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特許7163937鋼管の接合継手、該鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法、鋼管矢板
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  • 特許-鋼管の接合継手、該鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法、鋼管矢板 図1
  • 特許-鋼管の接合継手、該鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法、鋼管矢板 図2
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  • 特許-鋼管の接合継手、該鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法、鋼管矢板 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】鋼管の接合継手、該鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法、鋼管矢板
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/08 20060101AFI20221025BHJP
   E02D 5/24 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
E02D5/08
E02D5/24 103
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020048849
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147872
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】大久保 浩弥
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-063806(JP,A)
【文献】特開2016-141976(JP,A)
【文献】実開昭61-109907(JP,U)
【文献】特開2018-123546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/08
E02D 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじを有する内側継手管と、雌ねじを有すると共に複数の回転防止用のタップ孔を有する外側継手管と、前記タップ孔に挿入する回転防止ボルトとを有し、鋼管の端部に取り付けられて該鋼管の接続に用いる鋼管の接合継手であって、
前記外側継手管の回転防止用のタップ孔は、管軸に対して直角方向で、管の半径方向に貫通してなり、
前記内側継手管は、前記外側継手管を嵌合させた際に、前記タップ孔に対応する位置に、螺合逆回転方向ほど深さが深くなるように傾斜する傾斜面部であって、周方向の長さが前記回転防止ボルト径よりも長く設定された逆回転防止用の傾斜面部と、螺合正回転方向ほど深さが深くなるように傾斜する傾斜面部であって、周方向の長さが前記回転防止ボルト径よりも長く設定された正回転防止用の傾斜面部と、を有し、
前記回転防止ボルトは、先端に円錐状の円錐状部を有し、該円錐状部の傾斜角が、前記内側継手管の傾斜面部の傾斜角と同等であり、
前記外側継手管と前記内側継手管を嵌合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの円錐状部を前記傾斜面部に当接させて逆回転及び正回転を防止することを特徴とする鋼管の接合継手。
【請求項2】
請求項1記載の鋼管の接合継手を用いた鋼管矢板の接合方法であって、
前記外側継手管と前記内側継手管を、螺合完了手前の所定の位置まで螺合させ、上下の鋼管矢板の連結継手の位置が一致するように、前記外側継手管と前記内側継手管の周方向の位置を調整した状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの先端を前記傾斜面部に当接させることで前記外側継手管と前記内側継手管の正逆の両方の回転を防止するようにしたことを特徴とする鋼管矢板の接合方法。
【請求項3】
請求項1に記載の鋼管の接合継手により接合されたことを特徴とする鋼管矢板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄ねじが形成された雄継手と雌ねじが形成された雌継手からなり、鋼管の端部に取り付けられて前記鋼管を接合する機械式の鋼管の接合継手、該鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法、及び鋼管の接合継手により接合された鋼管を用いた鋼管矢板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼管杭や鋼管矢板の接続に関しては溶接が主に用いられてきたが、大径厚肉の鋼管を用いる現場や、狭隘地で短い管を多数接続しなければならない現場では、溶接や検査に長時間を要するため、溶接に代わって機械式の継手を用いることが増えてきている。
