(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】トップライト構造及びトップライト施工方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/03 20060101AFI20221025BHJP
E04B 7/18 20060101ALI20221025BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
E04D13/03 Z
E04B7/18 A
E04B1/94 D
(21)【出願番号】P 2018200758
(22)【出願日】2018-10-25
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】亀山 太一
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-154613(JP,A)
【文献】特開2008-303615(JP,A)
【文献】特開2017-040077(JP,A)
【文献】特開2017-172112(JP,A)
【文献】特開2016-188470(JP,A)
【文献】特開2010-024811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/03
E04B 1/00、1/94
E04B 7/18
E04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体の一部を構成する鉄骨梁と、
前記鉄骨梁に支持されると共に、耐火材により構成され、一部に前記建物の内部と外部とを連通する屋根開口部を有する屋根面材と、
前記鉄骨梁を屋内側から被覆する
ことで前記屋根面材と共に前記鉄骨梁を囲む耐火被覆材と、
板状に形成されかつ面直方向視にて前記屋根面材の屋根開口部より大きく形成されていると共に、前記屋根面材の屋根開口部に対応した位置に屋外側から載置され、前記屋根開口部に対応した位置に厚さ方向にて貫通されかつ窓部材が設けられる板体開口部が形成されている下地板材と、
を有するトップライト構造。
【請求項2】
前記下地板材には、前記屋根面材の屋根開口部内に納まる枠体が屋内側から取り付けられている、
請求項1記載のトップライト構造。
【請求項3】
建物の躯体の一部を構成する鉄骨梁と、
前記鉄骨梁に支持されると共に、耐火材により構成され、一部に前記建物の内部と外部とを連通する屋根開口部を有する屋根面材と、
前記鉄骨梁を屋内側から被覆する
ことで前記屋根面材と共に前記鉄骨梁を囲む耐火被覆材と、
前記屋根面材の屋根開口部内に納まりかつ枠状に形成されると共に、窓部材が取り付けられた枠体と、
枠体取付壁部と屋根載置壁部とを含んで形成され、前記枠体取付壁部が前記枠体の外枠に取り付けられると共に、前記屋根載置壁部が少なくとも前記屋根面材における前記屋根開口部より外側の部位に屋外側から載置されかつ固定されている枠体取付ブラケットと、
を有するトップライト構造。
【請求項4】
前記枠体には、溝形鋼により構成されていると共に前記屋根面材の面直方向視にて前記屋根開口部の内側にウェブの外側面が面する開口縁部材が設けられている、
請求項2又は請求項3記載のトップライト構造。
【請求項5】
前記鉄骨梁は、ウェブの厚さ方向が略水平方向とされたH形鋼により構成されており、当該鉄骨梁における上フランジの上面の一部にて前記屋根面材を支持すると共に、当該上フランジの上面の残りの部分が前記耐火被覆材により覆われている、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のトップライト構造。
【請求項6】
建物の躯体の一部を構成する鉄骨梁と、
前記鉄骨梁に支持されると共に、耐火材により構成され、一部に前記建物の内部と外部とを連通する屋根開口部を有する屋根面材と、
前記鉄骨梁を屋内側から被覆する
ことで前記屋根面材と共に前記鉄骨梁を囲む耐火被覆材と、
板状に形成されかつ面直方向視にて前記屋根面材の屋根開口部より大きく形成されていると共に、前記屋根面材の屋根開口部に対応した位置に屋外側から載置され、前記屋根開口部に対応した位置に厚さ方向にて貫通されかつ窓部材が設けられる板体開口部が形成されている下地板材と、
前記屋根面材の屋根開口部内に納まりかつ前記下地板材に屋内側から取り付けられている枠体と、
を有するトップライト構造に適用され、
予め前記下地板材と前記枠体とを結合する第1工程と、
建築地にて前記鉄骨梁に載置された前記屋根面材における前記屋根開口部内に、前記枠体を挿入する第2工程と、
前記枠体を前記屋根開口部内に挿入させることで前記屋根面材上に載置された前記下地板材における前記屋根開口部より外側の部位を前記屋根面材に固定する第3工程と、
を有するトップライト施工方法。
【請求項7】
建物の躯体の一部を構成する鉄骨梁と、
前記鉄骨梁に支持されると共に、耐火材により構成され、一部に前記建物の内部と外部とを連通する屋根開口部を有する屋根面材と、
前記鉄骨梁を屋内側から被覆する
ことで前記屋根面材と共に前記鉄骨梁を囲む耐火被覆材と、
前記屋根面材の屋根開口部内に納まりかつ枠状に形成されると共に、窓部材が取り付けられた枠体と、
枠体取付壁部と屋根載置壁部とを含んで形成され、前記枠体取付壁部が前記枠体の外枠に取り付けられると共に、前記屋根載置壁部が少なくとも前記屋根面材における前記屋根開口部より外側の部位に屋外側から載置されかつ固定されている枠体取付ブラケットと、
を有するトップライト構造に適用され、
予め前記枠体取付ブラケットと前記枠体とを結合する第1工程と、
建築地にて前記鉄骨梁に載置された前記屋根面材における前記屋根開口部内に、前記枠体を挿入する第2工程と、
前記枠体を前記屋根開口部内に挿入させることで前記屋根面材上に載置された前記枠体取付ブラケットの屋根載置壁部における前記屋根開口部より外側に対応した部位を前記屋根面材に固定する第3工程と、
