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特許7164307粘着シート及び粘着シートを粗面に適用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】粘着シート及び粘着シートを粗面に適用する方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20221025BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20221025BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20221025BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20221025BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221025BHJP
   C09J 7/25 20180101ALI20221025BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
C09J133/00
C09J11/08
B32B27/00 M
B32B27/00 E
C09J7/25
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018026922
(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公開番号】P2018178080
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2017077645
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】阿部 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】今村 健吾
(72)【発明者】
【氏名】小野 雄也
(72)【発明者】
【氏名】武田 良彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛生
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-287525(JP,A)
【文献】特開平09-157606(JP,A)
【文献】特開2004-225022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
80μm以上500μm以下の厚みを有する剛性樹脂フィルムと、
前記剛性樹脂フィルムの一方の面上又はその上方に配置された第1感圧接着層であって、体積平均粒径110μm以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む第1感圧接着層と
を含み、
前記第1感圧接着層が前記微小球の存在に起因した凹凸表面を有する、粘着シートであって、前記剛性樹脂フィルムが10MPa以上300MPa以下の降伏弾性率を有し、前記剛性樹脂フィルムの降伏弾性率と厚みとの積が、0.9×10 N/m以上5×10 N/m以下である、粘着シート
【請求項2】
透明樹脂フィルムであって、前記透明樹脂フィルムの表面に印刷されたグラフィック画像を有する透明樹脂フィルムを含む、請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記微小球が粘着性である、請求項1又は2のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項4】
前記微小球の20℃における圧縮弾性率が1kPa以上100kPa以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記第1感圧接着層が、前記微小球のクラスターを含む島状構造を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項6】
前記第1感圧接着層の前記凹凸表面における60度光沢度が50以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項7】
前記第1感圧接着層の最大厚みと最小厚みの差が50μm以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項8】
前記第1感圧接着層における前記粘着性バインダーと前記微小球との質量比が、40:60~90:10である、請求項1~のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項9】
80μm以上500μm以下の厚みを有する剛性樹脂フィルムと、
前記剛性樹脂フィルムの一方の面上又はその上方に配置された第1感圧接着層であって、体積平均粒径110μm以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む第1感圧接着層と
を含む粘着シートであって、
前記第1感圧接着層が前記微小球の存在に起因した凹凸表面を有する、粘着シートを提供することと、
前記粘着シートを粗面に適用することと
を含む、粘着シートを粗面に適用する方法であって、
前記剛性樹脂フィルムが10MPa以上300MPa以下の降伏弾性率を有し、前記剛性樹脂フィルムの降伏弾性率と厚みとの積が、0.9×10 N/m以上5×10 N/m以下であり、
前記粗面に適用された後に前記粘着シートが平滑な外観を呈する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は粘着シート及び粘着シートを粗面に適用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着シートは様々な用途に使用されており、例えばグラフィック画像を有する粘着性のグラフィックシートは、外装及び内装の装飾、又は広告目的で使用されている。凹凸形状を有する基材表面に適用される一般的な粘着シートは、良好な接着を達成するために基材表面の形状に対して追従することができる柔軟性を有している。
【0003】
特許文献1(特開平6-287525号公報)は、「フィルム基材の表面に、粘着剤を塗布して成る装飾用粘着フィルムにおいて、該フィルムの硬さがJISK5400に準拠する鉛筆引っかき試験においてHから3Bの範囲であり、該粘着剤が、弾性率が1×10~1×10dyn/cmの粘着性微小球を含有したことを特徴とする粘着フィルム」を記載している。
【0004】
特許文献2(特開平9-157606号公報)は、「I)支持体と、II)上記支持体上に形成され、粘着性の粘着性微小球と粘着性ポリマーとを含んでなる粘着層とを有してなる粘着シートにおいて、a)上記粘着層は、上記粘着性微小球が少なくとも2個集まって形成されたクラスターと上記粘着性ポリマーとを含有する凸状粘着部を有し、b)その粘着シートを1kg/cmの圧力で平坦なガラス板表面に貼り付けて測定した場合、粘着層と板表面との面積接触率が20~90%である、粘着シート」を記載している。
【0005】
特許文献3(特開平8-113768号公報)は、「フィルム基材の表面に粘着剤を塗布して成る装飾用粘着フィルムにおいて、当該粘着剤が微小球を有し、その微小球の弾性率が1×10~1×10dyn/cmであり、且つ粒径が10~100μm(体積平均直径として)であることを特徴とする粘着フィルム」を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-287525号公報
【文献】特開平9-157606号公報
【文献】特開平8-113768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
モルタル、コンクリート、サイディングボード、スタッコ、エンボス加工を施した壁紙などの粗面に接着した後でも平滑な外観を呈する粘着シートに対する要求がある。また、粘着シートは、金属板、樹脂フィルムなどの平滑面に対しても十分な接着力を有することが望ましい。例えば、そのような粘着シートをグラフィックシートとして用いると、グラフィック画像の品質を維持しつつ様々な表面にグラフィックシートを設置することができる。
【0008】
本開示は、十分な接着力で平滑面及び粗面のいずれにも接着することができ、かつ適用する表面に拘らず接着後に平滑な外観を呈する粘着シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施態様によれば、80μm以上500μm以下の厚みを有する剛性樹脂フィルムと、前記剛性樹脂フィルムの一方の面上又はその上方に配置された第1感圧接着層であって、体積平均粒径110μm以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む第1感圧接着層とを含み、前記第1感圧接着層が前記微小球の存在に起因した凹凸表面を有する、粘着シートが提供される。
【0010】
本開示の別の実施態様によれば、80μm以上500μm以下の厚みを有する剛性樹脂フィルムと、前記剛性樹脂フィルムの一方の面上又はその上方に配置された第1感圧接着層であって、体積平均粒径110μm以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む第1感圧接着層とを含む粘着シートであって、前記第1感圧接着層が前記微小球の存在に起因した凹凸表面を有する、粘着シートを提供することと、前記粘着シートを粗面に適用することとを含む、粘着シートを粗面に適用する方法であって、前記粗面に適用された後に前記粘着シートが平滑な外観を呈する、方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の粘着シートは、粒径の比較的大きい弾性樹脂微小球に起因した凹凸表面を有する第1感圧接着層と、剛性樹脂フィルム層とを組み合わせることにより、平滑面及び粗面のいずれに対しても十分な接着力を示し、かつ適用する表面に拘らず接着後に平滑な外観を呈することができる。
