(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】空気流量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/684 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
G01F1/684 A
(21)【出願番号】P 2022505781
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048699
(87)【国際公開番号】W WO2021181827
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020040656
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファティン ファハナー ビンティ ハリダン
(72)【発明者】
【氏名】阿部 博幸
(72)【発明者】
【氏名】余語 孝之
(72)【発明者】
【氏名】八文字 望
(72)【発明者】
【氏名】伊集院 瑞紀
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5743871(JP,B2)
【文献】特許第6043833(JP,B2)
【文献】特許第6134840(JP,B2)
【文献】特許第6215502(JP,B2)
【文献】特許第6458104(JP,B2)
【文献】特開2020-3440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/684
--------------------------------
本件出願に対応する国際特許出願PCT/JP2020/048699
の調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームと、
該リードフレームに実装され、検出部を有する空気流量測定素子と、
少なくとも前記検出部が露出するように、前記リードフレームと前記空気流量測定素子とを封止する封止樹脂部材と、を有する樹脂封止パッケージを備える空気流量測定装置において、
前記空気流量測定素子の前記封止樹脂部材から露出する露出部の曲率半径ρが2.13以下である空気流量測定装置。
【請求項2】
前記封止樹脂部材の硬化収縮率βは、0.18%以上である請求項1に記載の空気流量測定装置。
【請求項3】
前記封止樹脂部材は、一対の通路壁と前記検出部が露出する底壁とを有する凹溝状の通路を有しており、
前記樹脂封止パッケージの前記通路を形成する前記一対の通路壁が前記空気流量測定素子の両側の縁を覆っている請求項1又は2に記載の空気流量測定装置。
【請求項4】
前記封止樹脂部材の前記リードフレームよりも
センサ素子側の最大厚みh3は、前記封止樹脂部材の前記リードフレームよりも裏面側の最大厚みh1の2倍以上である請求項3に記載の空気流量測定装置。
【請求項5】
前記リードフレームは、前記検出部を前記空気流量測定素子の表面に垂直な方向で前記リードフレームに投影した領域に孔が形成されており、
前記リードフレームの裏面側に前記孔を覆うようにテープが張り付けられている請求項4に記載の空気流量測定装置。
【請求項6】
前記テープの一部が露出するように前記封止樹脂部材は開口部を有している請求項5に記載の空気流量測定装置。
【請求項7】
前記開口部は、前記リードフレームから離れるほど開口径が大きくなる円錐台形状である請求項6に記載の空気流量測定装置。
【請求項8】
前記通路壁は、前記検出部に近づくにつれて前記通路の開口面積が徐々に狭まる絞り形状を備える請求項3から請求項7の何れか一項に記載の空気流量測定装置。
【請求項9】
空気流量測定素子と該空気流量測定素子が実装されたリードフレームとを金型にセットし、封止樹脂部材のモールド樹脂を金型に流し込み熱硬化させることで樹脂封止パッケージを製造する方法であって、
前記封止樹脂部材の硬化収縮率βが0.18%以上となるように樹脂封止することを特徴とする樹脂封止パッケージの製造方法。
【請求項10】
前記空気流量測定素子の前記封止樹脂部材から露出している露出部の曲率半径ρが2.13以下となるように樹脂封止することを特徴とする請求項9に記載の樹脂封止パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の内燃機関に吸入される空気の流量を測定する空気流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような空気流量測定装置として、例えば特許文献1に記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の空気流量測定装置では、空気流量測定素子と空気流量測定素子が実装されているリードフレームとの線膨張係数が異なっているので、合成樹脂で空気流量測定素子およびリードフレームを封止して樹脂封止パッケージを形成する際に、薄膜部である薄膜部に対して合成樹脂の熱収縮による応力が作用し、薄膜部が空洞部から突出する方向に反ってしまう可能性があるという問題があった。薄膜部に反りが発生すると、空気の流量を精度よく測定することが困難という課題があった。
【0005】
一方で、薄膜部の反りを緩和するために、空気流量測定素子とリードフレームとの間に空気流測定素子と線膨張係数が近いガラスプレートやシリコンプレートなどの中間部材を設けた場合、部品点数および組立工数の増加により、空気流量測定装置のコストが増大してしまうとともに、中間部材分の厚みが増大してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、空気流測定素子をリードフレームに実装し、空気流量測定素子およびリードフレームを封止する樹脂封止パッケージを形成する場合に、薄膜部に反りが発生するのを抑制して空気の流量を精確に測定することができる空気流量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気流量測定装置は、リードフレームと、該リードフレームに実装され、検出部を有する空気流量測定素子と、少なくとも前記検出部が露出するように、前記リードフレームと前記空気流量測定素子とを封止する封止樹脂部材と、を有する樹脂封止パッケージを備える空気流量測定装置において、前記空気流量測定素子の前記封止樹脂部材から露出する露出部の曲率半径ρが2.13以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、空気流測定素子をリードフレームに実装し空気流量測定素子およびリードフレームを封止する樹脂封止パッケージを形成する場合に、薄膜部に反りが発生するのを抑制して空気の流量を精確に測定することができる空気流量測定装置を提供することができる。
【0009】
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】空気流量測定装置が使用される内燃機関の構成図。
【
図2】空気流量測定装置の構成を説明する図であり、
図2(a)は、上面図、
図2(b)および
図2(
d)は、側面図、
図2(c)は、正面図。
【
図4】樹脂封止パッケージの構成を説明する図であり、
図4(a)は、斜視図、
図4(b)は、
図4(a)のA-A断面を示す断面図。
【
図5】樹脂封止パッケージの断面の一部を拡大した拡大断面図。
