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特許7163497分析測定を実行するための方法および装置
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  • 特許-分析測定を実行するための方法および装置 図1
  • 特許-分析測定を実行するための方法および装置 図2A
  • 特許-分析測定を実行するための方法および装置 図2B
  • 特許-分析測定を実行するための方法および装置 図3A
  • 特許-分析測定を実行するための方法および装置 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】分析測定を実行するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20221024BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G01N21/78 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021523708
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019080154
(87)【国際公開番号】W WO2020094594
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】18205002.1
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】マックス ベルク
(72)【発明者】
【氏名】フレドリク ハイラー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント リンブルク
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-038702(JP,A)
【文献】特開2017-125840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0098137(US,A1)
【文献】特開2013-079926(JP,A)
【文献】特表2017-511466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(114)を有するモバイルデバイス(112)を使用することによって光学試験ストリップ(116)における色形成反応に基づく分析測定を実行する方法であって、
a)サンプルが適用されていない試験フィールド(118)を有する光学試験ストリップ(116)を提供することと、
b)前記カメラ(114)の少なくとも1つの画像取得設定を用いて前記カメラ(114)を使用することによって、サンプルが適用されていない前記光学試験ストリップ(116)の前記試験フィールド(118)の少なくとも一部の少なくとも1つの第1の画像を取り込むことと、
c)前記光学試験ストリップ(116)の前記試験フィールド(118)に体液のサンプルを適用することと、
d)所定の最小時間量の間だけ待機することと、
e)前記カメラ(114)の前記1つ以上の画像取得設定を用いて前記カメラ(114)を使用することによって、前記体液のサンプルが適用された前記光学試験ストリップ(116)の前記試験フィールド(118)の少なくとも一部の少なくとも1つの第2の画像を取り込むことであって、前記カメラ(114)の前記画像取得設定が、ステップb)において使用される前記カメラ(114)の同じ画像取得設定である、取り込むことと、
f)前記光学試験ストリップ(116)の前記光学試験フィールド(118)の前記第1の画像および前記第2の画像を使用することによって分析測定結果値を判定することと、を含み、
ステップb)が、前記カメラ(114)の前記1つ以上の画像取得設定をロックすることをさらに含み、前記カメラ(114)の前記1つ以上の画像取得設定が、少なくともステップe)が実行されるまでロックされたままであステップf)が、ステップb)およびe)においてそれぞれ取り込まれた前記少なくとも2つの画像を比較することを含み、色差および強度差の少なくとも一方が検出されるものであり、ステップf)が、以下の関数を使用することによって、第1の画像I TF_1 の試験フィールドの色または強度、ならびに第2の画像I TF_2 の試験フィールドの色および/または強度のうちの一方または双方から相対測定値R rel を判定することを含み、
【数1】
および/または、ステップf)が、以下の関数を使用することによって、第1の画像I TF_1 の試験フィールドの色および/または強度、第2の画像I TF_2 の試験フィールドの色および/または強度、第1の画像I WF_1 の光学試験ストリップ上の基準領域の色および/または強度、ならびに第2の画像I WF_2 の光学試験ストリップ上の同じ基準領域の色および/または強度から、2回相対測定値R twice_rel を判定することを含む、
【数2】
方法。
【請求項2】
ステップb)が、前記1つ以上の画像取得設定に関連する少なくとも1つのパラメータを導出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の画像取得設定に関連する前記パラメータがデータベースに記憶される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の画像取得設定に関連する前記少なくとも1つのパラメータが、シャッタスピード、具体的には露光時間焦点距離彩度などの色調整画素補正、具体的にはノイズ低減からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の画像取得設定に関連する前記少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのアルゴリズムによって補正または設定されるように構成されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)が、
- 前記光学試験ストリップ(116)の前記試験フィールド(118)に前記体液のサンプルを適用するようにユーザに促すこと、または
- 前記光学試験ストリップ(116)の前記試験フィールド(118)への前記体液のサンプルの適用を確認するように前記ユーザに促すこと、のうちの一方または双方を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、
g)少なくとも1つの周囲照明条件を評価することをさらに含み、
ステップg)が、
- ステップa)とステップb)との間、
- ステップb)とステップc)との間、
- ステップe)とステップf)との間、または
- ステップf)の後、の時点の1つ以上において少なくとも1回実行される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップg)が、前記モバイルデバイス(112)の少なくとも1つの照明源(120)をオンまたはオフにすることによって前記少なくとも1つの周囲照明条件を適合させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、請求項1からのいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項10】
分析測定を実行するためのモバイルデバイス(112)であって、前記モバイルデバイス(112)が、少なくとも1つのカメラ(114)を有し、前記モバイルデバイスが、請求項1からのいずれか一項に記載の分析測定を実行する方法の少なくともステップb)、d)、e)、およびf)を実行するように構成されている、モバイルデバイス(112)。
【請求項11】
前記モバイルデバイス(112)が、少なくとも1つの周囲照明条件を適合させるように構成された少なくとも1つの照明源(120)をさらに備える、請求項10に記載のモバイルデバイス(112)。
【請求項12】
前記モバイルデバイス(112)が、ステップb)、d)、e)、およびf)うちの少なくとも1つを制御するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサ(122)を備える、請求項10または11に記載のモバイルデバイス(112)。