【0012】
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本開示の一実施態様の粘着シートの概略断面図である。
図1B】本開示の一実施態様の粘着シートの概略斜視図である。
図2】本開示の一実施態様の粘着シートを、平滑面を有する基材に適用したときの概略断面図である。
図3】本開示の別の実施態様の粘着シートの概略断面図である。
図4】本開示のさらに別の実施態様の粘着シートの概略断面図である。
図5】本開示のさらに別の実施態様の粘着シートの概略断面図である。
図6】本開示のさらに別の実施態様の粘着シートの概略断面図である。
図7】本開示のさらに別の実施態様の粘着シートの概略断面図である。
図8】サイディングボード上に適用された例17の粘着シートの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0015】
本開示において「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0016】
本開示において「感圧接着」とは、使用温度範囲で、例えば0℃以上、50℃以下の範囲で恒久的に粘着性であり、軽い圧力で様々な表面に接着し、相変化(液体から固体へ)を呈さない材料又は組成物の特性を意味する。
【0017】
一実施態様の粘着シートは、80μm以上500μm以下の厚みを有する剛性樹脂フィルムと、剛性樹脂フィルムの一方の面上又はその上方に配置された第1感圧接着層であって、体積平均粒径110μm以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む第1感圧接着層とを含む。第1感圧接着層は、微小球の存在に起因した凹凸表面を有する。第1感圧接着層の凹凸表面を被着体表面に接触させ、必要に応じて加圧することで、粘着シートが被着体に接着される。
【0018】
いくつかの実施態様では、第1感圧接着層の凹凸表面の間隙は空気抜け性に好適な形状及び深さを有しており、粘着シートを平滑面に容易に設置することができる。
【0019】
図1A及び図1Bに、本開示の一実施態様による粘着シート10の概略断面図及び概略斜視図をそれぞれ示す。粘着シート10は、剛性樹脂フィルム12と、剛性樹脂フィルム12の一方の面(図1Aでは下面)の上に配置された第1感圧接着層14とを含む。第1感圧接着層14は弾性樹脂微小球142及び粘着性バインダー144を含む。
【0020】
剛性樹脂フィルムは、第1感圧接着層の支持体として機能し、かつ、粘着シートの適用時に微小球の変形により生じた応力に抵抗して粘着シートの変形を防止し、その結果、粘着シートの外観を平滑に保つことに寄与する。被着体が凹凸表面を有する場合は、剛性樹脂フィルムは接着時に粘着シートが凹凸表面に過度に追従することを抑制し、凹凸表面の突起が粘着シートを貫通することを防止できる。粘着シートを垂直面に適用した場合、剛性樹脂フィルムは粘着シートの変形を抑制して、自重による剥離を防止することができる。
【0021】
剛性樹脂フィルムの厚みは約80μm以上、約500μm以下である。いくつかの実施態様では、剛性樹脂フィルムの厚みは約100μm以上又は約150μm以上、約400μm以下又は約300μm以下である。剛性樹脂フィルムの厚みを上記範囲とすることで、フィルム自身の有する剛性と組み合わされて、接着時に粘着シートの外観の平滑性を維持することができる。剛性樹脂フィルムの厚みが面内で異なる場合、本開示において剛性樹脂フィルムの厚みとは剛性樹脂フィルムの最小厚みを指す。
【0022】
いくつかの実施態様では、剛性樹脂フィルムの降伏弾性率は、約10MPa以上、約15MPa以上、又は約20MPa以上、約300MPa以下、約250MPa以下又は約200MPa以下である。剛性樹脂フィルムの降伏弾性率を上記範囲とすることで、フィルムの厚みと組み合わされて、接着時に粘着シートの外観の平滑性を維持することができる。降伏弾性率は、剛性樹脂フィルムを幅15mm、長さ100mmの長方形に切断して試験片を作製し、JIS K 7127に準拠して試験片の伸び特性を、引張試験機を用いて20℃、掴み間隔50mm、引張速度300mm/分の条件で測定したときの、降伏点における弾性率と定義される。
【0023】
いくつかの実施態様では、剛性樹脂フィルムの降伏弾性率と厚みの積は、約0.9×10N/m以上、約1.0×10N/m以上、又は約1.5×10N/m以上、約5×10N/m以下、約4×10N/m以下、又は約3×10N/m以下である。降伏弾性率と厚みの積は、剛性樹脂フィルムの曲げ剛性に比例する。剛性樹脂フィルムの降伏弾性率と厚みの積を上記範囲とすることで、剛性樹脂フィルムが接着時に粘着シートの外観の平滑性を維持するのに十分な曲げ剛性を有することができる。
【0024】
いくつかの実施態様では、剛性樹脂フィルムの2%引張強度は、約40N/25mm以上、約45N/25mm以上、又は約50N/25mm以上である。剛性樹脂フィルムの2%引張強度を上記範囲とすることで、接着時に粘着シートの外観の平滑性を維持することができ、粘着シートの破断又は破壊及びそれに伴う糊残りを生じさせずに粘着シートを除去することができる。2%引張強度は、剛性樹脂フィルムを幅25mm、長さ100mmの長方形に切断して試験片を作製し、引張試験機を用いて20℃、掴み間隔50mm、引張速度300mm/分の条件で測定したときの、2%伸びにおける引張強度と定義される。
【0025】
剛性樹脂フィルムの材料は特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂などが挙げられる。高い降伏弾性率と強度を有し、耐候性に優れ、比較的安価であることから、剛性樹脂フィルムとしてポリエステルフィルムを用いることが有利である。
【0026】
剛性樹脂フィルムに、装飾等を目的としたエンボス処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理などが施されていてもよい。表面処理を行うことで第1感圧接着層及び/又は第2感圧接着層と剛性樹脂フィルムの密着性を高めることができる。表面処理により剛性樹脂フィルム表面の濡れ性を制御して、後述するように、微小球のクラスター形成を促進することもできる。
【0027】
剛性樹脂フィルムは延伸フィルムであってもよく非延伸フィルムであってもよい。剛性樹脂フィルムは延伸フィルム、特に2軸延伸フィルムであることが、フィルムの剛性及び引張強度を有利に高めることができる。
【0028】
剛性樹脂フィルムはその他の任意成分、例えばフィラー、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含んでもよい。
【0029】
第1感圧接着層は剛性樹脂フィルムの上に直接配置されてもよく、剛性樹脂フィルムの上方に配置、すなわち剛性フィルム上の他の層、例えば印刷層、金属蒸着層などの装飾層、金属層、追加の樹脂フィルム層などの上に配置されてもよい。
【0030】
第1感圧接着層は体積平均粒径110μm以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む。本開示において「弾性樹脂微小球」とは、樹脂で形成された球状の材料であって、通常は微小球全体としてゴム弾性を示すものとして定義される。微小球の存在に起因して、第1感圧接着層は、その接着面(被着体表面と対向する面)に凹凸表面を有する。粘着シートの接着時に微小球は変形して、例えば粘着シートの厚み方向に潰れて、第1感圧接着層の被着体表面との接触面積が増大し、粘着シートが被着体表面に接着する。微小球の体積平均粒径は比較的大きいため、厚い感圧接着層が接着力に優れることに類似して、被着体との接触面積が比較的小さくても、微小球の有する弾性を利用して高い接着力を得ることができる。微小球及び/又は後述する微小球のクラスターにより形成される凹凸表面は、比較的大きな高低差を有していることから粗面との接触面積も大きくすることができ、それにより接着力を高めることができる。
【0031】
図2に、本開示の一実施態様の粘着シート10を、平滑面を有する基材200に適用したときの概略断面図を示す。微小球142は弾性を有するため基材200に適用したときに変形し、第1感圧接着層14の基材200との接触面積が増大する。このことにより粘着シート10は粗面だけでなく平滑面に対しても高い接着力を有する。
【0032】
一実施態様では微小球は粘着性である。粘着性の微小球を用いることで接着力をより高めることができる。
【0033】
微小球の体積平均直径は110μm以上である。いくつかの実施態様では、微小球の体積平均直径は、約125μm以上又は約130μm以上であり、約500μm以下又は約300μm以下である。体積平均直径が上記範囲の微小球を含む第1感圧接着層は、被着体表面に対して良好に追従して高い接着力を示すことができる。微小球の体積平均粒径は、レーザー回折粒度分析装置、例えばBeckman Coulter LS230を用いて測定することができる。
【0034】
微小球の圧縮弾性率は、20℃において、約1kPa以上、約100kPa以下であることが望ましい。微小球の圧縮弾性率を上記範囲とすることで、粗面への接着に有利なように、微小球又は微小球のクラスターを変形させることができる。微小球の圧縮弾性率は、微小球を所定の形状、例えばシリンダー状に成形した試料を作製し、粘弾性測定装置、例えばレオメトリックス社製RSAII粘弾性スペクトロメーターを用いて、周波数1rad/秒、圧縮歪みモード、測定温度範囲-80℃~150℃、昇温速度5.0℃/分で測定したときの20℃での測定値である。
