(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】高速周波数パルスTIG溶接システム
(51)【国際特許分類】
B23K 9/09 20060101AFI20221025BHJP
B23K 9/167 20060101ALI20221025BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20221025BHJP
【FI】
B23K9/09
B23K9/167 C
B23K9/167 A
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2021532319
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 CN2019112886
(87)【国際公開番号】W WO2020237989
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】201910455476.7
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】王 振民
(72)【発明者】
【氏名】呉 健文
(72)【発明者】
【氏名】范 文艶
(72)【発明者】
【氏名】陳 浩宇
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-124076(JP,A)
【文献】特開2018-182831(JP,A)
【文献】特開2018-046677(JP,A)
【文献】特表2018-512023(JP,A)
【文献】特表2019-501460(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064647(WO,A1)
【文献】特開2000-012780(JP,A)
【文献】特開2016-163472(JP,A)
【文献】特表2016-511154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0345400(US,A1)
【文献】独国実用新案第202004021031(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00 - 9/32、10/00 - 10/02
H02M 7/42 - 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速周波数パルスTIG溶接電源を含み、前記高速周波数パルスTIG溶接電源が主回路と制御回路とヒューマンコンピュータインタラクションシステムとを含む高速周波数パルスTIG溶接システムにおいて、
前記主回路は、商用周波数整流フィルタモジュール、パルス電流主回路、ベース電流主回路および高周波電流切替回路を含み、前記パルス電流主回路は、順次に接続されたSiCフルブリッジインバータモジュール1、高周波変圧モジュール1およびSiC整流平滑モジュール1を含み、前記ベース電流主回路は、順次に接続されたSiCフルブリッジインバータモジュール2、高周波変圧モジュール2およびSiC整流平滑モジュール2を含み、前記高周波電流切替回路は、順次に接続された高周波切替モジュールと逆灌流防止モジュールとを含み、前記SiCフルブリッジインバータモジュール1は、SiCパワースイッチングトランジスタを含み、
ここで、三相交流入力電源は、商用周波数整流フィルタモジュールに接続され、商用周波数整流フィルタモジュールは、SiCフルブリッジインバータモジュール1およびSiCフルブリッジインバータモジュール2にそれぞれ接続され、SiC整流平滑モジュール1は、高周波切替モジュールに接続され、逆灌流防止モジュールは、外部アーク負荷に接続され、SiC整流平滑モジュール2は、外部アーク負荷に接続され、
前記制御回路は、
マイクロプロセッサ最小制御システム、それぞれが前記
マイクロプロセッサ最小制御システムに接続されたヒューマンコンピュータインタラクション通信モジュール、SiC高周波駆動回路、切替スイッチ駆動回路、出力電圧電流サンプリングフィードバック回路を含み、ここで、SiC高周波駆動回路は、SiCフルブリッジインバータモジュール1とSiCフルブリッジインバータモジュール2とにそれぞれ接続され、切替スイッチ駆動回路は、高周波切替モジュールに接続され、出力電圧電流サンプリングフィードバック回路は、外部アーク負荷、SiC整流平滑モジュール1およびSiC整流平滑モジュール2にそれぞれ接続され、ヒューマンコンピュータインタラクション通信モジュールは、ヒューマンコンピュータインタラクションシステムに接続されることを特徴とする高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項2】
前記SiCフルブリッジインバータモジュール1は、SiCパワースイッチングトランジスタを含み、すなわち、SiCフルブリッジインバータモジュール1は、SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104を含み、前記高周波変圧モジュール1は、高周波トランス1 T101を含み、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、フルブリッジインバータ回路を構成し、その後、直流阻止コンデンサC109を介して高周波トランス1 T101の一次側に接続され、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、それぞれRC吸収回路1を並列接続し、
前記SiC整流平滑モジュール1は、整流ダイオードVD101、整流ダイオードVD102およびインダクタL101を含み、高周波トランス1 T101の2次側第1出力端子は、順次に接続された整流ダイオードVD101および整流ダイオードVD102を介して高周波トランス1 T101の2次側第3出力端子に接続され、整流ダイオードVD101と整流ダイオードVD102との接続箇所は、インダクタL101の一端に接続され、インダクタL101の他端と高周波トランス1 T101の2次側第2出力端は、それぞれパルス電流主回路の出力端として高周波切替モジュールに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項3】
前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、フルブリッジインバータ回路を構成し、その後、直流阻止コンデンサC109を介して高周波変圧モジュール1の1次側に接続され、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、それぞれRC吸収回路1を並列接続し、すなわち、
さらに、コンデンサC101、コンデンサC102、コンデンサC103、コンデンサC104、コンデンサC109、抵抗R101、抵抗R102、抵抗R103および抵抗R104を含み、
SiCパワースイッチングトランジスタM101とSiCパワースイッチングトランジスタM103が直列に接続された後、SiCパワースイッチングトランジスタM102とSiCパワースイッチングトランジスタM104が直列に形成された回路と共に商用周波数整流フィルタ回路に並列接続され、コンデンサC101と抵抗R101は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM101に並列接続され、コンデンサC102と抵抗R102は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM102に並列接続され、コンデンサC103と抵抗R103は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM103に並列接続され、コンデンサC104と抵抗R104は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM104に並列接続され、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101とSiCパワースイッチングトランジスタM103との接続箇所は、コンデンサC109と直列に接続されて高周波変圧モジュール1の1次側第1入力端に接続され、前記SiCパワースイッチングトランジスタM102とSiCパワースイッチングトランジスタM104との接続箇所は、高周波変圧モジュール1の1次側第2入力端に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項4】
