(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】IoTデバイス、移動管理ノード、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20221025BHJP
H04W 8/24 20090101ALI20221025BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20221025BHJP
H04W 28/16 20090101ALI20221025BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W8/24
H04W4/70
H04W28/16
(21)【出願番号】P 2021171986
(22)【出願日】2021-10-20
(62)【分割の表示】P 2019212191の分割
【原出願日】2016-07-20
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2015146266
(32)【優先日】2015-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田村 利之
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0100895(US,A1)
【文献】3GPP,3GPP TR 23.887 V12.0.0,2013年12月20日,pp.10-15,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/23_series/23.887/23887-c00.zip>
【文献】CATT,CIoT architecture for small data transmission[online], 3GPP TSG-SA WG2#110 S2-152394,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa,2015年07月10日
【文献】Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Evaluation of Small Data solutions[online], 3GPP TSG-SA WG2#95 S2-130078,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_95_Prague/Docs/S2-130078.zip>,2013年01月22日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムに用いられるIoT (Internet of Things)デバイスであって、
スモールデータの通信において、U-Plane (User Plane)を用いるかC-Plane(Control Plane)を用いるかを示す第1の情報を含む要求メッセージを、移動管理ノードに基地局を介して送信する第1の送信手段と、
前記移動管理ノードの前記第1の情報の判断に基づいた第2の情報を含むAcceptメッセージを受信する受信手段と、
前記IoTデバイスと前記移動管理ノードとの登録処理の完了後に、前記スモールデータと、前記スモールデータの通信においてU-Planeを用いるかC-Planeを用いるかを示す第3の情報と、を含むRRC (Radio Resource Control) connection setup completeメッセージを、前記基地局に送信する第2の送信手段と、を有する、IoTデバイス。
【請求項2】
前記基地局は、前記スモールデータを前記移動管理ノードに送信する請求項1記載のIoTデバイス。
【請求項3】
前記第1の情報と前記第3の情報は、複数のビット列で示されたプロファイル情報である請求項1記載のIoTデバイス。
【請求項4】
前記第2の情報は、前記移動管理ノードの能力を示す情報である請求項1記載のIoTデバイス。
【請求項5】
前記IoTデバイスは、前記スモールデータをservice request messageを用いて前記移動管理ノードに送信する請求項1記載のIoTデバイス。
【請求項6】
移動通信システムのネットワークに用いられる移動管理ノードであって、
スモールデータの通信において、U-Plane (User Plane)を用いるかC-Plane(Control Plane)を用いるかを示す第1の情報を含む要求メッセージを、IoT (Internet of Things)デバイスから基地局を介して受信する第1の受信手段と、
前記移動管理ノードの前記第1の情報の判断に基づいた第2の情報を含むAcceptメッセージを、前記IoTデバイスに送信する送信手段と、
前記IoTデバイスと前記移動管理ノードとの登録処理の完了後に、前記スモールデータと、前記スモールデータの通信においてU-Planeを用いるかC-Planeを用いるかを示す第3の情報と、を含むRRC (Radio Resource Control) connection setup completeメッセージを受信した前記基地局から、前記スモールデータを含むInitial UEメッセージを受信する第2の受信手段と、を有する移動管理ノード。
【請求項7】
前記第1の情報と前記第3の情報は、複数のビット列で示されたプロファイル情報である請求項6記載の移動管理ノード。
【請求項8】
前記第2の情報は、前記移動管理ノードの能力を示す情報である請求項6記載の移動管理ノード。
【請求項9】
前記第2の受信手段は、前記スモールデータをservice request messageを用いて受信する請求項6記載の移動管理ノード。
【請求項10】
移動通信システムに用いられるIoT (Internet of Things)デバイスの通信方法であって、
スモールデータの通信において、U-Plane (User Plane)を用いるかC-Plane(Control Plane)を用いるかを示す第1の情報を含む要求メッセージを、移動管理ノードに基地局を介して送信し、
前記移動管理ノードの前記第1の情報の判断に基づいた第2の情報を含むAcceptメッセージを受信し、
前記IoTデバイスと前記移動管理ノードとの登録処理の完了後に、前記スモールデータと、前記スモールデータの通信においてU-Planeを用いるかC-Planeを用いるかを示す第3の情報と、を含むRRC (Radio Resource Control) connection setup completeメッセージを、前記基地局に送信する、IoTデバイスの通信方法。
【請求項11】
移動通信システムのネットワークに用いられる移動管理ノードの通信方法であって、
スモールデータの通信において、U-Plane (User Plane)を用いるかC-Plane(Control Plane)を用いるかを示す第1の情報を含む要求メッセージを、IoT (Internet of Things)デバイスから基地局を介して受信し、
前記移動管理ノードの前記第1の情報の判断に基づいた第2の情報を含むAcceptメッセージを、前記IoTデバイスに送信し、
前記IoTデバイスと前記移動管理ノードとの登録処理の完了後に、前記スモールデータと、前記スモールデータの通信においてU-Planeを用いるかC-Planeを用いるかを示す第3の情報と、を含むRRC (Radio Resource Control) connection setup completeメッセージを受信した前記基地局から、前記スモールデータを含むInitial UEメッセージを受信する、移動管理ノードの通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスモールデータの通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、大量のIoT(Internet of Things)デバイスを収容する通信システムの検討が行われている。
【0003】
IoTデバイスは、例えば、インターネットに接続されたセンサ機器、スマートメータ、家電機器、もしくは自動販売機等であってもよい。また、IoTデバイスは、MTC(Machine Type Communication)デバイスもしくはM2M(Machine to Machine)デバイス等と称されてもよい。例えば、IoTデバイスは、一般的な携帯電話もしくはスマートフォン等が通信するデータと比較して非常に少ない容量のデータを定期的にサーバ装置等へ送信する。例えば、IoTデバイスは、数十バイト程度のデータを定期的に送信する装置であってもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP TS 25.331 V12.5.0 (2015-03) 8.1.3 RRC connection establishment
【文献】3GPP TS 23.401 V13.3.0 (2015-06) 5.3.2 Attach procedure
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IoTデバイスに対して、省電力化を実現することによって長時間動作することが望まれている。例えば、ある企業が、大量のIoTデバイスを管理する場合、管理コストの観点からバッテリの充電作業及びバッテリの交換作業等を行う回数は、少ないことが望ましい。しかし、現在3GPPにて規定されている通信システムにおいては、例えば、非特許文献1及び非特許文献2に規定されているように、主に携帯電話端末もしくはスマートフォンを収容することを想定して通信手順が定められている。携帯電話端末もしくはスマートフォン等は、IoTデバイスが送信するデータよりも大きいデータ容量のデータを頻繁に送受信する。つまり、現在3GPPにおいて規定されている通信システムは、省電力化を要望されているIoTデバイスを収容するために最適な通信システムではないため、IoTデバイスの省電力化を実現することができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、IoTデバイスを収容するために適した通信手順を実行することができるネットワーク装置、通信端末、通信システム、受信方法、送信方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様にかかるネットワーク装置は、通信端末から送信された前記通信端末のプロファイル情報を受信する通信部と、前記通信端末と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略するか否かを判定する判定部と、を備え、前記通信部は、前記無線リンクを介して前記通信端末から送信されたスモールデータを受信するものである。
