(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20221025BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/007 C
(21)【出願番号】P 2018156432
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山岸 智和
(72)【発明者】
【氏名】小松 晃
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-228114(JP,A)
【文献】特開2009-092338(JP,A)
【文献】特開2018-105568(JP,A)
【文献】特開2008-128495(JP,A)
【文献】特開2012-241950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/007
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器の天面温度を複数の画素により検知する複眼温度センサと、
前記調理器上方で発生する油煙を吸気し外部に排気させるファンと、
前記複眼温度センサが検知する画素ごとの前記天面温度をあらかじめ設定した閾値条件と比較して前記ファンの風量を段階的に変化させる制御部と、を有し、
前記ファンの前記風量を任意の段階から1段階上の段階に増加させるときの前記閾値条件は、前記複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を検知していることであり、前記ファンの前記風量を前記1段階上の段階から前記任意の段階に低下させるときの前記閾値条件は、前記複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を検知していることであり、
このとき、n1<n2である、レンジフード。
【請求項2】
調理器の天面温度を複数の画素により検知する複眼温度センサと、
前記調理器上方で発生する油煙を吸気し外部に排気させるファンと、
前記複眼温度センサが検知する画素ごとの前記天面温度をあらかじめ設定した閾値条件と比較して前記ファンの風量を段階的に変化させる制御部と、を有し、
前記ファンの前記風量を任意の段階から1段階上の段階に増加させるときの前記閾値条件は、前記複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を所定時間x1以上検知していることであり、前記ファンの前記風量を前記1段階上の段階から前記任意の段階に低下させるときの前記閾値条件は、前記複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を所定時間x2以上検知していることであり、
このとき、n1<n2である、レンジフード。
【請求項3】
前記制御部は、前記ファンの前記風量を前記1段階上の段階から前記任意の段階に低下させようとしている前記所定時間x2の間に、前記複眼温度センサのn3個以上の画素がt2(℃)より高い温度となったときには、前記所定時間x2の計測をリセットする、
このとき、n2>n3である、請求項
2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記n2は、前記複眼温度センサの全画素である、請求項
1から
3のいずれかに記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンジフードに設けた温度センサにより調理器の天面温度を検知し、検知した天面温度に基づいて、レンジフードの風量を制御するレンジフードが知られている(特許文献1)。このレンジフードは、検知した温度が、閾値温度以上となれば風量をアップさせ、その後温度が下がって閾値温度以下となれば風量をダウンさせるという制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されているレンジフードは、閾値温度付近で天面温度が安定した場合には、調理中に風量のアップとダウンが繰り返されることとなり、使用者が煩わしく感じるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、調理中にファンの風量やフィルタの回転数のアップとダウンとが頻繁に繰り返されず、使用者が煩わしさを感じないようにした、レンジフードの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、上記目的を達成するための本発明の他のレンジフードは、調理器の天面温度を複数の画素により検知する複眼温度センサと、調理器上方で発生する油煙を吸気し外部に排気させるファンと、複眼温度センサが検知する画素ごとの天面温度をあらかじめ設定した閾値条件と比較してファンの風量を段階的に変化させる制御部と、を有し、ファンの風量を任意の段階から1段階上の段階に増加させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を検知していることであり、ファンの風量を前記1段階上の段階から前記任意の段階に低下させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を検知していることであり、このとき、n1<n2である。