(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】サーバ装置、評価方法及び評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20221025BHJP
G09B 7/02 20060101ALI20221025BHJP
G06Q 10/06 20120101ALI20221025BHJP
【FI】
G09B19/00 H
G09B7/02
G06Q10/06 332
(21)【出願番号】P 2019036596
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】角森 隆也
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/095069(WO,A1)
【文献】米国特許第06899540(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0170660(US,A1)
【文献】特許第4471032(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 - 9/56
G09B 17/00 - 19/26
G06Q 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の物品を撮影した撮影画像を、順次、取得する取得部と、
前記取得部が取得した順序で前記撮影画像を表示する際、所定のタイミングで、検査結果が既知の物品を撮影した模擬画像を表示する表示制御部と、
前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数と、前記模擬画像に含まれる物品を検査した際の検査結果が既知の検査結果と一致する割合とに基づいて、評価値を算出する評価値算出部と
を有するサーバ装置。
【請求項2】
前記評価値算出部は、前記既知の検査結果と一致する割合に基づいて予め定められた係数を、前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数にかけ合わせることで、前記評価値を算出する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記既知の検査結果と一致する割合が最も高い検査者を特定し、特定した該検査者が、前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した際の検査結果と、前記撮影画像とを対応付けることで、前記模擬画像を含む模擬情報を生成する模擬情報生成部を更に有する、請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
検査対象の物品を撮影した撮影画像を、順次、取得し、
取得した順序で前記撮影画像を表示する際、所定のタイミングで、検査結果が既知の物品を撮影した模擬画像を表示し、
前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数と、前記模擬画像に含まれる物品を検査した際の検査結果が既知の検査結果と一致する割合とに基づいて、評価値を算出する、
処理をコンピュータが実行する評価方法。
【請求項5】
検査対象の物品を撮影した撮影画像を、順次、取得し、
取得した順序で前記撮影画像を表示する際、所定のタイミングで、検査結果が既知の物品を撮影した模擬画像を表示し、
前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数と、前記模擬画像に含まれる物品を検査した際の検査結果が既知の検査結果と一致する割合とに基づいて、評価値を算出する、
処理をコンピュータに実行させるための評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、評価方法及び評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、目視による検品作業は様々な分野において行われている。例えば、空港における手荷物の検査や、製造ラインにおける完成品の検査、物流ラインにおける仕分け済み商品の検査等が挙げられる。これらの分野においては、検査者の高い作業効率と作業品質とが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、高い作業効率と作業品質とを維持するためには、検査者の検品作業を的確に評価し、検査者のモチベーションを維持することが重要となる。
【0005】
一つの側面では、検査者の検品作業を評価するサーバ装置、評価方法及び評価プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、サーバ装置は、
検査対象の物品を撮影した撮影画像を、順次、取得する取得部と、
前記取得部が取得した順序で前記撮影画像を表示する際、所定のタイミングで、検査結果が既知の物品を撮影した模擬画像を表示する表示制御部と、
前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数と、前記模擬画像に含まれる物品を検査した際の検査結果が既知の検査結果と一致する割合とに基づいて、検査者を評価するための評価値を算出する評価値算出部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
