IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

特許7163931判定装置、判定方法および判定プログラム
<>
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図1
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図2
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図3
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図4
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図5
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図6
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図7
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図8
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図9
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図10
  • 特許-判定装置、判定方法および判定プログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法および判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20221025BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221025BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20221025BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02J3/38 130
H02S50/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019568912
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2018045861
(87)【国際公開番号】W WO2019150779
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2018016736
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、経済産業省、「新エネルギー等の保安規制高度化事業(電気施設保安技術高度化の評価・検証事業)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】下口 剛史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 勲
(72)【発明者】
【氏名】谷村 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 麻由
(72)【発明者】
【氏名】池上 洋行
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172597(JP,A)
【文献】特開2015-079833(JP,A)
【文献】特開2013-258796(JP,A)
【文献】特開2016-220493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/38
H02S 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを含む発電部を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、
前記発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成する生成部と、
前記取得部によって取得された前記データおよび前記生成部によって生成された前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータである複数の判定データから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する判定部とを備え、
前記判定部は、前記複数の判定データのうちの第1の判定データの、機械学習によるクラスタリングを行った結果において、前記第1の判定データが所定のクラスタに分類されるか否かである前記基準を用いて、前記発電部に関する異常を判定する、判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記複数の判定データのうちの第2の判定データの、過去の前記第2の判定データと比べた低下量が所定値以上であるか否かである前記基準を用いて、前記発電部に関する異常を判定する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記複数の判定データのうちの第3の判定データの所定期間における低下量が、過去の前記第3の判定データに基づいて設定された閾値以上であるか否かである前記基準を用いて、前記発電部に関する異常を判定する、請求項1または請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、3つ以上の前記基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項5】
各前記基準を用いて判定される前記異常の種類が異なる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項6】
前記判定装置は、さらに、
前記判定部によって判定された前記異常を通知する通知部を備え、
各前記基準を用いて判定される前記異常の通知内容が異なる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項7】
判定装置において用いられる判定方法であって、