【0008】
本発明の第2の態様にかかる通信端末は、自端末のプロファイル情報をネットワーク装置へ送信する通信部と、前記ネットワーク装置から、前記ネットワーク装置と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記ネットワーク装置との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記ネットワーク装置との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略することができるか否かに関する情報を受信する受信部と、を備え、前記通信部は、前記無線リンクを介して前記ネットワーク装置へスモールデータを送信するものである。
【0009】
本発明の第3の態様にかかる通信システムは、通信端末と、前記通信端末と無線通信を行う基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の無線リンクの確立手順を制御するコアネットワーク装置とを備え、前記コアネットワーク装置は、前記通信端末から送信された前記通信端末のプロファイル情報を受信すると、前記無線リンクの確立手順において、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略することを指示する指示メッセージを前記基地局へ送信し、前記基地局は、前記指示メッセージに応じて、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略して前記無線リンクの確立手順を実行し、前記通信端末は、前記無線リンクを介して前記基地局へスモールデータを送信するものである。
【0010】
本発明の第4の態様にかかる受信方法は、通信端末から送信された前記通信端末のプロファイル情報を受信し、前記通信端末と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略するか否かを判定し、前記無線リンクを介して前記通信端末から送信されたスモールデータを受信するものである。
【0011】
本発明の第5の態様にかかる送信方法は、自端末のプロファイル情報をネットワーク装置へ送信し、前記ネットワーク装置から、前記ネットワーク装置と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記ネットワーク装置との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記ネットワーク装置との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略することができるか否かに関する情報を受信し、前記無線リンクを介して前記ネットワーク装置へスモールデータを送信するものである。
【0012】
本発明の第6の態様にかかるプログラムは、通信端末から送信された前記通信端末のプロファイル情報を受信し、前記通信端末と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略するか否かを判定し、前記無線リンクを介して前記通信端末から送信されたスモールデータを受信することをコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、IoTデバイスを収容するために適した通信手順を実行することができるネットワーク装置、通信端末、通信システム、受信方法、送信方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態1にかかるネットワーク装置の構成図である。
【
図2】実施の形態2にかかる通信システムの構成図である。
【
図4】実施の形態2にかかるカテゴリ情報を説明する図である。
【
図5】実施の形態2にかかるMMEの構成図である。
【
図6】実施の形態2にかかるeNBの構成図である。
【
図7】実施の形態2にかかるAttach処理の流れを示す図である。
【
図8】実施の形態2にかかるスモールデータの送信処理の流れを示す図である。
【
図9】3GPPにおいて定められている無線リンクの確立手順を示す図である。
【
図10】3GPPにおいて定められている無線リンクの確立手順を示す図である。
【
図11】各実施の形態にかかるeNBの構成図である。
【
図12】各実施の形態にかかる通信端末及びUEの構成図である。
【
図13】各実施の形態にかかるネットワーク装置及びMMEの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。はじめに
図1を用いて本発明の実施の形態1にかかるネットワーク装置10の構成例について説明する。ネットワーク装置10は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。例えば、ネットワーク装置10は、通信事業者が管理する通信ネットワーク上に配置される装置であってもよい。ネットワーク装置10は、基地局、サーバ装置、交換機等の通信装置であってもよい。もしくは、ネットワーク装置10は、ルータ装置等であってもよい。
【0016】
ネットワーク装置10は、通信部(なお、通信部は送信及び受信部と言い換えてもよい)11及び判定部12を有している。ネットワーク装置10の構成要素である通信部11及び判定部12は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。もしくは、ネットワーク装置10の構成要素は、ハードウェアもしくはチップ等であってもよい。
【0017】
通信部11は、通信端末20から送信された通信端末20のプロファイル情報を受信する。通信端末20は、ユーザ操作を伴わずに自律的に通信を実行するIoTデバイスであってもよい。IoTデバイスは、M2M(Machine to Machine)デバイスもしくはMTC(Machine Type Communication)デバイス等であってもよい。また、通信端末20は、インターネットに接続されたセンサ機器、スマートメータ、家電機器、もしくは自動販売機等であってもよい。また、IoTデバイスが送信するデータをスモールデータとする。スモールデータは、伝送容量が少ないことから、制御データ用の無線リソースでも送信することができる。そのため、スモールデータを制御データ用の無線リソースを用いて送信する場合、ユーザデータ用の無線リソースが不要となる。
【0018】
通信端末20のプロファイル情報は、通信端末20の動作もしくは通信端末20において実行される処理等が規定された情報であってもよい。
【0019】
判定部12は、通信端末20と無線リンクを確立する手順において、通信端末20から送信されたプロファイル情報に応じて、通信端末20との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及び通信端末20との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略するか否かを判定する。
【0020】
ネットワーク装置10は、通信端末20と無線通信を行う際に、通信端末20との間に無線リンクを確立する。例えば、ネットワーク装置10は、通信端末20の電源がOFF状態からON状態へ遷移したタイミング、予め定められた周期、もしくは通信端末20がデータを送信するタイミングに通信端末20との間に無線リンクを確立する。
【0021】
無線リンクの確立は、予め定められた手順に従って行われる。予め定められた手順は、ネットワーク装置10を管理する通信事業者によって定められてもよい。もしくは、予め定められた手順は、3GPP等において定められてもよい。また、無線リンクの確立は、無線ベアラの設定もしくは無線通信回線の設定等と言い換えられてもよい。
【0022】
ユーザデータの通信(送信や受信)に用いられる無線リソースとは、例えば、通信端末20がネットワーク装置10との間においてユーザデータである、テキストデータ、音声データ、もしくは画像データ等を送受信するために用いられる無線チャネルであってもよい。また、無線リソースは、通信するために通信端末20に割り当てられる周波数帯域、通信タイミング、もしくは送信電力等であってもよい。ユーザデータの通信には、通常、U-Plane(User Plane)が用いられる。
【0023】
ユーザデータの通信に用いられる無線リソースに対して、制御データの通信に用いられる無線リソースも存在する。制御データは、通信端末20が通信を開始、終了もしくは維持するために用いられるデータである。一般的に、制御データは、ユーザデータと比較してデータ容量が少ないデータである。制御データの通信には、通常、C-Plane(Control Plane)が用いられる。
【0024】
例えば、判定部12は、通信端末20のプロファイル情報において、通信端末20がユーザデータを送受信しないことが示されている場合、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順を省略してもよい。さらに、判定部12は、通信端末20のプロファイル情報において、通信端末20が高セキュリティを必要としないことが示されている場合、セキュリティ設定手順を省略してもよい。
【0025】