検査者の検品作業を評価するサーバ装置、評価方法及び評価プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】空港における検品システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】検査者の評価方法を説明するための図である。
【
図3】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】サーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】表示制御部による表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】評価値算出部による評価値算出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】評価値算出処理が実行されることで得られる各種情報の一例を示す図である。
【
図9】模擬情報生成部による模擬情報生成処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
<検品システムのシステム構成>
はじめに、検査対象の物品を検査する検品システムのシステム構成について説明する。なお、本実施形態では、検品システムが、空港における手荷物検査に用いられるケースについて説明する。
【0011】
図1は、検品システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示すように、検品システム100は、表示装置110と、サーバ装置130とを有する。また、検品システム100は、制御装置150_1~150_3と、撮像装置160_1~160_3と、操作スイッチ170_1~170_7とを有する。
【0012】
表示装置110と、サーバ装置130とは、ネットワーク140を介して通信可能に接続される。同様に、サーバ装置130と制御装置150_1~150_3とは、ネットワーク140を介して通信可能に接続される。
【0013】
なお、表示装置110は、撮像装置160_1~160_3が検査対象の物品である乗客の手荷物を撮影することで得た撮影画像を、サーバ装置130から受信し、表示する。表示装置110は、画面が4分割されており、各分割画面に、撮影画像を表示する。
【0014】
表示装置110の各分割画面に撮影画像が表示されることで、検査者120は、撮影画像に含まれる手荷物を検査する(正常か異常かを検査し、検査結果を表示装置110に入力する)。また、検査者120により入力された検査結果は、各種情報とともに、検品情報としてサーバ装置130に送信される。
【0015】
なお、
図1の例は、検査者120が、検査ライン180_1~180_3に載置された手荷物(つまり、3ライン分の手荷物)を検査する場合について示しているが、検査者120が検査するライン数は3ラインに限定されず、4ライン以上であってもよい。また、4ライン以上の場合、表示装置を複数台配し、複数の検査者(表示装置の台数に応じた数の検査者)により検査が行われてもよい。
【0016】
サーバ装置130は、撮像装置160_1~160_3が手荷物を撮影することで得た撮影画像を制御装置150_1~150_3から受信する。なお、撮影画像には、いずれの検査ラインで撮影された撮影画像であるのかを特定するためのラインIDが対応付けられているものとする。サーバ装置130は、撮影画像を、取得した順序で表示装置110に送信する。これにより、表示装置110の分割画面には、サーバ装置130が取得した撮影画像が、サーバ装置130が取得した順序で表示される。
【0017】
また、サーバ装置130は、表示装置110より検品情報を受け付け、手荷物が異常であるとの検査結果であった場合には、ラインIDに基づいて、対応する制御装置(制御装置150_1~150_3のいずれか)に、当該検査結果を通知する。
【0018】
制御装置150_1~150_3は、それぞれ、撮像装置160_1~160_3と接続され、撮像装置160_1~160_3が手荷物を撮影することで得た撮影画像を、ラインIDと対応付けてサーバ装置130に送信する。
【0019】
また、制御装置150_1~150_3は、それぞれ、操作スイッチ170_1~170_3と接続され、操作スイッチ170_1~170_3が押圧された場合に、操作スイッチ170_1~170_3から検査開始指示を受信する。制御装置150_1~150_3は、検査開始指示を受信すると、撮像装置160_1~160_3に対して静止画像を撮影するよう指示し(撮影指示を出力し)、撮像装置160_1~160_3より撮影画像として静止画像を得る。
【0020】
あるいは、制御装置150_1~150_3は、撮像装置160_1~160_3から送信される動画像を常時受信しておき、検査開始指示を受信すると、対応する動画像からフレーム画像を抽出し、撮影画像を得る。
【0021】
なお、
図1には示していないが、制御装置150_1~150_3には、それぞれ、操作スイッチ170_1~170_3の代わりに、手荷物が撮影位置に搬送されたことを検知する検知センサが接続されていてもよい。この場合、制御装置150_1~150_3は、それぞれ、対応する検知センサが手荷物を検知した場合に、検知センサから検査開始指示を受信する。
