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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】液体収容タンク及び液滴吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20221025BHJP
   B41J 2/19 20060101ALI20221025BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20221025BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B41J2/175 141
B41J2/175 121
B41J2/175 153
B41J2/19
B41J2/175 201
B41J2/18
B41J2/14 603
B41J2/14 605
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018227907
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2020090013
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸林 純
(72)【発明者】
【氏名】濱野 光
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-233798(JP,A)
【文献】特開2013-158962(JP,A)
【文献】特開2006-248058(JP,A)
【文献】特開2011-148101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
B41J 2/19
B41J 2/18
B41J 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドの吐出動作部に供給する液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部の内部の空気を排出させる脱気路と、
前記吐出動作部から排出される液体を通過させる排出路と、
を備え、
前記貯留部は、外部から供給される前記液体が流入する第1の貯留部と、前記吐出動作部に供給される前記液体が流出する第2の貯留部と、前記第1の貯留部と前記第2の貯留部の間に設けられた第1のフィルターと、を有し、
前記脱気路は、前記第1の貯留部と前記排出路とを接続し、
前記第2の貯留部と、前記吐出動作部への前記液体の第1の流出口とをつなぐ供給路は、当該第2の貯留部の上部に接続されており、
前記排出路は、前記貯留部に対して所定方向について一方の側に設けられ、
前記供給路は、前記第2の貯留部の前記上部のうち前記排出路に近い側の端で当該第2の貯留部に接続されており、
前記所定方向は、前記液滴吐出ヘッドに取り付けられた状態で前記吐出動作部が液滴を吐出する所定の吐出面の内向き法線方向から見た平面視で前記貯留部の長手方向と等しい
ことを特徴とする液体収容タンク。
【請求項2】
前記脱気路は、前記液体と空気とを通過させる第2のフィルターを有することを特徴とする請求項1記載の液体収容タンク。
【請求項3】
前記脱気路は、前記第1の貯留部の上部のうち、前記排出路に近い側の端に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の液体収容タンク。
【請求項4】
前記第1の流出口は、前記貯留部に対して前記所定方向について前記排出路の反対側に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の液体収容タンク。
【請求項5】
前記供給路は、前記第2の貯留部への接続端が、上下方向に垂直な面内で前記所定方向に垂直な方向についての前記第2の貯留部の幅にわたって設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の液体収容タンク。
【請求項6】
前記第1のフィルターは、上下方向に垂直な面と交差し、前記貯留部の長手方向を含む面内に設けられて、前記第1の貯留部と前記第2の貯留部とを区切っていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の液体収容タンク。
【請求項7】
前記第1の貯留部へ前記液体が流入する位置と、前記第2の貯留部に対して前記供給路が接続される位置とは、前記貯留部において対角となる位置であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の液体収容タンク。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の液体収容タンクを備える液滴吐出ヘッド。
【請求項9】
液体を吐出するノズルと、前記ノズルに連通し、当該ノズルに前記液体を供給する共通流路と、を有する吐出動作部と、
前記吐出動作部に供給する前記液体を貯留する貯留部と、前記貯留部から気泡を排出させる脱気路と、前記吐出動作部から排出される液体を通過させる排出路と、を有する液体収容タンクと、
を備え、
前記ノズルは、前記吐出動作部の所定の吐出面に設けられた開口から前記液体を吐出し、
前記貯留部は、外部から供給される前記液体が流入する第1の貯留部と、前記吐出動作部に供給される前記液体が流出する第2の貯留部と、前記第1の貯留部と前記第2の貯留部の間に設けられた第1のフィルターと、を有し、
