(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】改良型照光式歩行補助装置
(51)【国際特許分類】
A45B 3/04 20060101AFI20221024BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20221024BHJP
F21L 4/00 20060101ALI20221024BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20221024BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221024BHJP
【FI】
A45B3/04 D
H05B47/105
F21L4/00 605
F21V23/00 140
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021552514
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(86)【国際出願番号】 US2019020934
(87)【国際公開番号】W WO2020180312
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521395300
【氏名又は名称】ウィン,レイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ウィン,レイ
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6394116(US,B1)
【文献】中国実用新案第204131195(CN,U)
【文献】特開2012-125387(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189163(JP,U)
【文献】特開平7-47007(JP,A)
【文献】特開2006-218259(JP,A)
【文献】特開平7-246109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 3/04
H05B 47/00
F21L 4/00
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照光式歩行補助装置であって、
第一端に地面係合先端部分を有し、反対側の第二端にハンドルを有する細長いスタッフであって、前記先端部分近くに位置し前記先端部材の近くの地面を選択的に点灯するために発光部材が内部に配置されたライトパイプを有するスタッフと、
前記発光部材を通電させるために制御回路を介して結合された電気エネルギー源と、
前記装置が使用されているときに自動的に前記発光部材を点灯させる、前記制御回路に結合されたモーションセンサ部材と、を備え、
前記スタッフは、暗い環境で容易に前記装置を見つけるために常に点灯している赤色常夜灯をさらに有する照光式歩行補助装置。
【請求項2】
前記発光部材は、前記ライトパイプの内部に配置された基板上で支持された4つのLEDチップを含むLEDアレイを備える、請求項1に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項3】
レム睡眠サイクル中断の影響を低減するために夜間使用のためにライトパイプに隣接する摺動筒部上に赤色フィルタをさらに備える、請求項1に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項4】
前記制御回路に結合された前記ハンドル内に配置された
読書灯と、前記制御回路に結合され、前記
読書灯を点灯さ
せる押しボタンスイッチとをさらに備える、請求項
1に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項5】
前記制御回路に結合されたプッシュオン・プッシュオフスイッチをさらに備え、ON位置にあるときに、前記発光部材を繰り返し点滅させて注意を引きつける、請求項1に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項6】
前記電気エネルギー源は、充電式リチウム電池である、請求項
1に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項7】
