(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
B41J2/01 101
B41J2/01 129
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 501
(21)【出願番号】P 2019000606
(22)【出願日】2019-01-07
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 千晶
(72)【発明者】
【氏名】矢野 壯
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕文
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176744(JP,A)
【文献】特開2009-192982(JP,A)
【文献】特開2013-220627(JP,A)
【文献】特開2015-101103(JP,A)
【文献】特開2015-127147(JP,A)
【文献】特開2018-154014(JP,A)
【文献】特開2014-048653(JP,A)
【文献】特開2012-184406(JP,A)
【文献】特開2010-143073(JP,A)
【文献】特開2014-043103(JP,A)
【文献】特開2004-038022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワックスを含むインクを吐出することによって画像を形成する吐出部と、
記録媒体のインクによる画像を形成された面に当接する圧接部材と、
予め定められた光沢度に従って、前記圧接部材が前記面に当接するときの前記記録媒体の上のインクにおけるワックスの染み出しの度合いを調整するための制御を実行する制御部と、を備え
、
前記吐出部によって吐出されるインクは、ゾル/ゲル転移するインクであり、
前記制御部は、前記圧接部材が前記面に当接するときの前記インクの温度を調整することにより、当該インクにおけるワックスの染み出しの前記度合いを調整し、
前記吐出部によって吐出されるインクは、第1の融点を有する第1のワックスと、前記第1の融点より低い第2の融点を有する第2のワックスとを含み、
前記第2の融点は、前記圧接部材が前記面に当接するときの前記インクの温度よりも低い、
画像形成装置。
【請求項2】
ワックスを含むインクを吐出することによって画像を形成する吐出部と、
記録媒体のインクによる画像を形成された面に当接する圧接部材と、
予め定められた光沢度に従って、前記圧接部材が前記面に当接するときの前記記録媒体の上のインクにおけるワックスの染み出しの度合いを調整するための制御を実行する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記圧接部材の温度を制御することによって、前記制御を実行し、
前記圧接部材は、中間転写ベルトを含み、
前記面には、前記中間転写ベルトに形成されたインクが転写されることによって画像が形成される
、画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記予め定められた光沢度が高いほど、前記圧接部材の温度を高く制御する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記圧接部材は、中間転写ベルトを含み、
前記吐出部は、前記中間転写ベルトの上にインクを吐出し、
前記圧接部材の上に吐出された画像が記録媒体に転写された後、前記圧接部材の温度を調整する調整部をさらに備える、請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吐出部によって吐出されるインクは、ゾル/ゲル転移するインクであり、
前記制御部は、前記圧接部材が前記面に当接するときの前記インクの温度を調整することにより、当該インクにおけるワックスの染み出しの前記度合いを調整する、請求項
2~請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記吐出部によって吐出されるインクの、前記圧接部材が前記面に当接するときの粘度は、400mPa・s以上100000mPa・s以下である、請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記吐出部によってインクを吐出された記録媒体に対して、前記圧接部材によって圧接される前にUV光を照射するためのUV照射部をさらに備える、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置を制御するコンピューターによって実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピューターに、
記録媒体の上に形成される画像についての目標光沢度を読み出すステップと、
ワックスを含むインクを吐出することによって画像を形成するステップと、
予め定められた光沢度に従って、
記録媒体のインクによる画像を形成された面に圧接部材が当接するときの前記インクにおけるワックスの染み出しの度合いを調整するための制御を実行するステップと、
を実行させ
、
前記画像を形成するステップにおいて吐出されるインクは、ゾル/ゲル転移するインクであり、第1の融点を有する第1のワックスと前記第1の融点より低い第2の融点を有する第2のワックスとを含み、
