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特許7163963試料プレート供給制御装置、試料プレート供給制御システム、試料プレート供給制御方法および試料プレート供給制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】試料プレート供給制御装置、試料プレート供給制御システム、試料プレート供給制御方法および試料プレート供給制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20221025BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G01N35/04 Z
G01N35/02 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020539966
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2018032223
(87)【国際公開番号】W WO2020044515
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】横井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】森川 毅
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-178739(JP,A)
【文献】特開2012-021911(JP,A)
【文献】特開平09-171022(JP,A)
【文献】特開平08-313538(JP,A)
【文献】特開平05-172825(JP,A)
【文献】特開平05-180732(JP,A)
【文献】特開2015-111119(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145556(WO,A1)
【文献】特開2006-317253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料プレート収容部を有する試料プレート保持部からオートサンプラへの試料プレートの供給を制御する試料プレート供給制御装置であって、
分析対象である対象試料プレートの識別情報を入力するプレート識別情報入力部と、
前記複数の試料プレート収容部のうち一の試料プレート収容部に試料プレートが収容されたときに、前記収容された試料プレートの識別情報を認識する識別情報認識部と、
前記プレート識別情報入力部で入力された前記対象試料プレートの識別情報と前記識別情報認識部により認識された識別情報とが一致した場合に、前記一の試料プレート収容部に収容された試料プレートを前記オートサンプラに供給するように前記試料プレート保持部に指示する供給指示部とを備えた、試料プレート供給制御装置。
【請求項2】
前記供給指示部は、
前記対象試料プレートの識別情報と、前記識別情報認識部により認識された識別情報とが一致した場合に、前記オートサンプラに対して処理情報を通知して、前記一の試料プレート収容部に収容された試料プレートに対して前記処理情報に基づいて処理を実行するよう指示する処理指示部を有する、請求項1に記載の試料プレート供給制御装置。
【請求項3】
前記供給指示部は、
前記対象試料プレートの識別情報と、前記識別情報認識部により認識された識別情報とが一致し、かつ、前記オートサンプラにおいて別の試料プレートに対する処理が実行されている場合に、前記別の試料プレートに対する処理が完了するのを待って前記試料プレート保持部に対して前記一の試料プレート収容部に収容された試料プレートを前記オートサンプラに供給するよう指示する、請求項1または請求項2に記載の試料プレート供給制御装置。
【請求項4】
前記供給指示部は、
複数の対象試料プレートの中のいずれかの対象試料プレートの識別情報と、前記識別情報認識部が認識した識別情報とが一致する場合に、前記試料プレート保持部に対して前記一の試料プレート収容部に収容された試料プレートを前記オートサンプラに供給するよう指示する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の試料プレート供給制御装置。
【請求項5】
前記対象試料プレートに貼付するための前記対象試料プレートの識別情報を印刷する印刷部、
をさらに備える、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の試料プレート供給制御装置。
【請求項6】
前記対象試料プレートの識別情報はバーコード画像として前記対象試料プレートに貼付される、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の試料プレート供給制御装置。
【請求項7】
分析装置に対して分析対象である試料を注入するオートサンプラと、
複数の試料プレート収容部を有する試料プレート保持部と、
前記試料プレート保持部を制御する端末装置とを備え、
前記試料プレート保持部は、
前記複数の試料プレート収容部のうち一の試料プレート収容部に試料プレートが収容されたときに、前記収容された試料プレートの識別情報を認識する識別情報認識部と、
前記収容された試料プレートの識別情報を前記端末装置に与える識別情報提示部とを含み、
前記端末装置は、
分析対象である対象試料プレートの識別情報を入力するプレート識別情報入力部と、
前記試料プレート保持部から前記収容された試料プレートの識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記プレート識別情報入力部で入力された前記対象試料プレートの識別情報と前記識別情報取得部により取得された識別情報とが一致した場合に、前記一の試料プレート収容部に収容された試料プレートを前記オートサンプラに供給するように前記試料プレート保持部に指示する供給指示部とを備えた、試料プレート供給制御システム。
【請求項8】
前記試料プレート保持部は、
前記複数の試料プレート収容部に対応して設けられた複数の表示器、
を有し、
各表示器は、各試料プレート収容部に収容された各試料プレートに対する処理状態を表示する、請求項7に記載の試料プレート供給制御システム。
【請求項9】
複数の試料プレート収容部を有する試料プレート保持部からオートサンプラへの試料プレートの供給を制御する試料プレート供給制御方法であって、
前記複数の試料プレート収容部のうち一の試料プレート収容部に試料プレートが収容されたときに、前記試料プレート保持部から前記収容された試料プレートの識別情報を取得するステップと、
入力された分析対象である対象試料プレートの識別情報と前記試料プレート保持部から取得した識別情報とが一致した場合に、前記一の試料プレート収容部に収容された試料プレートを前記オートサンプラに供給するように前記試料プレート保持部に指示するステップとを備えた、試料プレート供給制御方法。
【請求項10】
複数の試料プレート収容部を有する試料プレート保持部からオートサンプラへの試料プレートの供給を制御する試料プレート供給制御プログラムであって、
