(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】スプール弁、及びスプール弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20221025BHJP
F16K 3/24 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
F16K31/06 305V
F16K3/24 D
(21)【出願番号】P 2018184836
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】安田 智宏
(72)【発明者】
【氏名】三宅 純平
(72)【発明者】
【氏名】雫 修通
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 聖人
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-161379(JP,A)
【文献】特開2020-045983(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107327591(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/11
F16K 3/00- 3/36
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール弁体と、
前記スプール弁体を軸方向に移動可能に収容するスリーブを備える弁収容体と、
前記スプール弁体よりも軸方向の一方側に配置され、前記スプール弁体を軸方向の一方側から他方側に向けて付勢するコイルバネと、
前記スプール弁体の軸方向の一方側端部に設けられ、前記コイルバネの軸方向の他方側端部を保持する第1保持体と、
前記コイルバネの軸方向の一方側端部を保持する第2保持体とを備え、
前記スプール弁体が、軸方向の他方側から一方側に駆動される駆動部材によって軸方向の他方側から一方側に押されるスプール弁であって、
前記コイルバネとしての外側コイルバネと、
前記外側コイルバネの径方向内側に配置される内側コイルバネとを備え、
前記第1保持体が、前記外側コイルバネの軸方向の他方側端部、及び前記内側コイルバネの軸方向の他方側端部を保持し、
前記第1保持体の第1面に、前記外側コイルバネの軸方向の他方側の端が押し当てられ、
前記第1保持体の第2面に、前記内側コイルバネの軸方向の他方側の端が押し当てられ、
前記第2保持体が、前記外側コイルバネの軸方向の一方側端部、及び前記内側コイルバネの軸方向の一方側端部を保持し、
前記第2保持体の第3面に、前記外側コイルバネの軸方向の一方側の端が押し当てられ、
前記第2保持体の第4面に、前記内側コイルバネの軸方向の一方側の端が押し当てられ、
前記駆動部材の非駆動時における前記第1面と前記第3面との軸方向の距離が、前記外側コイルバネの自由長よりも長
く、
前記第2保持体が、前記第3面から軸方向の他方側に向けて突出する第1凸部と、前記第1凸部の軸方向の他方側の端に設けられる前記第4面から軸方向の他方側に向けて突出する第2凸部とを備え、
前記第1凸部が、前記外側コイルバネの軸方向の一方側端部の径方向内側に位置し、
前記第2凸部が、前記内側コイルバネの軸方向の一方側端部の径方向内側に位置する、スプール弁。
【請求項2】
前記第1凸部の軸方向の他方側端部の形状が、軸方向の他方側から一方側に向かうにつれて大径になるテーパー形状であり、
前記第2凸部の軸方向の他方側端部の形状が、軸方向の他方側から一方側に向かうにつれて大径になるテーパー形状である、請求項
1に記載のスプール弁。
【請求項3】
前記第1凸部の軸方向の一方側端部の形状が、軸方向に沿った円柱形状であり、
前記第2凸部の軸方向の一方側端部の形状が、軸方向に沿った円柱形状である、請求項
2に記載のスプール弁。
【請求項4】
前記第1保持体が、前記第1保持体の軸方向の一方側の端面から軸方向の他方側に向けて窪む第1凹部と、前記第1凹部の軸方向の他方側の端に設けられる前記第1面から軸方向の他方側に向けて窪む第2凹部とを備え、
前記外側コイルバネの軸方向の他方側端部が、前記第1凹部の径方向内側に位置し、
前記内側コイルバネの軸方向の他方側端部が、前記第2凹部の径方向内側に位置する、請求項
1乃至
3の何れか一項に記載のスプール弁。
【請求項5】
前記第1凹部の軸方向の一方側端部の形状が、軸方向の一方側から他方側に向けて小径になるテーパー形状であり、
前記第2凹部の軸方向の一方側端部の形状が、軸方向の一方側から他方側に向けて小径になるテーパー形状である、請求項
4に記載のスプール弁。
【請求項6】
前記第1凹部の軸方向の他方側端部の内壁形状が、軸方向に沿った円筒形状であり、
前記第2凹部の軸方向の他方側端部の内壁形状が、軸方向に沿った円筒形状である、請求項
5に記載のスプール弁。
