(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】髪編み具
(51)【国際特許分類】
A45D 24/00 20060101AFI20221025BHJP
A45D 8/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A45D24/00 Z
A45D8/00 Z
A45D8/00 502B
A45D8/00 503B
(21)【出願番号】P 2017525164
(86)(22)【出願日】2016-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2016067013
(87)【国際公開番号】W WO2016204033
(87)【国際公開日】2016-12-22
【審査請求日】2019-06-03
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2015119951
(32)【優先日】2015-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515162246
【氏名又は名称】細井 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(72)【発明者】
【氏名】細井 岳
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】鶴江 陽介
【審判官】田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平8-981(JP,U)
【文献】登録実用新案第3000002(JP,U)
【文献】特開平6-292611(JP,A)
【文献】登録実用新案第3059780(JP,U)
【文献】特開2001-158469(JP,A)
【文献】米国特許第5778904(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 24/00,8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭髪を編み込んで所望の髪型に整えるための髪編み具であって、
先端部を前記頭髪に差し込んで貫通させるための編み棒と、
該編み棒の後端部に
二つ折りにされた紐状部材の一方の端部が取り付けられ、
前記二つ折りにされた前記紐状部材の他方の端部で頭髪束を締付け保持する、紐型のリード部材とを備え、
前記リード部材は、
前記一方の端部が前記編み棒に取り付けられた
前記紐状部材と、
該紐状部材を
前記二つ折りにすることで形成された環状部と、
前記二つ折りにされた前記紐状部材の二つ折り部分により構成される二本の前記紐状部材に挿通され、前記環状部に差し込まれた前記頭髪束を前記環状部に締め付けさせる締付け部材と、
前記二つ折りにされた前記紐状部材に挿通され、円錐台形の外観をなし該円錐台形の外径の大きい側に大径の開口と前記円錐台形の外径の小さい側に小径の開口とを有する締付け補助部材と、
前記紐状部材により形成された前記環状部の前記二つ折りにした部分に挿通されて、前記環状部から前記頭髪束が抜け出すことを防止する抜け止めとを有し、
前記紐状部材、前記締付け部材及び前記抜け止めは、ゴムで作られており、
前記締付け補助部材は、
前記円錐台形の外径の大きい側の前記大径の開口に前記締付け部材が圧入されて設けられ前記締付け部材を内側へ収縮させて前記紐状部材の締め付けを補助するとともに、前記円錐台形の外径の小さい側が前記編み棒側に位置し且つ前記円錐台形の外径の大きい側が前記環状部側に位置するように前記紐状部材に挿通されており、
前記締付け部材が、前記紐状部材上をスライドして、前記環状部に差し込まれた前記頭髪束が抜け出てしまわないように、前記環状部と前記抜け止めと前記締付け部材によって拘束し、前記頭髪束が保持されることを特徴とする髪編み具。
【請求項2】
前記締付け部材は、
前記二つ折りにした前記紐状部材が挿通する1個の挿通孔を有し、且つ、
前記抜け止めは、
前記紐状部材が前記挿通孔から抜け出すことを防止することを特徴とする請求項1に記載の髪編み具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、頭髪(本願では、人間の頭髪の他、かつら、付け毛等に用いる人工頭髪や動物の体毛等を含む)を編み込んで所望の髪型にセットするための髪編み具と、この髪編み具を用いた髪編み方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭髪を編み込んで所望の髪型にセットするための器具としては、例えば下記特許文献1に記載された髪結具が知られている。