【0035】
微小球は、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル系樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、又は天然ゴムを含むことができる。アクリル系樹脂は高い耐候性を有しており、粘着性の制御が容易であることから有利に使用される。
【0036】
微小球は、架橋樹脂を含んでもよく、非架橋樹脂を含んでもよい。一実施態様では、微小球は架橋樹脂を含む。架橋樹脂を含む微小球は形状保持性及び耐久性に優れていることから、粘着シートの接着及び脱着を繰り返すことができる。
【0037】
微小球は、中実粒子、1つ若しくは複数の空隙を内部に有する中空粒子、又はこれらの混合物を含むことができる。一実施態様では微小球は中実粒子である。
【0038】
微小球は、例えば懸濁重合、乳化重合、シード重合などの公知の重合方法により製造することができる。例えば、アクリル系樹脂を含む微小球は、以下の手順で懸濁重合により製造することができる。脱イオン水、モノマー混合物、ラジカル重合開始剤、任意の添加剤を機械式攪拌機付き反応装置に入れ、反応装置内を窒素ガスなどの不活性ガスでパージし、攪拌しながら所定温度に加熱してアクリル系モノマーの重合反応を行う。攪拌速度は通常10~700rpmであり、反応温度は通常30~120℃であり、反応時間は通常数時間から数十時間である。
【0039】
モノマー混合物は、一般にアルキルアクリレート(例えば、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート等)と、エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等)とを含む。アルキルアクリレート及びエチレン性不飽和結合を有するカルボン酸はそれぞれ1種であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸は、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して、一般に約1質量部以上、約10質量部以下の量で使用される。1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーを架橋剤として混合物に添加して、アクリル系樹脂を架橋してもよい。架橋剤の使用量は、モノマー混合物100質量部に対して、一般に約0.01質量部以上、又は約0.02質量部以上、約0.5質量部以下、又は約0.1質量部以下の量で使用される。アクリル系樹脂を含む微小球の製造方法は、例えば米国特許4,994,322号明細書に開示されている。重合して得られた微小球は、濾過により分離してもよく、反応終了後の微小球を含む水性分散液の状態で使用してもよい。
【0040】
微小球に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)は一般に室温より低く、例えば約-90℃以上、約-70℃以上、又は約-50℃以上、約0℃以下、約-10℃以下又は約-20℃以下である。ガラス転移温度は、モノマー混合物に含まれるモノマーの種類及び配合比により調節することができる。
【0041】
第1感圧接着層は粘着性バインダーを含む。粘着性バインダーは第1感圧接着層に接着性を付与し、粘着シートからの微小球の脱落を抑制する。図1A及び図1Bでは、微小球142又は後程詳述する微小球142のクラスター146はバインダー144中に分散し、バインダー144を介して粘着シート10に固定されている。図1A及び図1Bに示す実施態様では、微小球142又はクラスター146の表面は粘着性バインダー144により被覆されている。
【0042】
粘着性バインダーとしてアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂を使用することができる。粘着性バインダーは粘着付与剤を含んでもよく、架橋されていてもよい。一実施態様では、微小球の被着体表面と対向する領域の少なくとも一部が粘着性バインダーで被覆されていることが、バインダーの有する高い接着力を利用できる点で有利である。一実施態様ではバインダーはアクリル系粘着剤である。バインダーがアクリル系粘着剤であり、微小球がアクリル系樹脂を含む場合、バインダーと微小球の化学親和性が高いため、微小球の脱落をより確実に防止することができる。本開示における「粘着(性)」とは常温で短時間わずかな圧力を加えただけで接着性を示す材料の性質を意味しており、「感圧接着」と相互に交換可能に使用される。
【0043】
一実施態様では、微小球は粘着性バインダー100質量部に対して約5質量部以上、約10質量部以上、又は約15質量部以上、約200質量部以下、約180質量部以下、又は約160質量部以下の量で、第1感圧接着層に含まれる。微小球の含有量を上記範囲とすることで、粗面に対しても良好な接着性を示す凹凸表面を第1感圧接着層上に形成することができる。
【0044】
一実施態様では、第1感圧接着層における粘着性バインダーと微小球の質量比は、40:60以上、90:10以下である。粘着性バインダーと微小球の質量比を上記範囲とすることで、粗面に対しても良好な接着性を示す凹凸表面を第1感圧接着層上に形成することができる。
【0045】
第1感圧接着層は、その他の任意成分、例えばフィラー、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含んでもよい。これらの任意成分は粘着性バインダー中に溶解又は分散させることができる。一実施態様では第1感圧接着層は酸化チタンなどの白色顔料を含む。この実施態様では被着体表面を隠蔽することができる。
【0046】
一実施態様では、第1感圧接着層が、複数の微小球が凝集して形成された、微小球のクラスターを含む島状構造を有する。本開示において「微小球のクラスター」とは2個以上の微小球が凝集した塊であり、第1感圧接着層に不規則な形状及び不規則な配置の凸部を形成する、微小球の集合体である。クラスターは、粘着シートの平面方向に配列した複数の微小球を含んでもよく、粘着シートの厚み方向に積み重なった複数の微小球を含んでもよく、これらの組み合わせを含んでもよい。クラスターにより形成される島状構造には粘着性バインダーが含まれてもよい。島状構造の周囲には、クラスターを含まず粘着性バインダーのみを含む、比較的平坦な海部分が存在する。図1A及び図1Bでは複数の微小球142が凝集して形成されたクラスター146を粘着性バインダー144が被覆しており、これらのクラスター(図1Aでは3つ)により粘着性の凸部として機能する島状構造が描かれている。
【0047】
粘着シートの被着体への貼り付け操作中にクラスター内の微小球が圧力で変形することで、粘着性の凸部は被着体表面に接着するのに適した形状に変形する。変形の程度は、第1感圧接着層の厚み及び塗布重さ、微小球の圧縮弾性率、微小球及び粘着性バインダーの配合比などにより制御することができる。
【0048】
一実施態様では、クラスターは微小球を2個以上、約5個以上、又は約10個以上、約200個以下、約150個以下又は約100個以下含む。クラスターに含まれる微小球の個数が上記範囲であることにより、被着体表面に対する追従性を高めつつ、粘着性の面内ばらつきを抑制することができる。クラスター全数のうち、上記個数の微小球を含むクラスターの数が80%以上であることが望ましい。第1感圧接着層における微小球のクラスターの形成、その形状、サイズなどは、光学顕微鏡の反射光を用いて、通常10~100倍の倍率にて確認することができる。
【0049】
粘着シートは、例えば必要に応じて表面処理を行った剛性樹脂フィルム又は剛性樹脂フィルム上のその他の層の表面に、微小球及び粘着性バインダー、並びに任意成分である溶媒、その他の添加剤などを含む感圧接着層組成物を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥することにより形成することができる。感圧接着層組成物の調製は、成分をホモミキサー、プラネタリーミキサー等の混合装置を用いて行うことができる。塗布は、例えばナイフコーター、グラビコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター等により行うことができる。塗布後の溶媒の乾燥は、例えば温度60℃~120℃で数十秒~10分間行うことができる。
【0050】
溶媒として水、有機溶媒又はこれらの混合物である水系溶媒を用いることができる。クラスター形成には水又は水系溶媒を用いることが有利である。水系溶媒として、例えば3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルエステルと水との混合物が挙げられる。
【0051】
添加剤として本発明の効果を損なわない範囲において公知のものが使用でき、例えば粘度調製剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料等が挙げられる。
【0052】
感圧接着層の乾燥塗布重さは、一般に約15g/m以上、約20g/m以上、又は約25g/m以上、約200g/m以下、約180g/m以下、又は約160g/m2以下である。乾燥塗布重さを上記範囲とすることで、高い接着力を有しつつ再配置性に優れた第1感圧接着層を形成することができる。
【0053】
感圧接着層組成物の粘度、及び/又は感圧接着層組成物が塗布される表面の濡れ性を調整することで、微小球のクラスターの形成を促進し、クラスターの形状、配置及び大きさを制御することができる。微小球は溶媒と粘着性バインダーを含む組成物中に分散しており、溶媒乾燥時に微小球が溶媒に溶解した粘着性バインダー成分に引きずられて移動し、凝集してクラスターが形成される。