前記脱気路は、前記第1の貯留部と前記排出路とを接続し、
前記第2の貯留部と、前記液体収容タンクにおける前記吐出動作部への前記液体の第1の流出口とをつなぐ供給路は、前記吐出面の内向き法線方向について前記第2の貯留部の上部に接続され、かつ前記第2の貯留部の前記上部のうち前記排出路に近い側の端で当該第2の貯留部に接続されており、
前記共通流路は、前記ノズルの開口とは別個に前記液体を前記吐出動作部から流出させる第2の流出口を有し、当該共通流路と前記ノズルとをつなぐ個別流路の接続部分が前記吐出面に平行な面内で所定方向に延在し、
前記排出路は、前記貯留部に対し、前記所定方向について前記第2の流出口の側に設けられて、前記第2の流出口から流出する液体を通過させ、
前記所定方向は、前記内向き法線方向から見た平面視で前記貯留部の長手方向と等しい
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項10】
前記脱気路は、前記液体と空気とを通過させる第2のフィルターを有することを特徴とする請求項9記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項11】
前記脱気路は、前記第1の貯留部に対し、前記所定方向について前記第2の流出口の側の端に接続されている
ことを特徴とする請求項9又は10記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項12】
前記第1の流出口は、前記貯留部に対して前記所定方向について前記第2の流出口の反対側に設けられていることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項13】
前記共通流路は、当該共通流路と前記ノズルとをつなぐ個別流路の接続部分が前記吐出面に平行な面内で所定方向に延在し、
前記供給路は、前記第2の貯留部への接続端が、前記吐出面に平行な面内で前記所定方向に垂直な方向についての前記第2の貯留部の幅にわたって設けられていることを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項14】
前記第1のフィルターは、前記貯留部の長手方向を含み、前記吐出面に交差する面内に設けられていることを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項15】
前記第1の貯留部へ前記液体が流入する位置と、前記第2の貯留部に対して前記供給路が接続される位置とは、前記貯留部において対角となる位置であることを特徴とする請求項9~14のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体収容タンク及び液滴吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルからインクといった液体を所望のタイミングで吐出させて所望の位置に着弾させる液体吐出装置がある。ノズルが設けられた液滴吐出ヘッドに対して液体を供給する液体収容タンクには、フィルターが設けられているものがある。このフィルターにより夾雑物が除去された液体が各ノズルに供給される。
【0003】
また、液滴吐出ヘッド内の液体には、気泡が混入する場合がある。この気泡は、液体の供給や吐出に悪影響を与え得る。従来、当該気泡を排出するための経路が設けられている液滴吐出ヘッドがある。特許文献1には、インクの充填時にフィルターの上流側の残る気泡をバイパス経路から適切に排出させる技術について記載されている。また、フィルターの上流側と下流側のいずれにも気泡の排出用バイパス流路を設ける技術(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-230337号公報
【文献】特開2011-148224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の流路構成では、フィルター下流側の液体に混入している気泡が適切に排出されなかったり、フィルターの前後から適切に液体や空気を流出させるために流量の調整が難しくなって手間がかかったりするという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、より容易かつ確実に液体から気泡を取り除くことのできる液体収容タンク及び液滴吐出ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
液滴吐出ヘッドの吐出動作部に供給する液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部の内部の空気を排出させる脱気路と、
前記吐出動作部から排出される液体を通過させる排出路と、
を備え、
前記貯留部は、外部から供給される前記液体が流入する第1の貯留部と、前記吐出動作部に供給される前記液体が流出する第2の貯留部と、前記第1の貯留部と前記第2の貯留部の間に設けられた第1のフィルターと、を有し、
前記脱気路は、前記第1の貯留部と前記排出路とを接続し、
前記第2の貯留部と、前記吐出動作部への前記液体の第1の流出口とをつなぐ供給路は、当該第2の貯留部の上部に接続されており、
前記排出路は、前記貯留部に対して所定方向について一方の側に設けられ、
前記供給路は、前記第2の貯留部の前記上部のうち前記排出路に近い側の端で当該第2の貯留部に接続されており、
前記所定方向は、前記液滴吐出ヘッドに取り付けられた状態で前記吐出動作部が液滴を吐出する所定の吐出面の内向き法線方向から見た平面視で前記貯留部の長手方向と等しい
