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特許7163941データ管理システム、データ管理方法、および、データ管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】データ管理システム、データ管理方法、および、データ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
G05B23/02 301U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020111700
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010913
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江間 伸明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 善貴
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-002579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサのそれぞれから取得するデータ取得部と、
取得した前記測定データを記録するデータ記録部と、
前記複数のセンサのうちの、前記流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサから取得した前記測定データに基づいて、対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させるデータ量低減部と
を備え
前記データ量低減部は、対応する期間における前記他のセンサから取得した前記測定データの時系列変化と、対象となる期間における前記対象となるセンサから取得した前記測定データの時系列変化との相似度が予め定められた範囲内にある場合に、前記対象となる期間における前記対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させる、データ管理システム。
【請求項2】
前記他のセンサは、前記対象となるセンサと測定対象の物理量が同一である、請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記データ量低減部は、前記対象となる期間の始点と終点を除く少なくとも1つの時刻について前記対象となるセンサから取得した前記測定データの一部を削除する、請求項1または2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記データ量低減部は、前記対象となるセンサから取得した前記測定データの単位時間あたりのサンプルの数を低減させる、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記データ量低減部は、前記対象となるセンサから取得した前記測定データの1データあたりのデータサイズを低減させる、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記データ量低減部は、予め定められた時間が経過したことに応じて、前記対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させる、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項7】
前記データ量低減部は、前記測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回ったことに応じて、前記対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させる、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項8】
データ量が低減された後における前記測定データを、前記測定データを利用する他のデータ利用装置へ送信するデータ送信部を更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項9】
流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサのそれぞれから取得することと、
取得した前記測定データを記録することと、
前記複数のセンサのうちの、前記流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサから取得した前記測定データに基づいて、対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させることと
を備え
前記データ量を低減させることは、対応する期間における前記他のセンサから取得した前記測定データの時系列変化と、対象となる期間における前記対象となるセンサから取得した前記測定データの時系列変化との相似度が予め定められた範囲内にある場合に、前記対象となる期間における前記対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させることを含む、データ管理方法。
【請求項10】
コンピュータにより実行されて、前記コンピュータを、
流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサのそれぞれから取得するデータ取得部と、
取得した前記測定データを記録するデータ記録部と、
前記複数のセンサのうちの、前記流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサから取得した前記測定データに基づいて、対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させるデータ量低減部と
して機能させ
前記データ量低減部は、対応する期間における前記他のセンサから取得した前記測定データの時系列変化と、対象となる期間における前記対象となるセンサから取得した前記測定データの時系列変化との相似度が予め定められた範囲内にある場合に、前記対象となる期間における前記対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させる、データ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ管理システム、データ管理方法、および、データ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「プラント2を構成する機器および配管のうち、プロセス値推定ルールを適用可能な機器および配管に対するプロセス値が自動的に推定される。」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2020-042692
