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特許7164011把持位置姿勢登録装置、把持位置姿勢登録方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】把持位置姿勢登録装置、把持位置姿勢登録方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021506821
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2019010976
(87)【国際公開番号】W WO2020188660
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁科 有貴
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-214212(JP,A)
【文献】特開2012-206219(JP,A)
【文献】特開2015-085475(JP,A)
【文献】特開2014-240106(JP,A)
【文献】国際公開第2015/178377(WO,A1)
【文献】特開2018-176311(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193130(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録装置であって、
3次元的に表現された前記把持対象物体に対して、該把持対象物体の形状に関わらずに、前記ロボットハンドの把持位置姿勢の設定を受け付ける把持位置姿勢設定部と、
前記把持対象物体の形状に関わらずに、把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付ける把持パターン指定部と、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンドの前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、該ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む前記把持パターンを生成する把持パターン生成部と、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存する把持位置姿勢保存部と、
を備えた把持位置姿勢登録装置。
【請求項2】
第1タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する二つの把持部を結ぶ方向の軸を前記所定の軸として生成される前記把持位置姿勢群を含むことを特徴とする請求項1に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項3】
第2タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する二つの把持部の延長方向に直交する軸を前記所定の軸として生成される前記把持位置姿勢群を含むことを特徴とする請求項1に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項4】
第3タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する把持部の延長方向に平行な軸を前記所定の軸として生成される前記把持位置姿勢群を含むことを特徴とする請求項1に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項5】
第4タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する二つの把持部を結ぶ方向の軸を前記所定の軸とする回転と、前記把持部の少なくともいずれかの延長方向に平行
な軸を前記所定の軸とする回転、又は、前記二つの把持部の延長方向に直交する軸を前記所定の軸とする回転とを合成して生成される前記把持位置姿勢群を含むことを特徴とする請求項1に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項6】
第5タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する把持部の延長方向に直交する方向を前記所定の方向として生成される前記把持位置姿勢群を含むことを特徴とする請求項1に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項7】
前記把持パターン指定部は、一つの把持対象物体に対して複数の前記タイプの指定を受け付ける機能を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項8】
前記把持パターンを生成するためのパラメータの設定を受け付けるパラメータ設定部を備え、
前記パラメータは、前記二つの把持部に対する前記延長方向に直交する軸の位置である差し込み量を含むことを特徴とする請求項3又は5に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項9】
前記把持パターンを生成するためのパラメータの設定を受け付けるパラメータ設定部を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項10】
前記パラメータは、前記把持パターンを生成する際の、前記回転又は前記並進を開始及び終了する前記把持位置姿勢をそれぞれ指定する開始パラメータ及び終了パラメータの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項9に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項11】
前記パラメータは、前記把持位置姿勢群を生成する際の前記ロボットハンドの前記回転又は前記並進の単位を指定する単位パラメータを含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項12】
前記把持パターン生成部は、前記把持パターンを生成する際に、前記ロボットハンドが前記把持対象物体に干渉するか否かを判断し、該把持対象物体に干渉する前記把持位置姿勢を前記把持位置姿勢から除く機能を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項13】
前記把持パターン生成部によって生成された前記把持パターンを表示するための描画情報を生成する描画部を備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項14】
前記描画情報において、前記把持パターンに含まれる前記把持位置姿勢に対応する前記ロボットハンドを骨格で表現する簡易形式を含む該ロボットハンドの表現形式の指定を受け付ける表現形式指定部を備えたことを特徴とする請求項13に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項15】
前記把持位置姿勢保存部は、3次元的に表現された前記把持パターンに含まれる前記把持位置姿勢群のうち保存すべき把持位置姿勢の指定を受け付ける機能を有することを特徴とする請求項13又は14に記載の把持位置姿勢登録装置。
【請求項16】
把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録方法であって、
次元的に表現された前記把持対象物体に対して、該把持対象物体の形状に関わらずに、前記ロボットハンドの把持位置姿勢の設定を受け付けるステップと、
前記把持対象物体の形状に関わらずに、把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付けるステップと、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンドの前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転及び該ツール座標系における所定の方向の並進の少なくといずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む前記把持パターンを生成するステップと、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存するステップと、
を含む把持位置姿勢登録方法。
【請求項17】
把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
次元的に表現された前記把持対象物体に対して、該把持対象物体の形状に関わらずに、前記ロボットハンドの把持位置姿勢の設定を受け付けるステップと、
