(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】心電図リアルタイム伝送システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/318 20210101AFI20221025BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A61B5/318
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2020159762
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】520371574
【氏名又は名称】株式会社グッドケア
(73)【特許権者】
【識別番号】503277916
【氏名又は名称】ENWA株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520371585
【氏名又は名称】株式会社ハンマウムビジョン
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】束原 幸俊
(72)【発明者】
【氏名】岡田 修
(72)【発明者】
【氏名】チョ・チャンヒョク
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-210420(JP,A)
【文献】特開2005-095469(JP,A)
【文献】特開平05-220122(JP,A)
【文献】特開2018-029964(JP,A)
【文献】特開2020-156689(JP,A)
【文献】特開2013-119014(JP,A)
【文献】特開平10-334161(JP,A)
【文献】国際公開第2012/165381(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/24-398
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に取り付けられて当該被検者の12誘導の心電信号を取得し、その心電信号をその計測時刻と対応させた心電図とする心電図作成手段と、
該心電図作成手段からの心電図を受けて医療従事者に向けてリアルタイムで表示する心電図表示手段と、
該心電図表示手段により表示される心電図を見る医療従事者の指示により指示信号を発する心電図データ転送指示手段と、
該心電図データ転送指示手段からの指示信号を受けたとき、前記心電図作成手段で作成された心電図データを所定時間分遡って、若しくは前記指示信号を受けた後、前記心電図作成手段で作成された所定時間分の心電図データを保存するデータ保存手段と、
該データ保存手段にて保存された心電図データを受けて医療従事者に向けて静止した心電図として表示する静止画表示手段と、
被検者若しくは当該被検者を介護する介護者の指示により指示信号を発する心電図表示指示手段と、を備え、
前記データ保存手段は、前記心電図表示指示手段からの指示信号を受けたとき、前記心電図作成手段で作成された心電図データを所定時間分遡って、若しくは前記指示信号を受けた後、前記心電図作成手段で作成された所定時間分の心電図データを保存し、
前記静止画表示手段は、前記データ保存手段にて保存された心電図データを静止した心電図として表示する
心電図リアルタイム伝送システム。
【請求項2】
請求項
1において、
前記心電図表示手段は、前記心電図作成手段の心電図をストリーミング配信により受けて表示し、
前記データ保存手段は、前記心電図作成手段にて作成された心電図の生データ及び画像データを保存し、
前記静止画表示手段は、心電図の生データ及び画像データを前記データ保存手段からダウンロードして表示する
心電図リアルタイム伝送システム。
【請求項3】
請求項1
又は2において、
病院外で、被検者の心電図以外の生体情報を取得する生体情報取得手段を備え、
前記心電図表示手段は、心電図を表示するに際し、前記生体情報取得手段により取得された生体情報を併せて表示し、
前記データ保存手段は、前記心電図データ転送指示手段又は心電図表示指示手段による指示信号を受けて、その時点に前記生体情報取得手段で取得した生体情報を保存し、
前記静止画表示手段は、心電図を表示するに際し、前記データ保存手段に保存された生体情報を併せて表示する