【0054】
感圧接着層組成物の粘度を約100mPa・s以上、又は約150mPa・s以上、約6000mPa・s以下、又は約5000mPa・s以下とすることが、クラスター形成の促進に有利である。
【0055】
感圧接着層組成物が塗布される表面の濡れ性は、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー処理、酸又はアルカリ処理等の表面処理により、あるいは剛性樹脂フィルムに含まれる添加剤の種類及び量により、組成物の塗布ムラを抑制しつつクラスターが形成されるように制御することができる。
【0056】
第1感圧接着層の表面を剥離ライナーにより保護してもよい。第1感圧接着層の接着力に応じて、剥離ライナーの表面に剥離処理を施してもよく、非処理の剥離ライナーを使用することもできる。例えば、剥離ライナーとして厚み80~200μmの非処理ポリエチレンフィルムを使用することができる。
【0057】
第1感圧接着層の厚みは、第1感圧接着層表面にフィルムを貼り付けて微小球が変形した状態で測定した場合に、一般に約65μm以上、約70μm以上、又は約75μm以上、約220μm以下、約200μm以下、又は約180μ以下である。第1感圧接着層の厚みを上記範囲とすることで、被着体表面への接着力を高めることができる。
【0058】
第1感圧接着層は凹凸表面を有し面内の厚みは不均一であるため、第1感圧接着層は最大厚みと最小厚みを有する。第1感圧接着層の最小厚みは一般に微小球を含まない粘着性バインダー領域の厚みである。第1感圧接着層の最大厚みと最小厚みの差は、第1感圧接着層の凹凸表面のトポグラフィー(表面の形状又は特徴)を示す指標の一つであり、特に粗面に対する接着性に関係する。いくつかの実施態様では、第1感圧接着層の最大厚みと最小厚みの差は、約50μm以上、約70μm以上、又は約90μm以上、約400μm以下、約350μm以下、又は約300μm以下である。第1感圧接着層の最大厚みと最小厚みの差を上記範囲とすることで、例えば高さ1~2mmの突起を有する粗面に対しても粘着シートを接着することができる。
【0059】
第1感圧接着層の凹凸表面の60度光沢度は、第1感圧接着層の凹凸表面のトポグラフィーを示すもう一つの指標であり、特に粗面に対する接着性に関係する。いくつかの実施態様では、第1感圧接着層の60度光沢度は、約3以上、約4以上、又は約5以上、約60以下、約55以下、又は約50以下である。第1感圧接着層の60度光沢度を上記範囲とすることで、例えば高さ1~2mmの突起を有する粗面に対しても高い接着力で粘着シートを接着することができる。60度光沢度は、JIS Z8741に準拠して測定した値と定義される。
【0060】
いくつかの実施態様では、剛性樹脂フィルムの厚みは微小球の体積平均粒径の約0.2倍以上、約0.25倍以上、又は約0.3倍以上、約7倍以下、約6.5倍以下、又は約6倍以下である。上記条件を満たすように剛性樹脂フィルムの厚みを選択することで、粘着シートの適用時に微小球の変形により生じた応力に対して、粘着シートの変形を十分に防止して、粘着シートの外観をより平滑に保つことができる。
【0061】
粘着シートは公知の方法で被着体表面に適用することができる。適用時に粘着シートをローラーなどで被着体表面に対して押し付けてもよく、手で擦ってもよい。粘着シートは適用時に一旦変形することがあるが、経時で形状を復元して平滑な表面を提供することができる。一実施態様では、粘着シートはモルタル、コンクリートなどの粗面に適用され、適用された後に平滑な外観を呈する。
【0062】
粘着シートの接着力は被着体表面によって様々であるが、180度剥離力で表したときに、例えば約0.5N/25mm以上、又は約1N/25mm以上、約50N/25mm以下、又は約25N/25mm以下である。粘着シートは剛性樹脂フィルムを有することから曲げ方向に変形しにくく、粘着シートの剥離を開始するのに必要な力が剥離開始位置に集中しない。そのため、180度剥離力が小さい場合であっても、粘着シートを被着体表面に保持することができる。180度剥離力は、粘着シートを幅25mm、長さ150mmの長方形に切断して試験片を作製し、JIS Z 0237 8.2.3.に準拠して被着体表面の上に20℃で貼り付けた後、20℃で24時間放置し、引張試験機を用いて20℃、300mm/分の剥離速度で180度剥離を行ったときの接着力として定義される。
【0063】
粘着シートと被着体を貼りあわせた構造における剪断力は被着体表面によって様々であるが、例えば約0.05MPa以上、又は約0.10MPa以上、約1.5MPa以下、又は約1.0MPa以下である。粘着シートは特に粗面に対して適用したときに高い剪断力を示すことができる。いかなる理論に拘束される訳ではないが、これは第1感圧接着層の凹凸表面と粗面の凹凸とが噛み合うためであると考えられる。高い剪断力は粘着シートを垂直面に適用するときに粘着シートの自重によるずれを防止するのに有利である。剪断力は、粘着シートを幅25mm、長さ60mmの長方形に切断して試験片を作製し、接触領域が25mm×12mmとなるように、試験片を幅25mm、長さ60mm、厚み1mmのアルミニウムパネルの上に23℃でローラーを用いて貼り付けた後、20℃で24時間放置し、引張試験機を用いて20℃、引張速度50mm/分で測定したときの接着力として定義される。
【0064】
一実施態様の粘着シートは再配置性を有する。微小球の存在に起因した凹凸表面を有する第1感圧接着層は、粘着シートに再配置性を付与することができる。
【0065】
粘着シートは、任意の構成要素、例えば剛性樹脂フィルムの一方の面上若しくは他方の面上、又はそれらの上方に設けられた表面保護層、印刷層、金属蒸着層などの装飾層、これらの層を接着する接着層、追加の樹脂フィルム層などをさらに有してもよい。
【0066】
一実施態様では、粘着シートは透明樹脂フィルムを含み、透明樹脂フィルムはその表面に印刷されたグラフィック画像を有する。
【0067】
剛性樹脂フィルムは、他方の面に第2感圧接着層を有してもよい。第2感圧接着層により剛性樹脂フィルムと、透明樹脂フィルム又は他の層例えば金属層とを接着することができる。グラフィック画像は透明樹脂フィルムと第2感圧接着層の間に位置してもよい。このことによりグラフィック画像を透明樹脂フィルムで保護することができる。
【0068】
図3に、本開示の別の実施態様による粘着シート10の概略断面図を示す。粘着シート10は、剛性樹脂フィルム12の他方の面(図3では上面)の上に配置された第2感圧接着層24と、透明樹脂フィルム22とを含む。透明樹脂フィルム22の表面(図3では下面)には、グラフィック画像26が印刷されている。グラフィック画像26は透明樹脂フィルム22と第2感圧接着層24の間に位置している。
【0069】
透明樹脂フィルムの材料は特に限定されないが、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂などが挙げられる。耐候性及び透明性に優れていることから、透明樹脂フィルムとしてアクリル系樹脂フィルムを用いることが有利である。
【0070】
透明樹脂フィルムの厚みは様々であってよく、例えば約25μm以上又は約40μm以上、約500μm以下又は約300μm以下とすることができる。
【0071】
透明樹脂フィルムに、装飾等を目的としたマット処理、エンボス処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理などが施されていてもよい。透明樹脂フィルムはその表面にレセプター層を有してもよく、レセプターフィルムであってもよい。レセプター層を有する又はレセプターフィルムである透明樹脂フィルムを用いることで、インクジェット印刷などを用いてグラフィック画像を透明樹脂フィルム上に直接形成することができる。透明樹脂フィルムはその他の任意成分、例えばフィラー、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含んでもよい。
【0072】
透明樹脂フィルムは無色であってもよく、着色されていてもよい。いくつかの実施態様では、透明樹脂フィルムの全光線透過率は、波長範囲400~700nmにおいて、約85%以上、又は約90%以上である。本開示における全光線透過率はJIS K 7361-1:1997(ISO 13468-1:1996)に準拠して決定することができる。
【0073】
グラフィック画像は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、静電印刷などを用いて透明樹脂フィルムに印刷されたものであってよい。
【0074】
第2感圧接着層は、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂を含有する感圧接着剤組成物を用いて形成することができる。第2感圧接着層は粘着付与剤を含んでもよく、架橋されていてもよい。一実施態様では第2感圧接着層は酸化チタンなどの白色顔料を含む。この実施態様では被着体表面を隠蔽することができる。
【0075】
第2感圧接着層の厚みは様々であってよく、例えば約10μm以上、約20μm以上又は約30μm以上、約200μm以下又は約100μm以下とすることができる。
【0076】
このようなグラフィック画像を有する粘着シートは、例えば以下の手順で製造することができる。剛性樹脂フィルム及び第1感圧接着層を有する粘着シートを用意する。次に、必要に応じて剛性樹脂フィルムの表面又は剛性樹脂フィルム上のその他の層の表面を表面処理し、これらの表面に感圧接着層組成物を塗布し、乾燥することにより第2感圧接着層を形成する。透明樹脂フィルムの一方の表面にインクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などを用いてグラフィック画像を印刷する。透明樹脂フィルムのグラフィック画像印刷面と第2感圧接着層が対向するように、透明樹脂フィルムと粘着シートを積層する。必要に応じて透明樹脂フィルムの非印刷面にバッキングを配置してもよく、第1感圧接着層の上に剥離ライナーを配置してもよい。必要に応じて第2感圧接着層と透明樹脂フィルムの間の密着性を高めるため、透明樹脂フィルムの表面にコロナ処理、プライマー処理などを施してもよい。
