IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鐵住金株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図1
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図2
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図3
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図4
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図5
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図6
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図7
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図8
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図9
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図10
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図11
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図12
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図13
  • 特許-焼結機及び焼結機のシール装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】焼結機及び焼結機のシール装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 21/08 20060101AFI20221025BHJP
   F27B 21/06 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
F27B21/08 E
F27B21/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018141702
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020016424
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂
(72)【発明者】
【氏名】梅本 紘成
(72)【発明者】
【氏名】中村 太蔵
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-247088(JP,A)
【文献】特開平09-068389(JP,A)
【文献】実開昭51-082704(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 21/00 - 21/14
C22B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端軌道上を搬送される複数のパレット台車を有する焼結機であって、
前記パレット台車の各々は、
幅方向に延び、搬送方向に並んで配置される複数の桁梁と、
前記複数の桁梁の両端を支持し、搬送方向に延びる一対のサイドフレームと、
前記複数の桁梁の上部に架けわたされ、幅方向に並ぶ複数のグレートバーと、
前記一対のサイドフレームのそれぞれの下面に上下可動に取り付けられた一対のシールバーと、を有し、
焼結用の原料を積載したパレット台車が搬送される領域において、前記パレット台車の下方に、搬送方向に並べられた複数の風箱で構成される風箱群と、
前記一対のシールバーの下面と接する位置に配置され、搬送方向に延びて形成される一対のウェアーバーと、
前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポートと、
前記風箱群の搬送方向の両端のうち少なくとも一方の端から搬送方向の外方で、前記パレット台車の下方且つ前記一対のウェアーバーの間において、前記風箱群の内部空間の搬送方向の端における幅方向の両端の間を覆うように配置され、可撓性を有するデッドプレートであって、幅方向の両端の前記ウェアーバーに対する相対位置が固定されたデッドプレートと、
前記デッドプレートの幅方向の中央部を押し上げる押し上げ装置と、
前記デッドプレートの搬送方向の上流の端に幅方向に並んで設けられ、搬送方向の反対方向に向かって斜め下方向に延びる複数の案内板と、を備える、
焼結機。
【請求項2】
前記デッドプレートの幅方向の両端の上端の高さと、前記ウェアーバーの上面の高さとの差が5mm以内である、請求項1に記載の焼結機。
【請求項3】
前記ウェアーバーの上面の高さと、前記パレット台車の前記桁梁の下端の高さとの差が5mm以内である、請求項1又は2に記載の焼結機。
【請求項4】
前記桁梁の下部に取り付けられ、前記桁梁の下面より下に延びて形成されるシール部材をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の焼結機。
【請求項5】
前記桁梁は、前記桁梁の下面より上で搬送方向又は搬送方向と反対方向に突出する突起を有し、
前記シール部材は、前記突起に取り付けられ、前記突起から前記桁梁の下面より下に延びて形成される、請求項4に記載の焼結機。
【請求項6】
前記突起は、幅方向に連続的に延びて形成され、
前記シール部材は、前記突起の下で、前記突起が突出する方向において前記突起よりも突出しないように設けられる、請求項5に記載の焼結機。
【請求項7】
前記シール部材は、金属の薄板を複数重ねた構成、又は、ワイヤーブラシの中に薄板を挟んだ構成を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の焼結機。
【請求項8】
前記風箱群の搬送方向の端面を形成する板状の端面部材と、
前記デッドプレートの下面に幅方向に並んで設けられ、前記端面部材の大気側の面と摺動可能に接触する複数の板材と、
前記デッドプレートから前記板材の前記端面部材に摺動する面と反対側の面を通り前記端面部材に至るまでの領域を覆うシート部材とをさらに備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の焼結機。
