(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】自動運転システム用のインテリジェント倉庫保管技術
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20221025BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20221025BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
G05D1/02 K
(21)【出願番号】P 2021080814
(22)【出願日】2021-05-12
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】202010496306.6
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519232057
【氏名又は名称】霊動科技(北京)有限公司
【氏名又は名称原語表記】LINGDONG TECHNOLOGY (BEIJING) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】C4, Beijing Shangde Intelligent Manufacturing Industrial Park,No.10 Jiancaicheg East Road, Xisanqi, Haidian District, Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】斉 欧
(72)【発明者】
【氏名】張 広鵬
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-508087(JP,A)
【文献】特表2020-504679(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109573438(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1地面標示を含む倉庫保管システムであって、
前記第1地面標示は、倉庫の地面に配置され、少なくとも、倉庫位置識別番号を表す機械可読特徴を含み、前記機械可読特徴は、1つ又は複数の水平線及び1つ又は複数の垂直線を含み、
前記1つ又は複数の水平線は、等間隔で平行に配列され、前記1つ又は複数の水平線の総数は、前記倉庫位置識別番号の第1情報に対応し、
前記1つ又は複数の垂直線は、等間隔で平行に配列され、前記1つ又は複数の垂直線の総数は、前記倉庫位置識別番号を表す第2情報に対応し、前記第2情報は前記第1情報とは異なり、
前記機械可読特徴は、自動運転システムの1つ又は複数のカメラによって認識可能であり、前記自動運転システムは、前記倉庫位置識別番号に基づいて倉庫マップでその位置を確定するように操作可能である、ことを特徴とする倉庫保管システム。
【請求項2】
第2地面標示をさらに含み、
前記第2地面標示は、前記倉庫の地面に沿って配置され、前記1つ又は複数のカメラによって認識可能であり、前記第2地面標示は少なくとも第1線分を含み、前記第1線分は、第1等間隔で分布する任意の数の交互ストライプを有し、
前記自動運転システムは、前記第1等間隔及び
基準点として種々の点に設定可能な参照点からの前記自動運転システムの行進距離に基づいて、マップ上のその位置を決定するように操作可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の倉庫保管システム。
【請求項3】
前記第2地面標示は第2線分をさらに含み、前記第2線分は、第2等間隔で分布する任意の数の交互ストライプを有し、前記第2等間隔は前記第1等間隔とは異なる、ことを特徴とする請求項2に記載の倉庫保管システム。
【請求項4】
前記第1等間隔は、前記第1線分から前記参照点までの前記自動運転システムの推定距離を表す第1値を有し、前記第2等間隔は、第2線分から前記参照点までの前記自動運転システムの推定距離を表す第2値を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の倉庫保管システム。
【請求項5】
前記第1等間隔は、前記地面を走行する前記自動運転システムの第1制限速度を表し、前記第2等間隔は、前記地面を走行する前記自動運転システムの第2制限速度を表し、第1制限速度と第2制限速度は異なる、ことを特徴とする請求項3に記載の倉庫保管システム。
【請求項6】
前記第1等間隔は、交差道路を横断する前記自動運転システムの第1優先通行権を表し、前記第2等間隔は、交差道路を横断する前記自動運転システムの第2優先通行権を表し、第1優先通行権は第2優先通行権より高い、ことを特徴とする請求項3に記載の倉庫保管システム。
【請求項7】
前記第1等間隔は、前記自動運転システムと前記第1線分に隣接する第1倉庫ラックとの間に必要な第1安全距離を表し、第2等間隔は、前記自動運転システムと前記第2線分に隣接する前記第1倉庫ラックとの間に必要な第2安全距離を表し、前記第1安全距離と前記第2安全距離は異なる、ことを特徴とする請求項3に記載の倉庫保管システム。
【請求項8】
第3地面標示と、第4地面標示とをさらに含み、
前記第3地面標示は、前記倉庫地面に沿って配置され、第2倉庫ラックに沿って分布する破線を含み、前記第2倉庫ラックは、前記第3地面標示に隣接して前記第1倉庫ラックに対向するように配置され、
前記第4地面標示は、前記倉庫地面に沿って配置され、第1実線を含み、前記第1実線は、前記第2倉庫ラックから第1距離に配置され、前記第3地面標示と第4地面標示は、異なる倉庫位置識別番号を表すように配置される、ことを特徴とする請求項7に記載の倉庫保管システム。
【請求項9】
前記第4地面標示は第2実線をさらに含み、
前記第2実線は、前記第2倉庫ラックから
第2距離に配置され、前記第1距離は第2距離よりも大きく、前記第3地面標示と前記第4地面標示の第1実線との間の領域は、前記自動運転システムのパーキング領域を表し、
前記第2地面標示と前記第4地面標示との間の領域は、自動運転システムの作業領域を表す、ことを特徴とする請求項8に記載の倉庫保管システム。
【請求項10】
機械可読ラベルをさらに含み、
前記機械可読ラベルは、前記倉庫の前記第1倉庫ラック及び前記第2倉庫ラックに配置され、前記機械可読ラベルは、二次元マトリクスコード、バーコード又は光学ラベルである、ことを特徴とする請求項8に記載の倉庫保管システム。
【請求項11】
自動運転システムであって、少なくとも、
1つ又は複数の電動車輪を有する移動ベースと、
移動ベースの上方に配置され、前記移動ベースに結合された平板と、
前記平板上に配置された1つ又は複数のカメラと、
コントローラと、を含み、
前記コントローラは、
前記1つ又は複数のカメラの視野を施設の地面上に投影し、
前記視野に表れた第1地面標示に基づいて、施設マップにおける前記自動運転システムの位置を判定し、
前記自動運転システムを判定された位置から目的地にナビゲートするように操作され
、
前記第1地面標示は、少なくとも、施設位置識別番号を表す機械可読特徴を含み、前記機械可読特徴は、1つ又は複数の水平線と、1つ又は複数の垂直線とを含み、
前記1つ又は複数の水平線は、等間隔で平行に配列され、前記1つ又は複数の水平線の総数は、倉庫位置識別番号の第1情報に対応し、
前記1つ又は複数の垂直線は、等間隔で平行に配列され、前記1つ又は複数の垂直線の総数は、前記倉庫位置識別番号を表す第2情報に対応し、前記第2情報は前記第1情報とは異なる、ことを特徴とする自動運転システム。
【請求項12】
自動運転システムであって、少なくとも、
