IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アクトの特許一覧

<>
  • 特許-消毒装置 図1
  • 特許-消毒装置 図2
  • 特許-消毒装置 図3
  • 特許-消毒装置 図4
  • 特許-消毒装置 図5
  • 特許-消毒装置 図6
  • 特許-消毒装置 図7
  • 特許-消毒装置 図8
  • 特許-消毒装置 図9
  • 特許-消毒装置 図10
  • 特許-消毒装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】消毒装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 13/00 20060101AFI20221025BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A01K13/00 F
A61L2/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019104622
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020127396
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2019021729
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506310050
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】内海 洋
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02163155(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0174872(US,A1)
【文献】特開2008-079611(JP,A)
【文献】実開昭49-017776(JP,U)
【文献】実開昭63-165148(JP,U)
【文献】特開2004-113201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0178626(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0037084(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0090550(US,A1)
【文献】米国特許第05630379(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 13/00
A01K 29/00
A61L 101/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置であって、
有蹄動物の後方位置から、その有蹄動物の左前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左前脚用後方ノズルと、
有蹄動物の後方位置から、その有蹄動物の右前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右前脚用後方ノズルと、
有蹄動物の後方位置から、その有蹄動物の左後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左後脚用後方ノズルと、
有蹄動物の後方位置から、その有蹄動物の右後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右後脚用後方ノズルと
有蹄動物が載る載置部の後方近傍に配置され、前記左前脚用後方ノズル、前記右前脚用後方ノズル、前記左後脚用後方ノズル及び前記右後脚用後方ノズルが取り付けられた配管と、
前記配管、前記左前脚用後方ノズル、前記右前脚用後方ノズル、前記左後脚用後方ノズル及び前記右後脚用後方ノズルを覆うカバー体と
を備えることを特徴とする消毒装置。
【請求項2】
カバー体には、左前脚用後方ノズル、右前脚用後方ノズル、左後脚用後方ノズル及び右後脚用後方ノズルの各噴射口に臨んで位置するようにノズル用開口が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の消毒装置。
【請求項3】
配管は、左右方向に長手方向を有し、
左後脚用後方ノズル及び右後脚用後方ノズルは、その各噴射口が真っ直ぐ前方を向くように前記配管のうち有蹄動物の左右の後脚に対応する対応位置に取り付けられ、
左前脚用後方ノズル及び右前脚用後方ノズルは、その各噴射口が内側斜め前方を向くように前記配管のうち前記対応位置から外側方にずれた位置に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の消毒装置。
【請求項4】
有蹄動物の側方位置から、その有蹄動物の左前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左前脚用側方ノズルと、
有蹄動物の側方位置から、その有蹄動物の右前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右前脚用側方ノズルと
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の消毒装置。
【請求項5】
有蹄動物の下方位置から、その有蹄動物の左前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左前脚用下方ノズルと、