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、データ管理システムを提供する。データ管理システムは、流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサのそれぞれから取得するデータ取得部を備えてよい。データ管理システムは、取得した測定データを記録するデータ記録部を備えてよい。データ管理システムは、複数のセンサのうちの、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサから取得した測定データに基づいて、対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させるデータ量低減部を備えてよい。
【0004】
他のセンサは、対象となるセンサと測定対象の物理量が同一であってよい。
【0005】
データ量低減部は、対応する期間における他のセンサから取得した測定データの時系列変化に基づいて、対象となる期間における対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させてよい。
【0006】
データ量低減部は、対応する期間における他のセンサから取得した測定データの時系列変化と、対象となる期間における対象となるセンサから取得した測定データの時系列変化との相似度が予め定められた範囲内にある場合に、対象となる期間における対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させてよい。
【0007】
データ量低減部は、対象となる期間の始点と終点を除く少なくとも1つの時刻について対象となるセンサから取得した測定データの一部を削除してよい。
【0008】
データ量低減部は、対象となるセンサから取得した測定データの単位時間あたりのサンプルの数を低減させてよい。
【0009】
データ量低減部は、対象となるセンサから取得した測定データの1データあたりのデータサイズを低減させてよい。
【0010】
データ量低減部は、予め定められた時間が経過したことに応じて、対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させてよい。
【0011】
データ量低減部は、測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回ったことに応じて、対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させてよい。
【0012】
データ管理システムは、データ量が低減された後における測定データを、測定データを利用する他のデータ利用装置へ送信するデータ送信部を更に備えてよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、データ管理方法を提供する。データ管理方法は、流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサのそれぞれから取得することを備えてよい。データ管理方法は、取得した測定データを記録することを備えてよい。データ管理方法は、複数のセンサのうちの、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサから取得した測定データに基づいて、対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させることを備えてよい。
【0014】
本発明の第3の態様においては、データ管理プログラムを提供する。データ管理プログラムは、コンピュータにより実行されてよい。データ管理プログラム、コンピュータを、 流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサのそれぞれから取得するデータ取得部として機能させてよい。データ管理プログラム、コンピュータを、取得した測定データを記録するデータ記録部として機能させてよい。データ管理プログラム、コンピュータを、複数のセンサのうちの、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサから取得した測定データに基づいて、対象となるセンサについて記録するデータ量を低減させるデータ量低減部として機能させてよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を、プラント10と共に示す。
図2】本実施形態に係るデータ管理システム100が管理する測定データの一例を示す。
図3】本実施形態に係るデータ管理システム100が記録するデータ量を低減させるフローの一例を示す。
図4】本実施形態の変形例に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を示す。
図5】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、本実施形態に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を、プラント10と共に示す。本図においては、データ管理システム100が、プラント10に設けられた複数のセンサ20から取得した測定データを管理対象とする場合について一例として示す。しかしながら、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、プラント10とは異なる如何なる場所に設けられた1または複数のセンサ20からの測定データを管理対象としてもよい。
【0019】
プラント10は、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、および、上下水やダム等を管理制御するプラント等であってよい。プラント10においては、流体が流路の上流から下流に向かって流れ、プロセスが進行する。このようなプラント10には、1または複数のセンサ20が設けられていてよい。本図においては、プラント10において、少なくともセンサ20a、センサ20b、および、センサ20c(「センサ20」と総称する。)が設けられている場合を一例として示している。
【0020】
センサ20は、流路を流れる流体を測定した測定データを取得可能であってよい。センサ20は、例えば、OT(Operational Technology)領域に設置されているセンサ(例えば、プロセス制御(測定)用センサ)やIoT(Internet of Things)センサであってよく、一例として、プラントに設けられた1または複数のフィールド機器と接続、または、一体に構成された産業用(Industrial)センサであってよい。
【0021】
また、このようなプラントに設けられたフィールド機器は、例えば、圧力計、流量計、温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、および、各機器の位置情報を出力する位置検出機器等であってよい。
【0022】