【請求項7】
スプール弁と、前記スプール弁のスプール弁体を軸方向に駆動する駆動部材を有するソレノイドとを備えるスプール弁装置であって、前記スプール弁が、請求項1乃至
6の何れか一項に記載のスプール弁である、スプール弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプール弁、及びスプール弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スプール弁体と、スプール弁体を軸方向に移動可能に収容するスリーブを備える弁収容体と、スプール弁体よりも軸方向の一方側に配置され、スプール弁体を軸方向の一方側から他方側に向けて付勢するコイルバネとを備えるスプール弁が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のスプール弁装置のスプール弁は、弁収容体としての弁ハウジングを備える。スプール弁体は、弁ハウジングに設けられるスリーブ内に収容され、スプール弁体よりも軸方向の一方側に設けられるコイルバネにより、軸方向の一方側から他方側に向けて付勢される。スプール弁装置は、スプール弁の他に、ソレノイドを備える。ソレノイドは、スプール弁体よりも軸方向の他方側に配置される。ソレノイドは、コイルへの通電によって発する磁力により、駆動部材としてのプランジャを軸方向の他方側から一方側に向けて移動させる。このとき、スプール弁のスプール弁体がプランジャによって押されて、コイルバネの付勢力に抗して軸方向の他方側から一方側に向けて移動する。
【0004】
弁ハウジングには、ハウジング周壁を貫通する入力ポート、出力ポート、及び排出ポートが設けられる。ソレノイドの非駆動時には、流体が、入力ポートから弁ハウジングのスリーブ内に流入した後、出力ポートから流出する。ソレノイドが駆動され、スプール弁がプランジャによって押されて軸方向の他方側から一方側に向けて少しずつ移動する過程で、出力ポートから流出する流体の量が少しずつ減少する。スプール弁が更に軸方向の他方側から一方側に向けて移動すると、排出ポートから流出する流体の量が増加する。ソレノイドのコイルに供給される電流が変化すると、スプール弁体の軸方向の位置が変化する。この変化により、出力ポートから流出する流体の量、及び排出ポートから流出する流体の量を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このスプール弁装置のスプール弁は、電流の変化に対する流体の流出量の変化の特性を、出力ポートと排出ポートとで異ならせることが困難である。具体的には、電流が少しずつ増加するにつれて、出力ポートから流出する流体の量が減少する。このときの電流値の変化に対する流体の流出量の変化を示すグラフは、出力ポートと排出ポートとで互いに逆勾配になるが、同じ傾き(絶対値)になってしまう。
【0007】
つまり、このスプール弁は、電流の変化に対する流体の流出量の変化の特性をポートに応じて異ならせることが困難であるという課題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、電流の変化に対する流体の流出量の変化の特性をポートに応じて異ならせることができるスプール弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の例示的な第1発明は、スプール弁体と、前記スプール弁体を軸方向に移動可能に収容するスリーブを備える弁収容体と、前記スプール弁体よりも軸方向の一方側に配置され、前記スプール弁体を軸方向の一方側から他方側に向けて付勢するコイルバネと、前記スプール弁体の軸方向の一方側端部に設けられ、前記コイルバネの軸方向の他方側端部を保持する第1保持体と、前記コイルバネの軸方向の一方側端部を保持する第2保持体とを備え、前記スプール弁体が、軸方向の他方側から一方側に駆動される駆動部材によって軸方向の他方側から一方側に押されるスプール弁であって、前記コイルバネとしての外側コイルバネと、前記外側コイルバネの径方向内側に配置される内側コイルバネとを備え、前記第1保持体が、前記外側コイルバネの軸方向の他方側端部、及び前記内側コイルバネの軸方向の他方側端部を保持し、前記第1保持体の第1面に、前記外側コイルバネの軸方向の他方側の端が押し当てられ、前記第1保持体の第2面に、前記内側コイルバネの軸方向の他方側の端が押し当てられ、前記第2保持体が、前記外側コイルバネの軸方向の一方側端部、及び前記内側コイルバネの軸方向の一方側端部を保持し、前記第2保持体の第3面に、前記外側コイルバネの軸方向の一方側の端が押し当てられ、前記第2保持体の第4面に、前記内側コイルバネの軸方向の一方側の端が押し当てられ、前記駆動部材の非駆動時における前記第1面と前記第3面との軸方向の距離が、前記外側コイルバネの自由長よりも長い、スプール弁である。
【発明の効果】
【0010】