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明の他のレンジフードは、調理器の天面温度を複数の画素により検知する複眼温度センサと、調理器上方で発生する油煙を吸気し外部に排気させるファンと、複眼温度センサが検知する画素ごとの天面温度をあらかじめ設定した閾値条件と比較してファンの風量を段階的に変化させる制御部と、を有し、ファンの風量を任意の段階から1段階上の段階に増加させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を所定時間x1以上検知していることであり、ファンの風量を前記1段階上の段階から前記任意の段階に低下させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を所定時間x2以上検知していることであり、このとき、n1<n2である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ファンの風量を低下させるときの閾値温度または閾値条件とファンの風量を増加させるときの閾値温度または閾値条件とを違えているので、調理中にファンの風量やフィルタの回転数のアップとダウンとが頻繁に繰り返されず、使用者が煩わしさを感じない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のレンジフードをキッチンに設置した場合の正面図である。
【
図2】本実施形態のレンジフードをキッチンに設置した場合の側面図である。
【
図3】本実施形態のレンジフードが備える操作パネルの正面図である。
【
図4】本実施形態のレンジフードの制御系のブロック図である。
【
図5】本実施形態のレンジフードの動作フローチャートである。
【
図6】温度センサによる調理器の天面温度の検知状態を模式的に示す図である。
【
図7】前面側の2つの熱源を用いて調理をしている場合の、温度センサによる調理器の天面温度の検知状態を模式的に示す図である。
【
図8】背面側の熱源を用いて調理をしている場合の、温度センサによる調理器の天面温度の検知状態を模式的に示す図である。
【
図9】調理器のグリルを用いて調理をしている場合の、温度センサによる調理器の天面温度の検知状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態のみに限定されない。なお、各図面は説明の便宜上誇張されて表現されている。したがって、各図面における各構成要素の寸法比率は実際とは異なる。また、図面において同一の要素には同一の符号を付し、明細書において重複する説明は省略する。
【0015】
(レンジフードの構成)
図1は、本実施形態に係るレンジフードをキッチンに設置した場合の正面図である。また、
図2は、本実施形態に係るレンジフードをキッチンに設置した場合の側面図である。
【0016】
図1および
図2に示すように、本実施形態のレンジフード100は、調理器200の上部に設置される。レンジフード100は調理器200の調理時に生じる臭い、煙、油などを含む臭気や油煙を吸い込み外部に排気する。なお、例示する調理器200は、3つの熱源210(3つの熱源の総称)およびグリルの吹出口220を有する。本明細書において、調理器200は、ガス用またはIH用いずれの調理器でも良く、熱源とは、ガス用の調理器に対してはバーナーを、IH用の調理器に対してはヒーターを、それぞれ意味する。
【0017】
レンジフード100は、その中央部より左側の前面側の下面に、調理器200の天面温度を検知する温度センサ300を有する。温度センサ300は、図示点線で示される領域の温度を検知する。温度センサ300は、単眼温度センサであっても良いし、複眼温度センサであっても良い。複眼温度センサの場合、たとえば、8×8の64個の画素から形成される複眼温度センサを用いる。したがって、単眼温度センサの場合、調理器200の天面温度の平均値を検知する。一方、複眼温度センサの場合、調理器200の天面温度を64の領域ごとに検知する。複眼温度センサによる天面温度の検知については後で詳細に説明する。
【0018】
レンジフード100は、その上部に排気部110を備えている。排気部110は、調理器200からの臭気や油煙を排気する。排気部110は、調理器200からの油煙を吸い込む吸気口112、屋外と連通する排気口114、吸気口112と排気口114とを結ぶ通路内に吸気口112から吸い込んだ油煙を排気口114に排気させるファン116を備えている。ファン116はファンモータ117によって駆動される。吸気口112とファン116との間に、吸気口112から吸い込んだ油煙から油分を除去するフィルタ(ディスク)118を備えている。フィルタ118はフィルタモータ119によって駆動される。なお、ファン116が回転している時にはフィルタ118も回転する。また、回転しない固定式の(普通の)フィルタを備えていても良いし、フィルタレスのレンジフードであっても良い。
【0019】
レンジフード100は、その上部の前面側に、レンジフード100の動作を指示するための操作パネル120を備えている。
【0020】
図3は、本実施形態のレンジフード100が備える操作パネル120の正面図である。操作パネル120は、運転スイッチ121、風量スイッチ122、風量自動スイッチ123、タイマースイッチ124、照明スイッチ125、および常時換気スイッチ126を有する。
【0021】
運転スイッチ121は、レンジフード100を動作させるためのスイッチである。風量スイッチ122は、ファン116の風量を、弱、中、強に手動で切り替えるためのスイッチである。風量自動スイッチ123は、温度センサ300が検知する調理器200の天面温度に応じて、ファン116の風量およびフィルタ118の回転数の段階を、自動的に切り替える制御を行わせるためのスイッチである。タイマースイッチ124は、ファン116を調理終了後に回転させる時間を設定するためのスイッチである。照明スイッチ125は、調理器200の上面を照らすLED電球を点灯/消灯させるためのスイッチである。常時換気スイッチ126は、ファン116を手動で回転/停止させることで常時換気の運転/停止を行うためのスイッチである。
【0022】
図4は、本実施形態のレンジフード100の制御系のブロック図である。レンジフード100は、ファン116、ファンモータ117、フィルタ118、フィルタモータ119、操作パネル120、制御部130、および温度センサ300を有する。なお、制御部130は閾値温度/閾値条件記憶部135を備え、レンジフード100に内蔵されている。
