(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】水質分析計
(51)【国際特許分類】
G01N 31/12 20060101AFI20221025BHJP
G01N 33/18 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G01N31/12 A
G01N33/18 B
(21)【出願番号】P 2020561164
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2019037952
(87)【国際公開番号】W WO2020129347
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2018239247
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中堂薗 賢一
(72)【発明者】
【氏名】居原田 健志
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-185884(JP,A)
【文献】特開昭59-122948(JP,A)
【文献】特開2012-202887(JP,A)
【文献】特開2016-080441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/12
G01N 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で液体の試料を燃焼させるための燃焼管と、
前記燃焼管への試料注入動作を実行する試料注入部と、
前記燃焼管内の圧力を検出する圧力センサと、
前記燃焼管の温度を検出する温度センサと、
前記試料注入部による前記試料注入動作が実行された直後の前記圧力センサの出力及び前記温度センサの出力に基づいて、前記燃焼管及び/又は前記試料注入部について正常か異常かを判定するように構成された判定部と、を備え
、
前記判定部は、前記試料注入部による前記試料注入動作が実行された直後の前記圧力センサの出力の変動の有無、及び、前記温度センサの出力の変動の有無を検知し、その検知結果に基づいて、前記燃焼管及び/又は前記試料注入部について正常か異常かを判定するように構成されており、
前記判定部は、前記圧力センサの出力の変動を検知したときは前記燃焼管及び前記試料注入部が正常であると判定し、前記温度センサの出力の変動のみを検知したときは前記燃焼管が異常かつ前記試料注入部が正常であると判定し、前記圧力センサの出力及び前記温度センサの出力のいずれの変動も検知しなかったときは前記試料注入部が異常であると判定するように構成されている、水質分析計。
【請求項2】
前記判定部は、前記圧力センサの出力が予め設定された第1のしきい値を超えたときに前記圧力センサの出力の変動を検知し、前記温度センサの出力が予め設定された第2のしきい値を下回ったときに前記温度センサの出力の変動を検知するように構成されている、請求項
1に記載の水質分析計。
【請求項3】
前記判定部による判定結果を記憶する判定結果記憶部を備えている、請求項1に記載の水質分析計。
【請求項4】
前記燃焼管に流体接続されて前記燃焼管内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給流路を備え、
前記圧力センサは前記キャリアガス供給流路上に設けられている、請求項1に記載の水質分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質分析計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水質分析計の1つとして、燃焼酸化式の全有機体炭素測定装置(TOC計)が知られている(特許文献1参照。)。TOC計は、酸化触媒が内部に配置されている燃焼管を電気炉によって高温(例えば、680℃程度)に加熱し、燃焼管にキャリアガスを一定流量で供給する。燃焼管に液体の試料が注入されると、酸化触媒の作用によって試料に含まれる炭素成分が二酸化炭素に変換される。燃焼管には赤外線式二酸化炭素検出器(NDIR)などの検出器が接続されており、燃焼管において生成された二酸化炭素がキャリアガスとともに検出器へ導かれてその濃度が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-185884号公報