1つ又は複数の電動車輪を有する移動ベースと、
移動ベースの上方に配置され、前記移動ベースに結合された平板と、
前記平板上に配置された1つ又は複数のカメラと、
コントローラと、を含み、
前記コントローラは、
前記1つ又は複数のカメラの視野を施設の地面上に投影し、
前記視野に表れた第1地面標示に基づいて、施設マップにおける前記自動運転システムの位置を判定し、
前記自動運転システムを判定された位置から目的地にナビゲートするように操作され、
前記平板は、第1支持枠及び第2支持枠によって前記移動ベースに結合され、前記第1支持枠と前記第2支持枠は、前記移動ベースの反対端に直立して平行に配置される、ことを特徴とする自動運転システム。
【請求項13】
前記1つ又は複数のカメラは、第1カメラと、第2カメラとを含み、
前記第1カメラは、前記平板の第1側に配置され、前記第1カメラが向いている方向により、前記第1カメラの光軸が、前記第1カメラから投影された視野を有する前記地面と交差し、
前記第2カメラは、前記平板の第2側に配置され、前記第2カメラが向いている方向により、前記第2カメラの光軸が、前記第2カメラから投影された視野を有する前記地面と交差する、ことを特徴とする請求項
12に記載の自動運転システム。
【請求項14】
前記1つ又は複数のカメラは、第3カメラと、第4カメラとをさらに含み、
前記第3カメラは、前記第1支持枠に配置され、前記第3カメラが向いている方向により、前記第3カメラの光軸が、前記第3カメラから投影された視野を有する前記地面と交差し、
前記第4カメラは、前記第2支持枠に配置され、前記第
4カメラが向いている方向により、前記第4カメラの光軸が、前記第4カメラから投影された視野を有する前記地面と交差する、ことを特徴とする請求項
13に記載の自動運転システム。
【請求項15】
自動運転システムであって、少なくとも、
1つ又は複数の電動車輪を有する移動ベースと、
移動ベースの上方に配置され、前記移動ベースに結合された平板と、
前記平板上に配置された1つ又は複数のカメラと、
コントローラと、を含み、
前記コントローラは、
前記1つ又は複数のカメラの視野を施設の地面上に投影し、
前記視野に表れた第1地面標示に基づいて、施設マップにおける前記自動運転システムの位置を判定し、
前記自動運転システムを判定された位置から目的地にナビゲートするように操作され、
前記地面は、第2地面標示をさらに含み、
前記第2地面標示は、前記施設の地面に沿って配置され、前記1つ又は複数のカメラによって認識可能であり、前記第2地面標示は少なくとも第1線分と、第2線分とを含み、
前記第1線分は、第1等間隔で分布する任意の数の交互ストライプを有し、前記自動運転システムは、前記第1等間隔及び参照点からの前記自動運転システムの行進距離に基づいて、マップ上のその位置を決定するように操作可能であり、
前記第2線分は、第2等間隔で分布する任意の数の交互ストライプを有し、前記第2等間隔は前記第1等間隔とは異なる、ことを特徴とする自動運転システム。
【請求項16】
前記自動運転システムは、前記移動ベースの上面の中心から前記平板の底部に上方に延びる支持枠をさらに含む、ことを特徴とする請求項11~15のいずれか1項に記載の自動運転システム。
【請求項17】
倉庫内で自動運転システムを位置決めする方法であって、
自動運転システムの1つ又は複数のカメラを使用して、倉庫地面上に施した第1地面標示の情報を識別するステップであって、前記第1地面標示は、倉庫位置識別番号を含む機械可読特徴を含み、前記機械可読特徴は、前記倉庫位置識別番号の第1情報に対応する総数を有する、等間隔で平行に配列された1つ又は複数の水平線と、前記倉庫位置識別番号の第2情報に対応する総数を有する、等間隔で平行に配列された1つ又は複数の垂直線と、を含み、前記第2情報は前記第1情報とは異なるステップと、
前記第1地面標示の情報が、倉庫マップ上で前記自動運転システムの現在位置を見つけるのに十分であるか否かを判断するステップと、
現在位置から目的地に前記自動運転システムをナビゲートするステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
自動運転システムの1つ又は複数のカメラを使用して、前記倉庫地面上に施した第2地面標示、第3地面標示、及び第4地面標示の情報を識別するステップであって、前記第2地面標示は線分を含み、前記線分は、等間隔で分布する任意の数の交互ストライプを有し、前記第2地面標示は、参照点からの前記自動運転システムの行進距離に関する情報を提供し、前記第3地面標示は、前記倉庫の倉庫ラックに沿って分布する破線を含み、前記第3地面標示は、倉庫通路の境界を表し、前記第4地面標示は、前記倉庫ラックから第1距離にある第1実線と、倉庫ラックから第2距離にある第2実線とを含み、前記第1距離は前記第2距離よりも大きく、前記第3地面標示と前記第4地面標示の前記第1実線との間の領域は、前記自動運転システムのパーキング領域を表し、前記第2地面標示と前記第4地面標示の間の領域は、前記自動運転システムの作業領域を表すステップと、
前記第2、前記第3及び前記第4地面標示からの情報が、倉庫マップ上で前記自動運転システムの現在位置を見つけるのに十分であるか否かを判断するステップと、を含むことを特徴とする請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている実施例は、自動運転システム用のインテリジェント倉庫保管技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自律移動ロボット(Autonomous Mobile Robots)や無人搬送車(Automatic Guided Vehicle)などの自動運転システムは、長距離にわたって負荷を輸送できる、ドライバーレスでプログラム可能な制御システムである。
【0003】
全地球測位システム(GPS)技術はこれまで、屋外での自動運転システムの位置決めにおいて信頼性がある。しかしながら、GPS衛星から送信された信号は、建物の屋根や壁を効果的に通過することができないため、室内環境(例えば、倉庫)でGPS信号を使用した自動運転システムの位置決め及び誘導は理想的でない。自動運転システムには通常、周囲環境のセンサー情報を収集するカメラが設けられるが、カメラの物理的な制限により、マップ上の自動運転システムの位置を見つけるためにコンピュータ視覚だけに頼ることは依然として困難である。特にカメラにとって、倉庫内のすべての通路は同じように見える。
【0004】
従って、業界は、前述の問題を改善することができ、自動運転システムに適したインテリジェント倉庫保管技術を必要とする。
【発明の概要】
【0005】
本明細書の実施例は倉庫保管システムに関する。一実施例では、倉庫保管システムは、倉庫地面上に配置された第1地面標示を含む。この第1地面標示は、少なくとも、倉庫位置識別番号を表す機械可読特徴を含む。機械可読特徴は、1つ又は複数の水平線及び1つ又は複数の垂直線を含む。1つ又は複数の水平線は、等間隔で平行に配列され、1つ又は複数の水平線の総数は、倉庫位置識別番号の第1情報に対応する。1つ又は複数の垂直線は、等間隔で平行に配列され、1つ又は複数の垂直線の総数は、倉庫位置識別番号を表す第2情報に対応する。第2情報は第1情報とは異なる。機械可読特徴は、自動運転システムの1つ又は複数のカメラによって認識可能であり、自動運転システムは、倉庫位置識別番号に基づいて倉庫マップでその位置を確定するように操作可能である。
【0006】
