(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】燃料電池システムの制御方法、及び燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04303 20160101AFI20221024BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20221024BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20221024BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20221024BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20221024BHJP
H01M 8/043 20160101ALI20221024BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20221024BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20221024BHJP
B60L 58/34 20190101ALI20221024BHJP
B60L 58/40 20190101ALI20221024BHJP
B60L 53/64 20190101ALI20221024BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20221024BHJP
【FI】
H01M8/04303
H01M8/04228
H01M8/00 Z
H01M8/04701
H01M8/04694
H01M8/043
H01M8/0432
H01M8/04537
H01M8/00 A
B60L58/34
B60L58/40
B60L53/64
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2021550710
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 IB2019001155
(87)【国際公開番号】W WO2021064438
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 瑛介
(72)【発明者】
【氏名】武田 大
(72)【発明者】
【氏名】筑後 隼人
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-140706(JP,A)
【文献】特許第3659204(JP,B2)
【文献】特開2002-343401(JP,A)
【文献】特開2003-217630(JP,A)
【文献】特開2006-196240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、前記燃料電池を暖機するための加熱器とを備え、燃料電池システムの運転停止要求を受け付けた際に停止制御を実行可能な車両用の燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムの運転停止要求を取得し、
次回の車両運転開始タイミングを取得し、
前記運転停止要求及び前記次回の車両運転開始タイミングを取得した後、所定タイミングにおいて第1エネルギコスト及び第2エネルギコストを算出し、
前記第1エネルギコストは、前記所定タイミングから前記停止制御を実行した後、前記次回の車両運転開始タイミングに合わせて前記加熱器を用いた暖機制御を実行して、前記燃料電池の暖機が完了するまでに必要なエネルギコストであり、
前記第2エネルギコストは、前記所定タイミングから前記次回の車両運転開始タイミングまで、前記燃料電池の温度を暖機温度に維持するよう前記燃料電池の運転を継続する場合に必要なエネルギコストであり、
前記運転停止要求を取得してから、前記第1エネルギコストが前記第2エネルギコストより大きい間は、前記燃料電池の温度が暖機温度に維持されるよう前記燃料電池の運転を継続する、
燃料電池システムの制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムの制御方法であって、
前記運転停止要求を取得してから、前記第1エネルギコストが前記第2エネルギコスト以下となった場合に前記停止制御を開始する、
燃料電池システムの制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃料電池システムの制御方法であって、
前記所定タイミングから前記暖機制御を開始するまでの停止時間と、前記所定タイミングでのスタック温度とに基づいて始動前スタック温度を算出し、算出された始動前スタック温度に基づいて前記第1エネルギコストを算出する、
燃料電池システムの制御方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の燃料電池システムの制御方法であって、
前記所定タイミングから前記次回の車両運転開始タイミングまでの継続時間と、前記燃料電池における発電出力とに基づいて発電継続期間におけるスタック電力量を算出し、当該スタック電力量と前記燃料電池システムにおける電力変換効率とに基づいて前記第2エネルギコストを算出する、
燃料電池システムの制御方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムは、車両用電源としてのバッテリと、外部充電装置の充電部に接続可能な充電コネクタと、をさらに備え、
前記バッテリは、前記燃料電池及び前記外部充電装置の少なくとも一方により充電可能に構成されており、
前記燃料電池システムの制御方法は、
前記燃料電池システムが前記外部充電装置と接続されている場合に、前記外部充電装置により前記バッテリを目標充電量まで充電する場合に必要な第3エネルギコストを算出し、
前記運転停止要求を取得してから、前記第1エネルギコストと第3エネルギコストの和が前記第2エネルギコストより大きい間は、前記燃料電池の温度が暖機温度に維持されるよう前記燃料電池の運転を継続し、前記第1エネルギコストと第3エネルギコストの和が前記第2エネルギコスト以下となった場合に前記停止制御を開始する、
燃料電池システムの制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池システムの制御方法であって、
前記所定タイミングから前記次回の車両運転開始タイミングまでの継続時間と、前記燃料電池における発電出力とに基づいて発電継続期間におけるスタック電力量を算出し、前記バッテリの目標充電電力量と前記スタック電力量とに基づいて前記第3エネルギコストを算出する、
燃料電池システムの制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載の燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムは、車両用電源としてのバッテリと、外部充電装置の充電部に接続可能な充電コネクタと、をさらに備え、
前記バッテリは、前記燃料電池及び前記外部充電装置の少なくとも一方により充電可能に構成されており、
前記燃料電池システムの制御方法は、
前記燃料電池システムが前記外部充電装置と接続されている場合には、停止要求取得タイミングにおいて異なる複数の発電継続時間を設定し、
各発電継続時間ごとに第4エネルギコスト、第5エネルギコスト、及び第6エネルギコストの総和を総エネルギコストとして算出し、
前記第4エネルギコストは、前記停止要求
