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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20221025BHJP
   B42F 13/24 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B42F7/00 A
B42F13/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018109317
(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公開番号】P2019209636
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】辻野 伸明
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043000(JP,A)
【文献】特開2019-198992(JP,A)
【文献】登録実用新案第3070390(JP,U)
【文献】特開2018-052104(JP,A)
【文献】特開2016-120645(JP,A)
【文献】登録実用新案第3205914(JP,U)
【文献】特開平8-104090(JP,A)
【文献】特開平10-297153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00
B42F 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙体と、前記表紙体に側辺及び底辺がそれぞれ溶着又は接着され該表紙体との間でポケットを形成するポケット部材とを有するファイルであって、
前記ポケット部材の一側辺又は両側辺が折り返され、その折り返し部が折り返し縁に沿った部位及び及び表紙体の対応する側辺に沿った部位の2箇所で前記表紙体に溶着又は接着され、折り返し部とポケット部材本体とが表紙体に対して同一の表面側に位置しているとともに、底辺が前記表紙体に折り返されずに溶着又は接着されているか、前記ポケット部材の底辺が折り返され、その折り返し部が折り返し縁に沿った部位及び及び表紙体の底辺に沿った部位の2箇所で前記表紙体に溶着又は接着され、折り返し部とポケット部材本体とが表紙体に対して同一の表面側に位置しているとともに、一側辺又は両側辺が前記表紙体に折り返されずに溶着又は接着されているファイル。
【請求項2】
前記ポケット部材の側辺が前記表紙体の側辺に沿って又はその近傍に配されているとともに、前記ポケット部材の底辺が前記表表紙又は裏表紙の底辺に沿って又はその近傍に配されている請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記ポケット部材が側辺に折り返し部を有し該折り返し部が前記表紙体の側辺に沿って又はその近傍に溶着又は接着されているとともに、前記ポケット部材の底辺が前記表紙体の底辺に沿って又はその近傍に折り返されずに溶着又は接着されている請求項2記載のファイル。
【請求項4】
前記表紙体の一方の面と前記ポケット部材との間にポケットが形成され、前記折り返し部が前記一方の面に溶着又は接着されている請求項1、2又は3記載のファイル。
【請求項5】
前記ポケット部材の折り返し部が前記表紙体に複数箇所で溶着又は接着されている請求項1、2、3又は4記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表紙体の表表紙又は裏表紙にポケット部材を溶着又は接着し、該表紙体との間でポケットを形成したファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
紙の書類やノートの中紙となるルーズリーフ、樹脂製のクリヤーブックのリフィル(いわゆるクリヤーポケットやクリヤーホルダー)等の紙葉類を綴じておくことができるファイルが周知である。
【0003】
その上で、このようなファイルの表表紙又は裏表紙の内面側又は外面側に他の紙葉類を挟持することができるよう、表表紙と裏表紙とのうちのいずれか一方又は両方にポケット部材を溶着又は接着してポケットを設けることがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
