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特許7163788トナー補給装置及びこれを備えた画像形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】トナー補給装置及びこれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20221025BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G03G15/08 322B
G03G15/08 343
G03G21/00 370
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019008259
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2020118788
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】河野 大地
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142828(JP,A)
【文献】国際公開第2005/008343(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置に対して着脱自在に装着され、前記現像装置へ補給するためのトナーを収容するトナーコンテナと、
前記トナーコンテナの外周面における検知領域に対向して配置され、前記トナーコンテナ内の前記トナーの有無を示す検知信号を出力する検知センサーと、
前記検知センサーから出力される前記検知信号に基づいて、前記トナーコンテナにおける前記トナーの減少状態を判定する判定部と、を備え、
前記トナーコンテナは、
第1方向に沿って筒状に延びる内部空間を画定する内周面と、前記内部空間に連通するように開口され前記トナーが排出されるトナー排出口とを有するコンテナ本体と、
前記内部空間内に配置され、前記コンテナ本体の前記内周面とともに前記トナーが収容される収容空間を画定する搬送面を有し、前記収容空間内の前記トナーを前記トナー排出口に向かって搬送しながら、前記内部空間内を前記第1方向に移動する移動壁と、
前記収容空間内において前記トナー排出口に近設され、前記第1方向に沿った軸心回りに回転可能な回転体と、
前記回転体に取り付けられ、前記回転体の回転に伴って前記収容空間内の前記トナーを撹拌する撹拌パドルと、を含み、
前記判定部は、前記回転体が1回転する1周期の間において、前記撹拌パドルが前記検知領域を通過する時間帯を除外した検知対象時間帯で、前記検知センサーから出力される前記検知信号に基づいて、前記収容空間内での前記トナーの減少状態を判定する、トナー補給装置。
【請求項2】
前記移動壁の移動を制御する移動壁制御部を、更に備え、
前記判定部は、前記検知センサーから出力される前記検知信号に基づいて、前記収容空間内での前記トナーの減少量が所定の減少基準値に達したと判定した場合に第1判定信号を出力し、前記トナーの減少量が前記減少基準値に達していないと判定した場合に第2判定信号を出力するように構成され、
前記移動壁制御部は、前記判定部から前記第1判定信号が出力された場合に前記移動壁を移動させ、前記判定部から前記第2判定信号が出力された場合に前記移動壁を移動させない、請求項1に記載のトナー補給装置。
【請求項3】
前記トナーは、磁性体を含有した磁性トナーであり、
前記検知センサーは、前記収容空間内の磁界を検知し、前記磁界の強さが所定値以上であることを示す第1信号成分と、前記磁界の強さが前記所定値未満であることを示す第2信号成分とを含むパルス信号を、前記検知信号として出力する磁気センサーであり、
前記判定部は、前記検知対象時間帯で前記検知センサーから出力される前記検知信号において、前記第2信号成分の出力回数が第1閾値以上である場合に前記第1判定信号を出力し、前記第2信号成分の出力回数が前記第1閾値未満である場合に前記第2判定信号を出力する、請求項2に記載のトナー補給装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1判定信号の出力後に前記検知対象時間帯で前記検知センサーから出力される前記検知信号において、前記第2信号成分の出力回数が前記第1閾値よりも大きな値を示す第2閾値以上である場合、前記収容空間内の前記トナーがエンプティ状態であると判定し、その判定結果を示す第3判定信号を出力する、請求項3に記載のトナー補給装置。
【請求項5】
前記トナーコンテナは、前記回転体の回転方向において前記撹拌パドルに対して所定の間隔を置いた位置に取り付けられ、前記検知センサーが検知可能な非磁性体からなる検知片を、更に含み、
前記検知センサーは、前記検知片を検知すると特有信号を出力するものであって、
前記判定部は、前記特有信号が前記検知センサーから出力されたタイミングを、前記検知対象時間帯の始点とする、請求項3又は4に記載のトナー補給装置。
【請求項6】
前記トナーコンテナは、前記回転体に取り付けられ、前記回転体の回転に伴って前記コンテナ本体における前記収容空間内の前記内周面に摺接しつつ、当該内周面を清掃する清掃部材を、更に含み、
前記清掃部材は、前記回転体の回転方向に沿って延びる、可撓性を有するフィルム部材からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載のトナー補給装置。
【請求項7】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体にトナーを供給する現像装置と、
前記現像装置にトナーを補給する、請求項1~6のいずれか1項に記載のトナー補給装置と、を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置にトナーを補給するトナー補給装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成装置として、シートに転写されるトナー像を担持する像担持体と、像担持体にトナーを供給する現像装置と、現像装置にトナーを補給するトナー補給装置と、を備えたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、現像装置への補給用のトナーを収容するトナーコンテナを備えたトナー補給装置が開示されている。このトナーコンテナは、トナー排出口に向けてトナーを搬送しながら移動する移動壁と、撹拌部材とを備えている。当該技術では、トナー排出口の上方のトナーが撹拌部材によって撹拌され、トナー排出口からのトナーの安定した排出が可能となる。また、現像装置へのトナーの補給に伴ってトナーコンテナ内に収容されるトナーが減少したことを検知センサーで検知し、その検知センサーの出力信号に応じて移動壁が移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-127789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トナーコンテナ内に収容されるトナーは、温湿度などの環境によって、凝集性や流動性などの性状が変化する。トナーの性状が変化すると、撹拌部材によって撹拌されたときのトナーの振る舞いが変化し、検知センサーによるトナーの検知結果にばらつきが生じる虞がある。このため、検知センサーの出力信号に基づくトナーの減少状態の判定精度が悪化する可能性がある。この結果、トナーコンテナ内におけるトナーの減少状態に応じた適切な移動壁の移動が損なわれ、現像装置に対するトナーの好適な補給ができなくなる虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、現像装置に対するトナーの好適な補給を実現することができるトナー補給装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るトナー補給装置は、現像装置に対して着脱自在に装着され、前記現像装置へ補給するためのトナーを収容するトナーコンテナと、前記トナーコンテナの外周面における検知領域に対向して配置され、前記トナーコンテナ内の前記トナーの有無を示す検知信号を出力する検知センサーと、前記検知センサーから出力される前記検知信号に基づいて、前記トナーコンテナにおける前記トナーの減少状態を判定する判定部と、を備える。前記トナーコンテナは、第1方向に沿って筒状に延びる内部空間を画定する内周面と、前記内部空間に連通するように開口され前記トナーが排出されるトナー排出口とを有するコンテナ本体と、前記内部空間内に配置され、前記コンテナ本体の前記内周面とともに前記トナーが収容される収容空間を画定する搬送面を有し、前記収容空間内の前記トナーを前記トナー排出口に向かって搬送しながら、前記内部空間内を前記第1方向に移動する移動壁と、前記収容空間内において前記トナー排出口に近設され、前記第1方向に沿った軸心回りに回転可能な回転体と、前記回転体に取り付けられ、前記回転体の回転に伴って前記収容空間内の前記トナーを撹拌する撹拌パドルと、を含む。前記判定部は、前記回転体が1回転する1周期の間において、前記撹拌パドルが前記検知領域を通過する時間帯を除外した検知対象時間帯で、前記検知センサーから出力される前記検知信号に基づいて、前記収容空間内での前記トナーの減少状態を判定する。
【0008】
このトナー補給装置によれば、トナーコンテナのコンテナ本体に収容されたトナーを、トナー排出口から排出することにより現像装置へ補給する。コンテナ本体の収容空間内においてトナー排出口の近傍には回転体が設けられ、この回転体には撹拌パドルが取り付けられている。トナー排出口の周辺のトナーが撹拌パドルによって撹拌されるので、トナー排出口からのトナーの安定した排出が可能となる。トナー排出口からのトナーの排出に伴う、コンテナ本体の収容空間内でのトナーの減少状態は、判定部によって判定される。この判定部は、コンテナ本体の検知領域に対向するように配置された検知センサーから、検知対象時間帯において出力される検知信号に基づいて、トナーの減少状態を判定する。前記検知対象時間帯は、回転体が1回転する1周期の間において、撹拌パドルが前記検知領域を通過する時間帯を除外した時間帯である。
【0009】
温湿度などの環境によってトナーの性状が変化し、撹拌パドルによって撹拌されたときのトナーの振る舞いが変化する場合を想定する。このような場合であっても、検知対象時間帯からは、撹拌パドルの前記検知領域に対する通過時間帯が除外されているので、判定部は、コンテナ本体の収容空間内におけるトナーの減少状態を、高精度に判定することができる。このため、トナーの減少状態に応じた適切な移動壁の移動が可能となる。従って、トナーコンテナから現像装置へのトナーの好適な補給が実現される。
【0010】
上記のトナー補給装置は、前記移動壁の移動を制御する移動壁制御部を、更に備える構成であってもよい。そして、前記判定部は、前記検知センサーから出力される前記検知信号に基づいて、前記収容空間内での前記トナーの減少量が所定の減少基準値に達したと判定した場合に第1判定信号を出力し、前記トナーの減少量が前記減少基準値に達していないと判定した場合に第2判定信号を出力するように構成される。前記移動壁制御部は、前記判定部から前記第1判定信号が出力された場合に前記移動壁を移動させ、前記判定部から前記第2判定信号が出力された場合に前記移動壁を移動させない。
【0011】
この態様では、コンテナ本体の収容空間内でのトナーの減少量が減少基準値に達したときに判定部から第1判定信号が出力されると、移動壁制御部は移動壁を移動させる。一方、トナーの減少量が減少基準値に達していないときに判定部から第2判定信号が出力されると、移動壁制御部は移動壁を移動させない。これにより、トナーの減少状態に応じた適切な移動壁の移動が可能となる。