別の実施例では、自動運転システムを提供する。この自動運転システムは、少なくとも、1つ又は複数の電動車輪を有する移動ベースと、移動ベースの上方に配置されて移動ベースに結合された平板と、平板上に配置された1つ又は複数のカメラと、コントローラとを含む。コントローラは、1つ又は複数のカメラの視野を施設の地面上に投影し、視野に表れた第1地面標示に基づいて、施設マップにおける自動運転システムの位置を判定し、自動運転システムを判定された位置から目的地にナビゲートするように操作可能である。
【0007】
別の実施例では、倉庫内で自動運転システムを位置決めする方法を提供する。この方法は、自動運転システムの1つ又は複数のカメラを使用して、倉庫地面上に施した第1地面標示の情報を識別するステップ含む。第1地面標示は、倉庫位置識別番号を含む機械可読特徴を含む。機械可読特徴は、倉庫位置識別番号の第1情報に対応する総数を有する、等間隔で平行に配列された1つ又は複数の水平線と、倉庫位置識別番号の第2情報に対応する総数を有する、等間隔で平行に配列された1つ又は複数の垂直線とを含む。第2情報は第1情報とは異なる。この方法は、第1地面標示の情報が、倉庫マップ上で前記自動運転システムの現在位置を見つけるのに十分であるか否かを判断するステップと、現在位置から目的地に自動運転システムをナビゲートするステップと、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書の一実施例に係る自動運転システムの立体図の一例である。
【
図2】本明細書の実施例に係る
図1の自動運転システムの一部を示す図の一例である。
【
図3】本明細書の実施例に係る
図1の自動運転システムの一部を示す図の他の一例である。
【
図4】本明細書の実施例に係る自動運転システムとインテリジェント倉庫保管システムの相互作用の模式図の一例である。
【
図5】本明細書の一実施例に従って、自動運転システムのためのカメラ傾斜角を計算することを示す図の一例である。
【
図6A】本明細書の実施例に係る第1地面標示の一例を示す図の一例である。
【
図6B】本明細書の実施例に係る第1地面標示の他の一例を示す図の一例である。
【
図7A】本明細書の一実施例に係る第2地面標示の一例を示す図の一例である。
【
図7B】本明細書の一実施例に係る第2地面標示の他の一例を示す図の一例である。
【
図7C】本明細書の一実施例に係る第2地面標示のさらに他の一例を示す図の一例である。
【
図8】本明細書の一実施例に係る第3地面標示の例である。
【
図9】本明細書の一実施例に係る第4地面標示の例である。
【
図10A】本明細書の一実施例に係る第3及び第4地面標示の幾つかの可能な組み合わせを示す図の一例である。
【
図10B】本明細書の一実施例に係る第3及び第4地面標示の幾つかの可能な組み合わせを示す図の一例である。
【
図10C】本明細書の一実施例に係る第3及び第4地面標示の幾つかの可能な組み合わせを示す図の一例である。
【
図10D】本明細書の一実施例に係る第3及び第4地面標示の幾つかの可能な組み合わせを示す図の一例である。
【
図10E】本明細書の一実施例に係る第3及び第4地面標示の幾つかの可能な代替案を示す図の一例である。
【
図10F】本明細書の一実施例に係る第3及び第4地面標示の幾つかの可能な代替案を示す図の一例である。
【
図10G】本明細書の一実施例に係る第3及び第4地面標示の幾つかの可能な代替案を示す図の一例である。
【
図11】本明細書の一実施例に係る、インテリジェント倉庫保管システムを採用する倉庫の模式図の一例である。
【
図12】本明細書の一実施例に係る自動運転システムによって実行できる例示的なフローチャートの一例である。
【
図13】本明細書の様々な実施例を実行するために使用できる自動運転システムの模式図の一例である。 理解を容易にするために、図面中の同じ構成要素は、可能な限り同じ参照番号で表される。実施例で開示される構成要素はすべて、特別な説明を要することなく他の実施例で使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書の実施例は、自動運転システム用のインテリジェント倉庫保管技術に関する。本明細書では「自動運転システム」という用語を使用しているが、本明細書の様々な実施例の概念は、自律ナビゲート移動ロボット、慣性誘導(inertially-guided)ロボット、遠隔操作移動ロボット、及びレーザー照準、ビジョンシステム、又はルートマップによって誘導されるロボットなど、任意の自動運転車両及び移動ロボットに適用することができる。様々な実施例については、以下の
図1~13で詳細に説明する。
【0010】
図1は、本明細書の一実施例に係る自動運転システム100の立体図の一例である。自動運転システムは、様々な操作システム(倉庫、病院、空港、及び自動パッケージ輸送を使用できるその他の環境など)でパッケージキャリアとして使用することができる。自動運転システム100は通常、移動ベース102と、貨物を支持するために移動ベース102の上方に配置された平板106とを含む。移動ベース102の対向する両端には、直立して互いに平行な支持枠108、110が設けられる。支持枠108、110は、移動ベース102の上面104から平板106の縁部に延びる。平板106は、移動ベース102に取り外し可能に接続される。平板106の高さは、顧客の保管要件に従って調整することができる。例えば、支持枠108、110の高さを増減することによって、又は平板106を支持枠108、110の異なる高さの位置に固定することによって、平板106の高さを調整する。幾つかの実施例では、移動ベース102は、移動ベース102内の1つ又は複数のアクチュエータ(図示せず)を使用して、垂直に上下に移動することができる。
【0011】
自動運転システム100は、施設(例えば、倉庫)内の指定された領域の間を自律的に移動するように誘導され得る。自動運転システム100は、1つ又は複数の電動車輪110及び複数の安定車輪112によって移動する。各電動車輪110は、自動運転システム100を移動させるために任意の特定の方向に回転及び/又は転がることができるように構成される。例えば、電動車輪110は、Z軸の周りを回転し、地面上でその主軸の周りを任意の方向に沿って(例えば、X軸に沿って又はY軸に沿って)前方又は後方に転がることができる。電動車輪110はまた、異なる速度で転がることができる。安定車輪112は、キャスタータイプ(caster-type)のホイールであり得る。幾つかの実施例では、安定車輪のいずれか又はすべてを電動化することができる。
【0012】
自動運転システム100が充電ステーション(図示せず)にドッキングされたときに自動運転システム100を自動的に充電するために、移動ベース102の前端又は後端に充電パッド125を提供することができる。
【0013】
自動運転システム100は、1つ又は複数の緊急ボタン127a、127bを有する。緊急ボタンを押すと、移動中の自動運転システムを停止させることができる。緊急ボタン127a、127b (図及び3においてより明確に見える)は、移動ベース102又は制御パネル104に配置され得る。一時停止/再開ボタン147は、移動ベース102のいずれかの側又は簡単にアクセスする任意の位置に配置され得る。
【0014】
自動運転システム100は、複数のカメラを含む。カメラは、自動運転システム100がインテリジェント倉庫保管システムの地面標示及び/又は機械可読ラベルを認識することを支援するように配置することができる。これらは、
図4~11にさらに説明される。カメラは、自動運転システム100の周囲の周りに外側に向かって配置することができる。一実施例では、支持枠108の上方にフロントカメラ114aが配置され得る(