ことを特徴とする液体収容タンク。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の液体収容タンクにおいて
前記脱気路は、前記液体と空気とを通過させる第2のフィルターを有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の液体収容タンクにおいて、
記脱気路は、前記第1の貯留部の上部のうち、前記排出路に近い側の端に接続されている
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体収容タンクにおいて、
前記第1の流出口は、前記貯留部に対して前記所定方向について前記排出路の反対側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体収容タンクにおいて、
前記供給路は、前記第2の貯留部への接続端が、上下方向に垂直な面内で前記所定方向に垂直な方向についての前記第2の貯留部の幅にわたって設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の液体収容タンクにおいて、
前記第1のフィルターは、上下方向に垂直な面と交差し、前記貯留部の長手方向を含む面内に設けられて、前記第1の貯留部と前記第2の貯留部とを区切っていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の液体収容タンクにおいて、
前記第1の貯留部へ前記液体が流入する位置と、前記第2の貯留部に対して前記供給路が接続される位置とは、前記貯留部において対角となる位置であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項記載の発明は、
請求項1~のいずれか一項に記載の液体収容タンクを備える液滴吐出ヘッドである。
【0017】
また、請求項記載の発明は、
液体を吐出するノズルと、前記ノズルに連通し、当該ノズルに前記液体を供給する共通流路と、を有する吐出動作部と、
前記吐出動作部に供給する前記液体を貯留する貯留部と、前記貯留部から気泡を排出させる脱気路と、前記吐出動作部から排出される液体を通過させる排出路と、を有する液体収容タンクと、
を備え、
前記ノズルは、前記吐出動作部の所定の吐出面に設けられた開口から前記液体を吐出し、
前記貯留部は、外部から供給される前記液体が流入する第1の貯留部と、前記吐出動作部に供給される前記液体が流出する第2の貯留部と、前記第1の貯留部と前記第2の貯留部の間に設けられた第1のフィルターと、を有し、
前記脱気路は、前記第1の貯留部と前記排出路とを接続
前記第2の貯留部と、前記液体収容タンクにおける前記吐出動作部への前記液体の第1の流出口とをつなぐ供給路は、前記吐出面の内向き法線方向について前記第2の貯留部の上部に接続され、かつ前記第2の貯留部の前記上部のうち前記排出路に近い側の端で当該第2の貯留部に接続されており、
前記共通流路は、前記ノズルの開口とは別個に前記液体を前記吐出動作部から流出させる第2の流出口を有し、当該共通流路と前記ノズルとをつなぐ個別流路の接続部分が前記吐出面に平行な面内で所定方向に延在し、
前記排出路は、前記貯留部に対し、前記所定方向について前記第2の流出口の側に設けられて、前記第2の流出口から流出する液体を通過させ、
前記所定方向は、前記内向き法線方向から見た平面視で前記貯留部の長手方向と等しい
ことを特徴とする液滴吐出ヘッドである。
【0018】
また、請求項10記載の発明は、請求項記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
前記脱気路は、前記液体と空気とを通過させる第2のフィルターを有することを特徴とする
【0020】
また、請求項11記載の発明は、請求項9又は10記載の液滴吐出ヘッドにおいて
記脱気路は、前記第1の貯留部に対し、前記所定方向について前記第2の流出口の側の端に接続されている
ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項12記載の発明は、請求項9~11のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
前記第1の流出口は、前記貯留部に対して前記所定方向について前記第2の流出口の反対側に設けられていることを特徴とする。
【0022】
また、請求項13記載の発明は、請求項9~12のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
前記共通流路は、当該共通流路と前記ノズルとをつなぐ個別流路の接続部分が前記吐出面に平行な面内で所定方向に延在し、
前記供給路は、前記第2の貯留部への接続端が、前記吐出面に平行な面内で前記所定方向に垂直な方向についての前記第2の貯留部の幅にわたって設けられていることを特徴とする。
【0024】
また、請求項14記載の発明は、請求項9~13のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
前記第1のフィルターは、前記貯留部の長手方向を含み、前記吐出面に交差する面内に設けられていることを特徴とする。
【0025】
また、請求項15記載の発明は、請求項9~14のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