前記SiCフルブリッジインバータモジュール2の回路構成は、SiCフルブリッジインバータモジュール1と同一であり、高周波変圧モジュール2の回路構成は、高周波変圧モジュール1と同一であり、SiC整流平滑モジュール2の回路構成は、SiC整流平滑モジュール1と同一であることを特徴とする請求項2に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項5】
前記高周波切替モジュールは、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202と変調スイッチングトランジスタIGBT Q201とを含み、前記逆灌流防止モジュールは、整流ダイオードVD201を含み、前記変調スイッチングトランジスタIGBT Q201は、前記SiC整流平滑モジュール1に並列に接続され、SiC整流平滑モジュール1は、順次に接続された変調スイッチングトランジスタIGBT Q202と整流ダイオードVD201とを介して外部アーク負荷に接続され、前記変調スイッチングトランジスタIGBT Q202は、スパイク電圧吸収モジュール1に並列に接続され、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201は、スパイク電圧吸収モジュール2に並列に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項6】
前記スパイク電圧吸収モジュール1は、コンデンサC202、抵抗R202、ダイオードD204およびダイオードD203を含み、抵抗R202とコンデンサC202とが並列接続された後にダイオードD204と直列に形成された回路は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202に並列接続され、ダイオードD203は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202に並列接続され、
前記スパイク電圧吸収モジュール2は、コンデンサC201、抵抗R201、ダイオードD202およびダイオードD201を含み、抵抗R201とダイオードD202が並列接続された後にコンデンサC201と直列に形成された回路は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201に並列接続され、ダイオードD201は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201に並列接続されていることを特徴とする請求項5に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項7】
前記
マイクロプロセッサ最小制御システムは、SiC高周波駆動回路に絶縁1を介して接続され、前記
マイクロプロセッサ最小制御システムは、切替スイッチ駆動回路に絶縁2を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項8】
前記
マイクロプロセッサ最小制御システムは、SiC高周波駆動回路に絶縁1を介して接続され、すなわち、
マイクロプロセッサ最小制御システムは、規格型式がISO5451の絶縁ドライバチップを介してSiC高周波駆動回路に接続され、絶縁ドライバチップは、駆動給電回路1も接続され、
前記SiC高周波駆動回路は、コンデンサC304、コンデンサC305、ツェナーダイオードZD301、ダイオードD302、ダイオードD303、抵抗R310、抵抗R311、抵抗R312および抵抗R313を含み、絶縁ドライバチップのピンCLAMPは、SiCパワースイッチングトランジスタのゲートに接続され、SiCパワースイッチングトランジスタのゲートは、並列接続された抵抗R313およびコンデンサC305を介して接地され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、抵抗R312を介してSiCパワースイッチングングトランジスタのゲートに接続され、ダイオードD303と抵抗R311は、直列に接続された両端が抵抗R312に並列接続され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、直列の抵抗器R310およびダイオードD302を介してSiCパワースイッチングトランジスタドレインに接続され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、並列のコンデンサC304およびツェナーダイオードZD301を介して接地され、絶縁ドライバチップのピンDESATは、絶縁ドライバチップのピンOUTに接続されることを特徴とする請求項7に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項9】
前記
マイクロプロセッサ最小制御システムが切替スイッチ駆動回路に絶縁2を介して接続されているとは、
マイクロプロセッサ最小制御システムが、切替スイッチ駆動回路に光結合絶縁チップを介して接続されていることであり、前記切替スイッチ駆動回路は、NPNトランジスタQ401と、NPNトランジスタQ402と、NPNトランジスタQ404と、PNPトランジスタQ403と、駆動給電回路2とを含み、
光結合絶縁チップの出力端は、順次に接続された抵抗R402、抵抗R403、ダイオードD402を介してNPNトランジスタQ401のベースに接続され、抵抗R403には、コンデンサC401が並列に接続され、ダイオードD402は、ダイオードD403が逆並列に接続され、抵抗R403とダイオードD402の接続箇所には、ダイオードD401を介してNPNトランジスタQ401のコレクタが接続され、NPNトランジスタQ401のコレクタは、さらに、抵抗R404を介して駆動給電回路2のアノードに接続され、
抵抗R402と抵抗R403の接続箇所は、順次に接続された抵抗R408とダイオードD408を介してNPNトランジスタQ402のベースに接続され、抵抗R408には、コンデンサC403が並列に接続され、ダイオードD408は、ダイオードD409を逆並列に接続し、抵抗R408とダイオードD408の接続箇所は、ダイオードD407を介してNPNトランジスタQ402のコレクタに接続され、NPNトランジスタQ402のコレクタは、さらに、抵抗R409を介して駆動給電回路2のアノードにも接続され、NPNトランジスタQ401のエミッタとNPNトランジスタQ402のエミッタは、それぞれ駆動給電回路2のカソードに接続され、
NPNトランジスタQ401のコレクタは、順次に接続された抵抗R405とダイオードD405を介してPNPトランジスタQ403のベースに接続され、抵抗R405には、コンデンサC402が並列に接続され、ダイオードC405は、ダイオードD404に逆並列接続され、抵抗R405とダイオードD405の接続箇所は、ダイオードD406を介してPNPトランジスタQ403のコレクタに接続され、PNPトランジスタQ403のベースは、抵抗R406を介して駆動給電回路2のアノードに接続され、PNPトランジスタQ403のエミッタは、抵抗R407を介して駆動給電回路2のアノードに接続され、