太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得するステップと、
取得した前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成するステップと、
取得した前記データおよび生成した前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータである複数の判定データから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定するステップとを含み、
前記異常を判定するステップにおいては、前記複数の判定データのうちの第1の判定データの、機械学習によるクラスタリングを行った結果において、前記第1の判定データが所定のクラスタに分類されるか否かである前記基準を用いて、前記発電部に関する異常を判定する、判定方法。
【請求項8】
判定装置において用いられる判定プログラムであって、
コンピュータを、
太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成する生成部と、
前記取得部によって取得された前記データおよび前記生成部によって生成された前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータである複数の判定データから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する判定部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記判定部は、前記複数の判定データのうちの第1の判定データの、機械学習によるクラスタリングを行った結果において、前記第1の判定データが所定のクラスタに分類されるか否かである前記基準を用いて、前記発電部に関する異常を判定する、判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、判定方法および判定プログラムに関する。
この出願は、2018年2月1日に出願された日本出願特願2018-16736号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
特開2012-205078号公報(特許文献1)には、以下のような太陽光発電用監視システムが開示されている。すなわち、太陽光発電用監視システムは、複数の太陽電池パネルからの出力を集約して電力変換装置に送り込む太陽光発電システムについて、前記太陽電池パネルの発電状況を監視する太陽光発電用監視システムであって、前記複数の太陽電池パネルからの出力電路が集約された場所に設けられ、各太陽電池パネルの発電量を計測する計測装置と、前記計測装置に接続され、前記計測装置による発電量の計測データを送信する機能を有する下位側通信装置と、前記下位側通信装置から送信される前記計測データを受信する機能を有する上位側通信装置と、前記上位側通信装置を介して前記太陽電池パネルごとの前記計測データを収集する機能を有する管理装置とを備える。前記管理装置は、前記各太陽電池パネルについての、同一時点における発電量の差に基づいて異常の有無を判定するか、または前記各太陽電池パネルについての、所定期間の発電量の最大値又は積算値に基づいて異常の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-205078号公報
【発明の概要】
【0004】
(1)本開示の判定装置は、太陽電池パネルを含む発電部を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、前記発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成する生成部と、前記取得部によって取得された前記データおよび前記生成部によって生成された前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する判定部とを備える。
【0005】
(5)本開示の判定方法は、判定装置において用いられる判定方法であって、太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得するステップと、取得した前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成するステップと、取得した前記データおよび生成した前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定するステップとを含む。
【0006】
(6)本開示の判定プログラムは、判定装置において用いられる判定プログラムであって、コンピュータを、太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成する生成部と、前記取得部によって取得された前記データおよび前記生成部によって生成された前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する判定部、として機能させるためのプログラムである。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える判定装置として実現され得るだけでなく、判定装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0008】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える監視システムとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える監視システムとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現され得る。また、本発明は、監視システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る監視システムの構成を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置の構成を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける判定装置の構成を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける判定装置が保持する監視情報の一例を示す図である。
