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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 59/043 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A01B59/043 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019080379
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2020174604
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】吉村 茂樹
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0092285(US,A1)
【文献】特開2004-142496(JP,A)
【文献】実開昭53-036249(JP,U)
【文献】特開2006-280217(JP,A)
【文献】実開昭53-085980(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0053673(US,A1)
【文献】米国特許第05050321(US,A)
【文献】米国特許第05647153(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0256846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/00 - 63/32
B60Q 1/00 - 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ作業機を連結するための連結装置であって、
前記トラクタの作業機装着装置に取り付けられる装置本体と、
この装置本体に設けられ、走行の安全を確保するための安全手段とを備え
前記安全手段は、走行の安全を確保するための安全部を有し、
前記安全部は、光発生手段及び光反射手段の少なくともいずれか一方を有し、かつ、前記作業機装着装置で前記農作業機を前記連結装置とともに持ち上げた状態時に後方を向くようになっている
ことを特徴とする連結装置。
【請求項2】
トラクタに農作業機を連結するための連結装置であって、
前記トラクタに取り付けられる装置本体と、
この装置本体に設けられ、走行の安全を確保するための安全手段とを備え、
前記安全手段は、走行の安全を確保するための安全部を有し、
前記安全部は、光発生手段及び光反射手段の少なくともいずれか一方を有し、かつ、前記農作業機に応じて上下左右に位置変更可能となっている
ことを特徴とする連結装置。
【請求項3】
トラクタに農作業機を連結するための連結装置であって、
前記トラクタに取り付けられる装置本体と、
この装置本体に設けられ、走行の安全を確保するための安全手段とを備え、
前記安全手段は、走行の安全を確保するための安全部を有し、
前記安全部は、光発生手段及び光反射手段の少なくともいずれか一方を有し、かつ、各種の前記農作業機に応じて位置変更可能となっている
ことを特徴とする連結装置。
【請求項4】
トラクタに農作業機を連結するための連結装置であって、
前記トラクタに取り付けられる装置本体と、
この装置本体に設けられ、走行の安全を確保するための安全手段とを備え、
前記安全手段は、前記装置本体に設けられた伸縮可能な支持部と、走行の安全を確保するための安全部とを有し、
前記安全部は、光発生手段及び光反射手段の少なくともいずれか一方を有し、かつ、前記支持部の先端側に設けられている
ことを特徴とする連結装置。
【請求項5】
トラクタに農作業機を連結するための連結装置であって、
前記トラクタに取り付けられる装置本体と、
この装置本体に設けられ、走行の安全を確保するための安全手段とを備え、
前記安全手段は、前記装置本体に上下方向に回動可能に設けられた支持部と、走行の安全を確保するための安全部とを有し、
前記安全部は、光発生手段及び光反射手段の少なくともいずれか一方を有し、かつ、前記支持部の先端側に設けられている
ことを特徴とする連結装置。
【請求項6】
前記支持部の基端側は、前記装置本体に脱着可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項4又は5記載の連結装置。
【請求項7】
前記装置本体は、フレーム部と、このフレーム部の左右両側に設けられた取付部とを有し、