前記複数の試料プレート収容部のうち一の試料プレート収容部に試料プレートが収容されたときに、前記試料プレート保持部から前記収容された試料プレートの識別情報を取得する処理と、
入力された分析対象である対象試料プレートの識別情報と前記試料プレート保持部から取得した識別情報とが一致した場合に、前記一の試料プレート収容部に収容された試料プレートを前記オートサンプラに供給するように前記試料プレート保持部に指示する処理とを、コンピュータに実行させるための試料プレート供給制御プログラム。
【請求項11】
前記対象試料プレートの識別情報と、分析処理の実行条件が記述されたメソッドファイルとを対応付けて設定する対象プレート設定部、
をさらに備え、
前記供給指示部は、
前記対象プレート設定部によって前記対象試料プレートに対応付けられているメソッドファイルを取得し、前記メソッドファイルに基づいて分析処理を実行するよう前記オートサンプラに指示する処理指示部を有する、請求項1に記載の試料プレート供給制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートサンプラに供給される試料プレートを保持する試料プレート保持部を備えた試料プレート供給制御装置および試料プレート供給制御システムに関する。本発明は、また、試料プレート供給制御方法および試料プレート供給制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフを備える分析システムがある。分析システムは、複数の機能ユニット、制御装置およびコンピュータを備える。制御装置は、複数の機能ユニットを制御する。コンピュータは、クロマトグラムデータを解析する。複数の機能ユニットには、液体クロマトグラフが備えるポンプ、オーブンおよび検出器等が含まれる。また、複数の機能ユニットには、液体クロマトグラフに対して分析対象である試料を注入するオートサンプラおよび試料が収容された試料プレートをオートサンプラに対して供給するプレートチェンジャー等が含まれる。クロマトグラムデータを解析するコンピュータは、分析システムの制御およびクロマトグラムデータを解析するためのプログラムがインストールされることにより、CDS(chromatography data system)として機能する。
【0003】
ユーザは、分析処理を開始するために、試料ビンが収容された試料プレートを、予めプレートチェンジャーに収容する。次にユーザは、CDSとして機能するコンピュータを操作し、分析処理を開始させる試料プレートを選択する。この操作に応答して、プレートチェンジャーにおいて対象となる試料プレートが取り出され、試料プレートがオートサンプラに供給される。これにより、オートサンプラが液体クロマトグラフに試料を注入し、分析処理が開始される。
【0004】
プレートチェンジャーには複数の試料プレートが収容可能である。例えば、プレートチェンジャーに、30枚の試料プレートが収容可能である場合、プレートチェンジャーには、試料プレート収容部に対応して、No.1~No.30までの番号が表示される。ユーザは、コンピュータを操作して分析処理を開始させるとき、コンピュータにおいて、試料プレート収容部の番号を指定する。例えば、ユーザがNo.10の試料プレート収容部に試料プレートを収容したとき、ユーザは、コンピュータにおいてNo.10の試料プレート収容部に対する分析処理の開始指示を行う。
【0005】
下記特許文献1には、複数のラック(試料プレート)を収容可能なラック待機場所(プレートチェンジャー)を備える分析システムが開示されている。
【文献】特開2006-189362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、試料プレートを複数収容可能なプレートチェンジャーがオートサンプラに付属される場合がある。プレートチェンジャーは、複数の試料プレートを同時に収容することが可能である。このため、ユーザが、プレートチェンジャーにおいて試料プレートを収容する位置を間違える場合がある。あるいは、ユーザが、コンピュータの操作において、試料プレートの収容した位置の指定を間違える場合がある。
【0007】
ユーザは、分析指示書等により、予め試料プレートの収容する位置を指定される場合がある。このような場合であっても、複数のユーザが分析システムを共有して使用している環境では、分析指示書で指定された試料プレートの収容位置に、他のユーザによって既に別の試料プレートが収容されている場合がある。このような状況では、ユーザは、試料プレートの入れ替え作業を行わなければならない。
【0008】
分析指示書で指定された試料プレートの収容位置に、他のユーザによって既に別の試料プレートが収容されている場合、ユーザが別の使用されていない試料プレート収容部に試料プレートを収容する場合もある。この場合には、ユーザは、コンピュータを操作し、設定したプレート位置を変更しなければならない。
【0009】
また、ユーザは、プレートチェンジャーに試料プレートを収容した後、コンピュータの場所に移動し、コンピュータを操作して、改めて分析の開始指示を行わなければならない。プレートチェンジャーとコンピュータとが離れた場所に置かれている場合には、作業が煩雑であり、無駄な時間を要する。
【0010】
本発明の目的は、複数の試料プレートを収容可能な試料プレート保持部を備えた試料プレート供給制御装置および試料プレート供給制御システムにおいて、試料プレートの収容作業および試料プレートの供給指示の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一局面に従う試料プレート供給制御装置は、複数の試料プレート収容部を有する試料プレート保持部からオートサンプラへの試料プレートの供給を制御する試料プレート供給制御装置であって、複数の試料プレート収容部のうち一の試料プレート収容部に試料プレートが収容されたときに、収容された試料プレートの識別情報を認識する識別情報認識部と、分析対象である対象試料プレートの識別情報と識別情報認識部により認識された識別情報とが一致した場合に、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給するように試料プレート保持部に指示する供給指示部とを備える。
【0012】
この試料プレート供給制御装置は、複数の試料プレート収容部の中で一の試料プレート収容部に収容された試料プレートの識別情報を認識する。そして、試料プレート供給制御装置は、対象試料プレートの識別情報と認識された試料プレートの識別情報とが一致するとき、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給する。これにより、いずれの試料プレート収容部に試料プレートが収容された場合であっても、対象試料プレートがオートサンプラに供給される。
【0013】
ユーザは、試料プレート保持部において、いずれの試料プレート収容部に試料プレートを収容すべきかを意識しなくてよい。ユーザは、空いている試料プレート収容部に試料プレートを収容すればよい。誤った操作により、異なる試料プレートに対して分析処理が開始されることがない。複数のユーザが試料プレート保持部を共有する場合であっても、各ユーザは、自由に空いている試料プレート収容部を利用することができる。