前記第2の融点は、前記圧接部材が前記面に当接するときの前記インクの温度よりも低く、
前記制御を実行するステップは、前記圧接部材が前記面に当接するときの前記インクの温度を調整することにより、当該インクにおけるワックスの染み出しの前記度合いを調整する、
プログラム。
【請求項9】
画像形成装置を制御するコンピューターによって実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピューターに、
記録媒体の上に形成される画像についての目標光沢度を読み出すステップと、
ワックスを含むインクを吐出することによって画像を形成するステップと、
予め定められた光沢度に従って、
記録媒体のインクによる画像を形成された面に圧接部材が当接するときの前記インクにおけるワックスの染み出しの度合いを調整するための制御を実行するステップと、
を実行させる、プログラム。
前記制御を実行するステップは、前記圧接部材の温度を制御することによって、前記制御を実行し、
前記圧接部材は、中間転写ベルトを含み、
前記面には、前記中間転写ベルトに形成されたインクが転写されることによって画像が形成される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、特に、インクを吐出することにより記録媒体上に画像を形成する画像形成装置およびその制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において形成される画像の光沢度を制御するための種々の技術が提案されている。たとえば、特開2012-184406号公報(特許文献1)は、画像形成に利用するインクにおけるワックスの種類を調整することにより、形成される画像の光沢度を制御する技術が開示されている。特開2010-143073号公報(特許文献2)および特開2014-043103号公報(特許文献3)には、中間転写方式による画像形成において、中間転写ベルトに離型剤を塗布する量を調整することにより、形成される画像の光沢度を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-184406号公報
【文献】特開2010-143073号公報
【文献】特開2014-043103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、画像形成装置において、形成される画像の光沢度をさらにユーザーが所望する通りに制御するための技術が求められている。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、画像形成装置において、形成される画像の光沢度をより正確に制御する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、ワックスを含むインクを吐出することによって画像を形成する吐出部と、記録媒体のインクによる画像を形成された面に当接する圧接部材と、予め定められた光沢度に従って、圧接部材が面に当接するときの記録媒体の上のインクにおけるワックスの染み出しの度合いを調整するための制御を実行する制御部と、を備える、画像形成装置が提供される。
【0007】
制御部は、圧接部材の温度を制御することによって、制御を実行してもよい。
制御部は、予め定められた光沢度が高いほど、圧接部材の温度を高く制御してもよい。
【0008】
圧接部材は、中間転写ベルトを含み、吐出部は、中間転写ベルトの上にインクを吐出し、圧接部材の上に吐出された画像が記録媒体に転写された後、圧接部材の温度を調整する調整部をさらに備えていてもよい。
【0009】
吐出部によって吐出されるインクは、ゾル/ゲル転移するインクであり、制御部は、圧接部材が面に当接するときのインクの温度を調整することにより、当該インクにおけるワックスの染み出しの度合いを調整してもよい。
【0010】
吐出部によって吐出されるインクは、第1の融点を有する第1のワックスと、第1の融点より低い第2の融点を有する第2のワックスとを含んでいてもよい。第2の融点は、圧接部材が面に当接するときのインクの温度よりも低くてもよい。
【0011】
吐出部によって吐出されるインクの、圧接部材が面に当接するときの粘度は、400mPa・s以上100000mPa・s以下であってもよい。
【0012】
画像形成装置は、吐出部によってインクを吐出された記録媒体に対して、圧接部材によって圧接される前にUV光を照射するためのUV照射部をさらに備えていてもよい。
【0013】
本開示の他の局面に従うと、画像形成装置を制御するコンピューターによって実行されるプログラムが提供される。プログラムは、コンピューターに、記録媒体の上に形成される画像についての目標光沢度を読み出すステップと、ワックスを含むインクを吐出することによって画像を形成するステップと、記録媒体のインクによる画像を形成された面に圧接部材が当接するときのインクにおけるワックスの染み出しの度合いを調整するための制御を実行するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、インクによって記録媒体の上に画像が形成されたとき、当該インクにおけるワックスの染み出し量が制御される。これにより、同一種類のインクを用いて、当該インクによって形成される画像の光沢度が制御され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態の画像形成装置において吐出されるインクの特性を模式的に示す図である。