ここで、通信部11は、判定部12における判定結果に基づいて確立された無線リンクを介して、通信端末20から送信されたスモールデータを受信する。スモールデータは、例えば、IoTデバイスが生成したデータである。スモールデータは、通話や画像などのユーザデータと比較して十分に小さい容量のデータである。例えば、スモールデータは、センサデータ、もしくは定期的にネットワーク装置10へ送信される小さい容量(例えば、数十バイト程度)のデータ等であってもよい。また、通信部11は、ネットワーク装置10から通信端末20に対してデータの送信も行う。判定部12は、スモールデータの容量が小さいことから、そのスモールデータをユーザデータ通信用の無線リソース(U-Plane)ではなく、制御データ通信用の無線リソース(C-Plane)で通信できると判断した場合は、ユーザデータ通信用の無線リソースの設定手順を省略することができる。また、スモールデータであるため、高いセキュリティを必要としない場合は、判定部12は、セキュリティの設定手順を省略することもできる。
【0026】
以上説明したように、ネットワーク装置10は、通信端末20のプロファイル情報に応じて、通信端末20と無線リンクを確立する際の手順を変更することができる。具体的には、ネットワーク装置10は、そのプロファイル情報に応じて、通信端末20と無線リンクを確立する際の一部の手順を省略することができる。
【0027】
通信端末20は、ネットワーク装置10と無線リンクを確立する際に、一部の手順が省略されることによって、消費電力を低減することができる。これにより、通信端末20のバッテリ交換作業等の頻度を、少なくすることができる。そのため、一つの企業もしくは団体等が多くの通信端末20をネットワーク装置10に接続した場合であっても、通信端末20のバッテリ交換に伴うコストの増加を抑えることができる。
【0028】
(実施の形態2)
続いて、
図2を用いて本発明の実施の形態2にかかる通信システムの構成例について説明する。
図2の通信システムは、3GPPにおいて規定されているノード装置によって構成される。
【0029】
UE(User Equipment)30は、3GPPにおける通信端末の総称として用いられる。UE30は、
図1の通信端末20に相当する。以下においては、UE30をIoTデバイスとして説明する。
【0030】
基地局装置eNB(evolved NodeB)40は、UE30と無線通信を行う。例えば、eNB40は、無線通信方式としてLTE(Long Term Evolution)を用いてUE30と無線通信を行う。また、eNB40は、UE30と移動管理装置MME(Mobility Management Entity)50との間において送受信される制御データを中継する。なお、eNBは、CIoT(Cellular IoT)用のRAN(Radio Access Network)やRNC(Radio Network Controller)、BSC(Base Station Controller)等であってもよい。また、MMEは、CIoT用の移動管理装置やパケット交換機、SGSN等であってもよい。また、UEは、2G無線技術、3G無線技術、LTE無線技術またはCIoT専用の無線技術を用いて通信する端末であってもよい。
【0031】
MME50は、UE30の移動管理、認証及びユーザデータ転送経路の設定処理等を行う。MME50は、eNB40とSGW(Serving Gateway)60との間において送受信される制御データを中継する。MME50もしくはeNB40は、
図1のネットワーク装置10に相当する。もしくは、ネットワーク装置10に搭載される機能が、MME50及びeNB40に分散して配置されてもよい。
【0032】
SGW60は、MME50から送信されたUE30に関する制御データを受信する。さらに、SGW60は、PGW(Packet Data Network Gateway)70との間にUE30に関するユーザデータを伝送するための通信経路を設定する。SGW60は、UE30からMME50を介して制御データ通信用のリソース(C-Plane)で送信されたスモールデータを受信する。SGW60は、受信したスモールデータをC-Planeを用いて、またはユーザデータ通信用のリソース(U-Plane)を用いてPGW70へ送信する。また、SGW60は、PGW70から送信されたUE30に関するスモールデータをC-PlaneでMME50へ送信してもよい。
【0033】
PGW70は、IoTサーバ80等から送信されたUE30を宛先とするユーザデータをSGW60へ送信する。また、PGW70は、SGW60から送信されたスモールデータをIoTサーバ80等へ送信する。ここで、MME50、SGW60及びPGW70は、3GPPにおいて規定されているEPC(Evolved Packet Core)と称されてもよい。また、MME50、SGW60及びPGW70は、コアネットワーク装置等と称されてもよい。
【0034】
IoTサーバ80は、EPCを管理する通信事業者と異なる事業者等が管理するサーバであってもよく、EPCを管理する通信事業者が管理するサーバであってもよい。IoTサーバ80とPGW70とは、公衆IPネットワークであるインターネットを介して通信を行ってもよい。IoTサーバ80は、IoTデバイスとして用いられるUE30を管理する。さらに、IoTサーバ80は、IoTデバイスとして用いられるUE30から送信されたスモールデータを受信し、スモールデータの解析等を行ってもよい。
【0035】
続いて、
図3を用いて本発明の実施の形態2にかかるUE30の構成例について説明する。UE30は、IoTアプリケーション31、NAS(Non-Access Stratum)制御部32、AS(Access Stratum)制御部33、U-Plane(User-Plane)制御部34、及び無線通信部35を有している。UE30を構成する各構成要素は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュール等であってもよい。もしくは、UE30を構成する各構成要素は、ハードウェアもしくはチップ等であってもよい。
【0036】
IoTアプリケーション31は、IoTサーバ80へ送信するスモールデータを生成する。ここで、スモールデータの具体例について説明する。例えば、UE30が、スマートメータである場合、IoTアプリケーション31は、スモールデータとして、使用電力量を示すデータを生成してもよい。また、UE30が、気温、湿度等を検出するセンサ機器である場合、IoTアプリケーション31は、スモールデータとして、検出した気温もしくは湿度等を示すデータを生成してもよい。そのほかに、スモールデータは、UE30が管理する情報もしくはUE30が検出した情報等であってもよい。
【0037】
NAS制御部32は、eNB40を介してMME50との間において送受信されるNASメッセージを生成する。さらに、NAS制御部32は、MME50からeNB40を介して送信されたNASメッセージを受信し、NASメッセージにおいて指定された処理を実行する。eNB40は、NASメッセージに関する処理を実行することなく、受信したNASメッセージをUE30もしくはMME50へ送信する。言い換えると、eNB40は、UE30もしくはMME50から送信されたNASメッセージを透過転送する。なお、NASメッセージは制御データである。
【0038】
NAS制御部32は、UE30に関するプロファイル情報を含むNASメッセージを生成する。さらに、NAS制御部32は、スモールデータを制御データと共にC-Planeを用いて送信する場合、スモールデータを含むNASメッセージを生成する。
【0039】
AS制御部33は、eNB40との間において送受信されるASメッセージを生成する。さらに、AS制御部33は、eNB40から送信されたASメッセージを受信し、ASメッセージにおいて指定された処理を実行する。AS制御部33は、UE30に関するプロファイル情報を含むASメッセージを生成する。
【0040】
U-Plane制御部34は、eNB40との間においてユーザデータを送受信するために用いられる通信回線、もしくはチャネルを確立する処理を実行する。ここで、NAS制御部32及びAS制御部33を合わせてC-Plane(Control-Plane)制御部(不図示)と称してもよい。C-Plane制御部は、eNB40との間において制御データを送受信するために用いられる通信回線、もしくはチャネルを確立する処理を実行する。
【0041】
無線通信部35は、eNB40と無線通信を行うための処理を実行する。例えば、無線通信部35は、送信データを含む信号を所望の周波数に変調して無線信号を生成し、生成した無線信号をeNB40へ送信する。もしくは、無線通信部35は、eNB40から送信された無線信号を復調し、復調した信号をNAS制御部32、AS制御部33もしくはU-Plane制御部34へ出力する。
【0042】
ここで、NASメッセージもしくはASメッセージに含められるプロファイル情報について説明する。UE30のプロファイル情報は、UE30の動作や契約情報、もしくはUE30において実行される処理等が規定された情報であってもよい。
【0043】
例えば、IoTデバイスであるUE30のプロファイル情報には、以下の情報が含まれてもよい。また、以下の情報はUE30がスモールデータを送信する度に設定される情報であっても構わない。
(1)スモールデータを制御データと同じくC-Planeを用いて送信するため、ユーザデータを送信するためのTraffic Channel(U-Plane)を不要とすることを示す情報(以下、Traffic Channel不要情報と示す)
(2)一般的なスマートフォン等において用いられるセキュリティレベルよりも低いセキュリティレベルを要求することを示す情報(以下、低セキュリティ要求情報と示す)
(3)UE30は移動しないために、ハンドオーバ処理を不要とすることを示す情報(以下、ハンドオーバ処理不要情報と示す)
【0044】
(1)におけるTraffic Channel不要情報は、スモールデータの情報量(サイズ)を示す情報であってもよい。この場合、スモールデータの情報量(サイズ)を参考にeNB40またはMME50がTraffic Channel(U-Plane)が必要か否かの判断を行う。(2)における低セキュリティレベルとは、例えば、スモールデータの暗号化不要もしくは簡易レベルの暗号化を行うことであってもよい。