NPNトランジスタQ402のコレクタは、順次に接続された抵抗R410とダイオードD411を介してNPNトランジスタQ404のベースに接続され、抵抗R410には、コンデンサC404が並列に接続され、ダイオードD411には、ダイオードD412が逆並列に接続され、抵抗R410とダイオードD411の接続箇所には、ダイオードD410を介してNPNトランジスタQ404のコレクタが接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタ電極は、PNPトランジスタQ403のコレクタ電極に接続され、NPNトランジスタQ404のエミッタは、抵抗R411を介して駆動給電回路2のカソードに接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタは、抵抗R412を介して駆動給電回路2のカソードに接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタは、高周波切替モジュールに接続されていることを特徴とする請求項7に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【請求項10】
産業用ロボット、ワイヤ送給装置、溶接ガン、送気装置および治具をさらに含み、前記産業用ロボットおよび前記ワイヤ送給装置は、それぞれ
マイクロプロセッサ最小制御システムに接続され、前記治具は、それぞれ産業用ロボットおよび溶接ガンに接続され、前記高速周波数パルスTIG溶接電源は、さらに送気装置に接続され、前記溶接ガンは、さらに送気装置およびワイヤ送給装置に接続されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の高速周波数パルスTIG溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置の技術分野に関し、より具体的には、高速周波数パルスTIG溶接システムに関する。
【背景技術】
【0002】
溶接分野では、アークが安定し、ゼロスパッタ、溶接品質が高い、溶接可能な金属範囲が広い等の利点から、タングステンアーク溶接(TIG溶接と略称する)が一般的に用いられている。1960年代の中期から始まるパルスTIG溶接技術において、従来の直流アーク溶接に一定の周波数を有するパルス電流が重畳された。ピーク電流は、アークを安定に保ち、母材の溶融を加速して溶融池を形成させ、ベース電流は、熱の入力を制御しながらアークの継続的燃焼を維持し、溶融池を冷却して結晶化させ、両者は、サイクルを交替して、性能の良い溶接部を形成する。フリーアークは高周波パルス電流が加えられることにより、アーク安定性が向上し、周期的に変化する高周波アーク圧力の溶融池に対する攪拌作用により、デンドライトを破壊可能となり、溶接継手の結晶粒微細化を促進できることが、研究で判明した。関連研究者は、高速周波数パルス溶接方法を提案している。高速周波数パルス電流による電磁場がアークを圧縮して電子ビーム溶接に類似した集中アークを形成し、アークエネルギー密度の改善およびアークフラックスの向上を図り、溶接中の入熱量を抑制して熱影響部を低減し、溶接品質を向上させる。
【0003】
そこで、国内外では、高速周波数パルスTIG溶接装置の研究への参入が相次いだ。高速周波数(FAST FREQUENCY)パルスTIG溶接システムでは、溶接電源の品質は、溶接アークの性能と密接に関係し、溶接プロセスに正確にエネルギーを供給するだけでなく、システムの他の装置との協調動作を実現する必要がある。しかしながら、国内の高速周波数パルスTIG溶接装置の産業レベルは、先進国との間には大きな差が存在する。国内の高速周波数パルス溶接電源は、主パワーデバイスとしてSi系IGBTを採用することが一般的であって、Si系パワーデバイスのスイッチング性能は、その材料性能で決まる理論限界に近づき、溶接電源のインバータ周波数、応答速度等、高速周波数パルス波形変調の信頼性に影響するいくつかの重要な指標を、ある程度において制約している。また、高速周波数パルス波形の変調過程で高周波パルス電流の変調が加わるため、溶接電源に強い電磁干渉が発生し、溶接電流が不安定になり、高周波アーク制御効果が低下するなどの問題が生じやすい。このため、高速周波数パルスTIG溶接技術は、国内で広く適用されてはいなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の欠点および不備を克服するために、インバータ周波数が高く、良好な動特性および安定性を有し、パワースイッチングトランジスタの損失を低減でき、20kHz以上の均一な高速周波数パルス電流波形を安定して歪みなく出力できる高速周波数パルスTIG溶接システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は、以下の技術手段によって達成される。
高速周波数パルスTIG溶接電源を含み、前記高速周波数パルスTIG溶接電源が主回路と制御回路とヒューマンコンピュータインタラクションシステムとを含む高速周波数パルスTIG溶接システムにおいて、
前記主回路は、商用周波数整流フィルタモジュール、パルス電流主回路、ベース電流主回路および高周波電流切替回路を含み、前記パルス電流主回路は、順次に接続されたSiCフルブリッジインバータモジュール1、高周波変圧モジュール1およびSiC整流平滑モジュール1を含み、前記ベース電流主回路は、順次に接続されたSiCフルブリッジインバータモジュール2、高周波変圧モジュール2およびSiC整流平滑モジュール2を含み、前記高周波電流切替回路は、順次に接続された高周波切替モジュールと逆灌流防止モジュールとを含み、前記SiCフルブリッジインバータモジュール1は、SiCパワースイッチングトランジスタを含み、
ここで、三相交流入力電源が商用周波数整流フィルタモジュールに接続され、商用周波数整流フィルタモジュールは、SiCフルブリッジインバータモジュール1およびSiCフルブリッジインバータモジュール2にそれぞれ接続され、SiC整流平滑モジュール1は、高周波切替モジュールに接続され、逆灌流防止モジュールは、外部アーク負荷に接続され、SiC整流平滑モジュール2は、外部アーク負荷に接続され、
前記制御回路は、マイクロプロセッサ最小制御システム、それぞれが前記マイクロプロセッサ最小制御システムに接続されたヒューマンコンピュータインタラクション通信モジュール、SiC高周波駆動回路、切替スイッチ駆動回路、出力電圧電流サンプリングフィードバック回路を含み、ここで、SiC高周波駆動回路は、SiCフルブリッジインバータモジュール1とSiCフルブリッジインバータモジュール2とにそれぞれ接続され、切替スイッチ駆動回路は、高周波切替モジュールに接続され、出力電圧電流サンプリングフィードバック回路は、外部アーク負荷、SiC整流平滑モジュール1およびSiC整流平滑モジュール2にそれぞれ接続され、ヒューマンコンピュータインタラクション通信モジュールは、ヒューマンコンピュータインタラクションシステムに接続されることを特徴とする。
【0006】
好ましくは、前記SiCフルブリッジインバータモジュール1は、SiCパワースイッチングトランジスタを含み、すなわち、SiCフルブリッジインバータモジュール1は、SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104を含み、前記高周波変圧モジュール1は、高周波トランス1 T101を含み、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、フルブリッジインバータ回路を構成し、その後、直流阻止コンデンサC109を介して高周波トランス1 T101の一次側に接続され、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、それぞれRC吸収回路1を並列接続し、
前記SiC整流平滑モジュール1は、整流ダイオードVD101、整流ダイオードVD102およびインダクタL101を含み、高周波トランス1 T101の2次側第1出力端子は、順次に接続された整流ダイオードVD101および整流ダイオードVD102を介して高周波トランス1 T101の2次側第3出力端子に接続され、整流ダイオードVD101と整流ダイオードVD102との接続箇所は、インダクタL101の一端に接続され、インダクタL101の他端と高周波トランス1 T101の2次側第2出力端は、それぞれパルス電流主回路の出力端として高周波切替モジュールに接続されている。
【0007】
