(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ロボットの駆動機構及びロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
B25J17/00 K
(21)【出願番号】P 2018227300
(22)【出願日】2018-12-04
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】中山 健二
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-169393(JP,A)
【文献】特開昭60-207797(JP,A)
【文献】特開2006-043780(JP,A)
【文献】特開2013-205518(JP,A)
【文献】特開2013-091145(JP,A)
【文献】国際公開第2012/160659(WO,A1)
【文献】特開2006-167832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
A63H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの頭部を前記ロボットの本体部に対して駆動するロボットの駆動機構であって、
前記頭部を、第1所定軸線
を中心として回転自在に支持するように且つ前記第1所定軸線に直交する第2所定軸線を中心として回転自在に支持するように
且つ前記第1所定軸線と前記第2所定軸線とに直交する第3所定軸線を中心として回転自在に支持するように構成された支持機構と
、
前記本体部に支持され
た第1アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第1所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第1伝達機構と、
前記本体部に支持され
た第2アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第2所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第2伝達機構と、
前記本体部に支持された第3アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第3所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第3伝達機構と、
を備え
、
前記第1伝達機構は、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びる第1シャフトを有し、前記第1アクチュエータから出力された動力を、前記第1シャフトと前記支持機構とを介して前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第1所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるように構成されており、
前記第2伝達機構は、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びる第2シャフトを有し、前記第2アクチュエータから出力された動力を、前記第2シャフトと前記支持機構とを介して前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第2所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるように構成されており、
前記第3伝達機構は、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びる第3シャフトを有し、前記第3アクチュエータから出力された動力を、前記第3シャフトと前記支持機構とを介して前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第3所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるように構成されており、
前記支持機構は、
前記本体部に固定され、当該本体部と前記頭部の間に配置された基部と、
前記第1シャフトが連結され、前記頭部を、前記第1所定軸線を中心として、前記基部に対して回転自在に支持するように構成された第1回転ステージと、
前記第2シャフトが連結され、前記頭部を、前記第2所定軸線を中心として、前記第1回転ステージに対して回転自在に支持するように構成された第2回転ステージと、
前記第3シャフトが連結され、前記頭部を、前記第3所定軸線を中心として、前記第1及び第2回転ステージに対して回転自在に支持するように構成された第3回転ステージと、
を有することを特徴とするロボットの駆動機構。
【請求項2】
前記基部は略筒状の形状を有し、
前記第1シャフト、前記第2シャフト及び前記第3シャフトが前記基部の内側に配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載のロボットの駆動機構。
【請求項3】
前記第3所定軸線は、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びており、
前記第1及び第2シャフトは、前記第1及び第2アクチュエータから前記頭部への動力の伝達に伴って、前記頭部と前記本体部の並び方向にそれぞれ移動し、
前記第3シャフトは、前記第3アクチュエータから前記頭部への動力の伝達に伴って、前記第3所定軸線を中心として回転し、
前記第1及び第2シャフトの前記頭部側の端部が球状の形状を有し、
前記第1及び第2回転ステージは、前記第1及び第2シャフトの前記端部が回転自在にそれぞれ嵌合する第1凹部及び第2凹部をそれぞれ有し、
前記第1及び第2凹部は、前記第2及び第1所定軸線が延びる方向にそれぞれ延びており、
前記第3シャフトに自在継手が設けられていることを特徴とする、請求項
1又は
2に記載のロボットの駆動機構。
【請求項4】
前記第2シャフトは、前記頭部側に設けられた頭部側シャフト部と、前記本体部側に設けられた本体部側シャフト部とを、前記頭部側シャフト部の前記本体部側の端部を前記本体部側シャフト部に、前記第1所定軸線と同じ方向に延びる所定軸線を中心として回転自在に連結するように構成されたピン部を有することを特徴とする、請求項
3に記載のロボットの駆動機構。
【請求項5】
前記基部に設けられ、前記第1シャフトを前記頭部と前記本体部の並び方向に移動可能に案内するように構成された第1ガイド部と、
前記基部に設けられ、前記第2シャフトを前記頭部と前記本体部の並び方向に移動可能に案内するように構成された第2ガイド部と、
前記基部及び前記第2回転ステージにそれぞれ設けられ、前記第3シャフトを前記基部及び前記第2回転ステージに対して前記第3所定軸線を中心として回転自在にそれぞれ支持する第1軸受及び第2軸受と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項
3又は
4に記載のロボットの駆動機構。
【請求項6】
前記第1アクチュエータ、前記第2アクチュエータ及び前記第3アクチュエータが、回転動力を出力可能な電動機で構成され、
前記第1及び第2伝達機構はそれぞれ、前記第1及び第2アクチュエータのうちの対応する一方からの回転動力を前記第1及び第2シャフトのうちの対応する一方のシャフトに伝達することにより、当該一方のシャフトを前記頭部と前記本体部の並び方向に往復移動させるように構成された第1カム及び第2カムをさらに有することを特徴とする、請求項
3ないし
5のいずれか1項に記載のロボットの駆動機構。
【請求項7】
前記第1~第3アクチュエータの各々は、前記第1~第3アクチュエータの各々に電力を供給するための各々の端子を有し、
前記各々の端子は、前記第2所定軸線及び前記第3所定軸線を含む平面を基準にして、前記基部の下部において互いに同じ側に配置されていることを特徴とする、請求項
6に記載のロボットの駆動機構。
【請求項8】
前記第1シャフトの前記本体部側の端部には、回転自在の第1ローラが設けられ、
前記第1カムは、前記第1ローラが回転自在に嵌合する第1カム溝を有し、
前記第2シャフトの前記本体部側の端部には、回転自在の第2ローラが設けられ、
前記第2カムは、前記第2ローラが回転自在に嵌合する第2カム溝を有することを特徴とする、請求項
6又は
7に記載のロボットの駆動機構。
【請求項9】
前記第1、第2及び第3伝達機構はそれぞれ、前記本体部に支持されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のロボットの駆動機構。
【請求項10】
請求項1ないし