【文献】特開昭59-122948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分析を行なった際に、検出器による測定値がゼロ又はゼロに近い値となる場合がある。そのような測定値が得られた場合、ユーザはその測定値が試料の正しい測定値であるのか、又は、装置の異常によるものであるのかを判別することが難しい。装置の異常としては、試料を燃焼管へ注入する試料注入部の異常と、燃焼管自身の異常とが考えられる。
【0005】
試料注入部の異常としては、試料槽への試料供給の不具合や採水チューブの閉塞などにより、試料注入部から燃焼管へ試料が正常に注入されないことが挙げられる。一方、燃焼管の異常としては、燃焼管に経年劣化等に起因した亀裂や割れが生じたり、燃焼管への配管取付けが不十分であったりしたために、キャリアガスの漏れが発生して燃焼管から検出器へ試料ガスが正常に移送されないことが挙げられる。
【0006】
燃焼管の温度変化や圧力変化に基づいて燃焼管に試料が正常に注入されたか否かを検知することは提案されている(特許文献1及び2参照)。しかし、それらの方法では、燃焼管の異常を検知することはできない。
【0007】
燃焼管に異常があるか否かを調べるには、燃焼管を電気炉から取り出して確認する必要があるが、これは時間と手間を要する作業である。燃焼管の異常によるキャリアガスの漏れを検出するために、燃焼管の下流にキャリアガス流量を監視するフローセンサを設置するなどの対策を採ることも可能であるが、装置コストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、試料注入部と燃焼管における異常の有無を検知できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る水質分析計は、内部で液体の試料を燃焼させるための燃焼管と、前記燃焼管への試料注入動作を実行する試料注入部と、前記燃焼管内の圧力を検出する圧力センサと、前記燃焼管の温度を検出する温度センサと、前記試料注入部による前記試料注入動作が実行された直後の前記圧力センサの出力及び前記温度センサの出力に基づいて、前記燃焼管及び/又は前記試料注入部について正常か異常かを判定するように構成された判定部と、を備えている。
【0010】
液体試料を燃焼管に注入すると、液体試料の気化熱により燃焼管内の温度が低下する。したがって、燃焼管内の温度の低下が検出されれば、燃焼管内に試料が注入されたことを検知することができる。
【0011】
また、水が液体の状態から気体の状態へ変化すると体積が約700倍にまで膨張する。高温に加熱された燃焼管に液体の試料が注入されると、燃焼管内で水が瞬時に気化して体積が膨張し、燃焼管内の圧力が急激に上昇する。燃焼管内の圧力が上昇すると、燃焼管に通じているキャリアガス供給流路内の圧力も上昇する。したがって、キャリアガス供給流路内の圧力を監視しておけば、燃焼管に液体の試料が注入されたか否かを検知することができる。
【0012】
上記の現象から、試料注入部及び燃焼管がともに正常であれば、試料注入部が試料注入動作を実行した直後に燃焼管の温度変動及び燃焼管内の圧力変動が検出されるはずである。試料注入部に異常があるために試料が燃焼管に注入されなかった場合には、燃焼管の温度変動及び燃焼管内の圧力変動は検出されない。一方で、燃焼管にひび割れ等の異常がある場合、試料注入部が試料注入動作を実行した直後に燃焼管の温度変動は検出されるが、燃焼管内の圧力変動は検出されないか、変動してもその変動幅は小さなものとなる。したがって、試料注入部による試料注入動作が実行された直後の圧力センサの出力及び温度センサの出力を監視すれば、試料注入部と燃焼管における異常の有無を検知することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る水質分析計では、試料注入部による試料注入動作が実行された直後の圧力センサの出力及び温度センサの出力に基づいて、燃焼管及び/又は試料注入部について正常か異常かを判定する判定部を備えているので、試料注入部と燃焼管における異常の有無を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】水質分析計の一実施例を示す概略構成図である。
【
