルラネットワークノードのような既存の無線ノードを利用することができる。
【0006】
後続のトレーニングステージでは、トレーニングデータが収集される。トレーニングデータは、無線指紋の形成で収集することができる。無線指紋は、観測位置において無線信号をスキャンする際にキャプチャされた推定観測位置および一セットの無線信号観測結果を示すことができる。
【0007】
観測位置は例えば、GNSS衛星信号ベースの位置であってもよい。しかし、訓練ステージで建物内部の無線指紋を収集する場合、GNSS衛星信号ベースの位置を決定することはしばしば不可能である。
【0008】
トレーニングは、多数のコンシューマのモバイルデバイスが収集された無線指紋を測位サーバに継続的に報告する、連続バックグラウンドプロセスであってもよい。コンシューマは、自分のデバイスが必要な機能を備えている場合、そのような無線指紋収集への参加に同意することができる。このアプローチは、クラウドソーシングとも呼ばれる。クラウドソーシングは、装置ユーザに直接利益をもたらさない背景プロセスであるため、クラウドソーシングプロセスが装置の限られた資源のみを消費することが望ましい。
【0009】
代替的にまたは追加的に、モバイルデバイスは、体系的な方法で無線指紋を収集するために使用されてもよい。収集された無線指紋は測位サーバにアップロードされてもよく、測位サーバでは測位目的のために無線マップを生成および/または更新するためにアルゴリズムが実行されてもよい。
【0010】
測位ステージでは、モバイルデバイスが無線インタフェースから取得された独自の測定値と、トレーニングステージから利用可能な無線マップとに基づいて、モバイルデバイスの現在の位置を推定することができる。
【発明の概要】
【0011】
このセクションでは、本発明の態様が開示される。
【0012】
第1の態様によれば、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータの取得または保持をするステップと、
モバイルデバイスの利用可能なトラック・データの取得または保持するステップであって、ここで、
前記トラック・データは、サイトの上のトラックに沿って移動するときにモバイルデバイスの1つ以上のセンサによってキャプチャされたセンサ・データと、
トラックの上の異なる観測位置においてモバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと
を含む、ステップと、
現在の無線マップデータと、センサ・データおよび無線信号観測データを含むトラック・データとに基づく観測位置の推定をするステップと、
前記トラックに対する無線指紋の配列を決定するために、前記推定された観測位置の各々を、前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果の各セットに関連付けるステップであって、前記無線指紋の各配列は、それぞれの推定された観測位置と、前記無線信号観測データによって表されるそれぞれのセットの無線信号観測結果とを表す、ステップと、サイトのための更新された無線マップを決定するための一連の無線指紋を提供するまたは使用するステップと、
の少なくとも1つの反復を含む方法が開示される。
【0013】
第2の態様によれば、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータを取得または保持するステップと、
無線指紋の配列を得るステップであって、前記無線指紋の配列の各々の無線指紋は、前記サイトの上のトラックの上のモバイルデバイスのそれぞれの推定観測位置と、前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果の各セットを表し、前記推定された観測位置は、前記現在の無線マップデータと、前記トラックに沿って移動する際に前記モバイルデバイスの少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたセンサ・データと、前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、を含むトラック・データとに基づいて決定される、ステップと、
無線指紋の配列に基づいてサイトのための更新された無線マップを決定するステップと、
の少なくとも1つの反復を含む方法が開示される。
【0014】
以下では、第1および第2の態様による方法のさらなる例示的な特徴が説明される。
【0015】
特に、第1および第2の態様による方法はサイトのための更新された無線マップを決定するために、無線指紋の配列に基づいてサイトのための更新された無線マップを決定するために役立つことができる。
【0016】
第1および第2の態様による方法は1つ以上の装置(例えば、以下に開示される装置のうちの1つ以上)によって実行される。第1の態様による方法は、1つの装置、好ましくはモバイルデバイスによって実行されてもよく、第2の態様による方法は別の装置、好ましくはサーバによって実行されてもよい。したがって、第1の態様による開示された方法はモバイルデバイスによって実行されるアクションに関係することができ、したがって、モバイルデバイス側方法と呼ぶことができ、第2の態様による開示された方法はサーバによって実行されるアクションに関係し、したがって、サーバ側方法と呼ぶことができる。
【0017】
あるいは、第1および第2の態様による方法のうちの少なくとも1つはそれぞれの方法を実行するために協働する少なくとも2つの装置、好ましくはモバイルデバイスおよびサーバによって実行され得る。
【0018】
さらに、第1および第2の態様による方法は、2つ以上の反復において反復的に実行され得る。入手可能または保持可能なデータ(例えば、現在のマップデータおよびトラック・データ)は、第1および/または第2の態様による方法の各反復においてそれぞれ異なってもよいことを理解されたい。
【0019】
さらに、第1および第2の態様による方法は、それらが、同じ現在の無線マップ、同じ配列の無線指紋、および同じ更新された無線マップに関連するように、相互に関連すると理解され得る。現在の無線マップ、無線指紋の配列、および更新された無線マップに関する開示は、したがって、第1および第2の態様による方法の開示であると理解されるべきである。
【0020】
サイトは、所定の環境、例えば、建物または建物の複合体(例えば、ショッピングセンター、駐車場、駅、バスステーション、空港、会社サイトなど)の内部および/または外部のような所定の屋内および/または都市環境であってもよい。サイトの上では、例えば、GNSS衛星信号に基づいてモバイルデバイスがその位置を確実に推定できないように、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)衛星信号の利用可能性が制限されることがある。
【0021】
サイト用の無線マップは、この位置においてモバイルデバイスの無線インタフェースが捉えた無線信号観測結果に基づいて、サイトの上のモバイルデバイスの位置を推定することができるように構成することができる。この目的のために、無線マップは、例えば、
(1)現場で観測可能であると予想される無線信号の期待される無線特性、および
(2)現場で観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの無線カバレッジモデルおよび期待される位置
のうちの少なくとも1つを表すことができる。
【0022】
例えば、サイトのための無線マップは、非GNSSベースの無線測位システムの一部であってもよく、モバイルデバイスは、(例えば、非GNSSベースの無線測位システムのトレーニングステージにおいて)サイトのための無線マップを更新するために無線指紋を収集する複数のモバイルデバイスの一部であってもよい。
【0023】
いくつかの非限定的な例を挙げると、モバイルデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、スマートウォッチ、およびスマートバンドのうちの1つとすることができる。
【0024】
無線ノードは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)またはブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))ビーコンのアクセスポイントのような無線装置であると理解することができる。無線LANは例えば、IEEE 802.11ファミリ(http: //www.ieee.org/)の規格によって規定されている。ブルートゥース(登録商標)規格はブルートゥース(登録商標)・スペシャル・インタレスト・グループによって規定されており、現在はhttps://www.bluetooth.com/に基づいて提供されている。したがって、サイトの上で観測可能であると予想される無線信号は、WLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)信号であってもよい。
【0025】
第1および第2の態様による方法は、例えば、サイトの精度または完全性に関して、無線マップの品質を改善するために、サイトの無線マップを更新する役割を果たすと理解されてもよい。例えば、サイトのための無線マップ(例えば、無線マップの特定のバージョンの)の精度は、
(1)サイトのための無線マップ(例えば、無線マップの特定のバージョン)に基づいて推定されたモバイルデバイスの推定位置と、
(2)サイトの上のモバイルデバイスの実際の位置と
の間の距離にしたがって決定されてもよく、サイトのための無線マップ(例えば、無線マップの特定のバージョンの)の完全性はサイトのための無線モデルが無線マップに含まれる無線ノードの数(例えば、無線マップの特定のバージョン)に対するサイトの上での無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの数の割合を表すと理解されてもよい。本態様はこれに限定されないことを理解されたい。データ(例えば、無線マップデータまたはトラック・データまたは(1つ以上の)無線指紋)を取得することは、(例えば、通信インタフェースの手段によって)受信すること、または、(例えば、慣性および/または運動センサまたはGNSSセンサまたは無線インタフェースのようなセンサの手段によって)キャプチャすること、または、(例えば、プロセッサの手段によって)データを決定することを意味すると理解され得る。利用可能なデータ(例えば、無線マップデータまたはトラック・データまたは(1つ以上の)無線指紋)を保持することは、データを記憶すること(例えば、メモリのような手段を記憶すること)を意味すると理解することができる。
【0026】
現在の無線マップおよび更新された無線マップはサイトのための無線マップの異なるバージョン(例えば、異なる時点および/または異なる日付および/または異なる無線モデルおよび/または異なる精度を有する)であると理解されてもよい。特に、現在の無線マップは、更新された無線マップよりも、サイトのための無線マップの古いバージョンであると理解されてもよい。例えば、現在の無線マップはそれぞれの方法の現在の反復が開始されるときに、サイトの無線マップの最新版であってもよく、更新された無線マップは、更新された無線マップがそれぞれの方法の次の反復のための無線マップの最新版または最新版であってもよいように、現在の無線マップをサイトの最新版として置き換えるものと理解されてもよい。
【0027】
例えば、現在の無線マップデータおよび更新された無線マップデータは、それぞれのマップデータを受信または記憶または決定することによって取得することができる。
【0028】
トラック・データは、サイトの上のトラックに沿ったモバイルデバイスの移動を表すか、または推定することを可能にすることができる。それによって、サイトの上のトラックは、サイトの上のモバイルデバイスの移動経路であると理解され得る。
【0029】
トラック・データはセンサ・データ(例えば、1つ以上のセンサ)および無線信号観測データ(例えば、無線インタフェース)をキャプチャすることによって取得されてもよい。
【0030】
例えば、センサ・データはモバイルデバイスがサイトの上のトラックに沿って移動していたときに、モバイルデバイスの1つ以上のセンサによって測定された測定結果に基づいているか、または測定結果を表す。特に、センサ・データは、トラックの上の後続の測定位置において、モバイルデバイスの1つ以上のセンサによって測定された測定結果のセットの配列(例えば、時系列)を表すことができる。これにより、それぞれの測定結果のセットのそれぞれの測定結果を、同じそれぞれの測定位置で測定することができる。
【0031】
例えば、モバイルデバイスの1つ以上のセンサは、(1)ジャイロスコープ、(2)速度センサ、(3)加速度計、(4)コンパス、または(5)気圧計の、慣性センサおよび/または運動センサのうちの少なくとも1つを備える。これらの1つ以上の慣性センサおよび/または運動センサによって測定される測定結果の例は、(1)方位、(2)速度、(3)加速度、(4)方向、(5)大気圧、または(6)高度のうちの少なくとも1つの指標である。
【0032】
無線信号観測データは、トラックの上の後続の観測位置においてモバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットの配列(例えば、時系列)を表すことができる。これにより、無線信号観測結果の各セットは、無線信号観測結果の各セットがキャプチャされたときに同じ観測位置においてモバイルデバイスの無線インタフェースによって観測されるWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)信号のような無線信号の各無線信号特性を示すことができる。
【0033】
例えば、モバイルデバイスの無線インタフェースはモバイルデバイスが無線信号観測結果のセットの配列をキャプチャするためにサイトの上のトラックに沿って移動しているときに、WLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)信号のような無線信号を繰り返しスキャンすることができる。この点に関して、特定の無線信号は、無線信号をスキャンするときに、特定の無線信号が無線インタフェースによって検出または受信される場合に、モバイルデバイスの無線インタフェースによって観測されると理解され得る。
【0034】
以下により詳細に開示されるように、無線信号観測結果の各セットは、以下の無線信号特性、(1)受信信号強度のそれぞれの指標、(2)信号対雑音比のそれぞれの指標、および(3)無線ノードのそれぞれの識別子のうちの少なくとも1つについて、観測された各無線信号について含み得る。
【0035】
第1の態様によるトラック・データおよび現在の無線マップデータに基づいてトラックの上の観測位置を推定することは、無線マップデータに加えて、トラック・データに含まれるセンサ・データおよび無線信号観測データの両方が観測位置を推定するために(例えば、入力データとして)使用されることを意味すると理解され得る。これにより、現在の無線マップデータと、センサ・データおよび無線信号観測データを含むトラック・データとを入力データとして受信する粒子フィルタやカルマンフィルタやスムーザなどのセンサ融合法やアルゴリズムを用いて、観測位置を推定することができる。さらなるデータ(例えば、以下に開示される基準位置データ)が観測位置を推定するために追加的に考慮されてもよい(例えば、入力データとして)ことを理解されたい。このようにトラック・データを利用することにより、利用可能なモバイルデバイスのGNSS衛星信号による位置が存在しなくても、観測位置を推定することができる。
【0036】
さらに、第1の態様の方法の少なくとも1つのさらなる反復において(例えば、方法の最初の反復において)、サイトに利用可能な現在の無線マップが存在しない場合、現在の無線マップデータも無線観測データも、観測位置を推定するために使用されないことが理解されるべきである。
【0037】
トラックの上の観測位置を推定した結果、推定された観測位置が得られる(例えば、センサフュージョン方法またはアルゴリズムの出力データで表される)。特に、推定された観測位置の配列(例えば、時系列)は、観測位置を推定した結果として得られてもよい。これらの推定された観測位置は、(実際の)観測位置から逸脱し得ることが理解されるべきである。推定される観測位置は、2次元位置および/または3次元位置であってもよい。したがって、このような2次元位置は、水平方向に、例えば地表面上で(例えば、それぞれの推定された観測位置のそれぞれの地理的座標によって)それぞれ推定された観測位置を表すことができ、このような3次元位置は、水平方向および垂直方向に、例えば、地表面上で(例えば、それぞれの推定された観測位置のそれぞれの地理的座標およびそれぞれの推定された観測位置の海抜高度によって)それぞれの推定された観測位置を表すことができる。
【0038】
続いて、推定された観測位置のそれぞれは、第1の態様による無線指紋の配列(例えば、年代順序)を決定するために、無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のそれぞれのセットに関連付けられる。例えば、推定された観測位置および無線信号観測結果のセットがシーケンス(例えば、時系列)として利用可能である場合、無線指紋のシーケンスは、各推定された観測位置を、各推定された観測位置と同じシーケンス内の同じ位置を有する各セットの無線信号観測結果と関連付けることによって、各推定された観測位置をそれぞれの推定された観測位置と同様にシーケンス内で関連付けることによって決定される。第1の態様によるこの関連付けステップの結果として、無線指紋の配列(例えば、時系列配列)を取得することができる。
【0039】
第1の態様によるサイトのための更新された無線マップを決定するために無線指紋の配列を使用することは、更新された無線マップが第1の態様による無線指紋の配列に基づいて決定されることを意味すると理解されうる。これは、更新された無線マップを決定するステップが第1の態様の方法の一部であることを意味する。
【0040】