好ましくは、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、フルブリッジインバータ回路を構成し、その後、直流阻止コンデンサC109を介して高周波変圧モジュール1の1次側に接続され、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、それぞれRC吸収回路1を並列接続し、すなわち、
さらに、コンデンサC101、コンデンサC102、コンデンサC103、コンデンサC104、コンデンサC109、抵抗R101、抵抗R102、抵抗R103および抵抗R104を含み、
SiCパワースイッチングトランジスタM101とSiCパワースイッチングトランジスタM103が直列に接続された後、SiCパワースイッチングトランジスタM102とSiCパワースイッチングトランジスタM104が直列に形成された回路と共に商用周波数整流フィルタ回路に並列接続され、コンデンサC101と抵抗R101は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM101に並列接続され、コンデンサC102と抵抗R102は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM102に並列接続され、コンデンサC103と抵抗R103は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM103に並列接続され、コンデンサC104と抵抗R104は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM104に並列接続され、前記SiCパワースイッチングトランジスタM101とSiCパワースイッチングトランジスタM103との接続箇所は、コンデンサC109と直列に接続されて高周波変圧モジュール1の1次側第1入力端に接続され、前記SiCパワースイッチングトランジスタM102とSiCパワースイッチングトランジスタM104との接続箇所は、高周波変圧モジュール1の1次側第2入力端に接続されている。
【0008】
好ましくは、前記SiCフルブリッジインバータモジュール2の回路構成は、SiCフルブリッジインバータモジュール1と同一であり、高周波変圧モジュール2の回路構成は、高周波変圧モジュール1と同一であり、SiC整流平滑モジュール2の回路構成は、SiC整流平滑モジュール1と同一である。
【0009】
好ましくは、前記高周波切替モジュールは、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202と変調スイッチングトランジスタIGBT Q201とを含み、前記逆灌流防止モジュールは、整流ダイオードVD201を含み、前記変調スイッチングトランジスタIGBT Q201は、前記SiC整流平滑モジュール1に並列接続され、SiC整流平滑モジュール1は、順次に接続された変調スイッチングトランジスタIGBT Q202と整流ダイオードVD201とを介して外部アーク負荷に接続され、前記変調スイッチングトランジスタIGBT Q202は、スパイク電圧吸収モジュール1に並列に接続され、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201は、スパイク電圧吸収モジュール2に並列に接続されている。
【0010】
好ましくは、前記スパイク電圧吸収モジュール1は、コンデンサC202、抵抗R202、ダイオードD204およびダイオードD203を含み、抵抗R202とコンデンサC202とが並列接続された後にダイオードD204と直列に形成された回路は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202に並列接続され、ダイオードD203は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202に並列接続され、
前記スパイク電圧吸収モジュール2は、コンデンサC201、抵抗R201、ダイオードD202およびダイオードD201を含み、抵抗R201とダイオードD202が並列接続された後にコンデンサC201と直列に形成された回路は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201に並列接続され、ダイオードD201は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201に並列に接続されている。
【0011】
好ましくは、前記マイクロプロセッサ最小制御システムは、SiC高周波駆動回路に絶縁1を介して接続され、前記マイクロプロセッサ最小制御システムは、切替スイッチ駆動回路に絶縁2を介して接続されている。
【0012】
好ましくは、前記マイクロプロセッサ最小制御システムは、SiC高周波駆動回路に絶縁1を介して接続され、すなわち、
マイクロプロセッサ最小制御システムは、規格型式がISO5451の絶縁ドライバチップを介してSiC高周波駆動回路に接続され、絶縁ドライバチップは、駆動給電回路1も接続され、
前記SiC高周波駆動回路は、コンデンサC304、コンデンサC305、ツェナーダイオードZD301、ダイオードD302、ダイオードD303、抵抗R310、抵抗R311、抵抗R312および抵抗R313を含み、絶縁ドライバチップのピンCLAMPは、SiCパワースイッチングトランジスタのゲートに接続され、SiCパワースイッチングトランジスタのゲートは、並列接続された抵抗R313およびコンデンサC305を介して接地され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、抵抗R312を介してSiCパワースイッチングングトランジスタのゲートに接続され、ダイオードD303と抵抗R311は、直列に接続された両端が抵抗R312に並列接続され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、直列の抵抗器R310およびダイオードD302を介してSiCパワースイッチングトランジスタのドレインに接続され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、並列のコンデンサC304およびツェナーダイオードZD301を介して接地され、絶縁ドライバチップのピンDESATは、絶縁ドライバチップのピンOUTに接続される。
【0013】
好ましくは、前記マイクロプロセッサ最小制御システムが切替スイッチ駆動回路に絶縁2を介して接続されているとは、マイクロプロセッサ最小制御システムが、切替スイッチ駆動回路に光結合絶縁チップを介して接続されていることであり、前記切替スイッチ駆動回路は、NPNトランジスタQ401と、NPNトランジスタQ402と、NPNトランジスタQ404と、PNPトランジスタQ403と、駆動給電回路2とを含み、
光結合絶縁チップの出力端は、順次に接続された抵抗R402、抵抗R403、ダイオードD402を介してNPNトランジスタQ401のベースに接続され、抵抗R403には、コンデンサC401が並列に接続され、ダイオードD402は、ダイオードD403が逆並列に接続され、抵抗R403とダイオードD402の接続箇所には、ダイオードD401を介してNPNトランジスタQ401のコレクタが接続され、NPNトランジスタQ401のコレクタは、さらに、抵抗R404を介して駆動給電回路2のアノードに接続され、
抵抗R402と抵抗R403の接続箇所は、順次に接続された抵抗R408とダイオードD408を介してNPNトランジスタQ402のベースに接続され、抵抗R408には、コンデンサC403が並列に接続され、ダイオードD408は、ダイオードD409を逆並列に接続し、抵抗R408とダイオードD408の接続箇所は、ダイオードD407を介してNPNトランジスタQ402のコレクタに接続され、NPNトランジスタQ402のコレクタは、さらに、抵抗R409を介して駆動給電回路2のアノードにも接続され、NPNトランジスタQ401のエミッタとNPNトランジスタQ402のエミッタは、それぞれ駆動給電回路2のカソードに接続され、