【0022】
撮像装置160_1~160_3は、それぞれ、検査ライン180_1~180_3に載置された手荷物を撮影する。上述したように、撮像装置160_1~160_3にて撮影される撮影画像は、静止画像であっても動画像であってもよい。なお、静止画像の場合、撮像装置160_1~160_3は、対応する操作スイッチ170_1~170_3が押圧され、制御装置150_1~150_3から撮影指示が出力された場合に撮影を行い、静止画像を制御装置150_1~150_3に送信する。一方、動画像の場合、撮像装置160_1~160_3は、常時撮影を行い、撮影した動画像を制御装置150_1~150_3にストリーミング送信する。
【0023】
操作スイッチ170_1~170_3は、例えば、手荷物の所持者によって操作される。手荷物の所持者は、手荷物を検査ライン180_1~180_3のいずれかに載置し、撮影位置まで搬送させた後に、操作スイッチ170_1~170_3を操作する。操作スイッチ170_1~170_3が操作されることで、制御装置150_1~150_3に対して、検査開始指示が送信される。
【0024】
<検査者の評価方法>
次に、空港における手荷物の検査における、検品システム100による検査者の評価方法について説明する。
図2は、検査者の評価方法を説明するための図である。
図2の例は、検査ライン180_1に手荷物A
1、A
2が載置され、検査ライン180_2に手荷物B
1、B
2が載置され、検査ライン180_3に手荷物C
1、C
2が載置された様子を示している。なお、検査ライン180_1~180_3は、上方に載置されている手荷物ほど、先に検査される手荷物であることを示している。
【0025】
図2の例の場合、手荷物A
1→C
1→B
1→A
2→C
2→B
2の順序で撮影画像が取得され、表示装置110には、当該順序で撮影画像が表示される。ここで、本実施形態に係るサーバ装置130では、撮像装置160_1~160_3それぞれにおいて撮影された撮影画像を、表示装置110に送信するにあたり、所定のタイミングで、模擬画像を読み出す。模擬画像とは、検査結果が既知の物品を撮影した撮影画像である。
【0026】
そして、本実施形態に係るサーバ装置130では、読み出した模擬画像を、配列した撮影画像の間に挿入し、表示装置110に送信する。
図2の例は、手荷物B
1の撮影画像と手荷物A
2の撮影画像との間に模擬画像E
1が挿入され、表示装置110の分割画面204に表示された様子を示している。なお、
図2の例では、既に、分割画面201に、手荷物A
1の撮影画像が、分割画面202に手荷物C
1の撮影画像が、分割画面203に手荷物B
1の撮影画像が表示されている。
【0027】
このように、配列した撮影画像の間に模擬画像を挿入することで、検査者120は、模擬画像についても撮影画像と同様の検査を行う。このとき、サーバ装置130では、検査者120による模擬画像の検査結果が、当該模擬画像に対応付けられた既知の検査結果と一致するか否かを判定することで、検査者120の作業品質を評価する。
【0028】
また、サーバ装置130では、あわせて、所定期間内に検査者120が撮影画像を検査した検査回数をカウントすることで、検査者120の作業効率を評価する。
【0029】
そして、サーバ装置130では、検査者120の作業品質と作業効率とに基づいて検査者120の検品作業を評価する。これにより、検査者120の検品作業を的確に評価することができる。
【0030】
なお、
図2に示すように、検査者120は、分割画面に表示された撮影画像(または模擬画像)に含まれる手荷物が正常であった場合、指を矢印210方向に動かすことで、検査結果を入力する。また、検査者120は、分割画面に表示された撮影画像(または模擬画像)に含まれる手荷物が異常であった場合、指を矢印220方向に動かすことで、検査結果を入力する。
【0031】
図2の例は、分割画面201に表示された撮影画像に含まれる手荷物A
1について、検査者120は、正常であるとの検査結果を入力したことを示している。また、
図2の例は、分割画面204に表示された模擬画像に含まれる手荷物について、検査者120は、異常であるとの検査結果を入力したことを示している。
【0032】
<サーバ装置のハードウェア構成>
図3は、サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、サーバ装置130は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303を有する。CPU301、ROM302、RAM303は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0033】
また、サーバ装置130は、補助記憶部304、表示部305、操作部306、I/F(Interface)部307、ドライブ部308を有する。なお、サーバ装置130の各ハードウェアは、バス309を介して相互に接続されている。
【0034】
CPU301は、補助記憶部304にインストールされている各種プログラム(例えば、後述する評価プログラム等)を実行する演算デバイスである。
【0035】