【請求項9】
前記風箱群の搬送方向の端面を形成する、上下方向に可撓性を有する遮蔽部材をさらに備え、
前記遮蔽部材の上端は、前記デッドプレートの下面に接し、前記遮蔽部材の下端は、前記風箱に接し、前記遮蔽部材の幅方向の両端は、前記ウェアーバーサポートに接している、請求項1~7のいずれか1項に記載の焼結機。
【請求項10】
無端軌道上を搬送される複数のパレット台車を有する焼結機のシール装置であって、
焼結用の原料を積載した前記パレット台車のそれぞれの下面に上下可動に取り付けられた一対のシールバーの下面と接する位置に配置され、搬送方向に延びて形成される一対のウェアーバーと、
前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポートと、
焼結用の原料を積載した前記パレット台車の下方に搬送方向に並べられた複数の風箱で構成される風箱群の搬送方向の両端のうち少なくとも一方の端から搬送方向の外方で、前記パレット台車の下方且つ前記一対のウェアーバーの間において、前記風箱群の内部空間の搬送方向の端における幅方向の両端の間を覆うように配置され、可撓性を有するデッドプレートであって、幅方向の両端のウェアーバーに対する相対位置が固定されたデッドプレートと、
前記デッドプレートの幅方向の中央部を押し上げる押し上げ装置と、
前記デッドプレートの前記搬送方向の上流の端に幅方向に並んで設けられ、搬送方向の反対方向へ向かって斜め下方向に延びる複数の案内板と、を備える、焼結機のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機のシール技術に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結機は、無端軌道上に配置した複数のパレット台車を有する。複数のパレットは互いに隣接し、連続した搬送コンベヤーを形成する。連続する複数のパレットの上に焼結用の原料が積載され、搬送される。搬送中に、積載した原料中の粉コークス等の燃料に点火される。点火後、原料中の燃料が燃焼することで、鉄鉱石が加熱され、部分溶融して焼結鉱を形成する。原料が積載された複数のパレットの下には、負圧を生じさせる複数の連続した複数の風箱で構成される風箱群が配置される。風箱群は、誘引排風機に接続される。パレット台車に積載された原料の燃焼排ガスは、風箱に吸引される。そのため、原料には、上部から空気が常に供給される。
【0003】
風箱の負圧を保つために、パレット台車の下方の風箱につながる空間は、密閉されることが求められる。そのため、従来の焼結機では、パレット台車の下面に設けられた一対のシールバーを、軌道に沿って設けられた一対のウェアーバーに接触させた状態でパレット台車が搬送される。これにより、一対のシールバー間の空間を大気から遮断することが図られる。
【0004】
また、風箱群の搬送方向の端部では、風箱のシール装置として、デッドプレートが配置される。デッドプレートは、風箱群の搬送方向の端において、パレット台車の下面と接するように配置される板状部材である。デッドプレートは、風箱群の搬送方向の端部で、風箱内の負圧の空間を、風箱外の大気と遮断する。パレット台車の下面と、デッドプレートの面の間のシール性の向上については、種々の提案がなされている。
【0005】
例えば、特開2012-247088号公報(特許文献1)には、デッドプレートを上下可動とする機構と、デッドプレートをパレット台車の下面に押し付ける機構を備えた焼結機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-247088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術において、デッドプレートを上下可動とし、デッドプレートをパレット台車の下面に押し付けることで、例えば、パレット台車の下面が撓んで下がってきた場合にも、デッドプレートをパレット台車の下面の撓みに追従させることができる。デッドプレートで上下可動な構造では、デッドプレートは、その幅方向の両端において、外側に位置する焼結機の他の構成部位と分離されている。そのため、デッドプレートの幅方向の両端付近には、漏風の経路となりうる空間が生じる。発明者らは、さらなる漏風の防止の観点から、この空間は軽視できないと考えた。
【0008】
発明者らは、漏風の経路となり得る空間を減らす観点から、シールのための構成を簡素化することを検討した。さらに、漏風の防止と、構成の簡素化により想定される問題点の解消を検討した。構成の簡素化による問題点としては、具体的には、パレット台車が、デッドプレートに突っ掛かることとが懸念された。
【0009】
本発明は、漏風の防止と、パレット台車のデッドプレートへの突っ掛けの防止を両立することができる焼結機及びシール装置を提供する目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態における焼結機は、無端軌道上を搬送される複数のパレット台車を有する焼結機である。前記パレット台車の各々は、幅方向に延び、搬送方向に並んで配置される複数の桁梁と、前記複数の桁梁の両端を支持し、搬送方向に延びる一対のサイドフレームと、前記複数の桁梁の上部に架けわたされ、幅方向に並ぶ複数のグレートバーと、前記一対のサイドフレームのそれぞれの下面に上下可動に取り付けられた一対のシールバーと、を有する。前記焼結機は、焼結用の原料を積載したパレット台車が搬送される領域において、前記パレット台車の下方に、搬送方向に並べられた複数の風箱で構成される風箱群と、前記一対のシールバーの下面と接する位置に配置され、搬送方向に延びて形成される一対のウェアーバーと、前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポートと、前記風箱群の搬送方向の両端のうち少なくとも一方の端から搬送方向の外方で、前記パレット台車の下方且つ前記一対のウェアーバーの間に配置され、可撓性を有するデッドプレートであって、幅方向の両端の前記ウェアーバーに対する相対位置が工程されたデッドプレートと、前記デッドプレートを下方から押し上げる押し上げ装置と、前記デッドプレートの搬送方向の上流の端に幅方向に並んで設けられ、搬送方向の反対方向に向かって斜め下方向に延びる複数の案内板とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本願開示によれば、漏風の防止と、パレット台車のデッドプレートへの突っ掛けの防止を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、焼結機の斜視図である。