ここで、複数のセンサ20のそれぞれは、測定対象とする物理量が同一であってよい。すなわち、センサ20aからセンサ20cの全てが、同じ物理量の測定データを取得可能であってよい。これに代えて、複数のセンサ20のそれぞれは、測定対象とする物理量の一部または全部が異なっていてもよい。すなわち、センサ20aからセンサ20cの一部が異なる物理量の測定データを取得可能であってもよいし、センサ20aからセンサ20cの全てが異なる物理量の測定データを取得可能であってもよい。
【0023】
本実施形態においては、一例として、センサ20aは、流体が流れる流路における上流付近に設けられた流量計であるものとする。また、センサ20cは、当該流路における下流付近に設けられた流量計であるものとする。また、センサ20bは、当該流路におけるセンサ20aよりも下流側であって、センサ20cよりも上流側である中流付近に設けられた流量計であるものとする。そして、本実施形態において、データ管理システム100は、測定データとして、少なくとも、センサ20aから上流付近の流量Faを、センサ20bから中流付近の流量Fbを、センサ20cから下流付近の流量Fcを、それぞれ取得するものとする。
【0024】
本実施形態に係るデータ管理システム100は、複数のセンサ20のそれぞれから測定データを取得して記録する。そして、データ管理システム100は、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサ20から取得した測定データに基づいて、対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させる。
【0025】
データ管理システム100は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、データ管理システム100は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、データ管理システム100は、データの管理用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。また、データ管理システム100がインターネットに接続可能な場合、データ管理システム100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0026】
データ管理システム100は、データ取得部110、データ記録部120、相似度算出部130、データ選択部140、および、データ量低減部150を備える。なお、これらブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際のデバイス構成とは必ずしも一致していなくてもよい。すなわち、本図において、1つのブロックとして示されているからといって、それが必ずしも1つのデバイスにより構成されていなくてもよい。また、本図において、別々のブロックとして示されているからといって、それらが必ずしも別々のデバイスにより構成されていなくてもよい。
【0027】
データ取得部110は、流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサ20のそれぞれから取得する。一例として、データ取得部110は、通信部であってよく、例えば、通信ネットワークを介して、流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサ20のそれぞれから時系列に取得する。
【0028】
このような通信ネットワークは、複数のコンピュータを接続するネットワークであってよい。例えば、通信ネットワークは、複数のコンピュータネットワークを相互接続したグローバルなネットワークであってよく、一例として、通信ネットワークは、インターネット・プロトコルを使用したインターネット等であってよい。これに代えて、通信ネットワークは、専用回線により実現されていてもよい。すなわち、データ取得部110は、携帯電話、スマートフォン、第4世代(4G)端末、および、第5世代(5G)端末等との間で直接的に、または、間接的にやり取りし、測定データを取得することもできる。
【0029】
なお、上述の説明では、データ取得部110が通信ネットワークを介して複数のセンサ20のそれぞれから測定データを取得する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。データ取得部110は、例えば、ユーザ入力や各種メモリデバイス等、通信ネットワークとは異なる他の手段を介して複数のセンサ20のそれぞれから測定データを取得してもよい。
【0030】
データ取得部110は、例えば、流量、圧力、温度、および、これらの組み合わせ等の測定データを、複数のセンサ20のそれぞれから取得してよい。また、データ取得部110は、これらのデータを基に数式を用いて生成された値を測定データとして取得してもよい。データ取得部110は、複数のセンサ20のそれぞれから取得した測定データを、データ記録部120へ供給する。
【0031】
データ記録部120は、取得した測定データを記録する。一例として、データ記録部120は、データ取得部110から供給された複数のセンサ20からの測定データを、センサ毎に時系列に記録してよい。
【0032】
相似度算出部130は、データ記録部120にアクセス可能であってよく、データ記録部120に記録された複数のセンサ20からの測定データを閲覧する。そして、相似度算出部130は、複数のセンサ20から取得したそれぞれの測定データについて、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサ20から取得した測定データとの間における時系列変化の相似度を算出する。これについては、後述する。相似度算出部130は、算出した相似度に関する情報を、データ選択部140へ供給する。
【0033】
データ選択部140は、相似度算出部130から供給された相似度に関する情報を参照する。そして、データ選択部140は、データ記録部120が記録した複数のセンサ20からの測定データの中から、データ量を低減すべきデータ群を選択する。一例として、データ選択部140は、ある期間においてあるセンサ20から取得した測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択してよい。データ選択部140は、選択したデータ群に関する情報を、データ量低減部150へ供給する。
【0034】
データ量低減部150は、複数のセンサ20のうちの、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサ20から取得した測定データに基づいて、対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させる。なお、この際、他のセンサ20は、対象となるセンサ20と測定対象の物理量が同一であってよい。より詳細には、例えば、データ量低減部150は、データ選択部140が選択したデータ群に関する情報を参照して、データ量を低減すべき対象となる期間および対象となるセンサ20を特定する。そして、データ量低減部150は、データ記録部120が記録した測定データのうち、対象となる期間において対象となるセンサ20から取得した測定データについて、記録するデータ量を低減させる。