前記安全手段は、前記左右両側の各取付部に脱着可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の連結装置。
【請求項8】
前記トラクタに対する前記農作業機の連結作業の容易化を図ることが可能なオートヒッチ装置である
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車に作業機を連結するための連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された連結装置(オートヒッチ装置)が知られている。
【0003】
この従来の連結装置は、例えばトラクタ等の走行車の3点リンク部に取り付けられて使用されるもので、この連結装置を使用することにより、作業機を走行車に対して容易に連結することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-6518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の連結装置では、走行車に対する作業機の連結作業の容易化を図ることができるに過ぎない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、走行の安全を確保することができる連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の連結装置は、走行車に作業機を連結するための連結装置であって、前記走行車に取り付けられる装置本体と、この装置本体に設けられ、走行の安全を確保するための安全手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の連結装置は、請求項1記載の連結装置において、安全手段は、走行の安全を確保するための安全部を有し、前記安全部は、光発生手段及び光反射手段の少なくともいずれか一方を有するものである。
【0009】
請求項3記載の連結装置は、請求項1記載の連結装置において、安全手段は、走行の安全を確保するための安全部を有し、前記安全部は、走行車の光発生手段に連動する光発生手段を有するものである。
【0010】
請求項4記載の連結装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の連結装置において、安全手段は、走行の安全を確保するための安全部を有し、前記安全部は、作業機に応じて位置変更可能となっているものである。
【0011】
請求項5記載の連結装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の連結装置において、安全手段は、装置本体に設けられた伸縮可能な支持部と、この支持部の先端側に設けられ、走行の安全を確保するための安全部とを有するものである。
【0012】
請求項6記載の連結装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の連結装置において、安全手段は、装置本体に上下方向に回動可能に設けられた支持部と、この支持部の先端側に設けられ、走行の安全を確保するための安全部とを有するものである。
【0013】
請求項7記載の連結装置は、請求項1ないし6のいずれか一記載の連結装置において、安全手段は、装置本体に脱着可能に設けられているものである。
【0014】
請求項8記載の連結装置は、請求項1ないし7のいずれか一記載の連結装置において、安全手段は、装置本体の左右両側にそれぞれ設けられているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、走行の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る連結装置の背面図(後方からみた図)である。
図2】同上連結装置の平面図である。
図3】同上連結装置の側面図(基準姿勢)である。
図4】同上連結装置の装置本体の背面図である。
図5】同上連結装置の装置本体の側面図である。
図6】同上連結装置の使用状態(1)の側面図である。
図7】同上連結装置の使用状態(1)の背面図である。
図8】同上連結装置の使用状態(2)の背面図である。
図9】同上連結装置の使用状態(3)の背面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係る連結装置の背面図(前傾姿勢)である。
図11】同上連結装置の平面図(前傾姿勢)である。
図12】同上連結装置の側面図(前傾姿勢)である。