図1参照)。フロントカメラ114aは、インテリジェント倉庫保管システムと相互作用するため、及び/又は他の低い物体(例えば、パレット)を見るために、前方及び下方(例えば前下方)を向いている。一実施例では、フロントカメラ114aは、114b方向を向いて、支持枠108の長さ方向に平行な仮想軸との間で、ある角度(例えば、20~80度)を形成する。同様に、支持枠110の上方にリアカメラ115aが配置され得る (
図2及び3においてより明確に示される)。リアカメラ115aは、インテリジェント倉庫保管システムと相互作用するため、かつ/又は他の低い物体を見るために、後方及び下方(例えば、後下方)を向いている。リアカメラ115aは、115b方向を向いて、支持枠110の長さ方向に平行な仮想軸との間で、ある角度(例えば、20~80度)を形成する。
【0015】
インテリジェント倉庫保管システムと相互作用するため、かつ/又は他の低い物体を見るために、平板106の2つの反対側の長さ方向にサイドカメラ124a、126aがそれぞれ配置される。サイドカメラ124a、126aは、自動運転システム100の外側を向いている。一例では、サイドカメラ124aは、124b方向を向いて、支持枠108、110の長さ方向に平行な仮想軸との間で、ある角度(例えば、20~80度)を形成する。同様に、サイドカメラ126aは、126b方向を向いて、支持枠108、110の長さ方向に平行な仮想軸との間で、ある角度(例えば、20~80度)を形成する。
【0016】
フロントカメラ1114a、リアカメラ115a、及びサイドカメラ124a、126aは、単眼カメラ、双眼カメラ、立体カメラ、汎用カメラ、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。インテリジェント倉庫保管システムとの相互作用に加えて、カメラ114a、115a、124a、126aはまた、物体の画像又はビデオをキャプチャするために使用され得る。物体は、機械可読情報を含む標示、バーコード、又は二次元マトリクスコード(QR Code)であってもよく、情報は、この物体の位置に関連する。幾つかの実施例では、カメラ114a、115a、124a、126aは、操作員の画像又はビデオをキャプチャするために使用することさえできる。いずれの場合も、カメラ114a、115a、124a、126aによって取得された情報は、自動運転システム100におけるコントローラ160によって計算されて、マップ上の自動運転システムの位置を判断するために使用される。自動運転システム100の位置を決定した後、自動運転システム100は、リモートサーバ(例えば、倉庫管理システム)から注文情報/タスク指示を取得し、ナビゲーションを行うことができる。
【0017】
自動運転システム100は、1つ又は複数のマシンビジョンカメラをさらに含み得る。幾つかの実施例では、マシンビジョンカメラ128a、128bのセットは、移動ベース102の前側及び/又は後側に配置され得る。マシンビジョンカメラ128a、128bは、自動運転システム100の外側を向いて、操作員の特徴を認識する。特徴は、操作員の顔の特徴、操作員の外形、操作員の骨格構造、操作員のポーズ/ジェスチャー、操作員の衣服、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。マシンビジョンカメラ128a、128bは、操作員の全身の画像(又はビデオ)をキャプチャし、前述の特徴を使用して、任意の方向に操作員に従う。例として使用できるマシンビジョンカメラは、RGB-D(赤緑青+深さ)カメラ、飛行時間技術を使用するカメラ、単眼カメラ、双眼カメラ、立体カメラ、汎用カメラ、又はそれらの任意の組み合わせのカメラを含むが、これらに限定されない。
【0018】
障害物を回避するために、移動ベース102に1つ又は複数の距離センサー130a、130b (距離センサー130bは
図3により明確に示されている)を配置することができる。距離センサー130a、130bは、光検出及び測距(LiDAR)センサー、ソナーセンサー、超音波センサー、赤外線センサー、レーダーセンサー、光とレーザーを使用するセンサー、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。本明細書の複数の実施例では、距離センサー130a、130bは、光検出及び測距センサーである。
【0019】
距離センサー130a、130bは、移動ベース102のカットアウト148に置くことができる。カットアウト148は、移動ベース102の周囲の周りに内側に延びることができる。一実施例では、距離センサー130a、130bは、移動ベース102の斜めの対角に配置される。各距離センサーは、90度を超える、例えば約270度の視野を感知することができるので、延在しているカットアウト148は、自動運転システム100の距離センサー130a、130bに対してより大きな感知領域を提供することができる。必要に応じて、移動ベース102の4つのコーナーに距離センサーを配置することができる。
【0020】
本明細書の様々な実施例は、自動運転システム100のコントローラ160によってマップ上のその位置を判断することができる。コントローラ160は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。プロセッサは、プログラム可能な中央処理装置(CPU)又はメモリと一緒に操作できる任意の適切な装置であり得る。コントローラ160は、コンピュータ実行可能なプログラムコードで動作し、カメラによって識別された情報を使用して自動運転システム100の電動車輪の移動を制御して、本明細書に記載の実施例の様々な機能/操作を実行することができる。コンピュータ実行可能なプログラムコードは、コントローラ160に格納されて、様々な実施例で説明されるコンピュータ実行可能なプログラムコードを実行するために使用され得る、非一時的なコンピュータ可読媒体などのコンピュータプログラム製品であり得る。このような媒体は、読み取り専用の光ディスクメモリ、メモリスティック、又は類似の媒体であり得る。コンピュータプログラムコードは、リモートサーバーに格納され、次に自動運転システム100のコントローラ160にダウンロードされる純粋なプログラムコードであり得る。
【0021】
図4は、本明細書の実施例に係る自動運転システム100とインテリジェント倉庫保管システム400の相互作用の模式図の一例である。インテリジェント倉庫保管システム400は、概ね、第1地面標示404、第2地面標示406、第3地面標示408及び第4地面標示410を含む。図面には4つの地面標示のみが示されているが、インテリジェント倉庫保管システム400は、施設の重要に応じて、任意の数及び任意のタイプ/地面標示404、406、408、410の組み合わせを含むことができることを理解されたい。
【0022】
第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410は、2次元又は実質的に2次元であってもよく、塗料、テープ、プレート、ワイヤ、ストライプ、投影光などの形式で、地面402上に及び地面402に沿って施されてもよい。地面402は、自動運転システム100又は車両が走行するのに適した任意の舗装された又は舗装されていない表面であってもよく、地面は、任意の形状、幅及び長さであってもよい。地面402は、任意の数の通路、ルート、車線、十字路口、交差点などを含み得る。一実施例では、地面402は、施設内の車線、例えば倉庫車線を表す。第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410は、倉庫の通路に沿って施すことができる。第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410はまた、屋外の任意の路面に適用することができる。
