(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
H01H25/04 M
(21)【出願番号】P 2018237569
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健二
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-367483(JP,A)
【文献】実開平01-132032(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作可能な回転体と、
前記回転体の回転に連動して第1方向の回転軸まわりに回転し、第1アーム部と、前記第1アーム部の延在方向に交差する
前記第1方向に延在する第2アーム部とを有するアームと、
電気的な接点を有し、前記第1方向で前記第1アーム部に対してオフセットした位置で前記第2アーム部と係合し、前記回転体の回転に連動する前記アームの回転に伴って前記第1方向に交差する第2方向に沿って移動するスライダと、
前記スライダが摺動する表面に、前記スライダの接点が電気的に接続可能な固定接点を有する固定接点保持部材とを備える、操作装置。
【請求項2】
前記スライダは、前記第1方向で前記第1アーム部を挟むように対向する対の部位において前記第2アーム部と係合する、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記スライダは、前記対の部位に、前記アームの動きを規制する第1ガイド部を有し、
前記第2アーム部は、前記第1方向で前記第1アーム部の両側に延設され、前記第1方向の両端部が前記第1ガイド部に係合する、請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記回転体の回転に連動して前記回転軸まわりに回転する態様で軸支され、前記第1方向に交差する方向に貫通穴が形成されたアームホルダを更に備え、
前記第1アーム部は、前記貫通穴に移動可能に挿通され、
前記アームと前記スライダとは、前記回転体の回転に伴って、前記第2アーム部が前記スライダに対して前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に移動し、かつ、前記第1アーム部が前記貫通穴内を移動するように、係合される、請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記スライダを移動可能に保持するスライダケースを更に備え、
前記スライダケースには、前記アームの動きを規制する第2ガイド部が形成され、
前記第2アーム部は、更に、前記第1方向の両端部が前記第2ガイド部に係合する、請求項4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記第2ガイド部は、円弧状である、請求項5に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドライトの点灯や方向指示器などの操作を行うためのレバースイッチ構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のレバースイッチ構造では、複数の操作対象に応じて、操作方法(操作方向や操作部分)が異なり、かかる操作対象の選択のためのレバー操作により接点がそれぞれ切り換わる。このような接点の切り替えは、上記の従来技術のように、レバーから突出するアーム部と係合したスライダ(可動接点)により行われることが、一般的である。
【0005】
しかしながら、上記のような従来のレバースイッチ構造では、スライダの移動に伴って干渉が生じやすく、スライダのストローク量を比較的大きくすることが難しい。
【0006】
そこで、1つの側面では、本発明は、スライダのストローク量を比較的大きくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの側面では、一の態様として、回転操作可能な回転体と、
前記回転体の回転に連動して第1方向の回転軸まわりに回転し、第1アーム部と、前記第1アーム部の延在方向に交差する方向に延在する第2アーム部とを有するアームと、
電気的な接点を有し、前記第1方向で前記第1アーム部に対してオフセットした位置で前記第2アーム部と係合し、前記回転体の回転に連動する前記アームの回転に伴って前記第1方向に交差する第2方向に沿って移動するスライダと、