【0012】
上記のトナー補給装置において、前記トナーは、磁性体を含有した磁性トナーであり、前記検知センサーは、前記収容空間内の磁界を検知し、前記磁界の強さが所定値以上であることを示す第1信号成分と、前記磁界の強さが前記所定値未満であることを示す第2信号成分とを含むパルス信号を、前記検知信号として出力する磁気センサーである。そして、前記判定部は、前記検知対象時間帯で前記検知センサーから出力される前記検知信号において、前記第2信号成分の出力回数が第1閾値以上である場合に前記第1判定信号を出力し、前記第2信号成分の出力回数が前記第1閾値未満である場合に前記第2判定信号を出力する。
【0013】
この態様では、判定部は、検知対象時間帯において検知センサーから出力された第2信号成分の出力回数を指標として、トナーの減少状態の判定結果を示す第1判定信号又は第2判定信号を出力することができる。
【0014】
上記のトナー補給装置において、前記判定部は、前記第1判定信号の出力後に前記検知対象時間帯で前記検知センサーから出力される前記検知信号において、前記第2信号成分の出力回数が前記第1閾値よりも大きな値を示す第2閾値以上である場合、前記収容空間内の前記トナーがエンプティ状態であると判定し、その判定結果を示す第3判定信号を出力する。
【0015】
この態様では、判定部は、検知対象時間帯において検知センサーから出力された第2信号成分の出力回数を指標として、コンテナ本体の収容空間内におけるトナーのエンプティ状態を判定することができる。
【0016】
上記のトナー補給装置において、前記トナーコンテナは、前記回転体の回転方向において前記撹拌パドルに対して所定の間隔を置いた位置に取り付けられ、前記検知センサーが検知可能な非磁性体からなる検知片を、更に含む。前記検知センサーは、前記検知片を検知すると特有信号を出力するものである。そして、前記判定部は、前記特有信号が前記検知センサーから出力されたタイミングを、前記検知対象時間帯の始点とする。
【0017】
磁気センサーからなる検知センサーは、非磁性体からなる検知片が検知領域を通過した場合に、一旦電圧レベルが0V(ゼロボルト)になった後、電圧レベルが急激に上昇するという特性を有している。この特性によって、検知片が検知領域を通過した場合には、検知片に特有の特有信号が検知センサーから出力される。この特有信号の出力タイミングを検知対象時間帯の始点とすることによって、撹拌パドルの検知領域に対する通過時間帯を正確に把握することができ、検知対象時間帯の正確な設定が可能となる。このため、判定部は、検知対象時間帯において検知センサーから出力された検知信号に基づいて、コンテナ本体の収容空間内におけるトナーの減少状態を、高精度に判定することができる。
【0018】
上記のトナー補給装置において、前記トナーコンテナは、前記回転体に取り付けられ、前記回転体の回転に伴って前記コンテナ本体における前記収容空間内の前記内周面に摺接しつつ、当該内周面を清掃する清掃部材を、更に含む。前記清掃部材は、前記回転体の回転方向に沿って延びる、可撓性を有するフィルム部材からなる。
【0019】
この態様では、検知センサーが対向配置される検知領域に対応した、コンテナ本体の内周面における特定領域を、清掃部材によって清掃することができる。これにより、検知センサーの検知精度の低下を可及的に防止することができる。
【0020】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体にトナーを供給する現像装置と、前記現像装置にトナーを補給する、上記のトナー補給装置と、を備える。
【0021】
この画像形成装置によれば、現像装置へのトナーの好適な補給が可能なトナー補給装置を備えている。このため、現像装置から像担持体に対して適切にトナーを供給することができる。この結果、画像形成装置は、適切な画像をシートに形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、現像装置に対するトナーの好適な補給を実現することができるトナー補給装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。
図2】画像形成装置の筐体の一部が開放された状態を示す斜視図である。
図3】画像形成装置の内部構造を模式的に示す断面図である。
図4】画像形成装置に備えられる現像装置の内部構造を模式的に示す平面図である。
図5】現像装置にトナーが補給される様子を説明するための図である。
図6】現像装置の斜視図である。
図7】トナー補給装置に備えられるトナーコンテナの斜視図である。
図8】トナーコンテナの平面図である。
図9】トナーコンテナの平面図である。
図10】トナーコンテナの分解斜視図である。
図11図8のトナーコンテナを切断面線XI-XIから見た断面図である。
図12】トナーコンテナの分解斜視図であり、ラチェット機構を示す図である。
図13】ラチェット機構の分解斜視図である。
図14】ラチェット機構の分解斜視図である。
図15】ラチェット機構の斜視図である。
図16】ラチェット機構の斜視図である。
図17図8の現像剤収容容器を切断面線XVII-XVIIから見た断面図である。
図18】トナーコンテナの回転体の斜視図である。
図19】トナー補給装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図20】トナーコンテナ内でのトナーの減少状態の様子を示す図である。
図21】第1環境下でのコンテナセンサーの出力信号を説明するための図である。
図22】第2環境下でのコンテナセンサーの出力信号を説明するための図である。
図23】トナー補給装置の制御動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るトナー補給装置及び画像形成装置について図面に基づいて説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の斜視図である。図3は、図1及び図2に示される画像形成装置1の内部構造を模式的に示す断面図である。図1乃至図3に示される画像形成装置1は、いわゆるモノクロプリンターであるが、他の実施形態において、画像形成装置1は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置1の原理を何ら限定するものではない。
【0025】
[画像形成装置の全体構成]
画像形成装置1は、シートPに画像を形成するための様々な装置を収容する筐体101を備える。筐体101は、筐体101の上面を規定する上壁102と、筐体101の底面を規定する底壁103(図3)と、上壁102と底壁103との間の本体後壁105(図3)と、本体後壁105の前方に位置する本体前壁104と、を含む。筐体101は、各種の装置が配置される本体内部空間107を備える。筐体101の本体内部空間107には、シートPが所定の搬送方向に搬送されるシート搬送路PPが延設されている。また、画像形成装置1は、筐体101に対して開閉自在に装着される開閉カバー100Cを備える。
【0026】
開閉カバー100Cは、本体前壁104の上方部分である前壁上方部104Bと、上壁102の前方部分である上壁前方部102Bとから構成される。また、開閉カバー100Cは、左右方向の両端部に配置された一対のアーム部108に配置される不図示のヒンジ軸を支点として、上下方向に開閉可能とされる(図2)。開閉カバー100Cの開状態において、本体内部空間107の上方が外部に開放される。一方、開閉カバー200Cの閉状態において、本体内部空間107の上方が、閉塞される。
【0027】
上壁102の中央部には、排紙部102Aが配置される。排紙部102Aは、上壁102の前方部分から後方部分にかけて、下方に傾斜した傾斜面からなる。排紙部102Aには、後記の画像形成部120において、画像が形成されたシートPが排出される。また、本体前壁104の上下方向の中央部には、手差しトレイ104Aが配置される。手差トレイ104Aは、下端を支点として、上下に回動可能である(図3の矢印DT)。
【0028】
図3を参照して、画像形成装置1は、シート搬送部10と、画像形成部120と、定着装置130とを備える。シート搬送部10は、カセット110から画像形成部120及び定着装置130を経由して排紙部102AへシートSを搬送するための機構である。シート搬送部10は、画像形成部120に対してシート搬送方向上流側に配置されるピックアップローラー112、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114、搬送ローラー115、及びレジストローラー対116と、定着装置130に対してシート搬送方向下流側に配置される搬送ローラー対133及び排出ローラー対134と、を含む。
【0029】
カセット110は、内部にシートPを収容する。カセット110は、リフト板111を備える。リフト板111は、シートPの先頭縁を押し上げるように傾斜する。カセット110は、筐体101に対して、前方に引き出し可能とされる。
【0030】
ピックアップローラー112は、リフト板111によって押し上げられたシートPの先頭縁上に配置される。ピックアップローラー112が回転すると、シートPはカセット110から引き出される。
【0031】
第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112の下流に配設され、シートPを更に下流に送り出す。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ104Aの支点の内側(後側)に配設され、手差トレイ104A上のシートPを筐体101内に引き込む。
【0032】
搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114のシート搬送方向の下流に配設される。搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114によって送り出されたシートPを更に下流へ搬送する。
【0033】
レジストローラー対116は、シートPの斜め搬送を矯正する機能を有する。これにより、シートP上に形成される画像の位置が調整される。レジストローラー対116は、画像形成部120による画像形成のタイミングに合わせて、シートPを画像形成部120に供給する。
【0034】
定着装置130による定着処理後のシートPは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、筐体101から排出される。筐体101から排出されたシートPは、排紙部102A上に積み重ねられる。
【0035】
画像形成部120は、感光体ドラム121(像担持体)と、帯電器122と、露光装置123と、現像装置20と、トナー補給装置3と、転写ローラー126と、クリーニング装置127とを備える。
【0036】
感光体ドラム121は、円筒形状を有する。感光体ドラム121は、静電潜像が形成される表面を有するとともに、前記表面に該静電潜像に応じたトナー像を担持する。帯電器122は、所定の電圧が印加され、感光体ドラム121の表面を略一様に帯電させる。
【0037】
露光装置123は、帯電器122によって帯電された感光体ドラム121の表面に、レーザー光を照射する。この結果、感光体ドラム121の表面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0038】
現像装置20は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の表面にトナーを供給する。トナー補給装置3は、現像装置20にトナーを補給する。現像装置20がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の表面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の表面に、トナー像が形成される。