【0003】
機械式継手には様々な種類があるが、よく用いられる構造として、特許文献1に示されたようなねじ式の継手がある。
ねじ式の継手は、管軸回りの回転力に対して、締め込む方向には十分な耐力を有するが、外す方向に対しては抵抗できないため、特許文献1では、逆回転防止用のボルトを取り付け、このボルトのせん断でねじりに対して抵抗できるようにしている。
【0004】
また、機械式継手の逆回転防止機構の改良版として、特許文献2に開示されたように、内側の管に粗面または異形面部を形成して、ボルトを締め込むことにより、外側の管と内側の管の周方向の位置によらず回転を防止できるというものがある。
【0005】
また、ボルト側に改良を加えた例として、特許文献3、4に開示のものがある。特許文献3に開示のものは、ボルトの先端に摩擦力を増強させるような加工を行うというものであり、特許文献4に開示のものは、ボルトの先端を円錐台状にし、ボルトと当接する溝に線接触するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-311028号公報
【文献】特開2007-63806号公報
【文献】特開2013-245480号公報
【文献】特開2016-141976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示のものは、杭のように鋼管を単独で接続するような場合には特に問題を生じないが、図5図6に示す鋼管矢板13のように、鋼管単独で用いるのではなく、隣接する鋼管15と連結するために鋼管15の外周部に連結継手17が付いている場合には、以下のような問題がある。
【0008】
鋼管矢板13においては、上下の鋼管15を接続する際、連結継手17の位置を上下で合わせることが重要となる。上下の鋼管15を溶接する場合には鋼管周方向の相対位置を微調整しながら接続するが、ねじ式継手の場合、逆回転防止用のボルトの位置を合わせても、連結継手17の位置がわずかに合わないことが起こりうる。製作時には当然方向が合うようにしているが、部材の真円度や部材を取り付ける際の溶接変形などの影響により、最大で10mm程度のずれが生じてしまうためである。
そのため、連結継手17同士の位置を合わせてから連結継手17同士を溶接し、回転を防止するなどの対応をとることが一般的で、機械式継手のメリット(溶接不要、短時間施工)が十分生かせなくなることが多かった。
【0009】
また、特許文献2に開示されたものでは、雄継手と雌継手の周方向の位置を調整して回転防止することができるが、粗面を形成する態様のものでは、摩擦力が表面の状態や、ボルトを締め込む際のトルク等に大きく影響されるため、施工管理が困難である。また、異形面部を形成する態様のものについては、異形面による抵抗力についても、ボルトと異形面部の接触状態は、実質的には点接触となるため、逆転防止の効果はあまり期待できない。
【0010】
また、特許文献3に開示されたボルト側に改良を加えるものは、抵抗力を増加させる効果はあると考えられるが、製品の製作精度や施工精度に依存するため、大きな効果は期待できない。
また、特許文献4に開示されたボルト側の先端を円錐台状に改良を加えるものは、雄ねじを有する内側継手管が、雌ねじを有する外側継手管から、鋼管の軸方向に抜ける方向の移動を拘束する効果はあると考えられるが、円周方向の回転を完全に防止することには効果は期待できない。
【0011】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管の周方向の調整代を有し、かつ逆回転防止の機能を十分に発揮することができる鋼管の接合継手、該鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法及び鋼管の接合継手により接合された鋼管を用いた鋼管矢板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係る鋼管の接合継手は、雄ねじを有する内側継手管と、雌ねじを有すると共に回転防止用のタップ孔を有する外側継手管と、前記タップ孔に挿入する回転防止ボルトとを有し、鋼管の端部に取り付けられて該鋼管の接続に用いるものであって、
前記外側継手管の回転防止用のタップ孔は、管軸に対して直角方向で、管の半径方向に貫通してなり、
前記内側継手管は、前記外側継手管を嵌合させた際に、前記タップ孔に対応する位置に、螺合逆回転方向ほど深さが深くなるように傾斜する傾斜面部であって、周方向の長さが前記回転防止ボルト径よりも長く設定された傾斜面部を有し、
前記回転防止ボルトは、先端に円錐状の円錐状部を有し、該円錐状部の傾斜角が、前記内側継手管の傾斜面部の傾斜角と同等であり、
前記外側継手管と前記内側継手管を嵌合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの円錐状部を前記傾斜面部に当接させて逆回転を防止することを特徴とするものである。