前記スライダが摺動する表面に、前記スライダの接点が電気的に接続可能な固定接点を有する固定接点保持部材とを備える、操作装置が提供される。
【0008】
本態様において、好ましくは、前記スライダは、前記第1方向で前記第1アーム部を挟むように対向する対の部位において前記第2アーム部と係合する。
【0009】
本態様において、好ましくは、前記スライダは、前記対の部位に、前記アームの動きを規制する第1ガイド部を有し、
前記第2アーム部は、前記第1方向で前記第1アーム部の両側に延設され、前記第1方向の両端部が前記第1ガイド部に係合する。
【0010】
本態様において、好ましくは、前記回転体の回転に連動して前記回転軸まわりに回転する態様で軸支され、前記第1方向に交差する方向に貫通穴が形成されたアームホルダを更に備え、
前記第1アーム部は、前記貫通穴に移動可能に挿通され、
前記アームと前記スライダとは、前記回転体の回転に伴って、前記第2アーム部が前記スライダに対して前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に移動し、かつ、前記第1アーム部が前記貫通穴内を移動するように、係合される。
【0011】
本態様において、好ましくは、前記スライダを移動可能に保持するスライダケースを更に備え、
前記スライダケースには、前記アームの動きを規制する第2ガイド部が形成され、
前記第2アーム部は、更に、前記第1方向の両端部が前記第2ガイド部に係合する。
【0012】
本態様において、好ましくは、前記第2ガイド部は、円弧状である。
【発明の効果】
【0013】
1つの側面では、本発明によれば、スライダのストローク量を比較的大きくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車両のステアリングハンドルを取付けるステアリングシャフトとその周辺を示す概略図である。
【
図2】操作レバーに係るレバースイッチ構造を上方から視た主要断面図である。
【
図3】
図2の矢印A方向に見たビュー(中立状態)を示す図である。
【
図4】
図2の矢印A方向に見たビュー(フルストローク状態)を示す図である。
【
図5】比較例によるレバースイッチ構造を上方から視た主要断面図である。
【
図6】
図5の矢印A方向に見たビュー(中立状態)を示す図である。
【
図7】
図5の矢印A方向に見たビュー(フルストローク状態)を示す図である。
【
図8】変形例によるレバースイッチ構造を上方から視た主要断面図である。
【
図9】
図8の矢印A方向に見たビュー(中立状態)を示す図である。
【
図10】
図8の矢印A方向に見たビュー(フルストローク状態)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0016】
図1は、車両のステアリングハンドル(図示せず)を取付けるステアリングシャフト1とその周辺を示す概略図である。ステアリングシャフト1の周部には、ステアリングシャフト1をロックするステアリングロック2が配設され、ステアリングロック2の左右両側部にコンビスイッチユニット3,4(操作装置の一例)が取付けられている。コンビスイッチユニット3,4は、スイッチボディ5,6と、スイッチボディ5,6に上下若しくは前後方向に回動可能な操作レバー7,8とを含む。これらのコンビスイッチユニット3,4のうち右側のユニット3は、ランプスイッチ類が配設され、左側のユニット4は、ウォッシャスイッチ等が配設されている。ただし、別の実施例では、右側のユニット3は、ウォッシャスイッチ等が配設され、左側のユニット4は、ランプスイッチ類が配設されてもよい。以下、ユニット3,4のうちの右側のコンビスイッチユニット3の操作レバー7に係る構造について説明する。
【0017】
図2は、操作レバー7に係るレバースイッチ構造10を上方から視た主要断面図である。
図3及び
図4は、
図2の矢印A方向に見たビューであり、
図3は、スライダ100が中立位置にある状態を示し、
図4は、スライダ100が一方側で最もストロークした状態を示す。
図3及び
図4では、構造を理解しやすいように便宜上、スライダケース120よりも内側の構造が、スライダケース120を透視して示され、ターミナルベース50、回転体70、アームホルダ80、及び第1アーム部91については、断面視で示される。また、
図3及び
図4では、可動接点101についても透視で示される。
【0018】