前記把持対象物体の形状に関わらずに、把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付けるステップと、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンドの前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転及び該ツール座標系における所定の方向の並進のなくといずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む把持パターンを生成するステップと、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存するステップと、
を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持位置姿勢登録装置、把持位置姿勢登録方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソフトウエア上の把持対象物体とロボットハンドを3次元的に表示し、ユーザが把持位置姿勢を指定することで把持位置の登録を行う技術が提案されていた(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、素形状モデルと、それに対応した把持パターンが記述されたデータベースを用意しておき、把持対象物体データに素形状をフィッティングさせることで把持パターンを適用し、ロボットハンドの把持位置の決定を行う技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
ここで、上述のような特許文献1記載の技術では、複数の把持位置を登録するためには膨大な時間が必要となっていた。また、特許文献2記載の技術は、把持対象物体データが複雑な形状を有する場合には、適当な素形状にフィッティングできないという不都合が生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5888591号公報
【文献】特許第4835616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、ユーザがロボットハンドの把持対象物体に対する複数の把持位置姿勢を一括して登録でき、把持対象物体の形状に関わらずユーザが自由に把持パターンを適用できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、
把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録装置であって、
3次元的に表現された前記把持対象物体に対する前記ロボットハンドの把持位置姿勢の設定を受け付ける把持位置姿勢設定部と、
把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付ける把持パターン指定部と、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンドの前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、該ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む前記把持パターンを生成する把持パターン生成部と、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存する把持位置姿勢保存部と、
を備えた把持位置姿勢登録装置である。
【0008】
本発明によれば、ユーザが3次元的に表現された把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を設定し、把持パターンのタイプを指定することによって、指定されたパターンに応じて、設定されたロボットハンドの把持位置姿勢から、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される把持位置姿勢群を含む把持パターンが自動的に生成される。すなわち、本発明によれば、ユーザが3次元的に表現された把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を設定し、把持パターンのタイプを指定することによって、把持パターンを構成する把持位置姿勢群を生成するために必要な情報が取得されるので、指定されたパターンに応じて、複数の把持位置姿勢を一括して登録することができる。また、ユーザは、把持対象物体の形状に関わらず、自由に把持パターンを適用することができる。
【0009】
ここで、ロボットハンドは、コンピュータによって制御され、把持対象物体を把持する動作を行うツールを指し、エンドエフェクタ、グリッパを含む。また、把持とは、対象物を持つことであり、掴んで持つ場合や吸着して持つことを含むがこれに限られない。また、把持位置姿勢群は、ロボットハンドの把持対象物体に対する把持位置姿勢からなり、一又は複数の把持位置姿勢を含む。把持パターンとしては、単一の把持位置姿勢からなる把持パターンも含めることができるので、このように定義する。
【0010】
また、把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドを基準として、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される。このとき、この把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドから所定の角度また距離だけずらした把持位置姿勢から生成されてもよいので、設定されたロボットハンドの把持位置姿勢は、生成される把持パターンに含まれる把持位置姿勢群に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0011】
把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドの前記把持位置姿勢から、ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転によって生成されてもよいし、ツール座標系における所定の方向の並進によって生成されてもよい。また、把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転と、所定の方向の並進とによって生成されてもよい。さらに、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転を異なる軸について組み合わせてもよいし、所定の方向の並進を異なる方向について組み合わせてもよい。
【0012】
また、本発明においては、
第1タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する二つの把持部を結ぶ方向の軸を前記所定の軸として生成される前記把持位置姿勢群を含むようにしてもよい。
【0013】
このようにすれば、把持対象物体を把持する二つの把持部を結ぶ方向の軸を回転軸とする回転によって生成される把持位置姿勢群を含む把持パターンが生成されるので、様々な角度からの把持位置姿勢を一括して登録することができる。
【0014】
また、本発明においては、
第2タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する二つの把持部の延長方向に直交する軸を前記所定の軸として生成される前記把持位置姿勢群を含むようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、円柱形状や円筒形状の把持対象物体に対して、円柱又は円筒の中心軸に直交する方向からの把持位置姿勢を一括して登録することができる。ここでは、二つの把持部の延長方向に直交する方向とは、二つの把持部のそれぞれの延長方向の直線を含む平面に直交する方向である。
【0016】
また、本発明においては、
第3タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する把持部の延長方向に平行な軸を前記所定の軸として生成される前記把持位置姿勢群を含むようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、貫通孔や凹部のような穴の開いた把持対象物体に対して、このような穴に把持部を挿入し、穴の内側から外側へと把持対象物体を把持する、いわゆる内径把持を行う場合に様々な角度に対する把持位置姿勢を一括して登録することができる。
【0018】
また、本発明においては、