【0003】
特許文献1の髪結具では、その
図1及び
図2に示されているように、髪通し環部と基幹部とが、弾性部材によって一体に形成されている。
【0004】
この髪結具を使用する際には、まず、その
図3に示されているように、後頭部の頭髪を、弾性バンドで束ねたのち、この弾性バンドと頭部との間に、髪結具の基幹部を上方向から差し込む。次に、その
図4及び
図5に示されているように、束ねた髪を、髪結具の髪通し環部に挿通する。そして、その
図6に示されているように、この髪結具を下方向に引き抜くことで、
図7のような髪型を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の髪結具は、その髪通し環部に頭髪束を通すことで、その頭髪束を保持して髪結いを行う。このため、多数本の髪束をまとめて扱うような場合には便利であるが、非常に少ない本数の頭髪束を扱う場合には、その頭髪束を、髪通し環部で確実に保持することが困難である。すなわち、特許文献1の髪結具には、少数本の頭髪束を編み込みたい場合に、使い勝手が悪いという欠点がある。
【0007】
また、特許文献1の髪結具は、頭髪の根元寄りの部分で頭髪束を保持して編み込みを行う。このため、単純な編み込みで済む髪型では便利な場合もあるが、複雑で細かい編み込みに使用することは困難である。すなわち、特許文献1の髪結具には、複雑な髪編みを行いたい場合に、使い勝手が悪いという欠点がある。
【0008】
この発明の課題は、少数本の頭髪束の編み込みや複雑で細かい編み込みを容易に行うことができる髪編み具及び髪編み方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、この発明に係る髪編み具は、頭髪を編み込んで所望の髪型に整えるための髪編み具であって、先端部を前記頭髪に差し込んで貫通させるための編み棒と、該編み棒の後端部に二つ折りにされた紐状部材の一方の端部が取り付けられ、前記二つ折りにされた前記紐状部材の他方の端部で頭髪束を締付け保持する、紐型のリード部材とを備え、前記リード部材は、前記一方の端部が前記編み棒に取り付けられた前記紐状部材と、該紐状部材を前記二つ折りにすることで形成された環状部と、前記二つ折りにされた前記紐状部材の二つ折り部分により構成される二本の前記紐状部材に挿通され、前記環状部に差し込まれた前記頭髪束を前記環状部に締め付けさせる締付け部材と、前記二つ折りにされた前記紐状部材に挿通され、円錐台形の外観をなし該円錐台形の外径の大きい側に大径の開口と前記円錐台形の外径の小さい側に小径の開口とを有する締付け補助部材と、前記紐状部材により形成された前記環状部の前記二つ折りにした部分に挿通されて、前記環状部から前記頭髪束が抜け出すことを防止する抜け止めとを有し、前記紐状部材、前記締付け部材及び前記抜け止めは、ゴムで作られており、前記締付け補助部材は、前記円錐台形の外径の大きい側の前記大径の開口に前記締付け部材が圧入されて設けられ前記締付け部材を内側へ収縮させて前記紐状部材の締め付けを補助するとともに、前記円錐台形の外径の小さい側が前記編み棒側に位置し且つ前記円錐台形の外径の大きい側が前記環状部側に位置するように前記紐状部材に挿通されており、前記締付け部材が、前記紐状部材上をスライドして、前記環状部に差し込まれた前記頭髪束が抜け出てしまわないように、前記環状部と前記抜け止めと前記締付け部材によって拘束し、前記頭髪束が保持されることを特徴とする。
【0012】
この発明においては、前記締付け部材は、前記二つ折りにした前記紐状部材が挿通する1個の挿通孔を有し、且つ、前記抜け止めは、前記紐状部材が前記挿通孔から抜け出すことを防止することが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明の髪編み具によれば、先端部を頭髪に差し込んで貫通させるための編み棒と、編み棒の後端部に二つ折りにされた紐状部材の一方の端部が取り付けられ、二つ折りにされた紐状部材の他方の端部で頭髪束を締付け保持する、紐型のリード部材とを備え、リード部材は、一方の端部が編み棒に取り付けられた紐状部材と、紐状部材を二つ折りにすることで形成された環状部と、二つ折りにされた紐状部材の二つ折り部分により構成される二本の紐状部材に挿通され、環状部に差し込まれた頭髪束を環状部に締め付けさせる締付け部材と、二つ折りにされた紐状部材に挿通され、円錐台形の外観をなし円錐台形の外径の大きい側に大径の開口と円錐台形の外径の小さい側に小径の開口とを有する締付け補助部材と、紐状部材により形成された環状部の二つ折りにした部分に挿通されて、環状部から頭髪束が抜け出すことを防止する抜け止めとを有し、紐状部材、締付け部材及び抜け止めは、ゴムで作られており、締付け部材が、紐状部材上をスライドして、環状部に差し込まれた頭髪束が抜け出てしまわないように、環状部と抜け止めと締付け部材によって拘束し、頭髪束が保持されるので、複雑で細かい編み込みを容易に行うことができる。