を有するトップライト施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トップライト構造及びトップライト施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、トップライトの構造が開示されている。このトップライトの構造では、鉄骨梁の上面に載置された溝型受部材を介してトップライトの窓枠材が取り付けられている。溝形受部材と窓枠材との間には、パッキン材が設けられていることから、トップライトを設けた際の水密性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、耐火性能を向上させるためには、鉄骨梁に耐火被覆材を巻き付けて隙間なく被覆することが望ましい。これにより、熱が鉄骨梁に伝わることによる鉄骨梁の座屈を抑制して耐火性能を向上させることができる。しかしながら、上記特許文献1に開示された構成では、鉄骨梁の上面に溝形受部材を介してトップライトの窓枠材が取り付けられていることから、鉄骨梁の上面に耐火被覆材を巻き付けることができない。このため、鉄骨梁の上面には、溝形受部材から熱が伝わって座屈する可能性がある。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
【0005】
本発明は上記問題を考慮し、施工が容易となると共に耐火性能を向上させることができるトップライト構造及びトップライト施工方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るトップライト構造は、建物の躯体の一部を構成する鉄骨梁と、前記鉄骨梁に支持されると共に、耐火材により構成され、一部に前記建物の内部と外部とを連通する屋根開口部を有する屋根面材と、前記鉄骨梁を屋内側から被覆する耐火被覆材と、板状に形成されかつ面直方向視にて前記屋根面材の屋根開口部より大きく形成されていると共に、前記屋根面材の屋根開口部に対応した位置に屋外側から載置され、前記屋根開口部に対応した位置に厚さ方向にて貫通されかつ窓部材が設けられる板体開口部が形成されている下地板材と、を有している。
【0007】
第2の態様に係るトップライト構造は、第1の態様に係る発明において、前記下地板材には、前記屋根面材の屋根開口部内に納まる枠体が屋内側から取り付けられている。
【0008】
第3の態様に係るトップライト構造は、建物の躯体の一部を構成する鉄骨梁と、前記鉄骨梁に支持されると共に、耐火材により構成され、一部に前記建物の内部と外部とを連通する屋根開口部を有する屋根面材と、前記鉄骨梁を屋内側から被覆する耐火被覆材と、前記屋根面材の屋根開口部内に納まりかつ枠状に形成されると共に、窓部材が取り付けられた枠体と、枠体取付壁部と屋根載置壁部とを含んで形成され、前記枠体取付壁部が前記枠体の外枠に取り付けられると共に、前記屋根載置壁部が少なくとも前記屋根面材における前記屋根開口部より外側の部位に屋外側から載置されかつ固定されている枠体取付ブラケットと、を有している。
【0009】
第4の態様に係るトップライト構造は、第2又は第3の態様に係る発明において、前記枠体には、溝形鋼により構成されていると共に前記屋根面材の面直方向視にて前記屋根開口部の内側にウェブの外側面が面する開口縁部材が設けられている。
【0010】
第5の態様に係るトップライト施工方法は、第1~第4のいずれか1つの態様に係る発明において、前記鉄骨梁は、ウェブの厚さ方向が略水平方向とされたH形鋼により構成されており、当該鉄骨梁における上フランジの上面の一部にて前記屋根面材を支持すると共に、当該上フランジの上面の残りの部分が前記耐火被覆材により覆われている。
【0011】
第6の態様に係るトップライト施工方法は、建物の躯体の一部を構成する鉄骨梁と、前記鉄骨梁に支持されると共に、耐火材により構成され、一部に前記建物の内部と外部とを連通する屋根開口部を有する屋根面材と、前記鉄骨梁を屋内側から被覆する耐火被覆材と、板状に形成されかつ面直方向視にて前記屋根面材の屋根開口部より大きく形成されていると共に、前記屋根面材の屋根開口部に対応した位置に屋外側から載置され、前記屋根開口部に対応した位置に厚さ方向にて貫通されかつ窓部材が設けられる板体開口部が形成されている下地板材と、前記屋根面材の屋根開口部内に納まりかつ前記下地板材に屋内側から取り付けられている枠体と、を有するトップライト構造に適用され、予め前記下地板材と前記枠体とを結合する第1工程と、建築地にて前記鉄骨梁に載置された前記屋根面材における前記屋根開口部内に、前記枠体を挿入する第2工程と、前記枠体を前記屋根開口部内に挿入させることで前記屋根面材上に載置された前記下地板材における前記屋根開口部より外側の部位を前記屋根面材に固定する第3工程と、を有している。
【0012】
第7の態様に係るトップライト施工方法は、建物の躯体の一部を構成する鉄骨梁と、前記鉄骨梁に支持されると共に、耐火材により構成され、一部に前記建物の内部と外部とを連通する屋根開口部を有する屋根面材と、前記鉄骨梁を屋内側から被覆する耐火被覆材と、前記屋根面材の屋根開口部内に納まりかつ枠状に形成されると共に、窓部材が取り付けられた枠体と、枠体取付壁部と屋根載置壁部とを含んで形成され、前記枠体取付壁部が前記枠体の外枠に取り付けられると共に、前記屋根載置壁部が少なくとも前記屋根面材における前記屋根開口部より外側の部位に屋外側から載置されかつ固定されている枠体取付ブラケットと、を有するトップライト構造に適用され、予め前記枠体取付ブラケットと前記枠体とを結合する第1工程と、建築地にて前記鉄骨梁に載置された前記屋根面材における前記屋根開口部内に、前記枠体を挿入する第2工程と、前記枠体を前記屋根開口部内に挿入させることで前記屋根面材上に載置された前記枠体取付ブラケットの屋根載置壁部における前記屋根開口部より外側に対応した部位を前記屋根面材に固定する第3工程と、を有するトップライト施工方法。
【0013】