【0035】
図2は、本実施形態に係るデータ管理システム100が管理する測定データの一例を示す。本図においては、データ管理システム100が、センサ20a、センサ20b、および、センサ20cの3つのセンサ20から取得した測定データを一例として示している。しかしながら、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、3つよりも多い、または、少ない1または複数のセンサ20から測定データを取得してよい。
【0036】
上述のとおり、本実施形態においては、一例として、センサ20aは、流体が流れる流路における上流付近に設けられた流量計であるものとする。また、センサ20cは、当該流路における下流付近に設けられた流量計であるものとする。また、センサ20bは、当該流路におけるセンサ20aよりも下流側であって、センサ20cよりも上流側である中流付近に設けられた流量計であるものとする。そして、本実施形態において、データ管理システム100は、測定データとして、センサ20aから上流付近の流量Faを、センサ20bから中流付近の流量Fbを、センサ20cから下流付近の流量Fcを、それぞれ取得するものとする。
【0037】
本図においては、上から順に、センサ20a、センサ20b、および、センサ20cからの測定データである、流量Fa、流量Fb、および、流量Fcを、時刻T=1から時刻T=30まで時系列に示している。なお、本図においては、データ管理システム100が全てのセンサ20から時刻的に同期して測定データを取得した場合について、一例として示している。しかしながら、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、複数のセンサ20における少なくとも一部から、非同期に測定データを取得してもよい。
【0038】
本実施形態に係るデータ管理システム100は、例えば、本図に示すような測定データを取得して記録する。そして、データ管理システム100は、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサ20から取得した測定データに基づいて、対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させる。これについて、フローを用いて詳細に説明する。
【0039】
図3は、本実施形態に係るデータ管理システム100が記録するデータ量を低減させるフローの一例を示す。
【0040】
ステップ310において、データ管理システム100は、測定データを取得する。一例として、データ取得部110は、通信ネットワークを介して、流路を流れる流体を測定した測定データを複数のセンサ20のそれぞれから時系列に取得する。データ取得部110は、複数のセンサ20のそれぞれから時系列に取得した測定データを、データ記録部120へ供給する。
【0041】
ステップ320において、データ管理システム100は、測定データを記録する。一例として、データ記録部120は、ステップ310においてデータ取得部110が取得した測定データを、センサ20毎に時系列に記録する。
【0042】
ステップ330において、データ管理システム100は、測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回るか否か判定する。一例として、データ管理システム100は、測定データを記録可能な全容量から、ステップ320においてデータ記録部120が記録済のデータ容量を減算して、測定データを記録可能な残り容量を算出する。そして、データ管理システム100は、測定データを記録可能な残り容量とあらかじめ定められたしきい値とを比較する。測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回らない(No)と判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ340に進める。
【0043】
ステップ340において、データ管理システム100は、予め定められた時間が経過したか否か判定する。このような予め定められた時間は、例えば、ステップ320において測定データが記録されてからの経過時間であってよい。これに代えて、または、加えて、予め定められた時間は、記録されている測定データが最後にアクセスされてからの経過時間であってもよい。予め定められた時間が経過していない(No)と判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ310に戻して、フローを継続する。
【0044】
一方、ステップ330において、測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回る(Yes)と判定された場合、または、ステップ340において、予め定められた時間が経過した(Yes)と判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ350に進める。
【0045】
ステップ350において、データ管理システム100は、相似度を算出する。一例として、相似度算出部130は、ステップ320においてデータ記録部120が記録した測定データを閲覧する。そして、相似度算出部130は、複数のセンサ20から取得したそれぞれの測定データについて、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサ20から取得した測定データとの間における時系列変化の相似度を算出する。
【0046】
例えば、相似度算出部130は、センサ20aから取得した測定データの時系列変化を、自身よりも下流に設けられたセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データの時系列変化とそれぞれ比較して相似度を算出する。より詳細には、相似度算出部130は、期間の始点をそれぞれシフトさせながら(n=0、m=0を初期値として、nおよびmをそれぞれインクリメントさせながら)、対象となる期間(例えば、時刻T=1+m~10+m)においてセンサ20aから取得した測定データを、対応する期間(例えば、時刻T=1+m+n~10+m+n)においてセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データとそれぞれ比較して相似度を算出する。
【0047】