しかしながら、更新された無線マップを決定するステップは、第2の態様の方法の一部であることが好ましい。この目的のために、無線指紋の配列は第2の態様にしたがって得ることができるように、第1の態様にしたがって提供することができる。例えば、第1の態様によれば、更新された無線マップを決定するための無線指紋の配列は、第1の態様による方法を実行する装置(例えば、モバイルデバイス)から、第2の態様による方法を実行する装置(例えば、サーバ)に送信することによって提供されてもよく、更新された無線マップを決定するための無線指紋の配列は、第2の態様によれば、第1の態様による方法を実行する装置(例えば、モバイルデバイス)から、第2の態様による方法を実行する装置(例えば、サーバ)によって受信することによって取得されてもよい。
【0041】
したがって、第2の態様による無線指紋の配列と、第1の態様による無線指紋の配列とは、同じであってもよい。特に、第2の態様による無線指紋の配列は、第1の態様による推定ステップおよび関連付けステップの結果として得ることができる。これにより、第1および第2の態様に係る無線指紋の配列の各無線指紋は、現地のトラックの上のモバイルデバイスのそれぞれの推定観測位置と、モバイルデバイスの無線インタフェースによりキャプチャされた各無線信号観測結果のセットとを表し、各推定観測位置は、現在の無線マップデータおよびセンサ・データおよび無線信号観測データを含むトラック・データに基づいて推定される/された。例えば、無線指紋の配列のそれぞれの無線指紋のそれぞれの推定観測位置は、無線信号観測結果のそれぞれのセットがモバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた観測位置の推定値であってもよい。
【0042】
無線指紋の配列に基づいてサイトのための更新された無線マップを決定することは、無線指紋の配列が更新された無線マップを決定する(例えば、生成する)ために(例えば、入力データとして)考慮されることを意味すると理解されてもよい。更新された無線マップを決定するために、さらなるデータが(例えば、入力データとして)さらに使用されてもよいことが理解されるべきである。更新された無線マップは、無線マップを更新または生成するためのアルゴリズムまたは方法を使用することによって決定され得る。
【0043】
決定ステップの結果として得られた更新された無線を表す更新された無線マップデータは、第1および第2の態様による方法の次の反復のための現在の無線マップデータとして使用され得る。これは、(n)番目(例えば、2番目)の反復の更新された無線マップが方法の(n+1)番目(例えば、3番目)の反復において現在の無線マップとして取得されるか、または利用可能に保持されることを意味すると理解され得る。この目的のために、更新された無線マップを決定するステップが第2の態様の方法の一部である場合、更新された無線マップは第2の態様にしたがって提供されてもよい。例えば、更新された無線マップは、第2の態様によれば、第2の態様による方法を実行する装置(例えば、サーバ)から、第1の態様による方法を実行する装置(例えば、モバイルデバイス)にそれを送信することによって提供されてもよい。しかしながら、更新された無線マップは、更新された無線マップの最小精度または最小完全性のような所定の最小無線マップ品質基準を満たす場合にのみ提供されてもよいことが理解されるべきである。
【0044】
第1および第2の態様による方法の次の反復のために、更新された無線マップデータを表す更新された無線マップデータを現在の無線マップデータとして使用することによって、フィードバックループは、態様の方法を反復的に実行することによって生成され得る。追加の(すなわち、異なる)トラック・データおよび/または無線指紋が更新された無線マップを決定するための各反復において取得/決定されるので、そのようなフィードバックループは更新された無線マップの品質(例えば、精度および/または完全性の点で)が各反復において改善されることが期待されるという効果を有する。上記で開示されたように、更新された無線マップの精度は、(1)更新された無線マップに基づいて推定されたモバイルデバイスの推定位置と、(2)サイトの上のモバイルデバイスの実際の位置との間の距離にしたがって決定されてもよく、更新された無線マップの完全性は、更新された無線マップに含まれる無線モデルが含まれる無線ノードの数に対する、サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの数の割合を表すと理解されてもよい。
【0045】
第1および第2の態様による方法に加えて、第1および第2の態様による装置、非一時的コンピュータ可読記憶媒体、およびコンピュータ・プログラム・コードが以下に開示される。
【0046】
第1の態様によれば、装置が開示され、装置は、第1の態様に従った方法を実行するように構成された手段を備える。例えば、装置はモバイルデバイス(例えば、第1の態様による方法のモバイルデバイス)またはモバイルデバイスのためのモジュールである。
【0047】
第2の態様によれば、装置が開示され、この装置は、第2の態様に係る方法を実行するように構成された手段を備える。例えば、装置は、サーバまたはサーバ・クラウドの一部のためのモジュールである。
【0048】
第1および第2の態様による開示された装置は、すべての機能のための単一の手段、すべての機能のための共通の複数の手段、または異なる機能のための複数の異なる手段を備えることができる。
【0049】
第1および第2の態様による開示された装置の手段は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実現されてもよい。これらは、必要な機能を実現するためのコンピュータ・プログラム・コードを実行するためのプロセッサ、コンピュータ・プログラム・コードを記憶するメモリ、またはその両方を含むことができる。したがって、第1および第2の態様による開示された装置は少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ・プログラム・コードを含む少なくとも1つのメモリとを備えることができ、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータ・プログラム・コードは、それぞれの装置にそれぞれの方法を少なくとも実行させるように構成された少なくとも1つのプロセッサを有する。
【0050】
代替的にまたは追加的に、第1および第2の態様による開示された装置の手段は必要な機能を実現するように設計された回路を備えることができ、例えば、集積回路のようなチップセットまたはチップ内に実装される。
【0051】
第1の態様によれば、コンピュータ・プログラム・コードが開示され、プロセッサによって実行されるとき、装置に第1の態様に従った方法を実行させ、第2の態様によれば、コンピュータ・プログラム・コードが開示され、プロセッサによって実行されるとき、装置に第2の態様に従った方法を実行させるコンピュータ・プログラム・コードが開示される。
【0052】
第1の態様によれば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が開示され、コンピュータ・プログラム・コードが記憶され、前記コンピュータ・プログラム・コードはプロセッサによって実行されたときに第1の態様に係る方法を実行する装置を引き起こし、第2の態様によれば、コンピュータ・プログラム・コードが記憶された非一時的コンピュータ可読記憶媒体が開示され、前記コンピュータ・プログラム・コードは、プロセッサによって実行されたときに第2の態様に係る方法を実行する装置を引き起こす。それぞれのコンピュータ・プログラム・コードは、それぞれのコンピュータ可読記憶媒体を符号化する命令の形成でそれぞれのコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0053】
第1および第2の態様に係るコンピュータ可読記憶媒体は、装置(例えば、モバイルデバイスまたはサーバ)、コンピュータの内部または外部ハードディスクのような装置の動作に参加することを意図してもよく、または、光ディスクのようなコンピュータ・プログラム・コードの分布を意図してもよい。
【0054】
第3の態様によれば、システムが開示され、システムは1つ以上のサーバおよび1つ以上のモバイルデバイスを含み、1つ以上のサーバおよび1つ以上のモバイルデバイスは、第1の態様による方法および第2の態様による方法を実行するために協働するように構成される。これは、1つ以上のモバイルデバイスが第1の態様による方法および第2の態様による方法のいくつかのステップを実行するように構成され、1つ以上のサーバが第1の態様による方法および第2の態様による方法の他のステップを実行するように構成されることを意味すると理解され得る。例えば、1つ以上のモバイルデバイスは第1の態様による装置であり、1つ以上のサーバは、第2の態様による装置である。
【0055】
第3の態様によるシステムは、非GNSS衛星信号ベースの無線測位システムであってもよく、またはその一部であってもよい。
【0056】
以下では、本発明の態様のさらなる例示的な実施形態を説明する。
【0057】
態様の例示的な実施形態によれば、サイトのための現在のおよび/または更新された無線マップは、(1)少なくとも1つのグリッド・システムの1つ以上のグリッド・ポイント、または(2)1つ以上の無線ノードのための1つ以上の無線モデルのうちの少なくとも1つのための1つ以上の無線モデルを含む。
【0058】
グリッド・システムは2次元または3次元グリッド(例えば、正方形または立方体グリッド)のようなサイトの無線マップのための予め定義されたグリッド・システムであってもよい。グリッド・システムの各グリッド・ポイントは、サイトの上のそれぞれの位置に対応することができる。グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントについてのそれぞれの無線モデルは、サイトの上のこの状態で観測可能であると予想される無線信号の標示、および/またはサイトの上のこの状態で観測可能であると予想される無線信号の受信信号強度の標示、および/またはサイトの上のこの状態で観測可能であると予想される無線信号の受信信号強度の変化量の標示のような、それぞれのグリッド・ポイントに対応するサイトの上の状態についての予想される無線信号特性を表すことができる。複数のグリッド・システムが存在する可能性があることを理解すべきである。例えば、サイトの屋内および屋外のセクションについては、異なるグリッド・システムが無線マップに含まれてもよい。
【0059】
1つ以上の無線ノードは複数の無線ノードの一部であってもよく、各無線ノードからの無線信号はサイトの上で観測可能であると予想される。複数の無線ノードのうちのそれぞれの無線ノードのためのそれぞれの無線モデルは、それぞれの無線ノードの無線カバレージモデルおよび/またはそれぞれの無線ノードの推定位置のような、無線ノードのための期待される無線信号特性を表すことができる。それによって、無線カバレッジモデルは、サイトの上のそれぞれの無線ノードの予想される無線カバレッジを記述することができる。
【0060】
例えば、現場の現在および/または更新された無線マップの無線カバレージモデルは、幾何学的無線モデルであってもよい。無線ノードのためのそのような幾何学的無線モデルはサイトの上の無線ノードの予想される無線カバレッジを(例えば、幾何学的に)記述することができる。これにより、無線ノードによって送信される1つ以上の無線信号は、無線ノードのための幾何学的無線モデルによって記述される(例えば、幾何学的に)予想される無線カバレッジの範囲内で観測可能であることが期待される。例えば、幾何学的無線モデルは、多角形、矩形および/または正方形、立方体および/または立方体、楕円および/または円、-楕円体および/または球体、の幾何学的形状のうちの1つを有することができる。
【0061】
このような幾何学的無線モデルを使用することは、無線カバレージモデルが非常に単純であり、少量のデータしか必要とせず、分析が容易であるという効果を有する。しかし、本発明の技術的範囲は、幾何学的無線モデルに限定されないことを理解されたい。例えば、経路損失モデルのようなパラメトリック無線モデルは、本発明の範囲内でも同様に適用することができる。
【0062】
態様の例示的な実施形態によれば、更新された無線マップを決定することは、無線指紋の配列の各無線指紋を、(1)少なくとも1つのグリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイント、または(2)それぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つに関連付けること、それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づいて、(1)グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイント、または(2)それぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つを決定すること、(1)グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイント、または(2)が少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づく、それぞれの無線モデルのうちの少なくとも1つに対するそれぞれの無線モデルを決定すること、(1)グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイント、または(2)更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めること、または、(1)グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイント、または(2)それぞれの無線モデルが少なくとも1つの事前定義された無線モデル品質基準を満たす場合、更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めること、のうちの少なくとも1つを備える。
【0063】
上記で開示されたように、サイトのための現在のおよび/または更新された無線マップは、(1)グリッド・システムの1つ以上のグリッド・ポイント、または(2)1つ以上の無線ノードのための1つ以上の無線モデル、のうちの少なくとも1つのための1つ以上の無線モデルを含む。
【0064】
例えば、無線指紋の配列の各無線指紋をグリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントに関連付けることは、無線指紋の配列の各無線指紋がそれぞれの無線指紋によって表されるそれぞれの推定観測位置に最も近いサイトの上の位置に対応するグリッド・システムの少なくとも1つのそれぞれのグリッド・ポイントに関連付けられることを意味すると理解され得る。さらに、無線指紋の配列の各無線指紋をそれぞれの無線ノードに関連付けることは、無線指紋の配列の各無線指紋が、それぞれの無線指紋によって表される無線観測結果のそれぞれのセットがモバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされたときに観測された無線信号を送信する少なくとも1つのそれぞれの無線ノードに関連付けられ得ることを意味すると理解され得る。
【0065】
無線指紋の配列の各無線指紋を、(1)グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイント、または(2)それぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つに関連付けることによって、無線指紋の配列は、例えば、以下でより詳細に開示されるように、関連するグリッド・ポイントおよび/または無線ノードの無線モデルを決定するために、それらが格納され、互いに独立してさらに処理され得るように分割される。無線指紋の配列が分割されるので、そのような配列が、データプライバシーにとって有益であるモバイルデバイスのユーザを追跡または識別するために使用されることがさらに防止される。
【0066】
サイトの上の推定された観測位置を表す少なくとも1つの無線指紋(例えば、無線指紋の配列の少なくとも1つの無線指紋)に関連する各無線ノードは、無線信号がサイトの上で観測可能であると予想されるそれぞれの無線ノードであると理解することができる。そのような無線ノードは複数の無線ノードを形成してもよく、またはその一部であってもよく、その無線ノードの各々から、無線信号がサイトの上で観測可能であることが期待される。
【0067】
(1)グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイント、または(2)それぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づくそれぞれの無線ノード(例えば、それぞれの無線信号がサイトの上で観測可能であると予想される複数の無線ノード)、または、それぞれの無線モデルは、それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードの予想される無線信号特性を決定することによって決定されてもよい。したがって、無線指紋が、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントに関連付けられる場合、グリッド・システムまたはそれぞれのノードのそれぞれのグリッド・ポイントの無線モデルに関連付けられることを理解されたい。
【0068】
無線信号特性の例は、それぞれのグリッド・ポイントで観測可能であると予想される無線信号の標示、および/または、それぞれのグリッド・ポイントに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、それぞれのグリッド・ポイントで観測可能であると予想される無線信号の受信信号強度の標示、および/または、それぞれの無線ノードの推定位置、および/または、それぞれの無線ノードの無線カバレージモデルである。