【0039】
転写ローラー126は、感光体ドラム121の下方においてシート搬送路PPを挟んで感光体ドラム121に対向して配置される。転写ローラー126は、感光体ドラム121との間で転写ニップ部を形成し、トナー像をシートPに転写させる。
【0040】
クリーニング装置127は、シートPへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の表面に残るトナーを除去する。
【0041】
定着装置130は、画像形成部120よりもシート搬送方向下流側に配置され、シートP上のトナー像を定着させる。定着装置130は、シートP上のトナーを溶融させる加熱ローラー131と、シートPを加熱ローラー131に密着させる圧力ローラー132と、を備える。
【0042】
[現像装置について]
図4は、現像装置20の内部構造を示す平面図である。現像装置20は、一方向(現像ローラー21の軸方向、左右方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング210を備える。現像ハウジング210は、貯留空間220を有する。貯留空間220には、現像ローラー21と、第1撹拌スクリュー23及び第2撹拌スクリュー24と、トナー補給口25とが配設されている。本実施形態では、一成分現像方式が適用され、この貯留空間220には、磁性体を含有した磁性トナーが充填されている。トナーは、貯留空間220内において撹拌搬送され、静電潜像を現像するために、逐次現像ローラー21から感光体ドラム121に供給される。
【0043】
現像ローラー21は、現像ハウジング210の長手方向に延設される円筒形状を有し、外周に回転駆動されるスリーブ部分を有する。現像ハウジング210の貯留空間220は、不図示の天板によって覆われるとともに、左右方向に延びる仕切り板22によって、左右方向に長尺の第1搬送路221と第2搬送路222とに区画されている。仕切り板22は、現像ハウジング210の左右方向の幅よりも短く、仕切り板22の左端及び右端には、第1搬送路221と第2搬送路222とをそれぞれ連通させる第1連通路223及び第2連通路224が備えられている。これにより、貯留空間220には、第1搬送路221、第2連通路224、第2搬送路222及び第1連通路223に至る循環経路が形成される。トナーは、当該循環経路内を図4において反時計回りに搬送される。
【0044】
トナー補給口25は、現像ハウジング210の前記天板に開口された開口部であり、第1搬送路221の左端付近の上方に配置されている。トナー補給口25は、上記の循環経路に対向して配置され、トナー補給装置3におけるトナーコンテナ30のトナー排出口377(図4)から補給される補給トナーを貯留空間220に受け入れる機能を有する。
【0045】
第1撹拌スクリュー23は、第1搬送路221に配設されている。第1撹拌スクリュー23は、第1回転軸23aと、この第1回転軸23aの周上にスパイラル状に突設された第1螺旋羽根23bとを含む。第1撹拌スクリュー23は、第1回転軸23a回り(矢印r2)に回転駆動されることにより、図4の矢印D1方向にトナーを搬送する。第1撹拌スクリュー23は、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置を通過するようにトナーを搬送する。これにより、第1撹拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第2搬送路222側から第1搬送路221に搬入されたトナーとを混合しながら搬送する機能を有する。第1撹拌スクリュー23のトナー搬送方向(D1方向)下流側には、第1パドル23cが配設されている。第1パドル23cは、第1回転軸23aと共に回転され、図4の矢印D4方向に向かって、第1搬送路221から第2搬送路222に、トナーを受け渡す。
【0046】
第2撹拌スクリュー24は、第2搬送路222に配設されている。第2撹拌スクリュー24は、第2回転軸24aと、この第2回転軸24aの周上にスパイラル状に突設された第2螺旋羽根24bとを含む。第2撹拌スクリュー24は、第2回転軸24a回り(矢印r1)に回転駆動されることで、図4の矢印D2方向にトナーを搬送しながら、現像ローラー21にトナーを供給する。第2撹拌スクリュー24のトナー搬送方向(D2方向)下流側には、第2パドル24cが配設されている。第2パドル24cは、第2回転軸24aと共に回転され、図4の矢印D3方向に向かって、第2搬送路222から第1搬送路221に、トナーを受け渡す。
【0047】
トナー補給装置3は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に配置されるトナーコンテナ30を備える。トナーコンテナ30は、トナー排出口377(図4)を有する。トナー排出口377は、現像装置20のトナー補給口25に対応して、トナーコンテナ30の底部に配設されている。トナー排出口377から落下したトナーは、トナー補給口25から現像装置20に補給される。このトナー補給装置3の詳細については、後述する。
【0048】
次に、トナー補給口25から新たに補給されるトナーの流れについて、図5を参照して説明する。図5は、現像装置20に配設されたトナー補給口25及びトナーコンテナ30に配設されたトナー排出口377付近の断面図である。
【0049】
トナーコンテナ30のトナー排出口377から補給された補給トナーT2は、第1搬送路221に落下して既存のトナーT1と混合され、第1撹拌スクリュー23により矢印D1方向に搬送される。この際、トナーT1、T2は撹拌され、帯電される。
【0050】
第1撹拌スクリュー23は、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、部分的にトナーの搬送性能が抑制される抑制パドル28を備える。本実施形態では、抑制パドル28は、第1撹拌スクリュー23の隣接する第1螺旋羽根23b間に配置された板状部材である。抑制パドル28が第1回転軸23a回りに回転することにより、抑制パドル28よりも上流側から搬送されるトナーは滞留し始める。そして、これらのトナーの滞留は、抑制パドル28の直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置まで累積していく。この結果、トナー補給口25の入口付近には、トナーの滞留部29が形成される。なお、トナー補給口25が対向する領域には、第1螺旋羽根23bが配置されている(図4)。
【0051】
トナー補給口25から補給トナーT2が補給され、貯留空間220内のトナー量が増えると、この滞留部29で滞留するトナーがトナー補給口25を塞ぎ(封止し)、それ以上のトナーの補給を抑制する。また、第1螺旋羽根23bは、回転されることによって、トナー補給口25周辺の貯留空間220のトナーを上方に押し上げる。この結果、滞留部29によるトナー補給口25の封止作用が増大される。その後、貯留空間220内のトナーが現像ローラー21から消費され滞留部29で滞留するトナーが減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーが減り、滞留部29とトナー補給口25との間に隙間が生じる。この結果、再び補給トナーT2がトナー補給口25から貯留空間220に流入する。このように、本実施形態では、滞留部29に滞留するトナーの減少に伴って、補給トナー量の受入量が調整される体積補給型のトナー補給形式が採用される。このため、現像装置20の現像ハウジング210にトナー量を検出するセンサーを必ずしも備えずとも、現像装置20にトナーを補給することが可能となる。
【0052】
[トナーコンテナの現像装置に対する装着について]
トナー補給装置3のトナーコンテナ30は、筐体101内の現像装置20に対して着脱自在に装着される。図6及び図7は、それぞれ本実施形態に係る現像装置20及びトナーコンテナ30の斜視図である。
【0053】
トナーコンテナ30は、蓋部31と、コンテナ本体37と、カバー39と、コンテナシャッター30Sと、を備える(図7)。
【0054】
コンテナ本体37は、トナーコンテナ30の本体部分であって、内部にトナーを収容している。蓋部31は、コンテナ本体37の左端部を塞ぐ。カバー39は、コンテナ本体37の右端部に装着される。
【0055】
コンテナシャッター30Sは、コンテナ本体37に対してスライド移動可能に支持されている。コンテナシャッター30Sは、コンテナ本体37のトナー排出口377を封止および開放する機能を有する。コンテナシャッター30Sは、シャッター本体30S1と、シャッターロック部30S2と、ロック解除部30S3と、を有する。シャッター本体30S1は、コンテナシャッター30Sの本体部分であってトナー排出口377を封止および開放する機能を有する。シャッター本体30S1は、コンテナ本体37に対してスライド移動可能に支持されている。シャッターロック部30S2は、シャッター本体30S1に対して揺動可能に支持されている。シャッターロック部30S2は、コンテナ本体37に対するシャッター本体30S1のスライド移動を許容および規制する機能を有している。ロック解除部30S3は、シャッターロック部30S2に備えられた突片である。ロック解除部30S3が押圧されると、シャッターロック部30S2に備えられた不図示のロック片がコンテナ本体37に形成された係合部から脱離され、シャッター本体30S1のスライド移動が可能となる。
【0056】
図2を参照して、筐体101の開閉カバー100Cが上方に開放されると、現像装置20の現像ハウジング210に備えられたコンテナ装着部109が、筐体101の外部に露出する。図6を参照して、現像ハウジング210は、一対のハウジング左壁210L及びハウジング右壁210Rを備える。コンテナ装着部109は、ハウジング左壁210L及びハウジング右壁210Rの間に形成されている。本実施形態では、トナーコンテナ30はコンテナ装着部109に対して斜め上方から装着される(図6の矢印DC参照)。この際、トナーコンテナ30のカバー39がハウジング右壁210R側に配置され、トナーコンテナ30の蓋部31が、ハウジング左壁210L側に配置される。現像ハウジング210は、左ガイド溝201L及び右ガイド溝201Rを備える(図6)。
【0057】
左ガイド溝201L及び右ガイド溝201Rは、それぞれ、ハウジング左壁210L及びハウジング右壁210Rに形成された溝部である。左ガイド溝201L及び右ガイド溝201Rは、トナーコンテナ30のコンテナ装着部109への装着をガイドする。このため、左ガイド溝201L及び右ガイド溝201Rの入口側は、トナーコンテナ30の装着方向(図6の矢印DC方向)に沿って延びるように形成されている。一方、左ガイド溝201L及び右ガイド溝201Rの奥側は、第1ガイド部312(図7)及び第2ガイド部391(図7)の回転を許容するように、扇形形状に形成されている。
【0058】
更に、図6を参照して、現像装置20は、第1伝達ギア211と、第2伝達ギア212と、第3伝達ギア213と、を備える。また、詳細については後述するが、トナー補給装置3は、移動壁駆動部41と回転体駆動部42とを含むコンテナ駆動部40を備えている。第1伝達ギア211、第2伝達ギア212及び第3伝達ギア213は、ハウジング右壁210Rに回転可能に支持されたギアである。第1伝達ギア211は第2伝達ギア212に連結されている。また、第1伝達ギア211は不図示のギア群を介して、現像ローラー21、第1撹拌スクリュー23及び第2撹拌スクリュー24に連結されている。現像装置20が筐体101に装着されると、移動壁駆動部41の移動壁用駆動モーターM1が第3伝達ギア213に連結されるとともに、回転体駆動部42の回転体用駆動モーターM2が第1伝達ギア211に連結される。