【0045】
また、(3)におけるハンドオーバ処理は、同一の無線通信方式を用いる基地局間のハンドオーバ処理(Intra RAT(Radio Access Technology) HO(Hand Over))及び異なる無線通信方式を用いる基地局間のハンドオーバ処理(Inter RAT HO(Hand Over))を含む。
【0046】
また、プロファイル情報には、スモールデータを制御データのようにC-Planeを用いて送信するか否か、低セキュリティレベルを要求するか否か、さらに、ハンドオーバ処理を不要とするか否か、を示すUE30のカテゴリ情報が設定されてもよい。
【0047】
例えば、UE30のカテゴリ情報は、
図4に示すように、3ビットのビット列を用いて示されてもよい。スモールデータをC-Plane(コントロールプレーン)を用いて送信する場合「1」、スモールデータをU-Plane(ユーザプレーン)を用いて送信する場合「0」を1ビット目に設定する。さらに、低セキュリティレベルを要求する場合「1」、高セキュリティレベルを要求する場合「0」を2ビット目に設定する。さらに、ハンドオーバ処理を不要とする場合「1」、ハンドオーバ処理を必要とする場合「0」を3ビット目に設定する。UE30のカテゴリ情報は、
図4の例に制限されず、設定する情報の数に応じて、4ビット以上もしくは2ビット以下のビット列が用いられてもよい。なお、「0」,「1」はフラグの有無と称してもよい。
【0048】
続いて、
図5を用いて本発明の実施の形態2にかかるMME50の構成例について説明する。MME50は、基地局通信部51、判定部52、制御部53、及びネットワーク通信部54を有する。MME50を構成する各構成要素は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュール等であってもよい。もしくは、MME50を構成する各構成要素は、ハードウェアもしくはチップ等であってもよい。
【0049】
基地局通信部51は、eNB40を介してUE30から送信されたNASメッセージを受信する。基地局通信部51は、受信したNASメッセージを判定部52へ出力する。また、基地局通信部51は、NASメッセージにスモールデータが含まれる場合、スモールデータをネットワーク通信部54へ出力してもよい。また、基地局通信部51は、eNB40から送信されたS1メッセージを受信する。なお、S1は3GPPで規定されたリファレンスポイントである。受信したS1メッセージを判定部52へ出力する。eNB40は、無線リソースの設定手順を変更できる動作、セキュリティ設定手順を省略する動作、或いはMME50の指示によりハンドオーバに関する処理を停止する動作をサポート可能である事を示すeNB type(eNBの能力を示す情報。NodeB typeとしてもよい)を、S1メッセージを用いてMME50へ送信してもよい。
【0050】
判定部52は、NASメッセージに含まれるUE30のプロファイル情報に応じてUE30との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略するか否かを判定する。判定部52は、判定結果を制御部53へ出力する。なお、判定部52は、HSS90から加入者情報を入手し、その加入者情報に含まれるIoTに関する情報を、上記判定に用いてもよい。
【0051】
制御部53は、例えば、無線リソースの設定手順を省略することが示された判定結果を受け取った場合、基地局通信部51を介してeNB40へ、無線リソースの設定手順を省略することを指示するメッセージを送信する。あるいは、UE30から送信されるスモールデータの情報量(サイズ)を示す情報を受け取った場合、情報を分析し無線リソースの設定手順の省略が可能と判断した場合には、基地局通信部51を介してeNB40へ、無線リソースの設定手順を省略することを指示するメッセージを送信する。また、制御部53は、セキュリティ設定手順を省略することが示された判定結果を受け取った場合、基地局通信部51を介してeNB40へ、セキュリティ設定手順を省略することを指示するメッセージを送信する。また、制御部53は、無線リソースの設定手順及びセキュリティ設定手順を省略することが示された判定結果を受け取った場合、基地局通信部51を介してeNB40へ、両手順を省略することを指示するメッセージを送信する。また、制御部53は、ハンドオーバ処理が不要とすることが示された判定結果を受け取った場合、基地局通信部51を介してeNB40へ、ハンドオーバに関する処理を停止することを指示するメッセージを送信する。
【0052】
さらに、制御部53は、プロファイル情報に応じて、無線リソースの設定手順及びセキュリティ設定手順を省略することを指示するメッセージをeNB40へ送信することができることを示すEPC type(EPCの能力を示す情報)を、eNB40を介してUE30へ送信する。また、制御部53は、EPC typeをS1メッセージを用いてeNB40へ送信してもよい。
【0053】
ネットワーク通信部54は、基地局通信部51から出力されたスモールデータをGTP(General Packet Radio Service Tunneling Protocol)-C messageメッセージを用いてSGW60へ送信する。
【0054】
続いて、
図6を用いて本発明の実施の形態2にかかるeNB40の構成例について説明する。eNB40は、無線通信部41、制御部42、及びネットワーク通信部43を有している。eNB40を構成する各構成要素は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュール等であってもよい。もしくは、eNB40を構成する各構成要素は、ハードウェアもしくはチップ等であってもよい。
【0055】
無線通信部41は、UE30と無線通信を行うための処理を実行する。例えば、無線通信部41は、送信データを含む信号を所望の周波数に変調して無線信号を生成し、生成した無線信号をUE30へ送信する。もしくは、無線通信部41は、UE30から送信された無線信号を復調し、復調した信号を制御部42へ出力する。
【0056】
ネットワーク通信部43は、MME50と通信を行うためのインタフェースとして用いられる。例えば、ネットワーク通信部43は、MME50との間において制御データを送受信する。
【0057】
制御部42は、MME50から送信された指示に基づいて、UE30との間において無線リンクを確立する手順を実行する。具体的には、制御部42は、UE30との間において制御データを送受信することによって無線リンクを確立する。この時、制御部42は、MME50から省略することを指示された処理に関するメッセージをUE30へ送信しないように制御する。
【0058】
さらに、制御部42は、プロファイル情報に応じて、無線リンクを確立する処理のうち無線リソースの設定手順及びセキュリティ設定手順を省略することができることを示すeNB typeを、無線通信部41を介してUE30へ送信するように制御する。
【0059】
ここで、本発明の比較例として3GPPにおいて定められている一般的な無線リンクの確立手順について、
図9及び
図10を用いて説明する。UE30は、所定の期間通信を実行していないことによって、IDLEモードに遷移していることを前提とする。IDLEモードにおいては、UE30とeNB40とは同期がとれていない状態とする。
【0060】
はじめに、UE30は、eNB40との通信を開始するために、eNB40へRRC(Radio Resource Control) Connection Requestメッセージを送信する(S11)。次に、eNB40は、RRC Connection Requestメッセージに対する応答として、UE30へRRC Connection Setupメッセージを送信する(S12)。
【0061】
次に、UE30は、eNB40へRRC Connection Setup Completeメッセージを送信する(S13)。UE30は、NASプロトコルにおいて用いられるNASメッセージを含むRRC Connection Setup CompleteメッセージをeNB40へ送信する。言い換えると、UE30は、NASメッセージを多重したRRCメッセージをeNB40へ送信する。RRC Connection Setup Completeメッセージは、具体的には、NASメッセージとしてService Requestメッセージを含む。UE30は、通信を開始する際に、MME50へService Requestメッセージを送信する。
【0062】
次に、eNB40は、Initial UE messageをMME50へ送信する。eNB40は、RRC Connection Setup Completeメッセージに含まれるService RequestメッセージをInitial UE messageに設定する(S14)。
【0063】
次に、MME50は、UE30とeNB40との間においてユーザデータを送受信するために用いられるTraffic Channelの設定を指示するために、Initial Context Setup RequestメッセージをeNB40へ送信する(S15)。MME50は、例えば、UE30及びeNB40との間のセキュリティ設定に用いられるセキュリティKeyをInitial Context Setup Requestメッセージに含めてもよい。Initial Context Setup Requestメッセージに含められるセキュリティKeyは、以前にUE30とeNB40との間のセキュリティ設定を行う際に用いられたセキュリティKeyとは異なるセキュリティKeyであってもよい。UE30とeNB40との間にRRCコネクションを設定するたびに異なるセキュリティKeyを用いることによって、高セキュリティを実現している。
【0064】
次に、eNB40は、UE30との間のセキュリティ設定を行うためにSecurity Mode CommandメッセージをUE30へ送信する(S16)。UE30は、Security Mode Commandメッセージに対する応答として、Security Mode CompleteメッセージをeNB40へ送信する(S17)。ステップS16及びS17においては、ステップS15においてMME50から送信されたセキュリティKeyが用いられる。
