(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】駐車時に車両の衝撃に対して警告するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2019501900
(86)(22)【出願日】2017-03-14
(86)【国際出願番号】 MX2017000032
(87)【国際公開番号】W WO2017164725
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】MX/A/2016/003807
(32)【優先日】2016-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MX
(73)【特許権者】
【識別番号】518336880
【氏名又は名称】レムベルク ブエノ、エルンスト アルベルト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レムベルク ブエノ、エルンスト アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ディアス アリアス、ヘルマン
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/016911(WO,A1)
【文献】特開2002-063681(JP,A)
【文献】特開昭61-155908(JP,A)
【文献】特開2013-089237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車時の車両への衝撃に対する保護を提供するための方法であって、前記車両は中央コンピュータを備え、前記中央コンピュータは、状態モニタと、センサ制御部と、距離検出器と、近接検出器と、速度加速度計と、閾値パラメータの評価器と、ライトおよびホーンスイッチと、バッテリモニタと、プロセススイッチと、前記車両の前後部に配置されたセンサと、参照フレームと各瞬間に接近操作がどれほど危険であるかを判断するようにされる方程式に統合されるデータを定義するデータファイルと、を備え、前記参照フレームが超過されたと判断すると、スイッチを介してライトおよびホーンを作動させ
、前記方程式は、RF=(DF)(SF)(1+AF)(ICF)であり、式中、(DF)は距離の衝撃係数であり、(SF)は速度の衝撃係数であり、(AF)は加速度の衝撃係数であり、(ICF)は距離の瞬時的変化の衝撃係数でありこれは1または0の2つの値のみを有する、方法。
【請求項2】
前記センサが、前記車両のバンパまたはガードに装着された超音波センサを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサが、前記車両の後部に配置されもう1つが前部に配置された電子カメラを備え、前記中央コンピュータに有線または無線方式で接続されて、前記車両に接近する車両のナンバープレート情報を前記中央コンピュータに提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記センサが、遠隔センサとして使用される電子カメラを備え、前記車両と衝突した場合に、衝突車両のナンバープレートの写真を取得する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データファイルが、危険であるとみなされない許容し得る加速度、距離および速度の組み合わせを定義する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
駐車時の車両への衝撃に対する保護を提供するためのシステムであって、状態モニタと、センサ制御部と、距離検出器と、近接検出器と、速度加速度計と、閾値パラメータの評価器と、ライトおよびホーンスイッチと、バッテリモニタと、プロセススイッチと、前記車両の前後部に配置されたセンサと、参照フレームと各瞬間に接近操作がどれほど危険であるかを判断するようにされる方程式に統合されるデータを定義するデータファイルと、を備え、前記参照フレームが超過されたと判断すると、スイッチを介してライトおよびホーンを作動させ
、前記方程式は、RF=(DF)(SF)(1+AF)(ICF)であり、式中、(DF)は距離の衝撃係数であり、(SF)は速度の衝撃係数であり、(AF)は加速度の衝撃係数であり、(ICF)は距離の瞬時的変化の衝撃係数でありこれは1または0の2つの値のみを有する、システム。
【請求項7】