本願の例示的な第1発明によれば、電流の変化に対する流体の流出量の変化の特性をポートに応じて異ならせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るスプール弁装置(非通電時)の縦断面図である。
【
図2】コイルへの通電によってスプール弁体を軸方向のフロント側に移動させた状態の同スプール弁装置のスプール弁を示す縦断面図である。
【
図3】同スプール弁装置におけるA→T特性と、P→A特性とを示すグラフである。
【
図4】同スプール弁装置における、ストローク〔mm〕と、電磁力〔N〕と、電流〔A〕との関係を示すグラフである。
【
図5】非通電時の同スプール弁装置のスプール弁における軸方向のフロント側端部を示す縦断面図である。
【
図6】通電時のスプール弁における軸方向のフロント側端部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るスプール弁装置について説明する。本実施形態では、自動車等の車両に搭載される自動変速機の制御を行うスプール弁装置について説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0013】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、
図1に示す電磁弁の短手方向と平行な方向、すなわち、
図1の上下方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0014】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「リア側」と記し、Z軸方向の負の側(-Z側)を「フロント側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0015】
フロント側は、本発明における一方側に相当する。また、リア側は、本発明における他方側に相当する。
【0016】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0017】
[実施形態]
<全体構成>
図1は、実施形態に係るスプール弁装置の縦断面図である。本実施形態のスプール弁装置1は、
図1に示されるように、ソレノイド部10と、スプール弁50と、を備える。ソレノイド部10とスプール弁50とは、軸方向に沿って配置される。ソレノイド部10は、コイル29への通電により駆動部材としての軸部11を軸方向のリア側からフロント側に向けて移動させる。
図1は、コイル29に通電していない状態のスプール弁装置1を示す。スプール弁50は、ソレノイド部10の軸方向の一方側としてのフロント側に位置し、軸部11の移動とともに軸方向に移動可能なスプール弁体52を備える。
【0018】
なお、
図1に示されるソレノイド部10は、非通電状態であるので、通電時に軸部11によって軸方向の一方側に向けて押されるスプール弁体52は、
図1においては軸方向の移動範囲内におけるリア側の端に位置する。以下、コイル29に電流を供給していないときを、非通電時と言う。また、コイル29に電流を供給している状態のときを、通電時と言う。
【0019】
スプール弁50は、図示しないバルブボディに装着される。バルブボディは、例えば、スプール弁50を装着する装着孔部、複数の油路等を備える。また、バルブボディには、図示しない下側バルブボディが接続される。下側バルブボディは、例えば、複数のシフト弁、アキュムレータ、入出力ポートを備える。下側バルブボディは、図示しない油圧ポンプから供給される圧油を調圧してバルブボディに送る。バルブボディは調圧された圧油をスプール弁体52を介して自動変速機に送油する。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0020】
<ソレノイド部10>
ソレノイド部10は、
図1に示されるように、ヨーク21と、コア17と、軸部11と、ボビン25と、コイル29と、ハウジング30と、を備える。
【0021】
(ハウジング30)
ハウジング30は、磁性金属材料製であり、軸方向の他方側としてのリア側に、底部30aを備える有底筒状である。本実施形態では、ハウジング30は有底円筒状である。ハウジング30の軸方向フロント側端部の周縁部には、軸方向のフロント側へ突出する加締め部32を備える。加締め部32は、径方向内側に倒されてスプール弁50の軸方向のリア側端部を固定する。
【0022】
(軸部11)
軸部11は、
図1に示されるように、プランジャ11aとシャフト部11bとを備える。プランジャ11aは、シャフト部11bの軸方向のリア側に位置し、コア17に対して軸方向に移動する。シャフト部11bは、プランジャ11aを貫通してプランジャ11aに固定される。
【0023】
