(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ドアの自動閉鎖装置
(51)【国際特許分類】
E05F 1/10 20060101AFI20221025BHJP
E05F 3/00 20060101ALI20221025BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20221025BHJP
A47F 3/04 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
E05F1/10
E05F3/00 Z
E05F5/00 C
A47F3/04 E
(21)【出願番号】P 2019027033
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000155207
【氏名又は名称】株式会社明工
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】石井 正典
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-118179(JP,A)
【文献】特開2006-115920(JP,A)
【文献】特開2003-193740(JP,A)
【文献】特開2018-035650(JP,A)
【文献】特開2017-095902(JP,A)
【文献】特表2008-539346(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1884614(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2005/125947(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00-13/04
E05F 17/00
A47F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口枠部に対して、一側端部の上下部に設けられた支軸が軸受され、鉛直軸回りに開閉自在に設けられたドアを開状態から自動的に閉鎖させるドアの自動閉鎖装置であって、
前記自動閉鎖装置は、前記支軸の近傍において前記開口枠部に固定された支持金具と、前記支持金具に対して鉛直軸回りに回動自在に設けられるとともに、部材長手方向に沿って細長い係止溝が形成されたアーム片と、前記ドアの上框の上面又は下框の下面に設けられるとともに、前記係止溝に係止するピン部材と、前記支持金具と前記アーム片とを繋ぎ、付勢力によりドアに閉鎖方向の力を与えるバネ部材とを備えるとともに、
前記アーム片に固設されたピストン式ダンパと、前記ピン部材によって鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、前記アーム片をスライド可能に保持し、かつ前記ピストン式ダンパのピストンが当接するピストン当接部が形成されたダンパ受けブロックとを備えたことを特徴とするドアの自動閉鎖装置。
【請求項2】
開口枠部に対して、一側端部の上下部に設けられた支軸が軸受され、鉛直軸回りに開閉自在に設けられたドアを開状態から自動的に閉鎖させるドアの自動閉鎖装置であって、
前記自動閉鎖装置は、前記支軸の近傍において前記開口枠部に固定された支持金具と、前記支持金具に対して鉛直軸回りに回動自在に設けられるとともに、回転軸側の上段水平部と、先端側の下段水平部とが鉛直壁面を介して段状に連続し、かつ前記下段水平部に部材長手方向に沿って細長い係止溝が形成されたアーム片と、前記ドアの上框の上面又は下框の下面に設けられるとともに、前記係止溝に係止するピン部材と、前記支持金具と前記アーム片とを繋ぎ、付勢力によりドアに閉鎖方向の力を与えるバネ部材とを備えるとともに、
前記ピン部材によって鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、前記アーム片の下段水平部をスライド可能に支持し、かつピストン式ダンパを保持するダンパ保持ブロックを備え、前記アーム片の鉛直壁面が前記ピストン式ダンパの当接面となっていることを特徴とするドアの自動閉鎖装置。