NPNトランジスタQ401のコレクタは、順次に接続された抵抗R405とダイオードD405を介してPNPトランジスタQ403のベースに接続され、抵抗R405には、コンデンサC402が並列に接続され、ダイオードC405は、ダイオードD404に逆並列接続され、抵抗R405とダイオードD405の接続箇所は、ダイオードD406を介してPNPトランジスタQ403のコレクタに接続され、PNPトランジスタQ403のベースは、抵抗R406を介して駆動給電回路2のアノードに接続され、PNPトランジスタQ403のエミッタは、抵抗R407を介して駆動給電回路2のアノードに接続され、
NPNトランジスタQ402のコレクタは、順次に接続された抵抗R410とダイオードD411を介してNPNトランジスタQ404のベースに接続され、抵抗R410には、コンデンサC404が並列に接続され、ダイオードD411には、ダイオードD412が逆並列に接続され、抵抗R410とダイオードD411の接続箇所には、ダイオードD410を介してNPNトランジスタQ404のコレクタが接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタ電極は、PNPトランジスタQ403のコレクタ電極に接続され、NPNトランジスタQ404のエミッタは、抵抗R411を介して駆動給電回路2のカソードに接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタは、抵抗R412を介して駆動給電回路2のカソードに接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタは、高周波切替モジュールに接続されている。
【0014】
好ましくは、産業用ロボット、ワイヤ送給装置、溶接ガン、送気装置および治具をさらに含み、前記産業用ロボットおよび前記ワイヤ送給装置は、それぞれマイクロプロセッサ最小制御システムに接続され、前記治具は、それぞれ産業用ロボットおよび溶接ガンに接続され、前記高速周波数パルスTIG溶接電源は、さらに送気装置に接続され、前記溶接ガンは、さらに送気装置およびワイヤ送給装置に接続されている。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比較して、本発明は、以下の利点や効果を有する。
1、従来のパルスTIG溶接システムと比較して、本発明の高速周波数パルスTIG溶接電源のパワースイッチングデバイスは、新しいSiCパワースイッチングトランジスタを採用し、インバータ周波数は100kHz以上と高く、現在一般的に使用されているIGBTと比較して10倍近く高く、全体的なサイズが大幅に低減されるだけでなく、良好な動的応答速度を有する。高周波アーク制御効果を高めるのに有利であり、20kHzの高速周波数パルス電流波形を安定して出力し、溶接中の波形が歪みなく安定する。
2、本発明において、高速周波数パルスTIG溶接電源は、極めて高いエネルギー効率を有する。SiCパワースイッチングングトランジスタ自体の優れた性能により、スイッチング損失および導通損失が小さく、TIG溶接電源のエネルギー効率が大きく改善される。
3、本発明において、高周波電流切替回路は、高周波パルス電流の変調過程で発生するスパイク過電圧を効果的に吸収しながら、高速周波数パルス電流の基本波形を破壊することがなく、構造が簡単で、低コストで、信頼性が高い。
4、本発明のサンプリング絶縁方式は、ARM最小制御システムとSiC高周波駆動回路、およびARM最小制御システムと切替スイッチ駆動回路が接続される。スイッチングトランジスタを効率的に駆動しながらスイッチングトランジスタの破損を防止することができる保護機能を有する。SiCパワースイッチングトランジスタの駆動中に過渡電圧および過渡電流が高くなり過ぎて電磁干渉が発生する問題を抑制し、電圧スパイクの発生による誤作動を防止して良好な駆動効果を有する。
5、本発明の高速周波数パルスTIG溶接システムは、高周波インバータやデジタル自動制御などの技術を取り入れ、システムの集積度を高め、より精密な制御を可能にするために、CANバスを介してシステムの各部を協調動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る高速周波数パルスTIG溶接システムのブロック図である。
【
図2】本発明に係る高速周波数パルスTIG溶接システムの高速周波数パルスTIG溶接電源の構造図である。
【
図3】本発明に係る高速周波数パルスTIG溶接システムの高速周波数パルスTIG溶接電源の主回路の回路図である。
【
図4】本発明に係る高速周波数パルスTIG溶接システムの高速周波数パルスTIG溶接電源のSiC高周波駆動回路の回路図である。
【
図5】本発明に係る高速周波数パルスTIG溶接システムの高速周波数パルスTIG溶接電源の切替スイッチ駆動回路の回路図である。
【
図6】本発明に係る高速周波数パルスTIG溶接システムの高速周波数パルスTIG溶接電源の出力電圧電流サンプリングフィードバック回路の回路図である。
【
図7】本発明に係る高速周波数パルスTIG溶接システムのワイヤ送給装置の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面および具体的な実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
本実施例に係る高速周波数パルスTIG溶接システムは、その構造上、
図1~
図7に示すように、高速周波数パルスTIG溶接電源を備え、さらに、産業用ロボット、ワイヤ送給装置、溶接ガン、送気装置および治具を含む。産業用ロボットおよびワイヤ送給装置は、それぞれ、ARM最小制御システムに接続されている。治具は、それぞれ、産業用ロボットおよび溶接ガンに接続されている。高速周波数パルスTIG溶接電源は、送気装置にも接続されている。溶接ガンは、送気装置とワイヤ送給装置とにそれぞれ接続されている。
【0019】
産業用ロボットは、溶接ガンを把持して所定の経路で溶接作業を行うアクチュエータとして機能する。ワイヤ送給装置は、ワイヤ送給速度の精密な無段階調節、およびワイヤ送給方式の多様化を可能にし、溶接工程およびパラメータに完全に適合するワイヤ送給を保証する。送気装置は、雰囲気ガスを供給するためのものである。治具は、溶接ワークの固定と変位、溶接ガンと産業用ロボットの連結等の機能を果たす。
【0020】
高速周波数パルスTIG溶接電源は、主回路、制御回路、およびヒューマンコンピュータインタラクションシステムを含む。
【0021】
主回路は、商用周波数整流フィルタモジュール、パルス電流主回路、ベース電流主回路および高周波電流切替回路を含む。パルス電流主回路およびベース電流主回路は、主としてアークにエネルギーを供給するために使用され、高周波電流切替回路は、高周波電流を変調するために使用され、制御回路は、SiCパワースイッチングングトランジスタおよび変調スイッチングトランジスタIGBT駆動信号の発生、サンプリング電流の閉ループ調整、故障保護、システムの他の部分との協調通信、およびヒューマンコンピュータインタラクションなどの機能を実現するために使用される。
【0022】
パルス電流主回路は、順次に接続されたSiCフルブリッジインバータモジュール1、高周波変圧モジュール1およびSiC整流平滑モジュール1を含む。ベース電流主回路は、順次に接続されたSiCフルブリッジインバータモジュール2、高周波変圧モジュール2およびSiC整流平滑モジュール2を含む。高周波電流切替回路は、順次に接続された高周波切替モジュールと逆灌流防止モジュールとを含む。SiCフルブリッジインバータモジュール1は、SiCパワースイッチングトランジスタを含む。高周波切替モジュールは、IGBTスイッチングトランジスタを含む。