図9図9は、異常と判定される10分毎データの一例を示す図である。
図10図10は、異常と判定される1日毎データの一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施の形態に係る判定装置が発電部に関する異常判定を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
近年、太陽光発電システムを監視して異常を判別するための技術が開発されている。
【0011】
[本開示が解決しようとする課題]
このような特許文献1に記載の技術を超えて、太陽光発電システムの異常判定を向上させることが可能な技術が望まれる。
【0012】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、太陽光発電システムの異常判定を向上させることが可能な判定装置、判定方法および判定プログラムを提供することである。
【0013】
[本開示の効果]
本開示によれば、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0014】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0015】
(1)本発明の実施の形態に係る判定装置は、太陽電池パネルを含む発電部を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、前記発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成する生成部と、前記取得部によって取得された前記データおよび前記生成部によって生成された前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する判定部とを備える。
【0016】
このような構成により、比較的短期間にわたる計測値の異常および比較的長期間にわたる計測値の異常を判定することができる。これにより、複数種類の期間での異常が判定され、多様な異常判定を行うことが可能になることにより、たとえば、短期間では計測値の変化がなく長期間にわたる計測結果を確認することにより変化が確認できるような異常を検知することできる。さらに、長期間わたる計測結果では、データの粒度が粗くなることにより捉えることができない短期間での計測値の変化も、短期間にわたる計測結果を確認することにより検知することができる。したがって、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0017】
(2)好ましくは、前記判定部は、3つ以上の前記基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する。
【0018】
このような構成により、さらに長期間にわたる計測値の異常を判定することができ、より多様な異常判定を行うことができる。
【0019】
(3)好ましくは、各前記基準を用いて判定される前記異常の種類が異なる。
【0020】
このような構成により、ダイオード解放故障および経年劣化等、太陽光発電におけるより多様な異常を判定することができる。
【0021】
(4)好ましくは、前記判定装置は、さらに、前記判定部によって判定された前記異常を通知する通知部を備え、各前記基準を用いて判定される前記異常の通知内容が異なる。
【0022】
このような構成により、いずれの基準を用いて判断された異常であるかを通知内容によって判断することができるため、たとえば、緊急度または重要度に応じた保守対応を行うことができる。
【0023】
(5)本発明の実施の形態に係る判定方法は、判定装置において用いられる判定方法であって、太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得するステップと、取得した前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成するステップと、取得した前記データおよび生成した前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定するステップとを含む。
【0024】
このような構成により、比較的短期間にわたる計測値の異常および比較的長期間にわたる計測値の異常を判定することができる。これにより、複数種類の期間での異常が判定され、多様な異常判定を行うことができる。したがって、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0025】
(6)本発明の実施の形態に係る判定プログラムは、判定装置において用いられる判定プログラムであって、コンピュータを、太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成する生成部と、前記取得部によって取得された前記データおよび前記生成部によって生成された前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する判定部、として機能させるためのプログラムである。
【0026】
このような構成により、比較的短期間にわたる計測値の異常および比較的長期間にわたる計測値の異常を判定することができる。これにより、複数種類の期間での異常が判定され、多様な異常判定を行うことができる。したがって、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0028】
[太陽光発電システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
【0029】
図1を参照して、太陽光発電システム401は、4つのPCS(Power Conditioning Subsystem)ユニット80と、キュービクル6とを備える。キュービクル6は、銅バー73を含む。
【0030】
図1では、4つのPCSユニット80を代表的に示しているが、さらに多数または少数のPCSユニット80が設けられてもよい。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
【0032】
図2を参照して、PCSユニット80は、4つの集電ユニット60と、PCS(電力変換装置)8とを備える。PCS8は、銅バー7と、電力変換部9とを含む。
【0033】
