(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221025BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20221025BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221025BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221025BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B41J29/38 302
B41J29/42 F
B41J2/01 305
G03G21/00 510
G03G21/00 386
B65H7/02
(21)【出願番号】P 2018215624
(22)【出願日】2018-11-16
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】三宅 雅之
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-161196(JP,A)
【文献】特開平07-030704(JP,A)
【文献】特開2012-111200(JP,A)
【文献】特開平08-119492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/42
B41J 2/01-2/215
G03G 21/00
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の上に画像を形成する画像形成装置であって、
用紙の搬送方向に交差する方向における前記用紙の画像を示す第1出力信号を出力するイメージセンサーと、
前記用紙の搬送路上に前記用紙が存在するか否かを示す第2出力信号を出力する通過センサーと、
前記
第1出力信号
及び前記第2出力信号に基づいて
、用紙エラーに関する複数のエラー条件の各々の成立の有無を判定する判定部と、
前記判定部による複数の判定結果の組み合わせを示す成立パターン
、
及び前記複数のエラー条件の成立
の有無と前記用紙エラーの複数の発生要因との対応関係を示す用紙エラー情報に基づいて前記
複数の発生要因
のうちから1つ以上の発生要因を推定する推定部と
を備えた、画像形成装置。
【請求項2】
前記推定された発生要因を表示する表示部を更に備えた、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記推定部が複数の発生要因を推定する場合に、前記複数の発生要因が優先度の高い発生要因から順に前記表示部に表示されるように表示順序を制御する調整部を更に備えた、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、インクジェット記録装置として構成され、
前記判定部は、
前記
第1出力信号に基づいて、前記用紙の搬送方向に交差する方向における前記用紙の幅、センター位置、及びサイド位置に関するエラー条件の成立の有無を判定し、
前記
第1出力信号に基づいて、画像形成に寄与しないインク吐出を抑制するためのマスク位置に関するエラー条件の成立の有無を判定し、
前記
第2出力信号に基づいて、前記用紙の搬送方向における前記用紙の長さに関するエラー条件の成立の有無を判定する、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記推定部は、用紙耳折れ、用紙穴あき、用紙サイズ誤り、用紙セットずれ、及び用紙搬送ずれのうち少なくとも1つを前記発生要因として推定する、請求項
4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置は、用紙の搬送経路で用紙詰まり(ジャム)の発生を検知すると、ジャムの発生箇所に応じたメッセージをユーザーに提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置によれば、ユーザーは、用紙の不具合を示す用紙エラーがいかなる原因で発生したのかを知ることができない。したがって、用紙エラーが発生しないようにするための手掛かりが得られない、との不満をユーザーが持つことがあった。