図13】同上連結装置の使用状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図9を参照して説明する。
【0018】
図6ないし図9において、1は走行可能な走行車であるトラクタで、このトラクタ1の後部には、連結装置2を介して作業機である農作業機3が連結されている。
【0019】
なお、図6及び図7に示す農作業機3は、作業幅が比較的小さな一本物のロータリーである。図8に示す農作業機3は、作業幅が比較的大きな一本物のロータリーである。図9に示す農作業機3は、中央作業部3a及び左右の延長作業部3bを備える折畳可能な3分割式のハローである。
【0020】
トラクタ1は、農作業機3を連結装置2とともに昇降させることが可能な油圧式の作業機装着装置である3点リンク部6を後部に備えている。3点リンク部6は、1本のトップリンク7と、左右2本のロワーリンク8とを有している。
【0021】
トラクタ1は、このトラクタ1の走行状態等を光を利用して周囲に知らせて走行の安全を確保するための左右の光発生手段(走行車側光発生手段である走行車側灯火器)11を後部に備えている。各光発生手段(灯火類)11は、従来周知のもので、例えばストップランプ(ブレーキランプ)12及びターンランプ(方向指示ランプ)13等によって構成されている。
【0022】
トラクタ1は、作業者が乗るキャビン15を有した車体16を備え、この車体16の前側には左右の前輪17が設けられ、この車体16の後側には左右の後輪18が設けられている。左右の各光発生手段11は、後面視で後輪18の上端部18aの上方近傍に位置している。なお、トラクタ1は、有人トラクタには限定されず、例えばGPS(全地球測位システム)等を利用して自動走行する無人トラクタ(自動運転トラクタ)等でもよい。
【0023】
ロータリーやハロー等の農作業機3は、圃場においてトラクタ1の前進走行により前方へ移動しながら、所定の作業姿勢で農作業(耕耘整地作業等)を行うものである。なお、農作業機3の左右方向の幅はトラクタ1の車幅よりも大きく、農作業機3の左右方向両端部が後輪18よりも外側方に突出して位置する。
【0024】
農作業機3は、図6等に示すように、連結装置2を介してトラクタ1の3点リンク部6に脱着可能に連結された3点連結部21を前部に備えている。3点連結部21は、1本のトップマスト22と、左右2本のロワーアーム23とを有している。なお、トップマスト22はトップピン24を先端部に有し、ロワーアーム23はロワーピン25を先端部に有している(図5参照)。
【0025】
農作業機3は、図示しないが、トラクタ1側からの動力を入力する入力軸を備え、この入力軸は、ジョイントを介してトラクタ1のPTO軸に接続されている。そして、農作業機3は、入力軸からの動力に基づいて所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体26と、この耕耘体26の後方で整地作業をする整地体27とを備えている。
【0026】
連結装置2は、トラクタ1の3点リンク部6に農作業機3を連結するためのオートヒッチ装置(クイックカプラ)である。つまり、連結装置2を予めトラクタ1の3点リンク部6に取り付けておくことで、農作業機3をトラクタ1に対してワンタッチで着脱可能であるため、トラクタ1に対する農作業機3の連結作業の容易化を図れる。
【0027】
また、この連結装置2は、農作業機3がトラクタ1の3点リンク部6に連結装置2を介して連結された状態時において、トラクタ1の光発生手段11とともに、又は単独で、トラクタ1の走行状態等を光を利用して周囲に知らせて走行の安全を確保するための左右の安全手段31を後部に備えている。それゆえ、この連結装置2では、トラクタ1の走行時等において走行の安全(周囲の安全等)を図れる。つまり、この連結装置2は、走行の安全を確保するための安全機能を付加したものである。
【0028】
ここで、連結装置(灯火器付きのオートヒッチ)2の具体的な構成について説明する。
【0029】
図1ないし図5に示すように、連結装置2は、トラクタ1の3点リンク部6に脱着可能に取り付けられて使用される装置本体32と、この装置本体32の左右両側にそれぞれ脱着可能に設けられた安全手段31とを備えている。なお、左右対をなす一対の安全手段31は、左右対称の構成となっている。
【0030】
装置本体32は、パイプを曲げて下方に向かって開口した略コ字状に形成したフレーム部35と、このフレーム部35の左右両側に溶接等によってそれぞれ固着され、安全手段31の基端側が脱着可能に取り付けられた取付部36とを有している。なお、取付部36は、フレーム部35に溶接等で固着されたものには限定されず、例えばフレーム部35にボルト等で後付けにより脱着可能に取り付けられたものでもよい。
