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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】胸骨圧迫訓練モデル
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/28 20060101AFI20221025BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20221025BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61H 31/00 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B9/00 Z
G09B19/00 Z
A61H31/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018105666
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019211550
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591071104
【氏名又は名称】株式会社高研
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】菅原 暢高
(72)【発明者】
【氏名】高橋 太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰之
(72)【発明者】
【氏名】南 浩一郎
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-221897(JP,A)
【文献】国際公開第2012/035129(WO,A2)
【文献】特開2016-123844(JP,A)
【文献】特開平11-249546(JP,A)
【文献】特表2013-520688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
G09B 23/00-29/14
A61H 19/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸骨圧迫訓練モデルであって、
該モデルは、
(1)模擬胸部、ここで、該模擬胸部は、圧迫位置検出部を含む胸骨圧迫検出部を有し、ここで、該圧迫位置検出部は、上面側の肋骨板及び背面側の底部により形成される空間に設置されており、かつ背面側の底部上に設置した弾性体、該弾性体上に設置した圧迫台、該圧迫台上に設置したスイッチ台、及び該スイッチ台の4つの側面にそれぞれ設置されたスイッチを含み、
(2)情報処理部、ここで、該情報処理部は、該圧迫位置検出部から出力された情報を基にして、圧迫時の手の位置を評価するように構成されており、及び
(3)表示部、ここで、該表示部は、圧迫時の手の位置評価を表示するように構成されている、を含む
モデル。
【請求項2】
請求項1に記載のモデルにおいて、
前記スイッチ台は、上面の四隅付近が低く形成された箇所を有する、
モデル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のモデルにおいて、
前記胸骨圧迫検出部は、さらに、前記弾性体の収縮量を検出する弾性体収縮量検出部を含み、
前記情報処理部は、さらに、該弾性体収縮量検出部から出力された情報を基にして、胸骨圧迫の深さ、リコイル、デューティーサイクル比及び/又は単位時間あたりの圧迫回数を評価するように構成されており、及び
前記表示部は、さらに、胸骨圧迫の深さ、リコイル、デューティーサイクル比及び/又は単位時間あたりの圧迫回数の評価を表示するように構成されている、
モデル。
【請求項4】
請求項3に記載のモデルにおいて、
前記弾性体収縮量検出部は、前記圧迫台の裏面に形成された筒状受け、該筒状受けに設置したフォトセンサー、及び前記背面側の底部上に設置されている目盛りを有するプレートを含む、
モデル。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1に記載のモデルにおいて、
さらに、模擬頭部を有し、ここで、該模擬頭部は、模擬口腔、模擬気管、模擬口並びに頭部後屈検出部及び/若しくは下顎挙上検出部を含み、
前記模擬胸部は、さらに、模擬肺、模擬気管、及び気道弁を含み、
前記情報処理部は、さらに、該頭部後屈検出部及び/若しくは下顎挙上検出部から出力された情報を基にして、気道確保を評価し、かつ該気道弁の開閉を制御するように構成されている、
モデル。
【請求項6】
請求項5に記載のモデルにおいて、
前記気道弁は、筐体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の弁体、該弁体を回転可能にするための駆動体、該弁体の気体流入開口と該筐体の気体流入口を連結する気体流入側流路、該弁体の気体排出開口と該筐体の気体排出口を連結する気体排出側流路、該弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該筐体に設置された2以上のリミットスイッチを有し、
ここで、該弁体は側面に1以上の異なる大きさの気体排出開口かつ底面に1つの気体流入開口を有する又は側面に1以上の異なる大きさの気体流入開口かつ底面に1つの気体排出開口を有し、並びに該気体流入開口と該気体排出開口は連通しており、該弁体の回転により、排出する気体量を複数段階に切り替えるように構成されている、
モデル。
【請求項7】
請求項5に記載のモデルにおいて、
前記気道弁は、筐体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の弁体、該弁体を回転可能にするための駆動体、該弁体の気体流入開口と該筐体の気体流入口を連結する気体流入側流路、該弁体の気体排出開口と該筐体の気体排出口を連結する気体排出側流路、該弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該筐体に設置された3個のリミットスイッチを有し、