【請求項3】
前記自動閉鎖装置は、ドアの上框と前記開口枠部の上枠との間の空間領域に配設されている請求項1、2いずれかに記載のドアの自動閉鎖装置。
【請求項4】
前記ピストン式ダンパのピストンは、ドア閉鎖状態から所定の開き角度までの区間は前記ダンパ受けブロック又は前記アーム片の鉛直壁面に当接する状態とし、それ以上の開き角度区間では前記ダンパ受けブロック又は前記アーム片の鉛直壁面から離間する状態としている請求項1~3いずれかに記載のドアの自動閉鎖装置。
【請求項5】
前記支持金具は、ドアの支軸を支持する軸受部を備えている請求項1~4いずれかに記載のドアの自動閉鎖装置。
【請求項6】
少なくとも前記ピストン式ダンパは任意に取り外し可能としてある請求項1~5いずれかに記載のドアの自動閉鎖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にはコンビニエンスストア等において、飲料水や食料品などの冷蔵又は冷凍商品を陳列する保冷ショーケースなどのドアに好適に用いられる自動閉鎖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンビニエンスストア等では、ペットボトル飲料水や缶入り飲料水、食料品などの冷蔵又は冷凍を商品を陳列する保冷ショーケースが設置されている。この保冷ショーケースのドアは、ショーケース内の温度上昇を防ぐため及び購入者が開閉操作を容易化するために、ドアを開いて商品を取り出した後にドアを離すと自動的に閉鎖するようにした自動閉鎖装置が設けられている。また、通常は、店員などが商品を陳列棚に並べる際の便宜を図るため、ドアをほぼ90度近く開いた場合に、ドアの開状態を保持するための開放維持機構も設けられている。
【0003】
前記ドアの自動閉鎖装置としては、例えば下記特許文献1には、ドアをドア取付用のフレームにヒンジを介して開閉可能に枢支し、これらドアとフレームとの間にはスプリング体がフレームに設置したピンとヒンジ中心からドアの閉鎖する側に10~100mm偏位して設けたドア側のピンとの間に設けてあり、これらピン間に作用するスプリング体の反発力によりドアをヒンジ中心に回動させて自動閉鎖するように構成したドアの自動閉鎖機構が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、構造物の開口部に開閉自在に取り付けられたドアと、このドアの端部と前記開口部との隙間に設置された自動閉鎖開放維持機構とを備え、前記自動閉鎖開放維持機構は、一端が前記開口部に連結された荷重負荷手段(引張バネ等)と、この荷重負荷手段の他端が連結されかつ前記ドアの開口部に所定の軸を中心に回動自在に取り付けられかつ前記ドアの一部と連結されたプレートとを有し、前記荷重負荷手段による力によって前記プレートが前記軸周りに所定のモーメントを発生し、このモーメントが前記ドアの開き具合に応じて、前記プレートと前記ドアとが連結された部位において前記ドアを開放または閉鎖するように作用する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-118179号公報
【文献】特開2006-115920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に係る自動閉鎖機構の場合は、スプリング体の反発力によるドア閉鎖力が常時作用している状態にある。そのため、ドアを大きく開いた状態から自動閉鎖させると、ドアの閉鎖に勢いが付き、ドアが全閉される際にドアがドア枠に衝突する衝撃が大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、前記特許文献2に係る自動閉鎖開放維持機構の場合も全く同様であり、荷重負荷手段(引張バネ等)によるドア閉鎖力が常時作用している状態にあるためドアを閉める際の衝撃が大きいという問題があった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、ドアが自動的に閉鎖される際に、ドアがゆっくりと閉まるようにして閉鎖時の衝撃を低減したドアの自動閉鎖装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、開口枠部に対して、一側端部の上下部に設けられた支軸が軸受され、鉛直軸回りに開閉自在に設けられたドアを開状態から自動的に閉鎖させるドアの自動閉鎖装置であって、
