(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの使用方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
B65D81/05 200
(21)【出願番号】P 2018028669
(22)【出願日】2018-02-21
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】594071583
【氏名又は名称】TSK株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】長岡 克樹
(72)【発明者】
【氏名】高木 亮太
(72)【発明者】
【氏名】角出 哲也
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 直人
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-083523(JP,A)
【文献】特開2006-273333(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198697(JP,U)
【文献】特開2007-118970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02 - 81/17
B65D 77/26
B65D 85/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品とその付属品を梱包するものであり、一枚のシート状の合成樹脂からなり、使用状態で略水平となる板状の主体部と、前記主体部の周縁部に連続して形成され使用状態で下方に突出する側面部が設けられ、前記主体部には、前記付属品を収容するための上方収容部が上方に開口し下方に窪む凹部により形成され、前記上方収容部は、前記付属品の外形をわずかな隙間を介して収容する形状で、収容可能に形成され、前記主体部と前記側面部で囲まれ下方に開口する空間が、前記製品
の上側面部分を収容する下方収容部となり、前記主体部の前記上方収容部の周囲に位置する
部分は、前記主体部に対して略平行な平面の上面である付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイを用いて、
前記付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの前記上方収容部に前記付属品を収容して、梱包作業を行う場所に前記付属品を収容した前記付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイを移送し、前記付属品を入れた状態で、前記付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの前記下方収容部に前記製品
の上側面部分を収容し、
前記上方収容部に収容した前記付属品の上に、前記製品の一部であり前記上面に乗る大きさの板体を前記上面に載せて収容し、
前記板体の一対の側縁部は直角に折り曲げられ前記側縁部の一部には突起が各々形成され、前記上方収容部の一対の側縁部には下方に窪む嵌合凹部が各々形成され、
前記板体を前記上面に載せて収容した時に、前記板体の前記側縁部を前記上方収容部に収容し、前記一対の突起を前記一対の嵌合凹部に各々上方から差し込んで嵌合し、前記製品を梱包する付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、梱包用箱の中に入れて使用し複数個の物品を保持する梱包用の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の物品を梱包する際に、合成樹脂等で作られたトレイに収納して梱包する場合がある。このようなトレイには、様々な工夫がされたものがある。特許文献1に開示されている梱包用トレイは、収容凹部が形成されたトレイ主体部と、このトレイ主体部を浮かせて支持するための支持部とを有し、トレイ主体部の外周上縁部と、支持部の上端縁部との間に、断面略U字状をなす緩衝用の溝部がその全周にわたって形成されている。この梱包用トレイにより、運搬中に外力が加わった場合に、緩衝用の溝部が外力を吸収して衝撃を緩和することができる。
【0003】
また、特許文献2に開示されている積み重ね可能なトレイは、物品を配列する収納部が形成され、その周囲に縁部が形成されている。縁部には凹部と凸部が連続して設けられ、凹部には、中載置台が突出して設けられている。同形のトレイを重ねた時に、下段のトレイの中載置台に、上段のトレイの下端部が載置され、収納した物品が上段のトレイに接触しない隙間が形成されて積み重ねることができる。空のトレイを積み重ねる時は、物品が収納状態のトレイを積み重ねるのと異なり、180°水平回転した状態で積み重ねると、下段のトレイの中載置台に上段のトレイの下端部が当接することが無く、深く重ねてコンパクトになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-273333号公報