前記第1の貯留部へ前記液体が流入する位置と、前記第2の貯留部に対して前記供給路が接続される位置とは、前記貯留部において対角となる位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明に従うと、液体収容タンク及び液滴吐出ヘッドにおいて、より容易かつ確実に液体から気泡を取り除くことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態の液滴吐出ヘッドを示す斜視図である。
図2】液体収容タンクの脚部を除いて底面側から見た断面斜視図である。
図3】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
図4】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
図5】インクジェットヘッドが傾いて取り付けられる場合の断面図を示す。
図6】インクジェットヘッドの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の液滴吐出ヘッド100を示す斜視図である。
【0029】
液滴吐出ヘッド100は、例えば、インクジェット記録装置に取り付けられてインクを吐出するインクジェットヘッドである。液滴吐出ヘッド100は、吐出動作部10と、液体収容タンク20などを備える。
【0030】
吐出動作部10は、ノズルN(図3、4参照)を有し、底面側(-Z側)がノズルの開口の配置された吐出面(所定の吐出面)である。吐出動作部10は、液体収容タンク20から供給された液体(インク)をノズルNから吐出させる。また、吐出動作部10は、供給されたインクのうち、ノズルから吐出されなかったものを液体収容タンク20に排出させることができる。吐出動作部10は、さらに、インクに対してノズルから吐出させるための圧力変動を与える構成や電気回路(不図示)を備える。
【0031】
液体収容タンク20は、吐出動作部10のノズル開口側(吐出面側)とは反対側(+Z側)に取り付けられる。液体収容タンク20は、外部のインクタンクから供給されるインクの供給口21(インレット)と、供給されたインク(液体)を収容(貯留)する液体収容部23(貯留部:図3、4参照)が設けられた本体部20aと、液体収容部23から吐出動作部10へインクを流入させる流出口25(第1の流出口)と、吐出動作部10から排出されたインクが流入する流入口26と、排出されたインクを外部に排出させる排出口28(アウトレット)などを有する。
【0032】
液体収容タンク20の内部には、供給口21から液体収容部23を経て流出口25へつながるインク流路(供給路)と、流入口26から排出口28へつながるインク流路(排出路)とが各々設けられている。流出口25は、吐出動作部10のインク流入口11に接続され、流入口26は、吐出動作部10のインク流出口17(第2の流出口)に接続される。これにより、液滴吐出ヘッド100において、液体収容タンク20の供給口21から排出口28までのインク流路が一つながりとなる。液体収容タンク20は、吐出動作部10に対して着脱可能であってよい。
【0033】
液体収容タンク20は、上面側(供給口21及び排出口28を見下ろす側)から見て、すなわち、ここでは平面視で(+Z方向から見て)、Y方向に長く、X方向に薄い形状となっている。供給口21及び排出口28は、液体収容タンク20の長手方向(Y方向)について両端付近に分かれて配置されている。また、流出口25と流入口26も同様に、液体収容タンク20の長手方向(Y方向)について両端付近に分かれて配置されている。
【0034】
また、液体収容タンク20は、ここでは、吐出面の内向き法線方向を基準方向(+Z方向)として、上向きに設けられているが、多少傾いている場合を排除するものではない。また、液体収容タンク20の取り付け面、すなわち、吐出動作部10の吐出面とは反対側の面は、吐出面と平行でなくてもよいし、凹凸を有していてもよい。以降で上端とは、+Z方向について最も高い(Z座標が最大の)位置を意味し、上部とは、この上端を含む対象の一部範囲を意味する。また、下端とは、+Z方向について最も低い(Z座標が最小の)位置を含む範囲を意味し、下部とは、この下端を含む対象の一部範囲を意味する。
【0035】
液滴吐出ヘッド100は、インクジェット記録装置の画像形成面(インク着弾面)に対して+Z方向に設けられる、すなわち、吐出面がXY面と平行になる場合が多いが、これには限られない。XZ面内(Y軸周り)、及び/又はYZ面内(X軸周り)などで若干(90度以下で)傾いて設けられる場合も想定され得る。供給口21と排出口28の鉛直方向についての位置関係(上下関係)は、この液滴吐出ヘッド100の取り付け方向に依存する。
【0036】
XZ面内(Y軸周り)に回転配置される場合、通常では、供給口21の鉛直方向についての位置は、排出口28の位置以下となるが、これに限られるものではない。ここでは、供給口21及び排出口28の高さが等しい(すなわち、吐出面が水平面と平行であり、Z方向が鉛直方向となる)ものとして説明する。排出口28の位置のほうが供給口21の位置よりも高くなるように設けられた場合には、インク流路内のインクに混入した、又は残留している気泡は、浮力により排出口28に流れやすくなる。
【0037】
図2は、液体収容タンク20の本体部20a内部を底面側から見た断面斜視図である。また、図3及び図4は、液滴吐出ヘッド100のインク流路を説明する断面図である。図3は、YZ面に平行な面での断面図であり、図3(a)では、液体収容部23(下流側収容部23b)及びノズルNを含む面で切断され、図3(b)では、供給口21及び排出口28を含む面で切断されている。図4は、XZ面に平行な面での断面図であり、図4(a)~(e)は、それぞれ、図3における断面線AA~EEでの切断面における断面図である。