取得タイミングから前記設定された発電継続時間を経過した後に前記停止制御を実行し、前記次回の車両運転開始タイミングに合わせて前記加熱器を用いた暖機制御を実行して、前記燃料電池の暖機が完了するまでに必要なエネルギコストであり、
前記第5エネルギコストは、前記停止要求取得タイミングから前記設定された発電継続時間だけ
燃料電池スタックを発電する場合に必要なエネルギコストであり、
前記第6エネルギコストは、外部充電装置により前記バッテリを目標充電量まで充電する場合に必要なエネルギコストであり、
前記停止要求取得タイミングから、前記総エネルギコストが最も低くなる前記発電継続時間を経過するまで、前記燃料電池の温度が暖機温度に維持されるよう前記燃料電池の運転を継続し、当該発電継続時間を経過した後に前記停止制御を開始する、
燃料電池システムの制御方法。
【請求項8】
燃料電池と、前記燃料電池を暖機するための加熱器とを備え、燃料電池システムの運転停止要求を受け付けた際に停止制御を実行可能な車両用の燃料電池システムであって、
前記停止制御の実行可否を判断するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記燃料電池システムの運転停止要求を取得し、
次回の車両運転開始タイミングを取得し、
前記運転停止要求及び前記次回の車両運転開始タイミングを取得した後、所定タイミングにおいて第1エネルギコスト及び第2エネルギコストを算出し、
前記第1エネルギコストは、前記所定タイミングから前記停止制御を実行した後、前記次回の車両運転開始タイミングに合わせて前記加熱器を用いた暖機制御を実行して、前記燃料電池の暖機が完了するまでに必要なエネルギコストであり、
前記第2エネルギコストは、前記所定タイミングから前記次回の車両運転開始タイミングまで、前記燃料電池の温度を暖機温度に維持するよう前記燃料電池の運転を継続する場合に必要なエネルギコストであり、
前記運転停止要求を取得してから、前記第1エネルギコストが前記第2エネルギコストより大きい間は、前記燃料電池の温度が暖機温度に維持されるよう前記燃料電池の運転を継続する、
燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの制御方法、及び燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
JPH10-40931Aには、燃料電池及び二次電池の少なくとも一方の電力に基づいて電動モータを駆動可能な電気自動車用の電源システムが開示されている。この電源システムにおいては、システム停止の際に二次電池の残存容量が所定量に達するまで燃料電池により二次電池を充電し、充電が完了した後にシステムを停止させている。
【発明の概要】
【0003】
上述したシステムにおいては、システム停止の際に二次電池の残存容量だけを見て燃料電池の発電を継続するか否かを判断しており、燃料電池の発電に伴うエネルギコスト及びシステム停止から再起動までのエネルギコスト等を勘案してシステム停止制御を実行することは一切検討されていない。そのため、システム停止制御後から再起動するまでのタイミングによっては、エネルギコストの観点から無駄が生じているおそれがある。
【0004】
したがって、本発明の目的は、システム停止要求を受けた際に、システム停止から次回の車両運転開始までのエネルギコスト及び燃料電池の発電に伴うエネルギコスト等を考慮し、できる限りエネルギコストを抑制可能なシステム制御を実現する技術を提供することである。
【0005】
本発明の一態様によれば、燃料電池と、燃料電池を暖機するための加熱器とを備え、燃料電池システムの運転停止要求を受け付けた際に停止制御を実行可能な車両用の燃料電池システムの制御方法が提供される。この制御方法では、燃料電池システムの運転停止要求を取得し、次回の車両運転開始タイミングを取得し、運転停止要求及び次回の車両運転開始タイミングを取得した後、所定タイミングにおいて第1エネルギコスト及び第2エネルギコストを算出する。第1エネルギコストは、所定タイミングから停止制御を実行した後、次回の車両運転開始タイミングに合わせて加熱器を用いた暖機制御を実行して、燃料電池の暖機が完了するまでに必要なエネルギコストである。第2エネルギコストは、所定タイミングから次回の車両運転開始タイミングまで、燃料電池の温度を暖機温度に維持するよう燃料電池の運転を継続する場合に必要なエネルギコストである。そして、この制御方法においては、運転停止要求を取得してから、第1エネルギコストが第2エネルギコストより大きい間は、燃料電池の温度が暖機温度に維持されるよう燃料電池の運転を継続する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態による燃料電池システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態による燃料電池システムの電力系統の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、システム停止要求があった場合の制御方法と、その際に消費する燃料量の変化を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態による燃料電池システムにおいて、システム停止要求時に実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5A】
図5Aは、コントローラの停止・起動エネルギコスト算出部を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、燃料電池システムの再起動タイミングの算出例を示す図である。
【
図6】
図6は、コントローラの発電継続エネルギコスト算出部及び外部充電エネルギコスト算出部を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態による燃料電池システムにおいて、システム停止要求時に実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、コントローラの停止・起動エネルギコスト算出部を示す図である。
【
図9】
図9は、コントローラの発電継続エネルギコスト算出部及び外部充電エネルギコスト算出部を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の燃料電池システムにおける発電継続時間の選択の仕方を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の第1実施形態による燃料電池システム100の概略構成図である。
【0009】
図1に示す燃料電池システム100は、例えばシリーズハイブリッド車両に搭載されるシステムである。燃料電池システム100は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)としての燃料電池スタック1、燃料電池スタック1の発電に利用される液体燃料を蓄える燃料タンク10、及び燃料電池システム100を統括的に制御するコントローラ50等を備えている。
【0010】
燃料電池スタック1は、アノードガス及びカソードガスの供給を受けて発電する燃料電池の積層体である。燃料電池スタック1の発電電力は、ハイブリッド車両に搭載されたバッテリ(
図2参照)を充電するために用いられる。燃料電池スタック1は複数の燃料電池を積層して構成され、発電源である個々の燃料電池は例えば固体酸化物型燃料電池である。
【0011】
燃料タンク10は、燃料電池スタック1に供給されるアノードガスを生成したり、システム構成部品等を暖機する際に利用される燃焼ガスを生成したりするために必要な液体燃料を貯蔵する。液体燃料は、例えば、水とエタノールからなる燃料(例えば、40体積%のエタノールを含有する含水エタノール)である。液体燃料は、含水エタノールに限られず、ガソリン又はメタノール等を含む液体燃料であってもよい。