すなわち、相似度算出部130は、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、時刻T=1~10の期間においてセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データとそれぞれ比較して相似度を算出する。次に、相似度算出部130は、nをインクリメントして、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、時刻T=2~11の期間においてセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データとそれぞれ比較して相似度を算出する。次に、相似度算出部130は、nをさらにインクリメントして、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、時刻T=3~12の期間においてセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データとそれぞれ比較して相似度を算出する。このように、相似度算出部130は、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、時刻T=21~30の期間においてセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データとそれぞれ比較するまで、nをインクリメントさせながら相似度を算出する。
【0048】
次に、相似度算出部130は、nを初期化し、mをインクリメントして、時刻T=2~11の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、時刻T=2~11の期間においてセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データとそれぞれ比較して相似度を算出する。次に、相似度算出部130は、nをインクリメントして、時刻T=2~11の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、時刻T=3~12の期間においてセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データとそれぞれ比較して相似度を算出する。このように、相似度算出部130は、時刻T=21~30の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、時刻T=21~30の期間においてセンサ20bおよびセンサ20cから取得した測定データとそれぞれ比較するまで、nおよびmをそれぞれインクリメントさせながら相似度を算出する。なお、上述の説明においては、相似度算出部130が、nおよびmをそれぞれインクリメントさせて相似度を算出する場合を一例として示した。これにより、相似度算出部130は、各センサ20間において時間がどの程度ずれているか明らかでない場合であっても、相似度を算出することができる。一方、各センサ間における時間のずれが既知である場合には、相似度算出部130は、nを一定値として、mのみをインクリメントさせながら相似度を算出してよい。すなわち、センサ20aとセンサ20bとの時間のずれが一定値(例えば、10)であった場合、相似度算出部130は、mをインクリメントさせながら、時刻T=1+m~10+mの期間においてセンサ20aから取得した測定データと、時刻T=11+m~20+mの期間においてセンサ20bから取得した測定データとを比較して相似度を算出してよい。同様に、センサ20bとセンサ20cとの時間のずれが一定値(例えば、10)であった場合、相似度算出部130は、mをインクリメントさせながら、時刻T=11+m~20+mの期間においてセンサ20bから取得した測定データと、時刻T=21+m~30+mの期間においてセンサ20cから取得した測定データとを比較して相似度を算出してよい。
【0049】
同様に、相似度算出部130は、センサ20bから取得した測定データの時系列変化を、自身よりも下流に設けられたセンサ20cから取得した測定データの時系列変化と比較して相似度を算出する。相似度算出部130は、このように算出した相似度に関する情報を、データ選択部140へ供給する。
【0050】
ステップ360において、データ管理システムは、データ量を低減すべきデータ群を選択する。一例として、データ選択部140は、ステップ350において相似度算出部130が算出した相似度に関する情報を参照する。そして、ステップ320においてデータ記録部120が記録した複数のセンサ20からの測定データの中から、データ量を低減すべきデータ群を選択する。この際、データ選択部140は、例えば、対応する期間における他のセンサ20から取得した測定データの時系列変化と、対象となる期間における対象となるセンサ20から取得した測定データの時系列変化との相似度が予め定められた範囲内にある場合に、当該対象となる期間における対象となるセンサ20から取得した測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択してよい。
【0051】
より詳細には、データ選択部140は、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データと、時刻T=11~20の期間においてセンサ20bから取得した測定データの相似度が予め定められた範囲内にある場合に、より上流側に設けられたセンサ20からの測定データ、すなわち、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択してよい。同様に、データ選択部140は、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データと、時刻T=21~30の期間においてセンサ20cから取得した測定データの相似度が予め定められた範囲内にある場合に、より上流側に設けられたセンサ20からの測定データ、すなわち、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択してよい。同様に、データ選択部140は、時刻T=11~20の期間においてセンサ20bから取得した測定データと、時刻T=21~30の期間においてセンサ20cから取得した測定データの相似度が予め定められた範囲内にある場合に、より上流側に設けられたセンサ20からの測定データ、すなわち、時刻T=11~20の期間においてセンサ20bから取得した測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択してよい。
【0052】
流体が様々なプロセスを経ながら流路を上流から下流へと流れる場合、運動量収支の関係や熱力学的関係により、同じ流路における上流と下流とで測定データの時系列変化が相似し得る。例えば、上流のセンサ20aと中流のセンサ20bとの間に熱交換機があり、流路の途中で冷却(もしくは加熱)するプロセスを経る場合、流体が熱交換機に入る前の測定データ(例えば、時刻T=1~10においてセンサ20aから取得した測定データ)と、熱交換機を出た後の測定データ(例えば、時刻T=11~20においてセンサ20bから取得した測定データ)には、ほぼ相似の変化が生じ得る。このように、上流と下流とで測定データの時系列変化が相似する場合、いずれか一方側の測定データと、相似比さえ分かれば、他方側の測定データをある程度予測して再現し得る。データ選択部140は、このように再現性の高い測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択する。
【0053】