【0038】
液体収容タンク20の本体部に設けられてインクを貯留する液体収容部23は、内部に設けられたフィルター231により、上流側収容部23a(第1の貯留部)と下流側収容部23b(第2の貯留部)とに分割される(図2図4(b)、図4(c))。フィルター231は、下流側収容部23bへのインク中の夾雑物(異物)を捕捉する。フィルター231は、ここでは、YZ面に平行な面内、すなわち、水平面に垂直(上下方向に垂直な面と交差する向き)に設けられて、長手方向に延在して(長手方向を含む面内に設けられて)いる。
【0039】
供給口21と上流側収容部23aとは、第1供給路22により接続されており(図2図3(a)、図3(b)、図4(a))、外部から供給されるインクが上流側収容部23aに流入する。第1供給路22が上流側収容部23aに接続する開口端232は、上流側収容部23aのY方向について供給口21に近い側の端の下部に設けられている(図2図3(a))。ここでは、下部は、鉛直方向についても最下部を含む範囲となる。また、下流側収容部23bと流出口25とは、第2供給路24により接続されており(図2図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(c))、下流側収容部23bから吐出動作部10に供給するインクが流出する。第2供給路24が下流側収容部23bに接続する開口端233は、下流側収容部23bのY方向について排出口28(排出路27)に近い側の端の上部に設けられている(図3(a)、図4(c))。この場合、上部は、鉛直方向についても最上部となる。
【0040】
開口端232と開口端233とが液体収容部23において対角となる位置に設けられることで(図2図3(a)、図4(c))、開口端232から流入したインクは、液体収容部23の広い範囲でフィルター231を透過しやすくなる。これにより、夾雑物によりフィルター231が局所的に詰まっても、インク供給能力を大きく低下させない。また、液体収容部23の一部でのみ流れが生じることにより残りの部分でインクがよどむのを抑制する。ここでいう対角となる位置とは、対角となる頂点を含むように開口が設けられていればよく、開口は、当該頂点をなす3つの面のいずれに設けられていても(これら3つの面のうち複数の面にまたがっていても)よい。
【0041】
ここでは、供給口21と流出口25とは、Y方向(所定方向)について同一の側であって、流入口26及び排出口28(排出路27)とは反対側(ここでは、+Yの側)に設けられており、開口端233は、これら供給口21及び流出口25とはY方向について反対の側に設けられている(図3(a)、図3(b))。また、開口端233(第2の貯留部への接続端)は、上下方向に垂直な面(XY面、すなわち吐出面に平行な面)内でY方向に垂直な方向(X方向)について、下流側収容部23bの幅にわたって設けられている(図4(c))。第2供給路24は、開口端233から下流側収容部23bの上方(+Z側)をY方向に延びた後、下向きに折れ曲がって、第1供給路の下方(-Z側)に入りこむ形で流出口25につながっている(図3(a)、図3(b)、図4(a))。このとき、第2供給路24及び共通流路12は、下向きにインクが流れる部分で気泡を浮力に抗して当該インクの流れる方向に移動させることができる流速が得られるように、適宜な径に定められる。
【0042】
流入口26及び排出口28は、Y方向(所定方向)について同一の一方の側であって、供給口21及び流出口25とは反対側(ここでは-Yの側)に設けられており、これら流入口26と排出口28とは、Z方向に延びる排出路27により接続されている(図3(a)、図3(b)、図4(e))。排出路27は、吐出動作部10から排出されたインクを通過させる。
【0043】
排出路27の途中には、逆止弁271が設けられ(図3(b)、図4(e))、フィルター231を通過していないインクが逆流して吐出動作部10に流入するのを防止している。
【0044】
上流側収容部23aと排出路27とは、脱気路29により接続されている(図3(a)、図3(b)、図4(c)、図4(d))。脱気路29は、上流側収容部23aから空気(気泡)を排出させる。脱気路29の途中には、フィルター291を有するフィルター室29aが設けられている(図3(a)、図4(d))。ここでは、脱気路29の排出路27の側の開口は、流入口26と逆止弁271との間にある。また、脱気路29の上流側収容部23a側の開口234は、上流側収容部23aの上部であって、Y方向について排出路27に近い側の端に設けられている。これにより、気泡は、浮力により脱気路29へ流入しやすくなっている。なお、フィルター231とフィルター291とは、一続きのものであってもよい。
【0045】
吐出動作部10は、インク流入口11とインク流出口17との間を共通流路12(マニホールド)がつないでいる(図3(b))。共通流路12は、複数のノズルNに連通し、個別流路15を介して各ノズルNにインクを分配供給する(図4(b))。共通流路12は、各個別流路15との接続部分では、吐出面に平行に、Y方向(上記の所定方向)に延在している。すなわち、この部分の共通流路12は、液体収容部23の長手方向と平行に延びている。
【0046】
インク流入口11及びインク流出口17は、それぞれ液体収容タンク20の流出口25及び流入口26と接続されるようにY方向について互いに共通流路12の反対の側に位置する(図3(b)、図4(a)、図4(e))。すなわち、インク流出口17は、液体収容部23に対し、Y方向について流出口25と反対側に設けられ、ノズルNとは別個にインクを吐出動作部10から排出可能としている。
【0047】