本実施形態では、シャフト部11bは、非磁性の金属材料製であり、プランジャ11aに設けられた装着孔部11a1内に挿入されて、プランジャ11aの軸方向の両側から突出して延びる。シャフト部11bは、ヨーク21内の貫通孔21aに挿入された第1すべり軸受け3及びコア17内の貫通孔17aに挿入された第2すべり軸受け4を介して支持される。コア17及びヨーク21の詳細については後述する。
【0024】
プランジャ11aは、シャフト部11bを固定して、コア17に対して軸方向に移動する。本実施形態では、プランジャ11aは、磁性材料製であって円柱状である。プランジャ11aは、中心軸Jに沿って貫通する装着孔部11a1を備える。装着孔部11a1内にシャフト部11bが嵌め合わされて装着される。このため、プランジャ11aとシャフト部11bとは単一の部材からなる部分であり、プランジャ11aの軸方向の移動とともにシャフト部11bが軸方向に移動する。
【0025】
(ヨーク21)
ヨーク21は、軸方向のリア側に位置し、軸方向のフロント側に延びる第1円筒部21bを備える。本実施形態では、ヨーク21は、リア側に位置して円柱状であり、ボビン25の内面25aに接触するヨーク本体部21cと、ヨーク本体部21cのフロント側の面の中央部からフロント側へ延びる第1円筒部21bと、を備える。第1円筒部21bの軸方向長さは、プランジャ11aの軸方向長さよりもやや短い。第1円筒部21bの内径は、プランジャ11aの外径よりも大きい。このため、第1円筒部21bは、プランジャ11aの軸方向への移動を可能にするとともに、プランジャ11aの軸方向への移動を案内する。
【0026】
ヨーク本体部21cには、中心軸Jに沿って貫通する貫通孔21aが設けられる。貫通孔21aの内径はシャフト部11bよりも大きい。貫通孔21a内にはシャフト部11bを通す第1すべり軸受け3が設けられる。第1すべり軸受け3にシャフト部11bが通されて、シャフト部11bのリア側が支持される。
【0027】
(コア17)
コア17は、ヨーク21に対して軸方向のフロント側に位置し、軸方向のリア側に延びる第2円筒部17bを備える。本実施形態では、コア17は、磁性材料製であり、ハウジング30のフロント側に配置されてハウジング30内に固定される。コア17は、ボビン25の内面25aに接触する円柱状の大径部17cと、大径部17cのリア側の側面からリア側へ延びて大径部17cよりも小径の第2円筒部17bと、を備える。大径部17cと第2円筒部17bは同軸上に位置する。大径部17cの径方向外側の側面17c1は、ボビン25の内面25aに嵌合して固定される。第2円筒部17bの軸方向のリア側端部は、リア側に進むに従って径方向内側に傾斜する突起部17b1を備える。突起部17b1は、コイル29の通電時に、突起部17b1からプランジャ11a側に延びる磁力線を集中させて、プランジャ11aをフロント側へ引っ張る力を増大する。
【0028】
第2円筒部17bの内径は、プランジャ11aの外径よりも大きい。このため、プランジャ11aは、第2円筒部17b内で移動可能である。大径部17cの貫通孔17a内には、第2すべり軸受け4が設けられ、第2すべり軸受け4にシャフト部11bが通される。このため、第2すべり軸受け4によってシャフト部11bのフロント側が支持される。したがって、軸部11は、第1すべり軸受け3及び第2すべり軸受け4によって両端支持される。
【0029】
なお、コア17の第2円筒部17bの径方向外側端面と、ヨーク21の第1円筒部21bのフロント側の径方向外側端面には、円筒状のカラー38が装着される。カラー38は、コア17とヨーク21とを、軸方向に隙間を設けて配置する。
【0030】
(ボビン25)
ボビン25は、第1円筒部21b及び第2円筒部17bの径方向外側に配置される。本実施形態では、ボビン25は、樹脂製であり、第1円筒部21b及び第2円筒部17bの径方向外側の側面21d、17c1を覆う。ボビン25は、円筒部25bと、円筒部25bの軸方向両側に設けられて径方向外側へ突出するフランジ部25cと、を備える。円筒部25bにコイル29が巻かれる。コイル29が巻かれたボビン25と、ターミナル49とは、樹脂からなる単一の部材の部分である。
【0031】
(コイル29)
コイル29は、ボビン25に巻かれる。本実施形態では、コイル29は、ボビン25の円筒部25bの径方向外側の外周面に沿って周方向に巻かれる。コイル29の軸方向両端部はターミナル49に設けられた端子48に電気的に接続される。
【0032】
<スプール弁50>
スプール弁50は、
図1に示されるように、オイルを流入及び流出させる複数のポートを備える。本実施形態では、スプール弁50には、3つのポートが設けられる。3つのポートは、スプール弁50のリア側からフロント側へ向かって、入力ポート54と、出力ポート56と、排出ポート58の順に配置される。入力ポート54は、図示しない油圧タンクからポンプによって供給されるオイルが流入するポートである。出力ポート56は図示しない自動変速機にオイルを供給又は自動変速機にからのオイルを流入させるポートである。排出ポート58は出力ポート56のオイルをドレインに排出するポートである。
