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特許7164231キャスティング装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】キャスティング装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221025BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021092333
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】515205543
【氏名又は名称】株式会社プロモデルスタジオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 力
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-101978(JP,A)
【文献】国際公開第2021/033478(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/155570(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼者によるモデルの決定を支援するキャスティング装置であって、
モデルごとに、複数の角度から撮影された複数の顔画像を含むコンポジットデータを記憶する記憶部と、
複数の候補モデルを選定する選定部と、
選定された候補モデルごとに、前記記憶部に記憶されているコンポジットデータの中から、1つの顔画像を抽出する抽出部と、
抽出された各候補モデルの顔画像に基づき、前記各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心に向くように、かつ、前記各候補モデルの目の高さがほぼ一定となるように、前記各候補モデルの顔画像を横に並べて表示装置に一覧表示する表示制御部と、
を具備するキャスティング装置。
【請求項2】
各モデルの顔画像を解析し、解析結果を出力する解析部と、
各モデルの解析結果と、過去のモデルのキャスティング結果に関する情報に基づき、前記各モデルのモデルタイプを分類する分類部と、
モデルタイプの入力を受け付ける受付部をさらに備え、
前記選定部は、
入力されたモデルタイプに分類されているモデルを、前記候補モデルとして選定する、請求項1に記載のキャスティング装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記各モデルの顔画像を解析することで、顔のパーツデータ及び顔の表情データを含む解析結果を出力する、請求項2に記載のキャスティング装置。
【請求項4】
前記コンポジットデータには、モデル基本情報が含まれ、
前記選定部は、各モデルのコンポジットデータに含まれる前記モデル基本情報を参照することで、入力される候補モデルの選定条件に合致する前記候補モデルを選定する、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャスティング装置。
【請求項5】
前記複数の顔画像には、比較用のアイキャッチ画像が含まれ、
前記抽出部は、選定されたモデルごとに、コンポジットデータの中から、前記アイキャッチ画像を抽出し、
前記表示制御部は、抽出された各候補モデルのアイキャッチ画像に基づき、前記各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心に向くように、かつ、前記各候補モデルの目の高さがほぼ一定となるように、前記各候補モデルのアイキャッチ画像を横に並べて表示装置に一覧表示する、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャスティング装置。
【請求項6】
前記アイキャッチ画像をトリミングする加工部をさらに備え、
前記抽出部は、選定されたモデル候補ごとに、コンポジットデータの中から、トリミング後の前記アイキャッチ画像を抽出する、請求項に記載のキャスティング装置。
【請求項7】
モデルごとに、複数の角度から撮影された複数の顔画像を含むコンポジットデータを記憶する記憶部を備えたコンピュータによって実行される、依頼者によるモデルの決定を支援する方法であって、
複数の候補モデルを選定する選定ステップと、
選定された候補モデルごとに、前記記憶部に記憶されているコンポジットデータの中から、1つの顔画像を抽出する抽出ステップと、
抽出された各候補モデルの顔画像に基づき、前記各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心に向くように、かつ、前記各候補モデルの目の高さがほぼ一定となるように、前記各候補モデルの顔画像を横に並べて表示装置に一覧表示する表示制御ステップと
を含む方法。
【請求項8】