従来のポケット部材は、例えば樹脂素材によりシート状に形成されており、このポケット部材を表表紙又は裏表紙に重ね合わせた状態で、その底辺及び側辺がそれぞれ溶着又は接着される。
【0005】
紙葉類をポケットに対し縦方向に、ポケットの底辺に向けて挿入する操作は、紙葉類の縁又は角をポケットの側辺に沿わせるようにして行うことが多い。だが、溶着又は接着されている側辺に接近した紙葉類の縁又は角の部位が、ポケット部材と表紙体とに挟圧されて強い摩擦が生じ、挿入操作の際に紙葉類が引っかかると感じられることがある。紙葉類をポケットに対し横方向に、ポケットの側辺に向けて挿入する操作を行う場合にも、ポケットの底辺に接近した紙葉類の縁又は角の部位が引っかかる同様の問題が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-52104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、紙葉類をポケットの奥に侵入させる動作を、引っかかりを感じさせることなくスムーズに行わせることができる構成を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係るファイルは、表紙体と、前記表紙体に側辺及び底辺がそれぞれ溶着又は接着され該表紙体との間でポケットを形成するポケット部材とを有するファイルであって、前記ポケット部材の一側辺又は両側辺が折り返され、その折り返し部が折り返し縁に沿った部位及び及び表紙体の対応する側辺に沿った部位の2箇所で前記表紙体に溶着又は接着され、折り返し部とポケット部材本体とが表紙体に対して同一の表面側に位置しているとともに、底辺が前記表紙体に折り返されずに溶着又は接着されているか、前記ポケット部材の底辺が折り返され、その折り返し部が折り返し縁に沿った部位及び及び表紙体の底辺に沿った部位の2箇所で前記表紙体に溶着又は接着され、折り返し部とポケット部材本体とが表紙体に対して同一の表面側に位置しているとともに、一側辺又は両側辺が前記表紙体に折り返されずに溶着又は接着されているものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係るファイルは、請求項1記載の構成のものにおいて、前記ポケット部材の側辺が前記表紙体の側辺に沿って又はその近傍に配されているとともに、前記ポケット部材の底辺が前記表紙体の底辺に沿って又はその近傍に配されているものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係るファイルは、請求項2記載の構成のものにおいて、前記ポケット部材が側辺に折り返し部を有し該折り返し部が前記表紙体の側辺に沿って又はその近傍に溶着又は接着されているとともに、前記ポケット部材の底辺が前記表紙体の底辺に沿って又はその近傍に折り返されずに溶着又は接着されているものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係るファイルは、請求項1、2又は3記載の構成のものにおいて、前記表紙体の一方の面と前記ポケット部材との間にポケットが形成され、前記折り返し部が前記一方の面に溶着又は接着されているものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係るファイルは、請求項1、2、3又は4記載の構成のものにおいて、前記ポケット部材の折り返し部が前記表紙体に複数箇所で溶着又は接着されているものである。
【0013】
なお、本発明において、「側辺」とは、ファイルの幅方向端縁に沿って伸びる辺の少なくとも一方を示す概念である。また、「底辺」とは、ファイルの高さ方向両端縁に沿って伸びる辺のうち一方の辺を示す概念である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、紙葉類をポケットの奥に侵入させる動作を、引っかかりを感じさせることなくスムーズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るファイルを示す斜視図。