【0065】
次に、eNB40は、UE30との間のRRCコネクションを用いてユーザデータの送受信を行うために、RRC Connection ReconfigurationメッセージをUE30へ送信する(S18)。次に、UE30は、RRC Connection Reconfigurationメッセージに対する応答としてRRC Connection Reconfiguration CompleteメッセージをeNB40へ送信する。
【0066】
次に、eNB40は、ステップS15におけるInitial Context Setup Requestメッセージに対する応答としてInitial Context Setup ResponseメッセージをMME50へ送信する(S20)。次に、MME50は、eNB40とSGW60との間においてユーザデータを送受信するための経路の設定を指示するために、Modify Bearer RequestメッセージをSGW60へ送信する(S21)。SGW60は、さらに、PGW70との間においてユーザデータを送受信するための経路を設定するために、PGW70へModify Bearer Requestメッセージを送信する。
【0067】
ステップS21までの処理において、ユーザデータの伝送経路が確立すると、UE30は、UDP(User Datagram Protocol)/IP(Internet Protocol)パケットをeNB40へ送信する(S22)。さらに、eNB40は、SGW60へUDP/IPパケットを送信する(S23)。また、MME50は、ステップS21におけるModify Bearer Requestメッセージに対する応答としてSGW60からModify Bearer Responseメッセージを受信する(S24)。
【0068】
次に、SGW60は、eNB40へ、UE30を宛先とするUDP/IPパケットを送信する(S25)。次に、eNB40は、受信したUDP/IPパケットをUE30へ送信する(S26)。
【0069】
次に、UE30は、eNB40の周囲のeNBから送信された信号の受信品質等を測定した結果を示すMeasurement ReportメッセージをeNB40へ送信する(S27)。
【0070】
次に、eNB40は、UE30との間の無線通信期間を示すInactivity Timerを解放する、もしくは、Inactivity Timerが満了したことを検出する(S28)。
【0071】
次に、eNB40は、UE30との間に設定された無線ベアラを解放することを要求するために、MME50へUE Context Release Requestメッセージを送信する(S29)。次に、MME50は、UE30とeNB40との間の無線ベアラを解放することを指示するUE Context Release CommandメッセージをeNB40へ送信する(S30)。次に、eNB40は、UE30との間の無線ベアラを解放するために、RRC Connection ReleaseメッセージをUE30へ送信する(S31)。次に、eNB40は、UE30との間の無線ベアラを解放したことを示すUE Context Release CompleteメッセージをMME50へ送信する(S32)。
【0072】
図9及び
図10に示される処理の流れに従う場合、IoTデバイスであるUE30は、スモールデータをユーザデータとして送信する。つまり、UE30は、ステップS22においてスモールデータをUDP/IPパケットとして送信する。また、UE30がIoTデバイスであっても、UE30とeNB40との間においては、UE30がスマートフォン等である場合と同様に、ステップS16及びS17におけるセキュリティ設定が行われる。
【0073】
続いて、
図7を用いて本発明の実施の形態2にかかるAttach処理の流れについて説明する。Attach処理は、UE30の電源がON状態へ遷移した場合に、UE30をネットワークへ登録するために実施される処理である。
【0074】
はじめに、UE30は、ユーザによって電源が投入された場合に、RRC Connection RequestメッセージをeNB40へ送信する(S41)。次に、eNB40は、RRC Connection Requestメッセージに対する応答としてRRC Connection SetupメッセージをUE30へ送信する(S42)。
【0075】
次に、UE30は、eNB40へRRC Connection Setup completeメッセージを送信する(S43)。UE30は、RRC Connection Setup completeメッセージに含まれるNASメッセージである、NAS:ATTACHメッセージに、UE30に関するプロファイル情報を設定する。ATTACHメッセージは、ATTACH REQUESTメッセージであってもよい。
【0076】
UE30は、例えば、Traffic Channel(U-Plane)不要情報、低セキュリティ要求情報、及びハンドオーバ処理不要情報のうち少なくとも1つをNAS:ATTACHメッセージに設定する。
【0077】
もしくは、UE30は、プロファイル情報として、3ビットのビット列によって示されるカテゴリ情報をNAS:ATTACHメッセージに設定してもよい。また、フラグの有無によって、それらを示しても良い。
【0078】
次に、eNB40は、NAS:ATTACHメッセージを設定したInitial UE messageをMME50へ送信する(S44)。NAS:ATTACHメッセージは、UE30から送信されたNAS:ATTACHメッセージである。
【0079】
MME50は、eNB40から送信されたNAS:ATTACHメッセージを受信すると、UE30との間においてAttach処理を実行する(S45)。ステップS45において実行されるAttach処理は、3GPPにおいて規定されている手順(TS 23.401 5.3.2.1章など)が実行される。ここでは、Attach処理の詳細な手順の説明を省略する。
【0080】
MME50は、ステップS45においてUE30に関するAttach処理を完了すると、eNB40を経由してUE30へATTACH acceptメッセージを送信する(S46及びS47)。ここで、MME50は、ステップS44において受信したNAS:ATTACHメッセージにTraffic Channel不要情報、低セキュリティ要求情報及びハンドオーバ処理不要情報の少なくとも1つが設定されていた場合、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、UE30との間のセキュリティ設定手順の省略、及びハンドオーバ処理が不要とすることの少なくとも1つをeNB40へ指示することができるか否かを判定する。
【0081】
MME50は、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、UE30との間のセキュリティ設定手順の省略、及びハンドオーバ処理が不要とすることの少なくとも1つをeNB40へ指示することができる場合、ATTACH acceptメッセージを運ぶS1メッセージにEPC typeを設定する。EPC typeは、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、UE30との間のセキュリティ設定手順の省略、及びハンドオーバ処理が不要とすることの少なくとも1つをeNB40へ指示することができることを示している。また、MME50は、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、UE30との間のセキュリティ設定手順の省略、及びハンドオーバ処理が不要とすることの少なくとも1つをUE30へ指示することができる場合、ATTACH acceptメッセージにEPC typeを設定する。EPC typeは、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、UE30との間のセキュリティ設定手順の省略、及びハンドオーバ処理が不要とすることの少なくとも1つをUE30へ指示することができることを示している。
【0082】
次に、eNB40は、MME50から送信されたATTACH acceptメッセージをUE30へ送信する(S47)。
【0083】
以上説明したように、UE30は、Attach処理を実行することによって、EPCtypeが設定されたATTACH acceptメッセージを受信することができる。これより、UE30は、MME50がユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順の省略をeNB40へ指示することができるか否かを把握することができる。
【0084】
また、
図7においては、UE30は、ステップS41のRRCメッセージにUE30のプロファイル情報を設定していない。そのため、UE30は、ステップS42において、eNB40が無線リンクを確立する処理のうち一部の処理を省略することができるか否かを示すeNB typeを受信することはない。無線リンクを確立する処理のうち一部は、例えば、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順である。
【0085】
UE30がAttach処理の実行と同時に、UE30がスモールデータの送信をおこなわない可能性がある。これより、UE30は、Attach処理時においては、eNB40からeNB typeを受信する必要がないとして、ステップS41においてプロファイル情報を送信しなくてもよい。
【0086】
一方、Attach処理時にスモールデータ送信をおこなう場合、UE30は、ステップS41においてUE30のプロファイル情報を設定してもよい。さらに、UE30は、ステップS43においてNAS:ATTACHメッセージに設定されるプロファイル情報とは別に、eNB40において処理可能なRRCメッセージにプロファイル情報を設定してもよい。
【0087】
