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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】移動端末
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20221024BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021530227
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 CN2019117437
(87)【国際公開番号】W WO2020114209
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201811482012.7
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100204386
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 啓
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲満▼林
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0267677(US,A1)
【文献】中国実用新案第207732122(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末であって、
カードトレイ取り付け穴が開設されるハウジングと、
前記ハウジングの内部に設けられる回路基板と、
前記ハウジングの内部に設けられ、且つ前記回路基板に向かうカードトレイ保持部と、
前記回路基板上に設けられるカードソケットと、
前記カードトレイ取り付け穴内に可動的に設けられ、且つ前記カードトレイ保持部と可動的に係合するカードトレイであって、前記カードトレイと前記ハウジングとの少なくとも一つにエジェクタ穴が設けられるカードトレイと、
前記カードトレイ保持部に回動可能に設けられ、且つ前記カードソケットと前記エジェクタ穴との間に位置し、その一端はエジェクタピン作用端であり、もう一端は、前記エジェクタピン作用端が力を受けた後に前記カードトレイにエジェクタ力を加えるためのカードトレイエジェクタ端であるトグル部材と、
を含み、
前記カードトレイ保持部に設けられる検出イジェクト部材と検出端子とをさらに含み、前記検出イジェクト部材と前記検出端子とはいずれも前記カードソケットと前記エジェクタ穴との間に位置し、前記検出イジェクト部材は自由端とカードトレイ作用部とを有し、前記カードトレイは、前記自由端を前記検出端子から離間させる駆動力を前記カードトレイ作用部に加えることができ、且つ前記検出イジェクト部材の弾性回復力の作用で前記自由端が前記検出端子に接触する、移動端末。
【請求項2】
前記エジェクタピン作用端には、前記エジェクタ穴に対向するエジェクタピン作用溝が開設される、請求項1に記載の移動端末。
【請求項3】
前記エジェクタ穴の軸方向において、前記エジェクタピン作用溝の投影面の輪郭線は前記エジェクタ穴の投影面の輪郭線を囲む、請求項2に記載の移動端末。
【請求項4】
前記カードトレイ作用部は、前記自由端に対して前記カードソケットから離れる方向に突出する、請求項1に記載の移動端末。
【請求項5】
前記回路基板の前記カードトレイに向かう一方の面には退避切り欠きが開設され、前記カードトレイ保持部における、前記トグル部材と前記検出イジェクト部材と前記検出端子とを取り付けるための部分が前記退避切り欠き内に位置する、請求項1に記載の移動端末。
【請求項6】
前記トグル部材と前記検出端子と前記検出イジェクト部材は、前記カードトレイ取り付け穴の延在方向に沿って順次に配置される、請求項1に記載の移動端末。
【請求項7】
前記カードソケットは複数設けられ、前記トグル部材は前記エジェクタ穴から最も近い前記カードソケットと前記エジェクタ穴との間に位置する、請求項1に記載の移動端末。
【請求項8】
複数の前記カードソケットには、第一の加入者識別モジュールSIM(Subscriber Identification Module)カードカードソケットと第二のSIMカードカードソケットとメモリカードカードソケットとが含まれ、この三者は前記エジェクタ穴に近づく方向において順次に配置され、前記トグル部材は前記メモリカードカードソケットと前記エジェクタ穴との間に位置する、請求項7に記載の移動端末。
【請求項9】