図2】同実施例における判定動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る水質分析計の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に、水質分析計の1つである燃焼酸化式TOC計の概略的構成を示す。
【0017】
この実施例のTOC計は、主として、燃焼管2、電気炉4、切替バルブ6、シリンジポンプ8、除湿部10、検出部12及び制御装置14を備えている。
【0018】
燃焼管2は、例えば石英ガラスからなるものであり、内部に酸化触媒が配置されている。燃焼管2は、電気炉4によって高温(例えば、680℃)に加熱され、内部に注入された液体の試料を燃焼させて試料ガスを生成するためのものである。燃焼管2は、内部に試料を注入するための試料注入口2a、内部にキャリアガスを導入するためのキャリアガス導入口2b、及び内部において試料が燃焼させられることにより生成された試料ガスをキャリアガスとともに外部へ流出させるための試料ガス出口2cを備えている。燃焼管2の試料注入口2aには試料導入流路16が接続され、キャリアガス導入口2bにはキャリアガス供給流路18が接続され、試料ガス出口2cには試料ガス流路20が接続されている。試料導入流路16は切替バルブ6の1つの選択ポートに接続されている。
【0019】
燃焼管2には温度センサ38が取り付けられている。温度センサ38の出力は制御装置14に取り込まれる。制御装置14は、温度センサ38によって検出される温度に基づいて、燃焼管2の温度が所定温度になるように電気炉4の加熱出力を制御する。
【0020】
切替バルブ6は1つの中央ポートと複数の選択ポートを備えている。切替バルブ6の複数の選択ポートには、試料導入流路16のほか、試料槽へ通じる流路、希塩酸容器へ通じる流路、洗浄液容器へ通じる流路、ドレンへ通じる流路が接続されている。切替バルブ6の中央ポートにシリンジポンプ8の吸入吐出口が接続されており、切替バルブ6によってシリンジポンプ8の吸入吐出口の接続先が切り替えられるようになっている。
【0021】
切替バルブ6及びシリンジポンプ8は、燃焼管2への試料の注入動作を自動的に行なうための試料注入部を構成するものである。燃焼管2への試料注入動作とは、シリンジポンプ8を試料槽に接続して、試料槽内の試料をシリンジポンプ8内に採取し、必要に応じて試料への酸の添加や通気といった処理をシリンジポンプ8内で行なった後、試料注入口2aを通じて燃焼管2へ試料を注入する動作である。
【0022】
キャリアガス供給流路18は、高純度空気源24からの高純度空気をキャリアガスとして燃焼管2へ供給するための流路である。キャリアガス供給流路18上には、抵抗管26、圧力センサ28及び流量制御弁30が設けられている。圧力センサ28はキャリアガス供給流路18内の圧力を検出するためのものである。圧力センサ28の出力信号は制御装置14に取り込まれる。流量制御弁30は、キャリアガス供給流路18を流れるキャリアガスの流量を制御するためのものである。流量制御弁30は、圧力センサ28の出力信号に基づいて制御装置14により開度が制御される。
【0023】
燃焼管2の試料ガス出口2cからの試料ガス流路20は検出部12に通じている。検出部12は、燃焼管2内において生成された試料ガス中の二酸化炭素濃度を測定するためのものであり、例えばNDIRである。試料ガス流路20上に除湿部10が設けられており、燃焼管2の試料ガス出口2cから流出した試料ガス中の水分が除湿部10において除去される。
【0024】
シリンジポンプ8のシリンジには通気ガス供給流路22が接続されており、シリンジポンプ8内において通気ガスによる試料の通気処理を行なうことができるようになっている。通気ガス供給流路22は、高純度空気源24からの高純度空気を通気ガスとしてシリンジポンプ8のシリンジ内へ供給するための流路である。通気ガス供給流路22上には、抵抗管32、圧力センサ34及び流量制御弁36が設けられている。圧力センサ34は通気ガス供給流路22内の圧力を検出するためのものである。圧力センサ34の出力信号は制御装置14に取り込まれる。流量制御弁36は、通気ガス供給流路22を流れる通気ガスの流量を制御するためのものである。流量制御弁36は、圧力センサ34の出力信号に基づいて制御装置14により開度が制御される。なお、通気ガス供給流路22は必ずしも設けられている必要はない。
【0025】