【文献】特開2010-149922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術のようなトレイを使用して、製品の付属品を載せ、製品を梱包する梱包用箱の内側の上部に入れることがある。これにより、製品の付属品の位置ずれを無くし、確実に梱包することができる。しかし、多数の付属品を管理している場所から梱包する場所に付属品を移送するために、付属品のセット及び配膳用のトレイに一旦付属品を載せて搬送し、この後、配膳用トレイから梱包用のトレイに付属品を移し替える工程があり、作業効率が良くないものである。即ち、作業者は、付属品を集める配膳用トレイに付属品を載せて集めて移動し、集めた付属品を配膳用トレイから梱包用トレイに移し、付属品を確認した後に、梱包用トレイを梱包用箱に入れて梱包しており、手間がかかるものであった。さらに、移送途中等での付属品の紛失の可能性も高くなる。また、製品の上に梱包用トレイを置くと積載高が大きくなり、輸送効率が良くないものである。
【0006】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、複数個の物品を、積載高を低くコンパクトに抑え、緩衝性を有して梱包可能であり、梱包する物品を集めて取り揃える集荷と梱包の両方を行うことができ、梱包作業を効率化する付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、製品とその付属品を梱包するものであり、一枚のシート状の合成樹脂からなり、使用状態で略水平となる板状の主体部と、前記主体部の周縁部に連続して形成され使用状態で下方に突出する側面部が設けられている付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイである。前記主体部には、前記付属品を収容するための上方収容部が上方に開口し下方に窪む凹部により形成され、前記上方収容部は、前記付属品の外形をわずかな隙間を介して収容する形状で収容可能に形成されている。前記主体部と前記側面部で囲まれ下方に開口する空間が、前記製品の上側面部分を収容する下方収容部となる。前記主体部の前記上方収容部の周囲に位置する部分は前記主体部に対して略平行な平面の上面である。前記上方収容部に前記付属品が収容され、前記下方収容部に前記製品の上側面部分が収容され、前記上方収容部に収容された前記付属品の上に、前記製品の一部であり前記上面に乗る大きさの板体が前記上面に載せられて収容されている。前記板体の一対の側縁部は直角に折り曲げられ、前記側縁部の一部には突起が各々形成され、前記上方収容部の一対の側縁部には下方に窪む嵌合凹部が各々形成され、前記板体を前記上面に載せて収容した時に、前記板体の前記側縁部は前記上方収容部に収容され、前記一対の突起が前記一対の嵌合凹部に嵌合している。
【0008】
前記上方収容部は、複数個が設けられ、互いに仕切られて独立している。前記上方収容部の底部には、緩衝用のリブが形成され、前記上方収容部に収容された前記付属品と前記板体と、前記下方収容部に収容された前記製品が、緩衝的に仕切られる。
【0009】
前記付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイは、例えば真空成形によるポリプロピレン製のシートからなるものが好ましい。
【0010】
また本発明は、製品とその付属品を梱包するものであり、一枚のシート状の合成樹脂からなり、使用状態で略水平となる板状の主体部と、前記主体部の周縁部に連続して形成され使用状態で下方に突出する側面部が設けられ、前記主体部には、前記付属品を収容するための上方収容部が上方に開口し下方に窪む凹部により形成され、前記上方収容部は、前記付属品の外形をわずかな隙間を介して収容する形状で、収容可能に形成され、前記主体部と前記側面部で囲まれ下方に開口する空間が、前記製品の上側面部分を収容する下方収容部となる。前記主体部の前記上方収容部の周囲に位置する部分は前記主体部に対して略平行な平面の上面である付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイを用いて、前記付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの前記上方収容部に前記付属品を収容して、梱包作業を行う場所に前記付属品を収容した前記付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイを移送し、前記付属品を入れた状態で、前記付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの前記下方収容部に前記製品の上側面部分を収容し、前記上方収容部に収容した前記付属品の上に、前記製品の一部であり前記上面に乗る大きさの板体を前記上面に載せて収容する。前記板体の一対の側縁部は直角に折り曲げられ前記側縁部の一部には突起が各々形成され、前記上方収容部の一対の側縁部には下方に窪む嵌合凹部が各々形成されており、前記板体を前記上面に載せて収容した時に、前記板体の前記側縁部を前記上方収容部に収容し、前記一対の突起を前記一対の嵌合凹部に各々上方から差し込んでがたつき無く嵌合し前記製品を梱包する付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの使用方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイは、複数個の物品を、積載高を低くコンパクトに緩衝性を有して梱包可能であり、輸送効率を上げることができる。上方に開口する上方収容部と下方に開口する下方収容部が設けられ、複数個の物品を効率よく重ねることができる。また、底部等にリブが設けられて強度が高いため、梱包する物品を取り揃える集荷と梱包の両方に利用することができ、梱包作業が簡単になる。上方収容部は、収容する物品の形状をわずかな隙間で収容する形状で、収容する数と同じ個数が形成されているため、間違いを防ぐことができ、作業が簡単なため、部品の紛失を防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの使用方法を示す分解斜視図である。