【0012】
燃料電池スタック1と燃料タンク10とは、アノードガス通路11を通じて接続されている。アノードガス通路11には、流れの方向に関して上流側から順に、蒸発器21、燃料熱交換器22、及び改質器23が設けられている。蒸発器21、燃料熱交換器22、及び改質器23は、燃料電池スタック1にアノードガスを供給するために必要な補機である。
【0013】
蒸発器21の上流側においてはアノードガス通路11から燃料供給路15が分岐しており、燃料供給路15はアノードガス通路11と触媒燃焼器40とを接続する。
【0014】
燃料供給路15の分岐点と蒸発器21との間のアノードガス通路11には第1インジェクタ2Aが設けられており、燃料供給路15には第2インジェクタ2Bが設けられている。第1インジェクタ2Aは、コントローラ50からの指令信号に応じて作動し、蒸発器21に対して液体燃料を噴射供給するよう構成されている。また、第2インジェクタ2Bは、コントローラ50からの指令信号に応じて作動し、触媒燃焼器40に対して液体燃料を噴射供給するよう構成されている。
【0015】
蒸発器21は、第1インジェクタ2Aから供給された液体燃料を加熱し、気化燃料を生成する。蒸発器21は、触媒燃焼器40から燃焼ガス通路17を通じて供給される高温の燃焼ガスとの熱交換により、液体燃料を加熱する。
【0016】
燃料熱交換器22は、触媒燃焼器40での燃焼により生じた燃焼ガスの熱を受け、気化燃料をさらに加熱する。
【0017】
改質器23は、改質用触媒を内蔵しており、燃料熱交換器22から供給される気化燃料を改質し、水素や一酸化炭素等を含むアノードガスを生成する。改質器23で生成されたアノードガスは、燃料電池スタック1に供給される。
【0018】
一方、燃料電池システム100は、燃料電池スタック1に空気(カソードガス)を供給するためのカソードガス通路12を備えている。カソードガス通路12には、空気熱交換器31が設けられている。
【0019】
空気熱交換器31は、触媒燃焼器40から燃焼ガス通路17を通じて供給される燃焼ガスとの熱交換により、カソードガス通路12を流れるカソードガスを加熱する。本実施形態では、カソードガス通路12の開放端付近にエアコンプレッサ3が設置されており、カソードガスとしての空気が、エアコンプレッサ3を通じてカソードガス通路12に吸入される。カソードガスは、空気熱交換器31を通過する際に加熱され、燃料電池スタック1に供給される。空気熱交換器31は、燃料電池スタック1が発電するために必要な補機である。なお、空気を吸入する装置としては、エアコンプレッサ3の代わりに、ブロアを用いてもよい。
【0020】
エアコンプレッサ3と空気熱交換器31との間のカソードガス通路12からは空気供給路16が分岐しており、空気供給路16はカソードガス通路12と触媒燃焼器40とを接続する。空気供給路16には、触媒燃焼器40に供給される空気の流量を調整するための流量制御弁4が設置されている。
【0021】
触媒燃焼器40は、白金(Pt)やパラジウム(Pd)等を含む燃焼用触媒を内蔵している。触媒燃焼器40は、燃料供給路15及び空気供給路16を通じて供給される液体燃料及び空気を燃焼させることにより燃焼ガスを生成する。
【0022】
燃料電池システム100では、触媒燃焼器40は燃焼ガス通路17を介して空気熱交換器31及び蒸発器21に接続されており、燃焼ガスの熱により空気熱交換器31及び蒸発器21を加熱する。他方で、燃料熱交換器22及び改質器23が触媒燃焼器40と共用のケース(
図1の一点鎖線L)に収容されており、ケースLの内部において触媒燃焼器40の熱が燃料熱交換器22及び改質器23に伝達するように構成されている。
【0023】
また、燃料電池システム100では、燃料電池スタック1と触媒燃焼器40とがアノードオフガス通路13及びカソードオフガス通路14によって接続されている。触媒燃焼器40は、燃料電池スタック1から排出されたアノードオフガス及びカソードオフガスを触媒燃焼させて燃焼ガスを生成する。触媒燃焼器40で生成された燃焼ガスは、燃焼ガス通路17を通じて外部へと排出される。
【0024】
コントローラ50は、中央演算装置(CPU)、ROM及びRAM等の各種記憶装置、並びに入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータからなる電子制御ユニットであって、あらかじめプログラムされた各種制御を実行する。コントローラ50は、例えば、車両の走行状態及び燃料電池システム100の運転状態に応じて、第1インジェクタ2A、第2インジェクタ2B、エアコンプレッサ3、及び流量制御弁4の動作を制御するようにプログラムされている。
【0025】
コントローラ50は、各種センサ等からの検出信号を取得することで、燃料電池システム100等の運転状態を検知している。燃料電池システム100は、各種センサとして、燃料電池スタック1の温度を検出する温度センサ50A、現在時刻を出力するタイマ50B、及び車両の起動・停止に指示するためのスタートスイッチ50C等を有している。
【0026】
次に、
図2を参照して、燃料電池システム100の電力系統について説明する。
【0027】
燃料電池システム100はシリーズハイブリッド車両に搭載され、
図2に示すように燃料電池スタック1は車両のバッテリ5に電気的に接続されている。燃料電池システム100では、燃料電池スタック1で発電された電力は基本的にバッテリ5に充電されるが、外部充電
装置80からの電力を用いてバッテリ5を充電することも可能となっている。外部充電
装置80は、充電スタンド等の施設に配置された急速充電装置、又は急速充電装置よりも出力電力の小さい家庭用の電源である。
【0028】
図2に示すように、燃料電池システム100の電力系統は、車両用電源としてのバッテリ5と、車両の走行駆動源となる駆動装置60と、駆動装置60とバッテリ5の間に設けられる第一配線71と、第一配線71と燃料電池スタック1を接続する第二配線72と、第一配線71上に設けられるリレー73と、第二配線上に設けられるコンバータ74と、外部充電
装置80と接続可能に構成された充電コネクタ75と、を含んでいる。電力系統を構成する各種機器も上述したコントローラ50により制御される。
【0029】
駆動装置60は、バッテリ5及び燃料電池スタック1に接続される負荷であり、バッテリ5及び燃料電池スタック1の少なくとも一方から電力供給を受けて車両を駆動する。駆動装置60は、駆動源としての電動モータ61と、バッテリ5及び燃料電池1の少なくとも一方の直流電力を、電動モータ61に供給される交流電力に変換するインバータ62と、を備える。
【0030】
第一配線71は、バッテリ5とインバータ62とを接続する電源線である。バッテリ5は、駆動装置60に電力を供給する電源であって、リチウムイオンバッテリ又は鉛バッテリ等である。バッテリ5には、当該バッテリ5の出力電圧を検出するための電圧センサ50Dが設けられており、電圧センサ50Dの検出信号はコントローラ50に出力される。
【0031】
第一配線71上にはリレー73が設置されており、リレー73はバッテリ5と駆動装置60との間を接続状態又は遮断状態に切り替える遮断機である。リレー73は、第一配線71においてコンバータ74とバッテリ5との間を接続状態から遮断状態へ切り替え可能な遮断器でもある。
【0032】
第二配線72は、第一配線71から分岐して燃料電池スタック1に接続する電源線である。この第二配線72には、コンバータ74が設けられている。
【0033】