心電図リアルタイム伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図リアルタイム伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院外にいる患者の心電図を、病院内の医師にリアルタイムで送信するシステムが開発されている(特許文献1参照)。このシステムによれば、12誘導心電計により取得された心電図が、コンピュータネットワークを通じて医師のパソコン(表示端末ともいう)にリアルタイムで表示される。このシステムにより送信される心電図は、特定の医師に限られず、希望する複数の施設や担当者へ同時に送信可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、心電図の提供を受けた医師等の医療従事者が心電図の異常を感じたとしても心電図の画像は逐次変化しまうため、医師等の医療従事者が異常の判断を正確に行うことは困難である。
【0005】
本発明の課題は、2地点間で心電図をリアルタイムで伝送するシステムにおいて、医療従事者の指示に応じて心電図を静止状態で表示可能とすることにより、医療従事者が必要時に心電図を静止画像で見ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の心電図リアルタイム伝送システムは、被検者に取り付けられて当該被検者の12誘導の心電信号を取得し、その心電信号をその計測時刻と対応させた心電図とする心電図作成手段と、該心電図作成手段からの心電図を受けて医療従事者に向けてリアルタイムで表示する心電図表示手段と、該心電図表示手段により表示される心電図を見る医療従事者の指示により指示信号を発する心電図データ転送指示手段と、該心電図データ転送指示手段からの指示信号を受けたとき、前記心電図作成手段で作成された心電図データを所定時間分遡って、若しくは前記指示信号を受けた後、前記心電図作成手段で作成された所定時間分の心電図データを保存するデータ保存手段と、該データ保存手段にて保存された心電図データを受けて医療従事者に向けて静止した心電図として表示する静止画表示手段とを備える。
【0007】
第1発明によれば、医師等の医療従事者は、リアルタイムで心電図を監視し、その中で心電図に異常を感じるなどして、詳細な診断が必要と判断したときなど、任意に指示を発して静止画像により心電図を見ることができる。従って、医療従事者は、リアルタイムの心電図と静止画像の心電図を必要に応じて見ることができる。
【0008】
第2発明は、上記第1発明において、被検者若しくは当該被検者を介護する介護者の指示により指示信号を発する心電図表示指示手段を備え、前記データ保存手段は、前記心電図表示指示手段からの指示信号を受けたとき、前記心電図作成手段で作成された心電図データを所定時間分遡って、若しくは前記指示信号を受けた後、前記心電図作成手段で作成された所定時間分の心電図データを保存し、前記静止画表示手段は、前記データ保存手段にて保存された心電図データを静止した心電図として表示する。
【0009】
第2発明によれば、被検者若しくは当該被検者を介護する介護者が被検者の異常を感じるなどして、医師等の医療従事者に詳細な心電図に基づく診断をして欲しいときなど、任意に指示を発して医療従事者に静止画像による心電図を見て貰うことができる。
【0010】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記心電図表示手段は、前記心電図作成手段の心電図をストリーミング配信により受けて表示し、前記データ保存手段は、前記心電図作成手段にて作成された心電図の生データ及び画像データを保存し、前記静止画表示手段は、心電図の生データ及び画像データをダウンロードして表示する。
【0011】
第3発明によれば、心電図のリアルタイムの表示は、ストリーミング配信により行うことができる。また、心電図の静止画像による表示は、心電図の生データ及び画像データをダウンロードすることにより行うことができる。
【0012】
第4発明は、上記第1~第3発明のいずれかにおいて、被検者の心電図以外の生体情報を取得する生体情報取得手段を備え、前記心電図表示手段は、心電図を表示するに際し、前記生体情報取得手段により取得された生体情報を併せて表示し、前記データ保存手段は、前記心電図データ転送指示手段又は心電図表示指示手段による指示信号を受けて、その時点に前記生体情報取得手段で取得した生体情報を保存し、前記静止画表示手段は、心電図を表示するに際し、前記データ保存手段に保存された生体情報を併せて表示する。
【0013】