前記カードトレイはメモリカード支持部を有し、前記メモリカード支持部は前記カードトレイエジェクタ端へ前記カードソケットに近接させる復元力を加えるために用いられ、前記カードトレイエジェクタ端は前記メモリカード支持部へ前記エジェクタ力を加えるために用いられる、請求項8に記載の移動端末。
【請求項10】
前記カードトレイエジェクタ端には、前記エジェクタ穴が位置する側に突出するエジェクタ突出部が設けられる、請求項1に記載の移動端末。
【請求項11】
前記カードトレイ保持部には、前記トグル部材に向かい、且つ前記トグル部材の回動軸方向において前記トグル部材と位置制限係合する位置制限部が設けられる、請求項1に記載の移動端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月5日に中国で提出された中国特許出願第201811482012.7号の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
本開示は、通信機器の技術分野に関し、特に移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
加入者識別モジュール(Subscriber Identification Module、SIM)カードやメモリカードは、移動端末によく見られるカードであり、移動端末の構造のコンパクト性が絶えず向上することに伴い、ますます多くの移動端末はカードトレイによってSIMカードやメモリカードを取り付ける。
【0003】
カードトレイの着脱を容易にするために、移動端末にはエジェクタ装置が対応して設けられている。このエジェクタ装置はプッシュロッドとトグル部材を含み、カードトレイが移動端末の内部に取り付けられた時、トグル部材はカードトレイの末端に位置し、プッシュロッドはカードトレイの側方に位置し、且つプッシュロッドの一端はトグル部材の一端に接触可能である。カードトレイを取り外す必要がある時、ユーザは、エジェクタピンを移動端末のハウジングに開設されたエジェクタ穴内に挿入することができ、これによりエジェクタピンが直接にプッシュロッドに作用することができ、プッシュロッドがエジェクタピンにより駆動され、さらに移動し、最終的にトグル部材が連動して回動させられることで、カードトレイにイジェクト力を加え、カードトレイのイジェクトを実現する。
【0004】
しかしながら、上記エジェクタ装置におけるプッシュロッドとトグル部材はいずれも回路基板の一部のスペースを占有して、回路基板のコア領域が分断されてしまい、回路基板上の電子部品の配置に利用可能な領域が比較的に小さい領域に分割され、回路基板上の電子部品のレイアウトに不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、移動端末の回路基板がカードトレイ着脱構造の設置により分断されることなく、回路基板上の電子部品のレイアウトに有利になることを意図する移動端末を提供する。上記問題を解決するために、本開示は以下の技術案を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
移動端末であって、
カードトレイ取り付け穴が開設されるハウジングと、
前記ハウジングの内部に設けられる回路基板と、
前記ハウジングの内部に設けられ、且つ前記回路基板に向かうカードトレイ保持部と、
前記回路基板上に設けられるカードソケットと、
前記カードトレイ取り付け穴内に可動的に設けられ、且つ前記カードトレイ保持部と可動的に係合するカードトレイであって、前記カードトレイと前記ハウジングとの少なくとも一つにエジェクタ穴が設けられるカードトレイと、
前記カードトレイ保持部に回動可能に設けられ、且つ前記カードソケットと前記エジェクタ穴との間に位置し、その一端はエジェクタピン作用端であり、もう一端は、前記エジェクタピン作用端が力を受けた後に前記カードトレイにエジェクタ力を加えるためのカードトレイエジェクタ端であるトグル部材とを含む、移動端末。
【発明の効果】
【0007】
本開示で採用する技術案は、以下の有益な効果を達成することができる。
本開示の移動端末において、トグル部材はエジェクタピン作用端とカードトレイエジェクタ端とを有し、ユーザはカードトレイを取り外す必要がある時、直接にトグル部材のエジェクタピン作用端に作用力を加えることにより、トグル部材が回動し、そのカードトレイエジェクタ端はカードトレイにエジェクタ力を加えることができ、これによりカードトレイがハウジングに対して突出して、ユーザによるカードトレイの取り出しを容易にする。このことから分かるように、この移動端末はトグル部材だけでカードトレイをエジェクトすることができ、関連技術の移動端末で採用されたプッシュロッドを省き、つまり回路基板のスペースに対するプッシュロッドの占用を無くした。同時に、トグル部材がカードソケットとエジェクタ穴との間に位置するため、この時トグル部材が占用するスペースは関連技術における移動端末では利用していないスペースである。このため、トグル部材が回路基板上のスペースを別途に占用することはない。このことから分かるように、この移動端末の回路基板は、カードトレイの着脱のための構造を設けることにより分断されることはないので、より多くの有効スペースを有し、その上の電子部品のレイアウトがより容易に実現される。