【0077】
グラフィック画像を有する粘着シートは以下の手順で製造することもできる。剛性樹脂フィルムの表面上に第2感圧接着層を形成し、第2感圧接着層上に剥離ライナーを貼り合わせる。次に、剛性樹脂フィルムの反対面に第1感圧接着層を形成し、第1感圧接着層の上に剥離ライナーを貼り合わせる。第2感圧接着層上の剥離ライナーを除去した後、グラフィック画像が印刷された透明樹脂フィルムを第2感圧接着層上に積層する。
【0078】
透明樹脂フィルムが剛性樹脂フィルムであってもよい。図4に、本開示のさらに別の実施態様による粘着シート10の概略断面図を示す。粘着シート10は、透明樹脂フィルム22でもある剛性樹脂フィルム12と、剛性樹脂フィルム12上に印刷されたグラフィック画像26と、接着層34と、追加の樹脂フィルム層32と、第1感圧接着層14とを含む。接着層34は第2感圧接着層と同様のものであってよく、酸化チタンなどの白色顔料を含んでもよい。追加の樹脂フィルム層として、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂などのフィルムが挙げられ、その厚みは様々であってよく、例えば約25μm以上又は約40μm以上、約500μm以下又は約300μm以下とすることができる。透明樹脂フィルムと追加の樹脂フィルムの合計厚みが80μm以上500μm以下であることで、これらのフィルムが協働して剛性樹脂フィルムとして機能してもよい。
【0079】
剛性樹脂フィルムはその表面にレセプター層を有してもよく、レセプターフィルムであってもよい。一実施態様ではレセプター層又はレセプターフィルムはアクリル系樹脂を含む。レセプター層を有する又はレセプターフィルムである剛性樹脂フィルムを用いることで、インクジェット印刷などを用いてグラフィック画像を剛性樹脂フィルム上に直接形成することができる。レセプター層は接着層を介して剛性樹脂フィルムに積層されていてもよい。
【0080】
図5に、本開示のさらに別の実施態様による粘着シート10の概略断面図を示す。粘着シート10は、透明樹脂フィルム22と、透明接着層36と、グラフィック画像26と、グラフィック画像26を受容するレセプター層38と、剛性樹脂フィルム12と、第1感圧接着層14とを含む。透明接着層36は透明であることを条件として第2感圧接着層と同様のものであってよい。
【0081】
図6に、本開示のさらに別の実施態様による粘着シート10の概略断面図を示す。粘着シート10は、透明樹脂フィルム22と、透明接着層36と、グラフィック画像26と、グラフィック画像26を受容するレセプター層38と、接着層34と、剛性樹脂フィルム12と、第1感圧接着層14とを含む。接着層34は第2感圧接着層と同様のものであってよく、酸化チタンなどの白色顔料を含んでもよい。透明接着層36は透明であることを条件として第2感圧接着層と同様のものであってよい。レセプター層38は透明なアクリル系樹脂フィルムであってよい。
【0082】
粘着シートは金属層をさらに含んでもよい。金属層を用いることにより、粘着シートに低燃焼性、難燃性又は不燃性(以下、合わせて「不燃性」という。)を付与することができる。いかなる理論に拘束される訳ではないが、金属層は、それ自体が高い不燃性を有しており、粘着シートの構成要素の少なくとも一部を火炎、熱、酸素などから保護又は遮蔽できることから、粘着シートを全体として不燃性にすることができると考えられる。
【0083】
金属層は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、スチール、スチール合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、又はこれらの2種以上の組み合わせを含んでもよい。金属層は複数の金属層の積層体であってもよい。一実施態様では金属層は金属箔又は金属シートの形態で使用される。入手しやすく不燃性にも優れていることから、金属層はアルミニウム又はスチールを含むことが望ましく、安価で実用的な不燃性が得られることから、金属層はアルミニウムを含むことがより望ましい。
【0084】
いくつかの実施態様では、金属層の厚みは、約8μm以上、約10μm以上又は約15μm以上、約200μm以下、約150μm以下又は約100μm以下とすることができる。金属層の厚みを約8μm以上とすることで良好な不燃性を得ることができる。金属層の厚みを約200μm以下とすることで粘着シートの製造コストの不要な増大を避けることができる。
【0085】
金属層がアルミニウムを含む場合、金属層の厚みは、約12μm以上、約15μm以上又は約25μm以上とすることができ、約30μm以上、約40μm以上又は約50μm以上とすることでより優れた不燃性を得ることができる。
【0086】
一実施態様では、金属層は剛性樹脂フィルムの他方の面上又はその上方に、すなわち、剛性樹脂フィルムの第1感圧接着層が配置された面とは反対側の面に直接接触して又は他の層を介して配置される。この実施態様では、粘着シートを基材に適用したときに剛性樹脂フィルムは金属層と基材の間に位置する。そのため、粘着シートの構成要素のうち厚みが比較的大きく燃焼しやすい剛性樹脂フィルムを、金属層の存在により、効果的に火炎、熱、酸素などから保護又は遮蔽して、粘着シートに高い不燃性を付与することができる。
【0087】
図7に、本開示のさらに別の実施態様による粘着シート10の概略断面図を示す。粘着シート10は、剛性樹脂フィルム12の一方の面(図7では下面)の上に配置された第1感圧接着層14と、剛性樹脂フィルム12の他方の面(図7では上面)の上方に配置された金属層42とを含む。金属層42は第2感圧接着層24を介して剛性樹脂フィルム12に接着されている。粘着シート10は、剛性樹脂フィルム12の他方の面の上方に透明樹脂フィルム22をさらに含み、透明樹脂フィルム22の表面(図7では下面)には、グラフィック画像26が印刷されている。透明樹脂フィルム22は接着層34を介して金属層42に接着され、グラフィック画像26は透明樹脂フィルム22と接着層34の間に位置している。粘着シート10を基材に適用すると、剛性樹脂フィルム12は金属層42と基材の間に位置して、粘着シート10の最表面(図7では透明樹脂フィルム22の上面)が最初に暴露される火炎、熱、酸素などから金属層42によって保護又は遮蔽され、厚みが比較的大きく燃焼しやすい剛性樹脂フィルム12への延焼を防止又は抑制することができる。接着層34は第2感圧接着層24と同様のものであってよく、酸化チタンなどの白色顔料を含んでもよい。
【0088】
一実施態様では、金属層と装飾層の間に配置される接着層(図7では金属層42とグラフィック画像26の間に配置される接着層34)は酸化チタンなどの白色顔料を含む。この実施態様では金属層の色調を隠蔽して装飾層の意匠性を維持する又は向上させることができる。
【0089】
いくつかの実施態様において、金属層を含む粘着シートの総発熱量は、20分間の合計で例えば約10MJ/m以下、好ましくは約8MJ/m以下、さらに好ましくは約6MJ/m以下である。本開示における総発熱量は、ISO 5660-1に準拠してコーンカロリメータ法を用いて測定することができる。防火材料規格値によれば、粘着シートは、その総発熱量が、5分間の合計で8MJ/m以下であれば難燃材料、10分間の合計で8MJ/m以下であれば準不燃材料、20分間の合計で8MJ/m以下であれば不燃材料にそれぞれ分類される。
【0090】
不燃性を有する粘着シートの厚みをより薄くすることでその不燃性をより高めることができる。いくつかの実施態様では、不燃性を有する粘着シートの厚みを約500μm以下、約300μm以下、又は約150μm以下とすることができる。
【0091】
粘着シートを構成する層は不燃性添加剤を含有してもよい。不燃性添加剤として、臭素化合物、リン化合物、塩素化合物、アンチモン化合物、金属水酸化物、窒素化合物などが挙げられる。臭素化合物として、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル(DBDPE、DBDPO)、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、ヘキサブロモベンゼンなどを使用することができる。リン化合物として、トリフェニルホスフェートなどの芳香族のリン酸エステル、赤リン、ハロゲンを含むリン酸エステルなどを使用することができる。塩素化合物として、塩素化パラフィンなどを使用することができる。アンチモン化合物として、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどを使用することができる。金属水酸化物として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどを使用することができる。窒素化合物として、メラミンシアヌレートなどを使用することができる。不燃性添加剤の配合量は、粘着シートに所望される特性、例えば接着性、意匠性、透明性などを損なわない範囲で適宜決定することができる。
【0092】
粘着シートは様々な用途及び表面に使用することができる。一例として、建築物などの壁面、床面、天井面などに貼り付けて使用されるグラフィックシートが挙げられる。特に、粘着シートが、モルタル、コンクリート、壁紙等で表面が覆われ、凹凸の程度が大きく、凹凸の形状及び寸法が不規則な表面と平滑な表面のいずれにも適用される場合に有用である。
【0093】