図2図2は、図1の拡大図である。
図3図3は、本実施形態におけるパレット台車を含む部分の断面図である。
図4図4は、隣接する2台のパレット台車及びデッドプレートの側面図である。
図5図5は、図4のV-V線の断面図である。
図6図6は、図5の拡大図である。
図7図7は、パレット台車の桁梁とデッドプレートの断面図である。
図8図8は、デッドプレート下方のシール構造の変形例を示す断面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線の断面図である。
図10図10は、図8及び図9に示す遮蔽部材及びデッドプレートの斜視図である。
図11図11は、遮蔽部材の変形例を示す分解斜視図である。
図12図12は、図11に示す遮蔽部材の断面図である。
図13図13は、遮蔽部材の変形例を示す斜視図である。
図14図14は、遮蔽部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
パレット台車は、継続して使用すると、パレット台車の下部の桁梁(桁下と称することもできる)が下方に撓む場合がある。撓んだ部分がデッドプレートに突っ掛けることを回避する一つの手段は、デッドプレート全体を上下に可動として、パレット台車の桁下に押し当てる構成とすることである。
【0014】
さらに、デッドプレートに可撓性を持たせ、デッドプレートの複数の位置において、下から押し上げる機構を備える構成とすることができる。これにより、デッドプレートは、パレット台車の撓みにも追随して、パレット台車に密着しながら撓み、デッドプレートとパレット台車からの間の漏風を防止できる(例えば、特開2012-247088号公報参照)。
【0015】
しかしながら、このような構成の焼結機では、デッドプレートの幅方向両端付近に漏風の経路となりうる空間が生じる。発明者らは、鋭意検討の結果、漏風防止と突っ掛け防止を両立するできる焼結機の例として、下記の実施形態に想到した。
【0016】
(構成1)
本発明の実施形態における焼結機は、無端軌道上を搬送される複数のパレット台車を有する焼結機である。前記パレット台車の各々は、幅方向に延び、搬送方向に並んで配置される複数の桁梁と、前記複数の桁梁の両端を支持し、搬送方向に延びる一対のサイドフレームと、前記複数の桁梁の上部に架けわたされ、幅方向に並ぶ複数のグレートバーと、前記一対のサイドフレームのそれぞれの下面に上下可動に取り付けられた一対のシールバーと、を有する。前記焼結機は、焼結用の原料を積載したパレット台車が搬送される領域において、前記パレット台車の下方に、搬送方向に並べられた複数の風箱で構成される風箱群と、前記一対のシールバーの下面と接する位置に配置され、搬送方向に延びて形成される一対のウェアーバーと、前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポートと、前記風箱群の搬送方向の両端のうち少なくとも一方の端から搬送方向の外方で、前記パレット台車の下方且つ前記一対のウェアーバーの間に配置され、可撓性を有するデッドプレートであって、幅方向の両端の前記ウェアーバーに対する相対位置が工程されたデッドプレートと、前記デッドプレートを下方から押し上げる押し上げ装置と、前記デッドプレートの搬送方向の上流の端に幅方向に並んで設けられ、搬送方向の反対方向に向かって斜め下方向に延びる複数の案内板とを備える。
【0017】
上記構成1において、デッドプレートの幅方向の両端のウェアーバーに対する相対位置は固定される。すなわち、デッドプレートの幅方向の両端は、ウェアーバーに対して可動ではない。これにより、漏風の経路となりうる空間を減らすことができる。また、デッドプレートは、可撓性を有し、押し上げ装置によって、幅方向の中央部が下から押し上げられる。この構成により、デッドプレートの上面をパレット台車の桁梁の下面に追随させやすくなる。また、このデッドプレートの端から搬送方向と反対方向へ向かって斜め下に延びる案内板が、幅方向に複数並んで配置される。案内板によってデッドプレートにパレット台車の桁梁が突っ掛かりにくくなる。突っ掛けが起きにくいため、デッドプレートの上面の高さをパレット台車の桁梁の下面に近づけることが可能になる。そのため、デッドプレートの上面のパレット台車の桁梁の下面に対する追従性をより高めることができる。このように、構成1によれば、漏風の防止と、パレット台車のデッドプレートへの突っ掛けの防止を両立することができる。
【0018】
デッドプレートが可撓性を有する形態は、例えば、デッドプレートの固定された両端の間の中央部分が、上下方向に変位するように弾性変形が可能である状態である。デッドプレートの両端の間の中央部分が、上下方向に弾性変形できる範囲は、例えば、パレット台車の桁梁の下面の上下方向の変位幅と同じか、より大きいことが好ましい。
【0019】
(構成2)
上記構成1において、前記デッドプレートの前記幅方向の両端の上端の高さと、前記ウェアーバーの上面の高さとの差が5mm以内とするであることが好ましい。これにより、デッドプレートとパレット台車の桁梁との間を小さくすることができる。これにより、漏風がより防止される。
【0020】
(構成3)
上記構成1又は2のいずれかにおいて、前記ウェアーバーの上面の高さと、前記パレット台車の前記桁梁の下端の高さとの差が5mm以内であることが好ましい。これにより、デッドプレートとパレット台車の桁梁との間を小さくすることができる。
【0021】
(構成4)
上記構成1~3のいずれかにおいて、前記焼結機は、前記桁梁の下部に取り付けられ、前記桁梁の下面より下に延びて形成されるシール部材をさらに備えてもよい。シール部材により、桁梁の下面とデッドプレートの上面の間のシール性をより高めることができる。
【0022】
(構成5)
上記構成4において、前記桁梁は、前記桁梁の下面より上で搬送方向又は搬送方向と反対方向に突出する突起を有してもよい。前記突起には、前記突起から前記桁梁の下面より下に延びて形成されるシール部材が取り付けられてもよい。
【0023】
(構成6)
上記構成5において、前記突起は、幅方向に連続的に延びて形成されることが好ましい。前記シール部材は、前記突起の下で、前記突起よりも搬送方向又は搬送方向と反対方向において突出しないように設けられてもよい。この突起によって、シール部材が、焼結排ガスの流れから保護される。