上述のように、上流側収容部23a内の気泡は、脱気路29を介して排出路27に流れ、排出口28から排出される。一方、下流側収容部23b内に気泡が流入、残留した場合、この気泡は、一度、第2供給路24から吐出動作部10に流入し、共通流路12を経て排出路27に流れ出る。すなわち、この気泡は、ノズルNから吐出されなかったインクと同様の経路を流れることになる。
【0048】
図5は、液滴吐出ヘッド100が傾いて取り付けられる場合の断面図を示す。この断面は、図3(a)に示したYZ面に平行な断面と同一である。
【0049】
図5(a)に示すように、YZ面に平行な断面内で、液滴吐出ヘッド100がX軸周りを左回り(反時計周り)に10度回転して取り付けられる場合でも、上記実施形態の液体収容タンク20における開口端233は、液体収容部23(下流側収容部23b)において鉛直方向について最も高い位置(上端位置)が維持される。X軸周りの回転時には、上述のように、供給口21(第1供給路22)の側よりも排出口28(排出路27の側)の方が相対的に鉛直方向について高くなるように回転させて気泡を抜けやすくするので、開口端233がY方向について排出口28の側の上端に設けられることで、開口端233が液体収容部23(下流側収容部23b)の上端位置に保たれる。
【0050】
また、この液滴吐出ヘッド100は、Y軸周りに所定角度(90度未満)回転した状態で取り付けられる場合でも、同様に、開口端233が下流側収容部23bにおける上端位置に維持される。ノズル面が曲面(円筒の外周面など)に対向するように配置される場合には、複数の液滴吐出ヘッド100がY軸周りに異なる角度ずつ傾くことになるが、全ての液滴吐出ヘッド100において、液体収容タンク20は、下流側収容部23bの上端を含む範囲に開口端233が位置する。
【0051】
また、図5(b)に示すように、インクジェット記録装置において、液滴吐出ヘッド100の取り付け時の傾き角度が固定される場合などには、開口端233が水平面となるように当該開口端233が壁面に対して斜めに傾いて(あるいは、直方体形状の頂点を落とすように)設けられていてもよい。
【0052】
図6は、液滴吐出ヘッド100の変形例を示す断面図である。断面は、図3(a)及び図5と同一である。
【0053】
図5(b)の例とは反対に、液滴吐出ヘッド100がX軸周りに回転して取り付けられることはないような場合などには、第2供給路24への開口端233がY軸方向について供給口21側の上端に設けられていてもよい。ここでは、これに応じて第1供給路22の上流側収容部23aへの開口端232が液体収容部23における開口端233と対角になる位置、すなわち、Y軸方向について排出口28の側の下端に設けられている。
【0054】
以上のように、本実施形態の液体収容タンク20は、液滴吐出ヘッド100の吐出動作部10に供給するインクを貯留する液体収容部23と、液体収容部23の内部の空気を排出させる脱気路29と、を備える。液体収容部23は、外部から供給されるインクが流入する上流側収容部23aと、吐出動作部10に供給されるインクが流出する下流側収容部23bと、上流側収容部23aと下流側収容部23bの間に設けられたフィルター231と、を有し、脱気路29は、上流側収容部23aに接続され、下流側収容部23bと、吐出動作部10へのインクの流出口25とをつなぐ第2供給路24は、下流側収容部23bの液滴吐出ヘッド100における上部に接続されている。
このように、フィルター231で区切られた液体収容部23において、上流側にのみ脱気路29を設けて気泡をバイパスさせ、下流側収容部23bからは、吐出動作部10に気泡を送り込んで、当該吐出動作部10経由で気泡を排出させる。このときに、第2供給路24の開口端233を鉛直方向について上端を含むように配置することで、比較的流速の遅い液体収容部23内で浮力によりスムーズに気泡が当該第2供給路24に送り込まれる。これにより、液体収容部23から確実に気泡を排出させることができる。
【0055】
また、液体収容タンク20は、吐出動作部10から排出されるインクを通過させる排出路27を備え、脱気路29は、上流側収容部23aと排出路27とをつないでいる。これにより、上流側収容部23aから排出された気泡が取り除かれ、また、この脱気路29を通過したインクを吐出動作部10から吐出されずに流出したインクと合流させて、効率よく回収(排出)させることができる。
【0056】
また、排出路27は、液体収容部23に対してY方向について一方の側に設けられ、第2供給路24は、下流側収容部23bの上部のうち排出路27に近い側の端で当該下流側収容部23bに接続されている。これにより、液体収容タンク20が取り付けられた液滴吐出ヘッド100がX軸周りに傾いて取り付けられる場合があっても、通常は、排出路27の側が鉛直方向について上になるように回転されるので、下流側収容部23bの中の空気が浮力で確実に第2供給路24へ流入する。したがって、確実に下流側収容部23bから空気を排出させることができる。
【0057】
また、脱気路29は、上流側収容部23aの上部のうち、排出路27に近い側の端に接続されている。これにより、液滴吐出ヘッド100がX軸周りに傾いて取り付けられる場合に、下流側収容部23bの内部だけでなく、上流側収容部23aの内部の空気も浮力で脱気路29へ流入させることができ、確実に空気を排出させることができる。
【0058】
また、流出口25は、液体収容部23に対してY軸方向について排出路27の反対側に設けられている。すなわち、液体収容タンク20の両端に吐出動作部10が接続されて、一方からインクが供給され、他方にインクが排出されるので、吐出動作部10のインク流がスムーズとなる。