ROM302は、不揮発性メモリである。ROM302は、補助記憶部304にインストールされている各種プログラムをCPU301が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM302はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。
【0036】
RAM303は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM303は、補助記憶部304にインストールされている各種プログラムがCPU301によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0037】
補助記憶部304は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報、各種プログラム実行されることで生成される情報等を格納する補助記憶デバイスである。後述する模擬情報格納部470及び評価情報格納部480は、補助記憶部304において実現される。
【0038】
表示部305は、サーバ装置130の内部状態を表示する表示デバイスである。操作部306は、サーバ装置130の管理者がサーバ装置130に対して各種指示を入力するための入力デバイスである。I/F部307は、ネットワーク140に接続され、サーバ装置130が、表示装置110、制御装置150_1~150_3との間で通信を行うための通信デバイスである。
【0039】
ドライブ部308は記録媒体310をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体310には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体310には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0040】
なお、補助記憶部304にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体310がドライブ部308にセットされ、該記録媒体310に記録された各種プログラムがドライブ部308により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶部304にインストールされる各種プログラムは、I/F部307を介して、ネットワーク140よりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0041】
<サーバ装置の機能構成>
次に、サーバ装置130の機能構成について説明する。
図4は、サーバ装置の機能構成の一例を示す図である。上述したとおり、サーバ装置130には、評価プログラムがインストールされている。サーバ装置130は、当該評価プログラムを実行することで、取得部410、表示制御部420、検品情報受付部430、検査結果出力部440、評価値算出部450、模擬情報生成部460として機能する。
【0042】
取得部410は、ネットワーク140を介して制御装置150_1~150_3から送信される、ラインIDが対応付けられた撮影画像を取得する。
【0043】
表示制御部420は、取得部410において取得された撮影画像を、取得された順序で配列して、表示装置110に送信する。また、表示制御部420は、所定のタイミングで、模擬情報格納部470を参照し、既知の検査結果(正常or異常)が対応付けられた模擬画像を読み出す。また、表示制御部420は、読み出した模擬画像を、配列した撮影画像の間に挿入し、表示装置110に送信する。
【0044】
検品情報受付部430は、表示装置110から送信される検品情報を受け付ける。なお、検品情報受付部430が受け付ける検品情報には、撮影画像が表示された場合にあっては、
・ラインIDが対応付けられた撮影画像、
・撮影画像についての検査結果(正常or異常)、
が含まれるものとする。
【0045】
また、模擬画像が表示された場合にあっては、検品情報には、
・既知の検査結果(正常or異常)が対応付けられた模擬画像、
・模擬画像についての検査結果(正常or異常)、
が含まれるものとする。
【0046】
また、検品情報受付部430は、受け付けた検品情報を評価値算出部450に通知する。また、検品情報受付部430は、受け付けた検品情報が撮影画像についての検品情報である場合(ラインIDが対応付けられている場合)、検査結果が正常であったか異常であったかを判定する。更に、検品情報受付部430は、検査結果が異常であったと判定した場合には、当該検査結果(異常)と、ラインIDとを検査結果出力部440に通知する。
【0047】
検査結果出力部440は、検品情報受付部430より、検査結果(異常)とラインIDとが通知されると、ラインIDに対応する制御装置(制御装置150_1~150_3のいずれか)に、検査結果(手荷物が異常であること)を通知する。
【0048】
評価値算出部450は、検品情報受付部430より通知された検品情報が撮影画像についての検品情報である場合には(ラインIDが対応付けられている場合には)、検品情報に含まれる撮影画像と検査結果(正常or異常)とを、評価情報格納部480に格納する。また、評価値算出部450は、検品情報が通知された回数を、検査回数としてカウントする。
【0049】