【
図2】この実施形態の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの使用状態を示す斜視図である。
【
図3】この実施形態の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの平面図(a)、左側面図(b)、正面図(c)、右側面図(d)である。
【
図6】この実施形態の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイを使用した梱包の具体例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図6はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10は、合成樹脂材料から成り、略均一な厚さの一枚の合成樹脂板に凹凸が形成された形状を有している。例えば、ポリプロピレン製のシートを真空成型して形成されている。
【0014】
付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10は、
図3~
図5に示すように、使用状態で略水平となる略正方形の板状の主体部12と、主体部12の周縁部に連続して形成された4つの矩形の側面部14が設けられている。側面部14は、主体部12に接する辺よりも反対側の辺である下端縁部がわずかに長い台形であり、4つの側面部14が互いに連続して使用状態で下方に突出する短い四角筒状となる。側面部14には、補強のためのリブ15が側面部14の突出方向に対して平行な細い直線で形成され、主体部12と後述するフランジ部16を結んでいる。リブ15は、複数本が互いに平行に設けられている。
【0015】
側面部14の下端縁部には、主体部12に対して略平行に外側へ所定幅で突出するフランジ部16が一周して形成され、フランジ部16の外周縁部は、側面部14に対して略平行に下方へ折り曲げられている。フランジ部16は、
図3(c)の紙面表側から見て、互いに平行に位置する一対の部分は幅が互いに等しいものであり、二組の一対の幅は互いに異なる。幅が広い一対のうちの一方には、方向を示すマーク18が設けられている。マーク18は、『UP』の文字と、外側に向かう矢印が描かれ、フランジ部16のこの辺の長さのほぼ中央に位置し、使用状態で上方に僅かに突出する凸部で設けられている。フランジ部16の4個の角部には、半球状凸部17が、上方に僅かに突出する凸部により設けられている。
【0016】
主体部12と側面部14で形成された内側空間は、収容する物品である後述の製品38の上側面38a部分が嵌合して収容される下方収容部20となる。
【0017】
主体部12には、上方に開口する第1上方収容部22、第2上方収容部24、第3上方収容部26、第4上方収容部28が、下方に窪む凹部により形成されて設けられている。第1上方収容部22、第2上方収容部24、第3上方収容部26は、製品38の後述する第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44を各々上方から入れて収容する空間である。第1上方収容部22は、
図3の(c)に示すように、紙面表側から見て上方向にマーク18が来るように位置した時、主体部12の中心よりもやや上方で右側に近い位置に形成され、矩形で、第2上方収容部24、第3上方収容部26よりも面積が大きいものである。第1上方収容部22の、紙面表側から見て下方には、右側に第2上方収容部24が、左側に第3上方収容部26が、互いに主体部12の一辺に沿って並んで設けられている。第2上方収容部24と第3上方収容部26は、いずれも紙面表側から見て矩形であり、第3上方収容部26の面積は一番小さく、第2上方収容部24の面積は第1上方収容部22と第3上方収容部26の間である。
【0018】
主体部12の、第1上方収容部22、第2上方収容部24、第3上方収容部26の周囲に位置する部分は、主体部12に対して略平行な平面である上面30である。上面30は第1上方収容部22、第2上方収容部24、第3上方収容部26の周囲を断続しながら囲んでおおよそ大きな一つの矩形を描いて設けられている。上面30は、第1上方収容部22、第2上方収容部24、第3上方収容部26同士の仕切りともなる。
【0019】
上面30の、外周外側には、
図3の(c)に示すように、紙面表側から見て上方向にマーク18が来るように位置した時、上方と左側と下方を囲むコの字形の第4上方収容部28が設けられている。第4上方収容部28は、側面部14に連通する段部となる。
【0020】