【0031】
取付部36は、前取付板37と、この前取付板37と離間対向する後取付板38と、これら両取付板37,38に架設された水平状の下方回動規制用のストッパ板(下方回動規制部)39とを有している。ストッパ板39は、前取付板37の下端部に折曲げにより一体に設けられている。また、取付部36の両取付板37,38には、支点孔41と、この支点孔41を中心とする円弧上に並んで位置する複数の角度調整孔42とが形成されている(図4参照)。
【0032】
また、装置本体32は、上部中央側に位置するトップリンク取付部46及び上部フック部47と、下部左右両側に位置するロワーリンク取付部48及び下部フック部49とを有している。
【0033】
なお、左右の下部フック部49は連結パイプ44によって連結されており、この連結パイプ44はサポートプレート等を介してジョイントを支持することもできる。
【0034】
そして、トップリンク取付部46は、トラクタ1の3点リンク部6のトップリンク7にピンを介して取り付けられる。ロワーリンク取付部48は、トラクタ1の3点リンク部6のロワーリンク8に取り付けられる。
【0035】
また、上部フック部47は、農作業機3の3点連結部21のトップマスト22のトップピン24と係脱可能に係合する。下部フック部49は、農作業機3の3点連結部21のロワーアーム23のロワーピン25と係脱可能に係合し、この係合状態は回動可能なピンロック50によってロックされる。このピンロック50によるロックは、操作レバー45の操作によって解除される。
【0036】
なお、トラクタ1の3点リンク部6に取り付けられた連結装置2を使用して農作業機3をトラクタ1に連結する場合には、農作業機3のトップピン24を上部フック部47で掬い上げるだけで、農作業機3のロワーピン25が下部フック部49と係合する。なお、その係合と同時に農作業機3の入力軸がジョイントに接続されてもよい。
【0037】
安全手段(安全体)31は、装置本体32の取付部36に先端側が昇降するように上下方向に回動可能に設けられた伸縮可能な長手状の支持部(アーム部)51と、この支持部51の先端側に設けられ、例えば光を利用して走行の安全を確保するための安全部(灯火器)52とを有している。
【0038】
支持部51は、角筒状の第1支持部材(第1アーム)56と、この第1支持部材56内にスライド可能に挿入され、当該第1支持部材56内からの突出長さが調整可能となっている角筒状の第2支持部材(第2アーム)57とを有している。第1支持部材56は、第2支持部材57に比べて太く形成され、この第1支持部材56の基端部が装置本体32の取付部36に脱着可能に取り付けられている。なお、各支持部材56,57は、真っ直ぐな直線状の筒状部材にて構成されている。
【0039】
第1支持部材56は、取付部36の支点孔41と一致する支点孔と、取付部36の複数の角度調整孔42の中から選択された一の角度調整孔42と一致する角度調整孔と、第1支持部材56の長手方向に互いに間隔をおいて並ぶ複数の長さ調整孔60とを有している。
【0040】
第2支持部材57は、第1支持部材56の複数の長さ調整孔60の中から選択された一の長さ調整孔(支持部51が最も縮んだ状態時には第1支持部材56の角度調整孔)60と一致する長さ調整孔を基端側に有している。
【0041】
そして、互いに一致した支点孔には第1ピン61が挿脱可能に挿入され、支持部51はその第1ピン(水平な前後方向の回動中心軸)61を中心として装置本体32に対して上下方向に回動する。
【0042】
なお、支持部51の第1支持部材56の下面が装置本体32の取付部36のストッパ板39と当接することにより、この支持部51の下方回動が規制される。このとき、支持部51は、水平方向に沿った水平状態となる。また、支持部51は、水平方向に対して傾斜した傾斜状態にも設定でき、例えば最大で略45度傾斜した状態となる。
【0043】
また、互いに一致した角度調整孔には第2ピン62が挿脱可能に挿入され、かつ、互いに一致した長さ調整孔には第3ピン63が挿脱可能に挿入されている。そして、第2ピン62を挿入する孔の変更で支持部51の水平方向に対する角度が調整可能であり、また、第3ピン63を挿入する孔の変更で支持部51の長手方向の長さが調整可能である。つまり、安全部52は、農作業機3の種類等に拘わらず、少なくとも農作業機3の後方から常に視認できるように、農作業機3に応じて位置変更可能となっている。