【0013】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記タップ孔と前記傾斜面部と前記回転防止ボルトのそれぞれを複数有し、
少なくとも一つのタップ孔に対応する傾斜面部は、螺合正回転方向ほど深さが深くなるように傾斜することを特徴とするものである。
【0014】
(3)また、本発明に係る鋼管の接合方法は、上記(2)に記載の鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法であって、
前記外側継手管と前記内側継手管を、螺合完了手前の所定の位置まで螺合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの先端を前記傾斜面部に当接させることで前記外側継手管と前記内側継手管の正逆の両方の回転を防止するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
(4)また、本発明に係る鋼管矢板は、上記(1)又は(2)に記載の鋼管の接合継手により接合された鋼管を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、内側継手管は、外側継手管のタップ孔に対応する位置に、螺合逆回転方向ほど深さが深くなるように傾斜する傾斜面部であって、周方向の長さが回転防止ボルト径よりも長く設定された傾斜面部を有し、前記回転防止ボルトの先端に円錐状部を有し、該円錐状部の傾斜角が、前記の内側継手管の傾斜面部の該傾斜角と同等であり、前記外側継手管と前記内側継手管を嵌合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの円錐状部を前記傾斜面部に当接させて逆回転を防止するようにしたので、内側継手管と外側継手管の周方向の調整代を有しており、回転嵌合方向の正確な位置決めが可能で、かつ逆回転防止の機能を十分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態の接合継手の縦断面図である。
図2図1の矢視A-A断面図である
図3】本実施の形態の接合継手において、回転防止ボルトを挿入した状態の説明図である。
図4】本実施の形態の他の態様の説明図であって、本発明を鋼管矢板に適用した場合の説明図である。
図5】鋼管矢板の側面図である。
図6】鋼管矢板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施の形態に係る鋼管の接合継手1は、図1図2に示すように、鋼管3の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管5と、雌ねじを有すると共に回転防止用のタップ孔7a、7bを有する外側継手管7と、タップ孔7a、7bに挿入する回転防止ボルト9とを有し、内側継手管5には逆回転防止用の傾斜面部5a及び正回転防止用の傾斜面部5bが設けられ、外側継手管7と内側継手管5を嵌合させた状態で、タップ孔7a、7bに回転防止ボルト9を挿入して、回転防止ボルト9の先端を傾斜面部5a、5bに当接させることで外側継手管7と内側継手管5の所定の回転篏合位置で逆回転及び正回転を防止するようにしたものである。
以下、詳細に説明する。
なお、本願において、螺合嵌合時における回転方向とは、雄ねじを有する内側継手管5の回転方向によって定義し、螺合嵌合がされる螺合嵌合方向(図2の矢印の方向)を正回転、嵌合が外れる反螺合嵌合方向(図2の矢印と反対方向)を逆回転とする。
【0019】
<鋼管>
鋼管3は、構造物を支持するものであり、例えば鋼管杭、鋼管矢板、鋼管柱等を構成する鋼管が例示できる。
【0020】
<外側継手管>
外側継手管7は、雌ねじを有し、嵌合時に外側に配置されるものであり、管軸11に対して直角方向で、管の半径方向に貫通したタップ孔7a、7bがそれぞれ設けられている。
なお、タップ孔7a、7bは、図1に示すように、ねじが形成されていない部分、具体的には外側継手管7の基端部に設けられている。
【0021】
<内側継手管>
内側継手管5は、雄ねじを有し、螺合嵌合時に内側に配置されるものであり、所定の回転嵌合位置において、タップ孔7a、7bに対応する位置に逆回転防止用の傾斜面部5a及び正回転防止用の傾斜面部5bがそれぞれ設けられている。
【0022】
正回転防止用の傾斜面部5bの態様としては、図2図3に示すように、内側継手管5の外周面に嵌合回転方向(正回転方向)ほど深さが深くなるような矩形の溝部を形成し、その溝部の底部を傾斜面部とするものが挙げられる。
傾斜面部5bは、傾斜面部5bの中心P(篏合完了状態におけるタップ孔7a、7bの中心)と管中心Oを結んだ直線に直交する直線Xに対して、角度θbだけ傾斜している。この角度θbは、回転防止ボルト9の先端の円錐状部9aの傾斜角度α(図2参照)と同等になるように設定されている。
傾斜面部5bの傾斜角度θbとしては、5度~15度が好ましい。
【0023】
傾斜面部5aの態様としては、図2に示すように、内側継手管5の外周面に逆回転方向ほど深さが深くなるような矩形の溝部を形成し、その溝部の底部を傾斜面部とするものが挙げられる。