【0069】
したがって、グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノード(たとえば、それぞれの無線信号がサイトの上で観測可能であると予想される複数の無線ノード)のうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定することは、
各無線ノードに関連付けられた無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて各無線ノードの位置を推定するステップと、
各無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて各無線ノードの無線カバレッジモデルを決定するステップと、
各格子点に係る信号指紋の信号観測結果のセットに基づき、当該格子点において観測可能であると予想される信号を送信する無線ノードの標示を決定するステップと、
各格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、各格子点で観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の標示を決定するステップと、
無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の変化量の標示を、それぞれの格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、それぞれの格子点において観測可能であると予想されるものを決定するステップと、
のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0070】
それぞれの無線ノードの位置は、無線ノードに関連する無線指紋によって表される推定観測位置の重み平均として推定され得る。重み平均の場合、無線ノードに関連するそれぞれの無線指紋によって表されるそれぞれの推定観測位置の重みは、例えば、それぞれの無線指紋によって表されるそれぞれの無線信号観測結果のセットにおいて、無線ノードの識別子とともに示される受信信号強度に比例するように決定され得る。それぞれの無線ノードに対して異なる推定位置があってもよく、例えば、(例えば、それぞれの無線ノードに関連する異なる無線指紋のために)それぞれの方法の異なる反復において異なる推定位置が取得されてもよいことが理解されるべきである。
【0071】
上述したように、それぞれの無線ノードの無線カバレージモデルは、幾何学的無線モデルであってもよい。それぞれの無線ノードの幾何学的無線モデルは、例えば、それぞれの無線ノードの少なくとも推定位置と、無線ノードに関連する無線指紋によって表される推定観測位置の所定の割合(例えば、90%または95%または100%)とを含むように、幾何学的無線モデルの幾何学的形状として決定されてもよい。さらに、無線ノードの識別子を用いて、所定の受信信号強度閾値および/または所定の信号対雑音比よりも大きい、無線信号観測結果のそれぞれのセットにおける受信信号強度および/またはそれぞれの信号対雑音比を示す、無線ノードに関連する無線指紋によって表される推定観測位置のみを、幾何学的無線モデルを決定するために使用することができる。それぞれの無線ノードに対して異なる無線カバレージモデルがあってもよく、例えば、(例えば、それぞれの無線ノードに関連する異なる無線指紋のために)それぞれの方法の異なる反復において異なる無線カバレージモデルが取得されてもよいことが理解されるべきである。
【0072】
それぞれのグリッド・ポイントにおいて観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの標示は、それぞれのグリッド・ポイントに関連する無線指紋によって表される無線信号観測結果のセットにおいて示される無線ノードの識別子の標示として(例えば、リストの形成で)決定されてもよい。
【0073】
それぞれのグリッド・ポイントにおいて観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の指標は、無線ノードの平均受信信号強度として決定され得る。各無線ノードについて、平均受信信号強度は、例えば、それぞれのグリッド・ポイントに関連付けられた無線指紋によって表される無線信号観測のセットにおいて、それぞれの無線ノードの識別子とともに示される受信信号強度に基づいて決定され得る。
【0074】
それぞれのグリッド・ポイントにおいて観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の変化量の標示は、各無線ノードについて、それぞれのグリッド・ポイントに関連付けられた無線指紋によって表される無線信号観測のセットにおいて、それぞれの無線ノードの識別子とともに示される受信信号強度に基づいて、受信信号強度のそれぞれの分散を決定することによって決定され得る。
【0075】
更新された無線マップに(1)グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイント、または、(2)それぞれの無線ノード(例えば、それぞれの無線信号がサイトの上で観測可能であると予想される複数の無線ノード)のうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めることは、更新された無線マップを決定するためにそれぞれの無線モデルが現在の無線マップに追加されることを意味すると理解され得る。
【0076】
好ましくは、それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合にのみ、決定され、かつ/または更新された無線マップに含まれる。例えば、所定の無線モデル品質基準は、(1)所定数を超える無線指紋がそれぞれの無線モデルに関連付けられる、(2)互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置を表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、(3)所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットを表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、(4)所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含むそれぞれのセットの無線信号観測結果と、互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置との両方を表す事前定義された数以上の無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連する、(5)無線指紋の所定の数または割合未満が、潜在的な外れ値であると判定される、(6)それぞれの無線モデルに関連する無線指紋は、異なるトラックに対する無線指紋の所定数を超える配列から生じる、のうちの少なくとも1つである。
【0077】
あらかじめ定義された無線モデル品質基準は、無線モデル品質基準を満たす無線モデルが所望の精度を満たすことが期待されるように選択され得る。
【0078】
上記で開示されたように、無線指紋がグリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントに関連付けられる場合、グリッド・システムまたはそれぞれのノードのそれぞれのグリッド・ポイントの無線モデルに関連付けられることが理解されるべきである。
【0079】
例えば、無線モデルを決定するために、使用される無線指紋の数が増加する場合には、無線指紋の数が増加する場合に潜在的な外れ値の影響が最小化されることが期待されるため、それぞれの無線モデルの精度が向上することが期待される。したがって、無線モデル品質基準(1)による無線指紋の所定の数は、それぞれの無線モデルが所望の精度を満たすか、または超えることが予想されるように選択されてもよい。
【0080】
基準(1)に加えて、無線モデル品質基準(2)、無線モデル品質基準(3)、および無線モデル品質基準(4)は、所定数を超える無線指紋がそれぞれの無線モデルに関連付けられているかどうかを判定するために、特定の無線指紋のみを使用する。これは、(大部分の)潜在的な外れ値が予め定義された数を超える無線指紋がそれぞれの無線モデルに関連付けられているかどうかを決定することから除外されるという効果を有し得る。例えば、無線モデル品質基準(2)および(4)による所定の距離は、(ほとんどの)潜在的な外れ値がこの基準を満たさないことが予想されるように選択されてもよい。例えば、予め定義された距離は、それぞれの無線モデルのそれぞれの無線ノードの推定された位置の周りの予め定義された距離であるか、またはそれに対応する。同様に、無線モデル品質基準(3)および(4)にしたがって予め定義された受信信号強度閾値は、(大部分の)潜在的な外れ値がこの基準を満たさないことが期待されるように選択され得る。
【0081】
無線モデル品質基準(5)にしたがって潜在的な外れ値であると判定された無線指紋の数または割合(例えば、2%または5%または10%)を制限することによって、潜在的な外れ値の影響も最小限に抑えることができる。それによって、潜在的な外れ値は、例えば、それぞれの無線モデルに関連付けられ、それぞれの無線モデルのそれぞれの無線ノードの推定位置からの所定の距離外の、所定の受信信号強度しきい値および/またはそれぞれの推定観測位置未満である受信信号強度の指標を含む、それぞれの無線信号観測結果のセットを表す無線指紋であると判定され得る。
【0082】
無線モデル品質基準(6)の影響は、単一のモバイルデバイスの無線インタフェースによって、または単一のトラックの上で(例えば、歪みに起因して)キャプチャされた誤った無線観測データの影響を最小限に抑えることができることであり得る。
【0083】
それぞれの無線モデルは無線モデル品質基準(1)~(6)のいずれかの所定の組み合わせを満たす場合にのみ、更新された無線マップに含まれてもよいことを理解されたい。
【0084】
本態様の例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの所定の無線指紋品質基準を満たす無線指紋の配列の無線指紋のみが、更新された無線マップを決定するために使用された。所定の無線指紋品質基準は、更新された無線マップまたはそれぞれの無線モデルが、所定の無線指紋品質基準を満たす無線指紋のみに基づいて決定される場合、更新された無線マップまたはそれぞれの無線モデルが所望の精度を満たすことが期待されるように選択され得る。
【0085】
例えば、無線指紋の配列の各無線指紋に対する事前定義された無線指紋品質基準は、少なくとも、(1)それぞれの無線指紋によって表されるそれぞれの推定観測位置のそれぞれの精度は、所定の精度閾値未満であると判定される、(2)各無線指紋によって表される各推定観測位置は、3次元位置である、(3)一セットの無線信号観測結果のそれぞれの信号品質は、所定の信号品質閾値よりも大きいと判断される、のうちの1つである。
【0086】
それぞれの無線指紋によって表されるそれぞれの推定観測位置のそれぞれの精度は、それぞれの推定観測位置と実際の観測位置との間の偏差が所定の精度閾値(例えば、1mまたは0.5m)未満であると予想される場合、無線指紋品質基準(1)にしたがって、所定の精度閾値未満であると判定されてもよい。
【0087】
上述したように、3次元位置は、例えば地表、および地表より上の(例えば、それぞれの推定された観測位置のそれぞれの地理的座標およびそれぞれの推定された観測位置の海抜高度によって)水平および垂直にそれぞれ推定された観測位置を表すことができる。無線指紋品質基準(2)は例えば、更新された無線マップが、水平および垂直の位置決めを可能にする3次元マップである場合に有利であり得る。
【0088】
無線指紋品質基準(3)に従った事前定義された信号品質閾値の例は、事前定義された受信信号強度閾値(例えば、-65dBm...)または事前定義された信号対雑音割合閾値(例えば、1/10)である。無線指紋品質基準(3)が満たされるかどうかを判定するために、例えば、無線信号観測結果のそれぞれのセットによって示される受信信号強度の平均受信信号強度が、所定の受信信号強度しきい値よりも大きいかどうか、および/または無線信号観測結果のそれぞれのセットによって示される信号対雑音比の平均信号対雑音比が、所定の信号対雑音比しきい値よりも大きいかどうかを判定することができる。
【0089】
無線指紋品質基準(1)~(3)のいずれかの所定の組み合わせを満たす無線指紋の配列の無線指紋のみが、更新された無線マップを決定するために、使用されたことを理解されたい。
【0090】
態様の例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの所定の無線信号観測結果品質基準を満たすトラック・データに含まれる無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のみが、推定観測位置の推定に使用される/された。所定の電波観測結果品質基準は、所定の電波観測結果品質基準を満たす電波信号観測結果のみに基づいてそれぞれの推定観測位置が推定される場合には、それぞれの推定観測位置が所望の精度を満たすことが期待されるように選択してもよい。
【0091】
例えば、トラック・データに含まれる電波信号観測データで表される各電波信号観測結果についての所定の電波信号観測結果品質基準は、(1)それぞれの無線信号観測結果のそれぞれの信号品質が、所定の信号品質閾値よりも大きいと判定される、(2)それぞれの電波観測結果のそれぞれの信号品質は、それぞれの無線ノードについてのトラック・データに含まれる無線信号観測データに代表される全ての電波観測結果のうち最も信号品質が高い、のうちの少なくとも1つである。
【0092】
上述したように、無線信号観測結果品質基準(1)および(2)による所定の信号品質閾値の例は、所定の受信信号強度閾値(例えば、-65dBm)または所定の信号対雑音割合閾値(例えば、1/10)である。無線信号観測結果品質基準(1)が満たされるかどうかを判定するために、例えば、それぞれの無線信号観測結果によって示される受信信号強度が事前定義された受信信号強度閾値よりも大きいかどうか、および/または、それぞれの無線信号観測結果によって示される信号対雑音比が事前定義された信号対雑音比閾値よりも大きいかどうかを判定することができる。
【0093】
無線信号観測結果は、それぞれの無線ノードの識別子を示す場合、それぞれの無線ノードに対するものであると理解されてもよい。どの電波信号観測結果が電波観測結果品質基準(2)を満たすかを判定するために、それぞれの無線ノードの識別子を示すトラック・データに含まれる電波信号観測データによって表される全ての電波信号観測結果の中から、最大の受信信号強度および/または最大の信号対雑音比を示すそれぞれの電波信号観測結果を選択する。
【0094】
例えば、電波観測結果品質基準(2)は、電波観測結果品質基準(1)がそれぞれの無線ノードについてのいずれの電波信号観測結果によっても満たされない場合に適用してもよい。
【0095】
態様の例示的な実施形態によれば、更新された無線マップは、現在の無線マップよりも多くの格子点または無線ノードの無線モデル-それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードに関連する無線指紋の配列の少なくとも1つの無線指紋に基づいて決定された、それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードの少なくとも1つのための少なくとも1つの更新された無線モデルのうちの少なくとも1つを含む。
【0096】
態様の例示的な実施形態によれば、それぞれの方法は、
サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノード(例えば、各無線ノード)の所定の数または、部分に対するそれぞれの無線モデルは、現在の反復の更新された無線マップに含まれる、-所定回数の反復が完了する、
現在の反復の更新された無線マップは、所定の無線マップ品質基準を満たす、
のうちの少なくとも1つまで少なくとも繰り返される。
【0097】
上記で開示されたように、サイトの上の推定された観測位置を表す少なくとも1つの無線指紋(例えば、無線指紋の配列の少なくとも1つの無線指紋)に関連する各無線ノードは、無線信号がサイトの上で観測可能であると予想されるそれぞれの無線ノードであると理解されてもよい。無線ノードの所定の数または割合(例えば、80%、90%、または95%)は、サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノード(例えば、各無線ノード)の所定の数または部分の無線モデルが、現在の反復の更新された無線マップ(すなわち、現在の反復において、および/または現在の反復の無線指紋の配列に基づいて決定された更新された無線マップ)に含まれる場合、この現在の反復の更新された無線マップは、完了していると仮定され得るように選択され得る。この仮定に基づき、現場において無線信号が観測可能であると予想される無線ノードごとに、それぞれの無線モデルが現在の反復の更新された無線マップに含まれていると判断された場合には、それぞれの方法の繰り返しを停止することが予め定められている場合がある。
【0098】
所定数の反復が完了した場合、現在の反復の更新された無線マップ(すなわち、現在の反復において、および/または現在の無線指紋の配列に基づいて決定された更新された無線マップ)をさらに改善することは不可能であると仮定され得る。この仮定に基づいて、所定数の反復が完了したと判定された場合、それぞれの方法の反復を停止することが予め決定されてもよい。
【0099】