なお、上述の説明では、データ選択部140が、相似度が予め定められた範囲内にある場合に、より上流側に設けられたセンサ20からの測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択する場合を一例として示した。この場合、データ選択部140は、より製品のアウトプットに近い側の測定データを残せるという点で好ましい。しかしながら、これに限定されるものではない。データ選択部140は、相似度が予め定められた範囲内にある場合に、より下流側に設けられたセンサ20からの測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択してもよい。データ選択部140は、このように選択したデータ群に関する情報を、データ量低減部150へ供給する。
【0054】
ステップ370において、データ管理システム100は、記録するデータ量を低減させる。一例として、データ量低減部150は、複数のセンサ20のうちの、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサ20から取得した測定データに基づいて、対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させる。例えば、データ量低減部150は、ステップ360においてデータ選択部140が選択したデータ群に関する情報を参照して、データ量を低減すべき対象となる期間および対象となるセンサ20を特定する。そして、データ量低減部150は、データ記録部120が記録した測定データのうち、対象となる期間において対象となるセンサ20から取得した測定データについて、記録するデータ量を低減させる。
【0055】
このように、データ量低減部150は、対応する期間における他のセンサ20から取得した測定データの時系列変化に基づいて、対象となる期間における対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させる。より詳細には、データ量低減部150は、対応する期間における他のセンサ20から取得した測定データの時系列変化と、対象となる期間における対象となるセンサ20から取得した測定データの時系列変化との相似度が予め定められた範囲内にある場合に、対象となる期間における対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させる。
【0056】
すなわち、データ量低減部150は、例えば、時刻T=11~20の期間においてセンサ20bから取得した測定データの時系列変化と、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データの時系列変化の相似度が予め定められた範囲内にある場合に、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データについて、記録するデータ量を低減させてよい。同様に、データ量低減部150は、時刻T=21~30の期間においてセンサ20cから取得した測定データの時系列変化と、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データの時系列変化の相似度が予め定められた範囲内にある場合に、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データについて、記録するデータ量を低減させてよい。同様に、データ量低減部150は、時刻T=21~30の期間においてセンサ20cから取得した測定データの時系列変化と、時刻T=11~20の期間においてセンサ20bから取得した測定データの時系列変化の相似度が予め定められた範囲内にある場合に、時刻T=11~20の期間においてセンサ20bから取得した測定データについて、記録するデータ量を低減させてよい。
【0057】
この際、データ量低減部150は、対象となるセンサ20から取得した測定データの単位時間あたりのサンプルの数を低減させてよい。例えば、ステップ360において、データ選択部140が時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択したとする。この場合、データ量低減部150は、時刻T=1~10の期間においてセンサ20aから取得した測定データのうち、期間の始点である時刻T=1と終点である時刻T=10を除く偶数番目の時刻(例えば、時刻T=2、4、6、および、8)においてセンサ20aから取得した測定データを削除してよい。
【0058】
これに代えて、または、加えて、データ量低減部150は、対象となるセンサ20から取得した測定データの1データあたりのデータサイズを低減させてもよい。例えば、ステップ360において、データ選択部140が時刻T=11~20の期間においてセンサ20bから取得した測定データを、データ量を低減すべきデータ群として選択したとする。この場合、データ量低減部150は、時刻T=11~20の期間においてセンサ20bから取得した測定データのうち、期間の始点である時刻T=11と終点である時刻T=20を除く時刻(例えば、時刻T=12~19)においてセンサ20bから取得した測定データの1データあたりのデータサイズを低減させてよい。この際、データ量低減部150は、例えば、センサ20bから取得した時系列データが小数第3位のデータ群からなる場合、小数第3位を四捨五入してそれぞれが小数第2の小数値からなる時系列データとしてよい。なお、上述の説明では、データ量低減部150が有効桁数を低減するにあたって、四捨五入を用いる場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。データ量低減部150は、切り捨て、および、切り上げ等、四捨五入とは異なる手法を用いてもよい。また、データ量低減部150は、時系列的にあるダイナミックレンジを有する測定データのそれぞれを量子化するためのビット数を減らす(例えば、16ビットから8ビットに減らす)ことにより、測定データのデータ量を低減させてもよい。
【0059】
このように、データ量低減部150は、測定データを時間軸方向においてサンプルを間引く等、単位時間あたりのサンプルの数を減らすことによって、測定データの一部を削除してもよいし、大きさ軸方向においてビット幅を減らす(量子化ビット数を減らす)等、1データあたりのデータサイズを減らすことによって、測定データの一部を削除してもよい。すなわち、データ量低減部150は、対応する期間の始点と終点を除く少なくとも1つの時刻について対象となるセンサ20から取得した測定データの一部を削除してもよい。なお、上述の説明においては、データ管理システム100が、1次元の測定データを管理対象とする場合について一例として説明した。しかしながら、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、2次元の測定データを管理対象としてもよい。すなわち、上述の説明では、データ管理システム100は、一つの時刻に対して一つのセンサから1次元のデータを取得して管理していた。しかしながら、これに代えて、または、加えて、データ管理システム100は、一つの時刻に対して一つのセンサから、例えば、サーモグラフィの画像データのような、2次元のデータを取得して管理してもよい。このような場合、データ量低減部150は、対象となるセンサから取得した2次元の測定データについて、記録するデータ量を低減させる。例えば、データ量低減部150は、対象となるセンサ20から取得した測定データの単位時間あたりのサンプルの数を低減させるにあたって、測定データの単位時間あたりのフレーム数を低減させてもよい。また、データ量低減部150は、対象とするセンサ20から取得した測定データの1データあたりのデータサイズを低減させるにあたって、測定データの1フレームあたりの画素数や、1画素あたりのビット数を低減させてもよい。