9のいずれか1項に記載のロボットの駆動機構を備えるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの駆動機構及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットの頭部をロボットの本体部に対して駆動するロボットの駆動機構として、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に記載のロボットの駆動機構は、ロボットの頭部に収容された左右の電動機と、左右の弾性フレームを備えている。左右の電動機は、互いに同軸上に設けられており、各々の出力軸がロボットの頭部の外側に延びている。左右の弾性フレームは、頭部を中心として、互いに左右対称に配置されており、左右の弾性フレームの一端部は、左右のモータの出力軸にそれぞれ一体に接続されている。また、左右の弾性フレームの他端部は、胴部フレームに回転自在に支持されており、この胴部フレームは、ロボットの胴部に支持されている。
【0003】
この駆動機構では、ロボットの頭部に収容された左右の電動機の出力軸が同じ方向に回転すると、頭部が左右の電動機と一体に回転することによって、頭部の頷き動作が行われる。また、左右の電動機の出力軸が互いに逆方向に回転すると、左右の弾性フレームが、各々の他端部を中心として、互いに逆方向に回転することによって、頭部の左右首振り頷き動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のロボットの駆動機構は、構造上、左右の電動機を頭部に設けなければならないために、その分、ロボットの頭部が重量化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ロボットの頭部を軽量化できるロボットの駆動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のロボットの駆動機構は、
ロボットの頭部を前記ロボットの本体部に対して駆動するロボットの駆動機構であって、
前記頭部を、第1所定軸線を中心として回転自在に支持するように且つ前記第1所定軸線に直交する第2所定軸線を中心として回転自在に支持するように且つ前記第1所定軸線と前記第2所定軸線とに直交する第3所定軸線を中心として回転自在に支持するように構成された支持機構と、
前記本体部に支持された第1アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第1所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第1伝達機構と、
前記本体部に支持された第2アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第2所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第2伝達機構と、
前記本体部に支持された第3アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第3所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第3伝達機構と、
を備え、
前記第1伝達機構は、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びる第1シャフトを有し、前記第1アクチュエータから出力された動力を、前記第1シャフトと前記支持機構とを介して前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第1所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるように構成されており、
前記第2伝達機構は、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びる第2シャフトを有し、前記第2アクチュエータから出力された動力を、前記第2シャフトと前記支持機構とを介して前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第2所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるように構成されており、
前記第3伝達機構は、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びる第3シャフトを有し、前記第3アクチュエータから出力された動力を、前記第3シャフトと前記支持機構とを介して前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第3所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるように構成されており、
前記支持機構は、
前記本体部に固定され、当該本体部と前記頭部の間に配置された基部と、
前記第1シャフトが連結され、前記頭部を、前記第1所定軸線を中心として、前記基部に対して回転自在に支持するように構成された第1回転ステージと、
前記第2シャフトが連結され、前記頭部を、前記第2所定軸線を中心として、前記第1回転ステージに対して回転自在に支持するように構成された第2回転ステージと、
前記第3シャフトが連結され、前記頭部を、前記第3所定軸線を中心として、前記第1及び第2回転ステージに対して回転自在に支持するように構成された第3回転ステージと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロボットの頭部を軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るロボットの外観を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るロボットの本体部のフロントケース及びフロントヘッドを外した斜視図である。
【
図3】ロボットの頭部が
図1の状態にある時に、ネック駆動ユニットの正面左を見た斜視図である。
【
図4】ロボットの頭部が
図1の状態にある時に、ネック駆動ユニットの背面右を見た斜視図である。
【
図5】(a)は、本実施形態に係るネック駆動ユニットのX・Z軸駆動に係る部分を省略し、YZ平面で切断した断面斜視図、(b)は、(a)をXZ平面で切断した断面斜視図である。
【
図6】本実施形態に係るY軸駆動シャフト、Y軸コロシャフト及びY軸コロの斜視図である。
【
図7】本実施形態に係るY軸スリーブの斜視図である。
【
図8】(a)は、
図5(a)においてY軸カムが反時計回りに回転したときのY軸駆動シャフト及びY軸回転ステージの動きを示す断面斜視図、(b)は、(a)をXZ平面で切断した断面斜視図である。
【
図9】(a)は、
図5(a)においてY軸カムが時計回りに回転したときのY軸駆動シャフト及びY軸回転ステージの動きを示す断面斜視図、(b)は、(a)をXZ平面で切断した断面斜視図である。
【
図10】(a)は、本実施形態に係るネック駆動ユニットのY・Z軸駆動に係る部分を省略し、XZ平面で切断した断面斜視図、(b)は、(a)をYZ平面で切断した断面斜視図である。
【
図11】(a)~(c)は、本実施形態に係るX軸駆動シャフトの動きを示す斜視図である。
【
図12】本実施形態に係るX軸スリーブの斜視図である。
【
図13】(a)は、
図10(a)においてX軸カムが時計回りに回転したときのX軸駆動シャフト及びX軸回転ステージの動きを示す断面斜視図、(b)は、(a)をYZ平面で切断した断面斜視図である。
【
図14】(a)は、
図10(a)においてX軸カムが反時計回りに回転したときのX軸駆動シャフト及びX軸回転ステージの動きを示す断面斜視図、(b)は、(a)をYZ平面で切断した断面斜視図である。
【
図15】(a)は、本実施形態に係るネック駆動ユニットのX・Y軸駆動に係る部分を省略し、Z軸に沿う方向に切断した断面斜視図、(b)は、(a)の切断面に対して垂直にZ軸に沿う方向に切断した断面斜視図である。
【
図16】(a)~(c)は、本実施形態に係るZ軸駆動シャフトの動きを示す斜視図である。
【
図17】(a)は、
図15(a)においてZ軸ウォームホイールが反時計回りに回転したときのZ軸駆動シャフト及びZ軸回転ステージの動きを示す断面斜視図、(b)は、
図15(a)においてZ軸ウォームホイールが時計回りに回転したときのZ軸駆動シャフト及びZ軸回転ステージの動きを示す断面斜視図である。
【
図18】
図17(b)においてX軸方向及びY軸方向に傾斜している場合にZ軸ウォームホイールが時計回りに回転したときのZ軸駆動シャフト及びZ軸回転ステージの動きを示す断面斜視図である。
【
図19】