有蹄動物の下方位置から、その有蹄動物の右前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右前脚用下方ノズルと
を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の消毒装置。
【請求項6】
有蹄動物の側方位置から、その有蹄動物の左後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左後脚用側方ノズルと、
有蹄動物の側方位置から、その有蹄動物の右後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右後脚用側方ノズルと
を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の消毒装置。
【請求項7】
有蹄動物の下方位置から、その有蹄動物の左後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左後脚用下方ノズルと、
有蹄動物の下方位置から、その有蹄動物の右後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右後脚用下方ノズルと
を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の消毒装置。
【請求項8】
消毒液は、次亜塩素酸水であり、
載置部は、消毒液である次亜塩素酸水が貯留される貯留部の上面開口を覆うように設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば脚先に蹄部を有する牛、馬、豚等の有蹄動物の洗浄施設として、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この従来の洗浄施設は、塩化物の希薄塩水溶液を被電解水とする電解生成アルカリ性水を貯えて有蹄動物の下肢の前洗浄に使用される第1洗浄槽と、この第1洗浄槽の前方にて一段高い位置に配置され、前記塩化物の希薄塩水溶液を被電解水とする電解生成酸性水を貯えて前記有蹄動物の下肢の後洗浄に使用される第2洗浄槽とを備えている。
【0004】
そして、有蹄動物を前記第1洗浄槽内に導いてその下肢を前記電解生成アルカリ性水により洗浄し、その後、有蹄動物を前記第2洗浄槽に導いてその下肢を前記電解生成酸性水により洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3519024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のものでは、有蹄動物を2つの第1洗浄槽及び第2洗浄槽に順に導く必要があるため、有蹄動物の蹄部の消毒に手間がかかり、効率的ではない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、有蹄動物の蹄部を効率よく消毒できる消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の消毒装置は、消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置であって、有蹄動物の後方位置から、その有蹄動物の左前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左前脚用後方ノズルと、有蹄動物の後方位置から、その有蹄動物の右前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右前脚用後方ノズルと、有蹄動物の後方位置から、その有蹄動物の左後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左後脚用後方ノズルと、有蹄動物の後方位置から、その有蹄動物の右後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右後脚用後方ノズルとを備えるものである。
【0009】
請求項2記載の消毒装置は、請求項1記載の消毒装置において、有蹄動物が載る載置部の後方近傍に位置する配管を備え、左前脚用後方ノズル、右前脚用後方ノズル、左後脚用後方ノズル及び右後脚用後方ノズルは、前記配管に取り付けられているものである。
【0010】
請求項3記載の消毒装置は、請求項2記載の消毒装置において、配管は、左右方向に長手方向を有し、左後脚用後方ノズル及び右後脚用後方ノズルは、前記配管のうち有蹄動物の左右の後脚に対応する対応位置に取り付けられ、左前脚用後方ノズル及び右前脚用後方ノズルは、前記配管のうち前記対応位置から外側方にずれた位置に取り付けられているものである。
【0011】
請求項4記載の消毒装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の消毒装置において、有蹄動物の側方位置から、その有蹄動物の左前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左前脚用側方ノズルと、有蹄動物の側方位置から、その有蹄動物の右前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右前脚用側方ノズルとを備えるものである。
【0012】
請求項5記載の消毒装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の消毒装置において、有蹄動物の下方位置から、その有蹄動物の左前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左前脚用下方ノズルと、有蹄動物の下方位置から、その有蹄動物の右前脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右前脚用下方ノズルとを備えるものである。