前記ハンドルに配置され、前記電池を充電する際に使用するためのUSBポートをさらに備える、請求項
6に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記ハンドル内に配置された回路基板上に配置される、請求項
1に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項9】
前記制御回路はデジタル制御回路を備える、請求項
8に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項10】
前記制御回路はアナログ制御回路を備える、請求項
8に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項11】
前記装置が所定時間休止状態のときに自動的に前記発光部材を消灯する、前記制御回路に結合されたタイムアウトセンサをさらに備える、請求項
1に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項12】
前記ユーザが光の補助なしで歩行するのに十分な周囲光であるときに前記発光部材が点灯しないようにする、前記制御回路に結合された周囲光検出器をさらに備える、請求項
1に記載の照光式歩行補助装置。
【請求項13】
照光式歩行補助装置であって、
第一端に地面係合先端部分を有し、反対側の第二端にハンドルを有する細長いスタッフであって、前記先端部分近くに位置し前記先端部材の近くの地面を選択的に点灯するために発光部材が内部に配置されたライトパイプを有するスタッフと、
前記発光部材を選択的に覆うために前記ライトパイプに摺動可能に係合する赤色フィルタであり、それにより夜間の前記装置の使用中におけるレム睡眠サイクル中断の影響を低減する赤色フィルタと、を備える照光式歩行補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、個人の歩行を助けるための装置に関し、より詳細には、装置のすぐ近くで全般照明を提供し、さらに、他者に信号を送る、所望の物品を見つける、およびユーザが暗闇の中で装置を見つけるのを助けるなど、様々な目的のためにユーザによって作動され得る追加の照明を提供する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術は、内蔵型の照明装置を有する多数の装置を開示しており、これらの装置は、人がもっとよく見るのを助けるために使用されるか、ユーザの位置を他者に示すための標識などとして使用される。光源は、装置の細長いシャフトに組み込まれているか、またはユーザが使用するために光を放つように装置に取り付けられている。
【0003】
先行技術の最も関連性の高いものは、本出願人の米国特許第6394116号であり、この特許は、装置のすぐ近くで拡散照明を提供すると同時に、他者に警告するまたは信号を送るためにかなりの距離にわたって見えるが、大部分はユーザにはあまり見えない明るい光を提供するライトパイプを下方部分に有するスタッフの形態の照光式歩行補助装置を開示している。
【0004】
2000年11月14日に出願されたFilippinoの米国特許第6145993号は、光源、電池、スイッチおよび導線で形成された硬質透明または半透明アクリル材料の一体型ユニットを開示しており、この一体型ユニットは、視覚障害者ユーザの要求を他者に知らせる目的で、結び目またはスライド手段のいずれかによって杖に取り付けられ得る。
【0005】
1998年9月22日に出願されたYungの米国特許第5810466号は、ユーザの移動経路を照明するために前方に光を投影するためのハンドル内の懐中電灯と、杖の領域の周囲の全般照明のためのスタッフ内の細長いガス充填管灯とを有する歩行用杖を開示している。
【0006】
1996年11月26日に出願されたLeffingwellらの米国特許第5577827号に開示されているのは、アラームおよび照明付き端部を有する杖装置である。
【0007】
1994年7月26日に出願されたHallらの米国特許第5331990号に開示されているのは、電話アラームシステムにも接続される安全杖装置である。杖のシャフト内の照明付き窓は、ユーザの視力を助ける。
【0008】
1994年10月4日に出願されたHunnicutt,Jrらの米国特許第5351704号は、本体と、特定の方向に光を供給するための反射手段を有する透明ゴム材料からなる接地先端部とを有する照明付き歩行用杖を提供する。照明手段および回路は、杖の異なる部分に収容される。
【0009】