前記自動閉鎖装置は、前記支軸の近傍において前記開口枠部に固定された支持金具と、前記支持金具に対して鉛直軸回りに回動自在に設けられるとともに、部材長手方向に沿って細長い係止溝が形成されたアーム片と、前記ドアの上框の上面又は下框の下面に設けられるとともに、前記係止溝に係止するピン部材と、前記支持金具と前記アーム片とを繋ぎ、付勢力によりドアに閉鎖方向の力を与えるバネ部材とを備えるとともに、
前記アーム片に固設されたピストン式ダンパと、前記ピン部材によって鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、前記アーム片をスライド可能に保持し、かつ前記ピストン式ダンパのピストンが当接するピストン当接部が形成されたダンパ受けブロックとを備えたことを特徴とするドアの自動閉鎖装置が提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明は、自動閉鎖装置の第1形態例を示したものである。
【0011】
自動閉鎖装置は、ドアの支軸の近傍において前記開口枠部に固定された支持金具と、前記支持金具に対して鉛直軸回りに回動自在に設けられるとともに、部材長手方向に沿って細長い係止溝が形成されたアーム片と、前記ドアの上框の上面又は下框の下面に設けられるとともに、前記係止溝に係止するピン部材と、前記支持金具と前記アーム片とを繋ぎ、付勢力によりドアに閉鎖方向の力を与えるバネ部材とを備える。このような構造の自動閉鎖装置自体は、いわゆるバネによる付勢力を利用した自動閉鎖装置であり、公知の構造である。
【0012】
本願発明では、上記自動閉鎖装置において、更に前記アーム片に固設されたピストン式ダンパと、前記ピン部材によって回動自在に支持されるとともに、前記アーム片をスライド可能に保持し、かつ前記ピストン式ダンパのピストンが当接するピストン当接部が形成されたダンパ受けブロックとを備えるようにしてある。
【0013】
従って、商品を取り出すためにドアを開いた状態から手を離すとバネの付勢力によりドアが自動的に閉鎖されるようになるが、前記ピストン式ダンパによってドアの閉鎖方向の力が減衰されるため、ドアがゆっくりと閉まるようになるとともに、閉鎖時の衝撃を大幅に低減することが可能となる。
【0014】
請求項2に係る本発明として、開口枠部に対して、一側端部の上下部に設けられた支軸が軸受され、鉛直軸回りに開閉自在に設けられたドアを開状態から自動的に閉鎖させるドアの自動閉鎖装置であって、
前記自動閉鎖装置は、前記支軸の近傍において前記開口枠部に固定された支持金具と、前記支持金具に対して鉛直軸回りに回動自在に設けられるとともに、回転軸側の上段水平部と、先端側の下段水平部とが鉛直壁面を介して段状に連続し、かつ前記下段水平部に部材長手方向に沿って細長い係止溝が形成されたアーム片と、前記ドアの上框の上面又は下框の下面に設けられるとともに、前記係止溝に係止するピン部材と、前記支持金具と前記アーム片とを繋ぎ、付勢力によりドアに閉鎖方向の力を与えるバネ部材とを備えるとともに、
前記ピン部材によって鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、前記アーム片の下段水平部をスライド可能に支持し、かつピストン式ダンパを保持するダンパ保持ブロックを備え、前記アーム片の鉛直壁面が前記ピストン式ダンパの当接面となっていることを特徴とするドアの自動閉鎖装置が提供される。
【0015】
上記請求項2記載の発明は、自動閉鎖装置の第2形態例を示したものである。
【0016】
本願発明では、所謂バネによる付勢力を利用した公知の自動閉鎖装置において、さらに前記ピン部材によって鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、前記アーム片の下段水平部をスライド可能に支持し、かつピストン式ダンパを保持するダンパ保持ブロックを備え、前記アーム片の鉛直壁面が前記ピストン式ダンパの当接面となっているものである。