代替として、または追加として、現在の反復の更新された無線マップ(すなわち、現在の反復において、および/または現在の反復の無線指紋の配列に基づいて決定された更新された無線マップ)が、事前定義された無線マップ品質基準を満たすと決定された場合、それぞれの方法の反復を停止することが事前に決定され得る。そのような所定の無線マップ品質基準の例は、現在の反復の更新された無線マップの所望の精度または完全性であってもよい。上記で開示されたように、更新された無線マップの精度は、(1)更新された無線マップに基づいて推定されたモバイルデバイスの推定位置と、(2)サイトの上のモバイルデバイスの実際の位置との間の距離にしたがって決定されてもよく、更新された無線マップの完全性は、更新された無線マップに無線モデルが含まれる無線ノードの数に対する、サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの数の割合を表すと理解されてもよい。
【0100】
上記で開示されたように、態様の方法を繰り返すことは、更新された無線マップの品質(例えば、精度および/または完全性の点で)が各反復において改善するという効果を有する。本態様の方法を繰り返すことは、これらの基準のうちの少なくとも1つが満たされるまで、更新された無線マップの品質(例えば、正確さおよび/または完全性に関して)が更新された無線マップの所望のまたはあり得る品質が達成されるまで改善することが期待されることを手段する。
【0101】
態様の例示的な実施形態によれば、現在の反復の更新された無線マップ(すなわち、現在の反復において、および/または現在の反復の無線指紋の配列に基づいて決定された更新された無線マップ)は、方法の少なくとも1つのさらなる反復において、現在の無線マップとして取得されるか、または利用可能に保持される。これは、(n)番目(例えば、第2)の反復の更新された無線マップが、更新された無線マップの品質(例えば、精度および/または完全性の点で)が、各反復において改善されることが期待されることが上記で開示されたような効果を有するフィードバックループが生成されるように、方法の(n+1)番目(例えば、第3)の反復において現在の無線マップとして取得されるか、または利用可能であることを意味すると理解され得る。
【0102】
現在の反復の更新された無線マップ(すなわち、現在の反復において、および/または現在の反復の無線指紋の配列に基づいて決定された更新された無線マップ)は、現在の反復の更新された無線マップの最小精度または最小完全性のような、事前定義された最小無線マップ品質基準を満たす場合、方法の少なくとも1つのさらなる反復において、現在の無線マップとして取得されるか、または利用可能に保持され得るだけであることが理解されるべきである。上記で開示されたように、更新された無線マップの精度は、(1)更新された無線マップに基づいて推定されたモバイルデバイスの推定位置と、(2)サイトの上のモバイルデバイスの実際の位置との間の距離にしたがって決定されてもよく、更新された無線マップの完全性は、更新された無線マップに無線モデルが含まれる無線ノードの数に対する、サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの数の割合を表すと理解されてもよい。
【0103】
この目的のために、上記で開示されたように、更新された無線マップを決定するステップが第2の態様の方法の一部である場合、更新された無線マップは、第2の態様にしたがって提供され得る。例えば、更新された無線マップは、第2の態様によれば、第2の態様による方法を実行する装置(例えば、サーバ)から、第1の態様による方法を実行する装置(例えば、モバイルデバイス)にそれを送信することによって提供されてもよい。
【0104】
本態様の例示的な実施形態によれば、トラック・データはトラックに沿って移動するときに、モバイルデバイスの少なくとも1つの基準位置を表すか、または決定することを可能にする基準位置データをさらに含む。例えば、基準位置は、衛星信号に基づく位置またはセルラ信号に基づく位置のうちの少なくとも1つである。
【0105】
衛星信号に基づく位置の一例は、GPS(全地球測位システム)またはGalileoのような全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星信号に基づいて決定される位置である。したがって、このような衛星信号に基づく位置は、モバイルデバイスのGNSSセンサによって決定することができる。
【0106】
セルラ信号ベースの位置の例は、2G/3G/4G/5Gセルラ通信ネットワークのようなセルラ通信ネットワークにおけるセルID(CID)またはUTRANセルID(LCID)のようなセル識別子であってもよい。そのようなセルIDは、モバイルデバイスの(例えば絶対)位置がそれぞれのセルIDを含むセルラ無線信号を送信するセルラ通信ネットワークのネットワークノードのカバレージエリア内にある/あったことを示すので、それぞれのセルIDを表すセルラ無線信号が受信されたときのモバイルデバイスの粗い位置を示すと考えることができる。
【0107】
これは、トラック・データがキャプチャされた粗い(例えば、絶対的である)位置を決定するために利用可能なサイトのための現在の無線マップがない場合に特に有利である。
【0108】
したがって、第1の態様の方法の少なくとも1つのさらなる反復において(例えば、利用可能なサイトのための現在の無線マップが存在しない場合の方法の最初の反復において)、トラック・データに含まれるセンサ・データおよび/または基準位置データのみが、観測位置を推定するために使用され得る。
【0109】
本態様の例示的な実施形態によれば、無線信号観測結果の各セットは、観測された無線信号ごとに、受信信号強度のそれぞれの標示、信号対雑音比のそれぞれの標示、無線ノードのそれぞれの識別子、のうちの少なくとも1つを含む。
【0110】
上述したように、各セットの無線信号観測結果は、各セットの無線信号観測結果がキャプチャされたときに、モバイルデバイスの無線インタフェースによって同じ観測位置で観測されたWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)信号のような無線信号のそれぞれの無線信号特性を示すことができる。そのような無線信号特性の例は、受信信号強度のそれぞれの指標、信号対雑音比のそれぞれの指標、および無線ノードのそれぞれの識別子である。
【0111】
受信信号強度の標示は、観測された無線信号の受信電力を表すことができる。言い換えれば、受信信号強度の標示は、無線信号をスキャンする際にモバイルデバイスによって観測される無線信号の受信電力を表すことができる。例えば、モバイルデバイスの無線インタフェースは無線信号をスキャンするときに、モバイルデバイスによって観測される無線信号の受信電力を測定することができる。受信信号強度の指標の一例は受信信号強度指標(RSSI)または物理的受信電力レベル(例えば、Rx電力レベル)であり、単位はdBmである。信号対雑音比の指標は、観測された無線信号の受信電力と観測されたバックグラウンド雑音の受信電力との比を表すことができる。例えば、無線信号のために走査する場合、モバイルデバイスは、モバイルデバイスによって観測される無線信号の受信電力と、モバイルデバイスによって観測されるバックグラウンドノイズの受信電力とを測定することができる。信号対雑音比の指標の一例は、観測された無線信号の受信電力と観測されたバックグラウンド雑音の受信電力との比をdBで表した値である。
【0112】
無線ノードの識別子は、無線信号を送信する無線ノードを識別すること、および/または無線ノードによって送信された無線信号を他の無線信号から区別することを可能にするように構成された、観察可能な無線信号に含まれる情報を意味すると理解され得る。このような無線ノードの識別子の例は、名前、アドレス(例えば、MACアドレスまたはIPアドレス)、汎用一意識別子(UUID)、サービスセット識別子(SSID)、基本サービスセット識別子(BSSID)、またはそれらの組み合わせである。例えば、観測された無線信号から識別子を抽出することによって、そのような無線ノードの識別子を取得することができる。
【0113】
態様の例示的な実施形態によれば、モバイルデバイスの1つ以上のセンサは、ジャイロスコープ、速度センサ、加速度計、コンパス、気圧計の慣性センサおよび/または運動センサのうちの少なくとも1つを備える。
【0114】
モバイルデバイスの加速度計は、ある方向の加速度を検出するのに適している。モバイルデバイスの速度センサは、ある方向の速度を検出するのに適している。ジャイロスコープは、モバイルデバイスの回転を検出するのに適している。モバイルデバイスのコンパスによって提供されるデータはキャプチャされた加速度または速度を座標系(例えば、地理座標系)に整列させるのに適している。気圧計によって提供されるデータはモバイルデバイスの高度(例えば、海抜高度)を決定することを可能にし得る。
【0115】
態様の例示的な実施形態によれば、センサ・データは、1つ以上の慣性センサおよび/または運動センサによってキャプチャされた慣性センサおよび/または運動センサ・データであるか、またはそれらを含む。そのような慣性および/または動きセンサ・データは、例えば、慣性および/または動きセンサキャプチャの配列(例えば、時系列配列)を表すことができる。これは、モバイルデバイスの加速度計によって検出された加速度および方向の配列、および/または、モバイルデバイスの気圧計によって提供されたデータに基づいて決定されたモバイルデバイスの高度の配列のように、トラックに沿って移動するときのモバイルデバイスの動きを表す。
【0116】
態様の例示的な実施形態によれば、モバイルデバイスの推定観測位置は、センサ融合方法またはアルゴリズム、特に粒子またはカルマンフィルタ、またはスムーザを使用することによって推定される。
【0117】
このセクションにおける開示は単に例としてのものであり、非限定的なものであることが理解されるべきである。本発明の他の特徴は、添付の図面と併せて考慮される以下の詳細な説明から明らかになるのであろう。しかしながら、図面は単に例示の目的のために設計されたものであり、添付の特許請求の範囲を参照すべき本開示の限定の定義として設計されたものではないことを理解されたい。さらに、図面は一定の縮尺で描かれておらず、単に、本明細書で説明される構造および手順を概念的に示すことを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1】
図1は、第3の態様によるシステムの例示的な実施形態のブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の態様によるモバイルデバイスの例示的な実施形態のブロック図である。
【
図3】
図3は、第2の態様によるサーバの例示的な実施形態のブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の態様による方法の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の態様による方法の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本願態様による更新された無線マップを決定する例示的なステップを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本願態様による有形および非一時的記憶媒体の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
以下の説明は本開示の理解を深めるのに役立ち、本明細書の上記の概要セクションで提供される説明を補完し、それと共に読まれるものと理解されたい。
【0120】
図1は、第3の態様によるシステム1の例示的な実施形態の模式図ハイレベルブロック図である。例示の目的のために、本開示の技術的範囲を限定することなく、以下では、システム1がサイトのための非GNSS衛星信号ベースの無線測位システムであるか、またはその一部であると仮定する。
【0121】
サイトは例えば、建物または建物の複合体(例えば、ショッピングセンター、駐車場、駅、バスステーション、空港、会社サイトなど)の内部および/または外部のような所定の屋内および/または都市環境である。
【0122】
システム1は、モバイルデバイス2およびサーバ3を有する。モバイルデバイス2とサーバ3は、通信経路100を介して互いに通信してもよい。通信経路100は、直接的または間接的な通信経路であってもよい。例えば、通信経路100は1つ以上のホップ、例えば、1つ以上の通信リンクまたは通信接続を含むことができる。以下では、通信経路100が2G/3G/4G/5Gセルラ通信ネットワークのようなセルラネットワークにおける無線通信接続であると仮定する。2G/3G/4G/5Gセルラ無線通信規格は、3GPPによって開発され、現在http: //www.3gpp.org/で利用可能である。しかし、本発明はこれに限定されないことを理解されたい。
【0123】
例えば、モバイルデバイス2は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、スマートウォッチ、およびスマートバンドのうちの1つであってもよい。モバイルデバイス2は、非GNSS衛星信号ベースの無線測位システムをサポートすることができる。これは、モバイルデバイス2が、サイトの上のモバイルデバイス2によって観測された無線信号と、通信経路100を介してサーバ3によって提供された(例えば、送信された)サイトの現在の無線マップとに少なくとも部分的に基づいて、サイトの上のその位置を推定するように構成されることを意味すると理解され得る。以下により詳細に開示されるように、モバイルデバイス2はさらに、サイトのための更新された無線マップを決定するために、通信経路100を介して一連の無線指紋をサーバ3に提供する(例えば、送信する)ように構成される。モバイルデバイス2は、対応して構成され、サイトのための非GNSS衛星信号ベースの無線測位システムのトレーニングステージで無線指紋を収集する複数のモバイルデバイスの一部であってもよい。
【0124】
一般に、サイト用の無線マップは、モバイルデバイス2の無線インタフェースがこの位置で捉えた無線信号観測結果に基づいて、モバイルデバイス2がサイトの上の位置を推定できるように構成することができる。この目的のために、サイトのための無線マップは、例えば、幾何学的無線モデルおよびサイトで観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの予想される位置を表すことができる。
【0125】
システム1は単一のサーバ3に限定されず、(例えば、サーバ・クラウドを形成する)複数のサーバを任意に含むことができることを理解されたい。したがって、サーバ3はこのような複数のサーバ(例えば、サーバ・クラウド)の一部であってもよい。特に、サーバ3は、サイトの現在の無線マップを表す現在の無線マップデータをモバイルデバイス2に提供(例えば、送信)するように構成された非GNSS衛星信号ベースの無線測位システムの測位サーバであってもよい。さらに詳細に以下に開示されるように、サーバ3は、サイトのための更新された無線マップを決定するために、通信経路100を介してモバイルデバイス2から無線指紋の配列を取得(例えば、受信および記憶)するように構成される。現在の無線マップおよび更新された無線マップは、サイトのための無線マップの異なるバージョン(例えば、異なる時点および/または異なる日付および/または異なる無線モデルおよび/または異なる精度を有する)であると理解されてもよい。
【0126】
図2は、第1の態様によるモバイルデバイス2の例示的な実施形態のブロック図である。以下では、
図1のモバイルデバイス2がこのモバイルデバイス2に対応すると仮定する。
【0127】
モバイルデバイス2は、プロセッサ200を備える。プロセッサ200は例えば、バスを介して少なくとも部分的に結合された単一のプロセッサまたは2つ以上のプロセッサを表すことができる。プロセッサ200は、プログラム・メモリ201に格納されたコンピュータ・プログラム・コードを実行し(例えば、プロセッサ200上で実行されるとき、
図4を参照して後述する方法と同様に、第1の態様の方法の任意の一実施形態をモバイルデバイス2に実行させるコンピュータ・プログラム・コード)、メイン・メモリ202とインタフェースする。プログラム・メモリ201はまた、プロセッサ200のためのオペレーティング・システムと、トラック・データや無線マップデータのようなさらなるデータとを含んでもよい。メモリ201および202の一部または全部はまた、プロセッサ200に含まれてもよい。メモリ201および202の一方または両方がプロセッサ200に固定的に接続されていてもよく、あるいは、例えば、メモリカードまたはスティックの形成で、プロセッサ200から少なくとも部分的に取り外し可能であってもよい。
【0128】
プログラム・メモリ(例えば、プログラム・メモリ201)は例えば、不揮発性メモリであってもよい。例えば、いくつかの例を挙げると、フラッシュメモリ(またはその一部)、ROM、PROM、EPROM、MRAM、またはFeRAM(またはその一部)、またはハードディスク(またはその一部)のいずれかとすることができる。例えば、プログラム・メモリは、例えば、固定的に取り付けられた第1のメモリセクションと、例えば、取り外し可能なSDメモリカードの形成で取り外し可能な第2のメモリセクションとを含んでもよい。
【0129】
メインメモリ(例えば、メインメモリ202)は例えば、揮発性メモリであってもよい。例えば、DRAMメモリであってもよく、限定的でない例を与える。これは、例えば、オペレーティング・システムおよび/またはプログラムを実行するときに、プロセッサ(例えば、プロセッサ200)のためのワーキング・メモリとして使用されてもよい。
【0130】