【0017】
また、紐状部材、締付け部材及び抜け止めは、ゴムで作られており、締付け部材が、紐状部材上をスライドして、環状部に差し込まれた頭髪束が抜け出てしまわないように、環状部と抜け止めと締付け部材によって拘束し、頭髪束が保持されるので、少数本の頭髪束を編み棒に連結することができると共に、その頭髪束の任意の部分を保持でき、従って、少数本の頭髪の編み込みを容易に行うことができる。
【0018】
この発明において、紐状部材の二つ折りにされた部分に頭髪を差し込んで、締付け部で頭髪を締付けることにより、簡単な構成で確実に頭髪を保持することができる。
【0020】
この発明において、締付け補助部材を締付け部材に圧入することにより、この締付け部材の締付力を更に高めることができる。
また、この発明において、締付け補助部材は、円錐台形の外観を有し、円錐台形の外径の大きい側に締付け部材が設けられるとともに、円錐台形の外径の小さい側が編み棒側に位置し且つ円錐台形の外径の大きい側が環状部側に位置するように紐状部材に挿通されていることにより、髪編み具を頭髪に貫通させる際に頭髪が引っ掛かり難くなる。
【0021】
この発明において、紐状部材の環状部内に抜け止めを設けることにより、環状部に差し込まれた髪束の抜けを防止できる。また、抜け止めが、ゴムで作られていることにより、より確実に、頭髪束が保持され、環状部に差し込まれた頭髪束の抜けを防止できる。
【0022】
この発明において、締付け部の1個の挿通孔に紐状部材を二つ折りにして挿通すると共に、この二つ折りの部分に抜け止めを設けることで、紐状部材が挿通孔から抜け出すことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】(a)は、この発明の実施の形態1に係る髪編み具の外観構成を概略的に示す概念図であり、(b)は、(a)に示した締付け部材の平面図である。
【
図2】同実施の形態1に係る髪編み具の使用方法を説明するための概念図である。
【
図3】(a)~(c)共に、同実施の形態1に係る髪編み具の使用方法を説明するための概念図である。
【
図4】(a)~(c)共に、この発明の変形例に係る髪編み具の要部構成を概略的に示す概念図である。
【
図5】(a)は、この発明の実施の形態2に係る髪編み具の外観構成を概略的に示す概念図であり、(b)は、(a)に示した締付け部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[発明の実施の形態1]
以下、この発明の実施の形態1に係る髪編み具について、図面を用いて説明する。
【0026】
図1(a)は、この実施の形態1に係る髪編み具の概略構成を示す概念図である。また、
図1(b)は、
図1(a)に示した締付け部材の平面図である。
【0027】
図1(a)に示したように、この実施の形態1に係る髪編み具100は、編み棒110と、リード部材120とを備えている。
【0028】
編み棒110は、頭髪に先端部111を差し込んで貫通させるための、棒状の部材である。この編み棒110は、円柱状や角柱状であっても良いし、他の形状であってもよい。また、頭髪に差し込み易くするために、先端部を縮径させた形状としてもよいし、更には全体を湾曲させた形状としてもよい。編み棒110の材質は、特に限定されないが、例えば樹脂を使用することができる。また、編み棒110の寸法は、特に限定されず、頭髪の編み込みを行い易いように定めればよい。
【0029】
リード部材120は、編み棒110と頭髪束(
図1には示さず)とを連結するために使用される。このために、リード部材120は、紐状部材121と締付け部材123とを備えている。
【0030】
この実施の形態1では、紐状部材121を二つ折りにすることで、環状部122を形成した。
【0031】
この紐状部材121の一方の端部124(環状部122が形成されていない側の端部)は、編み棒110の後端部112に取り付け固定される。
【0032】
一方、この紐状部材121の他方の端部125(環状部122が形成されている側の端部)は、頭髪束を締付け保持するために使用される。このため、この環状部122は、二つ折りにされた両方の部分で、締付け部材123の挿通孔123a,123aに挿通される。なお、挿通孔を一つとして、その挿通孔に、二つ折りにされた紐状部材121の両端を挿通することとしてもよい(後述の
図5参照)。
【0033】
この締付け部材123は、編み棒110側の部分で縮径している。これにより、この髪編み具100を頭髪に貫通させる際に(後述)、この締付け部材123の編み棒110側の部分に頭髪が引っ掛かり難くなる。
