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  • 特許-ガス放散方法およびガス放散管 図1
  • 特許-ガス放散方法およびガス放散管 図2
  • 特許-ガス放散方法およびガス放散管 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ガス放散方法およびガス放散管
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/07 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
F16L55/07 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020038487
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021139451
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【弁理士】
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【弁理士】
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】山岸 秀規
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-111944(JP,U)
【文献】特開2006-266440(JP,A)
【文献】特開平9-257187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状で変形自在な伸縮部材と、
前記伸縮部材の一端側に設けられる配管継手と、
前記伸縮部材の他端側に設けられ、前記伸縮部材の内圧が予め定められた圧力以上になると前記他端を開放状態とするガス放散機構と、を有するガス放散管を用いて、
前記伸縮部材が収縮した状態で前記配管継手をガス配管に接続し、前記伸縮部材が伸長した状態で前記ガス放散機構から前記ガス配管内のガスを放散する、ガス放散方法。
【請求項2】
前記伸縮部材に前記伸縮部材が収縮する方向に付勢する付勢部材を設ける、請求項1に記載のガス放散方法。
【請求項3】
前記伸縮部材は渦巻状に収縮する、請求項1または請求項2に記載のガス放散方法。
【請求項4】
前記配管継手に伸縮部材の内圧を測定する圧力計を設ける、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のガス放散方法。
【請求項5】
前記配管継手に前記伸縮部材内に導入されるガスの圧力を調整する圧力調整弁を設ける、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のガス放散方法。
【請求項6】
前記ガス放散機構は、前記他端に設けられた孔と、前記孔を塞ぐ栓とを有し、前記伸縮部材内の圧力が予め定められた圧力以上になると前記栓が前記孔から外れる、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のガス放散方法。
【請求項7】
筒状で変形自在な伸縮部材と、
前記伸縮部材の一端側に設けられる配管継手と、
前記伸縮部材の他端側に設けられ、前記伸縮部材の内圧が予め定められた圧力未満の場合には前記他端を封止状態に維持し、前記伸縮部材の内圧が予め定められた圧力以上になると前記他端を開放状態とするガス放散機構と、
を有し、
前記伸縮部材を伸長させる圧力は、前記予め定められた圧力未満である、ガス放散管。
【請求項8】
前記伸縮部材を収縮する方向に付勢する付勢部材をさらに有し、前記付勢部材の付勢力に抗じて前記伸縮部材を伸長させる圧力は、前記予め定められた圧力未満である、請求項7に記載のガス放散管。
【請求項9】
前記伸縮部材は渦巻状に収縮する、請求項7または請求項8に記載のガス放散管。
【請求項10】
前記伸縮部材の内圧を測定する圧力計をさらに有する、請求項7から請求項9の何れか一項に記載のガス放散管。
【請求項11】
前記配管継手は、前記伸縮部材内に導入されるガスの圧力を調整する圧力調整弁を有する、請求項7から請求項10の何れか一項に記載のガス放散管。
【請求項12】
前記ガス放散機構は、前記他端に設けられた孔と、前記孔を塞ぐ栓とを有し、