また、評価値算出部450は、検品情報受付部430より通知された検品情報が模擬画像についての検品情報である場合には(ラインIDが対応付けられていない場合には)、検品情報が通知された回数を、模擬検査回数としてカウントする。また、評価値算出部450は、検品情報に含まれる、検査結果(正常or異常)と、模擬画像に対応付けられた検査結果(正常or異常)とが一致するか否かを判定し、一致する場合には、一致数を模擬正解数としてカウントする。また、評価値算出部450は、模擬正解数を模擬検査回数で割ることで、正答率を算出する。
【0050】
更に、評価値算出部450は、算出した正答率に応じたポイント係数を用いてポイント数(評価値)を算出し、評価情報として、評価情報格納部480に格納する。
【0051】
模擬情報生成部460は、評価情報格納部480に格納された評価情報に基づいて、作業品質が最も高い検査者を特定し、特定した検査者による検査結果(撮影画像についての検査結果)を撮影画像と対応付けて模擬画像を生成し、模擬情報格納部470に格納する。
【0052】
<模擬情報の具体例>
次に、模擬情報の具体例について説明する。
図5は、模擬情報の具体例を示す図である。
図5に示すように、模擬情報500には、情報の項目として、“模擬画像”、“検査結果”が含まれる。“模擬画像”には、検査結果が既知の手荷物を撮影した画像が格納される。“検査結果”には、“模擬画像”に格納された画像に含まれる手荷物についての検査結果(〇:正常、×:異常)が、模擬画像と対応付けて格納される。
【0053】
<表示制御部による表示制御処理の流れ>
次に、表示制御部420による表示制御処理の流れについて説明する。
図6は、表示制御部による表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
ステップS601において、表示制御部420は、取得部410より通知された撮影画像を取得する。
【0055】
ステップS602において、表示制御部420は、取得された順序で撮影画像を配列する。
【0056】
ステップS603において、表示制御部420は、所定のタイミングに到達したか否かを判定する。ステップS603において、所定のタイミングに到達していないと判定した場合には(ステップS603においてNoの場合には)、ステップS605に進む。一方、ステップS603において、所定のタイミングに到達したと判定した場合には(ステップS603においてYesの場合には)、ステップS604に進む。
【0057】
ステップS604において、表示制御部420は、模擬情報格納部470を参照し、既知の検査結果が対応付けられた模擬画像を読み出し、配列した撮影画像に挿入する。
【0058】
ステップS605において、表示制御部420は、配列した撮影画像(及び模擬画像)を表示装置110に送信する。これにより、表示装置110の分割画面には、撮影画像または模擬画像が表示される。
【0059】
ステップS606において、表示制御部420は、表示制御処理を終了するか否かを判定する。ステップS606において、終了しないと判定した場合には(ステップS606においてNoの場合には)、ステップS601に戻る。一方、ステップS606において、終了すると判定した場合には(ステップS606においてYesの場合には)、表示制御処理を終了する。
【0060】
<評価値算出処理の流れ>
次に、評価値算出部450による評価値算出処理の流れについて説明する。
図7は、評価値算出部による評価値算出処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
ステップS701において、評価値算出部450は、検品情報受付部430より検品情報が通知されたか否かを判定する。ステップS701において、検品情報が通知されていないと判定した場合には(ステップS701においてNoの場合には)、ステップS710に進む。一方、ステップS701において、検品情報が通知されたと判定した場合には(ステップS701においてYesの場合には)、ステップS702に進む。
【0062】
ステップS702において、評価値算出部450は、通知された検品情報が、模擬画像についての検品情報か、撮影画像についての検品情報かを判定する。評価値算出部450は、検品情報に含まれる画像に、ラインIDが対応付けられているか否かを判定することで、模擬画像についての検品情報か、撮影画像についての検品情報かを判定する。
【0063】
具体的には、評価値算出部450は、ラインIDが対応付けられていないと判定した場合には、模擬画像についての検品情報であると判定し、ステップS703に進む。一方、評価値算出部450は、ラインIDが対応付けられていると判定した場合には、撮影画像についての検品情報であると判定し、ステップS706に進む。
【0064】
ステップS703において、評価値算出部450は、模擬画像についての検品情報が通知された回数を、模擬検査回数としてカウントする。
【0065】
ステップS704において、評価値算出部450は、検品情報に含まれる、検査結果(正常or異常)と、模擬画像に対応付けられた検査結果(正常or異常)とが一致するか否かを判定し、一致する場合には、一致数を模擬正解数としてカウントする。
【0066】
ステップS705において、評価値算出部450は、ステップS704においてカウントした模擬正解数を、ステップS703でカウントした模擬検査回数で割ることで、正答率を算出する。
【0067】
一方、ステップS706において、評価値算出部450は、検品情報に含まれる撮影画像と検査結果(正常or異常)とを、評価情報格納部480に格納する。