【請求項13】
前記モバイルデバイス(112)が、ステップb)、d)、e)、およびf)のうちの少なくとも1つ、ならびに、c)および/またはg)を制御するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサ(122)を備える、請求項10または11に記載のモバイルデバイス(112)。
【請求項14】
分析測定を実行するためのキット(110)であって、前記キット(110)が、
- 請求項10から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのモバイルデバイス(112)と、
- 少なくとも1つの試験フィールド(118)を有する少なくとも1つの光学試験ストリップ(116)と、を備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、カメラを有するモバイルデバイスを使用することによって光学試験ストリップにおける色形成反応に基づく分析測定を実行する方法に関する。本発明は、さらに、本発明にかかる方法を実行するためのプログラム手段を備えたコンピュータプログラムに関する。さらに、本発明は、分析測定を実行するためのモバイルデバイスおよびキットに関する。本発明にかかる方法、コンピュータプログラム、モバイルデバイスおよびキットは、1つ以上の体液中の1つ以上の分析物を定性的または定量的に検出するために、医療診断において使用されることができる。しかしながら、本発明の他の応用分野が可能である。
【背景技術】
【0002】
医療診断の分野では、多くの場合、血液、間質液、尿、唾液、または他の種類の体液などの体液のサンプルから1つ以上の分析物を検出する必要がある。検出される分析物の例は、グルコース、トリグリセリド、乳酸塩、コレステロール、またはこれらの体液に通常存在する他のタイプの分析物である。分析物の濃度および/または存在に応じて、必要に応じて適切な処理を選択することができる。範囲を狭めることなく、本発明は、血糖測定に関して具体的に説明されることができる。しかしながら、本発明はまた、試験要素を使用する他のタイプの分析測定にも使用されることができることに留意されたい。
【0003】
一般に、当業者に知られている装置および方法は、1つ以上の試験化学物質を含む試験要素を利用し、これは、検出される分析物の存在下で、光学的に検出可能な検出反応などの1つ以上の検出可能な検出反応を実行することができる。例として、欧州特許出願公開第0821234号明細書は、担体に含まれる試薬系を用いて全血から分析物を判定する診断試験担体、および診断試験担体を用いて全血から分析物を判定する方法を記載している。診断試験担体は、色形成試薬を含む。試験フィールドは、血液サンプルが送達されるサンプル適用側と、分析物と試薬系との反応の結果として光学的に検出可能な変化が生じる検出側とを有する。さらにまた、試験フィールドは、サンプルに含まれる赤血球が検出側に到達しないように設計されている。さらに、試験フィールドは、透明フィルムと、透明フィルムに適用された第1の重ね合わせフィルム層および第2の重ね合わせフィルム層とを含み、透明フィルム上の第1の層は、上にある第2の層よりも湿潤状態での光散乱が実質的に少ない。
【0004】
試験要素に含まれる試験化学物質に関しては、例えば、J.Hoenes et al.:The Technology Behind Glucose Meters:Test Strips,Diabetes Technology&Therapeutics,Volume 10,Supplement 1,2008,S-10からS-26の参照がなされることができる。他のタイプの試験化学物質が可能であり、本発明を実施するために使用されることができる。
【0005】
通常、これらの変化から検出される少なくとも1つの分析物の濃度を導出するために、試験化学物質における1つ以上の光学的に検出可能な変化が監視される。一般に、可変照明条件が考慮される必要がある。したがって、例として、欧州特許出願公開第2916117号明細書は、異なる照明条件下で実行されることができる化学試験パッドの色定量および分析物の滴定を開示している。一実施形態では、デジタル画像が取り込まれる照明条件が推定され、滴定を判定するための基準色のセットを選択するために利用される。別の実施形態では、異なる照明条件下で複数の比較が行われ、最も高い信頼水準を有する結果が滴定を判定するために選択される。
【0006】
さらに、国際公開第2014/037462号パンフレットは、具体的にはグルコース測定用の測光反射率測定装置内の分析試験要素へのサンプル適用を判定する方法および装置を開示しており、以下の測定が提案されている:体液サンプルの適用のための使い捨て試験要素を提供すること、試験要素から反射率読み取り値のシーケンスを取得すること、サンプル適用条件に対する反射率読み取り値の変化を監視すること、ドリフト補正にしたがってサンプル適用条件を調整すること。周囲測定条件、具体的には湿度、温度、またはUV放射によって引き起こされる反射率読み取り値のドリフト補正のための値は、サンプル適用条件を調整するための所定の信号減少または所定の信号閾値において考慮されることができる。
【0007】
分析要素の使用に対する適合性の簡単で信頼できる制御のために、欧州特許出願公開第1189064号明細書は、制御基準値および第1の標準基準値からのものである第1の基準指数に対する制御値および第1の標準基準値からの指数の分散を計算することを提案している。
【0008】
欧州特許第0953149号明細書は、アッセイが基材上に画像結果を生成する化学診断アッセイからの画像データの分析方法を開示している。本方法は、i)基材上の前記画像結果を取得するステップと、ii)画像取得装置によって画像結果を撮像して、画像結果の色組成および分布に対応するデジタルカラー画像データを生成するステップと、iii)データ処理手段を使用して、デジタルカラー画像データに、画像結果の色組成とアッセイ較正データとの間の記憶された関係を適用して、前記アッセイの定量結果を生成するステップとを含む。さらに、前記アッセイ較正データは、少なくとも2つの選択された色パラメータの組み合わせに対する較正値のセットを含み、前記定量化された結果は、前記較正値のうちの少なくとも2つの間の補間によって生成される。
【0009】
米国特許出願公開第2017/0098137号明細書は、汚染検出媒体、基準カラーバー、少なくとも1つの化学試験媒体、および固有の識別子を含む試薬試験パドルを記載している。汚染検出媒体は、厳しい環境もしくは不快な環境の存在下で、またはそれらに曝されたときに色を変化させる試薬を含む。各化学試験媒体は、生体サンプル中のそれぞれの分析物に応答する試薬を含む。基準カラーバーは、異なる色の基準カラーサンプルを含む。シリアル番号のような固有の識別子は、特定のパドルおよびその化学試験媒体を識別し、それにより、ユーザと固有に且つ匿名で関連付けられることができる。
【0010】
国際公開第2014/025415号パンフレットは、生物学的材料の色ベースの反応試験を実施するための方法および装置を記載している。本方法は、自動的に較正された環境内で、露光されていない機器と後で露光された機器のデジタル画像を取り込んで解釈することを含む。本機器は、固有識別(Unique Identification:UID)ラベル、画像カラー較正用の標準化された色のサンプルを提供する参照色バー(Reference Color Bar:RCB)、および化学試験パッド(Chemical Test Pads:CTP)のいくつかの試験固有のシーケンスを含む。本方法は、さらに、画像内の機器の位置特定、UIDの抽出、RCBの抽出、および各画像内の複数のCTPの位置特定を含む。本方法は、CTPの画像ノイズをさらに低減し、RCBで実行された照明測定にしたがって画像を自動的に較正する。本方法は、CTP画像の色をManufacturer Interpretation Color Chart(MICC)の色と比較することにより、試験結果をさらに判定する。本方法は、これらの結果をグラフィカルモードまたは定量モードで表示する。
【0011】