【0013】
請求項6記載の消毒装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の消毒装置において、有蹄動物の側方位置から、その有蹄動物の左後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左後脚用側方ノズルと、有蹄動物の側方位置から、その有蹄動物の右後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右後脚用側方ノズルとを備えるものである。
【0014】
請求項7記載の消毒装置は、請求項1ないし6のいずれか一記載の消毒装置において、有蹄動物の下方位置から、その有蹄動物の左後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する左後脚用下方ノズルと、有蹄動物の下方位置から、その有蹄動物の右後脚の蹄部に向けて消毒液を噴射する右後脚用下方ノズルとを備えるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、有蹄動物の蹄部を効率よく消毒することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る消毒装置の平面図である。
図2】同上消毒装置の断面図である。
図3】本発明の第2の実施の形態に係る消毒装置の平面図である。
図4】同上消毒装置の断面図である。
図5】本発明の第3の実施の形態に係る消毒装置の平面図である。
図6】同上消毒装置の断面図である。
図7】本発明の第4の実施の形態に係る消毒装置の平面図である。
図8】同上消毒装置の断面図である。
図9】本発明の第5の実施の形態に係る消毒装置の平面図である。
図10】同上消毒装置の断面図である。
図11】本発明の第6の実施の形態に係る消毒装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施の形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0018】
図中の1は有蹄動物用の消毒装置で、この消毒装置1は、蹄病予防のために、消毒液を用いて有蹄動物である牛2の蹄部3を消毒するものである。
【0019】
消毒液は、人や動物に無害の消毒液であって環境を汚染しない「食品衛生法の飲用適の水」に合致した水、すなわち例えば、次亜塩素酸(HClO)を含む水である次亜塩素酸水である。なお、消毒液としては、次亜塩素酸水を用いることが好ましいが、これには限定されず、一般の消毒液を使用することも可能である。
【0020】
牛(有蹄類)2は、前後左右の4本の脚5を備え、これら4本の各脚5は、主蹄3a及び副蹄3bからなる蹄部3を脚先に有している。蹄部3は、地面等の接地面に接地する主蹄3aと、この主蹄3aよりも少し上方に位置する副蹄3bとによって構成されている。なお、副蹄3bは、脚5の下端部(脚先)の後側に設けられている
消毒装置1は、図1及び図2に示すように、前方(進行方向)への移動により誘導されてきた牛2がその上面10上に載る前後方向長手状で平面視矩形状の板状をなす水平状の載置部11を備えている。
【0021】
載置部11は、消毒液や汚物(糞等)が一時的に貯留される貯留部12の上面開口13を覆うように水平状に設けられている。なお、貯留部12には、消毒液等を外部へ排出するための排出管14が接続されている。
【0022】
載置部11は、前後方向に細長い矩形板状をなす例えばゴム製の載置部材であるマット16と、このマット16の下面を支持するメッシュ状の支持部材であるメッシュ板17とを有している。また、マット(例えばゴムマット)16のうち後側の部分には、消毒液及び汚物を貯留部12に落下させるための矩形状の開口部18が形成されており、この開口部18によってメッシュ板17の一部が露出している。
【0023】
なお、載置部11は、所定時(例えば搾乳時、採食時、或いは給水時等)において、牛2が一時的に収納される収納領域20の下面に位置しており、その収納領域20は1頭の牛に対応した大きさの領域である。
【0024】
また、消毒装置1は、載置部11に載った牛2の後方位置からその牛2の左前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する左前脚用後方ノズル21と、載置部11に載った牛2の後方位置からその牛2の右前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する右前脚用後方ノズル22と、載置部11に載った牛2の後方位置からその牛2の左後脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する左後脚用後方ノズル23と、載置部11に載った牛2の後方位置からその牛2の右後脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する右後脚用後方ノズル24とを備えている。
【0025】
つまり、消毒装置1は、収納領域20に進入して載置部11の上面10上に載って所定位置で停止した牛2の後方位置(言い換えると牛2の後脚5よりも後方の位置)から、その牛2の前後左右の4本の脚5の蹄部3に向けて消毒液を同時に噴射する4つの後方ノズル21,22,23,24を備えている。そして、これら4つの後方ノズル21,22,23,24は、載置部11の後端近傍の位置において当該載置部11の幅方向である左右方向に間隔をおいて並んでいる。
【0026】