ここで、三相交流入力電源が商用周波数整流フィルタモジュールに接続され、商用周波数整流フィルタモジュールは、SiCフルブリッジインバータモジュール1およびSiCフルブリッジインバータモジュール2にそれぞれ接続され、SiC整流平滑モジュール1は、高周波切替モジュールに接続され、逆灌流防止モジュールは、外部アーク負荷に接続され、SiC整流平滑モジュール2は、外部アーク負荷に接続される。制御回路は、ARM最小制御システム、それぞれがARM最小制御システムに接続されたヒューマンコンピュータインタラクション通信モジュール、SiC高周波駆動回路、切替スイッチ駆動回路、出力電圧電流サンプリングフィードバック回路を含む。ここで、SiC高周波駆動回路は、SiCフルブリッジインバータモジュール1とSiCフルブリッジインバータモジュール2とにそれぞれ接続され、切替スイッチ駆動回路は、高周波切替モジュールに接続され、出力電圧電流サンプリングフィードバック回路は、外部アーク負荷、SiC整流平滑モジュール1およびSiC整流平滑モジュール2にそれぞれ接続され、ヒューマンコンピュータインタラクション通信モジュールは、ヒューマンコンピュータインタラクションシステムに接続される。
【0023】
ARM最小制御システムは、32ビットの高速ARMマイクロプロセッサを使用し、3組のフルデジタルPWM制御信号を生成し、それぞれパルス電流主回路、ベース電流主回路および高周波電流切替回路に作用させる。ARM最小制御システムのUART通信インタフェース回路は、ヒューマンコンピュータインタラクションシステムに接続され、ARM最小制御システムのCAN通信インタフェース回路は、CANバスに接続され、システム各部相互間の連携動作が行われる。リレーモジュールは、主に、バルブの開閉に用いられる。
【0024】
SiCフルブリッジインバータモジュール1は、SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104を含む。前記高周波変圧モジュール1は、高周波トランス1 T101を含む。前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、フルブリッジインバータ回路を構成し、その後、直流阻止コンデンサC109を介して高周波トランス1 T101の一次側に接続される。前記SiCパワースイッチングトランジスタM101、SiCパワースイッチングトランジスタM102、SiCパワースイッチングトランジスタM103およびSiCパワースイッチングトランジスタM104は、それぞれRC吸収回路1を並列接続する。前記SiC整流平滑モジュール1は、整流ダイオードVD101、整流ダイオードVD102およびインダクタL101を含む。高周波トランス1 T101の2次側第1出力端子は、順次に接続された整流ダイオードVD101および整流ダイオードVD102を介して高周波トランス1 T101の2次側第3出力端子に接続され、整流ダイオードVD101と整流ダイオードVD102との接続箇所は、インダクタL101の一端に接続され、インダクタL101の他端と高周波トランス1 T101の2次側第2出力端は、それぞれパルス電流主回路の出力端として高周波切替モジュールに接続されている。具体的には、さらに、コンデンサC101、コンデンサC102、コンデンサC103、コンデンサC104、コンデンサC109、抵抗R101、抵抗R102、抵抗R103および抵抗R104を含む。SiCパワースイッチングトランジスタM101とSiCパワースイッチングトランジスタM103が直列に接続された後、SiCパワースイッチングトランジスタM102とSiCパワースイッチングトランジスタM104が直列に形成された回路と共に商用周波数整流フィルタ回路に並列接続される。コンデンサC101と抵抗R101は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM101に並列接続される。コンデンサC102と抵抗R102は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM102に並列接続される。コンデンサC103と抵抗R103は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM103に並列接続される。コンデンサC104と抵抗R104は、直列に接続された両端がSiCパワースイッチングトランジスタM104に並列接続される。前記SiCパワースイッチングトランジスタM101とSiCパワースイッチングトランジスタM103との接続箇所は、コンデンサC109と直列に接続されて高周波変圧モジュール1の1次側第1入力端に接続される。前記SiCパワースイッチングトランジスタM102とSiCパワースイッチングトランジスタM104との接続箇所は、高周波変圧モジュール1の1次側第2入力端に接続されている。
【0025】
ベース電流主回路において、SiCフルブリッジインバータモジュール2の回路構成は、SiCフルブリッジインバータモジュール1と同一であり、高周波変圧モジュール2の回路構成は、高周波変圧モジュール1と同一であり、SiC整流平滑モジュール2の回路構成は、SiC整流平滑モジュール1と同一である。ベース電流主回路の構成および原理は、パルス電流主回路と同一である。SiCフルブリッジインバータモジュール1を駆動するためのSiC高周波駆動回路とSiCフルブリッジインバータモジュール2を駆動するためのSiC高周波駆動回路は、出力駆動波形とタイミングが異なるだけで、同じ構成である。駆動波形やタイミングは、従来方式を採用できる。
【0026】
主回路の動作原理は、以下である。交流入力電源を商用周波数整流フィルタモジュールに投入することにより平滑な直流電力に変換し、直流電力は、パルス電流主回路のSiCフルブリッジインバータモジュール1を経由し、2つの相補的でデッドゾーンのあるPWM信号は、対角の2つのSiCパワースイッチングトランジスタが同時に高周波的にオンまたはオフとなるように制御し、直流電力を高周波交流電力に変換する。高周波変圧モジュールにより電気的絶縁、変圧、電力伝達を行い、SiC整流平滑モジュール2により低電圧平滑の直流電力に変換して高周波切替モジュールに入力し、2つの相補的なデッドゾーンのないPWM信号は、2つの変調用スイッチングトランジスタIGBTを20kHzの周波数で交互にオンオフ制御するものであり、直流電力を高周波電流に変換し、逆灌流防止モジュールを経由して、ベース電流主回路が出力するベース直流電流に重畳し、重畳して発生する高速周波数パルス電流を外部アーク負荷に出力する。
【0027】
高周波切替モジュールは、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202と変調スイッチングトランジスタIGBT Q201とを含み、前記逆灌流防止モジュールは、整流ダイオードVD201を含み、前記変調スイッチングトランジスタIGBT Q201は、前記SiC整流平滑モジュール1に並列に接続され、SiC整流平滑モジュール1は、順次に接続された変調スイッチングトランジスタIGBT Q202と整流ダイオードVD201とを介して外部アーク負荷に接続され、前記変調スイッチングトランジスタIGBT Q202は、スパイク電圧吸収モジュール1に並列に接続され、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201は、スパイク電圧吸収モジュール2に並列に接続されている。
【0028】
スパイク電圧吸収モジュール1は、コンデンサC202、抵抗R202、ダイオードD204およびダイオードD203を含み、抵抗R202とコンデンサC202とが並列接続された後にダイオードD204と直列に形成された回路は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202に並列接続され、ダイオードD203は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q202に並列接続される。前記スパイク電圧吸収モジュール2は、コンデンサC201、抵抗R201、ダイオードD202およびダイオードD201を含み、抵抗R201とダイオードD202が並列接続された後にコンデンサC201と直列に形成された回路は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201に並列接続され、ダイオードD201は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201に並列接続されている。
【0029】