米国特許出願公開第2013/0267032号明細書は、検体サンプル中の分析物の特性を検出するための検体試験ストリップを記載している。検体試験ストリップは、検体サンプルを受け取るための反応領域と、検体サンプルを受け取った後の反応領域の色または色および色強度を判定するための色較正領域とを含む。検体試験ストリップは、分析物の特性の測定値を補正するための温度表示領域をさらに含むことができる。
【0012】
米国特許出願公開第2015/0233898号明細書は、ケースと、合わせ面を越えてモバイルコンピューティングデバイスの面まで下方に延在する位置アンカとを含む試験ストリップモジュールを記載している。位置アンカは、モバイルコンピューティングデバイスの面の特徴に一致する形状を有する。
【0013】
米国特許出願公開第2012/0329170号明細書は、撮像ユニットおよび分析ユニットを含む分析装置を記載している。撮像ユニットは、試験片における少なくとも反応領域および背景領域を覆う視野領域を含む。反応領域は、検体中の試験物質に曝されると反応色を呈する。分析ユニットは、反応色に基づいて試験物質を検出し、試験物質の検出時に、背景領域の状態が試験物質に対して設定された許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0014】
国際公開第2017/059103号パンフレットは、標的物質を含むサンプルに曝された検出基材の信号を取り込むことと、検出基材が試験可能な状態にあると判定することと、サンプル中の標的物質の存在の評価を生成することとを含む方法を記載している。
【0015】
独国特許出願公開第102016202428号明細書は、比色分析アッセイを実行するための測定システムおよび本測定システムによる対応する方法であって、試験フィールドの色変化によって試験溶液中の少なくとも1つの分析物の濃度を判定するための少なくとも1つの試験フィールドを有する少なくとも1つの試験ストリップであって、各試験ストリップが、試験ストリップの識別およびアプリケーションによる評価のためのデータを有する機械可読コードに関連付けられた試験ストリップと、試験ストリップと試験溶液との接触前に少なくとも機械可読コードの第1の画像と、試験溶液と接触した後の試験ストリップの第2の画像とを実行するためのカメラと、モバイルデバイスにインストールされた第1の記録および第2の記録を評価するためのアプリケーションであって、アプリケーションが、各測定のための試験ストリップの使用可能性を自動的に検証し、本試験ストリップの使用可能性の場合は、試験ストリップセットの色の変化の評価のために自動的に関連する比色分析および関連する較正データを検証し、その後、比色分析を使用した第2の画像によってのみ、試験フィールドの色の変化が自動的に行われるか、較正データに基づいて分析物の濃度を計算するために、第1の記録機械可読コードの読み取り値に基づいて少なくともみられるアプリケーションとを有するモバイルデバイスとを備える、測定システムおよび方法を記載している。
【0016】
対応する試験要素に含まれる試験化学物質の変化を光学的に検出する目的で特別に開発されたカスタマイズされた検出器を使用することに加えて、最近の開発は、スマートフォンなどの広く利用可能な装置を使用することを目的としている。しかしながら、スマートフォンなどのカメラを有する消費者電子機器を使用する場合、市場で入手可能なカメラの数が膨大であり、分析物濃度の判定に影響を及ぼす可能性があるため、個々の技術的および光学的特性が考慮されなければならない場合がある。
【0017】
したがって、サンプル中の分析物の検出または分析測定の評価を目的としてカメラを有する消費者電子機器を使用することに伴う利点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が残っている。一般に、カメラシステムにおける色表現は、例えばカメラによって取り込まれた生データの内部後処理によって、人間の色知覚に関して最適化された画像を提供するように適合される。しかしながら、人間の色の知覚によるそのような後処理は、サンプル中の分析物濃度を正確に判定することを目的とする場合には理想的ではない場合がある。
解決すべき課題
【0018】
したがって、消費者電子機器モバイルデバイスなどのモバイルデバイス、具体的にはスマートフォンやタブレットコンピュータなどの分析測定専用ではない多目的モバイルデバイスを使用した分析測定の上述した技術的課題に対処する方法および装置を提供することが望ましい。具体的には、利用可能なモバイルデバイスに広く適用可能であり、ユーザにとって便利な取り扱いを可能にしながら測定精度を高め、信頼性を向上させるのに適した方法、コンピュータプログラムおよび装置が提案される。
【発明の概要】
【0019】
本課題は、独立請求項の特徴を有する方法、コンピュータプログラムおよびデバイスによって対処される。単独で、または任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0020】
以下において使用されるように、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、本文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0021】
さらに、特徴または要素が1回以上存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または1回以上存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0022】
さらに、以下において使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、決して特許請求の範囲を制限することを意図したものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施されることができる。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限がなく、本発明の範囲に関する制限がなく、およびそのような方法で導入された特徴を、本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関する制限がない任意の特徴であることを意図する。
【0023】
第1の態様では、カメラを有するモバイルデバイスを使用することによって光学試験ストリップにおける色形成反応に基づく分析測定を実行する方法が開示される。本方法は、例として、所与の順序で実行されることができる以下のステップを含む。しかしながら、別の順序も可能であることに留意されたい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回または繰り返し実行することも可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを同時にまたは適時に重複して実行することが可能である。本方法は、記載されていないさらなる方法ステップを含むことができる。
【0024】
一般に、本方法は、以下のステップを含む:
a)サンプルが適用されていない試験フィールドを有する光学試験ストリップを提供するステップと、
b)少なくとも1つの画像取得設定、具体的にはカメラの取得設定のセットを有するカメラを使用することによって、サンプルが適用されていない光学試験ストリップの試験フィールドの少なくとも一部の少なくとも1つの第1の画像を取り込むステップと、
c)体液のサンプル、具体的には液滴を光学試験ストリップの試験フィールドに適用するステップと、
d)所定の最小時間量の間だけ待機するステップと、
e)カメラの1つ以上の画像取得設定を用いてカメラを使用することによって、体液のサンプルが適用された光学試験ストリップの試験フィールドの少なくとも一部の少なくとも1つの第2の画像を取り込むステップであって、カメラの画像取得設定が、ステップb)において使用されるカメラの同じ画像取得設定である、ステップと、
f)光学試験ストリップの光学試験フィールドの第1の画像および第2の画像を使用することによって、具体的には少なくとも2つの画像を比較することによって、分析測定結果値を判定するステップ。
【0025】