コンバータ74は、DC/DCコンバータであって、第一配線71への出力電圧(二次電圧)が、燃料電池スタック1の電力を出力可能な所定の電圧となるように当該燃料電池スタック1の電圧(一次電圧)を変換する電力変換器である。このコンバータ74により、燃料電池スタック1の電力が、第一配線71を介してバッテリ5や駆動装置60に伝送される。
【0034】
第一配線71には、外部充電装置80に設置されている充電ガン81と接続可能な充電コネクタ75が設けられている。充電コネクタ75は、車体に設けられた充電ポート内に配置されており、外部充電装置80による充電時に充電ガン81からの電力を受け付ける電気接続機器である。充電コネクタ75に充電ガン81の先端部を接続することで、外部充電装置80からバッテリ5に電力を供給可能な状態となる。充電コネクタ75には、充電ガン81の先端部が接続されたか否かを検知する接続状態検知センサ、又は、充電コネクタ75からバッテリ5へ流れる電流を検出する電流センサ等が備えられている。コントローラ50は、これらセンサの検出信号に基づいてバッテリ5が外部充電装置80により充電されているか否かを判断する。
【0035】
燃料電池システム100の電力系統を構成するリレー73、インバータ62、及びコンバータ74等の各種機器の動作は、コントローラ50によって制御される。
【0036】
上述のような燃料電池システム100においては、システム起動時に燃料電池スタック1を暖機する暖機制御が実行され、システム停止要求を受けた際にはシステム停止制御が実行される。
【0037】
例えば、
図1に示す燃料電池システム100では、システム起動時に燃料電池スタック1を暖機する必要がある場合、第2インジェクタ2Bにより液体燃料を触媒燃焼器40に供給するとともに、エアコンプレッサ3を作動させて流量制御弁4を開くことにより空気を触媒燃焼器40に供給する。これにより、液体燃料の燃焼により生じた燃焼ガスにより燃料熱交換器22等を加熱することができる。その結果、これら熱交換器で昇温されたアノードガス及びカソードガスが燃料電池スタック1に供給され、燃料電池スタック1が暖機されることとなる。このように、触媒燃焼器40は、燃料電池スタック1を暖機するための加熱器として機能する。
【0038】
ここで、システム起動時とは、燃料電池システム100の運転が停止している状態(燃料電池スタック1を含む燃料電池システム100内の各要素の動作が停止している状態)において、コントローラ50がシステム始動指令を検出したことをトリガとして、燃料電池スタック1等の燃料電池システム100内の要素をそれぞれの作動に適した所望温度に昇温させるプロセス(燃料電池システム100の起動のための暖機運転)が実行されている期間を指す。
【0039】
また、燃料電池システム100では、運転者のキーオフ操作に基づくシステム停止要求等に応じて停止制御が実行される。燃料電池システム100では燃料電池スタック1の動作温度が高いため、停止制御においては燃料電池システム100の各要素の動作を完全停止する前に燃料電池スタック1の冷却処理が実行される。停止制御の冷却処理においては、エアコンプレッサ3が駆動されてカソードガスの供給が継続され、燃料電池スタック1がカソードガスによって冷却される。この際、第1インジェクタ2Aも少量の燃料を供給するように制御され、少量のアノードガスが燃料電池スタック1に供給される。このように燃料電池スタック1にアノードガスを供給することで、触媒燃焼器40からカソードガス(空気)が燃料電池スタック1に逆流することを抑制でき、燃料電池スタック1のアノード電極における酸化劣化を防止することができる。このような停止制御は、システム停止要求を受け付けたタイミング(停止要求取得タイミング)から開始され、例えば燃料電池スタック1の温度がアノード電極の酸化劣化を抑制若しくは防止できる温度に到達したら終了する。
【0040】
燃料電池システム100では上述の通り停止制御や暖機制御が実行されることが一般的であり、一旦システムを停止してしまうと、次回の車両運転開始時までに燃料電池スタック1を動作温度まで暖機する必要がある。燃料電池システム100で採用されている固体酸化物型の燃料電池スタック1は動作温度が700℃程度と高く、暖機制御を実行する際に液体燃料を多量に消費することとなる。特に、燃料電池システム100が触媒燃焼器40で燃料を燃焼させて燃料電池スタック1を暖機するような構成である場合、ここで燃焼される燃料は発電のために使用されるのではなく、主に燃料電池スタック1等を加熱するために使用されることとなる。
【0041】
したがって、燃料電池システム100を停止してから再起動する場合、次回の車両運転を開始するタイミングによってはシステム停止要求があっても燃料電池スタック1での運転(発電)を継続して燃料電池スタック1の温度を維持していた方が、停止要求の際すぐに停止制御を実行してその後に暖機制御を実行するよりも、エネルギコストの損失を抑制できる可能性がある。
【0042】
図3は、システム停止要求があった場合の制御方法と、その際に消費する燃料量の変化を示す図である。
図3(A)~
図3(B)の線L1~L4は燃料量の積算値の時間変化を示している。
【0043】
図3(A)に示すように、例えば、車両のスタートスイッチ50Cが操作されてシステム停止要求が出力された時点(時刻t
1)ですぐに停止制御が実行されると、スタック温度が所定温度T
Lに低下するまでカソードガス及びアノードガスの燃料電池スタック1への供給が継続される。その後、時刻t2でシステム再起動要求があると、暖機制御が開始され、触媒燃焼器40に供給された燃料の燃焼熱を用いて燃料電池スタック1の暖機が行われる。停止制御では燃料は発電に使用されないため消費した燃料のほぼ全てが発電電力として回収されない燃料となり、暖機制御においても燃料は暖機用の熱源として利用されるため消費燃料のほとんどが発電電力として回収されることはない。このように燃料電池システム100を停止して再起動する場合には、
図3(A)の線L1に示すように多量の燃料が消費されることとなり、線L2に示すようにその燃料のほとんどは発電電力には寄与しない。
【0044】
一方、システム停止要求からシステム再起動までの時間が比較的短時間である場合等には、
図3(B)に示すように時刻t11でシステム停止要求があった場合でも、総合的なエネルギコストの観点から、燃料電池スタック1の温度が維持される程度の発電を継続する方が効率的である場合もある。つまり、停止要求から次回の車両運転開始までの間(時刻t11~t13)、燃料電池スタック1に燃料を供給し、燃料電池スタック1の温度が維持される程度の発電を継続しておくことで、車両運転開始タイミングと同時に燃料電池スタック1を通常運転させることができる。通常運転を開始可能なタイミングt13での消費燃料量(線L3)は、
図3(A)の停止要求から暖機完了までの間(時刻t1~t3)に消費される燃料量(線L1)よりも少なくなる。このように、燃料電池システム100を再起動するタイミングによっては、車両の運転が再開されるまで発電を継続することで、発電電力として回収されない燃料量を抑制することができ、燃料から生じるエネルギを効率的に発電に利用しているといえる。
【0045】
そこで、本実施形態の燃料電池システム100では、システム停止要求を検知した際に、システム停止・再起動する場合のエネルギコスト及び燃料電池スタック1での発電を継続する場合のエネルギコスト等を考慮して、できる限りエネルギ損失が少なくなるよう発電の継続、又は停止制御を実行する。
【0046】
以下、
図4を参照して、システム停止要求を検知した際に燃料電池システム100で実行される処理について説明する。
図4は、システム停止要求時に実行される処理の流れを示すフローチャートである。燃料電池システム100のコントローラ50は、
図4の処理を実行するようにプログラムされている。
【0047】