【0017】
従って、商品を取り出すためにドアを開いた状態から手を離すとバネの付勢力によりドアが自動的に閉鎖されるようになるが、前記ピストン式ダンパによってドアの閉鎖方向の力が減衰されるため、ドアがゆっくりと閉まるようになるとともに、閉鎖時の衝撃を大幅に低減することが可能となる。
【0018】
請求項3に係る本発明として、前記自動閉鎖装置は、ドアの上框と前記開口枠部の上枠との間の空間領域に配設されている請求項1、2いずれかに記載のドアの自動閉鎖装置が提供される。
【0019】
上記請求項3記載の発明は、前記自動閉鎖装置の配設位置について規定したものである。自動閉鎖装置は、ドアの上框と前記開口枠部の上枠との空間領域又はドアの下框と前記開口枠部の下枠との空間領域に配設することが可能であるが、後者の場合は、ドアよりも外側に自動閉鎖装置の構成部材の一部が突出することになるため、前者のドアの上框と前記開口枠部の上枠との空間領域に配設することが望ましい。
【0020】
請求項4に係る本発明として、前記ピストン式ダンパのピストンは、ドア閉鎖状態から所定の開き角度までの区間は前記ダンパ受けブロックに当接する状態とし、それ以上の開き角度区間では前記ダンパ受けブロックから離間する状態としている請求項1~3いずれかに記載のドアの自動閉鎖装置が提供される。
【0021】
上記請求項4記載の発明では、前記ピストン式ダンパのピストンは、ドア閉鎖状態から所定の開き角度までの区間は前記ダンパ受けブロック又は前記アーム片の鉛直壁面に当接する状態とし、それ以上の開き角度区間では前記ダンパ受けブロック又は前記アーム片の鉛直壁面から離間する状態とするものである。
【0022】
従って、前記それ以上の開き角度区間では前記ピストン式ダンパの減衰力は作用しないため、ドアが相対的に速い速度で閉動作するようになり、前記ドア閉鎖状態から所定の開き角度までの区間、すなわち前記所定の開き角度から全閉されるまでの区間だけピストン式ダンパが効いた状態となるため、この区間だけドアがゆっくり閉動作するようになる。そのため、前記それ以上の開き角度区間ではドアが相対的に速い速度で閉動作させることができ、保冷ショーケース内の冷気が外に逃げ出して省エネルギー効率が低下するのを極力防止できるようになる一方、ドアが全閉する少し手前からダンパーの減衰力が効きはじめてドアをゆっくりと閉まるようになるとともに、閉鎖時の衝撃を大幅に低減することが可能となる。
【0023】
請求項5に係る本発明として、前記支持金具は、ドアの支軸を支持する軸受部を備えている請求項1~4いずれかに記載のドアの自動閉鎖装置が提供される。
【0024】
上記請求項5記載の発明は、前記支持金具に対して、ドアの支軸を支持する軸受部を備えるようにしたものである。従って、ドアの支軸の位置とその他の部材との相対的位置関係、例えばドアの支軸の位置と前記アーム片の支持金具に対する連結位置との位置関係を精度良く位置決めすることが可能となる。
【0025】
請求項6に係る本発明として、少なくとも前記ピストン式ダンパは任意に取り外し可能としてある請求項1~5いずれかに記載のドアの自動閉鎖装置が提供される。
【0026】
上記請求項6記載の発明は、少なくとも前記ピストン式は任意に取り外し可能としたものである。クライアントによっては、ドアがゆっくりと閉まる機構を望まない場合もあるため、これに対応可能としたものである。
【発明の効果】
【0027】
以上詳説のとおり本発明によれば、ドアが自動的に閉鎖される際に、ドアがゆっくりと閉まるようにして閉鎖時の衝撃を低減したドアの自動閉鎖装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】自動閉鎖装置1を備えたドアの斜視図である。
【
図3】自動閉鎖装置1を示す、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【
図5】自動閉鎖装置1の作動状態(その1)を示す平面図である。
【
図6】自動閉鎖装置1の作動状態(その2)を示す平面図である。
【
図7】自動閉鎖装置1の作動状態(その3)を示す平面図である。
【