【
図6】パッケージの曲げ応力のメカニズムを説明する説明図であり、
図6(a)は、薄膜部が凸状態の素子の断面図を示し、
図6(b)は、薄膜部が凹状態の素子の断面図、
図6(c)は、メカニズムを説明するための計算式の各記号を示す表。
【
図7】モールド樹脂の熱収縮により素子およびリードフレームに作用する力を説明する図。
【
図8】薄膜部の反り量を説明する図であり、
図8(a)は、樹脂封止パッケージの断面を模式的に示す図、
図8(b)は、樹脂封止パッケージの斜視図、
図8(c)は、薄膜部の断面を模式的に示す図、
図8(d)は、素子の縦方向および横方向の測定を説明する説明図。
【
図9】素子の縦方向と横方向の薄膜部の反り量を表すグラフと、横方向の反り量と距離との関係を表すグラフおよび縦方向の反り量と距離との関係を表すグラフをそれぞれ示す図。
【
図10】樹脂の硬化収縮率と反り量との関係を示すグラフであり、
図10(a)は、樹脂の硬化収縮率と薄膜部の反り量との関係を示す図、
図10(b)は、樹脂の硬化収縮率とパッケージの反り量および薄膜部の反り量との関係を示す図。
【
図11】樹脂封止パッケージの硬化収縮率に応じた反り量を説明する説明図であり、
図11(a)は、硬化収縮率が0.09%の場合を示す図、
図11(b)は、硬化収縮率が0.3%の場合を示す図。
【
図12】樹脂封止パッケージの各項目と記号、および各項目に対する薄膜部の異なる複数の厚みを説明する説明図。
【
図13】樹脂の硬化収縮率と薄膜部の反り量との関係、曲率と薄膜部の反り量との関係、曲率半径と薄膜部の反り量との関係、上型樹脂と下側樹脂との比率と薄膜部反り量との関係をそれぞれ表すグラフ。
【
図14】素子の曲率半径と薄膜部の反り量を説明する説明図。
【0011】
以下に説明する、発明を実施するための形態(以下、実施形態)は、実際の製品として要望されている種々の課題を解決しており、特に空気の流量を測定する空気流量測定装置として使用するために望ましい色々な課題を解決し、種々の効果を奏している。下記実施形態が解決している色々な課題の内の一つが、上述した発明が解決しようとする課題の欄に記載した内容であり、また下記実施形態が奏する種々の効果のうちの1つが、発明の効果の欄に記載された効果である。下記実施形態が解決している色々な課題について、さらに下記実施形態により奏される種々の効果について、下記実施形態の説明の中で述べる。したがって、下記実施形態の中で述べる、実施形態が解決している課題や効果は、発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄の内容以外の内容についても記載されている。
【0012】
以下の実施形態で、同一の参照符号は、図番が異なっていても同一の構成を示しており、同じ作用効果を成す。既に説明済みの構成について、図に参照符号のみを付し、説明を省略する場合がある。
【0013】
本発明に係る空気流量測定装置を電子燃料噴射方式の内燃機関制御システム1に適用した実施形態に係る空気流量測定装置20について図面を参照して説明する。内燃機関制御システム1は、
図1に示すように、エンジンシリンダ11とエンジンピストン12を備える内燃機関10の動作に基づき、吸入空気2がエアクリーナ21から吸入され、主通路22aを有する吸気ボディ22と、スロットルボディ23と、吸気マニホールド24を介してエンジンシリンダ11の燃焼室に導かれる。燃焼室に導かれる吸入空気2の流量は、本発明に係る空気流量測定装置20で検出され、その検出された流量に基づいて燃料噴射弁14より燃料が供給され、吸入空気2と共に混合気の状態で燃焼室に導かれる。なお、本実施形態では、燃料噴射弁14は内燃機関の吸気ポートに設けられ、吸気ポートに噴射された燃料が吸入空気2と共に混合気を形成し、吸気弁15を介して燃焼室に導かれ、燃焼して機械エネルギを発生する。
【0014】
燃焼室に導かれた燃料および吸入空気2は、燃料と吸入空気2との混合状態を成しており、点火プラグ13の火花着火により、爆発的に燃焼し、機械エネルギを発生する。燃焼後の気体は排気弁16から排気管に導かれ、排気ガス3として排気管から車外に排出される。燃焼室に導かれる吸入空気2の流量は、アクセルペダルの操作に基づいてその開度が変化するスロットルバルブ25により制御される。燃焼室に導かれる吸入空気の流量に基づいて燃料供給量が制御され、運転者はスロットルバルブ25の開度を制御して燃焼室に導かれる吸入空気の流量を制御することにより、内燃機関が発生する機械エネルギを制御することができる。
【0015】
エアクリーナ21から取り込まれ主通路22aを流れる吸入空気2の流量、温度、湿度、圧力が空気流量測定装置20により検出され、空気流量測定装置20から吸入空気2の流量を表す信号が制御装置4に送信される。また、スロットルバルブ25の開度を検出するスロットル角度センサ26の信号が制御装置4に送信され、さらに内燃機関のエンジンピストン12や吸気弁15や排気弁16の位置や状態、さらに内燃機関の回転速度を測定するために、回転角度センサ17の信号が、制御装置4に送信される。排気ガス3の状態から燃料量と空気量との混合比の状態を測定するために、酸素センサ28の信号が制御装置4に送信される。
【0016】
制御装置4は、空気流量測定装置20の出力である吸入空気2の流量と、回転角度センサ17の出力および検出された内燃機関の回転速度とに基づいて、燃料噴射量や点火時期を演算する。これら演算結果に基づいて、燃料噴射弁14から供給される燃料量、また点火プラグ13により点火される点火時期が制御される。燃料供給量や点火時期は、実際にはさらに空気流量測定装置20で検出される温度やスロットル角度の変化状態、エンジン回転速度の変化状態、酸素センサ28で検出された空燃比の状態に基づいて、きめ細かく制御されている。制御装置4は、さらに内燃機関のアイドル運転状態において、スロットルバルブ25をバイパスする空気量をアイドルエアコントロールバルブ27により制御し、アイドル運転状態での内燃機関の回転速度を制御する。
【0017】
内燃機関の主要な制御量である燃料供給量や点火時期はいずれも空気流量測定装置20の出力を主パラメータとして演算される。したがって、空気流量測定装置20の検出精度の向上や、経時変化の抑制、信頼性の向上が、車両の制御精度の向上や信頼性の確保に関して重要である。
【0018】
特に近年、車両の省燃費に関する要望が非常に高く、また排気ガス浄化に関する要望が非常に高い。これらの要望に応えるには、空気流量測定装置20により検出される吸入空気の流量の測定精度の向上が極めて重要である。また、空気流量測定装置20が高い信頼性を維持していることも大切である。
【0019】
空気流量測定装置20が搭載される車両は、温度や湿度の変化が大きい環境で使用される。空気流量測定装置20は、その使用環境における温度や湿度の変化への対応や、塵埃や汚染物質などへの対応も、考慮されていることが望ましい。
【0020】
また、空気流量測定装置20は、内燃機関からの発熱の影響を受ける吸気管に装着される。このため、内燃機関の発熱が吸気管を介して空気流量測定装置20に伝わる。空気流量測定装置20は、吸入空気2と熱伝達を行うことにより吸入空気2の流量を測定するので、外部からの熱の影響をできるだけ抑制することが重要である。
【0021】