図2では、4つの集電ユニット60を代表的に示しているが、さらに多数または少数の集電ユニット60が設けられてもよい。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
【0035】
図3を参照して、集電ユニット60は、4つの太陽電池ユニット74と、集電箱71とを含む。集電箱71は、銅バー72を有する。
【0036】
図3では、4つの太陽電池ユニット74を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池ユニット74が設けられてもよい。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
【0038】
図4を参照して、太陽電池ユニット74は、4つの発電部78と、接続箱76とを含む。発電部78は、太陽電池パネルを有する。接続箱76は、銅バー77を有する。
【0039】
図4では、4つの発電部78を代表的に示しているが、さらに多数または少数の発電部78が設けられてもよい。
【0040】
発電部78は、この例では4つの太陽電池パネル79A,79B,79C,79Dが直列接続されたストリングである。以下、太陽電池パネル79A,79B,79C,79Dの各々を、太陽電池パネル79とも称する。
【0041】
図4では、4つの太陽電池パネル79を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池パネル79が設けられてもよい。
【0042】
太陽光発電システム401では、複数の発電部78からの出力ラインおよび集約ラインすなわち電力線がそれぞれキュービクル6に電気的に接続される。
【0043】
より詳細には、発電部78の出力ライン1は、発電部78に接続された第1端と、銅バー77に接続された第2端とを有する。各出力ライン1は、銅バー77を介して集約ライン5に集約される。銅バー77は、たとえば接続箱76の内部に設けられている。
【0044】
発電部78は、太陽光を受けると、受けた太陽光のエネルギーを直流電力に変換し、変換した直流電力を出力ライン1へ出力する。
【0045】
図3および図4を参照して、集約ライン5は、対応の太陽電池ユニット74における銅バー77に接続された第1端と、銅バー72に接続された第2端とを有する。各集約ライン5は、銅バー72を介して集約ライン2に集約される。銅バー72は、たとえば集電箱71の内部に設けられている。
【0046】
図1図4を参照して、太陽光発電システム401では、上述のように複数の発電部78からの各出力ライン1が集約ライン5に集約され、各集約ライン5が集約ライン2に集約され、各集約ライン2が集約ライン4に集約され、各集約ライン4がキュービクル6に電気的に接続される。
【0047】
より詳細には、各集約ライン2は、対応の集電ユニット60における銅バー72に接続された第1端と、銅バー7に接続された第2端とを有する。PCS8において、内部ライン3は、銅バー7に接続された第1端と、電力変換部9に接続された第2端とを有する。
【0048】
PCS8において、電力変換部9は、たとえば、各発電部78において発電された直流電力を出力ライン1、銅バー77、集約ライン5、銅バー72、集約ライン2、銅バー7および内部ライン3経由で受けると、受けた直流電力を交流電力に変換して集約ライン4へ出力する。
【0049】
集約ライン4は、電力変換部9に接続された第1端と、銅バー73に接続された第2端とを有する。
【0050】
キュービクル6において、各PCS8における電力変換部9から各集約ライン4へ出力された交流電力は、銅バー73を介して系統へ出力される。
【0051】
[監視システム301の構成]
図5は、本発明の実施の形態に係る監視システムの構成を示す図である。
【0052】
図5を参照して、太陽光発電システム401は、監視システム301を備える。監視システム301は、判定装置101と、複数の監視装置111と、収集装置151とを含む。
【0053】
図5では、1つの集電ユニット60に対応して設けられた4つの監視装置111を代表的に示しているが、さらに多数または少数の監視装置111が設けられてもよい。また、監視システム301は、1つの収集装置151を備えているが、複数の収集装置151を備えてもよい。
【0054】
監視システム301では、子機である監視装置111におけるセンサの情報が、収集装置151へ定期的または不定期に伝送される。
【0055】
監視装置111は、たとえば集電ユニット60に設けられている。より詳細には、監視装置111は、4つの太陽電池ユニット74にそれぞれ対応して4つ設けられている。各監視装置111は、たとえば、対応の出力ライン1および集約ライン5に電気的に接続されている。
【0056】
監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における各出力ライン1の電流をセンサにより計測する。また、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における各出力ライン1の電圧をセンサにより計測する。
【0057】
収集装置151は、たとえばPCS8の近傍に設けられている。より詳細には、収集装置151は、PCS8に対応して設けられ、信号線46を介して銅バー7に電気的に接続されている。
【0058】
監視装置111および収集装置151は、集約ライン2,5を介して電力線通信(PLC:Power Line Communication)を行うことにより情報の送受信を行う。
【0059】
より詳細には、各監視装置111は、対応の出力ラインの電流および電圧の計測結果を示す監視情報を送信する。収集装置151は、各監視装置111の計測結果を収集する。
【0060】
[監視装置111の構成]
図6は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置の構成を示す図である。図6では、出力ライン1、集約ライン5および銅バー77がより詳細に示されている。
【0061】
図6を参照して、出力ライン1は、プラス側出力ライン1pと、マイナス側出力ライン1nとを含む。集約ライン5は、プラス側集約ライン5pと、マイナス側集約ライン5nとを含む。銅バー77は、プラス側銅バー77pと、マイナス側銅バー77nとを含む。
【0062】