【0059】
移動壁用駆動モーターM1は、第3伝達ギア213を介して、トナーコンテナ30の後記のシャフト33を回転させることにより、トナーコンテナ30の後記の移動壁32を移動させる。すなわち、第3伝達ギア213は、移動壁駆動部41の後記のシャフト駆動ギア382と係合し、シャフト駆動ギア382に移動壁用駆動モーターM1の駆動力を伝達する。回転体用駆動モーターM2は、第1伝達ギア211及び第2伝達ギア212を介して、トナーコンテナ30の後記の回転体35を回転させる。更に、回転体用駆動モーターM2は、第1伝達ギア211を介して、現像装置20の現像ローラー21、第1撹拌スクリュー23及び第2撹拌スクリュー24を回転させる。
【0060】
更に、現像ハウジング200は、ロック解除ボタン202と、前述のトナー補給口25(現像剤補給口)と、解除用突起部206と、一対のコンテナシャッター固定部207と、一対のシャッタースプリング208(付勢部材)と、ハウジングシャッター210Sと、を備える。
【0061】
ロック解除ボタン202は、ハウジング右壁210Rにスライド移動可能に支持された押圧ボタンである。ロック解除ボタン202は、コンテナ装着部109に装着されたトナーコンテナ30の姿勢をロックする機能、または、前記ロックを解除する機能を有する。ロック解除ボタン202は、ロック係合片202Sを備える。ロック係合片202Sは、ハウジング右壁210Rの前側部において、コンテナ装着部109側に突出するように形成された爪部である。更に、現像装置20は、不図示のロック付勢ばねを備える。ロック付勢ばねは、ハウジング右壁210Rの内部に配置され、ロック解除ボタン202を前方に向かって付勢するコイルばねである。ロック係合片202Sは、コンテナ装着部109に装着されたトナーコンテナ30の姿勢をロックする機能を有している。一方、ロック付勢ばねの付勢力に抗してロック解除ボタン202が押圧されると、ロック係合片202Sがトナーコンテナ30から離間し、トナーコンテナ30に対するロック機能が解除される。
【0062】
前述のトナー補給口25は、現像ハウジング200の天板に略矩形形状をもって開口された開口部である(図6)。トナー補給口25は、現像ハウジング200の内部に連通している。また、トナー補給口25は、コンテナ装着部109に装着されたトナーコンテナ30に対向して配置されている。トナーコンテナ30のトナー排出口377から排出されたトナーは、トナー補給口25から現像ハウジング200の内部に流入する。
【0063】
解除用突起部206は、トナー補給口25の後方に隣接して、現像ハウジング200の天板から突設された突起部である。解除用突起部206は、トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に装着された際に、トナーコンテナ30のコンテナシャッター30Sのロック解除部30S3(図7)を押圧する機能を有している。換言すれば、解除用突起部206は、コンテナシャッター30Sのスライド移動を許容する。
【0064】
一対のコンテナシャッター固定部207は、左右方向において、解除用突起部206を挟むように現像ハウジング200の天板から突設された突起部である。左右方向と交差する断面視において、コンテナシャッター固定部207は略台形形状に形成されている。また、コンテナシャッター固定部207のうち、前側の側面には、楔形状の切欠き部が形成されている。トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に装着された際に、当該切欠き部には、トナーコンテナ30のコンテナシャッター30Sの一部が係合する。この結果、コンテナシャッター固定部207は、コンテナシャッター30Sを固定し、コンテナシャッター30Sの移動(回動)を規制する。
【0065】
一対のシャッタースプリング208は、一対のコンテナシャッター固定部207の左右方向の外側に配置された一対のばね部材である。シャッタースプリング208は、前後方向に延びるように配置されている。一対のシャッタースプリング208の後端部は、現像ハウジング200の天板にそれぞれ係止されている。また、一対のシャッタースプリング208の前端部は、ハウジングシャッター210Sの左右両端部にそれぞれ係止されている。
【0066】
ハウジングシャッター210Sは、トナー補給口25に対してスライド移動可能に現像ハウジング200に支持されている。ハウジングシャッター210Sは、トナー補給口25を封止または開放する。
【0067】
前述の一対のシャッタースプリング208は、ハウジングシャッター210Sがトナー補給口25を封止する方向に、ハウジングシャッター210Sを付勢している。トナーコンテナ30が現像装置20から取り外されると、ハウジングシャッター210Sは一対のシャッタースプリング208の付勢力をうけてトナー補給口25を封止する。
【0068】
また、トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に装着されると、ハウジングシャッター210Sがトナーコンテナ30のコンテナ本体37を押圧可能である。このため、シャッタースプリング208は、ハウジングシャッター210Sを介して、コンテナ装着部109に装着されたトナーコンテナ30をハウジングシャッター210Sがトナー補給口25を塞ぐ方向に向かって付勢することとなる。
【0069】
[トナー補給装置について]
次に、トナー補給装置3について説明する。トナー補給装置3は、現像装置20にトナーを補給する装置である。トナー補給装置3は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に配置される既述のトナーコンテナ30を備えている。図7に加えて図8図11を参照して、トナーコンテナ30について説明する。図8及び図9は、トナーコンテナ30の平面図である。図10は、トナーコンテナ30の分解斜視図である。図11は、図8のトナーコンテナ30を切断面線XI-XIから見た断面図である。
【0070】
トナーコンテナ30は、左右方向(第1方向、図11の矢印DA方向)に延びる筒形状からなる。トナーコンテナ30は、内部に補給トナーを収容する。トナーコンテナ30は、前述の蓋部31、コンテナ本体37、カバー39に加え、移動壁32と、シャフト33と、押圧部材34と、回転体35と、回転体駆動ギア381と、シャフト駆動ギア382と、ラチェットギア383と、ラチェットシャフト384と、を備える。
【0071】
蓋部31は、コンテナ本体37に固定され、コンテナ本体37の開口部を封止する。蓋部31は、シャフト33の第2シャフト端部332(図11)を回転可能に軸支する。蓋部31は、第1ガイド部312を備える。第1ガイド部312は、蓋部31の左側の側面(外面部)において、上下方向に延びるように形成された突起部である。第1ガイド部312は、トナーコンテナ30が現像装置20に装着されることをガイドする機能を有する。
【0072】
コンテナ本体37は、筒形状からなるトナーコンテナ30の本体部分である。コンテナ本体37は、右壁375(図11)と突出壁376(後記の図12参照)とを含んで構成される。コンテナ本体37は、第1方向DAに沿って筒状に延びる内部空間37Hを画定する内周面37Kと、前記内部空間37Hに連通するように開口されトナーが排出される前記トナー排出口377とを有する。右壁375は、コンテナ本体37の第1方向DAの一端側(右端側)に配置され、コンテナ本体37の内部空間37Hを塞ぐ壁部である。なお、内部空間37Hは、コンテナ本体37によって形成される内周面37Kと、更に、右壁375及び蓋部31とよって画定される空間である。また、内部空間37Hのうち、右壁375と移動壁32との間の領域が、収容空間37Sとされる。収容空間37Sは、トナーコンテナ30の内部空間37Hにおいて、トナーが収容される空間である。
【0073】
図11に示すように、コンテナ本体37のうち右壁375の第1方向DAの反対側は開口されている。蓋部31が当該開口部に固定されると、蓋部31はコンテナ本体37の内部空間37Hを塞ぐ。なお、蓋部31の外周縁は、コンテナ本体37に超音波溶着される。
【0074】
後記の図12を参照して、突出壁376は、コンテナ本体37の外周面37Lが右壁375よりも右側に突出した部分である。突出壁376には、カバー39が装着される。カバー39は、回転体駆動ギア381及びシャフト駆動ギア382の周方向の一部を外部に露出させ、且つ、回転体駆動ギア381及びシャフト駆動ギア382の周方向の他の部分を覆う機能を有する。カバー39は、前述の第2ガイド部391(図11参照)と、コンテナ係合部392と、ギア用開口部39K(図7参照)とを備えている。
【0075】
第2ガイド部391は、カバー39の右側の側面において、上下方向に沿って右側に突設される突起部である。第2ガイド部391は、蓋部31の第1ガイド部312とともに、トナーコンテナ30が現像装置20に装着されることをガイドする機能を有する。コンテナ係合部392は、第2ガイド部391と間隔をおいて、カバー39の右側の側面に突設される突起部である。コンテナ係合部392には、ロック解除ボタン202のロック係合片202Sが係合可能とされる。
【0076】
ギア用開口部39Kは、カバー39の下面部が半円弧形状をもって開口された開口部である。カバー39がコンテナ本体37に装着されると、回転体駆動ギア381及びシャフト駆動ギア382のギア歯の一部がギア用開口部39Kを介してトナーコンテナ30の外側に露出する。この結果、トナーコンテナ30が現像装置20の現像ハウジング210に装着された際に、回転体駆動ギア381及びシャフト駆動ギア382がそれぞれ第2伝達ギア212及び第3伝達ギア213(図6)に係合される。
【0077】
また、コンテナ本体37は、前述のトナー排出口377と、本体軸受部37J(図11)と、を備える。トナー排出口377は、コンテナ本体37の右端部(第1方向DAの一端部)の下面部に、内部空間37Hに連通するように開口されている。換言すれば、トナー排出口377は、第1方向DAにおいて右壁375に隣接して配置されている。また、トナー排出口377は、第1方向DAに沿って所定の長さをもって、且つ、コンテナ本体37の下面部の円弧形状に沿って所定の幅をもって、矩形形状に開口されている。本実施形態では、トナー排出口377は、コンテナ本体37の下面部の下端部よりも周方向に沿って後側且つ上方にずれた位置に開口されている。トナー排出口377は、収容空間37Sから現像装置20に向かってトナーが排出されることを許容する。
【0078】
本体軸受部37J(図11)は、右壁375に形成された軸受である。本体軸受部37Jには、シャフト33が挿通される。この際、シャフト33の右端側(第1シャフト端部331)がコンテナ本体37の外側に突出する。
【0079】
シャフト33は、内部空間37Hにおいて第1方向DAに延びるように配置されている。シャフト33は、コンテナ本体37の右壁375及び蓋部31に回転可能に支持されている。シャフト33は、第1シャフト端部331と、第2シャフト端部332と、雄螺旋部333と、移動壁停止部334と、を備える。
【0080】
図11を参照して、第1シャフト端部331は、本体軸受部37Jを貫通して右側に突出したシャフト33の先端部である。第1シャフト端部331の周面には、一対のD面が形成されている(図12参照)。第1シャフト端部331には、後述のラチェット機構RCを構成するラチェットシャフト384が係合される。この結果、シャフト33とラチェットシャフト384とが一体回転可能とされる。第2シャフト端部332は、シャフト33の左端部である。第2シャフト端部332は、前述のように蓋部31に形成された軸穴に軸支される。
【0081】