依頼者によるモデルの決定を支援するプログラムであって、モデルごとに、複数の角度から撮影された複数の顔画像を含むコンポジットデータを記憶する記憶部を備えたコンピュータに、
複数の候補モデルを選定する選定ステップと、
選定された候補モデルごとに、前記記憶部に記憶されているコンポジットデータの中から、1つの顔画像を抽出する抽出ステップと、
抽出された前記各候補モデルの顔画像に基づき、前記各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心に向くように、かつ、前記各候補モデルの目の高さがほぼ一定となるように、前記各候補モデルの顔画像を横に並べて表示装置に一覧表示する表示制御ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスティング装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
広告主は、企業の商品をより多くの消費者に知ってもらうために、直接的または制作会社、広告代理店等を経由するなどして間接的に、モデル、インフルエンサー、又は著名人など(以下、モデルと総称)と契約し、広告、雑誌への掲載、テレビなどへの出演などを通して、その販売促進を図っている。
【0003】
モデルと契約する際、広告主(以下、制作会社、広告代理店等によって間接的に依頼する場合を含め、依頼者を広告主と総称)は、モデルの手配や肖像権管理などのキャスティング業務を行うキャスティング業者に、候補モデルの選定を依頼する。かかる依頼を受けると、キャスティング業者は、提携先の各モデル事務所に所属する多数のモデルの中から、今回の依頼に合ったモデルを複数(例えば、200人分など)選定し、選定した各モデルのコンポジットを広告主に提供した後、広告主とともにオーディションを開催する。ここで、「コンポジット」とは、モデルの様子や表情を様々な角度から確認できるようにまとめた一群の写真であり、オーディション時のアピール素材として利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状、広告主は、モデルを決定する前段階として、非常に多くのモデルのコンポジットを精査する必要があるが、コンポジットは、モデル事務所ごとに独自のフォーマットが採用されているために、全てのモデルを一律に比較するのは難しい。
【0005】
そこで、広告主は、選定された多くのモデルを呼んで対面式のオーディションを行い、契約するモデルを決定するといったプロセスを踏むが、オーディションを開催するまでの選考プロセスにおいても多くの時間とコストを費やす必要がある。また、モデルの所属する事務所においても、1回のオーディションにモデルを参加させるまでの書類選考等のプロセスのために多くの時間を割く必要があり、モデルの決定プロセスが非効率的である等の問題が指摘されていた。
【0006】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、依頼に合った候補者(候補モデル)を効率的に絞っていくことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るキャスティング装置は、広告主によるモデルの決定を支援するキャスティング装置であって、モデルごとに、複数の角度から撮影された複数の顔画像を含むコンポジットデータを記憶する記憶部と、複数の候補モデルを選定する選定部と、選定された候補モデルごとに、記憶部に記憶されているコンポジットデータの中から、1つの顔画像を抽出する抽出部と、抽出された各候補モデルの顔画像に基づき、各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心に向くように、かつ、前記各候補モデルの目の高さがほぼ一定となるように、各候補モデルの顔画像を横に並べて表示装置に一覧表示する表示制御部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の所定の態様によれば、依頼に合った候補モデルを効率的に絞っていくことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るモデル決定支援システムの構成の一例を示す図である。
図2】広告主端末、キャスティング装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】キャスティング装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】コンポジットデータの登録画面を例示した図である。
図5】アイキャッチ画像ICPを利用した候補モデルの提案画面を例示した図である。
図6】第2実施形態に係るキャスティング装置の機能構成を示すブロック図である。
図7】解析部による解析動作の説明図である。
図8】分類部における学習モデルの学習過程を例示した図である。
図9】コンポジットDBの登録内容を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