ここで、該弁体は側面に2つの異なる大きさの気体排出開口かつ底面に1つの気体流入開口を有する又は側面に2つの異なる大きさの気体流入開口かつ底面に1つの気体排出開口を有し、並びに該気体流入開口と該気体排出開口は連通しており、該弁体の回転により、排出する気体量を3段階に切り替えるように構成されている、
モデル。
【請求項8】
前記弁体は、円柱形状である請求項6又は7に記載のモデル。
【請求項9】
請求項5に記載のモデルにおいて、
前記気道弁は、筐体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の気管支側弁体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の肺側弁体、該気管支側弁体を回転可能にするための駆動体、該肺側弁体を回転可能にするための駆動体、気管支側弁体内流路、肺側弁体内流路、該気管支側弁体内流路と該筐体の気体流入口を連結する気体流入側流路、該肺側弁体内流路と該筐体の気体排出口を連結する気体排出側流路、該気管支側弁体内流路と該肺側弁体内流路を連結する両弁体間連結流路、該気管支側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該肺側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該筐体の気管支側弁体側に設置された1以上のリミットスイッチ、該筐体の肺側弁体側に設置された1以上のリミットスイッチを有し、
ここで、該気管支側弁体は1以上又は2以上の異なる大きさの気管支側弁体内流路を有し、並びに、該肺側弁体は1以上又は2以上の異なる大きさの肺側弁体内流路を有し、該2つの弁体の回転により、排出する気体量を複数段階に切り替えるように構成されている、
モデル。
【請求項10】
請求項5に記載のモデルにおいて、
前記気道弁は、筐体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の気管支側弁体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の肺側弁体、該気管支側弁体を回転可能にするための駆動体、該肺側弁体を回転可能にするための駆動体、気管支側弁体内流路、肺側弁体内流路、該気管支側弁体内流路と該筐体の気体流入口を連結する気体流入側流路、該肺側弁体内流路と該筐体の気体排出口を連結する気体排出側流路、該気管支側弁体内流路と該肺側弁体内流路を連結する両弁体間連結流路、該気管支側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該肺側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該筐体の気管支側弁体側に設置された1のリミットスイッチ、該筐体の肺側弁体側に設置された1のリミットスイッチを有し、
ここで、該気管支側弁体は2の異なる大きさの気管支側弁体内流路を有し、並びに、該肺側弁体は1の肺側弁体内流路を有し、該2つの弁体の回転により、排出する気体量を3段階に切り替えるように構成されている、
モデル。
【請求項11】
前記弁体は、円柱形状である請求項9又は10に記載のモデル。
【請求項12】
請求項5~11のいずれか1に記載のモデルにおいて、
前記模擬気管、前記模擬口腔及び前記模擬口は連通しており、
前記情報処理部は、さらに、圧迫時の手の位置の評価、胸骨圧迫の深さの評価、リコイルの評価、デューティーサイクル比の評価、単位時間あたりの圧迫回数の評価、及び/又は気道確保の評価からEtCO2値を算出し、かつ該EtCO2値に応じて該模擬気管に流す気体量を制御するように構成されている、
モデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胸骨圧迫訓練モデルに関する。より詳しくは、圧迫時の手の位置を評価することが可能な胸骨圧迫訓練モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
胸骨圧迫、人工呼吸及びAED(除細動器)等の練習が可能な蘇生訓練モデルが市販されている。
現在、市販されている蘇生訓練モデルは、模擬人体が主である。模擬人体は、少なくとも模擬頭部と模擬胸部からなる。さらに詳しくは、模擬頭部は、気管内チューブやラリンゲルマスクなどの気道確保用チューブが挿管できるよう鼻や口部分に開口部があり、またその開口部に続いて模擬鼻腔や模擬口腔、模擬気管などが設けられている。模擬気管と繋がった模擬肺が模擬胸部の内部にある。模擬胸部は、胸骨圧迫の訓練ができるように模擬胸部上面が上下方向に可動ができる構造になっている。また、該可動構造には、バネやスポンジ等の弾力のある部品が使われている。模擬胸部は、AED用のパッドが貼り付けられるような形状・素材であり、AED又はダミーのAEDが使用できる。
さらに、蘇生訓練モデルは、模擬人体とは別に表示装置を有する。該表示装置は、想定している患者の状態(バイタルサイン)等を表示する機能を持つ。このような蘇生訓練モデルでは、模擬人体がどのような患者の状態になっているかを設定し、入力するための入力装置も付属している。
実際の心肺蘇生では、患者の呼気中の二酸化炭素の分圧(EtCO2)をカプノメータで確認しながら、胸骨圧迫を行うことがある。カプノメータとは、気道確保用チューブに接続して用いる装置であり、一般的にはEtCO2値を数字で表示すると共にその経時変化を示す波形(カプノグラム)も表示する。心肺蘇生実施者は、EtCO2値の変化及びカプノグラムを見ることで、胸骨圧迫が適切に行えているか否かが判断できる。よって、心肺蘇生実施者は、カプノメータを使用することでより有効な胸骨圧迫が行えるようになる。