【0023】
ファン116、ファンモータ117、フィルタ118、フィルタモータ119、および操作パネル120の構成および機能は上記の通りである。
【0024】
制御部130は、温度センサ300が検知する調理器200の天面温度を用いて、ファン116の風量とフィルタ118の回転数を段階的に変化させる。なお、本実施形態では、ファン116の風量の段階として、風量が最小の「弱」(たとえば任意の段階)、「弱」よりも風量が多い「中」(任意の段階より1段階上の段階)、風量が最大の「強」の3段階の設定ができる。また、制御部136は、検知された天面温度を用いて、フィルタ118の回転数が最小の「低」(たとえば任意の段階)、「低」よりも回転数が速い「中」(任意の段階より1段階上の段階)、回転数が最大の「高」の3段階の設定ができる。なお、ファン116の風量の段階とフィルタ118の回転数の段階は、それらの段階を連動して変化させるようにしても良いし、個別に変化させるようにしても良い。
【0025】
制御部130が備える閾値温度/閾値条件記憶部135は、ファン116の風量を「弱」から「中」に増加させるための閾値温度または閾値条件、ファン116の風量を「中」から「強」に増加させるための閾値温度または閾値条件、ファン116の風量を「強」から「中」に減少させるための閾値温度または閾値条件、ファン116の風量を「中」から「弱」に減少させるための閾値温度または閾値条件を記憶する。また、フィルタ118の回転数を「低」から「中」に増加させるための閾値温度または閾値条件、フィルタ118の回転数を「中」から「高」に増加させるための閾値温度または閾値条件、フィルタ118の回転数を「高」から「中」に減少させるための閾値温度または閾値条件、フィルタ118の回転数を「中」から「低」に減少させるための閾値温度または閾値条件を記憶する。なお、閾値温度/閾値条件記憶部135が記憶する閾値温度または閾値条件は、ファン116を「弱」→「中」→「強」→「中」→「弱」の3段階に変化させるための4つの閾値温度または閾値条件、およびフィルタ118を「低」→「中」→「高」→「中」→「低」の3段階に変化させるための4つの閾値温度または閾値条件に限られない。たとえば、閾値温度/閾値条件記憶部135には、ファン116を2段階、フィルタ118を2段階にそれぞれ変化させるための4つの閾値温度または閾値条件を記憶させても良い。また、さらに3段階以上の多くの段階を設定するための閾値温度または閾値条件を記憶させても良い。また、ファン116の段階を変化させるための閾値温度または閾値条件、フィルタ118の段階を変化させるための閾値温度または閾値条件の、どちらか一方のみを記憶させても良い。閾値温度または閾値条件の具体例については後述する。
【0026】
(制御部130の動作)
図5は、本実施形態のレンジフード100の動作フローチャートである。この動作フローチャートは制御部130によって処理される。なお、この動作フローチャートは、操作パネル120(
図3および
図4参照)の風量自動スイッチ123が選択されているときに実行される。
【0027】
制御部130は、温度センサ300により調理器200の天面温度を検知する(S100)。次に、制御部130は、検知された調理器200の天面温度と閾値温度/閾値条件記憶部135に記憶されている閾値温度または閾値条件とを比較する(S110)。次に、制御部130は、天面温度と閾値温度または閾値条件との比較結果に応じて、ファン116の風量および/またはフィルタ118の回転数の段階を切り替える(S120)。
【0028】
制御部130の概略の動作は以上の通りである。次に、制御部130の具体的な動作の態様を、ファン116の風量の場合とフィルタ118の回転数の場合とに分けて説明する。制御部130の具体的な動作の態様を説明する前に、温度センサ300が単眼温度センサである場合と、複眼温度センサである場合の、調理器200の天面温度の検知の具体例を説明する。
【0029】
図6は、温度センサ300による調理器200の天面温度の検知状態を模式的に示す図である。上記の通り、温度センサ300は、レンジフード100の下面に取り付けられているので、調理器200の天面温度は、調理器200の熱源(バーナーまたはヒーター)210A、210B、210Cおよびグリルの吹出口220をカバーする領域で検知される。温度センサ300が単眼温度センサである場合には、調理器200の天面温度は、平均値として検知される。一方、温度センサ300が複眼温度センサである場合には、調理器200の天面温度は、
図6のように、たとえば8×8の64に分割された画素(Tij(i=1~8、j=1~8))ごとに検知される。なお、本実施形態では64画素の複眼温度センサを例示するが、画素の数はこれよりも少なくても良いし、多くても良い。
【0030】
図7は、前面側の2つの熱源(バーナーまたはヒーター)210A、210Bを用いて調理をしている場合の、温度センサ300による調理器200の天面温度の検知状態を模式的に示す図である。この場合の温度センサ300はもちろん複眼温度センサである。
図7において塗りつぶしの色の濃い領域は、その色の濃さに応じて検知温度が高くなっている。
図7を見ると、温度センサ300のT22~T27、T32~T37、T42~T47の画素の検知温度が他の領域の検知温度よりも高いことがわかる。
【0031】
図8は、背面側の熱源210Cを用いて調理をしている場合の、温度センサ300による調理器200の天面温度の検知状態を模式的に示す図である。
図8においても、塗りつぶしの色の濃い領域は、その色の濃さに応じて検知温度が高くなっている。背面側の熱源210Cは前面側の2つの熱源210A、210Bよりも大きさが小さく、熱量も小さいので、その検知温度も
図7に比べて低くなっていることがわかる。この図を見ると、温度センサ300のT43、T44、T53、T54、T63、T64の画素の検知温度が他の領域の検知温度よりも高いことがわかる。