【0008】
ここで説明された添付図面は、本開示へのさらなる理解を提供するために用いられ、本開示の一部を構成し、本開示の例示的な実施例及びその説明は、本開示を解釈するために用いられ、本開示への不適切な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施例に開示される移動端末の一部の構造の、カードトレイのイジェクト状態における概略図である。
図2】本開示の実施例に開示される移動端末の一部の構造の、カードトレイの取り付け状態における概略図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4図1に示す構造の一部の構造の、検出イジェクト部材と検出端子とが接触した時の概略図である。
図5図1に示す構造の一部の構造の、検出イジェクト部材と検出端子とが離間した時の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の目的、技術案およびメリットがより明瞭になるように、以下は、本開示の具体的な実施例および対応する添付図面を結び付けながら、本開示の技術案を明瞭且つ完全に記述する。明らかに、記述された実施例は、本開示の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本開示における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0011】
以下、添付図面を結び付けて、本開示の各実施例に開示される技術案を詳細に説明する。
【0012】
図1図5に示すように、本開示の実施例に開示される移動端末は、ハウジング100と、回路基板200と、カードソケット300と、カードトレイ400と、トグル部材500と、カードトレイ保持部800とを含む。ハウジング100は、移動端末の外観部材であり、その上にはカードトレイ400を取り付けるためのカードトレイ取り付け穴110が開設される。回路基板200は、ハウジング100の内部に設けられ、その上には、移動端末によってその通信、記憶などの機能が実現されるための電子部品が設けられる。カードソケット300は回路基板200上に設けられ、カードトレイ400はカードトレイ取り付け穴110内に可動的に設けられ、且つカードトレイ保持部800と可動的に係合し、その上に取り付けられるSIMカード又はメモリカードはこのカードソケット300に対応して係合し且つ電気的に導通することができる。そのうち、カードトレイ400とハウジング100との少なくとも一つにエジェクタ穴が設けられ、ユーザはエジェクタピン700をこのエジェクタ穴内に差し込み、さらにカードトレイ400のエジェクトを実現することができる。説明すべきことは、ここでのエジェクタピン700は、移動端末に付帯されているエジェクタピンであってもよく、エジェクタ穴内に挿入可能な他のピン状構造であってもよい。本開示の実施例では、ハウジング100のみにエジェクタ穴120を設けてもよい。
【0013】
カードトレイ保持部800は、ハウジング100の内部に設けられ、且つ回路基板200に向かってもよい。それは、カードトレイ400の上面、下面、カードの上面のいずれとも位置決め係合し、さらにカードトレイ400のカードトレイ取り付け穴110内での位置を要求に合わせることができるとともに、カードトレイ400上のカードに作用力を加えることにより、このカードをカードソケット300と確実に接触させて、電気的導通の信頼性を向上させることできる。
【0014】
トグル部材500は、その主な役割がカードトレイ400のエジェクトを実現することである。それは、リベット600によってカードトレイ保持部800に回動可能に設けられ、且つカードソケット300とエジェクタ穴との間に位置することが可能である。トグル部材500の一端はエジェクタピン作用端510であり、もう一端はカードトレイエジェクタ端520であり、エジェクタピン作用端510はエジェクタピン700と互に作用可能であり、ユーザはエジェクタピン700を介してエジェクタピン作用端510に作用力を加え、さらにトグル部材500を回動するように駆動することができる。一方、カードトレイエジェクタ端520は、エジェクタピン作用端510が力を受けた後にカードトレイ400にエジェクタ力を加えるために用いられる。すなわち、トグル部材500が回動した後に、カードトレイエジェクタ端520は徐々にカードトレイ400に近づき、最終的にカードトレイ400に当接することにより、カードトレイ400にエジェクタ力を加える。カードトレイ400は、このエジェクタ力の作用でカードトレイ取り付け穴110からイジェクトされ、さらにハウジング100に対して突出することにより、ユーザによるカードトレイの取り出しを容易にする。