図2には、互いに直交する3方向であるX方向(第1方向の一例)、Y方向(第3方向の一例)、及びZ方向(第2方向の一例)が定義されている。Y方向は、軸82の方向に対応し、Z方向は、スライダ100の移動方向に対応する。なお、Z方向は、実質的に上下方向に対応するが、重力方向に平行でなくてもよい。
【0019】
操作レバー7は、ターミナルベース50(固定接点保持部材の一例)と、回転体(ライトロータ)70と、アームホルダ80と、アーム90と、スライダ100と、スライダケース120と、を備える。
【0020】
ターミナルベース50は、固定接点51を有し、スライダ100に対してY方向で対向(当接)する態様で設けられる。固定接点51の数は、必要なスイッチ機能に応じて適宜決定される。
【0021】
回転体70は、
図2に矢印R1~R3で模式的に示すように、車両前後方向R1と、車両上下方向R2と、回転軸71まわりの回転方向R3の操作が可能である。例えば、車両前後方向R1の操作は、車両のヘッドライト(図示せず)の光軸の向き(上下方向の向き)を変更するために実行される。車両上下方向R2の操作は、例えば、車両の方向指示灯(図示せず)を点滅させるために実行される。回転方向R3の操作は、例えば、車両のヘッドライト(図示せず)のオン/オフ等を変更するために実行される。なお、回転方向R3の操作は、オートライトスイッチに係る操作であってもよい。
【0022】
アームホルダ80は、円筒状の形態である。アームホルダ80は、回転体70の回転方向R3の操作(回転)に連動可能となる態様で、回転体70に軸支される。
図2では、アームホルダ80は、回転中心O1の位置が固定であり、回転軸81まわりに回転可能である。
【0023】
アームホルダ80は、貫通穴83が形成される。貫通穴83は、回転中心O1を通る軸82に沿って貫通する。貫通穴83は、軸82に沿って延在し、アームホルダ80の両側で開口する。
【0024】
アーム90は、棒状の部材であり、回転体70の回転に伴って回転中心O1まわりに回転する。アーム90は、第1アーム部91と、第2アーム部92とを有する。アーム90の断面形状は任意であるが、例えば円形であってよい。なお、第1アーム部91及び第2アーム部92は、一体に形成されてもよいし、別体で形成されて結合されてもよい。
【0025】
第1アーム部91は、アームホルダ80の貫通穴83内に挿通され、アームホルダ80に対して軸82に沿って移動可能である。すなわち、第1アーム部91は、アームホルダ80の貫通穴83内を移動可能に延在する。
【0026】
第1アーム部91は、回転体70の回転に伴ってアームホルダ80が回転すると、アームホルダ80とともに回転するとともに、アームホルダ80の貫通穴83内を移動(例えば摺動しながら移動)する。
【0027】
第2アーム部92は、第1アーム部91から連続して形成される。第2アーム部92は、第1アーム部91の延在方向(すなわち軸82の方向)に交差する方向に延在する。第2アーム部92は、好ましくは、
図2に示すように、第1アーム部91の端部から、X方向の両側に延設される。すなわち、第2アーム部92は、好ましくは、
図2に示すように、Z方向に視て、第1アーム部91を中心として、X方向で対称に延設される。
【0028】
第2アーム部92は、X方向の両端部で、スライダケース120の円弧状ガイド部122(第2ガイド部の一例)に係合するとともに、スライダ100の直動ガイド部112(第1ガイド部の一例)に係合する。第2アーム部92は、円弧状ガイド部122及び直動ガイド部112内を移動可能である。第2アーム部92は、円弧状ガイド部122によってYZ平面内での移動軌跡が規定される。
【0029】
第2アーム部92は、回転体70の回転に伴ってアームホルダ80が回転すると、円弧状ガイド部122及び直動ガイド部112内を移動する。この際、第2アーム部92は、直動ガイド部112によりスライダ100に対してZ方向の変位が拘束されつつY方向に移動し、直動ガイド部112に沿って移動する。これより、第2アーム部92は、直動ガイド部112を介して、スライダ100がZ方向に移動する力を与える。
【0030】
スライダ100は、可動接点(電気的な接点)101を有し、ターミナルベース50(
図3)と協動してスライドスイッチを形成する。スライダ100は、ターミナルベース50上を摺動し、ターミナルベース50の複数の固定接点51のうちの、スライド位置に応じた固定接点51に電気的に接続される。
【0031】
スライダ100は、アーム90と連動してターミナルベース50上を摺動(移動)する態様で、アーム90と係合する。
【0032】