プロセッサ200はさらに、無線インタフェース203を制御する。以下では、無線インタフェース203が2G/3G/4G/5G無線トランシーバと、WLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバとを備えると仮定する。しかし、本発明はこれに限定されないことを理解されたい。無線インタフェース203の2G/3G/4G/5G無線トランシーバは、セルラネットワークを介して通信するために、例えば、システムの通信経路100を介してデータを送受信するために構成され、かつ/または使用される。したがって、モバイルデバイス2は、無線インタフェース203の2G/3G/4G/5G無線トランシーバを使用して、システム1のサーバ3と通信することができる。
【0131】
無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバは、無線信号観測データをキャプチャするために構成および/または使用される。この目的のために、WLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバは、WLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線信号を繰り返しスキャンするために、ならびに観測されたWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線信号の無線信号特性を決定するために構成され、または使用され得る。それぞれのWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線信号は、それぞれのWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線信号が、無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバによって最小品質(例えば、最小信号対雑音比および/または最小信号電力)で受信可能である場合に、観測可能であると理解され得る。
【0132】
観測された無線信号の無線信号特性の例は、観測された無線信号の受信信号強度の標示と、観測された無線信号を送信する無線ノードの識別子である。
【0133】
受信信号強度の標示を決定するために、無線インタフェース203のWLANおよび/またはBluetooth(登録商標)無線トランシーバは、無線信号をスキャンするときにモバイルデバイスによって観察される無線信号の受信電力を測定することができる。受信信号強度の指標の例は受信信号強度指標(RSSI)または物理的受信電力レベル(例えば、Rx電力レベル)であり、単位はdBmである。
【0134】
さらに、無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバは、観測された無線信号から識別子を抽出して、無線信号を送信する無線ノードの識別子を決定することができる。このような無線ノードの識別子の例は名前、アドレス(例えば、MACアドレスまたはIPアドレス)、汎用一意識別子(UUID)、サービスセット識別子(SSID)、基本サービスセット識別子(BSSID)、またはそれらの組み合わせである。
【0135】
本開示の技術的範囲を限定することなく、以下では、無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバによってキャプチャされた無線観測結果データが、無線信号観測結果のセットの時系列配列を表し、無線信号観測結果の各セットは、同じ観測位置(すなわち、無線信号観測結果の各セットがキャプチャされたときにモバイルデバイス2が位置する/位置した)で無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバによって観測された各WLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線信号についての受信信号強度および無線ノードの各識別子の各標示を含むと仮定する。
【0136】
観測された無線信号を受信し、処理するために必要とされる任意のコンピュータ・プログラム・コードは、無線インタフェース203の自身のメモリに格納され、無線インタフェース203の自身のプロセッサによって実行されてもよく、または、例えば、プログラム・メモリ201に格納され、例えば、プロセッサ200によって実行されてもよいことが理解されるべきである。
【0137】
さらに、プロセッサ200は、慣性および/または運動センサ・データおよび基準位置データをキャプチャするように構成されたセンサ204を制御する。
【0138】
以下では、センサ204が、GNSS衛星信号形成の位置の形態でモバイルデバイス2の少なくとも1つの基準位置を表すか、または決定することを可能にする基準位置データをキャプチャするために構成されるか、または使用されるGNSSセンサを備えると仮定する。
【0139】
さらに、以下では、慣性および/または運動センサ・データが加速度計によって検出された加速度および方向の配列、および/または、気圧計によって提供されたデータに基づいて決定されたモバイルデバイスの高度の配列のように、トラックに沿って移動するときのモバイルデバイス2の動きを表す慣性および/または運動センサキャプチャの時系列配列を表すことができると仮定する。したがって、センサ204は例えば、加速度計および/または気圧計のような1つ以上の慣性センサおよび/または運動センサを備えることができる。慣性および/または運動センサのさらなる例は、ジャイロスコープ、速度センサ、およびコンパスである。慣性および/または運動センサ・データおよび基準位置データを決定するためにセンサキャプチャを処理するために必要とされる任意のコンピュータ・プログラム・コードは、センサ204の独自のメモリに記憶され、センサ204の独自のプロセッサによって実行されてもよく、または例えばプログラム・メモリ201に記憶され、例えばプロセッサ200によって実行されてもよいことを理解されたい。
【0140】
モバイルデバイス2の成分201~204は例えば、1つ以上のシリアルおよび/またはパラレルバスの手段によってプロセッサ200に接続されてもよい。
【0141】
モバイルデバイス2は、ユーザ入力を受信するためのユーザインタフェースのような様々な他の成分を備えることができることを理解されたい。
【0142】
図3は、第2の態様によるサーバ3の例示的な実施形態のブロック図である。以下では、
図1のシステム1のサーバ3がこのサーバ3に対応するものとする。
【0143】
サーバ3は、プロセッサ300を備える。プロセッサ300は例えば、バスを介して少なくとも部分的に結合された単一のプロセッサまたは2つ以上のプロセッサを表してもよい。プロセッサ300は、プログラム・メモリ301に記憶されたコンピュータ・プログラム・コード(例えば、プロセッサ300上で実行されるとき、
図5を参照して以下に説明する方法と同様の第2の態様の方法の任意の一実施形態をサーバ3に実行させるコンピュータ・プログラム・コード)を実行し、メイン・メモリ302とインタフェース接続する。プログラム・メモリ301はまた、プロセッサ300のためのオペレーティング・システムを含んでもよい。さらに、プログラム・メモリ301は、無線マップデータのようなさらなるデータを含んでもよい。メモリ301および302の一部または全部はまた、プロセッサ300に含まれてもよい。メモリ301および302の一方または両方がプロセッサ300に固定的に接続されていてもよく、あるいは、例えば、メモリカードまたはスティックの形成で、プロセッサ300から少なくとも部分的に取り外し可能であってもよい。
【0144】
プロセッサ300はさらに、通信ネットワークを介して通信するように構成された通信インタフェース303を制御する。サーバ3は、通信インタフェース303を使用して、システム1のモバイルデバイス2と通信することができる。以下では、通信インタフェース303が、例えばシステム1の通信経路100を介してデータを送受信するために、セルラネットワークを介して通信するために構成および/または使用される2G/3G/4G/5G無線トランシーバであると仮定する。
【0145】
サーバ3の成分301~303は例えば、1つ以上のシリアルバスおよび/またはパラレルバスの手段によってプロセッサ300と接続されてもよい。
【0146】
サーバ3は、ユーザ入力を受け取るためのユーザインタフェースのような様々な他の成分を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0147】
図4は、第1の態様による方法の例示的な実施形態を示すフローチャート4である。本開示の技術的範囲を限定することなく、以下では、
図1のシステム1に関して上記で開示されたモバイルデバイス2がフローチャート4のステップを実行することが想定される。
【0148】
ステップ401において、サイトの現在の無線マップを表す現在の無線マップデータが取得されるか、または利用可能に保持される。例えば、現在の無線マップデータは、通信経路100を介してサーバ3から受信され、ステップ401でプログラム・メモリ201に記憶されてもよい。それにより、ステップ401で受信および格納された現在の無線マップデータによって表される現在の無線マップは、サーバ3からモバイルデバイス2によって受信されたサイトに対する無線マップの最新版または最新版であると理解され得る。
【0149】
ステップ402において、モバイルデバイス2のトラック・データが取得されるか、または利用可能に保持される。以下では、トラック・データがモバイルデバイス2のセンサ204によって、およびモバイルデバイスの無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバによってキャプチャされ、ステップ402でプログラム・メモリ201に格納されると仮定する。
【0150】
トラック・データは、サイトの上のトラックに沿ったモバイルデバイス2の移動を表すか、または推定することを可能にすることができる。したがって、サイトの上のトラックは、サイトの上のモバイルデバイス2の移動経路であると理解することができる。
【0151】
トラック・データはサイトの上のトラックに沿って移動するときに、モバイルデバイス2のセンサ(複数可)204によってキャプチャされるセンサ・データを含む。上述のように、センサ204は、GNSSセンサと、加速度計および/または気圧計のような1つ以上の慣性センサおよび/または運動センサとを備える。したがって、センサ・データは、少なくとも1つのGNSS衛星信号ベースの位置を表す基準位置データを含む。例えば、基準位置データは、モバイルデバイスがサイトの上のトラックに沿って移動していたときにセンサ(複数可)204のGNSSセンサによってキャプチャされたGNSS衛星信号に基づく位置の配列を表すことができる。代替的に、基準位置データは、サイトに入る前にセンサ204のGNSSセンサによってキャプチャされた最後のGNSS衛星信号ベースの位置、および/または、サイトを離れた後にセンサ204のGNSSセンサによってキャプチャされた最初のGNSS衛星信号ベースの位置を、例えば、サイトの上のトラックに沿って移動するときに利用可能なGNSS衛星信号がない場合に、表すことができる。さらに、センサ・データは、サイトの上のトラックに沿って移動するときのモバイルデバイス2の移動を表す慣性および/またはモーションセンサキャプチャの時系列配列を表す慣性および/またはモーションセンサ・データを含む。
【0152】
さらに、トラック・データは、(例えば、サイトの上のトラックに沿って移動するときにWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線信号を繰り返しスキャンすることによって)トラックの上の異なる観測位置にあるモバイルデバイスの無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットの時配列を表す無線信号観測データを含む。上記で開示されたように、無線信号観測結果の各セットは、サイトの上のトラックの上の同じ観測位置(すなわち、無線信号観測結果の各セットがキャプチャされたときに、モバイルデバイス2がサイトの上のトラックの上に位置する/位置した)において、無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバによって観測された各WLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線信号について、受信信号強度および無線ノードのそれぞれの識別子のそれぞれの標示を含む。
【0153】
ステップ403では、現在の無線マップデータと、センサ・データおよび無線信号観測データを含むトラック・データとに基づいて、トラックの上の観測位置が推定される。したがって、現在の無線マップデータによって表される現在の無線マップ、無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のセットの配列、基準位置データによって表される少なくとも1つのGNSS衛星信号に基づく位置、および慣性および/または運動センサ・データの配列によって表される慣性および/または運動センサ・データによって表される一連のキャプチャが、ステップ403においてトラックの上の観測位置を推定するための入力データとして使用される。
【0154】
例えば、観測位置は、ステップ403において、現在の無線マップデータと、センサ・データおよび無線信号観測データを含むトラック・データとを入力データとして受信する粒子、カルマンフィルタまたはスムーザのようなセンサフュージョン法またはアルゴリズムを用いて推定される。
【0155】
以下では、ステップ403で観測位置を推定した結果(例えば、プログラム・メモリ201に記憶されているセンサフュージョン法やアルゴリズムの出力データで表される)推定された観測位置の時配列が得られ、推定された観測位置が3次元位置であると仮定する。
【0156】
続いて、ステップ404において、推定された観測位置のそれぞれは、無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のそれぞれのセットに関連付けられて、トラックに対する無線指紋の配列を決定し、ここで、無線指紋の配列の各無線指紋は、無線信号観測データによって表されるそれぞれの推定された観測位置と、それぞれのセットの無線信号観測結果とを表す。
【0157】
本実施形態では、推定観測位置および無線信号観測結果のセットを時系列として利用できるので、各推定観測位置を、各推定観測位置と同じ位置を有する各セットの無線信号観測結果を、各推定観測位置と同じシーケンスで関連付けることにより、ステップ404で無線指紋のシーケンスを決定することができる。
【0158】
ステップ404における関連付けの結果として、無線指紋の時配列が得られ、例えば、プログラム・メモリ201に記憶される。
【0159】
ステップ405において、無線指紋の配列は、サイトのための更新された無線マップを決定するために提供されるか、または使用されてもよい。好ましくは、更新された無線マップがサーバ3によって決定され、次のようにして、ステップ405で一連の無線指紋が通信経路100を介してサーバ3に送信されてもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、更新された無線マップは、ステップ405において、モバイルデバイス2による無線指紋の配列に基づいて代替的に決定されてもよい。更新された無線マップを決定するための例示的なステップは、
図6に関して以下に開示される。
【0160】
任意のステップ406において、フローチャート4の方法を繰り返すことが決定されてもよい。例えば、本方法は、無線信号がサイトの上で観測可能であると予想される所定数の無線ノードのそれぞれの無線モデルが、現在の反復の更新された無線マップに含まれる(例えば、サーバ3による現在の反復の無線指紋の配列に基づいて決定された更新された無線マップ)および/または、所定数の反復が完了する、および/または、現在の反復の更新された無線マップ(例えば、サーバ3による現在の反復の無線指紋の配列に基づいて決定された更新された無線マップ)が、所定の無線マップ品質基準を満たすまで、繰り返されてもよい。
【0161】
ステップ406において方法を繰り返すことが決定される場合、更新された無線マップが現在の無線マップとして利用可能でないとき、次の繰り返しは、例えば、ステップ401から開始することができ、または、更新された無線マップが現在の無線マップとして利用可能であるとき、ステップ402から開始することができる。入手可能なデータ(例えば、現在のマップデータおよびトラック・データ)は、フローチャート4の方法の各反復において異なっていてもよいことを理解されたい。例えば、現在の反復の更新された無線マップ(例えば、サーバ3による現在の反復の無線指紋の配列に基づいて決定された更新された無線マップ)は、次の反復のステップ401で、現在の無線マップとして利用可能な状態を取得または保持することができる。
【0162】
ステップ406においてこの方法を繰り返すことが決定されない場合、フローチャート4の方法は終了する。
【0163】
フローチャート4の方法は、サイトのための現在の無線マップが利用可能である場合のみを考慮する。例えば(1つ以上の)初期反復の場合であり得る、そのような現在の無線マップが利用可能でない場合、フローチャート4の方法のステップはそれに応じて適合されてもよく、例えば、ステップ401において、現在の無線マップデータが取得されないか、または利用可能に保持されてもよく、ステップ403における推定は、トラック・データに含まれるセンサ・データおよび基準位置データのみに基づいてもよい。
【0164】
図5は、第2の態様による方法の例示的な実施形態を示すフローチャート5である。本開示の技術的範囲を限定することなく、以下では、
図1のシステム1に関して上記で開示したサーバ3がフローチャート5のステップを実行すると仮定する。
【0165】
ステップ501において、サイトの現在の無線マップを表す現在の無線マップデータが取得されるか、または利用可能に保持される。それによって、現在の無線マップによって表される現在の無線マップは、サイトのための無線マップの最新バージョンまたは最新バージョンであると理解することができる。例えば、現在の無線マップデータは、フローチャート5のステップの前の反復で、更新された無線マップデータとして決定され、プログラム・メモリ301に記憶された。