1993年3月30日に出願されたRagatzの米国特許第5197501号に開示されているのは、2つの光源およびアラームを収容する照明付き杖である。スイッチおよび電池は、照明ユニットとは別個に収容される。Ragatzの発明の従来の不透明な接地先端部分の光は、反射光をシャフトに沿って長手方向に向けるように位置決めされる。
【0010】
1986年1月7日に出願されたEarleyらの米国特許第4562850号に開示されているのは、ハンドル内にスイッチを収容し、照明装置は杖の基部付近にある杖である。
【0011】
1986年12月2日に出願されたPhillipsの米国特許第4625742号に開示されているのは、ユーザの歩道を照らすために使用され、かつ他者がユーザを見るための標識として使用される杖である。発光端部(接地先端部)は、半透明または透明である。光源および電池は、スイッチとは別個に収容される。
【0012】
1978年7月11日に出願されたHubachekの米国特許第4099535号に開示されているのは、接地先端部の上方の杖シャフトの一部に光放出用の窓を有する、昼間または夜間に視認可能な視覚障害者用の歩行用杖である。摩耗先端部または地面係合部材は、従来の不透明材料で作られる。スイッチはハンドル内にある。
【0013】
1976年10月26日に出願されたVarnellの米国特許第3987807号に開示されている杖は、ハンドル内のスイッチによって操作される、杖の先端の端部にライトを有する。その目的は、ユーザが暗い隅および周囲領域を見ることができるようにすることである。
【0014】
1949年6月27日に出願されたCaustinの米国特許第2642519号に開示されているのは、自動車運転者または車両の運転者がユーザの苦難を見て認識することができる杖である。光はシャフト長を通って進む。接地先端部は、シャフトの端部からの光を遮る材料から作られる。
【0015】
1940年6月8日に出願されたGiaimoの米国特許第2271190号に開示されているのは、杖が配置される領域を照明するためのものである。
【0016】
Sargentの米国特許第4013881号は、ユーザによってスイッチを介して制御される点滅灯手段と、指先操作のためにハンドル部に収容されたスイッチによってさらに制御されるシャフトを通る直接光線とを開示している。
【0017】
Bolenの米国特許第4062371号は、視覚障害者によって使用される歩行用杖を開示しており、この歩行用杖は、制御スイッチを操作することによって通電されるランプと、杖の中空内部に格納された電池を再充電するために電流を生成する太陽電池とを含む。
【0018】
Haeらの米国特許第5582196号は、個人の装備品を保管するための収納室を画定し、照明および/または警告のための光を生成するためにスイッチによって制御されるランプ/電池アセンブリを保持する中空ハンドルを有する多目的杖を開示している。
【0019】
Paschらの米国特許第5595434号は、ハンドル部材または懐中電灯のランプハウジングに取り付けるための懐中電灯棒取付具を開示している。
【0020】
Yangの米国特許第6267481号は、傘用の照明アセンブリであって、傘の使用の安全性を高めるためにLEDからの照明が透明な管状部材から外向きに反射されるように、管状部材に着脱可能に取り付けられたスリーブ内に収容されたLEDを含む透明な管状部材を有する照明アセンブリを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
開示されている先行技術の装置は意図された目的の機能を果たすが、ユーザを支援するための照明、信号伝達または警告目的のための明るい標識型の光を提供するだけでなく、ユーザを支援するための追加の発光手段を提供する照光式歩行補助装置の必要性が依然として存在する
【課題を解決するための手段】
【0022】
一端にハンドルを有し、他端に地面係合先端部を有する細長いスタッフであって、先端部分に隣接して配置された拡散部を有し、ユーザの足元で光を発生させるために高輝度発光部材が内部に配置されたライトパイプを含むスタッフと、発光部材を通電させるために制御回路を介して結合された電気エネルギー源と、装置が使用されているときに自動的に発光部材を点灯させる、制御回路に結合されたモーションセンサ部材と、装置が所定時間休止状態のときに自動的に発光部材をオフにする、制御回路内のタイムアウト部材と、ユーザが光の補助なしで歩行するのに十分な周囲光であるときに発光部材が点灯しないようにする、制御回路に結合された周囲光検出器とを含む、照光式歩行補助装置。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の原理に従って構成された歩行補助装置の概略図である。