前記栓が前記孔から外れる圧力は前記予め定められた圧力以上である、請求項7から請求項11の何れか一項に記載のガス放散管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス配管の補修等において、配管内に残留したガスを放散させるガス放散方法およびガス放散管に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス配管やガス設備の置換等でガスを大気に放出させる場合に、作業に従事する作業者や通行人がガスに接触しないようにガスの放散口を嵩上げしたガス放散管が一般的に用いられている。しかしながら、設置費用や、配管の腐食等の管理費用の問題から、全てのガス放出部分にガス放散管を設けることは困難である。このため、ガス放出の頻度が少ない部分には仮設のガス放散管を設置し、当該放散管からガスを放散させている。
【0003】
仮設のガス放散管は、ガス配管に設けられたプラグやフランジで封止された分岐管に接続される。仮設のガス放散管が分岐管に接続された状態で、封止状態のプラグやフランジが開放されることで、分岐管および仮設のガス放散管を通じて配管内に残留したガスが大気中に放散される。
【0004】
仮設のガス放散管は、上述したように作業に従事する作業者や通行人がガスに接触しないように、少なくとも作業者の身長よりも高い位置までガスの放散口を嵩上げする必要がある。特許文献1には、ガスの放散時にのみ所定の高さに放散管を伸長させ、常時は放散管を収縮させて、その高さを低く抑える伸縮式のガス放散塔が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-182372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された伸縮式ガス放散塔は重量が大きく、さらには、内管を上昇させる昇降装置が必要となり、仮設のガス放散管として用いるには不向きである。本発明は、このような従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、配管内に残留したガスを簡易に放散できるガス放散方法および当該ガス放散方法で用いる簡易な構成のガス放散管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)筒状で変形自在な伸縮部材と、前記伸縮部材の一端側に設けられる配管継手と、前記伸縮部材の他端側に設けられ、前記伸縮部材の内圧が予め定められた圧力以上になると前記他端を開放状態とするガス放散機構と、を有するガス放散管を用いて、前記伸縮部材が収縮した状態で前記配管継手をガス配管に接続し、前記伸縮部材が伸長した状態で前記ガス放散機構から前記ガス配管内のガスを放散する、ガス放散方法。
(2)前記伸縮部材に前記伸縮部材が収縮する方向に付勢する付勢部材を設ける、(1)に記載のガス放散方法。
(3)前記伸縮部材は渦巻状に収縮する、(1)または(2)に記載のガス放散方法。
(4)前記配管継手に伸縮部材の内圧を測定する圧力計を設ける、(1)から(3)の何れか1つに記載のガス放散方法。
(5)前記配管継手に前記伸縮部材内に導入されるガスの圧力を調整する圧力調整弁を設ける、(1)から(4)の何れか1つに記載のガス放散方法。
(6)前記ガス放散機構は、前記他端に設けられた孔と、前記孔を塞ぐ栓とを有し、前記伸縮部材内の圧力が予め定められた圧力以上になると前記栓が前記孔から外れる、(1)から(5)の何れか1つに記載のガス放散方法。
(7)筒状で変形自在な伸縮部材と、前記伸縮部材の一端側に設けられる配管継手と、前記伸縮部材の他端側に設けられ、前記伸縮部材の内圧が予め定められた圧力未満の場合には前記他端を封止状態に維持し、前記伸縮部材の内圧が予め定められた圧力以上になると前記他端を開放状態とするガス放散機構と、を有し、前記伸縮部材を伸長させる圧力は、前記予め定められた圧力未満である、ガス放散管。
(8)前記伸縮部材を収縮する方向に付勢する付勢部材をさらに有し、前記付勢部材の付勢力に抗じて前記伸縮部材を伸長させる圧力は、前記予め定められた圧力未満である、(7)に記載のガス放散管。
(9)前記伸縮部材は渦巻状に収縮する、(7)または(8)に記載のガス放散管。
(10)前記伸縮部材の内圧を測定する圧力計をさらに有する、(7)から(9)の何れか1つに記載のガス放散管。
(11)前記配管継手は、前記伸縮部材内に導入されるガスの圧力を調整する圧力調整弁を有する、(7)から(10)の何れか1つに記載のガス放散管。