現在、知られている蘇生訓練モデル、特に胸骨圧迫訓練モデルでは、模擬患者のEtCO2値及び/又はカプノグラムを表示させることはできない場合が多い。また、該表示ができるモデルでも、指導者が訓練者の胸骨圧迫動作を見て、それに合わせたEtCO2値さらにはカプノグラムを蘇生訓練モデルの入力装置にて選択し、EtCO2値及び/又はカプノグラムを単に表示させるだけのモデルであった。しかし、このモデルでは、指導者の判断が入るため、必ずしも適切なEtCO2値及びカプノグラムを表示できなかった。また、このモデルでは、適切なタイミングでEtCO2値及び/又はカプノグラムを表示させることも難しかった。
【0003】
従来、胸部上面に設置された圧センサーで手の置かれた位置を判断する構造や、胸部上面のパーツに設置された傾きセンサーで手の置かれた位置を判断する構造の蘇生訓練モデルは存在した。しかし、蘇生訓練モデルをより普及させるために、より単純な構造の方式が求められていた。さらに、大気と同じ濃度の二酸化炭素しか含んでいない模擬人体では、実際の心肺蘇生に使用するカプノメータを使うことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2012/066681
【文献】特開2010-207500
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧迫時の手の位置の評価を簡単にできる胸骨圧迫訓練モデルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、圧迫台上に設置したスイッチ台の4つの側面にそれぞれ設置されたスイッチにより手の位置を検出することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.胸骨圧迫訓練モデルであって、
該モデルは、
(1)模擬胸部、ここで、該模擬胸部は、圧迫位置検出部を含む胸骨圧迫検出部を有し、ここで、該圧迫位置検出部は、上面側の肋骨板及び背面側の底部により形成される空間に設置されており、かつ背面側の底部上に設置した弾性体、該弾性体上に設置した圧迫台、該圧迫台上に設置したスイッチ台、及び該スイッチ台の4つの側面にそれぞれ設置されたスイッチを含み、
(2)情報処理部、ここで、該情報処理部は、該圧迫位置検出部から出力された情報を基にして、圧迫時の手の位置を評価するように構成されており、及び
(3)表示部、ここで、該表示部は、圧迫時の手の位置評価を表示するように構成されている、を含む
モデル。
2.前項1に記載のモデルにおいて、
前記スイッチ台は、上面の四隅付近が低く形成された箇所を有する、
モデル。
3.前項1又は2に記載のモデルにおいて、
前記胸骨圧迫検出部は、さらに、前記弾性体の収縮量を検出する弾性体収縮量検出部を含み、
前記情報処理部は、さらに、該弾性体収縮量検出部から出力された情報を基にして、胸骨圧迫の深さ、リコイル、デューティーサイクル比及び/又は単位時間あたりの圧迫回数を評価するように構成されており、及び
前記表示部は、さらに、胸骨圧迫の深さ、リコイル、デューティーサイクル比及び/又は単位時間あたりの圧迫回数の評価を表示するように構成されている、
モデル。
4.前項3に記載のモデルにおいて、
前記弾性体収縮量検出部は、前記圧迫台の裏面に形成された筒状受け、該筒状受けに設置したフォトセンサー、及び前記背面側の底部上に設置されている目盛りを有するプレートを含む、
モデル。
5.前項1~4のいずれか1に記載のモデルにおいて、
さらに、模擬頭部を有し、ここで、該模擬頭部は、模擬口腔、模擬気管、模擬口並びに頭部後屈検出部及び/若しくは下顎挙上検出部を含み、
前記模擬胸部は、さらに、模擬肺、模擬気管、及び気道弁を含み、
前記情報処理部は、さらに、該頭部後屈検出部及び/若しくは下顎挙上検出部から出力された情報を基にして、気道確保を評価し、かつ該気道弁の開閉を制御するように構成されている、
モデル。
6.前項5に記載のモデルにおいて、
前記気道弁は、筐体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の弁体、該弁体を回転可能にするための駆動体、該弁体の気体流入開口と該筐体の気体流入口を連結する気体流入側流路、該弁体の気体排出開口と該筐体の気体排出口を連結する気体排出側流路、該弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該筐体に設置された2以上のリミットスイッチを有し、
ここで、該弁体は側面に1以上の異なる大きさの気体排出開口かつ底面に1つの気体流入開口を有する又は側面に1以上の異なる大きさの気体流入開口かつ底面に1つの気体排出開口を有し、並びに該気体流入開口と該気体排出開口は連通しており、該弁体の回転により、排出する気体量を複数段階に切り替えるように構成されている、
モデル。
7.前項5に記載のモデルにおいて、
前記気道弁は、筐体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の弁体、該弁体を回転可能にするための駆動体、該弁体の気体流入開口と該筐体の気体流入口を連結する気体流入側流路、該弁体の気体排出開口と該筐体の気体排出口を連結する気体排出側流路、該弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該筐体に設置された3個のリミットスイッチを有し、
ここで、該弁体は側面に2つの異なる大きさの気体排出開口かつ底面に1つの気体流入開口を有する又は側面に2つの異なる大きさの気体流入開口かつ底面に1つの気体排出開口を有し、並びに該気体流入開口と該気体排出開口は連通しており、該弁体の回転により、排出する気体量を3段階に切り替えるように構成されている、
モデル。
8.前記弁体は、円柱形状である前項6又は7に記載のモデル。
9.前項5に記載のモデルにおいて、
前記気道弁は、筐体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の気管支側弁体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の肺側弁体、該気管支側弁体を回転可能にするための駆動体、該肺側弁体を回転可能にするための駆動体、気管支側弁体内流路、肺側弁体内流路、該気管支側弁体内流路と該筐体の気体流入口を連結する気体流入側流路、該肺側弁体内流路と該筐体の気体排出口を連結する気体排出側流路、該気管支側弁体内流路と該肺側弁体内流路を連結する両弁体間連結流路、該気管支側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該肺側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該筐体の気管支側弁体側に設置された1以上のリミットスイッチ、該筐体の肺側弁体側に設置された1以上のリミットスイッチを有し、