【0032】
図9は、調理器200のグリルを用いて調理をしている場合の、温度センサ300による調理器200の天面温度の検知状態を模式的に示す図である。
図9においても、塗りつぶしの色の濃い領域は、他の領域よりも検知温度が高い領域である。この図を見ると、温度センサ300のT73~T76の画素の検知温度が他の領域の検知温度よりも高いことがわかる。
【0033】
制御部130は、上記のように、温度センサ300によって検知される天面温度を閾値温度/閾値条件記憶部135に記憶されている閾値温度または閾値条件と比較し、その比較結果によって、ファン116の風量の段階を増加させたり、減少させたりする。また、制御部130は、その比較結果によって、フィルタ118の回転数の段階を増加させたり、減少させたりする。閾値温度/閾値条件記憶部135に記憶されている閾値温度または閾値条件は、試行錯誤により、ファン116の風量の段階および/またはフィルタ118の回転数の段階として最適な段階が選択されるように設定してある。たとえば、
図7のように、2つの熱源210A、210Bが用いられているときには、温度センサ300によって比較的高い天面温度が検知されるので、ファン116の風量の段階として「強」および/またはフィルタ118の回転数の段階として「高」が選択される。
図8のように、1つの熱源210Cが用いられているときには、2つの熱源210A、210Bが用いられているときよりも比較的低い天面温度が検知されるので、ファン116の風量の段階として「中」および/またはフィルタ118の回転数の段階として「中」が選択される。
図9のように、グリルのみが用いられているときには、さらに低い天面温度が検知されるので、ファン116の風量の段階として「弱」および/またはフィルタ118の回転数の段階として「低」が選択される。本実施形態では、以下に説明するように、温度センサ300によって検出される天面温度の変化具合によって、ファン116の風量の段階および/またはフィルタ118の回転数の段階が最適となるようにしている。
【0034】
(ファンの風量の場合)
次に、ファン116の風量の段階を変化させる場合の制御部130動作(
図5の動作フローチャートのS110とS120のステップで処理される動作)を、態様1~態様4に分けて詳細に説明する。
【0035】
<態様1の動作>
態様1では、閾値温度/閾値条件記憶部135に記憶されている閾値温度を用いて、ファン116の風量を増減させる。この態様における閾値温度は、ファン116の風量を「中」から1段階下の「弱」に低下させるときの閾値温度t2(℃)を、ファン116の風量を「弱」から1段階上の「中」に増加させるときの閾値温度t1(℃)よりも低く設定している。つまり、閾値温度は、t2(℃)<t1(℃)の関係にある。t2(℃)≧t1(℃)の関係としないのは、以下の理由による。たとえば、調理器200の天面温度が上昇し、天面温度がt1に到達すると風量が「弱」から「中」に変化し、その後さらに天面温度が上昇してt2に到達すると風量が「中」から「弱」に変化してしまう。このように、調理器200の天面温度は上昇しているのに風量が落ちてしまうことが生じるからである。
【0036】
したがって、ファン116の風量は、温度センサ300の検知する天面温度がt1(℃)よりも高い温度にならないと「弱」から「中」に切り替わらない。また、ファン116の風量は、温度センサ300の検知する天面温度がt2(℃)よりも低い温度にならないと「中」から「弱」に切り替わらない。したがって、t1(℃)とt2(℃)との間の温度帯は風量が切り替わらない無感温度帯となり、ファン116の風量は切り替わらない。なお、天面温度は、温度センサ300が単眼温度センサであるときにはその検知した温度そのものを用い、温度センサ300が複眼温度センサであるときには複数の画素のそれぞれが検知した温度を用いる。
【0037】
このため、調理中に、天面温度が閾値温度付近で安定しているときに、ファン116の風量が増加したり、減少したりを頻繁に繰り返すことがなくなり、使用者が煩わしく感じることを抑制できる。より具体的に説明すると、例えば天面温度がt2(℃)付近で安定している時には、風量が「弱」で安定しており、調理器200の天面温度がt1(℃)以上にならない限りは「中」にはならない。このため、風量が「弱」と「中」を繰り返すことがない。なお、以上では、ファン116の風量が「弱」と「中」の間で切り替わる場合を例示したが、「中」と「強」の間で切り替わる場合も同様である。さらに多くの段階で切り替わる場合にも、風量を増加させる場合と減少させる場合とで閾値温度を異なる温度に設定することで、風量の増減を頻繁に繰り返すことを防止できる。
【0038】
<態様2の動作>
態様1は、天面温度と閾値温度とを比較してファン116の風量を切り替えた。態様2では、さらに時間的な要素を付加している。この態様では、温度センサ300の検知する天面温度が閾値温度t2(℃)以下を所定時間x2以上継続したときに、ファン116の風量を「中」から「弱」に低下させ、温度センサ300の検知する天面温度が閾値温度t1(℃)以上を所定時間x1以上継続していたときに、ファン116の風量を「弱」から「中」に増加させる。なお、所定時間x1と前記所定時間x2との大小関係は、x1<x2である。
【0039】
したがって、ファン116の風量は、温度センサ300の検知する天面温度がt1(℃)以上の温度になり、しかもその状態が所定時間x1以上継続されないと「弱」から「中」に切り替わらない。また、ファン116の風量は、温度センサ300の検知する天面温度がt2(℃)以下の温度になり、しかもその状態が所定時間x2以上継続されないと「中」から「弱」に切り替わらない。したがって、t1(℃)とt2(℃)との間の温度帯は風量が切り替わらない無感温度帯となり、さらにx1とx2の時間は風量が切り替わらない無感時間となる。なお、x1<x2の関係にあるので、天面温度の上昇を下降する場合に比較してより迅速に捉え、ファン116の風量を増加させることができる。x1およびx2の時間を最適化すると、鍋や調理物温度が急激に上がって油煙が大量に発生した場合には、風量を迅速に増加でき、発生した油煙を効果的に排気できる。一方、鍋や調理物温度が急激に下がって油煙が漂っている場合には、風量が減少されず、油煙を効果的に排気できる。なお、x2の時間を計測している間に天面温度がt2(℃)より高い温度となったときには、x2の時間の計測をリセットする。