高周波電流切替回路において、パルス電流主回路から出力された低電圧の直流電力は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201と変調スイッチングトランジスタIGBT Q202からなる高周波切替モジュールに入力され、2つの相補的でデッドゾーンのないPWM信号は、変調スイッチングトランジスタIGBT Q201と変調スイッチングトランジスタIGBT Q202を制御して20kHz以上の周波数で交互にオンオフし、直流電力を高周波電流に変換し、逆灌流防止モジュールを経由して、ベース電流主回路から出力された低電圧の直流電力に重畳され、重畳されて発生した高速周波数パルス電流を外部アーク負荷に出力する。スパイク電圧吸収モジュール1およびスパイク電圧吸収モジュール2は、高周波電流を変調する過程で発生するスパイク電圧を吸収する。整流ダイオードVD201は、高周波電流切替回路の内部抵抗により、ベース電流主回路から出力された直流電流がパルス電流主回路に逆流することを防止し、正確な電源出力制御に影響を与えることを防止する。
【0030】
ARM最小制御システムは、SiC高周波駆動回路に絶縁1を介して接続され、具体的には、ARM最小制御システムは、規格型式がISO5451の絶縁ドライバチップを介してSiC高周波駆動回路に接続され、絶縁ドライバチップは、駆動電力供給回路1も接続されている。SiC高周波駆動回路は、コンデンサC304、コンデンサC305、ツェナーダイオードZD301、ダイオードD302、ダイオードD303、抵抗R310、抵抗R311、抵抗R312および抵抗R313を含む。絶縁ドライバチップのピンCLAMPは、SiCパワースイッチングトランジスタのゲートに接続され、SiCパワースイッチングトランジスタのゲートは、並列接続された抵抗R313およびコンデンサC305を介して接地され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、抵抗R312を介してSiCパワースイッチングトランジスタのゲートに接続され、ダイオードD303と抵抗R311は、直列に接続された両端が抵抗R312に並列接続され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、直列の抵抗器R310およびダイオードD302を介してSiCパワースイッチングトランジスタのドレインに接続され、絶縁ドライバチップのピンOUTは、並列のコンデンサC304およびツェナーダイオードZD301を介して接地され、絶縁ドライバチップのピンDESATは、絶縁ドライバチップのピンOUTに接続される。
【0031】
ARM最小制御システムは、切替スイッチ駆動回路に絶縁2を介して接続されている。具体的には、ARM最小制御システムは、切替スイッチ駆動回路に光結合絶縁チップを介して接続されている。前記切替スイッチ駆動回路は、NPNトランジスタQ401と、NPNトランジスタQ402と、NPNトランジスタQ404と、PNPトランジスタQ403と、駆動給電回路2とを含む。光結合絶縁チップの出力端は、順次に接続された抵抗R402、抵抗R403、ダイオードD402を介してNPNトランジスタQ401のベースに接続され、抵抗R403には、コンデンサC401が並列に接続され、ダイオードD402は、ダイオードD403が逆並列に接続され、抵抗R403とダイオードD402の接続箇所には、ダイオードD401を介してNPNトランジスタQ401のコレクタが接続され、NPNトランジスタQ401のコレクタは、さらに、抵抗R404を介して駆動給電回路2のアノードに接続される。抵抗R402と抵抗R403の接続箇所は、順次に接続された抵抗R408とダイオードD408を介してNPNトランジスタQ402のベースに接続され、抵抗R408には、コンデンサC403が並列に接続され、ダイオードD408は、ダイオードD409を逆並列に接続し、抵抗R408とダイオードD408の接続箇所は、ダイオードD407を介してNPNトランジスタQ402のコレクタに接続され、NPNトランジスタQ402のコレクタは、さらに、抵抗R409を介して駆動給電回路2のアノードにも接続され、NPNトランジスタQ401のエミッタとNPNトランジスタQ402のエミッタは、それぞれ駆動給電回路2のカソードに接続される。NPNトランジスタQ401のコレクタは、順次に接続された抵抗R405とダイオードD405を介してPNPトランジスタQ403のベースに接続され、抵抗R405には、コンデンサC402が並列に接続され、ダイオードC405は、ダイオードD404に逆並列接続され、抵抗R405とダイオードD405の接続箇所は、ダイオードD406を介してPNPトランジスタQ403のコレクタに接続され、PNPトランジスタQ403のベースは、抵抗R406を介して駆動給電回路2のアノードに接続され、PNPトランジスタQ403のエミッタは、抵抗R407を介して駆動給電回路2のアノードに接続される。NPNトランジスタQ402のコレクタは、順次に接続された抵抗R410とダイオードD411を介してNPNトランジスタQ404のベースに接続され、抵抗R410には、コンデンサC404が並列に接続され、ダイオードD411には、ダイオードD412が逆並列に接続され、抵抗R410とダイオードD411の接続箇所には、ダイオードD410を介してNPNトランジスタQ404のコレクタが接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタ電極は、PNPトランジスタQ403のコレクタ電極に接続され、NPNトランジスタQ404のエミッタは、抵抗R411を介して駆動給電回路2のカソードに接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタは、抵抗R412を介して駆動給電回路2のカソードに接続され、NPNトランジスタQ404のコレクタは、高周波切替モジュールに接続されている。
【0032】
制御システムと変調スイッチングトランジスタ駆動回路との間で光結合絶縁駆動が採用され、光結合は、IGBTまたはMOSFET専用の高速光結合HCPL~3120を採用し、スイッチング遅延時間は、約0.3usであり、駆動設計要件を満たすのに十分な、小さな体積、高いスイッチング速度、および強い耐衝撃性を有する。変調スイッチングトランジスタ駆動回路は、2つの相補的でデッドゾーンのない駆動電気信号を生成するので、2つの変調IGBTスイッチングトランジスタのゲート駆動回路構成は、同一であり、一方を遮断し、光結合を絶縁してから2つのMOSFETからなるハーフブリッジトポロジーに接続し、最終的に変調IGBTスイッチングトランジスタを駆動するために+15V/-7Vの電圧を出力する。この構成は、小型でスイッチング速度が速く、衝撃に強いという利点を有し、駆動設計の要求を満たすという利点を有する。
【0033】
出力電圧電流サンプリングフィードバック回路は、パルス電流主回路およびベース電流主回路の出力電圧電流をそれぞれ収集する。
図5に示すように、出力電圧電流サンプリングフィードバック回路は、HAS200-P型の200A電流ホールセンサと、AD629型の差動増幅器とその周辺回路からなる集積差動増幅回路と、OP177型のチップとその周辺回路からなるローパスフィルタ回路とを含む。前記電流ホールセンサ、集積差動増幅回路、ローパスフィルタ回路は、順次接続されている。
【0034】
電流ホールセンサで変換された測定電圧値は、抵抗R501と抵抗R502で分圧され、オフセットが小さく、ゲイン誤差ドリフトが小さく、コモンモード除去比が高い差動増幅器AD629をU501とした場合、増幅率1の集積差動増幅回路に接続される必要がある。KRCアクティブローパスフィルタによるフィルタリングをさらに行い、U502が高精度で低ゼロシフトのオペアンプOP177であり、U502が外部抵抗容量R503、R504、C505、C506と数値整合している、通過帯域内でより平坦なバターワースフィルタをモデルとして採用した。
【0035】