【0005】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、用紙エラーの発生要因を推定することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、用紙の上に画像を形成する画像形成装置であって、センサー部と、判定部と、推定部とを備える。前記センサー部は、前記用紙の状態を示す信号を出力する。前記判定部は、前記センサー部の出力信号に基づいて用紙エラーに関する複数のエラー条件の各々の成立の有無を判定する。前記推定部は、前記複数のエラー条件の成立パターンに基づいて前記用紙エラーの発生要因を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙エラーの発生要因を推定することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【
図2】制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】(a)、(b)、及び(c)は、用紙エラーにおいてセンター位置のエラー条件が成立した場合に推定し得る3つの発生要因を説明する図である。
【
図5】(a)及び(b)は、用紙エラーにおいてマスク位置のエラー条件が成立した場合に推定し得る2つの発生要因を説明する図である。
【
図6】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、
図1~
図6を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
まず、
図1を参照して、実施形態に係る画像形成装置100について説明する。
図1は、画像形成装置100の一例を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、インクジェット記録装置であって、インクを吐出して用紙Pの上に画像を形成する。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置100は、操作パネル2、用紙収容部5、用紙搬送部6、記録部7、インク供給装置70、排出装置8、制御部9、及び記憶部10を備える。
【0012】
操作パネル2は、画像形成装置100に対するユーザーからのジョブの指示を受け付ける。操作パネル2は、液晶ディスプレー及び複数の操作キーを含む。操作パネル2は、ユーザーからの指示を受け付けると、ユーザーからの指示を示す信号を制御部9へ送信する。また、操作パネル2は、制御部9からのメッセージを示す信号を受け付けると、制御部9からのメッセージをユーザーに向けて表示する。
【0013】
用紙収容部5は、複数のカセット51を有する。カセット51は、用紙Pを収容する。カセット51から給紙された用紙Pは、用紙搬送部6へ搬送される。
【0014】
用紙搬送部6は、記録部7の下方を通過するように用紙Pを搬送する。また、用紙搬送部6は、記録部7の下方を通過した用紙Pを排出装置8に搬送する。用紙搬送部6は、イメージセンサー61と、通過センサー62とを有する。
【0015】
イメージセンサー61は、用紙Pの搬送方向に交差する方向における用紙Pの画像を示す信号を出力する。イメージセンサー61は、例えばCIS(Contact Image Sensor)ユニットである。CISユニットは、LED(Light Emitting Diode)、結像レンズ、及び画像読取センサーを含む。イメージセンサー61の出力信号は、制御部9に入力される。
【0016】
通過センサー62は、用紙Pの搬送路上に用紙Pが存在するか否かを示す信号を出力する。通過センサー62は、発光素子と受光素子とを備える。受光素子は、発光素子から出射された光を受光する。発光素子と受光素子との間に用紙Pが位置する場合、発光素子から出射された光が遮られる。また、発光素子と受光素子との間に用紙Pが位置しない場合、発光素子から出射された光を受光素子が受光する。通過センサー62の出力信号は、制御部9に入力される。
【0017】
記録部7は、インクを吐出して用紙Pの上に画像を記録する。記録部7は、ヘッドハウジング71と4つのラインヘッド72とを含む。ヘッドハウジング71は、4つのラインヘッド72を支持する。4つのラインヘッド72の各々は、対応する色のインクを吐出する。
【0018】
イエロー色のインクを吐出するラインヘッド72をラインヘッド72Yと示している。マゼンダ色のインクを吐出するラインヘッド72をラインヘッド72Mと示している。シアン色のインクを吐出するラインヘッド72をラインヘッド72Cと示している。ブラック色のインクを吐出するラインヘッド72をラインヘッド72Kと示している。
【0019】
インク供給装置70は、記録部7にインクを供給する。インク供給装置70は、4つ設けられる。第1インク供給装置は、ラインヘッド72Yにインクを供給する。第2インク供給装置は、ラインヘッド72Mにインクを供給する。第3インク供給装置は、ラインヘッド72Cにインクを供給する。第4インク供給装置は、ラインヘッド72Kにインクを供給する。
【0020】