図8】自動閉鎖装置1の作動状態(その4)を示す平面図である。
【
図9】第2形態例に係る自動閉鎖装置1Aを備えたドアの斜視図である。
【
図10】自動閉鎖装置1Aを示す、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0030】
〔第1形態例〕
図1はコンビニエンスストアなどに設置された保冷ショーケース2の正面図であり、保冷ショーケース正面の開口枠部に両開きで左右一対のドア3,3が設けられている。本形態例ではこの両開きのドア3,3に対して、本発明に係る自動閉鎖装置1を適用した例について述べる。
【0031】
前記保冷ショーケース2は、ペットボトル飲料水や缶入り飲料水などが多段の陳列棚に配列されたものであり、正面の開口枠部2A対して、左右それぞれの側に、一側端部の上下部に設けられた支軸3A、3Bが軸受され、鉛直軸回りに開閉自在にドア3が設けられた構造を成しているものである。
【0032】
そして、ドア3の上框3aと前記開口枠部2Aの上枠2aとの間の空間領域に前記自動閉鎖装置1が配設されている。なお、自動閉鎖装置1はドア3の下框と前記開口枠部2aの下枠との空間領域に配設することも可能であるが、自動閉鎖装置1の部品が外側に突出すると足を引っ掛ける可能性もあり危険であるため、自動閉鎖装置1はドア3の上框3aと前記開口枠部2Aの上枠2aとの間の空間領域に配設することが望ましい。
【0033】
前記自動閉鎖装置1は、
図2~
図4に示されるように、前記支軸3Aの近傍において前記開口枠部3Aに固定された支持金具4と、前記支持金具4に対して鉛直軸回りに回動自在に設けられるとともに、部材長手方向に沿って細長い係止溝5bが形成されたアーム片5と、前記ドア3の上框3aの上面に設けられるとともに、前記係止溝5aに係止するピン部材6と、前記支持金具4と前記アーム片5とを繋ぎ、付勢力によりドア3に閉鎖方向の力を与えるバネ部材7とを備えるとともに、本装置では特に、前記アーム片5に固設されたピストン式ダンパ8と、前記ピン部材6によって回動自在に支持されるとともに、前記アーム片5をスライド可能に保持し、かつ前記ピストン式ダンパ8のピストン8aが当接するピストン当接部9Bが形成されたダンパ受けブロック9とを備えた構造のものである。
【0034】
以下、更に具体的に詳述する。
【0035】
前記支持金具4は、詳細には
図4に示されるように、断面L字状の軸受支持部4Aと、これに連設されたアーム片支持部4Bとからなる。前記軸受支持部4Aは起立部に4つのボルト孔4aを有し、水平部にドア3の支軸3Aを保持する軸受孔4bを有する部材である。前記ボルト孔4aに対してボルトを螺入し開口枠部3Aに支持金具4が固定されるようになっている。前記軸受孔4bにドア3の支軸3Aが嵌合支持され、ドア3が鉛直軸回りに開閉自在に支持されるようになっている。
【0036】
前記アーム片支持部4Bは、前記軸受支持部4Aに対してドア3の戸先側寄りに隣接する位置に取り付けらた平板状の部材である。前記アーム片支持部4Bの室内側(ドア3の開き側)位置にアーム片5を軸支するための開孔4cが形成されているとともに、奥側(保冷ショーケース側)の下面にバネ部材7の一端を掛止させる支持側掛け軸11が設けられている。前記開孔4cには、アーム連結ネジ12が螺合されることにより前記アーム片5が一端で鉛直軸回りに回動自在に支持されるようになっている。なお、前記アーム連結軸12の螺合に際して、回転を円滑にするために、前記アーム連結ネジ12のネジ部にブッシュ13が外嵌されるとともに、ワッシャ14が外嵌されている。
【0037】
前記アーム片5は、平面視で略直線状の細長い板材が用いられ、回転軸側の上段水平部5Aと、先端側の下段水平部5Bとが段状に連続するように曲げ加工されている。前記上段水平部5Aの基端には軸挿通孔5aが設けられ、前記アーム連結ネジ12及びブシュ13が挿通されることによってアーム片支持部4Bに対して連結される。先端側に所定距離だけ離間した位置であって下面側にバネ部材7の他端を掛止させるアーム側掛け軸15が設けられている。
【0038】
そして、このアーム側掛け軸15と、前記アーム片支持部4Bの支持側掛け軸11との間に前記バネ部材7が掛け渡されている。