(12)前記ガス放散機構は、前記他端に設けられた孔と、前記孔を塞ぐ栓とを有し、前記栓が前記孔から外れる圧力は前記予め定められた圧力以上である、(7)から(11)の何れか1つに記載のガス放散管。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るガス放散管は伸縮部材を有し、ガスの内圧により当該伸縮部材が伸長した後にガスが放散される。このため、当該伸縮部材を伸長させる昇降装置が必要のない簡易なガス放散管にできるとともに、当該ガス放散管を用いて、作業に従事する作業者や歩行者がガスに接触しないように離れた場所から安全にガスを放散できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るガス放散管の一例を示す模式図である。
図2】本実施形態に係るガス放散管を用いたガス放散方法を説明する図である。
図3】本実施形態に係るガス放散管の別例を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係るガス放散管10の一例を示す模式図である。図1(a)は、伸縮部材12が伸長した状態を示し、図1(b)は、伸縮部材12が渦巻状に収縮した状態を示す。図1(c)は、図1(b)の側面図である。ガス放散管10は、伸縮部材12と、配管継手14と、ガス放散機構16とを有する。伸縮部材12は、可撓性であって軟質、軽量の材料から構成される変形自在な筒状部材である。伸縮部材12は、例えば、軟質塩化ビニルやポリプロピレン等の樹脂材料のシート材を筒袋状とした部材である。図1(c)に示すように、伸縮部材12は渦巻状に収縮しており、伸縮部材12の内部にガスが導入されると、当該ガスの圧力によって伸縮部材12が伸長し、図1(a)に示す状態になる。
【0011】
伸縮部材12は、収縮時の全長が1m以下であり、伸長後の全長が2m以上であることが好ましい。また、伸縮部材12の変形前後の全長差は1m以上であることが好ましく、伸縮部材12の収縮時の全長は伸長後の全長に対して1/2以下であることが好ましい。なお、図1には、伸縮部材12が筒袋状の部材である例を示したが、これに限らない。伸縮部材12は蛇腹状の部材であってもよく、弾性変形する筒袋状の部材であってもよい。
【0012】
配管継手14は、例えば、鋼管や硬質塩化ビニル管など通常の配管材料として使用される材料によって構成される短管である。配管継手14は、伸縮部材12の一端側に設けられる。配管継手14の伸縮部材12が設けられていない側には、フランジ18が設けられている。配管継手14のフランジ18は、ガス配管の分岐管に設けられた対応するフランジに接続される。
【0013】
ガス放散機構16は、伸縮部材12の配管継手14が設けられていない他端側に設けられる。ガス放散機構16は、伸縮部材12と外部とを連通する孔20と、孔20を塞ぐシート材22とを有する。なお、シート材22は、孔20を塞ぐ栓の一例である。シート材22は、孔20を塞ぐように伸縮部材12の外面に接着されており、伸縮部材12の内圧が予め定められた圧力未満の場合には、シート材22によって孔20が塞がれた封止状態が維持される。一方、伸縮部材12の内圧が予め定められた圧力以上になるとシート材22が剥がれる。これにより、孔20を通じて伸縮部材12の内部と外部とが連通し、伸縮部材12の他端は開放状態になる。なお、孔20の口径は、ガス放散管10に導入されるガス流量よりも外部に放散されるガス流量が十分に小さい流量になる径に設定される。
【0014】
伸縮部材12を伸長させるのに要する圧力をP1とし、ガス放散管10からガスを放散させるのに要する圧力をP2とすると、本実施形態に係るガス放散管10ではP1<P2になるようにシート材22の接着強度が調整されている。シート材22の接着強度を調整しP1<P2にすることで、ガス放散管10からガスが放散される前に伸縮部材12が伸長するので、伸縮部材12が渦巻状に収縮した状態でガス放散管10からガスが放散されることが防止される。本実施形態におけるP2は、ガス放散機構16により封止状態とされた伸縮部材12の他端を開放状態にする予め定められた圧力である。また、P1は伸縮部材12を伸長させるのに要する圧力であり、予め定められた圧力P2未満の圧力である。
【0015】