排出装置8は、排出トレイ81を含む。排出装置8は、本体筐体の外部へ用紙Pを排出する。本体筐体の外部へ排出された用紙Pは、排出トレイ81に載置される。
【0021】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーによって構成される。制御部9は、制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100の各部の動作を制御する。
【0022】
記憶部10は、制御プログラム及びデータを記憶する。記憶部10は、ストレージデバイス及び半導体メモリーによって構成される。ストレージデバイスは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって構成される。半導体メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)によって構成される。
【0023】
次に、
図1及び
図2を参照して、制御部9の構成について説明する。
図2は、制御部9の一例を示すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、制御部9は、判定部91と、推定部92と、調整部93とを備える。具体的には、制御部9のプロセッサーは、記憶部10に記憶された制御プログラムを実行することにより、判定部91、推定部92、及び調整部93として機能する。記憶部10は、用紙エラー情報101を更に記憶する。操作パネル2は、制御部9に接続されている。イメージセンサー61の出力信号及び通過センサー62の出力信号は、制御部9に入力される。イメージセンサー61及び通過センサー62は、用紙Pの状態を示す信号を出力するセンサー部65として機能する。
【0025】
判定部91は、センサー部65の出力信号に基づいて用紙エラーに関する5つのエラー条件の各々の成立の有無を判定する。具体的に説明すると、判定部91は、まずイメージセンサー61の出力信号が示す用紙Pの画像を解析して、用紙Pの搬送方向に交差する方向における用紙Pの幅(用紙幅)、センター位置、及びサイド位置を決定する。そして、判定部91は、決定した用紙幅が許容範囲内にあるか否かを判定する。決定した用紙幅が許容範囲内にある場合には、判定部91は、用紙幅に関するエラー条件が成立しない、と判定する。決定した用紙幅が許容範囲内にない場合には、判定部91は、用紙幅に関するエラー条件が成立する、と判定する。このようにして、判定部91は、用紙幅に関するエラー条件の成立の有無を判定する。判定部91は、同様にして、センター位置及びサイド位置に関するエラー条件の成立の有無を判定する。
【0026】
また、判定部91は、イメージセンサー61の出力信号が示す用紙Pの画像を解析して、インク吐出によって記録部7に汚染を生じさせるような不具合があるか否かを判定する。用紙Pが存在すべき位置に存在しない場合、用紙不存在の位置にマスクが設定されることにより、画像形成に寄与しないインク吐出が抑制される。その結果、記録部7の汚染が未然に防止される。これに対応して、判定部91は、マスク位置に関するエラー条件の成立の有無を判定する。マスク位置に関するエラー条件が成立する場合には、判定部91は、用紙Pの不存在位置をマスク位置として更に判定する。例えば、判定部91は、マスク位置が用紙端又は用紙内のいずれであるかを判定する。用紙端及び用紙内の双方に用紙不存在が認められる場合には、判定部91は、マスク位置が全面であると判定する。
【0027】
また、判定部91は、通過センサー62の出力信号を解析して、発光素子から出射された光が用紙Pによって遮られた時間を求め、求めた時間に基づいて、用紙Pの搬送方向における用紙Pの長さ(用紙長)を決定する。そして、判定部91は、決定した用紙長が許容範囲内にあるか否かを判定する。決定した用紙長が許容範囲内にある場合には、判定部91は、用紙長に関するエラー条件が成立しない、と判定する。決定した用紙長が許容範囲内にない場合には、判定部91は、用紙長に関するエラー条件が成立する、と判定する。このようにして、判定部91は、用紙長に関するエラー条件の成立の有無を判定する。
【0028】
推定部92は、用紙エラー情報101を参照して、5つのエラー条件の成立パターンに基づいて用紙エラーの発生要因を推定する。操作パネル2は、推定された発生要因を表示する表示部として機能する。
【0029】
具体的に説明すると、推定部92は、用紙耳折れ、用紙穴あき、用紙サイズ誤り、用紙セットずれ、及び用紙搬送ずれのうち少なくとも1つを用紙エラーの発生要因として推定する。用紙耳折れは、画像形成に供された用紙Pの端部が折れ曲がっているという不具合である。用紙穴あきは、画像形成に供された用紙Pに穴があいているという不具合である。用紙サイズ誤りは、カセット51の中にセットされた用紙Pのサイズがジョブで指定された用紙サイズと異なるという不具合である。用紙セットずれは、カセット51の中に用紙Pがずれた位置でセットされたという不具合である。用紙搬送ずれは、用紙搬送部6における用紙Pの搬送スキューが大きいという不具合である。