粘着シートは、照明看板用のグラフィックシートとしても好適に使用することができる。照明看板に使用される粘着シートは、粘着シートの背面に位置する照明からの光の少なくとも一部を透過する領域を含む。ガラス、プラスチックなどで作られた照明看板のパネルの上に粘着シートを取り付けることで、照明の消灯時及び点灯時に観察できる装飾を照明看板に付与することができる。粘着シートが再配置性を有する場合は、不要になった粘着シートを照明看板から容易に除去し、必要に応じて新たな粘着シートを照明看板に貼り付けることができる。
【0094】
いくつかの実施態様では、粘着シートの全光線透過率は、粘着シート全面で平均して約5%以上、約7%以上、又は約10%以上、約90%以下、約60%以下、又は約30%以下とすることができる。
【実施例
【0095】
粘着シートの作製に使用した材料を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
<弾性樹脂微小球1の調製-LSA1>
弾性樹脂微小球1(LSA1)を以下の手順で調製した。1リットルのバッフル板付きガラスフラスコに1.5gのポリビニルアルコール(ケン化度約88mol%、粘度約44mPa・s、pH約6)及び279gの脱イオン水を加えて、IR撹拌機を用いて45℃に昇温して撹拌機で混合した。ポリビニルアルコールの粒子が完全に水に溶解した後、141gの2-エチルヘキシルアクリレート、9gのアクリル酸、及び0.0375gの1,4-ブタンジオールジアクリレートをジャーに入れたプレミックスをフラスコに流し入れ、撹拌速度350rpmで45mmサイズのインペラーブレードを用いて撹拌し、窒素ガスを混合物中にバブリングしながらフラスコを再度45℃に加熱した。45℃になった時点で、0.45gの2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)を混合物に添加した。AVNを添加してから約1時間で重合は開始しており、発熱反応に伴って温度が上昇していた。温度上昇が停止したら、温度設定を65℃に上げて、重合開始から3時間その温度を保持した。その後冷却して、得られたポリマー懸濁液を#16金属メッシュを通して濾過した。得られた微小球の体積平均粒径は、Beckman Coulter LS230レーザー回折粒度分析装置を用いて測定した。LSA1の体積平均粒径は約200マイクロメートルであった。レオメトリックス社製RSAII粘弾性スペクトロメーター(Advanced Rheometric Expansion System(ARES))を用いて、LSA1の粘弾性測定を行なった。25℃における剪断貯蔵弾性率は7×10dyn/cmであり、圧縮弾性率としては約2.3×10Paであった。
【0098】
<弾性樹脂微小球2の調製-LSA2>
全ての原料の量をLSA1の1.5倍とした以外はLSA1と同様の手順でLSA2を調製した。LSA2の体積平均粒径は約220マイクロメートルであった。
【0099】
<弾性樹脂微小球3の調製-LSA3>
撹拌速度を350rpmの代わりに425rpmとした以外はLSA2と同様の手順でLSA3を調製した。LSA3の体積平均粒径は約153マイクロメートルであった。
【0100】
<弾性樹脂微小球4の調製-LSA4>
全ての原料の量をLSA1の10倍とし、撹拌速度を153rpmとした以外はLSA1と同様の手順でLSA4を調整した。LSA4の体積平均粒径は約204マイクロメートルであった。
【0101】
<弾性樹脂微小球5の調製-LSA5>
ポリビニルアルコールを、ケン化度約88mol%、粘度約95mPa・s、pH約6のポリビニルアルコールに変更し、撹拌速度を457rpmとした以外はLSA1と同様の手順でLSA5を調整した。LSA5の体積平均粒径は約133マイクロメートルであった。
【0102】
<弾性樹脂微小球6の調製-LSA6>
撹拌速度を401rpmとした以外はLSA5と同様の手順でLSA6を調整した。LSA6の体積平均粒径は約174マイクロメートルであった。
【0103】
<弾性樹脂微小球7の調製-MSA1>
弾性樹脂微小球7(MSA1)を以下の手順で調製した。1リットルのバッフル板付きガラスフラスコに9.66gのネオペレックスG-15(花王株式会社(日本国東京都中央区))及び279gの脱イオン水を加えて、IR撹拌機を用いて45℃に昇温して撹拌機で混合した。141gのイソオクチルアクリレート、9gのアクリル酸、及び0.0375gの1,4-ブタンジオールジアクリレートをジャーに入れたプレミックスをフラスコに流し入れ、撹拌速度450rpmで45mmサイズのインペラーブレードを用いて撹拌し、窒素ガスを混合物中にバブリングしながらフラスコを再度45℃に加熱した。45℃になった時点で、0.45gの2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)を混合物に添加した。AVNを添加してから約1時間で重合は開始しており、発熱反応に伴って温度が上昇していた。温度上昇が停止したら、温度設定を65℃に上げて、重合開始から3時間その温度を保持した。その後冷却して、得られたポリマー懸濁液を#16金属メッシュを通して濾過した。得られた微小球の体積平均粒径は、Beckman Coulter LS230レーザー回折粒度分析装置を用いて測定した。MSA1の体積平均粒径は約32マイクロメートルであった。
【0104】
<例1>
LSA1と粘着剤A1を混合して第1感圧接着層溶液を調製した。LSA1とA1の質量比は固形分比で50:100(33:67)であった。第1感圧接着層溶液の固形分は約46%であった。第1感圧接着層溶液と架橋剤CL1を混合した。A1とCL1の質量比は固形分比で100:0.09であった。混合物をポリエステルフィルム1(PET1)上にナイフコーターで塗布した。塗布された第1感圧接着層を95℃で5分間乾燥した。乾燥後の第1感圧接着層の厚みは114μmであり、第1感圧接着層の表面は凹凸形状を有していた。第1感圧接着層の乾燥塗布重さは42g/mであった。第1感圧接着層の凹凸表面を剥離ライナー(無処理ポリエチレンフィルム、厚み100μm)と貼り合わせた。特開2014-172320号公報の例1記載の方法で調製した接着剤組成物を用いて形成した厚み30μmの白色感圧接着層をPET1の第1感圧接着層の反対面に積層した。ポリエステルキャリアに積層された厚み50μmの透明アクリルフィルムを準備した。透明アクリルフィルムの露出面に溶剤インクジェットインクをインクジェット印刷した後、印刷面と白色感圧接着層を貼り合わせ、ポリエステルキャリアを剥離して、例1の粘着シートを得た。
【0105】
<例2>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを72g/mに変更した以外は例1と同様にして例2の粘着シートを作製した。
【0106】
<例3>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを91g/mに変更した以外は例1と同様にして例3の粘着シートを作製した。
【0107】
<例4>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを110g/mに変更した以外は例1と同様にして例4の粘着シートを作製した。
【0108】
<例5>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを142g/mに変更した以外は例1と同様にして例5の粘着シートを作製した。
【0109】
<例6>
LSA1とA1の質量比を固形分比で100:100(50:50)とし、第1感圧接着層の乾燥塗布重さを114g/mに変更した以外は例1と同様にして例6の粘着シートを作製した。
【0110】
<例7>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを150g/mに変更した以外は例6と同様にして例7の粘着シートを作製した。
【0111】
<例8>
LSA1をLSA2に変更し、第1感圧接着層の乾燥塗布重さを38g/mに変更した以外は例1と同様にして例8の粘着シートを作製した。
【0112】
<例9>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを39g/mに変更した以外は例8と同様にして例9の粘着シートを作製した。
【0113】
<例10>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを54g/mに変更した以外は例8と同様にして例10の粘着シートを作製した。
【0114】
<例11>
LSA1をLSA3に変更し、第1感圧接着層の乾燥塗布重さを20g/mに変更した以外は例1と同様にして例11の粘着シートを作製した。
【0115】
<例12>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを79g/mに変更した以外は例11と同様にして例12の粘着シートを作製した。
【0116】
<例13>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを80g/mに変更した以外は例11と同様にして例13の粘着シートを作製した。
【0117】
<例14>
PET1を厚み100μmのポリエステルフィルム2(PET2)に変更し、第1感圧接着層の乾燥塗布重さを75g/mに変更した以外は例1と同様にして例14の粘着シートを作製した。
【0118】
<例15>
PET1を厚み300μmのポリオレフィンフィルム2(PO2)に変更し、第1感圧接着層の乾燥塗布重さを75g/mに変更した以外は例1と同様にして例15の粘着シートを作製した。
【0119】
<例16>
LSA1をLSA4に変更し、第1感圧接着層の乾燥塗布重さを41g/mに変更した以外は例1と同様にして例16の粘着シートを作製した。