【0015】
無論、ユーザがカードトレイ400を取り付ける時、カードトレイ400が徐々にカードトレイ取り付け穴110に差し込むにつれて、カードトレイ400がカードトレイエジェクタ端520に接触し、カードトレイエジェクタ端520に作用力を加えることにより、トグル部材500が逆方向に回動して、カードトレイ400をカードトレイ取り付け穴110内に完全に装着されることが可能である。
【0016】
以上の記述から分かるように、本開示の実施例に開示される移動端末は、トグル部材500だけでカードトレイ400をエジェクトすることができ、関連技術の移動端末で採用されたプッシュロッドを省き、つまり回路基板200のスペースに対するプッシュロッドの占用を無くした。同時に、トグル部材500がカードソケット300とエジェクタ穴(具体的にはエジェクタ穴120)との間に位置するため、この時トグル部材500が占用するスペースは関連技術における移動端末では利用していないスペースである。このため、トグル部材500が回路基板200における、カードトレイ400の末端付近のスペースを占用することはなく、すなわちトグル部材500が回路基板200上のスペースを別途に占用することはない。このことから分かるように、この移動端末の回路基板200は、カードトレイ400の着脱のための構造を設けることにより分断されることはないので、それは、より多くの有効なスペースを有し、その上の電子部品のレイアウトがより容易に実現される。例えば、この移動端末はフルスクリーンをより容易に実現して、移動端末の市場競争力を高めることができる。
【0017】
さらに、上記移動端末はプッシュロッドを省き、さらに移動端末の部品点数を削減することができ、移動端末の組立を簡素化し、移動端末のコストを低減することができる。
【0018】
カードトレイ400のエジェクトを容易にするために、エジェクタピン作用端510には、エジェクタ穴(具体的にはエジェクタ穴120)に対向するエジェクタピン作用溝511が開設されてもよい。エジェクタピン700がエジェクタ穴に差し込んだ後に、エジェクタピン700はさらにエジェクタピン作用溝511に差し込み、ユーザがエジェクタピン700を押す過程において、エジェクタピン作用溝511の側壁はエジェクタピン700の位置を制限して、エジェクタピン700がエジェクタピン作用端510から滑り抜けて引っ掛かりなどの問題が発生することを防止することができる。
【0019】
上記エジェクタピン作用溝511の寸法はエジェクタ穴の寸法よりも大きくてもよい。これにより、エジェクタピン700がエジェクタピン作用溝511内に確実に差し込むことを容易にするとともに、エジェクタピン700がトグル部材500の摺動中にエジェクタピン作用溝511内を摺動することを容易にする。これは、同様にエジェクタピン700の引っ掛かりなどの問題が発生することを防止することができる。具体的には、エジェクタ穴の軸方向において、エジェクタピン作用溝511の投影面の輪郭線はエジェクタ穴の投影面の輪郭線を囲み、すなわちエジェクタピン作用溝511の寸法はエジェクタ穴の寸法よりも大きい。また、エジェクタピン作用溝511の形状は、円形、楕円形、三角形、長方形などであってよく、本開示ではこれに対して限定しない。
【0020】
カードトレイエジェクタ端520のエジェクタ穴に向かう一方の面は平面であってもよいが、このような構造では、カードトレイエジェクタ端520とカードトレイ400との間の作用面積が比較的に小さくなり、カードトレイエジェクタ端520とカードトレイ400にスクラッチを形成しやすい。このために、カードトレイエジェクタ端520には、エジェクタ穴が位置する側に突出するエジェクタ突出部521が設けられてもよい。この時、エジェクタ突出部521の表面構造を意図的に設けることにより、カードトレイエジェクタ端520がトグル部材500全体が回動する時に常にカードトレイ400との接触面積を比較的に大きく保つようにし、さらにスクラッチの発生を防止することができる。同時に、この構造では、トグル部材500におけるカードトレイエジェクタ端520以外の部分の寸法を適宜小さくすることもでき、さらにトグル部材500の配置がより容易になる。
【0021】