ここで、該気管支側弁体は1以上又は2以上の異なる大きさの気管支側弁体内流路を有し、並びに、該肺側弁体は1以上又は2以上の異なる大きさの肺側弁体内流路を有し、該2つの弁体の回転により、排出する気体量を複数段階に切り替えるように構成されている、
モデル。
10.前項5に記載のモデルにおいて、
前記気道弁は、筐体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の気管支側弁体、該筐体に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の肺側弁体、該気管支側弁体を回転可能にするための駆動体、該肺側弁体を回転可能にするための駆動体、気管支側弁体内流路、肺側弁体内流路、該気管支側弁体内流路と該筐体の気体流入口を連結する気体流入側流路、該肺側弁体内流路と該筐体の気体排出口を連結する気体排出側流路、該気管支側弁体内流路と該肺側弁体内流路を連結する両弁体間連結流路、該気管支側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該肺側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部、該筐体の気管支側弁体側に設置された1のリミットスイッチ、該筐体の肺側弁体側に設置された1のリミットスイッチを有し、
ここで、該気管支側弁体は2の異なる大きさの気管支側弁体内流路を有し、並びに、該肺側弁体は1の肺側弁体内流路を有し、該2つの弁体の回転により、排出する気体量を3段階に切り替えるように構成されている、
モデル。
11.前記弁体は、円柱形状である前項9又は10に記載のモデル。
12.前項1~11のいずれか1に記載のモデルにおいて、
前記模擬気管、前記模擬口腔及び前記模擬口は連通しており、
前記情報処理部は、さらに、圧迫時の手の位置の評価、胸骨圧迫の深さの評価、リコイルの評価、デューティーサイクル比の評価、単位時間あたりの圧迫回数の評価、及び/又は気道確保の評価からEtCO2値を算出し、かつ該EtCO2値に応じて該模擬気管に流す気体量を制御するように構成されている、
モデル。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、圧迫時の手の位置の評価を簡単にできる胸骨圧迫訓練モデルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の胸骨圧迫訓練モデル100の全体図。
図2】本発明の胸骨圧迫訓練モデル100の模擬胸部101の断面図。
図3】胸骨圧迫検出部200の上面側から見た図。
図4】胸骨圧迫検出部200の上面側から見た図(上面の四隅付近308が低く形成された箇所を有する)。
図5】(1)1つの弁体を有する気道弁400が模擬気管112に設置されている図。(2)2つの弁体を有する気道弁500が模擬気管112に設置されている図。
図6】(1)弁体402の全体図。(2)1つの弁体を有する気道弁400の全体図。
図7】(1)1つの弁体を有する気道弁400の全閉図。(2)1つの弁体を有する気道弁400の中開図。(3)1つの弁体を有する気道弁400の全開図。
図8】(1)気管支側弁体502及び肺側弁体503の全体図。(2)2つの弁体を有する気道弁500の側面図。
図9】カプノグラムの波形図。(a)心肺停止直後、もしくは正しい胸骨圧迫がされていない状態。(b)正しい胸骨圧迫により、EtCO2値(カプノグラム)が上昇した状態。(c)正しい胸骨圧迫により、さらに上昇した状態(心拍再開の前兆を示す)。(d)心拍再開した状態。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、「上面」方向とは、胸骨圧迫訓練モデルの肋骨板へ向かう方向を意味する(参照:図2、矢印A)。また、「背面」方向とは、「上面」方向の逆方向を意味する(参照:図2、矢印B)。
本明細書において、「aをb上に設置した」とは、aをbの上に直接又は間接的に設置することを意味する。すなわち、aとbの間にはなんらかの部材があっても良い。
本明細書において、「cがdに接触する(接する)」とは、cがdに直接又は間接的に接触することを意味する。すなわち、cとdの間にはなんらかの部材があっても良い。
本明細書において、「eがfを押す」とは、eがfを直接又は間接的に押することを意味する。すなわち、eとfの間にはなんらかの部材があっても良い。
本発明の胸骨圧迫訓練モデル100の詳細は、以下で説明する。
【0011】
(胸骨圧迫訓練モデル100)
本発明の胸骨圧迫訓練モデル100は、少なくとも、(1)模擬胸部101、(2)情報処理部及び(3)表示部103を含む。
(1)模擬胸部101は、圧迫位置検出部300を含む胸骨圧迫検出部200を有する。圧迫位置検出部300は、上面側の肋骨板201及び背面側の底部202により形成される空間に設置されており、かつ背面側の底部202上に設置した弾性体301、弾性体301上に設置した圧迫台302、圧迫台302上に設置したスイッチ台303、及びスイッチ台303の4つの側面にそれぞれ設置されたスイッチ304を含む。
なお、模擬胸部101は、必要に応じて、肋骨板201の上面を覆う模擬皮膚105を有する。肋骨板201は、好ましくは、生体の肋骨前部を模した湾曲を持つ板状の部材である。
また、呼吸音を再現するためのバックを肋骨板201と模擬皮膚105間に設置しても良い。
(2)情報処理部は、少なくとも、圧迫位置検出部300から出力された情報を基にして、圧迫時の手の位置を評価するように構成されている。
(3)表示部103は、少なくとも、圧迫時の手の位置の評価を表示するように構成されている。