図18の場合のロボットの頭部の動きを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るロボットについて、図表を参照して説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。また、理解を容易にするため、ロボットから見た左右を左右方向、ロボットから見た前後を前後方向、ロボットから見た上下方向を上下方向とする、互いに直交する3つの軸線(X軸、Y軸及びZ軸)を設定し、各図に示し、適宜参照する。また、ネック駆動ユニット10の説明において、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸もあわせて使用する。ロボットの頭部が、
図1に示す、正面を真っ直ぐ向いている状態の時に、X軸と左右方向、Y軸と前後方向、Z軸と上下方向が一致する。ロボットの頭部が、正面を真っ直ぐ向いている状態以外の時には、XYZ軸と前後左右上下方向は、一致しない場合がある。なお、説明を容易にするために、以下の説明においては、特に図示や記載が無い場合には、ロボットの頭部は正面を真っ直ぐ向いている状態とする。
【0011】
本発明の実施形態に係るロボットは、互いに直交する3軸の軸線を中心とし、それぞれの軸線に対して頭部を所定の角度回転させることができる、人型のコミュニケーションロボットである。本実施形態に係るロボットは、音声を発する、又は、ディスプレイ等に文字を表示するのにあわせて首を振る動作を行うことにより、ユーザとのコミュニケーションをスムーズに行うことが出来る。
【0012】
ロボット100は、
図1に示すように、本体部1、ライトアーム2、レフトアーム3、ライトフット4、レフトフット5、頭部6、を備える。また、本体部1の前面には電源スイッチを含むスイッチ類200及び図示しないディスプレイを備え、頭部6には、図示しないカメラ、スピーカや各種センサ等を内蔵する。
【0013】
本体部1は、
図1及び
図2に示すように、フロントケース7と、リアケース8と、ベース9と、ネック駆動ユニット10と、回路ユニット11と、を有する。フロントケース7は、本体部1の前面の外殻を構成する部材である。フロントケース7の上部には、後述するネック駆動ユニット10を本体部1から突出させるためのネックホール101の前半分である前部ネックホール102が形成されている。フロントケース7の右方向の上端付近には、ライトアームホール104が形成されている。フロントケース7の左方向の上端付近には、レフトアームホール105が形成されている。フロントケース7の下端には、ベース9をフロントケース7及びリアケース8の下端に嵌合させるためのベースホール106の前半分を構成する前部ベースホール107が形成されている。
【0014】
リアケース8は、本体部1の背面の外殻を構成する部材である。リアケース8の上部には、後述するネック駆動ユニット10をフロントケース7及びリアケース8の下端に嵌合させるためのネックホール101の後半分である後部ネックホール103が形成されている。リアケース8の下端には、ベース9を本体部1の下端に嵌合させるためのベースホール106の後半分を構成する後部ベースホール108が形成されている。
【0015】
ベース9は、本体部1の下部の外殻を構成する板状の部材である。ベース9の上面には、ロボット100を制御するための回路ユニット11が配置されている。ベース9には、右方向にライトフットホール(図示せず)が形成され、左方向にレフトフットホール(図示せず)が形成されている。
【0016】
回路ユニット11は、ロボット100の頭部6を本体部1に対してX軸、Y軸、Z軸の軸線を中心としてそれぞれ所定の角度回転させるネック駆動ユニット10、ライトアーム2を駆動させるライトアーム駆動ユニット12、レフトアーム3を駆動させるレフトアーム駆動ユニット13及びロボット100のその他の動作を制御するための制御部や記憶部、通信部等を構成する回路基板、制御基板及び電源等を収容する。制御部は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、記憶部に記憶されたプログラムを実行して、ロボット100の動作を制御する。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成され、ROMの一部又は全部は電気的に書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ等)で構成されている。
【0017】
ロボットの頭部6をロボットの本体部1に対して駆動する駆動機構であるネック駆動ユニット10は、本実施形態では、頭部6の動きを人間の頭部の動きと似せるために、ロボット100の頭部6を、本体部1から左右方向に延びるX軸の軸線を中心として、+Y方向(前方向)に60度、-Y方向(後方向)に50度回転させる。また、ネック駆動ユニット10は、本体部1から前後方向に延びるY軸の軸線を中心として、+X方向(左方向)及び-X方向(右方向)にそれぞれ50度、頭部6と本体部1の並び方向(本体部1から上下方向)に延びるZ軸の軸線を中心として、+X方向及び-X方向にそれぞれ70度、頭部6を回転させる。X軸、Y軸、Z軸の3つの回転軸が互いに常に直交した状態で頭部6が回転するように、ネック駆動ユニット10は構成されている。なお、頭部6の回転角度は、頭部6が本体部1に衝突しない範囲で、任意に設定することが出来る。ネック駆動ユニット10の上部は、頭部6の内部に配置されている。ネック駆動ユニット10の詳細については後述する。
【0018】
頭部6は、本体部1の上部に、ネック駆動ユニット10を介して、X軸、Y軸及びZ軸の軸線を中心として本体部1に対して回転自在に支持されている。頭部6は、フロントヘッド14と、リアヘッド15とを有する。また、頭部6の中空状の内部には、ネック駆動ユニット10の上部や図示しないカメラやスピーカ、各種センサ等が収容されている。
【0019】
フロントヘッド14は、前面に人間の目や鼻を模した装飾が施されている。フロントヘッド14の下部には、ネック駆動ユニット10の上部を頭部6に挿入させるための開口109の前部分を構成する前開口110が形成されている。リアヘッド15の下部には、開口109の後部分を構成する後開口111が形成されている。
【0020】
ライトアーム2及びレフトアーム3は、それぞれライトアーム駆動ユニット12、レフトアーム駆動ユニット13によって、
図1のそれぞれのアーム付近に示す矢印方向に動かすことが出来る。ライトアーム2及びレフトアーム3は、頭部6の動きやスピーカからの音声にあわせて動かすことも出来る。
【0021】
ライトフット4及びレフトフット5は、それぞれベース9とライトフットホール及びレフトフットホールを介して接続されている。ライトフット4及びレフトフット5の下面には、図示しない車輪が内蔵モータに接続されており、制御部の指示により、ロボット100を移動させることが出来る。
【0022】
ここから、ネック駆動ユニット10の詳細について説明する。
図3は、ロボット100が
図1に示すように正面を真っ直ぐ向いている状態である時に、ネック駆動ユニット10の左正面を見た図であり、
図4は、ロボット100が同じく
図1に示すように正面を真っ直ぐ向いている状態である時に、ネック駆動ユニット10の右背面を見た図である。
【0023】
図3及び
図4などに示すネック駆動ユニット10は、ロボット100の頭部6をX軸、Y軸及びZ軸の軸線を中心として回転自在に支持する支持機構を備えており、支持機構は、ネックベース16と、X軸回転ステージ34と、Y軸回転ステージ18と、Z軸回転ステージ52と、を有する。
【0024】
図5、
図10及び
図15に示すように、基部の構成要素の一つであるネックベース16は、上部が略椀状に形成された略筒状の部材から成り、本体部1に固定され、本体部1と頭部6の間に配置されている。ネックベース16の略椀状部分と略筒状部分の間の界壁16aには、後述するX軸駆動シャフト42、Y軸駆動シャフト26及びZ軸駆動シャフト60をそれぞれ挿通させる3つの孔が設けられている。界壁16aには、頭部6と本体部1の並び方向(Y軸駆動シャフト26が動作する方向、Z軸方向)に、段差が設けられている。ネックベース16の内側には、X軸駆動シャフト42、Y軸駆動シャフト26及びZ軸駆動シャフト60が配置されている。ネックベース16の下部に、駆動ベース17が固定されている。
【0025】
駆動ベース17は、側壁の一部と底部が欠損した略筒状の部材であり、ネックベース16と嵌合される中央の凸部17aには、X軸駆動シャフト42、Y軸駆動シャフト26及びZ軸駆動シャフト60をそれぞれ挿通させる3つの孔が、上述した界壁16aの3つの孔に対応する位置(界壁16aの孔の真下)に設けられている。凸部17aは、Y軸駆動シャフト26が動作する方向(Z軸方向)に段差を有する凸部17aには、頭部6と本体部1の並び方向に、段差が設けられている。駆動ベース17の外周が、ネックホール101に嵌合されて、本体部1に固定される。以下、ネック駆動ユニット10の構成を、Y軸用、X軸用及びZ軸用の駆動機構の順に説明する。