A.第1実施形態
<システム構成>
図1は、第1実施形態に係るモデル決定支援システム1000の構成の一例を示す図である。
本システム1000は、各モデルのアピール素材として利用される一群の顔写真(顔画像)(以下、コンポジットデータ)を電子データ化し利用することで、依頼者である広告主の依頼に合った候補モデルを効率的に絞っていくことを可能とする。
【0012】
モデル決定支援システム1000は、広告主が操作する広告主端末100と、広告主によるモデルの決定を支援するキャスティング装置200とを含んで構成される。広告主端末100とキャスティング装置200とは、ネットワークNを介して相互通信可能となっている。
【0013】
ネットワークNのうちの1つまたは複数の部分は、有線ネットワークや無線ネットワークであってもよい。ネットワークNは、限定でなく例として、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信など、または、これらの2つ以上の組合せを含むことができる。
【0014】
広告主端末100は、広告主(例えば、商品やサービスをアピールする企業の責任者など)が操作する端末であり、パーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータデバイス、スマートフォン、携帯電話、ウェアラブル端末などによって構成されている。広告主は、広告主端末100を適宜操作することで、キャスティング装置200に対し、モデルのキャスティング依頼などを行う。
【0015】
キャスティング装置200は、例えばサーバコンピュータにより構成され、モデルのキャスティング業務を行う企業の管理者など(以下、キャスティング管理者)によって管理される。キャスティング装置200は、オンプレミス型やクラウド型のデータベースに格納されている各モデルのコンポジットデータを利用して、広告主からの依頼に応じたモデルの選定などを行う(詳細は後述)。なお、広告主端末100やキャスティング装置200を構成するコンピュータは、必ずしも1台である必要はなく、ネットワークN上に分散する複数のコンピュータやストレージから構成されてもよい。
【0016】
<ハードウェア構成>
図2は、広告主端末100、キャスティング装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。広告主端末100、キャスティング装置200は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置2、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)3、入力操作を受け付ける入力デバイス4、及び情報の出力を行う出力デバイス5を有する。入力デバイス4は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、マイク等である。出力デバイス5は、例えば、ディスプレイ(画面)及び/又はスピーカ等である。
【0017】
以下、図3図5を参照しながら、キャスティング装置200の機能構成及び機能概要について説明する。
【0018】
<機能構成及び機能概要>
図3は、キャスティング装置200の機能構成を示すブロック図である。
【0019】
キャスティング装置200は、受付部210と、記憶部220と、登録部230と、選定部240と、抽出部250と、表示制御部260とを含む。
受付部210と、登録部230と、選定部240と、抽出部250と、表示制御部260は、キャスティング装置200のCPU1が記憶装置2に記憶された各種プログラムを実行することによって実現される。なお、プログラムは、USBメモリやCD-ROM等の記憶媒体に格納することができる。
【0020】
受付部210は、広告主による広告主端末100の操作に応じて、モデルのキャスティング依頼などを受け付けるほか、キャスティング管理者による入力操作などを受け付ける。
【0021】
記憶部220は、記憶装置2によって実現され、モデルのキャスティング機能を実現するためのプログラムや、各種データなどを記憶する。また、記憶部220は、各モデルのコンポジットデータを記憶するコンポジットデータベース(DB)221などを備える。
【0022】
コンポジットデータは、モデルごとに用意されているアピール素材用の一群の顔写真(例えば1モデルに対して7枚程度のPDF、JPEG形式の写真など)などを含んで構成される。コンポジットデータは、各モデルが所属するモデル事務所などから提供される。キャスティング管理者は、モデル事務所などから新たなモデルのコンポジットデータが提供されると、これをコンポジットDB221に登録する。
【0023】
図4は、コンポジットデータの登録画面W1を例示した図である。
登録画面W1は、モデル名、読み方、性別、生年月日、所属事務所、人種など、各モデルの基本情報(以下、モデル基本情報)を入力するための入力欄EF1のほか、コンポジットデータCMDをコンポジットDB221に登録するための登録ボタンB1や、アイキャッチ画像ICPを登録するための登録ボタンB2などが設けられている。