本明細書で使用される「分析測定」という用語は、広義な用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意のサンプル中の少なくとも1つの分析物の定量的および/または定性的決定を指すことができる。例えば、サンプルは、血液、間質液、尿、唾液または他のタイプの体液などの体液を含むことができる。例として、分析測定の結果は、分析物の濃度および/または判定されるべき分析物の存在または不在とすることができる。具体的には、例として、分析測定は、血糖測定とすることができ、したがって、分析測定の結果は、例えば、血糖濃度とすることができる。特に、分析測定結果値は、分析測定によって判定されることができる。本明細書で使用される「分析測定結果値」という用語は、広義な用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、限定されないが、サンプル中の分析物濃度の数値表示を指すことができる。
【0026】
例として、少なくとも1つの分析物は、1つ以上の特定の化学化合物および/または他のパラメータとすることができ、またはそれらを含むことができる。例として、血糖などの代謝に関与する1つ以上の分析物が判定されることができる。追加的または代替的に、例えばpH値など、他のタイプの分析物またはパラメータが判定されることができる。少なくとも1つのサンプルは、具体的には、血液、間質液、尿、唾液などの少なくとも1つの体液とすることができるか、またはそれを含むことができる。しかしながら、追加的または代替的に、水などの他のタイプのサンプルが使用されてもよい。
【0027】
分析測定は、具体的には、光学試験ストリップの少なくとも1つの光学特性の変化を含む分析測定とすることができ、この変化は、カメラを使用することによって視覚的に測定または判定されることができる。具体的には、分析測定は、判定される少なくとも1つの分析物の存在下での色形成反応とすることができ、または色形成反応を含むことができる。本明細書で使用される「色形成反応」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、反応に関与する少なくとも1つの要素の色、具体的には反射率が反応の進行とともに変化する化学的、生物学的または物理的反応を指すことができる。
【0028】
本明細書で使用される「光学試験ストリップ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、色変化検出反応を実行するように構成された任意の要素または装置を指すことができる。光学試験ストリップはまた、試験ストリップまたは試験要素とも呼ばれることができ、3つの用語は、全て同じ要素を指すことができる。光学試験ストリップは、特に、少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含む試験フィールドを有することができる。例として、光学試験ストリップは、それに適用されたまたはその中に組み込まれた少なくとも1つの試験フィールドを有する、少なくとも1つの担体などの少なくとも1つの基材を含むことができる。特に、光学試験ストリップは、具体的には試験フィールドに近接して、例えば試験フィールドを囲むかまたは取り囲む、白色フィールドなどの少なくとも1つの白色領域をさらに含むことができる。白色は、基材または担体上に独立して配置された別個のフィールドとすることができる。しかしながら、追加的または代替的に、基材または担体自体は、白色領域とすることができ、または白色領域を含むことができる。例として、少なくとも1つの担体は、ストリップ状とすることができ、それにより、試験要素を試験ストリップにする。これらの試験ストリップは、一般に広く使用されており、入手可能である。1つの試験ストリップは、単一の試験フィールド、またはその中に含まれる同一もしくは異なる試験化学物質を有する複数の試験フィールドを担持することができる。
【0029】
本明細書でさらに使用される場合、「試験フィールド」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、材料の1つ以上の層を有し、試験化学物質が含まれる試験フィールドの少なくとも1つの層を有する、円形、多角形または長方形の形状のフィールドなどに対するコヒーレントな量の試験化学物質を指すことができる。
【0030】
本明細書で使用される「モバイルデバイス」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されないが、携帯型電子装置、より具体的には、携帯電話またはスマートフォンなどの携帯型通信装置を指すことができる。追加的または代替的に、以下にさらに詳細に概説されるように、モバイルデバイスはまた、タブレットコンピュータまたは少なくとも1つのカメラを有する別のタイプのポータブルコンピュータを指すことができる。
【0031】
本明細書で使用される「カメラ」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、空間的に分解された1次元、2次元、または3次元の光学データまたは情報を記録または撮像するように構成された少なくとも1つの撮像素子を有する装置を指すことができる。例として、カメラは、画像を記録するように構成された少なくとも1つのCCDチップおよび/または少なくとも1つのCMOSチップなどの少なくとも1つのカメラチップを含むことができる。本明細書で使用される場合、限定されないが、「画像」という用語は、具体的には、カメラチップの画素などの撮像素子からの複数の電子読み取りなど、カメラを使用することによって記録されたデータに関連することができる。
【0032】
カメラは、少なくとも1つのカメラチップまたは撮像チップに加えて、1つまたは複数の光学素子、例えば、1つ以上のレンズなどのさらなる素子を含むことができる。例として、カメラは、カメラに対して固定的に調整される少なくとも1つのレンズを有する固定焦点カメラとすることができる。しかしながら、代替的に、カメラはまた、自動または手動で調整されることができる1つ以上の可変レンズを含むことができる。本発明は、特に、ノートブックコンピュータ、タブレット、または具体的にはスマートフォンなどの携帯電話などのモバイルアプリケーションで通常使用されるカメラに適用可能でなければならない。したがって、具体的には、カメラは、少なくとも1つのカメラに加えて、1つ以上のデータプロセッサなどの1つ以上のデータ処理装置を含むモバイルデバイスの一部とすることができる。しかしながら、他のカメラも使用可能である。
【0033】
カメラは、具体的にはカラーカメラとすることができる。したがって、各画素などについて、R、G、Bの3色の色値などの色情報が提供または生成されることができ、例えば、R、G、G、Bなどの各画素についての4つの色値など、より多くの色値も実現可能である。カラーカメラは、一般に当業者に知られている。したがって、例として、カメラチップは、それぞれ3つ以上の異なるカラーセンサ、例えば、赤(R)用の1画素、緑(G)用の1画素、および青(B)用の1画素のようなカラー記録画素から構成されることができる。R、G、Bなどの各画素について、それぞれの色の強度に応じて、値は、0から255の範囲のデジタル値などの画素によって記録されることができる。例として、R、G、Bなどのカラートリプルを使用する代わりに、R、G、G、Bなどの4部が使用されてもよい。画素の色感度は、カラーフィルタによって、またはカメラ画素において使用されるセンサ素子の適切な固有感度によって生成されることができる。これらの技術は、一般に当業者に知られている。
【0034】
ステップb)およびe)の双方は、カメラを使用することによって少なくとも1つの画像を取り込むことを含み、カメラは、少なくとも1つの画像取得設定を用いて使用される。本明細書で使用される「画像取得設定」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、物体または要素が少なくとも1つの画像または写真を取り込むために使用されるときの、物体または要素の、具体的には例えばカメラなどの撮像装置の任意の構成または調整を指すことができる。特に、画像取得設定は、少なくとも1つの画像を取り込むときのモバイルデバイスのカメラなどのカメラの構成とすることができる。例えば、画像取得設定は、シャッタスピード、露光時間、ンズフォーカス、色調整、彩度、画素補正、ノイズ低減などのうちの1つ以上とすることができる。したがって、少なくとも1つの画像を取り込むためにカメラが使用される場合、カメラの画像取得設定はまた、単に画像取得設定と呼ばれることができる。