【
図2】記録媒体上のインクの層が圧接部材と当接している状態を模式的に示す図である。
【
図3】記録媒体(インク)が圧接部材と当接する面におけるワックスの染み出し量が少ないときの状態を模式的に示す図である。
【
図4】記録媒体(インク)が圧接部材と当接する面におけるワックスの染み出し量が少ないときの状態を模式的に示す図である。
【
図5】画像形成装置の一例における、画像形成部の構成を部分的に示す図である。
【
図6】画像形成装置のハードウェアブロックの一例を示す図である。
【
図7】複数の条件下で、画像形成装置1において画像が形成されたときの結果を表す。
【
図8】画像の光沢度の制御に利用される参照情報の構成の一例を示す図である。
【
図9】画像形成のために実施される処理のフローチャートである。
【
図10】画像形成装置における画像形成部の構成の変形例を示す図である。
【
図11】複数の条件下で、画像形成装置1において画像が形成されたときの結果を表す。
【
図12】画像の光沢度の制御に利用される参照情報の構成の一例を示す図である。
【
図13】画像形成装置における画像形成部の構成の2つ目の変形例を示す図である。
【
図14】
図13の画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図15】複数の条件下で、画像形成装置1において画像が形成されたときの結果を表す。
【
図16】画像の光沢度の制御に利用される参照情報の構成の一例を示す図である。
【
図17】インクの組成に関する情報を表す図である。
【
図18】使用されるインクの種類に応じた制御の態様を説明するための図である。
【
図19】使用されるインクの種類に応じた制御の態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、画像形成装置の一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0017】
[インクの温度特性]
図1は、本実施の形態の画像形成装置において吐出されるインクの特性を模式的に示す図である。
図1のグラフにおいて、横軸はインクの温度を表し、縦軸はインクの粘度を表す。線L1で示されるように、インクの温度が上昇すると、インクの粘度が低下する。
図1では、インクの粘度が温度変化に従って大きく変わる温度Ttが、ゾル/ゲル転移温度として設定されている。温度Ttより温度が高い状態では、インクは液体的性質を有する。温度Ttより温度が低い状態では、インクは固体的性質を有する。
【0018】
インクの粘度は、吐出されて記録媒体上に着弾する迄は、所望の位置に着弾するために、比較的低いことが好ましい。
【0019】
一方で、中間転写体などの圧接部材と当接する際には、インクの粘度は比較的高い方が好ましい。これは、圧接部材との当接が解消される際、「インクの内部の凝集力」が「インク表面の圧接部材への付着力」より大きくなければ、インク層が分断されて、インクにより形成された画像が大きく損傷を受ける事態が予測されるからである。
【0020】
上述の通り、インクの温度が高くなるに従って、インクの粘度は低下する。以上より、画像形成装置では、インクの吐出時の粘度を低くし、圧接部材と当接するときには粘度を高くするために、インクの吐出時にはインクの温度は高くされ、圧接部材と当接するとき(記録媒体上に着弾した後)にはインクの温度は低くされる。
図1では、インク層が圧接部材と当接された後、当該当接が解消されるときのインクの温度が、「分離温度」として示されている。
【0021】
本実施の形態では、圧接部材との当接面におけるインク内のワックスの染み出す量が調整される。これにより、インク層が圧接部材から離れるときの圧接部材からの離れやすさが調整され、これにより、インク層の表面のなめらかさ(すなわち、光沢度)が制御される。上述の通り、吐出されるときよりも圧接部材と当接するときの方がインクの温度は低くされるが、ワックスの融点は、当該低くされた後の温度よりもさらに低い必要がある。そうでなければ、記録媒体上に着弾した後のインク層においてワックスが圧接部材との当接面へと染み出すことができない。
【0022】
[記録媒体の表面状態]
(インク層が圧接部材と当接している状態)
図2は、記録媒体上のインクの層が圧接部材と当接している状態を模式的に示す図である。
図2では、記録媒体30上にインク20による層が形成され、インク20による層が圧接部材と当接している。一例では、
図2は、中間転写ベルトに形成されたインクが記録媒体へ転写される状態を表す。他の例では、
図2は、インクが記録媒体上に吐出され、記録媒体上のインクにローラーを当接させることにより、インクによって形成された画像が記録媒体上に定着される。
【0023】
図2では、インク20に含まれるワックス21が示される。本実施の形態では、ワックス21が圧接部材10との当接面に染み出す量が調整される。これにより、圧接部材10からの、インク20の剥がれやすさが調整され、これにより、記録媒体30においてインク20によって形成された画像の光沢度が制御される。
図3および
図4を用いて、ワックスの染み出し量の違いによる、画像の光沢度の違いを説明する。
【0024】
(当接面におけるワックスの染み出し量が少ないとき)