傾斜面部5aの傾斜角度θaは、傾斜角度θbと同じであり、回転防止ボルト9の先端の円錐状部9aの傾斜角度α(図2参照)と同等になるように設定されている。
なお、傾斜面部5a、5bは、図1に示すように、ねじが形成されていない部分、具体的には内側継手管5の先端部に設けられている。
【0024】
ここで、内側継手管5の傾斜面部5a、5bの周方向の長さについて説明する。まず、本発明における傾斜面部5a、5bの周方向の長さとは、図3に示すように、傾斜面部55b(5a)をタップ孔7b(7a)の中心軸(一点鎖線)に直交する面Sに投影したときの長さLを意味している。
内側継手管5の傾斜面部5a、5bの周方向の長さは、図2図3に示すように、回転防止ボルト9の径よりも長く設定されている。このようにすれば、鋼管矢板の連結継手等、数mm単位で円周方向の位置を合わせる必要のある場合でも、鋼管接続時に連結継手の位置を正確に合わせた状態で、回転防止ボルト9の先端の円錐状部9aを、内側継手管5の矩形の溝部の範囲内で、当該溝部の傾斜面部5a、5bに確実に当接させることができる。
なお、内側継手管5の傾斜面部5a、5bの周方向の長さは、回転防止ボルト9の径の、例えば1.5倍~3倍程度の長さであるのが好ましい。
【0025】
上記のように構成された本実施の形態に係る鋼管の接合継手1においては、図1図3に示すように、外側継手管7と内側継手管5を嵌合させた状態で、タップ孔7a、7bに回転防止ボルト9を挿入して、回転防止ボルト9の先端の円錐状部9aを傾斜面部5a、5bに当接させる。
この状態で、例えば、内側継手管5が反嵌合方向に回転、すなわち逆回転しようとすると、逆回転防止用の傾斜面部5aが回転防止ボルト9の先端の円錐状部9aに当接し、強い抵抗を受けることになり、確実に逆回転を防止することができる。
また、内側継手管5が螺合嵌合方向に回転、すなわち正回転しようとすると、正回転防止用の傾斜面部5bが回転防止ボルト9の先端の円錐状部9aに当たり、強い抵抗を受けることになり、確実に正回転を防止することができる。
【0026】
以上のように、本実施の形態においては、回転嵌合する際にタップ孔7a、7bが傾斜面部5a、5bに対応する位置にあれば、回転防止ボルト9によって正回転及び逆回転の両方の回転を防止することができる。
そのため、隣接する鋼管同士を接続する連結継手を有する鋼管矢板の上下を接続する継手として用いた場合には以下のように施工することができる。
回転篏合完了直前において、上下の鋼管矢板の連結継手の位置が一致するように、内側継手管5と外側継手管7の周方向の位置を調整する。この位置は、継手を完全に締め切る前の直前の位置であってもよい。そして、その位置で回転防止ボルト9を挿入することで、上下の連結継手の位置を正確に位置合わせした状態で、上下の鋼管を接合することができる。
【0027】
このように、本発明によれば、鋼管矢板の連結継手等、数mm単位で方向を合わせる必要のある場合でも、鋼管接続時に連結継手の方向の位置を正確に合わせた状態で、簡単に接合継手1の回転を固定することができ、施工時間を大幅に短縮することができる。
なお、上記の実施の形態では、逆回転防止用と正回転防止用の両方のタップ孔7a、7b及びこれに対応する傾斜面部5a、5bを設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、逆回転防止用のタップ孔7aとこれに対応する傾斜面部5aのみを設けた場合も従来例にない効果を奏するので、発明の範囲に含まれる。
また、タップ孔及びこれに対応する傾斜面部をそれぞれ2個設ける例を示したが、これらをそれぞれ3個以上設けた場合も、更に確実な効果を奏するので、発明の範囲に含まれる。
【0028】
なお、継手の螺合嵌合完了位置が少しずれたとしても、回転防止ボルト9を挿入して回転防止をすることができる点は、特許文献2と同様であるが、特許文献2では回転防止ボルト9と、雄ねじを有する内側継手管5の接触が点接触であるため、回転防止の抵抗力が小さいのに対して、本発明では、回転防止ボルト9の先端を円錐状にして、内側継手管5の傾斜面部5a、5bに線接触しているので、抵抗力が大きくなり、回転防止効果を確実に発揮することができる。
【0029】
なお、上記の実施の形態では、例えば鋼管杭のように鋼管に継手のないものを例に挙げたが、本発明に係る鋼管の接合継手1は、図4に示すように、鋼管矢板13のように連結継手17を有する鋼管の接合継手としても有効である。
鋼管矢板13に適用した場合には、回転篏合完了直前において、上下の鋼管矢板13の連結継手17の位置が一致するように、内側継手管5と外側継手管7の周方向の位置を調整し、その位置で回転防止ボルト9を挿入することで、上下の連結継手17の位置を正確に位置合わせした状態で、上下の鋼管矢板13を接合することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 接合継手
3 鋼管
5 内側継手管
5a、5b 傾斜面部
7 外側継手管
7a、7bタップ孔
9 回転防止ボルト
9a 円錐状部
11 管軸
13 鋼管矢板
15 鋼管
17 連結継手
図1
図2
図3
図4
図5
図6