【
図2】
図1に示されている装置の下方部分の部分図であり、ライトパイプおよびLED照明部材を示す図である。
【
図3】
図2に示されている装置の下方部分に配置されたLEDアレイの上面図である。
【
図4】
図1に示されている装置のためのアナログ制御回路を示す概略図である。
【
図5】
図1に示されている装置の発光部材を制御するために利用されるデジタル回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の歩行補助装置は、ハイカーまたは歩行者によって使用されるステッキのような多くの形態を取り得、様々な目的のために使用され得るが、説明しやすくするために、以下の説明は、本発明を組み込む特定の装置として歩行用杖を使用して示されているが、請求項の範囲に関する限定として解釈されるべきではない。本発明の照光式装置は、夜間または減光状況で杖ユーザの経路を照らすのに十分な照明を提供し、また、ユーザによって制御されるスイッチによって起動可能な追加の光源を含み、ユーザを様々な方法で支援する。例えば、特に夜間に、ユーザが装置を見つけるのを助けるために、常に照明状態で維持されるパイロットライトが提供される。また、読書をする、鍵穴を見つける、メニューを照らす、または暗い劇場において座席を見つけるなどの目的のための追加の光を提供するために、ユーザによって起動されるスイッチによって制御される追加の高輝度LEDが提供される。ユーザによって起動可能な追加のスイッチはさらに、装置の先端にある主照明LEDを点滅させて、杖のユーザの存在を他者に警告するか、またはタクシーを呼び止めるなどのために注意を引きつけることができる。ユーザを支援することに加えて、杖が実際に使用されているときに杖の先端の主LEDを自動的に点灯させるモーションセンサが設けられ、さらに、補助照明なしでユーザが杖を利用するのに十分な光があるときに杖が主LED光を作動させることができないようにする周囲光センサも設けられる。
【0025】
ここで図面、特に
図1を参照すると、本発明の原理に従って構成された照光式杖の概略図が全体として10で示されている。本発明は、傘、ハイキングステッキまたは他の同様の装置の一部として組み込まれ得る。杖10は、一端に地面係合先端部14を有し、他端にハンドル16を有する細長いスタッフ12を含む。地面係合先端部は、独立型杖の機能を付与する三脚または大きな基部であってもよい。細長いスタッフ12は、先端部分14に隣接して配置されたライトパイプ18を含む。ライトパイプ18は、つや消しまたは拡散部分と、透明または研磨部分とを含む。随意の夜間使用のために、赤色透明または半透明プラスチック製摺動筒部上の赤色フィルタ29が設けられる。赤色光は、典型的な寝室環境の中を通行するのに十分な照明を提供する一方で、白色光によるレム睡眠サイクル中断の周知の現象の影響を低減する。赤色光は、この中断の影響を著しく減少させることが知られている。杖の細長いシャフト12は中空であり、その内部に電池20を収容する。杖はさらに、使用者の必要性に応じて様々な高さに調整可能である。このような調整は、当業者によく知られているように、複数の戻り止め穴22および戻り止めボール24を利用して行われる。装置内に含まれる主な照明部材は、ハンドル16の内部に配置される回路基板30内に含まれる制御回路に適切な配線28によって接続される高輝度LED26である。回路基板は、以下により詳細に説明するように、制御回路およびUSBポート32を含む。当業者にはよく知られているように、ハンドル16は発泡体製グリップ34を含む。ハンドルは、細長いシャフト12の長手方向軸に対して垂直に配置された形で示されているが、シャフトは、その端部にハンドルが配置された連続直線シャフトであってもよいことは当業者によって理解されるであろう。しかしながら、本発明の好ましい実施形態によれば、
図1に示されている細長いシャフト対して垂直に配置されたハンドルを利用する。その主な理由は、ユーザが細長いシャフト上に配置された様々な制御スイッチに容易にアクセスできるようにするためである。
【0026】