前記センサが、前記車両のバンパまたはガードに装着された超音波センサを備え、前記中央コンピュータの前記センサ制御部に接続される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記センサが、前記車両の後部に配置されもう1つが前部に配置された電子カメラを備え、前記中央コンピュータに有線または無線方式で接続されて、前記車両に接近する車両のナンバープレート情報を前記中央コンピュータに提供する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサが、遠隔センサとして使用される電子カメラを備え、前記車両と衝突した場合に、衝突車両のナンバープレートの写真を取得する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記データファイルが、危険であるとみなされない許容し得る加速度、距離および速度の組み合わせを定義する、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術、目的は、電子保護および警報システムの分野にあり、計測学、センサ技術、アナログおよびデジタルエレクトロニクス、およびシステムエンジニアリングに直接関連する要素を含む。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクスの急速な発展に伴い、自動車を制御し保護するための大量の電気、電子および電気機械要素が自動車に組み込まれており、現在製造されているすべての車両は中央コンピュータを有し、中央コンピュータには車両のあらゆる動作が集まり、このように、これらの種類の電子要素の普及によって車両メーカーは、特に車両の盗難を防止するために様々な警報システムを車両に装備することができているが、車両に接近中の他の車両、駐車操作を実行している車両と起こり得る衝突に対して駐車車両を保護するためには実質的に何も行われていない。何年か前に、この種の保護を駐車車両に提供する目的で同じ著者によって特許出願が提出されたが、これは元の車両における外部装置の使用に基づいており、参考として公開番号MX/a/2012/008184を引用することができる。
【0003】
実際は、現在までこの問題に関して殆どあるいは実質的に何も行われていないにもかかわらず、駐車した自動車のガードおよびバンパに与えられる損害は非常に一般的であり、修理には費用がかかり、加えて殆どの場合、加害者を特定することは不可能であり、したがって、本発明は、元の車両における既存の要素を用いてこれらの欠点をすべてカバーすることを目的とする。
【発明の概要】
【0004】
本発明の方法、目的は、最先端の自動車、特にバンパの超音波センサまたは電子カメラを備えた自動車に装備されている、電子インフラストラクチャを利用することを含む。この方法は、殆どの場合デジタル要素および電子回路(例えばいわゆるプログラマブル論理素子)などの特定の能動要素を構成することができる車両の中央コンピュータのプログラミングによって仮想的に作成された一連の電子装置を使用し、また同時に、増幅器、検出器、仮想ゲージおよび評価器を組み立てるために同じ中央コンピュータにアクセス可能なアナログ電子要素を使用し、これらを合わせて、同じ中央コンピュータの制御および編成によって、衝突が差し迫っているような距離、速度および加速度の状況下であってもよいこれらの操作が車両近傍で実行されている場合に、他の車両に警告する警報を車両に提供し、必要であれば、ホーンの音および駐車車両のライトによって接近車両の運転者に警告することができる。
【0005】
フロントバンパとリアバンパに超音波センサがない車両の場合は、保護しようとする車両の前後部に配置されたカメラを使用する方法を確立し、この方法を使用することによってこれらのカメラは距離センサ、速度センサ、加速度センサに変換され、この場合、車両に既にカメラが装備されている場合にはそのカメラが使用され、システムに組み込まれる。
【0006】
カメラを使用することは、必要な場合に衝突車両の登録ナンバープレートを撮影する可能性を含むさらなる利点を追加し、その後、当該ナンバープレートの写真を中央コンピュータを介して取得するかまたは物のインターネット(IoT)のネットワークに統合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】必要な実際の仮想装置と、車両が駐車しているときの衝突に対する警報を車両に装備するための方法およびシステムへのその統合を示す図である。
【
図2】式に基づいて実行される動作を決定するパラメータである距離、速度、加速度、および瞬間的な距離変化の衝撃係数を示す図である。
【
図3】カメラに対する物体の距離を決定するために、カメラをどのように使用することができるかを示す図である。
【
図4】接近車両のナンバープレートを監視し、それによってその相対速度および距離を確立するために、カメラをどのように使用するかを示す図である。
【
図5】異なる距離で車のナンバープレートの寸法をカメラがどのように捕捉するかを示す図である。
【
図6】接近車両と駐車車両との間の距離の決定にアプローチ角が影響を及ぼさない方法を示す図である。
【