具体的には、消毒装置1は、載置部11の後端部の後方近傍(載置部11の後端近傍)に位置する左右方向長手状の1本の配管(消毒液が流れる流路の一部を構成する配管)26を備え、この配管26は、載置部11の上面10と同一面上に位置する床面30上に左右方向に沿って配置されている。
【0027】
そして、左後脚用後方ノズル23及び右後脚用後方ノズル24は、配管26のうち牛2の左右の後脚5に対応する対応位置(後脚5の蹄部3の真後ろの位置)に取り付けられ、かつ、左前脚用後方ノズル21及び右前脚用後方ノズル22は、配管26のうち当該対応位置から外側方にずれた位置(載置部11の幅内の位置)に取り付けられている。それゆえ、後脚用のノズル23,24は、その噴射口が真っ直ぐ前方を向いた状態に設定されているが、前脚用のノズル21,22は、その噴射口が内側斜め前方を向いた状態に設定されている。
【0028】
また、左右方向に延在する1本の配管(横配管)26及びこの配管26に取り付けられた4つのノズル21,22,23,24は、左右方向長手状のカバー体27によって覆われている。そして、カバー体27の前板部28のうち、ノズル21,22,23,24に対応する4箇所の部分には、噴射口に臨んで位置するようにノズル用開口29が開口形成されている。
【0029】
さらに、消毒装置1は、図示しないが、牛2が載置部11に載って所定位置で停止したことを検知する検知手段と、この検知手段の検知に基づいてポンプを制御してノズルから消毒液を噴射させる制御手段とを備えている。
【0030】
なお、消毒液の凍結防止対策が必要な場合には、消毒液が流れる流路を循環流路として、通常時には消毒液がその循環流路を低圧で循環し、噴射時には制御手段による所定のポンプ制御により消毒液の圧力が設定圧力以上となってノズル21,22,23,24が消毒液を噴射するようにしてもよい。また、カバー体27内に、循環流路の一部を構成する配管26を加熱する熱線等の加熱手段を設けてもよい。
【0031】
次に、消毒装置1の作用等を説明する。
【0032】
例えば牛舎内において、所定時(例えば搾乳時、採食時、或いは給水時等)には、作業者は牛2を載置部11上まで誘導して収納領域20内の所定位置で停止させる。
【0033】
すると、牛2の後脚5よりも後方に位置した4つの後方ノズル21,22,23,24からの消毒液(例えば次亜塩素酸水)によって、その牛2の前後左右の4本の脚5の蹄部3が消毒される。
【0034】
つまり、左前脚用後方ノズル21は、牛2の左前脚5の蹄部3の主蹄3a及び副蹄3bに向けて消毒液を噴射し、右前脚用後方ノズル22は、牛2の右前脚5の蹄部3の主蹄3a及び副蹄3bに向けて消毒液を噴射し、左後脚用後方ノズル23は、牛2の左後脚5の蹄部3の主蹄3a及び副蹄3bに向けて消毒液を噴射し、右後脚用後方ノズル24は、牛2の右後脚5の蹄部3の主蹄3a及び副蹄3bに向けて消毒液を噴射する。
【0035】
こうして蹄部3の消毒が行われ、予め設定された設定時間が経過すると、後方ノズル21,22,23,24は消毒液の噴射を停止する。蹄部3を消毒した後の消毒液は、載置部11の開口部18から貯留部12へと落下する。また、蹄部3の消毒が完了した牛2は、前方への移動により収納領域20外へ誘導される。
【0036】
そして、上記消毒装置1によれば、載置部11に載った牛2の後方位置から当該牛2の前後左右の4本の脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する4つの後方ノズル21,22,23,24を備えるため、牛2の4本すべての脚5の蹄部3を効率よくかつ適切に消毒できる。よって、従来とは異なり、2つの槽に牛2を順次導く必要がなく、作業者の負担軽減を図ることができるとともに、蹄病の予防や治療に極めて有用である。
【0037】
また、4つの後方ノズル21,22,23,24は、載置部11の後方近傍に位置する1本の配管(横配管)26に取り付けられているため、構成が簡単で、設置作業も容易である。
【0038】
さらに、消毒液として次亜塩素酸水を用いるため、環境を汚染することなく、大量に使用しても何ら問題は生じない。
【0039】
次に、本発明の第2の実施の形態について図3及び図4を参照して説明する。
【0040】
図3及び図4に示す消毒装置1は、4つの後方ノズル21,22,23,24に加えて、2つの側方ノズル(前脚用の側方ノズル)31,32及び2つの下方ノズル(前脚用の下方ノズル)41,42を備えたものであるから、牛2の蹄部3に向けて消毒液を同時に噴射する合計8個のノズル21,22,23,24,31,32,41,42を備えている。
【0041】
つまり、この消毒装置1は、4つの後方ノズル21,22,23,24のほか、載置部11に載った牛2の左側の側方位置からその牛2の左前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する左前脚用側方ノズル31と、載置部11に載った牛2の右側の側方位置からその牛2の右前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する右前脚用側方ノズル32と、載置部11に載った牛2の下方位置から開口部18を介してその牛2の左前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する左前脚用下方ノズル41と、載置部11に載った牛2の下方位置から開口部18を介してその牛2の右前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する右前脚用下方ノズル42とを備えている。
【0042】
側方ノズル31,32は、載置部11の前後方向中央部の側方近傍に配置された左右1対の配管(縦配管)33,34にそれぞれ取り付けられている。そして、左側の配管33及びこの配管33に取り付けられた側方ノズル31は、ノズル用開口(図示せず)を有するカバー体36よって覆われており、同様に、右側の配管34及びこの配管34に取り付けられた側方ノズル32は、ノズル用開口(図示せず)を有するカバー体37よって覆われている。