図4に示すように、コントローラ50は、まずステップS101において、システム停止要求があるか否かを判定する。車両は、スタートスイッチ50Cがドライバ等により操作されると、車両を停止するために燃料電池システム100の停止要求を出力するよう構成されている。コントローラ50は、スタートスイッチ50Cの操作に基づくシステム停止要求を検知(取得)した場合にシステム停止要求ありと判定し、その後ステップS102の処理を実行する。一方、コントローラ50は、システム停止要求を検知しない間はシステム停止要求がないものとして、ステップS101の処理を繰り返し実行する。
【0048】
ステップS102では、コントローラ50は、次回運転開始時刻(次回の車両運転開始タイミング)が設定登録されているか否かを判定する。本実施形態による燃料電池システム100を備える車両は、ドライバの車両運転計画等をコントローラ50のROM等に記憶することが可能な車両であって、ドライバ等がカーナビ装置又は自身が所有するスマートフォンを介して次に車両を使用する日時等を設定登録することができるよう構成されている。また、車両がカーシェリングで利用される車両である場合には、カーシェアリングでの利用状況に基づいて次回の車両運転開始タイミングが設定されてもよい。この次回運転開始時刻は、燃料電池システム100の暖機後であって、車両の運転が再開可能なタイミングを意味する。
【0049】
ステップS102において次回の車両運転開始タイミングを取得した場合には、コントローラ50はステップS103の処理を実行する。一方、次回の車両運転開始タイミングが設定登録されておらず、当該時刻を取得できなかった場合には、コントローラ50は、ステップS108の処理を実行し、各種エネルギコストを考慮することなく停止制御を開始して、燃料電池スタック1の温度を所定温度まで低下させた後に燃料電池システム100の運転を終了させる。
【0050】
ステップS103では、コントローラ50は、燃料電池システム100が外部充電装置80に接続されているか否かを判定する。この判定は、例えば、外部充電装置80の充電ガン81が充電コネクタ75に接続されたか否かを検知する接続状態検知センサの出力信号に基づいて実行される。外部充電装置80が接続されていない場合には、コントローラ50はステップS104以降の処理を実行する。一方、外部充電装置80が接続されている場合には、システム停止の際にバッテリ5を目標充電量まで充電する必要があると判断し、ステップS109以降の処理を実行する。
【0051】
外部充電装置80が接続されていない場合には、コントローラ
50は、ステップS104において停止・起動を実行した場合におけるエネルギコスト(以下、「停止・起動エネルギコスト」という。)を算出する。ステップS104で算出される停止・起動エネルギコストは、現時点(コスト算出タイミング)から燃料電池システム100を停止するための停止制御を実行した後、次回の車両運転開始タイミングに合わせて触媒燃焼器40を用いた暖機制御を実行して燃料電池スタック1の暖機が完了するまでに必要なエネルギコスト(第1エネルギコスト)である。この停止・起動エネルギコストは、例えば
図5Aに示すように算出される。
【0052】
図5Aは、コントローラ50の停止・起動エネルギコスト算出部51を示す図である。
図5Aに示すように、停止・起動エネルギコスト算出部51は、停止時間算出部51Aと、始動前スタック温度算出部51Bと、停止エネルギ算出部51Cと、起動エネルギ算出部51Dと、加算部51Eと、コスト算出部51Fと、を備えている。
【0053】
停止時間算出部51Aは、次回の車両運転開始タイミングに基づく燃料電池スタック1の再起動タイミングから現在の時刻(今回のコスト算出タイミング)を減算することで、車両及び燃料電池システム100を停止しておく停止時間を算出する。今回のコスト算出タイミングは、燃料電池システム100の停止要求を取得してから現時点までの時間であり、システム停止要求タイミングからの燃料電池スタック1の発電継続時間でもある。
【0054】
燃料電池スタック1の再起動タイミングは、ステップS102で取得される次回の車両運転開始タイミングに基づいて
図5Bのように算出される。
図5Bに示すように、コントローラ50は、現在のスタック温度を取得し、当該スタック温度に基づいて停止制御実行した際の温度低下特性線Laを算出する。この特性線Laは、現在のスタック温度ごとのマップデータとして予め記憶されていてもよいし、燃料電池スタック1の放熱量に基づく放熱シミュレーションから取得されてもよい。そして、コントローラ50は、温度低下特性線Laと、スタック温度-暖機時間特性線Lbと、取得した次回の車両運転開始タイミングとに基づいて、車両運転開始時に燃料電池スタック1の暖機が完了する燃料電池スタック1の再起動タイミングを算出する。つまり、コントローラ50は、現時刻からのスタック温度の低下を示す低下線Laと、次回車両運転開始時に暖機温度に到達するスタック温度-暖機時間特性線Lbとの交点を燃料電池スタック1の再起動タイミング(暖機開始タイミング)とする。なお、スタック温度-暖機時間特性線Lbは、暖機制御を行う時間とスタック温度上昇度合いとの関係を予めの実験等により得たデータである。この特性線Lbは、スタック熱容量と燃料電池スタック1に供給可能な熱量とに基づく昇温シミュレーションから取得されてもよい。
【0055】
図5Aに示すように、停止時間算出部51Aで停止時間を算出した後、始動前スタック温度算出部51Bは、停止時間と現在のスタック温度とに基づいて、燃料電池システム100の再起動タイミング(暖機開始タイミング)におけるスタック温度(始動前スタック温度)を算出する。現在のスタック温度は、燃料電池スタック1に設けられた温度センサ50Aにより取得されたものを使用してもよいし、燃料電池スタック1から排出されるオフガスの温度から推定するようにしてもよい。停止時間と始動前スタック温度との関係を示す特性線は、
図5Aに示すように停止時間が長くなるほど始動前スタック温度が低くなるような特性となっている。また、この特性線は、所定のスタック温度毎に設定されている。
【0056】
停止エネルギ算出部51Cは、始動前スタック温度に基づいて停止エネルギを算出する。この停止エネルギは、燃料電池システム100において停止制御を実行し、再起動タイミングまで当該システム100を停止しておく場合に必要なエネルギ(燃料量等)である。停止エネルギは、始動前スタック温度が小さくなるほど小さく算出される。また、この停止エネルギは、所定温度以下では一定値となるように算出される。これは、燃料電池スタック1の温度が所定温度以下になった場合はガス等による冷却は行われず、自然冷却する状態となるため、燃料等のエネルギの消費がないからである。
【0057】
起動エネルギ算出部51Dは、始動前スタック温度に基づいて起動エネルギを算出する。この起動エネルギは、再起動タイミングから暖機制御を開始し、燃料電池スタック1の暖機完了するまでに必要なエネルギ(燃料量等)である。起動エネルギは、始動前スタック温度が低くなるほど大きな値となる。
【0058】
加算部51Eは、停止エネルギと起動エネルギとを加算して、停止・起動エネルギを算出する。このように算出された停止・起動エネルギはコスト算出部51Fに入力される。コスト算出部51Fは、停止・起動エネルギに対して、単位エネルギ当たりのコストを積算して、停止・起動エネルギコストを算出する。単位エネルギ当たりのコストは、例えば単位リットル当たりの燃料費であり、予めコントローラ50に記憶されている値であってもよいし、外部情報端末等から適宜受信する値であってもよい。
【0059】