さらに、本発明の胸骨圧迫訓練モデル100は、必要に応じて、入力部(操作部)109を設けても良い。入力部109は、指導者等が本発明の胸骨圧迫訓練モデル100を制御するように構成されている。入力部109で入力された情報は、情報処理部に送信されてかつ各部を制御する(例えば、気道弁を閉める)。
【0012】
本発明の胸骨圧迫訓練モデル100の一例の全体図を図1に示す。
胸骨圧迫訓練モデル100は、例えば、模擬頭部107、模擬胸部101、模擬腹部108を含む全身からなり、ほぼ等身大である。
表示部103は、特に限定されないが、パソコンやタブレット型コンピュータ等を例示できる。
模擬頭部107は、模擬鼻110、模擬口111が設けられている。模擬頭部107から模擬胸部101、さらに模擬腹部108にかけての内部には、模擬鼻腔、模擬口腔、模擬気管112、模擬食道、模擬胃、模擬肺104が生体に似せた構造で設けられていても良い。
模擬鼻110、模擬口111、模擬鼻腔、模擬口腔及び模擬気管112は、気管内チューブやラリンゲルマスクなどの気道確保用チューブの挿管が可能なように構成されている。バックバルブマスクを挿管した気道確保用チューブを胸骨圧迫訓練モデル100に取り付けることにより、模擬肺104に気体(空気)を送ることにより人工呼吸の訓練もできる。気管内チューブの挿管においては、誤って模擬食道に挿管した場合は、模擬胃へ空気が送り込まれ、模擬腹部108が膨らむ仕組みになっており、これにより誤挿管に気づく構造になっていても良い。
模擬胸部101及び模擬腹部108の表面にAED訓練用AEDパット(除細動電極114)及び心電図電極115を設置しても良い。
情報処理部は、除細動電極114及び心電図電極115を制御することにより、訓練者にAED訓練及び心電図測定訓練を提供する。
【0013】
(圧迫位置検出部300)
圧迫位置検出部300は、図2に示すような構造を例示することができるが、特に限定されない。例えば、底部202上に弾性体支持台305が設置されている。筒状受け307は、弾性体支持台305上に設置されている。柱状部306は圧迫台302の裏面に設置されておりかつ背面方向に伸長している。弾性体301は、筒状受け307及び柱状部306の外周を覆い、弾性体支持台305と圧迫台302の間に設置されている。
胸骨圧迫訓練者は、模擬胸部101(特に、圧迫台302の上面)を圧迫すると、その圧迫力により弾性体301を収縮させる。さらに、該訓練者が圧迫を止めると、弾性体301は伸張し、模擬胸部101を押し上げる。なお、弾性体301は、前記収縮と伸長を繰り返すことができれば特に限定されないが、好ましくはバネを例示できる。
図2では、省略されているが、好適には、模擬肺104は圧迫台302と肋骨板201との間にスイッチ台303を取り巻くように設置されている。
【0014】
圧迫台302及びスイッチ台303は、一体不可分の形状でも良いし、別々の部材であっても良い。スイッチ台303は、図3に示すように、略直方体形状をしたブロック形状であり、胸部上面側は丸く盛り上がっている箇所を有することが好ましい(参照:図3、矢印C)。該盛り上がっている箇所の上面側先端が肋骨板201を裏面から支えている。スイッチ台303の4つの側面は、それぞれ、略頭部方向、略右腕方向、略腹部方向及び略左腕方向を向くよう設置され、さらに、接触素子313を備えるスイッチ304が設置されている。接触素子313は、肋骨板201と接触可能な位置に存在し、好ましくはスイッチ304の上面に位置する。スイッチ304は、胸骨圧迫で生じる圧力を検出できるセンサーであれば特に限定されないが、リミットスイッチを例示することができる。なお、スイッチ304で検出した情報は、情報処理部に有線又は無線で送信される。
胸骨圧迫訓練者は、正しい位置(圧迫台302の上面の中央)に手を置いて胸骨圧迫をした場合、肋骨板201は傾かない状態で圧迫台302が押される。よって、スイッチ304は、正しい位置に手を置いて胸骨圧迫をした場合、肋骨板201に接触しないようにスイッチ台303の4つの側面に設置する。スイッチ304は、側面のどの位置に設置しても良いが、好ましくは側面の中心付近に設置するのが好ましい。
すなわち、胸骨圧迫訓練者は、正しい位置に手を置いて胸骨圧迫をした場合、スイッチ304は肋骨板201に接触しない。よって、スイッチ304ではスイッチを押した情報を情報処理部に発信しないので、情報処理部では、正しい位置に手を置いて胸骨圧迫をしたと評価する(正常と評価する)。一方、胸骨圧迫訓練者は、正しい位置に手を置いて胸骨圧迫をしない場合、例えば、正しい位置より頭部側に手を置いた場合は、肋骨板201は頭部側に傾いた状態で圧迫台302を押すことになるため、頭部側のスイッチ304が押される。よって、スイッチ304では、頭部側のスイッチが押されたという情報が情報処理部に発信されるので、情報処理部では、手が正しい位置よりも頭部側に置かれていると評価を行う(頭部方向に異常と評価する)。同様に、右腕方向、腹部方向及び左腕方向に異常と評価することができる。
以上の構成により、圧迫位置検出部300は、胸骨圧迫訓練者の手の4方向の傾き(頭部方向、右腕方向、腹部方向及び左腕方向)を評価することができる。
【0015】
スイッチ台303は、図4に示すように、上面の四隅付近308が低く形成された箇所(例えば、約2mm低くする)を有する。スイッチ台303の胸部上面側は、丸く盛り上がっている箇所を有することが好ましく、スイッチ台303の胸部上面側(該盛り上がっている箇所の上面側先端)がスイッチ304(接触素子313)よりも上面方向に高く盛り上がっていることが好ましい。
スイッチ304は、側面のどの位置に設置しても良いが、好ましくは側面の中心付近に設置するのが好ましい。
以上の構成により、圧迫位置検出部300は、胸骨圧迫訓練者の手の8方向の傾き(頭部方向、右腕方向、腹部方向、左腕方向、頭部と右腕間の方向、右腕と腹部間の方向、腹部と左腕間の方向、左腕と頭部間の方向)を評価することができる。特に、スイッチ台303の上面の四隅付近308を約2mm低くすることにより、隣り合った2個のスイッチが同時に押されることが検出可能となり、頭部と右腕間の方向、右腕と腹部間の方向、腹部と左腕間の方向、左腕と頭部間の方向の傾きを検出可能になる。