【0068】
ステップS707において、評価値算出部450は、撮影画像についての検品情報が通知された回数を、検査回数としてカウントする。
【0069】
ステップS708において、評価値算出部450は、所定期間(例えば、1か月)が経過したか否かを判定する。ステップS708において、所定期間が経過していないと判定した場合には(ステップS708においてNoの場合には)、ステップS701に戻る。
【0070】
一方、ステップS708において、所定期間が経過したと判定した場合には(ステップS708においてYesの場合には)、ステップS709に進む。ステップS709において、評価値算出部450は、算出した正答率に応じたポイント係数を用いてポイント数(評価値)を算出し、評価情報として、評価情報格納部480に格納する。
【0071】
ステップS710において、評価値算出部450は、評価値算出処理を終了するか否かを判定する。ステップS710において、評価値算出処理を終了しないと判定した場合には(ステップS710においてNoの場合には)、ステップS701に戻る。一方、ステップS710において、評価値算出処理を終了すると判定した場合には(ステップS710においてYesの場合には)、評価値算出処理を終了する。
【0072】
<評価値算出処理結果の具体例>
次に、評価値算出部450により評価値算出処理が実行されることで得られる各種情報について説明する。
図8は、評価値算出処理が実行されることで得られる各種情報の一例を示す図である。
【0073】
図8に示す各種情報のうち、作業効率情報810は、
図7のステップS707において、評価値算出部450が、検査回数をカウントすることで生成される。
図8に示すように、作業効率情報810には、情報の項目として、“検査者”、“検査回数”が含まれる。“検査者”には、検品システム100において検品作業を行う検査者を示す情報が格納される。
“検査回数”には、
図7のステップS707において、評価値算出部450がカウントした検査回数が格納される。
【0074】
作業品質情報820は、
図7のステップS703からS705において、評価値算出部450が、模擬検査回数及び模擬正解数をカウントし、正答率を算出することで生成される。
図8に示すように、作業品質情報820には、情報の項目として、“検査者”、“模擬検査回数”、“模擬正解数”、“正答率”が含まれる。
【0075】
“検査者”には、検品システム100において検品作業を行う検査者を示す情報が格納される。“模擬検査回数”には、
図7のステップS703において、評価値算出部450がカウントした模擬検査回数が格納される。“模擬正解数”には、
図7のステップS704において、評価値算出部450がカウントした模擬正解数が格納される。“正答率”には、
図7のステップS705において、評価値算出部450が算出した正答率が格納される。
【0076】
係数情報830は、正答率に応じたポイント係数が規定されたテーブルである。係数情報830には、情報の項目として、“品質(正答率)”と、“ポイント係数”とが含まれる。“品質(正答率)”には、正答率の範囲が格納され、“ポイント係数”には、正答率の範囲それぞれに対応する係数が格納される。正答率が高いほど、ポイント係数も高くなり、正答率が低いほど、ポイント係数も低くなるように規定されている。
【0077】
評価情報840は、各検査者のポイント数(評価値)を格納したテーブルである。評価情報840には、情報の項目として、“検査者”、“検査回数”、“品質(正答率)”、“ポイント係数”、“ポイント数”が含まれる。
【0078】
“検査者”には、検品システム100において検品作業を行う検査者を示す情報が格納される。“検査回数”には、作業効率情報810の“検査回数”に格納された検査回数が格納される。
【0079】
“品質(正答率)”には、作業品質情報820の“正答率”に格納された正答率が格納される。“ポイント係数”には、“品質(正答率)”に格納された正答率に対応するポイント係数が、係数情報830に基づいて格納される。
【0080】
“ポイント数”には、対応する検査者の評価値であるポイント数が格納される。“ポイント数”に格納されるポイント数は、“検査回数”に格納された検査回数に、“ポイント係数”に格納された係数をかけ合わせることで算出される。
【0081】
このように、評価値算出部450によれば、所定期間あたりの各検査者の作業効率を示す検査回数と、所定期間における各検査者の作業品質を示す正答率とに基づいて算出されるポイント数を、評価値として算出する。これにより、評価値算出部450によれば、各検査者の作業効率及び作業品質を的確に評価することができる。
【0082】
<模擬情報生成処理の流れ>
次に、模擬情報生成部460による模擬情報生成処理の流れについて説明する。
図9は、模擬情報生成部による模擬情報生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
ステップS901において、模擬情報生成部460は、評価情報840に格納された“正答率”を参照することで、正答率が最も高い検査者を特定する。
【0084】
ステップS902において、模擬情報生成部460は、特定した検査者の検査結果及び対応する撮影画像を、評価情報格納部480より所定数抽出する。
【0085】
ステップS903において、模擬情報生成部460は、抽出した撮影画像を模擬画像として、抽出した検査結果とともに、模擬情報500に追加する。