【0040】
このため、調理中に、天面温度が閾値温度付近で安定しているときに、ファン116の風量が増加したり、減少したりを、態様1の場合に増して、繰り返すことがなくなり、使用者が煩わしく感じることを抑制できる。また、一時的な温度上昇と一時的な温度下降の際に風量が変更されてしまうということを防止できる。なお、以上では、ファン116の風量が「弱」と「中」の間で切り替わる場合を例示したが、「中」と「強」の間で切り替わる場合も同様である。さらに多くの段階で切り替わる場合にも、風量を増加させる場合と減少させる場合とで閾値温度を異なる温度に設定し、無感時間を最適化することで、風量の増減を頻繁に繰り返すことを防止できる。
【0041】
<態様3の動作>
態様1および態様2では、閾値温度を用いてファン116の風量を切り替えた。態様3では、閾値温度/閾値条件記憶部135に記憶されている閾値条件を用いて、ファン116の風量を切り替える。この態様は、温度センサ300が複眼温度センサであるときに限られ、単眼温度センサは除かれる。この態様において、ファン116の風量を「弱」から「中」に増加させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を検知していることであり、ファン116の風量を「中」から「弱」に低下させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を検知していることであり、このとき、n1<n2である。このように、n1<n2としている理由は、温度上昇時の画素数の方を少なくすると、急激な温度上昇を即座に捉えて風量を上げられるからである。また、n1は、複眼温度センサの全画素数の半分未満の画素数であることが好ましい。なお、閾値温度t1とt2との関係は、t1≠t2であっても良く、t1=t2であっても良い。
【0042】
具体的には、
図7から
図9に示されている、T11からT88までの64個の画素の内、n1個以上の画素(たとえば30画素)がt1(℃)以上の温度を検知していれば、ファン116の風量を「弱」から「中」に増加させる。一方、T11からT88までの64個の画素の内、n2個以上の画素(たとえば40画素)がt2(℃)以下の温度を検知していれば、ファン116の風量を「中」から「弱」に低下させる。なお、n1は1画素でも良く、また、n2は、上記のように、T11からT88までの一部の画素でも良いし、T11からT88の全画素でも良い。
【0043】
したがって、ファン116の風量は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を検知していないと「弱」から「中」に切り替わらない。また、ファン116の風量は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を検知していないと「中」から「弱」に切り替わらない。したがって、この閾値条件を外れる場合にはファン116の風量は切り替わらない。
【0044】
このため、調理中に、天面温度が閾値温度付近で安定しているときに、ファン116の風量が増加したり、減少したりを頻繁に繰り返すことがなくなり、使用者が煩わしく感じることを抑制できる。なお、以上では、ファン116の風量が「弱」と「中」の間で切り替わる場合を例示したが、「中」と「強」の間で切り替わる場合も同様である。さらに多くの段階で切り替わる場合にも、風量を増加させる場合と減少させる場合とで異なる閾値条件を設定することで、風量の増減を頻繁に繰り返さないようにできる。なお、ファン116の風量が「弱」から「中」の条件と「中」から「弱」の条件のいずれもが満たされている場合には、風量が大きくなる方向の「弱」から「中」を優先する。
【0045】
<態様4の動作>
態様3は、閾値条件(画素数と温度)を見てファン116の風量を切り替えた。態様4では、さらに時間的な要素を付加している。この態様において、ファン116の風量を「弱」から「中」に増加させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を所定時間x1以上検知していることであり、ファン116の風量を「中」から「弱」に低下させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を所定時間x2以上検知していることであり、このとき、n1<n2、x1<x2である。なお、閾値温度t1とt2との関係は、t1≠t2であっても良く、t1=t2であっても良い。
【0046】
具体的には、
図7から
図9に示されている、T11からT88までの64個の画素の内、n1個以上の画素(たとえば30画素)がt1(℃)以上の温度を検知し、しかもその状態が所定時間x1以上継続されていれば、ファン116の風量を「弱」から「中」に増加させる。一方、T11からT88までの64個の画素の内、n2個以上の画素(たとえば40画素)がt2(℃)以下の温度を検知し、しかもその状態が所定時間x2以上継続されていれば、ファン116の風量を「中」から「弱」に低下させる。なお、n1は1画素でも良く、また、n2は、上記のように、T11からT88までの一部の画素でも良いし、T11からT88の全画素でも良い。
【0047】