【0030】
調整部93は、推定部92が複数の発生要因を推定する場合に、複数の発生要因が優先度の高い発生要因から順に操作パネル2に表示されるように表示順序を制御する。
【0031】
次に、
図3を参照して、用紙エラー情報101について説明する。
図3は、用紙エラー情報101の一例を示す図である。
【0032】
図3に示すように、用紙エラー情報101は、5つのエラー条件と、5つの発生要因との関係を示している。5つのエラー条件は、マスク位置、センター位置、サイド位置、用紙幅、及び用紙長を含む。5つの発生要因は、用紙耳折れ、用紙穴あき、用紙サイズ誤り、用紙セットずれ、及び用紙搬送ずれを含む。
図3において、〇印は「検知できる」を、△印は「検知できる場合あり」を、×印は「検知できない」をそれぞれ示す。
【0033】
次に、
図1~
図3、
図4(a)、
図4(b)、及び
図4(c)を参照して、用紙Pのセンター位置エラーの発生要因について説明する。
図4(a)、
図4(b)、及び
図4(c)は、用紙エラーにおいてセンター位置のエラー条件が成立した場合に推定し得る3つの発生要因を説明する図である。
【0034】
図4(a)に示すように、カセット51の中の用紙Pがずれた位置でセットされている場合、用紙Pはイメージセンサー61に対して傾いた姿勢でイメージセンサー61の位置まで搬送される。したがって、用紙Pの搬送方向に交差する方向において、用紙Pのセンターは、イメージセンサー61のセンターと一致しない。判定部91は、イメージセンサー61の出力信号に基づいて、センター位置に関するエラー条件が成立したと判定する。つまり、「用紙セットずれ」を発生原因とする「センター位置」に関する用紙エラーは、検知され得る。このことは、
図3において、「用紙セットずれ」の行のうち「センター位置」の列に位置する要素が「〇」であることに反映されている。
【0035】
図4(b)に示すように、用紙Pの端部に耳折れが生じている場合、用紙Pの搬送方向に交差する方向において、搬送方向における用紙Pの先端縁部のセンターは、イメージセンサー61のセンターと一致しない。判定部91は、イメージセンサー61の出力信号に基づいて、センター位置に関するエラー条件が成立したと判定する。つまり、「用紙耳折れ」を発生原因とする「センター位置」に関する用紙エラーは、検知され得る。このことは、
図3において、「用紙耳折れ」の行のうち「センター位置」の列に位置する要素が「〇」であることに反映されている。
【0036】
図4(c)に示すように、用紙Pの搬送スキューが大きい場合、用紙Pの搬送方向に交差する方向において、用紙Pのセンターは、イメージセンサー61のセンターと一致しない。判定部91は、イメージセンサー61の出力信号に基づいて、センター位置に関するエラー条件が成立したと判定する。つまり、「用紙搬送ずれ」を発生原因とする「センター位置」に関する用紙エラーは、検知され得る。このことは、
図3において、「用紙搬送ずれ」の行のうち「センター位置」の列に位置する要素が「〇」であることに反映されている。
【0037】
次に、
図1~
図3、
図5(a)、及び
図5(b)を参照して、用紙Pのマスク位置エラーの発生要因について説明する。
図5(a)及び
図5(b)は、用紙エラーにおいてマスク位置のエラー条件が成立した場合に推定し得る2つの発生要因を説明する図である。
【0038】
図5(a)に示すように、用紙Pの内部に穴あきが生じている場合、判定部91は、イメージセンサー61の出力信号に基づいて、マスク位置に関するエラー条件が成立したと判定する。つまり、「用紙穴あき」を発生原因とする「マスク位置」に関する用紙エラーは、検知され得る。このことは、
図3において、「用紙穴あき」の行のうち「マスク位置」の列に位置する要素が「用紙内」であることに反映されている。
【0039】
図5(b)に示すように、用紙Pの端部に耳折れが生じている場合、判定部91は、イメージセンサー61の出力信号に基づいて、マスク位置に関するエラー条件が成立したと判定する。つまり、「用紙耳折れ」を発生原因とする「マスク位置」に関する用紙エラーは、検知され得る。このことは、
図3において、「用紙耳折れ」の行のうち「マスク位置」の列に位置する要素が「用紙端」であることに反映されている。
【0040】