具体的には、スライダ100は、アーム90と係合するガイド壁部110を有する。すなわち、スライダ100は、ガイド壁部110の直動ガイド部112を介してアーム90に係合する。ガイド壁部110は、X方向でアーム90を挟む態様で対向して設けられる。すなわち、ガイド壁部110は、スライダ100の本体部(可動接点101を保持する部位)のX方向の両側に対で設けられる。なお、ガイド壁部110は、スライダ100と一体に形成されてもよいし、スライダ100とは別に形成されてスライダ100に結合されてもよい。
【0033】
ガイド壁部110は、第1アーム部91に対してX方向でオフセットした位置に設けられる。この場合、後で詳説するように、スライダ100のストローク量の如何にかかわらず、第1アーム部91の可動範囲内にガイド壁部110が存在しないため、第1アーム部91とガイド壁部110との干渉の問題を無くすことができる。
【0034】
ガイド壁部110には、上述のように第2アーム部92が係合する直動ガイド部112が形成される。直動ガイド部112は、回転体70の回転をスライダ100の直線移動(Z方向に沿った直線移動)に変換する機能を有する。直動ガイド部112は、X,Y,Z方向のうちの、実質的に第2アーム部92に対してY方向の相対変位のみを許容する形態である。具体的には、直動ガイド部112は、Y方向に長い長穴である。直動ガイド部112は、Z方向に貫通する貫通穴の形態である。本実施例では、一例として、直動ガイド部112は、Y方向負側(回転軸81側)は開口しているが、閉塞されてもよい。
【0035】
スライダ100は、アーム90を介して回転体70の回転に連動することで、XZ平面上を移動可能である。すなわち、上述のように、アーム90は、回転体70の回転に伴うアームホルダ80の回転に伴って連動するので、結果として、スライダ100は回転体70の回転に連動する。なお、レバースイッチ構造10の動作について、後に詳説する。
【0036】
スライダケース120は、スライダ100を摺動可能(移動可能)に支持する部材である。スライダケース120は、スライダ100の摺動溝(図示せず)を有してよい。スライダケース120は、
図2に示すように、スライダ100のX方向両側にY方向に延在する壁部121を有する。壁部121は、YZ平面内に延在する。壁部121は、Z方向でスライダ100の摺動範囲(ストローク)をカバーする長さで延在する。壁部121には、円弧状ガイド部122が形成される。
【0037】
円弧状ガイド部122の形態は、X方向に視て、中心P1を中心とした円弧で規定される。中心P1は、X方向に視て、軸82上に位置する。円弧状ガイド部122は、上述のように第2アーム部92の移動軌跡を規定することで、スライダ100の摺動範囲(ストローク)を規定する。従って、円弧状ガイド部122は、必要なスライダ100の摺動範囲(ストローク)に応じて形態が決定される。円弧状ガイド部122は、Z方向に貫通する貫通穴の形態であるが、底部を有する形態(溝の形態)であってもよい。
【0038】
次に、
図3及び
図4を参照して、レバースイッチ構造10の動作例を説明する。以下の説明において、「時計回り」及び「反時計回り」とは、特に言及しない限り、
図3及び
図4のビューで視たときの回転方向であるとする。
【0039】
図3に示す位置(「中立位置」と称する)にスライダ100が位置する状態(以下、「中立状態」と称する)では、第2アーム部92は、
図3に示すように、円弧状ガイド部122における軸82上の位置P2に位置する。この中立状態では、第2アーム部92は、円弧状ガイド部122内を、軸82上の位置P2から両側に移動でき、それに伴い、スライダ100も、中立位置からZ方向で両側に移動できる(矢印R31、R32参照)。
【0040】
回転体70の回転に伴ってアームホルダ80が反時計回りに回転すると、スライダ100が摺動しながら、Z方向の一方側の最大ストローク位置(
図4参照)に位置する状態(以下、「最大ストローク状態」とも称する)に至る。なお、この最大ストローク位置では、スライダ100の可動接点101は、対応する1つの固定接点51に当接する。なお、スライダ100が、各固定接点51に可動接点101が当接するスライド位置の前後で、回転体70の回転操作に対して節度(クリック感)を発生させる機構(図示せず)が別途設けられてもよい。
【0041】
ここで、
図4において、円弧400は、円弧状ガイド部122の中心線であり、円弧401は、平面視で回転軸81(回転中心O1)と位置P2とを結ぶ直線を半径とする円弧である。
図4に示す最大ストローク状態では、