雄螺旋部333は、内部空間37Hにおいてシャフト33の外周面に第1方向DAに沿って螺旋状に形成されたねじ部である。本実施形態では、雄螺旋部333は、図11に示すようにシャフト33のうち蓋部31に隣接する領域から、トナー排出口377よりも第1方向DA上流側の領域まで配置されている。
【0082】
移動壁停止部334は、雄螺旋部333の第1方向DA下流側に連続して配置されている。移動壁停止部334は、内部空間37H内のシャフト33において雄螺旋部333が部分的に欠落された軸部分のみの領域である。移動壁停止部334は、トナー排出口377の上方であって、トナー排出口377よりも第1方向DA上流側に位置している。
【0083】
移動壁32は、内部空間37内に配置される。移動壁32は、シャフト33に挿通され、シャフト33が第1方向DAに延びる軸回りの第1回転方向R1(図11参照)に回転することにより、当該シャフト33に沿って第1方向DAに移動する。これにより、移動壁32は、内部空間37H内のトナーをトナー排出口377に向けて搬送する。本実施形態では、移動壁32は、シャフト33の回転に伴って押圧部材34から駆動力を受ける。押圧部材34は、移動壁32の第1方向DA上流側に配置される。押圧部材34は、内部にシャフト33が挿通されることを許容する筒状部材であって、移動壁32を第1方向DAに押圧する機能を有する。押圧部材34の内周面には雌螺旋部34Jが形成されている。シャフト33の雄螺旋部333と押圧部材34の雌螺旋部34Jとの係合によって、押圧部材34が移動壁32を第1方向DAにトナー排出口377に向かって移動させる。
【0084】
移動壁32は、内部空間37Hにおいて、収容空間37Sの第1方向DAの一方の端面(左端面)を画定する。なお、収容空間37Sの第1方向DAの他方の端面(右端面)は、右壁375によって画定されている。また、移動壁32は、トナーコンテナ30の使用開始時から使用終了時までの間、収容空間37Sのトナーをトナー排出口377に向かって搬送しながら、第1方向DAの一端側の初期位置から他端側の最終位置まで、内部空間37H内を第1方向DAに移動する。移動壁32の初期位置は蓋部31の右側(第1方向DA下流側)に位置し、最終位置はトナー排出口377の直左側(第1方向DA上流側)に位置している。
【0085】
移動壁32は、壁プレート321と、シール部材322と、壁本体部323と、を備える。換言すれば、本実施形態では、移動壁32が3枚の板状部材から構成される。なお、壁プレート321、シール部材322及び壁本体部323の外周部は、互いに相似形状に形成される。すなわち、移動壁32の下端部は下方に向かって突出した円弧形状からなり、移動壁32の上端部は水平な平坦部からなり、移動壁32の両側部は、上記の円弧形状と平坦部とを接続する傾斜部からなる。
【0086】
壁プレート321は、移動壁32のうち最も第1方向DA下流側に配置される。壁プレート321は、樹脂成型によって成形される。壁プレート321の右側面は、搬送面320Sを構成する。搬送面320Sは、コンテナ本体37の内周面37Kとともにトナーが収容される収容空間37Sを画定する。また、搬送面320Sは、移動壁32の移動に伴って、収容空間37S内のトナーを押圧しながら搬送する。シール部材322は、移動壁32のうち第1方向DAの中央部であって、壁プレート321と壁本体部323とに挟まれる位置に配置される。シール部材322は、第1方向DAに所定の厚みを有するウレタン材料によって構成される。シール部材322の外周部は、移動壁32の外周面32Kを構成する(図11参照)。外周面32Kは、コンテナ本体37の内周面37Kに接触して配置され、圧縮変形する。壁本体部323は、壁プレート321及びシール部材322よりも第1方向DA上流側、すなわち、移動壁32のうち最も第1方向DA上流側に配置される。壁本体部323は、樹脂成型によって成形される。
【0087】
壁プレート321、シール部材322及び壁本体部323が一体とされると、シール部材322の外周部が最も径方向外側に配置される。この結果、シール部材322の外周部分(移動壁32の外周面32K)がコンテナ本体37の内周面37Kによって圧縮変形される。この結果、収容空間37Sのトナーが、コンテナ本体37の内周面37Kと移動壁32の外周面32Kとの間から、移動壁32よりも移動方向(第1方向DA)上流側に流出することが防止される。
【0088】
また、壁プレート321と壁本体部323との間にシール部材322が挟まれると、シール部材322のうちシャフト33が挿通される周辺部分が潰れることにより、シャフト33の外周面に周方向全体に亘って密着するようにシャフトシール部が形成される。当該シャフトシール部は、押圧部材34の雌螺旋部34Jよりも第1方向DA上流側に配置される(図11参照)。従って、シャフトシール部は、雌螺旋部34Jよりも先にシャフト33の雄螺旋部333に接触し、雄螺旋部333に付着したトナーを清掃する。また、シャフトシール部はシャフト33を囲むようにリング形状となるため、シャフト33の周方向全体に亘ってシャフト33に密着する。このため、収容空間37Sのトナーが移動壁32の軸受部分を通って移動壁32よりも移動方向(第1方向DA)上流側に流出することが防止される。
【0089】
次に、図10及び図11に加えて、図12図16を参照して、トナーコンテナ30に備えられるラチェット機構RCについて説明する。図12は、トナーコンテナ30の分解斜視図である。図13及び図14は、トナーコンテナ30のラチェット機構RCの分解斜視図である。図15及び図16は、トナーコンテナ30のラチェット機構RCの斜視図である。本実施形態では、シャフト駆動ギア382、ラチェットギア383及びラチェットシャフト384が、シャフト33に対して回転駆動力を伝達するラチェット機構RCを備えている。ラチェット機構RCは、コンテナ駆動部40の移動壁駆動部41(図6)の一部を構成する。
【0090】
シャフト駆動ギア382は、移動壁駆動部41の一部を構成する。シャフト駆動ギア382は、シャフト33の第1シャフト端部331に連結され、移動壁用駆動モーターM1(図6)の駆動力をシャフト33に伝達する。シャフト駆動ギア382は、シャフト33と同軸上に配置されている。シャフト駆動ギア382は、第3伝達ギア213を介して移動壁用駆動モーターM1に連結される。シャフト駆動ギア382は、移動壁用駆動モーターM1が発生する駆動力によって回転されることによりシャフト33を回転させることが可能とされている。図11に示すように、シャフト33の右端部は、回転体35を貫通するように配置されている。そして、シャフト駆動ギア382は、ラチェットギア383及びラチェットシャフト384を介してシャフト33の第1シャフト端部331に連結(固定)されている。
【0091】
図13及び図14を参照して、シャフト駆動ギア382は、円筒部382Sと、円筒部382Sに接続される円板状のギア部382Tと、を有する。ギア部382Tの外周部には、不図示のギア歯が形成されている。円筒部382Sの内部には、ラチェットシャフト384の軸部384Tが挿通可能とされる。円筒部382Sは、ラチェットシャフト384の軸方向(シャフト33の軸方向)に延びる係合部382Aを有する。
【0092】
ラチェットギア383は、円筒形状を有し、内部にラチェットシャフト384の軸部384Tが挿通可能とされる。ラチェットギア383は、軸方向においてシャフト33とシャフト駆動ギア382との間に配置され、シャフト33の軸回りに回転可能とされる。ラチェットギア383は、ラチェットシャフト384の軸方向に延びる係合部383Aと、周方向において係合部383Aに対向する傾斜部383Bと、を有する。また、ラチェットギア383は、係合部383A及び傾斜部383Bとは軸方向の反対側に配置され、ラチェットシャフト384の軸方向に延びる係合部383Cと、周方向において係合部383Cに対向する傾斜部383Dと、を有する。
【0093】
更に、ラチェットシャフト384は、軸方向においてシャフト駆動ギア382とシャフト33との間に配置され、シャフト33と一体回転可能とされている。ラチェットシャフト384は、基端部384Sと、軸部384Tと、を有する。基端部384Sは、略円筒形状に形成されている。基端部384Sの円筒内部は、一対のD面形状を有する。基端部384Sの内部には、シャフト33の第1シャフト端部331(図12参照)が挿入、係合される。この結果、シャフト33とラチェットシャフト384とが一体回転可能とされる。軸部384Tは、基端部384Sから軸方向に延びている。軸部384Tの外径は、基端部384Sの外径よりも小さい。基端部384Sのうち軸部384T側の端部には、ラチェットシャフト384の軸方向に延びる係合部384Aと、周方向において係合部384Aに対向する傾斜部384Bと、が備えられている。
【0094】
図15及び図16に示すように、ラチェットシャフト384にラチェットギア383が外嵌された後、ラチェットシャフト384にシャフト駆動ギア382の円筒部382Sが外嵌される。この結果、ラチェットシャフト384回りの周方向において、係合部382Aが係合部383Cに対向して配置されるとともに、係合部383Aに係合部384Aが対向して配置される。シャフト駆動ギア382が第1回転方向DG1(図15参照)に回転されると、係合部382Aが傾斜部383Dに沿って移動しラチェットギア383を基端部384S側に軸方向に押圧する。やがて、係合部382Aが係合部383Cに当接し係合部383Cを第1回転方向DG1に押圧する。また、係合部383Aが係合部384Aに当接し係合部384Aを第1回転方向DG1に押圧する。この結果、ラチェットシャフト384に連結されたシャフト33が第1回転方向R1(図11参照)に回転する。すなわち、押圧部材34及び移動壁32が第1方向DAに移動する。なお、シャフト駆動ギア382における第1回転方向DG1と、シャフト33における第1回転方向R1とは、同方向である。
【0095】
一方、シャフト駆動ギア382が第1回転方向DG1とは逆の第2回転方向DG2(図16参照)に回転されると、係合部382Aが周方向において係合部383Cから離間して配置される。また、第2コンテナギア382の係合部382Bが、ラチェットギア383の係合部383Eを第2回転方向DG2に押圧する。この結果、ラチェットギア383が第2回転方向DG2に回転する。この際、ラチェットシャフト384はラチェットギア383を軸部384T側に押圧することがないため、ラチェットギア383とラチェットシャフト384(係合部384A)との係合が解除され、ラチェットギア383が第2回転方向DG2に空転する。この結果、ラチェットシャフト384には第2回転方向DG2への回転力が伝達されず、結果として、シャフト33が第2回転方向R2(図11参照)に回転することがない。すなわち、シャフト駆動ギア382の第2回転方向DG2への回転に伴って、押圧部材34及び移動壁32が第1方向DAに移動することが抑止される。また、シャフト33が第2回転方向R2に回転することがないため、押圧部材34が移動壁32に対して第1方向DA上流側に相対移動することがない。したがって、トナーコンテナ30が現像装置20から取り外された際に、ユーザーが誤ってシャフト駆動ギア382を第2回転方向R2に回転させた場合であっても、移動壁32が第1方向DA上流側に移動することが防止される。
【0096】
このように、本実施形態では、シャフト駆動ギア382、ラチェットギア383及びラチェットシャフト384から構成されるラチェット機構RCは、シャフト駆動ギア382の第1回転方向DG1への回転駆動力をシャフト33に伝達するとともに、シャフト駆動ギア382の第2回転方向DG2への回転駆動力がシャフト33に伝達されることを規制する。
【0097】
次に、図10及び図11に加えて、図17及び図18を参照して、トナーコンテナ30に備えられる回転体35について説明する。図17は、図8のトナーコンテナ30を切断面線XVII-XVIIから見た断面図である。図18は、回転体35の斜視図である。