【0035】
特に、画像取得設定は、例えば、モバイルデバイス、例えば画像を取り込むために使用されるカメラを有するモバイルデバイスによって自動的に選択されることができる。したがって、例として、カメラを有するモバイルデバイス、例えばスマートフォンまたはスマートフォンカメラシステムは、周囲状況にしたがって、例えば周囲照明にしたがって、画像取得設定を自動的に選択または設定することができる。追加的または代替的に、画像取得設定の1つ、2つ以上、またはさらには全ては、手動で、または所定のアルゴリズムを介して定義または設定されてもよい。
【0036】
ステップb)は、カメラの1つ以上の画像取得設定をロックするステップをさらに含むことができる。特に、カメラの1つ以上の画像取得設定は、少なくともステップe)が実行されるまで、具体的には少なくとも試験フィールドの第2の画像が取り込まれるまでロックされたままとすることができる。本明細書で使用される場合、「ロック」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意の構成を一貫した、例えば変更されない、および/または変化しない状態に保つプロセスを指すことができる。例として、ロックされた構成は、一定期間、具体的には少なくとも2つのイベントの間の時間にわたって一定のままとすることができる。特に、構成をロックする場合、第1のイベントから開始して、構成または設定は、例えば、少なくとも1つの第2のイベントまで変更されないままとすることができる。したがって、1つ以上の画像取得設定のロックは、一定期間、具体的には本方法のステップb)を実行してから本方法のステップe)が実行されるまでの期間、画像取得設定を一定または不変に保つこととすることができ、または保つことを含むことができる。
【0037】
具体的には、ステップb)は、1つ以上の画像取得設定に関する少なくとも1つのパラメータを導出することをさらに含むことができる。例えば、1つ以上の画像取得設定に関するパラメータは、1つ以上の画像取得設定を参照する少なくとも1つの数値とすることができ、またはそれを含むことができる。
【0038】
特に、1つ以上の画像取得設定に関するパラメータは、例えば、データベース、具体的にはモバイルデバイスおよび/またはカメラのメモリに記憶されることができる。したがって、1つ以上の画像取得設定に関するパラメータは、モバイルデバイス内に、具体的には、ステップb)およびe)において画像を取り込むために使用されるカメラを有するモバイルデバイスのメモリ内に記憶されることができる。しかしながら、追加的または代替的に、1つ以上の画像取得設定に関するパラメータはまた、外部メモリまたはデータベース、例えばクラウドに記憶されてもよい。具体的には、データベースは、例えば揮発性または不揮発性メモリなどのメモリ、例えばモバイルデバイスのメモリ、外部ハードディスクまたはハードドライブ、外部コンピュータまたはコンピュータネットワーク、ソリッドステートドライブ、またはクラウドなどのデータ記憶装置に記憶されることができる。
【0039】
例として、1つ以上の画像取得設定に関連する少なくとも1つのパラメータは、シャッタスピード、具体的には露光時間、点距離、彩度などの色調整、画素補正、具体的にはノイズ低減からなる群から選択されることができる。
【0040】
さらに、1つ以上の画像取得設定に関する少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つは、例えば、具体的には画像内の白色領域の露出過多を防止するために、少なくとも1つのアルゴリズムによって補正または設定されるように構成されることができる。例として、少なくとも1つのアルゴリズムは、具体的にはステップb)およびe)において取り込まれた画像の画質の最小量を保証するために、少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つを補正するように構成されることができる。特に、アルゴリズムは、例えば、モバイルデバイス上で記憶および/または実行されることができる。具体的には、アルゴリズムは、モバイルデバイスのメモリに記憶されてもよく、および/またはモバイルデバイスのプロセッサにロード可能であってもよい。追加的または代替的に、アルゴリズムは、モバイルデバイス上で、例えばモバイルデバイスのプロセッサ上で実行されてもよい。
【0041】
ステップc)は、具体的には、以下のうちの一方または双方を含む:
- 光学試験ストリップの試験フィールドに体液のサンプル、具体的には液滴を適用するようにユーザに促すこと、または
- 光学試験ストリップの試験フィールドへの体液のサンプルの適用を確認するようにユーザに促すこと。
【0042】
さらに、ステップd)は、少なくとも5秒待機することを含むことができる。したがって、所定の最小時間量は、例えば、少なくとも5秒とすることができる。
【0043】
さらに、ステップf)は、ステップb)およびe)においてそれぞれ取り込まれた少なくとも2つの画像を比較することを含むことができる。特に、少なくとも2つの画像を比較するとき、色差および強度差のうちの少なくとも一方が検出されることができる。したがって、ステップf)は、特に、例えばステップb)およびe)において取り込まれた画像、例えば画像の画素を比較することによって、色差および強度差のうちの一方または双方を検出することを含むことができる。
【0044】
特に、ステップf)は、以下の関数を使用することによって、第1の画像ITF_1の試験フィールドの色または強度、ならびに第2の画像ITF_2の試験フィールドの色または強度のうちの一方または双方から相対測定値Rrelを判定することを含むことができる:
【数1】
【0045】
具体的には、関数は、比例係数をさらに含むことができる。
【0046】
追加的または代替的に、ステップf)は、以下の関数を使用することによって、第1の画像ITF_1の試験フィールドの色および/または強度、第2の画像ITF_2の試験フィールドの色および/または強度、第1の画像IWF_1の光学試験ストリップ上の基準領域、例えば白色領域の色および/または強度、ならびに第2の画像IWF_2の光学試験ストリップ上の同じ基準領域の色および/または強度から、2回相対測定値Rtwice_relを判定することを含むことができる:
【数2】
【0047】
具体的には、関数は、比例係数をさらに含むことができる。
【0048】
本方法は、ステップg)少なくとも1つの周囲照明条件を評価することをさらに含むことができる。具体的には、ステップg)において、照明、例えば試験フィールドの照明が評価されることができる。特に、ステップg)は、例えば、以下の時点のうちの1つ以上において少なくとも1回実行されることができる:
- ステップa)とステップb)との間、
- ステップb)とステップc)との間、
- ステップe)とステップf)との間、または
- ステップf)の後。
【0049】
特に、少なくとも1つの周囲照明条件は、具体的には、ステップb)を実行する前および例えばステップa)を実行した後に少なくとも1回評価されることができる。追加的または代替的に、ステップg)は、例えば、ステップe)を実行する前に少なくとも1回実行されてもよい。
【0050】
具体的には、ステップg)は、モバイルデバイスの少なくとも1つの照明源をオンまたはオフにすることによって少なくとも1つの周囲照明条件を適合させることをさらに含むことができる。本明細書で使用される「照明源」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、物体を照明するための光を発生させるように適合された任意の装置を指すことができる。例えば、モバイルデバイスの照明源は、モバイルデバイスに統合された少なくとも1つの発光ダイオードを備えることができる。特に、照明源は、モバイルデバイスのバックライトとすることができる。モバイルデバイスは、ディスプレイを照明する少なくとも1つの照明源などのさらなる照明デバイスを備えることができ、および/またはディスプレイは、それ自体、さらなる照明源自体として設計されることができる。したがって、例として、少なくとも1つの周囲照明条件を輝かせるまたは明るくするために、少なくとも1つの照明源がオンにされることができる。特に、少なくとも1つの照明源は、光を発生させる、例えばモバイルデバイスの少なくとも1つの発光ダイオードまたはバックライトから光を発生させることが必要なときにオンにされることができる。少なくとも1つの照明源は、照明源からの光発生が必要とされないときにオフにされることができる。