第1の態様によれば、トップライト構造は、鉄骨梁と、屋根面材と、耐火被覆材と、下地板材とを有している。鉄骨梁は、建物の躯体の一部を構成している。屋根面材は、耐火材により構成されていると共に鉄骨梁に支持されており、一部に建物の内部と外部とを連通する屋根開口部が設けられている。耐火被覆材は、鉄骨梁を屋内側から被覆している。下地板材は、板状に形成されかつ面直方向視にて屋根面材の屋根開口部より大きく形成されており、屋根面材の屋根開口部に対応した位置に屋外側から載置されている。また、下地板材には、屋根開口部に対応した位置に厚さ方向に貫通されかつ窓部材が取り付けられた板体開口部が形成されている。つまり、トップライトは、鉄骨梁ではなく屋根面材に載置される下地板材によって設けられており、鉄骨梁は、耐火材により構成された屋根面材と、屋内側からの耐火被覆材と、によって囲まれるため、火災時の鉄骨梁への熱の伝達を抑制することができる。
【0014】
第2の態様によれば、下地板材の屋内側には、枠体が設けられており、この枠体は、屋根面材の屋根開口部内に納まるように構成されている。したがって、下地板材が屋根面材から突出する量を抑制しながら下地板材の曲げ剛性を向上させることができる。これにより、下地板材の変形を抑制することができる。
【0015】
第3の態様によれば、トップライト構造は、鉄骨梁と、屋根面材と、耐火被覆材と、枠体と、枠体取付ブラケットとを有している。鉄骨梁は、建物の躯体の一部を構成している。屋根面材は、耐火材により構成されていると共に鉄骨梁に支持されており、一部に建物の内部と外部とを連通する屋根開口部が設けられている。耐火被覆材は、鉄骨梁を屋内側から被覆している。枠体は、屋根面材の屋根開口部内に納まる枠状に形成されると共に、窓部材が取り付けられている。枠体取付ブラケットは、枠体取付壁部と屋根載置壁部とを含んで形成されており、このうち枠体取付壁部は、枠体の外枠に取り付けられている。一方、屋根載置壁部は、少なくとも屋根面材における屋根開口部より外側の部位に屋外側から載置されかつ固定されている。したがって、枠体は、枠体取付ブラケットを介して屋根面材に固定されている。つまり、トップライトは、鉄骨梁ではなく屋根面材に固定された枠体によって設けられており、鉄骨梁は、耐火材により構成された屋根面材と、屋内側からの耐火被覆材と、によって囲まれるため、火災時の鉄骨梁への熱の伝達を抑制することができる。
【0016】
第4の態様によれば、枠体には、溝形鋼により構成された開口縁部材が設けられている。この開口縁部材は、屋根面材の面直方向視にて屋根開口部の内部にウェブの外側面が面している。したがって、屋根開口部に内装材を取り付ける際に、開口縁部材のウェブを内装材の取り付けのための下地として利用することができる。つまり、トップライトの内部に別途内装材を設けるための下地材が不要となる。これにより、コストを低減することができる。
【0017】
第5の態様によれば、鉄骨梁は、H形鋼により構成されており、このH形鋼のウェブの厚さ方向が略水平方向とされた向きにて配設されている。また、鉄骨梁は、上フランジの上面の一部にて屋根面材を支持すると共に、上フランジの上面の残りの部分が耐火被覆材により覆われている。したがって、屋根面材の屋根開口部の縁部を鉄骨梁により支持する場合において、屋根面材が載置されていない部位は耐火被覆材により覆われているため、火災時の鉄骨梁への熱の伝達を抑制することができる。これにより、耐火性能をより向上させることができる。
【0018】
第6の態様によれば、第1工程では、下地板材の屋内側の面に枠体が結合されると共に、第2工程では建築地にて鉄骨梁に載置された屋根面材における屋根開口部内に枠体が挿入される。つまり、建築地にて下地板材と枠体とを結合する必要がない。また、枠体を屋根開口部内に挿入させることで、下地板材も同時に屋根面材上に載置することができる。つまり、枠体を位置決めとして下地板材を屋根面材に載置することができる。そして、第3工程にて下地板材における屋根開口部より外側の部位を屋根面材に固定する。つまり、枠体は、下地板材を介して屋根面材に固定することができる。したがって、枠体と下地板材とをそれぞれ別に固定する作業が不要となる。これにより、建築地での施工期間を短くすることができる。
【0019】
第7の態様によれば、第1工程では、枠体に枠体取付ブラケットが結合されると共に、第2工程では、建築地にて鉄骨梁に載置された屋根面材における屋根開口部内に枠体が挿入される。したがって、枠体に取り付けられた枠体取付ブラケットの屋根載置壁部が屋根面材に載置される。そして、第3工程では、屋根面材に載置された枠体取付ブラケットの屋根載置壁部における屋根開口部より外側に対応した部位を屋根面材に固定する。つまり、建築地にて枠体と枠体取付ブラケットとを結合する必要がなく、また屋根開口部内に納められる枠体を、屋根面材の略面直方向にて枠体取付ブラケットを介して固定作業を行うことができるため、作業性を向上させることができる。これにより、建築地での施工期間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係るトップライト構造及びトップライト施工方法は、施工が容易となると共に耐火性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るトップライト構造を有する建物を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿って切断した状態を示す断面図である。
【
図3】
図2のZ部を拡大して示す拡大断面図である。
【
図4】
図1のB-B線に沿って切断した状態を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るトップライト構造の要部を示す分解斜視図である。
【
図6】(A)は第2実施形態に係るトップライト構造の枠体及び枠体取付ブラケットを屋根面材の面直方向にて見た状態を示す平面図であり、(B)は(A)のC-C線に沿って切断した状態を示す断面図である。