【0044】
なお、例えば支持部51の水平方向に対する角度を任意の角度に調整できる構成でもよく、また、支持部51の長手方向の長さを任意の長さに調整できる構成等でもよい。
【0045】
安全部52は、トラクタ1の光発生手段(トラクタ側灯火器)11に連動する光発生手段(灯火器)66を有しており、この光発生手段66は、支持部51の第2支持部材57の先端部に取付具(ボルト等)67によって取り付けられている。また、この光発生手段66の上部には、例えば三角形状をなす光反射手段である反射板70が取り付けられている。
【0046】
光発生手段66は、トラクタ1の光発生手段11のストップランプ12に連動して少なくとも後方側に向かって光を発するストップランプ(ブレーキランプ)71と、トラクタ1の光発生手段11のターンランプ13に連動して少なくとも後方側に向かって光を発するターンランプ(方向指示ランプ)72とを有している。
【0047】
また、光発生手段66には、トラクタ1の光発生手段11と連動して作動するように、トラクタ1側からの配線75が接続されている。つまり、配線75のトラクタ側の1つの端部はトラクタ1に接続され、かつ、配線75のカプラ側の分岐した2つの端部は左右の光発生手段66にそれぞれ接続されている。なお、トラクタ1の光発生手段(ランプ類)11と、連結装置2の光発生手段(ランプ類)66とは、有線ではなく無線で接続される構成であってもよい。
【0048】
次に、連結装置2の作用等を説明する。
【0049】
図7に示すように、連結装置2を用いて、作業幅が比較的小さなロータリーである農作業機3をトラクタ1に連結した場合には、安全手段31の支持部51を縮めて、左右の安全部52をその農作業機3の左右の側端部(左右方向両端部)に対応する位置に位置させる。
【0050】
また、図8に示すように、連結装置2を用いて、作業幅が比較的大きなロータリーである農作業機3をトラクタ1に連結した場合には、安全手段31の支持部51を伸ばして、左右の安全部52をその農作業機3の左右の側端部(左右方向両端部)に対応する位置に位置させる。
【0051】
さらに、図9に示すように、連結装置2を用いて、折畳可能な3分割式のハローである農作業機3をトラクタ1に連結した場合には、安全手段31の支持部51を伸ばし、かつ、その支持部51を取付部36に対して上方に回動させて、左右の安全部52をその折畳状態の農作業機3の左右の側端部(左右方向両端部)に対応する位置に位置させる。
【0052】
すなわち、支持部51の伸縮や回動に基づき、左右の安全部52は、後面視で、農作業機3の左右方向両端部の上方近傍位置に位置し、かつ、トラクタ1の左右の後輪18よりも外側方の位置に位置する。
【0053】
そして、このような状態で、トラクタ1が圃場や道路等を走行する走行時において、連結装置2の安全部52の光発生手段66は、トラクタ1の光発生手段11に連動して光を発する。また、安全部52の反射板70は、農作業機3の後方側からの光を反射する。
【0054】
それゆえ、農作業機3が連結されたトラクタ1の走行状態、トラクタ1よりも幅(左右方向長さ寸法)が大きな農作業機3の存在、農作業機3の左右方向両端部の位置等を周囲の者に知らせて注意を喚起する。
【0055】
したがって、上記連結装置2によれば、農作業機3のトラクタ1への連結時においてトラクタ1に対する農作業機3の連結作業の容易化を図ることができるばかりでなく、トラクタ1の走行時等における走行の安全を確保することができる。
【0056】
また、安全手段31の安全部52は、支持部51の伸縮や回動により、幅や高さ等が異なる各種の農作業機3に応じて位置変更可能となっているため、各種の農作業機3に適切に対応することができる。
【0057】
さらに、安全手段31は、装置本体32の取付部36に脱着可能に設けられているため、安全手段31を使用する必要がない場合には、安全手段31を装置本体32から容易に取り外すことができる。
【0058】
また、灯火器を農作業機3に設けた場合には、その農作業機3の着脱の際に配線をトラクタ1に対して付けたり外したりする作業が必要になるが、連結装置2自体が光発生手段(灯火器)66を備えた構成では、配線75を接続したままでよく、そのような付け外しの作業は不要である。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態について図10ないし図13を参照して説明する。
【0060】