【0014】
(2)供給指示部は、対象試料プレートの識別情報と、識別情報認識部により認識された識別情報とが一致した場合に、オートサンプラに対して処理情報を通知して、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートに対して処理情報に基づいて処理を実行するよう指示してもよい。
【0015】
この試料プレート供給制御装置は、対象試料プレートの識別情報と認識された試料プレートの識別情報とが一致するとき、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給する。このとき、試料プレート供給制御装置は、オートサンプラに対して対象試料プレートに対する処理情報を通知する。これにより、いずれの試料プレート収容部に試料プレートが収容された場合であっても、対象試料プレートに対して、処理情報に基づいて処理が開始される。
【0016】
(3)供給指示部は、対象試料プレートの識別情報と、識別情報認識部により認識された識別情報とが一致し、かつ、オートサンプラにおいて別の試料プレートに対する処理が実行されている場合に、別の試料プレートに対する処理が完了するのを待って試料プレート保持部に対して一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給するよう指示してもよい。
【0017】
この試料プレート供給制御装置は、対象試料プレートの識別情報と認識された試料プレートの識別情報とが一致するとき、オートサンプラが別の試料プレートに対する処理を実行しているか否かを判定する。試料プレート供給制御装置は、オートサンプラが別の試料プレートに対する処理を実行しているとき、別の試料プレートに対する処理が完了してから、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給する。これにより、オートサンプラが別の試料プレートに対する処理を実行しているときであっても、対象試料プレートの実行の予約が行われる。ユーザは、オートサンプラが別の試料プレートに対する処理を実行しているか否かに関わらず、対象試料プレートの設定を行うことができる。
【0018】
(4)供給指示部は、複数の対象試料プレートの中のいずれかの対象試料プレートの識別情報と、識別情報認識部が認識した識別情報とが一致する場合に、試料プレート保持部に対して一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給するよう指示してもよい。
【0019】
この試料プレート供給制御装置は、複数の対象試料プレートの識別情報のいずれかと認識された試料プレートの識別情報とが一致するとき、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給する。これにより、いずれの試料プレート収容部に試料プレートが収容された場合であっても、複数の対象試料プレートの中のいずれかの対象試料プレートがオートサンプラに供給される。ユーザは、同時に複数の対象試料プレートに対する分析処理の予約を行うことができる。
【0020】
(5)対象試料プレートに貼付するための対象試料プレートの識別情報を印刷する印刷部をさらに備えてもよい。
【0021】
対象試料プレートに貼付するための識別情報が印刷される。ユーザは、対象試料プレートの設定をするとともに、対象試料プレートに貼付する識別情報を印刷できる。
【0022】
(6)対象試料プレートの識別情報はバーコード画像として対象試料プレートに貼付されてもよい。
【0023】
対象試料プレートには識別情報がバーコード画像として貼付される。バーコード読取機能を利用して、対象試料プレートの識別情報が読み取り可能である。
【0024】
(7)本発明の他の局面に従う試料プレート供給制御システムは、分析装置に対して分析対象である試料を注入するオートサンプラと、複数の試料プレート収容部を有する試料プレート保持部と、試料プレート保持部を制御する端末装置とを備える。試料プレート保持部は、複数の試料プレート収容部のうち一の試料プレート収容部に試料プレートが収容されたときに、収容された試料プレートの識別情報を認識する識別情報認識部と、収容された試料プレートの識別情報を端末装置に与える識別情報提示部とを含む。端末装置は、試料プレート保持部から収容された試料プレートの識別情報を取得する識別情報取得部と、分析対象である対象試料プレートの識別情報と識別情報取得部により取得された識別情報とが一致した場合に、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給するように試料プレート保持部に指示する供給指示部とを備える。
【0025】
この試料プレート供給システムは、複数の試料プレート収容部の中で一の試料プレート収容部に収容された試料プレートの識別情報を認識する。そして、試料プレート供給制御システムは、対象試料プレートの識別情報と認識された試料プレートの識別情報とが一致するとき、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給する。これにより、いずれの試料プレート収容部に試料プレートが収容された場合であっても、対象試料プレートがオートサンプラに供給される。
【0026】
(8)試料プレート保持部は、複数の試料プレート収容部に対応して設けられた複数の表示器を有してもよい。各表示器は、各試料プレート収容部に収容された各試料プレートに対する処理状態を表示してもよい。
【0027】
表示器は、各試料プレート収容部における試料プレートの処理状態を表示する。ユーザは、利用可能な試料プレート収容部を識別することができる。
【0028】
(9)本発明のさらに他の局面に従う試料プレート供給制御方法は、複数の試料プレート収容部を有する試料プレート保持部からオートサンプラへの試料プレートの供給を制御する試料プレート供給制御方法であって、複数の試料プレート収容部のうち一の試料プレート収容部に試料プレートが収容されたときに、試料プレート保持部から収容された試料プレートの識別情報を取得するステップと、分析対象である対象試料プレートの識別情報と試料プレート保持部から取得した識別情報とが一致した場合に、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給するように試料プレート保持部に指示するステップとを備える。
【0029】
(10)本発明のさらに他の局面に従う試料プレート供給制御プログラムは、複数の試料プレート収容部を有する試料プレート保持部からオートサンプラへの試料プレートの供給を制御する試料プレート供給制御プログラムであって、複数の試料プレート収容部のうち一の試料プレート収容部に試料プレートが収容されたときに、試料プレート保持部から収容された試料プレートの識別情報を取得する処理と、分析対象である対象試料プレートの識別情報と試料プレート保持部から取得した識別情報とが一致した場合に、一の試料プレート収容部に収容された試料プレートをオートサンプラに供給するように試料プレート保持部に指示する処理とをコンピュータに実行させる。