パルス電流主回路およびベース電流主回路において、SiCパワースイッチングトランジスタは、所定のタイミングで急速にオン/オフし、高周波直流交流遷移を実現する。高周波切替モジュールの2つの変調スイッチングIGBTは、20kHz以上の周波数で交互にスイッチングし、高周波パルス電流の変調2並列のパルス電流主回路およびベース電流主回路の出力電圧電流サンプルフィードバック独立制御を可能にする。パルス電流主回路とベース電流主回路の出力端に出力電流電圧をそれぞれ採取し、信号調整を行い、予め設定した値と比較した後、SiCパワースイッチングトランジスタのオン、オフ時間を変化させることでデューティ調整を行い、所望の波形出力を得ることで閉ループ制御を完了する。
【0036】
ワイヤ送給装置は、モータ、クランプホイール、固定ブラケットおよびワイヤ送給制御システムを含む。ワイヤ送給制御システムは、給電モジュール、ARMマイクロプロセッサ、モータハーフブリッジ駆動回路、電圧サンプリングフィードバック回路およびデジタル制御パネルを含む。ハーフブリッジ駆動回路は、従来技術を採用することができ、例えば、中国発明「スマートアーク溶接ロボットの潜水送給機」(公開番号:103706927B)に詳細に開示されているワイヤ送給駆動回路を採用することができる。前記ハーフブリッジ駆動回路は、主に、2つのNチャネル型電界効果トランジスタQ1および電界効果トランジスタQ2からなるハーフブリッジ回路と、ドライバチップIR2110と、フォトカプラPC817と、リレーK1と、定電圧チップL7815と、その他の周辺回路とが接続されて構成されている。ドライバチップはIR2110タイプのものを使用し、モータの正転、逆転の切り替えは、リレーK1とフォトカプラPC817で構成される転流回路で実現する。このうち、モータ両端は、コネクタP1に接続され、2つの相補的にデッドゾーンのあるPWM信号は、それぞれドライバチップIR2110に入力される。Inversion転流端は、ハイレベルに保持され、継電器は、正転端に保持され、PWMHがハイレベル、PWMLがローレベルのとき、コンデンサC2とC3、ダイオードD1からなるブートストラップ回路の作用により、このとき電界効果トランジスタQ1は、確実にオンし、電界効果トランジスタQ2は、オフし、モータ正負両端は、24Vに短絡され、急停止状態にある。PWMHがローレベルでPWLがハイレベルのとき、電界効果トランジスタQ2がオン、電界効果トランジスタQ1がオフとなり、このときモータ両端電圧は、+24Vとなり、モータは、正転状態となる。Inversion転流端がローレベルに保持されると、フォトカプラPC817のトランジスタがオン、リレーが反転端に保持され、PWMHがハイレベル、PWMLがローレベルに保持されると、電界効果トランジスタQ1がオン、電界効果トランジスタQ2がオフになり、このときモータ両端電圧は、+24Vとなり、モータは、反転状態になる。PWMLがハイレベル、PWMHがローレベルのとき、モータの正負両端は、24Vに短絡され、急停止状態となる。従って、Inversion転流端のハイレベル、ローレベルを制御することにより、脈動ワイヤの送給が可能となり、PWMHとPWMLのデューティ比を制御することにより、ワイヤ送給速度を制御することができ、これらが相俟って、定速ワイヤ送給、変速ワイヤ送給、脈動ワイヤ送給の3種のワイヤ送給モードを容易に実現することができる。
【0037】
電圧サンプリングフィードバック回路は、従来技術、例えば中国発明「スマートアーク溶接ロボットの潜水送給機」(公開番号:103706927B)に詳細に開示されているワイヤ送給速度検出回路を採用することができる。前記電圧サンプリングフィードバック回路のコネクタP3は、モータの正負両端に接続され、モータ両端電圧は、抵抗分圧、差動増幅、直線フォトネッティング絶縁を経て、さらに分圧されて制御チップSTM32F405RGに入力され、さらにA/D変換されて電圧設定値と比較され、PWM信号のデューティ比を調整してモータの運転速度を調節する目的を達成する。ここで、抵抗R6、抵抗R7と抵抗R8、抵抗R9は、それぞれ2つの入力電圧の分圧回路を構成し、電圧を演算増幅器LF353の入力電圧に適したものに等比例に下げる。インダクタL5、インダクタL6、コンデンサC10は、入力側のLCフィルタ回路を構成している。オペアンプU4は、差動増幅回路を構成し、降圧されたモータ両端の電圧を一旦2倍に増幅してから、両者の差分を求めて出力することで、入力された差動信号を片側電圧信号に変換して出力する。ダイオードD6、ダイオードD7とダイオードD8、ダイオードD9は、それぞれオペアンプU4の両入力端の保護ダイオードであり、入力端電圧の絶対値が15Vよりも高い場合に一方のダイオードが導通してオペアンプを有効に保護する。また、線形フォトカプラU6が電流駆動型のフォトカプラであるため、電流分だけ分離されているので、オペアンプU5と抵抗R17は、オペアンプ入力端子の電圧を線形フォトカプラHCNR201のLED駆動電流に変換する電圧電流変換回路を構成し、オペアンプU5と抵抗R16、コンデンサC11、ダイオードD10は、LEDの非線形性や温度ドリフトを補償するための線形フォトカプラU6の閉ループのフィードバック回路を構成し、コンデンサC11は、高周波ノイズ信号を除去する役割も果たす。オペアンプU7と抵抗R22,抵抗R18は、電流-電圧変換回路を構成し、線形フォトカプラU6の出力電流を電圧に変換し、抵抗R22の抵抗値を適切な値に調整することで、オペアンプU4の片側の出力電圧と等しい電圧値が得られ、抵抗R18の更なる降圧により、オペアンプU7の出力電圧を制御チップSTM32F405RGの適切な入力電圧に降下させる。ここで、ダイオードD11、ダイオードD12は、入力端子保護回路を構成し、Feedback端子の電圧が3.3Vより高くなることを防止する。
【0038】
ARMマイクロプロセッサは、駆動回路の増幅絶縁を経て、モータのハーフブリッジ駆動回路内のパワースイッチングトランジスタを駆動して、モータの動作を実現するための一組のPWM信号を生成する。モータの回転速度は、電機子電圧制御法を用いて調節され、電圧サンプリングフィードバック回路により電機子電圧をサンプリングしてARMマイクロプロセッサにフィードバックし、ARMマイクロプロセッサのADCモジュールは、供給された信号をアナログデジタル変換した後、所定の数値と比較してPI調節し、さらに、パルス幅に応じた駆動信号を出力することにより、電機子電圧の閉ループ調節を実現し、ワイヤ送給速度の精密な無段階調節を実現する。前記ワイヤ送給装置は、CANを介してシステムの他の装置に接続され、ワイヤ送給装置の動作パラメータは、高速周波数パルスTIG溶接電源によって設定することができる。
【0039】
産業用ロボット、溶接ガン、送気装置、治具は、従来技術を用いることができる。
【0040】
本発明に係る高速周波数パルスTIG溶接システムの動作原理は、まず溶接経路計画を行い、産業用ロボットの移動経路を設定した後、溶接開始点まで走行し、高速周波数パルスTIG溶接電源の同期信号を待つ。ヒューマンコンピュータインタラクションシステムにより溶接パラメータを設定して高速周波数パルスTIG溶接電源に入力する。高速周波数パルスTIG溶接電源が送気装置を起動制御すると、高速周波数パルスTIG溶接電源の主回路がまず動作し、高周波高電圧アーク回路により溶接ガンのタングステン極とノズルとの間のエアギャップを破壊して溶接ワークとタングステン極との間にアークを形成する。アーク移行に成功した後、高速周波数パルスTIG溶接電源が産業用ロボットに歩行信号を出力し、溶接ガンが所定の経路および速度で走行する。産業用ロボット、ヒューマンコンピュータインタラクションシステム、高速周波数パルスTIG溶接電源、ワイヤ送給装置がすべてCANネットワークを介して高速デジタル協調を行うことによって、溶接プロセス全体にわたって、各構成が有機的で高速な協調を可能にすることが保証され、高速周波数パルスTIG溶接プロセスの自動化とインテリジェント化のレベルが向上する。
【0041】
上記実施例は、本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は、上記実施例の限定を受けず、それ以外の本発明の精神や原理を逸脱せずに行った変更、修飾、代替、組み合わせ、簡単化は、いずれも均等置換方式であり、全て本発明の保護範囲に含まれる。