図7】駐車された2台の車の間の領域を横断する歩行者を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の方法の目的は、プログラマブル論理素子の使用に基づいて仮想装置を作成するために、すべて車両の元の装備である車両の中央コンピュータおよび様々な電子回路を使用することと、接近操作が保護された駐車車両との衝突のリスクを含む場合に接近車両の運転者に警告し、駐車車両へのその後の衝突および損傷を防止するためにホーンの音を鳴らし保護車両のライトを消す警報システムを作成するために、中央コンピュータで使用可能なアンプ、コンパレータ、アッテネータ、およびその他のアナログ要素の回路を使用することとを含む。この方法は、接近車両の速度、距離または加速度を決定する目的で、一部の車両の両方のバンパに装備されている超音波センサ、または元の車両の一部であるかまたは後から車両に装着された電子カメラを使用する。
【0009】
この方法が使用するシステムの基本要素は
図1に示され、システムは特定の目的のために動作を組み合わせる一連の要素または装置として理解されるものであるが、保護車両(20)が走行しているか、または単にエンジンを停止して駐車しているかのいずれの動作状態にあるかを判断できる要素である状態モニタ(1)と、バッテリ充電量を常に監視し、充電レベルが低すぎると(車両のエンジンが後に始動すると危険であり得る)、駐車車両用の警報システムの動作を無効にするプロセススイッチ(9)を作動させることができる要素であるバッテリモニタ(2)と、車両の超音波センサまたは光学センサの作動または停止を可能にし、センサから来る値を解釈できるようにセンサからの信号に必要なアルゴリズムを適用することができる要素であるセンサ制御部(3)と、保護車両(20)に対する危険を含み得る領域に物体が進入したときを決定する距離検出器(4)と、接近する物体が車両(30)間、保護車両(20)と別の駐車車両(31)との間の領域を横断している歩行者(29)であるかどうかを判定するために、超音波センサおよび光センサから来る信号を使用する近接検出器(5)と、センサから来る信号に基づいてこれらのパラメータを測定する要素である速度加速度計(6)と、速度、加速度および距離のパラメータが許容限度を超過する、したがって接近車両が駐車車両と衝突する脅威になるときを決定する閾値パラメータ評価器(7)と、最後に、衝突が発生する前に接近中の運転者に警告するために短時間作動することができるライトおよびホーンスイッチ(8)とを含む。
【0010】
警報は接近車両の距離、加速度および速度の条件が実際のリスクを構成する場合にのみ作動するため、リスクファクタ(RF)と呼ぶ値を作成し、車両間の距離がかなり離れていて接近速度が遅い場合には衝突の可能性は少ないが、接近速度が速く、車両間の距離が短い場合には、強い減速がなければ衝突の可能性が高く、したがって、組み合わせると危険領域を示し、他の組み合わせでは低いリスクファクタ(RF)を示す速度、距離、加速度の範囲が存在する。歩行者(29)が歩行して車の前方または後方を横断することは、人が駐車した車の間を通って道を横断したいときに通常起こるが、このときに警報が作動することは望ましくない。この場合、距離の瞬間的変化と呼ぶものが存在し、仮に物体がセンサの視界に突然入ると、物体が非常に短い距離にあるという考えを与え、それが突然現れたために非常に速い速度および加速度を有するとみなされ得るが、この場合、警報は無効のままでなければならず、これは次の式を実装することによって実現される。
RF=(DF)(SF)(1+AF)(ICF)
【0011】
式中、(DF)は距離の衝撃係数であり、(SF)は速度の衝撃係数であり、(AF)は加速度の衝撃係数であり、(ICF)は距離の瞬時的変化の衝撃係数でありこれは1または0の2つの値のみを有する。このようにして、人や動物が車両の前部または後部の近くを接線方向に横断すると、センサは非常に速い接近速度、高い加速度および最小距離を検出するが、衝撃係数はゼロになり、したがって、リスクファクタRFはゼロになり、
図1に示すように、ホーンとライトは作動せず、新しいイベントを評価するために領域を監視し続けるだけである。
【0012】
図2は各衝撃係数の影響ゾーンを示し、距離の衝撃係数(10)は、極端に小さくない、または極端に大きくない距離を考慮する必要があると判断し、速度の衝撃係数(11)は、このパラメータについて、速度が増加するにつれて増加し、速度が非常に速い場合には減少しなければならない動作の領域が存在することを判断し、これは車両が高速で側を通過しセンサの1つによって検出される場合を示す可能性があり、加速度の衝撃係数(12)でも類似のことが起こるが、距離の瞬間的変化の衝撃係数(13)は1または0の2つの値しか有さず、このインジケータは、歩行者、動物またはサイクリストの通過を排除することを可能にし、これらの係数はすべて経験的な方法で決定されている。
【0013】