【
図7】第2実施形態に係るトップライト構造の要部を示す
図4に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図5を用いて、本発明に係るトップライト構造の一実施形態について説明する。
【0023】
(全体構成)
図1に示されるように、トップライト構造11を有する建物10は、図示しない基礎上に設けられた居室部12と、居室部12の建物上下方向上側に設けられる屋根部14とを有している。居室部12は、鉄骨梁13(
図2参照)と図示しない柱とで略箱状に形成された躯体に外壁パネル16が建物外側から取り付けられた構成とされている。以後の説明では、建物の桁方向をX方向、建物の妻方向をY方向、上下方向(高さ方向)をZ方向と称する。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する。X方向及びY方向は、上下方向と交差する横方向の一例である。
【0024】
(屋根構成)
屋根部14は、陸屋根の一部を片流れ屋根状にした所謂カットルーフとされており、陸屋根部15とカットルーフ部17とを有している。カットルーフ部17には、トップライト(天窓)18が設けられていると共に、
図2に示されるように、このカットルーフ部17は、屋根構造フレーム20と、屋根面部22とを有している。
【0025】
屋根構造フレーム20は、鉄骨梁としてのカットルーフ桁梁24及びカットルーフ梁26、28と、カットルーフ柱30、32(
図2参照)と、カットルーフ中間梁36と、を含んで構成されている。カットルーフ桁梁24は、カットルーフ部17のZ方向上側とZ方向下側とにそれぞれ建物10のX方向に沿って延設されており、
図2に示されるように、それぞれのカットルーフ桁梁24は、H形鋼により構成されている。なお、それぞれのカットルーフ桁梁24は、ウェブ24Aの厚さ方向が略水平方向となる向きにて配設されている。
【0026】
カットルーフ部17のZ方向下側に設けられたカットルーフ桁梁24は、居室部12の鉄骨梁13に取り付けられた建物外側のカットルーフ柱30の上部に取り付けられている。一方、カットルーフ部17のZ方向上側に設けられたカットルーフ桁梁24は、居室部12の鉄骨梁13に取り付けられた建物内側のカットルーフ柱32の上部に取り付けられている。
【0027】
図1に示されるように、カットルーフ梁26は、複数設けられかつカットルーフ部17のZ方向下側に設けられたカットルーフ桁梁24とカットルーフ部17のZ方向上側に設けられたカットルーフ桁梁24とを連結するように延設されており、それぞれのカットルーフ梁26が互いにX方向にて離間するように設けられている。具体的には、カットルーフ梁26は、H形鋼により構成されており、ウェブの厚さ方向が略水平方向となる向きにて配設されていると共に、長手方向の一端部がカットルーフ部17のZ方向下側に設けられたカットルーフ桁梁24に結合されかつ長手方向の他端部がカットルーフ部17のZ方向上側に設けられたカットルーフ桁梁24に結合されている。つまり、カットルーフ梁26は、建物内側へ向かうに連れてZ方向上側へ傾けられた状態で延設されている。
【0028】
カットルーフ梁28は、基本的にカットルーフ梁26と同様の構成とされており、カットルーフ部17におけるトップライト18に対応した位置に設けられかつ長手方向の略中間部が切り欠かれている点に特徴がある。すなわち、カットルーフ梁28は、
図2に示されるように、隣接するカットルーフ梁26と同様に、H形鋼により構成されかつウェブ28Aの厚さ方向が略水平方向となる向きにて、建物内側へ向かうに連れてZ方向上側へ傾けられた状態で延設されている。また、カットルーフ梁28における長手方向の略中間部のトップライト18に対応した部位は切り欠かれており、カットルーフ部17のZ方向下側に設けられたカットルーフ桁梁24に結合された部位と、カットルーフ部17のZ方向上側に設けられたカットルーフ桁梁24に結合された部位とに分かれた構成とされている。
【0029】
カットルーフ梁26、28は、それぞれ鉄骨梁としての複数のカットルーフ中間梁36によって互いに連結されている。このカットルーフ中間梁36は、それぞれ建物10のX方向に沿って延設されたH形鋼により構成されており、ウェブ36Aの厚さ方向がカットルーフ梁26、28の長手方向と略同一となる向きにて配置されている。なお、カットルーフ中間梁36は、トップライト18を挟んで一対設けられていると共に、上フランジ36Bの上面がカットルーフ梁26、28の上フランジ26B(
図1参照)、28Bにおける上面の略同一面上に配置されている。
【0030】
(屋根面部)
屋根面部22は、屋根構造フレーム20上に設けられており、屋根面材としてのALCパネル38と、桟木40と、野地板42と、屋根材44とを有している。ALCパネル38は、板状の軽量気泡コンクリートにより構成されている。つまり、ALCパネル38は、耐火材により構成されている。このALCパネル38は、屋根面部22の全体に範囲に亘ってカットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36のそれぞれの上フランジ26B、28B、36Bの上面に載置され固定されている。なお、ALCパネル38におけるトップライト18に対応した部位には、板厚方向に貫通された屋根開口部38Aが形成されている(
図5参照)。
【0031】
桟木40は、角柱状に形成されており、建物平面視にてX方向及びY方向に沿ってALCパネル38の上に複数載置されかつ互いに離間して配置されている。なお、屋根面部22におけるトップライト18に対応した位置には、後述する下地板材46上に載置されている(
図3、
図4参照)と共に、屋根開口部38Aに対応した部位には桟木40が設けられない構成とされている。
【0032】