細長いシャフト上に配置されたスイッチは、ONスイッチ36を含む。このスイッチは、ライトを点灯させるタイマを起動するONスイッチであり、時間が経過すると、スイッチがON位置で保持されない限りライトは消える。解除されると、タイマが停止した後にライトは消える。スイッチ38は、読書灯40の照明を制御するために含まれる。さらに開示されているのは、ユーザによって起動されると、注意を引きつけるまたは杖のユーザの存在を他者に警告するためにLED26を点滅させるスイッチ42である。さらに杖上には、周囲光センサ44も配置されている。周囲光センサの目的は、ユーザが照明を必要とせずに杖を使用することができるのに十分な周囲光があるときに、高輝度LED26の点灯を防止することである。ONスイッチ36は、光センサ、モーションセンサおよびフラッシュ機能を無効にする。さらに、ユーザが杖を見つけるのを助けるために常時点灯しているパイロットライト41が設けられる。
【0027】
回路基板は、モーションセンサ(以下により詳細に説明する)を含み、このモーションセンサは、杖が使用されているときに自動的に高輝度LED26を点灯させ、回路基板はさらに、杖が動かなくなったときに高輝度LED26が所定の時間後に自動的に消えるようにタイムアウト装置を含む。
【0028】
当業者にはよく理解されるように、リボンワイヤは、様々なスイッチ、様々なライト、ならびに回路基板上に含まれる制御回路、および電池と接触して配置され、ユーザの希望通りに起動される制御回路、スイッチ、および様々なライトへの適切なアクセスを提供する。
【0029】
ここで特に
図2を参照すると、ライトパイプアセンブリがさらに詳細に開示されている。図示されているように、ライトパイプは座ぐり穴46を含み、配線28は座ぐり穴46を通ってLEDアレイ26まで延びる。ライトパイプ18の下方部分48は、ユーザが使用するための拡散照明を提供するために拡散部分であり得、それと同時に、ユーザの存在を他者に警告するために、または他者に警告するもしくはタクシーを呼び止めるなどの目的で高輝度LEDが点滅しているときに高輝度LEDを放出するために、明るい光がセクション48から発生するように透明なセクションをさらに有し得る。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、LEDアレイは、
図3に示されているように、ライトパイプ18の内部に配置された基板58上に取り付けられた4つのLEDチップ50、52、54、56を含む。LEDチップ50~56は、リード線60、62で示されているように、LEDチップへの適切な電気的接続を有し、電池20からLEDへ電気エネルギーを供給し、LEDを作動させて、LED26から高輝度光を発生させる。
【0031】
特に
図4を参照すると、杖の先端の高輝度LED26を制御するために利用されるアナログ回路の概略図が示されている。次に、回路の動作方法について説明する。電池B1は、回路内の様々な構成要素に電気エネルギーを供給する。暗い部屋の中では、図示されている位置の主スイッチ36(SW-2)により、電界効果トランジスタQ2は、Q2のベースを正に保持する抵抗器R7のために導通状態にあり、光依存性抵抗器LDR-1はほぼ無限大の抵抗である。杖の動きによってモーションスイッチSW-1が一時的に閉じると、抵抗器R1を介して正電圧が印加され、抵抗器R3がコンデンサC1をスイッチSW-4Aを介して印加される電圧まで充電し、これによって電界効果トランジスタQ1が導通し、その結果、回路が完成し、Q1、Q2、R2および主LEDアレイ26(図にLED-3として示されている)に電流が流れる。このことはさらに、ダイオードD-3およびD-4に順バイアスをかける。抵抗器R3は、コンデンサC1と並列であり、所定の時間でコンデンサC1を接地に向けてゆっくりと放電させ、その時間で主ライトはゆっくりと薄暗くなり、その後消える。典型的なタイムアウト期間は、約15~30秒であり得、または希望に応じて他の好都合な時間であり得る。杖がタイムアウト期間中にさらなる動きを感知すると、コンデンサC1を電源電圧まで再充電し、杖が動いている限り主LED-3を点灯状態で維持する。杖が静止すると、タイムアウト期間が終了した後に、ライトが自動的に消える。杖が動いたときの自動ON機能は、ユーザが杖を安全に使用するのに十分な光があれば動作せず、したがって電池残量を節約する。自動ON機能は、周囲光があるレベルを下回ったときに有効になる。LDR-1は、周囲光が強くなるにつれて抵抗が低減する光依存性抵抗器であり、電界効果トランジスタQ2のベースを接地に接続させて、電界効果トランジスタQ2が導通するのを防止する。このことにより、Q1、R3およびLED-3を流れる電流フローが遮断される。適切な周囲光が存在する場合、光依存性抵抗器の抵抗は低減され、Q1のゲートの電圧を低くし、その結果、動き検出スイッチからの入力があってもQ1が導通するのを防止する。