図2】同実施形態に係るファイルを示す平面図。
図3図2におけるA-A線に沿った断面図。
図4】同実施形態に係るファイルを示す分解斜視図。
図5】同実施形態に係るポケット部材を示す平面図。
図6】同実施形態に係るポケット部材の止着態様を示す説明図。
図7】同実施形態に係るポケット部材の止着態様を示す説明図。
図8】同実施形態に係るファイルのポケットへの紙葉類の挿入態様を示す説明図。
図9】同実施形態に係るファイルのポケットへの紙葉類の挿入態様を示す説明図。
図10】本発明の他の実施形態に係るファイルを示す断面図。
図11】本発明の他の実施形態に係るファイルを示す平面図。
図12】従来のファイルのポケットへの紙葉類の挿入態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図1図9を参照しつつ以下に述べる。
【0017】
この実施形態に係るファイルFは、図1図4に示すように、表表紙11及び裏表紙13を備える表紙体1と、この表紙体1に設けられ紙葉類を綴じておくための綴じ具2と、裏表紙13に外側の側辺3a及び底辺3bがそれぞれ溶着され該裏表紙13との間でポケットPを形成するポケット部材3とを有する。
【0018】
表紙体1は、この種のファイルに従来用いられているものと同様に、また、図1図4に示すように、表表紙11、背表紙12及び裏表紙13を並べ連ねたものである。また、この表紙体1は、ポリプロピレン等の硬質樹脂を素材とする薄板体である。表表紙11と背表紙12との間、及び背表紙12と裏表紙13との間には、それぞれ第1のヒンジ14が介在する。第1のヒンジ14は、例えば、表紙高さ方向に延伸する、当該部位を表紙体1の他の部位と比較して薄肉化するような凹溝である。表表紙11は、第1のヒンジ14を中心として、背表紙12及び裏表紙13に対して表紙高さ方向に伸びる軸回りに回動することができる。この表表紙11の回動端が該表表紙11の外側の側辺11aであり、表紙高さ方向が上下方向となるように配したときの上辺及び下辺がそれぞれ該表表紙11の頂辺11c及び底辺11bである。また、裏表紙13は、第1のヒンジ14を中心として、背表紙12及び表表紙11に対して表紙高さ方向に伸びる軸回りに回動することができる。この裏表紙13の回動端が該裏表紙13の外側の側辺13aであり、表紙高さ方向が上下方向となるように配したときの上辺及び下辺がそれぞれ該裏表紙13の頂辺13c及び底辺13bである。ひいては、表表紙11と裏表紙13とが互いに相対的に回動し、表紙体1を開閉することが可能となっている。なお、前記第1のヒンジ14は、表表紙11及び裏表紙13の内側の側辺を形成している。
【0019】
綴じ具2も、この種のファイルに従来用いられているものと同様に、また、図1図4に示すように、複数本の綴じ桿21を備え、その綴じ桿21を予め紙葉類に穿たれた紙葉類を貫通する綴じ孔に挿通することで、複数枚の図示しない紙葉類を係留するもの、特に環状をなす綴じ桿21が開閉動作するリング綴じ具である。綴じ具2は、表紙体1の例えば裏表紙13の内面13s、換言すれば綴じられる紙葉類に面する側の面における基端寄りの部位、具体的には前記第1のヒンジ14に沿った部位に設けられる。なお、表紙体1の表表紙11と裏表紙13とを対向させた状態すなわちこのファイルFを閉じた状態に保持できるようにすべく、この綴じ具2の綴じ桿21が閉じた状態で表紙体1の表表紙11に設けた挿通孔11xを通過させて係止爪11yに係合させておくことができる。その上で、表表紙11及び裏表紙13は第2のヒンジ15を中心にそれより外側の側辺11a、13a側の部位を回動させることができるようになっており、綴じ具2の綴じ桿21が閉じたまま、すなわち綴じ具2により紙葉類を綴じたままこのファイルFを開いて内容を視認することができるようにしてある。
【0020】