図4に示すように、円弧400と円弧401との間には、距離Δ1だけギャップ(回転軸81を中心とした径方向のギャップ)が生じる。すなわち、
図3に示す中立状態では、軸82上の円弧400の位置と軸82上の円弧401の位置との間のギャップは0であるのに対して、
図4に示す最大ストローク状態では、同ギャップは0よりも大きい距離Δ1となる。距離Δ1は、回転体70の回転に伴ってアームホルダ80が回転する場合、中立状態からの回転角度が増加するに連れて大きくなる。
【0042】
本実施例では、中立状態からフルストローク状態に変化する際、距離Δ1に対応した移動量だけ第1アーム部91がアームホルダ80内を軸82の方向に沿って移動する。また、中立状態からフルストローク状態に変化する際、距離Δ2に対応した移動量だけ第2アーム部92がガイド壁部110の直動ガイド部112内をY方向負側に移動する。
【0043】
次に、
図5~
図7の比較例を参照して、本実施例の効果について説明する。
【0044】
図5は、比較例によるレバースイッチ構造10’を上方から視た主要断面図である。
図6及び
図7は、
図5の矢印A方向に見たビューであり、
図6は、スライダ100’が中立位置にある状態を示し、
図7は、スライダ100’が一方側で最もストロークした状態を示す。
図6及び
図7では、構造を理解しやすいように便宜上、スライダケース120’よりも内側の構造が、スライダケース120’を透視して示され、ターミナルベース50’、回転体70’、及びアーム90’については、断面視で示される。
【0045】
比較例では、アームホルダ80が設けられず、アーム90’は、第2アーム部92に対応する部位を備えていない。また、スライダ100’のガイド壁部110’は、アーム90’の端部をZ方向両側から挟む態様で対向する。アーム90’の端部は、Z方向の両側のガイド壁部110’間をY方向に移動する。
【0046】
比較例でも、本実施例と同様、
図5に矢印R1~R3で模式的に示すように、車両前後方向R1と、車両上下方向R2と、回転方向R3の操作が可能である。
【0047】
比較例でも、本実施例と同様、回転方向R3の操作による回転体70’の回転に伴ってアーム90’が回転する。この際、アーム90’の端部は、
図6及び
図7に示すように、Z方向の両側のガイド壁部110’間をY方向負側に移動する。
【0048】
ところで、この種のレバースイッチ構造では、複数の操作対象に応じて、操作方法(操作方向や操作部分)が異なり、そしてその操作により接点がそれぞれ切り換わる。接点の切り替えは、一般的に、レバーから突出するアーム部と係合したスライダ(可動接点)により行われる。この場合、アーム部はその長軸と平行方向に形成されたスライダの双壁間(比較例でいうガイド壁部110’間)に嵌め込まれる。
【0049】
しかしながら、この種のスライダを用いる場合、アーム部が回転したとき(レバー操作時)、アーム部とスライダのガイド壁部とが干渉する問題が生じる。
【0050】
具体的には、比較例では、
図7にてQ部で示すように、アーム90’がスライダ100’のフルストローク位置に対応する位置まで回転すると、アーム90’がガイド壁部110’の端部に干渉する。換言すると、アーム90’は、スライダ100’との干渉に起因して、
図7に示すようなフルストローク位置に至ることは、できない。
【0051】
このような干渉を抑えようとすると、アーム90’の回転量(及びそれに伴い回転方向R3の操作のストローク量)が小さくなり、スライダ100’のストローク量も小さくなる。なお、近年、自動車の多機能化等により、レバースイッチの選択位置も増え、必要なストローク量が増えつつある。例えば、本実施例や比較例では、固定接点51が4つあり、5つの状態(可動接点101がどの固定接点51にも当接していない状態を含む)が形成可能であり、レバースイッチの選択位置(接点の切り替え)を5つとすることができる。
【0052】
この点、本実施例によれば、上述のように、ガイド壁部110は、第1アーム部91の端部をX方向で挟む態様で設けられる。すなわち、ガイド壁部110が第1アーム部91の可動範囲内に存在しない。これにより、ガイド壁部110との干渉を考慮せずに、スライダ100のストローク量を増大することができる。このようにして、本実施例によれば、スライダ100のストローク量を比較的大きくすることができる。
【0053】
また、本実施例によれば、上述のように、第1アーム部91がアームホルダ80の貫通穴83内を移動可能であるので、直動ガイド部112のストロークH1(及びそれに伴いガイド壁部110の高さ)(