【0120】
<例17>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを67g/mに変更した以外は例16と同様にして例17の粘着シートを作製した。
【0121】
<例18>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを88g/mに変更した以外は例16と同様にして例18の粘着シートを作製した。
【0122】
<例19>
LSA1をLSA5に変更し、第1感圧接着層の乾燥塗布重さを41g/mに変更した以外は例1と同様にして例19の粘着シートを作製した。
【0123】
<例20>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを52g/mに変更した以外は例19と同様にして例20の粘着シートを作製した。
【0124】
<例21>
LSA1をLSA6に変更し、第1感圧接着層の乾燥塗布重さを65g/mに変更した以外は例1と同様にして例21の粘着シートを作製した。
【0125】
<例22>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを80g/mに変更した以外は例21と同様にして例22の粘着シートを作製した。
【0126】
<例23>
第1感圧接着層の乾燥塗布重さを99g/mに変更した以外は例21と同様にして例23の粘着シートを作製した。
【0127】
<比較例1>
MSA1とA1を混合して感圧接着剤溶液を準備した。MSA1とA1の質量比は固形分比で25:100(20:80)であった。感圧接着剤溶液の固形分は約46%であった。感圧接着剤溶液とCL1を混合した。A1とCL1の質量比は固形分比で100:0.09であった。混合物をPET1上にナイフコーターで塗布した。塗布された感圧接着層を95℃で5分間乾燥した。乾燥後の感圧接着層の厚みは16μmであり、感圧接着層の表面は凹凸形状を有していた。感圧接着層の乾燥塗布重さは18g/mであった。感圧接着層の凹凸表面を剥離ライナー(無処理ポリエチレンフィルム、厚み100μm)と貼り合わせた。例1で使用した厚み30μmの白色感圧接着層をPET1の感圧接着層の反対面に積層した。ポリエステルキャリアに積層された厚み50μmの透明アクリルフィルムを準備した。透明アクリルフィルムの露出面に溶剤インクジェットインクをインクジェット印刷した後、印刷面と白色感圧接着層を貼り合わせ、ポリエステルキャリアを剥離して比較例1の粘着シートを得た。
【0128】
<比較例2>
両面接着テープKRT-15(スリーエムジャパン株式会社(日本国東京都品川区))を感圧接着層として用いた以外は例1と同様にして比較例2の粘着シートを作製した。
【0129】
<比較例3>
アクリルフォーム両面接着テープVHB 4481MH(スリーエムジャパン株式会社(日本国東京都品川区))を感圧接着層として用いた以外は例1と同様にして比較例3の粘着シートを作製した。
【0130】
<比較例4>
PET1を厚み300μmのポリオレフィンフィルム1(PO1)に変更し、感圧接着層の乾燥塗布重さを69g/mに変更した以外は、例1と同様にして比較例4の粘着シートを作製した。
【0131】
<比較例5>
PET1を厚み75μmのポリエステルフィルム3(PET3)に変更し、感圧接着層の乾燥塗布重さを75g/mに変更した以外は例1と同様にして比較例5の粘着シートを作製した。
【0132】
<比較例6>
PET1を厚み50μmのポリエステルフィルム4(PET4)に変更し、感圧接着層の乾燥塗布重さを75g/mに変更した以外は例1と同様にして比較例6の粘着シートを作製した。
【0133】
<比較例7>
LSA1をMS1に変更し、MS1の添加量を30質量部に変更し、乾燥塗布重さを19g/mに変更した以外は例1と同様にして比較例7の粘着シートを作製した。
【0134】
<比較例8>
乾燥塗布重さを28g/mに変更した以外は比較例7と同様にして比較例8の粘着シートを作製した。
【0135】
<例24>
PET1の片面に厚み30μmの透明アクリルフィルムを積層した画像受容フィルムを準備した。透明アクリルフィルム面に溶剤インクジェットインクをインクジェット印刷した後、比較例6の白色感圧接着層を貼り合わせて、例24の粘着シートを得た。
【0136】
感圧接着層、剛性樹脂フィルム及び粘着シートを以下の手順で試験して評価した。
【0137】
<厚み>
サンプルの感圧接着層面を厚み50μmのポリエステルフィルムと貼り合わせて試験片とした。テスター産業株式会社製厚さ測定機TH-104で試験片全体の厚みを測定し、感圧接着層以外の厚みを差し引いて感圧接着層の厚みとした。厚みの測定は3点で行い、平均値をもって代表値とした。
【0138】
<最大厚み-最小厚み>
サンプルを約50mm×約25mmに切断し、ライナーを剥がして感圧接着層面を露出させた。Lasertec社製OPTELICS HYBRID顕微鏡で感圧接着層面を観測し、感圧接着層の最大厚みと最小厚みの差を測定した。観測倍率は20倍であった。
【0139】
<60度光沢度>
感圧接着層表面の60度光沢度を村上色彩研究所製ポータブル光沢計GMX-202で測定した。光沢度の測定は3点で行い、平均値をもって代表値とした。
【0140】
<降伏弾性率>
樹脂フィルムを幅15mm、長さ100mmの長方形に切断して試験片を作製した。JIS K 7127に準拠して試験片の伸び特性を引張試験機(テンシロン万能試験機、型番:RTC-1210A、株式会社エー・アンド・デイ(日本国東京都豊島区))を用いて20℃、掴み間隔50mm、引張速度300mm/分の条件で測定した。降伏点における弾性率を降伏弾性率とした。
【0141】
<2%引張強度>
樹脂フィルムを幅25mm、長さ100mmの長方形に切断して試験片を作製した。20℃における2%伸びの時点での引張強度を引張試験機(テンシロン万能試験機、型番:RTC-1210A、株式会社エー・アンド・デイ(日本国東京都豊島区))を用いて、20℃、掴み間隔50mm、引張速度300mm/分の条件で測定した。
【0142】
<外観1>
粘着シートを約150mm角に切断して試験片を作製した。試験片をメラミン塗装パネル(株式会社パルテック(日本国神奈川県平塚市))、モルタルパネル(株式会社パルテック(日本国神奈川県平塚市))、及びDI-NOC(登録商標)PS959フィルム(スリーエムジャパン株式会社(日本国東京都品川区))の上に23℃でローラーを用いて貼り付けた。基材上の試験片の表面が目視で平坦である場合に外観を「良好」とした。基材上の試験片の表面が目視で粗面に見える場合に外観を「不良」とした。DI-NOC(登録商標)PS959フィルム上の試験片の剥がれが目視で確認できた場合に外観を「不可」とした。
【0143】
<外観2>
粘着シートを約150mm角に切断して試験片を作製した。試験片をスタッコ塗装パネル(株式会社パルテック(日本国神奈川県平塚市))の上に23℃でローラーを用いて貼り付けた。試験片が貼り付けられたスタッコ塗装パネルを23℃で48時間垂直に保持した。基材上の試験片の表面が目視で平坦である場合に外観を「良好」とした。基材上の試験片の表面が目視で粗面に見える場合に外観を「不良」とした。スタッコ塗装パネル上の試験片の剥がれが目視で確認できた場合に外観を「不可」とした。
【0144】
<接着力>
試験片を幅25mm、長さ150mmの長方形に切断して試験片を作製した。試験片をメラミン塗装パネル、モルタルパネル、及びDI-NOC(登録商標)PS959フィルムの上に23℃で貼り付けた。貼り付け方法はJIS Z 0237 8.2.3.に準拠した。試験片を20℃で24時間放置した。引張試験機(テンシロン万能試験機、型番:RTC-1210A、株式会社エー・アンド・デイ(日本国東京都豊島区))を用いて20℃、300mm/分の剥離速度で180度剥離を行ったときの接着力を測定した。
【0145】
<空気抜け性>
粘着シートを約150mm角に切断して試験片を作製した。試験片をメラミン塗装パネル(株式会社パルテック(日本国神奈川県平塚市))の上に23℃でローラーを用いて貼り付けた。基材と試験片の界面に気泡が観察されない場合に空気抜け性を「良好」とした。基材と試験片の界面に気泡が観察された場合に空気抜け性を「不良」とした。
【0146】
<モルタルパネルからの除去性>
試験片を幅25mm、長さ150mmの長方形に切断して試験片を作製した。試験片をモルタルパネル(株式会社パルテック(日本国神奈川県平塚市))の上に23℃でローラーを用いて貼り付けた。試験片を23℃で48時間放置した。試験片を除去したときに、感圧接着剤残渣がモルタルパネル上に確認できない場合、除去性を「優良」とし、感圧接着剤残渣がモルタルパネル上に僅かに確認されたがイソプロパノールを用いて容易に清浄することができる場合、除去性を「良好」とし、試験片をモルタルパネルから除去するのが難しい場合、除去性を「不良」とした。「優良」及び「良好」は実用上許容である。
【0147】
<DI-NOC(登録商標)フィルムからの除去性>
試験片を幅25mm、長さ150mmの長方形に切断して試験片を作製した。試験片をDI-NOC(登録商標)PS959フィルムの上に23℃でローラーを用いて貼り付けた。試験片を23℃で48時間放置した。試験片を除去したときに、感圧接着剤残渣がDI-NOC(登録商標)PS959フィルム上に確認できない場合、除去性を「優良」とし、感圧接着剤残渣がDI-NOC(登録商標)PS959フィルム上に僅かに確認されたがイソプロパノールを用いて容易に清浄することができる場合、除去性を「良好」とし、試験片をDI-NOC(登録商標)PS959フィルムから除去するのが難しい場合、除去性を「不良」とした。「優良」及び「良好」は実用上許容である。DI-NOC(登録商標)PS959フィルムの表面粗さは約50μmであった。