【0023】
自動運転システム100は、タスクを実行する前に、又はタスクを実行すると同時に、計画された移動ルート403に沿って移動することができる。地面402を走行しているとき、自動運転システム100のカメラ114a、115a、124a、126aのいずれか又はすべては、電源をオンにし、同時に操作することができる。
図4は、フロントカメラ114a(
図1)、サイドカメラ126a(
図3)及びリアカメラ115a(
図3)がそれぞれ、視野114c、126c、115cを地面402に投影する例を示す。本明細書における視野(field of view)とは、カメラの光学中心から延びる立体角によって定義される空間領域を指し、空間領域内のすべての点は、カメラの光学システムによってキャプチャすることができる。本明細書では、カメラの視野もカメラの感知領域とみなすことができる。
図4は、視野114c、126c、115cの視野角を理解するために視野114c、126c、115cのサイドラインを接続するので、カメラ114a、126a、115aの視野の延伸距離の制限であってはならないことに留意されたい。
【0024】
自動運転システム100が地面402を走行しているとき、第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410は、視野114c、126c、115cに現れ、カメラ114a、126a 、115aによって検出される可能性がある。図示されていないが、サイドカメラ124a(
図2)は、自動運転システム100が移動ルート403に沿って行進しているときに、任意の数の第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410のいずれかを検出できることを理解されたい。場合によって、カメラ114a、115a、124a、126aの高さ及び角度は、カメラ114a、115a、124a、126aの隣接する視野の間に部分的に重複する領域があるように構成することができる。説明を容易にするために、
図4は、視野115cと126cの間及び視野114cと126cの間の重複領域440、442のみを示している。視野間の重複領域は、自動運転システム100の4つの対角から延びるブラインドラインが排除されることを確実にすることができる。
【0025】
平板106の高さは、顧客の保管要求に応じて変更することができる。平板106の高さが決定されると、カメラ114a、115a、124a、126aの傾斜角度は、それに対応して調整する必要があり得る。その結果、カメラの視野は、インテリジェント倉庫保管システムと相互作用する(例えば、地面上の地面標示404、406、408 、410の機械可読特徴を識別する)ために必要な視野角を指すようにする。ここでの視野角とは、例えば、
図5に示されるカメラ124aの光軸502などのカメラの光軸と交差する任意の平面(例えば、地面402)を指す。
図5の例に示すように、当業者は、三角法及び/又は他の適切な方法を使用して、以下の要因のうちの1つ又は複数を考慮して、カメラ(例えば、カメラ124a)の傾斜角「Y」を計算する。(1)地面402からのカメラ124aの垂直高さ「H」、(2)カメラ124aの視野124cの上縁部から底縁部までの垂直視野角「α」、(3)カメラ124aの視野124cの左縁部から右縁部までの水平視野角「θ」、(4)カメラ感知領域の境界線「W」から視野124cの中心点504までの水平距離「D」、ここで、其中境界線「W」は、自動運転システム100に最も近い視野124cの線を指す。
【0026】
カメラ124aの傾斜角「Y」は、カメラ124aから視野124cの中心点504まで延びる光軸502と、カメラ124aの垂直高さ「H」に対応する仮想線522との間の角度として定義され得る。様々な実施例では、カメラ124aの傾斜角「Y」は、約20°~約80°の範囲内、例えば、約30°~約65°であり得る。言い換えれば、カメラの光軸(例えば、カメラ124aの光軸502)は、仮想線522又は支持枠108、110の長軸に平行な仮想軸520に対して約20°~約80°、例えば、約30°~約65°の傾斜角「Y」にある方向に向けることができる。本明細書で説明された角度(例えば、傾斜角「Y」又は水平視野角「θ」)は、カメラ114a、115a、126aにも適用され、且つ角度は、カメラ114a、115a、124a、126aがキャプチャしようとする目標対象によって変化できると考えられる。
【0027】
第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410の様々な例は、
図6A~6B、7A~7C、8、9、10A~10G及び11でさらに説明される。一般に、第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410のそれぞれは、自動運転システム100によって捕捉・処理可能な機械可読特徴を含む。機械可読特徴は、点、線、平面、距離、角度、表面、曲線及び任意の適切な幾何学的形状、ダイアグラム、グラフィックス、標示、バーコード又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。1つ又は複数の機械可読特徴は、様々なパターンに構成することができ、各パターンは、自動運転システム100を位置決めすることができ、かつ/又は自動運転システム100の操作を制御するために使用できるユニークな情報に関連する。用途に応じて、本明細書で説明された機械可読特徴は、カスタマイズ可能である。
【0028】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる一実施例では、第1地面標示404に含まれる機械可読特徴は、マップ(例えば、倉庫のマップ)上の特定の位置情報を表す。マップは、自動運転システム100及び/又はリモートサーバーに格納することができる。第1地面標示404は、所定の間隔で施設の地面に施すことができる。カメラ114a、115a、124a、126aのいずれかによって取得された第1地面標示404の画像は、マップ上の自動運転システム100の現在位置を判断するために使用することができる。
【0029】
図6Aは、第1地面標示602の一例を示す。この第1地面標示602は、幾つかの水平線604a、604b及び垂直線606a、606b、606cを使用して、施設の特定の位置情報、例えば、倉庫位置識別番号を表す。水平線604a、604b及び垂直線606a~606cは、境界線603内に入る。境界線603は、正方形、円形、菱形、六角形、五角形、楕円形、又は任意の適切な多角形であってもよい。水平線604a、604bの総数(境界線603を含まない)は、通路番号に対応し、垂直線606a、606b、606cの総数(境界線603を含まない)は、領域番号に対応する。
図6の場合、第1地面標示602は、第02通路、第03領域の倉庫位置識別番号を表す。第1地面標示602の概念は、上で説明した任意の機械可読特徴に適用され得るか、又は上で説明した任意の機械可読特徴によって表れ得ると考えられる。
【0030】
幾つかの実施例では、水平線604a~604bは、等間隔(例えば、水平線604a、604bの間の最短直線距離(例えば、距離d1))で互いに平行に配置される。同様に、垂直線606a~606cは、等間隔(例えば、水平線606a、604bの間の最短直線距離(例えば、距離d2、d3)で平行に配置される。距離d1、d2及びd3は、約5インチ~約25インチの範囲であってもよく、必要に応じて調整され得る。
【0031】