【0033】
スプール弁50は、弁収容体としての弁ハウジング89と、弁ハウジング89に設けられる軸方向に延びるスリーブ60と、スリーブ60内に挿入されるスプール弁体52と、スリーブ60の軸方向の一方側の開口部60aに挿入されるプラグ70とを備える。また、スプール弁50は、スリーブ60内に設けられ、スプール弁体52の軸方向の一方側端部とプラグ70の軸方向の他方側端部との間に配置されてスプール弁体52を軸方向の他方側へ付勢するコイルバネを備える。なお、このコイルバネについては、後に詳述する。
【0034】
(弁ハウジング89)
弁ハウジング89に設けられるスリーブ60は、
図1に示されるように、軸方向に延びて弁ハウジング89を貫通する。スリーブ60には、入力ポート54と出力ポート56と排出ポート58とが連通する。弁ハウジング89における軸方向のフロント側端部の内面には、雌ネジ部89aが設けられる。
【0035】
スリーブ60の軸方向のフロント側端部には、スリーブ60のフロント側の開口を塞ぐプラグ70がねじ込まれる。プラグ70の径方向外側の面には、弁ハウジング89の雌ネジ部89aにねじ込まれる雄ネジ部70aが設けられる。このため、プラグ70は、弁ハウジング89の軸方向のフロント側端部に装着される。
【0036】
図2は、コイル29への通電によってスプール弁体52を軸方向のフロント側に移動させた状態のスプール弁装置1のスプール弁50を示す縦断面図である。
図2において、スプール弁体52は、軸方向の移動範囲内におけるフロント側の端まで移動している状態である。コイル29に供給する電流を調整することで、スプール弁体52の軸方向の位置を調整することが可能である。
【0037】
図3は、実施形態に係るスプール弁装置1におけるA→T特性と、P→A特性とを示すグラフである。グラフの横軸は、コイル29に供給される電流〔A〕を示す。グラフの縦軸は、出力ポート56からの流体の流出量〔L/min〕、及び排出ポート58からの流体の流出量〔L/min〕を示す。A→T特性は、電流と、出力ポート56からの流体の流出量との関係を示す特性である。P→A特性は、電流と、排出ポート58からの流体の流出量との関係を示す特性である。
【0038】
図3に示されるように、実施形態に係るスプール弁装置1では、コイル29への通電がなされていない状態において、出力ポート56からの流体の流出量が最大になる。コイル29に流れる電流が0〔A〕から徐々に高くなって約140〔A〕を超え始めると、出力ポート56からの流体の流出量が急激に低下し始める。コイル29に流れる電流が約180〔A〕を超えると、出力ポート56からの流体の流出量が0〔L/min〕になる。コイル29に流れる電流が更に高くなり、約450〔A〕を超え始めると、排出ポート58からの流体の流出量が、0〔L/min〕から緩やかに増加し始める。コイル29に流れる電流が約830〔A〕に達すると、排出ポート58からの流体の流出量が最大になる。
【0039】
図3から明らかなように、実施形態に係るスプール弁装置1においては、A→T特性のグラフの傾き(但し、極性を反転させた場合の傾き)と、P→A特性のグラフの傾きとを、大きく異ならせることができる。つまり、電流の変化に対する流体の流出量の変化の特性を、出力ポート56と、排出ポート58とで大きく異ならせることができる。このような効果を奏する理由については、後に詳述する。
【0040】
なお、スプール弁50のサイズに応じてグラフの最大値は上下し、且つグラフの傾きも僅かに変化するが、A→T特性が急激に下降するグラフになる一方で、P→A特性が緩やかに上昇するグラフになるという傾向は変わらない。
【0041】
図4は、実施形態に係るスプール弁装置1における、ストローク〔mm〕と、電磁力〔N〕と、電流〔A〕との関係を示すグラフである。ストローク〔mm〕は、軸部11の軸方向のフロント側への移動量である。電流〔A〕は、コイル29に供給される電流である。電磁力〔N〕は、コイル29の周囲に発生する磁力である。曲線のグラフは、ストロークと電流との関係を示す。
【0042】
ストロークと電流との関係は、スプール弁体52を軸方向のリア側に向けて付勢するコイルバネの付勢力によって変化する。弁ハウジング89の雌ネジ部89aに対するプラグ70の雄ネジ部70aのねじ込み量が調整されることで、コイルバネの付勢力が調整される。作業者は、ねじ込み量を調整することで、例えば
図4に示されるように、コイル29に1.0〔A〕の電流を流したときのストロークを、1.5〔mm〕に調整することが可能である。
【0043】
図5は、非通電時のスプール弁装置1のスプール弁50における軸方向のフロント側端部を示す縦断面図である。
図5に示されるように、スプール弁50の軸方向におけるスプール弁体52とプラグ70との間には、外側コイルバネ80、及び外側コイルバネ80の径方向内側に設けられる内側コイルバネ81が配置される。スプール弁体52の軸方向のフロント側端部には、第1保持体としての第1保持部52aが設けられる。第1保持部52aは、外側コイルバネ80の軸方向のリア側端部と、内側コイルバネ81の軸方向のリア側端部とを保持する。