【0059】
また、第2供給路24は、下流側収容部23bへの接続端である開口端233が、上下方向(Z方向)に垂直な面内でY方向に垂直な方向(X方向)についての下流側収容部23bの幅にわたって設けられている。これにより、液体収容タンク20が取り付けられた液滴吐出ヘッド100がY軸周りに斜めに傾いて配置されても、開口端233が上部(鉛直方向上端)に維持され、空気が障害なくスムーズに液体収容部23から排出される。
【0060】
また、Y方向は、平面視で液体収容部23の長手方向と等しい。すなわち、厚み方向(X軸方向)に場所をとらない薄い液体収容タンク20及び吐出動作部10、すなわち、液滴吐出ヘッド100を得ることができる。
【0061】
また、フィルター231は、上下方向(Z方向)に垂直な面(XY面に平行な面)と交差し、液体収容部23の長手方向(Y方向)を含む面内に設けられて、上流側収容部23aと下流側収容部23bとを区切っている。これにより、フィルター231の有効面積を大きくすることができ、効率よくインクを通過させる。特に、夾雑物が局所的にフィルター231に詰まっても、他の多くの部分でインクが通過するので、性能を低下させずに長期間フィルター231を有する液体収容タンク20が利用可能となる。
【0062】
また、上流側収容部23aへインクが流入する位置と、下流側収容部23bに対して第2供給路24が接続される位置(開口端233)とは、液体収容部23において対角となる位置である。これにより液体収容部23内で広くインク流が生じ、端部でのよどみを低減させることができる。また、これによりフィルター231の広い範囲をより有効に用いることができる。
【0063】
また、本実施形態の液滴吐出ヘッド100は、上述の液体収容タンク20を備える。
あるいは、本実施形態の液滴吐出ヘッド100は、インクを吐出するノズルNを有する吐出動作部10と、吐出動作部10に供給するインクを貯留する液体収容部23及び当該液体収容部23から気泡を排出させる脱気路29を有する液体収容タンク20と、を備える。
ノズルNは、吐出動作部10の吐出面(底面)に設けられた開口からインクを吐出し、液体収容部23は、外部から供給されるインクが流入する上流側収容部23aと、吐出動作部10に供給されるインクが流出する下流側収容部23bと、上流側収容部23aと下流側収容部23bの間に設けられたフィルター231と、を有する。脱気路29は、上流側収容部23aに接続され、下流側収容部23bと、液体収容タンク20における吐出動作部10へのインクの流出口25とをつなぐ第2供給路24は、吐出面の内向き法線方向について下流側収容部23bの上部に接続されている。
よって、この液滴吐出ヘッド100では、フィルター231の上下流両側から確実に空気を排出することができる。
【0064】
また、吐出動作部10は、ノズルNに連通し、当該ノズルNにインクを供給する共通流路12(マニホールド)を有し、共通流路12は、ノズルNの開口とは別個にインクを吐出動作部10から流出させるインク流出口17を有する。液体収容タンク20は、インク流出口17から流出するインクを通過させる排出路27を備え、脱気路29は、上流側収容部23aと排出路27とをつないでいる。よって、上流側収容部23aの空気は、脱気路29を介して排出路27に送られ、下流側収容部23bの空気は、第2供給路24から共通流路12を介して排出路27に送られる。よって、液体収容部23のフィルター231に対してどちら側のインク内の気泡も確実に排出される。
【0065】
また、共通流路12は、当該共通流路12とノズルNとをつなぐ個別流路15の接続部分が吐出面(底面)に平行な面内で所定方向(Y方向)に延在し、排出路27は、液体収容部23に対し、Y方向についてインク流出口17の側に設けられ、第2供給路24は、下流側収容部23bに対し、Y方向についてインク流出口17の側の端に接続されている。
すなわち、Y方向に延びる共通流路12の底部からインク流出口17に上がってそのまま排出路27に流出しており、第2供給路24は、下流側収容部23bのこの排出路27寄りに接続していることで、液滴吐出ヘッド100がX軸周りに多少傾いて、排出路27の側が高くなっていても、下流側収容部23bから適切に空気が排出され、また、共通流路12から適切に排出路27へ空気が排出される。
【0066】
また、脱気路29は、上流側収容部23aに対し、Y軸方向についてインク流出口17の側の端に接続されている。
これにより、上流側収容部23aの空気は、容易かつ確実に排出路27に送出され、共通流路12及び排出路27の空気もスムーズかつ確実に排出される。
【0067】
また、流出口25は、液体収容部23に対してY軸方向についてインク流出口17の反対側に設けられている。これにより、吐出動作部10のY軸方向(長手方向)についてインクの供給側と排出側とが反対側になるので、インクの流れがスムーズになる。また、これにより、共通流路12からの空気の排出がより容易かつ確実になされる。
【0068】
また、共通流路12は、当該共通流路12とノズルNとをつなぐ個別流路15の接続部分が吐出面に平行な面内で所定方向(Y方向)に延在し、第2供給路24は、下流側収容部23bへの接続端である開口端233が、吐出面(XY面)に平行な面内でY方向に垂直な方向(X方向)についての下流側収容部23bの幅にわたって設けられている。これにより、液体収容タンク20が取り付けられた液滴吐出ヘッド100がY軸周りに斜めに傾いて配置されても、開口端233が上部(鉛直方向上端)に維持され、空気が障害なくスムーズに液体収容部23から排出される。