したがって、ファン116の風量は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を所定時間x1以上検知していないと「弱」から「中」に切り替わらない。また、ファン116の風量は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を所定時間x2以上検知していないと「中」から「弱」に切り替わらない。したがって、この閾値条件を外れる場合、たとえば、一時的な温度上昇、一時的な温度低下の場合には、ファン116の風量は切り替わらない。なお、x1<x2の関係にあるので、天面温度の上昇を下降する場合に比較してより迅速に捉え、ファン116の風量を増加させることができる。x1およびx2の時間を最適化すると、鍋や調理物温度が急激に上がって油煙が大量に発生した場合に、風量が増加でき、発生した油煙を効果的に排気できる。一方、鍋や調理物温度が急激に下がって油煙が漂っている場合には、風量が減少されず、油煙を効果的に排気できる。
【0048】
このため、調理中に、天面温度が閾値温度付近で安定しているときに、ファン116の風量が増加したり、減少したりを、態様3の場合に増して、頻繁に繰り返すことがなくなり、使用者が煩わしく感じることを抑制できる。なお、以上では、ファン116の風量が「弱」と「中」の間で切り替わる場合を例示したが、「中」と「強」の間で切り替わる場合も同様である。さらに多くの段階で切り替わる場合にも、風量を増加させる場合と減少させる場合とで異なる閾値条件を設定することで、風量の増減を頻繁に繰り返さないようにできる。段階を切り換える場合の時間、たとえばx1およびx2などの時間を最適化できれば、この効果はさらに大きくなる。
【0049】
なお、制御部130は、ファン116の風量を「中」から「弱」に低下させようとして時間を計測している所定時間x2の間に、温度センサ300のn3個以上の画素がt2(℃)より高い温度になったときには、所定時間x2の計測をリセットする。
【0050】
たとえば、
図7から
図9に示されている、T11からT88までの64個の画素の内、n2個以上の画素(たとえば40画素)がt2(℃)以下の温度を検知し、その継続時間を計測している所定時間x2までの間にn3個以上の画素(たとえば35画素)がt2(℃)より高い温度となったときには、所定時間x2の計測をリセットする。このとき、n2>n3を条件とする。このような制御をすることによって、風量の増減を頻繁に繰り返さないようになる。
【0051】
(フィルタの回転数の場合)
上記の態様1から態様4では、S110とS120のステップで処理される、ファン116の風量に対する制御部130動作について説明した。次に、ファン116の風量をフィルタ118の回転数に置き替えた、態様5から態様8を説明する。
【0052】
<態様5の動作>
態様5では、閾値温度/閾値条件記憶部135に記憶されている閾値温度を用いて、フィルタ118の回転数を増減させる。この態様における閾値温度は、フィルタ118の回転数を「中」から1段階下の「低」に低下させるときの閾値温度t2(℃)を、フィルタ118の回転数を「低」から1段階上の「中」に増加させるときの閾値温度t1(℃)よりも低く設定している。つまり、閾値温度は、t2(℃)<t1(℃)の関係にある。t2(℃)≧t1(℃)の関係としないのは、以下の理由による。たとえば、調理器200の天面温度が上昇し、天面温度がt1に到達するとフィルタ118の回転数が「低」から「中」に変化し、その後さらに天面温度が上昇してt2に到達するとその回転数が「中」から「低」に変化してしまう。このように、調理器200の天面温度は上昇しているのに回転数が落ちてしまうことが生じるからである。
【0053】
したがって、フィルタ118の回転数は、温度センサ300の検知する天面温度がt1(℃)よりも高い温度にならないと「低」から「中」に切り替わらない。また、フィルタ118の回転数は、温度センサ300の検知する天面温度がt2(℃)よりも低い温度にならないと「中」から「低」に切り替わらない。したがって、t1(℃)とt2(℃)との間の温度帯は風量が切り替わらない無感温度帯となり、フィルタ118の回転数は切り替わらない。なお、天面温度は、温度センサ300が単眼温度センサであるときにはその検知した温度そのものを用い、温度センサ300が複眼温度センサであるときには複数の画素のそれぞれが検知した温度を用いる。
【0054】
このため、調理中に、天面温度が閾値温度付近で安定しているときに、フィルタ118の回転数が増加したり、減少したりを頻繁に繰り返すことがなくなり、使用者が煩わしく感じることを抑制できる。より具体的に説明すると、例えば天面温度がt2(℃)付近で安定している時には、回転数が「低」で安定しており、調理器200の天面温度がt1(℃)以上にならない限りは「中」にはならない。このため、回転数が「低」と「中」を繰り返すことがない。なお、以上では、フィルタ118の回転数が「低」と「中」の間で切り替わる場合を例示したが、「中」と「高」の間で切り替わる場合も同様である。さらに多くの段階で切り替わる場合にも、回転数を増加させる場合と減少させる場合とで閾値温度を異なる温度に設定することで、回転数の増減を頻繁に繰り返すことを防止でき、騒音の発生を低減できる。
【0055】
<態様6の動作>
態様5は、天面温度と閾値温度とを比較してフィルタ118の回転数を切り替えた。態様6では、さらに時間的な要素を付加している。この態様では、温度センサ300の検知する天面温度が閾値温度t2(℃)以下を所定時間x2以上継続したときに、フィルタ118の回転数を「中」から「低」に低下させ、温度センサ300の検知する天面温度が閾値温度t1(℃)以上を所定時間x1以上継続していたときに、フィルタ118の回転数を「低」から「中」に増加させる。なお、所定時間x1と前記所定時間x2との大小関係は、x1<x2である。
【0056】