第4発明によれば、医療従事者に向けて心電図を表示するに際し、心電図以外の生体情報も併せて表示される。そのため、医療従事者は心電図に基づく被検者の診断をより精度高く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態における救急車両のタブレット端末の心電図作成プログラムの内容を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態における救急車両のタブレット端末の心電図表示プログラムの内容を示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態における医療機関のコンピュータの心電図表示プログラムの内容を示すフローチャートである。
【
図6】ストリーミング配信による心電図の表示画像例である。
【
図7】データ保存による心電図の表示画像例である。
【
図8】本発明の第2実施形態のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態の基本構成>
図1は、本発明の第1実施形態を機能ブロック図により示す。この実施形態の心電図リアルタイム伝送システムは、代表的には、病院外、例えば救急車両内にいる患者である被検者の心電図を、病院内にいる医師等の医療従事者に送信する場合に使用される。勿論、本発明の心電図リアルタイム伝送システムの使い方は、この使い方に限定されない。
【0016】
心電図作成手段は、被検者に取り付けられて当該被検者の12誘導の心電信号を取得し、その心電信号をその計測時刻と対応させた心電図とする。生体情報取得手段は、被検者の心電図以外の生体情報を取得する。心電図表示手段は、心電図作成手段からの心電図を受けて医療従事者に向けてリアルタイムで表示する。また、心電図表示手段は、心電図を表示するに際し、生体情報取得手段で取得された心電図以外の生体情報を併せて表示する。以上の構成により、医療従事者は、遠隔地にいる被検者の心電図を心電図以外の生体情報と共にリアルタイムで確認することができる。
【0017】
心電図データ転送指示手段は、心電図表示手段により表示される心電図を見る医療従事者の指示により心電図データ転送の指示信号を発する。データ保存手段は、心電図データ転送指示手段からの指示信号を受けたとき、心電図作成手段で作成された心電図データを所定時間分遡って保存する。このとき、生体情報取得手段で取得された生体情報も所定時間分遡ってデータ保存手段に保存する。静止画表示手段は、データ保存手段にて保存された心電図データ及び生体情報を受けて医療従事者に向けて静止した心電図として生体情報と共に表示する。以上の構成により、医療従事者は、リアルタイムで心電図を監視し、その中で心電図に異常を感じるなどして、詳細な診断が必要と判断したときなど、任意に指示を発して静止画像により心電図を生体情報と共に見ることができる。従って、医療従事者は、リアルタイムの心電図と静止画像の心電図を必要に応じて見ることができる。
【0018】
心電図表示指示手段は、被検者若しくは当該被検者を介護する介護者の指示により心電図表示の指示信号を発する。データ保存手段は、心電図表示指示手段からの指示信号を受けたとき、心電図作成手段で作成された心電図データを所定時間分遡って保存する。このとき、生体情報取得手段で取得された生体情報をデータ保存手段に保存する。静止画表示手段は、データ保存手段にて保存された心電図データを静止した心電図として生体情報と併せて表示する。以上の構成により、被検者若しくは当該被検者を介護する介護者が被検者の異常を感じるなどして、医師等の医療従事者に詳細な心電図に基づく診断をして欲しいときなど、任意に指示を発して医療従事者に静止画像による心電図を生体情報と共に見て貰うことができる。
【0019】
<第1実施形態のシステム構成>
図2は、上記実施形態を実現するためのシステム構成を示す。この場合、医療従事者がいる病院等の施設には、2つのコンピュータ5、6が設置されている。コンピュータ5、6は、必要性に応じて設置可能であり、いずれか一方のみでもよいし、コンピュータを3台以上としてもよい。一方、救急車両等、医療従事者がいる施設から遠隔の地にいる患者等の被検者の心電図を取得するために、携帯型心電計1が被検者に取り付けられている。携帯型心電計1は、12誘導の心電信号を取得可能とされている。携帯型心電計1で取得した心電信号は、近距離通信、例えばBluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)によりタブレット端末2に送信されている。携帯型心電計1からタブレット端末2への心電信号の送信は、有線にて行うこともできる。タブレット端末2は、携帯型心電計1からの心電信号をその計測時刻と対応させた心電図としてそれを表示可能としている。タブレット端末2は、被検者の介護を行う介護者が取り扱うことができるように携帯型心電計1の近くに設置されている。タブレット端末2は、遠距離通信、例えばWi-Fi(登録商標)によりコンピュータネットワーク3に接続されている。