【0026】
図5(a)及び(b)に示すように、頭部6をY軸の軸線を中心として回転させるための駆動機構は、前記Y軸回転ステージ18、Y軸モータ20、Y軸伝達ユニット21を有する。Y軸回転ステージ18は、上述したネックベース16とともに、頭部6を本体部1に対してY軸の軸線を中心として回転自在に支持する支持機構を構成している。
【0027】
Y軸回転ステージ18は、XY平面視で略ロの字状の部材であり、ネックベース16に対してY軸回転軸を中心に回転する。Y軸回転ステージ18には、Y軸ポテンショメータ19が設けられており、Y軸ポテンショメータ19は、Y軸回転ステージ18の回転角度の検出を行うロータリーポテンショメータである。Y軸ポテンショメータ19には、後述するY軸回転軸受32の先端が挿入されているので、Y軸回転ステージ18の回転角度を検出出来る。Y軸回転ステージ18の内部には、Y軸スリーブ33が固定されており、このY軸スリーブ33は、
図5及び
図7に示すように、Y軸に直交するX軸の軸線が延びる方向に延設され、一端が開放された凹部33aを有する略円筒形状の部材である。Y軸スリーブ33の円筒部分の下側の一部に、円筒が延びている方向(X軸方向)に沿って凹部33aから外部へ孔33bが延設されている。
【0028】
本発明の第1アクチュエータであるY軸モータ20は、例えばブラシレスDC(Direct-Current)モータで構成され、回転軸を有しており、前記回路基板等を介して電源から電力が供給されることによって、その回転軸を回転させて回転動力を出力する。Y軸モータ20は、回転軸と反対側の端部に、Y軸モータ端子20aを有し、Y軸モータ端子20aは、電線及び回路基板等を介して、電源に電気的に接続されている。電源からの電力は、電線やY軸モータ端子20a等を介して、Y軸モータ20に供給される。
図4及び
図5に示すように、Y軸モータ端子20aは、X軸の軸線及びZ軸の軸線を含む平面を基準にして、ネックベース16の下部の駆動ベース17において-Y方向側に配置されている。
【0029】
本発明の第1伝達機構であるY軸伝達ユニット21は、Y軸モータ20から出力された回転動力をZ軸方向の駆動力に変換した状態でY軸回転ステージ18を介して頭部6に伝達するように構成されており、Y軸モータフレーム22、Y軸ウォーム23、Y軸ウォームホイール24、Y軸カム25、Y軸駆動シャフト(シャフト)26、Y軸コロシャフト27、Y軸コロ28、第1Y軸軸受29、第2Y軸軸受30、を有する。
【0030】
Y軸モータフレーム22は、Y軸モータ20を取り付けるための板状部材であり、駆動ベース17の下面に固定されている。Y軸モータフレーム22には、Y軸ウォームホイール24及びY軸カム25の回転軸が回転自在に取り付けられている。Y軸モータ20は、Y軸モータフレーム22の下端から一部が突出し、Y軸回転軸に沿う方向にY軸モータ20の図示しない回転軸が延びるようにY軸モータフレーム22に固定されている。Y軸モータ20の回転軸には、Y軸ウォーム23が圧入されている。Y軸ウォーム23は、Y軸モータフレーム22にX軸を中心として回転可能に取り付けられたY軸ウォームホイール24と噛合されている。Y軸ウォームホイール24には、X軸方向に貫通する略C字状のY軸カム溝25aを有するY軸カム25が固定されている。以上により、Y軸モータ20の回転動力がY軸カム25に伝達され、それによりY軸カム25が回転する。
【0031】
また、Y軸駆動シャフト26は、頭部6と本体部1の並び方向に延びていて、
図6に示すように、Y軸駆動シャフト26には、その頭部6側の端部に球状の滑動部26aが形成されており、その本体部1側の端部にY軸コロシャフト27が固定されている。Y軸コロシャフト27には、Y軸コロ28が回転可能に取り付けられている。
図5(a)、(b)に示すように、Y軸駆動シャフト26は、第1Y軸軸受29及び第2Y軸軸受30に挿通されており、第1Y軸軸受29はネックベース16の界壁16aの孔に、第2Y軸軸受30は駆動ベース17の凸部17aの孔に、それぞれ固定されている。第1及び第2Y軸軸受29、30からなるY軸ガイド部によって、Y軸駆動シャフト26は、頭部6と本体部1の並び方向に移動可能に案内される。また、Y軸コロ(ローラ)28がY軸カム25のY軸カム溝25aに回転自在に嵌合されている。このため、Y軸カム25が回転すると、Y軸駆動シャフト26は、上下方向(頭部6と本体部1の並び方向、Z軸方向)に往復運動をする(往復移動する)。
【0032】
Y軸回転ステージ18は、Y軸の回転軸受(Y軸回転軸受31及びY軸回転軸受32)によってY軸回転軸の軸線を中心としてネックベース16に対して回転可能に取り付けられている。
【0033】
また、
図8(a)、(b)及び
図9(a)、(b)に示すように、Y軸回転軸から離れた位置にY軸回転軸に直交するように配置されたY軸スリーブ33の凹部33aに、孔33bを介してY軸駆動シャフト26の滑動部26aが挿入され、嵌合されている。これにより、滑動部26aは、円筒が延びている方向に移動することが出来る。以上の構成により、Y軸駆動シャフト26が上下方向に移動すると、このY軸駆動シャフト26の駆動力が滑動部26aを介してY軸回転ステージ18に伝達され、それにより、Y軸回転ステージ18が、ネックベース16に対してY軸回転軸を中心として回転する。その際、滑動部26aは、Y軸回転ステージ18に取り付けられたY軸スリーブ33内をその延設方向(X軸方向)に移動しつつ、Y軸スリーブ33に対して回転する。従って、Y軸回転ステージ18は、支障なくスムーズに回転する。
【0034】
図8に示すように、Y軸カム25が-X側(右側)から見てCCW(Counter ClockWise)方向に回されると、Y軸駆動シャフト26が+Z方向(上方向)に動作し、Y軸回転ステージ18がY軸回転軸を中心に-X方向(右方向)に回転する。一方、
図9に示すように、Y軸カム25が-X側(右側)から見て上記とは逆にCW(ClockWise)方向に回されると、Y軸駆動シャフト26が-Z方向(下方向)に動作し、Y軸回転ステージ18がY軸回転軸を中心に+X方向(左方向)に回転する。
【0035】
図10(a)、(b)に示すように、頭部6をX軸の軸線を中心として回転させるための駆動機構は、前記X軸回転ステージ34、X軸モータ36、X軸伝達ユニット37を有する。X軸回転ステージ34は、上述したネックベース16とともに、頭部6を本体部1に対してX軸の軸線を中心として回転自在に支持する支持機構を構成している。
【0036】
X軸回転ステージ34は、袋状部分が貫通した略逆ハット状の部材であり、Y軸回転ステージ18に対してX軸回転軸の軸線を中心として回転する。X軸回転ステージ34は、頭部6と本体部1の並び方向(Z方向)から見てその中心に、略円形状のZ軸駆動シャフト挿通孔34aを有し、Z軸駆動シャフト挿通孔34aは、後述するZ軸駆動シャフト60の頭部6側の先端を挿通する。X軸回転ステージ34は、その上端に、第2Z軸軸受固定部34bを有し、第2Z軸軸受固定部34bは、後述する第2Z軸軸受68を固定する。X軸回転ステージ34には、X軸ポテンショメータ35が設けられており、X軸ポテンショメータ35は、X軸回転ステージ34の回転角度の検出を行うロータリーポテンショメータである。X軸ポテンショメータ35には、後述するX軸回転軸受50の先端が挿入されているので、X軸回転ステージ34の回転角度を検出出来る。X軸回転ステージ34には、X軸スリーブ51が固定されており、このX軸スリーブ51は、
図10及び
図12に示すように、X軸に直交する方向に延設され、一端が開放された凹部51aを有する略円筒形状の部材である。X軸スリーブ51の円筒部分の下側の一部に、円筒が延びている方向(X軸に直交するY軸の軸線が延びる方向)に沿って凹部51aから外部へ、孔33bより大きな孔51bが延設されている。
【0037】
本発明の第2アクチュエータであるX軸モータ36は、Y軸モータ20同様の構成及び電力供給によって、その回転軸を回転させて回転動力を出力する。X軸モータ36は、回転軸と反対側の端部に、X軸モータ端子36aを有し、X軸モータ端子36aは、電線及び回路基板等を介して、電源に接続されている。電源からの電力は、電線やX軸モータ端子36a等を介して、X軸モータ36に供給される。
図4及び
図10に示すように、X軸モータ端子36aは、Y軸モータ端子20a同様に、X軸の軸線及びZ軸の軸線を含む平面を基準にして、ネックベース16の下部の駆動ベース17において-Y方向側に配置されている。
【0038】
本発明の第2伝達機構であるX軸伝達ユニット37は、X軸モータ36から出力された回転動力をZ軸方向の駆動力に変換した状態でX軸回転ステージ34を介して頭部6に伝達するように構成されており、X軸モータフレーム38、X軸ウォーム39、X軸ウォームホイール40、X軸カム41、X軸駆動シャフト(シャフト)42、X軸コロシャフト46、X軸コロ47、第1X軸軸受48、第2X軸軸受49、を有する。