車に搭載される空気流量測定装置20は、以下で説明するように、単に発明が解決しようとする課題の欄に記載された課題を解決し、発明の効果の欄に記載された効果を奏するのみでなく、以下で説明するように、上述した色々な課題を十分に考慮し、製品として求められている色々な課題を解決し、色々な効果を奏している。空気流量測定装置20が解決する具体的な課題や奏する具体的な効果は、以下の実施形態の記載の中で説明する。
【0022】
<空気流量測定装置の全体構成> 空気流量測定装置20は、
図1、
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)および
図2(d)に示すように、ハウジング100と、カバー200と、チップパッケージ300とを有している。空気流量測定装置20は、吸気ボディ22の通路壁に設けられた取り付け孔から主通路22aの内部に挿入して吸気ボディ22に固定された状態で使用される。
【0023】
ハウジング100は、
図3に示すように、例えば合成樹脂製材料を射出成形することによって構成されており、空気流量測定装置20を吸気ボディ22に固定するためのフランジ111と、フランジ111から突出して外部機器との電気的な接続を行うために吸気ボディ22から外部に露出するコネクタ112と、フランジ111から主通路22aの中心に向かって突出するように延びる計測部113を有している。
【0024】
計測部113は、
図2(b)、
図2(c)および
図2(d)に示すように、フランジ111から真っ直ぐ延びる薄くて長い形状を成し、幅広な正面121と背面122、および幅狭な一対の側面123、124を有している。計測部113は、空気流量測定装置20を吸気ボディ22に取り付けた状態で、吸気ボディ22の内壁から主通路22aの通路中心に向かって突出する。そして、正面121と背面122が主通路22aの中心軸に沿って平行に配置され、計測部113の幅狭な側面123、124のうち計測部113の長手方向一方側の側面123が主通路22aの上流側に対向配置され、計測部113の短手方向他方側の側面124が主通路22aの下流側に対向配置される。空気流量測定装置20を吸気ボディ22に取り付けた状態で、計測部113の先端部を下面125とする。
【0025】
計測部113は、側面123に副通路入口131が設けられ、側面124に第1出口132および第2出口133が設けられている。副通路入口131と第1出口132および第2出口133は、フランジ111から主通路22aの中心方向に向かって延びる計測部113の先端部に設けられている。したがって、吸気ボディ22の内壁面から離れた中央部に近い部分の気体を副通路に取り込むことができる。このため、空気流量測定装置20は、吸気ボディ22の内壁面から離れた部分の気体の流量を測定することができ、熱などの影響による計測精度の低下を抑制できる。
【0026】
空気流量測定装置20は、計測部113が吸気ボディ22の外壁から中央に向かう軸に沿って長く伸びる形状を成しているが、側面123、124の幅は、
図2(d)に示すように、比較的に狭い形状を成している。これにより、空気流量測定装置20は、吸入空気2に対しては流体抵抗を小さい値に抑えることができる。
【0027】
計測部113は、吸気ボディ22に設けられた取り付け孔から内部に挿入され、フランジ111が吸気ボディ22に当接され、ねじで吸気ボディ22に固定される。フランジ111は、所定の板厚からなる平面視略矩形状を有しており、
図2(a)示すように、対角線上の角部には固定穴部141が対をなして設けられている。固定穴部141は、フランジ111を貫通する貫通孔142を有している。フランジ111は、固定穴部141の貫通孔142に、図示しない固定ネジが挿入されて吸気ボディ22のネジ穴にねじ結合されることにより吸気ボディ22に固定される。
【0028】
コネクタ112は、
図2(a)に示すように、その内部に4本の外部端子147と補正用端子148が設けられている。外部端子147は、空気流量測定装置20の計測結果である流量や温度などの物理量を出力するための端子および空気流量測定装置20が動作するための直流電力を供給するための電源端子である。
【0029】
補正用端子148は、生産された空気流量測定装置20の計測を行い、それぞれの空気流量測定装置20に関する補正値を求めて、空気流量測定装置20内部のメモリに補正値を記憶するのに使用する端子であり、その後の空気流量測定装置20の計測動作では上述のメモリに記憶された補正値を表す補正データが使用され、この補正用端子148は使用されない。
【0030】
したがって、外部端子147と他の外部機器との接続において、補正用端子148が邪魔にならないように、補正用端子148は、外部端子147とは異なる形状をしている。この実施形態では外部端子147より補正用端子148が短い形状をしており、外部端子147に接続される外部機器の接続端子がコネクタ112に挿入されても、接続の障害にならないように構成されている。
【0031】
なお、以下の説明では、
図3に示すように、フランジ111から計測部113が延びる方向である計測部113の長手方向をZ軸、計測部113の副通路入口131から第1出口132に向かって延びる方向である計測部113の短手方向をX軸、計測部113の正面121から背面122に向かう方向である計測部113の厚さ方向をY軸と称する場合がある。
【0032】
ハウジング100には、副通路134を形成するための副通路溝150と、回路基板311を収容するための回路室135が設けられている。回路室135と副通路溝150は、計測部113の正面に形成されている。回路室135は、吸入空気2の流れ方向上流側の位置となるX軸方向一方側(側面123側)の領域に設けられている。そして、副通路溝150は、回路室135よりも計測部113のZ軸方向先端側(下面125側)の領域と、回路室135よりも吸入空気2の流れ方向下流側の位置となるX軸方向他方側(側面124側)の領域に亘って設けられている。
【0033】
副通路溝150は、カバー200によって覆われることにより副通路134を形成する。副通路溝150は、第1副通路溝151と、第1副通路溝151の途中で分岐する第2副通路溝152とを有している。第1副通路溝151は、計測部113の一方側の側面123に開口する副通路入口131と、計測部113の他方側の側面124に開口する第1出口132との間に亘って、計測部113のX軸方向に沿って延在するように形成されている。第1副通路溝151は、吸入空気2を副通路入口131から取り込み、その取り込んだ吸入空気2を第1出口132から主通路22aに戻す第1副通路Aをカバー200との協働により形成する。第1副通路Aは、副通路入口131から主通路22a内における吸入空気2の流れ方向に沿って延在し、第1出口132までつながる流路を有する。
【0034】
第2副通路溝152は、第1副通路溝151の途中位置で分岐して計測部113の基端部側(フランジ側)に向かって屈曲され、計測部113のZ軸方向に沿って延在する。そして、計測部113の基端部で計測部113のX軸方向他方側(側面124側)に向かって折れ曲がり、計測部113の先端部に向かってUターンし、再び計測部113のZ軸方向に沿って延在する。そして、第1出口132の手前で計測部113のX軸方向他方側(側面124側)に向かって屈曲され、計測部113の側面124に開口する第2出口133に連続するように設けられている。第2出口133は、主通路22aにおける吸入空気2の流れ方向下流側に向かって対向配置される。第2出口133は、第1出口132とほぼ同等若しくは若干大きい開口面積を有しており、第1出口132よりも計測部113の長手方向基端部側に隣接した位置に形成されている。