野地板42は、合板により構成されており、屋根面部22の全体の範囲に亘って複数の桟木40上に載置されている。なお、野地板42におけるトップライト18に対応した部位には、板厚方向に貫通された貫通孔42Aが形成されている(
図3参照)。
【0033】
屋根材44は、野地板42上に載置されている。なお、野地板42と屋根材44との間には、図示しないルーフィングが敷設されている。また、屋根材44は、屋根面部22におけるトップライト18に対応した部位を避けて載置されている。
【0034】
(トップライト)
図3に示されるように、トップライト18は、下地板材46、枠体50、窓部材52及び内装材54を含んで構成されている。すなわち、
図5に示されるように、下地板材46は、一例として鋼板により構成されていると共に、板厚方向視にてALCパネル38の屋根開口部38Aより大きいサイズの矩形状に形成されている。下地板材46には、板厚方向に貫通された板体開口部46Aが形成されている。この板体開口部46Aは、屋根開口部38Aに対応した部位、すなわち下地板材46の面直方向視にて屋根開口部38Aと重なる位置に形成されていると共に、屋根開口部38Aより小さい矩形状に形成されている。
【0035】
枠体50は、屋根開口部38Aより小さいサイズの矩形枠状に形成されている。具体的には、枠体50は、外枠50Aと、開口縁部材としての内枠50Bと、を有している。外枠50Aは、上外枠部材50AA、下外枠部材50AB、側外枠部材50AC、50ADとで矩形枠状に形成されている。上外枠部材50AAは、X方向に延設されかつ高さ方向の寸法がALCパネル38の厚さの半分以下に設定された(
図3参照)溝形鋼により構成されており、溝部が下外枠部材50AB側へ開口する向きにて配置されている。
【0036】
下外枠部材50ABは、上外枠部材50AAと同様に、X方向に延設されかつ高さ方向の寸法がALCパネル38の厚さの半分以下に設定された(
図3参照)溝形鋼により構成されており、溝部が上外枠部材50AA側へ開口する向きにて配置されている。つまり、上外枠部材50AAと下外枠部材50ABとは、対向して設けられている。
【0037】
上外枠部材50AAの長手方向の両端部と、下外枠部材50ABの長手方向の両端部とは、それぞれ側外枠部材50AC、50ADによってカットルーフ梁28(
図2参照)の延設方向に沿って連結されている。側外枠部材50AC、50ADは、それぞれ高さ方向の寸法がALCパネル38の厚さの半分以下に設定された(
図4参照)溝形鋼により構成されており、溝部の開口が互いに向き合う向きにて配置されている。
【0038】
内枠50Bは、外枠50Aの枠内部に設けられていると共に、上内枠部材50BA、下内枠部材50BB、側内枠部材50BC、50BDとで矩形枠状に形成されている。上内枠部材50BAは、X方向に延設されかつ高さ方向の寸法がALCパネル38の厚さの半分以下に設定された(
図3参照)溝形鋼により構成されており、溝部が外枠50Aの上外枠部材50AA側へ開口する向きにて配置されている。つまり、上内枠部材50BAは、上内枠部材50BAのウェブ50BEの外側面が、ALCパネル38の面直方向視にて屋根開口部38Aの内側に面した向きに配置されている。なお、上内枠部材50BAの長手方向の両端部は、それぞれ外枠50Aの側外枠部材50AC、50ADの溝部内に挿入されかつ接合されている。
【0039】
下内枠部材50BBは、上内枠部材50BAと同様に、X方向に延設されかつ高さ方向の寸法がALCパネル38の厚さの半分以下に設定された(
図3参照)溝形鋼により構成されており、溝部が上内枠部材50BAと反対側へ開口する向きにて配置されている。つまり、下内枠部材50BBは、下内枠部材50BBのウェブ50BF(
図3参照)の外側面が、ALCパネル38の面直方向視にて屋根開口部38Aの内側に面した向きに配置されている。なお、下内枠部材50BBの長手方向の両端部は、それぞれ外枠50Aの側外枠部材50AC、50ADの溝部内に挿入されかつ接合されている。
【0040】
上内枠部材50BAの長手方向の両端部における外枠50Aの側外枠部材50AC、50ADより内側の部位と、下内枠部材50BBの長手方向の両端部における外枠50Aの側外枠部材50AC、50ADより内側の部位とは、それぞれ側内枠部材50BC、50BDによって連結されている。側内枠部材50BC、50BDは、それぞれ高さ方向の寸法がALCパネル38の厚さの半分以下に設定された(
図4参照)溝形鋼により構成されており、側内枠部材50BCは、溝部の開口が外枠50Aの側外枠部材50AC側に向き合う向きにて配置されている。また、側内枠部材50BDは、溝部の開口が外枠50Aの側外枠部材50AD側に向き合う向きにて配置されている。つまり、側内枠部材50BC、50BDは、側内枠部材50BC、50BDのウェブ50BG、50BH(
図4参照)の外側面が、ALCパネル38の面直方向視にて屋根開口部38Aの内側に面した向きに配置されている。
【0041】
以上の構成により、外枠50Aと内枠50Bとは、一体的に構成されており、この枠体50は、下地板材46の屋内側面に溶接されている。枠体50と一体とされた下地板材46は、屋根開口部38A内に枠体50が挿入された状態でALCパネル38上に屋外側から載置されると共に、下地板材46における屋根開口部38Aより外側の部位に形成された複数の貫通孔46Bと、この貫通孔46Bに対応してALCパネル38に形成された締結孔38Bとに図示しない締結具を挿通して締結することで、下地板材46及び枠体50はALCパネル38に固定されている。
【0042】
図3に示されるように、窓部材52は、下地板材46の板体開口部46Aに対応した位置に設けられている。この窓部材52は、ガラス58と、窓枠部60と、窓枠取付部62とを有しており、窓枠取付部62が屋根材44と野地板42との間に設けられかつ野地板42及び桟木40を介して下地板材46と枠体50とに図示しない締結具により締結されることで、屋根面部22に固定されている。
【0043】
