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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】配管ガイド
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20221025BHJP
   F16L 1/06 20060101ALI20221025BHJP
   H02G 1/06 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
F16L1/00 B
F16L1/00 V
F16L1/06
H02G1/06
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021095034
(22)【出願日】2021-06-07
(62)【分割の表示】P 2017113138の分割
【原出願日】2017-06-08
(65)【公開番号】P2021152411
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】井村 元
(72)【発明者】
【氏名】置田 昌宏
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】実公昭62-034663(JP,Y2)
【文献】特開2011-001773(JP,A)
【文献】特開2009-168405(JP,A)
【文献】特開2014-055752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00
F16L 1/06
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプを狭所への手作業での通管により敷設する際に用いられる配管ガイドであって、前記パイプの先行端に連結され固定される連結部と、当該連結部に連設され当該連結部に一体成形されて前記パイプの通管時に先行する先細り状のガイド部とを備え、
前記ガイド部は、斜切りの切断面に対応する部分が閉じられた斜切円柱体よりなっている配管ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重管を敷設する際に用いられる配管ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、床下空間に樹脂管を敷設する際に樹脂管の先端に装着される樹脂管用先端具が開示されている。当該樹脂管用先端具は、床下空間へ樹脂管を通管する際に先行することで、当該通管作業をスムーズとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-072808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な配管ガイドを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明の配管ガイドは、パイプを狭所への通管により敷設する際に用いられる配管ガイドであって、前記パイプの先行端に連結される連結部と、当該連結部に連設されて前記パイプの通管時に先行する先細り状のガイド部とを備え、前記ガイド部は、斜切りの切断面に対応する部分が閉じられた斜切円柱体よりなっている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、新規な配管ガイドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の配管ガイドを示す正面図。
図2】配管ガイドの背面図。
図3図1のA-A線断面図。
図4】配管ガイドの底面図。
図5】多重管に対する配管ガイドの装着状態を示す拡大図であり多重管を縦断面にして示す図。
図6】第2実施形態の配管ガイドを示す正面図。
図7】配管ガイドの背面図。
図8図6のB-B線断面図。
図9】配管ガイドの底面図。
図10】多重管に対する配管ガイドの装着状態を示す拡大図であり、配管ガイドの一部を破断して示すとともに多重管を縦断面にして示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した第1実施形態及び第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態については第1実施形態との相違点についてのみ説明し、同一部材には同じ番号を付して説明を省略する。
【0009】
<第1実施形態>
図5に示すように、本実施形態の配管ガイド10は、内側パイプ101と外側パイプ102とを有する給水給湯用の多重管100を、狭所で敷設する際に用いられる。当該狭所は、例えば隠蔽配置された給水給湯用配管をリフォームする現場であって、既設の配管・配線等や梁・柱等の構造物によって混雑している床下や天井裏である。
【0010】
この床下や天井裏に対して、床板や天井板を全て剥がすことなく多重管100を敷設するために、所謂通管と呼ばれる施工方法が採用されている。通管は、床板や天井板の一部に形成された開口から、床下や天井裏へと多重管100の先行端100aを挿入するとともに、この挿入された先行端100aが所定の位置に到達するまで、先行端100aの位置をコントロールしながら、多重管100を床下や天井裏へと押し込む施工方法である。