【0039】
X軸モータフレーム38は、X軸モータ36を取り付けるための板状部材であり、駆動ベース17の下端に固定されている。X軸モータフレーム38には、X軸ウォームホイール40及びX軸カム41の回転軸が回転自在に取り付けられている。X軸モータ36は、X軸モータフレーム38の下端から突出し、Y軸回転軸に沿う方向にX軸モータ36の図示しない回転軸が延びるようにX軸モータフレーム38に固定されている。X軸モータ36の回転軸には、X軸ウォーム39が圧入されている。
図10(a)、(b)に示すように、X軸ウォーム39は、X軸モータフレーム38にY軸を中心として回転可能に取り付けられたX軸ウォームホイール40と噛合されている。X軸ウォームホイール40には、Y軸方向に貫通する略C字状のX軸カム溝41aを有するX軸カム41が固定されている。以上により、X軸モータ36の回転動力がX軸カム41に伝達され、それによりX軸カム41が回転する。
【0040】
また、X軸駆動シャフト42は、頭部6と本体部1の並び方向に延びていて、
図11(a)から(c)に示すように、X軸駆動シャフト42は、頭部側X軸駆動シャフト部43、X軸駆動シャフトピン44、本体部側X軸駆動シャフト部45を有する。頭部側X軸駆動シャフト部43は、X軸駆動シャフト42の頭部6側に設けられており、頭部側X軸駆動シャフト部43の本体部1側の端部を、X軸駆動シャフトピン(ピン部)44を軸として本体部側X軸駆動シャフト部45に対して回転するように組み立てられている。
【0041】
また、X軸駆動シャフトピン44は、Y軸の軸線と同じ方向に延びる軸線を中心として回転自在に頭部側X軸駆動シャフト部43の本体部1側の端部を本体部側X軸駆動シャフト部45に連結している。頭部側X軸駆動シャフト部43には、その頭部6側の端部に球形状の滑動部43aが形成されている。本体部側X軸駆動シャフト部45には、その本体部1側の端部にX軸コロシャフト46が固定されている。X軸コロシャフト46には、X軸コロ47が回転可能に取り付けられている。
図10(a)、(b)に示すように、X軸駆動シャフト42は、第1X軸軸受48及び第2X軸軸受49に挿通されており、第1X軸軸受48はネックベース16の界壁16aの孔に、第2X軸軸受49は駆動ベース17の凸部17aの孔に、それぞれ固定されている。
【0042】
第1X軸軸受48を固定する界壁16aの孔は、界壁16aの-Z方向に設けられた段差部分に形成されている。この段差は、X軸駆動シャフト42が-Z方向に移動するときに、X軸駆動シャフトピン44及び頭部側X軸駆動シャフト部43の本体部1側の端部が界壁16aに干渉しないことを目的に設けられている。また、これにあわせて、第1X軸軸受48を固定する凸部17aの孔も、凸部17aの-Z方向に設けられた段差部分に形成され、第1X軸軸受48と第2X軸軸受49との距離を確保することにより、X軸駆動シャフト42を安定して支持出来る。第1及び第2X軸軸受48、49からなるX軸ガイド部によって、X軸駆動シャフト42は、頭部6と本体部1の並び方向に移動可能に案内される。また、X軸コロ(ローラ)47がX軸カム41のX軸カム溝41aに回転自在に嵌合されている。このため、X軸カム41が回転すると、X軸駆動シャフト42は、上下方向(頭部6と本体部1の並び方向、Z軸方向)に往復運動をする(往復移動する)。
【0043】
X軸回転ステージ34は、X軸の回転軸受(X軸回転軸受50及びY軸スリーブ33)を介してX軸回転軸の軸線を中心としてY軸回転ステージ18に対して回転可能に取り付けられている。また、X軸回転ステージ34は、その中央に、頭部6と本体部1の並び方向(Z軸方向)に貫通するZ軸駆動シャフト挿通孔34aを有している。Z軸駆動シャフト挿通孔34aには、後述するZ軸駆動シャフト60の頭部側の先端部が挿通される。
【0044】
また、X軸スリーブ51の凹部51aに、孔51bを介して頭部側X軸駆動シャフト部43の滑動部43aが挿入され、嵌合されている。これにより、滑動部43aは、円筒が延びている方向に移動することが出来る。以上の構成により、X軸駆動シャフト42が上下方向に移動すると、このX軸駆動シャフト42の駆動力が滑動部43aを介してX軸回転ステージ34に伝達され、それにより、X軸回転ステージ34が、Y軸回転ステージ18を介してネックベース16に対してX軸回転軸を中心として回転する。その際、滑動部43aは、X軸回転ステージ34に取り付けられたX軸スリーブ51内をその延設方向(Y軸方向)に移動しつつ、X軸スリーブ51に対して回転する。従って、X軸回転ステージ34は、支障なくスムーズに回転する。
【0045】
図13(a)、(b)に示すように、X軸カム41が+X側(左側)から見てCW方向に回されると、X軸駆動シャフト42が+Z方向(上方向)に動作し、X軸回転ステージ34がX軸回転軸を中心に+Y方向(前方向)に回転する。一方、
図14(a)、(b)に示すように、X軸カム41が+X側(左側)から見て上記とは逆にCCW方向に回されると、X軸駆動シャフト42が-Z方向(下方向)に動作し、X軸回転ステージ34がX軸回転軸を中心に-Y方向(後方向)に回転する。
【0046】
図15(a)、(b)に示すように、頭部6をZ軸の軸線を中心として回転させるための駆動機構は、前記Z軸回転ステージ52、Z軸モータ54、Z軸伝達ユニット55を有する。Z軸回転ステージ52は、ネックベース16とともに、頭部6を本体部1に対してZ軸の軸線を中心として回転自在に支持する支持機構を構成している。
【0047】
Z軸回転ステージ52は、XY平面視で中心に挿通孔が設けられた略円盤状の部材であり、下方向に嵌合部66を有する。嵌合部66は、XY平面視で略円形状の凸壁であり、嵌合部66には、Z軸駆動シャフト60が嵌合される。また、嵌合部66は、後述する第2Z軸軸受68にZ軸の軸線を中心として回転可能に支持されている。Z軸回転ステージ52は、XY平面視でその中心と一致するZ軸回転軸を中心にネックベース16及びX軸回転ステージ34に対して回転する。Z軸回転ステージ52には、Z軸ポテンショメータ53が設けられており、Z軸ポテンショメータ53は、Z軸回転ステージ52の回転角度の検出を行うロータリーポテンショメータである。Z軸ポテンショメータ53には、後述する頭部側Z軸駆動シャフト部65の先端が挿入されているので、Z軸回転ステージ52の回転角度を検出出来る。
【0048】
本発明の第3アクチュエータであるZ軸モータ54は、Y軸モータ20同様の構成及び電力供給によって、その回転軸を回転させて回転動力を出力する。
図4に示すように、Z軸モータ54は、回転軸と反対側の端部に、Z軸モータ端子54aを有し、Z軸モータ端子54aは、電線及び回路基板等を介して、電源に電気的に接続されている。電源からの電力は、電線やZ軸モータ端子54a等を介して、Z軸モータ54に供給される。Z軸モータ端子54aは、Y軸モータ端子20a及びX軸モータ端子36a同様に、X軸の軸線及びZ軸の軸線を含む平面を基準にして、ネックベース16の下部の駆動ベース17において-Y方向側に配置されている。
【0049】
図15(a)、(b)に示すように、本発明の第3伝達機構であるZ軸伝達ユニット55は、Z軸モータ54から出力された回転動力をZ軸の軸線を中心とする回転動力に変換した状態でZ軸回転ステージ52を介して頭部6に伝達するように構成されており、Z軸モータフレーム56、Z軸ウォーム57、Z軸ウォームホイール58、Z軸ギア59、Z軸駆動シャフト(シャフト)60、第1Z軸軸受67、第2Z軸軸受68、を有する。
【0050】
Z軸モータフレーム56は、Z軸モータ54を取り付けるための板状部材であり、駆動ベース17の下端に固定されている。Z軸モータフレーム56には、Z軸ウォームホイール58の回転軸が回転自在に取り付けられている。Z軸モータ54は、その下端がZ軸モータフレーム56の下端とほぼ一致し、
図4に示すように、Y軸回転軸に沿う方向とXY平面視で約30度の方向にZ軸モータ54の回転軸が延びるように
図15(a)、(b)に示すZ軸モータフレーム56に固定されている。
図15(a)、(b)に示すように、Z軸モータ54の回転軸には、Z軸ウォーム57が圧入されている。Z軸ウォーム57は、Z軸ウォームホイール58と噛合されており、Z軸ウォームホイール58は、Z軸モータフレーム56にZ軸を中心として回転可能に取り付けられている。Z軸ウォームホイール58は、軸を共有する径の異なる2つの歯車を有しており、径の大きな歯車がZ軸ウォーム57と噛合され、径の小さな歯車がZ軸ギア59と噛合され、所定の減速比で回転動力が伝達される。Z軸ギアは、その回転中心がZ軸の軸線と一致している。以上により、Z軸モータ54の回転動力がZ軸ギア59に伝達され、それによりZ軸ギア59が回転する。