図2は、本実施形態に係るガス放散管10を用いたガス放散方法を説明する図である。図2に示したガス配管30は、製造設備や送給設備から供給されるガスが通る配管である。ガス配管30には、ガス配管30の補修時にガス配管30内に残留したガスを抜き出す分岐管32が設けられている。分岐管32には封止弁34が設けられており、分岐管32からガスを抜き出さない場合には封止弁34により分岐管32は封止されている。また、分岐管32にはフランジ36が設けられている。ガス放散管10が分岐管32に接続される前の状態を図2(a)に示す。なお、図2では、分岐管32内に設けられた封止弁34を示すために、ガス配管30の要素を断面で示している。
【0016】
本実施形態に係るガス放散管10は、伸縮部材12が渦巻状に収縮した状態で搬送され、ガス配管30の補修等でガスを抜き出す部分に近い分岐管32のフランジ36と、配管継手14のフランジ18と、が接続される。ガス放散管10が分岐管32に接続された後、分岐管32の封止弁34が開かれ、ガス配管30内に残留したガスがガス放散管10内に導入される。この状態を示したのが図2(b)である。なお、図2において、黒塗りの封止弁34は封止状態であることを示し、白抜きの封止弁34は開放状態であることを示す。
【0017】
ガス配管30からガスが導入され、伸縮部材12の内圧がP1になると、当該ガスの圧力により渦巻状に収縮した伸縮部材12が伸長され、ガス放散機構16が設けられた伸縮部材12の他端側が嵩上げされる。伸縮部材12が伸長され、且つ広がることで内容積が大きくなるので、分岐管32から伸縮部材12内にガスが導入されたとしても伸縮部材12の内圧は変わらない。伸縮部材12は、内圧P1のまま直線状になるまで伸長される。この状態を示したのが図2(c)である。
【0018】
伸縮部材12が直線状になるまで伸長されると、伸縮部材12の内容積は変わらなくなるので、この状態でガス配管30のガスがさらに伸縮部材12に導入されると、伸縮部材12の内圧はP1より高くなる。伸縮部材12の内圧が高まり、伸縮部材12の内圧がP2より高くなると、シート材22が剥がれ、伸縮部材12内のガスが大気に放散される。この状態を示したのが図2(d)である。
【0019】
上述したように、孔20の口径は、ガス放散管10に導入されるガス流量よりも外部に放散されるガス流量が十分に小さい流量になる径に設定されているので、孔20からガスが放散されたとしても伸縮部材12の内圧はP1より大きい圧力に維持される。このため、大気中にガスを放散させている放散中に伸縮部材12が渦巻状に収縮することはない。
【0020】
ガス配管30のガスが放散されるとともに、空気や窒素等のパージガスがガス配管30に導入される。ガス配管30のガスが放散され、ガス配管30および伸縮部材12内がパージガスに置換された後、分岐管32の封止弁34が閉じられる。封止弁34が閉じられた後、伸縮部材12内に残ったパージガスが伸縮部材12の抜き出し孔(不図示)から抜き出される。パージガスが伸縮部材12から抜き出された後、フランジ18とフランジ36との接続が解除され、ガス放散管10が撤去される。このようにして、本実施形態に係るガス放散管10を用いて、ガス配管30に残留したガスが放散される。
【0021】
このように、本実施形態に係るガス放散管10は、所定の圧力で伸長する伸縮部材12を有し、伸縮部材12を伸長させるのに要する圧力よりもガス放散機構16を開放状態とする圧力を高くしている。これにより、当該伸縮部材を伸長させる昇降装置が必要のない簡易なガス放散管にできるとともに、伸縮部材が伸長する前にガスが放散されることが防止され、作業に従事する作業者や歩行者がガスに接触しないように離れた場所から安全にガスを放散できる。さらに、伸縮部材12が収縮した状態で搬送され、分岐管32に接続されるので、ガス放散管10の搬送や取り扱いが容易になる。また、本実施形態に係るガス放散管10は、搬送や取り扱いが容易なので、仮設のガス放散管として好適に用いられる。
【0022】
なお、本実施形態のガス放散機構16では、孔20と、孔20を塞ぐシート材22で構成される例を示したがこれに限らない。周囲にマグネットシートが貼付けられた孔20と、外縁に針金が設けられたシート材22を用いてもよく、これらを用いることで磁力を用いて孔20を封止できる。孔20を塞ぐようにシート材22を接着すると、シート材22をはがした後、シート材22による孔20の再封止は困難であるが、上記マグネットシートの構成を用いることで、シート材をはがした後においても、当該シート材によって孔20を再封止できる。さらに、配管継手14にフランジ18が設けられ、分岐管32のフランジと接続する例を示したがこれに限らない。例えば、配管継手14は分岐管32とねじ込みにより接続されてもよい。