Attach処理時にUE30と通信するeNBが、スモールデータ送信時にUE30と通信するeNBと同一である場合とは、例えば、以下の状況が挙げられる。
(1)UE30が移動しない状況
(2)UE30がeNB40に非常に近い場所に存在し、UE30の周囲の無線環境が変動した場合であっても、UE30の通信先のeNBが変更されない状況
【0088】
eNB40は、ステップS41においてUE30のプロファイル情報が設定されていた場合、ステップS42においてeNB typeを設定したRRC Connection SetupメッセージをUE30へ送信してもよい。また、eNB40は、ステップS41においてUE30のプロファイル情報が設定されてない場合であっても、ステップS42においてeNB typeを設定したRRC Connection SetupメッセージをUE30へ送信してもよい。もしくは、eNB40は、ステップS43のRRCメッセージにUE30のプロファイル情報が設定されていた場合、ステップS47においてeNB typeを設定したATTACH acceptメッセージをUE30へ送信してもよい。また、eNB40は、ステップS43のRRCメッセージにUE30のプロファイル情報が設定されてない場合であっても、ステップS47においてeNB typeを設定したATTACH acceptメッセージを伝送するRRCメッセージをUE30へ送信してもよい。
【0089】
続いて、
図8を用いて本発明の実施の形態2にかかるスモールデータの送信処理の流れについて説明する。
図8においては、UE30に関するAttach処理は完了しており、UE30がIDLE状態であることを前提とする。
【0090】
はじめに、UE30は、RRC Connection RequestメッセージをeNB40へ送信する(S51)。次に、eNB40は、RRC Connection Requestメッセージに対する応答としてRRC Connection SetupメッセージをUE30へ送信する(S52)。
【0091】
UE30は、ステップS51においてプロファイル情報を設定したRRC Connection RequestメッセージをeNB40へ送信してもよい。この場合、eNB40は、ステップS52のRRC Connection SetupメッセージにeNB typeを設定する。
【0092】
次に、UE30は、RRC Connection Setup CompleteメッセージをeNB40へ送信する(S53)。ここで、UE30は、eNB type及びEPC typeを受信している場合、プロファイル情報及びスモールデータを設定したNAS:Service RequestメッセージをRRC Connection Setup Completeメッセージに設定する。例えば、UE30は、プロファイル情報として、Traffic Channel不要情報及び低セキュリティ要求情報を設定したとする。
【0093】
UE30は、ステップS51において、RRCメッセージにプロファイル情報を設定していない場合、RRC Connection Setup Completeメッセージにプロファイル情報を設定する。つまり、UE30は、RRCメッセージ及びNASメッセージの両方にプロファイル情報を設定する。
【0094】
次に、eNB40は、UE30から送信されたNAS:Service Requestメッセージを設定したInitial UE messageをMME50へ送信する(S54)。
【0095】
次に、MME50は、eNB40へInitial Context Setup Requestメッセージを送信する(S55)。MME50は、Initial Context Setup Requestメッセージを送信することによって、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、UE30との間のセキュリティ設定手順を省略すること、及びハンドオーバ処理が不要とすることをeNB40へ通知してもよい。
【0096】
ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順の省略は、例えば、
図9のステップS18~S32の処理を省略することであってもよい。セキュリティ設定手順の省略は、ステップS16及びステップS17の処理を省略することであってもよい。
【0097】
MME50は、Initial Context Setup Requestメッセージに、更新したセキュリティKeyを設定しないことによって、セキュリティ設定手順の省略をeNB40へ通知してもよい。さらに、MME50は、フラグ等を設定することによって、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順を省略することをeNB40へ通知してもよい。
【0098】
eNB40が、ステップS55においてInitial Context Setup Requestメッセージを受信した後、
図9及び
図10のステップS16以降の処理は省略される。
【0099】
次に、MME50は、ステップS54において受信したスモールデータを設定したGTP-C messageをSGW60へ送信する(S56)。GTP-C messageは、MME50とSGW60との間において送受信される制御データである。次に、SGW60は、ステップS56において受信したスモールデータを設定したGTP-U messageをPGW70へ送信する(S57)。GTP-U messageは、SGW60とPGW70との間において送受信されるユーザデータである。SGW60は、ステップS56において受信したスモールデータを設定したGTP-C messageをPGW70へ送信してもかまわない(S57)。
【0100】
UE30は、eNB type及びEPC typeを受信していない場合、プロファイル情報を送信せず、UE30、eNB40、及びMME50にて
図9及び
図10の処理が実行されてもよい。つまり、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びセキュリティ設定手順が省略せずに実行される。UE30がeNB type及びEPC typeを受信していない場合とは、eNB40及びMME50が、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順の省略に対応していない場合である。
【0101】
また、UE30は、eNB typeを受信しており、EPC typeを受信していない場合、プロファイル情報を送信し、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順の省略を要求してもよい。
【0102】
UE30がeNB typeのみを受信している場合とは、eNB40は、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順の省略に対応しているが、MME50は、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順の省略に対応していない場合である。
【0103】
この場合、例えば、eNB40は、ステップS55において、更新されたセキュリティKeyが送信されてきても、
図9のステップS16におけるSecurity Mode Commandの送信を行わないことによって、ステップS16及びS17の処理を省略するようにしてもよい。
【0104】
さらに、eNB40は、UE30から送信されたプロファイル情報によって、UE30がスモールデータを送信することを認識している。そのため、UE30は、ステップS30において、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順の省略指示が通知されない場合であっても、
図9のステップS18以降の処理を省略してもよい。
【0105】
さらに、eNB40は、UE30からプロファイル情報として、ハンドオーバ処理不要情報が送信された場合、UE30に関するハンドオーバ処理を省略することができる。UE30に関するハンドオーバ処理とは、例えば、UE30の無線品質等を監視する処理等が含まれる。そのため、eNB40は、UE30に関するハンドオーバ処理を省略することによって、自装置の処理負荷を軽減することができる。
【0106】
以上説明したように、eNB40及びMME50は、UE30のプロファイル情報に応じて、UE30とeNB40との間において送受信されるメッセージを省略することができる。これによって、UE30が送受信するメッセージの数を減少させることができるため、UE30の消費電力を抑えることができる。その結果、UE30のバッテリ充電作業及びUE30のバッテリ交換作業の頻度を減少させることができる。
【0107】
さらに、UE30は、eNB40及びMME50が、ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順の省略に対応していない場合、スモールデータをユーザデータとして送信する手順を実行することができる。
【0108】
これより、通信システムにおいて、無線リソースの設定手順及びUE30との間のセキュリティ設定手順の省略に対応していないeNB40及びMME50が混在している場合であっても、UE30は、スモールデータをIoTサーバ80へ送信することができる。
【0109】
さらに、UE30が、プロファイル情報としてハンドオーバ処理不要情報を用いることによって、eNB40における処理負荷の軽減を実現することができる。
【0110】
続いて以下では、上述の複数の実施形態で説明されたネットワーク装置10、通信端末20、UE30、eNB40、及び、MME50の構成例について説明する。
図11は、eNB40の構成例を示すブロック図である。