タブレット端末2は、救急車両等の狭い場所に設置されるため、小型で取扱いが容易であるが好ましく、スマートフォン等のモバイル端末としてもよい。また、携帯型パソコンとしてもよい。コンピュータ5、6も、タブレット端末等に置き換えることができる。ここでは、心電図を表示する機能を、携帯型心電計1とタブレット端末2の組合せにより実現したが、係る機能を一つの心電装置で実現するようにしてもよいし、監視装置(救急搬送時の患者の心電図などをモニタリングするモニタ)や除細動器(麻痺している心臓に電気ショックを与えて正常な脈動に戻す装置で、心電図をモニタリングする機能を備える)によって実現してもよい。
【0020】
タブレット端末2には、通信機能内蔵の生体センサ7からも近距離通信により被検者の心電図以外の生体情報が計測され送信されている。通信機能としては、一般的に使用されているNFC(登録商標)、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)が使用される。この場合、生体センサ7は、血圧計、体温計、酸素飽和、血糖測定計を含む。なお、生体センサ7は、通信機能を持たないものであってもよく、その場合、生体センサ7が検出した生体情報は、有線にてタブレット端末2に入力される。コンピュータネットワーク3には、タブレット端末2とコンピュータ5、6との間の情報交換をサポートするためにサーバー4が接続されている。
【0021】
<第1実施形態の機能説明>
図3は、タブレット端末2で実行される心電図作成プログラムを示す。また、
図4は、タブレット端末2で実行される心電図表示プログラムを示す。更に、
図5は、コンピュータ5、6で実行される心電図表示プログラムを示す。なお、コンピュータ5、6は、同じ機能を果たすように構成されているため、以下の説明では、便宜上、一方のコンピュータ5のみが機能しているものとして説明する。
【0022】
図3のステップS1では、携帯型心電計1からの心電信号を受けて計測時刻と対応させた心電図を作成する。詳細については、公知であるため説明を省略する。
【0023】
図4のステップS2では、タブレット端末2の画面をサーバー4に転送する。同時に、
図5のステップS11では、サーバー4に転送されたタブレット端末2の画面をコンピュータ5の画面に表示する。
【0024】
図4のステップS3では、タブレット端末2の画面にステップS1で作成された心電図を表示する。このとき、
図6のように心電図を表示する領域の上方に生体センサ7によって取得された心電図以外の生体情報71が表示される。生体情報71を表示する領域は
図6に示す領域に限定されず、適宜の領域に表示することができる。次のステップS4では、タブレット端末2の画面に表示された心電図を生体情報と共にストリーミング配信によりサーバー4に送信する。
図5のステップS12では、ストリーミング配信された心電図を生体情報と共にサーバー4から読み出してコンピュータ5の画面に動画として表示する。
図6は、コンピュータ5の画面にストリーミング画像として表示される心電図及び生体情報71の例を示す。
【0025】
図4のステップS5では、タブレット端末2にて心電図を静止画像として転送する指示が行われたか否かが判定される。この場合の指示は、タブレット端末2の画面上に表示されるキャプチャボタンをタップ操作することにより行われる。転送指示が行われステップS5が肯定判断されると、ステップS6にて、その時点から10秒間(本発明の所定時間に相当)遡って心電図の生データ及び画像データが生体情報と共に指定されたタブレット端末2のディレクトリに保存される。生体情報は、ステップS5の転送指示が行われた時点の生体情報が保存される。なお、10秒間は必要に応じて適宜時間に設定される。次にステップS7では、保存されている心電図の生データ及び画像データを生体情報と共にサーバー4に転送して、ディレクトリに保存されていたデータを削除する。ステップS5において転送指示がなければ、若しくは転送指示が解除されれば、ステップS5が否定判断され、ステップS6、S7の処理がスキップされる。
【0026】
図5のステップS15では、サーバー4に心電図の生データ及び画像データが生体情報と共に転送されているか否かが判定される。
図4のステップS7により生データ及び画像データの転送が生体情報と共に行われていてステップS15が肯定判断されると、ステップS16にて、サーバー4に転送された心電図の生データ及び画像データが生体情報と共にサーバー4からコンピュータ5にダウンロードされ、コンピュータ5の画面に静止画として表示される。静止画像のデータは、PDF(登録商標)、JPEG等の画像データ、若しくはMFER(医用波形記述規約)、DICOM(医用画像国際規格) PDF、DICOM ECG(心電図)のような生データの中から予め選択可能とされている。複数のデータを同時に選択することもできる。このとき、