【0043】
下方ノズル41,42は、載置部11の前後方向中央部の下方近傍に配置された左右方向長手状の1本の配管(横配管)43に取り付けられている。つまり、この配管43は貯留部12内における上部に左右方向に沿って配置されており、この配管43のうち牛2の左右の前脚5に対応する対応位置に下方ノズル41,42が取り付けられている。そして、左右方向に延在する1本の配管43及びこの配管43に取り付けられた下方ノズル41,42は、ノズル用開口45を有するカバー体46よって覆われている。
【0044】
なお、この第2の実施の形態に係る消毒装置1のその他の構成は、上記第1の実施の形態と基本的に同一であり、また、上記第1の実施の形態と同様、消毒液の凍結防止対策が必要な場合には、配管26,33,34,43を循環流路の一部としたり、カバー体36,37,46内に熱線等の加熱手段を設けたりしてもよい(後述する各実施の形態でも同様)。
【0045】
そして、この第2の実施の形態に係る消毒装置1によれば、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏するばかりでなく、4つの後方ノズル21,22,23,24に加えて、左前脚用側方ノズル31、右前脚用側方ノズル32、左前脚用下方ノズル41及び右前脚用下方ノズル42を備えるため、牛2の左右の前脚5の蹄部3をより一層適切に消毒することができる。
【0046】
なお、図示した例の如く側方ノズル31,32及び下方ノズル41,42の両方を設けることが好ましいが、例えば側方ノズル及び下方ノズルのいずれか一方のみを設けた構成でもよい(後述する各実施の形態でも同様)。
【0047】
次に、本発明の第3の実施の形態について図5及び図6を参照して説明する。
【0048】
図5及び図6に示す消毒装置1は、4つの後方ノズル21,22,23,24、2つの前脚用の側方ノズル31,32及び2つの前脚用の下方ノズル41,42に加えて、2つの後脚用の側方ノズル51,52及び2つの後脚用の下方ノズル61,62を備えたものであるから、牛2の蹄部3に向けて消毒液を同時に噴射する合計12個のノズル21,22,23,24,31,32,41,42,51,52,61,62を備えている。
【0049】
つまり、この消毒装置1は、上記第2の実施の形態が備えた8個のノズルのほか、載置部11に載った牛2の左側の側方位置(後脚よりも前方の位置)からその牛2の左後脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する左後脚用側方ノズル51と、載置部11に載った牛2の右側の側方位置(後脚よりも前方の位置)からその牛2の右後脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する右後脚用側方ノズル52と、載置部11に載った牛2の下方位置(後脚よりも前方の位置)から開口部18を介してその牛2の左後脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する左後脚用下方ノズル61と、載置部11に載った牛2の下方位置(後脚よりも前方の位置)から開口部18を介してその牛2の右後脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する右後脚用下方ノズル62とを備えている。
【0050】
側方ノズル51,52は、載置部11の前後方向中央部の側方近傍に配置された左右1対の配管(縦配管)53,54の所定高さ位置(蹄部3よりも上方の位置)にそれぞれ取り付けられている。そして、左側の配管53及びこの配管53に取り付けられた側方ノズル51は、ノズル用開口(図示せず)を有するカバー体56よって覆われており、同様に、右側の配管54及びこの配管54に取り付けられた側方ノズル52は、ノズル用開口(図示せず)を有するカバー体57よって覆われている。
【0051】
下方ノズル61,62は、載置部11の前後方向中央部の下方近傍に配置された左右方向長手状の1本の配管(横配管)43に前脚用の前向きの下方ノズル41,42と近接して後向きの状態で取り付けられている。つまり、左右方向に延在する配管43に対して、4個の下方ノズル41,42,61,62がそれぞれ対応する脚5の方向を向くように取り付けられている。そして、配管43及びこの配管43に取り付けられた下方ノズル41,42,61,62は、ノズル用開口45を有するカバー体46よって覆われている。
【0052】
そして、この第3の実施の形態に係る消毒装置1によれば、左後脚用側方ノズル51、右後脚用側方ノズル52、左後脚用下方ノズル61及び右後脚用下方ノズル62をさらに備えるため、牛2の蹄部3をより一層適切に消毒できる。
【0053】
次に、本発明の第4の実施の形態について図7及び図8を参照して説明する。
【0054】
図7及び図8に示す消毒装置1では、左前脚用側方ノズル31及び左後脚用側方ノズル51は、前後方向長手状の左側の配管(横配管)71にそれぞれ取り付けられている。この配管71は、例えば牛2が左側方へ動くのを規制する前後方向長手状の規制部材である案内パイプ72の下側に固定されている。なお、例えば配管71を案内パイプ72内に設けてもよく、この場合には案内パイプ72にノズル用開口を形成する。
【0055】
また同様に、右前脚用側方ノズル32及び右後脚用側方ノズル52は、前後方向長手状の右側の配管(横配管)76にそれぞれ取り付けられている。この配管76は、例えば牛2が右側方へ動くのを規制する前後方向長手状の規制部材である案内パイプ77の下側に固定されている。なお、例えば配管76を案内パイプ77内に設けてもよく、この場合には案内パイプ77にノズル用開口を形成する。