(11)(1)の試料プレート供給制御装置は、さらに、対象試料プレートの識別情報と、分析処理の実行条件が記述されたメソッドファイルとを対応付けて設定する対象プレート設定部を備え、供給指示部は、対象プレート設定部によって対象試料プレートに対応付けられているメソッドファイルを取得し、メソッドファイルに基づいて分析処理を実行するようオートサンプラに指示する処理指示部を有してもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、複数の試料プレートを収容可能な試料プレート保持部を備えた試料プレート供給制御装置および試料プレート供給制御システムにおいて、試料プレートの収容作業および試料プレートの供給指示の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は本実施の形態に係る分析システムの全体図である。
図2図2は(A)は試料プレートの平面図であり、(B)は試料プレートの背面図である。
図3図3は本実施の形態に係るプレートチェンジャーおよびオートサンプラを示す図である。
図4図4は本実施の形態に係る試料プレート供給制御システムの機能ブロック図である。
図5図5は本実施の形態に係るコンピュータのモニタに表示されたプレート設定画面を示す図である。
図6図6は本実施の形態に係るコンピュータで実行されるフローチャートである。
図7図7は本実施の形態に係るコンピュータで実行されるフローチャートである。
図8図8は本実施の形態に係るコンピュータで実行されるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態に係る試料プレート供給制御装置、試料プレート供給制御システム、試料プレート供給制御方法および試料プレート供給制御プログラムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
[1]第1の実施の形態
(1)分析システムの全体構成
図1は、本実施の形態に係る分析システム10の全体図である。図1に示す分析システム10は、コンピュータ1、ネットワーク2、サーバ3、制御装置4、複数の機能ユニット5およびプリンタ9を備える。本実施の形態においては、複数の機能ユニット5によって液体クロマトグラフ50が構成される。液体クロマトグラフ50は、例えば、高速液体クロマトグラフである。
【0034】
コンピュータ1は、例えば一般的なパーソナルコンピュータである。コンピュータ1は、分析システム10の制御処理およびクロマトグラムデータを解析する処理等を実行する。
【0035】
ネットワーク2は、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)等のコンピュータネットワークである。ネットワーク2を介してコンピュータ1とサーバ3とが接続されている。
【0036】
サーバ3は、例えば一般的なコンピュータサーバである。サーバ3の記憶部には、バッチテーブルデータベース30(以下、バッチテーブルDB30と略す。)が保存されている。バッチテーブルDB30は、複数のバッチテーブルを蓄積している。バッチテーブルは、分析システム10において実行される分析処理の実行順序および実行条件が記述されたデータである。バッチテーブルは、複数の試料ビン(バイアル)を収容する試料プレート8(図参照)に対して設定される。
【0037】
バッチテーブルは、複数のレコードを含んでいる。1つのレコードは、試料プレートに収容された1つの試料ビンに対応したレコードである。1つのレコードには、試料プレート8の識別情報、試料ビン番号、サンプルタイプおよびメソッドファイル名が記述されている。メソッドファイルは、分析処理の実行順序および実行条件が記述されたデータファイルである。つまり、バッチテーブルにおいて、試料ビンごとに、分析処理の内容が記述されたメソッドファイルが設定される。試料プレート8には、複数の試料ビンが収容されるので、バッチテーブルには、試料プレート8に収容される全ての試料ビンに対するレコードが含まれる。
【0038】
制御装置4は、通信ケーブルを介してコンピュータ1と接続されている。制御装置4は、また、通信ケーブルを介して複数の機能ユニット5と接続されている。分析システム10は、複数の機能ユニット5を備えている。複数の機能ユニット5には、液体クロマトグラフ50が備えるポンプ、オーブンおよび検出器等が含まれる。また、複数の機能ユニット5には、液体クロマトグラフ50に対して分析対象である試料を注入するオートサンプラ7(図参照)および試料が収容された試料プレートをオートサンプラ7に対して供給するプレートチェンジャー6(図参照)等が含まれる。
【0039】
(2)試料プレートおよびプレートチェンジャーの構成
図2(A)は、試料プレート8の平面図を示す。図2(B)は試料プレート8の背面図を示す。図3は、プレートチェンジャー6の構成を示す図である。まず、図2(A),(B)を参照しつつ試料プレート8について説明する。
【0040】
図2(A)に示すように、試料プレート8には、試料ビンが収容される複数の孔81が設けられている。図2(B)に示すように、本実施の形態の試料プレート8には、背面にバーコード91が貼付される。バーコード91には、試料プレート8を識別するための情報が識別情報として書き込まれる。後で詳しく説明するが、プレートチェンジャー6に試料プレート8が収容されたとき、バーコード91が読み取られることにより、収容された試料プレート8が特定される。
【0041】
図3に示すように、プレートチェンジャー6は、オートサンプラ7に付属する装置としてオートサンプラ7の側部に設けられる。プレートチェンジャー6は、試料プレート8を複数個保持することができる。試料プレート8は、分析対象である試料が収容された試料ビンを複数個収容することができる。
【0042】
本実施の形態のプレートチェンジャー6において、3台のチェンジャー6A,6B,6Cが設けられる。3台のチェンジャー6A,6B,6Cは、それぞれ複数の試料プレート8を収容可能である(この例では、それぞれ14個の試料プレート8を収容可能である)。チェンジャー6Aは、No.3~No.16までの試料プレート収容部61を備える。チェンジャー6Bは、No.17~No.30までの試料プレート収容部61を備える。チェンジャー6Cは、No.31~No.44までの試料プレート収容部61を備える。なお、オートサンプラ7には、No.1およびNo.2の試料プレート収容部が設けられているため、チェンジャー6Aの試料プレート収容部61の番号がNo.3から始まっている。
【0043】
図3に示すように、各試料プレート収容部61の側部には、表示器62が設けられている。表示器62として本実施の形態においてはLEDが利用されている。表示器62は、試料プレート収容部61に収容されている試料プレート8の処理状態を表示する。本実施の形態においては、表示器62は、試料プレート収容部61に収容されている試料プレート8の分析処理が未完了の場合には、赤色の光を点灯させる。ユーザは、例えばNo.25の試料プレート収容部61の側部の表示器62が赤色に点灯している場合には、No.25の試料プレート収容部61に収容されている試料プレート8が未処理であると判断することができる。つまり、ユーザは、No.25の試料プレート収容部61に収容されている試料プレート8がスタンバイ状態であると判断することができる。