第1上方収容部22、第2上方収容部24、第3上方収容部26の底部22a,24a,26aは主体部12に対して略平行であり、上面30から底部22a,24a,26aまでの深さは互いに異なっている。第1上方収容部22の底部22aは、側面部14の突出長さの約半分の位置にあり、第2上方収容部24の底部24aはそれよりも僅かに深い位置にあり、第3上方収容部26の底部26aは一番浅い位置にある。
【0021】
第4上方収容部28の底部28aの深さは、第3上方収容部26の底部26aよりも浅く形成されている。底部28aの深さは部分的に異なり、収容する後述の取付板50の形状のネガ形状である。第4上方収容部28のマーク18に近い一辺である側縁部28bと、側縁部28bに対して平行な側縁部28cには、長手方向の中心よりも、
図3の紙面表側から見て左に寄った位置に、下方に窪む凹部29が形成されている。第4上方収容部28の、側縁部28b,28cに対して直角に位置する側縁部28dには、上方に突出する凸部31が2個並んで形成されている。凸部31は、上面30の外周面から離間して外側に位置し、上面30との間に取付板50が挟持される隙間が開いている。
【0022】
第1上方収容部22の底部22aには、補強のためのリブ32が、下方に僅かに窪む凹部により形成されている。リブ32は底部22aの中心から放射状に形成された複数の直線である。第4上方収容部28の底部28aには、補強や緩衝のためのリブ34が、下方に僅かに窪む凹部または上方に僅かに突出する凸部により形成されている。リブ34は、第4上方収容部28の幅方向に沿う複数の直線であり、太さや深さ、互いの間隔等は任意にデザインされている。
【0023】
次に、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の使用方法について
図1、
図2、
図4、
図5に基づいて説明する。付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10は、製品38の梱包に使用する。製品38は、例えばパワーコンディショナー等の電子機器であり、外形は立方体で、上側面38aの周縁部にはフランジ部38bが一周して形成されている。フランジ部38bの4個の角部は、ネジ38cにより止められている。また、製品38には、
図1に示す第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44が付属している。第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44は、検査成績書、取付部品、施工用パテ等である。
【0024】
また、製品38には、製品38を壁等に取り付ける取付板50が付属している。取付板50は、金属製の矩形の板体であり、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の主体部12の上面30で形成された矩形に乗る大きさである。取付板50の一辺である側縁部50aは、直角に折り曲げられて一方向に突出し、開口部等が設けられている。側縁部50aに対して略直角に位置する一対の側縁部50bは、直角に折り曲げられて側縁部50aと同じ方向に突出し、側縁部50aよりも突出量は短く、一部には任意の形状で突出する突起51が形成されている。側縁部50aに対して平行な側縁部50cも、略直角に折り曲げられて側縁部50a,50bと同じ方向に突出している。また、取付板50には、任意の位置にネジ用の透孔や補強用のリブが形成されている。
【0025】
製品38を梱包する際は、まず、各付属品の保管場所において、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の第1上方収容部22に第1付属品40を入れ、第2上方収容部24に第2付属品42を、第3上方収容部26に第3付属品44を、配膳作業により各々取り揃えてセットする。このように第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44をセットした付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を、複数互いに重ねてスタッキングしてもよい。
【0026】
各付属品を付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10に収容した後、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を製品38の梱包場所に移送し、製品38の上側面38aに、第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44がセットされた付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を載せる。この時、下方収容部20に製品38の上側面38aを含む部分が差し込まれ、フランジ部16は製品38のフランジ部38bをL字形に覆い、ネジ38cを半球状凸部17が覆い、がたつき無く嵌合される。
【0027】
次に付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の上に、取付板50を載せる。この時、取付板50の側縁部50cは、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の、第4上方収容部28の側縁部28dに収容され、凸部31と上面30の外周面との間に差し込まれ挟持される。取付板50の一対の側縁部50bは、第4上方収容部28の側縁部28b,28cに収容され、側縁部50bに形成された突起51は、側縁部28b,28cの凹部29に各々上方から差し込まれ、がたつき無く嵌合される。この状態で、取付板50の側縁部50aは、第4上方収容部28が設けられていない一辺の、側面部14の外側面に沿って位置している。