第4タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する二つの把持部を結ぶ方向の軸を前記所定の軸とする回転と、前記把持部の少なくともいずれかの延長方向に平行な軸を前記所定の軸とする回転、又は、前記二つの把持部の延長方向に直交する軸を前記所定の軸とする回転とを合成して生成される前記把持位置姿勢群を含むようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、円柱形状や円筒形状の把持対象物体に対して、円柱又は円筒の中心軸に直交する方向及び中心軸に対して角度を有する様々な方向からの把持位置姿勢を一括して登録することができる。
【0020】
また、本発明においては、
第5タイプの前記把持パターンは、前記ロボットハンドが有する把持部の延長方向に直交する方向を前記所定の方向として生成される前記把持位置姿勢群を含むようにしてもよい。
【0021】
このようにすれば、平面形状を有する把持対象物体に対して、平面部に対する把持位置姿勢を一括して登録することができる。ロボットハンドが吸着パッドを有する場合に有効である。
【0022】
また、本発明においては、
前記把持パターン指定部は、一つの把持対象物体に対して複数の前記タイプの指定を受け付ける機能を有するようにしてもよい。
【0023】
このようにすれば、把持対象物体の部位に応じて適切な把持パターンを登録することができる。
【0024】
また、本発明においては、
前記把持パターンを生成するためのパラメータの設定を受け付けるパラメータ設定部を備え、
前記パラメータは、前記二つの把持部に対する前記延長方向に直交する軸の位置である差し込み量を含むようにしてもよい。
【0025】
このようにすれば、把持位置対象物体に対する把持部の差し込み深さを調整することができる。
【0026】
また、本発明においては、
前記把持パターンを生成するためのパラメータの設定を受け付けるパラメータ設定部を備えるようにしてもよい。
【0027】
このようにすれば、パラメータの設定により、把持パターンの内容又は把持パターンの生成処理をユーザの希望に応じて調整することができる。
【0028】
また、本発明においては、
前記パラメータは、前記把持パターンを生成する際の、前記回転又は前記並進を開始及び終了する前記把持位置姿勢をそれぞれ指定する開始パラメータ及び終了パラメータの少なくともいずれかを含むようにしてもよい。
【0029】
このようにすれば、把持パターンを構成する把持位置姿勢群の範囲を限定することができる。把持対象物体が、ロボットハンドが干渉する可能性がある突起等の部位を有し、これを避けたい場合や、把持の安定性が悪くなるような角度のように、予め除外しておきたい把持位置姿勢が判明している場合には、そのような把持位置姿勢を除いて把持パターンを生成することができる。
このような開始パラメータ又は終了パラメータとしては、角度又は位置を用いることができる。
【0030】
また、本発明においては、
前記パラメータは、前記把持位置姿勢群を生成する際の前記ロボットハンドの前記回転又は前記並進の単位を指定する単位パラメータを含むようにしてもよい。
【0031】
把持位置姿勢群を生成する際のロボットハンドの回転又は並進の単位を小さくすれば、より細分化された多くの把持位置姿勢を登録することができるが、その分処理負担を大きくなるので、ユーザが適切な単位パラメータにより適切な単位を指定することによりいずれを重視するかを調整することができる。ここでは、単位とは、例えば、回転であれば角度、並進であれば距離を採用することができるが、単位パラメータとしては角度や距離を直接指定してもよいし、範囲の分割数により間接的に指定するようにしてもよい。
【0032】
また、本発明においては、
前記把持パターン生成部は、前記把持パターンを生成する際に、前記ロボットハンドが前記把持対象物体に干渉するか否かを判断し、該把持対象物体に干渉する前記把持位置姿勢を前記把持位置姿勢から除く機能を有するようにしてもよい。
【0033】
このようにすれば、ユーザが把持対象物体とロボットハンドとの干渉を避けるために調整を行う必要がなくなる。
【0034】
また、本発明においては、
前記把持パターン生成部によって生成された前記把持パターンを表示するための描画情報を生成する描画部を備えるようにしてもよい。
【0035】
このようにすれば、ユーザは、生成された把持パターンを画像で確認することができる。
【0036】
また、本発明においては、
前記描画情報において、前記把持パターンに含まれる前記把持位置姿勢に対応する前記ロボットハンドを骨格で表現する簡易形式を含む該ロボットハンドの表現形式の指定を受け付ける表現形式指定部を備えようにしてもよい。
【0037】
このようにすれば、把持パターンを構成する各把持位置姿勢に対応するロボットハンドの画像が重なって見づらい場合にも、表現形式を簡易形式に指定することにより視認性が高まる。また、表現形式としては、簡易形式以外に、より立体的な表現形式を含め適宜設定することができる。
【0038】
また、本発明においては、
前記把持位置姿勢保存部は、3次元的に表現された前記把持パターンに含まれる前記把持位置姿勢群のうち保存すべき把持位置姿勢の指定を受け付ける機能を有するようにしてもよい。
【0039】
このようにすれば、生成された把持パターンに含まれる把持位置姿勢群のうち、保存したいものをユーザが指定して登録することができる。このとき、保存すべき把持位置姿勢を指定してもよいし、保存しない把持位置姿勢を指定するようにしてもよい。また、このようにすれば、把持パターンを生成する際の単位を指定する必要もなくなる。
【0040】
本発明は、
把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録方法であって、
3次元的に表現された前記把持対象物体に対する前記ロボットハンドの把持位置姿勢の設定を受け付けるステップと、
把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付けるステップと、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンドの前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転及び該ツール座標系における所定の方向の並進の少なくといずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む前記把持パターンを生成するステップと、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存するステップと、
を含む把持位置姿勢登録方法である。
【0041】
本発明によれば、ユーザが3次元的に表現された把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を設定し、把持パターンのタイプを指定することによって、指定されたパターンに応じて、設定されたロボットハンドの把持位置姿勢から、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される把持位置姿勢群を含む把持パターンが自動的に生成される。すなわち、本発明によれば、ユーザが3次元的に表現された把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を設定し、把持パターンのタイプを指定することによって、把持パターンを構成する把持位置姿勢群を生成するために必要な情報が取得されるので、指定されたパターンに応じて、複数の把持位置姿勢を一括して登録することができる。また、ユーザは、把持対象物体の形状に関わらず、自由に把持パターンを適用することができる。
【0042】
ここで、ロボットハンドは、コンピュータによって制御され、把持対象物体を把持する動作を行うツールを指し、エンドエフェクタ、グリッパを含む。また、把持とは、対象物を持つことであり、掴んで持つ場合や吸着して持つことを含むがこれに限られない。また、把持位置姿勢群は、ロボットハンドの把持対象物体に対する把持位置姿勢からなり、一又は複数の把持位置姿勢を含む。把持パターンとしては、単一の把持位置姿勢からなる把持パターンも含めることができるので、このように定義する。
【0043】
また、把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドを基準として、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される。このとき、この把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドから所定の角度また距離だけずらした把持位置姿勢から生成されてもよいので、設定されたロボットハンドの把持位置姿勢は、生成される把持パターンに含まれる把持位置姿勢群に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0044】