図示しないが、図3に示す集電箱71における銅バー72は、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nにそれぞれ対応して、プラス側銅バー72pおよびマイナス側銅バー72nを含む。
【0063】
プラス側出力ライン1pは、対応の発電部78に接続された第1端と、プラス側銅バー77pに接続された第2端とを有する。マイナス側出力ライン1nは、対応の発電部78に接続された第1端と、マイナス側銅バー77nに接続された第2端とを有する。
【0064】
プラス側集約ライン5pは、プラス側銅バー77pに接続された第1端と、集電箱71におけるプラス側銅バー72pに接続された第2端とを有する。マイナス側集約ライン5nは、マイナス側銅バー77nに接続された第1端と、集電箱71におけるマイナス側銅バー72nに接続された第2端とを有する。
【0065】
監視装置111は、検出処理部11と、4つの電流センサ16と、電圧センサ17と、通信部14とを備える。なお、監視装置111は、出力ライン1の数に応じて、さらに多数または少数の電流センサ16を備えてもよい。
【0066】
監視装置111は、たとえば、発電部78の近傍に設けられている。具体的には、監視装置111は、たとえば、計測対象の出力ライン1が接続された銅バー77が設けられた接続箱76の内部に設けられている。なお、監視装置111は、接続箱76の外部に設けられてもよい。
【0067】
監視装置111は、たとえば、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nとそれぞれプラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nを介して電気的に接続されている。以下、プラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nの各々を、電源線26とも称する。
【0068】
各監視装置111は、対応の発電部78に関する計測結果を示す監視情報を、自己および収集装置151に接続される電力線を介して送信する。
【0069】
詳細には、監視装置111における通信部14は、集約ラインを介した電力線通信を、複数の監視装置111の計測結果を収集する収集装置151と行うことが可能である。より詳細には、通信部14は、集約ライン2,5経由で情報を送受信することが可能である。具体的には、通信部14は、電源線26および集約ライン2,5を介して収集装置151と電力線通信を行う。
【0070】
検出処理部11は、たとえば、対応の出力ライン1の電流および電圧の計測結果を示す監視情報を所定時間ごとに作成するように設定されている。
【0071】
電流センサ16は、出力ライン1の電流を計測する。より詳細には、電流センサ16は、たとえば、ホール素子タイプの電流プローブである。電流センサ16は、監視装置111の図示しない電源回路から受けた電力を用いて、対応のマイナス側出力ライン1nを通して流れる電流を6秒ごとに計測し、計測結果を示す信号を検出処理部11へ出力する。なお、電流センサ16は、プラス側出力ライン1pを通して流れる電流を計測してもよい。
【0072】
電圧センサ17は、出力ライン1の電圧を計測する。より詳細には、電圧センサ17は、プラス側銅バー77pおよびマイナス側銅バー77n間の電圧を6秒ごとに計測し、計測結果を示す信号を検出処理部11へ出力する。
【0073】
検出処理部11は、電流センサ16および電圧センサ17からそれぞれ受けた信号の示す計測結果、対応の電流センサ16のID(以下、電流センサIDとも称する。)、電圧センサ17のID(以下、電圧センサIDとも称する。)、および自己の監視装置111のID(以下、監視装置IDとも称する。)を含む監視情報を作成する。
【0074】
検出処理部11は、送信元IDが自己の監視装置IDであり、送信先IDが収集装置151のIDであり、データ部分が監視情報である監視情報パケットを作成する。そして、検出処理部11は、作成した監視情報パケットを通信部14へ出力する。なお、検出処理部11は、監視情報パケットにシーケンス番号を含めてもよい。
【0075】
通信部14は、検出処理部11から受ける監視情報パケットを収集装置151へ送信する。
【0076】
再び図5を参照して、収集装置151は、集約ライン2,5経由で情報を送受信することが可能である。具体的には、収集装置151は、たとえば、信号線46および集約ライン2,5を介して監視装置111と電力線通信を行い、監視情報パケットを複数の監視装置111から受信する。
【0077】
収集装置151は、カウンタおよび記憶部を有しており、監視装置111から監視情報パケットを受信すると、受信した監視情報パケットから監視情報を取得するとともに、カウンタにおけるカウント値を受信時刻として取得する。そして、収集装置151は、受信時刻を監視情報に含めた後、図示しない記憶部に当該監視情報を保存する。
【0078】
[判定装置の構成および動作]
図7は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける判定装置の構成を示す図である。
【0079】
図7を参照して、判定装置101は、判定部81と、生成部82と、通信処理部(通知部)84と、記憶部85と、取得部86とを備える。
【0080】
判定装置101における記憶部85には、たとえば、管理対象の監視装置111のIDすなわち監視装置IDが登録されている。また、記憶部85には、監視装置IDと当該監視装置IDを有する監視装置111に含まれる各センサのIDすなわち電流センサIDおよび電圧センサIDとの対応関係R1が登録されている。
【0081】
判定装置101は、たとえばサーバであり、監視情報を収集装置151から定期的に取得し、取得した監視情報を処理する。なお、判定装置101は、たとえば収集装置151に内蔵される構成であってもよい。
【0082】
より詳細には、判定装置101における通信処理部84は、ネットワークを介して、収集装置151等の他の装置と情報の送受信を行う。
【0083】
通信処理部84は、指定された日毎処理タイミング、たとえば毎日の午前0時において監視情報収集処理を行う。なお、判定装置101を収集装置151に内蔵する構成にすれば、より短い間隔で監視情報を容易に収集することができる。
【0084】
より詳細には、通信処理部84は、日毎処理タイミングが到来すると、記憶部85に登録されている各監視装置IDを参照し、参照した各監視装置IDに対応し、日毎処理タイミングの24時間前から当該日毎処理タイミングまで(以下、処理日とも称する。)に属する受信時刻を含む監視情報を要求するための監視情報要求を収集装置151へ送信する。