【0044】
本実施の形態においては、表示器62は、未処理の試料プレート8が収容されている場合に赤色の光を点灯させるが、試料プレート8の他の処理状態が識別されてもよい。例えば、分析処理が完了した試料プレート8が収容されている試料プレート収容部61に対しては、隣接する表示器62が緑色の光を点灯させてもよい。あるいは、試料プレート8がオートサンプラ7に搬送および搬入されている状態のとき、つまり、分析処理中の試料プレート8に対応する試料プレート収容部61について、隣接する表示器62がオレンジ色の光を点灯させてもよい。
【0045】
(3)試料プレート供給制御システムの機能構成
図4は、試料プレート供給制御システム20の機能ブロック図である。図4に示すように、プレートチェンジャー6は、読取部63、プレート搬送装置64、識別情報認識部65および識別情報提示部66を備えている。プレートチェンジャー6は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)等から構成される制御部60を有する。ROMには、第1の制御プログラム等のコンピュータプログラムが記憶される。CPUがROMに記憶された第1の制御プログラムをRAM上で実行することにより、識別情報認識部65および識別情報提示部66の機能が実現される。なお、識別情報認識部65および識別情報提示部66の一部またはすべてが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0046】
読取部63は、各試料プレート収容部61に収容された試料プレート8に貼付されたバーコード91を読み取ることによりバーコード91に書き込まれていた情報を取得し、取得した情報と試料プレート8が収容されていた試料プレート収容部61の番号とを識別情報認識部65に与える。
【0047】
プレート搬送装置64は、複数の試料プレート収容部61のいずれか1つに収容されている試料プレート8を取り出し、取り出した試料プレート8をオートサンプラ7に供給する。プレート搬送装置64は、分析処理が完了した後、オートサンプラ7から試料プレート8を受け取り、受け取った試料プレート8を元の試料プレート収容部61に収容する。
【0048】
本実施の形態においては、各試料プレート収容部61に収容された試料プレート8は、読取部63によるバーコード91の読み取りのために、一旦、プレート搬送装置64によって試料プレート収容部61から取り出される。プレート搬送装置64は、試料プレート収容部61から取り出した試料プレート8を読取部63によるバーコード91の読取操作が可能な位置に移動させる。プレート搬送装置64は、試料プレート8に対するバーコード91の読取操作が完了すると、試料プレート8を元の試料プレート収容部61に搬送する。なお、各試料プレート収容部61に対してそれぞれ個別に読取部63が設けられてもよい。
【0049】
識別情報認識部65は、試料プレート収容部61に収容された試料プレート8の識別情報を認識する。具体的には、識別情報認識部65は、読取部63から受け取った情報から、収容された試料プレート8の識別情報を取得する。そして、識別情報認識部65は、認識した試料プレート8の識別情報と試料プレート8が収容されている試料プレート収容部61の番号とを識別情報提示部66に与える。
【0050】
識別情報提示部66は、識別情報認識部65から受け取った試料プレート8の識別情報と試料プレート8が収容されている試料プレート収容部61の番号とを、制御装置4に送信する。制御装置4は、識別情報提示部66から受信した試料プレート8の識別情報と試料プレート8が収容されている試料プレート収容部61の番号とを、制御装置4を介してコンピュータ1に送信する。
【0051】
コンピュータ1は、対象プレート設定部11、対象プレート記憶部12、識別情報取得部13、供給指示部14、印刷部15、モニタ18および操作部19を備える。供給指示部14は、処理指示部141を有する。コンピュータ1は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)およびハードディスク等の記憶装置により構成される。ROMには、第2の制御プログラム等のコンピュータプログラムが記憶される。CPUがROMまたは記憶装置に記憶された第2の制御プログラムをRAM上で実行することにより、対象プレート設定部11、識別情報取得部13、供給指示部14および印刷部15の機能が実現される。なお、これらの機能部の一部またはすべてが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。また、コンピュータ1には、クロマトグラムデータを解析するための解析プログラムがインストールされる。このように、コンピュータ1は、第2の制御プログラムおよび解析プログラムにより、CDS(chromatography data system)として機能する。対象プレート記憶部12は、RAMまたはハードディスク等の記憶装置によって構成される。
【0052】
対象プレート設定部11は、分析対象である試料プレート8に対する分析処理の設定を行う。分析対象である試料プレート8は、以下の説明において適宜、対象試料プレート8Tと呼ばれる。対象プレート設定部11は、対象試料プレート8Tのプレート識別情報、試料ビン番号、サンプルタイプおよびメソッドファイル名を対応付けて1レコードとして設定する。対象プレート設定部11は、対象試料プレート8Tのプレート識別情報、試料ビン番号、サンプルタイプおよびメソッドファイル名の対応を複数レコード設定可能である。対象プレート設定部11は、対象試料プレート8Tのプレート識別情報が同一である複数のレコードをまとめてバッチテーブルとして設定する。
【0053】
対象プレート記憶部12は、対象プレート設定部11において対象試料プレート8Tに対して設定されたバッチテーブルを記憶する。
【0054】
識別情報取得部13は、制御装置4を介して識別情報提示部66が送信した試料プレート8の識別情報と試料プレート8が収容されている試料プレート収容部61の番号とを受信する。
【0055】
供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶された対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とを比較する。供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶された対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するとき、試料プレート収容部61に収容された試料プレート8が処理対象である対象試料プレート8Tであると判定する。供給指示部14は、試料プレート収容部61に対象試料プレート8Tが収容されたと判定すると、試料プレート供給制御システム20による試料プレートの供給指示を行う。試料プレートの供給指示の処理内容は、後で詳しく説明される。