把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドの前記把持位置姿勢から、ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転によって生成されてもよいし、ツール座標系における所定の方向の並進によって生成されてもよい。また、把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転と、所定の方向の並進とによって生成されてもよい。さらに、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転を異なる軸について組み合わせてもよいし、所定の方向の並進を異なる方向について組み合わせてもよい。
【0045】
本発明は、
把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
3次元的に表現された前記把持対象物体に対する前記ロボットハンドの把持位置姿勢の設定を受け付けるステップと、
把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付けるステップと、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンドの前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転及び該ツール座標系における所定の方向の並進のすくなくといずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む把持パターンを生成するステップと、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存するステップと、
を含むプログラムである。
【0046】
本発明によれば、ユーザが3次元的に表現された把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を設定し、把持パターンのタイプを指定することによって、指定されたパターンに応じて、設定されたロボットハンドの把持位置姿勢から、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される把持位置姿勢群を含む把持パターンが自動的に生成される。すなわち、本発明によれば、ユーザが3次元的に表現された把持対象物体に対するロボットハンドの把持位置姿勢を設定し、把持パターンのタイプを指定することによって、把持パターンを構成する把持位置姿勢群を生成するために必要な情報が取得されるので、指定されたパターンに応じて、複数の把持位置姿勢を一括して登録することができる。また、ユーザは、把持対象物体の形状に関わらず、自由に把持パターンを適用することができる。
【0047】
ここで、ロボットハンドは、コンピュータによって制御され、把持対象物体を把持する動作を行うツールを指し、エンドエフェクタ、グリッパを含む。また、把持とは、対象物を持つことであり、掴んで持つ場合や吸着して持つことを含むがこれに限られない。また、把持位置姿勢群は、ロボットハンドの把持対象物体に対する把持位置姿勢からなり、一又は複数の把持位置姿勢を含む。把持パターンとしては、単一の把持位置姿勢からなる把持パターンも含めることができるので、このように定義する。
【0048】
また、把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドを基準として、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される。このとき、この把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドから所定の角度また距離だけずらした把持位置姿勢から生成されてもよいので、設定されたロボットハンドの把持位置姿勢は、生成される把持パターンに含まれる把持位置姿勢群に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0049】
把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、設定されたロボットハンドの前記把持位置姿勢から、ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転によって生成されてもよいし、ツール座標系における所定の方向の並進によって生成されてもよい。また、把持パターンに含まれる把持位置姿勢群は、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転と、所定の方向の並進とによって生成されてもよい。さらに、ツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転を異なる軸について組み合わせてもよいし、所定の方向の並進を異なる方向について組み合わせてもよい。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、ユーザがロボットハンドの把持対象物体に対する複数の把持位置姿勢を一括して登録でき、把持対象物体の形状に関わらずユーザが自由に把持パターンを適用できる技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の実施例における把持位置姿勢登録装置の一例を示すハードウエア構成図である。
図2】本発明の実施例における把持位置姿勢登録装置の機能ブロック図である。
図3】本発明の実施例における把持位置姿勢登録処理の全体的な流れを示すフローチャートである。
図4】本発明の実施例における二指ハンドの全体斜視図及び先端部の拡大図である。
図5】本発明の実施例における吸着ハンドの全体斜視図及び先端部の拡大図である。
図6】本発明の実施例におけるハンドの初期把持位置姿勢設定を説明する図である。
図7】本発明の実施例における把持パターン設定時のユーザインタフェースを示す図である。
図8】本発明の実施例における把持パターンなしを示す図である。
図9】本発明の実施例における扇形パターンを示す図である。
図10】本発明の実施例における円柱パターンを示す図である。
図11】本発明の実施例における差し込み量の変更を説明する図である。
図12】本発明の実施例におけるハイブリッドパターンを示す図である。
図13】本発明の実施例における円パターンを示す図である。
図14】本発明の実施例における把持パターン生成処理の手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の実施例における物体座標系とツール座標系の関係を説明する図である。
図16】本発明の実施例における円柱パターンのT字管と二指ハンドの関係を示す図である。
図17】本発明の実施例における円柱パターンのT字管と二指ハンドの位置関係を示す図である。
図18】本発明の実施例における等間隔把持パターン生成処理の手順を示すフローチャートである。
図19】本発明の実施例における等間隔把持パターンを示す図である。
図20】本発明の実施例における把持パターンの簡易表示例を示す図である。
図21】本発明の実施例における把持位置姿勢保存処理の手順を示すフローチャートである。
図22】本発明の実施例におけるホルダに対する把持パターンを示す図である。
図23】本発明の実施例におけるホルダに対する他の把持パターンを示す図である。
図24】本発明の実施例におけるL字薄板に対する把持パターンを示す図である。
図25】本発明の実施例におけるコネクタに対する把持パターンを示す図である。
図26】本発明の実施例におけるキャパシタに対する把持パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係る把持位置姿勢登録装置について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0053】
<装置構成>
図1は、本実施例に係る把持位置姿勢登録装置1の一例を示すハードウエア構成図である。図2は、把持位置姿勢登録装置1を機能ブロックで表現した図である。
【0054】
図1に示すように、把持位置姿勢登録装置1は、主として、制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14及び各部に接続され信号の伝送路を構成するバス15とを含み、一般的なコンピュータにより構成することができる。
制御部11は、CPUやMPU等のプロセッサである。
【0055】