【0166】
ステップ502において、無線指紋の配列が得られる。
【0167】
以下では、ステップ502で取得された無線指紋の配列がステップ405でモバイルデバイス2によって提供された無線指紋の配列に対応すると仮定する。例えば、一連の無線指紋は、通信経路100を介してモバイルデバイスから受信され、ステップ502でプログラム・メモリ301に格納されてもよい。したがって、ステップ502で取得された無線指紋の配列の各無線指紋は、フローチャート4のステップ403での推定の結果として得られたサイトの上のトラックの上のモバイルデバイス2のそれぞれの推定された観測位置と、ステップ402でモバイルデバイス2の無線インタフェース203のWLANおよび/またはブルートゥース(登録商標)無線トランシーバによってキャプチャされたそれぞれの無線信号観測結果のセットとを表し、それぞれの推定された観測位置は、トラックに沿って移動するときにモバイルデバイス2のセンサ204によってキャプチャされたセンサ・データと、WLANおよび/または、トラックの上の異なる観測位置でモバイルデバイス2の無線インタフェース203のブルートゥース(登録商標)無線トランシーバによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データとを含む、現在の無線マップデータおよびトラック・データに基づいて推定される。
【0168】
続いて、ステップ503において、更新された無線マップが、無線指紋の配列に基づいてサイトについて決定される。これは、ステップ502で取得された無線指紋の配列が更新された無線マップを決定する(例えば、生成する)ために(例えば、入力データとして)考慮されることを意味すると理解され得る。更新された無線マップを決定するために、さらなるデータが(例えば、入力データとして)さらに使用されてもよいことが理解されるべきである。更新された無線マップは、無線マップを更新または生成するためのアルゴリズムまたは方法を使用することによって決定され得る。更新された無線マップを決定するための例示的なステップは、
図6に関して以下に開示される。
【0169】
任意選択のステップ504において、サイトの更新された無線マップを提供することができる。例えば、更新された無線マップは、ステップ504で通信経路100を介してモバイルデバイス2に送信されてもよい。更新された無線マップは、現在の反復の更新された無線マップの最小精度または最小完全性のような所定の最小無線マップ品質基準を満たす場合にのみ提供され得ることが理解されるべきである。上記で開示されたように、更新された無線マップの精度は、(1)更新された無線マップに基づいて推定されたモバイルデバイスの推定位置と、(2)サイトの上のモバイルデバイスの実際の位置との間の距離にしたがって決定されてもよく、更新された無線マップの完全性は、更新された無線マップに無線モデルが含まれる無線ノードの数に対する、サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの数の割合を表すと理解されてもよい。
【0170】
任意のステップ505において、フローチャート5の方法を繰り返すことが決定されてもよい。例えば、この方法は、サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される各無線ノードのためのそれぞれの無線モデルが現在の反復の更新された無線マップ(例えば、ステップ503で決定された更新された無線マップ)に含まれるまで、および/または現在の反復の所定の反復回数が完了するまで、および/または現在の反復の更新された無線マップ(例えば、ステップ503で決定された更新された無線マップ)が所定の無線マップ品質基準を満たすまで、繰り返されてもよい。
【0171】
ステップ505においてこの方法を繰り返すことが決定された場合、次の繰り返しは、ステップ505から再び開始することができる。得られたデータ(例えば、現在のマップデータおよび無線指紋の配列)または利用可能なデータは、フローチャート5の方法の各反復において異なり得ることが理解されるべきである。例えば、現在の反復の更新された無線マップ(例えば、ステップ503において決定された更新された無線マップ)は、次の反復のステップ501において現在の無線マップとして取得されるか、または利用可能に保持され得る。
【0172】
ステップ505においてこの方法を繰り返すことが決定されない場合、フローチャート5の方法は終了する。
【0173】
フローチャート4の方法と同様に、フローチャート5の方法は、サイトに対する現在の無線マップが利用可能である場合のみを考慮する。例えば、(1つ以上の)初期反復の場合であり得る、そのような現在の無線マップが利用可能でない場合、フローチャート5の方法のステップはそれに応じて適合されてもよく、例えば、ステップ501において、現在の無線マップデータが取得または利用可能でなくてもよく、さらに、サイトに利用可能な現在の無線マップが存在しない場合、現在の無線マップデータも、無線観測データも、観測位置を推定するために使用されなくてもよい。
【0174】
最初に、フローチャート4および5の方法の反復は、現在の無線マップが利用可能でない場合でさえ実行され得る。現在の無線マップが利用できるようになるとすぐに、現在の無線マップデータと無線信号観測データを、推定された観測位置の精度の向上と、更新された無線マップの品質の向上(例えば、精度の点で)をもたらすと期待される観測位置の推定に追加的に使用することができる。したがって、本方法は、非GNSSベースの測位システムの各ステージで適用可能な、サイトの無線マップを更新するための単純かつ柔軟な解決策を提供する。
【0175】
図6は、態様による更新された無線マップを決定する例示的なステップを示すフローチャート6である。
【0176】
ステップ601において、無線指紋の配列の各無線指紋は、それぞれの無線ノードに関連付けられる。例えば、無線指紋の配列の各無線指紋は、各無線指紋によって表される無線信号観測結果のセットに各識別子が含まれる各無線ノードに関連付けられる。
【0177】
サイトの上の推定された観測位置を表す少なくとも1つの無線指紋(例えば、無線指紋の配列の少なくとも1つの無線指紋)に関連する各無線ノードは、無線信号がサイトの上で観測可能であると予想されるそれぞれの無線ノードであると理解することができる。そのような無線ノードは複数の無線ノードを形成してもよく、またはその一部であってもよく、その無線ノードの各々から、無線信号がサイトの上で観測可能であることが期待される。サイトのための無線マップは、無線信号がサイトの上で観測可能であると予想される各無線ノードのためのそれぞれの無線モデルを含む場合、完全であると考えられてもよい。したがって、ステップ601において、無線指紋がそれぞれの無線ノードに関連付けられる場合、それは、それぞれのノードの無線モデルに関連付けられることが理解されるべきである。
【0178】
無線指紋と無線ノードまたはその表現(例えば、データベース)との間の関連付けは、プログラム・メモリ301に記憶されてもよい。
【0179】
ステップ602において、それぞれの無線ノードに対するそれぞれの無線モデルが、少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たすかどうかが判定される。あらかじめ定義された無線モデル品質基準は、無線モデル品質基準を満たす無線モデルが所望の精度を満たすことが期待されるように選択され得る。
【0180】
例えば、所定の無線モデル品質基準は、(1)所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットを表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、(2)事前定義された数以上の無線指紋が、-所定の受信信号強度の閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号の観測結果の各セットと、-それぞれの無線モデルに関連付けられている互いの所定の距離内にあるそれぞれの推定観測位置との両方を表す、(3)それぞれの無線モデルに関連する無線指紋の所定の数または割合未満が、潜在的な外れ値であると判定される、(4)それぞれの無線モデルに関連する無線指紋は、異なるトラックに対する無線指紋の所定数を超える配列から生じる、のうちの少なくとも1つである。
【0181】
それぞれの無線ノードのためのそれぞれの無線モデルが、予め定義された無線モデル品質基準または無線モデル品質基準の予め定義された組み合わせを満たすと判定された場合、ステップ603に続く。さもなければ、ステップ602は、現場において無線信号が観測可能であると予想される別のそれぞれの無線ノードについて、別のそれぞれの無線モデルと共に繰り返されてもよい。
【0182】
ステップ603において、それぞれの無線ノードに関するそれぞれの無線モデルが、それぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づいて決定される。以下では、それぞれの無線モデルがそれぞれの無線ノードの幾何学的無線モデルと、それぞれの無線ノードの推定位置とを表すと仮定する。したがって、それぞれの無線モデルを決定するステップは、-各無線ノードに関連付けられた無線指紋の無線信号観測結果に基づいて各無線ノードの位置を推定するステップと、-それぞれの無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、それぞれの無線ノードの幾何学的無線モデルを決定するステップとを含む。
【0183】
上述のように、それぞれの無線ノードの位置は、無線ノードに関連する無線指紋によって表される推定観測位置の重み平均として推定され得る。
【0184】
さらに、上で開示されたように、それぞれの無線ノードの幾何学的無線モデルは、例えば、それぞれの無線ノードの少なくとも推定された位置と、無線ノードに関連付けられた無線指紋によって表される推定された観測位置の所定のパーセンテージ(例えば、90%または95%または100%)とを含むように、幾何学的無線モデルの幾何学的形状として決定されてもよい。更に、無線ノードの識別子と共に、所定の受信信号強度閾値よりも大きい、それぞれの無線信号観測結果セットにおける受信信号強度を示す、無線ノードに関連する無線指紋によって表される推定された観測位置のみが、幾何学的無線モデルを決定するために使用されてもよい。例えば、幾何学的無線モデルは、多角形、矩形および/または正方形、立方体および/または立方体、楕円および/または円、楕円体および/または球であってもよい。
【0185】
ステップ604において、それぞれの無線ノードのためのそれぞれの無線モデルが、更新された無線マップに含まれる。更新された無線マップにそれぞれの無線ノードのためのそれぞれの無線モデルを含めることは、更新された無線マップを決定するために、それぞれの無線モデルが現在の無線マップに追加されることを意味すると理解されてもよい。
【0186】
ステップ604の結果として、更新された無線マップを表す更新された無線マップデータ(すなわち、それぞれの無線ノードのためのそれぞれの無線モデルを含む)が、取得され、プログラム・メモリ301に記憶される。
【0187】
ステップ602~604は、現場において無線信号が観測可能であると予想されるそれぞれの無線ノードについて、各無線モデルに対して繰り返されてもよいことを理解されたい。
【0188】
図7は例えば、
図2のメモリ201または
図3のメモリ301を実装するために使用され得る態様による、有形および非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の例の概略図である。この目的のために、
図7は、例えば、プリント回路基板にはんだ付けまたは接合され得るフラッシュメモリ700と、複数のメモリチップ(例えば、フラッシュメモリチップ)を備えるソリッドステート駆動701と、磁気ハード駆動702と、セキュアデジタル(SD)カード703と、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリスティック704と、光記憶媒体705(例えば、CD-ROMまたはDVD)と、磁気記憶媒体706とを示す。
【0189】
本開示の以下の実施形態も開示される。
【0190】
実施形態1:
1つ以上の装置によって実行される方法であって、該方法は、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータを取得または保持するステップと、
モバイルデバイスの利用可能なトラック・データを取得または保持するステップであって、該トラック・データは、サイトの上のトラックに沿って移動するときに該モバイルデバイスの1つ以上のセンサによってキャプチャされたセンサ・データ、および、前記トラックの上の異なる観測位置において該モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データを含む、ステップと、
前記現在の無線マップデータと、前記センサ・データおよび前記無線信号観測データを含む前記トラック・データと、に基づいて前記トラックの上の前記観測位置を推定するステップと、
前記推定された観測位置の各々を、前記トラックに対する無線指紋の配列を決定するために、前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果の各セットに関連付けるステップであって、前記無線指紋の各配列は、前記無線信号観測データによって表されるそれぞれの推定された観測位置と、それぞれのセットの無線信号観測結果とを表す、ステップと、
前記サイトのために更新された無線マップを決定するための一連の無線指紋を提供するまたは使用するステップと、
の少なくとも1つの反復を含む、方法。
【0191】
実施形態2:
前記更新された無線マップを決定するステップは、
無線指紋の配列の各無線指紋を、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つに関連付けるステップと、
それぞれのグリッド・ポイントまたは、前記それぞれの無線ノードに関連付けられた無線指紋に基づいて、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づいて、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1に記載の方法。
【0192】
実施形態3:
前記グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップは、
各無線ノードに関連付けられた無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて各無線ノードの位置を推定するステップと、
各無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて各無線ノードの無線カバレッジモデルを決定するステップと、
各格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、各格子点で観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの標示を決定するステップと、
それぞれの格子点に係る電波指紋の電波観測結果のセットに基づき、当該格子点において観測可能であると予想される電波を送信する無線ノードの受信信号強度の標示を決定するステップと、
それぞれの格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、それぞれの格子点において観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の変化量の標示を決定するステップと、
のうちの少なくとも1つを備える、実施形態2に記載の方法。
【0193】
実施形態4:
前記予め定義された無線モデル品質基準は、
所定数を超える無線指紋がそれぞれの無線モデルに関連付けられる、
互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置を表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットを表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットと、互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置との両方を表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、
それぞれの無線モデルに関連する無線指紋の所定の数または割合未満が、潜在的な外れ値であると判定される、
それぞれの無線モデルに関連する無線指紋は、異なるトラックに対する無線指紋の所定数を超える配列から生じる、
のうちの少なくとも1つである、実施形態2および3のいずれかに記載の方法。
【0194】
実施形態5:
少なくとも1つの所定の無線指紋品質基準を満たす無線指紋の前記配列の無線指紋のみが、更新された無線マップを決定するために使用される/された、および/または、少なくとも1つの所定の無線信号観測結果品質基準を満たす前記トラック・データに含まれる前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のみが、前記推定された観測位置を推定するために使用される/された、実施形態1に記載の方法。
【0195】
実施形態6:
前記方法は、
前記サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの所定の数または割合に対するそれぞれの無線モデルが、前記現在の反復の前記更新された無線マップに含まれる、
所定数の反復が完了する、前記現在の反復のための前記更新された無線マップは、予め定義された無線マップ品質基準を満たす、