【0024】
(構成7)
上記構成4~6のいずれかにおいて、前記シール部材は、金属の薄板を複数重ねた構成、又は、ワイヤーブラシの中に薄板を挟んだ構成を含んでもよい。これにより、シール部材は、可撓性を有する。そのため、桁梁の下面とデッドプレート上面との距離の変化に応じて、シール部材が弾性変形できる。例えば、シール部材の下端は、自由端であり、シール部材は、シール部材の下端が桁梁の下面より上に位置する状態に、弾性変形可能である。
【0025】
(構成8)
上記構成1~7のいずれかにおいて、前記焼結機は、前記風箱群の搬送方向の端面を形成する板状の端面部材と、前記デッドプレートの下面に幅方向に並んで設けられ、前記端面部材の大気側の面と摺動可能に接触する複数の板材と、前記デッドプレートから前記板材の前記端面部材に摺動する面と反対側の面を通り前記端面部材に至るまでの領域を覆うシート部材とをさらに備えてもよい。この構成により、デッドプレートの幅方向中央部が撓んでも、デッドプレートと風箱の間に隙間が生じにくい。
【0026】
上記構成1~7のいずれかにおいて、前記焼結機は、前記風箱群の搬送方向の端面を形成する、上下方向に可撓性を有する遮蔽部材をさらに備えてもよい。この場合、前記遮蔽部材の上端は、前記デッドプレートの下面に接し、前記遮蔽部材の下端は、前記風箱に接し、前記蛇腹材の幅方向の両端は、前記ウェアーバーサポートに接していてもよい。この構成により、デッドプレートの幅方向中央部が撓んでも、デッドプレートと風箱の間に隙間が生じにくい。
【0027】
(構成10)
上記構成1~7のいずれかの焼結機におけるシール装置も、本発明の実施形態に含まれる。本発明の実施形態におけるシール装置は、無端軌道上を搬送される複数のパレット台車を有する焼結機のシール装置である。前記シール装置は、焼結用の原料を積載した前記パレット台車のそれぞれの下面に上下可動に取り付けられた一対のシールバーの下面と接する位置に配置され、搬送方向に延びて形成される一対のウェアーバーと、前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポートと、焼結用の原料を積載した前記パレット台車の下方に搬送方向に並べられた複数の風箱で構成される風箱群の搬送方向の両端のうち少なくとも一方の端から搬送方向の外方で、前記パレット台車の下方且つ前記一対のウェアーバーの間に配置され、可撓性を有するデッドプレートであって、幅方向の両端のウェアーバーに対する相対位置が固定されたデッドプレートと、前記デッドプレートを前記幅方向の中央部を押し上げる押し上げ装置と、前記デッドプレートの前記搬送方向の上流に幅方向に並んで設けられ、前記搬送方向と反対方向へ向かって斜め下方向に延びる複数の案内板と、を備える。
【0028】
本明細書において、パレット台車において、焼結用の原料が積まれる方向が上であり、その反対方向が下である。搬送方向は、パレット台車が軌道上を搬送されるときのパレット台車の進行方向である。幅方向は、搬送方向及び上下方向に直交する方向とする。
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0030】
(実施形態1)
図1は、本実施形態における焼結機100の構成例を示す斜視図である。焼結機100は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車10を備える。無端軌道は、上の段と下の段を含む。無端軌道の上の段では、上流である給鉱側KSから下流である排鉱側HSに向かって、矢印Y1で示す方向に焼結用の原料を積載したパレット台車10が搬送される。この上の段の搬送方向を、y軸とする。x軸は、幅方向とし、z軸は、上下方向とする。
【0031】
無端軌道の上の段の上方には、上流から順に、底敷鉱ホッパ31、給鉱ホッパ32、及び点火炉33が配置される。底敷鉱ホッパ31は、比較的粗い粉鉱石をパレット台車10に投入する。底敷鉱ホッパ31から投入された鉄鉱石は、パレット台車10の原料収容部の底となる火格子を覆う。給鉱ホッパ32は、比較的細かい粉鉱石をパレット台車10に投入する。投入される粉鉱石にはコークスが混ぜられている。点火炉33は、パレット台車10に収納された焼結鉱原料の表面に点火する。点火により、パレット台車10の焼結原料の上層部から燃焼が開始する。パレット台車10が、上の段の下流の端に達するまでに、燃焼は、パレット台車10の焼結原料の最下層まで達する。上の段の下流の端において、パレット台車10は反転して、排鉱する。
【0032】
無端軌道の上の段のパレット台車10の下方には、複数の風箱21が配置される。複数の風箱21により風箱群(a group of wind boxes)が構成される。複数の風箱21は、搬送方向に並んで配置される。すなわち、複数の風箱21は、焼結用の原料を積載したパレット台車が搬送される領域に設けられる。複数の風箱21内の空間は、互いにつながっており、大気から遮断されている。複数の風箱21の各々には、管が接続される。風箱21内の空間は、管を通じて、誘引排風機(図示せず)につながっている。
【0033】
複数の風箱21で構成される風箱群の搬送方向における上流の端及び下流の端には、デッドプレート17が配置される。デッドプレート17は、複数の風箱21で構成される風箱群の搬送方向の端から外方に延びる板状の部材である。デッドプレート17の幅方向における寸法は、風箱群の搬送方向の端における開口の幅方向の寸法と同じか又はより長い。すなわち、デッドプレート17は、風箱群の内部空間の搬送方向の端における幅方向の両端の間を覆うように、幅方向に延びて形成される。デッドプレート17は、デッドプレート17の上を通るパレット台車10の下面と接触する。すなわち、デッドプレート17の上を通るパレット台車10は、下面をデッドプレート17に接触させた状態で、搬送される。これにより、風箱群の搬送方向の端部がシールされる。デッドプレート17の搬送方向の寸法は、例えば、パレット台車10の搬送方向の寸法より大きくすることができる。なお、図1は、わかりやすくするため、デッドプレート17の上のパレット台車10が浮いた状態で描かれているが、実際は、浮いていない。
【0034】
図2は、図1に示す焼結機100の複数の風箱21で構成される風箱群の排鉱側HKの端部付近の拡大図である。図2に示すように、無端軌道の上の段には、パレット台車10の下方において、搬送方向に沿って延びる一対のウェアーバー13が配置される。一対のウェアーバー13は、幅方向に離間している。一対のウェアーバー13の間の幅方向の長さは、風箱21の上部の開口の幅方向の寸法と略同じである。ウェアーバー13は、パレット台車10の下面に取り付けられたシールバー(後述)と接する位置に配置される。