【0085】
収集装置151は、判定装置101から監視情報要求を受信すると、受信した監視情報要求に従って、監視情報要求の内容を満足する1または複数の監視情報を判定装置101へ送信する。
【0086】
図8は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける判定装置が保持する監視情報の一例を示す図である。
【0087】
図8を参照して、通信処理部84は、監視情報要求の応答として収集装置151から1または複数の監視情報を受信すると、受信した各監視情報を記憶部85に保存するとともに、処理完了通知を取得部86へ出力する。
【0088】
取得部86は、発電部78の出力の計測結果に基づく計測データを取得する。
【0089】
より詳細には、たとえば、取得部86は、通信処理部84から処理完了通知を受けると、記憶部85に登録されている対応関係R1を参照し、監視情報に含まれるある1分間における複数の電流値および複数の電圧値を記憶部85から取得し、電流センサIDごとに、取得した電流値および電圧値を乗じて発電電力を算出し、計測データとして生成部82へ出力する。
【0090】
生成部82は、取得部86によって取得された計測データに基づいて、当該計測データの時間的な粒度を粗くしたデータ、すなわち、ある期間における計測データに基づくデータであって当該計測データと比べて発電電力等の要素値間の時間の間隔を大きくしたデータを生成する。
【0091】
より詳細には、生成部82は、たとえば、取得部86が計測データとして取得した1分間の各発電電力、すなわち10回分の発電電力の平均値Mを算出し、記憶部85に保存するとともに、判定部81へ出力する。
【0092】
取得部86および生成部82は、記憶部85に保存されている次の1分間における各発電電力に対して同様の処理を行う。そして、取得部86および生成部82は、1日分の発電電力に対して当該処理を繰り返すことにより、電流センサIDごとの、1日分の平均値M(以下、1分毎データとも称する。)を生成する。
【0093】
なお、生成部82は、生成した各平均値Mに対応する1日分の計測データを記憶部85から削除してもよい。
【0094】
また、取得部86は、たとえば、対応関係R1を参照し、生成部82によって生成された電流センサIDごとの1分毎データを記憶部85から計測データとして取得し、生成部82へ出力する。
【0095】
そして、生成部82は、たとえば、取得部86から受けた1分毎データから、10分間隔の平均値Mをたとえば1日分選択し、選択した各平均値Mを時系列に並べた10分毎データを生成して記憶部85に保存するとともに、判定部81へ出力する。
【0096】
なお、生成部82は、生成した10分毎データに対応する1分毎データを記憶部85から削除してもよい。
【0097】
また、取得部86は、たとえば、対応関係R1を参照し、生成部82によって生成された電流センサIDごとの10分毎データを1年分選択し、選択した各10分毎データを記憶部85から計測データとして取得し、生成部82へ出力する。
【0098】
そして、生成部82は、たとえば、取得部86から受けた各10分毎データから、1日のうちで発電電力が最大値を示すデータをたとえば1年分選択し、選択した各最大値を時系列に並べた1日毎データを生成して記憶部85に保存するとともに、判定部81へ出力する。
【0099】
なお、生成部82は、たとえば、生成した1日毎データの期間に対応する1年のうちの最初の日以前の10分毎データを記憶部85から削除してもよい。
【0100】
また、生成部82は、たとえば、1年分の10分毎データに基づいて1日毎データを新たに生成する構成に限らず、生成済の1日毎データを更新する構成であってもよい。
【0101】
より詳細には、取得部86は、処理日の10分毎データを記憶部85から取得して生成部82へ出力する。また、取得部86は、たとえば、生成部82により生成または更新された1日毎データを記憶部85から取得して生成部82へ出力する。
【0102】
生成部82は、取得部86から受けた1日毎データにおける最初の日の最大値を削除し、取得部86から受けた処理日の10分毎データの示す発電電力のうちの最大値を選択し、選択した最大値を当該1日毎データに追加することにより当該1日毎データを更新し、更新後の1日毎データを記憶部85に保存する。
【0103】
以下、計測データ、1分毎データ、10分毎データおよび1日毎データの各々を、判定データとも称する。
【0104】
判定部81は、長さの異なる期間にわたる判定データからそれぞれ異なる基準を用いて発電部78に関する異常を判定する。判定部81は、各基準において異なる粒度の判定データを用いる。たとえば、判定部81は、3つ以上の基準を用いて発電部78に関する異常を判定する。たとえば、各基準を用いて判定される異常の種類は異なる。
【0105】
具体的には、たとえば、太陽電池パネル79を接続する配線が断線したり、太陽電池パネル79の発熱により内部配線が断線したりする場合、計測データに基づいて算出された平均値Mは、直前の平均値Mと比べて急激に低下する。
【0106】
判定部81は、第1の基準を用いて、このような短期間における平均値Mの急激な低下を異常と判定する。
【0107】
第1の基準は、たとえば、平均値Mが直前の平均値Mと比べて所定値以上低下したか否かである。
【0108】
判定部81は、第1の基準を用いて、平均値Mが前回算出した平均値Mと比べて所定値以上低下した場合、対応の発電部78が異常であると判定し、異常である旨の情報(以下、第1異常情報とも称する。)を通信処理部84へ出力する。
【0109】
図9は、異常と判定される10分毎データの一例を示す図である。図9において、横軸は時間を示し、縦軸は発電電力を示す。
【0110】
図9を参照して、グラフD1は、終日晴天であった1日の発電部78の発電電力を示し、グラフD2は、午前中が曇天であった1日の発電部78の発電電力を示し、グラフD3は、午後が曇天であった1日の発電部78の発電電力を示す。このように、天気等の影響により発電部78が十分に発電できない時間帯がある場合、発電部78の発電電力は、グラフD2およびD3に示すように晴天時の発電電力と比べて低下する。
【0111】
判定部81は、第2の基準を用いて、このような1日のある時間帯における発電電力の低下を異常と判定する。