【0060】
データ管理システム100は、ステップ370において、記録するデータ量を低減させて、フローを終了する。このように、データ量低減部150は、測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回ったことに応じて(ステップ230においてYesと判定されたことに応じて)、対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させてよい。また、データ量低減部150は、予め定められた時間が経過したことに応じて(ステップ240においてYesと判定されたことに応じて)、対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させてよい。
【0061】
例えば、OT(Operational Technology)領域にあるプロセス制御システムが、IT(Information Technology)領域のシステムと結合される等、データ量が爆発的に増加することが予想される。このような状況において、全てのデータをそのままの形で記録しておくことは現実的ではなく、データ量の低減もしくは取捨選択が必要である。従来、配管に対するプロセス値を自動的に推定する技術が知られている。しかしながら、従来の技術では、計測器が機器から離れた位置に設置されている場合にプロセス値を推定により取得するものであって、記録するデータ量を低減させるものではない。
【0062】
これに対して、本実施形態に係るデータ管理システム100は、流路において自身よりも上流および下流のいずれかに設けられた他のセンサ20から取得した測定データに基づいて、対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させる。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、同一の流路における異なる位置において測定された測定データを用いて、対象となるセンサ20からの測定データをある程度予測可能な場合に、当該センサ20からの測定データについて記録するデータ量を低減させることができ、効率的に測定データを管理することができる。また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、対象となるセンサ20として選択された場合であっても、当該センサ20について記録する測定データのデータ量を事後的に低減させるのみで、当該センサ20からの測定データの取得および記録は継続する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、例えば、プロセス側に急変があった場合等においても、当該センサ20からの測定データをリアルタイム制御に用いることができる。
【0063】
また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、測定対象とする物理量の種別が同一である他のセンサ20から取得した測定データに基づいて、対象となるセンサ20について記録する測定データのデータ量を低減させる。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、単位変換などの複雑な演算を行うことなく、データ量を低減させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、他のセンサ20から取得した測定データの時系列変化に基づいて、対象となるセンサ20について記録するデータ量を低減させる。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、同一の流体が流れる流路における異なる位置において測定された測定データの時系列変化を考慮するので、より再現性の高い測定データを対象として、データ量を低減させることができる。
【0065】
この際、本実施形態に係るデータ管理システム100は、測定データの時系列変化の相似度が予め定められた範囲内にあるデータ群を、データ量を低減させる対象とする。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、他のセンサ20からの測定データの時系列変化と相似比との関係により高精度に再現可能な測定データを対象に、データ量を低減させることができる。換言すれば、測定データの時系列変化の相似度が予め定められた範囲内にない場合には、データ量低減部150は、データ量低減処理を中止することができる。これにより、データ管理システム100によれば、流路の途中で測定データに特異な変化が起こった場合に、このようなデータまでデータ量低減の対象となってしまうことを防止することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、対象となる期間の始点と終点を除く少なくとも1つの時刻について対象となるセンサ20から取得した測定データの一部を削除する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100は、相似の関係から測定データを再現する際に重要となる期間の始点および終点のデータを残しつつ、データ量の低減を図ることができる。
【0067】
また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、測定データのデータ量を低減させるにあたって、記録した測定データの単位時間あたりのサンプルの数を低減させる、または、記録した測定データの1データあたりのデータサイズを低減させる。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、測定データの特性に応じて、時間軸方向または大きさ軸方向のいずれかにおいて測定データの少なくとも一部を選択的に削除することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、記憶可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回る場合、または、予め定められた時間が経過したことに応じて、測定データのデータ量を低減させる。これにより、本実施形態に係るデータ管理システムによれば、記録する測定データのデータ量を低減したいタイミングで、測定データの一部を削除することができる。