【0056】
印刷部15は、対象試料プレート8Tに貼付するバーコード91を生成するとともに、印刷する指示を行う。印刷部15は、バーコード91の印刷指示をプリンタ9に対して実行する。
【0057】
(4)コンピュータによるプレート設定の動作
次に、対象試料プレート8Tを設定するプレート設定の操作が説明される。プレート設定の操作は、コンピュータ1が備える対象プレート設定部11により実行される。図5は、対象プレート設定部11が実行されることにより、コンピュータ1のモニタ18に表示されるプレート設定画面100を示す図である。
【0058】
プレート設定画面100は、対象試料プレート8Tの識別情報を入力するプレート識別情報フィールド101、バッチテーブル名を指定するバッチテーブル名フィールド102、バーコード印刷指示ボタン103およびスタンバイ指示ボタン104を備える。
【0059】
プレート識別情報フィールド101には、ユーザによって対象試料プレート8Tを特定するための識別情報が入力される。ユーザは、コンピュータ1の操作部19を操作し、文字、数字、記号またはそれらの組み合わせを用いて対象試料プレート8Tを特定するための識別情報を入力する。入力される識別情報はユーザが任意に設定してもよい。あるいは、入力される識別情報は分析手順書等に従って設定される。
【0060】
バッチテーブル名フィールド102には、ユーザが選択したバッチテーブル名が入力される。本実施の形態においては、対象プレート設定部11は、図1に示したサーバ3に記憶されたバッチテーブルDB30からバッチテーブルを取得する。ユーザは、操作部19を操作し、バッチテーブル名フィールド102にポインタを合わせることで、バッチテーブルの一覧画面を表示させることができる。対象プレート設定部11は、サーバ3のバッチテーブルDB30にアクセスし、予め準備された複数のバッチテーブルのリストを取得し、一覧画面としてモニタ18に表示させる。
【0061】
本実施の形態においては、対象プレート設定部11がサーバ3のバッチテーブルDB30にアクセスすることにより、ユーザはバッチテーブルを設定できる。つまり、ユーザは、予め準備されたバッチテーブルを選択できる。例えば、プレート設定画面100において、ユーザがバッチテーブルを作成できるようにしてもよい。または、プレート設定画面100において、ユーザがサーバ3から取得したバッチテーブルを編集できるようにしてもよい。
【0062】
バーコード印刷指示ボタン103は、バーコード91の生成および印刷指示を行う。ユーザが操作部19を操作し、バーコード印刷指示ボタン103を選択すると、印刷部15がバーコード91の画像データを生成する。印刷部15は、プレート識別情報フィールド101に入力された識別情報をバーコード化し、バーコード91の画像データを生成する。印刷部15は、生成したバーコード91の画像データに対する印刷指示をプリンタ9に送信する。
【0063】
プリンタ9は、バーコード91の画像が印刷されたシールを印刷する。ユーザは、印刷されたバーコード91のシールを、図2(B)に示すように、試料プレート8の背面の定められた位置に貼付する。本実施の形態においては、読取部63による読取操作が試料プレート8の背面に対して行われるため、バーコード91のシールが試料プレート8の背面に貼付される。読取部63の構成によっては、バーコード91のシールが試料プレート8の側面または上面に貼付されてもよい。
【0064】
以上の操作により、対象試料プレート8Tに対するバッチテーブルが設定される。また、対象試料プレート8Tの識別情報がバーコード化され、バーコード91のシールが印刷される。ユーザは、バーコード91のシールを図2(B)に示すように、対象試料プレート8Tの背面の定められた位置に貼付する。
【0065】
再び図5を参照する。次にユーザは、操作部19を操作し、スタンバイ指示ボタン104を選択する。この操作に応答して、対象プレート設定部11は、プレート設定画面100において設定された情報を対象プレート記憶部12に記憶する。対象プレート記憶部12は、対象試料プレート8Tの識別情報およびバッチテーブルを記憶する。
【0066】
ユーザは、スタンバイ指示ボタン104を選択した後、プレートチェンジャー6の場所に移動する。ユーザは、対象試料プレート8Tをプレートチェンジャー6のいずれかの試料プレート収容部61に収容する。このとき、ユーザは、いずれの試料プレート収容部61に対象試料プレート8Tを収容してもよい。本実施の形態においては、図3に示したように多数の試料プレート収容部61が用意されているが、ユーザは、対象試料プレート8Tをいずれの試料プレート収容部61に収容してもよい。
【0067】
以上の操作および処理により分析処理の準備が完了する。つまり、ユーザがプレート設定画面100において対象試料プレート8Tの識別情報を入力する。ユーザがプレート設定画面100においてバッチテーブルを設定する。ユーザがバーコード91のシールを印刷し、対象試料プレート8Tに貼付する。ユーザがスタンバイ指示ボタン104を選択することにより、対象プレート記憶部12が、対象試料プレート8Tの識別情報とバッチテーブルを記憶する。そして、ユーザが、バーコード91のシールが貼付された対象試料プレートをいずれかの試料プレート収容部61に収容する。次に、試料プレート8の供給処理が開始される。
【0068】
(5)プレートチェンジャーおよびコンピュータによる試料プレートの供給動作
ユーザが対象試料プレート8Tをいずれかの試料プレート収容部61に収容すると、プレートチェンジャー6において、読取部63によるバーコード91の読取操作が実行される。読取部63は、バーコード91の情報と試料プレート8が収容されていた試料プレート収容部61の番号とを識別情報認識部65に与える。なお、以降の処理では、試料プレート8が対象試料プレート8Tであるか否かが識別される前の段階のため、試料プレート8は、対象試料プレート8Tではなく単に試料プレート8と呼ばれる。識別情報認識部65は、受け取ったバーコード91の情報から、収容された試料プレート8の識別情報を認識する。そして、識別情報認識部65は、認識した試料プレート8の識別情報と試料プレート8が収容されている試料プレート収容部61の番号とを識別情報提示部66に与える。
【0069】
識別情報提示部66は、試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを制御装置4に送信する。制御装置4は、試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とをコンピュータ1に送信する。次にコンピュータ1による試料プレート8の供給指示動作が、図6のフローチャートを用いて説明される。
【0070】
図6は、コンピュータ1の識別情報取得部13および供給指示部14により実行される処理を示すフローチャートである。まず、コンピュータ1の識別情報取得部13は、試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得したか否かをチェックする(ステップS101)。識別情報取得部13が試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得した場合、供給指示部14は、対象プレート記憶部12を参照する(ステップS102)。識別情報取得部13が試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得しない場合、処理を終了する。