記憶部12は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部11によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウエア回路によって実現されてもよい。主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでもよい。また、補助記憶装置は、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)を含んでもよい。さらに、補助記憶装置は、リムーバブルメディア、すなわち可搬記録媒体を含んでもよい。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。
【0056】
入力部13は、ユーザが行った入力操作を受け付ける手段である。本実施例では、入力部13は、キーボード13a及びマウス13bを含んで構成される。
【0057】
表示部14は、情報を表示することによりユーザに対して情報を提供する手段であり、例えば、液晶ディスプレイとその制御手段を含む。また、表示部14をタッチパネルとその制御手段によって構成し、入力部13を兼ねるようにすることもできる。
【0058】
図2の機能ブロック図に従って、本実施例の把持位置姿勢登録装置1の機能について説明する。
把持位置姿勢登録装置1は、データ読み込み部21、初期把持位置姿勢設定部22、把持位置姿勢操作部23、把持パターン指定部24、パラメータ設定部25、表現形式指定部26、把持パターン生成部27、把持位置姿勢保存部28、描画部29を含んで構成される。
データ読み込み部21は、制御対象であるロボットハンド(以下、単に「ハンド」という。)及び当該ハンドによって把持される対象である把持対象物体に関するデータが記憶されているハンド・把持対象物体記憶部121から、ハンド及び把持対象物体のデータを読み込む。
初期把持位置姿勢設定部22は、ユーザが表示部14に表示された把持対象物体の所望の位置にポインタを移動させてマウス13bをクリックすることにより、当該位置にハンドを登録する。
把持位置姿勢操作部23は、把持位置姿勢の修正量をユーザが入力部13を介して入力すると、この修正量を反映してハンドの把持位置姿勢を修正する。ここでは、初期把持位置姿勢設定部22と把持位置姿勢操作部23とが把持位置姿勢設定部に対応する。
【0059】
把持パターン指定部24は、ユーザから、入力部13を介して、扇形把持、円柱把持、円把持、ハイブリット把持などの把持パターンのタイプの指定を受け付けて、把持パターンに反映させる。
パラメータ設定部25は、ユーザから、入力部13を介して、把持パターンに関するパラメータの設定を受け付けて、把持パターンに反映させる。
表現形式指定部26は、ユーザから、入力部13を介して、表示部14に把持パターンを表示させる際の表現形式の指定を受け付け、把持パターンの表現に反映させる。
【0060】
把持パターン生成部27は、把持パターン指定部24によって指定された単一又は複数の把持パターンを算出して、生成する。
把持位置姿勢保存部28は、登録された把持位置姿勢を把持位置姿勢データベース122として保存する。
描画部29は、データ読み込み部、初期把持位置姿勢設定部22、把持位置姿勢操作部23、把持パターン生成部27から入力される情報に基づいて表示部14に把持対象物体及びハンドの3次元形状の描画情報を生成し、描画する。描画部29は、ユーザが、入力部を介して、表示部14に表示されたGUI上で操作を行うたびに、把持対象物体及びハンドの3次元位置姿勢を計算しなおし、表示部14に表示される内容を更新する。
【0061】
以下に、本実施例の把持位置姿勢登録装置1による把持位置姿勢登録処理について説明する。
図3は、把持位置姿勢登録処理の全体的な流れを示すフローチャートである。
把持位置登録処理は、概略、初期把持位置姿勢設定処理(ステップS1)、把持位置姿勢設定処理(ステップS2)、把持パターン設定処理(ステップS3)、把持位置姿勢保存処理(ステップS4)を含んで構成される。
【0062】
本実施例の把持位置姿勢登録装置1の特徴的な機能である把持パターンの登録処理に先立って、表示部14の画面上での把持対象物体に対するハンドの初期把持位置姿勢設定処理及び把持位置姿勢設定処理について説明する。
【0063】
<初期把持位置姿勢設定処理>
まず、初期把持位置姿勢設定処理について説明する。把持対象物体に対するハンドの初期把持位置姿勢の設定処理については適宜の手順を採用することができる。この初期把持位置姿勢設定処理は、キーボード13a、マウス13bによる操作入力を受け付けて、制御部11が所定のプログラムを実行することにより、データ読み込み部、初期把持位置姿勢設定部、描画部29として機能することにより実現される。
【0064】
まず、記憶部12に設けられたハンド・把持対象物体記憶部から、ハンド及び把持対象物体のデータを読み込む。読み込まれたデータに基づいて、所定のプログラムに従って、描画部29が表示部14の画面上に、把持対象物体を2次元的に表示する。このとき、ハンドが、図4(A)に示すような2本の爪31,32を有する二指ハンド30と、図5(A)に示すような先端に吸着パッド41を有する吸着ハンド40のいずれであるかについて、ユーザの選択を受け付け、当該ユーザの選択に従ってハンドのデータが取得、表示される。ここでは、二指ハンド30と吸着ハンド40の二種類から選択させるが、ハンドの種類はこれらに限られない。
【0065】
把持対象物体の位置姿勢については、画面上の把持対象物体の適宜の位置にポインタを移動させてドラッグする等の操作により、並進・回転の各3自由度に対して変更可能である。このようにして、表示部14の画面上に、所望の位置姿勢で表示させた把持対象物体上に、ポインタを移動させてクリックする等の操作により、ハンドが把持する位置の指定を受け付ける。
【0066】
ハンドが二指ハンド30であれば、図6(A)に示すように、把持対象物体としてのT字管51上の2点p1,p2を指定する。このように指定された2点p1,p2の中央の位置に、二指ハンド30の爪31の先端中央部312が位置するように、二指ハンド30が表示されるとともに、把持位置が登録される。二指ハンド30の爪32は、爪31とT字管51を挟んで対称の位置に登録してもよいし、爪31とは独立して把持する位置を指定できるようにしてもよい。ここでは、爪31,32が把持部に対応する。なお、図4(B)は二指ハンド30の爪31,32の延長方向から見た端面311,321を示している。爪31,32の先端部の中央部312,322は、爪31,32の先端部、すなわち端面311,321と、内側面313,323とが接する位置としている。図4(B)には、爪32の幅W(爪31についても同様である)、爪31,32の開き幅Sも示している。後述するように、把持対象物体を把持する爪31,32が部位は爪31,32の延長方向に変更できるので、初期把持位置姿勢設定で登録する際の爪31,32の部位は必ずしもこの部位でなくてもよい。
【0067】
ハンドが吸着ハンド40であれば、図6(B)に示すように、把持対象物体としてのキャパシタ52上の1点p3を指定する。このように指定された1点p3に、吸着ハンド40先端の吸着パッド41の中央部411が位置するように、吸着ハンド40が表示されるとともに、把持位置が登録される。ここでは、吸着パッド41が把持部に対応する。
【0068】
<把持位置姿勢設定処理>
次に、上述の手順に従って設定されたハンドの初期把持位置姿勢に対して行われる、把持位置姿勢設定処理について説明する。この把持位置姿勢設定処理は、キーボード13a、マウス13bによる操作入力を受け付けて、制御部11が所定のプログラムを実行することにより、データ読み込み部、把持位置姿勢操作部23、描画部29として機能することにより実現される。
【0069】
把持位置姿勢設定処理では、把持対象物体をハンドが把持する把持点の位置姿勢の調整を行う。ここでは、例えば、ハンドに対して定義されるツール座標系のX軸、Y軸及びZ軸を基準として(図15参照)、X,Y,Zの各軸方向の並進3自由度に対する前進後退量、X,Y,Yの各軸回りの回転3自由度に対する回転量に関する調整を、表示部14に表示されるGUIを介してユーザから受け付ける。二指ハンド30であれば、二つの爪31,32の開き幅S(図4(B)参照)を調整できるようにすることもできる。また、吸着ハンド40であれば、通常、蛇腹やスプリングで伸縮できる構造になっているため、このような伸長状態と収縮状態を調整できるようにすることもできる。把持点の位置姿勢の調整における調整項目はこれに限らない。
【0070】
<回転把持パターン設定処理>