【0035】
第2副通路溝152は、第1副通路Aから分岐されて流れ込んだ吸入空気2を通過させて第2出口133から主通路22aに戻す第2副通路Bをカバー200との協働により形成する。第2副通路Bは、計測部113のZ軸方向に沿って往復する流路を有する。つまり、第2副通路Bは、第1副通路Aの途中で分岐して、計測部113の基端部側(第1副通路Aから離れる方向)に向かって延在する往通路部B1と、計測部113の基端部側(離反通路部の端部)で折り返されてUターンし、計測部113の先端部側(第1副通路Aに接近する方向)に向かって延在する復通路部B2を有している。復通路部B2は、副通路入口131よりも主通路22a内における吸入空気2の流れ方向下流側の位置において吸入空気2の流れ方向下流側に向かって開口する第2出口133につながる。
【0036】
第2副通路Bは、往通路部B1の途中位置に後述するチップパッケージ300が配置されている。第2副通路Bは、計測部113の長手方向に沿って延在して往復するように通路が形成されているので、通路長さをより長く確保することができ、主通路22a内に脈動が生じた場合に、チップパッケージ300への影響を小さくすることができる。
【0037】
カバー200は、ハウジング100と同様に、合成樹脂材料の射出成形品によって形成されおり、ハウジング100を覆うようにしてハウジング100の側面に取り付けられている。カバー200は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料で、ロストワックスやダイカストなどの精密鋳造によって形成されていてもよい。
【0038】
チップパッケージ300は、
図4(a)、
図4(b)および
図5に示すように、空気流量測定素子(以下、単に素子という。)301と、リードフレーム302と、封止樹脂部材303と、ポリイミドテープ304と、ダイアタッチフィルム(以下、DAFという。)305とにより構成されている。チップパッケージ300は、素子301と素子301が実装されたリードフレーム302とを金型にセットし、モールド樹脂を金型に流し込み熱硬化させることによって製造される。
【0039】
チップパッケージ300は、平面視略矩形の平板形状を有する封止樹脂部材303を有している。封止樹脂部材303は、ハウジング100の回路室135に配置される長手方向一方側の基端部と、ハウジング100の第2副通路Bに配置される長手方向他方側の先端部とを有している。封止樹脂部材303の基端部には、複数本の端子部Tが短手方向に沿って互いに離反する方向に向かって突出するように配置されている。そして、封止樹脂部材303の先端部には、短手方向に沿って延在するように凹溝が凹設されている。凹溝は、封止樹脂部材303の先端部の表面に設けられており、吸入空気2が流れる通路Ktを形成する。封止樹脂部材303の先端部は、
図3に示すハウジング100の第2副通路Bを形成する往通路部B1と復通路部B2のうち、往通路部B1に配置されている。チップパッケージ300は、第2副通路B内を流れる吸入空気2の流量を測定し、制御装置4に測定結果の信号を送信する。
【0040】
素子301は、
図5に示すように、基板となる素子本体401を有している。素子本体401は、平坦な板状部材によって構成されており、裏面との間に設けられたDAF305によりリードフレーム302に接合されている。素子本体401の表面は、検出部として封止樹脂部材303から露出している。素子本体401は、裏面に開口するように開口Kdが形成されており、素子本体401の表面側で開口Kdを塞ぐように薄膜部402が形成されている。薄膜部402は、被計測媒体の主流れ方向に配列した第1の温度差センサ407、第1のヒータ温度センサ405、ヒータ404、第2のヒータ温度センサ406、第2の温度差センサ408を備えており、被計測媒体の流量を検出するための検出部である。配列方向を横方向(短手方向)、配列方向に垂直な方向を縦方向(長手方向)と以下表現する。素子301は、素子本体401の表面に、検出部である薄膜部402と、薄膜部402の周囲に連続して広がる周辺領域部403とを有している。
【0041】
薄膜部402は、例えば厚さ数μm未満の薄膜で構成されており、封止樹脂部材303の通路Ktに露出している。薄膜部402には、
図8(c)に示すように、第1の温度差センサ407、第1のヒータ温度センサ405、ヒータ404、第2のヒータ温度センサ406及び第2の温度差センサ408が形成されており、薄膜部402より上側の周囲にはPIQ層409が形成されている。薄膜部402は、薄膜部402の面に沿った方向の温度分布に基づいて薄膜部402の表面を流れる吸入空気2の流量を測定することができる。素子本体401は、薄膜部402の裏面側に、薄膜部402の裏面から離れるほど開口径が大きくなる円錐台形状の開口Kdが形成されている。
【0042】
素子301は、封止樹脂部材303によりモールドされる前の単体の状態では、素子本体401の表面および裏面が、湾曲のない平坦な面形状を有している。素子301は、封止樹脂部材303によってリードフレーム302とともにモールドされると、封止樹脂部材303およびリードフレーム302との間における樹脂の収縮により曲げ応力が発生する。モールド成型される際に、粘性流体から硬化する過程において封止樹脂部材303の分子間の架橋密度や体積収縮の変化が生じるため、硬化後には体積が減少している。
【0043】
したがって、成型収縮率とは、金型に注入された封止樹脂部材が冷却された後に体積が収縮することであり、一般に収縮した比率(以下、収縮率という。)は下記式(2)により定義される。
【数1】
【0044】
また、金型条件及び封止樹脂部材303の試験片条件に伴うJIS K6911規格によっても、下記式(3)で表される。室温での金型の寸法はD1,D2,D3,D4、室温での成型物の寸法はd1,d2,d3,d4とした際の測定部4ヶ所によって平均化すると、封止樹脂部材303の収縮の比率が下記式(
3)により求められる。
【数2】
【0045】
なお、素子301は、封止樹脂部材303によってモールドされると、素子本体401の表面側が平坦状から凸状に突出して湾曲するように変形する。このように変形した場合に、素子301は、素子301の封止樹脂部材303から露出する露出部の曲率半径ρが2.13以下となる。より詳しくは、素子本体401の表面のうち、薄膜部402を含まない領域である周辺領域部403の曲率半径ρ(mm)が、0以上であり、
図5に示すように、チップパッケージ300の長手方向においてρ≦2.13の関係を満たすように形成されている。
図5に示すように、素子301の上面は、具体的には、素子301と素子301の上面を覆う封止樹脂部材303との境界部分となる。曲率半径ρは、下記式(1)で表される。
【数3】
【0046】
但し、式(1)中、
図5に示すように、h1(mm)は、リードフレーム302を間に介して素子301が設けられている封止樹脂部材303の表面側と、素子301と反対側となる封止樹脂部材の裏面側のうち、封止樹脂部材303のリードフレーム302よりも裏面側の厚み(以下、裏面樹脂部Sの厚みという。)、h2(mm)は、リードフレーム302の厚み(mm)、h3(mm)は、封止樹脂部材303のリードフレーム302よりも表面側の厚み(以下、表面樹脂部Uの厚みという。)、h4(mm)は素子本体401の厚み、h5(mm)は、薄膜部402の厚み、β(%)は、封止樹脂部材303の硬化収縮率をそれぞれ表している。