図3は、記録媒体(インク)が圧接部材と当接する面におけるワックスの染み出し量が少ないときの状態を模式的に示す図である。
図3には、記録媒体が圧接部材と当接している状態((A)当接中)と、記録媒体が圧接部材から離れていく状態((B)当接解消)とが示されている。
【0025】
図3の例では、インク20において、当接面に染み出すワックス21の量が少ない。これにより、特に状態(B)において示されるように、インク20の表面の圧接部材10からの剥がれ易さが不均一である。したがって、当接が解消された後のインク20の表面の状態が均一ではない。これにより、インク20の表面の光沢度が比較的低くなる。
【0026】
(当接面におけるワックスの染み出し量が多いとき)
図4記録媒体(インク)が圧接部材と当接する面におけるワックスの染み出し量が多いときの状態を模式的に示す図である。
図4には、
図3と同様に、2つの状態((A)当接中,(B)当接解消)が示されている。
【0027】
図4の例では、インク20において、当接面に染み出すワックス21の量が多い。これにより、特に状態(B)において示されるように、インク20の表面の圧接部材10からの剥がれ易さが均一である。したがって、当接が解消された後のインク20の表面の状態が均一である。これにより、インク20の表面の光沢度が比較的高くなる。
【0028】
以上、
図3および
図4を参照して説明されたように、インクの表面におけるワックスの染み出し量を調整することにより、記録媒体上に形成される画像の光沢度が制御される。
【0029】
[画像形成装置の構成]
図5は、画像形成装置の一例における、画像形成部の構成を部分的に示す図である。画像形成装置は、たとえば、インクジェット方式で画像を形成する、MFP(Multi-Functional Peripheral)などのプリンターによって実現される。
【0030】
図5の例において、画像形成装置は、インクユニット210と、ローラー510,511,512と中間転写ベルト900とを備える。ローラー510,511,512は、通紙経路920上の記録媒体を、矢印DR1で示される方向に搬送する。インクユニット210は、中間転写ベルト900上にインクを吐出する。中間転写ベルト900上のインクによって形成された画像は、転写部990において、記録媒体上に転写される。
【0031】
画像の転写の際に、記録媒体は、中間転写ベルト900によって圧接される。この意味において、
図5の例では、中間転写ベルト900は圧接部材の一例である。
【0032】
画像形成装置は、中間転写ベルト900を回転させるためのローラー901,902,903を備える。ローラー901,903のそれぞれの内部には、中間転写ベルトの温度を調整するためのヒーター250,240のそれぞれが内蔵されている。転写部990には、中間転写ベルト900上の画像が記録媒体へ転写されるときの雰囲気温度を調整するためのヒーター260が設けられている。ローラー902とローラー903の間に、冷却用のローラー980が設けられている。ローラー980と当接することにより、中間転写ベルト900の温度が低下し得る。これにより、インクユニット210に対向する位置での中間転写ベルト900の温度が、転写部990内の中間転写ベルト900の温度よりも低く制御され得る。
【0033】
画像形成装置は、照射部230をさらに備える。一例では、照射部230は、UV光照射装置によって実現される。
【0034】
照射部512からUV光を照射されると、記録媒体上のインクの内部では、重合開始剤がインクの成分であるモノマーの重合を開始し、これにより、インクが固化する。
【0035】
[画像形成装置の制御ブロック]
図6は、画像形成装置のハードウェアブロックの一例を示す図である。
図6を参照して、画像形成装置1は、画像形成装置1内の各要素の動作を制御する制御部1Aを備える。
【0036】
制御部1Aは、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。
【0037】
画像形成装置1は、記憶装置620をさらに備える。記憶装置620は、たとえばハードディスクドライブによって実現される。記憶装置620は、CPU101によって実行されるプログラムおよび/または当該プログラムの実行において参照される各種のデータ(たとえば、後述する「光沢度テーブル」)を格納していてもよい。
【0038】
画像形成装置1は、通信インターフェイス610を備える。制御部1Aは、通信インターフェイス610を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。通信インターフェイス610は、たとえばネットワークカード等の通信制御カードによって実現される。
【0039】
画像形成装置1は、操作ボタン111とディスプレイ112とを備えている。CPU101は、操作ボタン111を介して情報の入力を受け付ける。ディスプレイ112にプログラムの実行結果を表示する。
【0040】
CPU101は、記録媒体に形成するべき画像のデータ(画像データ)を取得し、取得した画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する。画像データは、形成される画像の光沢度を特定する情報を含んでいても良い。なお、CPU101は、形成される画像の光沢度を特定する情報を、通信インターフェイス610を介して画像データとは別に取得しても良いし、操作ボタン111を介して取得しても良い。