【0016】
(弾性体収縮量検出部320)
弾性体収縮量検出部320は、図2に示すような構造を例示することができるが、特に限定されない。例えば、底部202上に上面方向に伸長する柱状部309が設置されている。筒状受け310は、圧迫台302の裏面に設置されている。そして、筒状受け310は、弾性体301の収縮により、柱状部309の上面先端側を収納する。フォトセンサー311は、筒状受け310の背面側の先端付近に設置されている。プレート312は、底部202上に設置されており、上面方向に伸長している。プレート312は、目盛り(等間隔のスリット、等間隔の溝)を有する。
【0017】
胸骨圧迫訓練者が模擬胸部101を圧迫すると、その圧迫力により圧迫台302が背面方向に移動することに伴いフォトセンサー311が背面方向に移動する。フォトセンサー311が該移動によるプレート312の目盛り(スリット)の通過を検出する。なお、フォトセンサー311で検出した情報は、情報処理部に有線又は無線で送信される。
情報処理部では、フォトセンサー311で検出した情報を基にして、胸骨圧迫の深さ、リコイル、デューティーサイクル比及び/又は単位時間あたりの圧迫回数を算出して、評価する。
胸骨圧迫の深さは、圧迫前と圧迫後のフォトセンサーを通過した目盛り(スリット)の数から算出できる。
リコイルは、胸骨圧迫による有効な心拍出量を得るために、胸骨圧迫と胸骨圧迫の間に、胸郭を十分に拡張(圧迫を解除)させることを意味し、圧迫時にフォトセンサーを通過した目盛り(スリット)の数と圧迫解除時にフォトセンサーを通過した目盛り(スリット)の数の差から算出できる。
デューティーサイクル比は、胸骨圧迫開始から次の圧迫開始までの時間のうち実際に圧迫している時間の割合を意味し、圧迫している時間/圧迫開始から次の圧迫開始までの時間から算出できる。
単位時間あたりの圧迫回数は、所定の時間内に何回の圧迫をしたかで算出できる。
情報処理部では、上記算出結果より、各数値が特定の閾値(デューティーサイクル比では、例えば、50%~60%)以上、以下又は範囲内であれば、正常又は異常であると評価する。
【0018】
(気道弁開閉)
本発明の胸骨圧迫訓練モデル100では、頭部後屈検出部601及び/又は下顎挙上検出部602から出力された情報を基にして、気道確保を評価し、かつ気道弁400(500)の開閉を制御するように構成されている。
通常、人工呼吸を行う際には、頭部を後屈させ、さらに下顎を挙上させて行う。この動作がないと、喉の奥のあたりが狭まってしまい、十分な空気が送れないからである。そのため、本発明の骨圧迫訓練モデル100には、必要に応じて、頭部後屈検出部601(頭部の後屈を感知するセンサー)及び/又は下顎挙上検出部602(下顎の挙上を感知するセンサー)が設置されている。情報処理部は、頭部後屈検出部601及び/又は下顎挙上検出部602からの情報により、後屈や挙上の程度を評価する。さらに、情報処理部は、該評価を基にして、気道弁を全開・中開・小開・全閉等になるように制御する。例えば、後屈や挙上の程度の評価(例えば評価1~3の3段階)による気道弁の制御(例えば全開・中開・全閉の3段階)は、以下の表1を例示することができる。
また、指導者等が、入力部(操作部)109により気道弁400(500)の開閉を制御することができる。このような指導者等による気道弁400(500)の制御は、訓練者がモデルの呼吸の状態を自ら判断できるようにする訓練を提供する。より詳しくは、訓練者は、人工呼吸を行っても、模擬胸部が上下しないことに気づいて、気道に異物があるかもしれないということを認識できるようになる。
【0019】
【表1】
【0020】
(気道弁)
本発明の胸骨圧迫訓練モデル100に設置する気道弁400(500)は、図6に示すように1個の弁体及び図8に示すように2個の弁体を有する両方の構成を対象とする。
なお、気道弁400(500)は、図5に示すように、模擬気管112中に設置する。
以下で説明する「気体流入」や「気体排出」という用語はここでは相互に使用可能である。同様に、「気管支側」と「肺側」という用語はここでは相互に使用可能である。
【0021】
(1つの弁体を有する気道弁)
1つの弁体を有する気道弁400は、筐体401、筐体401に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の弁体402、弁体402を回転可能にするための駆動体403、弁体402の気体流入開口404と筐体401の気体流入口405を連結する気体流入側流路406、弁体402の気体排出開口407と筐体401の気体排出口408を連結する気体排出側流路409、弁体402に設置されたリミットスイッチ検出部410、筐体401に設置された2以上のリミットスイッチ411を有する。
弁体402は、側面に1以上の異なる大きさの気体排出開口407かつ底面に1つの気体流入開口404を有する又は側面に1以上の異なる大きさの気体流入開口404かつ底面に1つの気体排出開口407を有し、並びに気体流入開口404と気体排出開口407は連通しており、弁体402の回転により、排出する気体量を複数段階に切り替えることができる。
柱体形状は、例えば、円柱、四角柱、三角柱等を例示することができるが、好ましくは円柱形状である。
円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の弁体の底面とは、どちらかの底面に限定されないが、駆動体403を設置する底面と気体排出開口407若しくは気体流入開口404を設置する底面は別であることが好ましい。
1つの弁体を有する気道弁400は、例えば、リミットスイッチ411を4個並びに側面の気体排出開口407を3個又は気体流入開口404を3個有すれば、4段階の切り替え(例、全開、中開、小開、全閉)が可能である。同様に、リミットスイッチ411を5個並びに側面の気体排出開口407を4個又は気体流入開口404を4個有すれば、5段階の切り替え(例、全開、大開、中開、小開、全閉)が可能である。
駆動体403は、弁体402を電流等により回転させることができれば特に限定されないが、モーター(DCブラシモーター)を例示することができる。例えば、弁体402のいずれかの底面に設置されている。