図11を参照すると、eNB40は、RFトランシーバ1001、ネットワークインターフェース1003、プロセッサ1004、及びメモリ1005を含む。RFトランシーバ1001は、UEsと通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1001は、複数のトランシーバを含んでもよい。RFトランシーバ1001は、アンテナ1002及びプロセッサ1004と結合される。RFトランシーバ1001は、変調シンボルデータ(又はOFDMシンボルデータ)をプロセッサ1004から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナ1002に供給する。また、RFトランシーバ1001は、アンテナ1002によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをプロセッサ1004に供給する。
【0111】
ネットワークインターフェース1003は、ネットワークノード(e.g., 他のeNBs、Mobility Management Entity (MME)、Serving Gateway(S-GW)、及びTSS又はITSサーバ)と通信するために使用される。ネットワークインターフェース1003は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインターフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0112】
プロセッサ1004は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理を含むデータプレーン処理とコントロールプレーン処理を行う。例えば、LTEおよびLTE-Advancedの場合、プロセッサ1004によるデジタルベースバンド信号処理は、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、およびPHYレイヤの信号処理を含んでもよい。さらに、プロセッサ1004による信号処理は、X2-Uインタフェース及びS1-UインタフェースでのGTP-U・UDP/IPレイヤの信号処理を含んでもよい。また、プロセッサ1004によるコントロールプレーン処理は、X2APプロトコル、S1-MMEプロトコルおよびRRCプロトコルの処理を含んでもよい。
【0113】
プロセッサ1004は、複数のプロセッサを含んでもよい。例えば、プロセッサ1004は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., DSP)、X2-Uインタフェース及びS1-UインタフェースでのGTP-U・UDP/IPレイヤの信号処理を行うプロセッサ(e.g., DSP)、及びコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., CPU又はMPU)を含んでもよい。
【0114】
メモリ1005は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1005は、物理的に独立した複数のメモリデバイスを含んでもよい。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)若しくはDynamic RAM(DRAM)又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory(MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。メモリ1005は、プロセッサ1004から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1004は、ネットワークインターフェース1003又は図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ1005にアクセスしてもよい。
【0115】
メモリ1005は、上述の複数の実施形態で説明されたeNB40による処理を行うための命令群およびデータを含むソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)を格納してもよい。いくつかの実装において、プロセッサ1004は、当該ソフトウェアモジュールをメモリ1005から読み出して実行することで、上述の実施形態で説明されたeNB40の処理を行うよう構成されてもよい。
【0116】
図12は、通信端末20及びUE30の構成例を示すブロック図である。Radio Frequency(RF)トランシーバ1101は、eNB40と通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1101により行われるアナログRF信号処理は、周波数アップコンバージョン、周波数ダウンコンバージョン、及び増幅を含む。RFトランシーバ1101は、アンテナ1102及びベースバンドプロセッサ1103と結合される。すなわち、RFトランシーバ1101は、変調シンボルデータ(又はOFDMシンボルデータ)をベースバンドプロセッサ1103から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナ1102に供給する。また、RFトランシーバ1101は、アンテナ1102によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをベースバンドプロセッサ1103に供給する。
【0117】
ベースバンドプロセッサ1103は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理(データプレーン処理)とコントロールプレーン処理を行う。デジタルベースバンド信号処理は、(a) データ圧縮/復元、(b) データのセグメンテーション/コンカテネーション、(c) 伝送フォーマット(伝送フレーム)の生成/分解、(d) 伝送路符号化/復号化、(e) 変調(シンボルマッピング)/復調、及び(f) Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)によるOFDMシンボルデータ(ベースバンドOFDM信号)の生成などを含む。一方、コントロールプレーン処理は、レイヤ1(e.g., 送信電力制御)、レイヤ2(e.g., 無線リソース管理、及びhybrid automatic repeat request(HARQ)処理)、及びレイヤ3(e.g., アタッチ、モビリティ、及び通話管理に関するシグナリング)の通信管理を含む。
【0118】
例えば、LTEおよびLTE-Advancedの場合、ベースバンドプロセッサ1103によるデジタルベースバンド信号処理は、Packet Data Convergence Protocol(PDCP)レイヤ、Radio Link Control(RLC)レイヤ、MACレイヤ、およびPHYレイヤの信号処理を含んでもよい。また、ベースバンドプロセッサ1103によるコントロールプレーン処理は、Non-Access Stratum(NAS)プロトコル、RRCプロトコル、及びMAC CEの処理を含んでもよい。
【0119】
ベースバンドプロセッサ1103は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., Digital Signal Processor(DSP))とコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., Central Processing Unit(CPU)、又はMicro Processing Unit(MPU))を含んでもよい。この場合、コントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサは、後述するアプリケーションプロセッサ1104と共通化されてもよい。
【0120】
アプリケーションプロセッサ1104は、CPU、MPU、マイクロプロセッサ、又はプロセッサコアとも呼ばれる。アプリケーションプロセッサ1104は、複数のプロセッサ(複数のプロセッサコア)を含んでもよい。アプリケーションプロセッサ1104は、メモリ1106又は図示されていないメモリから読み出されたシステムソフトウェアプログラム(Operating System(OS))及び様々なアプリケーションプログラム(例えば、通話アプリケーション、WEBブラウザ、メーラ、カメラ操作アプリケーション、音楽再生アプリケーション)を実行することによって、通信端末20及びUE30の各種機能を実現する。
【0121】
いくつかの実装において、
図12に破線(1105)で示されているように、ベースバンドプロセッサ1103及びアプリケーションプロセッサ1104は、1つのチップ上に集積されてもよい。言い換えると、ベースバンドプロセッサ1103及びアプリケーションプロセッサ1104は、1つのSystem on Chip(SoC)デバイス1105として実装されてもよい。SoCデバイスは、システムLarge Scale Integration(LSI)またはチップセットと呼ばれることもある。
【0122】
メモリ1106は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリ又はこれらの組合せである。メモリ1106は、物理的に独立した複数のメモリデバイスを含んでもよい。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)若しくはDynamic RAM(DRAM)又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory(MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。例えば、メモリ1106は、ベースバンドプロセッサ1103、アプリケーションプロセッサ1104、及びSoC1105からアクセス可能な外部メモリデバイスを含んでもよい。メモリ1106は、ベースバンドプロセッサ1103内、アプリケーションプロセッサ1104内、又はSoC1105内に集積された内蔵メモリデバイスを含んでもよい。さらに、メモリ1106は、Universal Integrated Circuit Card(UICC)内のメモリを含んでもよい。
【0123】