【0051】
さらなる態様では、コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムが開示される。コンピュータプログラムは、コンピュータまたはコンピュータネットワーク上で、具体的にはモバイルデバイスのプロセッサ上でコンピュータプログラムが実行されると、上述したように、または以下にさらに詳細に記載されるように、色形成反応に基づいて分析測定を実行する方法を実行するように構成されている。コンピュータプログラムは、具体的には、分析測定を実行する方法の少なくともステップb)、d)、e)、f)、ならびに、任意選択的に、ステップc)および/またはg)を実行するように構成されることができる。
【0052】
用語の可能な定義および可能な実施形態については、上記与えられた説明または以下にさらに詳細に記載されるように参照されることができる。
【0053】
具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データ担体に記憶されることができる。したがって、データ構造が記憶されたデータキャリアが本明細書にさらに開示および提案されており、これは、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなどのコンピュータまたはコンピュータネットワークにロードした後、本明細書で開示される1つ以上の実施形態にかかる方法を実行することができる。
【0054】
さらなる態様では、分析測定を実行するためのモバイルデバイスが開示されている。モバイルデバイスは、少なくとも1つのカメラを有する。さらに、モバイルデバイスは、上述したように、または以下にさらに詳細に記載されるように、分析測定を実行する方法の少なくともステップb)、d)、e)、およびf)を実行するように構成されている。
【0055】
ここでも、用語の可能な定義および可能な実施形態については、上記与えられた説明または以下にさらに詳細に記載されるように参照されることができる。
【0056】
さらに、モバイルデバイスは、少なくとも1つの周囲照明条件を適合させるように構成された少なくとも1つの照明源を備えることができる。
【0057】
特に、モバイルデバイスは、ステップb)、d)、e)、およびf)、ならびに、任意選択的に、ステップc)および/またはg)のうちの少なくとも1つを制御するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを備えることができる。本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、広義な用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、データ上で動作するように構成された任意の電子回路を指すことができる。特に、プロセッサは、メモリ上、例えばモバイルデバイスのメモリ上などの少なくとも1つのデータベース上で動作を実行するように構成されることができる。例として、プロセッサは、具体的には、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの集積回路(IC)とすることができるか、またはそれを備えることができる。
【0058】
さらなる態様では、分析測定を実行するためのキットが開示されている。キットは、以下を備える:
- 上述したような、または以下にさらに詳細に記載されるような少なくとも1つのモバイルデバイスと、
- 少なくとも1つの試験フィールドを有する少なくとも1つの光学試験ストリップ。
【0059】
ここでも、用語の可能な定義および可能な実施形態については、上記与えられた説明または以下にさらに詳細に記載されるように参照されることができる。
【0060】
本明細書で使用される「キット」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、複数の構成要素のアセンブリを指すことができ、構成要素は、それぞれ機能することができ、互いに独立して扱うことができ、キットの構成要素は、相互作用して共通の機能を実行することができる。
【0061】
本明細書に開示される方法、コンピュータプログラムおよび装置は、公知の方法、コンピュータプログラムおよび装置を超える多数の利点を提供することができる。したがって、特に、本発明は、当該技術分野において公知の方法、コンピュータプログラムおよび装置と比較して、分析測定の改善された信頼性および精度を提供することができる。具体的には、モバイルデバイスの画像処理ステップ、具体的には、モバイルデバイス上のソフトウェア、例えばアプリによって実行される任意の画像処理ステップを考慮に入れることによって、信頼性および精度が改善されることができる。
【0062】
さらに、本発明は、ユーザのために分析測定を実行するプロセスを簡略化することができる。具体的には、ユーザは、カスタマイズされた検出器の代わりに、スマートフォンなどの広く利用可能なモバイルデバイスを使用して分析測定を実行することができる。特に、本発明は、具体的には本発明が例えば大部分のモバイルデバイスと技術的に互換性があり得ることから、多種多様な携帯電話またはスマートフォンなどの膨大な数のモバイルデバイスに適することができ、その結果、Android、Windows(登録商標)、iOSまたはLinux(登録商標)からなるから選択される少なくとも1つのオペレーティングシステムなどの少なくとも1つのオペレーティングシステムを実行するモバイルデバイスなどの多数のモバイルデバイスにおいて技術的な実装および/または使用が可能であり得る。他のオペレーティングシステムも実現可能とすることができる。
【0063】
さらに、本発明の場合、モバイルデバイスのカメラシステムの要件は、当該技術分野において公知の方法、コンピュータプログラムおよび装置と比較して低減されることができる。特に、絶対色測定または検出の要件は、例えば、本発明の分析測定を実行するときに使用されることができる相対測定、具体的には2回相対測定に起因して低減されることができる。具体的には、本発明では、相対色測定、例えば相対強度測定を使用することによる分析物測定が、例えば提案されることができる。特に、光学試験ストリップ、例えば試験要素の第1の画像は、サンプルの適用前、特にサンプルが光学試験ストリップの試験フィールドに適用される前に取り込まれることができる。第1の画像を取り込むとき、画像取得設定は、例えば、画像を取り込むために使用されるモバイルデバイスによって、例えばカメラを有するモバイルデバイスによって自動的に選択されることができる。したがって、例として、例えばスマートフォンまたはスマートフォンカメラシステムなどのカメラを有するモバイルデバイスは、画像を取り込むときに、周囲状況にしたがって、例えば周囲照明にしたがって画像取得設定を自動的に選択することができ、例えば白色フィールドなどの光学試験ストリップの関連部分の露出過多が抑制されることができる。追加的または代替的に、画像取得設定は、手動でまたは所定のアルゴリズムを介して選択されてもよい。続いて、例として、例えばサンプルが試験フィールドに適用された後の試験要素の第2の画像の取り込みは、具体的には同じ画像取得設定を使用して実行されることができる。したがって、第1の画像を取り込むときに選択された画像取得設定は、第2の画像を取り込むまで、例えばモバイルデバイス内でロックおよび/または記憶されることができる。画像取得設定をロックおよび/または記憶するそのような機能は、具体的には、膨大な数のモバイルデバイス、例えば多数のスマートフォンによってサポートされることができる。
【0064】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定されることができる:
【0065】
実施形態 1:カメラを有するモバイルデバイスを使用することによって光学試験ストリップ内の色形成反応に基づく分析測定を実行する方法であって、