図7のように心電図を表示する領域の上方に生体センサ7によって取得された心電図以外の生体情報72が表示される。生体情報72を表示する領域は
図7に示す領域に限定されず、適宜の領域に表示することができる。ステップS15において生データ及び画像データの転送が行われていなければステップS15は否定判断され、ステップS16の処理はスキップされる。
【0027】
図5のステップS13では、コンピュータ5にて心電図を静止画像として転送する指示が医療従事者により行われたか否かが判定される。この場合の指示は、コンピュータ5の画面上に表示されるキャプチャボタンをマウスによりクリック操作するか、指によりタップ操作することにより行われる。転送指示が行われステップS13が肯定判断されると、ステップS14にて心電図転送のコマンドがサーバー4を介してタブレット端末2に送信される。タブレット端末2では、指定されたディレクトリにコマンドが送信されたことを記録する。
【0028】
図4のステップS8では、タブレット端末2のディレクトリにコマンドが送信されているか否かが判定される。コマンドが送信されていてステップS8が肯定判断されると、ステップS6にて上述のように心電図の生データ及び画像データが生体情報と共に保存される。また、ステップS7にて上述のように保存されている心電図の生データ及び画像データが生体情報と共にサーバー4に転送されると同時に保存データが削除される。
【0029】
心電図の生データ及び画像データが生体情報と共にサーバー4に転送されると、上述のようにステップS15が肯定判断され、ステップS16にてサーバー4に転送された心電図の生データ及び画像データが生体情報と共にサーバー4からコンピュータ5にダウンロードされ、コンピュータ5の画面に静止画として表示される。
図7は、コンピュータ5の画面に静止状態で表示される心電図の例を示す。
図6のストリーミング画像に比べて鮮明度が高く、医師は微妙な心電図の変化を評価する場合に、より精度の高い診断を行うことができる。しかも、心電図の上方には、被検者の心電図以外の生体情報72も併せて表示されているため、医師は、更に精度の高い診断を行うことができる。ステップS13において心電図の静止画像の転送指示が行われなければ、若しくは転送指示が解除されれば、
図5のステップS13は否定判断され、ステップS14の処理はスキップされる。また、心電図の静止画像の転送指示が行われなければ、若しくは転送指示が解除されれば、
図4のステップS8も否定判断され、ステップS6、S7の処理もスキップされる。
【0030】
<第1実施形態の作用、効果>
第1実施形態によれば、救急車両等のタブレット端末2に表示される心電図が医療機関等のコンピュータ5、6に動画として表示される。しかも、救急車両等にいる被検者、若しくは救急隊員等の介護者が必要としたとき、又は医療従事者が必要と判断したとき、心電図の生データ及び画像データに基づく静止画像を生体情報と共にコンピュータ5、6の画面に表示させることができる。そのため、医療従事者は、被検者から遠隔の地にいながら心電図を動画、若しくは静止画像として見ることができる。しかも、動画、若しくは静止画として心電図が表示されるとき、心電図以外の生体情報も併せて表示される。そのため、医療従事者は、より精度の高い診断を行うことができる。
【0031】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態が第1実施形態に対して特徴とする点は、第1実施形態における携帯型心電計1及び生体センサ7に代えて、生体モニタ8を設けた点である。その他の構成は、システム構成及び
図3~5のプログラム内容を含めて第2実施形態においても第1実施形態と基本的に同一である。第2実施形態において、タブレット端末2は、生体モニタ8をコンピュータネットワーク3に接続する機能を有する。そのため、生体モニタ8をコンピュータネットワーク3に接続する機能を備えたアクセスポイントを、タブレット端末2に代えて用いることもできる。
【0032】
生体モニタ8では、第1実施形態における携帯型心電計1及びタブレット端末2により作成され表示されるのと同様の心電図が作成され表示される。生体モニタ8で表示される心電図は、タブレット端末2でも同様に表示される。また、生体モニタ8では、心電図以外の生体情報として、血圧、体温、酸素飽和度、呼吸数、ETCO2、血糖値が測定され、心電図と併せて自らの表示画面に表示される。生体モニタ8は、タブレット端末2に有線にて接続され、生体モニタ8で表示される心電図及び生体情報を、コンピュータネットワーク3を介してコンピュータ5、6で動画として表示している。