【0034】
紐状部材121や締付け部材123の材質は、特に限定されず、例えば樹脂やゴム等を使用できる。但し、頭髪束200を、抜け難い状態で確実に保持するためには、紐状部材121は、摩擦係数が十分に高い材料で形成することが望ましい。また、締付け部材123も、頭髪束200を締め付けた状態で、環状部122が緩み難いように構成することが望ましい。
【0035】
紐状部材121や締付け部材123の寸法は、特に限定されず、頭髪の編み込みを行い易いように定めればよい。
【0036】
図2は、髪編み具100を頭髪束200に連結する方法を説明するための概念図である。なお、この発明において、「頭髪束」とは、頭髪1本の場合を含む。
【0037】
図2に示したように、髪編み具100を頭髪束200に連結する際には、まず、この髪編み具100のリード部材120に設けられた環状部122に、頭髪束200を差し込む。そして、締付け部材123を頭髪束200側にスライドさせて(
図2の矢印A参照)、その頭髪束200を環状部122で締付ける。これにより、この頭髪束200が環状部122に保持されて、この編み棒110と頭髪束200とが連結される。
【0038】
このように、この実施の形態1の髪編み具100では、リード部材120の環状部122に差し込んで締め付けることで頭髪束200を保持するので、頭髪束200が少数本であっても(頭髪1本の場合を含む)、容易且つ確実に、その頭髪束200を髪編み具100に保持させることができる。その一方で、頭髪束200が多数本であっても、容易且つ確実に、保持できる。
【0039】
また、このように環状部122で頭髪束200を締め付けて固定するので、頭髪束200の根元付近から先端付近までの任意の部分に、髪編み具を取り付けることができる。
【0040】
図3(a)~(c)は、髪編み具100を用いて頭髪の編み込みを行う方法の一例を示す概念図である。
【0041】
まず、
図3(a)に示したように、上述の方法(
図2参照)で、頭髪束200の任意の部分に、髪編み具100を連結する。
図3の例では、頭髪束200の先端寄りに、この髪編み具100を取り付けた。
【0042】
次に、
図3(b)に示したように、編み棒110の先端部111を、頭髪の任意部分210に後頭部側から差し込んだのち、この髪編み具100を側頭部側へ貫通させる。これにより、頭髪の任意部分210に、頭髪束200を編み込み部211を形成することができる。
【0043】
更に、
図3(c)に示したように、編み棒110の先端部111を、再度、頭髪の任意部分210に後頭部側から差し込んだのち、この髪編み具100を側頭部側へ貫通させる。これにより、編み込み部211の隣に、別の編み込み部212を形成することができる。
【0044】
このように、この実施の形態1の髪編み具100は、頭髪束200の先端寄りに連結することができると共に、少数本の頭髪束200に連結することができるので、複雑で細かい編み込みを、容易に行うことができる。
【0045】
図4(a)~(c)は、この実施の形態1の変形例の要部構成を示す概念図である。
【0046】
上述の実施の形態1では、紐状部材121を、その中心部分で二つ折りにして環状部122を形成し、その紐状部材121の両端を編み棒110の後端部112に取り付け固定した(
図1参照)。しかし、
図4(a)に示したように、紐状部材121を、中心以外の部分で二つ折りにして、環状部122を形成してもよい。その場合、例えば、その紐状部材121の一方の端部のみを編み棒110の後端部112に取り付け固定すると共に(
図4には示さず)、他方の端部には、締付け部材123からの抜けを防止するための抜け止め401を設ければよい。
【0047】
また、上述の実施の形態1では、締付け部材123を、独立の部品で構成した(
図1参照)。しかし、
図4(b)に示したように、紐状部材121の一方の先端部121aを二つ折りにして留め金402等で固定し、その二つ折り部分に、紐状部材121の他方の先端部を挿通すれば、独立の部品を用いること無しに、この発明の締付け部403を構成することができる。
【0048】
また、紐状部材121の全体を二つ折りにする場合に、紐状部材121の環状部122を頭髪束200に巻いて、その環状部122の先端部分に編み棒110を挿通することとすれば、
図4(c)に示したような「ひばり結び」を用いて、頭髪束200を締付け保持することができる。この場合には、紐状部材121が二本重なった部分と環状部122との交差部404が、この発明の締付け部となる。
【0049】
図4(a)~(c)に示した髪編み具も、上述の実施の形態1に示した髪編み具100と同様の効果を得ることができる。
[発明の実施の形態2]
以下、この発明の実施の形態2に係る髪編み具500について、