上述のようにして、把持対象物体に対するハンドの把持位置姿勢が設定される。これに続いて行われる把持パターン設定処理のうち、回転把持パターン設定処理について説明する。この回転把持パターン設定処理は、キーボード13a、マウス13bによる操作入力を受け付けて、制御部11が所定のプログラムを実行することにより、データ読み込み部29、把持パターン指定部24、パラメータ設定部25、表現形式指定部26、把持パターン生成部27、描画部29として機能することにより実現される。
【0071】
図7は、回転把持パターン設定処理の際に、表示部14の画面に表示されるユーザインタフェース20の例を示す。
上部に表示される5つのボタン21~25は、それぞれ把持パターンのタイプを示している。それぞれのボタン上にポインタを移動させてマウス13bをクリックすることにより、所望の把持パターンを設定する。
【0072】
ここで、“Single”のボタン21は、把持パターンなし、すなわち、ハンドが把持対象物体に対して単一の位置姿勢で位置するパターンを示す。図8は、把持パターンなしの場合の例であり、二指ハンド30の二つの爪31,32が把持対象物体としてのT字管51の円筒部分51aを外径側から把持する際に、二指ハンド30がT字管51に対して、単一の位置姿勢で位置している。
【0073】
“Fan”のボタン22は、扇形パターンを示す。扇形パターンは、二指ハンド30であれば、把持対象物体に対する初期把持位置姿勢から、二つの爪31,32のそれぞれの先端中央部を結ぶ直線を軸として扇形に回転させるパターンである。ここでは、扇形パターンが第1タイプに対応する。図9は、扇形パターンの例である。図9では、二指ハンド30の二つの爪31,32が把持対象物体としてのT字管51の円筒部分51aを鉛直方向の下方かつ外径側から把持する場合の位置を初期把持とした場合に、扇形パターンを構成するように回転させた状態のうち、鉛直下方を挟んで左右両側に位置する状態を一つずつ重ねて表示している。回転の範囲及びその範囲の分割数については後述するように変更可能である。また、把持パターンを構成するハンド30の爪31,32の各把持位置姿勢は、分かりやすいように、実線と二点鎖線とによって区別して表示している場合がある(以下の図面も同様である。)。
【0074】
“Cylinder”のボタン23は、円柱パターンを示す。円柱パターンは、二指ハンド30であれば、把持対象物体に対する初期把持位置姿勢から、二つの爪31,32のそれぞれの先端中央部を結ぶ直線を含み、爪31,32の延長方向に平行な平面に対して直交し、二指のそれぞれの先端中央部を結ぶ直線の中心を通る直線を回転軸として回転させるパターンである。ここでは、円柱パターンが第2タイプに対応する。図10は、円柱パターンの例である。図10では、T字管51を把持する二指ハンド30の二つの爪31,32(図8参照)を、円柱パターンを構成するように回転させた状態のうち、分かりやすいように鉛直方向、水平方向及水平方向に対して45°をなす状態のみを表示したものである。回転の範囲及びその範囲の分割数については後述するように変更可能である。なお、図10を含めた図面上において、二指ハンド30の把持対象物体に対する位置姿勢については、異なる位置姿勢にある複数の爪31,32の関係を分かりやすくするため、回転中心等の位置については必ずしも上述の説明に忠実に対応していない場合がある。
【0075】
また、図11(A)及び図11(B)に示すように、ハンドに対する回転中心の位置を、ハンドの基端側に変更することもできる。このとき、把持対象物体に対してハンドが差し込まれる量(差し込み量)が変更される。回転中心が爪31,32の先端部を結ぶ直線の中央にある図11(A)から、図11(B)では二指ハンド30の爪31,32がT軸管51の円筒部51aに対して距離Dだけ深く差し込まれている。従って、二指ハンド30の回転中心は、図11(A)の把持位置に比べて二指ハンド30の基端側に変更されている。
【0076】
“Hybrid”のボタン24は、扇形パターンと円柱パターンを組み合わせたハイブリッドパターンを示す。すなわち、上述のように、二指ハンド30であれば、把持対象物体に対する初期把持位置姿勢から、二つの爪31,32のそれぞれの先端中央部を結ぶ直線を軸として扇形に回転させるとともに、さらに、二つの爪31,32のそれぞれの先端中央部を結ぶ直線を含み、二つの爪31,32の延長方向に平行な平面に対して直交し、二つの爪31,32のそれぞれの先端中央部を結ぶ直線の中心を通る直線を回転中心として回転させるパターンである。ここでは、ハイブリッドパターンが第4タイプに対応する。図12は、扇形パターンに従って回転させた状態を、鉛直方向を挟む両側を含む両側の位置のみを示すとともに、これをさらに円柱パターンに従って回転させた状態のうち、分かりやすいように鉛直方向の上下のみを表示したものである。回転の範囲及びその範囲の分割数については後述するように変更可能である。
【0077】
“Circle”のボタン25は、円パターンを示す。これは、把持対象物体50としてのナットの中空部に二指ハンド30を内側から挿入し、二つの爪31,32の間隔を広げ、ナットの中空部内周面に押し付けて把持するような場合に適用される把持パターンである。ここでは、円パターンが第3タイプに対応する。二つの爪31,32のそれぞれの先端中央部312,322を結ぶ直線の中央Cn(図4(B)参照)を通り、二つの爪31,32の延長方向に平行な軸を回転中心として回転させるパターンである。図13は、このように円パターンに従って、二指ハンド30をナット50に対し回転させた状態を重ねて表示している。
【0078】
ユーザインタフェース20の下部には、“Start angle” の表示26a、“Stop angle”の表示27a、“Num angle”の表示28aとそれぞれに対応する“-”のボタン26b、27b、28b、“+”のボタン26c、27c、28cが表示される。
【0079】
“Start angle”のボタン26b,26cは、把持パターンを生成する範囲を設定する場合に、複数の把持位置により構成されるパターンの開始角度を調整するものである。表示部14上で、ハンドが最初に把持対象物体を把持した位置を0度とする。これを基準として、“+”のボタン26cをクリックすることにより開始角度を増加させ、“-”のボタン26bをクリックすることにより開始角度を減少させて調整する。ここでは、開始角度が開始パラメータに対応する。
【0080】
“Stop angle”のボタン27b,27cは、把持パターンを生成する範囲を設定する場合に、複数の把持位置により構成されるパターンの終了角度を調整するものである。表示部14上で、ハンドが最初に把持対象物体を把持した位置を0度とする。これを基準として、“+”のボタン27cをクリックすることにより終了角度を増加させ、“-”のボタン27bをクリックすることにより終了角度を減少させて調整する。ここでは終了角度が終了パラメータに対応する。
【0081】
“Num angle”のボタン28b,28cは、把持パターンを生成する範囲内、すなわち、上述の開始角度と終了角度との間の範囲を何分割するかという分割数を調整するものである。分割数の初期値は適宜設定すればよいが、例えば、0に設定し、これを基準として、“+”のボタン28cをクリックすることにより分割数を増加させ、“-”のボタン28bをクリックすることにより分割数を減少させて調整する。ここでは、分割数が単位パラメータに対応する。
【0082】
<回転把持パターン生成処理>
図14は、上述のように指定された把持パターン生成処理の手順を示すフローチャートである。
まず、回転中心を算出する(ステップS11)。
このとき、把持パターンを生成するための回転中心を設定する。例えば、二指ハンド30の場合には、図4(B)に示すように、左爪31と右爪32のそれぞれの先端部の中央312,322を結ぶ直線の中央位置Cnを回転中心に設定する。吸着ハンド40の場合には、図5(B)に示すように、吸着パッド41の先端の中央部411を回転中心に設定する。このようにして設定した回転中心を、Cとする。
【0083】
次に、ユーザが選択した把持パターンがいずれであるかを判断する(ステップS12)。
選択された把持パターンが扇形パターンである場合には、回転軸をツール座標系のX軸に設定する(ステップS13)。選択された把持パターンが円柱パターンである場合には、回転軸をツール座標系のY軸に設定する(ステップS14)。選択された把持パターンが円パターンである場合には、回転軸をツール座標系のZ軸に設定する(ステップS15)。図15に、ハンド30に対して定義されるツール座標系と把持対象物体としてのT字管51に対して定義される物体座標系を示す。
【0084】
ステップS3、S4、S5において設定された回転軸回りの回転角θとして、先に、“Start angle”のボタン26b,26cにより設定された回転開始角θ_startを設定する(ステップS16)。
そして、ツールの位置姿勢を計算する(ステップS17)。