リミットスイッチ検出部410は、リミットスイッチ411と接触できる構造であれば特に限定されないが、突起形状を例示することができる。
各段階の切り替え方法は、例えば、全開にする場合では、弁体402の回転に伴いリミットスイッチ検出部410が回転して、リミットスイッチ411と接触し、目的としたリミットスイッチ411(全開検出用リミットスイッチ411)に接触する。次に、目的としたリミットスイッチ411が入った場合には、駆動体403(モーター)への電流の供給が止まり、さらに、駆動体403は惰性で回っているが、発電機としてはたらき、駆動体403の外部又は内部に設置されている抵抗に電流が流れ、発電ブレーキが作動し、駆動体403は急速に停止する。これにより、全開の気体排出開口407又は気体流入開口404が気体流入側流路406又は気体排出側流路409と連通して、気体が全開状態で排出される。
【0022】
1つの弁体を有する気道弁400は、図6に示すような構造を例示することができるが、特に限定されない。
気道弁400は、筐体401、筐体401に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の弁体402、弁体402を回転可能にするための駆動体403、弁体402の気体流入開口404と筐体401の気体流入口405を連結する気体流入側流路406、弁体402の気体排出開口407と筐体401の気体排出口408を連結する気体排出側流路409、弁体402に設置されたリミットスイッチ検出部410、筐体401に設置された3個のリミットスイッチ411を有する。
弁体402は側面に2つの異なる大きさの気体排出開口407かつ底面に1つの気体流入開口404を有し、並びに気体流入開口404と気体排出開口407は連通しており、弁体402の回転により、排出する気体量を3段階に切り替えることができる。
なお、図7に示すように、1つの弁体を有する気道弁400は、全閉、中開及び全開を例示することができる。
【0023】
(2つの弁体を有する気道弁)
2つの弁体を有する気道弁500は、筐体501、筐体501に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の気管支側弁体502、筐体501に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の肺側弁体503、気管支側弁体502を回転可能にするための駆動体504、肺側弁体503を回転可能にするための駆動体504、気管支側弁体502の側面を連通する気管支側弁体内流路505、肺側弁体の側面を連通する肺側弁体内流路508、気管支側弁体内流路505と筐体501の気体流入口506を連結する気体流入側流路507、肺側弁体内流路508と筐体の気体排出口509を連結する気体排出側流路510、気管支側弁体内流路505と肺側弁体内流路508を連結する両弁体間連結流路511、気管支側弁体502に設置されたリミットスイッチ検出部512、肺側弁体に設置されたリミットスイッチ検出部512、筐体501の気管支側弁体503側に設置された1以上のリミットスイッチ513、筐体501の肺側弁体503側に設置された1以上のリミットスイッチ513を有する。
気管支側弁体502の側面を連通する気管支側弁体内流路505とは、該側面に2以上の開口を有する流路を意味し、同様に、肺側弁体の側面を連通する肺側弁体内流路508とは、該側面に2以上の開口を有する流路を意味する。
気管支側弁体502は1以上又は2以上の異なる大きさの気管支側弁体内流路505を有し、並びに、肺側弁体503は1以上又は2以上の異なる大きさの肺側弁体内流路508を有する。ここで、「2以上の異なる大きさの弁体内流路」とは、容積が異なる2本以上の流路が存在してもよく(該2本以上の流路は交差してもよい)、共通する1の流路において2組以上の異なる大きさ(面積)の開口が存在してもよいが、特に限定されない。それぞれの弁体の回転により、排出する気体量を複数段階に切り替えることができる。
例えば、気管支側弁体502は3の異なる大きさの気管支側弁体内流路505を有し、肺側弁体503は1つの肺側弁体内流路508を有すれば、4段階(全開、中開、小開、全閉)の切り替えが可能である。
【0024】
2つの弁体を有する気道弁500は、図8に示すような構造を例示することができるが、特に限定されない。
2つの弁体を有する気道弁500は、筐体501、筐体501に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の気管支側弁体502、筐体501に回転可能に設置された円錐台形状、錐台形状又は柱体形状の肺側弁体503、気管支側弁体502を回転可能にするための駆動体504、肺側弁体503を回転可能にするための駆動体504、気管支側弁体502の側面を連通する気管支側弁体内流路505、肺側弁体503の側面を連通する肺側弁体内流路508、気管支側弁体内流路505と筐体の気体流入口506を連結する気体流入側流路507、肺側弁体内流路508と筐体501の気体排出口509を連結する気体排出側流路510、気管支側弁体内流路505と肺側弁体内流路508を連結する両弁体間連結流路511、気管支側弁体502に設置されたリミットスイッチ検出部512、肺側弁体503に設置されたリミットスイッチ検出部512、筐体501の気管支側弁体502側に設置された1のリミットスイッチ513、筐体501の肺側弁体503側に設置された1のリミットスイッチ513を有する。
気管支側弁体502は2の異なる大きさの気管支側弁体内流路505を有し、並びに、肺側弁体503は1の肺側弁体内流路508を有し、気管支側弁体502及び肺側弁体503の回転により、排出する気体量を3段階に切り替えることができる。
【0025】
(EtCO2値の調整)
本発明の胸骨圧迫訓練モデル100では、必要に応じて、模擬気管112、模擬口腔及び模擬口111は連通しており、これらの内部に気体を流すことができる。