【0071】
ステップS102の次に、供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶された対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS103)。供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶された対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するとき、試料プレート収容部61に収容された試料プレート8が処理対象である対象試料プレート8Tであると判定する。供給指示部14は、試料プレート収容部61に対象試料プレート8Tが収容されたと判定すると、プレートチェンジャー6に対して対象試料プレート8Tの供給指示を行う。つまり、供給指示部14は、プレートチェンジャー6に対して、識別情報取得部13が取得した識別情報を有する試料プレート8をオートサンプラ7に供給するよう指示する(ステップS104)。あるいは、供給指示部14は、プレートチェンジャー6に対して、識別情報取得部13が取得した番号を有する試料プレート収容部61に収容されている試料プレート8をオートサンプラ7に供給するよう指示する。供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶された対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致しないとき、処理を終了する。
【0072】
ステップS104の次に、処理指示部141は、対象プレート記憶部12を参照し、対象試料プレート8Tに対応付けられているバッチテーブルを取得する。そして、処理指示部141は、バッチテーブルに基づいて分析処理に関する情報をオートサンプラ7に通知する(ステップS105)。以上の処理により、プレートチェンジャー6が対象試料プレート8Tをオートサンプラ7に供給する。そして、オートサンプラ7により対象試料プレート8Tに収容された試料ビンから試料が採取され、分析装置に対して試料の注入が行われる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態の試料プレート供給制御システム20は、複数の試料プレート収容部61の中で、いずれかの試料プレート収容部61に収容された試料プレート8の識別情報を取得する。そして、試料プレート供給制御システム20は、対象試料プレート8Tの識別情報と識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するとき、識別情報が取得された試料プレート8をオートサンプラ7に供給する。これにより、いずれの試料プレート収容部61に試料プレート8が収容された場合であっても、対象プレート記憶部12に記憶されている対象試料プレート8Tがオートサンプラ7に供給される。
【0074】
ユーザは、プレートチェンジャー6において、いずれの試料プレート収容部61に試料プレート8を収容すべきかを意識しなくてよい。ユーザは、空いている試料プレート収容部61に試料プレート8を収容すればよい。誤った操作により、異なる試料プレート8に対して分析処理が開始されることがない。複数のユーザがプレートチェンジャー6を共有する場合であっても、各ユーザは、自由に空いている試料プレート収容部61を利用することができる。
【0075】
また、試料プレート供給制御システム20は、対象試料プレート8Tの識別情報と識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するとき、オートサンプラ7に対して対象プレート記憶部12に記憶されたバッチテーブルの内容を指示する。これにより、いずれの試料プレート収容部61に試料プレート8が収容された場合であっても、対象プレート記憶部12に記憶されている対象試料プレート8Tに対して、対象プレート記憶部12に記憶されたバッチテーブルに基づいて分析処理が開始される。
【0076】
[2]第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態が説明される。第2の実施の形態においては、オートサンプラ7が分析処理を実行しているとき、プレートチェンジャー6が待機状態となる。図7は、第2の実施の形態においてコンピュータ1の識別情報取得部13および供給指示部14により実行される処理を示すフローチャートである。まず、コンピュータ1の識別情報取得部13は、試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得したか否かをチェックする(ステップS201)。識別情報取得部13が試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得した場合、供給指示部14は、対象プレート記憶部12を参照する(ステップS202)。識別情報取得部13が試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得しない場合、処理を終了する。
【0077】
ステップS202の次に、供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶された対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS203)。供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶された対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するとき、試料プレート収容部61に収容された試料プレート8が処理対象である対象試料プレート8Tであると判定する。
【0078】
供給指示部14は、試料プレート収容部61に対象試料プレート8Tが収容されたと判定すると、オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行中であるか否かを判定する(ステップS204)。供給指示部14は、制御装置4に問い合わせを行うことにより、オートサンプラ7の処理状態を取得する。または、供給指示部14は、制御装置4を介してオートサンプラ7に問い合わせを行うことで、オートサンプラ7の処理状態を取得する。
【0079】
オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行中である場合、供給指示部14は、所定時間待機する(ステップS205)。所定時間が経過した場合、供給指示部14は、ステップS204に戻り、オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行中であるか否かを判定する。オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行中である場合、ステップS204およびステップS205の処理を繰り返す。