【0044】
第1保持部52aは、第1保持部52aの軸方向のフロント側の端面から軸方向のリア側に向けて窪む第1凹部52a1と、第1凹部52a1の軸方向のリア側の端に設けられる第1面52a3から軸方向のリア側に向けて窪む第2凹部52a2とを備える。外側コイルバネ80の軸方向のリア側端部は、第1凹部52a1の径方向内側に位置した状態で、第1凹部52a1によって保持される。第1面52a3には、外側コイルバネ80の軸方向のリア側の端が押し当てられる。但し、
図5においては、外側コイルバネ80の軸方向のリア側の端が、第1面52a3から離間している状態である。その理由は、スプール弁体52が軸方向の移動範囲内におけるリア側の端に位置している状態だからである。
【0045】
第1凹部52a1の軸方向のフロント側端部の形状は、軸方向のフロント側からリア側に向けて小径になるテーパー形状である。一方、第1凹部52a1の軸方向のリア側端部の内壁形状は、軸方向に沿った円筒形状である。
【0046】
以下、第2凹部52a2の底面を第2面52a4と言う。
内側コイルバネ81の軸方向のリア側端部は、第2凹部52a2の径方向内側に位置した状態で、第2凹部52a2によって保持される。第2面52a4には、内側コイルバネ81の軸方向のリア側の端が押し当てられる。
【0047】
第2凹部52a2の軸方向のフロント側端部の形状は、軸方向のフロント側からリア側に向けて小径になるテーパー形状である。一方、第2凹部の軸方向のリア側端部の内壁形状は、軸方向に沿った円筒形状である。
【0048】
プラグ70は、スプール弁体52を外側コイルバネ80及び内側コイルバネ81によって軸方向のフロント側からリア側に向けて付勢する付勢力を調整する機能を備える。作業者が、プラグ70の雄ネジ部70aを弁ハウジング89の雌ネジ部89aにねじ込むねじ込み量を調整することで、前述の付勢力が調整される。
【0049】
また、プラグ70は、外側コイルバネ80の軸方向のフロント側端部と、内側コイルバネ81の軸方向のフロント側端部とを保持する第2保持体としての機能を備える。プラグ70に設けられる第3面70bは、軸方向において外側コイルバネ80のフロント側の端に対向する。この第3面70bには、外側コイルバネ80の軸方向のフロント側の端が押し当てられる。但し、
図3においては、外側コイルバネ80の軸方向のフロント側の端が、第3面70bから離間している状態である。その理由は、スプール弁体52が軸方向の移動範囲内におけるリア側の端に位置している状態だからである。
【0050】
プラグ70は、第3面70bから軸方向のリア側に向けて突出する第1凸部70cと、第1凸部70cの軸方向のリア側の端に設けられる第4面70dから軸方向のリア側に向けて突出する第2凸部70eとを備える。第4面70dには、内側コイルバネ81の軸方向のフロント側の端が押し当てられる。
【0051】
第1凸部70cは、外側コイルバネ80の軸方向のフロント側端部の径方向内側に位置した状態で、外側コイルバネ80の軸方向のフロント側端部を保持する。また、第2凸部70eは、内側コイルバネ81の軸方向のフロント側端部の径方向内側に位置した状態で、内側コイルバネ81の軸方向のフロント側端部を保持する。
【0052】
第1凸部70cの軸方向のリア側端部の形状は、軸方向のリア側からフロント側に向かうにつれて大径になるテーパー形状である。また、第2凸部70eの軸方向のリア側端部の形状は、軸方向のリア側からフロント側に向かうにつれて大径になるテーパー形状である。
【0053】
第1凸部70cの軸方向のフロント側端部の形状は、軸方向に沿った円柱形状である。また、第2凸部70eの軸方向のフロント側端部の形状は、軸方向に沿った円柱形状である。
【0054】
上述したように、
図5は、非通電時のスプール弁50を示す。
図5に示されるように、非通電時、即ち、軸部11の非駆動時、における第1面52a3と第3面70bとの距離L1は、外側コイルバネ80の自由長L2よりも長い。
【0055】
図6は、通電時のスプール弁50における軸方向のフロント側端部を示す縦断面図である。
図6は、スプール弁体52を軸方向の移動範囲内のフロント側の端まで移動させたスプール弁50を示す。
図6に示されるように、スプール弁体52が軸方向の移動範囲内のフロント側の端まで移動した状態では、第1面52a3と第3面70bとの距離L1が、外側コイルバネ80の自由長L2よりも短い。
【0056】
<スプール弁装置1の作用・効果>
(1)実施形態に係るスプール弁装置1においては、