ポケット部材3は、図5に示すような樹脂素材製のシートにより形成されているとともに、図1図4及び図7に示すように、その外側の側辺3aが裏表紙13の外側の側辺13aに沿って配されており、底辺3bが裏表紙13の底辺13bに沿って配されている。また、このポケット部材3は、裏表紙13に重ね合わせた状態で該裏表紙13との間でポケットPを形成するポケット部材本体31と、ポケット部材3の外側の側辺3aを折り返して形成した折り返し部32とを備えている。その上で、折り返し部32が表紙体1、より具体的には裏表紙13に溶着されている。一方、ポケット部材3の底辺3bは、表紙体1、より具体的には裏表紙13の底辺13b近傍の部位に折り返されずに溶着されている。そして、このポケット部材3のその他の辺すなわち頂辺及び内側の側辺は裏表紙13に溶着もその他の方法での接着もされていない開放部3cとなっており、この開放部3cから紙葉類をポケットP内に挿入可能になっている。なお、ポケットP内に収納した紙葉類を裏表紙13との間で確実に保持できるようにすべく、底辺3b及び開放部3cから所定距離離間した位置に、裏表紙13側に向かう突条3dを形成している。
【0021】
折り返し部32に関してさらに詳述すると、この折り返し部32は、図3及び図4に示すように、ポケット部材3の外側の側辺3aから側方すなわち裏表紙13の幅方向に延出し、裏表紙13とポケット部材本体31との間に配される。
【0022】
このポケット部材3の裏表紙13への止着の態様を以下に示すと、まず、図6に示すように、折り返し部32が裏表紙13に重ね合わされた状態で、折り返し端32aに沿った部位及び裏表紙13の外側の側辺13aに沿った部位の2カ所に設定した溶着箇所Yでこの折り返し部32を裏表紙13に溶着されるようにしている。そして、図7に示すように、このポケット部材3の外側の側辺3aとなるべき箇所でポケット部材3を折り返して裏表紙13に重ね合わせ、底辺3bに沿った部位に設定した溶着箇所Yで裏表紙13に溶着されるようにしている。このようにしてポケット部材3を裏表紙13に止着(溶着)することにより、ポケット部材3と表紙体1の一方の面との間、より具体的にはポケット部材3と裏表紙13の内面13sとの間にポケットPが形成されている。
【0023】
なお、図1は、本実施形態のファイルFを示す斜視図であり、図2は同平面図である。図3は、図2におけるA-A線に沿った断面を模式的に示す模式断面図であり、綴じ具2は省略して示している。図4は、本実施形態のファイルFの分解斜視図である。図5は、表紙体1に溶着させる前のポケット部材3を示す平面図である。図6は、ポケット部材3の折り返し部32を表紙体1に溶着させた状態を示す図である。図7は、ポケット部材3を表紙体1に溶着させた状態を示す図である。図8は、ポケットPに紙葉類Sを挿入する一態様を示す図であり、図9は、同態様においてポケットPに紙葉類Sを挿入した際の図3に対応する模式断面図である。なお、図3において、表表紙11の第2のヒンジ15より外側の側辺11a側の部位は省略して示している。また、図3及び図9において、ポケット部材3及び紙葉類Sの厚みは、わかりやすくするために実際よりも誇張して示している。
【0024】
以下、ポケットP内に紙葉類Sを挿入する際の各部の作用について述べる。
【0025】
図8に示すように、このポケットP内に、紙葉類Sの一側縁Sa又は角をポケットPの側辺すなわちポケット部材3の外側の側辺3aに沿わせるようにしつつ紙葉類を上方から、すなわち裏表紙13の頂辺13c側から挿入するとき、この紙葉類Sの一側縁Sa近傍の部位は、図9に示すように、ポケット部材本体31と折り返し部32との間に配されることとなる。
【0026】
ここで、図12に示すように、従来の構成のファイルf0においては、紙葉類Sの縁Sa又は角をポケットaPの側辺に沿わせるようにしつつ紙葉類Sを上方からポケット部材a3と裏表紙a13の内面a13sとの間のポケットaP内に挿入するとき、以下のような理由で挿入操作の際に紙葉類Sが引っかかると感じられることがあった。すなわち、ポケット部材a3と裏表紙a13との溶着部分aYの近傍は内周がクサビ状になっており、この領域に紙葉類Sが達すると紙葉類Sがポケット部材a3により裏表紙a13側に強く押しつけられ、このことによりポケットaPの側辺(ポケット部材a3の側辺a3a)に接近した紙葉類Sの縁Sa又は角の部位が引っかかると感じられることがあった。なお、図12において、ポケット部材a3及び紙葉類Sの厚みは、わかりやすくするために実際よりも誇張して示している。
【0027】