【0028】
取付板50の側縁部50c,側縁部50bの先端縁は、第4上方収容部28の底部28aに当接し、リブ34により緩衝的に保持される。また、リブ34により下方収容部20に収容された製品38との間に隙間が作られ、緩衝的に仕切られる。これにより、
図2に示すように製品38、第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44、取付板50が、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を介してコンパクトに重なり、積載高が低く抑えられ、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の柔軟性により、緩衝性を有して収容される。
【0029】
次に、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を使用した梱包方法の具体例を
図6に基づいて説明する。ここでは、製品38、第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44、取付板50を、梱包用箱52で梱包する例である。先ず、梱包用箱52の底部に板状の緩衝材54を入れ、製品38を梱包用箱52の中に入れ、梱包用箱52の内側面の角部に、製品38との隙間を埋める緩衝材56を入れる。製品38は、柔軟な合成樹脂シート68で包む。そして、予め配膳作業による工程で、第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44をセットした付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を、製品38の上側面38aに載せる。
【0030】
次に、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10と梱包用箱52の内側面の間に、枠状の仕切材58を入れる。ここで、仕切材58について説明する。仕切材58は、梱包用箱52の内側面に僅かな隙間を有して嵌合される板体で作られ、中央には取付板50が嵌合される矩形の孔60が形成されて枠状となっている。透孔60の一辺は、細い棒状の切り残し部62となり、切り残し部62の外側には凹部64が形成されている。凹部64は、取付板50が重ねられた時に側縁部50aが差し込まれる空間であり、切り残し部62は、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10と取付板50の間に挟持され、緩衝効果を有するものである。取付板50の、切り残し部62と凹部64に交差する一対の側縁部は、略直角に折り曲げられ梱包用箱52の内側面に当接する当接部58aとなる。
【0031】
この仕切材58を、凹部64が付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の、第4上方収容部28が設けられていない一辺に対向するようにセットする。透孔60には10の主体部12が露出し、梱包用箱52の内側面には当接部58aが当接し、がたつき無くセットされる。
【0032】
そして、仕切材58と付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の上に取付板50を載せる。取付板50は、前述のように、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10にコンパクトに重なり、製品38、第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44、取付板50が、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を介して、積載高を低くしてまとめられる。
【0033】
次に、取付板50の側縁部50cと梱包用箱52の内側面との間に形成される空間に、製品38に付属する部品46をセットする。部品46は仕切材48に嵌合されている。ここで部品46と仕切材48について説明する。部品46は配管用であり、例えば金属製で円筒形状である。仕切材48は四角柱形状であり、後述する仕切材58の一対の当接部58aの内側に略水平に嵌合される大きさである。仕切材48の上面には部品46が嵌合される円形の透孔が形成され、透孔は、上面に隣接する側面に連通してスリット状に開口しても良い。
【0034】
取付板50と部品46の上に板状の緩衝材66を載せる。そして、梱包用箱52の蓋を閉鎖し、梱包が完了する。
【0035】
なお、仕切材48,58、梱包用箱52、緩衝材54,56,66は、各々段ボールで作られてもよい。梱包の工程は上記以外でも良く、梱包用箱52の中に、予め付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を介して互いにコンパクトに重ねられた製品38、第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44、取付板50を梱包用箱52に入れ、次に仕切材58、部品46と仕切材48、緩衝材66を入れてもよい。