のうちの少なくとも1つまで少なくとも繰り返される、実施形態1に記載の方法。
【0196】
実施形態7:
前記現在の反復の前記更新された無線マップは、前記方法の少なくとも1つのさらなる反復において、現在の無線マップとして利用可能な状態で取得または保持される、実施形態6に記載の方法。
【0197】
実施形態8:
前記トラック・データは、前記トラックに沿って移動するときに、前記モバイルデバイスの少なくとも1つの基準位置を表すか、または決定することを可能にする基準位置データをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0198】
実施形態9:
前記無線信号観測結果のセットは、観測された無線信号毎に、
受信信号強度のそれぞれの標示、
信号対雑音比のそれぞれの標示、
無線ノードのそれぞれの識別子、
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする実施の形態1に記載の方法。
【0199】
実施形態10:
前記センサ・データは慣性センサ・データおよび/または運動センサ・データであり、および/または、前記モバイルデバイスの1つ以上のセンサは、ジャイロスコープ、速度センサ、加速度計、コンパス、または、気圧計の慣性センサおよび/または運動センサのうちの少なくとも1つを備える、実施形態1に記載の方法。
【0200】
実施形態11:
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ・プログラム・コードを含む少なくとも1つのメモリと、を備える、装置であって、前記少なくとも1つのメモリと、前記コンピュータ・プログラム・コードが、前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記各装置に、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータを取得または保持するステップと、
モバイルデバイスの利用可能なトラック・データの取得または保持するステップであって、ここで、前記トラック・データは、前記サイトの上のトラックに沿って移動するときに、前記モバイルデバイスの1つ以上のセンサによってキャプチャされたセンサ・データと、前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、を含む、ステップと、
前記現在の無線マップデータと、前記センサ・データおよび前記無線信号観測データを含むトラック・データとに基づいて前記トラックの上の前記観測位置を推定するステップと、
前記推定された観測位置の各々を、前記トラックに対する無線指紋の配列を決定するために、前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果の各セットに関連付けるステップであって、前記無線指紋の各配列は、前記無線信号観測データによって表されるそれぞれの推定された観測位置と、それぞれのセットの無線信号観測結果とを表すステップと、
前記サイトのための更新された無線マップを決定するための前記一連の無線指紋を提供するまたは使用するステップと
を、少なくとも1つ反復して実行させるように構成された、装置。
【0201】
実施形態12:
前記更新された無線マップを決定する前記ステップは、
無線指紋の配列の各無線指紋を、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つに関連付けるステップと、
前記それぞれのグリッド・ポイントまたは前記それぞれの無線ノードに関連付けられた無線指紋に基づいて、前記グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、前記それぞれのグリッド・ポイントまたは前記それぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づいて、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは前記更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
前記それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは前記更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態11に記載の装置。
【0202】
実施形態13:
前記グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定する前記ステップは、
前記各無線ノードに関連付けられた無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて各無線ノードの位置を推定するステップと、
前記各無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて前記各無線ノードの無線カバレッジモデルを決定するステップと、
前記各格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、前記各格子点で観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの標示を決定するステップと、
前記それぞれの格子点に係る電波指紋の電波観測結果のセットに基づき、当該格子点において観測可能であると予想される電波を送信する無線ノードの受信信号強度の標示を決定するステップと、
前記それぞれの格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、それぞれの格子点において観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の変化量の標示を決定するステップと、
のうちの少なくとも1つを備える、実施形態12に記載の装置:
【0203】
実施形態14:
前記予め定義された無線モデル品質基準は、
所定数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられる、
互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置を表す所定の数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられる、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットを表す所定の数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられる、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットと、互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置との両方を表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、
それぞれの無線モデルに関連する無線指紋の所定の数または割合未満が、潜在的な外れ値(outlier)であると判定される、
前記それぞれの無線モデルに関連する無線指紋は、異なるトラックに対する無線指紋の所定数を超える配列から生じる、
のうちの少なくとも1つである、実施形態12および13のいずれかに記載の装置。
【0204】
実施形態15:
少なくとも1つの所定の無線指紋品質基準を満たす無線指紋の前記配列の無線指紋のみが、更新された無線マップを決定するために使用され/された、および/または、少なくとも1つの所定の無線信号観測結果品質基準を満たす、トラック・データに含まれる無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のみが、前記推定された観測位置を推定するために使用され/された、実施形態11に記載の装置。
【0205】
実施形態16:
前記少なくとも1つの反復において実行される前記ステップは、
サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの所定の数または割合に対するそれぞれの無線モデルが、
前記現在の反復の前記更新された無線マップに含まれる、
所定数の反復が完了する、
前記現在の反復のための前記更新された無線マップは、予め定義された無線マップ品質基準を満たす、
のうちの少なくとも1つまで少なくとも反復される、実施形態11に記載の装置。
【0206】
実施形態17:
前記現在の反復の前記更新された無線マップは、前記方法の少なくとも1つのさらなる反復において、現在の無線マップとして利用可能な状態で取得または保持される、実施形態11に記載の装置。
【0207】
実施形態18:
前記トラック・データは、前記トラックに沿って移動するときに、前記モバイルデバイスの少なくとも1つの基準位置を表すか、または決定することを可能にする基準位置データをさらに含む、実施形態11に記載の装置。
【0208】
実施形態19:
各セットの無線信号観測結果が、各観測無線信号に対して、
受信信号強度のそれぞれの標示、
信号対雑音比のそれぞれの標示、
無線ノードのそれぞれの識別子、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態11に記載の装置。
【0209】
実施形態20:
前記センサ・データが慣性および/または運動センサ・データであり、および/または、前記モバイルデバイスの前記1つ以上のセンサが、ジャイロスコープ、速度センサ、加速度計、コンパス、または気圧計の慣性および/または運動センサのうちの少なくとも1つを備える、実施形態11に記載の装置。
【0210】
実施形態21:
1つ以上の装置によって実行される方法であって、該方法は、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータを取得または保持するステップと、
無線指紋の配列を得るステップであって、前記無線指紋の各々の無線指紋は、前記サイトの上のトラックの上のモバイルデバイスのそれぞれの推定観測位置と、前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果の各セットとを表し、前記各推定観測位置は、前記現在の無線マップデータ、および、前記トラックに沿って移動する際に前記モバイルデバイスの少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたセンサ・データと、前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、を含むトラック・データに基づいて推定される、ステップと、
無線指紋の配列に基づいてサイトのための更新された無線マップを決定するステップと、
の少なくとも1つの反復を含む、方法。
【0211】
実施形態22:
前記更新された無線マップを決定するステップは、
無線指紋の配列の各無線指紋を、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つに関連付けるステップと、
前記それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードに関連付けられた無線指紋に基づいて、前記グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
前記それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、それぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づいて、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
前記それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは前記更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態21に記載の方法。
【0212】
実施形態23:
前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを前記決定するステップは、
前記各無線ノードに関連付けられた無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて各無線ノードの位置を推定するステップと、前記各無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて前記各無線ノードの無線カバレッジモデルを決定するステップと、
前記各格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、前記各格子点で観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの標示を決定するステップと、
前記それぞれの格子点に係る電波指紋の電波観測結果のセットに基づき、当該格子点において観測可能であると予想される電波を送信する無線ノードの受信信号強度の標示を決定するステップと、
前記それぞれの格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、前記それぞれの格子点において観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の変化量の標示を決定するステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態22に記載の方法。
【0213】
実施形態24:前記予め定義された無線モデル品質基準は、
所定数を超える無線指紋が前記それぞれの無線モデルに関連付けられる、互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置を表す所定の数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられる、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットを表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットと、互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置との両方を表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、前記それぞれの無線モデルに関連する無線指紋の所定の数または割合未満が、潜在的な外れ値であると判定される、
前記それぞれの無線モデルに関連する無線指紋は、異なるトラックに対する無線指紋の所定数を超える配列から生じる、
のうちの少なくとも1つである、実施形態22および23のいずれかに記載の方法。
【0214】
実施形態25:
少なくとも1つの所定の無線指紋品質基準を満たす無線指紋の前記配列の無線指紋のみが、前記更新された無線マップを決定するために使用される/された、または少なくとも1つの所定の無線信号観測結果品質基準を満たす前記トラック・データに含まれる前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のみが、推定された観測位置を推定するために使用される/された、実施形態21に記載の方法。
【0215】
実施形態26:
前記方法は、前記サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの所定の数または割合に対するそれぞれの無線モデルが、前記現在の反復の更新された無前記線マップに含まれる、所定数の反復が完了する、前記現在の反復のための前記更新された無線マップは、予め定義された無線マップ品質基準を満たす、のうちの少なくとも1つまで少なくとも繰り返される、実施形態21に記載の方法。
【0216】
実施形態27:
前記現在の反復の前記更新された無線マップは、前記方法の少なくとも1つのさらなる反復において、現在の無線マップとして利用可能な状態で取得または保持される、実施形態26に記載の方法。
【0217】
実施形態28:
前記トラック・データは、前記トラックに沿って移動するときに、前記モバイルデバイスの少なくとも1つの基準位置を表すか、または決定することを可能にする基準位置データをさらに含む、実施形態21に記載の方法。
【0218】
実施形態29:
前記無線信号観測結果のセットは、観測された無線信号毎に、
受信信号強度のそれぞれの標示、
信号対雑音比のそれぞれの標示、
無線ノードのそれぞれの識別子
の少なくとも1つを含む、実施形態21に記載の方法。
【0219】
実施形態30:
前記センサ・データが慣性および/または運動センサ・データであり、および/または、前記モバイルデバイスの1つ以上のセンサが、ジャイロスコープ、速度センサ、加速度計、コンパス、-気圧計のうちの慣性および/または運動センサのうちの少なくとも1つを備える、実施形態21に記載の方法。
【0220】
実施形態31:
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ・プログラム・コードを含む少なくとも1つのメモリと、を備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータ・プログラム・コードは、前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記各装置に、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータを取得または保持するステップと、