制御装置14は、切替バルブ6、シリンジポンプ8、流量制御弁30及び流量制御弁36の動作を制御するためのものである。制御装置14は、例えば、CPU(中央演算装置)などの演算素子や記憶装置を備える電子回路によって実現される。
【0026】
制御装置14は、注入制御部40、キャリアガス流量制御部42、温度制御部44、判定部46及び判定結果記憶部48を備えている。注入制御部40、キャリアガス流量制御部42、温度制御部44、判定部46は、演算素子がプログラムを実行することによって得られる機能である。判定結果記憶部48は記憶装置の一部の記憶領域によって実現される機能である。
【0027】
注入制御部40は、切替バルブ6及びシリンジポンプ8からなる試料注入部の動作を制御して燃焼管2への試料の注入動作を実行させるように構成されている。注入制御部40は、ユーザにより試料注入指示が制御装置14に入力されたときに、又は予め設定された試料注入時刻(例えば、測定開始から一定時間間隔の時刻)になったときに、切替バルブ6及びシリンジポンプ8を駆動するドライバに対して必要な信号を送信し、燃焼管2への試料注入動作を実行させる。
【0028】
キャリアガス流量制御部42は、圧力センサ28の出力信号に基づき、キャリアガス供給流路18を流れるキャリアガスの流量が予め設定された流量となるように、流量制御弁30の開度を制御するように構成されている。
【0029】
温度制御部44は、温度センサ38の出力信号に基づき、燃焼管2の温度が所定温度になるように電気炉4の加熱出力を制御するように構成されている。
【0030】
判定部46は、試料注入部による試料注入動作が実行された直後の圧力センサ28の出力信号及び温度センサ38の出力信号の有無を検知し、その検知結果に基づいて、試料注入部と燃焼管2のそれぞれについて、正常か異常かを判定するように構成されている。
【0031】
判定結果記憶部48は、判定部46による判定結果を記憶する。判定結果記憶部48に記憶された判定結果は、例えば、検出部12で得られた測定結果とともに表示装置(図示は省略)に表示することができる。これにより、測定結果に異常があった場合に、それが試料注入の異常によるものであるか否かを事後的に検証することができる。また、判定部46による判定の結果、燃焼管2が異常であると判定されたときに、注入制御部40は以降の試料注入動作を中止するように構成されていてもよい。これにより、試料の分析が無駄に実施されることが防止される。
【0032】
この実施例では、キャリアガス供給流路18を通じて燃焼管2に供給されるキャリアガスの流量が、圧力センサ28及び流量制御弁30を用いて電子的に制御されるようになっている。そして、制御装置14の判定部46は、キャリアガス流量を制御するために本来的に設けられている圧力センサ28、及び、燃焼管2の温度制御のために本来的に設けられている温度センサ38を利用して、試料注入部と燃焼管2のそれぞれが正常か異常かを判定する。すなわち、この実施例では、既存の装置構成を変更することなく制御装置14のソフトウエア構成を変更するだけで、試料注入部と燃焼管2のそれぞれが正常か異常かを判定する機能を実現している。
【0033】
判定部46による判定動作について、
図2のフローチャートを
図1とともに参照しながら説明する。ここでは、予め設定された試料注入時刻に燃焼管2への試料の注入動作が自動的に実行されるように構成されている例について説明する。
【0034】
注入制御部40は、予め設定された試料注入時刻になると、切替バルブ6及びシリンジポンプ8を駆動するドライバに信号を送信し、燃焼管2への試料注入動作を実行する(ステップS1及びS2)。判定部46は、試料注入動作が実行された直後の圧力センサ28及び温度センサ38の出力信号を監視し、それらの出力信号の変動の有無を検知する。圧力センサ28の出力信号の変動の有無は、圧力センサ28の出力信号が所定のしきい値(第1のしきい値)を超えるか否かによって判断する。温度センサ38の出力信号の変動の有無は、温度センサ38の出力信号が所定のしきい値(第2のしきい値)を下回るか否かによって判断する。
【0035】
試料注入動作が実行された直後に燃焼管2内の圧力変動が検知された場合(ステップS3)、燃焼管2内に試料が正常に注入され、それに起因して燃焼管2内の圧力が一時的に上昇したと判断することができる。したがって、判定部46は、燃焼管2内の圧力変動が検知されときに、試料注入部及び燃焼管2がともに正常であると判定する(ステップS4)。
【0036】