【0024】
アイキャッチ画像ICPは、コンポジットデータCMDを構成する複数の顔写真の中の1つであり、他のモデルと比較する際に利用されるアイキャッチな顔写真である。本実施形態では、キャスティング管理者がマウスなどをマニュアル操作することで、アイキャッチ画像ICPの選定や、アイキャッチ画像ICPの編集(例えば、トリミングや色調補正など)などを行う。
【0025】
図5は、アイキャッチ画像ICPを利用した候補モデルの提案画面W2を例示した図である。
提案画面W2には、複数の候補モデルのアイキャッチ画像ICPが、横方向に並んで一覧表示される。提案画面W2は、キャスティング装置200及び広告主端末100の表示パネルなどに表示される。本実施形態では、図5に示すように、複数の候補モデルのアイキャッチ画像ICPを横方向に並べて一覧表示することで、従来の書類選考よりも効率的に複数の候補モデルを比較・検討することが可能となっている。また、提案画面W2に表示される各候補モデルは、顔または身体の向きがほぼ中心を向くように、かつ、目の高さがほぼ一定となるように、例えば以下に示す工夫が施されている。なお、これらの工夫はあくまで一例であり、他の方法によって各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心を向くように、かつ、目の高さがほぼ一定となるようにしてもよい。
【0026】
<アイキャッチ画像ICPのトリミングの工夫例>
・各候補モデルのアイキャッチ画像ICPの画像サイズがほぼ一定、かつ、アイキャッチ画像ICPに占める各候補モデルの顔の割合がほぼ一定となるようにトリミングする(図5参照)。
【0027】
<アイキャッチ画像ICPの表示(縦方向)の工夫例>
・各候補モデルの目やあごのラインがほぼ一定となるように配置する(図5参照)。
【0028】
<アイキャッチ画像ICPの表示(横方向)の工夫例>
・顔または身体が正面を向いている各候補モデルは真ん中に配置し、右を向いている各候補モデルは審査側から見て右側に配置し、左を向いている各候補モデルは審査側から見て左側に配置する(図5参照)。
【0029】
以上説明した工夫が施されることで、広告主は、従来の書類選考よりも効率的にこれらの候補モデルを比較・検討することが可能となる。
【0030】
図3に戻り、登録部230は、キャスティング管理者の操作に基づき、コンポジットデータCMDなどをコンポジットDB221に登録する。キャスティング管理者は、例えばモデル事務所などから新たなコンポジットデータCMDの提供を受けると、図4に示す登録画面W1に従って、モデル基本情報やコンポジットデータCMD、アイキャッチ画像ICPなどを登録するための入力操作を行う。この結果、コンポジットDB221には、モデル基本情報、アイキャッチ画像ICPなど含むコンポジットデータCMDが、モデルごとに登録される。
【0031】
選定部240は、キャスティング管理者によって入力される候補モデルの選定条件に従って、複数の候補モデルを選定する。例えば、キャスティング管理者が、30代の女性モデルを選定すべき旨の入力(すなわち、候補モデルの選定条件の入力)を行うと、選定部240は、コンポジットDB221にアクセスし、各モデルのコンポジットデータCMDを参照する。そして、選定部240は、各コンポジットデータCMDに含まれるモデル基本情報を参照することで、入力された候補モデルの選定条件に合致する候補モデルを複数選定し、抽出部250に通知する。
【0032】
抽出部250は、選定部240から選定された複数の候補モデルが通知されると、コンポジットDB221を参照し、選定された各候補モデルのアイキャッチ画像ICPを抽出し、表示制御部260に送る。
【0033】
表示制御部260は、抽出部250によって抽出された各候補モデルのアイキャッチ画像ICPを受け取ると、各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心を向くように、かつ、目の高さがほぼ一定となるように、各候補モデルのアイキャッチ画像ICPを横方向に並べた提案画面W2(図5参照)を生成し、これをキャスティング装置200及び広告主端末100の表示パネルに一覧表示する。
【0034】
広告主は、広告主端末100に表示される提案画面W2を確認し、これらの候補モデルを比較・検討する。そして、検討した候補モデルの中から、例えば数名の候補モデルを選び、実際のオーディションを開催して自社製品のイメージ等にあったモデルを最終決定する。このように、本実施形態によれば、依頼者である広告主の依頼に合った候補モデルを効率的に絞っていくことが可能となる。
【0035】
なお、上記実施形態では、実際のオーディションを開催することで、自社製品のイメージ等にあったモデルを最終決定したが、実際のオーディションを開催することなく、提案画面W2を参照してモデルを最終決定してもよい。