【0148】
<剪断力>
試験片を幅25mm、長さ60mmの長方形に切断して試験片を作製した。接触領域が25mm×12mmとなるように、試験片を幅25mm、長さ60mm、厚み1mmのアルミニウムパネルの上に23℃でローラーを用いて貼り付けた。試験片を20℃で24時間放置した。引張試験機(テンシロン万能試験機、型番:RTC-1210A、株式会社エー・アンド・デイ(日本国東京都豊島区))を用いて剪断力を20℃、引張速度50mm/分の条件で測定した。2つの試験片(N=2)について測定して得られた剪断力の平均値を代表値とした。
【0149】
作製した粘着シートの詳細を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。表3において評価していない項目はNDと記載されている。
【0150】
【表2-1】
【0151】
【表2-2】
【0152】
【表3-1】
【0153】
【表3-2】
【0154】
サイディングボード上に適用された例17の粘着シートの写真を図8として示す。
【0155】
<例25>
例1の粘着シートを照明看板用グラフィックフィルムとして評価した。粘着シートの全光線透過率は13%であった。粘着シートを約300mm×約210mm角に切断して試験片とした。LEDポスターパネル「スカイライトV」(株式会社キャル(日本国東京都新宿区))の上に試験片を置いたところ、パネルと試験片の界面に気泡が混入することなく試験片をパネルに容易に貼り付けることができた。LED照明を消灯したときの外観(昼間外観)は粘着シートを白色紙の上に置いたときと同等であり、LED照明を点灯したときの外観(夜間外観)は昼間外観と同等であった。
【0156】
<例26>
LSA1と粘着剤A1を混合して第1感圧接着層溶液を調製した。LSA1とA1の質量比は固形分比で50:100(33:67)であった。第1感圧接着層溶液の固形分は約46%であった。第1感圧接着層溶液と架橋剤CL1を混合した。A1とCL1の質量比は固形分比で100:0.09であった。混合物をポリエステルフィルム1(PET1)上にナイフコーターで塗布した。塗布された第1感圧接着層を95℃で5分間乾燥した。乾燥後の第1感圧接着層の厚みは114μmであり、第1感圧接着層の表面は凹凸形状を有していた。第1感圧接着層の乾燥塗布重さは42g/mであった。第1感圧接着層の凹凸表面を剥離ライナー(無処理ポリエチレンフィルム、厚み100μm)と貼り合わせた。例1で使用した厚み30μmの白色感圧接着層をPET1の感圧接着層の反対面に積層して、マウント部品Aを作製した。
【0157】
厚み32μmのアルミニウムシートを準備した。アルミニウムシートの上に例1で使用した厚み30μmの白色感圧接着層を積層して、アルミニウム部品Aを作製した。
【0158】
ポリエステルキャリアに積層された厚み50μmの透明アクリルフィルムを準備した。透明アクリルフィルムの露出面に溶剤インクジェットインクをインクジェット印刷して、印刷部品を作製した。
【0159】
マウント部品Aの白色感圧接着層と、アルミニウム部品Aの露出面(白色感圧接着層が積層されていない面)とを対向させてマウント部品Aとアルミニウム部品Aを積層した。アルミニウム部品Aの白色感圧接着層に印刷部品の印刷面を対向させて貼り合わせ、ポリエステルキャリアを剥離して、図7に示す積層構造を有する例26の粘着シートを得た。
【0160】
<例27>
アルミニウムシートの厚みを32μmから50μmに変更した以外は例26と同様の手順で例27の粘着シートを作製した。
【0161】
<例28>
マウント部品A及びアルミニウム部品Aの白色感圧接着層を、特開2017-197604号公報の表2中、ADH5として記載された熱架橋型粘着剤を用いて形成した厚み30μmの透明感圧接着層に変更した以外は例26と同様にして例28の粘着シートを作製した。
【0162】
<燃焼性試験>
粘着シートの総発熱量をISO 5660-1に準拠してコーンカロリメータ法により評価した。粘着シートを100mm×100mm角に切断して試験片を作製し、100mm×100mmの正方形で厚み12.5mmの石膏ボードの上に積層した。コーンカロリメータのサンプル設置部位に得られた積層物を水平に置き、その上方からコーン型の電気ヒーターにより50kW/mの輻射加熱を与え、電気スパークの口火により着火させ、20分間の試験を行った。総発熱量は燃焼ガス分析により酸素消費量に基づいて決定した。試験をN=2又はN=3で行い、得られた総発熱量の平均を粘着シートの不燃性の指標とした。粘着シートの総発熱量が、5分間の合計で8MJ/m以下であれば難燃材料、10分間の合計で8MJ/m以下であれば準不燃材料、20分間の合計で8MJ/m以下であれば不燃材料である。また、20分間の燃焼性試験中に発熱速度が200kW/mを超えた時間を過発熱時間として記録した。発熱速度が200kW/mを超えた時間、すなわち過発熱時間が10秒未満である場合、粘着シートは不燃材料とされる。
【0163】
<外観3>
粘着シートを70mm×150mm角に切断して試験片を作製した。試験片をモルタルパネル(株式会社パルテック(日本国神奈川県平塚市))の上に23℃でローラーを用いて貼り付けた。基材上の試験片の表面が目視で平坦である場合に外観を「良好」とした。基材上の試験片の表面が目視で粗面に見える場合に外観を「不良」とした。
【0164】
例26~28の粘着シートの評価結果を表4に示す。金属層を含まない例1の粘着シートの評価結果を参考例1として併せて表4に示す。
【0165】
【表4】
本発明の実施態様の一部を以下の態様1~22に記載する。
[態様1]
80μm以上500μm以下の厚みを有する剛性樹脂フィルムと、
前記剛性樹脂フィルムの一方の面上又はその上方に配置された第1感圧接着層であって、体積平均粒径110μm以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む第1感圧接着層と
を含み、
前記第1感圧接着層が前記微小球の存在に起因した凹凸表面を有する、粘着シート。
[態様2]
透明樹脂フィルムであって、前記透明樹脂フィルムの表面に印刷されたグラフィック画像を有する透明樹脂フィルムを含む、態様1に記載の粘着シート。
[態様3]
前記微小球が粘着性である、態様1又は2のいずれかに記載の粘着シート。
[態様4]
前記微小球の20℃における圧縮弾性率が1kPa以上100kPa以下である、態様1~3のいずれかに記載の粘着シート。
[態様5]
前記剛性樹脂フィルムが10MPa以上300MPa以下の降伏弾性率を有する、態様1~4のいずれかに記載の粘着シート。
[態様6]
前記剛性樹脂フィルムの降伏弾性率と厚みとの積が、0.9×10 N/m以上5×10 N/m以下である、態様1~5のいずれかに記載の粘着シート。
[態様7]
前記剛性樹脂フィルムの2%引張強度が40N/25mm以上である、態様1~6のいずれかに記載の粘着シート。
[態様8]
前記剛性樹脂フィルムがポリエステルフィルムである、態様1~7のいずれかに記載の粘着シート。
[態様9]
前記剛性樹脂フィルムの厚みが前記微小球の体積平均粒径の0.2倍以上である、態様1~8のいずれかに記載の粘着シート。
[態様10]
前記第1感圧接着層が、前記微小球のクラスターを含む島状構造を有する、態様1~9のいずれかに記載の粘着シート。
[態様11]
前記第1感圧接着層の前記凹凸表面における60度光沢度が50以下である、態様1~10のいずれかに記載の粘着シート。
[態様12]
前記第1感圧接着層の最大厚みと最小厚みの差が50μm以上である、態様1~11のいずれかに記載の粘着シート。
[態様13]
前記粘着性バインダーがアクリル系粘着剤である、態様1~12のいずれかに記載の粘着シート。
[態様14]
前記第1感圧接着層における前記粘着性バインダーと前記微小球との質量比が、40:60~90:10である、態様1~13のいずれかに記載の粘着シート。
[態様15]
金属層をさらに含む、態様1~14のいずれかに記載の粘着シート。
[態様16]
前記金属層が前記剛性樹脂フィルムの他方の面上又はその上方に配置されている、態様15に記載の粘着シート。
[態様17]
前記金属層がアルミニウムを含む、態様15又は16のいずれかに記載の粘着シート。
[態様18]
前記剛性樹脂フィルムの他方の面に第2感圧接着層を有する、態様2~17のいずれかに記載の粘着シート。
[態様19]
前記第2感圧接着層が白色顔料を含む、態様18に記載の粘着シート。
[態様20]
前記透明樹脂フィルムが前記剛性樹脂フィルムである、態様2~19のいずれかに記載の粘着シート。
[態様21]
80μm以上500μm以下の厚みを有する剛性樹脂フィルムと、
前記剛性樹脂フィルムの一方の面上又はその上方に配置された第1感圧接着層であって、体積平均粒径110μm以上の弾性樹脂微小球と粘着性バインダーとを含む第1感圧接着層と
を含む粘着シートであって、
前記第1感圧接着層が前記微小球の存在に起因した凹凸表面を有する、粘着シートを提供することと、
前記粘着シートを粗面に適用することと
を含む、粘着シートを粗面に適用する方法であって、
前記粗面に適用された後に前記粘着シートが平滑な外観を呈する、方法。
[態様22]
前記粘着シートが透明樹脂フィルムを含み、前記透明樹脂フィルムが、前記透明樹脂フィルムの表面に印刷されたグラフィック画像を有する、態様21に記載の方法。
【符号の説明】
【0166】
10 粘着シート
12 剛性樹脂フィルム
14 第1感圧接着層
142 弾性樹脂微小球
144 粘着性バインダー
146 クラスター
22 透明樹脂フィルム
24 第2感圧接着層
26 グラフィック画像
32 追加の樹脂フィルム層
34 接着層
36 透明接着層
38 レセプター層
42 金属層
200 基材
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8