内装材54は、窓部材52の窓枠部60から屋内側の天井材64の端部へ向けて延設された板材により構成されており、枠体50の内枠50Bのウェブ50BE、50BF、50BG、50BHにそれぞれ当接されたスペーサ55を介して固定されている。この内装材54は、板体開口部46A内の全周に亘って設けられており、これによってカットルーフ梁28や枠体50等が屋内外から直接目視できないようにされている。
【0044】
(耐火被覆材)
図4に示されるように、カットルーフ梁28には、耐火被覆材66が屋内側から被覆されている。この耐火被覆材66は、一例として、耐熱ロックウールを含んで構成されている。ここで、カットルーフ梁28は、上フランジ28Bの上面の一部(本実施形態では上フランジ28Bの上面の幅略中央からトップライト18と離間する方向の端部28BAまでの範囲)にてALCパネル38を支持していると共に、上フランジ28Bの上面の残りの部分(本実施形態では上フランジ28Bの上面の幅略中央からトップライト18と近接する方向の端部28BBの範囲)がALCパネル38の屋根開口部38Aより内側に位置している。そして、耐火被覆材66は、X方向の一端部66AがALCパネル38の屋内側面に取り付けられていると共に、X方向の他端部66Bがカットルーフ梁28の上フランジ28Bの上面の残りの部分に取り付けられている。なお、一端部66Aは、図示しないビスによりALCパネル38に隙間なく取り付けられており、他端部66Bは、ALCパネル38の屋根開口部38Aの端面38Cに隙間なく押し付けられた状態にて図示しない溶接ピンによりカットルーフ梁28にスタッド溶接される。
【0045】
なお、図示しないが、耐火被覆材66は、
図1に示されるように、カットルーフ中間梁36やカットルーフ梁26にもそれぞれ屋内側から被覆するように設けられている。カットルーフ梁26の場合、トップライト18に対応した位置に設けられていないため、上フランジ26B全体にてALCパネル38を支持している。この場合、耐火被覆材66は、X方向の一端部66Aと他端部66Bとの両方がALCパネル38の屋内側面に取り付けられている。
【0046】
次に、上述したトップライト18の施工方法について説明する。
【0047】
図5に示されるように、下地板材46は、予め工場にて枠体50と溶接により結合される。この下地板材46の屋内側面に枠体50が結合された状態で、工場から出荷される。なお、この工程が請求項1に記載の「第1工程」に相当する。
【0048】
次に、建物10(
図1参照)の建築地にて建設されるカットルーフ梁26、28、カットルーフ中間梁36等により構成された屋根構造フレーム20上にALCパネル38が載置されかつ固定される。このALCパネル38には、予め屋根開口部38Aが形成されており、この屋根開口部38A内に第1工程にて下地板材46に結合された枠体50を挿入するように屋外側から下地板材46をALCパネル38上に載置する。なお、この工程が請求項1に記載の「第2工程」に相当する。
【0049】
次に、ALCパネル38上に載置された下地板材46における屋根開口部38Aより外側の部位を、締結具45(
図3参照)によりALCパネル38に固定する。これにより、トップライト18をALCパネル38に支持された下地板材46および枠体50によって設けることができる。なお、この工程が請求項1に記載の「第3工程」に相当する。
【0050】
(第1実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0051】
本実施形態によれば、
図1に示されるように、トップライト構造11は、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36と、ALCパネル38と、耐火被覆材66と、下地板材46とを有している。カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36は、建物10の躯体の一部を構成している。ALCパネル38は、耐火材により構成されていると共にカットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36に支持されており、
図3に示されるように、一部に建物10の内部と外部とを連通する屋根開口部38Aが設けられている。耐火被覆材66は、
図4に示されるように、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36を屋内側から被覆している。下地板材46は、板状に形成されかつ面直方向視にてALCパネル38の屋根開口部38Aより大きく形成されており、ALCパネル38の屋根開口部38Aに対応した位置に屋外側から載置されている。また、下地板材46には、屋根開口部38Aに対応した位置に厚さ方向に貫通されかつ窓部材52が取り付けられた板体開口部46Aが形成されている。つまり、トップライト18は、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36ではなくALCパネル38に載置される下地板材46によって設けられており、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36は、耐火材により構成されたALCパネル38と、屋内側からの耐火被覆材66と、によって囲まれるため、火災時のカットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36への熱の伝達を抑制することができる。これにより、施工が容易となると共に耐火性能を向上させることができる。
【0052】
また、下地板材46の屋内側には、枠体50が設けられており、この枠体50は、ALCパネル38の屋根開口部38A内に納まるように構成されている。したがって、下地板材46がALCパネル38から突出する量を抑制しながら下地板材46の曲げ剛性を向上させることができる。これにより、下地板材46の変形を抑制することができる。
【0053】