また、上記実施形態では、女性モデルを例に説明したが、男性モデルや子供モデルなどにも適用可能である。さらにいえば、人間以外のモデル、例えば犬や猫など、あらゆる生物のモデルに適用可能である。
【0036】
また、上記実施形態では、キャスティング管理者がマニュアル操作することで、アイキャッチ画像ICPを編集(例えば、トリミングや色調補正など)する場合について説明したが、キャスティング装置200が自動でアイキャッチ画像ICPを編集してもよい。具体的には、キャスティング装置200に、アイキャッチ画像ICPを編集・加工する加工部を設ける。加工部には、ニューラルネットワークやディープラーニングなどの周知の機械学習機能が搭載されている。加工部は、機械学習機能を利用することで、上述したアイキャッチ画像ICPのトリミングや色調補正などを実行する。例えば、トリミングする場合であれば、加工部は、機械学習機能を利用して、各候補モデルのアイキャッチ画像ICPの画像サイズがほぼ一定となるように、かつ、アイキャッチ画像ICPに占める各候補モデルの顔の割合がほぼ一定となるようにトリミングする。かかる構成によれば、キャスティング管理者の作業負担を大幅に軽減することが可能となる。
【0037】
B.第2実施形態
第1実施形態では、広告主が希望するテーマに応じて、キャスティング管理者がマニュアル操作で候補モデルの選定条件を入力し、候補モデルを選定する場合について説明した。これに対し、以下に示す第2実施形態では、広告主が希望するテーマに応じて、キャスティング装置200が自動で候補モデルを選定する場合について説明する。
【0038】
図6は、第2実施形態に係るキャスティング装置200の機能構成を示すブロック図である。キャスティング装置200は、解析部270、分類部280を備えている点を除けば、前掲図3に示すキャスティング装置200と同様である。よって、対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明は割愛する。
【0039】
解析部270は、画像認識ツール(例えば、機械学習を用いた画像認識APIなど)を備えており、各モデルのコンポジットデータCMDに含まれる少なくとも1枚以上の顔写真を解析し、解析結果を分類部280に出力する。
【0040】
図7は、解析部270による解析動作の説明図である。
図7に示すように、解析部270は、モデルの顔写真を解析することで、モデルの顔の特徴点、すなわち顔のパーツ(例えば、目の位置や大きさ、鼻のライン、顔の傾き、眉の位置など)の解析データを取得するとともに、モデルの表情(喜び、悲しみ、怒り、驚きなど)の解析データを取得する。解析部270は、取得した顔のパーツの解析データ(以下、顔のパーツデータ)及び表情の解析データ(以下、表情データ)を含む解析結果を分類部280に出力する。
【0041】
分類部280は、学習モデルLMを備え、解析部270から供給される解析結果とともに、これまでに蓄積されているキャスティング履歴情報や学習データを利用することで、各モデルのイメージタイプを分類する。「イメージタイプ」は、例えば「美人系」(顔立ちが整っており綺麗なイメージ)、「かわいい系」(アイドルなどを想定させる可愛いイメージ)、「上品系」(おしとやかなお嬢様などを想定させるイメージ)、「かっこいい系」(凛としたかっこよさを想定させるイメージ)など、そのモデルからユーザが受ける印象をあらわす。ここでは、4種類のイメージタイプを例示しているが、何種類のイメージタイプに分類するかは、設計等に応じて適宜設定・変更可能である。
【0042】
また、「キャスティング履歴情報」は、これまでに開催された様々なイメージタイプのオーディションにおいて、最終的に選ばれたモデル、選ばれなかったモデルの顔のパーツデータ及び表情データ(すなわち、過去のモデルのキャスティング結果に関する情報)である。記憶部220には、過去一定数(例えば、数千件など)のキャスティング履歴情報が記憶されている。
【0043】
分類部280は、以下に説明するように、分類後にキャスティング経験が豊富な人間(例えば、キャスティング管理者など;以下では、キャスティング管理者を想定)が再分類した各モデルのデータを、教師データとして学習することで、予測精度の高い学習モデルLMを構築する。
図8は、分類部280における学習モデルの学習過程を例示した図である。
例えば、ある広告主の要望に応じて、「美人系」の候補モデル2名(モデルA、モデルB)が挙げられていたとする。最終的に、キャスティング管理者によってモデルAが「美人系」のモデルとして選ばれ、モデルBは「美人系」のモデルとして選ばれなかった場合、分類部280は、モデルAの顔のパーツデータ及び表情データを、「美人系」のモデルとして妥当であると学習する。一方、分類部280は、モデルBの顔のパーツデータ及び表情データについては、「美人系」のモデルとして妥当でないと学習する。このように、分類部280は、キャスティング経験が豊富な人間が再分類した各モデルの顔のパーツデータ及び表情データを学習データ(教師データ)として利用することで、各モデルのイメージタイプの分類精度を高めている。