図3(B)の平面図で明確に分かるように、前記バネ部材7は、前記アーム片5の中間位置とアーム連結ネジ12よりも奥側(保冷ショーケース側)の位置との間に掛け渡されているため、このバネ部材7によってドア3を開いた際に、ドア3を閉鎖させる方向の回転モーメントを発生させるようになり、ドア3を自動的に閉鎖させる。なお、前記アーム片5を側面視で階段状に曲げ加工し、上段水平部5Aとドア3の上框3a上面との間に空間を形成したのは前記バネ部材7の配設空間を確保するためである。
【0039】
前記上段水平部5Aには、奥側の一辺から垂直に垂下するダンパ取付け板16が設けられている。このダンパ取付け板16に対して前記ピストン式ダンパ8が取り付けられている。このピストン式ダンパ8は、オイルがシリンダー内に封入され、ピストンの伸縮に伴うオイルの移動抵抗によって制動力を与えるものである。前記オイルに代えてエアを封入したエア式ダンパとしてもよい。また、ピストン8aはシリンダー内に配置されたバネによって突出方向に付勢されており、ドア3を開操作に伴って徐々にピストン8aが突出するようになる。そして、ドア3を閉操作した際に、前記ピストン8aが没入するに伴ってドア3に対して制動力を与えるようになっている。
【0040】
前記ピストン式ダンパ8の取付けは、ダンパホルダ10を介して行われている。このダンパホルダ10は、
図4に示されるように、先端側端面に開口部を有するように、ピストン式ダンパ8のシリンダ部分を嵌入保持する筒状孔10aを有し、側面部分に前記筒状孔10aに連通する窓部10bを有し、そのアーム片5側の壁面にボルト通孔10cを有する部材である。前記窓部10bを通してネジ20を挿入し、ボルト通孔10cを通して前記ダンパ取付け板16に固定されるようになっている。ピストン式ダンパ8は前記筒状孔10aにシリンダ部分8bを挿入することにより固定保持されるようになっている。
【0041】
前記アーム片5の下段水平部5Bには、部材長手方向に沿って細長い係止溝5bが形成されている。この掛止溝5bには、前記ドア3の上框3aの上面に設けられたピン部材6が係止するようになっている。そして、ドア3の開閉に伴って前記ピン部材6が前記係止溝5bに沿ってスライドするようになっており、ドア3の開閉操作をガイドするようになっている。
【0042】
前記ピン部材6に対しては、前記ダンパ受けブロック9が鉛直軸回りに回動自在に支持されている。前記ダンパ受けブロック9は、平板状の基板部9Aと、この基板9Aの一部(側部)の上面から上方に突出するように、前記ピストン式ダンパ8のピストン8aが当接するピストン当接部9Bが設けられている。前記基板部9Aの上面には前記アーム片5の下段水平部5Bをスライド可能に保持するために凹溝状のアーム保持部9aが設けられている。このアーム保持部9aの底面よりもアーム片5の厚み分だけ高い位置に複数の、図示例では4つの抜止め用爪片9c、9c…が設けられており、前記アーム片5の下段水平部5Bが上方側に抜脱しないように保持するようになっている。
【0043】
前記ダンパー受けブロック9のアーム保持部9aの吊元寄り側の位置に前記ピン部材6が貫通するピン貫通孔9bが設けられており、このダンパ受けブロック9はピン部材6に支持された状態で前記アーム片5とドア上框3aとの間に配設され、前記アーム片5をスライド可能に保持するようになっている。
【0044】
一方、前記ダンパー受けブロック9のピストン当接部9Bは前記アーム保持部9aに隣接する奥側位置に設けられており、前記ピストン当接部9Bの吊元側端面に隣接する位置に前記ピストン式ダンパ8が直列的に配設されており、
図3(B)に示されるように、ドア3を全閉した状態ではピストン8aがシリンダ8b内に概ね没入した状態となっている。そして、ドア3を徐々に開放するように開いていくと、ドア3の回転軸(支軸3A)の位置よりもアーム片5の回転軸(アーム連結ネジ12)が戸先側に位置している位置関係によって、前記シリンダ8bの先端が描く軌跡Aと、前記ピストン当接部9Bの当接面が描く軌跡Bとの間の距離Gがドアの開操作に伴って徐々に大きくなるようになっている。
【0045】
〔自動閉鎖装置の作動〕
次に、ドア3の開閉操作に伴う前記自動閉鎖装置1の作動について詳述する。