【0098】
回転体35は、コンテナ本体37の収容空間37S内において、トナー排出口377に近設され、第1方向DAに沿った軸心回りに回転可能に構成される。本実施形態では、回転体35は、収容空間37S内において、第1方向DAに延びるシャフト33回りに回転する。回転体35は、トナー排出口377の上方において、右壁375に沿って配置される。回転体35は、プレート部35Aと、撹拌パドル35Bと、回転体軸受部35Cと、第1支持突片35Dと、第2支持突片35Eとを備える。
【0099】
プレート部35Aは、円板状の部材の外周端の一部が円弧状に切り欠かれて切欠き部35AAが形成された板状部材であり、シャフト33回りに回転可能とされる。プレート部35Aは、シャフト33の第1シャフト端部331に挿通され、一対の抜け止め部材35Fによってシャフト33に対して抜け止めされている。
【0100】
撹拌パドル35Bは、プレート部35Aに取り付けられるパドルである。撹拌パドル35Bは、プレート部35Aから第1方向DA上流側に向かって、すなわち、移動壁32に向かって延びるように、プレート35Aに取り付けられている。撹拌パドル35Bは、プレート部35Aの回転に伴ってトナー排出口377の上方をシャフト33回りに周回する。これにより、撹拌パドル35Bは、収容空間37S内のトナーを撹拌する。トナー排出口377の周辺のトナーが撹拌パドル35Bによって撹拌されるので、トナー排出口377からのトナーの安定した排出が可能となる。
【0101】
回転体軸受部35Cは、プレート部35Aから右方に延びる円筒部であり、内部にシャフト33を収容する。また、回転体受部35Cの先端部は、回転体駆動ギア381と係合可能とされる。
【0102】
第1支持突片35Dは、プレート部35Aから第1方向DA上流側に向かって、すなわち、移動壁32に向かって延びる突片である。第1支持突片35Dは、プレート部35Aにおいて、撹拌パドル35Bに対して回転体35の回転方向RRに間隔を置いて配置されている。この第1支持突片35Dに清掃部材361が取り付けられている。清掃部材361は、回転体35の回転方向RRに沿って延びる、可撓性を有するフィルム部材からなる。清掃部材361は、電気絶縁性を有する材料(例えばポリエチレンテレフタレート、PET)からなる。清掃部材361は、回転体35(プレート部35A)の回転に伴ってトナー排出口377の上方をシャフト33回りに周回する。清掃部材361は、回転体35の回転の際にコンテナ本体37の内周面37Kに摺接しつつ当該内周面37Kの特定領域37K1(図9参照)に付着したトナーを掻き落として清掃する。なお、コンテナ本体37の内周面37Kにおいて、清掃部材361が清掃する対象となる前記特定領域37K1は、後述のコンテナセンサー3S(検知センサー)が対向する領域となる。コンテナセンサー3Sが対向配置される検知領域37L1に対応した、コンテナ本体37の内周面37Kにおける特定領域37K1を、清掃部材361によって清掃することができる。これにより、コンテナセンサー3Sの検知精度の低下を可及的に防止することができる。また、清掃部材361は、収容空間37S内のトナーをトナー排出口377から送り出す機能も有する。
【0103】
第2支持突片35Eは、プレート部35Aから第1方向DA上流側に向かって、すなわち、移動壁32に向かって延びる突片である。第2支持突片35Eは、プレート部35Aにおいて、撹拌パドル35B及び第1支持突片35Dに対して回転体35の回転方向RRに間隔を置いて配置されている。第2支持突片35Eは、プレート部35Aの回転に伴ってトナー排出口377及び特定領域37K1の上方をシャフト33回りに周回する。この第2支持突片35Eの外面に検知片362が取り付けられている。検知片362は、コンテナセンサー3Sが検知可能であって、例えば銅などの非磁性体(反磁性体)からなる。詳細については後述するが、検知片362は、トナーコンテナ30の現像装置20に対する装着を検出するときに用いられる。
【0104】
回転体駆動ギア381は、コンテナ駆動部40の回転体駆動部42(図6)の一部を構成する。回転体駆動ギア381は、回転体用駆動モーターM2(図6)の駆動力を回転体35に伝達する。回転体駆動ギア381は、現像装置20の第1伝達ギア211及び第2伝達ギア212を介して回転体用駆動モーターM2に連結される。本実施形態では、回転体駆動ギア381は、現像装置20の現像ローラー21、第1撹拌スクリュー23及び第2撹拌スクリュー24と同期して回転駆動される。回転体駆動ギア381は、本体軸受部37Jを貫通した回転体35の回転体軸受部35Cの先端に連結される。この結果、回転体駆動ギア381と回転体35とが一体的に回転する。
【0105】
また、トナー補給装置3は、図17に示すように、コンテナセンサー3Sを備える。コンテナセンサー3Sは、コンテナ本体37の内周面37Kにおける特定領域37K1に対して、コンテナ本体37の外側から対向するように配置された検知センサーである。換言すると、コンテナセンサー3Sは、コンテナ本体37の外周面37Lにおける、前記特定領域37K1に対応した検知領域37L1(図9図10及び図17参照)に対向するように、配置されている。コンテナ本体37の内周面37Kにおいて、特定領域37K1は、周方向においてトナー排出口377の上方側であって、且つ、上下方向においてシャフト33の軸線と略同一の高さ位置に設定されている。
【0106】
コンテナセンサー3Sは、コンテナ本体37の収容空間37Sに収容されたトナーを検知可能である。本実施形態では、トナーが磁性体を含有する磁性トナーであることに対し、コンテナセンサー3Sは、磁気センサー(透磁率センサー)である。コンテナセンサー3Sは、検知素子3S1と変換回路部3S2とを含む。検知素子3S1は、コンテナ本体37の収容空間37S内における磁界を検知し、その磁界に応じた電圧レベルのアナログ信号を出力する。変換回路部3S2は、検知素子3S1から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、トナーの有無を示す検知信号を出力する。より詳しくは、変換回路部3S2は、磁界の強さが所定値以上であることを示す第1信号成分と、磁界の強さが前記所定値未満であることを示す第2信号成分とを含むパルス信号を前記検知信号として出力する。前記第1信号成分と前記第2信号成分とは、磁界の強さに応じて電圧レベルが異なる。前記第1信号成分と前記第2信号成分との間で、何れの電圧レベルが高く設定されていてもよい。以下の説明では、前記第1信号成分の電圧レベルが前記第2信号成分の電圧レベルよりも高く設定されていることとし、前記第1信号成分を「High信号」と称し、前記第2信号成分を「Low信号」と称することとする。
【0107】
コンテナセンサー3Sは、コンテナ本体37の収容空間37Sに収容されたトナー(磁性トナー)を検知すると、検知される磁界が大きくなるような特性を有している。このため、コンテナセンサー3S(変換回路部3S2)からHigh信号が出力された場合、トナーが検知されたことを表すことになる。一方、コンテナセンサー3SからLow信号が出力された場合、トナーが検知されていないことを表すことになる。
【0108】
本実施形態のトナー補給装置3では、コンテナセンサー3Sから出力される検知信号に基づいて、トナーコンテナ30の移動壁32の移動動作が制御され、現像装置20に対するトナー補給の制御が実行される。トナー補給装置3における現像装置20に対するトナー補給制御の詳細については、後述する。
【0109】
[トナー補給装置の制御系について]
次に、トナー補給装置3の制御系について、図19のブロック図を参照して説明する。トナー補給装置3は、既述のコンテナセンサー3S及びトナーコンテナ30に加えて、コンテナ駆動部40と制御部50とを備えている。
【0110】
コンテナ駆動部40は、移動壁駆動部41と回転体駆動部42とを含む。移動壁駆動部41は、既述のシャフト駆動ギア382及びラチェット機構RCに加えて、移動壁用駆動モーターM1と移動壁用駆動回路M11とを含む。移動壁用駆動モーターM1は、トナーコンテナ30のシャフト33を回転させる駆動力を発する駆動モーターである。移動壁用駆動モーターM1が発する駆動力は、第3伝達ギア213、シャフト駆動ギア382及びラチェット機構RCを介してシャフト33に伝達される。これにより、シャフト33が第1回転方向R1に回転する。移動壁32は、シャフト33が第1回転方向R1に回転することにより、当該シャフト33に沿って第1方向DAに移動する。移動壁用駆動回路M11は、移動壁用駆動モーターM1の駆動を制御する駆動回路であり、制御部50とデータ通信可能に接続されている。
【0111】
回転体駆動部42は、既述の回転体駆動ギア381に加えて、回転体用駆動モーターM2と回転体用駆動回路M21とを含む。回転体用駆動モーターM2は、トナーコンテナ30の回転体35を回転させる駆動力を発する駆動モーターである。回転体用駆動モーターM2が発する駆動力は、第1伝達ギア211、第2伝達ギア212及び回転体駆動ギア381を介して回転体35に伝達される。これにより、回転体35がシャフト33回りに回転する。回転体用駆動回路M21は、回転体用駆動モーターM2の駆動を制御する駆動回路であり、制御部50とデータ通信可能に接続されている。なお、回転体用駆動モーターM2が発する駆動力は、第1伝達ギア211を介して現像装置20の現像ローラー21、第1撹拌スクリュー23及び第2撹拌スクリュー24にも伝達される。これにより、現像装置20の現像ローラー21、第1撹拌スクリュー23及び第2撹拌スクリュー24が回転する。
【0112】
制御部50は、CPUやメモリ等で構成されたコンピュータであり、トナー補給装置3の動作を統括的に制御する。制御部50は、判定部51と、移動壁制御部52と、回転体制御部53と、装着検出部54とを含む。
【0113】
回転体制御部53は、回転体用駆動回路M21とデータ通信可能に接続され、回転体用駆動モーターM2の駆動制御に関する制御信号を回転体用駆動回路M21に送信する。回転体用駆動回路M21は、回転体制御部53から送信された制御信号を受信すると、その制御信号に応じて回転体用駆動モーターM2の駆動を制御する。
【0114】
ここで、回転体用駆動モーターM2の駆動によって回転体35が回転すると、コンテナセンサー3Sから前記検知信号が出力される。より詳しくは、コンテナセンサー3Sにおいて、検知素子3S1は、コンテナ本体37の収容空間37S内における磁界に応じた電圧レベルのアナログ信号を出力する。そして、変換回路部3S2は、前記アナログ信号をデジタル信号に変換し、High信号とLow信号とを含むパルス信号からなる前記検知信号を出力する。このコンテナセンサー3Sの出力信号について、図20図22を参照して説明する。図20は、コンテナ本体37の収容空間37S内でのトナーの減少状態の様子を示す図である。図21は、第1環境下でのコンテナセンサー3Sの出力信号を説明するための図である。図22は、第2環境下でのコンテナセンサー3Sの出力信号を説明するための図である。なお、第1環境は、例えば温度が10℃で湿度が10%RHなどの、低温低湿環境である。第2環境は、例えば温度が25℃で湿度が40~50%RHなどの、常温常湿環境である。
【0115】
コンテナセンサー3Sにおいて、検知素子3S1は、収容空間37S内における磁界に応じた電圧レベルのアナログ信号ASGを出力する。コンテナセンサー3Sにおいて、変換回路部3S2は、前記アナログ信号ASGをデジタル信号に変換し、High信号及びLow信号を含む検知信号DSGを出力する。すなわち、コンテナセンサー3Sは、回転体35の1回転を1周期TWM(例えば約4sec)とし、当該1周期TWMの間に所定の時間間隔(例えば49msec)で、収容空間37Sにおける磁界の変化に応じて、High信号及びLow信号を含む検知信号DSGを出力する。