【0051】
Z軸駆動シャフト60は、頭部6と本体部1の並び方向に延びていて、
図16(a)から(c)に示すように、Z軸駆動シャフト60は、本体部側Z軸駆動シャフト部61、Z軸駆動シャフトピン62、中間Z軸駆動シャフト部63、Z軸駆動シャフトピン64、頭部側Z軸駆動シャフト部65、を有する。Z軸駆動シャフトピン62、中間Z軸駆動シャフト部63及びZ軸駆動シャフトピン64は、カルダンジョイントの自在継手を構成している。
【0052】
本体部側Z軸駆動シャフト部61は、Z軸駆動シャフトピン62を軸として中間Z軸駆動シャフト部63に対して回転するように組み立てられ、Z軸の軸線上に配置されている。また、中間Z軸駆動シャフト部63は、Z軸駆動シャフトピン64を軸として頭部側Z軸駆動シャフト部65に対して回転するように組み立てられている。Z軸駆動シャフトピン62の軸の延びる方向とZ軸駆動シャフトピン64の軸の延びる方向とは、互いに直交するように構成されている。また、Z軸駆動シャフトピン62及びZ軸駆動シャフトピン64の軸の延びる方向が、それぞれX軸回転軸、Y軸回転軸に一致するように、Z軸駆動シャフト60が、Z軸ギア59に固定されている。
【0053】
図15(a)、(b)に示すように、Z軸駆動シャフト60は、その本体部1側の本体部側Z軸駆動シャフト部61を第1Z軸軸受67に挿通され、頭部6側の頭部側Z軸駆動シャフト部65を第2Z軸軸受68に挿通されている。第1Z軸軸受67は、ネックベース16の界壁16のZ軸の軸線と一致する孔に固定されている(設けられている)。また、第2Z軸軸受68は、XY平面視で略円盤状の部材であり、その中央にZ軸の軸線と一致する略円状の孔を有し、孔の外周には下方向に凸壁が設けられ、Z軸軸受部68aが形成されている。Z軸駆動シャフト挿通孔34aに、第2Z軸軸受68のZ軸軸受部68aが挿通され、第2Z軸軸受68がX軸回転ステージ34に固定されている(設けられている)。Z軸駆動シャフト60の回転を良くするために、Z軸軸受部68aの内側の表面は摩擦係数の低い金属で覆われている。これにより、本体部側Z軸駆動シャフト部61がZ軸の軸線を中心として回転すると、回転運動が伝達されて頭部側Z軸駆動シャフト部65も同様に回転する。
【0054】
また、
図15(a)、(b)に示すように、第2Z軸軸受68は、X軸回転ステージ34の第2Z軸軸受固定部34bに固定され、Z軸駆動シャフト60(頭部側Z軸駆動シャフト部65)は、その頭部6側の先端を第2Z軸軸受68のZ軸軸受部68aに挿通され嵌合部66に嵌合されているので、Z軸駆動シャフト60は、常にX軸回転ステージ34の傾く方向と同一の方向を向くように規制されている。また、Z軸駆動シャフト60は、第1Z軸軸受67及び第2Z軸軸受68によってZ軸回転軸の軸線を中心としてネックベース16及びX軸回転ステージ34に対してZ軸の軸線を中心として回転可能に取り付けられている。Z軸駆動シャフト60(頭部側Z軸駆動シャフト部65)の先端がZ軸回転ステージ52に固定されているので、Z軸駆動シャフト60と一体で同一方向にZ軸回転ステージ52も回転する。従って、上述のZ軸の軸線を中心とする回転運動は、Y軸回転ステージ18及び/又はX軸回転ステージ34が回転することによりZ軸回転ステージ52がネックベース16に対して傾斜することにより生じる頭部側Z軸駆動シャフト部65の傾きに関係なく、本体部側Z軸駆動シャフト部61の回転動作を頭部側Z軸駆動シャフト部65に伝達することが可能である。
【0055】
図17(a)に示すように、Z軸ウォームホイール58が+Z側(上側)から見てCCW方向に回されると、Z軸ギア59及びZ軸駆動シャフト60がCW方向に回転し、Z軸回転ステージ52がZ軸回転軸を中心にCW方向に回転する。一方、
図17(b)に示すように、Z軸ウォームホイール58が+Z側(上側)から見て上記とは逆にCW方向に回されると、Z軸ギア59及びZ軸駆動シャフト60がCCW方向に回転し、Z軸回転ステージ52がZ軸回転軸を中心にCCW方向に回転する。
【0056】
図18に示すように、X軸軸線及び/又はY軸軸線がネックベース16に対して傾斜している場合であっても、Z軸ウォームホイール58が+Z側(上側)から見てCW方向に回されると、Z軸ギア59及びZ軸駆動シャフト60がCCW方向に回転し、Z軸回転ステージ52がZ軸回転軸を中心にCCW方向に回転する。
【0057】
以上のような構成のネック駆動ユニット10のZ軸回転ステージ52に、
図2に示すヘッドアダプタ69を介して頭部6が固定されている。従って、ネック駆動ユニット10でX軸回転・Y軸回転・Z軸回転を行うと、各軸の駆動シャフト及び支持機構を介して動力を頭部6に伝達し、
図19に示すように、頭部6も本体部1に対して、同様にX軸回転・Y軸回転・Z軸回転を行うことが出来る。
【0058】
以上説明したように、頭部6の回転角度に拘わらずに3軸(X軸・Y軸・Z軸)の回転軸線が互いに常に直交する3軸回転型の駆動機構であるロボット100のネック駆動ユニット(駆動機構)10は、Y軸については動作を伝達する箇所である頭部6側の端部が球状の滑動部26aを有するY軸駆動シャフト26を用い、動作を伝達される箇所であるY軸スリーブ33の凹部33aの形状をX軸方向に延びる円筒形状にして、Y軸の軸線を中心とする回転と滑動部26aのX軸のスラスト方向の摺動動作を可能とすることで、頭部6の本体部1に対するY軸の軸線を中心とする回転動作を可能としている。
【0059】
また、X軸についても同様に動作を伝達する箇所である頭部6側の端部が球状の滑動部43aを有するX軸駆動シャフト42を用い、動作を伝達される箇所であるX軸スリーブ51の凹部51aの形状も同様にY軸方向に延びる円筒形状にして、X軸の軸線を中心とする回転と滑動部43aのY軸のスラスト方向の摺動動作を可能とし、さらにX軸駆動シャフト42の中間箇所でY軸の回転動作に連動するような関節機構(Y軸の軸線方向に軸の延びる方向を配置されたX軸駆動シャフトピン44を介して頭部側X軸駆動シャフト部43と本体部側X軸駆動シャフト部45とを連結する構成)を設け、X軸回転ステージ34をY軸回転ステージ18に対してX軸回転軸の軸線を中心として回転するように構成することで、Y軸についての動作の影響を受けることなく頭部6の本体部1に対するX軸の軸線を中心とする回転動作を可能としている。
【0060】
また、Z軸についてはZ軸回転ステージ52の回転中心であるZ軸の軸線に直角に交わる2方向の軸線を中心とする方向に回転可能になるように、Z軸回転ステージ52をX軸回転ステージ34に対してX軸の軸線を中心として回転可能に構成した構造とし、Z軸駆動シャフト60をZ軸の軸線上に配置し、Z軸駆動シャフトピン62及びZ軸駆動シャフトピン64の軸をそれぞれX軸の軸線又はY軸の軸線の延びる方向と一致させることで、X軸およびY軸についての動作の影響を受けることなく頭部6の本体部1に対するZ軸の軸線を中心とする回転動作が可能となる。
【0061】
以上のように、ロボット100の本体部1にX軸モータ36及びY軸モータ20が配置されているので、ロボット100の頭部6を軽量化出来るとともに小型化出来る。頭部6を軽量化出来ることにより、頭部6を駆動するためのエネルギ(電力)の消費を抑えることが出来る。また、頭部6の軽量化により、駆動機構の動作の応答スピードが早くなるため、頭部6の俊敏な動作が可能になる。さらに、Z軸モータ54も本体部1に配置されているので、頭部6の小型化及び軽量化をさらに図ることができる。
【0062】
更には、X軸モータ36、Y軸モータ20及びZ軸モータ54に電気を送るための配線も本体部1側に配置されるため、頭部6の動作によって配線が切れる可能性も低減出来、すっきりとしたネック駆動ユニット10が実現できる。また、X軸モータ36、Y軸モータ20及びZ軸モータ54と回路ユニット11とを本体部1内に配置することが出来、配線の取り回しが容易になるので、駆動機構を容易に製造することが出来る。さらに、ロボット100は、頭部6の首振り動作(Z軸の回転動作)を頷き動作(X軸の回転動作)に独立して行うことが出来るので、頭部6の動きの自由度を高めることが出来る。
【0063】
また、Y軸モータ20、X軸モータ36、Z軸モータ54から出力された動力の各々を、Y軸駆動シャフト26、X軸駆動シャフト42、Z軸駆動シャフト60のうちの対応する1つを用いて頭部6に伝達するので、シャフトの代わりに例えばベルトとプーリを用いた構成よりも簡単な構成に出来る。
【0064】
また、頭部6を、Y軸回転ステージ18がY軸を中心としてネックベース16に対して回転自在に支持するように構成され、X軸回転ステージ34がX軸を中心としてY軸回転ステージ18に対して回転自在に支持するように構成され、Z軸回転ステージ52がZ軸を中心としてY軸回転ステージ18及びX軸回転ステージ34に対して回転自在に支持するように構成されているので、頭部6の回転角度に拘わらずに3軸(X軸・Y軸・Z軸)の回転軸線が互いに常に直交する3軸回転型の駆動機構を構成することができる。