a)サンプルが適用されていない試験フィールドを有する光学試験ストリップを提供することと、
b)カメラの少なくとも1つの画像取得設定、具体的にはカメラの取得設定のセットを有するカメラを使用することによって、サンプルが適用されていない光学試験ストリップの試験フィールドの少なくとも一部の第1の画像を取り込むことと、
c)体液のサンプル、具体的には液滴を光学試験ストリップの試験フィールドに適用することと、
d)所定の最小時間量の間だけ待機することと、
e)カメラの1つ以上の画像取得設定を用いてカメラを使用することによって、体液のサンプルが適用された光学試験ストリップの試験フィールドの少なくとも一部の第2の画像を取り込むことであって、カメラの画像取得設定が、ステップb)において使用されるカメラの同じ画像取得設定であることと、
f)光学試験ストリップの光学試験フィールドの第1の画像および第2の画像を使用することによって、具体的には少なくとも2つの画像を比較することによって、分析測定結果値を判定すること、とを含む、方法。
【0066】
実施形態 2:ステップb)が、カメラの1つ以上の画像取得設定をロックすることをさらに含み、カメラの1つ以上の画像取得設定が、少なくともステップe)が実行されるまで、具体的には、少なくとも試験フィールドの第2の画像が取り込まれるまでロックされたままである、実施形態1に記載の方法。
【0067】
実施形態 3:ステップb)が、1つ以上の画像取得設定に関連する少なくとも1つのパラメータを導出することをさらに含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0068】
実施形態 4:1つ以上の画像取得設定に関するパラメータが、データベース、具体的にはモバイルデバイスおよび/またはカメラのメモリに記憶される、実施形態3に記載の方法。
【0069】
実施形態 5:1つ以上の画像取得設定に関連する少なくとも1つのパラメータが、シャッタスピード、具体的には露光時間、点距離、彩度などの色調整、画素補正、具体的にはノイズ低減からなる群から選択される、実施形態4に記載の方法。
【0070】
実施形態 6:1つ以上の画像取得設定に関する少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つが、例えば、具体的には画像内の白色領域の露出過多を防止するために、少なくとも1つのアルゴリズムによって補正または設定されるように構成され、少なくとも1つのアルゴリズムが、例えば、モバイルデバイス、具体的にはモバイルデバイスのプロセッサ上で記憶および/または実行される、実施形態5に記載の方法。
【0071】
実施形態 7:ステップc)が、
- 光学試験ストリップの試験フィールドに体液のサンプル、具体的には液滴を適用するようにユーザに促すこと、または
- 光学試験ストリップの試験フィールドへの体液のサンプルの適用を確認するようにユーザに促すこと、のうちの一方または双方を含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施形態 8:ステップd)が、少なくとも5秒待機することを含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態 9:ステップf)が、ステップb)およびe)においてそれぞれ取り込まれた少なくとも2つの画像を比較することを含み、色差および強度差の少なくとも一方が検出される、実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態 10:ステップf)が、以下の関数を使用することによって、第1の画像ITF_1の試験フィールドの色または強度、ならびに第2の画像ITF_2の試験フィールドの色または強度のうちの一方または双方から相対測定値Rrelを判定することを含む、実施形態9に記載の方法。
【数3】
【0075】
実施形態 11:ステップf)が、以下の関数を使用することによって、第1の画像ITF_1の試験フィールドの色および/または強度、第2の画像ITF_2の試験フィールドの色および/または強度、第1の画像IWF_1の光学試験ストリップ上の基準領域、例えば白色領域の色および/または強度、ならびに第2の画像IWF_2の光学試験ストリップ上の同じ基準領域の色および/または強度から、2回相対測定値Rtwice_relを判定することを含む、実施形態9または10に記載の方法。
【数4】
【0076】
実施形態 12:方法が、
g)少なくとも1つの周囲照明条件を評価することをさらに含み、
ステップg)が、
- ステップa)とステップb)との間、
- ステップb)とステップc)との間、
- ステップe)とステップf)との間、または
- ステップf)の後、の時点のうちの1つ以上において少なくとも1回実行される、実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態 13:ステップg)が、モバイルデバイスの少なくとも1つの照明源をオンまたはオフにすることによって少なくとも1つの周囲照明条件を適合させることをさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0078】
実施形態 14:コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で、具体的にはモバイルデバイスのプロセッサ上で実行されると、実施形態1から13のいずれか1つに記載の方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【0079】
実施形態 15:分析測定を実行するためのモバイルデバイスであって、モバイルデバイスが、少なくとも1つのカメラを有し、モバイルデバイスが、分析測定を実行する方法に関する実施形態1から13のいずれか1つに記載の分析測定を実行する方法の少なくともステップb)、d)、e)、およびf)を実行するように構成されている、モバイルデバイス。
【0080】
実施形態 16:モバイルデバイスが、少なくとも1つの周囲照明条件を適合させるように構成された少なくとも1つの照明源をさらに備える、実施形態15に記載のモバイルデバイス。
【0081】
実施形態 17:モバイルデバイスが、ステップb)、d)、e)、およびf)、ならびに、任意選択的に、c)および/またはg)のうちの少なくとも1つを制御するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを備える、実施形態15または16に記載のモバイルデバイス。
【0082】
実施形態 18:分析測定を実行するためのキットであって、キットが、
- モバイルデバイスに関する実施形態15から17のいずれか1つに記載の少なくとも1つのモバイルデバイスと、
- 少なくとも1つの試験フィールドを有する少なくとも1つの光学試験ストリップと、を備える、キット。

図面の簡単な説明
【0083】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。その中で、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されることができる。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。その中で、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
図では以下のとおりである:
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】キットおよびモバイルデバイスの実施形態の斜視図を示している。
図2A】分析測定を実行するための方法の実施形態のフローチャートを示している。
図2B】(同上)
図3A】分析物測定を実行するときに経時的にカメラによって認識可能な色信号カウントを示す図の実施形態を示している。
図3B】(同上)