【0011】
この通管は、多重管100の先行端100aそのままでは、先行端100aが既設の配管・配線等や梁・柱等の構造物に引っ掛かり易く、作業をスムーズに行い得ない。したがって、多重管100の先行端100aに配管ガイド10を装着することによって、スムーズな通管作業を実現する。
【0012】
なお、多重管100の内側パイプ101は、架橋ポリエチレン管やポリブテン管等の屈曲性を有する合成樹脂管であって、通水の役目をなす。外側パイプ102は、ポリエチレン管等の合成樹脂管であって、施工現場の雰囲気と内側パイプ101との間での熱伝達を遮断する遮熱管の役目や、多重管100の通管作業時に内側パイプ101の外面が傷つかないようにする保護管の役目をなす。
【0013】
外側パイプ102は、軸線Lの方向に大径部102aと小径部102bとが交互に配置された蛇腹状をなしており、内側パイプ101よりも大きな屈曲性を有するとともに、軸線Lの方向への伸縮が可能である。外側パイプ102は、一般財団法人ベターリビングが優良住宅部品(BL部品)を認定する際に用いる「さや管の座屈弾力性試験(試験番号:BLT PI―08)」に準じた試験方法により曲げ力を測定すると、呼び径22未満においては曲げ力が40N未満であり、呼び径22以上においては曲げ力が100N未満である。曲げ力が低い外側パイプ102は、「発明が解決しようとする課題」で述べた問題、つまり通管作業時において屈曲する問題を生じ易い。
【0014】
図1図4に示すように、配管ガイド10は、多重管100の先行端100aに連結される連結部11と、連結部11に連設されて多重管100の通管時に先行するガイド部12とを備えている。連結部11とガイド部12とは、ポリプロピレンやポリアセタール等の合成樹脂を材料として一体成形されている。
【0015】
ガイド部12は、円柱体の一部(先行側の部分)を軸線Lに対して傾斜する平面で切り落とした様な、先細り形状を有している。つまり、ガイド部12は、斜切円柱体よりなっている。したがって、ガイド部12には、先端縁から基端付近にかけて、楕円形の外周縁を有する平面12aが形成されている。平面12aの外周縁には、全周に渡ってR面取り12cが施されている。ガイド部12において平面12aと反対側の円筒面には、軽量化のために複数の肉盗み12bが施されている。
【0016】
連結部11は、ガイド部12の基端面(図1の下方側の端面)において同軸位置に突設された、挿入部としての円柱状の大径部13を有している。連結部11は、大径部13の先端面(図1の下方側の端面)において同軸位置に突設された、円筒状の小径部14を有している。小径部14は、先端側が小径となる先細り状をなしており、特に先端付近は他の部位と比較して先窄まりの傾斜が大きくなっている。
【0017】
連結部11において大径部13の外面には、周方向に延びるリブ状をなす係合突起15が突設されている。係合突起15は、軸線Lの方向に所定間隔で複数(本実施形態においては二つ)が設けられている。この係合突起15の群と同様な群が、大径部13の外面において180°反対側の位置にも設けられている。各係合突起15において周方向の一端部16は、当該周方向において径方向及び軸線Lの方向に幅が狭くなる先細り形状をなしている。一端部16の端面16aは、ガイド部12側を向くとともに、大径部13の径方向及び軸線Lの方向に対して傾斜されている。
【0018】
図5に示すように、連結部11は、篏合手段としての小径部14を内側パイプ101の内側に圧入することで、内側パイプ101に対して篏合されている。連結部11は、大径部13を外側パイプ102の内側に挿入するとともに、係合手段としての各係合突起15を外側パイプ102の対応する大径部102aの内側に配置し、各係合突起15を大径部102aと小径部102bとの間の段差に当接させることで、外側パイプ102に係合されて、外側パイプ102からの抜け止めがなされている。
【0019】
配管ガイド10が先行端100aに連結された多重管100は、通管作業時において、先行端100aよりも配管ガイド10が常に先行することとなる。配管ガイド10は、先細り形状のガイド部12を備えているため、既設の配管・配線等や梁・柱などの構造物を迂回し易くなり、通管作業をスムーズに行い得る。
【0020】
上記構成の本実施形態においては、次のような作用効果を奏する。
(1)配管ガイド10の連結部11は、係合突起15によって外側パイプ102に当接係合されて外側パイプ102を抜け止めする。したがって、例えば、通管作業時に外側パイプ102が既設の配管・配線等に引っ掛かる等しても、外側パイプ102から内側パイプ101が抜け出してしまうことを防止できる。
【0021】
また、配管ガイド10の連結部11は、小径部14を圧入することで内側パイプに篏合される。したがって、配管ガイド10が内側パイプ101に対して傾こうとしても、内側パイプ101に篏合した小径部14が芯となる補強効果で、当該傾きは阻止される。よって、配管ガイド10が内側パイプ101に対して傾いて、既設の配管・配線等の周辺を通過し難くなることを防止できるし、配管ガイド10と外側パイプ102との連結が解除されてしまうことも防止できる。
【0022】