図4参照)を低減できる。
【0054】
より具体的には、比較例では、アーム90’は、本実施例とは異なり、スライダ100’のストローク範囲の全体にわたり、回転軸81’からアーム90’の端部までの距離が一定である。従って、
図7に示すように、最大ストローク状態において、アーム90’の端部のスライダ100’の本体部からの距離H3が比較的大きくなる。ここで、ガイド壁部110’の高さH2は、最大ストローク状態でアーム90’の端部がガイド壁部110’間から出ないように設定されるので、距離H3が比較的大きい場合は、ガイド壁部110’の高さH2も比較的高くなる。
【0055】
これに対して、本実施例によれば、上述のように、第1アーム部91がアームホルダ80の貫通穴83内を移動可能であるので、
図4に示すように、フルストローク状態における円弧401上の位置P12と円弧400上の位置P10との距離Δ3分だけ、直動ガイド部112のストロークH1を低減できる。この結果、本実施例によれば、ガイド壁部110の高さを低減し、省スペース化を図ることができる。
【0056】
また、本実施例によれば、ガイド壁部110は、X方向で第1アーム部91の両側に設けられる(対で、X方向で第1アーム部91を挟むように対向する)ので、アーム90を安定的にガイドできる。
【0057】
次に、
図8以降を参照して変形例について説明する。以下では、上述した実施例と同様であってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0058】
図8は、変形例によるレバースイッチ構造10Aを上方から視た主要断面図である。
図9及び
図10は、
図8の矢印A方向に見たビューであり、
図9は、スライダ100Aが中立位置にある状態を示し、
図10は、スライダ100Aが一方側で最もストロークした状態を示す。
図9及び
図10では、構造を理解しやすいように便宜上、スライダケース120Aよりも内側の構造が、スライダケース120Aを透視して示され、ターミナルベース50、回転体70、及びアーム90Aについては、断面視で示される。また、
図9及び
図10では、可動接点101についても透視で示される。
【0059】
本変形例では、
図8に矢印R1、R3で模式的に示すように、車両前後方向R1と、回転方向R3の操作が可能である。
【0060】
本変形例によるレバースイッチ構造10Aは、上述したレバースイッチ構造10に対して、アーム90、スライダ100、及びスライダケース120が、それぞれ、アーム90A、スライダ100A、及びスライダケース120Aで置換された点が異なる。
【0061】
アーム90Aは、上述した実施例によるアーム90に対して、回転体70に直接的に連結されている点が異なる。アーム90Aは、上述した実施例によるアーム90と同様、回転方向R3の操作による回転体70の回転に伴って回転中心O1まわりに回転する。
【0062】
アーム90Aは、棒状の部材であり、回転体70の回転に伴って回転中心O1まわりに回転する。アーム90Aは、第1アーム部91Aと、第2アーム部92Aとを有する。アーム90Aの断面形状は任意であるが、例えば円形であってよい。なお、第1アーム部91A及び第2アーム部92Aは、一体に形成されてもよいし、別体で形成されて結合されてもよい。
【0063】
第1アーム部91Aは、回転体70の回転方向R3の操作(回転)に連動可能となる態様で、回転体70に軸支される。第1アーム部91Aは、回転体70の回転に伴って回転中心O1まわりに回転する。
【0064】
第2アーム部92Aは、第1アーム部91Aから連続して形成される。第2アーム部92Aは、第1アーム部91Aの延在方向に交差する方向に延在する。第2アーム部92Aは、好ましくは、
図8に示すように、第1アーム部91Aの端部から、X方向の両側に延設される。すなわち、第2アーム部92Aは、好ましくは、Z方向に視て、
図8に示すように、第1アーム部91Aを中心として、X方向で対称に延設される。
【0065】
第2アーム部92Aは、X方向の両端部で、スライダ100Aの直動ガイド部112Aに係合する。第2アーム部92Aは、直動ガイド部112A内を移動可能である。
【0066】
第2アーム部92Aは、回転体70の回転に伴って直動ガイド部112A内を移動する。すなわち、第2アーム部92Aは、直動ガイド部112Aによりスライダ100Aに対してZ方向の変位が拘束されつつY方向に移動する。
【0067】