第2の実施の形態に係る連結装置2では、トラクタ1の3点リンク部6で農作業機3を持ち上げた際にトラクタ1と支持部51とが干渉しないように、支持部51の第1支持部材56が後方へ曲がっている。
【0061】
すなわち例えば、第1支持部材56は、長手方向中間の1箇所に屈曲部56aを有している。このため、第1支持部材56の先端側及び第2支持部材57は、平面視で外端ほど後方に位置するように左右方向に対して傾斜している。
【0062】
また、第2の実施の形態に係る連結装置2では、トラクタ1の3点リンク部6で農作業機3を持ち上げた状態時(例えば図12の如く前傾した傾斜状態時)に安全部52の光発生手段66及び反射板70が真後ろを向くように、安全部52が支持部51の第2支持部材57の先端部に取付具(ボルト等)67によって取り付けられている。なお、第2の実施の形態におけるその他の構成は、上記第1の実施の形態と基本的に同一である。
【0063】
そして、このような連結装置2によれば、上記第1の実施の形態における作用効果に加えて、トラクタ1と安全手段31との干渉を防止でき、しかも、安全手段31の安全部52を農作業機3に近付けることができ、走行の安全をより適切に確保することができる。
【0064】
なお、安全手段31の支持部51を後方へ曲げる代わりに、例えば支持部51の回動支点となる第1ピン(回動中心軸)61を前高後低の傾斜状態となるように傾けても同様の作用効果を奏し得る。
【0065】
また、例えば安全手段31の支持部51が所定箇所に屈曲可能な部分を有した構成等でもよい。さらに例えば安全部52が常に真後ろを向くように、安全部52を支持部51の先端側に回動可能(角度調整可能)に設けてもよい。
【0066】
また一方、いずれの実施の形態においても、農作業機は、図示したロータリーやハローには限定されず、例えば散布機、畦塗り機、溝堀機、収穫機、草刈機等でもよい。また、連結装置によって走行車に連結される作業機は、農作業をする農作業機以外に、例えば対土作業をする装置や、荷物を運ぶトレーラ等でもよい。
【0067】
また、安全手段の安全部は、光発生手段及び光反射手段の両方を有する構成が好ましいが、光発生手段及び光反射手段のいずれか一方のみを有する構成でもよい。
【0068】
さらに、安全部の光発生手段は、例えばストップランプ及びターンランプに加えて、テールランプやバックランプ等を有する構成でもよい。すなわち例えば連結装置の光発生手段が、走行車の光発生手段が有する複数のランプと同じ複数のランプをすべて有する構成が好ましいが、一部のランプのみを有する構成でもよい。
【0069】
また、安全部の光発生手段が有する複数のランプ(ランプ類)は、コンビネーションランプのような一体的なものでもよく、別体でもよい。
【0070】
さらに、安全部の光発生手段や光反射手段は、後方のみではなく、例えば前方及び後方の両方から視認できるようにしてもよい。
【0071】
また、安全部は、支持部に固着された構成には限定されず、例えば安全部が常に一定姿勢となるように安全部を支持部に姿勢調整可能に設けた構成等でもよい。
【0072】
さらに、例えば安全手段の支持部を装置本体に対して上下方向に回動させる回動用駆動手段(モータやシリンダ等)を設けた構成や、支持部を伸縮させる伸縮用駆動手段(モータやシリンダ等)を設けた構成や、作業者の手動による支持部の回動をアシストするアシスト手段(ガススプリングやバネ等)を設けた構成や、作業者の手動による支持部の伸縮をアシストするアシスト手段(ガススプリングやバネ等)を設けた構成等でもよい。
【0073】
また、例えば左右の安全部が常に左右対称の位置に配置されるように、左右の支持部が互いに連動するようにしてもよい。
【0074】
さらに、連結装置は、走行車の後部に作業機を連結するためのものには限定されず、例えば走行車の前部に作業機を連結するためのもの等でもよい。
【0075】
本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 走行車であるトラクタ
2 連結装置
3 作業機である農作業機
11 光発生手段(走行車の光発生手段)
31 安全手段
32 装置本体
51 支持部
52 安全部
66 光発生手段(連結装置の光発生手段)
70 光反射手段である反射板
図1
図2
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図5
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図10
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図13