図15に示すように、把持パターンを生成する前(すなわち、上述の初期把持位置姿勢設定処理と把持位置姿勢設定処理を経た状態)の把持対象物体としてのT字管51とハンド30の相対位置姿勢が回転行列
【数1】

と(本文中ではRと表記する)、並進ベクトル
【数2】

で表されるとする(本文中ではTと表記する)。これを初期姿勢とする。
【0085】
把持パターンでは、初期姿勢に対して、ツール座標系のX軸、Y軸、Z軸のいずれかの軸の周りでハンドを回転させる。θ度回転する場合には、ハンドを回転させる回転行列
【数3】

を以下のように計算することができる。
【0086】
把持パターンが扇形パターン、すなわち回転軸がX軸である場合は、
【数4】

となる。
【0087】
把持パターンが円柱パターン、すなわち回転軸がY軸である場合は、
【数5】

となる。
【0088】
把持パターンが円パターン、すなわち回転軸がZ軸である場合は、
【数6】

となる。
【0089】
このとき、把持パターンの回転行列
【数7】

と(本文中ではRpatternと表記する。)、並進ベクトル
【数8】

は(本文中ではTpatternと表記する。)、以下の式により計算することができる。
【数9】

【数10】

また、扇形パターンと円柱パターンを組み合わせたパターンは、それぞれの回転を合成したものとなる。
【0090】
このようにして計算されたツール(ハンド)の現在の位置姿勢を記憶部12の所定領域に登録する(ステップS18)。
【0091】
そして、ハンドの回転角θを変化させ、θ+Δθに設定する(ステップS19)。このときの、Δθの値については、“Start angle”のボタン26b,26cによって設定された開始角度から、“Stop angle”のボタン27b,27cによって設定された終了角度までの範囲を、“Num angle”のボタン28b,28cのボタンによって設定された分割数に従って分割することによって得られる値である。
【0092】
ここで、
θ>θ_end
であるか否かを判断する(ステップS20)。このとき、θ_endは、“Stop angle”のボタン27b,27cにより設定された角度である。
【0093】
図16及び図17(A)~(C)は、上述の円柱パターンによる、把持対象物体としてのT字管51と二指ハンド30との相対関係を示す。
ここで、図16は、T字管51に対して二指ハンド30が初期姿勢にある状態を示す。図16の下部はT字管51の全体斜視図であり、図16の上部に表示されたT字管51の端面との対応関係を示している。図17(A)は、二指ハンド30を初期姿勢から開始角度まで、θstart回転させた状態を示す。図17(B)は、二指ハンド30を開始角度から、さらにΔθ回転させた状態を示す。図17(C)は、二指ハンド30が開始角度θstartから終了角度θendまで回転させた状態を示す。
【0094】
ステップS10においてYESと判断された場合には、把持パターン生成処理を終了する。
ステップS10においてNOと判断された場合には、ステップS7に戻って、更新された回転角に対するツールの位置姿勢を計算する。
【0095】
ステップS17で現在のツール位置姿勢を計算する際に、把持対象物体と干渉するか否かの判定を行い、干渉するものを除き、干渉しないものをステップS18において登録するようにしてもよい。把持対象物体と干渉するか否かの判定については、公知の技術を適宜採用できるので、詳述しない。
【0096】
<等間隔把持パターン設定処理>
次に、把持パターン設定処理のうち、等間隔把持パターン設定処理について説明する。この等間隔把持パターン設定処理は、キーボード13a、マウス13bによる操作入力を受け付けて、制御部11が所定のプログラムを実行することにより、データ読み込み部29、把持パターン指定部24、パラメータ設定部25、表現形式指定部26、把持パターン生成部27、描画部29として機能することにより実現される。
【0097】
この等間隔把持パターンでは、ツール座標系のX軸及び/又はY軸方向に等間隔を隔てた把持点から構成される把持パターンである。ここでは、等間隔把持パターンが第5タイプに対応する。X軸及びY軸方向の初期位置(Xstart,Ystart)及び終了位置(Xend,Yend)並びに把持点の間隔(ΔX,ΔY)を、予めユーザにキーボード13a又はマウス13bによって設定させる。ここでは、Xstart及びYstartが開始パラメータに対応する。また、Xend及びYendが終了パラメータに対応する。そして、ΔX及びΔYが単位パラメータに対応する。
【0098】
<等間隔把持パターン生成処理>
次に、図18に示すフローチャートを参照して、等間隔パターン生成処理について説明する。
まず、X及びYに、ユーザにより設定されたXstart及びYstartをそれぞれ設定する(ステップS21)。
【0099】
次に、ツール位置姿勢を計算する(ステップS22)。
把持パターンを生成する前の把持対象物体とハンドとの相対位置姿勢と、回転行列Rpatternと、並進ベクトルTpatternとの関係は、図15と同様である。
この等間隔把持パターン設定処理では、初期姿勢に対して、ツール座標系のX軸及びY軸に平行移動する。ツール座標系上で(X,Y)だけ平行移動する場合には、把持パターンの回転行列Rpatternと並進ベクトルTpatternは以下のように計算することができる。
【数11】

【数12】
【0100】
このようにして計算されたツール(ハンド)の現在の位置姿勢を記憶部12の所定領域に登録する(ステップS23)。登録されたツール(ハンド)の現在の位置姿勢は、描画部29によって表示部14に表示される。
【0101】
そして、ハンドのX座標位置を変化させ、X+ΔXに設定する(ステップS24)。
【0102】
ここで、
X>Xend
であるか否かを判断する(ステップS25)。
【0103】
ステップS25においてNOと判断された場合には、ステップS22に戻って、更新されたX座標位置に対するツールの位置姿勢を計算する。
ステップS25においてYESと判断された場合には、ハンドのY座標位置を変化させ、Y+ΔYに設定する(ステップS26)。
【0104】
次に、
Y>Yend
であるか否かを判断する(ステップS27)。
【0105】
ステップS27においてYESであると判断された場合には、等間隔把持パターン設定処理を終了する。
ステップS27においてNOと判断された場合には、ステップS22に戻って、更新されたY座標位置に対するツールの位置姿勢を計算する。
ここでは、X軸方向及びY軸方向に等間隔で平行移動する場合について説明したが、Z軸方向又は、Z軸を含めた方向に等間隔で平行移動するようにすることもできる。
また、等間隔把持パターンが適用されるのは、上述のような吸着ハンド40に限られず、例えば、二指ハンド30が二つの爪31,32により、箱の縁のように立設された壁部を両側から挟みつつ、縁に沿って移動するようなパターンであってもよい。
【0106】
ステップS22で現在のツール位置姿勢を計算する際に、把持対象物体と干渉するか否かの判定を行い、干渉する者を除き、干渉しないものをステップS23において登録するようにしてもよい。把持対象物体と干渉するか否かの判定については、公知の技術を適宜採用できるので、詳述しない。
【0107】
図19は、上述の等間隔把持パターン生成処理によって生成される把持パターンを示す。把持対象物体50の上面に吸着パッド41を接触させた状態で、この上面に沿って吸着ハンド40がX軸方向及びY軸方向に等間隔で平行移動することによって把持パターンを構成している。
【0108】
上述の把持パターンを表示部14に表示する際には、上述のようにハンドを立体的な通常表現形式で表示してもよいが、把持対象物体に対する各把持位置姿勢及び把持パターンにおけるハンドの表現形式はこれに限られない。把持位置姿勢の数が増えるとハンドの画像が重なって互いに判別しづらくなる。このため、図20(A)及び図20(B)では、ハンドの骨格のみを線によって表現する簡易形式で表示している。他に、把持パターンを構成するハンドの把持位置姿勢が描く軌跡の外形のみで表現する形式を採用してもよい。ユーザは、把持パターンのタイプを指定し、又はパラメータを設定する際に、入力部13を介して表現形式を指定する。また、把持パターンを表示部14に表示する際に、入力部13により、ハンドの表現形式を切り替えることもできる。
ただし、図20(A)及び図20(B)では、分かりやすいように把持パターンを構成する把持位置姿勢のうち一部のみを表示している。図20(A)は図10に対応し、図20(B)は図12に対応し、ハンドの表現が異なっている。このようにハンドを線によって簡易表示すれば、ユーザは、多数の把持パターンについて把握がしやすく、把持パターンの設定登録を効率的に行うことができる。
【0109】
<把持位置姿勢保存処理>
図21は、把持位置姿勢保存処理の手順を示すフローチャートである。