したがって、フィルタ118の回転数は、温度センサ300の検知する天面温度がt1(℃)以上の温度になり、しかもその状態が所定時間x1以上継続されないと「低」から「中」に切り替わらない。また、フィルタ118の回転数は、温度センサ300の検知する天面温度がt2(℃)以下の温度になり、しかもその状態が所定時間x2以上継続されないと「中」から「低」に切り替わらない。したがって、t1(℃)とt2(℃)との間の温度帯は風量が切り替わらない無感温度帯となり、さらにx1とx2の時間は風量が切り替わらない無感時間となる。なお、x1<x2の関係にあるので、天面温度の上昇を下降する場合に比較してより迅速に捉え、フィルタ118の回転数を増加させることができる。x1およびx2の時間を最適化すると、鍋や調理物温度が急激に上がって油煙が大量に発生した場合には、その回転数を迅速に増加でき、発生した油煙から油分を効果的に除去できる。一方、鍋や調理物温度が急激に下がって油煙が漂っている場合には、その回転数が減少されず、油煙の油分を効果的に除去できる。なお、x2の時間を計測している間に天面温度がt2(℃)より高い温度となったときには、x2の時間の計測をリセットする。
【0057】
このため、調理中に、天面温度が閾値温度付近で安定しているときに、フィルタ118の回転数が増加したり、減少したりを、態様5の場合に増して、繰り返すことがなくなり、使用者が煩わしく感じることを抑制できる。また、一時的な温度上昇と一時的な温度下降の際にその回転数が変更されてしまうということを防止できる。なお、以上では、フィルタ118の回転数が「低」と「中」の間で切り替わる場合を例示したが、「中」と「高」の間で切り替わる場合も同様である。さらに多くの段階で切り替わる場合にも、回転数を増加させる場合と減少させる場合とで閾値温度を異なる温度に設定し、無感時間を最適化することで、回転数の増減を頻繁に繰り返すことを防止できる。
【0058】
<態様7の動作>
態様5および態様6では、閾値温度を用いてフィルタ118の回転数を切り替えた。態様7では、閾値温度/閾値条件記憶部135に記憶されている閾値条件を用いて、フィルタ118の回転数を切り替える。この態様は、温度センサ300が複眼温度センサであるときに限られ、単眼温度センサは除かれる。この態様において、フィルタ118の回転数を「低」から「中」に増加させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を検知していることであり、フィルタ118の回転数を「中」から「低」に低下させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を検知していることであり、このとき、n1<n2である。このように、n1<n2としている理由は、温度上昇時の画素数の方を少なくすると、急激な温度上昇を即座に捉えてその回転数を上げられるからである。また、n1は、複眼温度センサの全画素数の半分未満の画素数であることが好ましい。なお、閾値温度t1とt2との関係は、t1≠t2であっても良く、t1=t2であっても良い。
【0059】
具体的には、
図7から
図9に示されている、T11からT88までの64個の画素の内、n1個以上の画素(たとえば30画素)がt1(℃)以上の温度を検知していれば、フィルタ118の回転数を「低」から「中」に増加させる。一方、T11からT88までの64個の画素の内、n2個以上の画素(たとえば40画素)がt2(℃)以下の温度を検知していれば、フィルタ118の回転数を「中」から「低」に低下させる。なお、n1は1画素でも良く、また、n2は、上記のように、T11からT88までの一部の画素でも良いし、T11からT88の全画素でも良い。
【0060】
したがって、フィルタ118の回転数は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を検知していないと「低」から「中」に切り替わらない。また、フィルタ118の回転数は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を検知していないと「中」から「低」に切り替わらない。したがって、この閾値条件を外れる場合にはフィルタ118の回転数は切り替わらない。
【0061】
このため、調理中に、天面温度が閾値温度付近で安定しているときに、フィルタ118の回転数が増加したり、減少したりを頻繁に繰り返すことがなくなり、使用者が煩わしく感じることを抑制できる。なお、以上では、フィルタ118の回転数が「低」と「中」の間で切り替わる場合を例示したが、「中」と「高」の間で切り替わる場合も同様である。さらに多くの段階で切り替わる場合にも、回転数を増加させる場合と減少させる場合とで異なる閾値条件を設定することで、回転数の増減を頻繁に繰り返さないようにできる。なお、フィルタ118の回転数が「低」から「中」の条件と「中」から「低」の条件のいずれもが満たされている場合には、その回転数が大きくなる方向の「低」から「中」を優先する。
【0062】
<態様8の動作>
態様7は、閾値条件(画素数と温度)を見てフィルタ118の回転数を切り替えた。態様8では、さらに時間的な要素を付加している。この態様において、フィルタ118の回転数を「低」から「中」に増加させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を所定時間x1以上検知していることであり、フィルタ118の回転数を「中」から「低」に低下させるときの閾値条件は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を所定時間x2以上検知していることであり、このとき、n1<n2、x1<x2である。なお、閾値温度t1とt2との関係は、t1≠t2であっても良く、t1=t2であっても良い。
【0063】
具体的には、
図7から