【0080】
オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行中でない場合、供給指示部14は、プレートチェンジャー6に対して試料プレート8の供給指示を行う。この後のステップS206およびステップS207は、第1の実施の形態における図6のステップS104およびステップS105と同様であるので説明を省略する。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態の試料プレート供給制御システム20は、対象試料プレート8Tの識別情報と識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するとき、オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行しているか否かを判定する。試料プレート供給制御システム20は、オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行しているとき、別の試料プレート8に対する処理が完了してから、試料プレート8をオートサンプラ7に供給する。これにより、オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行しているときであっても、対象試料プレート8Tの実行の予約が行われる。ユーザは、オートサンプラ7が別の試料プレート8に対する処理を実行しているか否かに関わらず、対象試料プレート8Tの設定を行うことができる。
【0082】
[3]第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態が説明される。第3の実施の形態においては、複数の対象試料プレート8Tがスタンバイ状態となる。第3の実施の形態の前提として、対象プレート記憶部12には、複数の対象試料プレート8Tの識別情報が記憶される。つまり、ユーザは、図5で示したプレート設定画面100において、複数のプレート識別番号について設定を行い、複数の設定に対してスタンバイ指示ボタン104を選択している。これにより、複数の対象試料プレート8Tがスタンバイ状態となる。
【0083】
図8は、第3の実施の形態においてコンピュータ1の識別情報取得部13および供給指示部14により実行される処理を示すフローチャートである。まず、コンピュータ1の識別情報取得部13は、試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得したか否かをチェックする(ステップS301)。識別情報取得部13が試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得した場合、供給指示部14は、対象プレート記憶部12を参照する(ステップS302)。識別情報取得部13が試料プレート8の識別情報と試料プレート収容部61の番号とを取得しない場合、処理を終了する。
【0084】
ステップS302の次に、供給指示部14は、対象プレート記憶部12を参照した結果を判定する。供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶された複数の対象試料プレート8Tの識別情報のうち、いずれかの対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS303)。供給指示部14は、対象プレート記憶部12に記憶されたいずれかの対象試料プレート8Tの識別情報と、識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するとき、試料プレート収容部61に収容された試料プレート8が処理対象である対象試料プレート8Tであると判定する。
【0085】
供給指示部14は、試料プレート収容部61に対象試料プレート8Tが収容されたと判定すると、プレートチェンジャー6に対して試料プレート8の供給指示を行う。この後のステップS304およびステップS305は、第1の実施の形態における図6のステップS104およびステップS105と同様であるので説明を省略する。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態の試料プレート供給制御システム20は、複数記憶されている対象試料プレート8Tの識別情報と識別情報取得部13が取得した試料プレート8の識別情報とが一致するとき、試料プレート8をオートサンプラ7に供給する。これにより、いずれの試料プレート収容部61に試料プレート8が収容された場合であっても、対象プレート記憶部12に記憶されている複数の対象試料プレート8Tの中のいずれかの対象試料プレート8Tがオートサンプラ7に供給される。ユーザは、同時に複数の対象試料プレート8Tに対する分析処理の予約を行うことができる。
【0087】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【0088】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。上記の実施の形態では、プレートチェンジャー6がプレート保持部の例であり、コンピュータ1が端末装置の例であり、バッチテーブルが処理情報の例である。
【0089】
また、上記の実施の形態では、プレートチェンジャー6が有する識別情報認識部65とコンピュータ1が有する供給指示部14とを機能的に備えた装置が試料プレート供給装置の例である。上記の実施の形態では、プレートチェンジャー6が有する識別情報認識部65とコンピュータ1が有する供給指示部14とを機能的に備えた1つの装置は例示していないが、これら両方の機能を1つの装置が備えるようにしてもよい。
【0090】
また、上記の実施の形態では、第2の制御プログラムが試料プレート供給制御プログラムの例である。
【0091】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する種々の要素を用いることもできる。
【0092】
[5]他の実施の形態
上記の実施の形態においては、試料プレート保持部の例であるプレートチェンジャー6がオートサンプラ7に付属される別装置であった。試料プレート保持部は、オートサンプラ7に付属される別装置であってもよいが、オートサンプラ7が試料プレート保持部を内部に保有してもよい。
【0093】
上記の実施の形態においては、プレートチェンジャー6が液体クロマトグラフ用のオートサンプラ7に試料プレート8を供給する装置として用いられる場合を説明したが、本実施の形態のプレートチェンジャー6は、各種の分析装置に用いられるオートサンプラに試料プレート8を供給する装置として用いることができる。また、本発明の分析システム10は、液体クロマトグラフに限らず、他の種類の液体クロマトグラフ等の他の分析装置に用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8