【0112】
第2の基準は、たとえば、機械学習たとえばk-meansによる10分毎データのクラスタリングの結果を用いた、グラフD2が分類されたクラスタまたはグラフD3が分類されたクラスタに10分毎データが分類されるか否かである。
【0113】
判定部81は、第2の基準を用いて、グラフD2が分類されたクラスタまたはグラフD3が分類されたクラスタに10分毎データが分類された場合、対応の発電部78が異常であると判定し、異常である旨の情報(以下、第2異常情報とも称する。)を通信処理部84へ出力する。
【0114】
このように、クラスタリングの結果を用いることにより、たとえば、ある時間帯における発電電力の低下を検知することができるため、異常の原因の推定に活用することができる。たとえば、終日晴天であった1日の発電部78の発電電力が図9に示すグラフD2またはグラフD3であった場合、それぞれ、午前または午後の発電電力の低下は、日影の影響等が考えられる。
【0115】
図10は、異常と判定される1日毎データの一例を示す図である。図10において、横軸は時間を示し、縦軸は発電電力を示す。グラフY1は、発電部78が1年間で発電する理想的な発電電力を示し、グラフY2は、ある1年間における発電部78の発電電力を示す。
【0116】
図10を参照して、発電部78の発電電力は、たとえば、太陽電池パネル79の経年劣化、太陽電池パネル79における配線の半田の高抵抗化、または太陽電池パネル79の内部への水分の侵入等により、徐々に低下する場合がある。
【0117】
判定部81は、第3の基準を用いて、このように発電電力が徐々に低下する状態を異常と判定する。
【0118】
第3の基準は、たとえば、発電電力が、所定期間K1において、自己の発電部78の過去の発電電力に基づいて設定された閾値TH1以上低下しているか否かである。なお、閾値TH1は、所定期間K1における他の発電部78の発電電力の低下量に基づいて設定されてもよい。
【0119】
判定部81は、発電電力が所定期間K1たとえば1年間で閾値TH1以上低下している場合、対応の発電部78を異常であると判定し、異常である旨の情報(以下、第3異常情報とも称する。)を通信処理部84へ出力する。
【0120】
通信処理部84は、判定部81によって判定された異常を通知する。たとえば、各基準を用いて判定させる異常の通知内容は異なる。
【0121】
より詳細には、通信処理部84は、判定部81から受けた第1異常情報、第2異常情報および第3異常情報を、たとえば、e-mail等の形式にしてネットワーク経由でサーバ等の外部の装置へ送信する。各異常情報は、たとえば、異常の度合いがレベルにより区別される場合、異なるレベルを示す。
【0122】
なお、取得部86は、監視情報に含まれる複数の電流値および複数の電圧値に基づいて、発電電力を計測データとして算出する構成に限らず、監視情報に含まれる複数の電流値を計測データとして取得する構成であってもよい。
【0123】
この場合、たとえば、生成部82は、取得部86が取得した1分間の各電流値、すなわち10回分の電流値の平均値Mを算出する。
【0124】
また、取得部86は、監視情報に含まれる複数の電流値および複数の電圧値に基づいて、発電電力を計測データとして算出する構成に限らず、監視情報に含まれる複数の電圧値を計測データとして取得する構成であってもよい。
【0125】
この場合、たとえば、生成部82は、取得部86が取得した1分間の各電圧値、すなわち10回分の電圧値の平均値Mを算出する。
【0126】
また、第1基準、第2基準および第3基準を用いて異常を判定する期間は、それぞれ、1分、1日および1年に限らず、10分、1時間および1週間等であってもよい。
【0127】
[動作の流れ]
監視システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0128】
図11は、本発明の実施の形態に係る判定装置が発電部に関する異常判定を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0129】
図11を参照して、まず、判定装置101は、太陽電池パネルを含む発電部78の出力の計測結果を含む監視情報を受信する(ステップS101)。
【0130】
次に、判定装置101は、受信した監視情報を蓄積する(ステップS102)。
【0131】
次に、判定装置101は、蓄積した監視情報に含まれる計測結果に基づく計測データを取得する(ステップS103)。
【0132】
次に、判定装置101は、取得した計測データに基づいて、計測データの時間的な粒度を粗くした1分毎データを生成して蓄積する(ステップS104)。
【0133】
次に、判定装置101は、取得した計測データから第1の基準を用いて発電部78に関する異常を判定する(ステップS105)。
【0134】
判定装置101は、発電部78が異常であると判定した場合(ステップ105でYES)、第1異常情報をサーバへ送信する(ステップS106)。
【0135】
次に、判定装置101は、生成した1分毎データに基づいて、1分毎データの時間的な粒度を粗くした10分毎データを生成して蓄積する(ステップS107)。
【0136】
一方、判定装置101は、発電部78が正常であると判定した場合(ステップS105でNO)、生成した1分毎データに基づいて、1分毎データの時間的な粒度を粗くした10分毎データを生成して蓄積する(ステップS107)。
【0137】
次に、判定装置101は、10分毎データから第2の基準を用いて発電部78に関する異常を判定する(ステップS108)。
【0138】
次に、判定装置101は、発電部78が異常であると判定した場合(ステップS108でYES)、第2異常情報をサーバへ送信する(ステップS109)。
【0139】
次に、判定装置101は、生成した10分毎データに基づいて、10分毎データの時間的な粒度を粗くした1日毎データを生成して蓄積する(ステップS110)。
【0140】
一方、判定装置101は、発電部78が正常であると判定した場合(ステップS108でNO)、10分毎データの時間的な粒度を粗くした1日毎データを生成して蓄積する(ステップS110)。
【0141】
次に、判定装置101は、1日毎データから第3の基準を用いて発電部78に関する異常を判定する(ステップS111)。
【0142】
次に、判定装置101は、発電部78が異常であると判定した場合(ステップS111でYES)、第3異常情報をサーバへ送信する(ステップS112)。