【0046】
先ず、
図5はドア3が全閉された状態の平面図である。前述したように、この閉鎖状態では、ピストン8aがシリンダ8b内に概ね没入した状態となっている。また、ピン部材6の係止溝内での位置は最もドアの吊元側に位置している。
【0047】
この状態からドア3を開操作すると、
図6に示されるように、ピストン式ダンパ8のピストン8aが最大突出量となるドアの開き角度α(度)までの区間はピストン8aがドアの開操作に伴って徐々に突出していき、ピストン8aの先端は前記ダンパ受けブロック9に当接した状態となっている。また、ドアの開操作に伴って、ピン部材6は徐々に戸先側に移動する。
【0048】
前記ドア3が前記開き角度α(度)を越えてそれ以上の開き角度となった場合は、
図7にも示されるように、ピストン式ダンパ8のピストン8aはそれ以上突出することができないため前記ダンパ受けブロック9から離間するようになる。そして、バネ部材7の中心線がアーム片5の回転軸(アーム連結ネジ12)の直上に来た状態がバネ部材7が最も伸びた状態となる。
【0049】
ドア3は、
図7に示される状態から更に僅かだけ開くことができるようになっており、
図8に示されるように、バネ部材7の中心線がアーム片5の回転軸(アーム連結ネジ12)を越えた位置になると、バネ部材7による付勢力は今までとは逆に、ドア3を開く方向に作用するようになるため、ドア3を全開状態で保持できるようになる。
【0050】
今度は逆に、ドア3を閉める際の作動状態について説明すると、ドア3を
図6に示される開き角度α(度)を越え、
図7に示される開き角度状態までの区間の状態でドア3から手を離すと、バネ部材7の付勢力によってドアが自動的に閉鎖されるようになるが、ドア3が開き角度α(度)まで閉まると、ピストン式ダンパ8のピストン8aの先端がダンパ受けブロック9に当接するようになり、ピストン式ダンパ8による制動力が効きはじめ、ドア3の閉鎖方向の力が減衰されるため、ドアがゆっくりと閉まるようになるとともに、閉鎖時の衝撃を大幅に低減することが可能となる。
【0051】
なお、ドア3が
図8に示される開放保持状態にある場合は、手動によりドア3を少しだけ閉操作し、
図7に示される開き状態よりも閉じると、あとはバネ部材7による付勢力によって、前述したような作動によって、ドア3は自動的に閉鎖される。
【0052】
〔第2形態例〕
次に、ドアの自走閉鎖装置の第2形態例について、
図8~
図10に基づいて詳述する。
【0053】
第2形態例に係る自動閉鎖装置1Aは、ドア3の支軸3Aの近傍において前記開口枠部3Aに固定された支持金具4と、前記支持金具4に対して鉛直軸回りに回動自在に設けられるとともに、部材長手方向に沿って細長い係止溝17bが形成されたアーム片17と、前記ドア3の上框3aの上面に設けられるとともに、前記係止溝17aに係止するピン部材6と、前記支持金具4と前記アーム片5とを繋ぎ、付勢力によりドア3に閉鎖方向の力を与えるバネ部材7とを備える点は上記第1形態例と同様である。本装置では特に、前記ピン部材6によって鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、前記アーム片17の下段水平部17Bをスライド可能に支持し、かつピストン式ダンパ8を保持するダンパ保持ブロック18を備え、前記アーム片17の一部が前記ピストン式ダンパ8の当接面となっている構造としたものである。これによって部材点数が削減されている。
【0054】
以下、第1形態例と異なる点について重点的に説明を行い、同部材について同符号を付して説明を省略する。
【0055】
先ず、第2形態例における前記アーム片17は、平面視で略直線状の細長い板材が用いられ、回転軸側の上段水平部17Aと、先端側の下段水平部17Bとが鉛直壁面17Cを介して段状に連続した構造となっている。前記鉛直壁面17Cは、後述するように、ピストン式ダンパ8の当接面を構成している。
【0056】
前記上段水平部5Aの基端には軸挿通孔17aが設けられ、前記アーム連結ネジ12及びブシュ13が挿通されることによってアーム片支持部4Bに対して連結される。先端側に所定距離だけ離間した位置であって下面側にバネ部材7の他端を掛止させるアーム側掛け軸15が設けられ、このアーム側掛け軸15と、前記アーム片支持部4Bの支持側掛け軸11との間に前記バネ部材7が掛け渡されている。