【0035】
ウェアーバー13は、ウェアーバーサポート12によって、支持される。ウェアーバーサポート12は、ウェアーバー13を載せる台板と、台板を支持する上下方向に延びる支持部と、支持部の下部を支持する底部とを含む。ウェアーバーサポート12の支持部は、搬送方向に延び、風箱群の密閉空間の側壁の一部となる。
【0036】
デッドプレート17は、一対のウェアーバー13の間に位置する。デッドプレート17の幅方向の両端と、一対のウェアーバー13との相対位置は、固定されている。デッドプレート17はウェアーバー13そのものに支持されていなくてもよい。例えば、デッドプレート17は、ウェアーバーサポート12に支持されていてもよい。なお、デッドプレート17の幅方向の両端は、一対のウェアーバー13に接している。デッドプレート17は、可撓性を有する。そのため、デッドプレート17の両端の間の部分は、上下方向に変位するよう弾性変形が可能である。
【0037】
デッドプレート17の上面の高さは、ウェアーバー13の上面の高さと略同じとすることができる。デッドプレート17の搬送方向の上流の端には、複数の案内板18が設けられる。複数の案内板18は、幅方向に並んで配置される。それぞれの案内板18は、デッドプレート17の端から搬送方向と反対方向に向かって突出する。案内板18は、デッドプレート17から搬送方向と反対方向に向かって斜め下に延びる。デッドプレート17上に進入するパレット台車10の下面は、案内板18の斜面に沿ってデッドプレート17の上に案内される。パレット台車10の下面がデッドプレート17の上面より低い場合、パレット台車10の下面は、進入時に、案内板18に当接して搬送方向に進み、デッドプレート17の上に導かれる。
【0038】
図2に示す例では、案内板18は、デッドプレート17の上面に垂直な面に沿って延びる板のリブで形成される。案内板18は、デッドプレート17から搬送方向と反対方向に向かって斜め下に傾斜する斜面を有する。この案内板17の斜面は、デッドプレート17の上面と連続していることが好ましい。案内板18が、幅方向に複数配置されることで、デッドプレート17の幅方向両端部の間における撓みが、案内板18によって妨げられない。
【0039】
なお、案内板18の形状は、リブに限られない。例えば、案内板18は、短冊であってもよい。案内板18が短冊の場合は、短冊の面のうち最も広い面すなわち表面が、デッドプレート17から搬送方向と反対方向に向かって斜め下に延びる斜面となる。複数の案内板18のうちの隣り合う2つの案内板18は、離間していてもよいし、互いに接していてもよい。
【0040】
図3は、パレット台車10、風箱21、ウェアーバー13の搬送方向に垂直な面における断面図である。パレット台車10は、パレットフレーム2と、パレットフレーム2の幅方向の両端部に配置された一対の側板1と、一対の側板1の間のパレットフレーム2に配置される複数のグレートバー8を備える。パレットフレーム2は、幅方向に延びる桁梁2aと、桁梁2aの両端を支持する一対のサイドフレーム2bを有する。複数のグレートバー8は、桁梁2aの上に配置される。複数のグレートバー8は、火格子を構成する。一対の側板1は、パレットフレーム2の上面に取り付けられる。一対の側板1は、パレットフレーム2から上方に延びる。パレットフレーム2の幅方向の両端部には、一対の車輪7が回転可能に取り付けられる。一対の車輪7の車軸7aは、幅方向に延びる。焼結用の原料は、火格子上に積載される。すなわち、複数のグレートバー8の火格子と一対の側板1で囲まれる空間に焼結用の原料が収納される。
【0041】
図4は、デッドプレート17の上を通るパレット台車10を幅方向から見た側面図である。図4に示すように、桁梁2aは、パレット台車10の搬送方向に複数並んで配置される。グレートバー8は、搬送方向に並ぶ2つの桁梁2aの上に架けわたされる。
【0042】
再び、図3を参照し、車輪7は、搬送方向に延びるレール11の上を転がる。レール11の内側には、搬送方向に延びる一対のウェアーバー13と、一対のウェアーバー13をそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポート12が配置される。ウェアーバー13及びウェアーバーサポート12は、パレット台車10の下方に配置される。パレットフレーム2の下面には、2つの凹部2cが形成される。凹部2cは、搬送方向に延びる。2つの凹部2cは、幅方向に離間している。2つの凹部2cのそれぞれに、搬送方向に延びる一対のシールバー4が挿入される。一対のシールバー4の各々は、パレットフレーム2に対して上下方向の可動な状態で取り付けられる。パレット台車10が原料を積載して搬送される時には、シールバー4の下面がウェアーバー13の上面に接した状態で、シールバー4がウェアーバー13に対して搬送方向に相対移動する。すなわち、シールバー4はウェアーバー13に対して摺動する。
【0043】
パレット台車10の下方には、複数の風箱21が配置される。複数の風箱21は、搬送方向すなわちy方向に並んで配置される。パレット台車のグレートバー8の下方であって、一対のシールバー4、一対のウェアーバー13、及び一対のウェアーバーサポート12の間の空間は、風箱21内の空間と繋がっている。風箱21内のガスは、誘引排風機(図示略)によって吸引される。風箱21内の空間は、ダクトを通じて誘引排風機に繋がっている。風箱21内には負圧が生じる。すなわち、グレートバー8と、一対のシールバー4、一対のウェアーバー13、一対のウェアーバーサポート12で囲まれる空間は負圧となる。これにより、原料中のガスはグレートバー8の火格子を通って風箱21に吸引され、原料の上方の大気が原料の中に取り込まれる。
【0044】
図4に示すように、焼結機100は、デッドプレートの幅方向の中央部を下方から押し上げる押し上げ装置41を備える。押し上げ装置41は、重錘45と、重錘45の重力を、デッドプレート17の下面に伝えるリンク42を備える。リンク42は、幅方向に延びる軸44を中心として回転可能に支持される。リンク42の一方端には押圧部材43が幅方向の軸を中心として回転可能に取り付けられる。リンク42の他方端には、重錘45がつり下げられる。押圧部材43は、デッドプレート17の幅方向の両端の間の中央部の下面に接する。この構成により、重錘45の重力が、押圧部材43に伝わり、押圧部材43が、デッドプレート17の幅方向の中央部の下面を下から押す。2台の押し上げ装置41が、搬送方向に並んで配置される。これにより、デッドプレート17の搬送方向に離間した2箇所が、押し上げ装置41によって下から押し上げられる。