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1には、分析測定を実行するためのキット110が斜視図で示されている。キット110は、少なくとも1つのカメラ114を有する少なくとも1つのモバイルデバイス112を備え、キットは、少なくとも1つの試験フィールド118を有する少なくとも1つの光学試験ストリップ116をさらに備える。光学試験ストリップ116は、少なくとも1つの白色領域119をさらに有することができる。モバイルデバイス112は、例えば図2Aおよび図2Bに示されるように、分析測定を実行するための方法を実行するように構成されている。図1にさらに示されるように、モバイルデバイス112は、少なくとも1つの照明源120をさらに備えることができる。特に、モバイルデバイス112は、分析測定を実行する方法のステップを制御するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサ122を備えることができる。
【0086】
図2Aは、カメラ114を有するモバイルデバイス112を使用することによって光学試験ストリップ116内の色形成反応に基づいて分析測定を実行する方法のフローチャートの実施形態を示している。本方法は、以下のステップを含む:
a)(参照符号124によって示される)サンプルが適用されていない試験フィールド118を有する光学試験116ストリップを提供するステップと、
b)(参照符号126によって示される)カメラ114の少なくとも1つの画像取得設定、具体的にはカメラ114の取得設定のセットを有するカメラ114を使用することによって、サンプルが適用されていない光学試験ストリップ116の試験フィールド118の少なくとも一部の少なくとも1つの第1の画像を取り込むステップと、
c)(参照符号128によって示される)体液のサンプル、具体的には液滴を光学試験ストリップ116の試験フィールド118に適用するステップと、
d)(参照符号130によって示される)所定の最小時間量の間だけ待機するステップと、
e)(参照符号132によって示される)カメラ114の1つ以上の画像取得設定を用いてカメラを使用することによって、体液のサンプルが適用された光学試験ストリップの試験フィールドの少なくとも一部の少なくとも1つの第2の画像を取り込むステップであって、カメラの画像取得設定が、ステップb)において使用されるカメラ114の同じ画像取得設定である、ステップと、
f)(参照符号134によって示される)光学試験ストリップの光学試験フィールドの第1の画像および第2の画像を使用することによって、具体的には少なくとも2つの画像を比較することによって、分析測定結果値を判定するステップ。
【0087】
モバイルデバイス112は、特に、分析測定を実行するための方法の少なくともステップb)、d)、e)およびf)を実行するように構成されることができる。特に、プロセッサ122は、ステップb)、d)、e)およびf)のうちの少なくとも1つを制御するようにプログラムされることができる。
【0088】
図2Bには、分析測定を実行する方法のフローチャートの異なる実施形態が示されている。本方法は、少なくとも1つの周囲照明条件を評価するステップg)(参照符号136によって示される)をさらに含むことができる。特に、ステップg)は、図に示されるように、ステップa)とステップb)との間に少なくとも1回実行されることができる。しかしながら、追加的または代替的に、ステップg)は、ステップb)とc)との間および/またはステップe)とステップf)との間および/またはステップf)の後に実行されてもよい。本方法、具体的には本方法のステップb)は、カメラ114の1つ以上の画像取得設定をロックする少なくとも1つのサブステップ(参照符号138によって示される)をさらに含むことができる。具体的には、画像取得設定または画像取得設定のセットは、本方法のステップe)が実行されるまでロックされたままとすることができる。特に、画像取得設定は、少なくとも試験フィールドの第2の画像が取り込まれるまでロックされたままとすることができる。追加的又は代替的に、ステップb)は、1つ以上の画像取得設定に関する少なくとも1つのパラメータを導出する少なくとも1つのサブステップ(参照符号140によって示される)を含んでもよい。さらに、ステップf)は、ステップb)およびe)において取り込まれた少なくとも2つの画像をそれぞれ比較する、特に画像を互いに比較する少なくとも1つのサブステップ(参照符号142によって示される)を含むことができ、色差および強度差のうちの少なくとも一方が検出されることができる。例として、ステップf)において、相対測定値Rrel144は、上述したように関数(1)を使用することによって判定されることができる。追加的または代替的に、ステップf)において、上述したように関数(2)を使用することによって2回相対測定値Rtwice_rel146が判定されてもよい。
【0089】
図3Aおよび図3Bは、分析測定を実行するときに、カメラ114、例えばモバイルデバイス112のカメラ114によって認識可能な色信号カウント(C)を示す図の実施形態を示している。特に、赤色の色信号カウント、例えばR値148が、150秒で測定された経時的に示されている。図では、50mg/dlの血糖濃度を有するサンプルの測定が示されることができる。具体的には、図では、光学試験ストリップ116の白色領域152および試験フィールド154の色信号カウントまたはR値が経時的に示されている。さらに、図では、Rrel144およびRtwice_rel146が示されており、Rrel144およびRtwice_rel146は、それぞれ、関数(1)および(2)を使用することによって判定されることができる。
【0090】
例として、図3Aおよび図3Bでは、色形成反応に基づいて分析測定を実行する方法の少なくともステップb)、c)、d)およびe)の性能が示されることができる。したがって、ステップb)、特に少なくとも1つの第1の画像の取り込みは、第1のタイムスロット156内で実行されることができ、ステップc)、具体的には体液のサンプルの試験フィールド118への適用は、第2のタイムスロット158内で実行されることができる。さらに、第3のタイムスロット160は、例として、本方法のステップd)において待機される所定の最小時間量に等しくすることができる。ステップe)、特に少なくとも1つの第2の画像の取り込みは、第4のタイムスロット162内で実行されることができる。
【0091】
具体的には、図3Aでは、周囲照明条件は一定である。したがって、例えば、白色領域152のR値は、経時的に、例えば測定期間にわたって一定の経過を示すことができる。図3Aに示されるように、一定の周囲照明条件の場合、Rrel144≒Rtwice_rel146である。しかしながら、図3Bでは、周囲照明条件は変化する。したがって、具体的には、図3Bに示される白色領域152のR値は、測定の過程で変化することができる。さらに、図3Bに示されるように、周囲照明条件を変更すると、Rrel144≠Rtwice_rel146をもたらすことができる。特に、Rrel144を判定するとき、例として、サンプル適用後の試験フィールド154のR値は、サンプルが適用されていない試験フィールド154のR値に関連して設定されてもよく、白色領域152のR値は、Rrel144を判定するときに考慮されなくてもよい。したがって、例えば、白色領域152、具体的には白色フィールドまたは基準フィールドのR値によって示される周囲照明条件の変更は、Rrel144を判定するときに考慮されなくてもよい。しかしながら、白色領域152のR値は、Rtwice_rel146を判定するために使用されてもよい。したがって、Rtwice_rel146の判定時に、周囲照明条件が考慮されることができる。特に、本方法のステップf)においてRtwice_rel146が使用される場合、判定された分析測定結果値は、例えば、本方法の実行中の周囲照明の変化とは無関係でさえあり得る。
【符号の説明】
【0092】
110 キット
112 モバイルデバイス
114 カメラ
116 光学試験ストリップ
118 試験フィールド
119 白色領域
120 照明源
122 プロセッサ
124 ステップa)
126 ステップb)
128 ステップc)
130 ステップd)
132 ステップe)
134 ステップf)
136 ステップg)
138 サブステップ
140 サブステップ
142 サブステップ
144 Rrel
146 Rtwice_rel
148 R値
150 秒
152 白色領域のR値
154 試験フィールドのR値
156 第1のタイムスロット
158 第2のタイムスロット
160 第3のタイムスロット
162 第4のタイムスロット
図1
図2A
図2B
図3A
図3B