用紙Pの端部に耳折れが生じていても、耳折れの寸法が小さい場合には、判定部91は、通過センサー62の出力信号に基づいて、用紙長に関するエラー条件が成立しないと判定する。耳折れの寸法が大きく、耳折れ部分が通過センサー62の発光素子と受光素子との間を通過する場合には、判定部91は、通過センサー62の出力信号に基づいて、用紙長に関するエラー条件が成立すると判定する。つまり、「用紙耳折れ」を発生原因とする「用紙長」に関する用紙エラーは、検知され得る場合と、検知され得ない場合とがある。このことは、
図3において、「用紙耳折れ」の行のうち「用紙長」の列に位置する要素が「△」であることに反映されている。
【0041】
用紙Pの内部に穴あきが生じていても、用紙Pの搬送方向における用紙Pの長さは、穴あきの存在に影響されない。判定部91は、用紙Pの内部に穴あきが生じても、通過センサー62の出力信号に基づいて、用紙長に関するエラー条件が成立しないと判定する。つまり、「用紙穴あき」を発生原因とする「用紙長」に関する用紙エラーは、検知され得ない。このことは、
図3において、「用紙穴あき」の行のうち「用紙長」の列に位置する要素が「×」であることに反映されている。
【0042】
図3の用紙エラー情報101の中の他の要素については、説明を省略する。
【0043】
次に、
図1~
図3、及び
図6を参照して、制御部9の動作を説明する。
図6は、制御部9の動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS100:制御部9は、画像形成が実行されるように、用紙搬送部6、記録部7、インク供給装置70、及び排出装置8の各部を制御する。
【0045】
ステップS102:制御部9は、イメージセンサー61の出力信号及び通過センサー62の出力信号に基づいて、用紙エラーに関する5つのエラー条件の各々の成立の有無を判定する。いずれかのエラー条件が成立する場合には、制御部9は、画像形成を停止させる。
【0046】
ステップS104:制御部9は、用紙エラー情報101を参照して、5つのエラー条件の成立パターンに基づいて用紙エラーの発生要因を推定する。
【0047】
例えば、マスク位置のエラー条件が「用紙端」で成立し、センター位置、用紙幅、及び用紙長のエラー条件が成立し、サイド位置のエラー条件が成立しない場合を想定する。この場合には、制御部9は、用紙エラー情報101を参照して、用紙エラーの発生要因が「用紙耳折れ」であると推定する。
【0048】
ステップS106:制御部9は、推定された発生要因を操作パネル2に表示させる。複数の発生要因が推定された場合には、制御部9は、優先度の高い発生要因から順に操作パネル2に表示されるように表示順序を制御する。例えば、優先度は、発生の可能性が高い順と一致するように決定される。
【0049】
例えば、マスク位置のエラー条件が「用紙端」で成立し、センター位置及び用紙幅のエラー条件が成立し、サイド位置及び用紙長のエラー条件が成立しない場合を想定する。この場合には、制御部9は、用紙エラー情報101を参照して、用紙エラーの発生要因が「用紙耳折れ」又は「用紙セットずれ」であると推定する。「用紙耳折れ」よりも「用紙セットずれ」の方が発生の可能性が高いので、「用紙耳折れ」よりも先に「用紙セットずれ」が操作パネル2に表示される。
【0050】
本実施形態によれば、制御部9は、用紙エラーの発生要因を推定する。この推定の結果が操作パネル2を通じてユーザーに提示されるので、ユーザーは用紙エラーが発生しないようにするための手掛かりを得ることができる。したがって、ユーザーの利便性が向上する。
【0051】
上記した各実施形態の説明は、本発明における好適な実施形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。上記実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0052】
(1)
図1を参照して説明したように、本実施形態では、画像形成装置100がインクジェット記録装置であったが、これに限定されない。例えば、画像形成装置100は、電子写真方式の記録装置でもよい。
【0053】
(2)
図1及び
図2を参照して説明したように、本実施形態では、センサー部65がイメージセンサー61及び通過センサー62を含むが、これに限定されない。例えば、通過センサー62の配設を省略してもよい。
【0054】
(3)
図3を参照して説明したように、本実施形態では、用紙エラー情報101が5つのエラー条件と5つの発生要因との関係を示したが、これに限定されない。用紙エラー情報101に含まれるエラー条件の数、及び発生要因の数は、いずれも任意である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
2 操作パネル(表示部)
9 制御部
10 記憶部
61 イメージセンサー
62 通過センサー
65 センサー部
91 判定部
92 推定部
93 調整部
100 画像形成装置
101 用紙エラー情報
P 用紙