【0057】
一方、前記アーム片17の下段水平部17Bには、部材長手方向に沿って細長い係止溝17bが形成されている。この掛止溝17bには、前記ドア3の上框3aの上面に設けられたピン部材6が係止するようになっている。そして、ドア3の開閉に伴って前記ピン部材6が前記係止溝17bに沿ってスライドするようになっており、ドア3の開閉操作をガイドするようになっている。
【0058】
前記ピン部材6に対しては、前記ダンパ保持ブロック18が鉛直軸回りに回動自在に支持されている。前記ダンパ保持けブロック18は、平板状の基板部18Aと、この基板18Aの一部(側部)の上面から上方に突出するように、前記ピストン式ダンパ8を嵌入保持するダンパ保持部18Bが設けられている。前記基板部18Aの上面には前記アーム片17の下段水平部17Bをスライド可能に保持するために凹溝状のアーム保持部18aが設けられている。このアーム保持部18aの底面よりもアーム片17の厚み分だけ高い位置に複数の、図示例では4つの抜止め用爪片18c、18c…が設けられており、前記アーム片17の下段水平部18Bが上方側に抜脱しないように保持するようになっている。
【0059】
前記ダンパー保持ブロック18のアーム保持部18aの吊元寄り側の位置に前記ピン部材6が貫通するピン貫通孔18bが設けられており、このダンパ保持ブロック18はピン部材6に支持された状態で前記アーム片5とドア上框3aとの間に配設され、前記アーム片17をスライド可能に保持するようになっている。
【0060】
一方、前記ダンパー保持ブロック18のダンパ保持部18Bには、ピストン8aの先端を前記アーム片17の鉛直壁面17Cに向けた状態でピストン式ダンパが嵌入保持されるようになっている。
図10(B)に示されるように、ドア3を全閉した状態ではピストン8aがシリンダ8b内に概ね没入した状態となっている。そして、ドア3を徐々に開放するように開いていくと、ドア3の回転軸(支軸3A)の位置よりもアーム片17の回転軸(アーム連結ネジ12)が戸先側に位置している位置関係によって、前記シリンダ8bの先端が描く軌跡Aと、前記ピストン8aの当接面(鉛直壁面17C)が描く軌跡Bとの間の距離Gがドアの開操作に伴って徐々に大きくなるようになっている。
【0061】
本第2形態例におけるピストン式ダンパ8と、このピストン式ダンパ8のピストン8aが当接する鉛直壁面17Cとの相対的な位置関係(離隔距離)は、第1形態例におけるピストン式ダンパ8と、このピストン式ダンパのピストン8aが当接するピストン当接部9Bとの相対的な位置関係(離隔距離)とピストン式ダンパ8の向きが正反逆の関係にあっても基本的に同じであるため、ドア3の開閉に伴う自動閉鎖装置1Aの作動状況は第1形態例の場合と全く同様となる。
【0062】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、開口枠部に左右一対のドア3,3が設けられた両開きのドア3の例について詳述したが、ドア3は片開きであっても全く同様に適用が可能である。
【0063】
(2)上記形態例では、コンビニエンスストアなどに設置された保冷ショーケース2のドアの例について詳述したが、本発明は通常のドア一般に適用が可能である。
【0064】
(3)上記形態例において、前記ピストン式ダンパ8はいずれの形態例でも取り外し可能となっている。クライアント側の要望によっては、ドアがゆっくりと閉まる機構を望まない場合もあるため、前記ピストン式ダンパ8は容易に取り外し可能としてある。
【符号の説明】
【0065】
1…自動閉鎖装置、2…開口枠部、3…ドア、3a…上框、3A…支軸、4…支持金具、4A…軸受支持部、5…アーム片、5b…係止溝、6…ピン部材、7…バネ部材、8…ピストン式ダンパ、8a…ピストン、8b…シリンダ、9…ダンパ受けブロック、9A…基板部、9B…ピストン当接部、10…ダンパホルダ、11…支持側掛け軸、12…アーム連結ネジ、13…ブシュ、14…ワッシャ、15…アーム側掛け軸、16…ダンパ取付け板、17…アーム片、18…ダンパ保持ブロック