図9に示されている、T11からT88までの64個の画素の内、n1個以上の画素(たとえば30画素)がt1(℃)以上の温度を検知し、しかもその状態が所定時間x1以上継続されていれば、フィルタ118の回転数を「低」から「中」に増加させる。一方、T11からT88までの64個の画素の内、n2個以上の画素(たとえば40画素)がt2(℃)以下の温度を検知し、しかもその状態が所定時間x2以上継続されていれば、フィルタ118の回転数を「中」から「低」に低下させる。なお、n1は1画素でも良く、また、n2は、上記のように、T11からT88までの一部の画素でも良いし、T11からT88の全画素でも良い。
【0064】
したがって、フィルタ118の回転数は、複眼温度センサのn1個以上の画素がt1(℃)以上の温度を所定時間x1以上検知していないと「低」から「中」に切り替わらない。また、フィルタ118の回転数は、複眼温度センサのn2個以上の画素がt2(℃)以下の温度を所定時間x2以上検知していないと「中」から「低」に切り替わらない。したがって、この閾値条件を外れる場合、たとえば、一時的な温度上昇、一時的な温度低下の場合には、フィルタ118の回転数は切り替わらない。なお、x1<x2の関係にあるので、天面温度の上昇を下降する場合に比較してより迅速に捉え、フィルタ118の回転数を増加させることができる。x1およびx2の時間を最適化すると、鍋や調理物温度が急激に上がって油煙が大量に発生した場合に、その回転数が増加でき、発生した油煙の油分を効果的に除去できる。一方、鍋や調理物温度が急激に下がって油煙が漂っている場合には、その回転数が減少されず、油煙の油分を効果的に除去できる。
【0065】
このため、調理中に、天面温度が閾値温度付近で安定しているときに、フィルタ118の回転数が増加したり、減少したりを、態様7の場合に増して、頻繁に繰り返すことがなくなり、使用者が煩わしく感じることを抑制できる。なお、以上では、フィルタ118の回転数が「低」と「中」の間で切り替わる場合を例示したが、「中」と「高」の間で切り替わる場合も同様である。さらに多くの段階で切り替わる場合にも、回転数を増加させる場合と減少させる場合とで閾値温度を異なる温度に設定することで、回転数の増減を頻繁に繰り返さないようにできる。段階を切り換える場合の時間、たとえばx1およびx2などの時間を最適化できれば、この効果はさらに大きくなる。
【0066】
なお、制御部130は、フィルタ118の回転数を「中」から「低」に低下させようとして時間を計測している所定時間x2の間に、温度センサ300のn3個以上の画素がt2(℃)より高い温度となったときには、所定時間x2の計測をリセットする。
【0067】
たとえば、
図7から
図9に示されている、T11からT88までの64個の画素の内、n2個以上の画素(たとえば40画素)がt2(℃)以下の温度を検知し、その継続時間を計測している所定時間x2までの間にn3個以上の画素(たとえば35画素)がt2(℃)より高い温度となったときには、所定時間x2の計測をリセットする。このとき、n2>n3を条件とする。このような制御をすることによって、回転数の増減を頻繁に繰り返さないようになる。
【0068】
以上のように、本実施形態のレンジフード100によれば、ファン116の風量またはフィルタ118の回転数を低下させるときの閾値温度または閾値条件とファン116の風量またはフィルタ118の回転数を増加させるときの閾値温度または閾値条件とを違えているので、調理中にファン116の風量やフィルタ118の回転数のアップとダウンとが頻繁に繰り返されず、使用者が煩わしさを感じない。
【0069】
なお、本実施形態では、ファン116の風量の段階を低下させるための閾値温度t2(℃)とフィルタ118の回転数の段階を低下させるための閾値温度t2(℃)は同一の温度としているが、異なる温度としても良い。ファン116の風量の段階を増加させるための閾値温度t1(℃)とフィルタ118の回転数の段階を増加させるための閾値温度t1(℃)についても同様である。また、所定時間x1、x2、画素数n1、n2、n3についても、ファン116の場合とフィルタ118の場合とで異ならせても良い。
【0070】
なお、特許請求の範囲の文言において、「ファンの風量を任意の段階から1段階上の段階に増加させる」とは、任意の段階が「弱」であれば、ファン116の風量を「弱」から「中」に増加させることであり、「ファンの風量を1段階上の段階から任意の段階に低下させる」とは、ファン116の風量を「中」から「弱」に低下させることである。任意の段階が「中」であれば、ファン116の風量を「中」から「強」に増加させることであり、また、「ファンの風量を1段階上の段階から任意の段階に低下させる」とは、ファン116の風量を「強」から「中」に低下させることである。また、ファン116の風量を「弱」から「中」に増加させるときの画素数n1、閾値温度t1(℃)、所定時間x1とファン116の風量を「中」から「強」に増加させるときの画素数n1、閾値温度t1(℃)、所定時間x1のそれぞれの値は異なる。同様に、ファン116の風量を「強」から「中」に低下させるときの画素数n2、閾値温度t2(℃)、所定時間x2とファン116の風量を「中」から「弱」に低下させるときの画素数n2、閾値温度t2(℃)、所定時間x2のそれぞれの値は異なる。これらは、フィルタ118の場合についても同様である。
【0071】
以上、本発明の実施形態を述べたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想に基づいて様々な形態として実施可能であり、それらもまた本発明の範疇であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
100 レンジフード、
110 排気部、
112 吸気口、
114 排気口、
116 ファン、
117 ファンモータ、
118 フィルタ、
119 フィルタモータ、
120 操作パネル、
121 運転スイッチ、
122 風量スイッチ、
123 風量自動スイッチ、
124 タイマースイッチ、
125 照明スイッチ、
126 常時換気スイッチ、
130 制御部、
135 閾値条件(閾値温度)記憶部、
200 調理器、
210 熱源、
220 グリルの吹出口、
300 温度センサ。