図4のS104で停止・起動エネルギコストを算出した後、コントローラ50は、S105において、このまま次回の車両運転開始タイミングまで燃料電池スタック1で発電を継続した場合におけるエネルギコスト(以下、「発電継続エネルギコスト」という)を算出する。S105で算出される発電継続エネルギコストは、現時点(コスト算出タイミング)から次回の車両運転開始タイミングまで、燃料電池スタック1の温度を暖機温度に維持可能な状態で発電させ続けた場合に必要なエネルギコスト(第2エネルギコスト)である。この発電継続エネルギコストは、例えば
図6に示すように算出される。
【0060】
図6は、コントローラ50の発電継続エネルギコスト算出部52及び外部充電エネルギコスト算出部53を示す図である。
図6に示すように、発電継続エネルギコスト算出部52は、電力量算出部52Aと、システム効率算出部52Bと、減算部52Cと、非回収エネルギ算出部52Dと、発電エネルギ算出部52Eと、選択部52Fと、コスト算出部52Gと、を備えている。
【0061】
電力量算出部52Aは、燃料電池スタック1での発電出力に対して、次回運転時刻(次回の車両運転開始タイミング)と現在時刻(今回のコスト算出タイミング)との差である継続時間を乗算することで、スタック電力量を算出する。発電継続中においては、燃料電池スタック1はスタック温度が暖機温度に維持されるような状態で発電しているため、発電出力は予め設定された所定値としてコントローラ50のROM等に記憶されている。なお、現時点での出力電流及び出力電圧に基づいて発電出力を算出し、このように算出した発電出力値を電力量算出部52Aで使用する発電出力としてもよい。
【0062】
システム効率算出部52Bは、システム効率テーブルを参照し、発電出力に基づいて、燃料電池システム100の各種構成要素での電力損失等を考慮した、システム全体における電力変換効率を算出する。電力変換効率は、0以上1以下の数値となる。
【0063】
減算部52Cは1から電力変換効率を減算した値を算出し、非回収エネルギ算出部52Dは、減算部52Cで算出された値とスタック電力量とを乗算して、非回収エネルギを算出する。この非回収エネルギは、発電継続中において消費されるエネルギのうち電力としては回収されないエネルギ(燃料量等)である。
【0064】
発電エネルギ算出部52Eは、スタック電力量をシステム全体における電力変換効率で除算することで、燃料電池スタック1を用いて当該スタック電力量を生み出すために必要な総発電エネルギ(燃料量等)を算出する。
【0065】
選択部52Fは、バッテリ5に対する目標充電電力量が設定されているか否かに応じて、非回収エネルギ及び総発電エネルギの一方を発電継続エネルギとして出力する。燃料電池システム100ではシステム停止時におけるバッテリ最低充電量が定められており、このバッテリ最低充電量を満たすように目標充電電力量が設定される。なお、バッテリ5の充電量が許容上限充電量となるように目標充電電力量が設定されてもよい。燃料電池システム100は、目標充電電力量が設定される場合、外部充電装置80によりバッテリ5を充電するようドライバ等に報知するよう構成されてもよい。したがって、選択部52Fは、燃料電池システム100が外部充電装置80に接続されている場合に、目標充電電力量が設定されていると判断してもよい。選択部52Fは、目標充電電力量が設定されていない場合には非回収エネルギを発電継続エネルギとして出力し、目標充電電力量が設定されている場合には総発電エネルギを発電継続エネルギとして出力する。
【0066】
コスト算出部52Gは、発電継続エネルギ(燃料量等)に対して、単位エネルギ当たりのコストを積算して、発電継続エネルギコストを算出する。単位エネルギ当たりのコストは、例えば単位リットル当たりの燃料費であり、予めコントローラ50に記憶されている値であってもよいし、外部情報端末等から適宜受信する値であってもよい。
【0067】
図4のステップS104及びS105において停止・起動エネルギコスト及び発電継続エネルギコストを算出した後、コントローラ50はS106の処理を実行する。S106において、コントローラ50は、このまま次回の車両運転開始タイミングまで発電を継続する場合に必要な発電継続エネルギコストと、現時点から停止制御を行った後、車両運転開始時までに暖機制御を行う場合に必要な停止・起動エネルギコストとを比較する。
【0068】
コントローラ50は、停止・起動エネルギコストが発電継続エネルギコストよりも大きい場合、燃料電池スタック1での発電を継続した方がエネルギ損失が小さいと判断し、ステップS107の処理を実行する。一方、コントローラ50は、停止・起動エネルギコストが発電継続エネルギコスト以下である場合、この段階で停止制御を開始した方がエネルギ損失が小さいと判断し、ステップS108の処理を実行する。
【0069】
ステップS107では、コントローラ50は、燃料電池スタック1にアノードガス及びカソードガスを供給し続け、燃料電池スタック1の温度が暖機温度に維持されるような発電状態で燃料電池スタック1での発電を継続させる。ステップS107の処理を実行後、コントローラ50はステップS103の処理を実行する。
【0070】
ステップS108において、コントローラ50は、燃料電池スタック1での発電を終了して停止制御を開始する。この停止制御では、主にカソードガスを燃料電池スタック1に供給することで当該燃料電池スタック1の温度を所定温度まで低下させ、燃料電池システム100の運転を終了させる。なお、このように運転が停止された燃料電池システム100では、燃料電池スタック1の再起動タイミングまで動作が停止され、再起動タイミングにおいて暖機制御が開始されることとなる。
【0071】
一方、外部充電装置80が接続される等して、バッテリ5の目標充電電力量が設定されている場合には、コントローラ50は、ステップS109で停止・起動エネルギコストを算出し、ステップS110で発電継続エネルギコストを算出する。ステップS109での停止・起動エネルギコストの算出はステップS104での停止・起動エネルギコスト算出と同じであり、ステップS110での発電継続エネルギコストの算出はステップS105での発電継続エネルギコストを同じである。
【0072】
ステップS110の処理後、コントローラ50は、ステップS111において、現時点から外部充電装置80によりバッテリ5を目標充電量まで充電した場合に必要なエネルギコスト(以下、「外部充電エネルギコスト」という)を算出する。ステップS111で算出される外部充電エネルギコストは、今回のコスト算出タイミングから目標充電量に到達するまで外部充電装置80によりバッテリ5を充電した場合に必要なエネルギコスト(第3エネルギコスト)である。この外部充電エネルギコストは、例えば
図6に示すように算出される。
【0073】
図6に示すように、外部充電エネルギコスト算出部53は、外部充電エネルギ算出部53Aと、コスト算出部53Bと、を備えている。
【0074】
外部充電エネルギ算出部53Aは、目標充電量まで充電を行うために必要な目標充電電力量から、発電継続エネルギコスト算出部52で算出されたスタック電力量(燃料電池スタック1からバッテリ5に充電される電力量)を引くことで、外部充電エネルギ(電力量等)を算出する。目標充電電力量は、バッテリ充電量がシステム起動時に必要な電力を考慮して予め定められた最低充電量を下回っている場合に、最低充電量(目標充電量)と現在のバッテリ充電量との差に基づいて算出される。コントローラ50は、電圧センサ50D等の検出値に基づいて現在のバッテリ充電量を算出する。
【0075】
コスト算出部53Bは、外部充電エネルギ(電力量等)に対して、単位エネルギ当たりの電気コストを積算して、外部充電エネルギコストを算出する。単位エネルギ当たりの電気コストは、例えば単位電力量当たりの電気代であり、予めコントローラ50に記憶されている値であってもよいし、外部情報端末等から適宜受信する値であってもよい。
【0076】