【0041】
インクユニット210は、4つのカートリッジ211~214を含む。カートリッジ211~214のそれぞれは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のそれぞれの色のインクを吐出する。CPU101は、カートリッジ211~214のそれぞれのインクの吐出態様を制御する。
【0042】
画像形成装置1は、駆動モーター群220を備える。駆動モーター群220は、画像形成装置1における複数のローラーのそれぞれを駆動する複数のモーターを含む。CPU101は、駆動モーター群220の複数のモーターのそれぞれの動作を制御する。
【0043】
画像形成装置1は、画像形成装置1内の複数の部位のそれぞれの温度を計測する複数の温度センサーを含む温度センサー群290を備える。CPU101は、複数の温度センサーのそれぞれから、計測された温度情報を取得する。
【0044】
CPU101は、上記温度センサーによって計測された温度に従って、ヒーター219,240,250,260の動作を制御する。ヒーター219は、インクユニット210において、カートリッジ211~214のそれぞれから吐出されるインクの温度を制御するためのヒーターである。また、CPU101は、照射部230の動作を制御する。
【0045】
[制御結果]
本実施の形態では、
図3および
図4を参照して説明されたように、圧接部材との当接が解消するときの、画像の圧接部材からの剥がれ易さが調整されることによって、画像の光沢度が制御される。剥がれ易さを調整するために、インク中のワックスの、表面への染み出し度合いが調整される。
【0046】
一例では、2種類のワックスが、インクに含められる。2種類のワックスのうち、一方は、主に、インクのゾル/ゲル転移温度の調整に寄与する。他方は、主に、画像の表面への染み出しに寄与する。
【0047】
本実施の形態では、さらに、記録媒体が圧接部材によって圧接されるときの温度(中間転写ベルト900から記録媒体への画像の転写温度)が調整されることによって、上記剥がれ易さが調整される。
【0048】
図7は、複数の条件下で、画像形成装置1において画像が形成されたときの結果を表す。
図7のテーブルは、3種類のインク(実施例1-1、比較例1-2、比較例1-3)についての結果を表す。実施例1-1、比較例1-2、比較例1-3の組成は、後述する
図17に示される。当該テーブルには、5種類の項目「ワックス種」「転写温度」「インク粘度」「光沢度」「判定」が示される。
【0049】
「ワックス種」は、インクに含まれるワックスの種類を表す。
図7の例では、インクは、ワックスA,B,Cの中の少なくとも1種類を含む。ワックスA,B,Cは、後述する
図17に記載される通り、互いに融点が異なる。ワックスAは、主に、インクのゾル/ゲル転移温度の調整に寄与する。ワックスB,Cは、主に、画像の表面への染み出しに寄与する。
【0050】
図7の例では、実施例1-1のインクは、ワックスA~CのうちワックスAおよびBを含む。比較例1-2は、ワックスA~CのうちワックスAのみを含む。比較例1-3は、ワックスA~CのうちワックスBのみを含む。
【0051】
「転写温度」は、中間転写ベルト900上の画像が記録媒体に転写されるときの温度を表す。一例では、転写温度は、転写部990内の雰囲気温度である。
【0052】
「インク粘度」は、上記転写温度において想定されるインクの粘度を表す。
「光沢度」は、
図7に示された条件において形成された画像の光沢度の計測結果を表す。
図7には、60度の光沢度が示される。
【0053】
「判定」は、形成された画像の品質に関する判定の内容を表す。
図7の例では、比較例1-2および比較例1-3のそれぞれについて、二種類の転写温度(73℃,63℃)での画像形成の結果が示されるが、いずれの場合についても光沢度の計測結果が得られなかった。
【0054】
比較例1-2の「判定」には、「転写不良。インク表面と中間転写ベルトの間に離型剤がないため。」と記載されている。比較例1-2のインクは、ワックスBを含まず、これにより、中間転写ベルト900上の画像が記録媒体に転写されるときの、画像表面によるワックスの染み出しが不足していたと考えられる。より具体的には、比較例1-2のインクのゾル/ゲル転移温度は約78℃であるが、比較例1-2のインクはワックスの染み出しに寄与する「ワックスB」を含まないため、インク表面と圧接部材との間に離型作用を持つワックスが介在しない。このため、比較例1-2では、分離不良が発生したと考えられる。
【0055】
比較例1-3の「判定」には、「転写不良。ゲル転移が起こらず、転写ニップでのインク粘度が低いため。」と記載されている。比較例1-3のインクは、ワックスAを含まず、これにより、インクのゾル/ゲル転移温度が上昇しなかったと考えられる。これにより、転写ニップ(中間転写ベルト900による圧接)においてインクがゲル化せず、転写ニップにおいてインクの粘度が上昇せず、これにより、中間転写ベルト900による圧接によって記録媒体の上に形成された画像が歪められたと考えられる。
【0056】