図5に示されるように、非通電時に、外側コイルバネ80の軸方向のリア側の端が、第1面52a3から離間する。あるいは、実施形態に係るスプール弁装置1においては、非通電時に、外側コイルバネ80のフロント側の端が、第3面70bから離間する。あるいは、実施形態に係るスプール弁装置1においては、非通電時に、外側コイルバネ80の軸方向のリア側の端が、第1面52a3から離間し、且つ外側コイルバネ80のフロント側の端が、第3面70bから離間する。このため、非通電時には、スプール弁体52が外側コイルバネ80によって付勢されない状態になる。通電時にコイルバネ29に対して例えば
図3に示されるように100〔A〕程度の電流が供給されて、スプール弁体52が軸方向のリア側からフロント側に向けて移動したとする。このとき、内側コイルバネ81、及び外側コイルバネ80のうち、内側コイルバネ81だけがスプール弁体52に対して軸方向のリア側に向かう抗力を付与する。内側コイルバネ81及び外側コイルバネ80の2つがスプール弁体52に対して抗力を付与する場合に比べて、スプール弁体52を軸方向のフロント側に所定量だけ移動させるのに必要な電流値が低くなる。つまり、電流値が僅かに増加しただけで、スプール弁体52が軸方向のフロント側に大きく移動する。よって、A→T特性は、
図3に示されるように、急激に下降するフラフになる。一方、スプール弁体52が軸方向において排出ポート58を開く位置まで移動すると、軸方向のフロント側に移動しようとするスプール弁体52に対し、内側コイルバネ81及び外側コイルバネ80の2つが反対側に向かう抗力を発揮する。このため、内側コイルバネだけが抗力を付与する場合に比べて、スプール弁体52を軸方向のフロント側に所定量だけ移動させるのに必要な電流値が高くなる。よって、P→A特性は、
図3に示されるように、緩やかに上昇するグラフになる。
実施形態に係るスプール弁装置1によれば、スプール弁体52に対して軸方向のリア側に向かう抗力を付与するコイルバネの数を、開弁するポートに応じて異ならせるので、電流の変化に対する流体の流出量の特性をポートに応じて異ならせることができる。
【0057】
(2)実施形態に係るスプール弁装置1によれば、第1凸部70c、及び第2凸部70eからなる2段の凸部を備えるという簡素な構成のプラグ70により、外側コイルバネ80の軸方向のフロント側端部を保持することができる。また、実施形態に係るスプール弁装置1によれば、簡単な構成のプラグ70により、内側コイルバネ81の軸方向のフロント側端部を保持することができる。
【0058】
(3)実施形態に係るスプール弁装置1においては、第2保持体たるプラグ70の第1凸部70cの軸方向のリア側端部に設けられるテーパー面が、作業者によって第1凸部70cの周面にセットされるときの外側コイルバネ80を軸方向に向けて案内する。また、実施形態に係るスプール弁装置1においては、プラグ70の第2凸部70eの軸方向のリア側端部に設けられるテーパー面が、作業者によって第2凸部70eの周面にセットされるときの内側コイルバネ81を軸方向に向けて案内する。これらの結果、実施形態に係るスプール弁装置1においては、プラグ70への外側コイルバネ80、及び内側コイルバネ81の組付作業性を向上させる。
よって、実施形態に係るスプール弁装置1によれば、スプール弁50の生産性を向上させることができる。
【0059】
(4)実施形態に係るスプール弁装置1においては、プラグ70の第1凸部70cの軸方向におけるフロント側端部が、軸方向に沿った円柱形状であることで、外側コイルバネ80の軸方向のフロント側端部を軸方向に沿った姿勢で保持する。このような保持により、実施形態に係るスプール弁装置1においては、外側コイルバネ80の軸方向のフロント側での座屈の発生を抑える。
また、実施形態に係るスプール弁装置1においては、プラグ70の第2凸部70eの軸方向におけるフロント側端部が、軸方向に沿った円柱形状であることで、内側コイルバネ81の軸方向のフロント側端部を軸方向に沿った姿勢で保持する。このような保持により、実施形態に係るスプール弁装置1においては、内側コイルバネ81の軸方向のフロント側での座屈の発生を抑えることができる。
実施形態に係るスプール弁装置1によれば、軸方向のフロント側でのバネ座屈に起因する外側コイルバネ80と内側コイルバネ81との接触による、A→T特性、及びP→A特性の変動を抑えることができる。
【0060】
(5)実施形態に係るスプール弁装置1によれば、第1凹部52a1、及び第2凹部52a2からなる2段の凹部を備えるという簡単な構成のプラグ70により、外側コイルバネの軸方向の他方側端部を保持することができる。また、実施形態に係るスプール弁装置1によれば、簡単な構成のプラグ70により、内側コイルバネの軸方向の他方側端部を保持することができる。
【0061】
なお、第1保持体と第2保持体との両方を、2段の凹部を備える保持体としてもよい。あるいは、第1保持体と第2保持体との両方を、2段の凸部を備える保持体としてもよい。但し、第1保持体と第2保持体とのうち、何れか一方を2段の凹部を備える保持体し、他方を2段の凸部を備える保持体とすると、