【0116】
トナー排出口377からのトナーの排出に応じて、収容空間37S内でのトナーの減少量が所定の減少基準値に達した場合を想定する。この場合、図20(A)に示すように、収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の下方に位置する状態となっている。この状態でのコンテナセンサー3Sの検知信号DSGについて、図21及び図22を参照して説明する。
【0117】
まず、回転体35の回転の際に検知片362が、コンテナ本体37の検知領域37L1に対応した特定領域37K1を通過する時間帯TW1,TW7を想定する。図21及び図22の例では、時間帯TW1は時刻TS1から時刻TS2までの時間帯であり、時間帯TW7は時刻TS7から時刻TS8までの時間帯である。これらの時間帯TW1,TW7では、コンテナセンサー3Sは、Low信号で表される特有信号PSGを含むHigh信号を検知信号DSGとして出力する。磁気センサーからなるコンテナセンサー3Sは、非磁性体からなる検知片362を検知すると特有信号PSGを出力するものである。具体的には、コンテナセンサー3Sは、検知片362が検知領域37L1に対応した特定領域37K1を通過した場合に、一旦電圧レベルが0V(ゼロボルト)になった後、電圧レベルが急激に上昇するという特性を有している。この特性によって、コンテナセンサー3Sは、検知片362が特定領域37K1を通過した場合には、検知片362に特有の特有信号PSGとHigh信号とを出力する。
【0118】
次に、回転体35の回転方向RRにおいて検知片362と撹拌パドル35Bとの間の領域が特定領域37K1を通過する時間帯TW2を想定する。図21及び図22の例では、時間帯TW2は、時刻TS2から時刻TS3までの時間帯である。この時間帯TW2では、コンテナセンサー3Sは、Low信号を検知信号DSGとして出力する。収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の下方に位置する場合、回転体35における検知片362と撹拌パドル35Bとの間の領域にはトナーが存在しない。このため、収容空間37S内における磁界の強さが所定値未満となるから、コンテナセンサー3SはLow信号を出力する。
【0119】
次に、回転体35の回転の際に撹拌パドル35Bが特定領域37K1を通過する時間帯TW3を想定する。図21及び図22の例では、時間帯TW3は、時刻TS3から時刻TS4までの時間帯である。この時間帯TW3では、コンテナセンサー3Sは、High信号とLow信号とを検知信号DSGとして出力する。撹拌パドル35Bは、回転体35の回転に応じて収容空間37S内のトナーを撹拌する。トナーの撹拌によって収容空間37S内における磁界の強さが所定値以上となったり、所定値未満となったりするから、コンテナセンサー3SはHigh信号とLow信号とを出力する。
【0120】
次に、回転体35の回転方向RRにおいて撹拌パドル35Bと清掃部材361との間の領域(切欠き部35AA)が特定領域37K1を通過する時間帯TW4を想定する。図21及び図22の例では、時間帯TW4は、時刻TS4から時刻TS5までの時間帯である。この時間帯TW4では、コンテナセンサー3Sは、Low信号を検知信号DSGとして出力する。収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の下方に位置する場合、回転体35における撹拌パドル35Bと清掃部材361との間の領域にはトナーが存在しない。このため、収容空間37S内における磁界の強さが所定値未満となるから、コンテナセンサー3SはLow信号を出力する。
【0121】
次に、回転体35の回転の際に清掃部材361が特定領域37K1を通過する時間帯TW5を想定する。図21及び図22の例では、時間帯TW5は、時刻TS5から時刻TS6までの時間帯である。この時間帯TW5では、コンテナセンサー3Sは、High信号を検知信号DSGとして出力する。清掃部材361には、トナーが付着している。このため、コンテナセンサー3Sは、清掃部材361に付着したトナーに起因する所定値以上の強さの磁界を検知し、High信号を出力する。
【0122】
次に、回転体35の回転方向RRにおいて清掃部材361と検知片362との間の領域が特定領域37K1を通過する時間帯TW6を想定する。図21及び図22の例では、時間帯TW6は、時刻TS6から時刻TS7までの時間帯である。この時間帯TW6では、コンテナセンサー3Sは、Low信号を検知信号DSGとして出力する。収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の下方に位置する場合、回転体35における清掃部材361と検知片362との間の領域にはトナーが存在しない。このため、収容空間37S内における磁界の強さが所定値未満となるから、コンテナセンサー3SはLow信号を出力する。
【0123】
ここで、温湿度などの環境によって、トナーの凝集性や流動性などの、トナーの性状が変化する。トナーの性状が変化すると、撹拌パドル35Bによって撹拌されたときのトナーの振る舞いが変化する。このため、図21図22との比較から明らかなように、撹拌パドル35Bが特定領域37K1を通過する時間帯TW3でコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGは、温湿度環境によって相違している。回転体35が1回転する1周期TWMの間において、時間帯TW3を除外したその他の時間帯TW2,TW4,TW5,TW6,TW7で表される検知対象時間帯TWWでは、コンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGに、温湿度環境に起因した差異はない。
【0124】
次に、収容空間37S内でのトナーの減少量が所定の減少基準値に達していない場合を想定する。この場合、図20(B)に示すように、収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の上方に位置する状態となっている。この状態では、コンテナセンサー3Sは、回転体35が1回転する1周期TWMの間において、特定領域37K1の周辺に存在するトナーに起因した所定値以上の強さの磁界を検知し、High信号を検知信号DSGとして出力する。
【0125】
コンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGは、後記の判定部51が収容空間37S内でのトナーの減少状態を判定する際に利用される。
【0126】
装着検出部54は、コンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGに基づいて、トナーコンテナ30の現像装置20に対する装着を検出する。具体的には、装着検出部54は、コンテナセンサー3Sから複数のHigh信号が連続して出力された場合、例えばHigh信号が3回連続して出力された場合に、トナーコンテナ30の現像装置20に対する装着を検出する。一方、回転体35が1回転する1周期TWMの間において、コンテナセンサー3Sから複数のHigh信号が連続して出力されなかった場合には、装着検出部54は、現像装置20に対してトナーコンテナ30が装着されていないと判定する。装着検出部54は、トナーコンテナ30が現像装置20に対して未装着であることを判定した場合に、その未装着を示すメッセージ情報を発信するように構成されていてもよい。画像形成装置1のユーザーは、装着検出部54から発信されたメッセージ情報によって、現像装置20に対してトナーコンテナ30が装着されていないことを確認することができる。
【0127】
判定部51は、コンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGに基づいて、収容空間37S内でのトナーの減少状態を判定する。判定部51は、検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGに基づいて、収容空間37S内でのトナーの減少状態を判定する。既述の通り、前記検知対象時間帯TWWは、回転体35が1回転する1周期TWMの間において、撹拌パドル35Bが特定領域37K1を通過する時間帯TW3を除外した時間帯である。
【0128】
温湿度などの環境によってトナーの性状が変化し、撹拌パドル35Bによって撹拌されたときのトナーの振る舞いが変化する場合を想定する。このような場合であっても、検知対象時間帯TWWからは、撹拌パドル35Bの特定領域37K1に対する通過時間帯が除外されているので、判定部51は、収容空間37S内におけるトナーの減少状態を、高精度に判定することができる。このため、トナーの減少状態に応じた適切な移動壁32の移動が可能となる。従って、トナーコンテナ30から現像装置20へのトナーの好適な補給が実現される。なお、判定部51の判定動作の詳細については後述する。
【0129】
移動壁制御部52は、移動壁用駆動回路M11とデータ通信可能に接続されている。移動壁制御部52は、判定部51の判定結果に基づいて、移動壁用駆動モーターM1の駆動制御に関する制御信号を移動壁用駆動回路M11に送信する。移動壁用駆動回路M11は、移動壁制御部52から送信された制御信号を受信すると、その制御信号に応じて移動壁用駆動モーターM1の駆動を制御する。移動壁制御部52の移動壁用駆動回路M11に対する制御信号の送信に関する詳細については、後述する。
【0130】
移動壁制御部52は、判定部51の判定結果に基づいて、トナーコンテナ30の移動壁32の移動を制御することにより、トナーコンテナ30から現像装置20へのトナーの補給に関する制御であるトナー補給制御を実行する。また、移動壁制御部52は、判定部51の判定結果に基づいて、トナーコンテナ30の移動壁32の移動を制御することにより、収容空間37Sに収容されるトナーがエンプティ状態になった場合の制御であるトナーエンプティ制御を実行する。
【0131】
移動壁制御部52が実行するトナー補給制御及びトナーエンプティ制御について、図23を参照して説明すると、以下の通りである。図23は、トナー補給装置3の制御動作を説明するための図である。
【0132】
<トナー補給制御について>
蓋部31の第1ガイド部312及びカバー39の第2ガイド部391が、現像装置20の一対の左ガイド溝201L及び右ガイド溝201Rにガイドされながら、トナーコンテナ30がユーザーによってコンテナ装着部109に装着される(図6及び図7参照)。トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に装着される際、コンテナシャッター30Sが移動され、トナー排出口377が開放される。この結果、トナー排出口377がトナー補給口25の上方に対向して配置される(図4及び図5参照)。
【0133】
既述の通り、本実施形態では、図5に示すように体積補給型のトナー補給形式が採用されている。このため、現像装置20側の滞留部29(図5)がトナー補給口25を下方から封止している場合、トナーコンテナ30から補給トナーは落下しない。
【0134】
画像形成装置1の画像形成動作が開始されると、回転体制御部53が回転体用駆動回路M21に制御信号を送信する。これにより、回転体用駆動モーターM2の駆動が開始される(図23の時刻T1)。回転体用駆動モーターM2が駆動すると、トナーコンテナ30の回転体35がシャフト33回りに回転する。更に、回転体用駆動モーターM2が駆動すると、現像装置20の現像ローラー21から感光体ドラム121にトナーが供給される。
【0135】