【0032】
ユーザが高輝度LED26(LED-3)を手動で点灯させる必要がある場合、これは、電界効果トランジスタQ1のゲートを正電圧バスに直接接続する押しボタンスイッチ36(SW-4A)によって達成される。Q2のゲートは、抵抗器LDR-1と正のバスVccへの接続とによって正に保持される。電界効果トランジスタQ1、Q2の両方のゲートに電圧を印加することによって、他のどのソースからの他のどの入力信号も影響を及ぼさない。この機能は、ユーザが、メニューまたはプログラムを読むため、ベッドの下を捜すため、イベントで座席位置を見つけるため、クローゼットの中を見るため、または他の用途で杖の主ライトを使用するときに有用である。スイッチが解除されると、暗い部屋ではタイムアウト期間終了後に、または明るい部屋では直ちに、ライトが消える。
【0033】
ユーザはまた、主ライトを緊急または注意を引きつけるフラッシャとして使用することができる。内蔵機能は、フラッシュスイッチ42(SW-4B)を交互位置に操作することによって起動される。このスイッチは、ユーザがそれをオン状態で保持する必要がないプッシュオン/プッシュオフ交互動作スイッチである。この操作は、LDR-2およびLED-4によって達成される。スイッチが操作されると、Q1のゲートは、その通常の接続からLDR-2とLED-4との接合部に移動する。スイッチが操作されると、Q1のゲートは、その通常の接続からLDR-2とR6との接合部に移動する。スイッチはまた、R4を介して点滅LED-4を接続し、LED-4を繰り返し点滅させる。典型的には、毎秒約6回の速度であり得る。LED-4は、光感応性抵抗器LDR-2に光学的に結合される。 フラッシャがオンになると、LDR-2の抵抗は非常に低い値まで降下し、Q1のゲートの電圧を上昇させる。このことにより、主LED26(LED-3)が点滅LEDと同期して点灯する。フラッシャがオフになると抵抗が上昇し、Q1のゲートに流れる電流が減少する。R6は、回路基板上の分布容量を放電することによって、確実にゲートが点滅間でほぼ共通電位になるようにする。ユーザは、スイッチ42を再び操作して、点滅を停止させ、システムを通常の動作状態に戻さなければならない。このタイミング方法は、(1)より高価な能動スイッチング素子の使用を必要とせず、(2)FCC許可要件またはタグ付け要件を生じさせないとの2つの理由で採用されている。あるいは、電子マルチバイブレータを使用して、Q1、Q2のゲートにオン/オフ信号を送ることができ、当業者なら誰でも実装することができる。
【0034】
パイロットライト41(LED-1)は、抵抗器R5を介して正電圧バスと接地との間に接続され、したがって、電池が充電されている限り常にオン状態である。パイロットライトの機能は、ユーザが暗い部屋の中で杖を置くのを助けることである。動作電流は、公称1.5ミリアンペアである。これは、杖が3~5ヶ月のようなかなりの期間使用されない場合を除いて、電池を放電しない値である。
【0035】
読書灯40(LED-2)は、
図1に示されているように杖の先端部付近に配置され、したがって、ドアの鍵の位置を特定し、メニュー、地図、イベント時のプログラムを読むための便利な光源をユーザに提供する、または手元のベッドサイド光源になる。読書灯40(LED-2)は、抵抗器R6およびLED-2に電流を強制的に流すモーメンタリ式押しボタンスイッチ38(SW-3)で操作される。
【0036】
電池20は、コンテナポッドの内部にある工業用付属充電器64を使用して充電される。充電器は、杖のハンドルに配置された業界標準5ボルトのUSBポート32から電圧を得る。したがって、電話充電器、コンピュータポートを介して、または独立型USB電源から電圧を得ることができる。
【0037】
ここで