さらに、枠体50には、溝形鋼により構成された内枠50Bが設けられている。この内枠50Bは、下地板材46の板体開口部46Aの外縁に対応した位置に延設されかつALCパネル38の面直方向視にて板体開口部46Aの内部にウェブ50BE、50BF、50BG、50BHのそれぞれの外側面が面している。したがって、下地板材46の板体開口部46Aに取り付けられた窓部材52に対応して内装材54を取り付ける際に、内枠50Bのウェブ50BE、50BF、50BG、50BHを内装材54の取り付けのための下地として利用することができる。つまり、トップライト18の内部に別途内装材54を設けるための下地材が不要となる。これにより、コストを低減することができる。
【0054】
さらにまた、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36は、H形鋼により構成されており、このH形鋼のウェブ28A、36A等(カットルーフ梁26のウェブは不図示)の厚さ方向が略水平方向とされた向きにて配設されている。また、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36は、上フランジ26B、28B、36Bの上面の一部にてALCパネル38を支持すると共に、上フランジ26B、28B、36Bの上面の残りの部分が耐火被覆材により覆われている。したがって、ALCパネル38の屋根開口部38Aの縁部をカットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36により支持する場合において、ALCパネル38が載置されていない部位は耐火被覆材により覆われているため、火災時のカットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36への熱の伝達を抑制することができる。これにより、耐火性能をより向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態のトップライト施工方法における第1工程では、下地板材46の屋内側の面に枠体50が結合されると共に、第2工程では建築地にてカットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36に載置されたALCパネル38における屋根開口部38A内に枠体50が挿入される。つまり、建築地にて下地板材46と枠体50とを結合する必要がない。また、枠体50を屋根開口部38A内に挿入させることで、下地板材46も同時にALCパネル38上に載置することができる。つまり、枠体50を位置決めとして下地板材46をALCパネル38に載置することができる。そして、第3工程にて下地板材46における屋根開口部38Aより外側の部位をALCパネル38に固定する。つまり、枠体50は、下地板材46を介してALCパネル38に固定することができる。したがって、枠体50と下地板材46とをそれぞれ別に固定する作業が不要となる。これにより、建築地での施工期間を短くすることができる。
【0056】
さらに、トップライト18は、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36ではなくALCパネル38に載置される下地板材46によって設けられていることから、下地板材46のALCパネル38に対する載置位置を変更することでトップライト18の位置の調整や変更を行うことができる。つまり、トップライト18の位置の調整や変更が容易となる。
【0057】
さらにまた、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36を耐火被覆材66で覆う部位と、窓部材52が設けられる下地板材46及び枠体50等は、それぞれ別の納まりの領域に分けられるため、それぞれの領域で求められる性能(耐火性能や水密性能等)を満たすための構成をとり易くなり、品質を向上させることができる。
【0058】
なお、本実施形態では、下地板材46に枠体50が結合された構成とされているが、これに限らず、下地板材46の板体開口部46Aを形成する際に不要となる部位を折り曲げて枠状に形成することで下地板材46と枠体50とを一体に構成してもよい。
【0059】
(第2実施形態)
次に、
図6、
図7を用いて、本発明の第2実施形態に係るトップライト構造について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0060】
この第2実施形態に係るトップライト構造80は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、トップライト82の枠体50が枠体取付ブラケット84を介してALCパネル38に固定されている点に特徴がある。
【0061】
すなわち、
図6(A)に示されるように、枠体50には、複数の枠体取付ブラケット84が取り付けられている。この枠体取付ブラケット84は、鋼板製とされた枠体取付壁部84A(
図6(B)参照)と、鋼板製とされた屋根載置壁部84Bとで断面がL字状に形成されている。
【0062】
枠体取付壁部84Aは、板厚方向が枠体50の外枠50Aにおけるウェブ24Aの板厚方向と同一とされており、この外枠50Aのウェブ24Aの外側面に図示しない締結具を介して結合されている。
【0063】
屋根載置壁部84Bは、板厚方向が枠体50の外枠50Aの上フランジ50Fの板厚方向と同一とされており、屋根載置壁部84Bの上面が外枠50Aの上フランジ50Fの上面と同一面上に位置している(
図6(B)参照)。以上の構成の枠体取付ブラケット84は、枠体50の外枠50Aにおける上外枠部材50AA、下外枠部材50AB、側外枠部材50AC、50ADの長手方向両端部のウェブ外側面にそれぞれ取り付けられている。つまり、枠体50の各辺に2つずつ設けられている。
【0064】