一方、実施例1-1の「判定」には、いずれの転写温度についても「光沢制御可能」と記載されている。また、実施例1-1では、転写温度が高いほど、インク粘度が低く、そして、画像の光沢度が高い。転写温度が高くなると、インクの粘度が下がり、インクにおける流動性が高くなる。これにより、インク中のワックスが、画像における中間転写ベルト900との当接面に染み出しやすくなる。これにより、当接面が中間転写ベルト900から剥がれやすくなり、圧接が解消された後の画像の表面がスムーズになる。これにより、転写温度が高くなるほど、光沢度が高くなる。
【0057】
なお、実施例1-1のゾル/ゲル転移温度は78℃である。転写温度が、インクのゾル/ゲル転移温度以下であって、インク表面い染み出すワックス(ワックスB)の融点以上で制御されることにより、画像の光沢度が制御され得る。
【0058】
[参照情報]
図8は、画像の光沢度の制御に利用される参照情報の構成の一例を示す図である。
図8には、3種類の光沢度と、各光沢度に対応する転写温度とが記載されている。
【0059】
CPU101は、形成される画像についての目標光沢度を取得すると、参照情報に従って、当該目標光沢度に対応する転写温度を取得する。そして、CPU101は、転写部990の温度を、取得された転写温度へと制御する。
【0060】
図8に示された光沢度以外の光沢度に対応する転写温度は、
図8に示された関係に基づいて取得される。一例では、CPU101は、
図8に示された関係から、光沢度についての転写温度の一次関数(または、二次以上の関数)を生成し、当該関数を利用して、目標光沢度に対応する転写温度を取得する。
【0061】
[処理の流れ]
図9は、画像形成のために実施される処理のフローチャートである。一例では、
図9の処理は、CPU101が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0062】
ステップS10にて、CPU101は、画像データから、または、画像データに関連付けられて入力されたデータから、目標光沢度を取得する。
【0063】
ステップS20にて、CPU101は、圧接温度を設定する。
図1~
図8を参照した例では、圧接温度は「転写温度」として取り扱われる。CPU101は、目標光沢度に対応した転写温度を、圧接温度として設定する。
【0064】
ステップS30にて、CPU101は、記録媒体上に画像を形成する。当該画像形成では、
図5に示されるように、インクユニット210から吐出されるインクの温度は90℃に制御され、中間転写ベルト900の温度が50℃に制御される。転写部990の温度は、ステップS20において設定された圧接温度に制御される。
【0065】
以上説明された画像形成装置1では、転写部990の温度が調整されることにより、記録媒体上の画像におけるワックスの染み出し量が制御され、これにより、形成される画像の光沢度が制御される。
【0066】
[画像形成装置の構成(2)]
図10は、画像形成装置における画像形成部の構成の変形例を示す図である。
図10の例では、インクユニット210は、通紙経路920上の記録媒体に直接インクを吐出する。その後、記録媒体は、ローラー960を通過する。これにより、記録媒体上の画像は、ローラー960によって圧接される。ローラー960は、圧接部材の一例である。矢印DR3は、ローラー960の回転方向を表す。その後、照射部230は、記録媒体にUV光を照射する。これにより、記録媒体上に吐出されたインクにおいて、重合が開始する。その後、記録媒体は、ローラー512を通過し、画像形成装置外へ排出される。
【0067】
インクユニット210から吐出されるインクの温度(インク吐出温度)は、85℃に制御される。通紙経路920上を通過する記録媒体の温度は40℃に制御される。
【0068】
[制御結果(2)]
図10に記載された画像形成部を備える画像形成装置においても、圧接部材との当接が解消するときの、画像の圧接部材からの剥がれ易さが調整されることによって、画像の光沢度が制御される。剥がれ易さを調整するために、インク中のワックスの、表面への染み出し度合いが調整される。
【0069】
図11は、複数の条件下で、画像形成装置1において画像が形成されたときの結果を表す。
図11のテーブルは、「圧接温度」以外は、
図7のテーブルと同様の項目を含む。「圧接温度」とは、ローラー960が、記録媒体上の画像を圧接する部分(表面)の温度を表す。
図10の例では、ヒーター260はローラー960に内包されている。
図11には、3種類のインク(実施例2-1、比較例2-2、比較例2-3)についての結果が示される。実施例2-1、比較例2-2、比較例2-3の組成は、後述する
図17に示される。なお、実施例2-1のインクは、ワックスA~CのうちワックスAおよびCを含む。比較例2-2は、ワックスA~CのうちワックスAのみを含む。比較例2-3は、ワックスA~CのうちワックスBのみを含む。
【0070】
図11の例では、比較例2-2および比較例2-3のそれぞれについて、二種類の圧接温度(65℃,55℃)での画像形成の結果が示されるが、いずれの場合についても光沢度の計測結果が得られなかった。
【0071】
比較例2-2の「判定」には、「画像乱れ。インク表面と圧接部材の間に離型剤がないため。」と記載されている。比較例2-2のインクは、ワックスCを含まず、これにより、記録媒体上の画像がローラー960によって圧接されるときの、画像表面によるワックスの染み出しが不足していたと考えられる。
【0072】