図5を参照すると、光センサは、シュミットトリガU1A、R111、C1と、光感応性抵抗器(LDR)およびR18とからなり、後者の2つはスイッチモジュール内に位置する。この回路は、ヒステリシスを有する閾値電圧検出器としての機能を果たす。遠隔の光感応性抵抗器LDR、R18(スイッチモジュール)およびR111は、分圧器ネットワークを形成する。LDRは、暗所では非常に高い抵抗を示し、点灯している状況では抵抗が減少する。感度調整は、LDRと直列である可変抵抗器として接続されたR18によって行われ、回路コモン(以下、接地と呼ばれる)に戻る。LDRとR18との組み合わせの抵抗がR111よりも高い場合、U1Aの入力は正となり、ピン2の出力は反転素子であるため接地される。LDRとR17との組み合わせの抵抗がR111よりも低い場合、ピン2の出力は、正となって、ダイオードD1を介してU1Bのピン3に加えられ、U1Bの出力を接地させる。C1は、蛍光照明におけるような周囲光のちらつきまたは周囲光条件における他の非周期的変化などのノイズを回避するための平滑化フィルタとしての機能を果たす。U1Bはさらに、一方向にトリガされると、入力が著しく変化して他方向の変化を引き起こさなければならないという点で、何らかのヒステリシスを有する。この機能は当業者に周知であり、シュミットトリガ素子の固有の特性である。
【0038】
モーションセンサセクションでは、R31がC2をVCCへ充電し、R41を介してU1Bのピン3にVCCを印加する。D1およびD2は逆バイアスが印加され、電流がU1AおよびU1E/Fに逆流するのを防止する。このことにより、ピン4は接地され、他の信号は存在しない。杖の動きによってモーションスイッチが作動されると、内部接点が瞬間的に閉じ、C2を接地に向けて放電し、U1Bの出力を正にし、D3を介してMOSトランジスタQ1のゲートに正電圧を印加し、MOSトランジスタQ1は+VCCからR11および杖の先端に位置するLED光アレイに電流を流す。しかしながら、この動作は、U1Aの出力を正にして、U1Bの出力を接地させてQ1への正の信号を除去する高輝度条件のために、LDRおよびR17の抵抗がR111の値よりも低い(光が存在する)場合に無効になる。抵抗器R41は、U1Aからの光センサからのより高い電流信号を克服するために、モーションスイッチによって生じる任意の信号を防止する。低い光レベルのためにLDRおよびR17の抵抗がより高い場合、U1Bの出力が負になる。一方、C2はR111およびC1の値に応じた時定数で充電している。D1およびD2は、それらの電圧源が接地されている場合、いかなる逆電流漏れも防止する。これらの条件では、杖の動きにより、モーションセンサがU1Bの入力に負の信号を断続的に与える。このことにより、U1Bの出力が正になり、Q1が導通状態になる。正味の影響は、光レベルが低い場合、杖の動きによってU1Bのピン3の電圧が低くなることである。C1上の電圧がトリガレベルより低くなると、U1Bの正の出力がQ1を導通させる。C1の電圧がトリガ閾値に達すると、U1Bの出力は接地され、Q1を非導通状態にする。これら2つの回路の目的は、照度が低く、杖が動いているときに、杖の先端が確実に点灯されるようにすることである。逆に、光レベルが高い場合、Q1は、杖の動きにかかわらず導通することが妨げられる。弱光条件では、光は、動きが止まった後約15~20秒で消える。タイマがそのサイクルを完了する前に杖が点灯位置へ移動されると、光が消え、タイミングサイクルが終了する。R21は、C2からの高突入電流からモーションセンサの接点を保護し、接点の高電流「溶着」の可能性を低減し、モーションセンサの寿命を延ばす。
【0039】
フラッシュ機能は、緊急事態または信号伝達状況(例えば、タクシーを呼び止める、または横断歩道で通常以上に注意する)のために設けられる。フラッシュ機能は、ライト機能およびモーション機能とは無関係に動作し、ライト機能およびモーション機能の両方を無効にする。この機能は、スイッチモジュール上の赤色フラッシュスイッチを交互に押すことによって操作される。
【0040】
U1EおよびU1Fは、C5、C6、R8およびR9と接続されて、BI-STABLE「フリップフロップ」を形成する。回路は、当業者に周知の回路である。FLASH接点12を交互に閉じることにより、双安定回路は状態0から状態1に交互に移行する。状態0では、U1Eのピン11およびU1Fのピン12上の電圧は正であり、U1Eのピン10上の電圧は接地電圧に近い。したがって、状態0では、U1Bのピン3の入力は、D2を介してU1EおよびU1Fのピン11およびピン12の電圧から正にされる。このことにより、U1Bのピン4が接地され、本質的に、光センサおよびモーションセンサ機能からの全ての動作が無効になる。状態0では、U1Eのピン10はほぼ接地状態であり、C4、R61、R71、UIDおよびD7からなる弛張発振器を動作させる。発振器の出力はD5を介して電圧を駆動し、Q1を発振器の周波数で交互に導通させる。示されている値では、これは毎秒約2回の点滅であるが、C4、R61、R71およびD7の値を適切に選択することによって変更可能である。双安定回路が状態1にあるとき、U1FおよびU1Eのピン11およびピン12における電圧は接地電圧に近くなり、したがってU1Bへの信号を除去する。状態1では、U1Eのピン9における電圧は正であり、U1Dのピン8の電圧をほぼ接地電圧にして、発振器を無効にする。