【0044】
分類部280は、解析部270から新たなモデルの顔のパーツデータ及び表情データを受け取ると、これを学習モデルLMに入力し、このモデルのイメージタイプ(例えば「かわいい系」など)を分類するととともに、そのイメージタイプの程度(例えば、「〇×%」など;以下、イメージ度)を求める。そして、分類部280は、モデルの顔のパーツデータ及び表示データととともに、イメージタイプの分類結果(イメージ度などを含む)をあらわすイメージ分類データを、このモデルのコンポジットデータCMDに含めて、コンポジットDB221に登録する(図9参照)。
【0045】
受付部210は、広告主端末100から、広告主が起用したいモデルのタイプ(例えば、「上品系」など)の要求を受け取ると、これを選定部240に出力する。
選定部240は、広告主の要求を受け取ると、広告主の要求に応じ、コンポジットDB221を参照することで、該当する複数の候補モデルを選定する。例えば、広告主によって「上品系」のモデルが要求されている場合には、選定部240は、コンポジットデータCMDに含まれるイメージ分類データを参照することで、「上品系」の候補モデルを複数選定し、抽出部250に通知する。
【0046】
抽出部250は、通知を受けた複数の候補モデルのアイキャッチ画像ICPを、コンポジットDB221から抽出し、表示制御部260に送る。
【0047】
表示制御部260は、抽出部250によって抽出された各候補モデルのアイキャッチ画像ICPを受け取ると、上述した第1実施形態と同様、各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心を向くように、かつ、目の高さがほぼ一定となるように、各候補モデルのアイキャッチ画像ICPを横方向に並べた提案画面W2(図5参照)をキャスティング装置200及び広告主端末100の表示パネルに一覧表示する。
【0048】
かかる構成によれば、広告主が希望するテーマに応じて、キャスティング装置200が自動で候補モデルを選定する。キャスティング装置200は、キャスティング経験が豊富な人間が再分類した各モデルのデータを学習データとして用いて学習モデルLMを学習しているため、候補モデルの選定精度を高めることが可能となる。
【0049】
C.変形例
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0050】
上記実施形態では、モデルごとにアイキャッチ画像ICPを1つ登録する場合について説明したが、複数のアイキャッチ画像ICPを登録するようにしてもよい。また、コンポジットデータCMDを構成する写真の中からアイキャッチ画像ICPを選定するのではなく、コンポジットデータCMDに含まれない別の写真をアイキャッチ画像として選定してもよい。さらに、上記実施形態では、「美人系」、「かわいい系」、「上品系」、「かっこいい系」といったイメージタイプを例示したが、これらに限る趣旨ではなく、対象モデルの性別などに応じて適宜設定・変更可能である。例えば、男性モデルの場合には、「綺麗系」、「かわいい系」、「かっこいい系」、「ユニーク系」などのイメージタイプを設定してもよい。
【0051】
また、本明細書において、「部」とは、単に物理的構成を意味するものではなく、その「部」が実行する処理をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が実行する処理を2つ以上の物理的構成や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置が実行する処理を1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1000…モデル決定支援システム、100…広告主端末、200…キャスティング装置、210…受付部、220…記憶部、221…コンポジットDB、230…登録部、240…選定部、250…抽出部、260…表示制御部、270…解析部、280…分類部、LM…学習モデル、CMD…コンポジットデータ、ICP…アイキャッチ画像、W1…登録画面、W2…提案画面。
【要約】
【課題】依頼に合った候補者(候補モデル)を選考するにあたり書類選考のプロセスを効率的に実施することが可能な技術を提供する。
【解決手段】キャスティング装置200は、モデルごとに、複数の角度から撮影された複数の顔画像を含むコンポジットデータを記憶する記憶部220と、複数の候補モデルを選定する選定部240と、選定された候補モデルごとに、記憶部220に記憶されているコンポジットデータの中から、1つの顔画像を抽出する抽出部250と、抽出された各候補モデルの顔画像に基づき、各候補モデルの顔または身体の向きがほぼ中心に向くように、かつ、前記各候補モデルの目の高さがほぼ一定となるように、各候補モデルの顔画像を横に並べて表示装置に一覧表示する表示制御部260を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9