これに対し、本実施形態のものでは、図9に示すように、紙葉類Sの一側縁Sa又は角を沿わせるべき部位すなわちポケット部材3の外側の側辺3aは、単にポケット部材3を形成するシート材が折り返されているのみである。従って、ポケット部材3の外側の側辺3a近傍では、ポケット部材本体31と折り返し部32とがむしろ離間する方向に弾性付勢されている。従って、ポケット部材3の外側の側辺3a近傍に紙葉類Sが侵入しても紙葉類Sが裏表紙13側に向けてポケット部材3により弾性付勢されることはない。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、ポケット部材3の外側の側辺3aが折り返され、その折り返し部32が表紙体1に溶着されているので、上述したように紙葉類Sが裏表紙13側に向けてポケット部材3により弾性付勢されることがなく、紙葉類Sの縁Sa又は角をポケット部材3の外側の側辺3aに沿わせて移動させる操作をスムーズに行うことができる。しかも、ポケット部材3の底辺3bは裏表紙13に折り返されずに溶着されているので、ポケット部材3の底辺3b近傍における裏表紙13との溶着部分の近傍の内周はクサビ状になっており、この部位に達した紙葉類Sはポケット部材3により裏表紙13側に強く押しつけられることとなるので、紙葉類Sをこの部位により保持させることによりこのような紙葉類Sを抜けにくくすることができる。
【0029】
さらに、ポケット部材3の外側の側辺3aを折り返して折り返し部32を表紙体1に溶着しているとともに、ポケット部材3の底辺3bは裏表紙13に折り返されずに溶着されているので、このようなポケット部材3により形成されるポケットには紙葉類Sが上方から挿入されることが多いことに鑑み、挿入をスムーズに行いつつ挿入した紙葉類Sを抜けにくくすることができるという効果を多くの機会で得ることができる。
【0030】
また、本実施形態では、ポケット部材3の外側の側辺3aが裏表紙13の外側の側辺13aに沿って配されているとともに、ポケット部材3の底辺3bが裏表紙13の底辺13bに沿って配されているので、ポケットPに裏表紙13の幅寸法及び高さ寸法にほぼ対応する大きさの紙葉類Sを保持させておくことができる。
【0031】
加えて、本実施形態では、表紙体1の一方の面とポケット部材3との間、より具体的には裏表紙13の内面13sとポケット部材3との間にポケットPが形成され、ポケット部材3の折り返し部32が裏表紙13の内面13sに溶着されているので、ポケット部材3の全体が裏表紙13の内側に配されることとなり、外観をすっきりしたものにしておくことができるとともに、紙葉類SをポケットP内に挿入する際に引っかかりにくいという効果をより好適に得ることができる。
【0032】
そして、本実施形態では、ポケット部材3の折り返し部32が裏表紙13に複数箇所、より具体的には2カ所の溶着箇所Yで溶着されているので、折り返し部32の幅をある程度大きくしてもポケット部材3を確実に裏表紙13に固定させておくことができる。そして、折り返し部32の幅をある程度以上確保することで、ポケットPに対する紙葉類Sの出し入れの際に紙葉類Sの縁Sa又は角が折り返し端32aにひっかからなくなる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、ポケット部材の折り返し部を裏表紙の内面に溶着しているが、他の実施形態として、以下に述べるようなものが考えられる。この実施形態に係るファイルF2は、図10に示すように、ポケット部材3の折り返し部32と他の部位たるポケット部材本体31とで裏表紙13を挟むようにしている。すなわち、ポケット部材3の折り返し部32を裏表紙13の外面13tに溶着している。なお、他の部位は、前述した実施形態におけるファイルFにおけるものと同様の構成を有するので、同一の名称及び符号を付し、説明は省略する。
【0035】
この実施形態では、紙葉類の一側縁又は角をポケットPの側辺すなわちポケット部材3の外側の側辺3aに沿わせるようにしつつ紙葉類を上方から、すなわち裏表紙13の頂辺側から挿入するとき、紙葉類の一側縁近傍の部位はポケット部材本体31と裏表紙13との間に配されることとなる。この場合も、ポケット部材3の外側の側辺3aは単にポケット部材3を形成するシート材が折り返されているのみであるので、ポケット部材3の外側の側辺3a近傍に紙葉類が侵入しても紙葉類が裏表紙13側に向けてポケット部材3により弾性付勢されることはない。従って、本実施形態の構成であっても、図1図9を参照しつつ前述した実施形態における主要な効果を得ることができる。