【0047】
なお、素子本体401の表面の周辺領域部403の曲率半径ρは、以下の方法で測定することができる。即ちチップパッケージ300を素子301の位置で切断することにより、切断面に現れる素子本体401の表面の曲率半径ρを測定することができる。また、レーザビームなどの光を利用した非接触変位測定法により、非破壊で曲率半径ρを測定することができる。また、3次元測定機(3Dスキャナーともいう。)により、素子本体401の表面の周辺領域部403を走査することによっても非破壊で曲率半径ρを測定することができる。
【0048】
曲率半径ρについて、封止樹脂部材303の曲げ応力の一般式を用いて算出する。
図6(c)に計算式の項目と、項目の各記号を示す。一般的な梁において、ヤング率E、断面二次モーメントI、曲げモーメントMとし、ρは梁の曲率半径とすると、下記式(a)が求められる。
【数4】
図6(a)に示すように、薄膜部402が凸に変形する場合は、
【数5】
となり、
図6(b)に示すように、薄膜部402が凹に変形する場合は、
【数6】
となる。実施形態の封止樹脂部材303となる積層体において、薄膜部402の反り量を決定させるのは、
図6(c)に示す、h1、h2、h3の複合バランスとなる。そこで、h1~h5の見掛け上の反りを求める。
【0049】
さらに、樹脂の硬化収縮率をβとした場合に、βは下記式(d)の関係にある。
【数7】
【0050】
この式(d)から、式(a)は、
【数8】
となる。曲げモーメントMは、
【数9】
で表される。ここで、Mに掛かるE、α、ΔTを無次元とすると、下記式(g)が得られる。
【数10】
【0051】
また、下記式(h)および式(i)が得られる。
【数11】
【0052】
ここで、(h)(i)→(f)とすると、下記式(j)が得られる。
【数12】
【0053】
したがって、梁の曲率(1/ρ)の式(a)から薄膜部402の反りが0、または本実施形態の構造の場合、反りが≦3μmとなることは、本実施形態に係るチップパッケージ300の下記複合厚みγにより求められる。
【数13】
【0054】
ここで、γを式(j)に代入すると、
【数14】
となり、曲率の一般式が得られる。この一般式の具体的な検証は後述する。
【0055】
リードフレーム302は、高い導電性を有する銅(Cu)などの金属材料薄板で形成されており、図示しないパターン部と、
図4(a)に示す端子部Tとを有している。端子部Tは、回路基板311の端子パッドに接続されている。リードフレーム302は、DAF305を介して、素子301を支持し固定している。即ち、リードフレーム302は、素子301を実装している。リードフレーム302には、
図5に示すように、薄膜部402の開口Kdに連通する貫通孔Khが形成され、さらに後述する表面樹脂部Uの開口K3に連通する貫通孔Kuが形成されており、貫通孔Khと貫通孔Kuは、連通路Rによって繋がっている(
図4(b)を参照)。貫通孔Kh、貫通孔Kuおよび連通路Rは、薄膜部402の開口Kd内の圧力と、大気圧がほぼ等しくなるように機能する。
【0056】
封止樹脂部材303は、
図4(b)および
図5に示すように、合成樹脂、いわゆるモールド樹脂の材料からなる厚みh1の裏面樹脂部Sおよび厚みh3の表面樹脂部Uを有している。表面樹脂部Uの厚みh3は、裏面樹脂部Sの厚みh1の2倍以上の厚みを有している。封止樹脂部材303は、裏面樹脂部Sおよび表面樹脂部Uにより、素子301およびリードフレーム302を覆って各構成要素を一体化している。モールド樹脂は、0.18%以上の硬化収縮率βを有する材料が選択される。モールド樹脂は、硬化収縮率βが0.18%以上の合成樹脂であれば、樹脂の材質は特に限定されない。
【0057】
封止樹脂部材303には、
図4および
図5に示すように、薄膜部402および薄膜部402の周囲を露出させ、空気流を通す通路Ktが形成されている。また、封止樹脂部材303の裏面樹脂部Sには、リードフレーム302から離れるほど開口径が大きくなる円錐台形状の開口(開口部)K1が形成されている。開口K1は、リードフレーム302を間に介して素子301と反対側の位置に設けられている。さらに、封止樹脂部材303の表面樹脂部Uには、封止樹脂部材303の長手方向(縦方向)において通路Ktと反対側の端部に、開口K2が形成されている。そして、封止樹脂部材303の裏面樹脂部Sには、封止樹脂部材303の長手方向において開口K1と反対側の端部に、開口K3が形成されている。
【0058】
封止樹脂部材303は、
図4(b)および
図5に示すように、表面に凹溝状の通路Ktを有している。封止樹脂部材303の通路Ktは、一対の通路壁Thと素子本体401の表面が露出する底壁とを有している。一対の通路壁Thは、検出部である薄膜部402に近づくにつれて通路Ktの開口面積(断面積)が徐々に狭まる絞り形状を備えている。封止樹脂部材303は、通路Ktを形成する一対の通路壁Thが、通路Ktを通る空気流に直交する方向における素子301の両側の縁を覆っているとともに、薄膜部402が通路Ktに露出するように表面樹脂部Uが形成されている。したがって、封止樹脂部材303が熱収縮により変形すると、素子301も表面樹脂部Uから応力を受けて封止樹脂部材303と一緒に変形する。
【0059】
ポリイミドテープ304は、イミド結合を含む高分子化合物からなり、高い耐熱性、優れた機械的性質および化学薬品に対する耐性を有している。ポリイミドテープ304は、リードフレーム302の素子301が実装された面と反対側の面に設けられており、リードフレーム302の貫通孔Kh、貫通孔Kuおよび連通路Rを塞いでいる。
【0060】
DAF305は、高い接着信頼性を有するフィルム接着材からなり、素子301とリードフレーム302の間に挟み込まれ、素子301とリードフレーム302とを接着している。DAF305には、薄膜部402の開口Kdとリードフレーム302の貫通孔Khとの間を連通する開口が設けられている。
【0061】
本実施形態に係るチップパッケージ300においては、封止樹脂部材303を形成する際の硬化により封止樹脂部材303が熱収縮して薄膜部402に反りが生ずるが、発生する反りについて具体的に検討した。薄膜部402の反り量(mm)が大きくなると、吸入空気2の流量の測定精度が低下してしまうので、薄膜部402の反り量は小さいことが好ましい。以下、薄膜部402の反り量、薄膜部402と硬化収縮率βとの関係、曲率半径ρなどの各諸元について図面を参照して具体的に説明する。
【0062】
<封止樹脂部材303の熱収縮の作用と薄膜部402の反り量> まず、本実施形態に係るチップパッケージ300の実施例1および実施例2と、比較例1および比較例2について、封止樹脂部材303の熱収縮の作用と薄膜部402の反り量を具体的に検証した。なお、薄膜部402の反り量(mm)は、反りが発生する前の薄膜部402の平坦な表面を基準として、薄膜部402の反りが発生して凸形状になった薄膜部402の基準から凸形状の頂部までの高さ(mm)をいう。
【0063】
比較例1に係るチップパッケージは、
図7に示すように、リードフレーム302の線膨張係数α(ppm/℃)は17.7であり、素子301とリードフレーム302との間には中間部材306が挟み込まれている。素子301の線膨張係数αは3、パッケージの線膨張係数αは7、モールド樹脂の硬化収縮率β(%)は0.11または0.3である。
【0064】