本開示の実施例に開示される移動端末は、カードトレイ400上のカードが装着されたか否かを検出するための構造がさらに設けられてもよい。この構造は、具体的には、カードトレイ保持部800に設けられる検出イジェクト部材910と検出端子920を含み、両者はいずれもカードソケット300とエジェクタ穴との間に位置し、つまり検出イジェクト部材910と検出端子920はいずれもトグル部材500に隣接して設けられる。検出端子920は、端子固定部材930によって固定され、この端子固定部材930は絶縁材料からなるプラスチック部材であってもよい。検出イジェクト部材910は、自由端911とカードトレイ作用部912とを有する。自由端911は、検出イジェクト部材910が力を受けて変形した後に変位可能であり、外力が取り除かれると変形を回復することができる。カードトレイ作用部912は、カードトレイ400に接触して、さらにカードトレイ400からの作用力を受けることができる。このため、カードトレイ400は、自由端911を検出端子920から離間させる駆動力をカードトレイ作用部912に加えることができ、且つ検出イジェクト部材910の弾性回復力の作用で自由端911が検出端子920に接触することができる。
【0022】
カードトレイ400がカードトレイ取り付け穴110内に装着されると、カードトレイ400はカードトレイ作用部912に作用力を加えて、自由端911が検出端子920から離間されてさらに開放信号が発生される。この開放信号は移動端末のハードウェアシステムに伝達されることができ、ハードウェアシステムはこの信号に基づいてカードスキャンおよび検出を行い、且つカードを作動状態にすることができる。カードトレイ400がカードトレイ取り付け穴110からイジェクトされると、カードトレイ作用部912が受けていた作用力がなくなり、自由端911がリセットして検出端子920に接触し、さらに導通信号が発生される。この導通信号は同様にハードウェアシステムに伝達されることができ、これによりハードウェアシステムはこの時にカードがすでにイジェクトされたことを把握し、さらに相応なリマインダー情報を生成する。
【0023】
上記検出イジェクト部材910と検出端子920はいずれもカードソケット300とエジェクタ穴との間に位置するため、関連技術における移動端末では利用していないスペースがもう一度検出イジェクト部材910と検出端子920により利用されることになる。このため、検出イジェクト部材910と検出端子920が回路基板200上のスペースを別途に占用することはなく、これにより回路基板200上の有効なスペースがより大きくなり、回路基板200上の電子部品のレイアウトがより容易になる。
【0024】
カードトレイ400から検出イジェクト部材910への作用力の付与を容易にするために、カードトレイ作用部912は自由端911に対してカードソケット300から離れる方向に突出してもよい。このように設けられると、カードトレイ400はまずカードトレイ作用部912に接触することができ、つまり検出端子920などの構造と干渉しにくく、作用力を加えやすい効果を達成する。具体的には、カードトレイ作用部912は曲げプロセスによってカードソケット300から離れる方向に突出することができる。
【0025】
トグル部材500と検出イジェクト部材910と検出端子920とのいずれかが取り付けられた後に位置する高さが三者の上方のカードが位置する高さよりも高い場合、干渉が生じる。この問題を解決するために、回路基板200のカードトレイ400に向かう一方の面には退避切り欠き210が開設され、カードトレイ保持部800における、トグル部材500と検出イジェクト部材910と検出端子920とを取り付けるための部分がこの退避切り欠き210内に位置する。この退避切り欠き210を設けると、トグル部材500と検出イジェクト部材910と検出端子920との高さが下がり、さらに三者とカードトレイ400上のカードとの干渉を防止する。
【0026】
カードトレイ取り付け穴110は、ストライプ状の穴であってもよい。選択可能な実施例において、トグル部材500と検出イジェクト部材910と検出端子920はカードトレイ取り付け穴110の延在方向に沿って順次に配置される。このように設けると、トグル部材500と検出イジェクト部材910と検出端子920とがよりコンパクトになり、さらにカードの下方のスペースを十分に利用することができる。
【0027】
同一の移動端末に複数のSIMカード又はメモリカードを取り付けるユーザのニーズに応えるために、回路基板200上に複数のカードソケット300を設けてもよい。これらのカードソケット300は複数の同じタイプのカードに対応して係合してもよく、異なるタイプのカードに対応して係合してもよい。この時、トグル部材500は、エジェクタ穴から最も近いカードソケット300とエジェクタ穴との間に位置する。
【0028】