【0086】
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係るサーバ装置では、検査対象の物品を撮影した撮影画像を、順次、取得し、取得した順序で、撮影画像を表示する。また、第1の実施形態に係るサーバ装置では、撮影画像を表示する際、所定のタイミングで、検査結果が既知の物品を撮影した模擬画像を表示する。更に、第1の実施形態に係るサーバ装置では、撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数と、模擬画像に含まれる物品を検査した際の検査結果が既知の検査結果と一致する割合とに基づいて、評価値を算出する。
【0087】
これにより、第1の実施形態に係るサーバ装置によれば、検査者の作業効率と検査者の作業品質とに基づいて、評価値を算出することができる。この結果、第1の実施形態に係るサーバ装置によれば、検査者の検品作業を的確に評価することができる。
【0088】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、正答率に応じたポイント係数を、検査回数にかけ合わせることで、評価値を算出するものとして説明した。しかしながら、評価値の算出方法はこれに限定されず、作業品質を示す正答率と、作業効率を示す検査回数とに基づいて算出する算出方法であれば、他の算出方法により算出してもよい。
【0089】
また、上記第1の実施形態において模擬情報生成部460は、評価情報840を参照し、正答率が最も高い検査者を特定するものとして説明した。しかしながら、検査者の特定方法はこれに限定されず、例えば、模擬情報生成部460は、評価値(ポイント数)が最も高い検査者を特定するようにしてもよい。
【0090】
また、上記第1の実施形態では、各検査者について算出した評価値の利用方法について特に言及しなかったが、例えば、各検査者について算出した評価値は、各検査者の翌月の労働報酬に反映させるようにしてもよい。
【0091】
また、上記第1の実施形態では、空港における手荷物検査に検品システム100を適用する場合について説明した。しかしながら、検品システム100の適用先は、空港における手荷物検査に限定されない。例えば、製造ラインにおける完成品の検査や、物流ラインにおける仕分け済み商品の検査等に、検品システム100を適用してもよい。
【0092】
なお、開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
検査対象の物品を撮影した撮影画像を、順次、取得する取得部と、
前記取得部が取得した取得順序で前記撮影画像を表示する際、所定のタイミングで、検査結果が既知の物品を撮影した模擬画像を表示する表示制御部と、
前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数と、前記模擬画像に含まれる物品を検査した際の検査結果が既知の検査結果と一致する割合とに基づいて、評価値を算出する評価値算出部と
を有するサーバ装置。
(付記2)
前記評価値算出部は、前記既知の検査結果と一致する割合に基づいて予め定められた係数を、前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数にかけ合わせることで、前記評価値を算出する、付記1に記載のサーバ装置。
(付記3)
前記既知の検査結果と一致する割合が最も高い検査者を特定し、特定した該検査者が、前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した際の検査結果と、前記撮影画像とを対応付けることで、前記模擬画像を含む模擬情報を生成する模擬情報生成部を更に有する、付記2に記載のサーバ装置。
(付記4)
検査対象の物品を撮影した撮影画像を、順次、取得し、
取得した取得順序で前記撮影画像を表示する際、所定のタイミングで、検査結果が既知の物品を撮影した模擬画像を表示し、
前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数と、前記模擬画像に含まれる物品を検査した際の検査結果が既知の検査結果と一致する割合とに基づいて、評価値を算出する、
処理をコンピュータが実行する評価方法。
(付記5)
検査対象の物品を撮影した撮影画像を、順次、取得し、
取得した取得順序で前記撮影画像を表示する際、所定のタイミングで、検査結果が既知の物品を撮影した模擬画像を表示し、
前記撮影画像に含まれる検査対象の物品を検査した数と、前記模擬画像に含まれる物品を検査した際の検査結果が既知の検査結果と一致する割合とに基づいて、評価値を算出する、
処理をコンピュータに実行させるための評価プログラム。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0093】
100 :検品システム
110 :表示装置
130 :サーバ装置
150_1~150_3 :制御装置
160_1~160_3 :撮像装置
170_1~170_3 :操作スイッチ
410 :取得部
420 :表示制御部
430 :検品情報受付部
440 :検査結果出力部
450 :評価値算出部
460 :模擬情報生成部
500 :模擬情報
810 :作業効率情報
820 :作業品質情報
830 :係数情報
840 :評価情報