何らかの理由(例えば、水平線604a~604b又は垂直線606a~606cの一部が磨耗している(例えば、塗料が部分的に剥がれている)こと、又は破片や水などの障害物によって隠されていること)で、カメラが第1地面標示602の一部を識別できない場合でも、自動運転システム100は依然として、水平線604a~604b及び垂直線606a~606cが等間隔で配置されていることにより、第1地面標示602の情報を正確に読み取ることができる。
図6Bは、第1地面標示602が部分的に摩耗している例を示す(破線で表されている)。この場合、自動運転システム100は、この等間隔関係を完全に維持している残りの水平線604a、604b及び垂直線606a~606c(例えば、破線620、622で示される領域)を識別することによって情報を読み取ることができる。光学ラベル(例えば、二次元マトリクスコード)を使用する従来の道路標示と比較して、第1地面標示404、602は、より良好な耐摩耗性を提供する。
【0032】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる幾つかの実施例では、第2地面標示406に含まれる機械可読特徴は、自動運転システム100の操作を指示できる情報を有する。
図7Aは、第2地面標示702の一例を示す。第2地面標示702は、等間隔d4、d5、d6、d7で第2地面標示702の長さ方向に交互に配置された任意の数のストライプ704を有するラインセクションである。交互ストライプ704は、カメラ114a、115a、124a、126aで識別できる色を有する。何らかの理由(例えば、ストライプ704の一部が摩耗している(例えば、塗料が部分的に剥がれている)こと、又は破片や水などの障害物によって隠されていること)で、カメラが第2地面標示702の一部を識別できない場合でも、自動運転システム100は、間隔d4~d7が等しいため、依然として第2地面標示702の情報を正確に読み取ることができる。
図7Bは、ストライプ704の706、708、710、712、714部分が摩耗している(破線で表されている)一例を示す。この場合、自動運転システム100は依然として、等間隔関係を完全に維持している残りのストライプ704(例えば、破線716、718、720、722で示される領域)を識別することによって情報を読み取ることができる。
【0033】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる幾つかの実施例では、第2地面標示702は、自動運転システム100の行進距離に関連する情報、又は参照点からの自動運転システム100の行進距離に関連する情報を提供するために使用され得る。参照点は、自動運転システム100によって以前に識別された第1地面標示602、又は自動運転システム100がルートに沿って走行するときに既に識別した任意の正確な点であってもよい。間隔d4、d5、d6及びd7は固定されているので、自動運転システム100は、それがどれくらい行進したかを計算し、このような情報を使用して、マップ上のその現在位置を判断することができる。
【0034】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる幾つかの実施例では、自動運転システム100は、第2地面標示702を使用して、自動運転システム100と周囲の物体(例えば倉庫ラック)との間に維持する必要がある適切な距離を識別することができる。例えば、
図7Cは、第2地面標示730の一例を示す。この第2地面標示730は、第1線分732及び第2線分734を有する線分である。第1線分732及び第2線分734はそれぞれ任意の数の交互ストライプ732a~732e及び734a~734dを含む。場合によって、第1線分732の交互ストライプ732a~732e及び第2線分734の交互ストライプ734a~734dは、異なる色を有する。交互ストライプ732a~732eは、所定の間隔で第2地面標示730の長さ方向に沿って分布している(説明を容易にするために、ストライプ732bと732cとの間の間隔d8のみが示されている)。同様に、交互ストライプ734a~734dは、所定の間隔で第2地面標示730の長さ方向に沿って分布している(説明を容易にするために、ストライプ734aと734bとの間の間隔d9のみが示されている)。第2地面標示730の一部を識別できない場合でも、自動運転システム100は、交互ストライプ732a~732eと734a~734dの間の所定の間隔が等距離の配置であるため、第2地面標示730の情報を読み取ることができる。第2地面標示730は、用途に応じて、より多くの又はより少ない線分(例えば、第1及び第2線分732、734)を含み得る。
【0035】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる幾つかの実施例では、第2地面標示702の間隔は、参照点(マップ上の任意の点)までの自動運転システム100の推定距離を表すために使用することができる。例えば、本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる、
図7Cに示される幾つかの実施例では、交互ストライプ732a~732eの間の間隔(例えば、間隔d8)は第1値を有し、交互ストライプ732a~732eから参照点(例えば、倉庫の積載ステーション) までの推定距離を表す。交互ストライプ734a~734dの間の間隔(例えば、間隔d9)は第2値を有し、交互ストライプ734a~734dから倉庫の積載ステーションまでの推定距離を表す。第2地面標示702の異なる交互ストライプの間隔に異なる値を与えることにより、自動運転システム100は、それが参照点からどれくらい離れているかを判定して、間隔と参照点までの推定距離を認識及び関連付けることによって、所与のマップ上の現在位置を決定する。
【0036】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる、
図7Cに示される幾つかの実施例では、交互ストライプ732a~732eの間の間隔(例えば、間隔d8)は、自動運転システム100と第1線分732の後ろ又は近くの物体(例えば、倉庫ラック)との間に維持する必要がある第1距離を表すために使用され得る。交互ストライプ734a~734dの間の間隔(例えば、間隔d9)は、自動運転システム100と第2線部分734の後ろ又は近くの物体(例えば、倉庫ラック)との間に維持する必要がある第2距離を表すために使用され得る。自動運転システム100が位置する領域に実施されている規則に応じて、第1距離は、第2距離よりも広くても狭くてもよい。あるいは、第1距離及び第2距離はそれぞれ、自動運転システム100とその周囲の物体との間に維持する必要がある所定の安全距離を表すことができる。
【0037】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる、
図7Cに示される幾つかの実施例では、交互ストライプ732a~732eの間の間隔(例えば、間隔d8)及び交互ストライプ734a~734dの間の間隔(例えば、間隔d9)は、道路の安全レベル及びこのレベルで許容される自動運転システム100の速度を表すために使用され得る。例えば、間隔d8は、自動運転システム100の第1制限速度を表すことができ、間隔d9は、自動運転システム100の第2制限速度を表すことができる。自動運転システム100が交互ストライプ732a~732e(即ち、第1線分732)又は交互ストライプ734a~734d(即ち、第2線分734)に関連する安全レベルを識別すると、自動運転システム100は、2番目の地面標示によって許容された制限速度を超えなくなる。
【0038】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる、