比較例2-3の「判定」には、「画像乱れ。ゲル転移が起こらず、圧接ニップでのインク粘度が低いため。」と記載されている。比較例2-3のインクは、ワックスAを含まず、これにより、インクのゾル/ゲル転移温度が上昇しなかったと考えられる。これにより、圧接ニップ(ローラー960による圧接)においてインクがゲル化せず、ローラー960による圧接によって記録媒体の上に形成された画像が歪められたと考えられる。
【0073】
一方、実施例2-1の「判定」には、いずれの圧接温度についても「光沢制御可能」と記載されている。また、実施例2-1では、圧接温度が高いほど、インク粘度が低く、そして、画像の光沢度が高い。圧接温度が高くなると、インクの粘度が下がり、これにより、インク中のワックスが、画像におけるローラー960との当接面に染み出しやすくなる。これにより、当接面がローラー960から剥がれやすくなり、圧接が解消された後の画像の表面がスムーズになる。これにより、圧接温度が高くなるほど、光沢度が高くなる。
【0074】
なお、実施例2-1のゾル/ゲル転移温度は72℃である。圧接温度が、インクのゾル/ゲル転移温度以下であって、インク表面い染み出すワックス(ワックスC)の融点以上で制御されることにより、画像の光沢度が制御され得る。
【0075】
[参照情報(2)]
図12は、画像の光沢度の制御に利用される参照情報の構成の一例を示す図である。
図12には、3種類の光沢度と、各光沢度に対応する圧接温度とが記載されている。
【0076】
CPU101は、形成される画像についての目標光沢度を取得すると、参照情報に従って、当該目標光沢度に対応する圧接温度を取得する。そして、CPU101は、ローラー960の温度を、取得された圧接温度へと制御する。
【0077】
図12に示された光沢度以外の光沢度に対応する圧接温度は、
図12に示された関係に基づいて取得される。一例では、CPU101は、
図12に示された関係から、光沢度についての圧接温度の一次関数(または、二次以上の関数)を生成し、当該関数を利用して、目標光沢度に対応する圧接温度を取得する。
【0078】
図10~
図12を参照して説明された例では、CPU101は、画像形成処理として
図9と同様の処理を実行する。
【0079】
[画像形成装置の構成(3)]
図13は、画像形成装置における画像形成部の構成の2つ目の変形例を示す図である。
図5の例と比較して、
図13の例では、画像形成装置は、第1照射部231と第2照射部232とを備える。第1照射部231は、中間転写ベルト900上に形成され、記録媒体へ転写される前の画像に対し、UV光を照射する。第2照射部232は、記録媒体上へ転写された後の画像に対し、UV光を照射する。
【0080】
図13の例では、インクユニット210によって吐出されインクの粘度が、記録媒体上に転写される前に、第1照射部231から照射されるUV光によって高められる。インクユニット210から吐出されるインクの温度(インク吐出温度)は、80℃に制御される。中間転写ベルト900の温度は40℃に制御される。
【0081】
図14は、
図13の画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
図14に示されるように、制御部1Aは、第1照射部231および第2照射部232の動作を制御する。
【0082】
[制御結果(3)]
図15は、複数の条件下で、画像形成装置1において画像が形成されたときの結果を表す。
図15には、3種類のインク(実施例3-1、比較例3-2、比較例3-3)についての結果が示される。実施例3-1、比較例3-2、比較例3-3の組成は、後述する
図17に示される。なお、実施例3-1および比較例3-2のインクは、ワックスA~CのうちワックスCを含む。比較例3-3は、ワックスA~Cの中のいずれも含まない。
【0083】
図15のテーブルは、
図7のテーブルの項目に加えて、項目「UV硬化」を含む。「UV硬化」は、第1照射部231および第2照射部232によるUV光の照射の有無を表す。
図15の例では、実施例3-1および比較例3-3のインクが利用されたときには、第1照射部231および第2照射部232の双方によってUV光が照射された。比較例3-2のインクが利用されたときには、第1照射部231によるUV光は照射されず、第2照射部232によるUV光のみが照射された。
【0084】
図15において、インク粘度は、第1照射部231を通過し、転写部990へ導入される前の、記録媒体上のインクの粘度を表す。実施例3-1および比較例3-3のインクについては、第1照射部231からUV光を照射されたことによって、比較例3-2のインクよりも高い粘度を有する。
【0085】
比較例3-2の「判定」には、「転写不良。転写ニップでのインク粘度が低いため。」と記載されている。比較例3-2のインクが利用されたとき、記録媒体上にインクが吐出された後、転写部990へ導入される前にUV光が照射されていない。これにより、転写部990において中間転写ベルト900に圧接されたときに、記録媒体上のインクの粘度が低すぎることにより、当該インクによって構成された画像が、十分に転写されなかったと考えられる。
【0086】
比較例3-3の「判定」には、「転写不良。インク表面と中間転写ベルトの間に離型剤がないため。」と記載されている。比較例3-3のインクは、ワックスCを含まず、これにより、中間転写ベルト900によって圧接されるときにインク表面にワックスが十分に染み出さず、これにより、画像が中間転写ベルト900から十分に剥がれず、画像が十分に転写されなかったと考えられる。
【0087】