図4のステップS109~S111において停止・起動エネルギコスト、発電継続エネルギコスト、外部充電エネルギコストを算出した後、コントローラ50はステップS112の処理を実行する。ステップS112において、コントローラ50は、発電継続エネルギコストと、停止・起動エネルギコスト及び外部充電エネルギコストの和とを比較する。
【0077】
コントローラ50は、停止・起動エネルギコスト及び外部充電エネルギコストの和が発電継続エネルギコストよりも大きい場合、燃料電池スタック1での発電を継続した方がエネルギ損失が小さいと判断し、ステップS113の処理を実行する。
【0078】
ステップS113では、コントローラ50は、燃料電池スタック1にアノードガス及びカソードガスを供給し続け、燃料電池スタック1の温度が暖機温度に維持されるような発電状態で燃料電池スタック1での発電を継続させる。この際、外部充電装置80によるバッテリ充電も継続されている。ステップS113の処理を実行後、コントローラ50はステップS103の処理を実行する。
【0079】
一方、ステップS112において停止・起動エネルギコスト及び外部充電エネルギコストの和が発電継続エネルギコスト以下であると判定された場合、コントローラ50は、この段階でシステム停止制御を実行した方がエネルギ損失が小さいと判断し、ステップS108の処理を実行する。S108において、コントローラ50は、燃料電池スタック1での発電を終了してシステム停止制御を開始する。なお、システム停止制御により燃料電池スタック1での発電は停止されるが、外部充電装置80によるバッテリ充電は継続されることとなる。
【0080】
上記した本実施形態の燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0081】
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1を暖機するための触媒燃焼器40とを備え、ドライバ等からのシステム運転停止要求を受け付けた際に停止制御を実行するよう構成されている。燃料電池システム100のコントローラ50は、燃料電池システム100の運転停止要求を取得し、次回の車両の運転開始タイミングを取得し、当該運転停止要求及び次回の運転開始タイミングを取得した後、所定タイミング(今回のコスト算出タイミング)において停止・起動エネルギコスト及び発電継続エネルギコストを算出する。停止・起動エネルギコストは、所定タイミングから停止制御を実行した後、次回の車両運転開始タイミングに合わせて触媒燃焼器40を用いた暖機制御を実行して、燃料電池スタック1の暖機が完了するまでに必要なエネルギコストである。発電継続エネルギコストは、所定タイミングから次回の車両運転開始タイミングまで、燃料電池スタック1の温度を暖機温度に維持するよう燃料電池スタック1の運転を継続する場合に必要なエネルギコストである。コントローラ50は、運転停止要求を取得してから停止・起動エネルギコストが発電継続エネルギコストより大きい間は、燃料電池スタック1の温度が暖機温度に維持されるよう燃料電池スタック1の運転を継続する。
【0082】
このように燃料電池システム100は、システム停止要求を取得してから停止・起動エネルギコストが発電継続エネルギコストより大きい間は、燃料電池スタック1の運転を継続するので、システム停止要求後におけるエネルギ損失を抑制することが可能となる。このように、システム停止要求を受けた際に、システム停止から次回の車両運転開始までのエネルギコスト及び燃料電池の発電に伴うエネルギコスト等を考慮することで、エネルギコストを抑制可能な燃料電池システム100の制御を実現することが可能となる。
【0083】
また、コントローラ50は、運転停止要求を取得してから、停止・起動エネルギコストが発電継続エネルギコスト以下となった場合に停止制御を開始する。このように停止・起動エネルギコストが発電継続エネルギコスト以下となった時に停止制御を実行することで、システム停止要求後におけるエネルギ損失を抑制することが可能となる。
【0084】
また、コントローラ50は、所定タイミング(コスト算出タイミング)から燃料電池スタック1の再起動タイミング(暖機開始タイミング)までの停止時間と、所定タイミングでのスタック温度とに基づいて停止制御実行後の始動前スタック温度を算出し、算出された始動前スタック温度に基づいて停止・起動エネルギコストを算出する。このように始動前スタック温度を用いることで、停止制御及び暖機制御に係るエネルギコストを精度よく算出することが可能となる。
【0085】
さらに、燃料電池システム100のコントローラ50は、所定タイミング(コスト算出タイミング)から次回の車両運転開始タイミングまでの継続時間と、燃料電池スタック1での発電出力とに基づいてスタック電力量を算出し、算出されたスタック電力量と燃料電池システム100における電力変換効率とに基づいて発電継続エネルギコストを算出する。このように、燃料電池スタック1で発電され得るスタック電力量と、システム全体を考慮して定めれた電力変換効率とを用いることで、燃料電池スタック1で発電を継続した場合におけるエネルギコストを精度よく算出することが可能となる。
【0086】
さらに、燃料電池システム100は車両用電源としてのバッテリ5と、外部充電装置80の充電部81と接続可能な充電コネクタ75とをさらに備え、バッテリ5は燃料電池スタック1及び外部充電装置80の少なくとも一方により充電可能に構成される。コントローラ50は、燃料電池システム100が外部充電装置80に接続されている場合に、外部充電装置80によりバッテリ5を目標充電量まで充電するのに必要な外部充電エネルギコストを算出する。コントローラ50は、運転停止要求を取得してから、停止・起動エネルギコスト及び外部充電エネルギコストの和が発電継続エネルギコストより大きい間は、燃料電池スタック1の温度が暖機温度に維持されるよう燃料電池スタック1の運転を継続し、停止・起動エネルギコスト及び外部充電エネルギコストの和が発電継続エネルギコスト以下となった時に停止制御を開始する。
【0087】
燃料電池システム100では、外部充電装置80によりバッテリ充電が行われる場合、停止・起動エネルギコスト及び発電継続エネルギコストだけでなく、外部充電エネルギコストについも考慮したうえで、燃料電池スタック1の運転を継続するか又は停止制御を実行するかを決定することができる。これにより、燃料電池システム100が外部充電装置80に接続された場合であっても、システム停止要求後におけるエネルギ損失を抑制することが可能となる。
【0088】
燃料電池システム100のコントローラ50は、所定タイミング(コスト算出タイミング)から次回の車両運転開始タイミングまでの継続時間と、燃料電池スタック1での発電出力とに基づいてスタック電力量を算出し、バッテリ5の目標充電電力量と当該スタック電力量とに基づいて外部充電エネルギコストを算出する。このようにバッテリ5の目標充電電力量とスタック電力量とを用いることで、外部充電装置80によりバッテリ5を充電する場合におけるエネルギコストを精度よく算出することが可能となる。
【0089】
<第2実施形態>
次に、
図7~
図9を参照して、本発明の第2実施形態による燃料電池システム100について説明する。以下の実施形態では、第1実施形態と同じ機能を果たす構成等には同一の符号を用い、重複する説明を適宜省略する。
【0090】
第2実施形態による燃料電池システム100は、当該システムが外部充電装置80に接続されている場合等において、システム停止要求後のエネルギ損失が最小となるよう燃料電池スタック1の発電継続時間を設定するよう構成されている。
【0091】
図7を参照して、システム停止要求を検知した際に、第2実施形態による燃料電池システム100で実行される処理について説明する。