さらに、情報処理部は、必要に応じて、圧迫時の手の位置の評価、胸骨圧迫の深さの評価、リコイルの評価、デューティーサイクル比の評価、単位時間あたりの圧迫回数の評価、及び/又は気道確保の評価からEtCO2値を算出し、かつ該EtCO2値に応じて該模擬気管112に流す気体(例えば、二酸化炭素)量を制御するように構成されている。
より詳しくは、情報処理部は、電気的駆動弁(例えば、電磁弁)を制御して、二酸化炭素含有ボンベからチューブ等と接続した模擬気管112に流す二酸化炭素量を調整する。調整された二酸化炭素量(EtCO2値)が模擬気管112から模擬口腔さらに模擬口111から排出される。なお訓練者は、排出された二酸化炭素量(調整されたEtCO2値)を実際のカプノメータで測定する訓練を行うことができる。
【0026】
(使用例)
本発明の胸骨圧迫訓練モデル100を使用した胸骨圧迫訓練の一例を示すが、特に限定されない。
指導者が模擬人体の危篤の程度を設定することにより、気道弁400(500)の開閉条件、必要な圧迫時の手の位置の条件、胸骨圧迫の深さの条件、リコイルの条件、デューティーサイクル比の条件、単位時間あたりの圧迫回数の条件が決定される。なお、指導者は、各条件等を個別に設定することもできる。
訓練者が上記設定された模擬人体に必要な処置を行う。詳しくは、気管内チューブなどを模擬口111に挿管し、さらにバックバルブマスクを接続して人工呼吸を行うと共に、心拍再開のために胸骨圧迫を行う。圧迫位置検出部300は、スイッチ304のon/offを検出して、検出情報を情報処理部に送信(出力)する。
弾性体収縮量検出部320は、弾性体収縮量を検出して、検出情報を情報処理部に送信(出力)する。
頭部後屈検出部601は、頭部の後屈位置を検出して、検出情報を情報処理部に送信(出力)する。
下顎挙上検出部602は、頭部の下顎の挙上位置を検出して、検出情報を情報処理部に送信(出力)する。
情報処理部は、圧迫位置検出部からの情報、弾性体収縮量検出部からの情報並びに/又は、頭部後屈検出部からの情報及び/若しくは下顎挙上検出部からの情報を受け取り、圧迫時の手の位置の算出・評価、胸骨圧迫の深さの算出・評価、リコイルの算出・評価、デューティーサイクル比の算出・評価、単位時間あたりの圧迫回数の算出・評価、及び/又は気道確保の評価をする。情報処理部は、これらの評価から、模擬人体の呼気に含まれるはずのEtCO2値を算出する。また、情報処理部は、気道弁の開閉状態、圧迫時の手の位置、胸骨圧迫の深さ、リコイル、デューティーサイクル比、単位時間あたりの圧迫回数及びEtCO2値及びカプノグラムのいずれか1以上の情報を表示部103に送信する。
表示部103は、情報処理部から受け取った情報を提示する。
訓練者は、表示部103が提示した情報を訓練中に見ることにより、圧迫時の手の位置が適切であるかどうか、胸骨圧迫の深さは適切であるかどうか、リコイルの状態は適切であるかどうか、デューティーサイクル比は適切であるかどうか、単位時間あたりの圧迫回数は適切であるかどうか、カプノグラムの形状は適切であるかどうかをリアルタイムで確認する。
なお、訓練者が、表示部103が提示した情報をリアルタイムで確認しながら適切な処置を続けると、カプノグラムの波形は上昇して、正常値に近づいていき、心拍再開したことを確認することができる{参照:図9の(a)→(b)→(c)→(d)}。なお、訓練者が、正しい処置を継続しなければ、カプノグラフの波形が縮小することあるいは上昇しないことも確認できる{参照:図9の(c)→(b)}。
【0027】
情報処理部は、さらに、訓練中で想定される心電図情報を心電図電極115及び除細動電極114で再現できるように制御することができる。これにより、訓練者は、実際の心電図計及びAEDをこれらの電極に装着して、想定される患者の心電図波形の確認訓練、及び/又はAEDによる除細動訓練を行うことができる。
【0028】
本発明の胸骨圧迫訓練モデル100は、さらに、模擬人体の内部又は外部に二酸化炭素ボンベを設置し、該ボンベと模擬気管112をチューブ等で接続することにより、模擬人体の内部に気体を流すことができる。さらに、情報処理部からの情報に基づき開閉可能な電磁弁を設置することにより、情報処理部が算出したEtCO2値になるような呼気を模擬体内に流すことができる。
訓練者は、実際に患者を蘇生・胸骨圧迫する際に用いるカプノメータを気道確保デバイスに接続して、カプノメータに表示されるEtCO2値及び/又はカプノメータを訓練中に確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
胸骨圧迫訓練モデルを提供することができる。
【符号の説明】
【0030】
胸骨圧迫訓練モデル 100
模擬胸部 101
表示部 103
模擬肺 104
模擬皮膚 105
模擬頭部 107
模擬腹部 108
入力部 109
模擬鼻 110
模擬口 111
模擬気管 112
除細動電極 114
心電図電極 115
胸骨圧迫検出部 200
肋骨板 201
底部 202
圧迫位置検出部 300
弾性体 301
圧迫台 302
スイッチ台 303
スイッチ 304
弾性体支持台 305
柱状部 306
筒状受け 307
四隅付近 308
柱状部 309
筒状受け 310
フォトセンサー 311
プレート 312
接触素子 313
弾性体収縮量検出部 320
1つの弁体を有する気道弁 400
筐体 401
弁体 402
駆動体403
気体流入開口 404
気体流入口 405
気体流入側流路 406
気体排出開口 407
気体排出口408
気体排出側流路 409
リミットスイッチ検出部 410
リミットスイッチ 411
2つの弁体を有する気道弁 500
筐体 501
気管支側弁体 502
肺側弁体 503
駆動体 504
気管支側弁体内流路 505
気体流入口 506
気体流入側流路 507
肺側弁体内流路 508
気体排出口 509
気体排出側流路 510
両弁体間連結流路 511
リミットスイッチ検出部 512
リミットスイッチ513
頭部後屈検出部 601
下顎挙上検出部 602
上面方向 矢印A
背面方向 矢印B
丸い盛り上がり 矢印C
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9