【0041】
発振器の出力が正であるとき、C4はR61を介して充電される。発振器の出力が負であるとき、C4は、R61と、R71およびD7の並列結合直列インピーダンスとによって放電される。これは、発振器の正負の時間の非対称性を生じさせ、正の出力(点灯)は、示されている値に対する負のサイクル(消灯)よりも長くなる。このことは、点滅光の注意を引きつける特徴を維持しながら、視聴者の明るさの感覚を高めるために望ましい。約2Hzの周波数は、ほとんどの人の空間識障害を引き起こす周波数よりも低い。R10は、Q1のゲートの残留入力容量のための放電経路となり、発振器からの次の正パルスの前にゲートが確実に接地状態に戻るようにする。電池電圧は4.05ボルトを超える電圧に達する可能性があり、発振器を正の出力で「ラッチ」させる。この状況を軽減するために、D6は、VCCおよびU1Dの電力入力端子と直列接続され、したがって、U1Dの電圧を約0.5ボルトだけ低減して、確実に発振器が自己ラッチしないようにする。
【0042】
ON制御スイッチ機能は、ユーザが、明るい室内の暗いクローゼット内で置き忘れた物品を捜す、またはそれぞれの判断で光の増強を必要とするなど、他の照光条件で杖の先端のライトを点灯させたい場合に提供される。スイッチモジュール内に配置された緑色ONスイッチは、モーメンタリ式常開型スイッチである。C3は、抵抗器R51によって+VCCに充電することができる。ONスイッチが瞬間的に閉じられて解除されると、U1Cのピン5は接地され、U1Cのピン6は正になる。電圧はD4を介して結合され、Q1を導通させ、先端のライトを点灯させる。C4およびR51の値によって決定される時間の経過後、UC1のピン5は接地され、Q1のベースへの信号を除去する。ONスイッチを瞬間的に押す毎にタイマがリセットされる。ヒステリシスとC3およびR51の値との組み合わせを考えると、オン時間は約15~20秒であるが、当業者によって変更可能である。ONスイッチがオン状態のままであれば、ライトは点灯したままであり、タイマが切れた後にスイッチが解除されると消灯する。ON機能は、光センサ機能およびモーションセンサ機能を含む他の全ての機能を無効にする。D3およびD5は、回路の残りの部分への信号のバックフィードを防止する。
【0043】
パイロットライト機能は、R16を介して「常時オン」接続からスイッチモジュール上の小型LEDランプに提供され、ベッドサイドなどの暗い環境で使用するために位置決めを支援する。
【0044】
読書灯機能は、スイッチモジュール上の黄色のモーメンタリ式スイッチをスイッチモジュールのヘッドに取り付けられたLEDに押し付けることによって得られる。このことは、ユーザに、メニュー、コンサート番組、または他の必要なものを読み取るための光源を与える。電力は、VCCからR17を介して供給される。
【0045】
スイッチモジュール内の随意選択の自動無効化オルタネイト動作スイッチにより、ユーザは、杖が航空機、悪路を通る車両、船舶輸送で運ばれている場合、または杖の長期保管の場合に、モーションセンサ機能を無効にすることができる。これは、U1Aのピン1を接地に接続し、U1Aのピン2を正にし、U1Bのピン4を負にすることによって実現される。この機能は、モーションスイッチ機能のみを無効にする。他の全ての機能は、ユーザの随意選択でアクティブ状態のまま維持される。
【0046】
電池充電機能は、業界標準のリチウムイオン(U2)充電回路を使用して提供される。充電回路への入力電力は、
図1に示されているように、杖ハンドルの後部のUSBコネクタを介して得られる。USBコネクタに隣接する抵抗器R13、R14を有する単一の2色LEDは、
図1に示されているように杖本体内に配置されたリチウムイオン電池の充電状態を示す。C7およびR12は、外部充電装置における高周波ノイズおよび他のスプリアスアーチファクトを低減する役割を果たす。外部標準5ボルトUSB充電器は、電池充電器回路に電力を供給する。R15は、電池充電回路から供給される最大電流を設定する。この回路では、2.7K値は、典型的な充電電流を約400ミリアンペアの最大値に設定する。C8は、さらなるフィルタリングおよび雑音のない充電電流を電池に提供する。