【0065】
さらに、駆動機構は、Y軸駆動シャフト26、X軸駆動シャフト42及びZ軸駆動シャフト60が、略筒状のネックベース16の内側に配置されているので、ネックベース16によってY軸駆動シャフト26、X軸駆動シャフト42及びZ軸駆動シャフト60を保護することが出来、また、ネック駆動ユニット10の径を細く出来る。
【0066】
また、Y軸駆動シャフト26及びX軸駆動シャフト42は、頭部6と本体部1との並び方向(Z軸方向)に移動し、Y軸駆動シャフト26及びX軸駆動シャフト42の滑動部26a、43aが球状の形状を有し、Y軸回転ステージ18及びX軸回転ステージ34は、Y軸駆動シャフト26及びX軸駆動シャフト42の滑動部26a、43aが回転自在にそれぞれ嵌合するY軸スリーブ33及びX軸スリーブ51をそれぞれ有し、Y軸スリーブ33及びX軸スリーブ51は、X軸及びY軸の軸線の延びる方向にそれぞれ延びているので、Y軸回転ステージ18及びX軸回転ステージ34は、それぞれX軸回転ステージ34及びY軸回転ステージ18の回転の影響を受けること無く、それぞれY軸及びX軸を中心として回転することが出来る。また、Z軸駆動シャフト60は、Z軸を中心として回転し、Z軸駆動シャフト60に、自在継手が設けられているので、Z軸駆動シャフト60は、Y軸回転ステージ18及びX軸回転ステージ34のY軸及びX軸を中心とした回転の影響を受けること無くZ軸を中心として回転することが出来る。
【0067】
また、X軸駆動シャフト42は、頭部側X軸駆動シャフト部43と本体部側X軸駆動シャフト部45とをX軸と同じ方向に延びる軸線を中心として回転自在に連結するX軸駆動シャフトピン44を有するので、頭部6のY軸の軸線を中心とする回転の影響を受けること無く、頭部6にX軸の軸線を中心とする回転動力を伝達することが出来る。
【0068】
また、Y軸ガイド部及びX軸ガイド部は、ネックベース16に設けられ、それぞれY軸駆動シャフト26及びX軸駆動シャフト42をZ軸方向に移動可能に案内するように構成され、第1Z軸軸受67及び第2Z軸軸受68は、ネックベース16及びX軸回転ステージ34にそれぞれ設けられ、Z軸駆動シャフト60をネックベース16及びX軸回転ステージ34に対してZ軸の軸線を中心として回転自在にそれぞれ支持するので、Y軸駆動シャフト26、X軸駆動シャフト42及びZ軸駆動シャフト60は、Z軸直交方向の軸の揺れを低減出来る。
【0069】
また、Y軸伝達ユニット21は、Y軸モータ20の回転動力をY軸駆動シャフト26に伝達することにより、Y軸駆動シャフト26をZ軸方向に往復移動させるように構成されたY軸カム25を有するので、Y軸モータ20の回転軸とY軸の軸線を一致させる必要は無い。また、X軸伝達ユニット37は、X軸モータ36の回転動力をX軸駆動シャフト42に伝達することにより、X軸駆動シャフト42をZ軸方向に往復移動させるように構成されたX軸カム41を有するので、X軸モータ36の回転軸とX軸の軸線を一致させる必要も無い。従って、Y軸モータ20及びX軸モータ36の配置の自由度を高めることが出来る。
【0070】
また、X軸モータ端子36a、Y軸モータ端子20a及びZ軸モータ端子54aの各々は、X軸の軸線及びZ軸の軸線を含む平面を基準にして、ネックベース16の下部の駆動ベース17において互いに同じ側に配置されるように設けられているので、X軸モータ端子36a、Y軸モータ端子20a及びZ軸モータ端子54aの配線が-Y方向からまとめて行うことが出来、配線の取り回しが容易になる。なお、X軸モータ端子36a、Y軸モータ端子20a及びZ軸モータ端子54aの各々が、互いに同じ方向を向いて配置されていても、X軸モータ端子36a、Y軸モータ端子20a及びZ軸モータ端子54aの配線が-Y方向からまとめて行うことが出来るので、X軸モータ36、Y軸モータ20及びZ軸モータ54の配線の取り回しが容易になる。
【0071】
さらに、Y軸駆動シャフト26の本体部1側の端部には、回転自在のY軸コロ28が設けられ、Y軸カム25は、Y軸コロ28が回転自在に嵌合するY軸カム溝25aを有し、X軸駆動シャフト42の本体部1側の端部には、回転自在のX軸コロ47が設けられ、X軸カム41は、X軸コロ47が回転自在に嵌合するX軸カム溝41aを有するので、例えばカム溝を有さずY軸駆動シャフト及びX軸駆動シャフトの本体部1側の端部を押動するカムを使用する構成に比べて、Y軸駆動シャフト26及びX軸駆動シャフト42の上下方向の移動をより正確に行うことが出来る。
【0072】
(変形例)
上記実施形態では、3軸回転型の駆動機構であったが、X軸周り及びZ軸周りにのみ回転させる2軸回転型の駆動機構であっても良い。簡単なYES、NOのゼスチャー程度が表現できれば良いのであれば、このような2軸回転型の駆動機構で足りる。このとき、X軸伝達ユニットは、Y軸伝達ユニット21と同じ構成として良い。また、Z軸駆動シャフトの60のシャフトピンは、X軸回転に対応するZ軸駆動シャフトピン64があれば足りる。これにより、駆動機構を簡略化、軽量化及び小型化出来る。なお、X軸周り及びZ軸周りに回転する2軸回転型の駆動機構ではなく、X軸周り及びY軸周りに回転する2軸回転型の駆動機構であっても良いし、Y軸周り及びZ軸周りに回転する2軸回転型の駆動機構であっても良い。
【0073】
上記実施形態では、モータによって動力(回転動力)を出力可能に構成していたが、アクチュエータを使用しても良い。アクチュエータは、電動機やサーボモータであっても良いし、空圧モータや油圧モータ(ピストンシリンダタイプも含む)であっても良い。アクチュエータを使用する場合、アクチュエータを上下方向に配置し、X及びY軸回転ステージに凹部33a、51aに対応する凹みを設けることで、伝達機構を各軸の駆動シャフト(シャフトユニット)のみで構成することも出来る。
【0074】
上記実施形態では、シャフトを移動させて回転を伝達させていたが、例えば、すぐば傘歯車を有する自在継手にベルトとプーリ、或いはチェーンとスプロケットを使用して回転を伝達させても良い。
【0075】
X軸駆動シャフト42及びZ軸駆動シャフト60は、シャフトピンを介したカルダンジョイントの自在継手により回転可能な構成としていたが、ツェッパジョイントの自在継手を使用して回転可能な構成としても良いし、自在継手の代わりにフレキシブルシャフトを使用して回転可能な構成としても良い。或いは、シャフトピンを使用せずに、例えば、一方のシャフト端部の直径方向に1対の凹部を設け、他方のシャフト端部に凹部を挟持する一対の爪を設けることにより回転可能な構成としても良い。
【0076】
上記実施形態では、X軸回転ステージ34及びY軸回転ステージ18は、X軸スリーブ51及びY軸スリーブ33をそれぞれ有していたが、X軸回転ステージ及びY軸回転ステージは、X軸スリーブ51の凹部51a及びY軸スリーブ33の凹部33aと同様の構成の凹部及び凹部に設けられた孔をそれぞれ有していれば、スリーブを有していなくても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、ネックベース16に、第1X軸軸受48及び第1Y軸軸受29が設けられ、駆動ベース17に、第2X軸軸受49及び第2Y軸軸受30が設けられていたが、ネックベースの筒状部分を中実の略円柱とし、その略円柱部分にX軸駆動シャフト42及びY軸駆動シャフト26が移動可能な孔及びZ軸駆動シャフト60が回転可能な孔を設け、略円柱部分直下の駆動ベースに開口を設ける構成としても良い。
【0078】
上記実施形態では、Y軸カム25及びX軸カム41にそれぞれY軸カム溝25a及びX軸カム溝41aが設けられていたが、Y軸カム及びX軸カムは、例えば、略楕円状の板でありカム溝を有さない形状で有り、略楕円状部分により、Y軸駆動シャフト及びX軸駆動シャフトを押動する構成であっても良い。
【0079】
上記実施形態では、Y軸駆動シャフト26及びX軸駆動シャフト42は、頭部6と本体部1の並び方向(Z軸方向)にそれぞれ移動していたが、Y軸駆動シャフト及びX軸駆動シャフトは、それぞれの軸を中心として回転し、回転にあわせてY軸回転ステージ、X軸回転ステージが、例えばジャッキアップされるような構成としても良い。
【0080】
上記実施形態では、ロボット100は、人型であったが、例えば、四足歩行の犬型や猫型のロボット等であっても良い。或いは、頭部が本体部の側面に配置されていても良く、頭部が本体部の下部等に配置されていても良い。この場合、X・Y・Z軸や回転可能な角度の設定等も適宜変更すると良い。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0082】
(付記1)
ロボットの頭部を前記ロボットの本体部に対して駆動するロボットの駆動機構であって、
前記頭部を、第1所定軸線、及び、当該第1所定軸線に直交する第2所定軸線を中心として回転自在に支持するように構成された支持機構と、