無線指紋の配列を得るステップであって、前記無線指紋の各々の無線指紋は、前記サイトの上のトラックの上のモバイルデバイスのそれぞれの推定観測位置と、前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果の各セットを表し、前記各推定観測位置は、前記現在の無線マップデータ、および、前記トラックに沿って移動する際に前記モバイルデバイスの少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたセンサ・データと、前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、を含むトラック・データに基づいて推定される、ステップと、
無線指紋の前記配列に基づいてサイトのための更新された無線マップを決定するステップと、
を、少なくとも1つの反復において、実行させるように構成される、装置。
【0221】
実施形態32:
前記更新された無線マップを決定するステップは、
無線指紋の前記配列の各無線指紋を、グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つに関連付けるステップと、
前記それぞれのグリッド・ポイントまたは前記それぞれの無線ノードに関連付けられた無線指紋に基づいて、前記グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
前記それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、前記それぞれのグリッド・ポイントまたは前記それぞれの無線ノードに関連する無線指紋に基づいて、前記グリッド・システムまたはそれぞれの無線ノードのそれぞれのグリッド・ポイントのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを決定するステップと、
前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは前記更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
前記それぞれの無線モデルが少なくとも1つの所定の無線モデル品質基準を満たす場合、前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたは前記更新された無線マップ内のそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを含めるステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態31に記載の装置。
【0222】
実施形態33:
前記グリッド・システムのそれぞれのグリッド・ポイントまたはそれぞれの無線ノードのうちの少なくとも1つのためのそれぞれの無線モデルを前記決定するステップは、
前記各無線ノードに関連付けられた無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて各無線ノードの位置を推定するステップと、
前記各無線ノードに関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて前記各無線ノードの無線カバレッジモデルを決定するステップと、
前記各格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、前記各格子点で観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの標示を決定するステップと、
前記それぞれの格子点に係る電波指紋の電波観測結果のセットに基づき、前記格子点において観測可能であると予想される電波を送信する無線ノードの受信信号強度の標示を決定するステップと、
前記それぞれの格子点に関連する無線指紋の無線信号観測結果のセットに基づいて、前記それぞれの格子点において観測可能であると予想される無線信号を送信する無線ノードの受信信号強度の変化量の標示を決定するステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態32に記載の装置。
【0223】
実施形態34:
前記予め定義された無線モデル品質基準は、
所定数を超える無線指紋が前記それぞれの無線モデルに関連付けられる、
互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置を表す所定の数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられる、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットを表す所定の数を超える無線指紋が、それぞれの無線モデルに関連付けられる、
所定の受信信号強度閾値よりも大きい受信信号強度の標示を含む無線信号観測結果のそれぞれのセットと、互いに所定の距離内のそれぞれの推定観測位置との両方を表す所定の数を超える無線指紋が、前記それぞれの無線モデルに関連付けられる、
前記それぞれの無線モデルに関連する無線指紋の所定の数または割合未満が、潜在的な外れ値であると判定される、
前記それぞれの無線モデルに関連する無線指紋は、異なるトラックに対する無線指紋の所定数を超える配列から生じる、
のうちの少なくとも1つである、実施形態32および33のいずれかに記載の装置。
【0224】
実施形態35:
少なくとも1つの所定の無線指紋品質基準を満たす無線指紋の配列の無線指紋のみが、前記更新された無線マップを決定するために使用される/された、および/または、少なくとも1つの所定の無線信号観測結果品質基準を満たす、前記トラック・データに含まれる前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果のみが、推定された観測位置を推定するために使用される/された、実施形態31に記載の装置。
【0225】
実施形態36:
前記少なくとも1つの反復において実行される前記ステップは、
サイトの上で無線信号が観測可能であると予想される無線ノードの所定の数または割合に対するそれぞれの無線モデルが、前記現在の反復の前記更新された無線マップに含まれる、
所定数の反復が完了する、
前記現在の反復のための前記更新された無線マップは、予め定義された無線マップ品質基準を満たす、のうちの少なくとも1つまで少なくとも反復される、実施形態31に記載の装置。
【0226】
実施形態37:
前記現在の反復の前記更新された無線マップは、前記方法の少なくとも1つのさらなる反復において、現在の無線マップとして利用可能な状態で取得または保持される、実施形態31に記載の装置。
【0227】
実施形態38:
前記トラック・データは、前記トラックに沿って移動するときに、前記モバイルデバイスの少なくとも1つの基準位置を表すか、または決定することを可能にする基準位置データをさらに含む、実施形態31に記載の装置。
【0228】
実施形態39:
各セットの無線信号観測結果が、各観測無線信号に対して、受信信号強度のそれぞれの標示、信号対雑音比のそれぞれの標示、無線ノードのそれぞれの識別子のうちの少なくとも1つを含む、実施形態31に記載の装置。
【0229】
実施形態40:
センサ・データが慣性および/または運動センサ・データであり、および/または、前記モバイルデバイスの1つ以上のセンサが、ジャイロスコープ、速度センサ、加速度計、コンパス、または気圧計の慣性および/または運動センサのうちの少なくとも1つを備える、実施形態31に記載の装置。
【0230】
実施形態41:
前記装置は、モバイルデバイスまたはモバイルデバイス用のモジュール、サーバまたはサーバ用のモジュール、または、サーバ・クラウドの一部のうちの1つである、実施形態11および31のいずれかに記載の装置。
【0231】
実施形態42:
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ・プログラム・コードが記憶され、装置のプロセッサによって実行されると、該コンピュータ・プログラム・コードは、該装置に、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータの取得または保持するステップと、
モバイルデバイスの利用可能なトラック・データの取得または保持するステップであって、該トラック・データは、前記サイトの上のトラックに沿って移動するときに前記モバイルデバイスの1つ以上のセンサによってキャプチャされたセンサ・データと、トラックの上の異なる観測位置においてモバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、を含む、ステップと、
前記現在の無線マップデータと、センサ・データおよび無線信号観測データを含む前記トラック・データとに基づいて前記トラックの上の前記観測位置を推定するステップと、
前記推定された観測位置の各々を、前記トラックに対する無線指紋の配列を決定するために、前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果の各セットに関連付けるステップであって、前記無線指紋の各配列は、前記無線信号観測データによって表されるそれぞれの推定された観測位置と、それぞれのセットの無線信号観測結果とを表す、ステップと、
前記サイトのための更新された無線マップを決定するための前記一連の無線指紋を提供する、または、使用するステップと、
を少なくとも1つの反復で実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【0232】
実施形態43:
コンピュータ・プログラム・コードが記憶される非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、該コンピュータ・プログラム・コードは、装置のプロセッサによって実行されると、該装置に、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータを取得または保持するステップと、
無線指紋の配列を得るステップであって、前記無線指紋の各々の無線指紋は、前記サイトの上のトラックの上のモバイルデバイスのそれぞれの推定観測位置と、前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果の各セットとを表し、前記各推定観測位置は、前記現在の無線マップデータと、前記トラックに沿って移動する際に前記モバイルデバイスの少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたセンサ・データとを含むトラック・データに基づいて推定される、ステップと、
前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、無線指紋の前記配列に基づいてサイトのための更新された無線マップを決定するステップと、
を少なくとも1つの反復で実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0233】
実施形態44:
1つ以上のサーバと1つ以上のモバイルデバイスとを備えるシステムであって、それぞれが、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ・プログラム・コードを含む少なくとも1つのメモリとを備え、前記メモリと、前記コンピュータ・プログラム・コードとが、前記プロセッサを用いて、前記1つ以上のサーバと前記1つ以上のモバイルデバイスとが協調して、少なくとも1つの反復において、
サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータを取得または保持するステップと、
モバイルデバイスの利用可能なトラック・データを取得または保持するステップであって、該トラック・データは、-前記サイトの上のトラックに沿って移動するときに前記モバイルデバイスの1つ以上のセンサによってキャプチャされたセンサ・データと、-前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データとを含む、ステップと、
前記現在の無線マップデータと、前記センサ・データおよび前記無線信号観測データを含む前記トラック・データとに基づいて前記トラックの上の前記観測位置を推定するステップと、
前記推定された観測位置の各々を、前記トラックに対する無線指紋の配列を決定するために、前記無線信号観測データによって表される無線信号観測結果の各セットに関連付けするステップであって、前記無線指紋の各配列は、前記無線信号観測データによって表される、それぞれの推定された観測位置と、それぞれのセットの無線信号観測結果とを表す、ステップと、
前記サイトのための更新された無線マップを決定するための一連の無線指紋を提供するまたは使用するステップと、
を実行させるように構成された、システム。
【0234】
実施形態45:
1つ以上のサーバと1つ以上のモバイルデバイスとを備えるシステムであって、それぞれが、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ・プログラム・コードを含む少なくとも1つのメモリと、を備え、前記メモリおよび前記コンピュータ・プログラム・コードは、前記プロセッサを用いて、
前記1つ以上のサーバと前記1つ以上のモバイルデバイスとに、協調して、サイトの現在の無線マップを表す利用可能な現在の無線マップデータを取得または保持するステップと、
無線指紋の配列を得るステップであって、前記無線指紋の各々の無線指紋は、前記サイトの上のトラックの上のモバイルデバイスのそれぞれの推定観測位置と、前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果の各セットを表し、前記各推定観測位置は、前記現在の無線マップデータと、前記トラックに沿って移動する際に前記モバイルデバイスの少なくとも1つのセンサによってキャプチャされたセンサ・データ含むトラック・データと、前記トラックの上の異なる観測位置において前記モバイルデバイスの無線インタフェースによってキャプチャされた無線信号観測結果のセットを表す無線信号観測データと、に基づいて推定される、無線指紋の配列を得るステップと、
無線指紋の配列に基づいてサイトのための更新された無線マップを決定するステップと、
を、少なくとも1つの反復で実行させるように構成される、システム。
【0235】
記載された実施形態における任意の提示された関連は、関連する成分が動作可能に結合されるように理解されるべきである。したがって、接続は、介在要素の任意の数または組み合わせで直接的または間接的であり得、構成要素間には単に機能的関係が存在し得る。
【0236】
さらに、本明細書で使用されるように、「回路」という用語は、(a)ハードウェアのみの回路実装(アナログおよび/またはデジタル回路のみの実装など)(b)(1)プロセッサまたは(2)プロセッサ/ソフトウェアのセクション(デジタル信号プロセッサを含む)、ソフトウェア、および、携帯電話のような装置に様々な機能を実行させるために協働する(1つ以上の)メモリの組み合わせのような回路およびソフトウェア(および/またはファームウェア)の組み合わせ、(c)ソフトウェアまたはファームウェアが物理的に存在しない場合であっても、ソフトウェアまたはファームウェアの動作を再要求するマイクロプロセッサまたはマイクロプロセッサの一部などの回路、のいずれかを指す。
【0237】
「回路」のこの定義は、特許請求の範囲を含め、本文中のこの用語のすべての使用に適用される。さらなる例として、本文で使用されるように、「回路」という用語は、単なるプロセッサ(または複数のプロセッサ)またはプロセッサのセクション、およびそれに付随するソフトウェアおよび/またはファームウェアの実装も含む。用語「回路」はまた、例えば、携帯電話のためのベースバンド集積回路またはアプリケーションプロセッサ集積回路をカバーする。
【0238】
本文中に言及されているプロセッサ、特に
図1のプロセッサ100に限定されるものではない任意のプロセッサは、任意の適切なタイプのプロセッサとすることができる。任意のプロセッサは、1つ以上のマイクロプロセッサ、付随するデジタル信号プロセッサを伴う1つ以上のプロセッサ、付随するデジタル信号プロセッサを伴わない1つ以上のプロセッサ、1つ以上の専用コンピュータチップ、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAS)、1つ以上のコントローラ、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASICS)、または1つ以上のコンピュータを備えることができるが、これらに限定されない。関連する構造体/ハードウェアは、記述された機能を実行するようにプログラムされている。
【0239】
さらに、本明細書に記載メモリ図示されている動作メモリステップのいずれかは、汎用メモリ特殊目的のプロセッサ内の実行可能命令を使用して実現し、そのようなプロセッサによって実行されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、ディスク、メモリなど)に記憶することができる。「コンピュータ可読記憶媒体」への基準は、FPGA、ASIC、信号処理デバイス、および他のデバイスなどの特殊化された回路を包含するものと理解されるべきである。
【0240】
用語「A、またはB、またはC、またはそれらの組み合わせ」または「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、網羅的ではなく、少なくとも、(1)A、または(2)B、または(3)C、または(4)AおよびB、または(5)AおよびC、または(6)BおよびC、または(7)AおよびBおよびC、を含むと理解され得る。
【0241】
すべての提示された実施形態は例示的なものにすぎず、特定の例示的な実施形態について提示された任意の特徴は、それ自体の任意の態様とともに、または、同じもしくは別の特定の例示的な実施形態についておよび/または言及されていない任意の他の特徴と組み合わせて提示された任意の特徴と組み合わせて、使用され得ることが理解される。さらに、特定のカテゴリにおける例示的な実施形態のために提示される任意の特徴は、任意の他のカテゴリの例示的な実施形態において、対応する方法で使用されてもよいことが理解される。