図7は、システム停止要求時に実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図7のステップS201~S208以外の処理は
図4で説明した処理と同じであるので、ここではステップS201~S208の処理について説明する。
【0092】
図7に示すように、ステップS103において外部充電装置80が接続されており、バッテリ5の目標電力量が設定されている場合、コントローラ50はステップS201の処理を実行する。
【0093】
ステップS201において、コントローラ50は、例えば、次回運転開始時刻に基づく燃料電池スタック1の再起動タイミングから停止要求を取得した時刻(停止要求取得タイミング)を差し引くことで、燃料電池スタック1の発電継続可能時間の最大値としての最大発電継続時間TMAXを算出する。
【0094】
ステップS202において、コントローラ50は、最大発電継続時間TMAXを所定回数kで分割した発電継続時間Tk(例えばk=0~10)を決定する。発電継続時間Tkは停止要求取得タイミングからの経過時間を示し、例えば最大発電継続時間TMAXが10分である場合には各発電継続時間の値はT0=0分、T1=1分、T2=2分、・・・、T10=10分となる。
【0095】
ステップS203において、コントローラ50は、停止要求取得タイミングから発電継続時間Tkだけ発電した後に停止・起動制御を実行する場合に必要なエネルギコスト(第2の停止・起動エネルギコスト)を算出する。
図8に示すように、コントローラ50(停止・起動エネルギコスト算出部51)は、再起動タイミングと発電継続時間Tkとに基づいて停止時間を算出し、この停止時間を始動前スタック温度算出部51Bに入力することで第2の停止・起動エネルギコスト(第4エネルギコスト)を算出している。第2の停止・起動エネルギコストは、停止要求タイミングから設定された発電継続時間を経過した後に停止制御を実行し、次回の車両運転開始タイミングに合わせて加熱器を用いた暖機制御を実行して、燃料電池の暖機が完了するまでに必要なエネルギコストである。
図8の停止時間算出部51Aには、第1実施形態のように実際のコスト算出タイミング(現在時刻)を入力するのではなく、ステップS202で算出された発電継続時間Tkが入力される。
【0096】
ステップS203で第2の停止・起動エネルギコストを算出した後、ステップS204において、コントローラ50は、停止要求取得タイミングから発電継続時間Tkだけ発電する場合に必要なエネルギコスト(第2の発電継続エネルギコスト)を算出する。
図9に示すように、コントローラ50(発電継続エネルギコスト算出部52)は、燃料電池スタック1の発電出力と発電継続時間Tkとに基づいて発電継続期間におけるスタック電力量を算出し、このスタック電力量を
発電エネルギ算出部52Eに入力することで第2の発電継続エネルギコスト(第5エネルギコスト)を算出している。
図9の
電力量算出部52Aには、第1実施形態のように停止時間を入力するのではなく、ステップS202で算出された発電継続時間Tkが入力される。
【0097】
ステップS204で第2の発電継続エネルギコストを算出した後、ステップS205において、コントローラ50は、外部充電装置80によりバッテリ5を目標充電量まで充電する場合に必要なエネルギコスト(第2の外部充電エネルギコスト)を算出する。
図9に示すように、コントローラ50(外部充電エネルギコスト算出部53)は、目標充電電力量と、発電出力及び発電継続時間Tkから算出されたスタック電力量とに基づいて、第2の外部充電エネルギコスト(第6エネルギコスト)を算出している。
【0098】
上述のように外部充電エネルギコストを算出した後、コントローラ50は、
図7のステップS206において、発電継続時間Tkにおける停止・起動エネルギコスト、発電継続エネルギコスト、及び外部充電エネルギコストを加算して、総エネルギコストCkを算出する。この総エネルギコストCkは、コントローラ50のRAM等の記憶媒体に一時的に記憶される。
【0099】
ステップS207において、コントローラ50は、発電継続時間T0~10の全てにおいて総エネルギコストC0~10が算出されたか否かを判定し、全ての計算が終わっていない場合には変数kをカウントアップし、ステップS203以降の処理を繰り返す。発電継続時間T0~10の全てにおいて総エネルギコストC0~10が算出されると、コントローラ50はステップS208の処理を実行する。
【0100】
ステップS208において、コントローラ50は、発電継続時間T0~10における各総エネルギコストC0~10のうち、総エネルギコストが最も小さくなる発電継続時間を選択し、停止要求取得タイミングから選択された発電継続時間を経過するまで、燃料電池スタック1の温度が暖機温度に維持されるような発電状態で燃料電池スタック1の運転(発電)を継続させる。そして、発電継続時間経過したタイミングで、コントローラ50は燃料電池スタック1での発電を終了して停止制御を開始する。
【0101】
上記した本実施形態の燃料電池システム100によれば、
図10に示すように、ドライバ等からのシステム停止要求時に、最大発電継続時間を分割して得られた各発電継続時間T
0~
10ごとに第2の停止・起動エネルギコスト、第2の発電継続エネルギコスト、及び第2の外部充電エネルギコストの総和(総エネルギコスト)を算出する。コントローラ50は、発電継続時間T
0~
10における各総エネルギコストのうち、総エネルギコストが最も小さくなる発電継続時間を選択する。例えば、
図10に示すように、発電継続時間T
5における総エネルギコストが最も小さい場合には、停止要求取得タイミングから発電継続時間T
5を経過するまで燃料電池スタック1の運転(発電)が継続され、その後停止制御が実行される。燃料電池システム100は総エネルギコストが最も小さくなる発電継続時間だけ燃料電池スタック1の運転(発電)を継続する構成であるため、システム停止要求後におけるエネルギ損失をより確実に抑制することが可能となる。
【0102】
なお、第2実施形態では、コントローラ50は、発電継続時間Tkの中で最もエネルギコストが小さくなるものを発電継続時間として選択するが、発電継続時間の選択手法はこれに限られない。例えば、発電継続時間Tkのうち、最もエネルギコストが小さい時間と、その次にエネルギコストが小さい時間との2つの時間を抽出し、これら2つの時間から平均時間を算出する。そして、この平均時間における総エネルギコストを算出し、平均時間における総エネルギコストと発電継続時間Tkにおける最低総エネルギコストとを比較して、小さいエネルギコストの方を発電継続時間として選択するようにしてもよい。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を、上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。上記実施形態に対し、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で様々な変更及び修正が可能である。また、上述した第1実施形態及び第2実施形態で説明した技術思想は適宜組み合わせが可能である。
【0104】
上記した実施形態による燃料電池システム100は、触媒燃焼器40での燃焼熱を利用して燃料電池スタック1の暖機を行う構成であるが、燃料電池スタック1自体の温度を調整可能な電気式温度調整器を用いて燃料電池スタック1を暖機する構成であってもよい。このように電気式温度調整器を用いる場合には、当該調整器で消費される電力に基づいて起動エネルギ等が算出される。
【0105】
上記した実施形態では、燃料電池スタック1は、固体酸化物型燃料電池であるが、システム停止時に所定の停止制御を実行し、かつ起動時に所定の暖機制御を実行する燃料電池であれば、固体酸化物型燃料電池以外の燃料電池であってもよい。