図6に示されるように、通電時に凸部を凹部の中に収容することが可能になる。
【0062】
実施形態に係るスプール弁装置1は、スプール弁体52を軸方向のフロント側に移動させているときに、第1保持部52aの第1凹部52a1を、プラグ70の第2凸部70eの収容スペースとして利用することが可能である。よって、実施形態に係るスプール弁装置1によれば、スリーブ60の軸方向における省スペース化を図ることができる。
【0063】
(6)実施形態に係るスプール弁装置1においては、第1保持部52aの第1凹部52a1の軸方向のフロント側端部に設けられるテーパー面が、作業者によって第1凹部52a1に入れ込まれるときの外側コイルバネ80を軸方向に向けて案内する。また、実施形態に係るスプール弁装置1においては、第1保持部52aの第2凹部52a2の軸方向のフロント側端部に設けられるテーパー面が、作業者によって第2凹部52a2に入れ込まれるときの内側コイルバネ81を軸方向に向けて案内する。これらの結果、実施形態に係るスプール弁装置1においては、第1保持部52aへの外側コイルバネ80、及び内側コイルバネ81の組付作業者を向上させる。
よって、実施形態に係るスプール弁装置1によれば、スプール弁50の生産性を向上させることができる。
【0064】
(7)実施形態に係るスプール弁装置1においては、第1保持部52aの第1凹部52a1の軸方向におけるリア側端部の内壁が、軸方向に沿った円筒形状であることで、外側コイルバネ80の軸方向のリア側端部を軸方向に沿った姿勢で保持する。このような保持により、実施形態に係るスプール弁装置1においては、外側コイルバネ80の軸方向のリア側での座屈の発生を抑える。
また、実施形態に係るスプール弁装置1においては、第1保持部52aの第2凹部52a2の軸方向におけるリア側端部の内壁が、軸方向に沿った円筒形状であることで、内側コイルバネ81の軸方向のリア側端部を軸方向に沿った姿勢で保持する。このような保持により、実施形態に係るスプール弁装置1においては、内側コイルバネ81の軸方向のリア側での座屈の発生を抑える。
実施形態に係るスプール弁装置1によれば、軸方向のリア側でのバネ座屈に起因する外側コイルバネ80と内側コイルバネ81との接触による、A→T特性、及びP→A特性の変動を抑えることができる。
【0065】
<スプール弁50の組み立て方法>
まず、プラグ70をねじ込んでいない弁ハウジング89を、フロント側を上に向けて垂直に立てて、弁ハウジング89のスリーブ60の開口を上に向ける。次に、外側コイルバネ80を開口からスリーブ60内に挿入し、外側コイルバネ80の軸方向のリア側端部を、第1保持部52aの第1凹部52a1の径方向内側に差し込む。その後、内側コイルバネ81を開口からスリーブ60内に挿入し、外側コイルバネ80の径方向内側に通しながら、内側コイルバネ81の軸方向のリア側端部を、第1保持部52aの第2凹部52a2内に差し込む。次に、第1凸部70cを内側コイルバネ81の軸方向のフロント側端部に挿入し、且つ第2凸部70eを外側コイルバネ80の軸方向のフロント側端部に挿入しながら、プラグ70を弁ハウジング89にねじ込む。その後、コイル29に所定の電流を流し、所定のストロークが得られるように、弁ハウジング89のねじ込み量を調整する。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発名とその均等の範囲に含まれる。
【0067】
前述した実施形態では、スプール弁50がソレノイド部10に固定される例を示したが、本発明はこの例に限るものではい。スプール弁50が図示しないバルブボディであって、ソレノイド部10が図示しないバルブボディに固定されてもよい。この場合、バルブボディはソレノイド部に加締め部によって固定されたり、固定板部を介してバルブボディがソレノイド部10に固定されたりしてもよい。ソレノイド部10の代わりに、油圧シリンダー当によってスプール弁体52を軸方向のリア側からフロント側に移動させてもよい。
【0068】
また、前述した実施形態では、2本のコイルバネ(80、81)を使用した例を示したが、3本以上のコイルバネを同軸上に配置するとともに、径方向内側から外側に向かってコイルバネの長さが短くなるように配置してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:スプール弁装置
10:ソレノイド部(ソレノイド)
11:軸部(駆動部材)
29:コイル
50:スプール弁
52:スプール弁体
52a:第1保持部(第1保持体)
52a1:第1凹部
52a2:第2凹部
52a3:第1面
52a4:第2面
54:入力ポート
56:出力ポート
58:排出ポート
60:スリーブ
60a:開口部
70:プラグ(第2保持体)
70b:第3面
70c:第1凸部
70d:第4面
70e:第2凸部
80:外側コイルバネ
81:内側コイルバネ
89:弁ハウジング
L1:非通電時における第1面と第3面との距離
L2:外側コイルバネの自由長