【0045】
なお、押し上げ装置41の構成は、図4に示す構成に限られない。例えば、押し上げ装置41は、スプリングの弾性力によって、デッドプレート17を押し上げる構成であってもよい。この場合、押し上げ装置41は、スプリングと、スプリングの弾性力を、デッドプレート17を下から押す力として伝える伝達部材とを備えることができる。
【0046】
図4に示す例では、案内板18は、デッドプレート17の搬送方向の両端、すなわち、搬送方向の上流の端と、下流の端の両方に設けられる。上流の端の案内版18uは、デッドプレート17の搬送方向の上流の端から、搬送方向の反対方向へ向かって、斜め下方向に延びる。下流の端の案内板18dは、デッドプレート17の搬送方向の下流の端から、搬送方向へ向かって、斜め下方向に延びる。このように、デッドプレート17の搬送方向の両端に案内板18を設けることで、焼結機の修理等のために搬送方向とは逆方向にパレット台車を走行させる場合でも、パレット台車がデッドプレート17に突っ掛かりにくくできる。
【0047】
図4に示す例では、デッドプレート17の下面に、下方に向かって延びる板材15が設けられる。板材15は、デッドプレート17に密着して固定される。図5は、図4のV-V線の断面図である。図5に示すように、短冊状の複数の板材15が、幅方向に並んで配置される。これにより、デッドプレートの幅方向の撓みを妨げない。
【0048】
再び、図4を参照し、板材15の下部は、風箱21の端面部材22に摺動可能に接触している。端面部材22は、風箱群の搬送方向の端部に設けられる。湯麺部材22は、風箱群の搬送方向の端面を形成する。端面部材22は、上下方向及び幅方向に延びる板状部材である。端面部材22の下端は、風箱21に密着して固定される。端面部材22の幅方向の両端は、ウェアーバーサポート12に密着して固定される。板材15は、端面部材22の外側の面すなわち大気側の面に接する。デッドプレート17から板材15の表面を通り、端面部材22に至るまでの領域を覆うシート部材16が設けられる。シート部材16は、風箱21の外側すなわち大気側に設けられる。シート部材16は、端面部材22の幅方向全体にわたって設けられる。シート部材16は、板材15と端面部材22の摺動面とその周囲を含む領域を外側から覆う。シート部材16は、例えば、粘性のあるペースト状の物質を塗りこんだ布状部材としてもよい。板材15、端面部材22及びシート部材16は、風箱群の搬送方向の端面において、風箱21とデッドプレート17の間を空気が通らないよう遮断する。
【0049】
従来技術のように、デッドプレート17の全体を上下可動にした場合は、搬送方向のデッドプレートの長さの範囲に亘り、デッドプレートとウェアーバーサポートとの摺動面が必要になる。この摺動面は隙間があり漏風が通過可能である。これに比べて、本実施形態では、デッドプレート17の両端が、デッドプレート17の搬送方向長さの範囲に亘り、ウェアーバー13に対する相対位置が固定される。例えば、デッドプレート17の両端が、ウェアーバーサポート12に密閉固定される。デッドプレート17の全体は、ウェアーバー13に対して上下可動ではない。そのため、デッドプレートとウェアーバーの間、又は、デッドプレートとウェアーバーサポートとの間に摺動面が無い構成を成すことができる。その結果、摺動面の周辺から侵入する漏風が通る空間を無くすことができる。
【0050】
図6は、図5のウェアーバー13を含む部分の拡大図である。図6では、デッドプレート17及び板材15を図示している。図6に示すように、デッドプレート17の幅方向両端における上面の上下方向の高さは、ウェアーバー13の上面の高さと略同じである。また、ウェアーバー13の上面と、桁梁2aの下面との距離T1は、ウェアーバー13の厚みより小さい。距離T1は、例えば、5mm以下とすることができる。また、デッドプレート17の幅方向の両端のウェアーバー13に対する相対位置は、固定されている。図6に示す例では、デッドプレート17の幅方向の両端は、取付具12aによって、ウェアーバーサポート12に固定される。なお、デッドプレート17の幅方向の両端は、取付具を介さずにウェアーバーサポート12に密着して固定されてもよい。デッドプレート17は、幅方向の両端の間の部分すなわち中央部分が弾性変形により上下方向に変位できる程度に、可撓性を有する。この構成において、押し上げ装置によりデッドプレート17が下から押される。さらに、図2及び図4に示すようにデッドプレート17の搬送方向の上流の端から搬送方向と反対方向へ斜め下に延びる案内板18が設けられる。
【0051】
これにより、パレット台車10がデッドプレート17の領域に進入する時に、桁梁2aが、最初に接触する案内板18の搬送方向に対して斜めの面に擦る。桁梁2aは、デッドプレートの中央部分に密接に接触して、中央部分を押し下げながらデッドプレート上面を通過していく。
【0052】
例えば、パレット台車10の桁梁2aの中央部が撓んで、桁梁2aの下面が、ウェアーバー13の上面の高さより低くなる場合がある。この場合、案内板18の斜面に、桁梁2aの下面が追随し、パレット台車10が、デッドプレート17に突っ掛かることなく、デッドプレート17を押し下げて、デッドプレート17に接触しながら進むことができる。なお、上述したように、案内板18は、デッドプレート17の撓みを許容する構成となっている。このように、デッドプレート17に案内板18を設けることで、パレット台車10の下面がデッドプレート17の上面に導かれる。さらに、デッドプレート17は、パレット台車10の下面に合わせて撓むことができる。これにより、デッドプレート17と桁梁2aの距離T1を狭くしても、漏風防止と突っ掛かり防止を両立させることができる。
【0053】
図6に示す距離T2は、従来技術における、ウェアーバー13の上面と桁梁2aの下面との距離である。従来は、距離T2を例えば25mm程度にし、デッドプレート全体を上下方向に可動としていた。この場合、デッドプレートをウェアーバーの上面より上の高さまで押し上げ、桁梁2aに接触させることになる。このような構成では、デッドプレートを含む上下に動く部材の側面と、ウェアーバーサポートの内側垂直面との隙間からの漏風を防ぐのが難しい。
【0054】