一方、試料注入動作が実行された後に燃焼管2内の圧力変動が検知されなかった場合、試料が燃焼管2内に正常に注入されなかったか、又は、燃焼管2にひび割れ等の不具合があると判断することができる。そこで、判定部46は、試料注入動作が実行された後に燃焼管2内の圧力変動が検知されなかった場合、温度センサ38の出力信号の変動の有無を検知し(ステップS5)、温度センサ38の出力信号の変動が検知されれば試料注入部は正常である一方、燃焼管2に異常があると判定し(ステップS6)、温度センサ38の出力信号の変動も検知されなければ試料注入部に異常があると判定する(ステップS8)。
【0037】
燃焼管2に異常がある場合(ステップS6)、キャリアガスの漏れが発生して分析を正常に実行することができる状態ではないので、所定の表示部にエラーを表示し、以降の分析動作を中断する。一方、試料注入部に異常がある場合(ステップS8)、その判定結果を判定結果記憶部48に記憶させ(ステップS9)、所定の表示部に判定結果を表示する(ステップS10)。なお、燃焼管2が異常であると判定された場合にも、判定結果が判定結果記憶部48に記憶されるように構成されていてもよい。
【0038】
以上において説明した実施例は、本発明に係る水質分析計の実施形態の一例を示したに過ぎない。本発明に係る水質分析計の実施形態は以下の通りである。
【0039】
本発明に係る水質分析計の実施形態では、内部で液体の試料を燃焼させるための燃焼管と、前記燃焼管への試料注入動作を実行する試料注入部と、前記燃焼管内の圧力を検出する圧力センサと、前記燃焼管の温度を検出する温度センサと、前記試料注入部による前記試料注入動作が実行された直後の前記圧力センサの出力及び前記温度センサの出力に基づいて、前記燃焼管及び/又は前記試料注入部について正常か異常かを判定するように構成された判定部と、を備えている。
【0040】
本発明に係る水質分析計の実施形態の第1態様では、前記判定部は、前記試料注入部による前記試料注入動作が実行された直後の前記圧力センサの出力の変動の有無、及び、前記温度センサの出力の変動の有無を検知し、その検知結果に基づいて、前記燃焼管及び/又は前記試料注入部について正常か異常かを判定するように構成されている。
【0041】
上記第1態様において、前記圧力センサの出力の変動を検知したときは前記燃焼管及び前記試料注入部が正常であると判定し、前記温度センサの出力の変動のみを検知したときは前記燃焼管が異常かつ前記試料注入部が正常であると判定し、前記圧力センサの出力及び前記温度センサの出力のいずれの変動も検知しなかったときは前記試料注入部が異常であると判定するように、前記判定部を構成することができる。
【0042】
また、上記第1態様において、前記圧力センサの出力が予め設定された第1のしきい値を超えたときに前記圧力センサの出力の変動を検知し、前記温度センサの出力が予め設定された第2のしきい値を下回ったときに前記温度センサの出力の変動を検知するように、前記判定部を構成することができる。
【0043】
本発明に係る水質分析計の実施形態の第2態様では、前記判定部による判定結果を記憶する判定結果記憶部を備えている。このような態様により、測定結果に異常があった場合に、それが試料注入部又は燃焼管の異常によるものであるか否かを事後的に検証することができる。
【0044】
本発明に係る水質分析計の実施形態の第3態様では、前記燃焼管に流体接続されて前記燃焼管内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給流路を備え、前記圧力センサは前記キャリアガス供給流路上に設けられている。このような態様により、判定部による判定に、燃焼管に供給されるキャリアガスの流量を制御するために設けられている圧力センサの出力信号を用いるため、既存の装置構成を用いて判定部の機能を実現でき、装置コストの増加を抑制することができる。
【符号の説明】
【0045】
2 燃焼管
2a 試料注入口
2b キャリアガス導入口
2c 試料ガス出口
4 電気炉
6 切替バルブ
8 シリンジポンプ
10 除湿部
12 検出部
14 制御装置
16 試料導入流路
18 キャリアガス供給流路
20 試料ガス流路
22 通気ガス供給流路
24 高純度空気源
26,32 抵抗管
28,34 圧力センサ
30,36 流量制御弁
38 温度センサ
40 注入制御部
42 キャリアガス流量制御部
44 温度制御部
46 判定部
48 判定結果記憶部