具体的な実施例において、カードソケット300は複数設けられてもよく、その中には第一のSIMカード410に係合する第一のSIMカードカードソケット310と、第二のSIMカード420に係合する第二のSIMカードカードソケット320と、メモリカード430に係合するメモリカードカードソケット330とが含まれる。第一のSIMカードカードソケット310と第二のSIMカードカードソケット320に対応するカードは、異なる仕様のSIMカードであってもよく、同じ仕様のカードであってもよい。メモリカードカードソケット330に対応するのは、TFカード(TransFLash)、SDカード(Secure Digital Memory Card)などであってもよい。無論、カードソケット300の数はより多くてもよく、SIMカードとの係合のためのカードソケット300は三つまたはそれよりも多くてもよく、メモリカードとの係合のためのカードソケット300も二つまたはそれよりも多くてもよい。
【0029】
上記第一のSIMカードカードソケット310と第二のSIMカードカードソケット320とメモリカードカードソケット330とはエジェクタ穴に近づく方向において順次に配置され、すなわちメモリカードカードソケット330がエジェクタ穴から最も近く、トグル部材500がメモリカードカードソケット330とエジェクタ穴との間に位置する。さらに、検出イジェクト部材910と検出端子920はメモリカードカードソケット330とエジェクタ穴との間に位置してもよい。すなわち、カードトレイ400が所定の位置に取り付けられると、トグル部材500と検出イジェクト部材910と検出端子920はいずれもメモリカードの下方に位置する。
【0030】
上記構造を採用する場合、カードトレイ400はメモリカード支持部440を有し、このメモリカード支持部440はカードトレイエジェクタ端520へカードソケット300に近接させる復元力を加えるために用いられ、カードトレイエジェクタ端520はメモリカード支持部440へエジェクタ力を加えるために用いられる。言い換えれば、カードトレイ400における既存の構造を用いてカードトレイ400とトグル部材500との間の係合を実現することができ、カードトレイ400において対応する構造を専用に設ける必要がないので、この技術案では、カードトレイ400の構造を簡素化することができる。
【0031】
組立誤差などの原因により、トグル部材500の回動時に移動端末の厚さ方向に沿う運動が同時に発生して、トグル部材500がカードトレイ400に確実に接触できなくなることを招く。この問題を解決するために、カードトレイ保持部800には、トグル部材500に向かい、且つトグル部材500の回動軸方向においてトグル部材500と位置制限係合する位置制限部(図示しない)が設けられてもよい。このため、位置制限部は移動端末の厚さ方向に沿うトグル部材500の運動を制限して、トグル部材500とカードトレイ400との確実な接触を保証することができる。
【0032】
本開示の実施例に開示される移動端末は、スマートフォン、タブレット、電子ブックリーダデバイス、またウェアラブルデバイスであってもよい。無論、この移動端末は他の端末機器であってもよく、本開示の実施例はこれに対して限定しない。
【0033】
本開示の以上の実施例において重点的に記述されているのは各実施例の間の相違であり、各実施例の間で異なる最適化要素は、矛盾しない限り、より好ましい実施例を形成するように組み合わせることができる。記述の簡潔性のため、ここでは説明を省略する。
【0034】
以上に記述されているのは、本開示の実施例に過ぎず、本開示を限定するものではない。当業者にとって、本開示は様々な変更および変形がありうる。本開示の精神と原理内でなされたあらゆる修正、均等的な置き換え、改良などはいずれも本発明の請求項の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0035】
100 ハウジング
110 カードトレイ取り付け穴
120 エジェクタ穴
200 回路基板
210 退避切り欠き
300 カードソケット
310 第一のSIMカードカードソケット
320 第二のSIMカードカードソケット
330 メモリカードカードソケット
400 カードトレイ
410 第一のSIMカード
420 第二のSIMカード
430 メモリカード
440 メモリカード支持部
500 トグル部材
510 エジェクタピン作用端
511 エジェクタピン作用溝
520 カードトレイエジェクタ端
521 エジェクタ突出部
600 リベット
700 エジェクタピン
800 カードトレイ保持部
910 検出イジェクト部材
911 自由端
912 カードトレイ作用部
920 検出端子
930 端子固定部材
図1
図2
図3
図4
図5