本実施形態では、ウェアーバーサポート12の内側の面と、デッドプレート17は摺動しない。また、デッドプレート17の上面すなわち摺動面は、ウェアーバー13の摺動面と略同じ高さなので、例えば、デッドプレート17をウェアーバーサポート12に気密溶接固定することができる。このように、デッドプレート17を上下可動とした場合には生じていた、デッドプレート17とウェアーバーサポートとの間の摺動部分の隙間が無くなる。そのため、この摺動部分の隙間の漏風が無くなる。
【0055】
図7は、デッドプレート17の上を通るパレット台車10の桁梁2aの部分の断面図である。図7は、幅方向に垂直な面の断面図である。図7に示す例では、デッドプレート17は、母材17aとライナー17bを含む。このように、デッドプレート17は、複数の層で形成することができる。図7に示すように、桁梁2aに、桁梁2aの下面2eより下に延びて形成されるシール部材51が、取り付けられてもよい。この例では、桁梁2aは、桁梁2aの下面2eより上において、搬送方向と反対方向に突出する突起2dを有する。桁梁2aの下端部はフランジ2fが形成されている。突起2dは、フランジ2fの搬送方向の端面に設けられる。なお、桁梁2aのフランジ2fは、搬送方向の長さが、隣接する他の部分よりも広くなっている。
【0056】
シール部材51は、突起2dの下の面に取り付けられる。シール部材51は、突起2dの下の面から内側へ延びて下方に折れ曲がり、桁梁2aの下面2eより下まで延びて形成される。シール部材51の一端部は、突起2dに取り付けられ、他端部は、自由端となっている。シール部材51は板状のシートとすることができる。シール部材51は、湾曲した状態で、桁梁2aに取り付けられる。また、突起2d及びシール部材51は、桁梁2aの幅方向の全域にわたって形成されてもよい。
【0057】
パレット台車10がデッドプレート17の上を通る時、シール部材51は、デッドプレート17に接する。シール部材51は、デッドプレート17と桁梁2aとの間の隙間を塞ぐ。これにより、漏風がより抑えられる。
【0058】
シール部材51は、可撓性を有する。すなわち、そのため、シール部材51は、弾性変形可能である。例えば、シール部材51は、デッドプレート17に下から押されて、シール部材51全体が、桁梁2aの下面2eより上に引っ込んだ状態になるような弾性変形も可能である。これにより、デッドプレート17と桁梁2aの下面2eとの距離T1が略0mmになった場合に、シール部材51が、桁梁2aの下面2eより上に引っ込み、距離T1が0mmでない時には、下面2eから下方へ延びてデッドプレート17に接することができる。
【0059】
また、デッドプレート17の面に対し、柔軟なシール部材51が接触することで、より密着性が高くなる。例えば、パレット台車10の桁梁2aの幅方向の中央が最も撓みが大きい場合に、デッドプレート17を下から桁梁2aに押し当てても、桁梁2aの幅方向の両端の付近で隙間が生じる場合がある。このような場合、桁梁2aに取り付けられたシール部材51を、デッドプレート17の表面に接触させることで、両端部付近に隙間が生じないようにすることができる。
【0060】
シール部材51は、例えば、SUS鋼板等の薄板を複数層に重ね合せたもの、ワイヤーブラシの中に薄板を挟んだものとすることができる。また、シール部材51の自由端を含む部分には、溶射等を施すことができる。これにより、シール部材51がデッドプレート17と接する部分を摩耗しにくくできる。
【0061】
また、図7に示すシール部材51は、焼結排ガスの流れる方向に対して、突起の影に位置するように設けられる。これにより、シール部材51に、焼結排ガスに含まれるダストが衝突しにくくなる。
【0062】
可撓性を有するデッドプレート17の幅方向両端をウェアーバー13に対して固定する構成と、桁梁2aにシール部材51を取り付けた構成とを組み合わせて、さらに、デッドプレート17とパレット台車10の桁梁2aの下面との距離を、シール部材51の上下方向の長さに応じて設定することができる。これにより、デッドプレート17の桁梁2aの下面に対する追随性を高めることができる。
【0063】
なお、デッドプレートの上面にワイヤーと薄板を組み合わせたシール部材を設けることができる。この場合は、常時、デッドプレートとパレット台車の下面との隙間に高速の大気が流れる。この大気に同伴したダストによって、シール部材の摩耗が早い。これに比べて、図7に示すようなパレットフレーム2に取り付けられたシール部材51は、摩耗が遅い。例えば、パレット台車10が一時間に無端軌道を一周すると考える。パレット台車10は、一周のうちに、2ヶ所のデッドプレートの上を通る。そのため、(1/60)×2=30分に一回、シール部材51が、強風にさらされる。パレット台車10が、デッドプレートを通過する時間は、概ね1分程度とする。そうすると、シール部材51は、30分間に1回、1分間強風とダスト衝突に曝露されることになる。これに対して、デッドプレートにシール部材を取り付けた場合は、そのシール部材は、1日のうち24時間連続してダスト衝突に暴露される。デッドプレートに取り付けたシール部材の寿命が2.0ヵ月程度とすると、桁梁2aに取り付けたシール部材51の寿命は、その30倍の5年間となる。そのため、桁梁2aに取り付けたシール部材51は、寿命取り替えも可能であり、維持管理しやすいシール部材である。
【0064】
(デッドプレート下面と風箱の間をシールする構成の変形例)
デッドプレート下面と風箱の間をシールする構成は、上述の短冊状の板材15、板状の端面部材22、及びシート部材16に限られない。図8は、図4における板材15、端面部材22及びシート部材16を、遮蔽部材23に置き換えた構成例を示す側面図である。図9は、図8のIX-IX線における断面図である。図10は、図8及び図9に示す遮蔽部材23とデッドプレート17の斜視図である。
【0065】
図8図10に示す例では、遮蔽部材23が、デッドプレート17の下面と風箱との間に、取り付けられている。遮蔽部材23は、蛇腹板23aと、一対の平板23bを含む。一対の平板23bは、蛇腹板23aの幅方向の両端に密着して固定される。一対の平板23bと、蛇腹板23aは、例えば、溶接等によって接続される。一対の平板23bの蛇腹板23aと反対側の面は、ウェアーバーサポート12に密着して固定される。これにより、遮断部材23の幅方向の両端のウェアーバーサポート12に対する相対位置が固定される。
【0066】