(2)係合突起15において周方向の一端部16は、当該周方向に先細り形状をなしている。したがって、係合突起15を外側パイプ102の大径部13に配置する際、配管ガイド10を外側パイプ102に対して相対回動させると、一端部16が外側パイプ102に入り込み易くなり、これをきっかけとして、係合突起15を大径部13へとスムーズに配置させることができる。
【0023】
特に、係合突起15の一端部16の端面16aは、ガイド部12側を向くとともに、大径部13の径方向及び軸線Lの方向に対して傾斜されている。したがって、配管ガイド10を外側パイプ102に対して相対回動させた際、当該端面16aがガイド面となって外側パイプ102の端縁をすくい上げ、係合突起15の一端部16、ひいては係合突起15の全体が大径部13に入り込み易くなる。
【0024】
(3)ガイド部12は斜切円柱体よりなっている。したがって、通管作業の際、軸線Lの周りにおける平面12aの位置を把握し、必要に応じて多重管100つまりは配管ガイド10を回動させて平面12aの当該位置を調節すれば、配管ガイド10の移動方向をコントロールすることが容易となり、多重管100の通管作業を正確に行い得る。
【0025】
つまり、図3を参照して説明すると、配管ガイド10は、通管作業の際に、移動方向(図3の上方)に向かう一つの平面12aで既設の配管・配線等Kを受けることになる。平面12aは、軸線Lに対して、つまり配管ガイド10の移動方向に対して傾斜されているため、配管ガイド10は、既設の配管・配線等Kが平面12aに当接して反力を受けると、平面12aの裏側に向かう方向(図3の右方)の成分が移動方向に生じる。
【0026】
よって、例えば、配管ガイド10及び多重管100を、既設の配管・配線等Kに対して右側へと通過させたい場合には、平面12aが左側を向くように、つまり図3の状態となるように、多重管100ひいては配管ガイド10を回動させて、この状態で平面12aを既設の配管・配線等Kに突き当てるようにすればよい。逆に、配管ガイド10及び多重管100を、配管・配線等Kに対して左側へと通過させたい場合には、平面12aが右側を向くように、つまり図3の状態から軸線Lを中心として180°回転させた状態となるように、多重管100ひいては配管ガイド10を回動させて、この状態で平面12aを既設の配管・配線等Kに突き当てるようにすればよい。
【0027】
<第2実施形態>
図6図10に示すように、本実施形態の配管ガイド20の連結部11は、篏合手段及び係合手段を兼ねる円筒状の筒状部21を備えている。挿入部としての筒状部21は、内側パイプ101が内側に挿入されるとともに、外側パイプ102が外側に配置されて係合突起15で係止される。
【0028】
このように、一つの筒状部21が篏合手段及び係合手段を兼ねることで、配管ガイド20を軸線Lの方向に小さくすることができる。また、筒状部21の内側に挿入された内側パイプ101が筒状部21を補強するため、筒状部21における係合突起15の部分が縮径し難くなり、筒状部21つまりは配管ガイド20が外側パイプ102から抜け難くなる。
【0029】
<別例>
本発明は例えば次の態様でも実施可能である。
○ガイド部12を、先端が凸曲面状をなす円柱体、円錐体又は角錐体とすると。
【0030】
○連結部11において、大径部13と外側パイプ102との係合方法、又は筒状部21と外側パイプ102との係合方法を、圧入とすること。
【0031】
○連結部11において、小径部14の内側に内側パイプ101が圧入されるようにすること。
【0032】
○連結部11において、小径部14と内側パイプ101との篏合方法、又は筒状部21と内側パイプ101との篏合方法を、ロックリングや割リングを用いた所謂ワンタッチ継手方式とすること。この場合、リリース構造を設けることで、ロックリング又は割リングによるロックを解除可能とするよい。
【0033】
○外側パイプ102が蛇腹状ではない(軸線Lの方向に均等な内外径の)多重管100に適用可能な配管ガイドとすること。
【0034】
○多重管100は、三重管や四重管であってもよい。この場合、配管ガイドの連結部は、全てのパイプに係合可能とするとよい。
【0035】
<付記>
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記篏合手段及び前記係合手段は、前記内側パイプが内側に配置されるとともに前記外側パイプが外側に配置される筒状部を備えており、当該筒状部は、内面側で前記内側パイプに篏合可能であるとともに、外面側で前記外側パイプに係合可能である請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の配管ガイド。
【0036】
(2)管を狭所への通管により敷設する際に用いられる配管ガイドであって、前記管の先行端に連結される連結部と、当該連結部に連設されて前記管の通管時に先行する先細り状のガイド部とを備え、前記ガイド部は斜切円柱体よりなっている配管ガイド。
【符号の説明】
【0037】
10…配管ガイド、11…連結部、12…ガイド部、13…係合手段及び挿入部としての大径部、14…篏合手段としての小径部、15…係合手段としての係合突起、16…一端部、20…配管ガイド、21…篏合手段、係合手段及び挿入部としての筒状部、100…多重管、100a…先行端、101…内側パイプ、102…外側パイプ、102a…大径部、102b…小径部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10