把持位置姿勢保存部28は、パターン生成処理によって生成された複数の把持位置姿勢は、表示部14に図9等のように表示部14に表示する(ステップS31)。このとき、表示部14の画面上に、表示された把持パターンの全てを保存するか、保存すべき把持位置姿勢を指定するかを選択するボタンを表示し、ユーザの選択を受け付ける。
【0110】
ユーザが、入力部13を介して、全てを保存するボタンを選択すると、把持位置姿勢保存部28は、ステップS32においてYESと判断し、生成された把持パターンに含まれる全ての把持位置姿勢を把持位置姿勢データベース122に保存する(ステップS32)。そして、保存すべき把持位置姿勢を選択するボタンを選択すると、ユーザから、入力部13を介して、表示部14に表示された複数の把持位置姿勢のうち、保存すべき把持位置姿勢についての選択を受け付ける(ステップS34)。例えば、ユーザは、表示部14に表示された把持位置姿勢のいずれかをクリックすることにより、保存すべき把持位置姿勢を選択する。このとき、保存しない把持位置姿勢をクリックするようにしてもよい。そして、ユーザによる保存すべき位置姿勢が選択されると、把持位置姿勢保存部28は、ユーザの選択に従って把持パターンの構成を更新して(ステップS35)、更新された把持パターンを把持位置姿勢データベース122に保存する。また、このとき、ユーザが、把持パターンから、把持対象物体と干渉する把持位置姿勢を除外するようにしてもよい。
【0111】
このように、生成された把持パターンのうち保存すべき把持位置姿勢をユーザに選択させれば、ユーザは所望の把持パターンを保存することができる。また、所望の把持位置姿勢からなる把持パターが構成できるので、分割数の設定も不要となる。
【0112】
図22(A)は把持対象物体としてのホルダ54を示す。このホルダ54に対して本実施例を適用して生成される把持パターン例を図22(B),図23(A)、図23(B)に示す。図23(B)はホルダ54に対する二指ハンド30の把持パターンが円パターンである場合、図23(A)がホルダ54に対する二指ハンド30の把持パターンが扇形パターンである場合、図23(B)は回転範囲が異なる扇形パターンの場合を示す。
【0113】
図24(A)は把持対象物体としてのL字薄板55を示す。このL字薄板55に対して本実施例を適用して生成される回転把持パターン例を図24(B)及び図24(C)に示す。図24(B)はL字薄板55に対する二指ハンド30の把持パターンが扇形パターンである場合、図24(C)は回転範囲が異なる扇形パターンの場合を示す。
【0114】
図25(A)は把持対象物体としてのコネクタ56を示す。このコネクタ56に対して本実施例を適用して生成される回転把持パターン例を図25(B)及び図25(C)に示す。図25(B)はコネクタ56の六角形状部分561に対する二指ハンド30の把持パターンが円柱パターンである場合、図25(C)はコネクタのL字の屈曲部分562に対する二指ハンド30の把持パターンが扇形パターンの場合を示す。
【0115】
図26(A)は把持対象物体としてのキャパシタ52である。図26(B)はキャパシタ52に対する吸着ハンド40の把持パターンがない場合であり、図26(C)は把持パターンが等間隔パターンである場合である。
【0116】
〔変形例〕
上述の実施例では、二指ハンドと吸着ハンドについて説明したが、本発明は、三指ハンド、マグネットハンド等の他のハンドに対しても適用することができ、本発明が適用できるハンドの種類はこれらに限定されない。ただし、ハンドの種類により有効なパターンは異なり得る。
また、上述の実施例では、把持パターンの例として、円柱、扇形、円又はそれらの組み合わせである回転把持パターン、そして、等間隔把持パターンについて説明したが、回転把持パターンと等間隔把持パターンを組み合わせてもよく、本発明が適用できる把持パターンはこれらに限定されない。
また、把持対象物体とハンドとは一対一対応の場合に限られず、一つの把持対象物体に対して複数種類のハンドによる把持パターンを構成するようにしてもよく。このような複数種類のハンドによる把持パターンの間に把持対象物体に応じた優先順位が設定されるようにしてもよい。
また、把持対象物体のデータ形式は、3次元CADファイルでも点群(計測データ)でもよく、これらに限定されない。
ハンドのデータ形式は3次元CADファイルでもユーザが指定した図形でもよく、これらに限定されない。
【0117】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
把持対象物体(51~56)に対するロボットハンド(30,40)の把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録装置(1)であって、
3次元的に表現された前記把持対象物体(51~56)に対する前記ロボットハンド(30,40)の把持位置姿勢の設定を受け付ける把持位置姿勢設定部(22,23)と、
把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付ける把持パターン指定部(24)と、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンド(30,40)の前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンドに定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転、及び、該ツール座標系における所定の方向の並進の少なくともいずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む前記把持パターンを生成する把持パターン生成部(27)と、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存する把持位置姿勢保存部(28)と、
を備えた把持位置姿勢登録装置(1)。
<発明2>
把持対象物体(51~56)に対するロボットハンド(30,40)の把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録方法であって、
2次元的に表現された前記把持対象物体(51~56)に対する前記ロボットハンド(30,40)の把持位置姿勢の設定を受け付けるステップ(ステップS1,S2)と、
把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付けるステップ(ステップS3)と、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンドの前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンド(30,40)に定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転及び該ツール座標系における所定の方向の並進の少なくといずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む前記把持パターンを生成するステップ(ステップS4)と、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存するステップ(ステップS5)と、
を含む把持位置姿勢登録方法。
<発明3>
把持対象物体(51~56)に対するロボットハンド(30,40)の把持位置姿勢を登録する把持位置姿勢登録方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
2次元的に表現された前記把持対象物体に対する前記ロボットハンド(30,40)の把持位置姿勢の設定を受け付けるステップ(ステップS1,S2)と、
把持位置姿勢群からなる把持パターンのタイプの指定を受け付けるステップ(ステップS3)と、
指定された前記タイプに応じて、設定された前記ロボットハンドの前記把持位置姿勢から、前記ロボットハンド(30,40)に定義されるツール座標系における所定の軸を回転軸とする回転及び該ツール座標系における所定の方向の並進のすくなくといずれか一方によって生成される前記把持位置姿勢群を含む把持パターンを生成するステップ(ステップS4)と、
生成された前記把持パターンを構成する前記把持位置姿勢群を保存するステップ(ステップS5)と、
を含むプログラム。
【符号の説明】
【0118】
1 把持位置姿勢登録装置
22 初期把持位置姿勢設定部
23 把持位置姿勢操作部
24 把持パターン指定部
25 パラメータ設定部
26 表現形式指定部
27 把持パターン生成部
28 把持位置姿勢保存部
29 描画部
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