図7Cに示される幾つかの実施例では、複数の自動運転システムが交差道路(例えば、T字型、円形、又は他のタイプの交差道路)に行進するとき、第2地面標示の交互ストライプの間隔を使用して、交差道路を通る優先度レベルを決定することができる。例えば、倉庫には、双方向の交差道路があり、第1車線は、交差点で第2車線と交差する。第1車線には、交差点の近くに第2地面標示の交互に配置されたストライプ732a~732eがあり得、第2車線には、交差点の近くに第2地面標示の交互に配置されたストライプ734a~734dがあり得る。双方向交差道路を通る交互ストライプ732a~732eの優先度は、交互ストライプ734a~734dの優先度よりも高いように設定することができる。そのため、2つの自動運転システムが双方向交差道路で出会うと、2番目の車線における自動運転システムは、1番目の車線における自動運転システムが双方向交差道路を通した後に、前進し続ける。この概念は、例えば、各車線の2番目の地面標示に異なる交互ストライプに与える(それにより、異なる優先度レベルがある)ことによって、3方向又は4方向の交差道路に適用することもできる。従って、複数の自動運転システムが交差道路で出会った場合でも、交通を適切に制御することができる。
【0039】
ここで説明する実施例に加えて、第2地面標示の交互ストライプの間の間隔はまた、例えば、倉庫ラック上の在庫の種類、近くの充電ステーションの表示、又はこの領域で新しく実施された規則など、自動運転システム100に与えられる様々な情報を表すために使用され得、それにより、自動運転システム100は、この第2地面標示を有する領域に走行するときに、それに応答することができる。
【0040】
第3地面標示406は、領域、車線又は倉庫通路の境界を表すことができる。一実施例では、第3地面標示406は、機械可読特徴を含む線分、例えば破線である。
図8は、破線804を使用している第3地面標示802の一例である。図には破線のみがあるが、点破線、点線、長破線など、他の線パターンも使用できる。
【0041】
第4地面標示408は、領域、車線又は倉庫通路の境界を表すことができる。一実施例では、第4地面標示408は、機械可読特徴を含む線分、例えば実線である。
図9は、実線904を使用している第4地面標示902の一例である。
【0042】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる幾つかの実施例では、第3地面標示406と第4地面標示408を一緒に使用して、例えば倉庫通路番号、倉庫領域番号などの倉庫内の様々な位置/領域を表すことができる。
図10A、10B、10C、10Dは、倉庫ラック(又は、任意の物体)1003に沿って地面1001に設けられて倉庫の異なる通路を表すことができる第3及び第4地面標示の幾つかの可能な組み合わせの例である。例えば、
図10Aは、第3地面標示1002(破線を使用)及び第4地面標示1004(実線を使用)の第1の組み合わせを使用して、通路02を表す。第3地面標示1002は、第4地面標示1004の左側に平行に配置される。
図10Bは、第3地面標示1006(破線を使用)及び第4地面標示1008(実線を使用)の第2の組み合わせを使用して、通路03を表す。第4地面標示1008は、第3地面標示1006の左側に平行に配置される。
図10Cは、使用第3地面標示1010(破線を使用)及び第4地面標示1012(実線を使用)の第3の組み合わせを使用して、通路04を表す。第3地面標示1010は、第4地面標示1012と倉庫ラック1003との間に平行に配置された点破線である。
図10Dは、第3地面標示1014(破線を使用)及び第4地面標示1016(実線を使用)の第4の組み合わせを使用して、通路05を表す。第3地面標示1014は、第4地面標示1016と倉庫ラック1003との間に平行に配置された破線である。ここで説明する例は、例示のみのためであり、第3及び第4地面標示の制限と見なされるべきではない。
【0043】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる幾つかの実施例では、
図10Eに示すように、第4地面標示(例えば、実線1018)を使用して通路06を表すことができる。又は、
図10Fに示すように、第3地面標示(例えば、破線1020)を使用して通路07を表すことができる。又は、
図10Gに示すように、第2地面標示(例えば、交互ストライプ1024を有する線分1022)を使用して、通路08を表すことができる。
【0044】
上記の地面標示の長さ、幅、形状、パターンなどは変更することができ、また、用途に応じて間隔、距離及び地面標示の間の関係も変更することができる。例えば、本明細書で説明される地面標示はすべて、異なる色で表すことができ、且つ各色は、1つの倉庫位置識別番号を表すことができる。当業者は、異なるタイプの線及び組み合わせを使用して、室内又は屋外の異なる領域を表すことができる。
【0045】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる幾つかの実施例では、第3地面標示408は、第2地面標示406及び/又は第4地面標示408と組み合わせて、自動運転システム100の作業領域及び/又はパーキング領域を表すことができる。
図11は、本明細書の一実施例に係る、インテリジェント倉庫保管システムを採用する倉庫1100の模式図の一例である。倉庫1100は、第1倉庫ラック1102と、第1倉庫ラック1102に対向する第2倉庫ラック1104とを含み得る。第1倉庫ラック1102と第2倉庫ラック1104は、同一の方向に延び、それらの間に通路1106を限定する。通路1106の地面1113には、第1地面標示1108(例えば、第1地面標示602)、第2地面標示1110(例えば、第2地面標示702)、第3地面標示1112(例えば、第3地面標示802)、及第4地面標示1114(例えば、第4地面標示902)が設けられる。第1地面標示1108は複数あり(明確にするために1つだけが示されている)、所定の的間隔で通路1106の長さ方向に沿って分布している。第2地面標示1110は、通路1106の長さ方向に沿って分布し、第1倉庫ラック1102から所定の距離で間隔を置いている。第3地面標示1112は、通路1106の長さ方向に沿って分布し、第2倉庫ラック1104から所定の距離で間隔を置いている。第3地面標示1112は、第4地面標示1114と第2倉庫ラック1104との間に配置され、通路1106の長さ方向に沿って分布し、第2倉庫ラック1104から所定の距離で間隔を置いている。
【0046】
幾つかの例では、第2地面標示1110と第4地面標示1114は、それらの間の通路1106の境界を限定する。第2地面標示1110又は第4地面標示1114は、色を使用して倉庫位置識別番号の情報、例えば通路番号を表すことができる。
【0047】
幾つかの例では、第4地面標示1114は、通路の長さ方向に沿って分布し、第2倉庫ラック1104から異なる距離(例えば距離d10及びd11)で間隔を置いている。距離d10は、距離d11よりも広い。
【0048】
図11に示される一例では、第2地面標示1110と第4地面標示1114との間の領域(例えば、領域「A」及び「B」)は、自動運転システム(図示せず、例えば、自動運転システム100)の作業領域を表すために使用される。この場合、自動運転システム100のカメラ(例えば、カメラ114a、115a、124a、126a)のいずれかは、第2地面標示1110と及び第4地面標示1114を識別した後、領域「A」及び「B」を作業領域として扱う。これは、自動運転システム100がパーキングを許可しないが、例えば、第1倉庫ラック1102又は第2倉庫ラック1104で商品をピックアップするなど、タスクを実行するために領域「A」及び「B」内で自由に走行できることを意味する。