メモリ1106は、上述の複数の実施形態で説明されたUE40による処理を行うための命令群およびデータを含むソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)を格納してもよい。いくつかの実装において、ベースバンドプロセッサ1103又はアプリケーションプロセッサ1104は、当該ソフトウェアモジュールをメモリ1106から読み出して実行することで、上述の実施形態で説明された通信端末20及びUE30の処理を行うよう構成されてもよい。
【0124】
図13は、ネットワーク装置10及びMME50の構成例を示すブロック図である。
図13を参照すると、ネットワーク装置10及びMME50は、ネットワークインターフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワークインターフェース1201は、ネットワークノード(e.g., eNodeB130、MME、P-GW、)と通信するために使用される。ネットワークインターフェース1201は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0125】
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてシーケンス図及びフローチャートを用いて説明されたネットワーク装置10及びMME50の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU、又はCPUであってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0126】
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
【0127】
図13の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明されたネットワーク装置10及びMME50の処理を行うことができる。
【0128】
図11~
図13を用いて説明したように、上述の実施形態におけるネットワーク装置10、通信端末20、UE30、eNB40、及び、MME50が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0129】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0130】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0131】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0132】
この出願は、2015年7月24日に出願された日本出願特願2015-146266を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0133】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
通信端末から送信された前記通信端末のプロファイル情報を受信する通信部と、
前記通信端末と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略するか否かを判定する判定部と、を備え、
前記通信部は、
前記無線リンクを介して前記通信端末から送信されたスモールデータを受信する、ネットワーク装置。
(付記2)
前記判定部は、
前記プロファイル情報に前記スモールデータを制御データ用の無線リソースを用いて送信することが示されている場合、前記通信端末と無線リンクを確立する手順において、前記前記通信端末との間においてユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順を省略する、付記1に記載のネットワーク装置。
(付記3)
前記判定部は、
前記プロファイル情報にセキュリティレベル情報として、前記スモールデータの暗号化不要もしくは簡易レベルの暗号化を行うことが示されている場合、前記通信端末と無線リンクを確立する手順において、前記通信端末との間のセキュリティ設定手順を省略する、付記1又は2に記載のネットワーク装置。
(付記4)
前記判定部は、
前記通信端末との間において用いるセキュリティ鍵の更新を停止することによって、前記通信端末との間のセキュリティ設定手順を省略する、付記3に記載のネットワーク装置。
(付記5)
前記通信部は、
前記プロファイル情報を受信すると、前記無線リソースの設定手順及び前記セキュリティ設定手順を省略することができることを示す情報を前記通信端末へ送信する、付記1乃至4のいずれか1項に記載のネットワーク装置。
(付記6)
前記通信部は、
RRC Connection SetupメッセージもしくはATTACH Acceptメッセージに前記無線リソースの設定手順及び前記セキュリティ設定手順を省略することができることを示す情報を設定する、付記5に記載のネットワーク装置。
(付記7)
自端末のプロファイル情報をネットワーク装置へ送信する通信部と、
前記ネットワーク装置から、前記ネットワーク装置と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記ネットワーク装置との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記ネットワーク装置との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略することができるか否かに関する情報を受信する受信部と、を備え、
前記通信部は、
前記無線リンクを介して前記ネットワーク装置へスモールデータを送信する、通信端末。
(付記8)
前記通信部は、
前記ユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順を省略することができることを示す情報を受信すると、前記スモールデータを制御データ用の無線リソースを用いて前記ネットワーク装置へ送信する、付記7に記載の通信端末。
(付記9)
前記通信部は、
前記無線リソースの設定手順を省略することができないことを示す情報を受信すると、前記スモールデータをユーザデータ用の無線リソースを用いて前記ネットワーク装置へ送信する、付記7または8に記載の通信端末。
(付記10)
前記通信部は、
前記自端末のプロファイル情報を設定したRRCメッセージ及びNASメッセージを前記ネットワーク装置へ送信する、付記7乃至9のいずれか1項に記載の通信端末。
(付記11)
通信端末と、
前記通信端末と無線通信を行う基地局と、
前記通信端末と前記基地局との間の無線リンクの確立手順を制御するコアネットワーク装置とを備え、
前記コアネットワーク装置は、
前記通信端末から送信された前記通信端末のプロファイル情報を受信すると、前記無線リンクの確立手順において、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略することを指示する指示メッセージを前記基地局へ送信し、
前記基地局は、
前記指示メッセージに応じて、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略して前記無線リンクの確立手順を実行し、
前記通信端末は、
前記無線リンクを介して前記基地局へスモールデータを送信する、通信システム。
(付記12)
通信端末から送信された前記通信端末のプロファイル情報を受信し、
前記通信端末と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略するか否かを判定し、
前記無線リンクを介して前記通信端末から送信されたスモールデータを受信する、受信方法。
(付記13)
自端末のプロファイル情報をネットワーク装置へ送信し、
前記ネットワーク装置から、前記ネットワーク装置と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記ネットワーク装置との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記ネットワーク装置との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略することができるか否かに関する情報を受信し、
前記無線リンクを介して前記ネットワーク装置へスモールデータを送信する、送信方法。
(付記14)
通信端末から送信された前記通信端末のプロファイル情報を受信し、
前記通信端末と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記通信端末との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記通信端末との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略するか否かを判定し、
前記無線リンクを介して前記通信端末から送信されたスモールデータを受信することをコンピュータに実行させるプログラム。
(付記15)
自端末のプロファイル情報をネットワーク装置へ送信し、
前記ネットワーク装置から、前記ネットワーク装置と無線リンクを確立する手順において、前記プロファイル情報に応じて、前記ネットワーク装置との間におけるユーザデータの通信に用いられる無線リソースの設定手順、及び前記ネットワーク装置との間のセキュリティ設定手順のうち少なくとも一方を省略することができるか否かに関する情報を受信し、
前記無線リンクを介して前記ネットワーク装置へスモールデータを送信することをコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0134】
10 ネットワーク装置
11 通信部
12 判定部
20 通信端末
30 UE
31 IoTアプリケーション
32 NAS制御部
33 AS制御部
34 U-Plane制御部
35 無線通信部
40 eNB
41 無線通信部
42 制御部
43 ネットワーク通信部
50 MME
51 基地局通信部
52 判定部
53 制御部
54 ネットワーク通信部
60 SGW
70 PGW
80 IoTサーバ