図7に示されるように、屋根開口部38A内に枠体50が挿入された状態では、ALCパネル38上に枠体取付ブラケット84の屋根載置壁部84Bが載置されると共に、屋根載置壁部84Bにおける屋根開口部38Aより外側の部位に形成された図示しない複数の貫通孔と、この貫通孔に対応してALCパネル38に形成された締結孔38B(
図5参照)とに締結具45を挿通して締結することで、枠体50は枠体取付ブラケット84を介してALCパネル38に固定されている。
【0065】
次に、上述したトップライト82の施工方法について説明する。
【0066】
図6に示される枠体50は、予め工場にて複数の枠体取付ブラケット84と結合される。この枠体50に枠体取付ブラケット84が結合された状態で、工場から出荷される。なお、この工程が請求項7に記載の「第1工程」に相当する。
【0067】
次に、建物10の建築地にて建設されるカットルーフ梁26、28、カットルーフ中間梁36等により構成された屋根構造フレーム20上にALCパネル38が載置されかつ固定される(
図1参照)。ALCパネル38には、
図7に示されるように、予め屋根開口部38Aが形成されており、この屋根開口部38A内に枠体50を挿入するように屋外側から枠体取付ブラケット84の屋根載置壁部84BをALCパネル38上に載置する。なお、この工程が請求項7に記載の「第2工程」に相当する。
【0068】
次に、ALCパネル38上に載置された枠体取付ブラケット84の屋根載置壁部84Bの屋根開口部38Aより外側の部位を、締結具45によりALCパネル38に固定する。これにより、ALCパネル38に支持された枠体50に窓部材52を取り付けることで、トップライト82を設けることができる。なお、この工程が請求項7に記載の「第3工程」に相当する。
【0069】
(第2実施形態の作用・効果)
次に、第2実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0070】
上記構成によっても、トップライト82の枠体50が枠体取付ブラケット84を介してALCパネル38に固定されている点以外は第1実施形態のトップライト構造11と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、トップライト構造80は、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36と、ALCパネル38と、耐火被覆材66と、枠体50と、枠体取付ブラケット84とを有している。カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36は、建物10の躯体の一部を構成している。ALCパネル38は、耐火材により構成されていると共にカットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36に支持されており、一部に建物10の内部と外部とを連通する屋根開口部38Aが設けられている。耐火被覆材66は、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36を屋内側から被覆している。枠体50は、ALCパネル38の屋根開口部38A内に納まる枠状に形成されると共に、窓部材52が取り付けられている。枠体取付ブラケット84は、枠体取付壁部84Aと屋根載置壁部84Bとで断面がL字状に形成されており、このうち枠体取付壁部84Aは、枠体50の外枠50Aに取り付けられている。一方、屋根載置壁部84Bは、ALCパネル38における屋根開口部38Aより外側の部位に屋外側から載置されかつ固定されている。したがって、枠体50は、枠体取付ブラケット84を介してALCパネル38に固定されている。つまり、トップライト18は、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36ではなくALCパネル38に固定された枠体50によって設けられており、カットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36は、耐火材により構成されたALCパネル38と、屋内側からの耐火被覆材66と、によって囲まれるため、火災時のカットルーフ梁26、28及びカットルーフ中間梁36への熱の伝達を抑制することができる。これにより、施工が容易となると共に耐火性能を向上させることができる。
【0071】
また、枠体50をALCパネル38に固定する枠体取付ブラケット84は、枠体50の各辺に2つずつ設けられている。つまり、枠体50の全周に亘って設けられる第1実施形態の下地板材46と比べて、重量及びコストを抑えることができる。
【0072】
なお、上述した枠体取付ブラケット84は、枠体取付壁部84Aと屋根載置壁部84Bとで断面がL字状に形成されているが、これに限らず、屋根載置壁部84BがALCパネル38の上面から枠体50の上面に亘って設けられることで、枠体取付ブラケットの断面形状が略T字状に形成されてもよいし、それ以外の形状に形成されてもよい。
【0073】
また、内枠50Bは、矩形枠状に形成されているが、これに限らず、一対のH形鋼を外枠50Aに結合することでいわば梯子状に形成してもよい。
【0074】
さらに、枠体50は、外枠50Aが溝形鋼により構成されているが、これに限らず、アングル材やその他の長尺状部材により構成されてもよい。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
11 トップライト構造
26 カットルーフ梁(鉄骨梁)
26B 上フランジ
28 カットルーフ梁(鉄骨梁)
28A ウェブ
28B 上フランジ
36 カットルーフ中間梁(鉄骨梁)
36A ウェブ
36B 上フランジ
38 ALCパネル(屋根面材)
38A 屋根開口部
46 下地板材
46A 板体開口部
50 枠体
50A 外枠
50B 内枠
50BE ウェブ
50BF ウェブ
50BG ウェブ
50BH ウェブ
52 窓部材
66 耐火被覆材
80 トップライト構造
84 枠体取付ブラケット
84A 枠体取付壁部
84B 屋根載置壁部