また、判定部51は、回転体35が1回転する1周期TWMの間における検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGに基づいて、収容空間37S内でのトナーの減少状態を判定する。判定部51は、収容空間37S内でのトナーの減少量が所定の減少基準値に達したと判定した場合に第1判定信号JS1を出力し、トナーの減少量が前記減少基準値に達していないと判定した場合に第2判定信号JS2を出力する。より詳しくは、判定部51は、検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGにおいて、Low信号の出力回数が第1閾値K1以上である場合に第1判定信号JS1を出力する。一方、Low信号の出力回数が前記第1閾値K1未満である場合、判定部51は、第2判定信号JS2を出力する。判定部51は、検知対象時間帯TWWにおいてコンテナセンサー3Sから出力されたLow信号の出力回数を指標として、トナーの減少状態の判定結果を示す第1判定信号JS1又は第2判定信号JS2を出力することができる。
【0136】
また、判定部51は、検知片362に特有の特有信号PSGがコンテナセンサー3Sから出力されたタイミングを、検知対象時間帯TWWの始点とする。既述の通り、検知片362が特定領域37K1を通過した場合には、検知片362に特有の特有信号PSGがコンテナセンサー3Sから出力される。この特有信号PSGの出力タイミングを検知対象時間帯TWWの始点とすることによって、撹拌パドル35Bの特定領域37K1に対する通過時間帯TW3を正確に把握することができ、検知対象時間帯TWWの正確な設定が可能となる。このため、判定部51は、検知対象時間帯TWWにおいてコンテナセンサー3Sから出力された検知信号DSGに基づいて、収容空間37S内におけるトナーの減少状態を、高精度に判定することができる。
【0137】
図23に示す例では、判定部51は、時刻T2において第2判定信号JS2を出力する。判定部51から第2判定信号JS2が出力された場合、移動壁制御部52は、移動壁用駆動モーターM1の駆動制御を不許可とする制御信号を示す駆動不許可信号CS2を、移動壁用駆動回路M11に送信する。移動壁用駆動回路M11は、移動壁制御部52から送信された駆動不許可信号CS2を受信すると、移動壁用駆動モーターM1を駆動させない。このため、移動壁32は、移動しない。すなわち、移動壁制御部52は、判定部51から第2判定信号JS2が出力された場合には、駆動不許可信号CS2を送信することにより、移動壁32を移動させない。
【0138】
回転体用駆動モーターM2の駆動が継続し、現像装置20の現像ローラー21から感光体ドラム121にトナーが供給され続けると、現像装置20側の滞留部29のトナーが減少する。このため、収容空間37S内に収容されるトナーが、トナー排出口377からトナー補給口25を介して現像装置20に流入する。このとき、回転体用駆動モーターM2の駆動によって回転体35が回転している。この結果、回転体35に設けられた撹拌パドル35Bがトナー排出口377の上方をシャフト33回りに周回するため、トナー排出口377の上方のトナーが安定して撹拌される。これにより、収容空間37S内におけるトナーの流動性が増し、トナーが安定してトナー排出口377から落下する。
【0139】
現像装置20側の滞留部29におけるトナーの減少に応じてトナー排出口377からトナーが落下すると、収容空間37S内に収容されるトナーが減少し、当該トナーの喫水面TSが特定領域37K1の下方に位置した状態となる(図23の時刻T2から時刻T3に至る時間帯)。この場合、検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGにおいて、Low信号の出力回数が前記第1閾値K1未満となり、判定部51は、第1判定信号JS1を出力する(図23の時刻T3)。
【0140】
判定部51から第1判定信号JS1が出力された場合、移動壁制御部52は、移動壁用駆動モーターM1の駆動制御を許可する制御信号を示す駆動許可信号CS1を、移動壁用駆動回路M11に送信する。移動壁用駆動回路M11は、移動壁制御部52から送信された駆動許可信号CS1を受信すると、その駆動許可信号CS1に応じて移動壁用駆動モーターM1を駆動させる。本実施形態では、移動壁用駆動回路M11は、移動壁制御部52から送信された駆動許可信号CS1を受信すると、所定の一定速度且つ一定時間TM(図23の時刻T3から時刻T4に至る時間)、移動壁用駆動モーターM1を駆動させる。
【0141】
移動壁用駆動モーターM1が発する駆動力は、第3伝達ギア213、シャフト駆動ギア382及びラチェット機構RCを介してシャフト33に伝達される。これにより、シャフト33が第1回転方向R1に回転する。移動壁32は、シャフト33が第1回転方向R1に回転することにより、当該シャフト33に沿って第1方向DAに移動し、収容空間37S内のトナーをトナー排出口377に向けて搬送する。このように、判定部51の第1判定信号JS1に応じて移動壁制御部52から送信された駆動許可信号CS1に基づいて、移動壁32が移動される。すなわち、移動壁制御部52は、判定部51から第1判定信号JS1が出力された場合には、駆動許可信号CS1を送信することにより、移動壁32を移動させる。これにより、移動壁32の移動は、収容空間37S内に収容されるトナーの減少状態に応じた適切なものとなる。
【0142】
移動壁32が第1方向DAに移動しつつトナーをトナー排出口377に向けて搬送すると、収容空間37Sの容積が縮小される。このため、収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の上方に位置した状態となる(図23の時刻T3から時刻T4に至る時間帯)。この場合、検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGにおいて、Low信号の出力回数が前記第1閾値K1以上となり、判定部51は、第2判定信号JS2を出力する(図23の時刻T5)。
【0143】
判定部51から第2判定信号JS2が出力された場合、移動壁制御部52は、上記と同様に、駆動不許可信号CS2を移動壁用駆動回路M11に送信する(図23の時刻T5)。トナー排出口377からトナーが排出されると、収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の下方に位置した状態となる(図23の時刻T5から時刻T6に至る時間帯)。この場合、検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGにおいて、Low信号の出力回数が前記第1閾値K1未満となり、判定部51は、第1判定信号JS1を出力する(図23の時刻T6)。
【0144】
判定部51から第1判定信号JS1が出力された場合、移動壁制御部52は、上記と同様に、駆動許可信号CS1を移動壁用駆動回路M11に送信する(図23の時刻T6)。これにより、移動壁用駆動回路M11は、所定の一定速度且つ一定時間TM(図23の時刻T6から時刻T7に至る時間)、移動壁用駆動モーターM1を駆動させる。移動壁用駆動モーターM1が駆動すると、移動壁32は、シャフト33に沿って第1方向DAに移動し、収容空間37S内のトナーをトナー排出口377に向けて搬送する。これにより、収容空間37Sの容積が縮小され、収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の上方に位置した状態となる(図23の時刻T6から時刻T7に至る時間帯)。この場合、検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGにおいて、Low信号の出力回数が前記第1閾値K1以上となり、判定部51は、第2判定信号JS2を出力する(図23の時刻T8)。
【0145】
<トナーエンプティ制御について>
画像形成装置1の画像形成動作に応じて上記のトナー補給制御が繰り返され、収容空間37S内のトナーが現像装置20に補給され続けると、やがて移動壁32はトナー排出口377の手前の最終位置に至る。
【0146】
移動壁32が最終位置に配置された状態で、現像装置20側の滞留部29におけるトナーの減少に応じてトナー排出口377からトナーが落下すると、収容空間37S内に収容されるトナーの喫水面TSが特定領域37K1の下方に位置した状態となる。この場合、検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGにおいて、Low信号の出力回数が前記第1閾値K1未満となり、判定部51は、第1判定信号JS1を出力する(図23の時刻T9)。
【0147】
判定部571から第1判定信号JS1が出力された場合、移動壁制御部52は、駆動許可信号CS1を移動壁用駆動回路M11に送信する(図23の時刻T9)。
【0148】
移動壁32が最終位置に配置された状態では、押圧部材34の雌螺旋部34Jが移動壁停止部334に位置し、雄螺旋部333と雌螺旋部34Jとの係合が解除されている。このため、シャフト33から押圧部材34への移動力の伝達が失われる。従って、移動壁32が最終位置に配置された状態では、駆動許可信号CS1に応じて移動壁用駆動回路M11が移動壁用駆動モーターM1を駆動させたとしても、移動壁32は、移動することなく最終位置に停止したままとなる(図23の時刻T9から時刻T10に至る時間帯)。
【0149】
判定部51は、第1判定信号JS1の出力後におけるコンテナセンサー3Sの検知信号DSGに基づいて、収容空間37S内のトナーがエンプティ状態であるか否かを判定する。検知対象時間帯TWWでコンテナセンサー3Sから出力される検知信号DSGにおいて、Low信号の出力回数が前記第1閾値K1よりも大きな値を示す第2閾値K2以上である場合を想定する。この場合、判定部51は、収容空間37S内のトナーがエンプティ状態であると判定し、その判定結果を示す第3判定信号JS3を出力する(図23の時刻T11)。判定部51は、検知対象時間帯TWWにおいてコンテナセンサー3Sから出力されたLow信号の出力回数を指標として、収容空間37S内におけるトナーのエンプティ状態を判定することができる。
【0150】
判定部51から第3判定信号JS3が出力された場合、移動壁制御部52は、駆動停止信号CS3を移動壁用駆動回路M11に送信する(図23の時刻T11)。駆動停止信号CS3は、移動壁用駆動モーターM1の駆動制御を停止させる制御信号である。
【0151】
移動壁用駆動回路M11は、移動壁制御部52から送信された駆動停止信号CS3を受信すると、移動壁用駆動モーターM1の駆動を停止させる。移動壁制御部52により駆動停止信号CS3が送信されると、画像形成装置1の画像形成動作が一旦停止し、回転体用駆動モーターM2が駆動停止する(図23の時刻T12)。
【0152】
また、判定部51は、第3判定信号JS3を出力した場合に、収容空間37S内においてトナーがエンプティ状態であることを表すメッセージ情報(トナーエンプティ情報)を発信するように構成されていてもよい。画像形成装置1のユーザーは、判定部51から発信されたトナーエンプティ情報によって、トナーコンテナ30がトナーエンプティ状態であることを確認することができる。
【符号の説明】
【0153】
1 画像形成装置
120 画像形成部
121 感光体ドラム(像担持体)
20 現像装置
3 トナー補給装置
30 トナーコンテナ
32 移動壁
35 回転体
35A プレート部
35B 撹拌パドル
361 清掃部材
362 検知片
37 コンテナ本体
377 トナー排出口
3S コンテナセンサー(検知センサー)
50 制御部
51 判定部
52 移動壁制御部
53 回転体制御部
54 装着検出部
DSG 検知信号
JS1 第1判定信号
JS2 第2判定信号
JS3 第3判定信号
PSG 特有信号
TWW 検知対象時間帯
図1
図2
図3
図4
図5
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図23