スライダ100Aは、上述した実施例によるスライダ100に対して、ガイド壁部110がガイド壁部110Aで置換された点が異なる。
【0068】
ガイド壁部110Aは、X方向でアーム90Aを挟む態様で対向して設けられる。すなわち、ガイド壁部110Aは、スライダ100Aの本体部(可動接点101を保持する部位)のX方向の両側に対で設けられる。なお、ガイド壁部110Aは、スライダ100Aと一体に形成されてもよいし、スライダ100Aとは別に形成されてスライダ100Aに結合されてもよい。
【0069】
ガイド壁部110Aには、上述のように第2アーム部92Aが係合する直動ガイド部112Aが形成される。直動ガイド部112Aは、回転体70の回転をスライダ100Aの直線移動(Z方向に沿った直線移動)に変換する機能を有する。直動ガイド部112Aは、X,Y,Z方向のうちの、実質的に第2アーム部92Aに対してY方向の相対変位のみを許容する形態である。具体的には、直動ガイド部112Aは、Y方向に長い長穴である。直動ガイド部112Aは、Z方向に貫通する貫通穴の形態であるが、貫通しない形態(底部を有する溝の形態)であってもよい。本実施例では、一例として、直動ガイド部112Aは、Y方向負側(回転軸81側)は開口しているが、閉塞されてもよい。
【0070】
スライダケース120Aは、上述した実施例によるスライダケース120に対して、円弧状ガイド部122が形成されない点が異なる。これに伴い、本変形例では、第2アーム部92Aは、スライダケース120Aに係合しない。
【0071】
本変形例によるレバースイッチ構造10Aによっても、上述のように、ガイド壁部110Aは、第1アーム部91Aの端部をX方向で挟む態様で設けられる。すなわち、ガイド壁部110Aが第1アーム部91Aの可動範囲内に存在しない。これにより、ガイド壁部110Aとの干渉を考慮せずに、スライダ100Aのストローク量を増大することができる。このようにして、本変形例によっても、スライダ100Aのストローク量を比較的大きくすることができる。
【0072】
なお、本変形例は、上述した実施例に対して、アームホルダ80を有さないことで部品点数が低減される点で有利となる。また、上述した実施例は、本変形例に対して、直動ガイド部112のストロークH1(及びそれに伴いガイド壁部110の高さ)(
図4参照)を低減できる点で有利となる。また、上述した実施例は、本変形例に対して、車両上下方向R2の操作が可能である点で有利となる。
【0073】
なお、本変形例は、上述した実施例において、アームホルダ80と第1アーム部91とが一体となり、円弧状ガイド部122がなくなった構成と実質的に同じである。従って、
図4から分かるように(円弧401参照)、本変形例では、上述した実施例に比べて、スライダ100Aのストローク量が同じである場合、フルストローク状態におけるアーム90Aの回転角度(中立位置に対する回転角度)は大きくなる。換言すると、上述した実施例の方が、本変形例よりも、アーム90(及びアームホルダ80)の回転角度に対してスライダ100のストローク量を効率的に増加できる。
【0074】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0075】
例えば、上述した実施例では、円弧状ガイド部122は、円弧状の穴であるが、これに限られない。例えば、円弧状ガイド部122に代えて、直線状のガイド部が利用されてもよい。この場合、直線状のガイド部は、Z方向に平行に延在してよい。また、この場合、スライダ100の摺動に伴ってスライダ100に対する第2アーム部92のY方向の位置が変化することがないため、直動ガイド部112は、省略されてもよい。すなわち、第2アーム部92は、ガイド壁部110に、第2アーム部92の中心軸まわりに回転可能に支持(係合)されればよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ステアリングシャフト
2 ステアリングロック
3 コンビスイッチユニット
4 コンビスイッチユニット
5 スイッチボディ
6 スイッチボディ
7 操作レバー
8 操作レバー
10、10A レバースイッチ構造
50 ターミナルベース
51 固定接点
70 回転体
71 回転軸
80 アームホルダ
81 回転軸
82 軸
83 貫通穴
90、90A アーム
91、91A 第1アーム部
92、92A 第2アーム部
100、100A スライダ
101 可動接点
110、110A ガイド壁部
112、112A 直動ガイド部
120、120A スライダケース
121 壁部
122 円弧状ガイド部