【0069】
なお、上述の説明では、データ管理システム100が、測定対象の物理量が同一(上述の説明では、流量)である複数のセンサ20からの測定データを管理対象とする場合を一例と示した。しかしながら、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、測定対象の物理量がそれぞれ異なる(例えば、流量、温度、および、圧力)複数のセンサ20からの測定データを管理対象としてもよい。このような場合、データ管理システム100は、測定対象の物理量が異なる複数のセンサ20からの測定データの関係に基づいて、異常を検出してもよい。すなわち、データ管理システム100は、他の物理量(例えば、流量および温度)が流路の異なる位置(例えば、上流と下流)において相似の関係を示すにも関わらず、一の物理量(例えば、圧力)が流路の異なる位置(例えば、上流と下流)において相似の関係を示していない場合に、データ量低減処理を中断してもよい。この際、データ管理システム100は、例えば、当該一の物理量を測定したセンサ20が故障している等、障害が発生したものと判定して、オペレータに障害の発生を通知してもよい。
【0070】
ここで、上述の説明では、データ管理システム100が、取得した生の測定データをそのまま残すことなく、本実施形態において対象となるセンサ20からの測定データについて、データ量を低減させる場合を一例として示した。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0071】
図4は、本実施形態の変形例に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を示す。図4においては、図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。本変形例に係るデータ管理システム100は、例えば、OT領域に設けられてよく、OT領域に設けられたセンサ20から取得した測定データを、IT領域に設けられた他のデータ利用装置へ送信可能であってよい。本変形例に係るデータ管理システム100は、データ蓄積部410およびデータ送信部420を更に備える。
【0072】
本変形例に係るデータ管理システム100において、データ取得部110は、複数のセンサ20のそれぞれから取得した測定データを、データ記録部120に代えてデータ蓄積部410へ供給する。
【0073】
データ蓄積部410は、測定データを蓄積する。一例として、データ蓄積部410は、データ取得部110から供給された全ての測定データを、センサ20毎に時系列に記録してよい。そして、データ蓄積部410は、蓄積した測定データのうち、当該測定データを利用する他のデータ利用装置へ送信すべき送信対象の測定データを、データ記録部120へ供給する。なお、このような送信対象は、例えばユーザ入力に基づいて選択されたものであってもよいし、データ管理システム100によって自動的に選択されたものであってもよい。
【0074】
したがって、本変形例に係るデータ管理システム100において、データ記録部120は、複数のセンサのそれぞれから取得された測定データのうち、他のデータ利用装置へ送信すべき送信対象の測定データを記録する。
【0075】
また、本変形例に係るデータ管理システム100において、データ量低減部150は、データ記録部120に記録された送信対象の測定データのうちの、本実施形態において対象となるセンサ20からの測定データについて、記録するデータ量を低減させる。
【0076】
そして、データ送信部420は、対象となるセンサ20からの測定データのデータ量が低減された後におけるデータ記録部120に記録された測定データ、すなわち、データ量が低減された送信対象の測定データを、ネットワーク等を介して、当該測定データを利用する他のデータ利用装置へ送信する。
【0077】
このように、本変形例に係るデータ管理システム100は、送信対象の測定データのうちの、対象となるセンサ20からの測定データについて、データ量を低減させる。これにより、本変形例に係るデータ管理システム100によれば、例えばOT領域からIT領域へ測定データを送信するにあたって、データ管理システム100から送信するデータ量を低減することができる。すなわち、本実施形態に係るデータ管理システム100においては、対象となるセンサ20からの測定データについてデータ量を低減させることは、広義には、記憶領域から当該測定データの一部を完全に削除することの他にも、他のデータ利用装置へ送信する対象から当該測定データを除外することをも含むものであってよい。
【0078】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0079】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0080】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0081】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0082】
図5は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0083】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0084】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0085】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0086】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0087】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0088】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0089】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0090】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0091】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0093】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0094】
10 プラント
20 センサ
100 データ管理システム
110 データ取得部
120 データ記録部
130 相似度算出部
140 データ選択部
150 データ量低減部
410 データ蓄積部
420 データ送信部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インターフェイス
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5