【0023】
また、本実施形態のガス放散管10の配管継手14は、伸縮部材12の内圧を測定する圧力計を有してもよい。伸縮部材12は、軟質塩化ビニルやポリプロピレン等の樹脂材料から構成されるので、ガス配管30と比較して耐圧性が低い。このため、ガス配管30に高圧ガスが残留している場合に、封止弁34の開度を大きくし過ぎると伸縮部材12の耐圧を超えたガスが供給され、伸縮部材12が破損するおそれがある。これに対し、配管継手14に圧力計が設けられていれば、作業者は当該圧力計の計測値を確認しながら封止弁34の開度を調整できるので、伸縮部材12が破損するリスクは低減する。なお、圧力計としては、配管や圧力容器内のガスの圧力を計測・表示できる機器であって放散させるガスや配管継手形状に対応できるものであれば使用できる。圧力計として、例えば、現場指示計付きブルドン管式圧力計が使用できる。
【0024】
さらに、配管継手14は圧力調整弁を有してもよい。配管継手14が圧力調整弁を有することで、伸縮部材12の内圧が予め定められた圧力を超える圧力になることが防止されるので、これにより、伸縮部材12が破損するリスクはさらに低減する。
【0025】
図3は、本実施形態に係るガス放散管の別例を示す側面模式図である。図3に示すように、ガス放散管40の伸縮部材12は、伸縮部材12の長手方向に沿って設けられ、伸縮部材12を渦巻状に収縮させる方向に付勢する付勢部材42を有する。付勢部材42は、ステンレス鋼等の材質の金属線や金属テープであり、外力がかからない状態では渦巻形状を維持し、外力を加えると弾性変形により直線状に伸長する部材である。伸縮部材12が付勢部材42を有することで、ガス放散管10にガスが導入されている間は、伸縮部材12は伸長状態を維持し、ガス放散管10からガスが除かれた後には、伸縮部材12は渦巻状に収縮する。このように、伸縮部材12は付勢部材42を有してもよく、これにより、使用後に伸縮部材12が付勢部材42の付勢力で渦巻状に収縮するので、使用後においてもガス放散管10の搬送や取り扱いが容易になる。なお、伸縮部材12が付勢部材42を有する場合、付勢部材の付勢力に抗じて伸縮部材12を伸長させる圧力を上述したガス放散機構16からガスを放散させるのに要する圧力であるP2未満とする必要がある。
【実施例
【0026】
高炉ガスを6kPaの圧力で送給する300Aのガス配管の工事に伴い、当該ガス配管内部のガスの放散に本実施形態に係るガス放散管を使用した実施例を説明する。ガス配管に設けられた分岐管は100Aで、封止弁を有する。この分岐管に本実施形態に係るガス放散管10に接続した。
【0027】
本実施例で用いたガス放散管の伸縮部材は、軟質塩化ビニルホースの外面に付勢部材としてステンレス鋼細線が接着された伸縮部材である。伸縮部材の径は100A相当、伸長状態の長さは2000mmである。ガス放散機構は、伸縮部材の先端に設けられ周囲に鋼線が接着された半径10mmの半円状の孔と、半円状のマグネットシートとからなる。半円状のマグネットシートを鋼線に接着させることで孔を封止した。実施例で用いたガス放散管における伸縮部材が伸長する内圧は2.5kPaであり、半円状のマグネットシートがはがれる圧力は4.0kPaである。また、半円状の孔から放散されるガスの流量は34m/hである。
【0028】
ガス配管にパージガスを導入するとともに、分岐管の封止弁を徐々に開いて、伸縮部材の内圧が5kPaとなる開度としてガスをガス放散管に導入した。この状態を60分間維持した。伸縮部材は、分岐管のバルブを開ける前は付勢部材の付勢力により渦巻状に収縮していたが、伸縮部材にガスが導入されるに伴って伸長され、最終的には直線状になるまで伸長し、その後、先端部に設けられた半円状の孔からガスが放散された。60分経過後、パージガスの導入を終了すると伸縮部材は、付勢部材の付勢力により渦巻状に収縮した状態に戻った。この結果から、放散されるガス圧により伸縮部材を伸長させることができ、伸縮部材を伸長させる昇降装置が必要のない簡易なガス放散管にできることが確認された。さらに、伸縮部材が伸長する前にガスが放散されることが防止され、作業に従事する作業者や歩行者がガスに接触しないように離れた場所から安全にガスを放散できることも確認された。
【符号の説明】
【0029】
10 ガス放散管
12 伸縮部材
14 配管継手
16 ガス放散機構
18 フランジ
20 孔
22 シート材
30 ガス配管
32 分岐管
34 封止弁
36 フランジ
40 ガス放散管
42 付勢部材
図1
図2
図3