【0069】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、吐出面の直上(+Z側)に液体収容タンク20が設けられたが、斜め上(例えば、±X方向にずれた位置)に設けられていてもよい。また、液体収容タンク20が吐出面の内向き法線方向に対して傾いて取り付けられてもよい。また、取り付けの向きによらず、液体収容部23(下流側収容部23b)の形状が直方体形状でなくてもよい。これらの場合、取り付けられた状態で+Z方向(内向き法線方向)の上面や上端を含む範囲に開口端233が設けられていればよい。また、上記実施の形態では、吐出面が水平となる場合を基準として、当該水平面に垂直な方向についての上端を含む部分を上部として説明したが、液体収容タンク20が吐出動作部10に取り付けられた液滴吐出ヘッド10が、さらに基準となるインクジェット記録装置に取り付けられて基準となる態勢で設置された状態における水平面と鉛直方向とに基づいて、上部及び下部が定められてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、供給口21と流出口25(インク流入口11)とがY方向について同一の側、排出口28と流入口26(インク流出口17)とが同一の側となるように構成されたが、供給口21と排出口28とが反対側に設けられていてもよい。あるいは、供給口21と排出口28がY方向について同一の側など、互いに反対側とならない位置関係で設けられていてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、下流側収容部23bに第2供給路24が接続される開口端233は、当該下流側収容部23bの-Y方向の端部、すなわち、排出路27の側の端に設けられるものとして説明したが、液体収容タンク20(吐出面の内向き法線方向)が-Y方向に傾いて設けられることがない場合には、Y方向についての位置が限定されなくてもよい。これは、脱気路29の上流側収容部23aの側の開口234についても同様である。なお、上流側収容部23aの形状と下流側収容部23bの形状とが異なる場合などには、いずれか一方のみが-Y方向についての端部に設けられる場合があってもよい。
【0072】
また、同様に、上記実施の形態では、下流側収容部23bに第2供給路24が接続される開口端233は、X方向について下流側収容部23bの幅全体にわたって設けられるものとしたが、液体収容タンク20がY軸周りに回転してX方向に傾いて設けられることが想定されない場合には、下流側収容部23bのX方向についての幅の一部にのみ開口端233が設けられていてもよい。また、下流側収容部23bの上面が平面ではない場合には、想定されるY軸周りの回転角度の最大値に応じて、どの角度でもインクが浮力で流入可能な範囲に開口端233が設けられていればよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、第1供給路22、第2供給路24の下部、及び排出路27がX方向について同一位置に設けられるものとして説明したが、X方向について異なる位置に設けられていてもよい。また、第2供給路24の上部は、液体収容部23の直上に設けられていなくてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、フィルター231、291は、吐出面に対して垂直に配置されるものとしたが、X軸方向について多少の傾きを有していてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、上流側収容部23aへの第1供給路22の接続位置と、下流側収容部23bへの第2供給路24の接続位置とが、液体収容部23の対角位置にあるものとして説明したが、これに限られるものではない。液体収容部23の各頂点が丸められているなどで、第2供給路24の接続位置を当該液体収容部23の上部に設けるために多少ずらされてもよいし、あるいは、単純に、頂点から外れた位置に設けられたりしていてもよい。
【0076】
また、吐出動作部10の構造は上記実施形態のものに限られない。例えば、共通流路12(マニホールド)の底面(-Z側)ではなく、側面(X側)に各個別流路15への接続部分が設けられて配列されていてもよい。また、個別流路15からさらにインクを回収して排出させる他の排出流路が設けられていてもよい。この場合、通常では、第2供給路24を経て流入した気泡は、十分に細い個別流路15には流入せず、共通流路12から直接インク流出口17に到達する。
【0077】
また、上記実施形態では、液体としてインクを収容、吐出するものとして説明したが、インクには無色のクリアインクなどが含まれてもよい。また、インク以外、例えば、保護膜などの薄膜や立体構造を形成するための液体、定着液などが吐出されるものであってもよい。
その他、上記実施の形態で示した構造、構成や配置などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 吐出動作部
11 インク流入口
12 共通流路
15 個別流路
17 インク流出口
20 液体収容タンク
20a 本体部
21 供給口
22 第1供給路
23 液体収容部
23a 上流側収容部
23b 下流側収容部
231 フィルター
232、233 開口端
234 開口
24 第2供給路
25 流出口
26 流入口
27 排出路
271 逆止弁
28 排出口
29 脱気路
29a フィルター室
291 フィルター
100 液滴吐出ヘッド
N ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6