比較例2に係るチップパッケージは、リードフレーム302の線膨張係数αは17.7であり、素子301とリードフレーム302との間には中間部材は無し、素子301の線膨張係数αは3、封止樹脂部材303のモールド樹脂の線膨張係数αは7、パッケージのモールド樹脂の硬化収縮率βは0.11である。
【0065】
実施例1に係るチップパッケージ300は、
図7に示すように、リードフレーム302の線膨張係数αは17.7であり、素子301とリードフレーム302との間に中間部材は無し、素子301の線膨張係数αは3、封止樹脂部材303のモールド樹脂の線膨張係数αは7、封止樹脂部材303のモールド樹脂の硬化収縮率βは0.3である。
【0066】
実施例2に係るチップパッケージ300は、実施例1に係る空気流量測定装置20と同様に、リードフレーム302の線膨張係数αは17.7であり、素子301とリードフレーム302との間に中間部材は無し、素子301の線膨張係数αは3、封止樹脂部材303のモールド樹脂の線膨張係数αは7、封止樹脂部材303のモールド樹脂の硬化収縮率βは0.3である。
【0067】
実施例2に係るチップパッケージ300は、
図7に示すように、実施例1に係るチップパッケージ300に対して、リードフレーム302の貫通孔Khの内径が大きく形成されている。
【0068】
比較例1に係るチップパッケージでは、モールド樹脂が硬化時に熱収縮する際に、モールド樹脂に、素子301の中心部に向かう(-)で表される圧縮力(N)と、素子301の中心部から離隔する方向に向かう(+)で表される引張力(N)が作用し、また、素子301、中間部材306およびリードフレーム302には、素子301の中心部に向かう圧縮力が作用する。比較例1に係るチップパッケージは、リードフレーム302が収縮することにより発生する圧縮力を中間部材306で受けることができ、リードフレーム302からの圧縮力が素子301に集積するのを防ぐことができる。
【0069】
比較例1に係るチップパッケージは、素子301および中間部材306に作用する圧縮力と封止樹脂部材303に作用する引張力が釣り合って、薄膜部402に作用する力が無くなり、薄膜部402の反りがキャンセルされる。比較例1は、モールド樹脂の硬化収縮率βが0.11または0.3であっても、その大小に関わらず中間部材306の存在により薄膜部402の反りの発生が抑制されている。
【0070】
比較例2に係るチップパッケージでは、比較例1と同様に、封止樹脂部材303のモールド樹脂が硬化時に熱収縮する際に、封止樹脂部材303に、素子301の中心部に向かう圧縮力と、素子301の中心部から離隔する方向に向かう引張力が作用し、また、素子301およびリードフレーム302には、素子301の中心部に向かう圧縮力が作用する。比較例2では中間部材が設けられていないので、リードフレーム302が収縮することにより発生する圧縮力が素子301に直接作用して集積する。したがって、薄膜部402に、圧縮力が作用することになり、薄膜部402の反り量が大きくなっている。
【0071】
実施例1に係るチップパッケージ300は、
図7に示すように、封止樹脂部材303のモールド樹脂が硬化時に熱収縮する際に、封止樹脂部材303に、素子301の中心部に向かう比較的に大きな圧縮力と、素子301の中心部から離隔する方向に向かう比較的に大きな引張力が作用し、また、素子301およびリードフレーム302には、素子301の中心部に向かう圧縮力が作用する。
【0072】
その結果、素子301およびリードフレーム302に作用する圧縮力に対して封止樹脂部材303に作用する引張力は比較的に大きくなって封止樹脂部材303の反りが大きくなる。封止樹脂部材303の反りが大きくなると、薄膜部402には比較的に小さな圧縮力が作用することになり、薄膜部402の反り量が比較例2よりも低減されている。したがって、素子301を引張方向に積極的に反らせることで、薄膜部402の反りが低減されることがわかる。
【0073】
実施例2に係るチップパッケージ300は、実施例1と同様に、封止樹脂部材303のモールド樹脂が硬化時に熱収縮する際に、封止樹脂部材303に、素子301の中心部に向かう比較的に大きな圧縮力と、素子301の中心部から離隔する方向に向かう比較的に大きな引張力が作用し、また、素子301およびリードフレーム302には、素子301の中心部に向かう圧縮力が作用する。
【0074】
しかしながら、実施例2は、実施例1とは異なり、リードフレーム302の貫通孔Khが実施例1の貫通孔Khよりも大きく形成されているので、リードフレーム302に作用する圧縮力は半減し比較的に小さくなっている。その結果、素子301およびリードフレーム302に作用する圧縮力に対して封止樹脂部材303に作用する引張力は比較的に大きくなって封止樹脂部材303の反りが大きくなる。封止樹脂部材303の反りが大きくなると、薄膜部402には比較的に小さな圧縮力が作用することになり、薄膜部402の反り量が実施例1と比べて大きく低減される。したがって、素子301を引張方向により大きく反らせることで、薄膜部402の反りがキャンセルされることがわかる。
【0075】
比較例1、比較例2、実施例1および実施例2の結果から分かるように、封止樹脂部材303がモールド成形温度から常温に放冷される際に、各構成要素の線膨張係数αの差によりリードフレーム302の収縮、いわゆる戻し量が素子301よりも大きいため、薄膜部402が圧縮され変形する原因となる。このとき、封止樹脂部材303のモールド樹脂の硬化収縮率βが大きければ、リードフレーム302の収縮によって発生する薄膜部402の圧縮応力を、封止樹脂部材303に作用する引張力によって緩和することができる。
したがって、薄膜部402に応力が集中し難くなり、薄膜部402の変形の発生が抑制されることになる。比較例2に対して、実施例1および実施例2のチップパッケージ300は、素子301に引張力を作用させているので、素子301に作用する圧縮応力、即ち素子301に作用する圧縮力による薄膜部402の反りが低減される。
【0076】
<薄膜部402の横方向と縦方向の反り量> 次いで、本実施形態に係るチップパッケージ300における前述の比較例1と同様の中間部材有りの構成と、前述の実施例1と同様の構成に関し、薄膜部402の横方向の反り量(mm)と縦方向の反り量(mm)との関係について具体的に検証した。この検証では、
図8(a)に示すチップパッケージ300について、薄膜部402の反り量(mm)のクライテリア、即ち許容しうる反り量の判定基準が求められる。なお、
図9のグラフ中の、黒丸印は、中間部材が無い構成のチップパッケージ300であり、黒四角印は、中間部材がある構成のチップパッケージを表している。また、
図9の右側2列のグラフは、左側のグラフがダイアフラムの横方向の反り量を示し、右側のグラフがダイアフラムの縦方向の反り量を示している。
【0077】
薄膜部402の横方向と縦方向については、
図8(b)、
図8(d)に示すように、チップパッケージ300の長手方向(x軸方向)であり、吸入空気2の流通方向と直交する方向を縦方向とし、チップパッケージ300の短手方向(z軸方向)であり、吸入空気2の流通方向を横方向とする。
図9に示すように、薄膜部402の横方向の反り量が10μm~11μmのときは、薄膜部402の縦方向xの反り量も12μm~14μmとなっており双方とも大きい反り量となっている。薄膜部402の縦方向の反り量が12μm~14μmであると、反り量と距離との関係のグラフでは、縦方向における反りの形状が2山になっている。したがって、薄膜部402が出っ張って温度分布がNGとなり、薄膜部402の計測精度が得られない。