蛇腹板23aは、複数の稜23rを含む形状に湾曲された板材である。蛇腹板23aの複数の稜23rは、搬送方向に突出し、幅方向に延びる。蛇腹板23aの幅方向両端の間の部分は、上下方向に可撓性を有する。図8~10に示す例では、蛇腹板23aの上端部及び下端部は、平板状になっている。蛇腹板23aの上端部と下端部の間には、湾曲した部分が含まれる。この湾曲した部分が、複数の稜を形成する。蛇腹板23aは、例えば、金属板をプレスすることによって形成される。図8図10に示す例では、蛇腹板23aは、一枚の金属板を幅方向に延びる複数の線に沿って山折りになるように曲げたものである。この場合、蛇腹板23aは、稜に垂直な方向に可撓性を有する。
【0067】
遮蔽部材23の上端部は、デッドプレート17の下面と、搬送方向にある程度の長さをもって、且つ幅方向全域にわたって密着し固定される。また、遮蔽部材23の下端部も、搬送方向にある程度の長さもって、且つ幅方向全域にわたって風箱21に密着し固定される。遮蔽部材23の上端部は、デッドプレート17の下面に追従して撓むことができる。
【0068】
このように、遮蔽部材23は、デッドプレート17、風箱21、及び一対のウェアーバーサポート12に対して、密閉気密状態で固定され、且つ、幅方向両端の間の部分では、上下方向に可撓性を有する。これにより、遮断部材23は、風箱群の搬送方向の端部において、デッドプレート17、風箱21及び一対のウェアーバーサポート12で囲まれる領域を遮蔽する。また、遮断部材23の幅方向両端の間の部分は、上下方向に伸縮可能である。そのため、デッドプレート17の幅方向の中央部が撓んだ場合、遮断部材23は、デッドプレート17の撓みに追随して変形する。これにより、デッドプレート17が撓んでも、遮断部材23とデッドプレート17の下面と密着を保つことができる。
【0069】
遮断部材23の構成は、上記例に限られない。例えば、遮断部材23の一対の平板23bを省略してもよい。この場合、蛇腹部材23aの幅方向の両端が、ウェアーバーサポート12に密着して固定されてもよい。
【0070】
図11は、変形例における遮蔽部材23の分解斜視図である。図12は、図11に示す遮蔽部材23を構成する蛇腹部材23aの、幅方向に垂直な面における断面の一部を示す図である。図11及び図12に示す例では、蛇腹部材23aは、互いに隙間なく接合された複数の金属板23a1により構成される。複数の金属板23aは、上下方向に並んで配置される。
【0071】
複数の金属板23aのうち一番上の金属板23a1の上端部は、デッドプレート17の下面と、搬送方向にある程度の長さをもって且つ幅方向全域にわたって密着して固定される。一番下の金属板23a1の下端部は、搬送方向にある程度の長さをもって且つ幅方向全域にわたって、風箱に密着して固定される。一番上の金属板23a1と一番下の金属板23a1の間の中間の金属板23a1は、上下に隣接する2つの金属板23a1にそれぞれ幅方向全域にわたって密着して接合される。複数の金属板23a1は、いずれも、隣り合う金属板23aに対して離間する部分を有する。隣り合う2つの金属板23a1の接合部は、幅方向に延びる稜線を形成する。隣り合う2つの金属板23a1は、例えば、溶接により、接合することができる。蛇腹部材23aの幅方向両端は、一対の平板23bにそれぞれ密着して固定される。
【0072】
図13は、遮蔽部材23の変形例を示す斜視図である。図13に示す例では、遮蔽部材23は、矩形のフレーム23cとフレーム23cの4辺に隙間無く取り付けられたシート23dを有する。シート23dは、フレーム23cで囲まれる領域の全体を覆う。シート23dは、例えば、粘性のあるペースト状の物質を塗りこんだ布状部材としてもよい。シート23dは、たるんだ状態でフレーム23cに取り付けられてもよい。
【0073】
フレーム23cは、上面23c1、側面23c2、23c3及び下面23c4を含む。フレーム23cの上面23c1は、可撓性を有し、幅方向全域にわたってデッドプレート17に密着して固定される。側面23c2、23c3は、一対のウェアーバーサポート12に密着して固定される。下面23c4は、幅方向全域にわたって風箱21に密着して固定される。
【0074】
図14は、遮蔽部材23の変形例を示す斜視図である。図14に示す例では、遮蔽部材23は、湾曲した板23fと、板23dの幅方向両端に設けられる一対の平板23e1、23e2を有する。板23fは、幅方向に延びる軸に巻き付くように湾曲している。板23fの上端23f1は、幅方向全域にわたってデッドプレート17に密着して固定される。板23fの下端23f2は、幅方向全域にわたって風箱21に密着して固定される。一対の平板23e1、23e2は、ウェアーバーサポートに密着して固定される。板23fは、湾曲しているため、上下方向に可撓性を有する。そのため、板23fの上端23f1は、デッドプレート17の撓みに追随して、上下方向に撓むことができる。なお、一対の平板23e1、23e2を省略することもできる。この場合、板23fの幅方向の両端は、ウェアーバーサポート12に密着して固定することができる。
【0075】
図8図14に示す遮蔽部材23は、いずれも、上面、下面、及び幅方向両端の側面が他の部材に密着固定される。これらの上面、下面、及び側面で囲まれる領域の全体は、上下に撓むことができる部材で覆われる。この覆う部材は、例えば、上記の蛇腹部材23a、シート23d、又は、湾曲した板23fとすることができるが、これらの例に限られない。また、遮蔽部材23の上面は、上下に撓むことができる部材で形成される。このような構成により、遮蔽部材23は、デッドプレート17の撓みに追従して撓み、且つ、一対のウェアーバーサポート12の間におけるデッドプレート17と風箱21との間の空気の流れを遮蔽する。
【0076】
本発明は、上記実施形態に限られない。デッドプレートは、例えば、母材とライナー以外に他の層を含む複数の層で形成されてもよいし、1つの層で形成されてもよい。また、デッドプレート17の幅方向の両端の一対のウェアーバー13に対する相対位置が固定される形態は上記の例に限られない。例えば、デッドプレートとウェアーバーの間に他の部材が配置されてもよい。また、デッドプレートとウェアーバーサポートが接してもよい。また、桁梁において、シール部材が設けられる突起は、搬送方向に突出するよう設けられてもよい。
【0077】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1:側板
2:パレットフレーム
2a:桁梁
2b:サイドフレーム
4:シールバー
8:グレードバー
10:パレット台車
12:ウェアーバーサポート
13:ウェアーバー
17:デッドプレート
18:案内板
21:風箱(風箱)
41:押し上げ装置
51:シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14