【0049】
図11に示される一例では、第3地面標示1112と第4地面標示1114との間の幾つかの領域(例えば、領域「C」)(即ち、第3地面標示1112と第2倉庫ラック1104都の間の比較的大きな距離d10を有する領域)は、自動運転システム(図示せず、例えば、自動運転システム100)のパーキング領域を表すために使用される。この場合、自動運転システム100のカメラ(例えば、カメラ114a、115a、124a、126a)のいずれかは、第3地面標示1112及び第4地面標示1114を識別した後、領域「C」をパーキング領域として扱う。これは、自動運転システム100が「C」領域内の任意の位置にパーキングすることができる。
【0050】
本明細書の他の任意の実施例と組み合わせることができる幾つかの実施例では、インテリジェント倉庫保管システムは、例えば、二次元マトリクスコード、バーコード又は任意の適切な光学ラベルなどの機械可読ラベル1116をさらに含む。機械可読ラベル1116は、第1倉庫ラック1102及び第2倉庫ラック1104に配置され得る。機械可読ラベル1116は、倉庫ラック1102、1104及び/又は在庫の専属情報を含み得る。そのため、自動運転システム100のカメラ(例えば、カメラ114a、115a、124a、126a)のいずれかは、機械可読ラベル1116を識別した後、マップ上の自動運転システム100の位置を迅速に確定することができる。機械可読ラベル1116はまた、例えば、倉庫の支柱など、施設の様々な位置に配置することができる。場合によっては、自動運転システム100は、前の第1、第2、第3及び第4地面標示1108、1110、1112、1114のいずれかによって取得された情報と、機械可読ラベル1116の情報とを統合することで、位置決めの制度を向上させることができる。
【0051】
図12は、本明細書の一実施例に係る例示的なフローチャート1200を示す。自動運転システム(例えば、自動運転システム100)のコントローラ(例えば、コントローラ160)は、フローチャートの操作を実行することができる。操作1202では、自動運転システムの電源をオンにし、位置決めプログラムなどのタスクを実行するようにコントローラによって指示する。
【0052】
操作1204では、コントローラは、カメラ(自動運転システム100のカメラ114a、115a、124a、126aなど)を使用して機械可読ラベル(例えば、機械可読ラベル1116)及び施設(倉庫など)のインテリジェント倉庫保管システムの様々な地面標示(例えば、第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410)を識別するように、自動運転システムに指示する。
【0053】
操作1206では、コントローラは、機械可読ラベル及び様々な地面標示によって取得された情報がマップ(例えば、倉庫マップ)上で自動運転システムの位置を見つけるのに十分であるか否かを判定するように、自動運転システムに指示する。機械可読ラベル及び様々な地面標示の情報により、マップ上の自動運転システムの現在位置を見つけることができる場合、フローチャート1200は、操作1208に入る。自動運転システムが機械可読ラベルから情報を取得できず、地面標示のすべて又は地面標示のいずれかのみから情報を取得する場合、フローチャート1200は、操作1210に入る。自動運転システムが地面標示のいずれからも情報を受信できず、機械可読ラベルのみからの情報を受信する場合、フローチャート1200は、操作1212に入る。
【0054】
操作1208では、コントローラは、機械可読ラベル及び様々な地面標示の情報を使用してマップ上の自動運転システムの位置を見つけるように、自動運転システムに指示する。
【0055】
操作1210では、コントローラは、地面標示のすべて又は地面標示のいずれかの情報を使用して、マップ上の自動運転システムの位置を決定するように、自動運転システムに指示する。
【0056】
操作1212では、コントローラは、機械可読ラベルの情報を使用してマップ上の自動運転システムの位置を見つけるように、自動運転システムに指示する。
【0057】
操作1214では、マップ上で自動運転システムの現在位置を見つけると、コントローラは、リモートサーバーから注文情報を取得し、機械可読ラベル及び/又は地面標示のいずれか又はすべてによって受信された位置情報を使用して、現在位置から目的地へのルートのナビゲーションを行うように、自動運転システムに指示する。
【0058】
図13は、本明細書の様々な実施例を実行するために使用できる自動運転システム1300の模式図の一例を示す。自動運転システム1300は通常、可動ベース1302と、貨物を支持するために可動ベース1302の上方に配置された平板1306とを含む。支持枠1308の高さを増減することによって、又は平板1306を支持枠1308の異なる高さに固定することによって、平板1306の高さを調整することができる。支持枠1308は、可動ベース1302の上面1304の中心から平板1306の底部に上方に延びる。自動運転システム1300は、指示に従って、1つ又は複数の電動車輪1310及び複数の安定車輪1312を使用して自律的に移動することができる。
図1などを参照して説明した自動運転システム100の支持枠108、110を単一の支持枠1308に置き換えることを除いて、自動運転システム1300は、基本的に自動運転システム100と同じである。
【0059】
自動運転システム1300は、自動運転システム1300の周りに配置され、外側を向く複数のカメラをさらに含む。一実施例では、平板1306の前端及び後端にはカメラが設けられている(
図13には後端カメラのみが示されている)。平板1360の長さ方向の2つの反対側面にもカメラが設けられている(
図13には側面カメラ1326aのみが示されている)。カメラ(例えば、カメラ1315a、1326a)は、上記の
図4、5、7A~7C、8、9、10A~10G及び11に示される地面標示の機械可読特徴(第1、第2、第3及び第4地面標示404、406、408、410など)及び/又は機械可読ラベル(例えば、機械可読ラベル1116)など、インテリジェント倉庫保管システムと相互作用するために、自動運転システム100のカメラ114a、115a、124a、126aと同様に配置される。同様に、様々な地面標示及び機械可読ラベルによって取得された情報により、自動運転システム1300は、マップ上のその位置を識別することができ、又は地面標示/機械可読ラベルの情報に応じて動作を実行することができる。
【0060】
本明細書の実施例の利点は、室内施設の地面に自動運転システムのための様々な地面標示を提供するインテリジェント倉庫保管技術を含む。各地面標示は、自動運転システムのカメラによってキャプチャされ得る機械可読特徴を含み、マップ上で自動運転システムの位置を見つけるために、又は自動運転システムの操作を制御するために使用され得る。地面標示の機械可読特徴は、特定のパターン及び/又は所定の間隔で配置され、それにより、カメラが地面標示の一部を識別できない場合でも、地面標示の情報を読み取ることができる。従って、二次元マトリクスコードを使用する従来の道路標示と比較して、本出願のインテリジェント倉庫保管技術はよりよい耐摩耗性を有し、GPS信号が比較的弱い室内で自動運転システムをナビゲートするために特に有用である。
【0061】
上記の内容は、本明細書の実施例を対象としているが、本明細書の基本的な範囲から逸脱することなく、本明細書の他の及び更なる実施例を設計することができ、本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。