【0078】
また、薄膜部402の横方向の反り量が7μm~9μmのときは、薄膜部402の縦方向の反り量も8μm~12μmとなっており双方とも大きい反り量となっている。薄膜部の縦方向の反り量が8μm~12μmであると、反り量と距離との関係のグラフでは、縦方向における反りの形状が2山になっている。したがって、この場合も、薄膜部402が出っ張って温度分布がNGとなり、薄膜部402の計測精度が得られない。
【0079】
また、薄膜部402の横方向の反り量が4μm~6μmのときは、薄膜部402の縦方向の反り量も6μm~8μmとなっており、双方とも比較的に大きい反り量となっている。薄膜部402の横方向の反り量が6μm~8μmであると、反り量と距離との関係のグラフでは、薄膜部402の横方向における反りの形状が2山になっており、この場合も、薄膜部402の計測精度が得られない。
【0080】
しかしながら、薄膜部402の横方向の反り量が0.5μm~1μmのときは、薄膜部402の縦方向の反り量は3μm~4μmとなっており、双方とも比較的に小さい反り量となっている。この場合、横方向の反りおよび縦方向の反りについて、反り量と距離との関係のグラフでは、薄膜部402の反りが少なくなり、山が無く平坦な形状のグラフになっている。したがって、横方向および縦方向の薄膜部402の形状が平面となり、双方とも温度分布が良好であり、計測精度が得られる。
【0081】
なお、比較例1のように中間部材がある構成では、薄膜部402の横方向の反り量が1.5μmのときに、薄膜部402の縦方向の反り量が2μmとなっており、双方とも比較的に小さい反り量となっている。この場合、横方向の反りおよび縦方向の反りについて、反り量と距離との関係のグラフでは、薄膜部402の反りが少なくなり、山が無く平坦なグラフになっている。したがって、横方向および縦方向の薄膜部402の形状が平面となり、双方とも温度分布が良好であり、計測精度が得られる。
【0082】
計測精度を確保するために、薄膜部402の反り量が小さく、且つ、横方向および縦方向ともに反り量と距離との関係のグラフで、反りの形状が2山とならず、平坦であることが前提となっているが、
図9に示すように、薄膜部402の反りが3μm以下であれば、中間部材が有る構成のチップパッケージと同等レベルの精度が得られることが分かった。
【0083】
<モールド樹脂の硬化収縮率と薄膜部402の反り量> 次いで、本実施形態に係るチップパッケージ300における封止樹脂部材303のモールド樹脂の硬化収縮率と薄膜部402の反り量との関係について具体的に検証した。この検証では、
図10(a)に示すチップパッケージ300について、モールド樹脂の硬化収縮率βの最適値が求められる。
【0084】
図10(a)に示すように、樹脂の硬化収縮率が0.3%のとき、薄膜部402の反り量は1.5μmとなっており、樹脂の硬化収縮率が約0.14%のとき、薄膜部402の反り量は約3.2μm、樹脂の硬化収縮率が約0.12%のとき、薄膜部402の反り量は約3.5μm、樹脂の硬化収縮率が約0.11%のとき、薄膜部402の反り量は約3.9μm、樹脂の硬化収縮率が約0.09%のとき、薄膜部402の反り量は約4.2μmとなっている。
【0085】
前述のように、薄膜部402の反りが3μm以下であれば、中間部材が有る構成のチップパッケージと同等レベルの精度が得られるが、樹脂の硬化収縮率が約0.14%以下の黒丸印の4つの点は、3μmを超えてしまっている。また、
図10(a)に示すように、黒丸印の点を直線の破線で結ぶと樹脂の硬化収縮率が0.18%で薄膜部402の反り量が3μmになっていることが分かる。したがって、樹脂の硬化収縮率の最適値は、0.18%以上であることが求められる。
【0086】
<封止樹脂部材303の反りと薄膜部402の反りとの関係> 次いで、本実施形態に係るチップパッケージ300における封止樹脂部材303の反りと薄膜部402の反りとの関係について具体的に検証した。封止樹脂部材303の反りは、
図10(b)に示すように、封止樹脂部材303の裏面樹脂部Sの下面における反りを表す。
図10(b)に示すグラフにおいて、サンプル1は、前述の実施例1と同様に構成され、サンプル2は、前述の実施例2と同様に構成されている。なお、封止樹脂部材303の反り量は棒グラフで示され、薄膜部402の反り量は折れ線で示されている。
【0087】
樹脂の硬化収縮率が0.09%のとき、サンプル1の封止樹脂部材303の反り量は約5.2μm、薄膜部402の反り量も約5.2μm、サンプル2の封止樹脂部材303の反り量は約5.8μm、薄膜部402の反り量は約4.2μm、樹脂の硬化収縮率が0.11%のとき、サンプル1の封止樹脂部材303の反り量は約5.5μm、薄膜部402の反り量は約4.8μm、サンプル2の封止樹脂部材303の反り量は約5.5μm、薄膜部402の反り量は約4.8μm、樹脂の硬化収縮率が0.12%のとき、サンプル2の封止樹脂部材303の反り量は約6.5μm、薄膜部402の反り量は約3.5μm、樹脂の硬化収縮率が0.14%のとき、サンプル2の封止樹脂部材303の反り量は約6.6μm、薄膜部402の反り量は約3.2μm、樹脂の硬化収縮率が0.3%のとき、サンプル1の封止樹脂部材303の反り量は約7.5μm、薄膜部402の反り量は約2.2μm、サンプル2の封止樹脂部材303の反り量は約7.8μm、薄膜部402の反り量は約1.5μmとなっている。
【0088】
図10(b)に示すように、サンプル1およびサンプル2において、樹脂の硬化収縮率が0.18%以上であれば、中間部材のない構成の採用が可能となることが分かる。また、樹脂の硬化収縮率が増加すると、封止樹脂部材303の反りも増加し、樹脂の硬化収縮率と、封止樹脂部材303の反りとは比例関係にあることが分かり、封止樹脂部材303の反りが増大すると薄膜部の反りが減少し、封止樹脂部材303の反りと薄膜部402の反りは反比例の関係にあることが分かる。また、樹脂の硬化収縮率および封止樹脂部材303の反りの増大により、素子301に引張力が作用し薄膜部402の反りが減少することも分かる。
【0089】
<各構成での反りの関係> 次いで、本実施形態に係るチップパッケージ300における各構成での反りの関係について再度検証した。
図11(a)に示すように、樹脂の硬化収縮率が0.09%の場合、薄膜部402の反り量は4.4μmとなっている。封止樹脂部材303の反りが小さいと薄膜部402の反りが大きくなり、互いに反比例の関係にあることが分かる。また、
図11(b)に示すように、樹脂の硬化収縮率が0.3%の場合、薄膜部402の反り量は1.5μmとなっている。封止樹脂部材303の反りが大きいと薄膜部402の反りが小さくなり、互いに反比例の関係にあることが分かる。
【0090】
<一般式を用いた具体的な数値の算出> 次いで、本実施形態に係るチップパッケージ300における各構成での反りの具体的な数値について、曲率半径ρの式(1)に薄膜部402の厚みh5をパラメータとして代入し、検証した。ここでは、熱応力解析(冷却前から冷却後)により薄膜部402の反り量を求めた。具体的な数値およびパラメータは、
図12に記載の数値を用いた。なお、パラメータh5以外は固定値とした。算出された曲率1/ρおよび曲率半径ρは、h5が0.0005の場合、1/ρは0.461、ρは2.168、h5が0.001の場合、1/ρは0.477、ρは2.095、h5が0.002の場合、1/ρは0.491、ρは2.037、h5が0.0047の場合、1/ρは0.505、ρは1.980、h5が0.008の場合、1/ρは0.509、ρは1.983となった。