【0036】
また、上述した実施形態では、ポケット部材を表紙体に溶着しているが、他の方法、例えば接着剤をポケット部材又は表紙体に塗布した上でポケット部材と表紙体とを接着する等の方法でポケット部材を表紙体に接着してももちろんよい。
【0037】
さらに、上述した実施形態では、ポケット部材の側辺を裏表紙の側辺に沿って配し、底辺を裏表紙の底辺に沿って配しているが、ポケット部材は裏表紙の任意の箇所に配してよい。
【0038】
加えて、上述した実施形態では、裏表紙の内面のみにポケットを形成しているが、裏表紙の外面や表表紙のいずれかにもポケットを形成する、換言すれば裏表紙の外面、表表紙の内面及び表表紙の外面のうちのいずれか、又はこれら全部にポケット部材を溶着又は接着するようにしてもよい。もちろん、裏表紙の内面にはポケットを形成せず、裏表紙の外面、表表紙の内面及び表表紙の外面のいずれか又はこれら全部にポケットを形成するようにしてもよい。裏表紙の外面、表表紙の内面及び表表紙の外面にポケットを形成する場合であっても、ポケット部材の側辺及び底辺は任意の箇所に配してよい。
【0039】
その上、上述した実施形態では、ポケット部材の側辺が折り返され、その折り返し部が表紙体に溶着(又は接着)されているとともに、底辺が表紙体に折り返されずに溶着(又は接着)されているが、ポケット部材の底辺が折り返され、その折り返し部が前記表紙体に溶着(又は接着)されているとともに、側辺が前記表紙体に折り返されずに溶着(又は接着)されている態様を採用してももちろんよい。また、上述した実施形態では、折り返し部における側辺に沿った部位及び折り返し端の2箇所で表紙体に溶着されているが、折り返し部を表紙体に溶着又は接着する箇所は任意に設定してよい。さらに、折り返し部を1箇所のみ(例えば折り返し端のみ)で表紙体に溶着又は接着するようにしてもよく、逆に折り返し部を3箇所以上で表紙体に溶着又は接着するようにしてもよい。
【0040】
一方、上述した実施形態では、ポケット部材の外側の側辺が折り返され、その折り返し部が表紙体に溶着(又は接着)されているとともに、底辺が表紙体に折り返されずに溶着(又は接着)され、内側の側辺及び頂辺が開放されているが、図11に示すファイルF3のように、ポケット部材3の両側辺3a、3eが折り返され、その折り返し部32が表紙体1に接着されているとともに、底辺3bが表紙体1に折り返されずに溶着され、頂辺が開放部3cとなっている構成を採用してももちろんよい。前述したファイルF3では、両折り返し部32における折り返し端32a及び側辺3a、3e近傍の部位に接着箇所yを設定しているが、接着箇所の位置及び個数は任意に設定してよく、また、接着の方法は任意である。ファイルF3のその他の部位は、前述した実施形態におけるファイルFにおけるものと同様の構成を有するので、同一の符号を付し、説明は省略する。
【0041】
さらに、ポケット部材の底辺及び頂辺が折り返され、その折り返し部が表紙体に溶着(又は接着)されているとともに、一方の側辺が表紙体に折り返されずに溶着(又は接着)され、他方の側辺が開放されている構成を採用してももちろんよい。
【0042】
そして、上述した実施形態のように裏表紙に綴じ具を設けるものに限らず、背表紙に綴じ具を設ける等、綴じ具は表紙体の任意の箇所に設けてよい。また、綴じ具を有しないファイル(例えば紙葉類を綴じるための紐を挿通させるための孔のみを有するもの等)に本発明を適用してももちろんよい。
【0043】
加えて、表紙体がファイルに綴じられる紙葉類の一方側のみに配される態様のファイル、すなわち表紙体が裏表紙のみを有するファイルに本発明を適用してももちろんよい。
【0044】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0045】
F…ファイル
1…表紙体
11…表表紙
13…裏表紙
13a…裏表紙の(外側の)側辺
13b…裏表紙の底辺
13s…裏表紙の内面
2…綴じ具
3…ポケット部材
3a…ポケット部材の(外側の)側辺
3b…ポケット部材の底辺
32…折り返し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12