一方、実施例3-1の「判定」には、いずれの圧接温度についても「光沢制御可能」と記載されている。また、実施例3-1では、転写温度が高いほど、インク粘度が低く、そして、画像の光沢度が高い。圧接温度が高くなると、インクの粘度が下がり、これにより、インク中のワックスが、中間転写ベルト900との当接面に染み出しやすくなる。これにより、当接面がローラー960から剥がれやすくなり、転写後(圧接が解消された後)の画像の表面がスムーズになる。これにより、転写温度が高くなるほど、光沢度が高くなる。
【0088】
[参照情報(3)]
図16は、画像の光沢度の制御に利用される参照情報の構成の一例を示す図である。
図16には、3種類の光沢度と、各光沢度に対応する転写温度とが記載されている。
【0089】
CPU101は、形成される画像についての目標光沢度を取得すると、参照情報に従って、当該目標光沢度に対応する転写温度を取得する。そして、CPU101は、転写部990の温度を、取得された転写温度へと制御する。
【0090】
図16に示された光沢度以外の光沢度に対応する転写温度は、
図16に示された関係に基づいて取得される。一例では、CPU101は、
図16に示された関係から、光沢度についての転写温度の一次関数(または、二次以上の関数)を生成し、当該関数を利用して、目標光沢度に対応する転写温度を取得する。
【0091】
[インク情報]
図17は、上記した例において利用されたインクの組成に関する情報を表す図である。
図17には、3種類に実施例(実施例1-1,1-2,1-3)および6種類の比較例(比較例1-2,1-3,2-2,2-3,3-2,3-3)のそれぞれのインクの組成が、100分率で示されている。
【0092】
図17には、ワックスとして、融点が異なる3種類のワックスA,B,Cが示される。重合性化合物(モノマー)として、3種類の化合物(重合性化合物(1),(2),(3))が示される。さらに、
図17には、重合禁止剤(1)、重合開始剤(1)、および、顔料分散液が示される。
【0093】
[ワックスの種類に従った処理]
図17において、ワックスBとワックスCとは、圧接部材との当接面に染み出すことが期待されるワックスである。
図17に示されるように、ワックスBとワックスCとは融点が異なる。一定の温度下で、ワックスBとワックスCとの間で流動性に差異が生じ得る。このため、同じ条件で画像が圧接される場合、ワックスAとともにインクに含まれるワックスが、ワックスBである場合とワックスCである場合とでは、圧接される面に染み出すワックスの量が異なることが予測される。
【0094】
この意味において、本実施の形態では、ワックスAとともにインクに含まれるワックスが、ワックスBである場合とワックスCである場合とで、画像(インク)が圧接されるときの温度を変化させることにより、画像の光沢度が制御され得る。
【0095】
図18および
図19は、使用されるインクの種類に応じた制御の態様を説明するための図である。
図18には、ワックスAとともにインクに含まれるワックスの種類ごとに、目標光沢度と圧接温度(設定温度)との関係が示される。たとえば、目標光沢度が40である場合、ワックスAとワックスBとを含むインクが使用されるときには圧接温度が64℃に設定され、ワックスAとワックスCとを含むインクが使用されるときには圧接温度が52℃に設定される。
【0096】
図19には、CPU101によって実行される処理のフローチャートが示される。
図19の処理は、
図9の処理と比較して、ステップS12の制御をさらに含む。より具体的には、CPU101は、ステップS10で目標光沢度を取得した後、ステップS12に制御を進める。
【0097】
ステップS12にて、CPU101は、画像形成に使用されるインクの種類(ワックスAとともにインクに含まれるワックスの種類)を取得する。インクの種類の取得方法の一例は、操作ボタン111を介した情報の入力である。他の例は、通信インターフェイス610を介した、他の装置からの入力である。
【0098】
さらに他の例は、カートリッジ211~214に付された情報の読み取りである。カートリッジ211~214の表面に、インクの種類を特定する情報(たとえば、バーコード)が貼り付けられる。画像形成装置は、情報を読み取る機器(たとえば、バーコードリーダー)を備える。CPU101は、当該機器が読み取った情報を取得することにより、インクの種類を取得する。
【0099】
ステップS20にて、CPU101は、目標光沢度とインクの種類とに基づいて、圧接温度を設定する。
【0100】
ステップS30にて、CPU101は、ステップS20における設定に従って、記録媒体上に画像を形成する。
【0101】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置、1A 制御部、10 圧接部材、20 インク、21 ワックス、30 記録媒体、101 CPU、102 ROM、103 RAM、111 操作ボタン、112 ディスプレイ、210 インクユニット、211,214 カートリッジ、219,240,250,260 ヒーター、220 駆動モーター群、230 照射部、231 第1照射部、232 第2照射部、290 温度センサー群、510,511,512,901,902,903,960,980 ローラー、610 通信インターフェイス、620 記憶装置、900 中間転写ベルト、920 通紙経路、990 転写部。