【0033】
コンピュータ5、6を通じて医療従事者にて行われる心電図データの転送指示は、コンピュータネットワーク3を介してタブレット端末2に伝達される。そして、タブレット端末2は、その転送指示信号を生体モニタ8に送信する。生体モニタ8は、転送指示信号を受けて、その時点から所定時間(例えば、10秒間)遡って、若しくは転送指示信号を受けてからの所定時間(例えば、10秒間)の心電図を含む生体データ及び画像データを抽出してタブレット端末2に送信する。生体モニタ8がメモリ機能を備える場合は、転送指示信号を受けてから所定時間遡ったデータをタブレット端末2に送信することができる。しかし、生体モニタ8がメモリ機能を備えない場合は、転送指示信号を受けてから所定時間のデータをタブレット端末2に送信する。この場合、
図4のステップS6では、その時点から10秒間のデータを保存する。タブレット端末2は、生体モニタ8から送信された心電図を含む生体データ及び画像データを保存し、コンピュータネットワーク3を通じてサーバ4に保存する。サーバ4に保存された心電図を含む生体データ及び画像データは、やがてコンピュータ5、6にダウンロードされ、コンピュータ5、6にて医療従事者に向けて静止画として表示される。このとき表示される心電図には、心電図以外の生体情報も併せて表示される。
【0034】
被検者若しくはその介護者が異常を感じる等で心電図の静止画像を医療従事者に見て欲しい場合は、タブレット端末2の画面上に表示されるキャプチャボタンをタップ操作する。係る操作によりその時点から10秒間遡って心電図の生データ及び画像データが指定されたタブレット端末2のディレクトリに保存される。若しくは心電図の静止画像を医療従事者に見て欲しい場合、生体モニタ8のプリントボタン(図示略)を操作してプリントアウトすると共に、その時点から10秒間のデータをタブレット端末2のディレクトリに保存する。この場合、
図4のステップS6では、その時点から10秒間のデータを保存する。保存されたデータは、コンピュータネットワーク3を介してサーバ4に保存される。サーバ4に保存された心電図の生データ及び画像データは、やがてコンピュータ5、6にダウンロードされ、コンピュータ5、6にて医療従事者に向けて静止画として表示される。このとき表示される心電図には、心電図以外の生体情報も併せて表示される。
【0035】
第2実施形態では、第1実施形態における携帯型心電計1及び生体センサ7を、生体モニタ8に代替したのみであり、第2実施形態でも、第1実施形態と同様の作用、効果を達成することができる。
【0036】
第1及び第2実施形態において、ステップS1の処理は、本発明の心電図作成手段に相当する。ステップS3、S4、S12の処理は、本発明の心電図表示手段に相当する。ステップS13、S14の処理は、コンピュータ5、6の画面上のキャプチャボタンを含めて本発明の心電図データ転送指示手段に相当する。ステップS8、S6、S7の処理は、本発明のデータ保存手段に相当する。ステップS15、S16の処理は、本発明の静止画表示手段に相当する。ステップS5の処理は、タブレット端末2の画面上のキャプチャボタン、若しくは生体モニタ8のプリントボタンにより操作されるスイッチ(図示略)を含めて本発明の心電図表示指示手段に相当する。生体センサ7又は生体モニタ8は、生体情報取得手段に相当する。
【0037】
<他の実施形態>
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、被検者と医療従事者は、互いに遠隔の地にいるものとされたが、それに限定されず、同じ病院内にいるような場合でもよい。また、上記実施形態では、リアルタイムの心電図の表示と静止画像による心電図の表示は、コンピュータの一つの画面にて切り替えて表示するようにしたが、別個の表示画面上に並行して表示するようにしてもよい。また、上記実施形態では、医師等の医療従事者の指示と共に、被検者若しくは介護者の指示により静止画像の表示を行うようにしたが、被検者若しくは介護者の指示による静止画像の表示は行わなくてもよい。また、上記実施形態では、心電図を表示する際に心電図以外の生体情報も併せて表示するようにしたが、心電図のみを表示し、心電図以外の生体情報は表示しないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 携帯型心電計
2 タブレット端末
3 コンピュータネットワーク
4 サーバー
5、6 コンピュータ
7 生体センサ
8 生体モニタ