【0143】
次に、判定装置101は、新たな監視情報を受信するまで待機する(ステップS101)。
【0144】
一方、判定装置101は、発電部78が正常である判定した場合(ステップS111でNO)、新たな監視情報を受信するまで待機する(ステップS101)。
【0145】
なお、本発明の実施の形態に係る判定装置では、3つ以上の基準を用いて発電部78に関する異常を判定する構成であるしたが、これに限定するものではない。判定装置101は、2つの基準を用いて発電部78に関する異常を判定する構成であってもよい。
【0146】
また、本発明の実施の形態に係る判定装置では、第1の基準を用いて判定される異常の種類および通知内容と、第2の基準を用いて判定される異常の種類および通知内容とは、それぞれ異なる構成であるとしたが、これに限定するものではない。第1の基準を用いて判定される異常の種類および通知内容と、第2の基準を用いて判定される異常の種類および通知内容とは、それぞれ同一であってもよい。
【0147】
ところで、特許文献1に記載の技術を超えて、太陽光発電システムの異常判定を向上させることが可能な技術が望まれる。
【0148】
本発明の実施の形態に係る判定装置では、取得部86は、発電部78の出力の計測結果に基づく計測データを取得する。生成部82は、取得部86によって取得された計測データに基づいて、計測データの時間的な粒度を粗くした1または複数の判定データを生成する。判定部81は、取得部86によって取得された計測データおよび生成部82によって生成された1または複数の判定データのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて発電部78に関する異常を判定する。
【0149】
このような構成により、比較的短期間にわたる計測値の異常および比較的長期間にわたる計測値の異常を判定することが可能になる。これにより、複数種類の期間での異常が判定され、多様な異常判定を行うことが可能になることにより、たとえば、短期間では計測値の変化がなく長期間にわたる計測結果を確認することにより変化が確認できるような異常を検知することできる。さらに、長期間わたる計測結果では、データの粒度が粗くなることにより捉えることができない短期間での計測値の変化も、短期間にわたる計測結果を確認することにより検知することができる。
【0150】
したがって、本発明の実施の形態に係る判定装置では、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0151】
また、本発明の実施の形態に係る判定装置では、判定部81は、3つ以上の基準を用いて発電部78に関する異常を判定する。
【0152】
このような構成により、さらに長期間にわたる計測値の異常を判定することができ、より多様な異常判定を行うことができる。
【0153】
また、本発明の実施の形態に係る判定装置では、各基準を用いて判定される異常の種類が異なる。
【0154】
このような構成により、ダイオード解放故障および経年劣化等、太陽光発電におけるより多様な異常を判定することができる。
【0155】
また、本発明の実施の形態に係る判定装置では、通信処理部84は、判定部81によって判定された異常を通知する。そして、各基準を用いて判定される異常の通知内容が異なる。
【0156】
このような構成により、いずれの基準を用いて判断された異常であるかを通知内容によって判断することができるため、たとえば、緊急度または重要度に応じた保守対応を行うことができる。
【0157】
また、本発明の実施の形態に係る判定方法では、まず、太陽電池パネル79を含む発電部78の出力の計測結果に基づく計測データデータを取得する。次に、取得した計測データに基づいて、計測データの時間的な粒度を粗くした1または複数の判定データを生成する。次に、取得した計測データおよび生成した1または複数の判定データのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて発電部78に関する異常を判定する。
【0158】
このような構成により、比較的短期間にわたる計測値の異常および比較的長期間にわたる計測値の異常を判定することができる。これにより、複数種類の期間での異常が判定され、多様な異常判定を行うことができる。
【0159】
したがって、本発明の実施の形態に係る判定方法では、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0160】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0161】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
太陽電池パネルを含む発電部を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、
前記発電部の出力の計測結果に基づくデータを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記データに基づいて、前記データの時間的な粒度を粗くした1または複数のデータを生成する生成部と、
前記取得部によって取得された前記データおよび前記生成部によって生成された前記1または複数のデータのうち、長さの異なる期間にわたる複数のデータであって異なる粒度の複数のデータから、それぞれ異なる基準を用いて前記発電部に関する異常を判定する判定部とを備え、
前記発電部は、複数の太陽電池パネルが直列接続されたストリングであり、
前記発電部の出力は、前記発電部の発電電力、電流または電圧である、判定装置。
【符号の説明】
【0162】
1 出力ライン
2,4,5 集約ライン
3 内部ライン
6 キュービクル
7 銅バー
8 PCS
9 電力変換部
11 検出処理部
14 通信部
16 電流センサ
17 電圧センサ
26 電源線
46 信号線
60 集電ユニット
71 集電箱
72,73,77 銅バー
74 太陽電池ユニット
76 接続箱
78 発電部
79 太陽電池パネル
80 PCSユニット
81 判定部
82 生成部
84 通信処理部(通知部)
85 記憶部
86 取得部
101 判定装置
111 監視装置
151 収集装置
301 監視システム
401 太陽光発電システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11