【0056】
そして、この第4の実施の形態に係る消毒装置1でも、上記第3の実施の形態と同様、牛2の蹄部3をより一層適切に消毒できる。なお、左右の配管71,76が規制部材を兼ねるようにしてもよい。
【0057】
次に、本発明の第5の実施の形態について図9及び図10を参照して説明する。
【0058】
図9及び図10に示す消毒装置1は、上記第4の実施の形態の構成において、2つの前脚用の側方ノズル101,102及び2つの前脚用の下方ノズル103,104をさらに付加したものであり、牛2の蹄部3に向けて消毒液を同時に噴射する合計16個のノズル21,22,23,24,31,32,41,42,51,52,61,62,101,102,103,104を備えている。
【0059】
つまり、この消毒装置1は、上記第4の実施の形態が備えた12個のノズルのほか、載置部11に載った牛2の左側の側方位置(前脚よりも前方の位置)からその牛2の左前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する左前脚用側方ノズル101と、載置部11に載った牛2の右側の側方位置(前脚よりも前方の位置)からその牛2の右前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する右前脚用側方ノズル102と、載置部11に載った牛2の下方位置(前脚よりも前方の位置)から開口部18を介してその牛2の左前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する左前脚用下方ノズル103と、載置部11に載った牛2の下方位置(前脚よりも前方の位置)から開口部18を介してその牛2の右前脚5の蹄部3に向けて消毒液を噴射する右前脚用下方ノズル104とを備えている。
【0060】
左前脚用側方ノズル101は、前後方向長手状の配管(横配管)71の前側に取り付けられている。右前脚用側方ノズル102は、前後方向長手状の配管(横配管)76の前側に取り付けられている。
【0061】
左前脚用下方ノズル103及び右前脚用下方ノズル104は、左右方向長手状の配管(横配管)106に取り付けられている。この配管106は、貯留部12内における前側上部に左右方向に沿って配置されており、この配管106のうち牛2の左右の前脚5に対応する対応位置に2つの下方ノズル103,104が後方側を向いた状態で取り付けられている。そして、左右方向に延在する1本の配管106及びこの配管106に取り付けられた下方ノズル103,104は、ノズル用開口107を有するカバー体108よって覆われている。
【0062】
また、載置部11のマット16のうち、下方ノズル103,104に対応する部分には、当該下方ノズル103,104からの消毒液が通過する孔部110が形成されている。
【0063】
そして、この第5の実施の形態に係る消毒装置1によれば、左前脚用側方ノズル101、右前脚用側方ノズル102、左前脚用下方ノズル103及び右前脚用下方ノズル104をさらに備えるため、牛2の蹄部3をより一層適切に消毒できる。なお、例えば図示しないが、側方ノズル101,102を左右の各縦配管の所定高さ位置に取り付けるようにしてもよい。
【0064】
なお、上記いずれの実施の形態においても、消毒対象物は、牛等の偶蹄類には限定されず、馬等の奇蹄類でもよく、蹄部を有する有蹄動物であればすべて適用可能である。
【0065】
また、有蹄動物が載る載置部(床部)のマット16は、ゴムマットには限定されず、例えば消毒液が浸み込むことが可能なマット(例えばスポンジマット)等でもよい。
【0066】
さらに、各ノズルは、配管の所定位置に固定された構成には限定されず、有蹄動物の大きさに対応できるように配管に対して位置調整可能に設けられた構成でもよく、また、噴射口の向きが調整可能な構成や、噴射量が調整可能な構成等としてもよい。
【0067】
また、下方ノズルは、貯留部内に配置された横配管に取り付けて貯留部内に配設する構成には限定されず、例えば載置部の側方近傍に設けた凹部内に下方ノズルを配設するようにしてもよい。
【0068】
さらに、前側向きの前脚用の側方ノズル31,32、後側向きの後脚用の側方ノズル51,52、後側向きの前脚用の側方ノズル101,102は、有蹄動物の左右の両側方に互いに離間対向して配置される構成には限定されず、例えば左右いずれかの一側方に互いに近接して配置される構成でもよい。すなわち、例えば図11に示す構成では、有蹄動物の同じ側の側方位置から蹄部に向けて消毒液を噴射する複数個の側方ノズルが、一方側である右側の配管76に取り付けられている。
【0069】
また、側方ノズルは、有蹄動物の蹄部よりも上方の所定高さ位置に配置される構成が好ましいが、例えば側方ノズルを床に配置するようにしてもよく、例えば有蹄動物が載る載置部の前後方向中央部の左右の側方近傍に左右の側方ノズルを設けるようにしてもよい。
【0070】
なお、本発明のいくつかの実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 消毒装置
2 有蹄動物である牛
3 蹄部
11 載置部
21 左前脚用後方ノズル
22 右前脚用後方ノズル
23 左後脚用後方ノズル
24 右後脚用後方ノズル
26 配管
31,101 左前脚用側方ノズル
32,102 右前脚用側方ノズル
41,103 左前脚用下方ノズル
42,104 右前脚用下方ノズル
51 左後脚用側方ノズル
52 右後脚用側方ノズル
61 左後脚用下方ノズル
62 右後脚用下方ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11