動力を出力可能に構成され、前記本体部に支持された第1アクチュエータ及び第2アクチュエータと、
前記本体部に支持され、前記第1アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第1所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第1伝達機構と、
前記本体部に支持され、前記第2アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第2所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第2伝達機構と、
を備えることを特徴とするロボットの駆動機構。
【0083】
(付記2)
前記支持機構は、前記頭部を、前記第1及び第2所定軸線の両方に直交する第3所定軸線を中心として回転自在に支持するように構成され、
動力を出力可能に構成され、前記本体部に支持された第3アクチュエータと、
前記本体部に支持され、前記第3アクチュエータから出力された動力を前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第3所定軸線を中心として前記本体部に対して回転させるための第3伝達機構と、
をさらに備えることを特徴とする、付記1に記載のロボットの駆動機構。
【0084】
(付記3)
前記第1、第2及び第3伝達機構はそれぞれ、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びる第1、第2及び第3シャフトを有し、前記第1、第2及び第3アクチュエータのうちの対応するアクチュエータから出力された動力を、少なくとも前記第1、第2及び第3シャフトのうちの対応する1つ及び前記支持機構を介して前記頭部に伝達することにより、前記頭部を、前記第1、第2及び第3所定軸線のうちの対応する軸線を中心として前記本体部に対して回転させるように構成されていることを特徴とする、付記2に記載のロボットの駆動機構。
【0085】
(付記4)
前記支持機構は、
前記本体部に固定され、当該本体部と前記頭部の間に配置された基部と、
前記第1シャフトが連結され、前記頭部を、前記第1所定軸線を中心として、前記基部に対して回転自在に支持するように構成された第1回転ステージと、
前記第2シャフトが連結され、前記頭部を、前記第2所定軸線を中心として、前記第1回転ステージに対して回転自在に支持するように構成された第2回転ステージと、
前記第3シャフトが連結され、前記頭部を、前記第3所定軸線を中心として、前記第1及び第2回転ステージに対して回転自在に支持するように構成された第3回転ステージと、
を有することを特徴とする、付記3に記載のロボットの駆動機構。
【0086】
(付記5)
前記基部は略筒状の形状を有し、
前記第1シャフト、前記第2シャフト及び前記第3シャフトが前記基部の内側に配置されていることを特徴とする、付記4に記載のロボットの駆動機構。
【0087】
(付記6)
前記第3所定軸線は、前記頭部と前記本体部の並び方向に延びており、
前記第1及び第2シャフトは、前記第1及び第2アクチュエータから前記頭部への動力の伝達に伴って、前記頭部と前記本体部の並び方向にそれぞれ移動し、
前記第3シャフトは、前記第3アクチュエータから前記頭部への動力の伝達に伴って、前記第3所定軸線を中心として回転し、
前記第1及び第2シャフトの前記頭部側の端部が球状の形状を有し、
前記第1及び第2回転ステージは、前記第1及び第2シャフトの前記端部が回転自在にそれぞれ嵌合する第1凹部及び第2凹部をそれぞれ有し、
前記第1及び第2凹部は、前記第2及び第1所定軸線が延びる方向にそれぞれ延びており、
前記第3シャフトに自在継手が設けられていることを特徴とする、付記4又は5に記載のロボットの駆動機構。
【0088】
(付記7)
前記第2シャフトは、前記頭部側に設けられた頭部側シャフト部と、前記本体部側に設けられた本体部側シャフト部とを、前記頭部側シャフト部の前記本体部側の端部を前記本体部側シャフト部に、前記第1所定軸線と同じ方向に延びる所定軸線を中心として回転自在に連結するように構成されたピン部を有することを特徴とする、付記6に記載のロボットの駆動機構。
【0089】
(付記8)
前記基部に設けられ、前記第1シャフトを前記頭部と前記本体部の並び方向に移動可能に案内するように構成された第1ガイド部と、
前記基部に設けられ、前記第2シャフトを前記頭部と前記本体部の並び方向に移動可能に案内するように構成された第2ガイド部と、
前記基部及び前記第2回転ステージにそれぞれ設けられ、前記第3シャフトを前記基部及び前記第2回転ステージに対して前記第3所定軸線を中心として回転自在にそれぞれ支持する第1軸受及び第2軸受と、
をさらに備えることを特徴とする、付記6又は7に記載のロボットの駆動機構。
【0090】
(付記9)
前記第1アクチュエータ、前記第2アクチュエータ及び前記第3アクチュエータが、回転動力を出力可能な電動機で構成され、
前記第1及び第2伝達機構はそれぞれ、前記第1及び第2アクチュエータのうちの対応する一方からの回転動力を前記第1及び第2シャフトのうちの対応する一方のシャフトに伝達することにより、当該一方のシャフトを前記頭部と前記本体部の並び方向に往復移動させるように構成された第1カム及び第2カムをさらに有することを特徴とする、付記6ないし8のいずれか1つに記載のロボットの駆動機構。
【0091】
(付記10)
前記第1~第3アクチュエータの各々は、前記第1~第3アクチュエータの各々に電力を供給するための各々の端子を有し、
前記各々の端子は、前記第2所定軸線及び前記第3所定軸線を含む平面を基準にして、前記基部の下部において互いに同じ側に配置されていることを特徴とする、付記9に記載のロボットの駆動機構。
【0092】
(付記11)
前記第1シャフトの前記本体部側の端部には、回転自在の第1ローラが設けられ、
前記第1カムは、前記第1ローラが回転自在に嵌合する第1カム溝を有し、
前記第2シャフトの前記本体部側の端部には、回転自在の第2ローラが設けられ、
前記第2カムは、前記第2ローラが回転自在に嵌合する第2カム溝を有することを特徴とする、付記9又は10に記載のロボットの駆動機構。
【0093】
(付記12)
付記1ないし11のいずれか1つに記載のロボットの駆動機構を備えるロボット。
【符号の説明】
【0094】
1…本体部、2…ライトアーム、3…レフトアーム、4…ライトフット、5…レフトフット、6…頭部、7…フロントケース、8…リアケース、9…ベース、10…ネック駆動ユニット(駆動機構)、11…回路ユニット、12…ライトアーム駆動ユニット、13…レフトアーム駆動ユニット、14…フロントヘッド、15…リアヘッド、16…ネックベース、16a…界壁、17…駆動ベース、17a…凸部、18…Y軸回転ステージ、19…Y軸ポテンショメータ、20…Y軸モータ、20a…Y軸モータ端子、21…Y軸伝達ユニット、22…Y軸モータフレーム、23…Y軸ウォーム、24…Y軸ウォームホイール、25…Y軸カム、25a…Y軸カム溝、26…Y軸駆動シャフト、26a,43a…滑動部、27…Y軸コロシャフト、28…Y軸コロ、29…第1Y軸軸受、30…第2Y軸軸受、31…Y軸回転軸受、32…Y軸回転軸受、33…Y軸スリーブ、33a,51a…凹部、33b,51b…孔、34…X軸回転ステージ、34a…Z軸駆動シャフト挿通孔、34b…第2Z軸軸受固定部、35…X軸ポテンショメータ、36…X軸モータ、36a…X軸モータ端子、37…X軸伝達ユニット、38…X軸モータフレーム、39…X軸ウォーム、40…X軸ウォームホイール、41…X軸カム、41a…X軸カム溝、42…X軸駆動シャフト、43…頭部側X軸駆動シャフト部、44…X軸駆動シャフトピン、45…本体部側X軸駆動シャフト部、46…X軸コロシャフト、47…X軸コロ、48…第1X軸軸受、49…第2X軸軸受、50…X軸回転軸受、51…X軸スリーブ、52…Z軸回転ステージ、53…Z軸ポテンショメータ、54…Z軸モータ、54a…Z軸モータ端子、55…Z軸伝達ユニット、56…Z軸モータフレーム、57…Z軸ウォーム、58…Z軸ウォームホイール、59…Z軸ギア、60…Z軸駆動シャフト、61…本体部側Z軸駆動シャフト部、62…Z軸駆動シャフトピン、63…中間Z軸駆動シャフト部、64…Z軸駆動シャフトピン、65…頭部側Z軸駆動シャフト部、66…嵌合部、67…第1Z軸軸受、68…第2Z軸軸受、68a…Z軸軸受部、69…ヘッドアダプタ、100…ロボット、101…ネックホール、102…前部ネックホール、103…後部ネックホール、104…ライトアームホール、105…レフトアームホール、106…ベースホール、107…前部ベースホール、108…後部ベースホール、109…開口、110…前開口、111…後開口、200…スイッチ類