図1はシステムの各要素または装置間の相互作用を示しており、車両は、バッテリエネルギーが十分であるとき、エンジンが停止したことを検出したとき、センサが感受性領域内に物体を検出したとき、この物体が歩行者、動物またはサイクリストではないと判断したとき、およびリスクファクタ(RF)が事前に設定された限界を超過したときにのみ警報音を鳴らし短時間点灯する。
【0014】
場合によっては、バンパに超音波センサを装備するように製造されていない車両もあるが、主に後部にカメラが搭載されており、さらに、コストが大幅に削減された非常に小さい寸法の電子カメラが存在し、ガードまたはバンパに簡単に設置し、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi、または他の有線または無線接続のいずれかによって中央コンピュータの制御部に組み込むことができる。これらのカメラを距離センサ、速度センサおよび加速度センサに変換する方法が確立されるため、これらのカメラは本出願の超音波センサの代用として使用できる。
図3は、画像検出器(14)およびレンズ(15)などのカメラのいくつかの要素が、観察される物体(16)の画像(17)をどのように生成できるか、また、この物体が画像検出器(14)に近づいたり離れたりするにつれて、どのように画像(17)がより大きくまたは小さく認識され、物体が近づくほど大きくなり、物体が遠ざかるほど小さくなるかを示している。このため、物体の正確な寸法を知らなければ、物体の距離と速度を判断することはできないが、本出願では、寸法を正確に知ることができる物体が存在し、この物体は自動車の登録ナンバープレートであり、プレート自体は見かけの寸法を変えるプレート枠に取り付けることができるが、数字と文字は常に同じ寸法を有するため、特にプレートの高さを基準にする。
図4は、前方カメラ(18)と後方カメラ(19)とを装備した保護車両(20)がこのカメラを使用して、接近車両(21)のナンバープレート(22)がどれだけ離れているかを確立する方法を示し、カメラの画像により、車が互いに近づくにつれてナンバープレートの数字が大きくなるようにサイズを認識し、したがって、長い距離(23)にあるナンバープレートの画像は、中間の距離(24)にあるナンバープレートの画像よりも小さく、中間の距離(24)にあるナンバープレートの画像は、短い距離(25)にあるナンバープレートの画像よりも小さい。
【0015】
図5は、車両が近づくにつれてナンバープレート(22)の数字(26)がどのように大きく見えるかを示しており、ここでの目的のためナンバープレートの数字の高さ、換言すれば垂直方向のサイズのみを基準として使用し、この理由は、
図6に見られるように、車両が斜め方向に接近すると数字(28)の幅はより短く見える可能性があるが、車両が同一線方向に接近すると数字(27)の認識される高さは変化せず、車両(20)と車両(21)が同一線であるか斜めであるかにかかわらず、ナンバープレート(22)は後方カメラ(19)から同じ距離にあるという事実による。
【0016】
図7は、車両(30)間の領域を通って横断する歩行者(29)を示しており、この場合、超音波センサが使用される場合とは異なり、後部カメラ(19)は、単純に人がナンバープレートを有していないために、車両と人とを簡単に区別することができ、したがって、警報によって悩まされることはない。
【0017】
カメラを使用することのさらなる利点は、衝突車両が駐車車両の警告を無視したときに、写真を用いて、保護された駐車車両に衝突した車両のナンバープレートを登録することができ、衝突が発生した時間および場所に関するデータを追加して、その情報を中央コンピュータによる後の使用のために物のインターネット(IoT)の機構によって転送するか、またはメモリに格納することができる。カメラと中央コンピュータと、この目的のために中央コンピュータに構成されたそれぞれの動作要素との間の接続は、有線でも無線でもよい。
【0018】
したがって、ナンバープレートからカメラまでの距離を判断することができるプロセスは、画像検出器(14)で登録されたナンバープレートの番号の高さを測定することによって行われ、すべてのナンバープレートが等しい高さの数字を有するという事実によって、ナンバープレートの数字の認識された高さ(27)と、ナンバープレートおよびカメラの間の距離との関係を確立することは容易であり、その後、時間に対するこの高さの変化を測定することによって接近速度を判断することができ、時間に対するこの速度の変化を測定することによって加速度が得られ、これにより即座に必要なパラメータが得られ、関数の時間に対する第1および第2の導関数を取ることによって、ナンバープレートの数字の認識された高さ(27)に基づき時間に対してナンバープレートとカメラとの間の距離を規定し、連続関数として変化値が得られ、これらのデータを用いて速度加速度計(6)および距離検出器(4)に供給し、
図1に記載された方法およびシステムに従って対応する処理を行う。
【0019】
このように本発明を説明し、これを新規であると考えるため、以下の条項の内容を独占的財産として請求する。