図5を用いて説明する。
【0050】
図5(a)は、この実施の形態1に係る髪編み具500の概略構成を示す概念図である。また、
図5(b)は、
図5(a)に示した締付け部材50
1の平面図である。
【0051】
図5において、
図1と同じ符号を附した構成要素は、それぞれ、
図1の場合と同じものである。
【0052】
図5(a)、(b)に示したように、この実施の形態2に係る髪編み具500は、締付け部材501を備えている。この締付け部材501には、水平断面がひょうたん形(すなわち、略楕円の中央部分がくびれた形状)の挿通孔501aが設けられている。そして、この挿通孔501aの両側に形成された、略円形の部分穴501b,501bに、紐状部材121の両端が挿通される。
【0053】
締付け部材501の寸法や材質等は、特に限定されない。
【0054】
締付け部材501の挿通孔501aを1個とすることにより、2個にする場合(
図1(b))と比較して、この締付け部材501の製造を容易にすることができる。
【0055】
なお、挿通孔501aの断面形状は、例えば通常の楕円形等でもよい。
【0056】
更に、この実施の形態2に係る髪編み具500は、筒形の締付け補助部材502を備えている。この締付け補助部材502は、円錐台形の外観を有しており、編み棒110側に小径の開口が位置すると共に環状部122側に大径の開口が位置するように、この紐状部材121に挿通される。そして、この大径の開口側から、締付け補助部材502に、上述の締付け部材501が圧入される。これにより、締付け部材501を内側へ収縮させる力を発生させて、この挿通孔501aに挿通された紐状部材121を締め付けることができる。
【0057】
その結果、1個の挿通孔501aに紐状部材121の二か所を挿通しているにも拘わらず、この紐状部材121を締付け部材501で十分強固に締め付けることができる。
【0058】
また、髪結い具500を長期間使用することにより、この締付け部材501の締付力が低下した場合でも、この締付け補助部材502によって、締付け部材501に紐状部材121を十分強固に締め付けさせることができる。
【0059】
また、この締付け補助部材502を円錐台形にして、大径側から締付け部材501を嵌め込むことにより、この締付け部材501が締付け補助部材502内の奥深くまで挿入されてしまうことを防止できる。加えて、締付け補助部材502を円錐台形にすることで、髪編み具500を頭髪に貫通させる際に、この締付け補助部材502に頭髪が引っ掛かり難くなる。
【0060】
締付け補助部材502の材料は特に限定されないが、例えば樹脂を使用できる。また、締付け補助部材502の寸法は、締付け部材501を適当な締め付け力で圧入することができるような寸法であれば良い。
【0061】
加えて、この実施の形態2に係る髪編み具500は、抜け止め503を備えている。
図5(a)に示したように、この抜け止め503は、紐状部材121の、環状部122内に嵌着される。
【0062】
この抜け止め503は、紐状部材121の環状部122で髪束を固定したときに、この環状部122から髪束が抜け出てしまうことを防止する。このため、この抜け止め503は、例えばゴム等の、表面摩擦係数が十分に大きいものを使用することが望ましい。
【0063】
加えて、この抜け止め503は、締付け部材501が紐状部材121の環状部122側から抜け出てしまうことを防止する。上述のように、この実施の形態2では、締付け部材501の一つの挿通孔501aに紐状部材121の両側端部を挿通するので、抜け止め503を設けないと、締付け部材501が、紐状部材121の二つ折り部分側から抜け出てしまうおそれがある。
【0064】
この実施の形態2に係る髪留め具500の使用方法は、上述の実施の形態1と略同様であるため、説明を省略する。
【0065】
この実施の形態2の髪編み具500によっても、上述の実施の形態1と同様、複雑で細かい編み込みを、容易に行うことができる。
【0066】
この発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものでは無く、その目的や用途等に応じて適宜変更して実施できることは、もちろんである。
【0067】
例えば、上述の実施の形態1で示したような、2個の挿通孔123a,123aを有する締付け部材123を使用する髪編み具に、実施の形態2で示した締付け補助部材501及び抜け止め503の一方又は両方を設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
100,500 髪編み具
110 編み棒
120 リード部材
121 紐状部材
122 環状部
123,501 締付け部材
200 頭髪束
502 締付け補助部材
503 抜け止め