【0036】
この実施形態の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10によれば、製品38と、複数個の付属品である第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44、取付板50を、積載高を低くコンパクトに梱包可能であり、輸送効率を上げることができる。上方に開口する第1上方収容部22、第2上方収容部24、第3上方収容部26、第4上方収容部28と、下方に開口する下方収容部20が設けられ、製品38の上に複数個の付属品を効率よく重ねることができる。複数個の付属品が付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10の柔軟性により緩衝性を有して収容され、安全に輸送することができ、各付属品用の緩衝材が不要である。付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10にはリブ15,32,34が多数設けられ、下方の製品38と、上方の付属品の間に隙間が作られ緩衝的に仕切られ、運搬の際の振動を受けても傷がつくことが無く安全である。
【0037】
その他、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10は、真空成型を用いて簡単で安価に製造することができる。リブ15,32,34が多数設けられ、薄型で軽量でありながら強度が高く、歪みを防止することができ、持ち運び性が良好である。真空成型で薄型に形成され、適度な柔軟性を有するため、リブ15,32,34や凸部31等で製品38や取付板50にフィットすることができ、緩衝効果が高い。
【0038】
特に、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10は、付属品を確実に仕切って収容し、搬送性が良好であるため、複数個の付属品を集めて配置する配膳と梱包の両方を行うことができ、梱包作業を効率化する。作業者は、従来のような付属品を集めて載せる配膳用トレイに付属品を載せ、集めた付属品を付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの所定位置に移す工程を省略することができ、作業効率を上げることができる。作業工程が少ないため、付属品の紛失を防ぐことができる。
【0039】
第1上方収容部22、第2上方収容部24、第3上方収容部26は、互いに上面30で仕切られて独立し、各々第1付属品40、第2付属品42、第3付属品44の形状をわずかな隙間で収容する形状であり、収容する数と同じ個数が形成されているため、集荷作業が容易である。さらに、不足している付属品の確認が容易に可能であり、梱包し忘れを防ぎ、不要な物品や同じものを2個入れる等の間違いを防ぐことができる。
【0040】
付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10に複数個の付属品をセットした後に、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10を互いに重ねてスタッキングすることが可能で、作業の効率が良い。付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10は、付属品をセットする前の空の状態ではネスティングが可能であり、保管に必要なスペースを圧縮することができる。
【0041】
また、付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ10は透明な樹脂で作られているため、例えば部品をセットした写真上に載せて、裏側の写真を視認しながら部品を入れることができ、作業の正確性を向上させ、製品38に確実に載置されたことを、上方から目視で確認することができる。その他、マーク18が設けられ、管理しやすく、梱包用箱52に入れる向きを揃えることができる。
【0042】
なお、この実施形態の付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイは、上記実施の形態に限定されるものではなく、上方収容部の数や形状は適宜変更可能であり、付属品の数や形状に合わせるものである。下方収容部の形状や数も、適宜変更可能であり、上記の製品以外の梱包に用いることもできる。付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイの材料は上記以外でも良く、色や透明度等、自由に設定することができる。上方収容部に製品を収容し、下方収容部に付属品や取付板を収容してもよい。主体部は使用状態で水平以外でも良く、収容する物品に合わせて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 付属部品セット配膳兼出荷用真空成形トレイ
12 主体部
14 側面部
15,32,34 リブ
20 下方収容部
22 第1上方収容部
24 第2上方収容部
26 第3上方収容部
28 第4上方収容部
30 上面
38 製品
40 第1付属品
42 第2付属品
44 第3付属品
50 取付板