【0091】
図13の硬化収縮率βと薄膜部402の反りとの関係から、薄膜部402の反り量は3μm以下、硬化収縮率βは0.18%以上が最適値の基準であることは求められている。
計算結果をこれらの最適値に照らして検証すると、曲率1/ρは、0.47以上であることが分かる。曲率1/ρを曲率半径ρに変換すると曲率半径ρは2.13以下であることが分かる。また、表面樹脂部Uの厚みと裏面樹脂部Sの厚みとの比率h3/h1は、2倍以上が最適値であることが分かる。なお、硬化収縮率βの最適値は0.18%であることは検証されている。
【0092】
<曲率半径ρの実測> 次いで、本実施形態に係るチップパッケージ300における素子301の上面の曲率半径ρについて実測し、一般式の計算結果と一致しているかを検証した。
図14に示すように、測定装置は、3DスキャナーのVR-3000を使用した。測定位置は素子301の酸化膜エリアとし、測定方法は、素子301の露出寸法(吸入空気2の通路の幅)を狙って、曲率半径ρを導出するようにした。
【0093】
測定結果は、
図14のグラフに示すように、樹脂の硬化収縮率βが0.11%の場合、ρは2.76mmとなり、これに対する薄膜部402の反り量は約4.8mmとなった。樹脂の硬化収縮率βが0.3%の場合、ρは2.05mmとなり、これに対する薄膜部402の反り量は約1.5mmとなった。したがって、曲率半径ρの実測値と、一般式の計算結果とが一致していることが検証された。
【0094】
以下、本実施形態に係るチップパッケージ300の効果について説明する。(1)本実施形態に係るチップパッケージ300は、リードフレーム302と、リードフレーム302に実装され、薄膜部402を有する素子301と、少なくとも薄膜部402が露出するように、リードフレーム302と素子301とを封止する封止樹脂部材303と、を有している。そして、素子301の封止樹脂部材303から露出する露出部の曲率半径ρが2.13以下であることを特徴としている。
【0095】
本実施形態に係るチップパッケージ300は、素子301の封止樹脂部材303から露出する露出部の曲率半径ρ(mm)が、2.13以下であるという条件を満たすように素子301が形成されているので、素子301およびリードフレーム302を封止する封止樹脂部材303を形成する際に、薄膜部402に反りが発生するのを抑制できるという効果が得られる。即ち、封止樹脂部材303を形成するモールド樹脂が硬化した後の素子301の表面のうち、周辺領域部の曲率半径ρ(mm)が2.13以下(ρ≦2.13)であるという条件を満たしているので、薄膜部402の反り量が最適値の3μm以内になり、薄膜部402の表面の平坦性が確保され、吸入空気2の流量を精確に測定することができるチップパッケージ300が得られるという効果がある。
【0096】
また、本実施形態に係るチップパッケージ300は、ρが、次式(1)の関係を満たしているので、チップパッケージ300のh1~h5および硬化収縮率βを適宜選択することにより、確実にρ≦2.13を算出することができるという効果が得られる。
【数15】
【0097】
(2)また、本実施形態に係るチップパッケージ300は、封止樹脂部材303を形成するモールド樹脂の硬化収縮率βが、0.18%以上であるので、封止樹脂部材303をモールド成形温度から常温に放冷する際に、封止樹脂部材303をその表面が凸状になるように積極的に反らせる方向に変形させることができる。したがって、リードフレーム302の収縮によって発生する薄膜部402の圧縮応力を、モールド樹脂に作用する引張力によって緩和させ、薄膜部402に応力が集中するのを防ぎ、薄膜部402が変形するのを抑制できるという効果が得られる。
その結果、中間部材を設けて線膨張係数αをマッチさせ薄膜部402の反りを低減した従来のチップパッケージと同等の測定精度が確保されるという効果が得られる。本実施形態に係るチップパッケージ300は、中間部材を設けていないので、中間部材を有する従来のチップパッケージに比べて生産コストが低減されるという効果が得られる。
【0098】
(3)また、本実施形態に係るチップパッケージ300は、封止樹脂部材303が一対の通路壁Thと素子本体401の表面が露出する底壁とを有する凹溝状の通路Ktを有しており、封止樹脂部材303の通路Ktを形成する一対の通路壁Thが素子301の空気流に直交する方向における両側の縁を覆っているとともに、薄膜部402が通路Ktに露出している。この構成により、封止樹脂部材303がモールド成形温度から常温に放冷される際に、封止樹脂部材303の表面樹脂部Uが収縮変形すると、素子301も表面樹脂部Uと一緒に変形し、薄膜部402に引張力が作用し薄膜部の反り量が低減されるという効果が得られる。
【0099】
(4)また、本実施形態に係るチップパッケージ300は、封止樹脂部材303のリードフレーム302よりも表面側(素子301側)の厚みである表面樹脂部Uの最大厚み(mm)h3は、封止樹脂部材303のリードフレーム302よりも裏面側の厚みである裏面樹脂部Sの最大厚み(mm)h1の2倍以上の厚みで形成されている。この構成により、封止樹脂部材303がモールド成形温度から常温に放冷される際に、封止樹脂部材303の表面樹脂部Uが効果的に収縮変形して薄膜部402に引張力が作用し薄膜部の反り量が低減されるという効果が得られる。
【0100】
(5)また、本実施形態に係るチップパッケージ300は、リードフレーム302の一部において、薄膜部402を素子301の表面に垂直な方向でリードフレーム302に投影した領域に貫通孔Khが形成されており、リードフレーム302の裏面側に貫通孔Khを覆うようにポリイミドテープ304が張り付けられている。この構成により、封止樹脂部材303の外部に連通する連通路Rを形成することができ、薄膜部402に作用する圧力を大気圧と等しくすることができる。
【0101】
(6)また、本実施形態に係るチップパッケージ300は、テープ304の一部が露出するように封止樹脂部材303が開口部K1を有している。
【0102】
(7)そして、開口部K1は、リードフレーム302から離れるほど開口径が大きくなる円錐台形状である。
【0103】
(8)通路壁Thは、薄膜部402(検出部)に近づくにつれて通路Ktの開口面積が徐々に狭まる絞り形状を備える。
【0104】
(9)樹脂封止パッケージは、封止樹脂部材303の硬化収縮率βが0.18%以上となるように樹脂封止することにより製造される。
【0105】
(10)樹脂封止パッケージは、封止樹脂部材303から露出している素子301の露出部の曲率半径ρが2.13以下となるように樹脂封止することにより製造される。
【0106】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0107】
100 ハウジング
113 計測部
131 副通路入口
134 副通路
135 回路室
150 副通路溝
151 第1副通路溝
152 第2副通路溝
300 チップパッケージ(樹脂封止パッケージ)
301 素子(空気流量測定素子)
302 リードフレーム
303 封止樹脂部材
304 ポリイミドテープ
305 DAF
401 素子本体
402 薄膜部(検出部)
Kt 通路
Th 通路壁
ρ 曲率半径
β 硬化収縮率